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日本工業規格

JIS

 Z

2321

-1993

磁粉探傷用交流極間式磁化器

AC yoke magnet for magnetic particle testing

1.

適用範囲  この規格は,磁粉探傷試験に用いる可搬式の磁粉探傷用交流極間式磁化器(以下,磁化器

という。

)について規定する。

備考1.  ここでいう極間式磁化器とは,磁極の数が2極又は4極で磁極間隔が340mm 以下のものをいう。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 0911

  小型電気機器の振動試験方法

JIS C 0920

  電気機械器具及び配線材料の防水試験通則

JIS C 4003

  電気機器絶縁の種類

JIS G 3101

  一般構造用圧延鋼材

JIS Z 2300

  非破壊試験用語

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 2300 によるほか,次による。

(1)

磁極間隔  磁化器の磁極中心間隔。4 極の磁化器の場合は,対応する 2 極の中心間隔。

(2)

全磁束  鋼板上に磁化器を置きこれを励磁したとき,磁極間中心断面において鋼板内に生じる磁束。

(3)

持上げ力  鋼板上に磁化器を置きこれを励磁したとき,鋼板と磁化器を引き離すのに要する力。

(4)

磁極間中心磁界  鋼板上に磁化器を置きこれを励磁したとき,磁化器磁極間中心点における鋼板表面

の磁界。4 極の磁化器の場合は,それに対応する磁極に係わる磁極間中心磁界が等しく,それらの位

相角が 90°の場合の換算値。

(5)

磁極間中心磁界位相差  4 極の磁化器の,それぞれの磁極に係わる磁極間中心磁界の間の位相差。

3.

種類  磁化器の形式は,次による。

(1)

磁化器は,磁極の数によって 2 極及び 4 極の 2 種類とする。

なお,4 極の磁化器の場合,2 対の対応する磁極の間隔は等しく,磁気的性質は等価で,対応する磁

極を結ぶ線は互いに直交するものとする。

(2)

磁化器は,使用条件によって,防まつ形及び非防水形の 2 種類とする。

(a)

防まつ形  いかなる方向から水の飛まつを受けても有害な影響のない装置。

(b)

非防水形  (a)の防水処理が施されていない装置。

4.

定格性能

4.1

定格電圧  磁化器の定格電圧は,AC100V 又は AC200V とする。

4.2

定格周波数  磁化器の定格周波数は,50Hz 及び 60Hz とする。


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4.3

定格使用率  定格使用率は,原則として 70%(5 秒通電 2 秒休止)とする。ただし,これと異なる

場合は,その繰返し使用率を明記するものとする。

5.

性能

5.1

磁化器の温度上昇  周囲温度 20℃において定格使用率で使用した場合,つかみ部の表面温度が 50℃

を超えてはならない。

なお,使用鋼板の温度は,外気温度と同程度とする。

5.2

防水性能  防まつ形の防水性能は,JIS C 0920 を満足しなければならない。

5.3

絶縁抵抗  磁化器の電気回路と磁極又は金属部との間は,500V の直流電圧を加えて試験する。この

場合,絶縁抵抗は,10M

Ω以上でなければならない。ただし,防まつ形については,防水性能試験後の値

とする。

5.4

耐電圧  磁化器の電気回路と磁極又は露出金属部との間に,周波数 50Hz 又は 60Hz の正弦波に近い

1kV

の交流電圧を加え,1 分間これに耐えなければならない。

5.5

耐震動  磁化器は,JIS C 0911 による定振動数耐久試験を,それぞれ 3 方向について行った場合,

異常があってはならない。定振動耐久試験は,振動数 100Hz,加速度 2×9.806m/s

2

,試験時間は各 1 時間

とする。

5.6

耐過負荷  周囲温度 40℃及び基準試験条件において,定格使用率で 60 分間磁化器を移動させながら

通電し,その後 10 分以内に絶縁抵抗及び耐電圧試験を行う。この場合,それぞれ 5.3 及び 5.4 の規定を満

足しなければならない。

5.7

耐衝撃性  磁化器は,ケーブルを外した状態で,高さ 0.3m から 3 方向に,それぞれ 1 回ずつ合計 3

回,平らな床に置かれた鋼板の上に自由落下させた場合,割れなどの異常があってはならない。

また,試験後において防水性,絶縁抵抗及び耐電圧の試験を行う。この場合,5.25.3 及び 5.4 の規定を

満足しなければならない。

5.8

コネクタ及びケーブルの耐衝撃性  磁化器にケーブルを装着し,図 に示すように,他端を確実に

固定した直径約 100mm の鋼管に巻きつけて固定する。

この場合,

磁化器と鋼管との間の自由長を 1m にし,

鋼管の高さから装置を自由落下させて,コネクタ及びケーブルに衝撃を加える。これを 5 回繰り返し,異

常があってはならない。


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図 1  コネクタ及びケーブルの耐衝撃試験方法

6.

基準試験条件と基準試験条件における性能

6.1

基準試験条件  基準試験条件は,磁化器を厚さ約 9mm,一辺の長さが Amm,材質 SS400(JIS G 3101

による。

)の平らな正方形の鋼板(以下,基準鋼板という。

)の中央に置き,定格周波数及び定格電圧の交

流で励磁した状態とする。ただし,一辺の長さ は,磁化器の磁極中心間隔 によって,

表 のとおりと

する。

表 1  基準鋼板の一辺の長さ

単位 mm

磁極中心間隔

L

一辺の長さ

A

250

以下 400

250

∼340 以下

600

6.2

基準試験条件下における性能

6.2.1

定格電流  定格電流は,基準試験条件における励磁電流の実効値とする。

6.2.2

全磁束  基準試験条件において,基準鋼板の中央で磁極を結ぶ線に直角方向に鋼板に巻いたコイル

の端子を,精度±5%の交流磁束計に接続して測定し,その(波高値)/(コイル巻数)を全磁束とする。

コイル巻数は,交流磁束計の感度に応じて定める。

備考  持上げ力は,一定の条件を満たせば,全磁束の代用となる。ここにいう一定の条件とは,磁化

器を置く鋼板の表面粗さ,基準鋼板と磁化器の接触面の粗さ及び接触間距離,磁極の端面形状

及び鋼板と磁化器とを引き離す分離方法のことである。


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6.2.3

磁極間中心磁束と磁極間磁束位相差  基準試験条件において,基準鋼板の中央で対応する磁極を結

ぶ線と直角方向に,10mm 間隔で鋼板にあけた二つの貫通孔を通して,鋼板に巻いたコイルの端子を精度

±5%の交流磁束計に接続して磁束を測定し,その波高値を磁極間中心磁束とする。4 極の磁化器の場合,

印加電圧に対するそれぞれの磁束の位相の差を,磁極間中心磁束位相差とする。

6.2.4

磁極間中心磁界  基準試験条件において,磁極間中心点で基準鋼板に立てた法線上で,磁界と基準

鋼板からの距離との関係を求め,外挿法で基準鋼板上面の値を求める。磁界の測定は,精度±5%のガウス

メータで行う。アタッチメントを持つ場合は,それを取り付けた状態での測定も併せて行う。磁極可動の

場合は,最小,中立,最大の三つの状態で測定を行う。アタッチメント付きの場合の磁極間中心磁界は,

次の式(1)によって求めてもよい。

H

A

H

B

・  (

Φ

A

/

Φ

B

)  (1)

ここに,

H

A

アタッチメント付きの磁極間中心磁界 (A/m)

H

B

アタッチメント無しの磁極間中心磁界 (A/m)

Φ

A

アタッチメント付きの場合,6.2.3 によって測定した磁極間中
心磁束 (Wb)

Φ

B

アタッチメント無しの場合,6.2.3 によって測定した磁極間中
心磁束 (Wb)

4

極の磁化器の場合は,対応する 2 極を結ぶ 2 方向で測定した値をそれぞれ H

1

及び H

2

とし,対応する 2

方向の位相角(磁極間中心磁界位相差)を

θ

とする。H

1

H

2

の場合,磁極間中心磁界は H・sin

θ

とする。

なお,

θ

として 6.2.3 によって測定した磁極間中心磁束位相差を用いてもよい。

6.2.5

磁極間中心磁界位相差  4 極の磁化器の場合で,6.2.4 によって磁極間中心磁界を求めるとき,それ

ぞれの対応する 2 極について,電圧に対するそれぞれの磁界の位相の差を測定し,磁極間中心点線で鋼板

に垂直な線上において,位相差の値と鋼板からの距離との関係を求め,基準鋼板上面の値を求める。

6.2.6

巻線の温度と許容通電時間  基準試験条件において巻線温度が一定になるまで励磁を続け,巻線の

温度上昇を抵抗法によって測定する。ただし,周囲温度が 40℃の場合で巻線の温度が JIS C 4003 の許容温

度を超える場合には,装置の励磁を中止し,そのときまでを許容通電時間として,磁化器本体に明記する。

巻線に銅線を用いた場合,巻線の温度の計算は,巻線の抵抗変化に基づいて,次の式(2)による。

)

235

(

1

1

1

2

2

t

R

R

R

t

+

 (2)

ここに,

t

2

:  巻線の温度  (℃)

t

1

:  試験の初期における巻線の温度  (℃)

R

1

:  t

1

における巻線の抵抗  (

Ω)

R

2

:  t

2

における巻線の抵抗  (

Ω)

7.

検査

  検査は,形式検査及び受渡検査とする。

備考

形式検査は,同一設計及び同一生産条件ごとに行うものであり,受渡検査は,取引の都度行う

ものである。

7.1

形式検査

  形式検査は,

5.1

5.8

及び

6.2.1

6.2.6

の 14 項目について行い,

5.1

5.8

の項目について

は各項の内容に適合しなければならない。ただし,4 極の磁化器の場合,

5.7

及び

5.8

は適用しない。

また,

6.2.3

の“磁極間磁束位相差”と

6.2.5

は,2 極の磁化器には適用しない。

7.2

受渡検査

  受渡検査は,

5.2

5.3

及び

6.2.2

の 3 項目について行い,

5.2

及び

5.3

の各項の内容に適合

しなければならない。


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8.

製品の呼び方

  製品の呼び方は,磁極の数,使用条件による種類,定格電圧,定格周波数,定格使用

率(又は繰返し使用率)

,磁極間中心磁界×磁極間隔,及び名称(交流極間式磁化器)による。ただし,磁

極の数が 2 極の場合は,磁極の数を,定格使用率が 70%の場合は定格使用率を,及び使用条件による種類

が非防水形の場合の使用条件による種類を省略してもよい。

例 1

.

例 2.

例 3.

9.

表示

  磁化器には,次に示す事項を,容易に消えない方法で表示する。

(1)

製品の呼び方(

8.

による。

,定格電流及び許容通電時間(

6.2.6

ただし書きによる場合。

(2)

製造業者名又はその略号

(3)

製造年月

10.

試験成績書

  磁化器には,次の事項を明記した試験成績書を添付しなければならない。

なお,50Hz 及び 60Hz 両用機器については,両方の数値を明示する。

(1)

磁化器の種類

(2)

定格電圧

(3)

定格周波数

(4)

定格使用率又は繰返し使用率(

4.3

ただし書きによる場合)

(5)

定格電流

(6)

全磁束

(7)

極間中心磁界(アタッチメント付きの値を併記,磁極可動装置では磁極中心間隔ごとの各値)

(8)

磁極間隔

(9)

許容通電時間(

6.2.6

ただし書きによる場合)

(10)

磁化器本体の質量

(11)

製造業者名

(12)

製造年月

(13)

試験項目及び検査済認印


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Z 2321-1993

11.

保守管理

  磁化器は,1 年ごとに全磁束及び絶縁抵抗の測定を,

5.3

及び

6.2.2

に規定する方法で行い,

その値が,次の数値を満足するものでなければならない。ただし,全磁束の測定は,

6.1

に規定した鋼板に

巻いたコイルの端子電圧で代えてもよい。

(1)

全磁束

  初期値の 90%以上

(2)

絶縁抵抗

  1M

Ω以上

関連規格

JIS G 0565

  鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類


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Z 2321-1993

JIS Z 2321

  磁粉探傷用交流極間式磁化器規格原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(主査)

中  村  林二郎

千代田工商株式会社

(幹事)

関  根  和  喜

横浜国立大学工学部

(委員)

服  部  幹  雄

通産省工業技術院材料規格課

細  川  孝  人

石川島播磨重工業株式会社

長  岡  康  之

株式会社検査技研

小  林      修

新日本非破壊検査株式会社

河  村  皓  二

日鉄テクノス株式会社

原  田  鉄  造

川重検査サービス株式会社

中  川  昭  夫

非破壊検査株式会社

上  村  勝  二

栄進化学株式会社

神  戸      護

富士電機株式会社

石  塚  俊  雄

日本飛行機株式会社

手  塚  武  夫

電子磁気工業株式会社

津  村  俊  二

日本油脂株式会社

本  山  正  躬

マークテック株式会社

三  吉  照  政

日本電磁測器株式会社

宮  川  一  男

元日本大学教授

芹  澤  正  直

財団法人日本溶接技術センター

(事務局)

加  藤  和  彦

社団法人日本非破壊検査協会