>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

Z 3821 : 2001

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS Z 3821 : 1989 は改正され,この規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 Z

3821

: 2001

ステンレス鋼溶接技術検定における

試験方法及び判定基準

Standard qualification procedure for

welding technique of stainless steel

1.

適用範囲  この規格は,ステンレス鋼の被覆アーク溶接,ティグ溶接及びガスシールドアーク溶接に

よる技術検定における試験方法並びに判定基準について規定する。ただし,全自動溶接を除く。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 3459

  配管用ステンレス鋼管

JIS G 4304

  熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

JIS G 4305

  冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

JIS K 1105

  アルゴン

JIS K 1106

  液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)

JIS Z 3001

  溶接用語

JIS Z 3122

  突合せ溶接継手の曲げ試験方法

JIS Z 3221

  ステンレス鋼被覆アーク溶接棒

JIS Z 3321

  溶接用ステンレス鋼溶加棒及びソリッドワイヤ

JIS Z 3323

  ステンレス鋼アーク溶接フラックス入りワイヤ

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 3001 によるほか,次による。

a)

試験材料  試験のために用意された板又は管。

b)

試験材  溶接を行った板又は管(溶接途中も含む。)。

c)

試験片  曲げ試験を行うために,試験材から規定の形状寸法に加工されたもの。

d)

組合せ溶接  初めの 1∼3 パスをティグ溶接で行い,その後を被覆アーク溶接で行う溶接。

4.

技術検定試験の種類  技術検定試験の種類は,溶接方法,溶接姿勢及び継手の種類などによって表 1

のように分け,その記号は,

表 による。


2

Z 3821 : 2001

表 1  技術検定試験の種類

試験の種類

継手の種類

溶接方法

記号

溶接姿勢 試 験 材 料 形

試験材料の厚さ

及び呼び径

裏 当 て 金

の 有 無

(

1

)

試験片
の試験

CN-F

下向

CN-V

立向

CN-H

横向

CN-O

N

CA-O

上向

厚さ 9.0mm(

3

)

A

CN-P

水平固定

呼び径 150A(

4

)

被覆アーク溶接

CN-PM(

2

)

鉛直固定

厚さ 11.0mm

N

TN-F

下向

TN-V

立向

TN-H

横向

TN-O

上向

厚さ 3.0mm(

5

)

水平固定

呼び径 100A(

4

)

ティグ溶接

TN-P

鉛直固定

厚さ 3.0mm

N

MN-F N

MA-F

下向

A

MN-V N

MA-V

立向

A

MN-H N

ガ ス シ ー ル ド ア ー
ク溶接

MA-H

横向

厚さ 9.0mm(

3

)

A

表曲げ

及び

裏曲げ

(

1

)  A

は裏当て金を用いる。N は裏当て金を用いない。

(

2

)

初めの 1∼3 パスをティグ溶接で行い,その後を被覆アーク溶接で行う溶接(組合せ溶接)

(

3

)

厚さの許容差は JIS G 4304 による。

(

4

)

径及び厚さの許容差は JIS G 3459 による。

(

5

)

厚さの許容差は JIS G 4304 又は JIS G 4305 による。

備考  板厚及び管外径の詳細は図 3による。

5.

溶接方法  試験材料を溶接するときの方法は,次のいずれかとする。

a)

被覆アーク溶接

b)

組合せ溶接

c)

ティグ溶接

d)

ガスシールドアーク溶接のうちミグ溶接,マグ溶接(炭酸ガスアーク溶接を含む。

6.

溶接姿勢

a)

板の溶接を行う姿勢は,下向,立向,横向及び上向とし,その詳細は

図 による。

b)

管の溶接を行う姿勢は,水平固定及び鉛直固定とし,その詳細は,

図 による。


3

Z 3821 : 2001

図 1  板の溶接姿勢

図 2  管の溶接姿勢

7.

試験材料の形状及び寸法

a)

板の試験材料は,被覆アーク溶接用,ティグ溶接用及びガスシールドアーク溶接用に区分し,その詳

細は,

図 3,図 及び図 による。

b)

管の試験材料は,被覆アーク溶接用,ティグ溶接用に区分し,詳細は,それぞれ

図 6,図 による。


4

Z 3821 : 2001

備考  標準開先形状は,V 形とする(レ形も可)。

図 3  被覆アーク溶接の板の試験材料の形状,寸法及び試験片採取位置


5

Z 3821 : 2001

備考  標準開先形状は,V 形とする(I 形も可)。

図 4  ティグ溶接の板の試験材料の形状,寸法及び試験片採取位置


6

Z 3821 : 2001

備考  標準開先形状は,V 形とする(レ形も可)。

図 5  ガスシールドアーク溶接の板の試験材料の形状,寸法及び試験片採取位置


7

Z 3821 : 2001

備考  標準開先形状は,V 形とする。

図 6  被覆アーク溶接(組合せ溶接を含む。)の管の試験材料の形状,寸法及び試験片採取位置

備考  標準開先形状は,V 形とする(I 形も可)。

図 7  ティグ溶接の管の試験材料の形状,寸法及び試験片採取位置


8

Z 3821 : 2001

8.

試験に使用する鋼材

8.1

板の溶接に使用する鋼材は,次のいずれかとする。

a)

JIS G 4304

又は JIS G 4305 に規定する SUS304,SUS304L,SUS316 又は 316L

b)

上記の鋼材と同等と認められるもの。

8.2

管の溶接に使用する鋼材は,次のいずれかとする。

a)

JIS G 3459

に規定する SUS304TP,SUS304LTP,SUS316TP 又は SUS316LTP

b)

上記の鋼材と同等と認められるもの。

8.3

裏当て金に使用する鋼材は,8.1 に規定するものとする。

9.

試験に使用する溶接材料

9.1

被覆アーク溶接に使用する溶接棒は,次のいずれかとする。

a)

JIS Z 3221

に規定する D308,D308L,D316 又は D316L

b)

上記溶接棒と同等と認められるもの。

9.2

ティグ溶接に使用する溶接棒は,次のいずれかとする。

a)

JIS Z 3321

に規定する Y308,Y308L,Y316 又は Y316L

b)

上記溶接棒と同等と認められるもの。

9.3

ガスシールドアーク溶接に使用するワイヤは,次のいずれかとする。

a)

JIS Z 3321

に規定する Y308,Y308L,Y316 又は Y316L

b)  JIS Z 3323

に規定する YF308,YF308L,YF316 又は YF316L 各々の C 若しくは G に適合するもの。

c)

上記ワイヤと同等と認められるもの。

10.

試験に使用するガス

10.1

ティグ溶接に使用するガスは,次のいずれかとする。

a)

JIS K 1105

に適合するもの。

b)

上記ガスと同等と認められるもの。

10.2

ガスシールドアーク溶接に使用するガスは次のいずれかとする。

a)

JIS K 1106

に適合するもの又は JIS K 1105 と JIS K 1106 に適合するものを混合したもの。

なお,アルゴンと炭酸ガスの混合比は規定しない。

b)

上記のガスと同等と認められるもの。

11.

試験に使用する溶接機器  試験に使用する溶接機器及び附属装置は,規定しない。

12.

溶接上の注意

12.1

一般

a)

溶接は,表面からだけ行う。

b)

試験を通じて試験材料,試験材及び試験片は各種の処理(熱処理,ピーニング,ビードの成形加工な

ど)を行ってはならない。

12.2

板の溶接  板の溶接は,次による。

a)

試験材料は,逆ひずみ,拘束などの方法によって,溶接後の角変形が 5 度を超えないように作製する。

b)

立向及び横向溶接では,溶接を開始してから終了まで試験材の上下及び左右の方向を変えてはならな


9

Z 3821 : 2001

い。

12.3

管の溶接  管の溶接は,次による。

a)

被覆アーク溶接(含む,組合せ溶接)の管の溶接では,試験材料を適切な方法を用いて,

図 2a)のよ

うに水平に固定し,

図 に示す AB 及び AD 間を溶接する。A 点は水平軸に対して真下の位置にする。

次に

図 2b)のように試験材料を鉛直に固定して,図 に示す BCD 間を溶接する。溶接は,B 点,D 点

のいずれから開始してもよい。水平及び鉛直の順序は自由とする。ただし,それぞれの溶接を開始し

てから終了するまで,水平又は鉛直の上下及び左右の方向を変えてはならない。

b)

ティグ溶接の管の溶接では,試験材料を適切な方法を用いて,

図 2a)ように水平に固定し,図 に示

す ABC 間を溶接する。A 点は,水平軸に対して真下に位置する。次に

図 2b)ように試験材料を鉛直に

固定して,

図 に示す ADC 間を溶接する。水平及び鉛真の順序は自由とする。ただし,それぞれの

溶接を開始してから終了するまで,水平又は鉛直及び左右の方向を変えてはならない。

12.4

組合せ溶接  ティグ溶接の溶接金属の高さが試験材の底面から 6.0mm を超えてはならない。

12.5

バックシールド  組合せ溶接,ティグ溶接及びガスシールドアーク溶接の裏当て金のない試験材料

の溶接には,裏側のガスシールドを行う。

13.

判定方法

13.1

外観試験は,試験材について行う。

13.1.2

外観試験は,次の項目について,目視又は測定をして評価する。

a)

ビードの形状

b)

溶接の始点及び終点の状況

c)

裏面の溶込み状況(裏当て金を使用しない溶接の場合)

d)

オーバラップ,アンダカット及びピットの状況

e)

変形

13.2

曲げ試験

13.2.1

曲げ試験の種類及び試験片の数は,試験の種類によって

表 による。


10

Z 3821 : 2001

表 2  曲げ試験片の数

下向

立向

横向

上向

水平

鉛直

記号

N-

  TN

  MN-

  MA

N-V

  TN V

  MN-

  MA-

N-

  TN H

  MN-

  MA-

N-

A-

  TN O

CN-P

        2

2

1

1

N PM

TN-P

        1

1

1

1

13.2.2

曲げ試験片は,試験材を

図 3のように採取し,図 に示す寸法に仕上げる。ただし,曲げ試験

片を作製するために,試験材を熱切断する場合は,切断した縁から 3mm 以上削り取るものとする。


11

Z 3821 : 2001

図 8  曲げ試験片の仕上げ寸法


12

Z 3821 : 2001

図 8  曲げ試験片の仕上げ寸法(続き)

13.2.3

曲げ試験は,JIS Z 3122 によって行い曲げられた試験片の外面の欠陥を測定し評価する。

13.2.4

曲げ試験に用いる雄型の半径  (R)  は,試験片厚さの 2 倍とする。

13.2.5

曲げ試験の曲げ角度は,180 度とする。

14.

合否判定基準

14.1

試験は,外観試験及び曲げ試験のすべての評価基準を満足しなければならない。

14.2

外観試験の評価基準  外観試験の各項目が著しく不良のものは,不合格とする。

14.3

曲げ試験の評価基準  曲げられた試験片の外面に次の欠陥が認められる場合は,不合格とする。た

だし,アンダカット内部の割れは対象とするが,熱影響部の割れは対象としない。また,ブローホールと

割れが連続しているものは,ブローホールを含めて連続した割れの長さとみなす。

a) 3.0mm

を超える割れがある場合。

b) 3.0mm

以下の割れの合計長さが,7.0mm を超える場合。

c)

ブローホール及び割れの合計数が,10 個を超える場合。

d)

アンダカット,溶込み不良,スラグ巻込みなどが著しい場合。


13

Z 3821 : 2001

JIS Z 3821

(ステンレス鋼溶接技術検定における試験方法及び判定基準)改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

向  井  喜  彦

大阪大学工学部(名誉教授)

(幹事)

小見山  輝  彦

日本鋼管工事株式会社技術開発本部

(委員)

相  原  常  男

株式会社タセト溶接事業部

松  浦  則  之

住友金属工業株式会社ステンレス・チタン技術部

福  井  正  弘

工業技術院標準部機械材料規格課

橋  本  政  哲

新日本製鐵株式会社ステンレス商品グループ

志  水  英  之

日本金属工業株式会社技術開発部

藤  井  宏  之

日本冶金工業株式会社研究開発本部技術研究所

小  川  恒  司

株式会社神戸製鋼所溶接カンパニー技術開発部

畠  田  光  治

日本ウエルディング・ロッド株式会社技術部

近  藤      穆

大同特殊鋼株式会社溶材販売部

結  城  正  弘

石川島播磨重工業株式会社生産技術開発センター

島  村  典  史

月島機械株式会社品質保証部

三  宅  聰  之

日鐵溶接工業株式会社研究所接合研究センター

舟  木  孝  雄

株式会社日立製作所日立研究所材料第 2 研究限

佐  藤  昌  範

三菱化工機株式会社機械技術部

石  川  詔  子

社団法人石油学会事務局

菅  谷  祐  司

社団法人日本溶接協会事務局

田  尻  幸  男

元社団法人日本溶接協会事務局

(事務局)

池  原  康  允

ステンレス協会開発事業部