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日本工業規格

JIS

 Z

3903

-1988

りん銅ろう分析方法

Methods for Chemical Analysis of Copper

Phosphorus Brazing Filler Metals

1.

適用範囲  この規格は,JIS Z 3264(りん銅ろう)に規定されたりん,銀,銅,鉛,すず及び鉄の定

量方法について規定する。

引用規格:

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0115

  吸光光度分析のための通則

JIS K 0121

  原子吸光分析のための通則

JIS K 8005

  容量分析用標準試薬

JIS Z 3264

  りん銅ろう

JIS Z 3900

  貴金属ろうのサンプリング方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050(化学分析方法通則),JIS K 0115(吸光光度分

析のための通則)及び JIS K 0121(原子吸光分析のための通則)による。

3.

分析試料の採り方及び扱い方

3.1

分析試料の採取と調製  分析試料の採取と調製は,次による。

(1)

分析試料の採取と調製に際しては,平均品質を代表するようにし,特に偏析,汚染などに注意しなけ

ればならない。

(2)

分析試料の採取と調製は,JIS Z 3900(貴金属ろうのサンプリング方法)による。

3.2

試料のはかり方  試料のはかり方は,次による。

(1)

分析試料をはかり取る際には,よくかき混ぜて平均組成を表すように注意し,また,異物が混入して

いないことを確かめなければならない。

(2)

分析試料のはかり取りには,化学はかりを用い,0.1mg のけたまで読み取る。

4.

分析値のまとめ方

4.1

分析回数  分析は同一試料について 2 回以上行って結果を確かめる。

4.2

分析値の表示  分析値の表示は,次による。

(1)

分析値は,質量百分率で表す。


2

Z 3903-1988

(2)

合金成分の分析値は,小数点以下第 2 位まで算出した後,二つ以上の分析値を平均して,JIS Z 8401

(数値の丸め方)によって,小数点以下第 1 位に丸める。

(3)

不純物の分析値は,小数点以下第 3 位まで算出した後,二つ以上の分析値を平均して,JIS Z 8401 

よって,小数点以下第 2 位に丸める。

5.

空試験  分析に当たっては,全操作を通じて空試験を行い,測定値を補正しなければならない。

6.

りん定量方法

6.1

定量方法の区分  りんの定量方法は,次のいずれかによる。

(1)

りん酸マグネシウム分離エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム滴定法

(2)

りんバナドモリブデン酸吸光光度法

6.2

りん酸マグネシウム分離エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム滴定法

6.2.1

要旨  試料を硝酸で分解し,塩酸を加え,加熱してりんを酸化し,くえん酸を加え,アンモニア水

で中和し,塩化マグネシウム溶液を加えて水中で冷却しながらかき混ぜ,りん酸マグネシウムアンモニア

を沈殿させる。放置後沈殿をこし分け,薄いアンモニア水で洗浄した後塩酸で溶解し,これにエチレンジ

アミン四酢酸二ナトリウム(以下,EDTA という。

)標準溶液の一定量を加え,エリオクロムブラック T(以

下,EBT という。)を指示薬とし,アンモニア水を過剰に添加後,亜鉛標準溶液で溶液が明らかに赤紫色

となるまで滴定する。

6.2.2

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸 (1+3)

(3)

硝酸 (1+1,1+50)

(4)

アンモニア水

(5)

アンモニア水 (5+100)

(6)

塩化マグネシウム溶液  塩化マグネシウム六水和物 50g と塩化アンモニウム 100g を水 800ml に溶解

し,フェノールフタレイン溶液(1g/エタノール溶液)を指示薬とし,アンモニア水を加えてアルカ

リ性とし,約 48 時間放置する。沈殿が生じたときはろ過し,塩酸を滴加して微酸性とした後,水で

1l

とする。この溶液は p−ニトロフェノール溶液 (2g/l)  を指示薬とし,アンモニア水と塩酸とを用い

pH

を 5∼6 に調節して保存する。

(7)

くえん酸溶液  くえん酸一水和物 30g を水に溶かして 100ml とする。

(8) 0.02mol/l

亜鉛標準溶液  亜鉛[JIS K 8005(容量分析用標準試薬)

]1.307 4g をはかり取り,なるべく

少量の塩酸 (1+1)  で加熱分解し,冷却後 1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線ま

で薄める。

(9) 0.02mol/lEDTA

標準溶液  エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物 7.45g を水に溶解して 1

000ml

とする。標定は,次のように行う。

0.02ml/lEDTA

標準溶液を正確に 25ml 取り,

塩化アニモニウム溶液 (250g/l) 10ml 及び EBT 溶液 0.1ml

を指示薬として加え,水で液量を約 100ml に薄めた後,溶液が青色に変わるまでアンモニア水 (1+1)

を滴加し,0.02ml/亜鉛標準溶液で滴定し,溶液が赤紫色に変わった点を終点とする。次の式によっ

て,ファクターを算出する。


3

Z 3903-1988

25

V

F

=

ここに,

F

 0.02mol/lEDTA

標準溶液のファクター

V

 0.02mol/l

亜鉛標準溶液使用量

 (ml)

(10)

 EBT

溶液

EBT0.3g

をエタノール

 (95vol%) 15ml

に溶解後,トリエタノールアミン

15ml

を加える。

6.2.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,

0.20g

とする(

1

)

(

1

)

試料

0.20g

をはかり取るが,偏析などが考えられるときは

1.0g

又は

2.0g

を硝酸

 (1

1)

で分解し,

250ml

の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,これから一定量(

0.20g

相当)

を分取し,硝酸

 (1

1) 10ml

を加える。

6.2.4

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってコニカルビーカー

 (300ml)

に移し入れ,硝酸

 (1

1) 10ml

を加え時計皿で覆い,

静かに加熱して分解する。

(2)

この溶液に塩酸

10ml

を加え,静かに約

5

分間煮沸する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗

浄する。

(3)

溶液を約

40

℃に冷却し,くえん酸溶液

2ml

を加え,次にアンモニア水で中和し,いったん生成した水

酸化銅が溶解し,銅アンミンの青色を呈するまで注意して加える。

(4)

塩化マグネシウム溶液

10ml

を加え,水中で冷却しながらゴム管付ガラス棒(ポリスマン)でビーカ

ー壁をこすりながら約

3

分間かき混ぜ冷却する。これにアンモニア水

10ml

を加えてよく振り混ぜ,

室温で約

2

時間放置する。

(5)

放置後ろ紙(

5

C

)を用いてこし分け,沈殿及びろ紙はアンモニア水

 (5

100)

で塩化物イオンのな

くなるまで十分に洗浄し,更に

3

回洗浄する。ろ紙上から温塩酸

 (1

3)

を注加して沈殿をビーカー

(500ml)

に溶かし入れ,ろ紙は温水で十分に洗浄する。

(6)

この溶液に

0.02mol/lEDTA

標準溶液の一定量を正しく加え,約

80

℃の温水を加えて液量を約

250ml

し,

EBT

溶液

3

5

滴を指示薬として加え,溶液が青色を呈するまでアンモニア水を注意して加え,

次に過剰(

2

)

20ml

を加える。

(7)

この溶液を注意してよくかき混ぜながら亜鉛標準溶液で滴定し,溶液の青色が鮮やかな赤紫色に変わ

った点を終点とする。

(

2

)

このとき溶液の

pH

は約

9.5

となり,滴定の終了まで

9

以上を持続することができる。

6.2.5

計算  試料中のりん含有率を,次の式によって算出する。

(

)

100

5

619

000

.

0

%

2

1

×

×

=

m

V

V

wt

りん

ここに,  V

1

: 0.02mol/lEDTA 標準溶液使用量 (ml)

V

2

: 0.02mol/亜鉛標準溶液使用量 (ml)

m

:  試料はかり取り量 (g)

6.3

りんバナドモリブデン酸吸光光度法

6.3.1

要旨  試料を硝酸で分解した後一定量を分取し,硝酸と過マンガン酸カリウムを加え,煮沸してり

んを酸化し,過酸化水素水を添加して過剰の過マンガン酸を分解する。次にメタバナジン (V) 酸アンモニ

ウムを加え,煮沸して過酸化水素を分解し,冷却後七モリブデン酸六アンモニウムを加えてりんを呈色さ

せ,吸光度を測定する。

6.3.2

試薬  試薬は,次による。

(1)

硝酸 (2+3,1+5)


4

Z 3903-1988

(2)

ほう酸溶液 (40g/l)

(3)

混酸  硝酸 (2+1) 1にふっ化水素酸 25ml を加える。

(4)

過酸化水素 (1+9)

(5)

過マンガン酸カリウム溶液 (10g/l)

(6)

メタバナジン (V) 酸アンモニウム溶液  メタバナジン (V) 酸アンモニウム 2.50g を温水 500ml に溶

解した後,硝酸 (1+1) 20ml を加え,冷却後水で 1に薄める。

(7)

七モリブデン酸六アンモニウム溶液  七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 100g に水 600ml を加

え,約 50℃に加熱して溶解し,冷却後,水を加えて 1とする。この溶液は使用の都度,ろ過して用

いる。

(8)

標準りん溶液 (200

µgP/ml)    硫酸を乾燥剤としたデシケーター中に 1 夜間放置したりん酸二水素カリ

ウム 0.878 8g をはかり取り,水 200ml に溶解して硝酸 (1+5) 10ml を加えた後,1 000ml の全量フラス

コに移し入れ,水で標線まで薄める。

6.3.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,0.50g とする。

6.3.4

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆い硝酸 (2+3) 25ml を加えて加熱分解

し,引き続き加熱して数分間煮沸する(

3

)

。溶液は,常温まで冷却した後,200ml の全量フラスコに水

を用いて移し入れ,水を加えて標線まで薄めた後,正確に 10ml をビーカー (200ml) に分取する。

(2)

これに硝酸 (1+5) 20ml を加え,時計皿で覆って約 1 分間静かに煮沸する(

4

)

。過マンガン酸カリウム

溶液 2ml を加え,再び煮沸し始めるまで加熱する。

(3)

過酸化水素 (1+9) 1ml を加え,よく振り混ぜて過マンガン酸を分解するとともに透明な溶液とし,メ

タバナジン (V) 酸アンモニウム溶液(

5

)

10ml

を加え,加熱して褐色の溶液が透明な青色を呈するまで

煮沸する(

6

)

(4)

溶液は常温まで冷却した後,100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水を加えて約 80ml に薄め

る。これに七モリブデン酸六アンモニウム溶液 10ml を加え,水で標線まで薄めた後,よく振り混ぜ

て 5 分間以上放置する(

7

)

(5)

溶液の一部を光度計の吸収セル(10mm,ガラス製)に取り,水を対照液として波長 470nm 付近の吸

光度を測定する(

8

)

(

3

)

銀を含む試料の場合は操作中に塩酸を遠ざけ,塩化銀の沈殿が生じないように注意する。

(

4

)

強熱して長く煮沸してはならない。

(

5

)

メタバナジン (V) 酸アンモニウム中に塩化物が存在するおそれがある場合は,硝酸 (1+1)  を

添加して微酸性とした後,少量の硝酸銀を加え,塩化銀の沈殿が生じたときはろ過して用いる。

(

6

)

溶液が透明な青緑色を呈するに至れば,過酸化水素が分解したことを示す。

(

7

)

りんは 5 分間以内で完全に呈色し,少なくとも 1 時間は安定である。

(

8

)

水 15ml をビーカー (200ml) に取り,6.3.4 (2)(5)の手順に従って操作した溶液を対照液とし

て測定する。

備考  試料を硝酸 (2+3)  で分解したとき,すずの沈殿を認めた場合は,6.3.4(1)を次のように操作す

る。

別に試料をはかり取り,ポリエチレンビーカー (200ml) に移し入れ,混酸 10ml を加えて室

温で分解する。冷却後,ほう酸溶液 10ml を加え,以下,6.3.4(1)の手順に従って水で正確に 200ml

に薄め,正確に 10ml を分取する。


5

Z 3903-1988

6.3.5

検量線の作成  標準りん溶液の 0∼25.0ml(りんとして 0∼5.0mg)を数個のビーカー (200ml) に段

階的にはかり取り,水を加えて 25ml とした後,6.3.4 (2)(5)の手順に従って操作し,得た吸光度とりん

量との関係線を作成して検量線とする。

6.3.6

計算  6.3.5 で作成した検量線からりん量を求め,試料中のりん含有率を,次の式によって算出す

る。

100

%

×

×

=

B

m

A

wt

りん

ここに,

A

分取した試料溶液中のりん検出量

 (g)

m

試料はかり取り量

 (g)

B

試料溶液の分取比

7.

銀定量方法

7.1

定量方法の区分

  銀の定量方法は,次のいずれかによる。

(1)

塩化銀重量法

(2)

原子吸光法  この方法は,

BCuP-6

に適用する。

7.2

塩化銀重量法

7.2.1

要旨

  試料を硝酸で分解し,塩酸又は塩化ナトリウムを加えて塩化銀を沈殿させ

1

夜間放置した後,

ガラスろ過器を用いてこし分け,乾燥後その質量をはかる(ろ液は,

8.

銅定量方法

に用いることができる。

7.2.2

試薬

  試薬は,次による。

(1)

塩酸

 (1

9)

(2)

硝酸

 (1

1

1

3

1

100)

(3)

塩化ナトリウム溶液

 (100g/l)

7.2.3

試料はかり取り量

  試料はかり取り量は,

2.0g

とする。

7.2.4

操作

  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってトールビーカー

 (300ml)

に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸

 (1

1) 20ml

を加え,

穏やかに加熱して分解する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水洗した後,更に加熱してシロップ

状とする。

(2)

これに硝酸

 (1

3) 20ml

を加えて塩類を溶解し

(

9

)

,水で約

150ml

に薄めた後,溶液をかき混ぜながら

塩酸

 (1

9)

又は塩化ナトリウム溶液を塩化銀の白濁が生じなくなるまで滴加し,更にその数滴を過

剰に加えて約

5

分間穏やかに煮沸し,暗所に

1

夜間放置する。

(3)

沈殿はガラスろ過器

 (1G4)

でこし分け,初めは硝酸

 (1

100)

で,次に冷水を用いて十分に洗浄する

(ろ液及び洗液は

8.

に用いることができる。

(4)

沈殿はガラスろ過器とともに約

130

℃の空気浴中で恒量となるまで乾燥し,デシケーター中で放冷後,

塩化銀としてその質量をはかる。

(

9

)

この際すずなどの沈殿を認めたときは,ろ紙(

5

B

)を用いてろ過し,温硝酸

 (1

100)

で洗

浄する。

7.2.5

計算

  試料中の銀含有率を,次の式によって算出する。

100

6

752

.

0

%

0

1

×

×

=

m

m

wt

ここに,  m

1

:  塩化銀の質量 (g)

m

0

:  試料はかり取り量 (g)


6

Z 3903-1988

7.3

原子吸光法

7.3.1

要旨  試料を硝酸で分解した後,原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸

光度を測定する。

7.3.2

試薬  試薬は,次による。

(1)

硝酸 (1+1)

(2)

りん酸溶液  りん酸 26.0g をはかり取って 200ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線ま

で薄める。

(3)

銅(99.96wt%以上)  銀含有率 0.001wt%以下のもの。

(4)

標準銀溶液 (100

µgAg/ml)    銀(99.99wt%以上)0.100g を硝酸 (1+1) 10ml で加熱分解し,常温まで

冷却した後,100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,原液(1 000

µgAg/l)と

する。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正しく 10 倍に薄めて標準銀溶液とする。

7.3.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,0.50g とする。

7.3.4

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20ml を加えて加熱分

解する。分解が終われば,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水洗する。

(2)

常温まで冷却した後,250ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。この溶液

から正しく 10ml を分取し,別の 100ml の全量フラスコに入れ,水で標線まで薄める(

10

)

(3)

この溶液の一部を,原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧して(

10

)

波長 338.3nm(

10

)

にお

ける吸光度を測定する。

(

10

)

使用する原子吸光光度計の種類によって試料溶液の分取比を変えたり,測定の際にバーナー角

度を変えてもよい。

また測定波長として 328.1nm を用いてもよい。いずれの場合でも 7.3.5

検量線の作成では,同

一の条件を用いて検量線を作成する。

7.3.5

検量線の作成  銅 0.455g をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れ,りん酸溶液 10.0ml を加え

た後,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20ml を加えて加熱分解する。分解が終われば,時計皿の下面及びビー

カーの内壁を水洗する。常温まで冷却した後,250ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線ま

で薄める。この溶液から正しく 10ml ずつを数本の 100ml の全量フラスコに分取し,標準銀溶液 0∼6.0ml

(銀として 0∼0.6mg)を段階的に加えた後,水で標線まで薄める。以下,7.3.4(3)の手順に従って操作し,

試料と並行して測定した吸光度と銀量との関係線を作成して検量線とする。

7.3.6

計算  7.3.5 で作成した検量線から銀量を求め,試料中の銀含有率を,次の式によって算出する。

100

%

×

×

=

B

m

A

wt

ここに,

A

:  分取した試料溶液中の銀検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

B

:  分取比

8.

銅定量方法

8.1

定量方法  銅の定量方法は,銅電解重量法による。

8.2

銅電解重量法


7

Z 3903-1988

8.2.1

要旨  試料を硝酸で分解し,加熱蒸発してシロップ状とし,硝酸と水で溶解後,銀を含む場合は塩

酸又は塩化ナトリウムを加えて塩化銀を沈殿させ,ろ過する。

ろ液[7.2.4(3)の銀の定量ろ液を用いることができる。

]に硫酸を加え,白煙が発生するまで蒸発し,水

で塩類を溶解した後,硝酸を加えて電解を行い,白金陰極に析出した銅の質量をはかる。

8.2.2

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸 (1+9)

(2)

硝酸 (1+1,1+3,1+100)

(3)

硫酸 (1+1)

(4)

塩化ナトリウム溶液 (100g/l)

(5)

エタノール (99.5vol%)

8.2.3

装置及び器具  装置及び器具は,原則として次のものを用いる。

(1)

電解用ビーカー(

付図 参照)

(2)

白金電極 A(

付図 参照)

(3)

白金電極 B(

付図 参照)

(4)

半円形時計皿(

付図 参照)

8.2.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,1.0g とする。

8.2.5

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってトールビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 15ml を加え,

静かに加熱して分解する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水洗した後,時計皿を取り去り,更に

加熱してシロップ状とする。

(2)

硝酸 (1+3) 20ml を加えて塩類を溶解し(

9

)

,水で約 150ml に薄めた後,溶液をかき混ぜながら塩酸 (1

+9)  又は塩化ナトリウム溶液を塩化銀の白濁が生じなくなるまで滴加し(

11

)

,更にその過剰 1ml を加

えて約 5 分間静かに煮沸する。

(3)

流水で冷却後ろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,初めは硝酸 (1+100)  で,次に水で十分に洗浄する。ろ

液[7.2.4(3)の銀の定量ろ液を用いることができる。

]に硫酸 (1+1) 15ml を加え,加熱蒸発して硫酸の

白煙を発生させる。放冷後,水 50ml と硝酸 (1+1) 5ml を加えて塩類を溶解し,2∼3 分間煮沸して酸

化窒素を追い出す。

(4)

溶液を電解用ビーカーに移し入れ,水で約 150ml に薄めた後,あらかじめ質量をはかった白金電極 A

を陰極とし,白金電極 B を陽極に用い,2 個の半円形時計皿で覆い,室温で 0.3∼0.5A の電流を通じ

て 1 夜間電解する。

(5)

電解液が無色となれば,少量の水で時計皿の下面,ビーカーの内壁及び電極の柄の液面に露出した部

分を洗い,その洗浄水によって電解液面を約 5mm 上昇させ,更に約 30 分間電解を続ける。

(6)

新しく電解液に浸った陰極の柄の部分にもはや銅が析出しなくなれば,電流を通じたまま水洗しなが

ら両極を引き上げ,最後に手早く新たな水中に浸して陰極を外す。

(7)

陰極は初めは水で,次にエタノール (99.5vol%) で洗い,約 80℃の空気浴中で速やかに乾燥し,デシ

ケーター中で約 30 分間放冷後,質量をはかる。

(

11

)

滴加によって白濁が生じない場合には8.2.5(3)のろ過操作を行うことなく,硫酸 (1+1)  添加以

降の手順に従って操作する。

8.2.6

計算  試料中の銅含有率を,次の式によって算出する。


8

Z 3903-1988

100

%

0

1

×

=

m

m

wt

ここに,  m

1

:  陰極に析出した銅の質量 (g)

m

0

:  試料はかり取り量 (g)

9.

鉛,すず及び鉄の定量方法

9.1

定量方法

  鉛,すず及び鉄の定量方法は,原子吸光法による。

9.2

原子吸光法

9.2.1

要旨

  試料を硝酸で分解した後,定容とする。この一定量を分取し,定量元素を段階的に加えた後,

原子吸光光度計を用いて吸光度を測定し,標準添加法によって結果を算出する。

9.2.2

試薬

  試薬は,次による。

(1)

硝酸 (1+1)

(2)

ほう酸溶液 (40g/l)

(3)

混酸

6.3.2(3) 

によって調製する。

(4)

標準鉛溶液 (25

µgPb/ml)    鉛(99.99wt%以上)0.100g を硝酸 (1+1) 10ml で加熱分解した後,

(4)

に準

じて水で薄め,標準鉛溶液を調製する。

(5)

標準すず溶液 (25

µgSn/ml)    すず(99.90wt%以上)0.100g を硫酸 (1+1) 10ml で加熱分解し,常温ま

で冷却した後,

100ml

の全量フラスコに硫酸 (1+6)  を用いて移し入れ,

硫酸 (1+6)  で標線まで薄め,

原液 (1 000

µgSn/ml)  とする。この原液を使用の都度,必要量だけ硫酸 (1+50)  を用いて正しく 40 倍

に薄めて標準すず溶液とする。

(6)

標準鉄溶液 (25

µgFe/ml)    鉄(99.5wt%以上)0.100g を硝酸 (1+1) 20ml で加熱分解し,常温まで冷却

した後,100ml の全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄め,原液 1 000

µgFe/ml とする。この原液

を使用の都度,必要量だけ水で正しく 40 倍に薄めて標準鉄溶液とする。

9.2.3

試料はかり取り量

  試料はかり取り量は,5.0g とする。

9.2.4

操作

  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 50ml を加えて加熱分

解する。分解が終われば,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水洗する。

(2)

常温まで冷却した後,100ml の全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。

(3)

この溶液から正しく 10ml(試料 0.5g に相当)ずつを数個分取し,100ml の全量フラスコに移し入れ,

各定量元素の標準溶液のそれぞれ 0∼4.0ml(定量元素として 0∼100

µg)を段階的に加えた後,水で標

線まで薄める。

(4)

原子吸光光度計を用いて,この溶液列を

の測定条件によって各元素の吸光度を測定する。

表  測定条件

元素

測定波長  nm

使用フレーム

217.0

283.3

空気・アセチレン

すず 286.3

空気・水素

鉄 248.3

空気・アセチレン

備考

試料を硝酸 (1+1)  で分解したとき,すずの沈殿を認めた場合は,

9.2.4(1)

を次のように操作す

る。

別に試料をはかり取り,ポリエチレンビーカー (300ml) に移し入れ,混酸 40ml を加えて室


9

Z 3903-1988

温で分解し,冷却後,ほう酸溶液 25ml を加える。

9.2.5

検量線の作成

9.2.4(4)

で得た吸光度を縦軸に,各定量元素を横軸にとって関係線を作成し,検量

線とする。

9.2.6

計算

9.2.5

で作成した検量線が横軸と交わる点から各定量元素の標準溶液添加量 0 の点までの距

離を求め,これを各元素量とし,試料中の各元素の含有率を,次の式によって算出する。

100

%

×

×

=

B

m

A

wt

元素

ここに,

A

:  試料溶液中の元素検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

B

:  分取比

÷

ø

ö

ç

è

æ

10

1

付図 1  電解用ビーカー

付図 2  白金電極 A


10

Z 3903-1988

付図 3  白金電極 B

付図 4  半円形時計皿

JIS Z 3903

  りん銅ろう分析方法改正原案調査作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

俣  野  宣  久

川崎製線株式会社

有  賀      正

東海大学

荒  木  誠  司

大蔵省造幣局

内  仲  康  夫

通商産業省基礎産業局

笹  谷      勇

工業技術院標準部

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

神  岡  正  男

日本国有鉄道鉄道技術研究所

古  矢  元  佑

清峰金属工業株式会社

松  井  文  夫

日本アイ・ティー・エス株式会社

山  本  博  信

株式会社徳力本店

前  田      修

田中貴金属工業株式会社

吉光寺      博

石福金属興業株式会社

橋  本  謙  三

橋本貴金属工業株式会社

乾      昌  弘

乾庄貴金属化工株式会社

堀          仁

日本ハンディー・ハーマン株式会社

有  井      満

株式会社東芝

岡  島  義  昭

株式会社日立製作所

今  村      孝

三菱電機株式会社

堀      泰  治

東京ラヂエーター製造株式会社

(事務局)

池  原  平  晋

社団法人日本溶接協会