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Z 2284 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS Z 2284

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(規定)  極低温弾塑性破壊じん性 J

IC

試験用変位計の校正方法

附属書 2(規定)  積分及びき裂進展量の計算方法

附属書 3(規定)  き裂長さの実測方法


日本工業規格

JIS

 Z

2284

: 1998

金属材料の液体ヘリウム中

弾塑性破壊じん(靱)性 J

IC

試験方法

Method of elastic-plastic fracture toughness J

IC

 testing

for metallic materials in liquid helium

1.

適用範囲  この規格は,液体ヘリウム中の極低温における金属材料の除荷コンプライアンス法による

弾塑性破壊じん性 J

IC

試験方法について規定する。

備考  この規格で用いる液体ヘリウム中の極低温とは,液体ヘリウムの大気圧における沸点[おおよ

そ 4K (−269℃)]をいう。以下,特に断らない限り,これを単に極低温という。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS B 0601

  表面粗さ−定義及び表示

JIS B 7507

  ノギス

JIS B 7721

  引張試験機−力の検証方法

JIS G 0303

  鋼材の検査通則

JIS G 0306

  鍛鋼品の製造,試験及び検査の通則

JIS Z 2277

  液体ヘリウム中における金属材料の引張試験方法

JIS Z 2283

  金属材料の液体ヘリウム中の低サイクル疲労試験方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 2277JIS Z 2283 によるほか,次による。

a)

J

積分  (J)    き裂下面から出発して,き裂先端を囲んだ形でき裂上面に至る,任意の線又は面径路に

関する積分である。き裂先端近傍の局所的な応力−ひずみ場を記述する。

b)

弾塑性破壊じん性  (J

IC

  予き裂からモード I の平面ひずみ型延性引裂き破壊が開始する際の破壊抵

抗である。降伏規模にかかわらず,試験片形状・寸法及び引張・曲げの負荷方式に依存しない材料定

数である。

c)

応力拡大係数  (K)    小規模降伏条件を満足する場合に,き裂先端近傍の局所的な応力−ひずみ場を記

述する力学パラメータである。

d)

平面ひずみ破壊じん性  (K

IC

  平面ひずみ及び小規模降伏条件を満足する場合に,予き裂からモード

I

の破壊が開始する際の破壊抵抗である。

なお,J

IC

から換算される K

IC

 (J)

は,延性引裂き破壊に対する K

IC

である。

e)

き裂面方向  製品形状に関連し,破壊の面及び方向を示す方式。この方式では,ハイフン付きのコー


2

Z 2284 : 1998

ドを用いて指定され,

最初の文字はき裂面に垂直な方向,

次の文字は予想されるき裂進展方向を表す。

f)

き裂長さ  (a)    試験片端面に平行な荷重線を含む面からき裂前縁までの長さ。

g)

初期き裂長さ  (a

0

  破壊じん性試験開始時のき裂長さ。

h)

き裂進展量  (

a

  試験中におけるき裂長さの増加分。

i)

有効降伏強さ  (

σ

Y

  破壊じん性試験パラメータに及ぼす塑性降伏の影響を表す一軸降伏強さの仮定

値。この規格では,

σ

Y

は,0.2%耐力と引張強さの平均値と規定する。

j)

トンネリング  き裂進展が,試験片の表面付近では少なく,厚さ中央部で大きくなる現象。すなわち,

き裂前縁が湾曲化する現象。

k)

コンプライアンス  変位と試験力増分との比。すなわち,試験力−変位曲線の傾きの逆数。

l)

除荷コンプライアンス法  き裂進展に伴う試験片の剛性変化を検出してき裂進展量を推定する方法で

ある。試験片の負荷途中で除荷を行い,除荷時のコンプライアンスを計測してき裂長さを予測する。

m)

鈍化直線  破壊開始以前の J-

a

関係の近似直線。

n)

安定き裂進展の開始  鈍化したき裂先端からの遅い安定き裂進展の開始。

o)

R

曲線  破壊開始以後の J-

a

関係の対数曲線近似。

p)

無次元き裂長さ  (a/W)    き裂長さ  (a)  と試験片幅  (W)  との比。試験片幅は,荷重線から試験片背端

面までを計測する。

q)

断熱発熱  破壊じん性試験による塑性仕事によって発生した熱が,周囲の冷媒などへ即座に伝わるこ

とができないために起こる試験片の内部発熱。

4.

試験の原理  この試験は,予き裂を導入した試験片に極低温で引張の試験力を加えて,疲労予き裂か

ら平面ひずみ延性引裂き破壊が開始する際の破壊じん性を求めるものである。

5.

試験装置及び器具  破壊じん性試験は,変位速度制御方式の試験機に,5.2 の極低温装置及び 5.4 の変

位計を備えた試験装置によって行う。

5.1

試験機  試験機は,JIS B 7721 による等級 1 級以上に適合するもので,十分な剛性をもつものとす

る。

5.2

極低温装置  極低温雰囲気中で試験片に負荷するための装置は,次による。

a)

極低温装置は,液体ヘリウムを保持するためのデュワーと,その中で試験片を保持して負荷するため

の試験ジグを備えた構造とする。極低温装置の例を

図 に示す。

b)

デュワーは,試験中,試験片を極低温に保つのに十分な断熱層をもつものとする。

c)

極低温装置には,デュワーに液体ヘリウムを送入するための断熱層をもったトランスファーチューブ

を備えるものとする。

5.3

試験ジグ  極低温で十分な機械的特性をもつ材料で製作した試験ジグを使用する。図 に示す例の

ように,負荷ピンと接するピン穴面(平面)は,試験中の試験片の回転を許し,摩擦を小さくするために,

JIS B 0601

に規定する 0.80

µmR

a

以下とする。

5.4

変位計  変位計は,次による。

a)

変位計は,試験に先立って,

附属書 によって,あらかじめ校正したものを用いる。

b)

変位計は,試験片に取り付ける。

5.5

液面計  極低温装置のデュワーは,試験中,試験片が完全に液体ヘリウム中にあることを確認する

ため,液体ヘリウムの液面を監視する適切な液面計を備えたものとする。


3

Z 2284 : 1998

図 1  極低温装置の例

図 2  試験ジグの例

5.6

寸法測定器具  寸法測定器具は,次による。

a)

ノギス  ノギスは,試験片の幅及び厚さを測定するもので,JIS B 7507 に規定する最大測定長 150mm,

最小読取り値 0.05mm のもの又はこれと同等以上の精度のものとする。


4

Z 2284 : 1998

b)

読取り顕微鏡  読取り顕微鏡は,き裂長さを計測するもので,読取り精度は 0.05mm のもの又はこれ

と同等以上の精度のものとする。

6.

試験片

6.1

試験片の採り方  試験片の採り方は,次による。

a)

供試材採取位置  供試材及び試験片の採り方は,特に指定がない限り,JIS G 0303 及び JIS G 0306 

準用する。

b)

き裂面方向  試験片切欠き面方向,材料の主加工方向及び試験力方向の関係は,図 に示す文字コー

ドによる表示とし,最初の文字は,き裂面に垂直な方向,次の文字は予想されるき裂進展方向を表す。

図 3  き裂面方向

6.2

試験片の種類  試験片の種類は,次による。


5

Z 2284 : 1998

a)

標準試験片  標準試験片は,図 4a)に示す厚さ B=25mm,幅 W=50mm で,各部の寸法が に比例す

るコンパクト試験片とする。また,サイドグルーブを付与しない試験片[

図 4a)]及び付与した試験

片[

図 4b)]のどちらを用いてもよい。サイドグルーブを付与した試験片の場合,正味試験片厚さ  (B

N

)

は,サイドグルーブ底の間隔であり,有効試験片厚さ  (B

e

)

は,式(1)で与えられる。

(

)

B

B

B

B

B

N

e

2

=

 (1)

ここに,

B

e

:  有効試験片厚さ (m)

B

:  試験片厚さ (m)

B

N

:  正味試験片厚さ (m) (サイドグルーブを付与しない試験片

の場合は,

B

N

B

b)

比例試験片  a)に示される標準試験片が使用できない場合は,比例試験片を使用する。比例試験片は,

2

W

/

B

≦4 で W に比例した各部の寸法をもつコンパクト試験片とし,試験片厚さ  (

B

)

及び初期リガ

メント幅  (

b

0

)

は,式(2)及び式(3)を満足しなければならない。

Y

IC

J

B

σ

25

 (2)

Y

IC

J

a

W

b

σ

25

0

0

=

 (3)

ここに,

J

IC

弾塑性破壊じん性 (J/m

2

)

σ

Y

試験温度における有効降伏強さ (Pa)

b

0

初期リガメント幅 (m)

W

試験片幅 (m)

a

0

初期き裂長さ (m)

c)

サイドグルーブ  サイドグルーブは,予き裂導入後に機械加工する。サイドグルーブ深さは,試験片

厚さの 20%以下とする。また,サイドグルーブの角度は,90°以下,サイドグルーブ底の曲率半径は,

0.4

±0.2mm とする。

6.3

試験片の製作  試験片の製作は,次による。

a)

試験片の形状・各部寸法及び各部の寸法許容差は,

図 及び図 による。機械加工ノッチ及び疲労予

き裂は,

図 5a)に示す外郭線内に収まっていなければならず,図 5b)は容認される機械加工ノッチ,図

5c)

は容認されない機械加工ノッチを示す。

b)

試験片には,荷重線上に変位計を取り付けるためのエッジを設ける。エッジは,試験片に機械加工す

るか,又はかみそり刃などを取り付けてもよい。

c)

試験片寸法は,計算された寸法 (mm) に対し許容差を超えない範囲で JIS Z 8401 によって,小数点以

下 1 けたに丸める。

6.4

試験片の寸法測定  試験片の幅,厚さ及び正味厚さ(サイドグルーブを付与した試験片の場合)は,

0.05mm

まで計測する。


6

Z 2284 : 1998

図 4  標準コンパクト試験片

図 5  機械加工ノッチの形状

6.5

疲労予き裂  疲労予き裂は,次による。

a)

疲労予き裂は,b)d)に示す条件を満足する場合に室温で導入してもよい。

b)

疲労予き裂の最終進展領域 0.65mm における最大試験力  (P

max

)

は,0.4P'

L

を超えてはいけない。ここ


7

Z 2284 : 1998

に,P'

L

は疲労予き裂導入時における材料の制限試験力であり,式(4)で与えられる。

a

W

Bb

P

Y

L

+

=

2

2

0

σ

 (4)

ここに,

P'

L

疲労予き裂導入時における制限試験力

 (N)

a

き裂長さ

 (m)

σ

'

Y

疲労予き裂導入温度における有効降伏強さ

 (Pa)

c)

疲労予き裂の最終進展領域

0.65mm

における応力拡大係数範囲

  (

K

)

と疲労予き裂導入温度における

ヤング率

  (

E'

)

との比は,

1.58

×

10

-4

m

を超えてはならない。

K

は,式

(5)

で与えられる。

K

K

max

K

min

 (5)

ここに,

K

疲労き裂の最終進展領域

0.65mm

における応力拡大係数範囲

)

(

m

Pa

K

max

疲労き裂の最終進展領域

0.65mm

における最大応力拡大係数

)

(

m

Pa

K

min

疲労き裂の最終進展領域

0.65mm

における最小応力拡大係数

)

(

m

Pa

また,応力拡大係数

  (

K

)

は,式

(6)

及び式

(7)

で与えられる。

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

W

a

f

BW

P

K

2

/

1

 (6)

(

)

{

}

(

)

(

)

(

)

(

)

{

}

(

)

{

}

2

/

3

4

3

2

/

1

/

6

.

5

/

72

.

14

/

32

.

13

/

64

.

4

886

.

0

/

2

W

a

W

a

W

a

W

a

W

a

W

a

W

a

f

+

+

+

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

 (7)

ここに,  K:  応力拡大係数

)

(

m

Pa

P

:  疲労試験力 (N)

f (a/W)

の値は,

附属書 表 に示してある。

d)

疲労予き裂の最終進展領域 0.65mm における応力拡大係数  (K

max

)

は,式(8)を満足しなければならない。

Y

Y

Q

EJ

K

σ

σ

ν

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

2

/

1

2

max

1

6

.

0

 (8)

ここに,

E

ヤング率

 (Pa)

J

Q

鈍化直線の

0.2mm

オフセット線の

R

曲線との交点における

J

積分

 (J/m

2

)

v

ポアソン比

e)

疲労予き裂導入中の最小試験力と最大試験力との比は,

0.1

以下とする。

f)

疲労予き裂長さは,試験片両表面で計測した平均値とし,

a

0

5%

又は

1.3mm

より長くなければなら

ない。また,試験片幅に対する初期き裂長さの比

  (a

0

/W)

は,

0.5

a

0

/W

0.75

とし,

a

0

/W

0.6

を標準

とする。

7.

試験方法

7.1

試験片の取付け  試験片の取付けは,試験片に試験力以外の力が加わらないように,偏心を避けて

行う。

7.2

変位計の取付け  変位計の取付けは,エッジの先端全体が変位計の溝に接するように行う。

7.3

試験片の冷却  試験片の冷却は,次による。

a)

試験片の冷却に当たっては,冷却前に,試験片,極低温装置の内部,変位計などの冷却される部分を

十分に乾燥して湿気を取り除く。


8

Z 2284 : 1998

b)

試験片,コンパクト試験片用ジグ,変位計などデュワー内が極低温で熱平衡に達した後,試験を行う。

c)

試験中,試験片,コンパクト試験片用ジグなどが完全に液体ヘリウム中に浸っていることを,液面計

で監視する。

7.4

負荷  負荷は,次による。

a)

制御モード  ねじ駆動式試験機での試験においては,クロスヘッドの移動速度で制御する。油圧サー

ボ式試験機では,ストローク又は変位計の変位で制御する。

b)

試験速度  試験力が

0.4P

L

に到達するまでの時間

  (t

p

)

2

10

分となるような速度で試験片に負荷す

る。ここに,

P

L

は試験時における材料の制限試験力であり,式

(9)

で与えられる。

a

W

Bb

P

Y

L

+

=

2

2

0

σ

 (9)

ここに,

P

L

試験時における制限試験力

 (N)

7.5

試験記録  適切な方法で試験力と変位を自動的に記録する。

7.6

J

IC

計測

J

IC

計測は,次による。

a)

除荷コンプライアンス法  除荷コンプライアンス法は,次による。

1)

図 6a)に示すように,

1

本の試験片について所定の変位レベルまで負荷した後,除荷し,その際の試

験力及び変位は,計測する試験力及び変位に応じた倍率で増幅して記録する[

図 6b)参照]。その後,

再負荷し,この操作を繰り返すと,

1

本の試験片から一連のコンプライアンスが得られる。

2)

初期コンプライアンスは,

0.1

0.4P

L

の範囲で計測し,鈍化直線領域で少なくとも三つの

J

積分−

き裂進展データが取れるように除荷する。

3)

少なくとも四つの

J

積分−き裂進展データが鈍化直線と平行に引いた

0.15mm

及び

1.5mm

オフセッ

ト線間に挟まれた領域に収まることが要求

  [

7.6b)4)

]

されているため,除荷は,

0.4P

L

以上の試験力

において,予想されるき裂進展量が

2.5mm

程度となるまでの範囲で

8

回以上行うことが望ましい。

4)

除荷量は,

0.2P

L

又は負荷量の

50%

のうち小さい方の値を超えないようにする。

5)

コンプライアンスは,除荷開始から

10%

,除荷終了前の

10%

を除いた除荷データから計算する。

6)

コンプライアンスからき裂長さを計算し,各除荷点におけるき裂進展量を求める。コンプライアン

スからき裂長さを計算する方法は,

附属書 による。

図 6  除荷コンプライアンス法による J

IC

試験

b)

R

曲線の決定

R

曲線の決定は,次による。

1)

J

積分は,

附属書 に従って計算し,

J-

a

関係をプロットする。


9

Z 2284 : 1998

2)

図 に示す鈍化直線を式

(10)

で仮定する。

J

2

σ

Y

 (10)

ここに,

J

J

積分

 (J/m

2

)

a

き裂進展量

 (m)

3)

負荷初期段階における負のき裂進展が計測された場合は,除荷コンプライアンス法によって計測さ

れた最も短いき裂進展データが鈍化直線に一致するように,

J-

a

を再計算しながら,

a

軸に沿って

データ全体を動かすことで補正する。補正後の

a

0

に対応するき裂長さを初期き裂長さと定義す

る。また,鈍化直線に一致しないデータは無視する。このようにして得られた

J-

a

関係に対して,

b)

の 4)7)によって,

R

曲線を決定する(

図 及び図 参照)。

4)

少なくとも四つのデータが鈍化直線と平行に引いた

0.15mm

及び

1.5mm

オフセット線に挟まれた領

域に収まっていなければならない。

5)

 0.15mm

及び

1.5mm

オフセット線に挟まれた領域内のデータに関し,

0.15mm

及び

0.5mm

オフセッ

ト線に挟まれた領域に少なくとも一つのデータがなければならない。また,これらデータ点は,式

(11)

を満足しなければならない。

Y

J

b

σ

15

0

 (11)

6)

R

曲線は,b)の 4)及び 5)を満足するデータを,式

(12)

によって近似して決定する。

lnJ

lnC

1

C

2

ln

 (12)

7)

R

曲線と

0.15mm

0.2mm

及び

1.5mm

オフセット線の交点におけるき裂進展量を,それぞれ

a

 (min)

a

Q

及び

a

 (max)

とする。

a

 (min)

a

 (max)

との間以外のデータは無効とする。また,少なくとも四つ

のデータが

a

 (min)

a

 (max)

との間に収まっており,これらのデータは,b)の 5)を満足しなければな

らない。

図 7  曲線の制約条件と J

Q

決定方法


10

Z 2284 : 1998

図 8  負のき裂進展に対する修正方法

c)

J

Q

の決定  鈍化直線の

0.2mm

オフセット線と

R

曲線との交点における

J

積分を

J

Q

とする。

d)

J

IC

の決定

J

IC

の決定は,次による。

1)

J

Q

は,式

(13)

∼式

(15)

を満足しなければならない。

Y

Q

J

B

σ

25

 (13)

Y

Q

J

b

σ

25

0

 (14)

Y

a

Q

da

dJ

σ

÷

ø

ö

ç

è

æ

 (15)

ここに,

(

dJ/da)

a

Q

a

Q

における 曲線の傾き (Pa)

2)

附属書 によって,初期き裂長さ及び最終き裂長さを実測する。また,9 点で実測した初期及び最

終き裂長さとそれら平均値との差異は,±7%以下でなければならない。

3)

表面近傍及び表面の最終き裂進展量と中央部の最終き裂進展量の差異は,±0.02W (mm) を超えて

はならない。

4)

最終き裂進展量の除荷コンプライアンス法による計算値と実測値との差異は,±15%以下でなけれ

ばならない。

5)

d)

の 1)4)を満足する J

Q

を J

IC

とする。また,J

IC

の数値 (kJ/m

2

)

は,JIS Z 8401 によって,小数点

以下 1 けたに丸める。

6)

得られた J

IC

を平面ひずみ破壊じん性  (K

IC

)

に変換する場合は,式(16)による。また,換算値である

ことを明確にするため,K

IC

 (

J)

と表記する。

( )

( )

2

/

1

2

1

þ

ý

ü

î

í

ì

=

ν

E

J

J

K

IC

IC

 (16)

ここに,

K

IC

 (

J)

J

IC

から換算した平面ひずみ破壊じん性

(

)

m

Pa

8.

報告  試験結果報告書には,次の項目を記載する。

a)

試験材料

1)

材料の名称


11

Z 2284 : 1998

2)

種類又は記号

b)

試験片

1)

き裂面方向

2)

厚さ,幅,機械加工ノッチ寸法,初期き裂長さ及び初期リガメント幅を含む試験片寸法

3)

角度,サイドグルーブ底の曲率半径,及び正味試験片厚さを含むサイドグルーブ形状(サイドグル

ーブを付与した試験片を用いた場合)

c)

疲労予き裂特性

1)

疲労予き裂の最終進展領域 0.65mm における最大試験力

2)

疲労予き裂の最終進展領域 0.65mm における最大応力拡大係数

3)

疲労予き裂の最終進展領域 0.65mm における応力拡大係数範囲

4)

疲労予き裂導入温度

5)

9

点で実測した初期き裂長さの平均値

6)

9

点で実測した初期き裂長さとその平均値との差異

d)

試験条件

1)

試験速度  (

t

p

)

2)

制御方法(クロスヘッドの移動速度,ストローク又は変位計の変位)

e)

試験結果

1)

J

IC

2)

J

積分の計算で使用したヤング率

3)

9

点で実測した最終き裂長さの平均値

4)

9

点で実測した最終き裂長さとその平均値との差異

5)

最終き裂進展量の除荷コンプライアンス法による計算値と平均値との差異

f)

異常  材料挙動,試験記録及び破壊機構において観察された異常


12

Z 2284 : 1998

附属書 1(規定)  極低温弾塑性破壊じん性 J

IC

試験用 

変位計の校正方法

1.

適用範囲  この附属書は,極低温弾塑性破壊じん性

J

IC

試験において用いられる変位計の校正について

規定する。

2.

校正の時期  変位計を初めて使用する場合,修理を行った場合などには,極低温で校正を行う。また,

変位計は,定期的に又は試験前に校正を行う。

3.

変位計の校正  変位計の校正は,次による。

a)

変位計の指示値の校正は,変位計とそれに使用する指示計(又は記録計)を組み合わせて行う。変位

計校正装置は,変位計が液体ヘリウム中に浸る部分とダイヤルゲージなどの校正器が室温になる部分

から構成される。

附属書 図 は,変位校正装置の例である。図では液面計が使用されているが,基

本的に液体ヘリウムがたまっていることが確認できればよい。また,あらかじめ校正した試験装置を

用いて変位計を校正してもよい。

なお,変位計の指示目盛は,2

µ

m

又は指示値の 1%のいずれかが読み取れるものとする。

附属書 図 1  変位計校正装置の例

b)

変位計の校正装置は,変位計を使用する際と同じ変位計の姿勢,取付け及び変位の与え方ができるも

のとする。

また,校正装置は,±2

µ

m

以内の変位精度をもち,与えた変位を読み取る最小目盛は,1

µ

m

以下と

する。


13

Z 2284 : 1998

c)

変位計の指示値の校正は,次の手順による。

1)

変位計を校正装置に取り付けたならば,校正を行う前に,まず,変位計の校正範囲にわたる変位を

校正装置によって繰り返し 2 回与えた後,わずかにマイナス変位を与えてから変位計の指示値の零

点を設定する。

2)

校正は,校正範囲をほぼ均等に分割した 10 以上の校正点について,零点から変位を順次に増加させ

て行う。この校正は,2 回繰り返して行う。

3)

変位計の指示値の校正結果から,式(1)によって指示誤差 (%) を求める。

100

)

(

×

t

t

i

l

l

l

 (1)

ここに,

l

i

:  各校正点における変位計の指示値

l

t

:  各校正点における校正装置の指示値

d)

変位計の指示値の誤差は,±0.2%を超えてはならない。

e)

c)

の変位計の指示値の校正は,極低温で行う。ただし,変位計の温度依存性があらかじめ明らかであ

る場合は,室温での校正結果に対して極低温での指示値を補正して行ってもよい。

備考  変位計の校正は,実際の弾塑性破壊じん性

J

IC

試験で使用する計測系を使用することが望ましい。

また,ゲージの発熱の影響を防ぐため,ひずみゲージのブリッジ電圧は低くすることが望まし

い。


14

Z 2284 : 1998

附属書 2(規定)  積分及びき裂進展量の計算方法

1.

適用範囲  この附属書は,金属材料の極低温における弾塑性破壊じん性

J

IC

を求めるために用いる

J

積分及びき裂進展量の計算方法について規定する。

2.

J

積分の計算

J

積分は,式(1)∼式(5)によって求める。

(

)

( )

1

2

2

0

2

/

1

1

p

N

J

E

W

a

f

W

BB

P

J

+

ïþ

ï

ý

ü

ïî

ï

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

ν

 (1)

(

)

{

}

(

)

(

)

(

)

(

)

{

}

(

)

{

}

2

/

3

0

4

0

3

0

2

0

0

0

0

/

1

/

6

.

5

/

72

.

14

/

32

.

13

/

64

.

4

886

.

0

/

2

W

a

W

a

W

a

W

a

W

a

W

a

W

a

f

+

+

+

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

 (2)

0

1

1

b

B

A

J

N

p

p

η

=

 (3)

W

b

0

522

.

0

2

+

=

η

 (4)

b

0

W

a

0

 (5)

ここに,

J

  J

積分

 (J/m

2

)

P

試験力

 (N)

v

ポアソン比

E

ヤング率

 (Pa)

B

試験片厚さ

 (m)

W

試験片幅

 (m)

B

N

正味試験片厚さ

 (m)

(サイドグルーブを付与しない試験片

の場合は

B

N

B

J

p1

  J

積分の塑性成分

 (J/m

2

)

A

p1

試験力−変位曲線下の面積(

附属書 図 参照)

 (J)

b

0

初期リガメント幅

 (m)

a

0

初期き裂長さ

 (m)

f (a

0

/W)

の値は,

附属書 表 に示してある。

3.

き裂進展量の計算  き裂進展量の計算は,次による。

a)

き裂長さ

  (a)

は,式

(6)

及び式

(7)

によって求める。

a

W (1.000 196

4.063 19U

11.242U

2

106.043U

3

464.335U

4

650.677U

5

)

 (6)

(

)

1

1

2

/

1

+

=

EC

B

U

e

 (7)

ここに,

a

き裂長さ

 (m)

C

コンプライアンス

 (m/N)

B

e

有効試験片厚さ

 (m)


15

Z 2284 : 1998

附属書 図 1  試験力−変位曲線及び面積  (A

p1

の定義

附属書 表 1  (a/W)  及び (a

0

/W

の数値

a/Wa

0

/W

f (a/W) , f (a

0

/W)

a/Wa

0

/W

f (a/W) , f (a

0

/W)

0.450 8.34

0.605 13.93

0.455 8.46

0.610 14.21

0.460 8.58

0.615 14.50

0.465 8.70

0.620 14.80

0.470 8.83

0.625 15.11

0.475 8.96

0.630 15.44

0.480 9.09

0.635 15.77

0.485 9.23

0.640 16.12

0.490 9.37

0.645 16.48

0.495 9.51

0.650 16.86

0.500 9.66

0.655 17.25

0.505 9.81

0.660 17.65

0.510 9.96

0.665 18.07

0.515 10.12  0.670  18.51

0.520 10.27  0.675  18.97

0.525 10.45  0.680  19.44

0.530 10.63  0.685  19.94

0.535 10.80  0.690  20.45

0.540 10.98  0.695  20.99

0.545 11.17  0.700  21.55

0.550 11.36  0.705  22.14

0.555 11.56  0.710  22.75

0.560 11.77  0.715  23.40

0.565 11.98  0.720  24.07

0.570 12.20  0.725  24.77

0.575 12.42  0.730  25.51

0.580 12.65  0.735  26.29

0.585 12.89  0.740  27.10

0.590 13.14  0.745  27.96

0.595 13.39  0.750  28.86

0.600 13.65

b)

附属書 図 に示すように,変位の増大に伴い荷重線が回転し,正確なき裂長さの計算を行うために

は,コンプライアンスの回転補正をすることが望ましい。回転補正を行う場合は,式

(8)

∼式

(10)

によ

る。


16

Z 2284 : 1998

÷

ø

ö

ç

è

æ

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

θ

θ

θ

θ

cos

sin

cos

sin

r

d

r

h

C

C

C

 (8)

2

a

W

r

+

=

 (9)

(

)

÷

ø

ö

ç

è

æ

ï

ï

þ

ïï

ý

ü

ï

ï

î

ïï

í

ì

+

+

=

r

d

r

d

d

d

m

1

2

/

1

2

2

1

tan

2

sin

θ

 (10)

ここに,

C

C

回転補正を行ったコンプライアンス

 (m/N)

h

荷重線上における試験力点間距離の

2

1

(m)

r

き裂中心線の回転半径

 (m)

d

エッジ間隔の

2

1

(m)

θ

回転角

 (rad)

d

m

変位

 (m)

c)

除荷点におけるき裂進展量

  (

a) 

は,式

(11)

によって求める。

a

a

a

0

 (11)

ここに,

a

き裂進展量

 (m)

附属書 図 2  回転補正


17

Z 2284 : 1998

附属書 3(規定)  き裂長さの実測方法

1.

適用範囲  この附属書は,極低温弾塑性破壊じん性

J

IC

試験におけるき裂長さの実測方法について規定

する。

2.

マーキング  最終除荷をした試験片について,き裂進展量を識別するためのマーキングを施す。マー

キングの方法は,破面が加熱着色される材料の場合は加熱着色,その他の材料の場合は疲労き裂進展とす

る。

3.

実測方法  マーキングを施した試験片を静的破断させ,初期き裂長さ及び最終き裂長さを実測する。

初期き裂長さ

  (a

0

)

及び最終き裂長さ

  (a

f

)

は,

附属書 図 に示すように,試験片表面又はサイドグルー

ブ底から

0.005W

の長さを除いた部分の試験片厚さを

8

等分した

9

点で実測し,表面及びサイドグルーブ

底近傍の実測値の平均と残り

7

点の実測値の合計

8

点平均とし,式

(1)

及び式

(2)

によって求め,最終き裂進

展量

  (

a

f

)

は,式

(3)

によって求める。

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

+

=

å

=

8

2

0

09

01

0

2

8

1

i

i

a

a

a

a

 (1)

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

+

=

å

=

8

2

9

1

2

8

1

i

i

f

a

a

a

a

 (2)

a

f

a

f

a

0

 (3)

ここに,

a

0

初期き裂長さ (m)

a

01

a

09

9

点で実測した初期き裂長さ (m)

a

f

最終き裂長さ (m)

a

1

a

9

9

点で実測した最終き裂長さ (m)

a

f

最終き裂進展量 (m)


18

Z 2284 : 1998

附属書 図 1  き裂長さの実測方法


19

Z 2284 : 1998

JIS Z 2284

[金属材料の液体ヘリウム中弾塑性破壊じん(靱)性 J

IC

試験方法]原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長,リーダ)

進  藤  裕  英

東北大学工学研究科

高  橋  秀  明

東北大学工学部(平成 7 年 12 月逝去)

(委員)

石  川  圭  介

東洋大学工学部

岩  渕      明

岩手大学工学部

柴  田  浩  司

東京大学工学系研究科

高  尾  智  明

上智大学理工学部

新  田      勇

新潟大学自然科学研究科

西  嶋  茂  宏

大阪大学産業科学研究所

(サブリーダ)

堀  口  勝  三

東北大学工学研究科

西  村      新

文部省核融合科学研究所

大  嶋  清  治

工業技術院標準部

緒  方  俊  夫

科学技術庁金属材料技術研究所

鈴  木  隆  之

工業技術院機械技術研究所

(サブリーダ)

中  嶋  秀  夫

日本原子力研究所那珂研究所

二  瓶  正  俊

社団法人日本鉄鋼連盟(科学技術庁金属材料技術研究所)

井  上  彰  夫

三菱電機株式会社先端技術総合研究所

公  江  茂  樹

川崎重工業株式会社明石技術研究所

楠  橋  幹  雄

株式会社日本製鋼所室蘭研究所

嶋  田  雅  生

株式会社神戸製鋼所技術開発本部

鈴  木  謙  一

株式会社東芝重電技術研究所

高  梨  正  祐

石川島播磨重工業株式会社技術研究所

長谷川      忠

株式会社島津製作所試験計測事業部

宇佐美  三  郎

株式会社日立製作所機械研究所

木  内      晃

株式会社コベルコ科研尼崎事業所

山  内  崇  賢

三菱重工業株式会社高砂研究所

山  上  伸  夫 NKK 総合材料技術研究所

山  本  章  夫

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所

(事務局)

石  田  哲  也

大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター

石  原      薫

大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター

備考  ○印は,ワーキンググループ委員を兼ねる。