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日本工業規格

JIS

 Z

2319

-1991

漏えい(洩)磁束探傷試験方法

Methods for magnetic leakage flux testing

1.

適用範囲  この規格は,丸鋼(直径 10∼400mm)及び鋼管(外径 10∼660mm)など(以下,試験体

という。

)の表面きずを自動的に検出することを目的とする漏えい(洩)磁束探傷試験方法の一般事項につ

いて規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS Z 2300

  非破壊試験用語

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 2300 による。

3.

探傷方式の分類

3.1

きずの方向による探傷方式の分類  きずの方向による探傷方式の分類は,次による。

(1)

軸方向きず探傷方式  試験体の軸方向きずの検出を目的として,周方向に磁化して探傷する方式(図

1

参照)

(2)

周方向きず探傷方式  試験体の周方向きずの検出を目的として,軸方向に磁化して探傷する方式(図

2

参照)

図 1  軸方向きず探傷方式 

図 2  周方向きず探傷方式 

3.2

きずの位置による探傷方式の分類  きずの位置による探傷方式の分類は,次による。

(1)

外表面きず探傷方式  試験体の外部から直流又は交流で磁化し,試験体の外側に置いたセンサによっ

て外表面きずからの漏えい(洩)磁束を検出する方式(

図 参照)。

(2)

内外表面きず探傷方式  鋼管などの試験体の外部から直流で磁化し,試験体の外側に置いたセンサに

よって外表面又は薄肉管の内表面に存在するきずからの漏えい(洩)

磁束を検出する方式

図 参照)。


2

Z 2319-1991

図 3  外表面きず探傷方式 

図 4  内外表面きず探傷方式 

4.

仕様の指定  試験受注者は,あらかじめ試験発注者と協議し,次の事項について定めておかなければ

ならない。

(1)

試験装置の探傷方式,運動形式

(2)

試験の時期

(3)

試験体の表面状況

(4)

対比試験片

(5)

合否判定の基準

(6)

脱磁の要否

5.

試験技術者  試験を行う者は,漏えい(洩)磁束探傷試験について十分な知識及び経験をもつ者でな

ければならない。

6.

試験装置

6.1

構成  試験装置は,磁化装置,センサ,走査装置,信号処理装置,マーキング装置,記録装置など

を組み合わせたものとし,それを使用する環境温度において安定に動作するものでなければならない。

6.2

磁化装置  磁化装置は,磁化電流を供給するための電源装置,磁化器などを組み合わせたものとし,

電源装置には試験条件の設定及び監視のために,必要に応じて電流調整つまみや電流計などを備えなけれ

ばならない。

6.3

センサ  センサは,試験の目的,探傷方式によって適切なものを用いる。

6.4

走査装置  走査装置は,センサと試験体表面の間隔を一定に保ちながらそれらを相対的に走査させ

る装置で,センサならい装置,センサ又は試験体の回転装置,ら旋(ヘリカル)送り装置,直進送り装置

などからなるものとする。

なお,センサと試験体の運動状態及びその記号並びに運動形式の呼び方は,

表 による。


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Z 2319-1991

表 1  センサと試験体の運動状態及びその記号並びに運動形式の呼び方

センサの運動

試験体の運動

運動形式の呼び方

記号

運動状態

記号

運動状態

S

静止 H

ら旋 SH

T

直進 ST

T

直進 R

回転 TR

S

静止 TS

R

回転 T

直進 RT

H

ら旋 S

静止 HS

C

平面回転 H  ら旋 CH

参考  表中の記号は,運動状態を示す次の英語の頭文字をとったものである。

C

:Circular rotating,H:Helical moving,R:Rotating,

S

:Stationary,T:Travelling

6.5

信号処理装置  信号処理装置は,センサから得られた信号に対する増幅器及びフィルタなどの電気

装置,きず信号を表示するための表示装置などからなり,次による。

(1)

試験状況の監視及びきず信号などを表示する指示器又は表示器などの表示装置を備えていること。

(2)

利得(ゲイン)

,フィルタ,マーキングレベルなどの試験条件の設定を行う必要がある場合,必要に応

じて調整つまみを付け,その設定値を表示するための目盛などを備えていること。

(3)

信号処理装置は,外部からの電気的雑音に対して保護されていること。

6.6

マーキング装置  マーキング装置は,マーカ及びその制御装置からなり,きず信号に応じて試験体

のきず位置又は試験体の端部などの定められた範囲にマーキングできるものでなければならない。

6.7

記録装置  記録装置は,信号処理装置から出力されたデジタル又はアナログ出力を記録するもので,

目的に適した方式,性能のものでなければならない。

7.

対比試験片

7.1

対比試験片の使用目的  試験装置の感度などの校正及び定期点検を行うときに用いる。

7.2

対比試験片に用いる材料  試験体と同一又は類似の成分,寸法,熱処理を行った棒鋼や鋼管に人工

きずを加工したものを用いる。

7.3

人工きずの加工  放電加工,機械加工などによって加工する。

7.4

対比試験片に用いる人工きず  対比試験片に用いる人工きずは,次による。

(1)

対比試験片に用いる人工きずの種類は,角溝(スリット)又はドリル穴とする(

図 参照)。

図 5  人工きずの断面形状

備考  角溝の場合,形状が U 字形となることがあるが,こ

れは角溝と同等とみなす。

(2)

人工きずの呼び方は,人工きずの種類の記号と人工きずの寸法で表し,次の例による。

なお,人工きずの種類の記号は,角溝は N,ドリル穴は D とする。


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また,人工きずの寸法は,角溝では深さ (mm) 又は管の厚さに対する深さの比 (%) を表し,ドリ

ル穴では,貫通孔の直径 (mm) を表す。

1. N-0.3(溝の深さが0.3mm の角溝)

2. N-25(溝の深さが管の厚さの25%の角溝)

3. D-1.2(直径が1.2mm のドリル穴)

(3)

角溝の人工きずで,深さ,幅及び長さを表す場合は,次による。

例 N-0.3/0.5-25(深さ 0.3mm,幅 0.5mm,長さ 25mm の角溝)

(4)

丸鋼の対比試験片に用いる人工きずは,軸方向の角溝とし,その呼び方及び寸法は,

表 による。

表 2  丸鋼の対比試験片に用いる角溝の呼び方及び寸法

単位 mm

角溝の呼び方

深さ

深さの許容差

長さ

N-0.2 0.2

±0.05 0.5 以下 25 以上

N-0.3 0.3

N-0.5 0.5

N-0.7 0.7

N-1.0 1.0

(5)

鋼管の対比試験片に用いる人工きずは,角溝又はドリル穴とし,その呼び方及び寸法は,

表 又は表

4

による。

表 3  鋼管の対比試験片に用いる角溝の呼び方及び寸法

角溝の呼び方

深さ

深さの許容差

長さ

N-5

管の厚さの 5%

N-10

管の厚さの 10%

N-12.5

管の厚さの 12.5%

N-15

管の厚さの 15%

N-20

管の厚さの 20%

N-25

管の厚さの 25%

N-30

管の厚さの 30%

N-40

管の厚さの 40%

N-50

管の厚さの 50%

深さの±15% 
ただし,最小
値は±0.05mm

1mm

以下 25mm 以上

備考  角溝の深さの最小値は,熱間仕上継目無鋼管,電気抵抗溶接鋼管及び鍛接鋼管

の場合は 0.3mm,冷間仕上継目無鋼管及び溶接ステンレス鋼管の場合は 0.2mm
とする。

表 4  鋼管の対比試験片に用いるドリル穴の呼び方及び寸法

単位 mm

ドリル穴の呼び方 ドリル穴の直径 ドリル穴の直径の許容差

D-0.8 0.8

±0.05

D-1.0 1.0

D-1.2 1.2

D-1.6 1.6

D-2.0 2.0

±0.1

D-2.5 2.5

D-3.2 3.2

8.

試験方法

8.1

試験の時期  試験の適用目的によって,製品の加工又は熱処理工程の適当な時期に試験を行う。


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8.2

試験体の前処理  試験を行う前に必要に応じて,ばり取り,曲がりの矯正など試験体の前処理を行

う。

8.3

試験装置の予備運転  試験ができる状態に安定するまで,試験装置の予備運転を行う。

8.4

試験条件の設定

8.4.1

試験条件の設定時期  試験条件の設定は,試験の前に行い,以降は設定した試験条件が変動してい

ないことを適時確認しなければならない。

また,試験途中に試験装置の一部でも異状が認められた場合や,誤って調整つまみなどに触れた場合に

は,試験条件の設定を始めからやり直さなければならない。

8.4.2

対比試験片の選択  試験条件の設定に用いる対比試験片は,7.に定められたものの中から選択する。

8.4.3

磁化電流の調整  磁化電流が可変の磁化装置では,対比試験片の人工きずによる指示が十分表示さ

れるように磁化電流を調整する。

8.4.4

走査装置の調整  試験体の寸法及び試験の目的に応じて,走査ピッチ,走査速度などを適切に調整

する。

8.4.5

信号処理装置の調整  信号処理装置の調整は,次による。

(1)

利得などが可変の装置では,対比試験片の人工きずによる指示が十分表示されるように利得を調整す

る。

(2)

表示装置及び記録装置などは,対比試験片の人工きずによる指示が正常な動作範囲に入るように調整

する。

8.4.6

マーキング装置の調整  対比試験片又はそれに代わる試験片を用いて正常にマーキングするよう

に調整する。

8.5

きずの確認  試験体のきずによるものかどうか疑わしい指示が得られた場合には,再試験を行うか

他の方法によって確認する。

8.6

脱磁  脱磁の必要がある場合には,必要な限度まで脱磁を行う。

8.7

記録  必要に応じて次の項目を記録する。

(1)

試験品名

(2)

試験年月日

(3)

試験者名

(4)

試験の時期

(5)

試験装置の形式及び探傷方式

(6)

運動形式

(7)

磁化電流の種類及び電流値

(8)

脱磁の有無

(9)

対比試験片における人工きずの種類と寸法

(10)

合否判定基準

(11)

試験結果

漏えい(洩)磁束探傷試験方法 JIS 原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

宮  川  一  男

日本大学

(委員)

岩  崎  一  雄

電子磁気工業株式会社

植  竹  一  蔵

金属材料技術研究所

内  海      仁

株式会社神戸製鋼所

加  藤  光  昭

九州大学

河  田  忠  則

愛知製鋼株式会社

工  藤  保  一

山陽特殊製鋼株式会社

坂  本  隆  秀

住友金属工業株式会社

白  井  逸  郎

原電子測器株式会社

高  橋      暢

川崎製鉄株式会社


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Z 2319-1991

氏名

所属

中  野  哲  男

日本鋼管株式会社

中  村      薫

大同特殊鋼株式会社

藤  田  米  男

日鉄テクノス株式会社

藤  中  雄  三

京都大学

星  川      洋

日本大学

和  田  茂  稔

日本クラウトクレーマー・フェルスター株式会社

(解説作成者)

宮  川  一  男

(日本大学)

鉄鋼部会  非破壊試験方法専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

中  澤      一

東京工業大学名誉教授

木  村  勝  美

財団法人日本溶接技術センター

江  川  幸  一

科学技術庁航空宇宙技術研究所

池  田      要

工業技術院標準部

岸  上  守  孝

財団法人発電設備技術検査協会

藤  沢      明

社団法人日本産業機械工業会(石川島汎用ボイラ株式会社)

奥  井  四  郎

日産自動車株式会社材料研究所

岡          実

財団法人日本海事協会

柏  谷  賢  治

財団法人鉄道総合技術研究所

宮  川      淳

社団法人石油学会(日本石油精製株式会社)

小  島  千  尋

日揮メンテナンス株式会社

高  沖      亮

社団法人非破壊検査振興協会

田  中      恵

日本鋼管株式会社

松  本  正  巳

株式会社巴組技研

木  村  新一郎

日鉄テクノス株式会社

山  口  久  雄

住友金属工業株式会社

富  士      岳

東京理学検査株式会社

菊  池  晋  一

菱日エンジニアリング株式会社

松  山      宏

三菱電機株式会社

原  田      豊

株式会社神戸製鋼所

今  川  博  之

東レ株式会社

磯  野  英  二

理学電機株式会社

久木田  実  守

社団法人日本航空技術協会

松  山      格

東京都立工業技術センター

土  門      齊

東京工科大学

宮  川  一  男

日本大学

佐  伯      朗

原電子測器株式会社

伊  藤  秀  之

科学技術庁金属材料技術研究所

大  岡  紀  一

日本原子力研究所大洗研究所

加  藤  光  昭

九州工業大学

(事務局)

穐  山  貞  治

工業技術院標準部材料規格課