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Z 2343-1 : 2001

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。これによって,JIS Z 2343 : 1992 は廃止され,JIS Z 2343-1JIS Z 2343-4 に置き換え

られる。

制定に当たっては,国際規格に整合した日本工業規格を作成するために,ISO/DIS 3452-1 : 1994

(Non-destructive testing-penetrant testing

−Part 1)  の基となっている,EN 571-1 : 1997 (Non-destructive

testing-penetrant testing

−Part 1 : General principles)  を基礎として用いた。

JIS Z 2343-1

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  浸透探傷試験の主要工程

附属書 B(参考)  試験報告書例

JIS Z 2343

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

Z

2343-1

  第 1 部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類

JIS

Z

2343-2

  第 2 部:浸透探傷剤の試験

JIS

Z

2343-3

  第 3 部:対比試験片

JIS

Z

2343-4

  第 4 部:装置


Z 2343-1 : 2001

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  安全上の予防措置

2

5.

  一般事項

2

5.1

  一般

2

5.2

  方法の説明

3

5.3

  試験順序

3

5.4

  装置

3

5.5

  有効性

3

6.

  探傷剤の組合せ,感度及び分類

3

6.1

  探傷剤の組合せ

3

6.2

  探傷剤の分類

3

6.3

  感度

4

6.4

  探傷剤の組合せの呼称

4

7.

  探傷剤及び試験体の適合性

4

7.1

  一般事項

4

7.2

  探傷剤の適合性

4

7.3

  探傷剤及び試験体の適合性

4

8.

  試験手順

5

8.1

  試験手順書

5

8.2

  準備及び前処理

5

8.2.1

  機械的前処理

5

8.2.2

  化学的前処理

5

8.2.3

  乾燥

5

8.3

  浸透液の適用

5

8.3.1

  適用方法

5

8.3.2

  温度

5

8.3.3

  浸透時間

5

8.4

  余剰浸透液の除去

5

8.4.1

  一般事項

5

8.4.2

  水

5

8.4.3

  有機溶剤除去剤

6

8.4.4

  乳化剤

6


Z 2343-1 : 2001

目次

(2) 

ページ

8.4.4.1

  水ベース(水希釈性)乳化剤

6

8.4.4.2

  油ベース乳化剤

6

8.4.5

  水及び有機溶剤

6

8.4.6

  余剰浸透液の除去確認

6

8.4.7

  乾燥

6

8.5

  現像剤の適用

7

8.5.1

  一般事項

7

8.5.2

  乾式現像剤

7

8.5.3

  水溶性現像剤

7

8.5.4

  水懸濁性現像剤

7

8.5.5

  速乾式現像剤

7

8.5.6

  特殊用途用(例:はく離可能な現像剤)

7

8.5.7

  現像時間

7

8.6

  観察

7

8.6.1

  一般事項

7

8.6.2

  観察条件

8

8.6.2.1

  蛍光浸透探傷試験

8

8.6.2.2

  染色浸透探傷試験

8

8.7

  記録

8

8.8

  後処理及び防せい措置

8

8.8.1

  後処理

8

8.8.2

  防せい措置

8

8.9

  再試験

8

9.

  試験報告書及び様式

8

9.1

  試験報告書

8

9.2

  試験報告書の様式

9

10.

  浸透指示模様及びきずの分類

9

10.1

  浸透指示模様の分類

9

10.2

  きずの分類

9

11.

  表示

10

附属書 A(規定)  浸透探傷試験の主要工程

11

附属書 B(参考)  試験報告書例

12


日本工業規格

JIS

 Z

2343-1

: 2001

非破壊試験−浸透探傷試験−

第 1 部:一般通則:浸透探傷試験方法及び

浸透指示模様の分類

Non-destructive testing

−Penetrant testing−Part 1 : General principles−

Method for liquid penetrant testing and classification of the

penetrant indication

序文  この規格は,1997 年に第 1 版として発行された EN 571-1 (ISO/DIS 3452-1) Non-destructive testing−

Penetrant testing

−Part 1 : General principles を基に,対応する部分については EN(ヨーロッパ)規格を翻訳

し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応 EN 規格には規定されていない

部分(浸透指示模様及びきずの分類,表示など)については,従来の日本工業規格を変更せずに追加して

規定している。

EN

規格の

附属書 A(規定)は,本体と一体として取り入れて規定した。

1.

適用範囲  この規格は,製造中,供用中の材料及び製品(以下,試験体という。)の表面に開口してい

るきず,例えば,き裂,重なり,しわ,ポロシティ及び融合不良を検出するために用いる浸透探傷試験方

法(以下,試験という。

)並びにきずによる浸透探傷指示模様の分類方法について規定する。試験は主とし

て金属材料に適用されるが,探傷試験用材料に侵されず,あまり多孔質(ポーラス)でなければ他の材料

にも適用できる。

適用材料の例としては,鋳造品,鍛造品,溶接部,セラミックスなどがある。

この規格は,合格基準のために用いることを意図したものではなく,また,特殊な試験方法に対する個々

の試験システムの妥当性又は試験装置に対する要求事項に関する情報を提供するものでもない。

この規格で用いられている技術用語の“きず”の意味には,合格又は不合格に関する評価は含まないも

のとする。

使用される浸透探傷試験用の製品(以下,探傷剤という。

)の基本的な性質を判断し監視する方法は,JIS 

Z 2343-2

及び JIS Z 2343-3 に規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規

格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補は適用しない。発効年(又は発行年)を付記し

ていない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0431

  鉄鋼製品の非破壊技術者の資格及び認証


2

Z 2343-1 : 2001

備考  ISO 11484 : 1994 [Steel tubes for pressure purposes − Qualification and certification of

non-destructive testing (NDT) personnel]

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等と

する。

JIS W 0905

  航空宇宙用非破壊検査員の技量認定基準

JIS Z 2300

  非破壊試験用語

JIS Z 2305

  非破壊試験−技術者の資格及び認証

備考  ISO 9712 : 1999 (Non-destructive testing−Qualification and certification of personnel)  からの引用

事項は,この規格の該当事項と同等とする。

JIS Z 2343-2

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 2 部:浸透探傷剤の試験

備考  ISO 3452-2 : 2000 (Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 2 : Testing of penetrant

materials)

が,この規格と一致している。

JIS Z 2343-3

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 3 部:対比試験片

備考  ISO 3452-3 : 1998 (Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 3 : Reference test blocks)  から

の引用事項は,この規格の該当事項と同等とする。

JIS Z 2343-4

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 4 部:装置

備考  ISO 3452-4 : 1998 (Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 4 : Equipment)  がこの規格と

一致している。

ISO 3059

  Non-destructive testing−Penetrant testing and magnetic particle testing−Viewing conditions

3.

定義  この規格で用いられる主な用語の定義は,JIS Z 2300 による。

4.

安全上の予防措置  探傷剤は,引火性又は揮発性の材料を使用しているので,ときには有害となるた

め,何らかの予防措置を行わなければならない。

これらの探傷剤は,皮膚又は粘膜に対して長時間にわたる接触又は繰返し接触することを避けなければ

ならない。試験区域は,労働安全衛生法及び消防法の法的規制に従って適正に換気しなければならない。

また,熱源,火花及び火炎から離れた場所に設置しなければならない。

探傷剤と装置は,注意して用いなければならない。また,常に探傷剤製造業者によって提供された使用

説明書に従わなければならない。

紫外線照射灯(以下,ブラックライトという。

)を用いる場合は,遮へいされてない紫外線が試験員の眼

に直接届かないよう注意しなければならない。紫外線透過フィルタがブラックライトの構成部品の一部で

あるなしに関係なく,紫外線透過フィルタは常に良好な状態に維持しなければならない。

ブラックライトについては,健康上及び安全上に関しての法的規制を受ける。

5.

一般事項

5.1

一般  一般事項を次に示す。

a)

試験方法の選定試験を実施するに当たっては,あらかじめ試験体に予測されるきずの種類,大きさ,

試験体の用途,表面粗さ,寸法,数量,探傷剤の性質などを考慮して,

表 の分類のうちから適用す

る探傷剤を選定し同時に 8.の要領を基にして,操作の細目を定めておくものとする。

b)

試験は有能な試験員によって又は有能な試験員の監督下において実施しなければならない。試験員の

資格が要求される場合は,JIS Z 2305JIS G 0431 又は JIS W 0905 の資格者及び客観性をもつ認定試


3

Z 2343-1 : 2001

験制度に基づく資格者でなければならない。

c)

探傷剤を組み合わせて試験を行う場合は,製造業者が推奨する組合せで使用する。それ以外の組合せ

で試験を行う場合は,その組合せが適用可能であることを確認してから使用しなければならない。

d)

特に受渡当事者間で合意されていない場合は,一般に染色浸透探傷試験の後に蛍光浸透探傷試験を適

用してはならない。

5.2

方法の説明  浸透探傷試験に先立って,試験面は清浄に,かつ,乾燥していなければならない。次

に浸透液を試験体に適用し,表面に開口したきずに浸透させる。浸透時間経過後,余剰の浸透液を表面か

ら除去し現像剤を適用する。現像剤はきずに浸透し残留した浸透液を吸収し,可視的に明りょうに強調さ

れたきずによる浸透指示模様を示す。

他の非破壊試験が必要な場合で,受渡当事者間に合意がなければ,開口きずを汚染させないために,最

初に浸透探傷試験を行わなければならない。もしも浸透探傷試験が他の非破壊試験の後に行われる場合は,

試験表面は浸透液適用前に汚染物を取り除くための処理を十分に行わなければならない。

5.3

試験順序  一般的な試験のための操作順序を附属書 A(規定)に示す。また,試験は,次の順序で

行う。

a)

準備及び前処理(8.2 参照)

b)

浸透液の適用(8.3 参照)

c)

余剰浸透液の除去(8.4 参照)

d)

現像剤の適用(8.5 参照)

e)

観察(8.6 参照)

f)

記録(8.7 参照)

g)

後処理及び防せい措置(8.8 参照)

5.4

装置  試験を実施するための装置は,試験体の数量,寸法及び形状によって決まる。

装置に関する要求事項については,JIS Z 2343-4 を参照する。

5.5

有効性  試験の有効性は,次による。

a)

探傷剤と試験装置の種類

b)

表面仕上げと表面条件

c)

試験体と予想されるきずの種類

d)

試験体表面の温度

e)

浸透時間と現像時間

f)

観察条件

g)

その他

6.

探傷剤の組合せ,感度及び分類

6.1

探傷剤の組合せ  探傷剤の組合せを表 に示す。組合せは浸透液,余剰浸透液除去剤及び現像剤で

構成される。溶剤除去性浸透探傷試験において形式試験が JIS Z 2343-2 に基づく場合は,浸透液と除去液

は同一製造業者の製品でなければならない。

6.2

探傷剤の分類  探傷剤の分類は,表 による。


4

Z 2343-1 : 2001

表 1  探傷剤

浸透液

余剰浸透液の除去剤

現像剤

タイプ

呼称

方法

呼称

フォーム

呼称

I

II

III

蛍光浸透液 
染色浸透液 
二元性浸透液

蛍光浸透液と 
染色浸透液の 
両者を含有

A

B

C

D

E

水 
油ベース乳化剤

1.

油ベース乳化剤

2.

流水によるすすぎ

有機溶剤(液体) 
水ベース乳化剤

1.

予備水洗

2.

乳化剤(水希釈)

3.

最終洗浄(水)

水及び有機溶剤

a

b

c

d

e

乾式 
水溶性湿式 
水懸濁性湿式

速乾式 
特殊用途用

(例  はく離可能な現像剤)

備考  特別な用途については,引火性,硫黄,ハロゲン,ナトリウム含有量及び他の汚染物に関する特別要求事

項を満たす探傷剤を使用する必要がある(JIS Z 2343-2 を参照)

6.3

感度  探傷剤の組合せによる感度レベルは,JIS Z 2343-3 に規定する対比試験片を用いて決定し,ま

た,承認された探傷剤の組合せの試験で使用した試験で感度レベルを評価する。

6.4

探傷剤の組合せの呼称  試験に使用する推奨された探傷剤の組合せは,浸透液のタイプ,余剰浸透

液の除去剤による方法及び現像剤のフォーム並びに JIS Z 2343-3 に規定するタイプ 1 対比試験片を用いて

実施した試験で得られる感度レベルを示す数字から構成される呼称が与えられる。

例えば,JIS Z 2343-1 及び JIS Z 2343-2 を適用した蛍光浸透液 (I),余剰浸透液除去剤としての水 (A),

及び乾式現像剤 (a) 及びシステム感度レベル 2 で構成する推奨された探傷剤の組合せと試験方法の呼称は,

次による。

探傷剤組合せ:JIS Z 2343-1

IAa-2

7.

探傷剤及び試験体の適合性

7.1

一般事項  探傷剤と試験体は,計画されている目的に適合したものでなければならない。

7.2

探傷剤の適合性  探傷剤は,お互いに適合できるものでなければならない。

探傷剤を探傷装置へ初期挿入する場合,製造業者の異なる探傷剤を混合してはならない。また,探傷剤

を補充する場合も,他の製造業者の探傷剤を用いてはならない。

7.3

探傷剤及び試験体の適合性  探傷剤及び試験体の適合性は,次による。

a)

ほとんどの場合,探傷剤と試験体の適合性は,JIS Z 2343-2 に規定する腐食試験の結果によって使用

前に確認できる。

b)

探傷剤は,幾つかの非金属の化学的又は物理的性質に悪影響を及ぼすことがあるため,このような材

料から製造された部品又は組立品を試験する場合は,事前に適合性を確かめておかなければならない。

c)

探傷剤が燃料,潤滑油,流体などに混入する可能性のある場合は,それが有害な影響を及ぼさないこ

とを確かめておく。

d)

過酸化物ロケット燃料,爆発物保持物(これらは爆発性推進薬,起爆材料,花火材料などをもつすべ

ての品目を含む。

,酸素装置又は原子力機器への適用に関しては,探傷剤の適合性は特別の配慮を必

要とする。

e)

後処理を実施した後に探傷剤が試験体に残存した場合は,応力腐食割れ又は腐食疲労割れを生じる可

能性がある。


5

Z 2343-1 : 2001

8.

試験手順

8.1

試験手順書  契約で試験手順書が要求される場合は,試験手順書を作成し試験前に承認されていな

ければならない。

8.2

準備及び前処理  試験体がスケール,さび,油脂,グリス,塗料などで汚染されている場合は,機

械的又は化学的方法若しくはこれらの方法を組み合わせて,除去しなければならない。

試験面に残存物がなく,浸透液がどのようなきずにも浸透できるものであることを前処理によって確か

めておかなければならない。前処理を行う範囲は,試験面が隣接する領域から汚染物による影響を受けな

い十分な広さとしなければならない。

8.2.1

機械的前処理  スケール,スラグ,さびなどは,ブラシ,磨き,研磨,ブラスト,高水圧ブラスト

などのような適切な方法を用いて除去しなければならない。これらの方法は表面から汚染物を除去できる

が,通常,きずの内部に入っている汚染物まで除去できない。すべての方法,特にショットブラストの注

意として,塑性変形又は研磨材料の詰りによってきず開口部が覆い隠されないことを確かめなければなら

ない。もしも必要ならば,きずを開口させるために引き続きエッチング処理を実施し,その後で適切なす

すぎと乾燥とを行わなければならない。

8.2.2

化学的前処理  グリス,油脂,塗料又はエッチング剤のような残存物を除去するために,適切な化

学的洗浄剤を用いて化学的前処理を実施しなければならない。

化学的前処理剤の残査は,浸透液と反応し検出感度を著しく低下させることがある。特に酸及びクロム

酸塩は,蛍光浸透液の蛍光輝度と染色浸透液の色調を著しく低下させることがある。このことから,使用

した化学的洗浄剤は,水すすぎを含む適切な洗浄方法を用いて試験面から除去しなければならない。

8.2.3

乾燥  前処理の最終段階として,水又は有機溶剤がきず内に残存しないように試験体を完全に乾燥

しなければならない。

8.3

浸透液の適用

8.3.1

適用方法  浸透液は,試験体にスプレー法,はけぬり法,注ぎかけ法,一部分の浸せき法又は全浸

せき法によって適用できる。

浸透時間中は,試験面が完全にぬれていることを保証するために注意を払わなければならない。

8.3.2

温度  試験面の温度は,通常 10∼50℃の範囲としなければならない。特別の場合は,5℃程度の低

い温度までは適用してもよい。

10

℃未満又は 50℃を超える温度については,JIS Z 2343-2 に基づきこの目的に対し推奨された探傷剤の

組合せ及び試験手順で適用しなければならない。

備考  特に低温度範囲においては,水分がきず内部と表面上で結露するおそれがあり,この結露水は

浸透液がきずに浸透するのを妨げる。

8.3.3

浸透時間  適切な浸透時間は,浸透液の性質,適用温度,試験体及び検出すべききずの種類によっ

て左右される。

浸透時間は,5∼60 分までの範囲で変化させることができる。浸透時間が試験手順書に記載されていな

い場合,浸透時間は感度を判断するために用いられる 6.3 の感度を決めるための浸透時間と少なくとも同

じ長さにすることが望ましい。いかなる場合にも,浸透時間中に浸透液を乾燥させてはならない。

8.4

余剰浸透液の除去

8.4.1

一般事項  洗浄剤の適用によって,きず内部に浸透した浸透液を取り除くことをしてはならない。

8.4.2

水  適切なすすぎ技法を用いて余剰浸透液を取り除かなければならない。


6

Z 2343-1 : 2001

適用例  吹付け又は湿った布によるふき取り方法  すすぎ方法によって生じる機械的作用の影響

が最小となるように注意を払わなければならない。このときの水温は,50℃を超えてはな

らない。

8.4.3

有機溶剤除去剤  一般的に,最初に清潔な糸くずのでない布(又は紙)を用いて余剰浸透液を除去

しなければならない。次に有機溶剤除去剤で少し湿らせた清潔な糸くずのでない布(又は紙)によって除

去処理を実施しなければならない。

これ以外の方法として有機溶剤除去剤を試験面に直接吹き付ける場合は,受渡当事者間で承認がなされ

ていなければならない。

8.4.4

乳化剤

8.4.4.1

水ベース(水希釈性)乳化剤  試験面から後乳化性浸透液の除去を可能とするためには,乳化剤

の適用によって浸透液に水洗性をもたせなければならない。乳化剤の適用に先立ち,水によって試験面か

ら大部分の余剰浸透液を除去する。このことは,続いて適用される水ベース乳化剤が均一に作用すること

になる。

浸せき法又は泡立て装置を用いて乳化剤を適用しなければならない。使用者は,探傷剤製造業者の使用

説明書に従った予備試験を実施し,乳化剤の濃度と乳化時間を決めなければならない。決められた乳化時

間を超えて乳化処理をしてはならない。乳化時間が経過した後,8.4.2 の規定に基づき最終洗浄を実施しな

ければならない。

8.4.4.2

油ベース乳化剤  試験面から後乳化性浸透液の除去を可能とするためには,乳化剤の適用によっ

て浸透液に水洗性をもたせなければならない。適用方法は浸せき法又は注ぎかけ法による。使用者は,探

傷剤製造業者の使用説明書に従った予備試験を実施し乳化時間を決めなければならない。

この乳化時間は,次の洗浄工程において試験面から余剰浸透液を十分除去できることを可能にできる時

間としなければならない。決められた乳化時間を超えて乳化処理をしてはならない。乳化時間が経過した

後直ちに 8.4.2 の規定に基づき洗浄を実施しなければならない。

8.4.5

水及び有機溶剤  余剰の水洗性浸透液は,最初,水で除去しなければならない(8.4.2 参照)。次に

糸くずのでない清潔な布又は紙にてふき取る。このときに,糸くずのでない清潔な布又は紙で有機溶剤を

軽く湿めらせて用いることができる。

8.4.6

余剰浸透液の除去確認  余剰浸透液除去処理中は,試験面に残留している浸透液の程度を目視によ

って確認しなければならない。蛍光浸透液については,ブラックライトの照射の下で実施しなければなら

ない。試験面における最小紫外線強度は 3W/m

2

 (300

µW/cm

2

)

未満であってはならない。

余剰浸透液除去後も過剰なバックグラウンドが残る場合,その後の処置については 5.1b)で認定された試

験員によって決定されなければならない。

8.4.7

乾燥  余分な水を速やかに乾燥させるため,試験体から水滴及び水たまりを除去しなければならな

い。

湿式現像剤を用いる場合を除いて,余剰浸透液を除去した後,次の方法の一つを用いて可能なかぎり速

やかに試験面を乾燥させなければならない。

a)

清潔で乾いた糸くずのでない布又は紙でふく。

b)

温水中に浸せき後室温で乾燥

c)

高温での乾燥

d)

強制的空気循環

e)

上記 a)d)の方法の組合せ


7

Z 2343-1 : 2001

圧縮空気を用いる場合は,その空気は水分及び油脂を含んでおらず,試験面での圧力を可能な限り低く

保持できるよう注意を払わなければならない。きずに浸透している浸透液が乾燥しない方法で,試験面の

乾燥を実施しなければならない。

特別に認められている場合を除いて,乾燥中の試験面温度は 50℃を超えてはならない。

8.5

現像剤の適用

8.5.1

一般事項  現像剤は,均質な状態に維持し試験面に一様に適用しなければならない。

現像剤の適用は余剰浸透液の除去後できるだけ速やかに実施しなければならない。

8.5.2

乾式現像剤  乾式現像剤は,蛍光浸透探傷試験法に限り適用してよい。乾式現像剤は次の技法の一

つによって試験面に均一に適用しなければならない。

適用技法:散布法,静電噴霧法,粉末塗布ノズル法又は流動床法若しくは浸せき法

試験面は,現像剤で薄く覆われ,また,現像剤が局部的に密集することを避けなければならない。

8.5.3

水溶性現像剤  現像剤を薄く均一に適用するためには,かくはんされた懸濁液中に浸せきするか,

承認された試験手順書に従って適切な装置で吹き付けによって実施されなければならない。現像剤の浸せ

き時間と温度は,製造業者の使用説明書に従った予備試験を通じ使用者が決めなければならない。最適の

結果を確保するために,浸せき時間は可能な限り短くしなければならない。

試験体は,蒸発又は熱風循環式乾燥器の使用によって乾燥させなければならない。

8.5.4

水懸濁性現像剤  現像剤を薄く均一に適用するためには,かくはんされた懸濁液中に浸せきするか

承認された手順書に従って適正な装置で吹き付ける。現像剤の浸せき時間と温度は製造業者の使用説明書

に従った予備試験を通じ使用者が決めなければならない。最適の結果を確保するために,浸せき時間は可

能な限り短くしなければならない。

試験体は,蒸発又は熱風循環式乾燥器の使用によって乾燥させなければならない。

8.5.5

速乾式現像剤  現像剤は,スプレー法によって均一な塗膜ができるように適用しなければならない。

スプレー法は,現像剤が試験面を軽く湿らせ薄く均一な層を形成できるものでなければならない。

8.5.6

特殊用途用(例:はく離可能な現像剤)  記録する必要のある浸透指示模様を検出した場合は,は

く離可能な現像剤を用いて記録することができる。その手順は次による。

a)

清潔で乾いた糸くずのでない布又は紙で現像剤をぬぐう。

b)

同じ浸透液を適切な方法で適用する。その後の処理は,現像剤の適用まで最初に用いた方法と全く同

様の方法で行う。

c)

余剰浸透液の除去及び試験面の乾燥後,製造業者の推奨するはく離現像剤を適用する。

d)

現像時間が経過した後,現像剤の皮膜を注意深く引きはがす。試験面に直接接触した塗膜面上に浸透

指示模様が現われる。

8.5.7

現像時間  現像時間は,10∼30 分の間とすることが望ましい。受渡当事者間で,更に長い時間を

決めてもよい。現像時間の開始は,次による。

a)

乾式現像剤が適用された場合は,適用直後とする。

b)

湿式及び速乾式現像剤が適用された場合は,乾燥直後とする。

8.6

観察

8.6.1

一般事項  一般的に最初の観察は,現像剤の適用後直ちに又は乾燥後できるだけ早く実施すること

が望ましい。

必要な現像時間が経過した後,最終観察を実施しなければならない。

拡大装置又は眼鏡のように観察条件を改善する装置を使用することができる。浸透指示模様の直径,幅


8

Z 2343-1 : 2001

及び色彩の強さは,重要な情報を与える。

8.6.2

観察条件

8.6.2.1

蛍光浸透探傷試験  光可逆変色を起こす眼鏡は,着用してはならない。

検査場所での試験員の眼を暗順応させるために要する必要な時間は,通常,少なくとも 5 分間としなけ

ればならない。

試験員の眼に紫外線を直接入射させてはならない。検査室は,試験員が観察するすべての面で蛍光を発

してはならない。

ブラックライトの下で,蛍光を発する布又は紙が試験員の視野に入ってはならない。

試験員が試験場所内を自由に移動できるように,必要ならばブラックライトによる背景照明を設けても

よい。

試験表面は,ISO 3059 に従ったブラックライトの下で観察しなければならない。試験面における紫外線

強度は,10W/m

2

 (1 000

µW/cm

2

)

未満であってはならない。

観察するときの検査ブースの明るさは,20lx 以下とする。

8.6.2.2

染色浸透探傷試験  自然光又は白色光下で試験面は,500lx 以上の照度で観察しなければならな

い。まぶしい光又は反射した光が眼に入らないような観察条件にしなければならない。

8.7

記録  記録は,次の方法のいずれかによる。

a)

筆記説明

b)

描写

c)

セロハンテープ

d)

はく離現像剤

e)

写真

f)

電子複写

g)

ビデオテープ

8.8

後処理及び防せい措置

8.8.1

後処理  探傷剤が試験体に対し後の加工工程又は稼動条件に影響を与える場合は,最終検査後に後

処理を行う必要がある。

8.8.2

防せい措置  必要に応じ防せい措置をしなければならない。

8.9

再試験  浸透指示模様の評価が不明確で再試験が必要な場合には,前処理からすべての試験手順を

繰り返さなければならない。

必要ならば,より好ましい試験条件を選定しなければならない。きず内部に残っている浸透液を完全に

取り除くことができない場合には,前回と異なった種類の浸透液又は異なった製造業者の浸透液は,使用

してはならない。

9.

試験報告書及び様式

9.1

試験報告書  試験報告書には,この規格に関連する次の事項が含まなければならない。

a)

試験体の情報

名称

寸法

材質

表面状態


9

Z 2343-1 : 2001

工程上の段階

b)

試験の適用範囲

c)

ロット番号,製造業者名及びその製品名並びに 6.4 で規定した探傷剤の分類の名称

d)

試験手順書番号

e)

手順書からの逸脱

f)

試験結果(検出されたきずの説明)

g)

試験場所,試験年月日,試験員の氏名

h)

試験監督者の氏名,認定証明書及び署名

9.2

試験報告書の様式  試験報告に用いることのできる様式の割り付けを附属書 B(参考)に示す。こ

のデータは,適宜試験体の種類によって修正すべきであるが,

附属書 には試験結果の評価に重要な方法

に関するすべての詳細及び試験体に関する追加の情報を含んでいる。もしも他の様式を使用するならば,

9.1a)

h)に記載したすべての事項を含まなければならない。

もしも試験手順書が 9.1 の a)d)に述べた事項を含み 8.1 の要求事項を充足し,かつ,適切な方法で e)

h)の事項が文書化されているならば,試験報告書は省略してもよい。

10.

浸透指示模様及びきずの分類

10.1

浸透指示模様の分類

10.1.1

浸透指示模様の分類は,次の手順によって行う。

a)

浸透指示模様の分類は,8.に示した方法によって浸透指示模様を検出し,指示模様が疑似指示でない

ことを確認してから行う。

b)

浸透指示模様の分類は,補修又は手直しを必要とするものについては,補修又は手直しの前後で行う

ものとする。

10.1.2

浸透指示模様は,形状及び存在の状態から,次のように分類する。

a)

独立浸透指示模様  独立して存在する個々の浸透指示模様は,次の 3 種類に分類する。

1)

割れによる浸透指示模様  8.6 によって割れであることが確認されたきず指示模様。

2)

線状浸透指示模様  割れによらない浸透指示模様のうち,その長さが幅の 3 倍以上のもの。

3)

円形状浸透指示模様  割れによらない浸透指示模様のうち,線状浸透指示模様以外のもの。

b)

連続浸透指示模様  複数個の指示模様がほぼ同一直線上に連なって存在し,その相互の距離が 2mm

以下の浸透指示模様。浸透指示模様の指示の長さは,特に指定がない場合,浸透指示模様の個々の長

さ及び相互の距離を加え合わせた値とする。

c)

分散浸透指示模様  一定の面積内に,複数個の浸透指示模様が分散して存在する浸透指示模様。

10.1.3

浸透指示模様からの情報では,割れ,線状又は円形状の分類ができない場合は,次の方法による。

10.2

きずの分類  きずの分類の手順は,次の手順によって行う。

a)

きずの分類は,浸透指示模様を 10.1 によって分類した後に行う。

b)

きずは,指示模様を取り除いて試験体表面に現れたきずを観察し,寸法を測定して記録する。この場

合,きずが認めにくい場合には,拡大鏡,エッチングなど適切な方法を用いる。

10.3

きずは,形状及び存在の状態から,次のように分類する。

a)

独立したきず  独立して存在するきずは,次の 3 種類に分類する。

1)

割れ  割れと認められたもの。

2)

線状のきず  割れ以外のきずで,その長さが幅の 3 倍以上のもの。


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3)

円形状のきず  割れ以外のきずで,線状きずでないもの。

b)

連続したきず  割れ,線状きず及び円形状きずが,ほぼ同一直線上に存在し,その相互の距離と個々

の長さとの関係から,一つの連続したきずと認められるもの。きずの長さは,特に指定がない場合は,

きずの個々の長さ及び相互の距離を加え合わせた値とする。

c)

分散したきず  定められた面積の中に存在する 1 個以上のきず。分散したきずは,きずの種類,個数

又は個々の長さの合計値によって評価する。

11.

表示  表示は,次による。

試験を実施し,合格した試験体で表示を要するものについては,次によって表示を行う。表示は,その

後の取扱いによって消失又は変色のおそれがない方法を選択しなければならない。

a)

全数検査の場合

1)

刻印,腐食又は着色(えび茶)によって,試験体に P の記号を表示する。

2)

試験体に P の表示を行うことが困難な場合には,えび茶に着色して表示する。

3)

上記の表示ができない場合は,試験記録に記載した方法による。

b)

抜取検査の場合  合格したロットのすべての試験体に,a)に準じて⃝

P

の記号又は着色(黄色に限る。

によって表示する。


11

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附属書 A(規定)  浸透探傷試験の主要工程

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであって,規定の一部である。


12

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附属書 B(参考)  試験報告書例

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであって,規定の一部ではない。

試験報告書例

試験報告書

会社名:                            参照番号:

部名:                              副参照番号:

              浸透探傷試験

              報告書番号:          何枚目/総ページ:    /

プロジェクト:                      品名    :

指示者:                            製造番号:

指示書のオーダー番号:              図面番号:

被験個所:                          別の詳細,例えば

                                    溶接プラン番号:      試験フォローアッププラン番号:

寸法:                              溶接番号:            シート番号:

                                    ユニット番号:        部品番号:

材質:                              鋳造番号:            型番号:

表面状態:

熱処理条件:

前処置:

試験指示:                          (例えば仕様書,試験方向,出荷条件)

試験の適用範囲:

浸透探傷システム

呼称:                      (追加詳細,例えば JIS Z 2343-2 に従う腐食成分を含有してはならない。)

製造業者名:

製品名称

浸透液:                                        製造番号(ロット):

余剰浸透液除去剤:                              製造番号(ロット):

現像剤:                                        製造番号(ロット):

試験要領

試験温度:                            余剰浸透液除去(追加詳細,例えば耐食剤):

前処理:                              乳化時間:

乾燥:                                乾燥:

浸透時間:                            現像時間:

                                      後処理:

試験指示書からの逸脱:

JIS Z 2343-1

からの逸脱:

試験結果:                  (例えばきず部:位置,種類,分布,寸法,個数の詳細;スケッチ)


13

Z 2343-1 : 2001

試験の場所:                          試験の日付:              試験員の氏名:

評価(試験指示書に従った):                  合格:                    不合格:

所見:

試験監督者氏名:                            認証:          日付:            署名:

又は

部長/専門家:                                              日付:            署名:

又は

検査会社:                                                  日付:            署名:

JIS Z 2343-1

(非破壊試験−浸透探傷試験−第 1 部:

一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類)原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

関  根  和  喜

横浜国立大学工学部

(幹事)

鈴  木  尚  美

テスコ株式会社

上  村  勝  二

栄進化学株式会社

細  谷  昌  厚

石川島播磨重工業株式会社

(委員)

穐  山  貞  治

経済産業省産業技術環境局標準課

橋  本      進

財団法人日本規格協会

堀  川  浩  甫

社団法人日本溶接協会(大阪大学接合科学研究所)

初  谷  正  治

社団法人軽金属溶接構造協会

迫  田      豪

社団法人非破壊検査振興協会(日本工業検査株式会社)

守  井  隆  史

社団法人日本鉄鋼連盟(川崎製鉄株式会社)

藤  本  道  男

社団法人全国鐵構工業連合会

三  好      滋

財団法人発電設備技術検査協会

徳  岡  優  和

日本溶接構造専門学校

大  岡  紀  一

日本原子力研究所大洗研究所

相  山  英  明

北海道立工業試験場

豊  田  修  治

非破壊検査株式会社

小  林      修

新日本非破壊検査株式会社

藤  岡  和  俊

三菱重工業株式会社

神  戸      護

元富士電機株式会社

続  木  武  彦

株式会社ジャムコ

浅  野  栄  一

川鉄テクノリサーチ株式会社

村  山      章

日本鋼管株式会社

山  岡  一  彦

マークテック株式会社

中  野  幹  夫

株式会社タセト

(事務局)

阿  部  節  矢

社団法人日本非破壊検査協会