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日本工業規格

JIS

 Z

2614

-1990

金属材料の水素定量方法通則

General rules for determination of hydrogen in metallic materials

1.

適用範囲  この規格は,金属材料の水素定量方法における,次の一般事項について規定する。

(1)

方法

(2)

装置

(3)

試料の採取及び調製

(4)

操作

(5)

結果の整理

(6)

その他の事項

備考  この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであ

って,参考として併記したものである。

なお,この規格の中で従来単位及び数値と,その後に{  }を付けて SI による単位及びそれ

に基づく換算値が示してある部分は,平成 3 年 1 月 1 日以降{  }を付けて示してある単位及

び数値に切り換える。

2.

方法  この方法は真空中又は不活性ガス気流中で金属試料を加熱又は加熱融解して,試料中の水素を

抽出し,共存する他のガスから水素を分離定量する方法で,次に示す。

2.1

ガス抽出法

(a)

高温真空融解法  真空中で試料を黒鉛るつぼ中で融解し,水素を他のガスとともに抽出する。

(b)

低温真空融解法  真空中で試料を石英などの耐火物るつぼ中ですずを融剤として加え,試料の融点以

下の温度で融解し,水素を他のガスとともに抽出する。

(c)

真空加熱法  真空中で試料を融点以下の温度で固体状態のまま加熱し,水素を他のガスとともに抽出

する。

参考  高温法と低温法とがある。

(d)

不活性ガス融解法  不活性ガス気流中で試料を黒鉛るつぼ中で融解し,水素を他のガスとともに放出

させる。

(e)

不活性ガス加熱法  不活性ガス気流中で試料を融点以下の温度で固体状態のまま加熱し,水素を他の

ガスとともに放出させる。

2.2

ガス分析法

(a)

定容測圧法  試料から抽出されたガスを一定容積の真空容器中に捕集して測圧し,酸化剤及び脱水剤

を通して生成する水を除去し,再び測圧して水素量を算出する。

(b)

ガス容量法  試料から抽出されたガスを捕集するとともに,酸素を加えて,燃焼ピペット,吸収ピペ

ット及びガスビュレットを連結したミクロガス分析装置で燃焼,吸収させ,酸素消費量から水素量を


2

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算出する。

(c)

パラジウム透過法  試料から抽出されたガスを加熱したパラジウム管に送り,透過した水素を捕集測

圧し,水素量を算出する。

(d)

熱伝導度法  試料から抽出されたガスを熱伝導度セルを含む一定容積中に捕集し,水素による熱伝導

度の変化を測定し,水素量を算出する。

(e)

ガスクロマトグラフ法  試料から抽出されたガスを一定容積中に捕集し,アルゴンなどのキャリヤー

ガスとともに吸着形分離管を通して熱伝導度セルに導き,水素による熱伝導度の変化を測定し,水素

量を算出する。

3.

装置

3.1

装置の構成  通常用いられる分析装置は,ガス抽出系,ガス分析系,その他からなり,方法に従っ

て各単位装置を接続して構成する。装置の構成例を

図 に示す。


 

3

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4-199

0

図 1  装置の構成例


4

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3.2

ガス抽出系

3.2.1

真空融解法  真空融解法は,次による。

(1)

材料及び試薬

(a)

黒鉛るつぼ及び黒鉛漏斗

(b)

黒鉛粉末  74∼44

µm(200∼325 メッシュ相当)

(c)

高真空用ワックス

(d)

真空用グリース

(2)

装置  ガス抽出系は,高周波誘導加熱装置,抽出炉,ガス抽出ポンプ,排気装置などから成る。

(a)

高周波誘導加熱装置  高周波誘導加熱装置は,抽出炉中のるつぼ,試料などを脱ガス温度以上に保

ち得るもので,高周波電源と加熱コイルから成る。

(b)

抽出炉  炉管は硬質ガラス製で,その中には黒鉛るつぼ外筒,内管及び黒鉛漏斗を入れ,その周囲

に黒鉛粉末を詰めた石英筒又は石英るつぼを入れたモリブデン円筒を固定する。それらの固定には,

つり下げる方式(

図 2,図 3)と炉管底部炉栓で支える方式(図 4)とする。炉管の上部には光高温

計による温度測定用プリズム,測温窓,試料投入口,ガス移送管などを備える。炉管の冷却には水

で行う方式(

図 3)と送風機で行う方式(図 2,図 4)とする。

(c)

ガス抽出ポンプ  試料からガスを抽出することを目的としたもので,高排気速度の水銀拡散ポンプ

などを用いる。

(d)

排気装置  装置内を真空に排気することを目的としたもので,水銀拡散ポンプなど及び油回転ポン

プを連結したものとする。

(3)

るつぼ類の組立て

(3-1)

黒鉛るつぼを用いる場合

(a)

石英筒に黒鉛粉末を底から 30∼35mm の高さまで詰める。黒鉛るつぼを二重にする場合(

図 4)は

あらかじめ重ね,石英筒と同軸になるように黒鉛粉末上に軽く置く。

(b)

黒鉛るつぼ中に黒鉛粉末が入らないように円すい形のふたを黒鉛るつぼの上に置き,黒鉛るつぼと

石英筒の間に黒鉛粉末を黒鉛るつぼのほぼ上端まで静かに加える。

(c)

円すい形のふたを取り外し,黒鉛漏斗を取り付け,その上に円すい形のふたを置き,黒鉛漏斗の上

端まで黒鉛粉末を加える。黒鉛粉末中に径約 1mm の銅線を差し入れ,黒鉛るつぼの周囲を一周さ

せて黒鉛粉末の空洞をなくする。不足分は追加し,円すい形のふたを取り去る。

(d)

黒鉛るつぼを入れた石英筒を炉栓にはめ(

図 2,図 4),炉管の下から挿入し,炉栓とすり合わせ部

を高真空用ワックスで密封する。

(3-2)

石英るつぼを用いる場合  浴金属を入れた石英るつぼを納めたモリブデン円筒をつり下げ(図 3),

炉管を装置に連結する。


5

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図 2  抽出炉の例


6

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図 3  抽出炉の例


7

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図 4  抽出炉の例

3.2.2

真空加熱法  真空加熱法は,次による。

(1)

材料及び試薬

真空用グリース

(2)

装置  ガス抽出系は,加熱装置,抽出炉,ガス抽出ポンプ,排気装置などから成る。

(a)

加熱装置  加熱装置は,抽出炉を脱ガス温度以上に保ち得るものとする。加熱装置には一般に抵抗

加熱方式を用い,小形試料の迅速分析には高周波誘導加熱方式を用いることができる。

(b)

抽出炉  内径 25∼40mm,長さ 300∼400mm の石英管の一端を封じ,他端を水冷式ガラスキャップ

とすり合わせた炉管(

図 5)を用い,水冷式キャップはガス抽出ポンプに連結する。

参考  縦形と横形があり,横形は使用に便利である。

(c)

ガス抽出ポンプ  3.2.1(2)(c)真空融解法の場合に準じる。

(d)

排気装置  3.2.1(2)(d)による。


8

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図 5  真空加熱法炉管の例

3.2.3

不活性ガス加熱法  不活性ガス加熱法は,次による。

(1)

材料及び試薬

(a)

不活性ガス  アルゴン(99.999%以上がよい)又はヘリウム(99.99%以上がよい)

(b)

脱窒素脱酸素剤  スポンジチタンなど。

(c)

脱水剤  五酸化りんなど。

(2)

装置  ガス抽出系は,加熱装置,抽出炉,不活性ガス清浄装置などから成る。

(a)

加熱装置  加熱装置は,抽出炉を脱ガス温度以上に保ち得るものとする。加熱装置には一般に抵抗

加熱方式を用いる。

(b)

抽出炉  炉管は内径 25∼40mm,長さ 400∼600mm で,不活性ガス導入口と試料投入口を有する石

英炉管を備えたものとする。すり合わせ部は,必要に応じ水冷する。

(c)

不活性ガス清浄装置  使用する不活性ガス中の窒素,酸素,水分などを除去することを目的とした

もので,脱窒素脱酸素剤を詰めた管,それを約 500℃に加熱するための小形電気炉及び脱水剤を詰

めた管を連結したものとする。ただし,99.999%以上のアルゴンを使用する場合は,脱窒素脱酸素

剤管は省くことができる。

3.3

ガス分析系

3.3.1

定容測圧法  定容測圧法は,次による。

(1)

材料及び試薬

(a)

酸化剤  酸化銅など。

(b)

脱水剤  五酸化りんなど。

(c)

シリコーン油

(2)

装置  ガス分析系は,ガス捕集装置,捕集ガスの酸化装置,脱水管,微圧測定装置などから成る。

(a)

ガス捕集装置  高背圧特性の水銀エゼクターポンプ(ガス循環も兼ねる)などを用いて,試料から

抽出されたガスを,一定容積のガスだめに捕集できるものとする。

(b)

酸化装置  捕集された水素,一酸化炭素を,それぞれ水,二酸化炭素にすることを目的としたもの

で,酸化剤を詰めた管,それを加熱するための小形電気炉を備えたものとする。

(c)

脱水管  生成した水を吸収させるために脱水剤を詰める。

(d)

微圧測定装置  捕集及び脱水の各段階の微圧を測定するためのもので,油マノメーター又はマクラ

ウド計を用いる。


9

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3.3.2

パラジウム透過法  パラジウム透過法は,次による。

(1)

材料及び調薬

シリコーン油

(2)

装置  ガス分析系は,パラジウム透過装置,ガス捕集装置.微圧測定装置などから成る。

(a)

パラジウム透過装置(図 6,図 7)  肉厚約 0.2mm,外径 1∼10mm,長さ 50∼1 000mm のパラジウ

ム管及びこれを加熱するための抵抗加熱炉を備えたものとする。

(b)

ガス捕集装置  高背圧特性の水銀拡散ポンプなどを用いる。微圧測定装置として水銀マノメーター

を用いる場合は,更にテプラーポンプを備える。

(c)

微圧測定装置  油マノメーター又はマクラウド計を用いる。水銀マノメーターを用いることもでき

る。

図 6  不活性ガス用パラジウム加熱管の例


10

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図 7  真空加熱用パラジウム加熱管の例

3.3.3

ガス容量法  ガス容量法は,次による。

(1)

材料及び試薬

水酸化カリウム溶液 (33%)

(2)

装置  ガス分析系は,ガス捕集装置,ガス分析装置などから成る。

(a)

ガス捕集装置  ガス捕集装置は,水銀滴下ポンプなどの捕集ポンプ及びガスだめから成る。

(a-1)

水銀滴下ポンプ(図 8)  抽出されたガスを捕集し,常圧に戻すために用いる。水銀だめの水銀を

調節コックを通して吸い込まれる空気とともに空気分離室に吸い上げ,空気は油回転ポンプで排出

し,水銀は滴下量調節コックを経て,水銀滴下毛細管中に滴下させる。毛細管は内径 1.8∼2.2mm

で,排気速度を増すために 2∼3 本を並列に使用してもよい。


11

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図 8  水銀滴下ポンプの例 

a

空気吸入量調節コック e

水銀滴下量調節コック

b

水銀吸上管 f

水銀滴下毛細管

c

空気分離室 g

ガスだめ

d

水銀いっ出管 h

水銀だめ

(a-2)

ガスだめ  水銀滴下毛細管から水銀とともに落下したガスを捕集するためのもので,水銀槽に浸さ

れたガラス管の上端はガス分析装置に接続する。

(b)

ガス分析装置  捕集ガスを分析するためのもので,ガスビュレット,爆発ピペット又は燃焼ピペッ

ト,二酸化炭素吸収ピペット,酸素発生装置などから成る。

4.

試料の採取及び調製  分析試料の採取に際しては試料全体の平均組成を代表するようにし,特に試料

の偏析に注意し,調製に際しては表面の酸化物を十分に除去し,清浄にした後酸化及び汚染などがないよ

うに取り扱う。

4.1

機械工具及び試薬  機械工具及び試薬は,次による。


12

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(1)

工作用機械  旋盤,型削り盤,ボール盤など。

(2)

工具  バイト,ペンチ,ニッパ,ドリル,やすり,のこぎりなど。

(3)

研磨紙(布)  炭化けい素系(300∼1 000 番),溶融アルミナ系(80∼320 番)

(4)

皮膜除去剤  硝酸 (1+20),水酸化ナトリウム溶液 (10%),シアン化カリウム溶液 (10%)

(5)

洗浄溶媒  石油ベンジン,四塩化炭素,エチルアルコール,エチルエーテル,アセトン,トリクレン,

ベンゼンなど。

4.2

溶融金属試料の採取

参考  溶融金属試料の採取には,採取容器を炉内の溶融金属に直接浸せきして採取する方法と,溶融

金属からひしゃくなどによって炉外にくみ出してから採取する方法がある。

また,凝固したら固体試料と同じに扱う。採取方法の例は次による。

4.2.1

真空採取法  内部を真空にし,必要に応じ酸素を固定するためにアルミニウムなどを入れた石英製

試料吸引管を精錬過程中の溶融金属に直接浸せきして,溶融金属を管内に吸引する。直ちに炉外に取り出

し,吸引管をできるだけ早く,水銀中で冷却し,管内の溶融金属を凝固させる。

4.2.2

くみ出し鋳込法  溶融金属をひしゃくでくみ出し,必要に応じて脱酸剤としてアルミニウムなどを

添加した後鋳型に鋳込み,直ちに水冷する。

4.2.3

スポイト吸上法  溶融金属をひしゃくでくみ出し,必要に応じて脱酸剤としてアルミニウムなどを

添加した後,直ちにスポイトで溶融金属を石英管又は銅管に吸い上げ,水中で急冷する。

4.3

固体金属試料の採取  固体金属試料の採取は,次による。

(1)

試料が塊,板,はく,管及び線の場合には,適当な工作機械と工具を用いて供試体を(

1

)

を切り出す。

工具類は,あらかじめエチルアルコール,エチルエーテルなどで清浄にし,油脂類その他減摩剤など

を用いない(

2

)

で切削速度を落とし,試料が過熱されないようにする。必要な場合は注水しながら切り

出す。

切り出しが困難な形状又は材質の試料の場合は,適当な工具を用いて削片とする。

また削片の取りにくい試料の場合は粉砕して細粒とする。

(

1

)

供試体とは,溶融金属から採取した凝固試料及び実験室に搬入された加工試料の塊,棒,はく,

線などをいう。

(

2

)

発火しやすい金属の場合には,減摩油などを用いて静かに切り出す。

(2)

試料が海綿状の場合には,アーク融解炉に入れ,アルゴン雰囲気で融解して鋳塊を作り,以下 4.3(1)

によって供試体を切り出す。

又は海綿状試料を清浄なふるいで 4 000

µm(5 メッシュ相当)以上,4 000µm 未満 1 190µm(14 メ

ッシュ相当)以上,1 190

µm 未満の 3 群にふるい分けし,各群の質量を求め,清浄な器具を用いてそ

れぞれの質量比に応じて分析試料(

3

)

の約 10 倍量を供試体として採取する。

(

3

)

分析試料とは,供試体から適当な工作機械と工具を用いて作製したものをいう。

(3)

試料が粉末状の場合には,適当な方法でよく混ぜ合わせた後,清浄な器具を用いて分析試料の約 10

倍量を供試体として採取する。

(4)

以上の方法によって採取できない場合の取扱いは,受渡当事者間の協定による。

4.4

供試体の保存  供試体から水素が逸散するおそれがある場合には,なるべく早く分析するか,ドラ

イアイス又は液体窒素を入れたジュワー瓶中に保存する。

4.5

分析試料の調製


13

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4.5.1

塊状試料  4.2 又は 4.3 によって採取した供試体から分析試料を切り出し,試料表面をやすり研磨

又は溶液による皮膜の除去を行って調製する。

(1)

やすり研磨  やすり研磨の方法は,次による。

(a)

試料の表面は,あらかじめ試料と同種金属でこすった荒目,中目又は細目のやすりで新しい表面が

できるまで研磨する。必要に応じ,更に研磨紙(布)で研磨する。

(b)

研磨した試料は,洗浄溶媒をしみ込ませたガーゼで表面を強くふいた後,溶媒中で洗浄する。この

代わりに溶媒中で超音波洗浄してもよい。

(c)

洗浄した試料はピンセットで挟み,送風乾燥して溶媒を除去した後,乾燥ざらなどに入れ,デシケ

ーター中に保存する(

4

)

(2)

溶液による皮膜の除去  やすり研磨によらず皮膜を除去する方法の例を次に示す。

(a)

アルミニウム試料の場合(

5

)

  水酸化ナトリウム溶液 (10%) 中に約 2 分間浸し,水で洗浄後硝酸 (1

+20)  に約 30 秒間浸し,水,アルコール.アセトンの順に洗浄する。次に送風乾燥し,直ちに分析

する。

(b)

銅試料の場合  シアン化カリウム溶液 (10%) 中に入れ,表面の酸化物を溶解し,水,アルコール,

エーテルの順に洗浄する。次に送風乾燥し,分析する。

(

4

)

水素の逸出しやすい試料は,なるべく早く分析する。

(

5

)

表面を旋盤仕上げして分析する方法もある。

4.5.2

粉末・細粒・削片(

6

)

試料  4.3 によって採取した供試体から一部を分取し,洗浄溶媒で洗浄した後

送風又は自然乾燥し,次のように分析試料を調製する。

(1)

金属はくで包む場合  試料質量をはかった後,白金,すず,ニッケルなどの金属はくに包む。

(2)

加圧成形する場合  大気又は真空(7mmHg 以下){0.933 3kPa 以下}中で加圧成形して,例えば直径

約 10mm,厚さ約 1mm の大きさにする。これを清浄なニッパなどで切断する(平成 2 年 12 月 31 日ま

で適用)

(

6

)

銅削片試料の場合は,4.5.1(2)(b)による方法でもよい。

5.

操作

5.1

真空加熱(真空融解)定容測圧法

5.1.1

要旨  真空中で試料を加熱又は加熱融解し,試料中の水素を他のガスとともに抽出し,一定容積中

に捕集してその圧力を測定する。この捕集ガスを加熱した酸化銅で酸化して水素を水とし,五酸化りんで

吸収させた後圧力を測定する。

5.1.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,次による。

(1)

酸化銅

(2)

五酸化りん

(3)

黒鉛るつぼ

(4)

黒鉛粉末  74

µm(200 メッシュ相当)

(5)

高真空用ワックス

(6)

真空用グリース

5.1.3

予備操作(図 9)  予備操作は,次による。

(1)

試料の充てん

(a)  3.2.1(3)

に従って黒鉛るつぼを組み立て,石英筒を炉管内に装着した後,高周波加熱コイル及び空冷


14

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管を取り付ける。

(b)

試料を投入用鉄棒とともに,試料充てん用側管に充てんし,高真空用ワックスを用いてすり合わせ

部を密封する。


15

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4-199

0

図 9  真空加熱(真空融解)定容測圧法水素定量装置の例


16

Z 2614-1990

図 の説明 

a

:  真空抽出炉 l

: 回転式 U 字管型油マノメーター

b

:  炉管冷却用送風機

m

: 熱電対温度計

c

:  ガス抽出用水銀拡散ポンプ n

: 酸化銅管及び電気炉

d

:  中間ガス捕集管 o

: 五酸化りん管

e

:  ピラニ真空計 (PG-2)

p

: 冷却トラップ

f

:  ガス抽出曲線用自動平衡記録計 q

: ピラニ真空計 (PG-1)

g

:  空気・ガス導入用補助装置 r

: 排気用水銀拡散エゼクターポンプ

h

:  ガス捕集兼循環用水銀エゼクターポンプ s

: シリカゲル管

i

:  ガスだめ t

: 油回転ポンプ

j

:  ピラニ真空計 (PG-3)

C

1

∼C

11

: 高真空用ガラスコック

k

:  ガス捕集曲線及びガス分析曲線用自動平衡記録計

(2)

装置内の排気(

7

)

及び黒鉛るつぼの脱ガス

(a)

全コックを閉じ,油回転ポンプ (t) を作動させ,コック C

8

を開く。油マノメーター (l) が左水平位

置にあることを確かめ(

8

)

,コック C

5

C

4

C

6

及び C

7

を開く。空気・ガス導入用補助装置 (g) のコッ

ク C

10

及び C

11

を開き,水銀マノメーターを大気圧で等圧とした後,C

11

を閉じる。コック C

2

を開き,

C

8

を少し閉じる。マノメーターの水銀柱の移動速度が毎秒ほぼ 1mm 以下になるように C

1

を徐々に

開く(

9

)

,4∼6 分間かけて炉管,中間ガス捕集管 (d) などを荒引した後,C

1

及び C

8

を全開し,C

2

閉じる。排気用水銀拡散エゼクターポンプ (r),ガス抽出用水銀拡散ポンプ (c) 及びガス捕集兼循

環用水銀エゼクターポンプ (h) を作動させ,酸化銅管 (n) を約 400℃に加熱する。

(b)

ピラニ真空計 PG-3 (j)  の指示が一定になったら,油マノメーター (l) を反時計方向に 90 度回転させ

て正位置に戻し,コック C

4

を閉じ,圧力の変化がないことを確かめ,C

5

C

6

及び C

7

を閉じる。

(c)

ピラニ真空計 PG-2 (e)  の指示がほぼ一定になったら,高周波発振装置及び送風機を作動させ,黒鉛

るつぼを脱ガス温度に加熱し,この温度に数時間保って脱ガスを行う。

(d)

黒鉛るつぼの温度をガス抽出温度に下げ,コック C

1

を閉じ,C

3

を開いて 10 分間ガス捕集を行った

後,C

3

を閉じて油マノメーター (l) で圧力を測定する。分析を行うのに十分な脱ガス状態(

10

)

になっ

ていたら,コック C

4

及び C

5

を開いてガスを排出する。

(

7

)

装置を使用しないときは,ガス分析系は常時高真空に保っておく。この場合は,ピラニ真空計

PG-3 (j)

によって高真空であることを確かめて,次の操作に移る。

(

8

)

装置を使用しないとき及びガス分析系内の排気を行うときには,油マノメーター  (l)  は必ず左

水平位置にしておく。

(

9

)

水銀柱の差が 120mm に達したら,コック C

11

を 90 度回転して U 字管を等圧にした後,逆方向

に回転する。この操作を水銀柱の差がなくなるまで繰り返す。

なお,コック C

1

を急速に開くと,黒鉛粉末が噴出するおそれがある。

(

10

) 10

分間のガス捕集で油マノメーター  (l)  の読みが,

例えば 0.3mm 以下であれば,

十分とみなす。

5.1.4

定量操作  予備操作が終わったら,引き続き次の手順によって定量操作を行う。

(1)

空試験  次の(2)以下に準じて一定時間ガス抽出及び分析を行い,空試験値を求める。

(2)

試料の分析

(a)

ガス抽出

(a-1)

油マノメーター (l) を正位置とし,黒鉛るつぼをガス抽出温度に加熱する。


17

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(a-2)

コック C

3

を開き,C

4

を閉じた後,試料を投入する。

(a-3)

ピラニ真空計 PG-2 (e)  の指示が試料投入前と同じになり,ピラニ真空計 PG-3 (j)  の指示及び油マノ

メーター (l) の読みがほぼ一定になったら(

11

)

,コック C

3

を閉じ,約 30 秒後に油マノメーターを読

む  (P

1

)

(b)

ガス分析

(b-1)

コック C

5

を閉じ,C

7

及び C

4

を開き[捕集ガスはガス変成部を循環し,酸化銅管 (n) で水素が水に,

一酸化炭素が二酸化炭素に酸化され,水は五酸化りん管 (o) で吸収される。

,ピラニ真空計 PG-3 (j)

の指示が一定になったら C

4

を閉じ,約 30 秒後に油マノメーター (l) を読む  (P

2

)

(b-2)

ピラニ真空計 PG-2 (e)  の指示が空試験の場合とほとんど同じなら,C

1

を開いてガス分析をしている

間に中間ガス捕集管 (d) に捕集されたガスを排出する。もし無視できないほどの圧力差があるなら,

コック C

4

,C

5

及び C

7

を閉じた後,C

3

を開いて 5.1.4(2)(a-3)以下の操作を行い,加算する。

(3)

計算  試料中の水素含有率を,次の式によって算出する。

100

)

(

)

(

(%)

2

2

1

1

×

×

=

H

K

W

´

P

P

´

P

P

水素

ここに,

P

1

:  試料分析時の 5.1.4(2)(a-3)における油マノメーターの読み (mm)

P

2

:  試料分析時の 5.1.4(2)(b-1)における油マノメーターの読み (mm)

P

1

'

:  空試験時の 5.1.4(2)(a-3)における油マノメーターの読み (mm)

P

2

'

:  空試験時の 5.1.4(2)(b-1)における油マノメーターの読み (mm)

K

H

:  ガスだめを使用しない場合の換算係数 (g/mmOil)(

12

)(

13

)(

14

)

W

:  試料はかり取り量 (g)

(

11

)

ピラニ真空計 PG-2 (e) の指示がいつまでも試料投入前と同じにならない場合には,コック C

6

を開いてガスだめ (i) にガスを膨張させ,引き続きガス捕集を行った後,圧力を測定する。こ

の場合には,K

H

の代わりに,ガスだめを使用する場合の換算係数 K

H

′を使用する。

(

12

)  K

H

の値は測定部の容積によって異なるから,装置の改修によってこれが変化した場合には,新

しく K

H

を求めなければならない。

(

13

)  K

H

の値はガス捕集ポンプの作動状態によって異なるから,ポンプのヒーター電流は常に一定に

し,冷却水の温度も一定に保つ必要がある。

また,実際の分析の場合とあまりかけ離れた系内圧力で K

H

を求めることは好ましくない。

(

14

)  K

H

の値はガスの温度によって異なるから,実際の分析の場合と同じ温度で求めた K

H

を用いる

必要がある。

(4)

換算係数 K

H

又は K

H

′の求め方  油マノメーターの読み (mm) から水素量 (g) を求める換算係数 K

H

又は K

H

′は,次の方法で求める。

(a)

常圧ガスピペットを使用する方法

(a-1)

炉管接続用の球面つぎ手にめくら栓をするか,黒鉛るつぼを入れないで,密封した炉管を接続し,

5.1.3

に準じてポンプ類,ピラニ真空計を作動させ,装置内を排気する。

(a-2)

常圧ガスピペット(

図 10-a)の A 端をピペット接続管(図 10-c)を用いて標準ガス(アルゴン)の

供給源に接続し,コック C

12

,C

13

及び C

14

を開き,A 端から標準ガスを静かに流してピペット内の

空気を置換する。標準ガスの供給を止め,ピペット内にはかり取られた標準ガスの圧力が大気圧と

等しくなるように,またコックのグリースが計量部にはみ出ないように注意して C

12

,C

13

,C

14

をこ

の順に閉じる。このときの大気圧 P

0

 (mmHg {kPa})

及びガスピペット付近の室温 t (℃)  を測定する

(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)


18

Z 2614-1990

(a-3)

空気・ガス導入用補助装置(

図 9-g)を取り外し,その後に常圧ガスピペット(図 10-a)の A 端を

ピペット接続管(

図 10-b)を用いて接続する。C

3

及び C

5

を閉じた後,C

1

及び C

2

を開き,C

2

と C

12

との間の空気を排出する。

(a-4)

ピラニ真空計 PG-2(

図 9-e)の指示が一定になったら,コック C

1

を閉じ,C

3

及び C

5

を開く。次に

C

6

,C

7

,C

4

をこの順に閉じた後 C

12

を開き,ガスピペット計量部 (a+b)  (

図 10-a)内の標準ガス

を導入・捕集する。ピラニ真空計 PG-3(

図 9-j)及び油マノメーター(図 9-l)の読みが一定になっ

たら,C

3

を閉じて油マノメーターを読む  (p)。

(a-5)

コック C

4

,C

3

をこの順に開いて標準ガスを排出し,更に C

6

を開いて分析系内を排気する。C

4

を閉

じた後 C

13

を開き,ガスピペット計量部 (c+d)  (

図 10-a)内の標準ガスを導入・捕集する。ピラニ

真空計 PG-3(

図 9-j)及び油マノメーター(図 9-l)の読みが一定になったら,C

3

を閉じて油マノメ

ーターを読む  (p′)。

(a-6)

換算係数 K

H

又は K

H

′を,次の式によって算出する(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

+

=

+

+

=

t

p

b

a

V

P

t

R

p

M

b

a

V

P

K

H

H

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

⋅′

+

=

+

⋅′

+

=

t

p

d

c

V

P

t

R

p

M

d

c

V

P

´

K

H

H

ここに

K

H

ガスだめを使用しない場合の換算係数 (g/mmOil)

K

H

'

ガスだめを使用する場合の換算係数 (g/mmOil)

P

0

大気圧 (mmHg) {kPa}

V (a

+b):

ガスピペット計量部 (a+b)  内の容積 (ml)………約 0.2ml

V (c

+d):

ガスピペット計量部 (c+d)  内の容積 (ml)………約 2ml

M

H

水素の分子量 (2.016)

p

ガスだめを使用しない場合の油マノメーターの読み (mm)

p'

ガスだめを使用する場合の油マノメーターの読み (mm)

R

気体定数 (6.236×10

4

ml

・mmHg {kPa} /℃・mol)

t

室温  (℃)

(a-7)

コック C

3

,C

4

をこの順に開いて標準ガスを排出する。C

2

を閉じ,ガスピペット(

図 10-a)の C

12

C

13

及び C

14

を開いて内部を大気圧とした後,装置からガスピペット及びピペット接続管(

図 10-b

を取り外す。

(a-8)  (a-2)

(a-7)の操作を繰り返し,3 回の測定から求めた K

H

及び K

H

′が 3 けたまで一致していたら,

平均値を求める。一致しない場合には,一致するまで測定を繰り返す。

(a-9)

測定が終わったら,再び空気・ガス導入用補助装置(

図 9-g)を接続する。コック C

3

,C

5

及び C

10

を閉じ,C

11

を開いて U 字管を等圧にした後,C

2

及び C

1

を開いて排気する。排気が終わったら C

2

及び C

11

を閉じる。


19

Z 2614-1990

図 10  常圧ガスピペットの例

(b)

減圧ガスピペットを使用する方法

(b-1)  (4)(a-1)

による。

(b-2)

減圧ガスピペット(

図 11)の B 端をピペット接続管(図 10-c)を用いて標準ガス(アルゴン)の供

給源に接続し,コック C

15

,C

16

,C

17

及び C

18

を開き,B 端から標準ガスを静かに流してガスピペッ

ト内の空気を置換する。標準ガスの供給をやめ,C

18

,C

17

をこの順に閉じる。

(b-3)

空気・ガス導入用補助装置(

図 9-g)を取り外し,その後に減圧ガスピペット(図 11-b)の A 端を

接続し,次にピペットのマノメーター取付口に回転式水銀マノメーター(

図 11-a)を差し込む。

(b-4)

回転式水銀マノメーター(

図 11-a)を時計方向に約 90 度回転して左水平位置とし,コック C

3

及び

C

5

を閉じた後 C

1

及び C

2

を開き,C

2

と C

15

との間の空気を排出する。

(b-5)

ピラニ真空計 PG-2(

図 9-e)の指示が一定になったら,回転式水銀マノメーター(図 11-a)を反時

計方向に約 90 度回転して正位置とし,コック C

1

及び C

2

を閉じる。回転式水銀マノメーターの指示

を見ながら C

17

を徐々に開き,ガスピペット計量部 (e+f)  (

図 11-b)内の標準ガスの一部を C

2

C

17

との間に拡散させる。適当な圧力になったら C

17

を閉じ,回転式水銀マノメーターで標準ガスの

圧力を測定する  (P

0

)

(b-6)

コック C

15

及び C

16

を閉じた後,C

1

及び C

2

を開き,C

2

と C

15

との間及びマノメーター内の標準ガス

を排出する。C

1

を閉じ,C

3

及び C

5

を開く。次に C

6

,C

7

及び C

4

を閉じた後 C

15

を開き,ガスピペッ

ト計量部 (a+b)  内の標準ガスを導入・捕集する。ピラニ真空計 PG-3(

図 9-j)及び油マノメーター

図 9-l)の読みが一定になったら,C

3

を閉じて油マノメーターを読む  (p)。

(b-7)

コック C

4

,C

3

をこの順に開いて標準ガスを排出し,更に C

6

を開いて分析系内を排気する。C

4

を閉

じた後 C

16

を開き,

ガスピペット計量部 (c+d)  内の標準ガスを導入・捕集する。

ピラニ真空計 (PG-3)

図 9-j)及び油マノメーター(図 9-l)の読みが一定になったら,C

3

を閉じて油マノメーターを読


20

Z 2614-1990

む  (p′)。

(b-8)

換算係数 K

H

又は K

H

′を,次の式によって算出する(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

⋅′

+

=

+

+

=

t

p

b

a

V

P

t

R

p

M

b

a

V

P

K

H

H

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

⋅′

+

=

+

⋅′

+

=

t

p

d

c

V

P

t

R

p

M

d

c

V

P

´

K

H

H

ここに,

K

H

ガスだめを使用しない場合の換算係数 (g/mmOil)

K

H

'

ガスだめを使用する場合の換算係数 (g/mmOil)

P

0

回転式水銀マノメーターの読み (mmHg) {kPa}

V (a

+b):

ガスピペット計量部 (a+b)  内の容積 (ml)………約 4ml

V (c

+d):

ガスピペット計量部 (c+d)  内の容積 (ml)………約 25ml

M

H

水素の分子量 (2.016)

p

ガスだめを使用しない場合の油マノメーターの読み (mm)

p'

ガスだめを使用する場合の油マノメーターの読み (mm)

R

気体定数 (6.236×10

4

ml

・mmHg {kPa} /℃・mol)

室温  (℃)

(b-9)  (4)(a-7)

(a-9)による(

15

)

(

15

)

繰返し測定の場合には,ガスピペット計量部 (e+f)  内の標準ガスを少しずつ出して使用する。

常圧法のように毎回ガスピペットに標準ガスを封入する必要はない。


21

Z 2614-1990

図 11  マノメーター付減圧ガスピペットの例

5.2

真空加熱パラジウム透過法(図 12

5.2.1

要旨  真空中で試料を加熱し,水素を他のガスとともに抽出し,加熱したパラジウム管 (i) で水素

ガスだけを透過させ,これを一定容積中に捕集して,その圧力を測定する。

5.2.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,次による。

(1)

石英綿

(2)

高真空用グリース

5.2.3

予備操作  予備操作は,次による。

(1)

抽出管の準備

(a)

透明石英抽出管 (d) の底部に少量の石英綿を入れた後,高真空用グリースを用いて水冷すり合わせ

部に取り付けて密封する。

(b)

試料加熱用管状電気炉 (e) を,抽出管 (d) の先端がほぼ中央に位置するように固定する。

(2)

装置の排気

(a)

全コックを閉じ,油回転ポンプ (p) を作動させる。次にコック C

1

,C

2

,C

3

,C

4

及び C

6

を開き,次


22

Z 2614-1990

に C

5

を静かに開いて装置内を排気する。更に C

8

及び C

11

をマクラウド真空計 (k) の水銀が飛散し

ないように注意しながら静かに開く。

(b)

装置内の真空度をピラニ真空計 No.2 (r)  で測定し,これが 10

1

mmHg {13.3Pa}

以下に排気されたら,

排気用水銀拡散ポンプ (h),ガス抽出用水銀エゼクターポンプ (f) 及び水素ガス捕集用水銀エゼク

ターポンプ (g) を作動させる(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

(c)

パラジウム管加熱用電気炉 (j) に電流を通じ,パラジウム管 (i) を約 700℃に加熱する。

(d)

管状電気炉 (e) に電流を通じ,抽出管 (d) ガス抽出温度に加熱する。

(e)

この状態で装置の脱ガスを行う(

16

)

(f)

脱ガス終了後コック C

6

と C

8

を閉じる(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

(

16

)

ピラニ真空計 No.2 (r)  で真空度を測定し,その指示値が10

3

mmHg {0.133Pa}

以下となるまで脱

ガスを行う。

図 12  真空加熱パラジウム透過法水素定量装置の例

5.2.4

定量操作  予備操作が終わった後,引き続き次の手順によって定量操作を行う。


23

Z 2614-1990

(1)

空試験  抽出管 (d) に試料を入れないで一定時間抽出ガスを捕集し空試験を行う。操作は次の(2)以下

に準じる。

(2)

試料の分析

(a)

コック C

6

を回し,試料導入コック (b) 内に空気を入れる。

(b)

試料導入口 (a) のキャップを外し,試料投下用ソレノイドコイル (c) に電流を通じながら試料を試

料導入コック (b) 内に入れる。

(c)

ソレノイドコイル (c) の電流を切る。

(d)

キャップを付けてからコック C

5

を閉じ,C

6

を回し試料導入コック (b) 内の空気を排気する。

(e)

コック C

6

を閉じ,試料導入コック (b) を下向きにする。

(f)

コック C

5

を開き,

ピラニ真空計 No.1 (q)  の指示が 10

3

mmHg {0.133Pa}

以下となるまで排気する

(平

成 2 年 12 月 31 日まで適用)

(g)

コック C

2

及び C

4

を閉じて,抽出ガス中の水素がパラジウム管を透過して,水素ガス捕集部に捕集

されるようにする。

(h)

ソレノイドコイル (c) に電流を通じ,試料を抽出管 (d) 内に落下させる。

(i)

一定時間ごとに捕集された水素の圧力を,マクラウド真空計 (k) によって測定する。この操作は次

のようにする。

コック C

5

を閉じ C

9

からマクラウド真空計内に静かに空気を入れ水銀を一定標線まで押し上げ,

このときの側管の水銀柱の高さを読み取る。測定が終了したら C

5

を閉じた状態で C

8

を開き,水銀

を下げた後 C

8

を閉じる。

(j)

測定時間ごとに測定圧力から同一時間での空試験の圧力を差し引き,その値がほとんど変化しなく

なった点を抽出の終点とする。

(k)

分析が終了したらコック C

5

,C

4

,C

2

の順に開いて装置内を排気する。

(l)

ピラニ真空計 No.1 (q)  及び No.2 (r)  の指示が 10

3

mmHg {0.133Pa}

以下となったら 5.2.4(2)(a)(k)

の操作で次の試料の分析を行う(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

(3)

計算  試料中の水素含有率を次の式によって算出する(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)。

)

273

(

)

(

233

003

.

0

(%)

1

1

t

W

V

´

P

P

+

×

=

水素

ここに,

P

1

試料分析時の捕集水素ガスの圧力 (mmHg) {kPa}

P

1

'

空試験時の捕集水素ガスの圧力 (mmHg) {kPa}

t

室温  (℃)

W

試料はかり取り量 (g)

V

水素ガス捕集部の容積 (ml)

(4)

水素ガス捕集部の容積の測定方法  水素ガス捕集部の容積 V (ml)  は,次の手順によって求める。

(a)  5.2.3

の予備操作に従って装置を作動状態にしておく。ただし,抽出管の加熱は行わず C

1

は閉じて

おく。

(b)

コック C

4

を閉じ,一定時間ごとにマクラウド真空計によって水素捕集部の圧力を測定して,空試験

値とする。

(c)

コック C

4

,C

12

,C

13

及び C

14

を開き,ピラニ真空計 No.2 (r) の指示が 10

3

mmHg {0.133Pa}

以下に

なるまで排気する(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

(d)

コック C

12

を閉じ C

15

を注意深くわずかに開いて標準水素ガス容器 (o) から装置校正用ガスピペッ

ト (m) 内に適当量の標準水素ガスを採取する。このときの圧力を水銀 U 字管マノメーター (n) で


24

Z 2614-1990

読み取り,C

13

を閉じる。

(e)

コック C

4

を閉じ,直ちに C

12

を開き,空試験と同様にして捕集された水素ガス圧力を測定する。

(f)

測定時間ごとに捕集された水素ガス圧力から同一時間での空試験値を差し引き,その値が変化しな

くなった点を測定の終点とする(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

)

(

2

2

0

0

´

P

P

V

P

V

=

ここに,

P

0

ガスピペットに採取した標準水素ガスの圧力 (mmHg) {kPa}

V

0

ガスピペットの容積 (ml)

P

2

捕集された水素ガス圧力 (mmHg) {kPa}

P

2

'

空試験時のガス圧力 (mmHg) {kPa}

(g)

この測定に際して標準水素ガスの代わりにアルゴンなどを用いてもよい。

5.3

真空加熱ガス容量法(図 13

5.3.1

要旨  真空中で試料を融点以下の温度で加熱し,水素を他のガスとともに抽出し,常圧の基で捕集

し,ミクロオルザットガス分析装置 (I) に導入し,酸素を加えて燃焼させ,容積変化を測定する。

5.3.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,次による。

(1)

硫酸

(2)

水酸化カリウム溶液 (33%)

(3)

五酸化りん

(4)

ソーダ石灰

(5)

水銀

5.3.3

予備操作  予備操作は,次による。

(1)

装置の排気及び水銀滴下ポンプの始動

(a)

全コックを閉じ,油回転ポンプ (E) を作動させる。コック C

25

を徐々に開き,次に C

16

を開く。C

20

を油回転ポンプ (E) に通じ,C

18

及び C

19

を水銀滴下管に水銀が断続的に滴下するように調節し,

C

13

を開く。

(b)

水銀拡散ポンプ (D) を作動させコック C

20

を五酸化りん管 (c) の方に通じ,C

17

を開き,水銀滴下

捕集ポンプ (F) を作動させ排気する。

(2)

抽出管の脱ガス

(a)

コック C

17

を閉じ,水銀の吸い上げを停止し,C

22

を開き透明石英抽出管 (B) だけが油回転ポンプ

(E)

で排気されるように C

21

を回す。抽出管内がほぼ排気されたら,抽出管 (B) と水銀拡散ポンプ

(D)

とが通じるように C

21

を回し,C

17

を開く。

(b)

電気炉 (A) を試料加熱部が炉の中心になるように設置し,脱ガス温度まで上げ,脱ガスを行う。

(c)

分析を行うのに十分な脱ガス状態(

17

)

が得られたならば,脱ガスをやめ,抽出管 (B) の温度をガス

抽出温度まで下げる。

(3)

ガスだめの排気

(a)

コック C

21

を抽出管 (B) が水銀拡散ポンプ (D) に通じるように回し,C

17

を開き,水銀滴下捕集ポ

ンプ (F) を作動させる。

(b)

排気が終わったならば,コック C

13

を閉じ,平準球 (n

3

)

を C

13

より下方約 75cm まで下げ,C

15

を注

意しながら開き,ガスだめ (i) のガラス壁に付着した気泡を膨張させ,ガスだめ (i) の上方に集め

る。C

15

を閉じ,C

13

を手早く回転し,C

13

の孔壁及びその下方の管壁に付着した気泡を水銀とともに


25

Z 2614-1990

ガスだめ (i) に上昇させる。再び C

13

を閉じ,C

15

を開き上記の操作を 2∼4 回繰り返して,ガスを

全部ガスだめ (i) の上部に集める。

(c)

コック C

13

を閉じ,平準球 (n

3

)

を爆発ピペット (r) の平準球 (n

2

)

より高い位置に置き,C

11

を開い

た後,C

15

を開き,C

12

を開いてガスを爆発ピペット (r) に移す。

(d)

コック C

12

を閉じ,C

13

を開き,滴下管からのガスを捕集できる状態にする。

(e)

爆発ピペット (r) 中のガスはコック C

7

を開き,平準球 (n

2

)

を上げて,水銀杯 (w) から空気中に放

出し C

9

を閉じる。

(

17

)

空試験値は水素量として0.5

µg/min 以下がよい。

参考  水銀の吸い上げを一時中止しているとコック C

18

及び C

19

の後方のトラップにガスがたまり,水

銀滴下捕集ポンプ (F) を作動させると,C

18

及び C

19

から装置内に移り,抽出管 (B) から抽出

されたガスとともにガスだめ (i) に集められる。

抽出管 (B) を水銀拡散ポンプ (D) に連結すると,速やかに真空度がよくなる(0.001 3Pa 程

度)が,水銀滴下捕集ポンプ (F) の排気速度が遅いので,水銀拡散ポンプ (D) と水銀滴下捕

集ポンプ (F) との間にあるガスを排気するためには時間がかかり,水銀滴下管内に気泡が認め

られなくなるのは約 20 分後である。


26

Z 2614-1990

図 13  真空加熱ガス容量法水素定量装置の例

5.3.4

定量操作  予備操作が終わったならば,定量操作を次の手順で行う。

(1)

空試験  抽出管 (B) に試料を入れないで,抽出ガスを捕集し,空試験を行う。操作は次の(2)以下に準

じる。

(2)

試料の分析

(a)

ガス抽出

(a-1)

電気炉 (A) を抽出管 (B) から外し,コック C

22

を閉じ,C

21

を抽出管 (B) が C

22

に通じるように回

し,C

24

を開き,空気乾燥管 (l

1

)

から乾燥空気を抽出管 (B) に入れる。

(a-2)

抽出管 (B) を水冷すり合わせ継手 (a) から外し,試料を手早く抽出管 (B) に入れ,抽出管 (B) を

再び取り付ける。


27

Z 2614-1990

(a-3)

コック C

17

及び C

24

を閉じ,C

22

を開き,水銀マノメーター (m) の読みが 1mm 以下になるまで約 5

分間排気する。

(a-4)

電気炉 (A) を試料が炉の中心にくるように設置し,ガス抽出を始める。

(a-5)

水銀滴下捕集ポンプ (F) に気泡が入らなくなり,抽出が終わったならば,コック C

13

を閉じ,平準

球 (n

3

)

を平準球 (n

2

)

より高い位置に置き,C

11

を開いた後,C

15

及び C

12

を開いて捕集ガスを爆発

ピペット (r) に移す。

(b)

ガス分析(

18

)

(b-1)

コック C

2

,C

3

,C

5

及び C

7

を開き平準球 (n

2

)

を上げて,爆発ピペット (r) 内の捕集ガスをガスビュ

レット (u) に送る。平準球 (n

2

)

からの水銀の先端が,ガスビュレット (u) の零の目盛の位置にき

たとき,C

7

を閉じ,平準球 (n

1

)

を下げ,C

1

を開き,平準球の水銀面とガスビュレットの水銀面と

を等しくして C

2

を閉じ,ガス容積を測定する(

19

)

。同時に室内の温度及び大気圧を測定する。

(b-2)

酸素発生器 (q) から,酸素をコック C

9

で調節しながら,爆発ピペット (r) に送り,目測で捕集ガ

スの過半量ないし等量を取り,C

9

を閉じる。C

7

を開いて酸素ガスをガスビュレット (u) に導き,捕

集ガスと混ぜて,全容積を測定する。

(b-3)

全ガスを爆発ピペット (r) に移し,コック C

7

を閉じ,平準球 (n

2

)

を下げて爆発ピペット内を少し

減圧にして点火爆発させる。燃焼が終わったら,C

7

を開き,ガスを再びガスビュレット (u) に戻し,

容積を測定し,容積の減少分を求める。

(b-4)

コック C

1

を閉じ,C

2

を開き,平準球 (n

1

)

を上げ,C

3

,C

5

及び C

7

を開いた状態で C

11

を開き,平準

球 (n

2

)

を下げる。ガスの先端が C

7

のせん孔を通過しようとするとき,C

7

を左方向に回し,ガスを

水酸化カリウム溶液を入れた吸収ピペット (s) に導き,ガスビュレット (u) からの水銀の先端が吸

収ピペット (s) の毛細管内に入ろうとするとき,C

7

を右方向に回し,ガスを全部ピペット内に移し,

しばらく放置して二酸化炭素を吸収させる。

(b-5)

吸収が終わったら,平準球 (n

1

)

の水銀面をコック C

7

より 2∼3cm 下げ,C

7

を左方向に回し,ガス

をガスビュレット (u) に導き,吸収ピペット (s) の液面が毛細管部の所定の位置にきたとき,C

7

を右方向に回し,平準球 (n

2

)

を上げて,ガスをガスビュレット (u) に送り,水銀の先端が零の位

置にきたら,C

7

を閉じ,ガス容積を測定する。ガス容積が減少しなくなるまで,吸収,測定を繰り

返し,二酸化炭素量を求める。

(

18

)

ガス分析を行う前に,爆発ピペット (r),ガスビュレット (u) 及びこれらを連結してある毛細管

全部を水銀で満たし,平準球を下げて減圧し,コック,継手などにガスが残存しないことを確

認しておく。

(

19

)

捕集ガス中に二酸化炭素及び炭化水素が含まれているときは水酸化カリウム溶液で二酸化炭素

を吸収除去した後,過半量ないし等量の酸素を加えて燃焼させ,減少した容積,生成した二酸

化炭素量を測定し,更に余剰の酸素を定量する。

(3)

計算  試料中の水素含有率を,次の式によって算出する(

20

)

(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

W

K

V

V

k

×

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

=

2

0

006

.

0

(%)

0

水素

ここに,

V

0

:  燃焼によって減少したガスの容積 (ml)

V

K

:  燃焼によって生成した二酸化炭素の容積 (ml)

K

)

273

(

760

)

(

283

t

f

H

+


28

Z 2614-1990

H

:  t℃における大気圧 (mmHg) {kPa}

f

:  t℃における水蒸気圧 (mmHg) {kPa}

t

:  ガスの温度  (℃)

W

:  試料はかり取り量 (g)

(

20

)

捕集ガス中に二酸化炭素及び炭化水素が含まれるときは,水素含有率を次の式によって算出す

る。

(

)

W

K

V

V

V

K

c

×

+

×

=

2

3

0

003

.

0

(%)

0

水素

ここに,

V

c

:  燃焼による酸素消費量 (ml)

5.4

不活性ガス加熱パラジウム透過法(図 14

5.4.1

要旨  アルゴン気流中で試料を融点以下の温度で加熱し,水素を他のガスとともに放出させ,アル

ゴンとともに,加熱したパラジウム管 (j) 内を通し,パラジウム管から拡散浸透する水素を一定容積中に

捕集し,その圧力を測定する。

5.4.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,次による。

(a)

硫酸

(b)

五酸化りん

(c)

アルゴン(99.999%以上がよい)

(d)

スポンジチタン

(e)

水銀

(f)

せっけん水

5.4.3

予備操作  予備操作は,次による。

(1)

装置の排気及びテプラーポンプ作動調節

(a)

コック C

1

∼C

6

及び C

7

を開き,油回転ポンプ (s) を作動させ,ガス分析系内を排気する。

約 10 分後水銀拡散ポンプ (n) を作動させる。系内が回転マクラウド真空計 (m) で測定して 10

5

Torr {0.001 3Pa}

程度まで排気されたら,コック C

1

(

21

)

を閉じる。

(b)

コック C

4

及び C

9

を閉じた後,コック C

7

を開き,次にリークコック C

8

をわずかずつ徐々に開く。

テプラーポンプ (o) の水銀だめの水銀が少し上昇したら,タイムスイッチを入れ,油回転ポンプ (s)

がタイマーによって断続的に作動するように電気回路を切り換える。

(c)

タイマーによる油回転ポンプ (s) の動作間隔とテプラーポンプ (o) の水銀の昇降の動作間隔が同

調するようにリークコック C

8

で調節する。

(d)

調節が終了したら,テプラーポンプ (o) の水銀が上昇状態にあるときコック C

6

を閉じ,油回転ポ

ンプ (s) が連続的に作動するように電気回路を切り換える。

(e)

水銀が上昇しきったらコック C

9

を開き,水銀マノメーター (p) 内を排気する。

(2)

ガス抽出系の準備(

22

)

(a)

三方コック C

10

を抽出管とパラジウム管 (j) とが通じるように回し,抽出管及びスポンジチタン管

(e)

をそれぞれ脱ガス温度及び 500∼600℃に加熱する。

(b)

アルゴンを毎分 80∼100ml で流し,抽出管を脱ガス温度で 10∼20 分間脱ガスする。

(c)

パラジウム管 (j) を 600∼800℃(通常 600℃)に加熱する。


29

Z 261

4-199

0

図 14  不活性ガス加熱パラジウム透過法水素定量装置の例


30

Z 2614-1990

図 14 の説明 

a

:  アルゴンボンベ

m

: 回転マクラウド計

b

:  減圧弁 n

: 水銀拡散ポンプ

c

:  流量調節弁 o

: テプラーポンプ

d

:  五酸化りん充てん瓶 p

: 水銀マノメーター

e

:  スポンジチタン管 q

: 目盛板

f

:  五酸化りん管 r

: マノメーター用水銀上下装置(零点調節用)

g

:  試料だめ s

: 油回転ポンプ

h

:  試料ストッパー t

: 加熱炉

i

:  試料投入キャップ

C

1

∼C

7

, C

9

: ガラスコック

j

:  パラジウム管

C

8

, C

11

: リークコック

k

:  硫酸瓶

C

10

: 三方コック

l

:  せっけん膜流量計

(d)

分析を行うために十分な脱ガス状態(

23

)

が得られたならば,抽出管の温度をガス抽出温度まで下げる。

(

21

)

真空度を測定する以外は閉じておく。

(

22

)

測定休止の場合は,ガス抽出系はアルゴンで置換しておく。

(

23

)

空試験値は 30 分間で 2mmHg {0.266 6kPa}  以下がよい(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)

5.4.4

定量試験  予備操作が終わったら,次の手順によって定量操作を行う。

(1)

空試験  試料を投入しないで,放出ガスを捕集し,空試験を行う。操作は,次の(2)以下に準じる。

(2)

試料の分析

(a)

コック C

10

を抽出管が外気に通じるように回し,試料投入キャップ (i) を外し,試料受けに試料を

載せる。再び試料投入キャップを挿入し,約 5 分間アルゴンを外気に放出させた後,三方コック C

10

をガス分析系に通じるように回す。

(b)

水銀マノメーター (p) の水銀柱を零点に合わせる。

(c)

コック C

9

を閉じた後,C

6

を開き,油回転ポンプ (s) が断続的に作動するように電気回路を切り換

える。

(d)

試料投入キャップ (i) を回転して,試料を加熱部に投入する。

(e)

水銀マノメーター (p) の読みがほぼ変化しなくなったら,その値を読み取る。

(f)

抽出管下部の試料ストッパー (h) を回転し,試料を試料だめ (g) に落とす。

(g)

テプラーポンプ (o) の水銀が上昇状態にあるとき,コック C

6

を閉じ,油回転ポンプ (s) が連続的

に作動するように電気回路を切り換える。

(h)

水銀が上昇しきったら,コック C

9

を開き,排気する。

(3)

計算  試料中の水素含有率を,次の式によって算出する(平成 2 年 12 月 31 日まで適用)。

100

000

1

)

(

273

273

4

118

000

000

.

0

(%)

×

ú

û

ù

ê

ë

é

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

+

×

+

×

=

W

P

P

S

V

P

P

T

水素

ここに,

T

室温  (℃)

P

試料分析時の捕集ガス圧力 (mmHg) {kPa}

P'

空試験時の捕集ガス圧力 (mmHg) {kPa}

V

ガス捕集弁とマノメーターの零点までの容積 (ml)

S

マノメーターの断面積 (mm

2

)


31

Z 2614-1990

W

試料はかり取り量 (g)

6.

結果の整理  定量結果には,次の事項を記載しておく。

(1)

試料名

(2)

試料の状態(塊状,線状,板状,粉末又は切削試料など)

(3)

試料調製法

(4)

試料採取量

(5)

定量方法

(6)

ガス抽出温度

(7)

ガス捕集時間

(8)

空試験値

(9)

その他の必要事項

7.

その他の事項

7.1

装置の選定  装置は,分析試料の種類及び分析に要求される性能によって選び,選定に当たっては,

次の事項を考慮する。

(1)

試料の種類及び形状

(2)

試料はかり取り量

(3)

水素含有率

(4)

ガス抽出温度

(5)

共存元素の影響

(6)

測定範囲

(7)

感度

(8)

精密さ

(9)

正確さ

(10)

作業性

7.2

装置の設置  装置の設置に当たっては,それぞれの装置に応じた設置条件を満たす必要があり,一

般に次の条件を備えている場所がよい。

(1)

腐食性ガスやほこりがないこと。

(2)

湿度が高くなく(60%以下)

,温度変化がないこと。

(3)

振動がないこと。

(4)

供給電源の電圧及び周波数の変動がないこと。

(5)

高周波誘導加熱の場合は,十分に接地できること。

7.3

分析誤差とその管理

7.3.1

分析誤差の原因  分析誤差は一般に次の要因によって生じることが多いので,これらの要因は十分

規正する。

(a)

分析試料の不均一(試料採取,偏析)

(b)

試料調製時の汚染

(c)

電源状態及び設置状況の不良(電圧,周波数,温度,振動,ほこり)

(d)

装置の空気漏れ


32

Z 2614-1990

(e)

ガス分析部の調節不良及びドリフト

(f)

ガス抽出温度及びガス捕集時間の不適

(g)

検量線作成の誤り

(h)

計算の誤り

7.3.2

分析誤差の管理  正確な分析値を得るために,使用する装置,分析条件,操作方法などを適正に選

定するとともに,更に分析誤差をできるだけ小さくするために,分析値の正確さを示す各種の特性値を常

に管理して,一定の水準に保つ。これらの特性値の例は次による。

(1)

繰返し精度

1

ˆ

M

σ

  繰返し精度とは,信頼できる同一試料を,特定の同一人が,同一酸素定量方法で,

同一時期に連続して多数回分析した結果から求めた標準偏差であって,使用する装置,分析条件,操

作方法が適正なものであれば小さい値をとる。

繰返し精度は,次の計算式によって求める。

1

/

)

(

1

)

(

ˆ

2

2

2

1

å

å

=

å

=

n

n

x

x

n

x

x

i

i

i

M

σ

ここに,

x

i

:  個々の分析値

x

:  個の分析値の算術平均

n

:  分析値の個数(は 6 以上がよい)

(2)

再現精度

2

ˆ

M

σ

  長期にわたって,装置の劣化や操作の不良などによって分析誤差を生じないようにす

るため,分析の再現精度を管理する。

参考  その一つとして,管理に適した組成をもち,組織的及び形状的に少なくとも 1 か月の連続使用

に耐え得る特定試料を用いて,毎日連続分析する際の装置,操作及びその他に起因する誤差を

管理するための再現精度がある。

再現精度

2

ˆ

M

σ

は同一方法によって毎日特定試料を 1 回分析して得られた測定値群から求めた

標準偏差で,

1

ˆ

M

σ

に比較し通常大きな値を示す。再現精度

2

ˆ

M

σ

の計算式は

1

ˆ

M

σ

と同じである。

(3)

偏差の管理  水素定量値に偏差があるか否かの判断は,一般に分析試料の水素含有率に近い標準試料

又はそれに準じるものを分析し,標準値との差を統計的に検定することによって行う。検定方法の一

例を次に示す。

n

x

t

d

/

ˆ

0

σ

µ

=

ここに,

x

n

個の分析値の算術平均

µ

標準値

n

分析値の個数(は 10 以上がよい)

1

)

(

ˆ

2

å

=

n

x

x

i

d

σ

ここに,  x

i

:  個々の分析値

t

0

 |

t (n-1.a)  のとき偏差があることを認める。

t

0

 |<t (n-1.a)

のとき偏差なしと判定する。

a

:  両側確率

この場合 100 (1−a) %の信頼区間は

n

a

n

t

x

d

/

ˆ

)

.

1

(

)

(

σ

µ

±

で求める。

通常信頼限界は信頼度 95%

が用いられる。この検定においては分析精度が管理状態にないときなど

d

σ

ˆ

が大きいにもかかわらず,

µ

x

が小さい値をとることがあるため“偏差なし”と判定される場合があるので,偏差は

)

(

µ

x

ほかに

d

σ

ˆ

を考慮して管理する。


33

Z 2614-1990

7.3.3

分析誤差の検討  7.3.2 で示した特性値が管理限界を超えたならば,次の諸点に考慮をはらうほか,

更に,そのほかにも誤差の原因をつきとめて除くよう努力しなければならない。

(1)

繰返し精度

1

ˆ

M

σ

の不良  装置の点検,分析条件の検討,操作技能の検討を行う。

(2)

再現精度

2

ˆ

M

σ

の不良

1

ˆ

M

σ

が良好であるにもかかわらず

2

ˆ

M

σ

が不良の場合には,分析者の操作技能,

装置の長期安定性,使用材料の変動及び特定試料の選択について検討する。

(3)

装置間の偏差

1

ˆ

M

σ

及び

2

ˆ

M

σ

が良好であるにもかかわらず偏差がある場合には検量線,測定感度,ガ

スピペット,標準試料の選択について検討する。

7.4

安全衛生  分析操作を行う際には,常に安全及び衛生に注意しなければならないが,特に次の事項

に注意する。

(1)

電気配線はすべて規格にかなうものであり,絶縁と接地は十分に行い,また全回路を切断できる 1 個

の主スイッチを備える。修理及び点検は,主スイッチを切って行う。

(2)

高圧ガスを取り扱う場合は,運搬,設置,操作に十分注意する。

(3)

水銀,排出ガス,洗浄溶媒などの取扱いには,有毒性,引火性,爆発性などに十分注意する。

(4)

脱ガス時及びガス抽出時には一酸化炭素が発生するので,室内の換気に注意する。

(5)

高温な黒鉛るつぼからの光を,できるだけ直接眼に受けないようにする。

(6)

ウランなど放射性のある試料又はベリリウムなど有毒な試料を分析するときは,その取扱い,分析後

の処理に十分注意する。

7.5

各規格で記載すべき項目  金属材料の水素定量方法の各規格では,原則として,次に示す各項目を

決めておく。

(1)

定量方法

(2)

試料採取方法

(3)

試料はかり取り量及び調製方法

(4)

脱ガス温度

(5)

ガス抽出温度

(6)

ガス捕集時間

(7)

結果の整理


34

Z 2614-1990

附属書 

規格本体に規定の従来単位による規格値及び単位は,平成 3 年 1 月 1 日以降,ここに記載する SI 単位に

よる規格値及び単位を適用する。

4.5.2(2) 

加圧成形する場合  大気又は真空(0.933 3kPa 以下)中で加圧成形して,例えば直径約 10mm,厚

さ約 1mm の大きさにする。これを清浄なニッパなどで切断する(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5.1.4(4)(a)(a-2)

常圧ガスピペット(

図 10-a)の A 端をピペット接続管(図 10-c)を用いて標準ガス(ア

ルゴン)の供給源に接続し,コック C

12

,C

13

及び C

14

を開き,A 端から標準ガスを静かに流してピペット

内の空気を置換する。標準ガスの供給を止め,ピペット内にはかり取られた標準ガスの圧力が大気圧と等

しくなるように,またコックのグリースが計量部にはみ出ないように注意して C

12

,C

13

,C

14

をこの順に閉

じる。このときの大気圧 P

0

 (kPa)

及びガスピペット付近の室温 t (℃)  を測定する(平成 3 年 1 月 1 日から

適用)

5.1.4(4)(a)(a-6)

換算係数 K

H

又は K

H

'

を,次の式によって算出する(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

+

=

+

+

=

t

p

b

a

V

P

t

R

p

M

b

a

V

P

K

H

H

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

⋅′

+

=

+

⋅′

+

=

t

p

d

c

V

P

t

R

p

M

d

c

V

P

´

K

H

H

ここに,

K

H

ガスだめを使用しない場合の換算係数 (g/mmOil)

K

H

'

ガスだめを使用する場合の換算係数 (g/mmOil)

P

0

大気圧 (kPa)

V (a

+b):

ガスピペット計量部 (a+b)  内の容積 (ml) ………約 0.2ml

V (c

+d):

ガスピペット計量部 (c+d)  内の容積 (ml) ………約 2ml

M

H

水素の分子量 (2.016)

p

ガスだめを使用しない場合の油マノメーターの読み (mm)

p'

ガスだめを使用する場合の油マノメーターの読み (mm)

R

気体定数 (6.236×10

4

ml

・kPa/℃・mol)

t

室温  (℃)

5.1.4(4)(b)(b-8)

換算係数 K

H

又は K

H

'

を,次の式によって算出する(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

⋅′

+

=

+

+

=

t

p

b

a

V

P

t

R

p

M

b

a

V

P

K

H

H

5

0

0

10

233

.

3

)

273

(

)

(

)

273

(

)

(

×

×

+

⋅′

+

=

+

⋅′

+

=

t

p

d

c

V

P

t

R

p

M

d

c

V

P

´

K

H

H

ここに,

K

H

ガスだめを使用しない場合の換算係数 (g/mmOil)

K

H

'

ガスだめを使用する場合の換算係数 (g/mmOil)

P

0

回転式水銀マノメーターの読み (kPa)

V (a

+b):

ガスピペット計量部 (a+b)  内の容積 (ml) ………約 4ml

V (c

+d):

ガスピペット計量部 (c+d)  内の容積 (ml) ………約 25ml

M

H

水素の分子量 (2.016)

p

ガスだめを使用しない場合の油マノメーターの読み (mm)

p'

ガスだめを使用する場合の油マノメーターの読み (mm)

R

気体定数 (6.236×10

4

ml

・kPa/℃・mol)

t

室温  (℃)


35

Z 2614-1990

5.2.3(2)(b)

装置内の真空度をピラニ真空計 No.2 (r) で測定し,これが 13.3Pa 以下に排気されたら,排気用

水銀拡散ポンプ (h),抽出用水銀エゼクターポンプ (f) 及び水素ガス捕集用水銀エゼクターポンプ (g) を

作動させる(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5.2.3(2)

(

16

)

ピラニ真空計 No.2 (r)  で真空度を測定し,その指示値が 0.133Pa 以下となるまで脱ガス

を行う(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5.2.4(2)(f)

コック C

5

を開き,ピラニ真空計 No.1 (q)  の指示が 0.133Pa 以下となるまで排気する(平成 3 年 1

月 1 日から適用)

5.2.4(2)(1)

ピラニ真空計 No.1 (q)  及び No.2 (r)  の指示が 0.133Pa 以下となったら 5.2.4(2)(a)(k)の操作で次

の試料の分析を行う(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5.2.4(3) 

計算  試料中の水素含有率を,次の式によって算出する(平成 3 年 1 月 1 日から適用)。

)

273

(

)

(

233

003

.

0

(%)

1

1

t

W

V

´

P

P

+

×

=

水素

ここに,

P

1

試料分析時の捕集水素ガスの圧力 (kPa)

P

1

'

空試験時の捕集水素ガスの圧力 (kPa)

t

室温  (℃)

W

試料はかり取り量 (g)

V

水素ガス捕集部の容積 (ml)

5.2.4(4)(c)

コック C

4

,C

12

,C

13

及び C

14

を開き,ピラニ真空計 No.2 の指示が 0.133Pa 以下になるまで排気す

る(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5.2.4(4)(f)

測定時間ごとに捕集された水素ガス圧力から同一時間での空試験値を差し引き,その値が変化し

なくなった点を測定の終点とする(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

)

(

2

2

0

0

´

P

P

V

P

V

=

ここに,

P

0

ガスピペットに採取した標準水素ガスの圧力 (kPa)

V

0

ガスピペットの容積 (ml)

P

2

捕集された水素ガス圧力 (kPa)

P

2

'

空試験時のガス圧力 (kPa)

5.3.4(3) 

計算  試料中の水素含有率を,次の式によって算出する(

20

)

(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

W

K

V

V

k

×

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

=

2

0

006

.

0

(%)

0

水素

ここに,

V

0

:  燃焼によって減少したガスの容積 (ml)

V

K

:  燃焼によって生成した二酸化炭素の容積 (ml)

 

K

)

273

(

760

)

(

283

t

f

H

+

H

t

℃における大気圧 (kPa)

f

t

℃における水蒸気圧 (kPa)

t

ガスの温度  (℃)

W

試料はかり取り量 (g)

5.4.3(2)(d)

(

23

)

空試験値は 30 分間で 0.266 6kPa 以上がよい(平成 3 年 1 月 1 日から適用)

5.4.4(3) 

計算  試料中の水素含有率を,次の式によって算出する(平成 3 年 1 月 1 日から適用)。

100

000

1

)

(

273

273

4

118

000

000

.

0

(%)

×

ú

û

ù

ê

ë

é

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

+

×

+

×

=

W

P

P

S

V

P

P

T

水素

ここに,

T

室温  (℃)


36

Z 2614-1990

P

試料分析時の捕集ガス圧力 (kPa)

P'

空試験時の捕集ガス圧力 (kPa)

V

ガス捕集弁とマノメーターの零点までの容積 (ml)

S

マノメーターの断面積 (mm

2

)

W

試料はかり取り量 (g)

鉄鋼部会  金属材料の酸素・水素分析方法専門委員会  構成表(昭和 48 年 3 月 1 日制定のとき)

氏名

所属

(委員会長)

平  野  四  藏

東洋大学

水  池      敦

名古屋大学

小鹿原  猪  一

東京理科大学

須  藤  恵美子

科学技術庁金属材料技術研究所

西  村      一

工業技術院標準部

神  森  大  彦

日本化学会

服  部  只  雄

日本分析化学研究所

多  田  格  三

東京芝浦電気株式会社

山  口  直  治

新日本製鐵株式会社

新  見  敬  古

住友金属工業株式会社

成  田  貴  一

株式会社神戸製鋼所

榊          隆

日本特殊鋼株式会社

望  月  平  一

日本冶金工業株式会社

高  久  通  夫

古河電気工業株式会社

滝  沢  宗  治

日本鉱業株式会社

宮  沢  藤  藏

東邦チタニウム株式会社

小  野  主  嘉

大阪チタニウム製造株式会社

古  矢  元  佑

清峰金属工業株式会社

中  井  陽  作

国際電気株式会社

菊  地      正

株式会社離合社

(事務局)

石  井  清  次

工業技術院標準部材料規格課

細  井  敏  明

工業技術院標準部材料規格課

(事務局)

石  井  清  次

工業技術院標準部材料規格課(昭和 51 年 3 月 1 日改正のとき)

土  居  修  身

工業技術院標準部材料規格課(昭和 51 年 3 月 1 日改正のとき)

(事務局)

近  藤      弘

工業技術院標準部材料規格課(平成 2 年 7 月 1 日改正のとき)

斉  藤  和  則

工業技術院標準部材料規格課(平成 2 年 7 月 1 日改正のとき)