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Z 3352

:2010

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

2

4

  種類及び記号の付け方 

2

5

  品質

3

5.1

  フラックスの製品の状態 

3

5.2

  フラックスの化学成分 

3

5.3

  フラックスの粒度

5

5.4

  溶着金属の水素量

5

6

  試験方法

5

6.1

  ロットの決め方及びサンプリング方法 

5

6.2

  フラックスの分析試験 

5

6.3

  フラックスの粒度試験 

6

6.4

  溶着金属の水素量試験 

6

7

  検査方法

6

8

  製品の呼び方 

6

9

  表示

7

10

  包装

7

11

  技術資料

7

附属書 A(参考)フラックスの分類及びその一般的特長 

8

附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

11


Z 3352

:2010

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本溶接

協会(JWES)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS Z 3352:2007 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 Z

3352

:2010

サブマージアーク溶接用フラックス

Fluxes for submerged arc welding

序文 

この規格は,2004 年に第 1 版として発行された ISO 14174 を基に作成した日本工業規格であるが,国内

の実情を反映させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

さらに,この規格の

附属書 には,対応国際規格 ISO 14174 の Annex A に記載されている各々のフラッ

クスの化学成分の記号に対しての一般特性,用途などについてそのまま参考として記載した。

適用範囲 

この規格は,ワイヤ又は帯状電極を用いて行う,軟鋼,高張力鋼,モリブデン鋼,クロムモリブデン鋼,

低温用鋼,耐候性鋼,ステンレス鋼,耐熱鋼,ニッケル及びニッケル合金の継手溶接及び肉盛溶接に適用

するフラックス(以下,フラックスという。

)について規定する。ただし,裏当ての目的に使用するものは

除く。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 14174:2004

,Welding consumables−Fluxes for submerged arc welding−Classification(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0119

  蛍光 X 線分析通則

JIS K 1468-2

  ふっ化水素酸用ほたる石分析方法−第 2 部  ふっ素含有量の定量−蒸留後電位差滴定

JIS M 8202

  鉄鉱石−分析方法通則

JIS M 8212

  鉄鉱石−全鉄定量方法

JIS M 8214

  鉄鉱石−けい素定量方法

JIS M 8215-1

  鉄鉱石−マンガン定量方法−第 1 部:原子吸光法

JIS M 8215-2

  鉄鉱石−マンガン定量方法−第 2 部:過よう素酸吸光光度法

JIS M 8219

  鉄鉱石−チタン定量方法

JIS M 8220

  鉄鉱石−アルミニウム定量方法


2

Z 3352

:2010

JIS M 8221

  鉄鉱石−カルシウム定量方法

JIS M 8222

  鉄鉱石−マグネシウム定量方法

JIS M 8235

  マンガン鉱石−けい素定量方法

JIS M 8240

  マンガン鉱石−カルシウム定量方法

JIS M 8301

  チタン鉱石の分析方法通則

JIS M 8312

  チタン鉱石中の鉄定量方法

JIS M 8314

  チタン鉱石中の二酸化けい素定量方法

JIS M 8317

  チタン鉱石−マンガン定量方法

JIS M 8318

  チタン鉱石−カルシウム定量方法

JIS M 8319

  チタン鉱石−マグネシウム定量方法

JIS M 8850

  石灰石分析方法

JIS M 8852

  セラミックス用高シリカ質原料の化学分析方法

JIS M 8853

  セラミックス用アルミノけい酸塩質原料の化学分析方法

JIS R 9011

  石灰の試験方法

JIS Z 3001-1

  溶接用語−第 1 部:一般

JIS Z 3001-2

  溶接用語−第 2 部:溶接方法

JIS Z 3118

  鋼溶接部の水素量測定方法

注記  対応国際規格:ISO 3690,Welding and allied processes−Determination of hydrogen content in

ferritic steel arc weld metal(MOD)

JIS Z 3423

  溶接材料の調達指針

JIS Z 8801-1

  試験用ふるい−第 1 部:金属製網ふるい

JIS Z 8815

  ふるい分け試験方法通則

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 3001-1 及び JIS Z 3001-2 によるほか,次による。

3.1 

継手溶接 

突合せ溶接,重ねすみ肉溶接などによって溶接継手を作る溶接方法。 

3.2 

混合フラックス 

溶融フラックス及び/又はボンドフラックスを 2 種類以上混合して製造したフラックス。

3.3 

対応メッシュ 

フラックス粒子の大きさを表す指標であって,ふるいの公称目開きに対応する Tyler メッシュの数値。

種類及び記号の付け方 

フラックスは,製造方法,フラックスの化学成分及び用途によって分類する。さらに,フラックスが適

している溶接電流の種類及び/又は溶着金属の水素量による分類を追加できる。フラックスの種類を示す

記号の付け方は,次による。


3

Z 3352

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必す区分記号 

                          サブマージアーク溶接の記号

                          フラックスの製造方法の記号

                            F:溶融フラックス,  A:ボンドフラックス,  M:混合フラックス

                          フラックスの化学成分の記号

表 による MS, CS, CG, CB, CI, IB, ZS, RS, AR, AB, AS, AF, FB 又は Z

                          フラックスの用途の記号

表 による 1,2,3 又は 4

  S X XX X XX HX

                        追加できる区分記号 

                          溶着金属の水素量の記号

表 による H5,H10 又は H15

                          フラックスが適している溶接電流の種類の記号

                            DC:直流,  AC:交流

注記  交流に適しているフラックスは,通常は直流にも適している。

表 1−フラックスの用途の記号 

記号

継手溶接

a)

肉盛溶接

b)

1

軟鋼,高張力鋼,モリブデン鋼,クロムモリ
ブデン鋼,低温用鋼又は耐候性鋼

左記対象母材と同じ成分系の肉盛溶接。ただし,硬化肉盛
を除く。

2

ステンレス鋼,耐熱鋼,ニッケル又はニッケ
ル合金

ステンレス鋼,耐熱鋼,ニッケル又はニッケル合金の耐食
肉盛又は硬化肉盛。ただし,記号 3 の硬化肉盛を除く。

3

−  (継手溶接には適用しない。

炭素,クロム,モリブデンなどの合金元素をフラックスか
ら供給する硬化肉盛

4

上記の“1”及び“2”の規定の両方に適合するフラックス

注記  記号 1 の肉盛溶接の例として下盛がある。 

a)

  対象母材の鋼種で分類する。

b)

  肉盛溶接金属の成分系で分類する。

品質 

5.1 

フラックスの製品の状態 

フラックスの製品の状態は,次による。

a) 

フラックスは,品質が均一で,溶接を行うときに円滑に供給でき,かつ,良好なビード外観及びビー

ド形状が得られるものでなければならない。

b) 

フラックスは,貯蔵中に容易に化学変化を起こしたり,過度に湿気を吸収したりしてはならない。

5.2 

フラックスの化学成分 

フラックスの化学成分は,6.2 の方法によって分析試験を行ったとき,

表 の規定に適合しなければなら

ない。

なお,必要に応じて

表 に規定する成分以外を添加してもよい。


4

Z 3352

:2010

表 2−フラックスの化学成分 

単位  %(質量分率)

フラックスの

化学成分の記号

化学成分

a)b)c)

参考:フラックスタイプ

MnO+SiO

2

 50 以上

MS

CaO 15 以下

酸化マンガン−シリカ系

CaO+MgO+SiO

2

 55 以上

CS

CaO+MgO 15 以上

カルシア−シリカ系

CaO+MgO 50 以下
CO

2

  2 以上

CG

d)

Fe 10 以下

カルシア−マグネシア系

CaO+MgO 40∼80 
CO

2

  2 以上

CB

d)

Fe 10 以下

カルシア−マグネシア−塩基性酸化物系

CaO+MgO 50 以下
CO

2

  2 以上

CI

d)

Fe 15∼60

カルシア−マグネシア−鉄粉系

CaO+MgO 40∼80 
CO

2

  2 以上

IB

d)

Fe 15∼60

カルシア−マグネシア−鉄粉−塩基性酸化物系

ZrO

2

+SiO

2

+MnO 45 以上

ZS

ZrO

2

 15 以上

ジルコニア−シリカ系

TiO

2

+SiO

2

 50 以上

RS

TiO

2

 20 以上

ルチール−シリカ系

AR Al

2

O

3

+TiO

2

 40 以上

アルミネート−ルチール系

Al

2

O

3

+CaO+MgO 40 以上

Al

2

O

3

 20 以上

AB

CaF

2

22 以下

アルミネート−塩基性酸化物系

Al

2

O

3

+SiO

2

+ZrO

2

 40 以上

CaF

2

+MgO 30 以上

AS

ZrO

2

  5 以上

アルミネート−シリカ系

AF Al

2

O

3

+CaF

2

 70 以上

アルミネート−ふっ化物−塩基性酸化物系

CaO+MgO+CaF

2

+MnO

50 以上

SiO

2

 20 以下

FB

CaF

2

 15 以上

ふっ化物−塩基性酸化物系

Z

上記以外

a)

 Mn,Si,Mg,Zr,Ti,及び Al は,それぞれ表中に規定した酸化物として化学成分を定める。

b)

 CaF

2

は,分析で得た F の全量を CaF

2

に換算した値とする。CaO は,分析で得た全 Ca 量のうち,分析

で得た F から CaF

2

に換算された Ca 分を減じた残りの量を CaO に換算した値とする。ただし,数値が

負となる場合は,0 とする。

c)

  ボンドフラックス又はボンドフラックスを含む混合フラックスの場合,フラックスが炭酸塩を含むと

きは,全体量から分析で得た CO

2

量を除いた量を全体量として化学成分の含有率を求める。

d)

  ボンドフラックス又はボンドフラックスを含む混合フラックスの場合,CO

2

以外の成分は,

c)

の取扱

い後に評価するものとする。さらに,分析で得た Fe の全量を Fe とし,CO

2

及び Fe 以外の化学成分は,

全体量[

c)

の取扱い後のもの]から Fe を除いた残りの量を全体量として化学成分の含有率を求める。


5

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5.3 

フラックスの粒度 

フラックスの粒度は,次による。

a)

フラックスの粒度は,フラックス粒子の大きさの代表範囲とし,その範囲の上限及び下限で表す。

b)

フラックス粒子の大きさは,JIS Z 8801-1 に規定するふるいの公称目開きを基準とし,公称目開きを

0.1 mm の整数倍に丸めた値又は表 に規定する対応メッシュで表す。粒度の表し方は,次による。

1)

公称目開きを 0.1 mm の整数倍に丸めたもので表す場合は,

“下限∼上限 mm”とする。

例 1  0.3∼1.7 mm

2)

公称目開きを対応メッシュで表す場合は,

“上限×下限”とする。ただし,200 対応メッシュより小

さなフラックス粒子を意図的に添加するときは,下限を D としてもよい。

例 2  10×48,  20×D

c)

フラックスの粒度は,6.3 の方法によって粒度試験を行ったとき,6.3 に規定する“粒度の質量分率”

が 70  %(質量分率)以上でなければならない。

表 3−対応メッシュ 

対応メッシュ

公称目開き

対応メッシュ

公称目開き

対応メッシュ

公称目開き

8 2.36

mm 20  850

μm

65 212

μm

10 1.70

mm 32  500

μm 100 150

μm

12 1.40

mm 36  425

μm 150 106

μm

14 1.18

mm 48  300

μm 200

75

μm

5.4 

溶着金属の水素量 

溶着金属の水素量によって分類する場合,溶着金属の水素量は,6.4 の方法によって水素量試験を行った

とき,

表 の規定に適合しなければならない。

表 4−溶着金属の水素量 

単位  mL/100 g

記号

水素量

H 5

  5 以下

H 10

10 以下

H 15

15 以下

試験方法 

6.1 

ロットの決め方及びサンプリング方法 

フラックスのロット及びサンプリング方法は,JIS Z 3423 に規定するロットサイズ及び試験スケジュー

ルによる。

なお,適用する試験スケジュールにサンプリング方法の規定がない場合には,サンプリング方法は,製

造業者の社内規定による。

6.2 

フラックスの分析試験 

フラックスの分析試験は,次の規格に規定するいずれかの方法による。

JIS K 0119

JIS K 1468-2JIS M 8202JIS M 8212JIS M 8214JIS M 8215-1JIS M 8215-2JIS M 8219

JIS M 8220

JIS M 8221JIS M 8222JIS M 8235JIS M 8240JIS M 8301JIS M 8312JIS M 8314

JIS M 8317

JIS M 8318JIS M 8319JIS M 8850JIS M 8852JIS M 8853 及び/又は JIS R 9011 


6

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6.3 

フラックスの粒度試験 

フラックスの粒度試験は,JIS Z 8815 によるほか,次による。

a)

試験試料の採取は,製品フラックス 12.5 kg 以上から縮分によって粒度分布を平均化した後,約 200 g

の試料を採取する。

b)

ふるい分け時間は,3∼5 分間とする。

c)

“粒度の質量分率”は,ふるい分け終了後,粒度の上限の公称目開きのふるい下であって,かつ,粒

度の下限の公称目開きのふるい下ではないものの質量分率とする。ただし,粒度の下限が対応メッシ

ュによる表し方で“D”の場合は,粒度の上限の公称目開きのふるい下の質量分率とする。

6.4 

溶着金属の水素量試験 

溶着金属の水素量試験は,JIS Z 3118 による。ただし,使用するワイヤは,製造業者の推奨するものと

する。

なお,製造業者は,

表 の水素量の規定を達成できる推奨乾燥条件を提供しなければならない。

検査方法 

検査方法は,次による。

a)

フラックスの検査項目は,JIS Z 3423 に規定する試験スケジュールによる。

b)

検査は,フラックスのロットごとに,JIS Z 3423 による試験スケジュールに従い,箇条 によって試

験し,該当する箇条 の規定に適合しなければならない。ただし,試験結果が合否の判定に供し得な

いようなことが生じるおそれがある場合には,d)  による。 

c)

試験スケジュールに従い,箇条 によって実施した分析試験,粒度試験及び水素量試験のいずれかの

試験結果が,箇条 の規定に適合しなかった場合には,適合しなかったすべての試験について倍数の

再試験を行い,そのいずれの試験結果も規定に適合しなければならない。この場合の再試験のための

試料は,当初の試料の残材から採取するか又は新たに採取する。また,分析試験において,当初の試

験結果が規定に適合した成分は,再試験を行わなくてもよい。 

d)

試験片の作製から試験の実施を通して正規の手続きを行っていない試験は,試験の進行状況又は結果

のいかんにかかわらず無効とする。無効となった試験は,正規の手続きに従って繰り返されなければ

ならない。

なお,この場合は,c)  に規定する再試験の対象とはしない。

製品の呼び方 

製品の呼び方は,種類及び粒度による。

例 1  S F MS 1−20×200

          種類      粒度

S:サブマージアーク溶接の記号

F:フラックスの製造方法:溶融フラックス

 MS:フラックスの化学成分:酸化マンガン−シリカ系

(MnO+SiO

2

)が 50  %以上,及び CaO が 15  %以下(いずれも質量分率)

1:用途:軟鋼,高張力鋼,モリブデン鋼,クロムモリブデン鋼,低温用鋼又は耐候性鋼の各

種継手溶接又は肉盛溶接用


7

Z 3352

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 20×200:フラックスの粒度:対応メッシュによる表し方

追加記号:なし

例 2  S A CB 2 AC−0.3∼1.7 mm

              種類          粒度

S:サブマージアーク溶接の記号

A:フラックスの製造方法:ボンドフラックス

 CB:フラックスの化学成分:カルシア−マグネシア−塩基性酸化物系

(CaO+MgO)が 40∼80  %,CO

2

が 2  %以上,及び Fe が 10  %以下(いずれも質量分率)

2:用途:ステンレス鋼,耐熱鋼,ニッケル又はニッケル合金の各種継手溶接又は肉盛溶接用

 0.3∼1.7 mm:フラックスの粒度:フラックス粒子の大きさによる表し方

追加記号

 AC:フラックスが適している溶接電流の種類:交流

表示 

フラックスの包装には,次の事項を明確に表示しなければならない。

a)

銘柄

b)

規格番号及び種類

c)

製造番号又は製造年月

d)

質量

e)

製造業者名又は供給業者名

f)

粒度

g)

溶接時に発生するヒュームに関する注意

10 

包装 

フラックスの包装は,次による。

a) 

フラックスは,製造業者が推奨する輸送及び保管条件において,吸湿及び損傷から保護できる袋,缶,

フレキシブルコンテナなどに入れて包装しなければならない。

b) 

フラックスは,一包装の質量を 12.5 kg,15 kg,20 kg 又は 25 kg とし,これ以外の包装質量は,受渡

当事者間の協定による。

11 

技術資料 

購入者が求める場合,製造業者又は供給業者は,購入者にとって有用と判断する範囲内で,フラックス

のや(冶)金的特性のデータである,溶着金属及びその溶着金属の作製に使用したワイヤ又は帯状電極の

化学成分のデータ例について,技術資料又はデータシートを作成し,提供しなければならない。


8

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附属書 A

(参考)

フラックスの分類及びその一般的特長

A.1

  酸化マンガン−シリカ系,MS

このタイプのフラックスは,基本成分として MnO 及び SiO

2

を含む。一般的に溶接金属中の Mn 量がか

なり増加するのが特徴であり,そのため低マンガンワイヤと組み合わせて使用されることが多い。溶接金

属への Si のピックアップも多く,このフラックスによる溶接金属のじん(靭)性には限界があるが,その

原因の一部は溶接金属の酸素量が高いことにある。このタイプのフラックスは溶接時に流せる溶接電流

(The current-carrying capacity of a flux)  は比較的大きく,高速溶接に適しており,さびている鋼板の場合で

も耐気孔性は良好で,溶接金属形状は一般的 (regular),アンダーカットは発生しにくい。溶接金属のじん

(靭)性に限界があることから厚肉材の多層溶接への適用は制限されるが,薄鋼板の高速溶接又はすみ肉

溶接に適している。

A.2

  カルシア−シリカ系,CS

このタイプのフラックスの基本成分は,CaO,MgO 及び SiO

2

である。このフラックスタイプを構成する

グループのうち,酸性フラックスは溶接時に流せる電流は最大であり,溶接金属中の Si 量も高くなるため

あまり厳しいじん(靭)性の要求されない厚鋼板の 2 パス溶接に適している。このタイプのグループに含

まれる塩基性フラックスは Si ピックアップ量が少なく,強度及びじん(靭)性に対する要求値が厳しい場

合の多層溶接に使用できる。フラックスの塩基度が高くなるほど流せる溶接電流は低下するが,溶接金属

外観はスムースで,アンダーカットが発生しにくい。

A.3

  カルシア−マグネシア系,CG

このタイプのフラックスは,基本的に CaO,MgO,CaF

2

及び SiO

2

を含んでおり,焼結形フラックスと

して製造される。溶接中に CO

2

ガスを発生させて拡散性水素量を低減する CaCO

3

が CaO 源として一般的

に使用される。軟鋼細粒鋼,高張力鋼,耐クリープ鋼などの多層溶接又は大入熱溶接に広く適用される。

A.4

  カルシア−マグネシア−塩基性酸化物系,CB

このタイプのフラックスは,基本的に CaO,MgO,CaF

2

及び Al

2

O

3

を含んでおり,焼結形フラックスと

して供給される。CaO 源として溶接中に CO

2

ガスを発生させて拡散性水素量を低減する CaCO

3

が一般的に

使用される。これらによる溶接金属中の酸素量は低く,その結果高いじん(靭)性が得られるため要求特

性が厳しい場合に使用される。多層溶接又は大入熱溶接には適しているが,高速ではアンダーカットが発

生するため高速溶接には適さない。

A.5

  カルシア−マグネシア−鉄粉系,CI

このタイプのフラックスは,基本的に CaO,MgO,CaF

2

,SiO

2

及び溶着金属量を増やすため多量の鉄粉

を含んでおり,焼結形フラックスとして供給される。CaO 源として溶接中に CO

2

ガスを発生させて拡散性

水素量を低減する CaCO

3

が一般的に使用される。このタイプのフラックスはじん(靭)性要求が比較的厳

しくない厚鋼板の大入熱溶接に適用される。


9

Z 3352

:2010

A.6

  カルシア−マグネシア−鉄粉−塩基性酸化物系,IB

このタイプのフラックスは,基本的に CaO,MgO,CaF

2

,Al

2

O

3

及び溶着金属量を増やすため多量の鉄

粉を含んでおり,焼結形フラックスとして供給される。CaO 源として溶接中に CO

2

ガスを発生させて拡散

性水素量を低減する CaCO

3

が一般的に使用される。このタイプのフラックスを用いた溶接金属は,Si ピッ

クアップ量が少なく,酸素量も少ないため高いじん(靭)性をもち,強度及びじん(靭)性に対する要求

が厳しい厚鋼板の大入熱溶接に適用される。

A.7

  ジルコニア−シリカ系,ZS

このタイプのフラックスは,主な組成として ZrO

2

及び SiO

2

を含んでおり,表面のクリーンな鋼板又は

薄板の高速 1 パス溶接への適用が推奨される。濡れ性が良好なスラグは,高速でもアンダーカットが発生

しにくく,均一な形状が必要な場合に適している。

A.8

  ルチール−シリカ系,RS

このタイプのフラックスは,主な組成として TiO

2

及び SiO

2

を含んでいる。溶接金属中 Mn の大幅な消耗

とともに Si のピックアップが大きいため,このフラックスは中,高 Mn ワイヤとの組合せで使用される。

溶接金属中酸素量が多いためじん(靭)性には限界があるが,流せる電流の量はかなり大きく,このこと

から,単電極及び多電極の高速溶接が可能である。典型的適用分野として大径鋼管の 2 パス溶接(両面 1

層溶接)がある。

A.9

  アルミネート−ルチール系,AR

このタイプのフラックスは,主な組成として Al

2

O

3

及び TiO

2

を含んでおり,溶接金属の Mn 及び Si 増加

量は中程度である。スラグの粘性が高いためビード外観は良好で,高速溶接性,スラグはく(剥)離性な

どの作業性上の多くの利点があり,特にすみ肉溶接の場合に顕著である。このフラックスは直流並びに交

流を用いた単電極及び多電極溶接に適している。酸素量は比較的高いため中程度 (medium mechanical

properties)  の機械的性能をもつ溶接金属が得られる。主な適用分野は,薄鋼板の容器関係及びパイプ,フ

ィン付きチューブの溶接,建築及び造船のすみ肉溶接などである。

A.10

  アルミネート−塩基性酸化物系,AB 

主成分 Al

2

O

3

のほかに,主として MgO 及び CaO を含んでいる。溶接金属中 Mn の増加は中程度で,Al

2

O

3

が高いため溶融スラグは少なく (short),溶接金属の性能 (weld metal performance) と作業特性 (operability

characteristic)  とのバランス (optimum balance) に優れる。このフラックスは様々な分野における軟鋼及び

低合金構造用鋼の溶接に広範囲に適用され,

直流及び交流の両方で多層溶接及び 2 パス溶接に使用される。

A.11

  アルミネート−シリカ系,AS 

このタイプのフラックスは,

やや高めの MgO 及び CaF

2

のような塩基性成分と,

かなりの量の SiO

2

Al

2

O

3

及び ZrO

2

からなっているという特徴がある。や(冶)金挙動の点では多くの場合中性であるが,Mn の消

耗が起こることもあるため高 Mn 系ワイヤが好んで適用される。スラグ塩基度がやや高いため,低酸素の

高清浄度溶接金属が得られ,スラグ低粘性特性とあいまってこのフラックスは流せる電流に限界があり,

速度も制限される。狭開先溶接に使用するとスラグはく(剥)離性,ビード外観などは優れている。直流

での使用が好ましい(溶着金属の水素量が少ない)が,交流で使用される場合もあり,この場合は多電極


10

Z 3352

:2010

で使用されるときがある。このタイプのフラックスは多層溶接への適用が推奨されるが,特に高じん(靭)

性が要求される場合に有効である。適用分野は,圧力容器,原子力部品又は海上構造物用の高張力細粒鋼

の溶接である。

A.12

  アルミネート−ふっ化物−塩基性酸化物系,AF 

このタイプのフラックスの主な組成は,Al

2

O

3

及び CaF

2

であり,主としてステンレス鋼及び Ni 基合金の

ような高合金ワイヤとの組合せで使用される。Mn,Si 及び他合金成分の点からは中性である。CaF

2

量が

多いため,このフラックスは濡れ性が良く,ビード表面外観も良好である。上記のアルミネート−塩基性

酸化物系 (AB) に比較してアーク電圧は高めに設定される。

A.13

  ふっ化物−塩基性酸化物系,FB 

このタイプのフラックスは,CaO,MgO,MnO 及び CaF

2

のような塩基性成分が高いという特徴があり,

SiO

2

の量は少ない。や(冶)金挙動の点では多くの場合中性であるが,Mn の消耗が起こることもあるた

め高 Mn 系ワイヤが好んで適用される。スラグが高塩基性のため,低酸素高清浄度溶接金属が得られる。

低温までの最も優れた高じん(靭)性溶接金属が得られる。塩基性フラックス特性のため,スラグ低粘性

特性とあいまってこのフラックスは流せる電流に限界があり,速度も制限される。狭開先溶接に使用する

とスラグはく(剥)離性,ビード外観などは優れている。溶接金属水素量を下げるため直流での使用が好

ましいが,交流,多電極で使用されるものもある。特に高じん(靭)性溶接金属が要求される場合は多層

溶接が適している。適用分野は,圧力容器,原子力部品又は海上構造物用の高張力細粒鋼の溶接である。

このフラックスタイプは,ステンレス鋼及び Ni 基合金の溶接にも適用可能である。

A.14

  A.1A.13 以外,

上記説明でカバーできない,ほかのタイプ。


附属書 JA

(参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS Z 3352:2010

  サブマージアーク溶接用フラックス

ISO 14174:2004

,Welding consumables−Fluxes for submerged arc welding−

Classification

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び名称

内容

(Ⅱ)

国際規格
番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

1  適 用 範

1

一致

2  引 用 規

3  用 語 及
び定義

JIS Z 3001-1

及 び

JIS Z 3001-2

を引用

したほか,継手溶接

及 び 対 応 メ ッ シ ュ
を追加した。

用語の規格は引用してい
ない。

追加

JIS

では,専門用語及び定義の

規格の引用を記載した。

3.2  混合フラックス

4.2

一致

4  種 類 及
び 記 号 の

付け方

3, 
4.1∼4.6

一致

5  品質 5.1

フラックスの製

品の状態 
製品の状態を規定

 6 製品の状態を規定

追加

JIS

では,良好なビードが得ら

れること及び変質しないこと
を追加

ISO

規格では明示されていないだ

けである。

 5.3

フラックスの粒

度 
粒 度 を フ ラ ッ ク ス
粒 子 の 大 き さ の 代

表範囲で規定

 5 フラックス粒子の大きさ

を,0.1 mm 単位で表示す
ると規定

選択

JIS

では,

ISO

の規定に加えて,

従来の対応メッシュによる表
し方も選択できると規定

ユーザニーズによって,日本で使

用されている 0.1 mm 以下の粒子を
意図的に添加するフラックスに必
要な,対応メッシュによる表し方

を追加した。

11

Z 3

352


20
10


(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び名称

内容

(Ⅱ) 
国際規格
番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

6  試 験 方

6.2  フラックスの分
析試験 
分析方法の JIS を規

分析方法の規定はない。

追加

JIS

では分析方法の JIS を追加

JIS

では試験方法を規定する必要

がある。ISO に提案する。

 6.3

フラックスの粒

度試験

JIS Z 8815

に測定条

件を追加して規定

粒度試験の規定はない。

追加

JIS

では,粒度測定方法の ISO

規格に対応する JIS に,フラッ
クスの特性を考慮した測定条

件を追加した。

JIS

では試験方法を規定する必要

がある。

 6.4

溶着金属の水素

量試験

JIS Z 3118

によっ

て,製造業者の推奨

す る ワ イ ヤ で 試 験
すると規定

 4.6

ISO 3690

によると規定

変更

ISO

規格は水銀法なので,日本

では適用できない。また,ワイ
ヤの規定がないので追加した。

JIS Z 3118

で対応済みである。

7  検 査 方

検査方法を規定

検査方法の規定はない。

追加

JIS

では,関連 ISO 規格に倣っ

て規定した。

ISO

に提案する。

8  製 品 の
呼び方

粒 度 を 含 ん だ 製 品

の呼び方

 8 粒度を含む場合の呼び方

の規定はない。

追加

JIS

では,粒度を含む場合の呼

び方も規定した。

旧 JIS との整合を図った。

9  表示

ヒ ュ ー ム に 関 す る
注 意 を 表 示 す る と

規定

 7 安全衛生に関する表示の

規定はない。

追加

JIS

では,必要な安全衛生の表

示を行う。

ISO

に提案する。

10  包装

代 表 的 な 包 装 質 量

を規定

 6 代表的な包装質量の規定

はない。

選択

JIS

では,代表的な包装質量を

規定した。

ユーザニーズによる。

11  技術資

4.7

一致

附 属 書 A
(参考)

Annex

A

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14174:2004,MOD

12

Z 3

352


20
10


注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  一致 技術的差異がない。

−  追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更 国際規格の規定内容を変更している。

−  選択 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。

13

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