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日本工業規格

JIS

 Z

2282

-1996

金属材料の高温繰返し酸化試験方法

Method of cyclic oxidation testing at elevated temperatures

for metallic materials

1.

適用範囲  この規格は,金属材料の高温繰返し酸化試験方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 7502

  マイクロメータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS C 1602

  熱電対

JIS R 6251

  研磨布

JIS R 6252

  研磨紙

JIS R 6254

  エンドレス研磨ベルト

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

(1)

スケール  酸化によって試験片表面に生じた酸化膜及び酸化生成物。

(2)

密着スケール  酸化試験後の試験片表面をナイロンブラシでこすった後に,試験片に密着しているス

ケール。

(3)

浸食深さ  試験前の試験片表面から試験後の健全な金属層までの深さ。

(4)

はく離スケール  酸化試験後の試験片からはく離したスケール。

(5)

変質層  酸化によって変化を受けた領域。

(6)

低温域  加熱・冷却の繰返し酸化試験サイクルにおける低温側の温度域。

(7)

高温域  加熱・冷却の繰返し酸化試験サイクルにおける高温側の温度域。

(8)

昇温時間  試験片が低温域から高温域に移行され,高温域の保持温度になるまでの時間。

3.

試験装置

3.1

装置の構成  装置全体は,試験片を一様,かつ,一定に加熱するための温度調節装置,試験片を外

気から隔離した加熱部と冷却部を備えた試験部をもつ加熱・冷却装置,一定の湿度に保たれた空気を連続

して供給するための加湿調整装置,送風機,空気流量計及び湿度計から構成される。加熱・冷却装置が縦

形である場合の基本構成を

図 に示す。

また,加熱・冷却装置が横形である場合の基本構成を

図 に示す。


2

Z 2282-1996

図 1  加熱・冷却装置が縦形の場合の基本構成図

図 2  加熱・冷却装置が横形の場合の基本構成図


3

Z 2282-1996

3.2

加熱・冷却装置  加熱・冷却装置は,次による。

(1)

加熱・冷却装置は,外気から遮へいされた加熱部と冷却部を備えた試験部をもつ構造とする。

(2)

加熱・冷却装置は,試験片を加熱部と冷却部を往復させる構造とするか,又は加熱炉を移動させ,試

験片を繰返し加熱・冷却できる構造とする。

(3)

試験片の加熱には,温度調節装置を備えた加熱炉を用い,試験中常に試験片の全範囲にわたり,

表 1

の許容範囲内で,一様かつ一定に加熱することのできるものとする。ただし,573K 以下及び 1 273K

を超える場合は,受渡当事者間の協定による。

表 1  試験片温度の許容範囲

単位 K

試験片温度

許容範囲

 573

を超え 873 以下

±3

 873

を超え1 073 以下

±4

 1 073

を超え1 273 以下

±5

(4)

試験片の冷却は,自然放冷とする。

3.3

試験部  試験部は,次による。

(1)

試験部は,加熱部と冷却部を備えた構造とする。

(2)

試験部内部は,湿度の調整された空気が試験片単位表面積当たり一定量を連続して流せるように外気

から遮へいされたものとする。

(3)

試験部内部は,試験中に試験雰囲気と反応しない材質で構成されているものとする。

3.4

温度調節装置

3.4.1

計測器  計測器は,測定温度の全範囲にわたって,試験片温度が 3.2(3)の許容範囲内にあることを

保証するのに十分なものとする。

3.4.2

熱電対  熱電対は,次による。

(1)

熱電対の材料は,試験温度に十分に耐えるものとする。

また,素線の径は,使用中に熱起電力が変化しない範囲で,なるべく小さくすることが望ましい。

(2)

温度測定は,JIS C 1602 によって検定した熱電対で行う。この場合,これに使用する素線のロットか

ら代表熱電対を取り出して検定してもよい。

(3)

熱電対の測温接点は,試験片の中央に配置し,試験片の温度が

表 の範囲内にあることが確認できる

ものとする。

(4)  (1)

(3)に規定する以外は,JIS C 1602 による。

なお,熱電対以外の温度計を使用する場合は,熱電対による場合と同等以上の精度のものとする。

3.5

加湿調整装置  加湿調整装置は,次による。

(1)

加湿調整装置は,湿度を自由に調整できるものとする。湿度を調整するために使用する水は,電導率

1

µS/cm 以下の脱イオン水とする。

(2)

加湿調整器と試験部間は,(1)で調整された加湿空気が結露しないように露点以上の温度に保温する。

3.6

送風機  送風機は,3.5 で加湿調整された加湿空気の一定量を連続して 3.3 の試験部に供給できるも

のとする。

3.7

空気流量計  空気流量計は,次による。

(1)

空気流量計は,加湿調整装置と試験部の間にあって,試験部に近い場所に配置する。

また,空気流量計は,加湿空気が結露しないように露点以上の温度に保温する。


4

Z 2282-1996

(2)

空気流量計が加湿調整装置と試験部の間に配置できない場合は,加湿調整装置の空気取入れ口近くに

配置し,所定の空気流量が試験部に供給されていることを確認する。

3.8

湿度計  湿度計は,加湿調整装置によって調整された空気が所定の湿度を有していることを確認で

きるものとする。

4.

試験片  試験片は,次による。

(1)

試験片は,原則として方形断面とし,その寸法は幅 20mm,長さ 30mm,板厚 2mm とする。

(2)  (1)

の試験片を採取することができない場合,試験片の形状及び寸法は,受渡当事者間の協定による。

ただし,試験片表面積は 400mm

2

以上が望ましい。

(3)

同一条件の試験に使用する試験片の枚数は,3 枚以上とすることが望ましい。

(4)

試験片は,切断などによる加工層が残らないように機械加工する。

(5)

試験片表面の最終仕上げは,JIS R 6251JIS R 6252JIS R 6254 の研磨剤粒度の種類が 320 番の乾式

のもので行う。

(6)  (5)

によらない場合は,その表面仕上げの状態を記述する。

(7)

試験片の識別が必要な場合は,打刻,切込み,せん孔,その他適切な方法によって最小限の記号を付

ける。

(8)

試験片は,適切な溶剤又は洗剤(非塩化物)で脱脂後,乾燥する。

(9)

試験片の寸法は,JIS B 7502 及び JIS B 7507 の測定器によって±0.02mm の精度で測り,JIS Z 8401 

方法によって小数点以下 1 けたの数値に丸める。

(10)

試験片の質量は,感量 0.1mg 以下の精度をもつ測定器を用い,JIS Z 8401 の方法によって小数点以下

1

けたの数値に丸める。

5.

試験方法

5.1

要旨  試験方法は,試験片を試験片支持具に設置し,加湿空気を流入した後所定の温度及び所定の

時間で加熱・冷却を繰返し行う。その後,試験片を冷却し,試験片の質量を測定して酸化増量と質量変化

を求める。

5.2

試験片の支持  試験片の支持は,次による。

(1)

複数枚の試験片を同時に試験する場合,試験片は,

3.5

で調整した加湿空気の流れに対し並列に設置し,

上流・下流の位置関係に設置してはならない。

(2)

試験片は,試験温度で反応しない材質の支持具で支持する。

5.3

加湿空気  加湿空気は,次による。

(1)

加湿空気の湿度は,露点 303±1.5K とする。

(2)

加湿空気の流量は,試験片の支持箇所で試験片表面積 1mm

2

当たり 0.4±0.02ml/min とする。

(3)

加湿空気は,試験片が冷却部にセットされ,試験部位が結露しない温度にあることを確かめた後に流

入する。

5.4

加熱・冷却方法  加熱・冷却方法は,次による。

(1)

加熱は,試験部の冷却部に試験片がセットされ,加湿調整空気が試験部に流入された後に行う。

(2)

試験片の加熱は,冷却部にセットされた試験片をあらかじめ高温域に加熱された加熱部に挿入又は加

熱炉を試験片設置部に移動して行う。

(3)

高温域への加熱は,試験片の温度が 3.2(3)の許容範囲の上限を超えないように行う。


5

Z 2282-1996

(4)

試験片の冷却は,試験片を冷却部に移動又は加熱炉を試験片設置部から移動して行う。

(5)

低温域の試験片の温度は,473±25K とする。

5.5

試験時間  試験時間は,次による。

(1)

高温域と低温域の加熱・冷却繰返しは,1 サイクルを 60±5 分として 200 サイクル行う。

(2)  1

サイクル中の昇温−高温域保持−冷却−再昇温の時間は,

図 に示すサイクルに従い,昇温時間は

10

分以内,高温域の保持時間は 30 分,冷却開始から再昇温開始までの時間は 15∼25 分とする。

図 3  試験サイクル

(3)

高温域の保持時間は,試験片温度が 3.2(3)の許容範囲の下限を超えた時点から低温域への冷却開始ま

での時間とする。

5.6

試験終了後の試験片の冷却  試験終了後の試験片の冷却は,試験片温度が 373K 以下になるまで加湿

空気を継続して流しながら行う。

5.7

酸化増量と質量変化の測定  酸化増量と質量変化の測定は,次による。

(1)

試験終了後の試験片は,すべてのスケールと同時に回収し,はく離スケール質量  (W

s

)

と密着スケー

ルを含む試験片質量  (W

i

)

を 0.1mg まで測定する。

(2)

酸化増量  (a)  は,はく離スケール質量  (W

s

)

,密着スケールを含む試験片質量  (W

i

)

,試験前に測定し

た試験片質量  (W

0

)

及び試験片表面積  (A

0

)

から式(1)によって小数点以下 2 けたまで求める。

0

0

i

s

A

W

W

W

a

+

 (1)

ここに,

a

:  酸化増量 (g/m

2

)

W

s

:  はく離スケール質量 (g)

W

i

:  密着スケールを含む試験片質量 (g)

W

0

:  試験前に測定した試験片質量 (g)

A

0

:  試験片表面積 (m

2

)

(3)

質量変化  (b)  は,密着スケールを含む試験片質量  (W

i

)

,試験前の試験片質量  (W

0

)

及び試験片表面積

(

A

0

)

から式(2)によって小数点以下 2 けたまで求める。

0

0

i

A

W

W

b

 (2)

ここに,

b

:  質量変化 (g/m

2

)

W

i

:  密着スケールを含む試験片質量 (g)

W

0

:  試験前に測定した試験片質量 (g)

A

0

:  試験片表面積 (m

2

)

5.8

試験片の表面及び断面の観察  試験片の表面及び断面の観察は,受渡当事者間の協定による。試験

片の表面及び断面を観察する場合は,次によることが望ましい。


6

Z 2282-1996

(1)

試験片表面の酸化状態を報告するために実物大で外観を写真撮影する。

(2)

酸化による変質層深さ,浸食深さなどを報告するために倍率 200 の顕微鏡によって試験片中央部の断

面を観察する。

6.

報告

6.1

記載事項  試験結果報告書には,次の項目を記載する。

(1)

試験材料

(a)

材料の名称

(b)

種類又は記号

(2)

試験片

(a)

試験片数

(b)

試験片寸法及び表面積

(c)

試験片表面仕上げ状態

(d)

試験片の脱脂方法

(3)

試験条件

(a)

試験温度  試験中の高温域保持温度と低温域温度

(b)

試験時間  高温域保持時間と 1 サイクルの時間

(c)

加湿空気露点温度

(d)

加湿空気の試験片表面積及び時間当たりの流量

(e)

加湿空気流量

(f)

脱スケール方法

(4)

試験結果

(a)

酸化増量

(b)

質量変化

6.2

付記事項  試験結果報告書には,次の項目についての記録を付記することが望ましい。

(1)

試験材料

(a)

化学成分

(b)

加工条件

(c)

熱処理条件

(d)

素材の結晶粒度番号

(2)

素材からの試験片採取条件

(3)

試験装置の概要

(4)

試験条件

(a)

昇温時間

(b)

冷却条件

(5)

試験結果

(a)

試験後の外観写真

(b)

試験後の試験片中央表層を含む断面写真

(c)

試験後の試験片中央の酸化による変質層深さ又は浸食深さ。


7

Z 2282-1996

関連規格  JIS G 0567  鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法

JIS Z 2281

  金属材料の高温連続酸化試験方法

ASTM G 54-84

  Standard Practice for Simple Static Oxidation Testing

JIS

原案作成委員会  金属材料の高温繰返し酸化試験方法委員会  構成表

(順不同)

氏名

所属

(委員長)

大  谷  隆  一

京都大学工学研究科

(ワーキンググループリーダ)

榊  原  瑞  夫

新日本製鐵株式会社

牧      正  志

京都大学工学研究科

金  澤  健  二

科学技術庁金属材料研究所

高  木  譲  一

通商産業省工業技術院

岡  路  正  博

工業技術院計量研究所

二  瓶  正  俊

社団法人鉄鋼連盟

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

葭  本  輝  夫

株式会社クボタ

中  村  重  義

株式会社日立製作所

河  合  久  孝

三菱重工業株式会社

岡  田  康  孝

住友金属工業株式会社

藤  原  優  行

株式会社神戸製鋼所

新  田  明  人

財団法人電力中央研究所

宮  崎  松  生

株式会社東芝

楓          博

愛知製鋼株式会社

山  村  武  民

株式会社先進材料利用ガスジェネレータ研究所

小  泉  親  秀

株式会社島津製作所

野  田  俊  治

大同特殊鋼株式会社

植  松  美  博

日新製鋼株式会社

脇  田  三  郎

三菱マテリアル株式会社

田  村      学

日本鋼管株式会社

桝  本  弘  毅

株式会社超高温材料研究所

吉  川  州  彦

住友金属テクノロジー株式会社

(事務局)

守  安  禎四郎

財団法人大阪科学技術センター付属

ニューマテリアルセンター

脇  坂  啓  司

財団法人大阪科学技術センター付属

ニューマテリアルセンター

備考  ○印はワーキンググループ委員を兼ねる。