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日本工業規格

JIS

 Z

4321

-1995

放射線測定用タリウム活性化

よう化ナトリウムシンチレータ

Thallium-activated sodium lodide scintillator for radiation detection

1.

適用範囲  この規格は,

γ

線及び X 線の測定に使用する,直径及び高さが 127mm (5in) 以下の大きさ

のタリウム活性化よう化ナトリウム結晶を密封容器に入れたシンチレータ[以下,NaI (Tl) シンチレータ

という。

]について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 7507

  ノギス

JIS C 0911

  小形電気機器の振動試験方法

JIS G 4303

  ステンレス鋼棒

JIS H 3100

  銅及び銅合金の板及び条

JIS H 3300

  銅及び銅合金継目無管

JIS H 4040

  アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線

JIS H 4080

  アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管

JIS H 4170

  高純度アルミニウムはく

JIS Z 4001

  原子力用語

2.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるもので,参考と

して併記したものである。

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001 によるほか,次のとおりとする。

(1)

シンチレータ  放射線に対して能率のよい蛍光体。蛍光の減衰時間が比較的短く,放射線計測用とし

て適当なものをいう。

(2)

最大蛍光量波長  NaI (Tl)  シンチレータ特有の波長分布のうち,蛍光量最大に対応する波長。

(3)

蛍光量温度係数  単位温度変化に対する蛍光量の変化。%/℃で表す。

(4)

全吸収ピーク  NaI (Tl)  シンチレータ内で

γ

線と物質との相互作用により波高分布が得られるが,その

中で

γ

線の全エネルギーが吸収されたことに対応するピーク。このピークを光電ピーク又はフォトピー

クともいう。

(5)

蛍光量減衰時間  NaI (Tl)  シンチレータは,放射線によって励起されると,その後蛍光を放出するが,

その時間的変化は,

÷

ø

ö

ç

è

æ

τ

τ

t

N

exp

で表される。ここに,

τ

を減衰時間といい,光量が

e

1

になるまでの時間を

表す。なお,は総蛍光量とする。

(6)

エネルギー分解能と NaI (Tl) シンチレータの固有分解能  単一エネルギーの放射線の全吸収ピーク

のパルス波高分布は,統計誤差が問題にならない程度まで十分に計数された場合,一般に正規分布に


2

Z 4321-1995

近い形になる。この波高分布において計数が最大計数の

2

1

になる幅を最大計数のパルス波高値で割っ

たもので全吸収ピークの鋭さを表し,これをエネルギー分解能という。これから光電子増倍管などの

測定系によるエネルギー分解能の広がりの影響を除いた残りの分解能を NaI (Tl)  シンチレータの固有

分解能という。

(7)

自然計数率  遮へい内において NaI (Tl)  シンチレータ及び光電子増倍管自身に含まれている放射性物

質や,宇宙線などからの放射線による単位時間当たりの計数。

(8)

光学窓  NaI (Tl)  シンチレータにおいて,放射線によりシンチレータ内で発生した蛍光を NaI (Tl)  シ

ンチレータ外に取り出すための窓(

図 参照)。

(9)

入射窓  NaI (Tl) シンチレータ外部から入射する放射線を,シンチレータ内に透過させるために設け

られた気密容器の一部(

図 参照)。

(10)

密封容器  タリウム活性化よう化ナトリウム結晶を封入する光学窓と入射窓をもつ気密な容器(図 1

参照)

3.

種類及び等級

3.1

用途,形状,大きさ及びフランジによる種類  NaI (Tl) シンチレータは,用途,形状,大きさ及び

フランジによって,

表 のとおり分類する。

表 1

種類

記号

用途

形状

大きさ

フランジ

備考

A

形 A

A

原則として直径 76.2mm 以下のものに使用する。

B

形 B

小形

B

C

形 C

C

D

形 D

円柱形

大形

D

取付穴つき

WA

形 WA

A

直径 44.5mm (

4

3

1

in)

及び 50.8mm (2in)

WB

形 WB

B

直径 44.5mm (

4

3

1

in)

及び 50.8mm (2im)

WIA

形 WIA

A

直径 76.2mm (3in)  井戸寸法 I(井戸内径 19.1mm)

WIIA

形 WIIA

小形

A

直径 76.2mm (3in)  井戸寸法 II(井戸内径 28.6mm)

WC

形 WC

γ線用

井戸形

大形

C

X

形 X X 線用

平板形

3.2

容器材料及び入射窓材料による種類  NaI (Tl)  シンチレータは,容器材料及び入射窓材料によって,

表 のとおり分類する。

表 2

種類

記号

アルミニウム

ステンレス鋼 S

銅 C

ベリリウム

(入射窓材料)

B

3.3

光学窓材料による種類  NaI (Tl)  シンチレータは,光学窓材料により,表 のとおり分類する。


3

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表 3

種類

記号

光学ガラス

ほうけい酸ガラス P

石英 Q

3.4

固有分解能による等級  NaI (Tl)  シンチレ−夕は,固有分解能により,表 のとおり分類する。

表 4

等級

記号

A

級 A

B

3.5

自然計数率による種類  NaI (Tl)  シンチレータは,自然計数率により,表 のとおり分類する。

表 5

種類

記号

一般用

低自然計数率 L

4.

形名  形名は,3.の記号及び NaI (Tl) シンチレータの結晶の大きさを表す数字を 4 項目の組合せで構

成し,その配列及び表し方は次の各項による。

(1)

形名の配列  形名の配列は,次による。

1

2

3

4

(数字)  (文字)

(数字)  (文字)

(2)

形名の表し方  (1)の各項の内容は,次による。

(a)  1

項の数字  NaI (Tl)  シンチレータの結晶の直径を 6.35mm

÷

ø

ö

ç

è

æ

in

4

1

を単位とした倍数で表し,その値を

記す。

例 50.8mm

(2in)

であれば  8

76.2mm (3in)

であれば  12

(b)  2

項の文字  3.1 の記号を記す。

(c)  3

項の数字  NaI (Tl)  シンチレータの結晶の高さを 6.35mm

÷

ø

ö

ç

è

æ

in

4

1

を単位とした倍数で表し,その値を

記す。

ただし,X 形の結晶の場合は,1mm を 10 とする。

(d)  4

項の文字  3.23.4 の種類又は等級の記号を列記する。ただし,標準形(

1

)

の場合及び記号が規定さ

れていない種類又は等級については,特に記さないものとする。

なお,列記の順序は,容器材料(X 形の場合は入射窓材料)

,光学窓材料,固有分解能,自然計数

率の順とする。

(

1

)

標準形とは,容器材料及び入射窓材料がアルミニウム,光学窓材料が光学ガラス,固有分

解能が B 級,自然計数率が一般用の組合せをいう。

例  D 形直径 127.0mm (5in),高さ 127.0mm (5in)  で容器に銅を用い,石英の光学窓をもち,分解

能が A 級で,低自然計数率用の場合,20 D 20 CQAL と表す。

5.

性能

5.1

耐振動性  10.4 の方法により試験を行ったとき,器体に損傷があってはならない。


4

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5.2

温度変化に対する耐久性  10.5 の方法により試験を行ったとき,器体に損傷があってはならない。

5.3

耐圧性  10.6 の方法により試験を行ったとき,器体に損傷があってはならない。

5.4

気密性  10.7 の方法により試験を行ったとき,器体に損傷があってはならない。

5.5

エネルギー分解能  エネルギー分解能は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

γ

線用 NaI (Tl)  シンチレータ  10.8(1)の方法により試験を行ったとき,662keV の全吸収ピークの固有

分解能は,

表 及び表 を満足すること。

表 6  直径が 76.2mm (3in)  以下の場合

単位%

等級

形状

A B

円柱形 6.5 以下

9.0

以下

井戸形 9.0 以下 11.0 以下

表 7  直径が 76.2mm (3in)  を超え 127mm (5in)  以下の場合

単位%

等級

形状

A B

円柱形 8.0 以下 10.0 以下

(2)  X

線用平板形 NaI (Tl)  シンチレータ  10.8(2)の方法により試験を行ったとき,5.9keV の全吸収ピーク

の固有分解能は,

表 を満足すること。

表 8

単位%

等級 A  B

分解能 70 以下 80 以下

5.6

自然計数率  10.9 の方法により試験を行ったとき,結晶 1cm

3

当たりの毎分計数率は

表 を満足し,

更に,

40

K

などの天然放射性物質以外の顕著なピークが認められてはならない。ただし,X 形(平板形)

は,この限りでない。

表 9

種類

計数率

低自然計数率 (L)

1

以下

一般用 2.5 以下

5.7

温度特性  10.10 の方法により試験を行ったとき,蛍光量温度係数は+0.1∼−0.2%/℃の範囲内でな

ければならない。

6.

特性

6.1

結晶の成分及び物理的性質  NaI (Tl) シンチレータに用いる結晶は,Tl を含む NaI 結晶で,その成

分及び物理的性質は,

表 10 の値を満足しなければならない。

表 10

平均密度

g/cm

3

Tl

含有量

%

(質量百分率)

最大蛍光量波長

nm

蛍光量減衰時間

µs

屈折率

(410nm において)

約 3.67

約 0.1

約 410

約 0.25 1.8

6.2

使用エネルギー範囲  NaI (Tl)  シンチレータの使用エネルギー範囲は,表 11 を満足しなければなら

ない。


5

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表 11

単位 keV

入射窓

ベリリウ

アルミニウム

ステンレス鋼

形状

150

µm 30µm  0.8mm 2.0mm 0.8mm 2.0mm 0.8mm 2.0mm

円柱形

− 25 以上 35 以上 80 以上 150 以上 100 以上 150 以上

井戸形

− 25 以上 35 以上 80 以上 150 以上 100 以上 150 以上

平板形

5

以上 10 以上

備考  表 11 の数値は,入射窓に対し垂直に入射する平均光子数の減衰率が

e

1

以下である限界を示す。

7.

構造  NaI (Tl)  シンチレータは,光学窓と NaI (Tl)  を光学接続し,その形状及び放射線の入射方向に

より,各々次の構造をもつものでなければならない。

(1)

円柱形  円柱形 NaI (Tl)  シンチレータは,図 1(a)に示すように,光学窓以外の全密封容器が入射窓と

なり,シンチレータ内に放射線が入射しやすい構造であること。

(2)

平板形  平板形 NaI (Tl)  シンチレ−夕は,図 1(b)に示すように,密封容器の特定部分だけを入射窓と

し,入射窓を直視する方向からだけシンチレータ内に入射する構造であること。

(3)

井戸形  井戸形 NaI (Tl)  シンチレ−夕は,図 1(c)に示すように,シンチレータの一部分をくり抜き,

くり抜き部に沿って入射窓を設けた構造であること。

図 1

8.

形状,寸法及び材質

8.1

結晶寸法  結晶寸法の範囲は,表 12 のとおりとする。


6

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表 12

単位 mm

結晶寸法範囲

形名

直径 D

ステップ

高さ H

ステップ

井戸内径 W

井戸深さ d

A

B

12.7

∼76.2

±0.5

6.35 12.7

∼76.2

±0.5

6.35

C

D

88.9

∼127.0

±1.0

12.7 25.4

∼127.0

±1.0

12.7

7WA8

7WB8

44.5

±0.5 50.8±0.5 19.1±0.5 38.1±0.5

8WA8

8WB8

50.8

±0.5 50.8±0.5 28.6+0.5 38.1±0.5

12WIA12

12WIIA12

76.2

±0.5

76.2

±0.5

19.1

±0.5

28.6

±0.5

50.8

±0.5

50.8

±0.5

WC 88.9

∼127.0

±0.1

12.7 88.9

∼127.0

±0.2

12.7

  −(

2

)

  −(

2

)

X 12.7

∼38.1

±0.1

6.35 0.5

∼6.0

±0.2

0.5

(

2

)

井戸内径  (W)  及び井戸深さ  (d)  は,特に規定しない。ただし,寸法表示は,1mm を10として内径,深さの
順に形名の後に−で分けて表示する。

例  結晶寸法  直径 88.9mm,高さ 88.9mm,井戸内径 28.6mm,井戸深さ 50.8mm のとき

表示例  14WC14−286・508

8.2

光学窓  光学窓の厚さ及び材質は,表 13 のとおりとする。

表 13

光学窓

形名

厚さ mm

材質

A

B

3.0

±0.2

C

D

8.0

±0.2

7WA8

7WB8

8WA8

8WB8

12WIA12

12WIIA12

3.0

±0.2

WC 8.0

±0.2

X 3.0

±0.2

光学ガラス,ほうけい酸ガラス又は石英

8.3

容器  容器の形状,寸法,入射窓厚及び材質は,表 14 のとおりとする。

なお,O リングみぞの形状は,参考とする。


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表 14

容器

形名

形状,寸法

入射窓厚 mm

材質

A

付図 1

B

付図 2

0.8

±0.1

C

付図 3

D

付図 4

2.0

±0.1

アルミニウムの場合:

JIS H 4040

JIS H 4080

JIS H 4170

7WA8

7WB8

付図 5

8WA8

8WB8

付図 6

12WIA12

12WIIA12

付図 7

0.8

±0.1

WC

付図 8

又はこれらと同等以上の品質のもの。

ステンレス鋼の場合:

JIS G 4303

又はこれと同等以上の品質のもの。

銅の場合:

JIS H 3100

JIS H 3300

又はこれらと同等以上の品質のもの。

X

付図 9

標準のものとしては,厚さ 30

µm のアルミニウムを用いるが,厚さ 150µm のベリ

リウムでもよい。

8.4

反射材  反射材の材質は,X 形においてアルミニウム,それ以外のものは,すべてマグネシア粉末

又はアルミナ粉末を用いる。

9.

外観  NaI (Tl) シンチレータの外観は,10.3 の方法により試験を行ったとき,次の各項に適合しなけ

ればならない。

(1)

ケース  機械的きず及び変形,接着箇所のはく離がないこと。

(2)

光学窓  ガラス中に気泡及びきずがなく,また,接着面に気泡及び異物の混入がないこと。

(3)

結晶  結晶中に不透明混入物がなく,また,加工時のきず,ひび割れ,着色,吸湿による表面変化が

ないこと。

(4)

反射材  円柱形及び井戸形については,反射材の充てん状態に異常がないこと。

10.

試験方法

10.1

試験条件

10.1.1

周囲条件  この試験方法の各試験は,特に指定のない限り,常温 (20±15℃),常湿 [(65±20) %]

で室内の自然光(電灯照明を含む。

)又はそれ以下の照度で,測定用放射線源以外の放射線及び電磁気的誘

導のなるべく少ない場所で行う。

10.1.2

線源  NaI (Tl)  シンチレータ試験用放射線源は,円柱形用,井戸形用,平板形用の 3 種類とし,そ

の構造及び強度は

表 15 による。

表 15

線源の用途

構造

線源の強度 kBq {

µCi}

円柱形用

図 2(1)

137

Cs : 18.5

∼185 {0.5∼5}

井戸形用

図 2(2)

137

Cs : 0.37

∼3.7 {0.01∼0.1}

平板形用

図 2(3)

55

Fe : 3.7

∼370 {0.1∼10}


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図 2

10.1.3

電気的試験用結線及び一般的条件  電気的試験用結線及び一般的条件は,次の各項による。

(1)

電気的試験装置を

図 のように結線して使用し,図 の点線の部分は遮光のため,図 のような測定

台を用いる。

(2)

供試 NaI (Tl)  シンチレータと光電子増倍管の接合及び取扱いについては,次による。

(a)

供試 NaI (Tl)  シンチレータと光電子増倍管は,シリコーン油により光学的に接合する。

(b) NaI (Tl)

シンチレータ及び光電子増倍管は,できるだけ暗所で取り扱うことが望ましく,また,試

験前は,24  時間以上暗所に保管されているのが望ましい。

(c) NaI (Tl)

シンチレータの光学窓と光電面が大きさにおいて一致することが望ましいが,もし,NaI

(Tl)

シンチレータの光学窓が光電面より大きい場合,残りの面積はアルミニウムはくなどの適当な

反射材を用いて光を有効に光電面に入射させる必要がある。

(3)

回路は,すべて

図 及び図 に準ずるが,パルス波高その他を調整後,適当なオシロスコープにより

波高分折器への入力信号を観測し,誘導,ひずみ,飽和現象などがないことを確認する。

(4)

使用線源及び幾何学的条件については,次の各項による。

(a)

円柱形 NaI (Tl)  シンチレータ  使用線源は,10.1.2 に定めた円柱形用

137

Cs

を用い,線源は NaI (Tl)

シンチレータの中心軸上で NaI (Tl)  シンチレータ結晶前面から約 150mm 離して固定する。

(b)

井戸形 NaI (Tl)  シンチレータ  使用線源は,10.1.2 に定めた井戸形用

137

Cs

を用い,線源の先端をシ

ンチレータ中央に固定する。

(c)

平板形 NaI (Tl)  シンチレータ  使用線源は,10.1.2 に定めた平板形用

55

Fe

を用い,(a)と同様の条件


9

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で使用する。ただし,線源と結晶前面との距離は,約 30mm とする。

なお,ふたは外して使用する。

10.1.4

光学的接合用シリコーン油  25℃における粘度 10 000cSt,屈折率 1.5 程度のものを使用する。

図 3  電気的試験用結線図

図 4  印加電圧分配器回路図


10

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図 5  測定台

10.2

外形寸法試験  JIS B 7507 に規定された 1 級以上の精度をもつノギスを使用し,外形寸法が,8.1 

規定に適合するかどうかを調べる。

10.3

外観試験  外観試験は,次の各項による。

(1)

ケース  機械的きず及び変形,接着箇所のはく離の有無を調べる。

(2)

光学窓  ガラス中の気泡及びきず,接着面の気泡及び異物の混入の有無を調べる。

(3)

結晶  結晶中の不透明混入物,加工時のきず,ひび割れ,着色,吸湿による表面変化の有無を調べる。

(4)

反射材  円柱形及び井戸形について,反射材の充てん状態を調べる。

10.4

振動試験  供試 NaI (Tl) シンチレータを光学窓を下にして振動台に確実に固定する。更に装置を水

平にして複振幅 2±0.1mm,周波数 20±2Hz で 5 時間正弦波振動をさせ,常温常湿において 3 か月放置し

た後,10.210.3 及び 10.8 の試験を行い,供試 NaI (Tl)  シンチレータの損傷の有無を調べる。

なお,振動試験装置は,複振幅 2mm,振動数 20∼30Hz が得られ,具備すべき条件としては JIS C 0911

の 3.2(定振動数耐久試験装置)に定めるものに合致することが望ましい。


11

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10.5

温度サイクル試験  供試 NaI (Tl) シンチレータを設定温度範囲が 0∼40℃で,空そう時,すべての

温度範囲において 1 時間に 20℃以上の温度変化速度をもち,温度を自動制御できる可変恒温槽内に適当な

防振ゴムを敷き,その上に配置する。

温度範囲を 0∼40℃とし,温度変化は 20℃/h として 24 時間中サイクルを 3 回繰り返し,常温常湿にお

いて 3 か月放置した後,10.210.3 及び 10.8 の試験を行い,供試 NaI (Tl)  シンチレータの損傷の有無を調

べる。

10.6

加圧試験  加圧装置に供試 NaI (Tl) シンチレータを入れ,槽内の圧力を 0.2MPa{2kgf/cm

2

}に加圧

し,そのまま 30 分間保ち,常温常湿において 3 か月放置した後,10.210.3 及び 10.8 の試験を行い,NaI (Tl)

シンチレータの損傷の有無を調べる。ただし,平板形は行わない。

10.7

損傷漏れ試験

10.7.1

減圧損傷試験  減圧装置に供試 NaI (Tl)  シンチレータを入れ,1.3mPa {10

5

Torr}

まで減圧して 30

分間保ち,供試 NaI (Tl)  シンチレータの損傷の有無を調べる。ただし,平板形は行わない。

なお,この試験は,10.7.2 耐湿漏れ試験の前に行う。

10.7.2

耐湿漏れ試験  40±3℃に固定された恒温槽内に,表面積 300mm×300mm 以上のほうろう引きバ

ットに水を満たし,その上に金網状の台を置き,供試 NaI (Tl)  シンチレータを配置する。この状態で 1 週

間保ち,常温常湿において 3 か月放置した後 10.210.3 及び 10.8 の試験を行い,供試 NaI (Tl)  シンチレー

タの損傷の有無を調べる。

なお,試験中バットの水がなくならないよう,また,恒温槽内に結露した水滴が直接供試 NaI (Tl)  シン

チレータに接触しないように注意する。

10.8

分解能試験  図 において指定された回路で,次の各項によりエネルギー分解能を試験する。

(1)

γ

線用 NaI (Tl)  シンチレータ  まず 10.1 の条件によりパルス波高値 がパルス波高分析器のフルスケ

ールの約 80%になるように増幅器の増幅度(又は波高分析器の入力変換器)を調整する。

図 及び(1)

式により総分解能 (%) を求め,その値から 1(

3

)

を引いて固有分解能とする。

(%)

100

×

=

A

B

R

 (1)

ここに,

R

総分解能

A

γ

線による全吸収ピークの最大計数のパルス波高値

図 参照)

B

計数が最大計数の

2

1

になる幅(

図 参照)

(

3

)

1

”は,光電子増倍管などの測定系によるエネルギー分解能の広がりの影響に相当する。

(2)

X

線用 NaI (Tl)  シンチレータ

55

Fe

による全吸収分布が広いため,全吸収ピークのパルス波高が波高

分析器のフルスケールのほぼ中央になるように増幅度(又は波高分析器の入力変換器)を調整し,

6

及び(1)式により総分解能

 (%)

を求め,その値から

7

(

4

)

を引いて固有分解能とする。

なお,光電子増倍管は,光電面スペクトル特性が

S-11

又はこれと同等以上のもので,光電面は試験

される

NaI (Tl)

シンチレータの光学窓全面を覆えるものが望ましい。

(

4

)

7

”は,光電子増倍管などの測定系によるエネルギー分解能の広がりの影響に相当する。


12

Z 4321-1995

図 6

10.9

自然計数率試験  10.1 において指定された回路で自然計数率を試験する。ただし,この場合は,図 5

の測定台を鉛等量

8cm

以上の材料で遮へいする。

まず,供試

NaI (Tl)

シンチレータを指定の光電子増倍管にシリコーン油を用いて光学的に接合し,

20keV

に相当する波高値以上の自然計数を統計誤差が問題にならないくらい十分な時間計数し,計数値の総和か

ら算出された単位容積当たりの毎分計数率を求める。

10.10

温度特性試験

NaI (Tl)

シンチレータ及び光電子増倍管それぞれを設定温度に対し±

0.5

℃の精度で

温度制御可能な恒温槽に入れ,

150mm

長のアクリル樹脂製ライトパイプを介して光電子増倍管とシリコー

ン油で接続する。その際,恒温槽の断熱壁の中心とライトパイプの先端から

75mm

の点を一致させて設定

し,両端のライトパイプの恒温槽内への突出長は

40mm

以上が望ましい。

次に,光電子増倍管は

20

℃近辺の一定点に,

NaI (Tl)

シンチレータは

0

℃及び

40

℃に設定し,十分恒温

に達したことを確認の上,各温度における光電子増倍管の電流出力から,蛍光量温度係数を算出する。た

だし,パルス出力によって波高値を測定する場合の時定数は,

2

µ

s

以上とする。

11.

検査方法  形式検査及び受渡検査の各項目について,10.の方法により試験を行い,5.8.及び 9.の規

定に適合するかどうかを判定する。

(1)

形式検査(

5

)

(a)

外形寸法

(b)

外観

(c)

耐振動性

(d)

温度変化に対する耐久性

(e)

耐圧性

(f)

気密性

(g)

エネルギー分解能

(h)

自然計数率(低自然計数率のものに限る。

(i)

温度特性

(2)

受渡検査(

6

)

(a)

外形寸法

(b)

外観

(c)

エネルギー分解能


13

Z 4321-1995

(d)

自然計数率(低自然計数率のものに限る。

(

5

)

形式検査とは,製品の品質が設計で示されたすべての特性を満足するかどうかを判定するため

の検査をいう。

(

6

)

受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造に係る製品の受渡しに際して,

必要と認められる特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査をいう。

12.

表示

NaI (Tl)

シンチレータ及びその包装には,見やすいところに容易に消えない方法で,次の事項

を表示しなければならない。ただし,高さ

12.7mm

以下のもの及び

X

線用平板形は,(3)を省略することが

できる。

(1)

形名

(2)

製造業者名又は略号

(3)

製造年月又は略号

(4)

製造番号又は略号

13.

取扱い上の注意

(1)

急激な温度変化を与えると,シンチレータ結晶が破壊されたり,光学接続の分離等が起こることがあ

るので注意すること。

(2)

衝突,落下等の機械的ショックを与えると,シンチレータが破壊したり,光や湿気の浸入の原因とな

るので慎重に扱うこと。

(3)

日光等の強い光にさらされると,シンチレーションノイズが増加するので,暗所保存が望ましい。

付図 1

付図 2


14

Z 4321-1995

付図 3


15

Z 4321-1995

付図 4

付図 5

付図 6


16

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付図 7

付図 8

付図 9

備考  容器の高さ寸法及び形状は、参

考とする。


17

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原子力部会  シンチレータ通則専門委員会  構成表(昭和 52 年 4 月 1 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

西  野      治

工学院大学

岡  野  真  治

特殊法人理化学研究所

富  増  多喜夫

工業技術院電子技術総合研究所

田  中  栄  一

放射線医学総合研究所

鈴  木      健

通商産業省機械情報産業局

西  田  誠  次

工業技術院標準部

中  村      弘

応用光研工業株式会社製造部

柴  田  昭  和

株式会社堀場製作所製造部

中  西  重  昌

株式会社島津製作所医用電子機器工場

槇  田  敏  夫

社団法人日本電気計測器工業会

牧  野  純  夫

東京芝浦電気株式会社医用機器事業部

真  島  鉄  柱

アロカ株式会社

河  野  悦  雄

富士電機製造株式会社

川  口  千代二

日本原子力研究所ラジオアイソトープ原子炉研究所

石  崎  可  秀

東京大学原子核研究所

山  根      巌

株式会社日立メディコサービス事業部

林      達  郎

浜松テレビ株式会社技術部

(事務局)

村  田  照  夫

工業技術院標準部電気規格課

平  野  由紀夫

工業技術院標準部電気規格課

(事務局)

平  野  由紀夫

工業技術院標準部電気規格課(平成 7 年 3 月 1 日改正のとき)

稲  垣  勝  地

工業技術院標準部電気規格課(平成 7 年 3 月 1 日改正のとき)