Z 3283
:2006
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
用語及び定義
1
4
種類
1
5
品質
2
6
寸法及び許容差
3
7
試験方法
3
7.1
フラックス含有量試験及び特性試験
3
7.2
外観試験
4
7.3
寸法試験
4
8
検査
4
9
包装
4
10
製品の呼び方
4
11
表示
4
Z 3283
:2006
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本溶接
協会(JWES)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS Z 3283:2001 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
日本工業規格
JIS
Z
3283
:2006
やに入りはんだ
Resin flux cored solders
序文
この規格は,主として電気機器,電子機器,通信機器などの配線接続,部品の製造などに用いるフラッ
クスを心として,はんだを線状にしたやに入りはんだについて規定されたもので,昭和 47 年制定され,そ
の後,数次にわたり改正されたものである。
今回の改正は,JIS Z 3282 が,2006 年に改正されたのに伴い,両規格の整合性を保持する目的で行われ
たものである。
1
適用範囲
この規格は,主として電気機器,電子機器,通信機器などの配線接続,部品の製造などに用いるフラッ
クスを心として,はんだを線状にしたやに入りはんだについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS B 7502
マイクロメータ
JIS B 7507
ノギス
JIS H 0321
非鉄金属材料の検査通則
JIS Z 3001
溶接用語
JIS Z 3197
はんだ付用フラックス試験方法
JIS Z 3282
はんだ−化学成分及び形状
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 3001 及び JIS Z 3282 による。
4
種類
やに入りはんだの種類は,はんだの種類,フラックスの種類及び等級による。
a)
やに入りはんだに使用するはんだは,JIS Z 3282 に規定する種類のはんだとする。ただし,Sn-Bi 系は
んだは除く。
b)
やに入りはんだに使用するフラックスの種類は,フラックス系及び構成材料により,
表 1 による。
2
Z 3283
:2006
表 1−フラックスの種類
構成材料
フラックス系
主剤
活性成分
ふっ化物含有
1.樹脂系
1.ロジン
a.変性ロジン
2.合成樹脂
1.無添加
2.アミンのハロゲン塩
3.有機酸,アミン有機酸塩
F.(有)
N.(無)
注記 やに入りはんだに使用するフラックスの種類は,表 1 に従い,順次数字及び記号によっ
て表す。例えば,112N の意味は,1:フラックス系(1.樹脂系)
,1:主剤(1.ロジン)
,
2:活性成分(2.アミンのハロゲン塩)及び N:ふっ化物含有[N.(無)]を示す。
c)
やに入りはんだに使用するフラックスの等級は,ハライド含有量により,
表 2 による。
表 2−フラックスの等級
記号
活性度
フラックス成分のハライド含有量
%(質量分率)
AA
低
0.1以下
A
中
0.1を超え0.5以下
B
高
0.5を超え1.0以下
5
品質
はんだ及びフラックスの品質は,次による。
a)
はんだ及びフラックスは,7.2 によって試験したとき
,それぞれ品質が均一で,表面が滑らかで,かつ,
使用上の有害な欠陥があってはならない。また,フラックスは,はんだの長さの方向に一様に連続し
ていることとする。
b)
やに入りはんだのフラックス含有量は,7.1 によって試験したとき
,表 3 による。
表 3−フラックス含有量
単位 %(質量分率)
記号
フラックス含有量
許容範囲
記号
フラックス含有量
許容範囲
F1 1.0 0.5以上1.5未満
F4 4.0 3.5以上4.5未満
F2 2.0 1.5以上2.5未満
F5 5.0 4.5以上5.5未満
F3 3.0 2.5以上3.5未満
F6 6.0 5.5以上6.5未満
c)
フラックスは,7.1 によって試験したとき,
表 4 に適合しなければならない。
3
Z 3283
:2006
表 4−フラックスの特性
フラックスの等級
AA A
B
水溶液比抵抗 Ωm
1000以上
500以上
―
ハライド含有量
a)
%(質量分率)
0.1以下
0.1を超え0.5以下
0.5を超え1.0以下
鉛含有はんだ
75以上
80 以上
80 以上
広がり率
b)
%
鉛フリーはんだ
65以上
c)
70 以上
70 以上
銅板腐食
試験片は,いずれも比較試験片と比較して腐食が大でないこと
腐
食 銅鏡腐食
試験片は標準ロジン溶液と比
較して腐食が大でないこと
―
乾燥度
試験片は,粉末タルクが,ブラッシングによって容易に除去できること
条件A
d)
1×10
11
以上
1×10
10
以上
1×10
9
以上
絶縁抵抗 Ω
条件B
e)
1×10
9
以上
1×10
8
以上
1×10
8
以上
電圧印加耐湿性−マイグレーション
f)
拡大鏡で確認し,一方の極から他方の極に樹枝状の金
属の生成が認められないこと
―
注
a)
ハライド含有量の測定方法は,JIS Z 3197 の 8.1.4.2 による。
b)
広がり率の測定方法は,JIS Z 3197 の 8.3.1.1 による。
c)
表 1 における構成材料の活性成分が無添加のものについては,適用しない。
d)
試験条件:条件 A 温度 40±2 ℃,相対湿度 90〜95 %,168 時間
e)
試験条件:条件 B 温度 85±2 ℃,相対湿度 85〜90 %,168 時間
f)
電圧印加耐湿性試験−マイグレーション試験は,受渡当事者間の協定によって省略することができる。
6
寸法及び許容差
やに入りはんだの寸法(外径)及び許容差は,7.3 によって試験したとき,
表 5 による。
表 5−寸法及び許容差
単位 mm
参考
外径
許容差
一巻きの標準質量
kg
0.3 0.25
0.4
±0.03
0.5
0.25,0.5
0.6
0.7
±0.05
0.8
1.0
1.2
1.6
2.0
0.25
0.5
1
2
2.3
3.0
±0.10
1,2,5
7
試験方法
やに入りはんだの試験方法は,次による。
7.1
フラックス含有量試験及び特性試験
やに入りはんだのフラックス含有量試験,水溶液比抵抗試験,ハライド系活性剤含有量試験,はんだ広
がり法,腐食試験,乾燥度試験,絶縁抵抗試験及び電圧印加耐湿性試験−マイグレーション試験は,JIS Z
3197
による。
7.2
外観試験
4
Z 3283
:2006
外観試験は,目視によって表面の滑らかさ,きず,割れ,その他使用上の欠陥の有無を調べる。
7.3
寸法試験
寸法試験は,JIS B 7502 に規定する外側マイクロメータ,JIS B 7507 に規定するノギス,又はこれと同
等以上の精度をもつ測定具を用いて行う。
8
検査
検査は,次による。
a)
やに入りはんだは,品質並びに寸法及び許容差が,箇条 7 の方法によって試験を行ったとき,箇条 5
及び箇条 6 の規定に適合しなければならない。ただし,受渡当事者間の協定によって一部の試験を省
略することができる。
b)
その他の一般事項は,JIS H 0321 による。
9
包装
やに入りはんだは,枠巻き又はたば巻きにして,輸送又は貯蔵中に起こる汚染又は損傷を防ぐために適
切な包装をしなければならない。
10
製品の呼び方
製品の呼び方は,やに入りはんだに使用するはんだの種類の記号,フラックスの種類,フラックス含有
量の記号,寸法(外径)及びフラックスの等級による。
例:Sn63Pb37/111N/F2/1.6/A 又は H63A/111N/F2/1.6/A
外径 フラックスの等級 外径 フラックスの等級
フラックス含有量の記号 フラックス含有量の記号
フラックスの種類 フラックスの種類
はんだの種類の記号 はんだの種類の記号
Sn96.5Ag3Cu0.5/112F/F3/1.0/B 又は A30C5/112F/F3/1.0/B
外径 フラックスの等級 外径 フラックスの等級
フラックス含有量の記号 フラックス含有量の記号
フラックスの種類 フラックスの種類
はんだの種類の記号 はんだの種類の記号
11
表示
やに入りはんだは,枠巻きの場合は巻き枠の側面に,また,たば巻きの場合は,添付した荷札に,次の
事項を明確に表示しなければならない。
a)
はんだの種類の記号
b
) フラックスの種類
c)
フラックス含有量の記号
d
) 寸法(外径)
5
Z 3283
:2006
e
) フラックスの等級
f
) 正味質量
g
) 製造業者名又はその略号
h
) 製造年月又はその略号
i
) 製造番号又はロット番号