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Z 2320-1

:2007

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

2

4

  技術者の資格及び認証 

2

5

  安全上の予防措置

3

6

  試験手順

3

7

  検査性能の確認方式,及び試験方法の分類

3

8

  工程確認方式 

4

8.1

  一般事項 

4

8.2

  表面の処理 

4

8.3

  磁化

4

8.4

  検出媒体 

12

8.5

  総合性能試験 

13

9

  標準試験片確認方式

13

9.1

  一般事項 

13

9.2

  試験装置,磁粉及び検出媒体

13

9.3

  標準試験片及び対比試験片 

14

9.4

  試験時期 

17

9.5

  試験方法 

17

10

  磁粉模様の観察

20

11

  磁粉模様の分類,記録及びきずに関する情報

21

11.1

  磁粉模様の分類 

21

11.2

  疑似模様の確認 

21

11.3

  きずによる磁粉模様の分類 

22

11.4

  磁粉模様の記録 

22

11.5

  磁粉模様から得られるきずに関する情報 

22

12

  脱磁

22

13

  清掃及び防食 

22

14

  試験報告書 

23

附属書 A(参考)各種磁化方法に対して指定された試験体表面に平行な磁界の強さを達成するために必

要な電流の決定の例

24

附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

27


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(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI)及び

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

これによって JIS G 0565:1992 は廃止され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS Z 2320

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS Z 2320-1

  第 1 部:一般通則

JIS Z 2320-2

  第 2 部:検出媒体

JIS Z 2320-3

  第 3 部:装置


日本工業規格

JIS

 Z

2320-1

:2007

非破壊試験−磁粉探傷試験−第 1 部:一般通則

Non-destructive testing

Magnetic particle testing

Part 1: General principles

序文 

この規格は,2001 年に第 1 版として発行された ISO 9934-1 を基に,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。変更の

一覧にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,試験体表面の処理,磁化方法,検出媒体への要求事項及び適用方法,並びに結果の記録と

その説明を含む,強磁性体の磁粉探傷試験のための一般的な通則について規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 9934-1:2001

,Non-destructive testing−Magnetic particle testing−Part 1: General principles

(MOD)

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを

示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 2504

  電磁軟鉄

JIS G 0431

  鉄鋼製品の非破壊試験技術者の資格及び認証

JIS K 2203

  灯油

JIS W 0905

  航空宇宙用非破壊検査員の技量認定基準

JIS Z 2300

  非破壊試験用語

JIS Z 2305

  非破壊試験−技術者の資格及び認証

JIS Z 2320-2

  非破壊試験−磁粉探傷試験−第 2 部:検出媒体

注記  対応国際規格:ISO 9934-2,Non-destructive testing−Magnetic particle testing−Part 2: Detection

media(MOD)

JIS Z 2320-3

  非破壊試験−磁粉探傷試験−第 3 部:装置

注記  対応国際規格:ISO 9934-3,Non-destructive testing−Magnetic particle testing−Part 3: Equipment

(MOD)


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:2007

JIS Z 2323

  非破壊試験−浸透探傷試験及び磁粉探傷試験−観察条件

注記  対応国際規格:ISO 3059 ,Non-destructive testing−Penetrant testing and magnetic particle

testing-Viewing conditions(IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 2300 によるほか,次による。

3.1 

コントラストペイント 

磁粉模様の識別性をよくするために表面に適用するコーティング又はフィルム。

3.2 

検出媒体 

検査に使用できる状態になっている,液体に分散した磁粉(湿式法の検査液)又は空気中に分散した磁

粉(乾式法)

3.3 

試験体表面に平行な磁界 

磁化された試験体の表面に形成される磁界の,試験体表面に平行な成分。

3.4 

A

領域紫外線 

波長 365 nm に公称最大強度をもつ紫外放射(UV-A)

(波長 315∼400 nm)

3.5 

ブラックライト 

A 領域紫外線を照射する装置。

3.6 

脈流 

交流を整流した電流(単相半波整流,単相全波整流,三相半波整流及び三相全波整流を含む)

3.7 

シムタイプ試験片 

磁粉探傷試験の検査性能を確認するための試験片であって,A 形標準試験片と類似の薄板の試験片を指

し,標準溝として線,円,十字などの溝があるもの。

3.8 

工程確認方式 

磁化の定量的確認及び対比試験片(タイプ 1 又はタイプ 2)を用いた検出媒体の性能確認試験によって,

磁粉探傷試験の検査性能を確認する方式。

3.9 

標準試験片確認方式 

標準試験片(A  形又は C  形)を用いたきず検出性能確認試験によって,磁粉探傷試験の検査性能を確

認する方式。

技術者の資格及び認証 

試験技術者は必要な試験項目に関する基礎知識をもち,試験体の性質,適用規格・仕様,計測器の性能


3

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仕様などに,必要な知識及び経験をもつ者とする。技術者は,JIS Z 2305JIS G 0431JIS W 0905 又はそ

れらと同等な規格によって,資格付けられることが望ましい。

安全上の予防措置 

磁粉探傷試験は,有毒,可燃性又は揮発性の材料を使用する場合があるため,次のような予防措置を行

わなければならない。

−  皮膚又は粘膜が,有機溶剤分散検査液,有機分散媒及びコントラストペイントに広範に,かつ,繰り

返し触れることは避ける。

−  試験区域は,労働安全衛生法及び消防法の法的規制に従って適正に換気し,熱源,火花,火炎から離

れた場所に設置する。

−  検出媒体及び探傷装置は,製造業者が提供する使用説明書に従って使用する。

−  ブラックライトを用いる場合は,紫外線が試験員の目に直接入らないように注意する。紫外線透過フ

ィルタは,常に良好な状態に維持する。

注記  磁粉探傷試験は,試験体や磁化装置の周囲に強い磁界を作る。これらの磁界に影響されやすい

器具類はこの領域の外に置く必要がある。

試験手順 

注文書によって磁粉探傷試験を文書化された手順に従って実施することを要求された場合,磁粉探傷試

験は,要求どおり実施しなければならない。手順書は試験が反復可能なように,試験条件を詳細に指定す

る。

注記  手順書は,この規格及び他の適切な規格を参照した簡潔な技術シートの形式のものでもよい。

検査性能の確認方式,及び試験方法の分類 

磁粉探傷試験の検査性能の確認方式は,次の 2  種類とする。

a)

工程確認方式  工程確認方式において実施できる試験方法の分類を,表 に示す。

表 1−工程確認方式の試験方法の分類

分類の条件

分類

磁粉の適用時期

連続法

磁粉の種類

蛍光磁粉,非蛍光磁粉

検出媒体の種類

乾式法,湿式法

磁化電流の種類

直流,脈流,交流

磁化方法

軸通電法,プロッド法,  磁束貫通法,電流貫通法,隣接

電流法,  極間法,コイル法

b)

標準試験片確認方式  標準試験片確認方式において実施できる試験方法の分類を,表 に示す。


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表 2−標準試験片確認方式の試験方法の分類

分類の条件

分類

磁粉の適用時期

連続法,残留法

磁粉の種類

蛍光磁粉,非蛍光磁粉

検出媒体の種類

乾式法,湿式法

磁化電流の種類

直流,脈流,交流,衝撃電流

磁化方法

軸通電法,直角通電法,プロッド法,電流貫通法,コイ
ル法,極間法,磁束貫通法

工程確認方式 

8.1 

一般事項 

一般事項は,次による。

a)

試験方法の詳細は,8.28.5 による。

b)

試験に使用する検出媒体の性能確認は,JIS Z 2320-2 による。

c)

試験に使用する装置の性能確認は,JIS Z 2320-3 による。

8.2 

表面の処理 

試験体表面には,検出感度に影響する汚れ,スケール,はく離性のさび,溶接スパッタ,グリース,油

及び/又は他の異物が付着していてはならない。

表面の状態に対する要求の程度は,検出すべききずの大きさ及び方向に依存する。疑似模様と磁粉模様

を区別できるように,試験体表面を処理する。

密着しているペンキ層のように,およそ 50 µm  までの非磁性のコーティングは,通常検出感度に影響し

ないが,より厚いコーティングは,感度を低下させるおそれがあるため,感度の確認を行うものとする。

磁粉模様と試験表面との間には,十分な視覚的なコントラストがなければならない。非蛍光磁粉を用いる

場合は,コントラストペイント(均一な薄い層に塗る。

)を用いてもよい。

8.3 

磁化 

8.3.1 

一般的な事項 

一般事項は,次による。

a)

交流の実効値は,計器を用いて容易に測定できる量であり,実効値によって探傷に必要な磁界の強さ

などを要求することは実用上極めて有効である。しかし,試験体の磁化状態を支配するのは波高値で

あるため,波高値を用いることによって,電流波形(交流,脈流,パルス電流又は位相制御電流)に

よらず原理的に正しい磁化状態を把握することができる。したがって,波高値との関係を把握した上

で実効値によって,磁化状態を管理しなければならない。ただし,パルス電流又は位相制御電流を使

用する場合は,波高値を測定するには特別な測定方法を必要とする。

表 に交流及び脈流について,

実効値,波高値及び平均値の関係を示す。

b)

試験体表面近傍(試験体内部)の最小の磁束密度は,実効値で 1 T とする。この磁束密度は,高い透

磁率をもつ低合金鋼及び低炭素鋼に,試験体表面に平行な磁界として実効値で 2 000 A/m の磁界の強

さを与えた場合に達成可能な推奨値である。

注記 1  低合金鋼及び低炭素鋼より低い透磁率をもつ他の鋼種については,試験体表面に平行な,

より高い磁界の強さが必要となる。磁化が強すぎる場合は,バックグラウンドによる疑似

模様が現われることがあり,これは磁粉模様を観察するときの障害となる。

注記 2  多くの強磁性体において,磁束密度が実効値で 1 T に達しているとき,磁化曲線のひずみ


5

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によって,磁束密度の波高値は 1.41 T に達することはない。

注記 3  交流磁界の強さの実効値が 2 000 A/m のとき,波高値は 2 830 A/m である。

c)

割れ又は他の線状のきずが特別な方角へ向いている可能性がある場合は,磁束をこの方向に可能な限

り直交するように配置する。この磁束は,最適の方向から 60°以内の向きのきずを検出するのに有効

とみなすことができる。したがって,表面において直交する 2  方向から磁化することによって,全方

向のきずをカバーすることができる。

d)

表面下のきずで,交流では検出が困難な場合は,直流又は脈流を使用する。

表 3−様々な正弦波の電流波形に対する波高値,平均値,及び実効値の間の関係

電流波形

波高値

平均値

実効値

実効値/平均値

交流

0 0.707

I

(=I/√2   )

単相半波整流

0.318 I

(=I/π)

0.5 I 1.57

単相全波整流

0.637 I

(=2 I/π)

0.707 I

(=I/√2   )

1.11

三相半波整流

0.826 I 0.840

I 1.02

三相全波整流

0.955 I

(=3 I/π)

8.3.2 

磁化の確認 

次の一つ又は二つ以上の方法によって,表面の磁束密度が磁粉探傷試験に必要な値となっていることを

確認する。

a)

最も検出性能がよくない位置に微細な自然きず又は人工きずをもつ試験体を試験する。

b)

表面にできるだけ接近して,試験体表面に平行な磁界の強さを測定する。

注記 1  関連情報を JIS Z 2320-3 から得ることができる。

c)

通電法の場合は,試験体表面に平行な磁界を計算する。

注記 2  多くの場合,単純な計算によってこれは可能である。情報提供のための附属書 の中で指

定する電流値は,これによって求めたものである。

d)

確立された原理に基づいた他の方法を使用する。

注記 3  試験対象物の表面に接して設置した磁束指示器(シムタイプ試験片)は,試験体表面に平

行な磁界の大きさ及び方向の目安になるが,試験体表面に平行な磁界の強さを評価するに

は十分ではない。


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8.3.3 

磁化方法 

8.3.3.1 

磁化方法の種類 

工程確認方式において適用する磁化方法を

表 に示す。8.3.1 の要求を満たして適切な磁化を行うことが

可能なときには,この方法以外の方法を用いて磁化してもよい。

表 4−工程確認方式において適用する磁化方法

磁化方法

符号

注記

軸通電法 EA

電極の間に試験体を挟んで軸方向に電流を流して磁化する方法
である。

図 

プロッド法 P

面積の広い試験体の表面に 2 個の電極(プロッド)を押し当て,

電流を流して磁化する方法である。

図 23

磁束貫通法 I

試験体の孔などに通した磁性体に交流磁束などを与えて,試験

体を変圧器の 2 次側として働かせ,試験体の中に発生する誘導
電流によって試験体を磁化する方法である。

図 

電流貫通法 B

孔のある試験体の孔の部分に導体を通して電流を流し,電流の
周りに形成される円形磁界によって磁化する方法である。

図 

隣接電流法 AC

1 本又はそれ以上の導体を,試験体の表面と平行に,試験され
る範囲に隣接して設置して通電し,電流の周りに形成される磁
界によって磁化する方法である。

図 67

極間法(定置形)

FM

試験体又は試験体の一部を電磁石の磁極に接して設置し,電磁
石によって発生した磁束を試験体の中に投入して磁化する方法
である。

図 

極間法(可搬形) PM

(Y)

試験体表面に接して設置した交流電磁石(ヨーク)によって発
生した磁束を試験体の中に投入して磁化する方法である。

図 

コイル法(固定) RC

試験体をコイルの中に入れて通電し,コイルが作る磁界によっ
てコイルの軸方向に磁化する方法である。

図 10 

コイル法(ケーブル)

 FC

ケーブルをたるみがないように試験体に巻き付けてコイルを形
成して通電し,コイルが作る磁界によって試験体を磁化する方

法である。

図 11 

多方向磁化は,任意の方角を向いたきずを見つけるために使用することができる。単純形状の試験体に

ついて,試験体表面に平行な磁界の強さを達成するために必要な電流の近似値を求める計算式を

附属書 A

に示す。磁化装置は,JIS Z 2320-3 に規定する装置の要求を満たすとともに,これに従って使用しなけれ

ばならない。

全試験表面において,すべての方向のきずを見つけるために,一つ又はそれ以上の磁化方法が必要にな

ることがあり,その場合に以前の磁化による残留磁界の影響が無視できないときは,脱磁が必要となるこ

とがある。

8.3.3.2 

通電法 

8.3.3.2.1 

軸通電法 

軸通電法では,

図 に示すように,電極の間に試験体を挟んで通電して磁化する。電流を試験体に流す

ときは,パッドによって良好な電気的接触を保たなければならない。

電流は,試験体表面上に均一に分布すると仮定して,円筒試験体の円周の寸法に応じて決定する。

注記 1  軸通電法は,試験体円周面における電流の方向(軸方向)と平行なきずを検出する場合に感

度が高い。


7

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注記 2  試験体表面に平行な磁界の強さの規定値を達成するのに必要な電流値を与える近似式の例

を,A.1 に示す。

電気的な接点で試験体が損傷しないように注意しなければならない。

注記 3  起こり得る損傷としては,過度の熱,焼損及びスパーク損傷がある。スパーク損傷が生じる

と,銅又は亜鉛のような接触補助材料は,試験体に金属材料学的な損傷をもたらす可能性が

ある。鉛接触パッドは有害な蒸気を生成することがあるため,よく換気された状態に限って

使用することができる。接触パッドの接触部は清潔で,作業実施上問題ない広さがあり,か

つ,試験体に影響を与えない材料のものを用いる。

8.3.3.2.2 

プロッド法 

プロッド法では,

図 に示すように,面積の広い試験体の表面に 2 個の電極を押し当てて通電して磁化

する。携帯形又はクランプ方式のプロッド電極を用いて試験体に電流を流す。一回の試験範囲は,両プロ

ッドの中心を結ぶ線を中心線とする d×0.5d(d は両プロッドの内側表面の間隔)の長方形の内部であって,

プロッド表面に隣接する内側 25mmの範囲を除外したもの,又は両プロッドの中心を結ぶ線の中央を中心

とし,0.5d を半径とする円の内部であって,各プロッドの表面から 25mmの範囲を除外したものとする。

全領域をカバーするために,プロッド電極を規定されたパターンに従って移動させなければならない。隣

り合う試験範囲は

図 に示すようにオーバーラップを設けなければならない。

注記 1  プロッド法は,試験体表面において流れる電流の方向と平行なきずを検出する場合に感度が

高い。プロッド法は大きな試験体表面の部分探傷を実施することができる。

注記 2  試験体表面に平行な磁界の強さの規定値を達成するのに必要な電流値を与える近似式の例

を,A.2 に示す。

プロッド電極による試験体の焼損又は電極材料の試験体中への溶け込みによる表面の損傷を回避するた

めに,8.3.3.2.1 の場合と同様の特別な注意が必要である。鉛プロッド電極の使用に関しては,8.3.3.2.1 

鉛接触パッドに関する記述にも注意を払う必要がある。亜鉛板をかぶせたプロッド電極又は亜鉛めっきさ

れたプロッド電極は用いてはならない。スパークによる損傷又は過度の加熱は,合否判定を必要とするき

ずと見なさなければならない。そのような損傷を受けた領域上で,更に試験が要求される場合は,異なる

試験方法を使用しなければならない。

8.3.3.2.3 

磁束貫通法 

磁束貫通法では,

図 に示すように,リング状の試験体を変圧器の 2 次側として働かせ,試験体の中に

誘導される電流で,試験体を磁化する。磁束貫通法には,交流を用いる。

注記  試験体表面に平行な磁界の強さの規定値を達成するのに必要な電流値を与える近似式の例を,

A.3

に示す。

8.3.3.3 

磁束投入法 

8.3.3.3.1 

電流貫通法 

電流貫通法では,

図 に示すように,孔のある試験体の孔の部分に導体(電流貫通棒など)を通して電

流を流し,電流の周りに形成される円形磁界によって試験体を磁化する。

注記 1  電流貫通法は,試験体の円周面における軸方向のきず及び端面における半径方向のきずに対

して最も高い感度を示す。

注記 2  A.1 に示す近似式の例は,試験体の孔の中心軸上に置いた電流貫通棒の場合にも適用可能で

ある。電流貫通棒が中心軸にない場合の試験体表面に平行な磁界の強さは,測定して確認す

る。


8

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8.3.3.3.2 

隣接電流法 

隣接電流法では,

図 及び図 に示すように,1 本又はそれ以上の電流ケーブル又は棒状導体を試験体

の表面と平行に,試験される範囲に隣接して設置して電流を流し,電流の周りに形成される磁界によって

試験体を磁化する。

試験体は 1 方向へ流れる電流のすぐ近くに置く。ケーブル又は導体の中心から試験体表面までの距離を

とすると,一回の試験範囲の幅は,2 であり,電流の復路用ケーブルは,可能な限り試験範囲から離れ

た位置に配置する。すべての場合に,この距離は 10 より大きくなければならない。

試験範囲が重複することを保証するために,ケーブルを 2 未満の間隔で試験体表面上を移動する。

注記 1  試験体表面に平行な磁界の規定値を達成するのに必要な電流値を与える近似式の例を,A.5

に示す。

注記 2  隣接電流法は,直線状導体に電流が流れるとき,その周りに形成される磁界によって平板状

試験体を磁化するもので,電流貫通法と類似点をもつ磁化方法である。

8.3.3.3.3  

極間法(定置形) 

極間法(定置形)では,

図 に示すように,試験体又は試験体の一部を電磁石の磁極に接して設置し,

試験体の中に磁束を投入して試験体を磁化する。

注記  極間法(定置形)は,試験体に流れる磁束に垂直方向のきずに対して最も高い感度を示す。

8.3.3.3.4 

極間法(可搬形) 

極間法(可搬形)

(ヨーク法ともいう。

)では,

図 に示すように,電磁石の磁極を試験体表面に接して

設置し,交流電磁石(ヨーク)によって発生した磁束を試験体の中に投入して試験体を磁化する。一回の

試験範囲は,両磁極の中心を結ぶ線を中心線とする d×0.5d(d は両磁極の内側表面の間隔)の長方形の内部

であって,磁極表面に隣接する内側 25mmの範囲を除外したもの,又は両磁極の中心を結ぶ線の中央を中

心とし,0.5d を半径とする円の内部であって,各磁極の表面から 25mmの範囲を除外したものとする。

注記  極間法(可搬形)は,試験体に流れる磁束に垂直方向のきずに対して最も高い感度を示す。

8.3.1

に規定する磁化の要求事項は,交流電磁石に対してだけ適用する。直流電磁石及び永久磁石は,注

文書で合意した場合にだけ用いてもよい。

8.3.3.3.5 

コイル法(固定) 

コイル法(固定)では,

図 10 に示すように,コイルの中に入れた試験体をコイルが作る磁界によって磁

化する。試験体はコイルの軸と平行な方向へ磁化するように,電流の流れているコイル内に置く。

らせん形の固定コイルを使用する場合は,らせんのピッチはコイル直径の 25  %未満でなければならな

い。直径に対する長さの比が 5 未満である短い試験体の場合は,継鉄棒を用いてもよい。継鉄棒を使用す

ると,必要な磁化をするのに要する電流は減少する。

注記 1  コイル法(固定)は,コイル軸に垂直方向のきずを検出する場合に最も高い感度を示す。

注記 2  試験体表面に平行な磁界の規定値を達成するのに必要な電流値を与える近似式の例を,A.6

に示す。

8.3.3.3.6 

コイル法(ケーブル) 

コイル法(ケーブル)では,

図 11 に示すように,電流の流れているケーブルをたるみがないように試験

体に巻きつけることによってコイルを形成し,

コイルが作る磁界によって試験体を磁化する。

試験範囲は,

図 11 に示すように,コイルの長さ以内でなければならない。

注記  試験体表面に平行な磁界の規定値を達成するのに必要な電流値を与える近似式の例を,A.7 

示す。


9

Z 2320-1

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図 1−軸通電法 

単位  mm

図 2−プロッド法(1 

図 3−プロッド法(2 


10

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図 4−磁束貫通法 

図 5−電流貫通法 

図 6−隣接電流法 


11

Z 2320-1

:2007

図 7−隣接電流法(コイル状ケーブルによる) 

図 8−極間法(定置形) 

単位  mm

図 9−極間法(可搬形)(ヨーク法ともいう) 


12

Z 2320-1

:2007

図 10−コイル法(固定) 

図 11−コイル法(ケーブル) 

8.4 

検出媒体 

8.4.1 

検出媒体の特性及び選択 

検出媒体の特性は,JIS Z 2320-2 による。磁粉探傷試験には様々なタイプの検出媒体を使用することが

できる。検出媒体は,分散媒流体の中に非蛍光性(黒色を含む。

)又は蛍光性の磁粉を懸濁させたものとす

る。水を分散媒とする場合には,検出媒体の中には界面活性剤及び防せい(錆)剤も含むものとする。各

種の乾式磁粉も利用可能とする。

注記  一般に,乾式磁粉は,微細な表面きずを指示する能力が湿式法に比べて劣る。

表面仕上げが適切であり,磁粉模様のコントラストを最大にする排液が行われ,観察条件(箇条 10 の規

定に従う。

)が適切な場合に,蛍光性の検出媒体は,最高感度を与える。


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Z 2320-1

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非蛍光性の検出媒体も高い感度を示すことができる。黒色,及び他の色の磁粉を用いることができる。

きずと試験面との色調のコントラストを良くするために,8.2 及び箇条 10 に従ってコントラストペイン

トを薄く塗布し,この層の上から検出媒体を適用してもよい。

8.4.2 

検出媒体の性能試験 

検査の前又は検査の途中に定期的に行う性能試験は,JIS Z 2320-2 による。この試験が必ず要求される

場合と,推奨される場合とがあり,検出性能の確認は,JIS Z 2320-2 に規定する適切な対比試験片を用い

て,検査の前,及びその途中に定期的に実施しなければならない。

検査液を再使用する場合,又は再循環して使用する場合は,その性能を維持するために特別の注意を払

う必要がある。

8.4.3 

検出媒体の適用 

検出媒体の適用は,磁化の直前,及び磁化中に実施し,磁化が終了する前に完了しなければならない。

試験体,又は試験対象である構造物を動かしたり調べたりする前に,十分な時間をかけて磁粉模様を形成

させる。

乾式磁粉を使用する場合は,できるだけ磁粉模様の形成を妨げないように適用する。検査液の適用に当

たっては,磁粉が洗い流されずに磁粉模様を形成することができるように,検査液がゆるやかに表面を流

れるようにする。

検査液の適用後,磁粉模様のコントラストを向上させるために,試験体は排液できるようになっていな

ければならない。

8.5 

総合性能試験 

試験を始める前に,総合的な性能試験を実施することが望ましい。総合的な性能試験は,試験手順,磁

化方法又は検出媒体のいずれかの問題点を明らかにできるものでなければならない。

最も確実な性能試験は,種類,位置,寸法及び寸法分布が既知の自然きず又は人工きずを含んでいる試

験体の代表的な部分を検査することである。試験部品は脱磁し,以前の検査に起因する磁粉模様があって

はならない。

既知のきずをもつ実機試験体がない場合は,磁束の流れの障害となる不連続部を加工したシムタイプ試

験片のような,人工きずをもつ試験片を用いてもよい。

標準試験片確認方式 

9.1 

一般事項 

試験方法の詳細は,9.29.5 による。試験に使用する磁粉及び検査液の性能確認に JIS Z 2320-2 を適用

してもよい。試験に使用する装置の性能確認には,JIS Z 2320-3 を適用してもよい。

9.2 

試験装置,磁粉及び検出媒体 

9.2.1 

試験装置 

試験装置は,次による。

a)

試験装置は,通常,試験体に対して磁化,磁粉の適用,観察及び脱磁の 4 操作を行うことができるも

のとする。ただし,必要のない場合は,脱磁できなくてもよい。

b)

試験装置は,試験体の形状,寸法,材質,表面状況及びきずの性質(種類,大きさ,位置及び方向)

に応じ,適切な感度で能率よく安全に試験できるものでなければならない。

c)

磁化を行う装置は,電流を用いる方式のもの又は永久磁石を用いることとし,電流を用いる方式は,

その磁化電流の種類によって,直流式,整流式,交流式,又は衝撃電流式に分類する。


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Z 2320-1

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d)

電流を用いて磁化を行う装置は,きずを検出するのに適切な磁界の強さを試験体に与えることができ

るものでなければならない。このため,磁化電流を波高値で示す電流計を備えたものでなければなら

ない。ただし,磁石形のものは,この計器を省いてもよい。

e)

磁石形の装置には,試験体に投入可能な最大磁束を明記し,また,電磁石形の装置には,電流の種類

及び周波数を併記する。

f)

湿式法における検査液の適用装置は,検査液槽にかくはん装置を備えるなどして,磁粉が均一に分散

した検査液を安定して試験体に適用できるものとし,生じた磁粉模様を乱すことがあってはならない。

g)

乾式法における磁粉の適用装置は,よく乾いた磁粉を,均一に分散した状態で,磁粉模様を乱すこと

なく,常に安定して試験体に適用できるものでなければならない。

h)

蛍光性の検出媒体を使用する場合は,試験を行う部屋又は区域は,周囲の明るさを最大 20 lx の白色

光レベル以下とし,試験範囲をブラックライトで照射する。この場合,JIS Z 2323 の規定に従って試

験面で A 領域紫外線を測定し,その強度が 10 W/m

2

(1 000 µW/cm

2

)を超える値でなければならない。

i)

脱磁装置は,残留磁気を試験体の用途に応じて,必要な限度まで減少させることができるものでなけ

ればならない。

9.2.2 

磁粉及び検出媒体 

検出媒体は,次による。

a)

磁粉は,その適用時における分散媒の違いによって,乾式用と湿式用とに分け,更に観察方法の違い

によって,蛍光磁粉と非蛍光磁粉とに分類する。

b)

磁粉は,試験体の材質,表面状況及びきずの性質に応じて,適切な磁性,粒度,分散性,懸濁性及び

色調をもつものを使用する。

c)

磁粉の粒度は,顕微鏡を用いて粒子の定方向径を測定し,累積ふるい上 20  %及び 80  %を示す粒子径

の範囲で表す。

d)

湿式法には,J1S K 2203 に規定する灯油,水などを分散媒として用いて,必要に応じて適切な防せい

剤及び界面活性剤を加えた検査液を用いる。

e)

検査液中の磁粉分散濃度は,実際に適用する位置での検査液の単位体積(1 L)中に含まれる磁粉の質

量(g),又は検査液の単位体積(100 mL)中に含まれる磁粉の沈殿体積(mL)で表し,磁粉の種類

及び粒度を考慮して設定する。特に,蛍光磁粉の場合には,磁粉の粒度のほかに,磁粉の適用時間及

び適用方法を考慮して磁粉分散濃度を定め,過剰な濃度は避けなければならない。

f)

検出媒体は,適切な標準試験片などを用いて,必要に応じて,その性能の確認を行わなければならな

い。

9.2.3 

試験装置などの保守点検 

9.2.3.1 

電流計 

磁化電流を設定するために使用する電流計は,定期的に点検しなければならない。

9.2.3.2 

タイマ 

磁化電流の持続時間を制御するためのタイマは,定期的に点検しなければならない。

9.2.3.3 

ブラックライト 

JIS Z 2323

の規定に従って試験面で A 領域紫外線を測定し,その強さが 10 W/m

2

(1 000 µW/cm

2

)を超

えない場合又は可視光線の漏えいがある場合は,修理又は廃棄する。

9.2.3.4 

点検周期 

電流計,タイマ及び紫外放射照射装置の点検は,少なくとも年 1 回行い,1 年以上使用していない場合


15

Z 2320-1

:2007

には,使用時に点検を行い,性能を確認できたものを使用する。

9.3 

標準試験片及び対比試験片 

9.3.1 A

形標準試験片 

A 形標準試験片は,次による。

a)  A

形標準試験片は,装置,磁粉,検査液の性能,連統法における試験体表面の有効磁界の強さ,方向,

探傷有効範囲及び試験操作の適否を調べるもので,権威ある機関で検定されたものでなければならな

い。

b)  A

形標準試験片の名称及び材質は,

表 によって,形状及び寸法は図 12 による。

表 5形標準試験片の名称及び材質

名称

材質

A1-7/50

(円形,直線形)

A1-15/50

(円形,直線形)

A1-30/50

(円形,直線形)

A1-15/100

(円形,直線形)

A1-30/100

(円形,直線形)

A1-60/100

(円形,直線形)

電磁軟鉄(JIS C 2504 の SUY-1 種)を焼なま

し(不活性ガス雰囲気中 600  ℃,1 時問保持,
100  ℃まで同雰囲気中で徐冷)したもの。

A2-7/50

(直線形)

A2-15/50

(直線形)

A2-30/50

(直線形)

A2-15/100

(直線形)

A2-30/100

(直線形)

A2-60/100

(直線形)

電磁軟鉄(JIS C 2504 の SUY-1 種)の冷間圧
延のままのもの。

注記 1  試験片の名称のうち,斜線の左は人工きずの深さを,斜線の右は板の厚さを示し,寸法の単位は,

µm とする。

注記 2  人工きずの深さの許容公差は,人口きずの深さが 7 µm の場合は,±2 µm,15 µm の場合は,±4 µm,

30 µm の場合は,±8 µm,60 µm の場合は,±15 µm とする。

注記 3  試験片の名称のうち,括弧内は人工きずの形状を示す。

単位  mm

a)

円形

b)

直線形 

図 12形標準試験片の形状及び寸法

c)

A 形標準試験片の A2 は,A1 よりも高い有効磁界の強さで磁粉模様が現れ,また,その名称の分数値

の小さいものほど,順次高い有効磁界の強さで磁粉模様が現れる。

d)  A

形標準試験片は,磁粉探傷試験の仕様又は目的に適したものを選んで用い,それに検出しようとす

るきずの方向の磁粉模様が確実に現れることを確かめる。使用する A 形標準試験片の名称を仕様書で

規定するには,試験体の磁気特性並びに検出すべききずの種類及び大きさによって規定する。

なお,A 形標準試験片の磁界の強さの規制範囲を超えて,より強い有効磁界を必要とする場合には,

次の例に示すように標準試験片の名称の倍数で表す。


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例  (A2-7/50)×2:A2-7/50 で磁粉模様が得られた磁化電流値の 2 倍の磁化電流値で試験することを示

す。

e)

A 形標準試験片は,人工きずのある面が試験面によく密着するように,適切な粘着性テープを用いて

試験面にはり付ける。この場合,粘着性テープが標準試験片の人工きずの部分を覆ってはならない。

f)

A 形標準試験片への磁粉の適用は,連続法で行う。

g)  A

形標準試験片は,初期の形状・寸法・磁気特性に変化を生じた場合は,用いてはならない。

9.3.2 C

形標準試験片 

C 形標準試験片は,次による。

a)  C

形標準試験片は,溶接部の開先面などの狭い部分で,寸法的に A 形標準試験片の適用が困雑な場合

に,A 形標準試験片の代わりに用いるもので,権威ある機関で検定されたものでなければならない。

b)  C

形標準試験片の名称及び材料は,

表 によって,また,形状及び寸法は,図 13 による。板の厚さは,

50 µm とする。

表 6形標準試験片

名称

材質

C1

電磁軟鉄(JIS C 2504 の SUY-1 種)を焼なまし(不活性ガス雰囲気中 600  ℃,
1 時問保持,100  ℃まで同雰囲気中で徐冷)したもの。

C2

電磁軟鉄(JIS C 2504 の SUY-1 種)の冷間圧延のままのもの。

単位  mm

図 13形標準試験片の形状及び寸法(表示は C1 の場合)

c)

C 形標準試験片の人工きずの寸法は,深さ(8±1)µm,幅(50±8)µm  とする。

d)  C

形標準試験片の C1 は A1-7/50,C2 は A2-7/50  にそれぞれ近い値の有効磁界で磁粉模様が現れるも

のとする。

e)

C 形標準試験片は,分割線に従って 5 mm×10 mm の小片に切り離し,人工きずのある面が試験面に

よく密着するように適切な両面粘着テープ又は接着剤によって試験面にはり付けて用いる。この場合,

両面粘着テープなどの厚さは,100 µm  以下とする。

f)

C 形標準試験片への磁粉の適用は,連続法で行う。

g)  C

形標準試験片は,初期の形状,寸法,磁気特性に変化を生じた場合には,用いてはならない。

9.3.3 B

形対比試験片 


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B 形標準試験片は,次による。

a)  B

形対比試験片は,装置,磁粉及び検査液の性能を調べるのに用いる。

b)  B

形対比試験片の形状及び寸法は,

図 14 によるものとし,通常,JIS C 2504 に規定する材料を用いる。

ただし,用途によっては試験体と同じ材質及び径のものを用いてもよい。

単位  mm

図 14形対比試験片の形状及び寸法

c)

B 形対比試験片は,被覆した導体を貫通孔の中心に通し,連続法で円筒面に磁粉を適用して用いる。

9.4 

試験時期 

試験時期は,次による。

a)

試験は,通常,試験体のすべての加工及び処理工程を完了した状態で行う。ただし,表面処理によっ

てきずの検出が困難となるおそれがある場合は,処理前にも試験を行わなければならない。

b)

転り軸などの組立品のように,試験後に磁粉を完全に除去できず,それが製品の性能に影響を及ぼす

おそれのある場合は,組立て前に部品で試験を行い,組み立てた状態で試験を行ってはならない。

9.5 

試験方法 

9.5.1 

試験の操作 

試験は,前処理,磁化,磁粉の適用,磁粉模様の観察,記録及び脱磁の操作からなり,試験の目的によ

って,適宜これらを組み合わせて行う。

9.5.2 

前処理 

前処理は,次による。

a)

前処理の範囲は,試験範囲より広くとる。溶接部の場合は,通常,試験範囲から母材側に約 20 mm 広

くとる。

b)

試験体は,通常,単一部品に分解する。また,磁化されている場合は,必要に応じて脱磁する。

c)

試験体に付着した油脂,汚れその他の付着物,塗料,めっきなどの被膜が,試験精度に影響する場合

又は検査液を汚損するおそれのある場合には,これらを除去し,試験体を清浄にする。

d)

乾式用磁粉を用いる場合は,表面をよく乾燥しておく。

e)

焼損を防ぎ,電流が流れやすくなるようにするために,試験体と電極との接触部分をともにきれいに

磨き,また,必要に応じて電極に導体パットを取り付ける。

f)

油孔,その他の孔などで試験後に内部の磁粉を除去するのが困難な箇所には,試験前に,害のない物


18

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質を詰めておく。

9.5.3 

磁化 

磁化は,次による。

a)

磁化するときは,装置の特性,試験体の磁気特性,形状,寸法,表面状態,予測されるきずの性質な

どによって,磁粉の適用時期並びに必要な磁界の方向及び強さを決定し,磁化方法,磁化電流の種類,

電流値及び探傷有効範囲を選定する。磁界の方向及び強さを確認する必要がある場合は,通常 9.3.1

の A 形標準試験片若しくは 9.3.2 の C 形標準試験片又はテスラメータのような磁気測定器を用いる。

b)

磁化は,特に次の項目を考慮して,最も適合した方法を

表 から選んで行う。また,表 の方法を幾

つか組み合わせて用いてもよい。

1)

磁界の方向を,予測されるきずの方向に対してなるべく直角にする。

2)

磁界の方向を試験面になるべく平行にする。

3)

反磁界を少なくする。

4)

試験面を焼損してはならない場合は,試験体に直接通電しない磁化方法を選ぶのがよい。

表 7−標準試験片確認方式において適用する磁化方法

磁化方法

符号

注記

軸通電法 EA

電極の間に試験体をはさんで軸方向に電流を流して磁

化する方法である。

図 

直角通電法 ER

試験体の軸に対して直角な方向に直接電流を流して磁
化する方法である。

図 15 

プロッド法 P

面積の広い試験体の表面に 2 個の電極(プロッド)を押
し当て,電流を流して磁化する方法である。

図 2,図 

電流貫通法 B

孔のある試験体の孔の部分に導体を通して電流を流し,
電流の周りに形成される円形磁界によって試験体を磁

化する方法である。

図 

コイル法 C

試験体をコイルの中に入れて通電又はケーブルをたる

みがないように試験体に巻き付けてコイルを形成して
通電し,コイルが作る磁界によって試験体を磁化する方
法である。

図 10,図 11

極間法 M

試験体又は試験体の一部を電磁石又は永久磁石の磁極
に接して設置し,これらの磁石によって発生した磁束を
試験体の中に投入して磁化する方法である。

図 

磁束貫通法 I

試験体の孔などに通した磁性体に交流磁束などを与え
て,試験体を変圧器の二次側として働かせ,試験体の中

に発生する誘導電流によって試験体を磁化する方法で
ある。

図 


19

Z 2320-1

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図 15−直角通電法 

c)

磁化電流の種類は,特に次の 1)7)を考慮して,最も適した磁化電流を

表 から選んで使用する。

1)

交流及び衝撃電流を用いて磁化する場合は,通常,表面きずの検出に限る。

2)

交流を用いて磁化する場合は,通常,連続法に限る。

3)

直流及び脈流を用いて磁化する場合は,表面のきず及び表面近傍の内部のきずを検出できる。

4)

直流及び脈流を用いて磁化する場合は,連続法及び残留法に使用できる。

5)

脈流は,それに含まれる交流成分が大きいほど,内部のきずの検出性能が劣る。

6)

交流は,表皮効果の影響によって,表面下の磁化は,直流に比べて弱い。

7)

衝撃電流を用いて磁化する場合は,残留法に限る。

d)

磁化電流の設定は,a)の磁界の認識方法によって行い,そのときの磁界の強さは,通常,

表 から選

択する。ここでいう磁界の強さとは,  試験体表面に平行な磁界であって,予測されるきずの方向に対

して直角な方向の強さ(波高値)をいう。

表 8−探傷に必要な磁界の強さ

試験方法

試験体

磁界の強さ

A/m

一般の構造物及び溶接部 1

200∼2 000

鋳鍛造品及び機械部品 2

400∼3 600

連続法

焼入れした機械部品 5

600 以上

一般の焼入れした部品 6

400∼8 000

残留法

工具鋼などの特殊材部品 12

000

以上

e)

通電時間は,次の 1)及び 2)を考慮して設定する。

1)

連続法では,通電中の磁粉の適用を完了できる通電時間を設定する。

2)

残留法では,通常,1/4∼1 秒とする。ただし,衝撃電流の場合には 1/120 秒以上とし,通常,3 回

以上繰り返す必要があるが,十分な起磁力を与えることができる場合は,この限りでない。

9.5.4 

磁粉の適用 

磁粉の適用は,次による。

a)

十分な量の磁粉を,均一な状態で,静かに探傷有効範囲の試験面に適用し,きず部に吸着させる。こ

のとき,試験面を磁粉で汚さないようにして,コントラストのよい磁粉模様を形成させる。そのため

には,試験体の磁気特性,形状,寸法,表面状態,予測されるきずの性質,磁化方法及び試験環境に


20

Z 2320-1

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よって,それに適した磁粉,分散媒の種類,検査液中の磁粉分散濃度及び磁粉の適用方法を選定する。

磁粉の濃度は,通常,非蛍光湿式法では 2∼10 g/L,蛍光湿式法では 0.2∼2 g/L の範囲とする。

b)

連続法においては,磁化操作中に磁粉の適用を完了する。この場合,形成された磁粉模様が磁化操作

終了後の分散媒の流れによって消されないように注意する。

c)

残留法においては,磁化操作終了後に磁粉を適用する。この場合,磁粉の適用前に他の強磁性体を試

験面に接触させないように注意しなければならない。

d)

乾式法においては,磁粉及び試験面が十分に乾燥していることを確認した後,適量の磁粉を静かに吹

き付けるか,散布する。この場合,磁粉模様の形成を容易にするために,軽く試験面を振動させたり,

十分な量の磁粉を適用した後にゆるやかな空気流などによって余剰な磁粉を除去したりしてもよい

が,形成された磁粉模様を消さないように注意しなければならない。

e)

湿式法においては,試験面全面が検査液に対してぬれ性のよい状態になっていることを確認した後,

試験体に検査液をかけるか,磁粉がよく分散されている検査液中に試駿体を浸してから徐々に取り出

すことによって,磁粉を適用する。いずれの場合においても,試験面上における検査液の流速があま

り速くならないように注意しなければならない。また,検査液の滞留が起こる場合には,適切な検査

液の流れを生じさせるようにする。

9.5.5 

試験を実施するときの注意事項 

試験を実施するときの注意事項は,次による。

a)

磁化,磁粉の適用,観察と続く 1 回の連続した試験操作によって,試験面全体を試験できない場合は,

1 回の試験操作で試験できる探傷有効範囲を設定し,試験面を幾つかの探傷有効範囲に分割した後,

必要な回数,試験操作を繰り返す。この場合,隣接する探傷有効範囲は,その端部を必ず必要な幅だ

け重複しなければならない。

b)

きずの方向を予測できない場合及びいろいろな方向のきずを検出しなければならない場合には,少な

くとも 2 方向以上の異なった方向の磁界を試験体に加え,各方向ごとにそれぞれ再試験を行う。この

場合,試験体を多方向に順次繰り返し磁化して,連続法で同時に試験を行うことができる装置を用い

てもよい。

c)

残留法を用いる場合には,磁化操作終了後から磁粉模様の観察終了までの間に,試験面に他の試験体

又はその他の強磁性体を接触させてはならない。

d)

数個の試験体を同時に試験する場合には,試験体の配置,磁化方法,磁化電流などに特に留意する。

e)

溶接部の試験を行うときは,次の 1)及び 2)に注意する。

1)

溶接部に溶接後熱処理などの指定がある場合は,合否判定のための試験は,最終熱処理後に行う。

2)

溶接部の熱処理後,圧力容器の耐圧試験の完了後などに行う試験の磁化方法は,通常,極間法を用

い,プロッド法を用いてはならない。

10 

磁粉模様の観察 

観察条件は,JIS Z 2323 の規定に従うものとする。

a)

磁粉模様の観察は,通常,磁粉模様が形成された直後に行う。試験手順の次の段階に移る前に,試験

対象とした試験面全域を観察する。観察に支障がある場合には,試験体又は設備を移動して,試験対

象とした試験面全域を適切に観察できるようにする。磁化が終了した後,試験体の検査及び磁粉模様

の記録が完了するまでは,磁粉模様が乱れないように十分注意する。

b)

非蛍光性の検出媒体を使用する場合は,次の要求を満たさなければならない。


21

Z 2320-1

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1)

検出媒体と試験面との間には明りょうなコントラストをつける。

2)

試験範囲を,自然光又は人工の光によって,500 lx 以上に均一に照らす。

注記  試験面からの強い反射光は避けるとよい。

c)

蛍光性の検出媒体を使用する場合は,次の要求を満たさなければならない。

1)

試験を行う部屋又は区域は,周囲の明るさを最大 20 lx の白色光レベル以下にする。

2)

試験範囲をブラックライトで照射し,

JIS Z 2323

の規定に従って試験面での A 領域紫外線を測定し,

その照度が 10 W/m

2

(1 000 µW/cm

2

)を超えるようにする。

3)

周囲の白色光レベルが高くても,そのレベルに応じて,より強い A 領域紫外線を用いる時は,観察

を行ってもよいが,その場合には,磁粉模様と周囲の試験面との間のコントラストが維持されてい

ることを示すことができなければならない。

4)

観察に先立って,十分な時間をかけて周囲の明るさに目を慣らす。

5)

ブラックライトの正確な強さを保証するために,使用に先立って数分(通常少なくとも 5 分)前か

ら点灯しておく。

6)

試験員は,A  領域紫外線又は A  領域紫外線が反射する範囲を直接見ることは避ける。

7)

光可逆変色を起こすめがねは,紫外線にさらされると暗くなり,着用者がきずを検出する能力を低

下させるため,着用してはならない。

11 

磁粉模様の分類,記録及びきずに関する情報 

11.1 

磁粉模様の分類 

磁粉模様の分類は,次の手順によって行う。

a)

磁粉模様が現れた場合は,11.2 によって,きずによる磁粉模様か,きずによらない疑似模様かを確か

める。

b)

きずによる磁粉模様は,11.3 によって分類する。

11.2 

疑似模様の確認 

疑似模様の確認は,次による。

a)

疑似模様には,次のようなものがある。

1)

すり傷指示

2)

磁気ペン跡

3)

断面急変指示

4)

電流指示

5)

電極指示

6)

磁極指示

7)

表面粗さ指示

8)

材質境界指示

b)

確認された磁粉模様がきずによるものであると判定しにくいときは,次の操作によって,磁粉模様が

疑似模様であるかどうかを確認することができる。

1)

磁気ペン跡は,脱磁後再試験すると磁粉模様が消える。

2)

電流指示は,電流を小さくするか,残留法で再試験すると,磁粉模様が消える。

3)

表面粗さ指示は,電流を小さくするか,試験面を滑らかにして再試験を行うと,磁粉模様が消える。

4)

材質境界指示は,マクロ試験,顕微鏡試験などの磁粉探傷試験以外の試験で確かめる。


22

Z 2320-1

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11.3 

きずによる磁粉模様の分類 

磁粉探傷試験で得られたきずによる磁粉模様を,形状及び集中性によって次のように分類する。

a)

割れによる磁粉模様  試験体表面の割れの多くは,磁粉模様を取り除いて表面を観察することによっ

て,割れと識別される。

b)

独立した磁粉模様  独立して存在する個々の磁粉模様は,次の 2 種類に分類する。

1)

線状磁粉模様  磁粉模様においてその長さが幅の 3 倍を超えるもの。

2)

円形状磁粉模様  円形又はだ円形の磁粉模様であって,長さが幅の 3 倍以下のもの。

c)

連続した磁粉模様  複数個の磁粉模様がほぼ同一直線上に連なって存在し,その相互の距雛が 2 mm

以下の磁粉模様。磁粉模様の長さは,特に指定がない場合,磁粉模様の個々の長さ及び相互の距離を

加え合わせた値とする。

d)

分散した磁粉模様  一定の面積内に複数個の磁粉模様が分散して存在する磁粉模様。

11.4 

磁粉模様の記録 

磁粉模様は,必要に応じて,写真撮影,スケッチ,転写(粘着性テープ,磁気テープなど)によって記

録し,また,適切な材料(透明ワニス,透明ラッカーなど)で試験面に固定する。

11.5 

磁粉模様から得られるきずに関する情報 

磁粉模様から試験体表面におけるきずの長さを得ることができるが,きずの深さを推定することは,一

般的に困難であるので,きずの深さを求めるには,磁粉探傷試験以外の方法によらなければならない。

12 

脱磁 

脱磁は,次による。

a)

注文書によって要求された場合又は次のようなおそれがある場合には,試験後に適切な方法によって

試験体を脱磁し,残留磁界の強さを許容される値以下とする。

1)

続いて行う試験の磁化が,前回の磁化によって悪影響(妨害となる磁束の発生など)を受ける。

2)

試験体の残留磁気が,以後の機械加工に悪影響を及ぼす。

3)

試験体の残留磁気が,計測装置などに悪影響を及ぼす。

4)

試験体が,摩擦部分又はそれに近接した箇所に使用されるもので,摩擦部分に鉄粉などを吸引して

摩耗を増加する。

b)

脱磁を実施するときの注意事項は,次による。

1)

脱磁は,磁化に用いられた磁界の強さ以上の値から始めて次第に減少させる交番磁界を用いる。

2)

直流を用いて試験体を磁化した場合は,完全な脱磁を達成することは非常に困難である。直流を用

いて磁化した試験体については,低周波又は正負が繰り返し逆転する直流によって脱磁を行う。

3)

試験体の残留磁気が強い場合には,a)の 1)4)によって,検査の有効性が制限されることがある。

このような場合には,試験を実行する前に脱磁を行う。

4)

脱磁後は必要に応じて,テスラメータなどを用いて脱磁されたことを確認する。

13 

清掃及び防食 

要求された場合には,試験及び合否判定の後に,検出媒体を除去するためにすべての試験体を清掃しな

ければならない。さらに,腐食から試験体を保護することが必要になることがある。


23

Z 2320-1

:2007

14 

試験報告書 

試験報告書が要求される場合は,試験報告書には,最小限,次の項目が含まれていなければならない。

a)

試験体  品名,寸法,材質,熱処理状態,表面状態,試験時期(熱処理の前後,又は最終機械加工の

前後など)及び試験の実施のための前処理(表面の手入れなど)について記載する。

b)

試験条件  使用した試験手順書及び技術シートを明示し,工程確認方式又は標準試験片確認方式のい

ずれによったかを記載し,更に次の項目について記載する。

1)

試験装置  名称,形式及び製造業者名を記載する。

2)

磁粉  製造業者名,形番,粒度,蛍光・非蛍光の別及び色を記載する。

3)

検出媒体,磁粉の分散媒及び磁粉分散濃度  湿式法又は乾式法の別,分散媒の種類及び磁粉分散濃

度を記載する。

例  湿式法,水,10 g/L

4)

コントラストペイント(使用した場合)  製造業者名及び形番を記載する。

5)

磁粉の適用時期  連続法又は残留法かの別を記載する。

6)

磁化電流の種類  直流,脈流,交流,衝撃電流のいずれを用いたかを記載する。

なお,脈流の場合は,その整流方式を付記する。

例  脈流・単相半波整流方式

7)

磁化電流値,磁化時の形状・配置及び通電時間  磁化電流値は,波高値で記載する。極間法の場合

は磁極間隔,コイル法の場合はコイルの寸法及び巻数,プロッド法の場合はプロッド間隔を含む電

極,磁極の形状・配置などに関する情報を付記する。工程確認方式によって試験した場合は,試験

体表面に平行な磁界の波高値(

附属書 などによって計算する。)を付記する。

8)

磁化方法  表 又は表 の分類によって記載する。

9)

対比試験片及び標準試験片  工程確認方式によって試験した場合は,使用した対比試験片のタイプ

を記載する。標準試験片確認方式によって試験した場合は,使用した 形標準試験片又は 形標準

試験片の名称(標準試験片ごとに知られている試験面の有効磁界の強さの値を付記)を記載する。

標準試験片確認方式において,形対比試験片を使用した場合は,材質及び主要寸法を記載する。

10)

観察条件  非蛍光性の検出媒体の場合は,試験面の明るさ,蛍光性の検出媒体の場合は,試験面に

おける A 領域紫外線の照度及び周囲の明るさを記載する。

11)

試験後の残留磁界の最大値など  試験終了後(脱磁を行った場合は脱磁後)の試験体の残留磁界に

ついての情報が必要な場合は,その最大値などを記載する。

12)

試験結果  磁粉模様の有無とその位置,磁粉模様とその分類など,磁粉模様の詳細な記述を記載す

る。

磁粉模様は,箇条 10 によって具体的に記載し,磁粉模様の分類は,箇条 11 によって記載する。

また,磁粉模様が受渡当事者間で定めた合否判定基準に照らして,合格かどうかについての説明も

記載する。

c)

その他

1)

試験技術者  試験を担当した技術者の氏名,資格及び署名を記載する。

2)

試験年月日

3)

試験場所


24

Z 2320-1

:2007

附属書 A

(参考)

各種磁化方法に対して指定された試験体表面に平行な

磁界の強さを達成するために必要な電流の決定の例

序文 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

すべての計算式は,単純な形の試験体又はより大きな試験体の一部分を適切に磁化するのに必要な電流

の近似値を得るために,使用することができる。時間とともに変化する電流によって磁化させる場合,実

効値が必要とされる値である。8.3.1 で要求されるように,電流は,試験範囲の周辺における試験体表面に

平行な磁界(H)を用いて表される。様々な磁化方法に対して指定された,試験体表面に平行な磁界の強

さを得るために必要な電流の決定の例を,次に示す。

A.1 

軸通電法(8.3.3.2.1 及び図 1 

必要な電流は,次の式による。

Hp

I

=

ここに,

I:  電流(A)

p:  試験体の周囲長さ(円筒の場合,円周)(m)

H  試験体表面に平行な磁界(A/m)

断面が場所によって変化する試験体において,最大及び最小の断面を磁化するのに必要な電流値の比率

が 1.5:1 未満であるときだけ,単一の電流値を用いてもよい。単一の電流値を使用する場合,最大の断面

に対する電流値を与えなければならない。

A.2 

プロッド法(8.3.3.2.2,図 及び図 3 

図 及び図 に示されるような長方形の試験範囲を検査する場合,電流の実効値は,次の式による。

Hd

I

5

.

2

=

ここに,

I:  電流の実効値(A)

d:  プロッド間隔(m)

H  試験体表面に平行な磁界(A/m)

この計算式は,が 200 mm 以下の場合に適用する。 

別の見方としては,試験範囲をプロッド電極間に記した円としてもよい。この場合,各プロッドの周辺

から 25 mm 以内の範囲を除く。

この場合,電流の実効値は次の式による。

Hd

I

3

=

上記のいずれの場合においても,検査表面の曲率半径がプロッド間隔の半分を超える場合に対して,こ

れら二つの計算式によって信頼できる電流の実効値を得ることができる。

A.3 

磁束貫通法(8.3.3.2.3 及び図 4 

必要な誘導電流は,次の式による。

Hp

I

=

ind


25

Z 2320-1

:2007

ここに,  I

ind

:  誘導電流(A)

p:  試験体の断面周長さ(m)

H  試験体表面に平行な磁界(A/m)

断面が場所によって変化する試験体において,最大及び最小の断面を磁化するのに必要な電流値の比率

が 1.5:1 未満であるときだけ,単一の電流値を用いてもよい。単一の電流値を使用する場合,最大の断面

に対する電流値を与えなければならない。

注記  誘導電流を一次電流から計算することは,容易ではない。

A.4 

電流貫通法(8.3.3.3.1 及び図 5 

中央の電流貫通棒に流す電流は,A.1 によって与えられる。試験部品が中空のパイプ又はそれに類似し

た試験体である場合には,外表面を試験するときは外表面の直径に基づいて,また内表面を試験するとき

は内表面の直径に基づいて,電流値を計算しなければならない。

A.5 

隣接電流法(8.3.3.3.2,図 及び図 7 

必要な磁化を達成するために,ケーブルの中心線を,試験表面から垂直の距離(d)にあるように設置し

なければならない。ケーブルの中心線の両側に設定される有効な試験範囲の幅が であるとき,ケーブル

の中で流れる電流の実効値は,次の式による。

dH

I

π

4

=

ここに,

I:  電流の実効値(A)

d:  試験体表面からケーブルまでの距離(m)

H  試験体表面に平行な磁界(A/m)

試験が円筒状の試験体又は枝管継手

(例えばスタブ−ヘッダ溶接部)

上のコーナーで行われる場合には,

ケーブルを試験体又は枝管の表面を包むように設置してもよく,また,何ターンかは,

図 に示されるよ

うに密に巻き付けたコイルの形にして束ねてよい。この場合,検査表面は,ケーブル又はコイル巻線から

距離(d)以内でなければならない。ここに,dNI/(4 πH),はターン数とする。

A.6 

コイル法(固定)(8.3.3.3.5 及び図 10 

試験体がコイル断面積の 10  %未満を占め,それをコイル底で軸方向に置く場合は,次の計算式を適用

する。

(試験体がコイルの長さより長い場合には)コイルの長さの間隔で繰り返す。

D

L

HK

NI

/

4

.

0

=

ここに,

N: コイルの有効な巻数

I: 電流(A)

H: 試験体表面に平行な磁界(A/m)

L/D: 試験体の長さ L(m)と直径 D(m)の比率“円形断面をも

つ試験体の場合[断面が円形でない試験体の場合は,D
(m)の代わりに試験体の周長 R(m)を円周率 π で序し
た値 R/πを用いる。

試験体の L/が 20 を超える場合には,L/は 20 とする。

K: 係数

K

=22[交流(実効値)及び全波整流(平均値)の場合]

K=11[半波整流(平均値)の場合]

短い試験体(L/が 5 未満)の場合には,計算式からは,大きめの電流値が与えられる。


26

Z 2320-1

:2007

電流を小さくするには,試験体の有効な長さを増加させるために継鉄棒を使用する。

A.7 

コイル法(ケーブル)(8.3.3.3.6 及び図 11 

直流又は整流を用いて必要な磁化を行う場合は,ケーブルに流れる電流の実効値の最小値は,次の式に

よる。

(

)

[

]

T

Y

T

H

I

4

/

3

2

+

=

ここに,

I:  電流の実効値(A)

H:  試験体表面に平行な磁界(A/m)

T  試験体の板の厚さ又は半径(試験体が円形断面を

もつ棒の形をしている場合)

(m)

Y  コイル中の隣接した巻線の間隔(m)

交流を用いて必要な磁化を行う場合は,ケーブルに流れる電流の実効値の最小値は,次の式による。

(

)

[

]

40

/

10

3

2

Y

H

I

+

=


27

Z 2320-1

:2007

附属書 JA

(参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS Z 2320-1:200x

非破壊試験−磁粉探傷試験−第 1 部:一般通則

ISO 9934-1:2001

,Non-destructive testing−Magnetic particle testing−Part 1: General

principles

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容

箇 条 番 号
及び名称

内容

(Ⅱ) 
国 際 規 格

番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と
の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

3 用 語 及
び定義

JIS Z 2300

及び 3.1

∼3.9 を規定。

 3 EN 1330-1-2 及び

prENISO 12707

を引

用。

変更

用語を規定した JIS を引用。

用いられている規格が ISO 規格
になるときに提案する。

4 技 術 者
の 資 格 及

び認証

JIS Z 2305

JIS G 

0431

JIS W 0905 

引用。

 4 EN-473 を引用。 

変更

資格及び認証を規定した JIS を引
用。

箇条 3 と同じ。

5 安 全 上
の 予 防 措

安全性及び環境上の
要求を規定。

安全に関する国内法
規などに従うと規定。

変更

JIS

は具体的内容を規定。

JIS

は分かりやすく,具体的に規

定したためで,技術的差異はな

い。

7 検 査 性
能 の 確 認
方 式 及 び
試 験 方 法

の分類

工程確認方式又は標

準試験片確認方式の
いずれかを選択。

選択

JIS

は,ISO 規格の方法(工程確

認方式)又は JIS 独自の方法(標
準試験片確認方式)の 2 種類とし
た。

JIS

を直ちに廃止して ISO 規格

を導入すると,業界の混乱,反
発を引き起こす可能性があるた
め,選択とした。 
5 年目の見直し時に,市場の普及
によって,ISO 規格の方法に統合
す る か 又 は 日 本 独 自 の 方 法 を

ISO

に提案するか判断する。

1

Z 2

320

-1


20
06

1

Z 2

320

-1


20
06


28

Z 2320-1

:2007

8 工 程 確
認方式

8.1  一般事項 
 
8.2  表面の処理 
8.3  磁化 
8.3.1  一般的な事項 
 
 
 
8.3.2  磁化の確認 
8.3.3  磁化方法 
8.4  検出媒体 
8.5  総合性能試験

 
 


8.1 
 
 
 
8.2 
8.3 

11

 

追加 
 
変更

変更 
変更 
 
 
 
変更

変更 
変更 
変更

 
 
 
 
波高値と実効値の関係を把握する
ことを規定した。

8.1,8.2,8.3 は,構成の変更で
あり技術的差異はない。 
 
 
ISO

規格に“波高値と実効値との

関係を把握した上で実効値によ

って磁化状態を管理する。

”旨の

規 定 を 追 加 す る こ と を 提 案 す
る。 
8.3.2,8.3.3,8.4, 8.5 は,構成の
変更であり技術的差異はない。

9 標 準 試
験 片 確 認
方式

追加

標準試験片確認方式を追加。

箇条 7 と同じ。

11 磁粉模
様 の 分
類 , 記 録
及 び き ず

に 関 す る
情報

12

  追加

磁粉模様がきずによるものか,疑

似模様化を判定する方法を追加。
磁粉模様の分類に連続した磁粉模
様及び分散した磁粉模様を追加。

磁粉模様の記録方法,磁粉模様か
ら得られるきずに関する情報を追
加。

旧 JIS において蓄積されていた

ノウハウ(ISO 規格にはない)を
追加し,ISO へ提案する。 

12 脱磁

13

追加

脱磁が必要な場合に関する規定を
追加。

箇条 11 と同じ。

14 試験報
告書

15

  追加

 
 
追加

工程確認方式か標準試験片確認方
式のいずれかを記載することを追

加規定。 
記載項目の詳細を追加。

箇条 7 と同じ。 
 
 
箇条 11 と同じ。

 

 
 

1

Z 2

3

20
-1


20
06

1

Z 2

320

-1


20
06


29

Z 2320-1

:2007

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 9934-1:2001;MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  変更  国際規格の規定内容を変更している。 
    −  選択  国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD 国際規格を修正している。 

1

Z 2

3

20
-1


20
06

1

Z 2

320

-1


20
06