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日本工業規格

JIS

 Z

2281

-1993

金属材料の高温連続酸化試験方法

Test method for continuous oxidation test

at elevated temperatures for metallic materials

1.

適用範囲  この規格は,高温における金属材料の連続酸化試験方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 7502

  外側マイクロメータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS C 1602

  熱電対

JIS L 0204

  繊維用語(原料部門)

JIS R 6251

  研摩布

JIS R 6252

  研摩紙

JIS R 6254

  エンドレス研摩ベルト

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

(1)

スケール  酸化によって試験片表面に生じた酸化膜及び酸化生成物。

(2)

密着スケール  酸化試験後の試験片表面を JIS L 0204 のナイロンブラシでこすった後に試験片に密着

しているスケール。

(3)

はく(剥)離スケール  酸化試験後の試験片からはく離したスケール及び試験片表面を JIS L 0204 

ナイロンブラシでこすった場合,試験片表面からはく離するスケール。

(4)

変質層  酸化によって変化を受けた領域。

(5)

最大侵食深さ  酸化を受けた部分の表面からの最大深さ。

3.

試験装置

3.1

装置の構成  装置全体は,試験片を一様,かつ,一定に加熱するための温度調節装置,試験片を外

気から隔離する試験部を備えた加熱装置,一定の湿度に保たれた空気を連続して供給するための加湿調節

装置,送風機,空気流量計及び湿度計から構成する。

装置の基本構成を

図 に示す。


2

Z 2281-1993

図 1  装置の基本構成

3.2

加熱装置  加熱装置は,次による。

(1)

加熱装置は,外気から遮へいされた横形の試験部をもつ構造とする。

(2)

試験片の加熱には,温度調節装置を備えた横形の加熱炉を用い,試験中は,常に試験片の全範囲にわ

たり,

表 の許容範囲内で,一様,かつ,一定に加熱することのできるものとする。ただし,試験片

温度が,573K 以下及び 1 273K を超える場合は,受渡当事者間の協定による。

表 1  試験片温度の許容範囲

単位 K

573

を超え 873 以下 873 を超え 1 073 以下

1 073

を超え 1 273 以下

±3

±4

±5

3.3

温度調節装置

3.3.1

計測器  計測器は,測定温度の全範囲にわたって,試験片温度が 3.2(2)の許容範囲内にあることを

保証するのに十分なものとする。

3.3.2

熱電対  熱電対は,次による。

(1)

熱電対の材料は,試験温度に十分に耐えるものとする。

また,素線の径は,使用中に熱起電力の変化しない範囲で,なるべく小さくすることが望ましい。

(2)

温度測定は,JIS C 1602 によって検定した熱電対で行う。この場合,これに用いる素線のロットから

代表熱電対を取り出して検定してもよい。

(3)

熱電対の測温接点は,試験片の中央に配置し,試験片の温度が

表 にあることが確認できるものとす

る。

また,炉壁からの放射熱を避けるように適当に遮へいする。

(4)  (1)

(3)に規定する以外は,JIS C 1602 による。

なお,熱電対以外の温度計を使用するときは,熱電対による場合と同等以上の精度のものとする。

3.4

試験部  試験部は,次による。

(1)

試験部は,湿度の調整された空気が試験片単位表面積当たり一定量を連続して流せるように外気から

遮へいされたものとする。

(2)

試験部は,試験中に試験雰囲気と反応する材質で構成されてはならない。

3.5

加湿調整装置  加湿調整装置は,次による。

(1)

加湿調整装置は,湿度を自由に調整できるものとする。湿度を調整するために使用する水は,電導率


3

Z 2281-1993

1

µs/cm 以下の脱イオン水とする。

(2)

加湿調整器と試験部間は,(1)で調整された加湿空気が結露しないように露点以上の温度に保温する。

3.6

送風機  送風機は,3.5 で加湿調整された加湿空気の一定量を連続して 3.4 の試験部に供給できるも

のとする。

3.7

空気流量計  空気流量計は,次による。

(1)

空気流量計は,

加湿調整装置と試験部の間にあって,試験部に近い場所に配置することを原則とする。

また,空気流量計は,加湿空気が結露しないように露点以上の温度に保温する。

(2)

空気流量計が加湿調整装置と試験部の間に配置できない場合は,加湿調整装置入口近くに配置し,所

定の空気流量が試験部に供給されていることを確認する。

3.8

湿度計  湿度計は,加湿調整装置によって調整された空気が所定の湿度をもっていることを確認で

きるものとする。

4.

試験片  試験片は,次による。

(1)

試験片は,原則として方形断面とし,その寸法は幅 20mm,長さ 30mm,板厚 2mm とする。

(2)

試験に用いる試験片の枚数は,原則として 3 枚以上とする。

(3)  (2)

の試験片を採取することができない場合は,試験片の形状及び寸法は,受渡当事者間の協定による。

ただし,400mm

2

以上の表面積をもつものが望ましい。

(4)

試験片は,切断による加工層が残らないように機械加工する。

(5)

試験片表面の最終仕上げは,JIS R 6251

JIS R 6252 及び JIS R 6254 の 320 番の乾式研摩紙で行う。

(6)  (5)

によらない場合は,その表面仕上げの状態を記述する。

(7)

試験片の識別が必要な場合は,厚いスケールがついても消去しないよう,打刻,切込み,せん孔,そ

の他好ましい方法によって記号付けする。

(8)

試験片は,適当な溶剤又は洗剤(非塩化物)で脱脂後,乾燥する。

(9)

試験片の寸法は,JIS B 7502 及び JIS B 7507 の測定器によって±0.02mm の精度で測り,JIS Z 8401 

よって小数点第 1 位まで求める。

(10)

試験片の重量は,感量 0.1mg 以下の精度をもつもの,

(例えば,天びん)によって±0.1mg まで量り,

JIS Z 8401

によって小数点第 1 位まで求める。

5.

試験方法

5.1

試験片の支持  試験片の支持は,次による。

(1)

複数枚の試験片を同時に試験する場合は,試験片を独立した試験片支持具に挿入し,それぞれの試験

片のはく離スケールを含む全スケールが回収できるようにする。

(2)

試験片は,試験温度で反応しない材質の支持具で支持する。

(3)

支持具で支持された試験片は,室温状態にある加熱炉に挿入する。

(4)

試験片の支持具は,試験中又は試験終了後の冷却中にスケールがはく離しても回収できるように工夫

されたものを使用する。試験片支持具及び試験片配置の基本構成を

図 に示す。


4

Z 2281-1993

図 2  試験片支持具及び試験片配置の基本構成

5.2

加湿空気  加湿空気は,次による。

(1)

加湿空気の湿度は,露点 303K とし,その許容差は±5%とする。

(2)

加湿空気の流量は,試験片の支持箇所で試験片 1mm

2

当たり 0.4ml/min とし,その許容差±5%とする。

(3)

加湿空気は,試験片が加熱炉にセットされ,試験部位が結露しない温度にあることを確かめた後に流

入する。

5.3

加熱方法  加熱方法は,次による。

(1)

加熱は,加熱炉に試験片がセットされ,加湿調整空気が炉内に流入された後に行うが,加熱の開始は

湿度が所定の値にあることを確かめた後に行うことが望ましい。

(2)

加熱は,試験片の温度が 3.2(2)の許容範囲の上限を超えないように行う。

5.4

試験時間  試験時間は,試験片温度が 3.2(2)の許容範囲の下限を超えた時点から積算し,原則として

100

時間とする。

5.5

試験片の冷却  試験終了後の試験片の冷却は,試験片温度が 373K 以下になるまで加湿空気を継続し

て流しながら行う。

5.6

酸化増量及び酸化減量の測定  酸化増量及び酸化減量の測定は,次による。

(1)

試験終了後の試験片は,すべてのスケールと同時に回収し,はく離スケール質量  (W

S

)

と密着スケー

ル込みの試験片質量  (W

I

)

を±0.1mg まで量る。

(2)

酸化増量  (a)  は,はく離スケール質量,密着スケール込みの試験片質量,試験前に測定した試験片質

量  (W

o

)

及び試験片表面積  (A

o

)

から式(1)によって小数点第 2 位まで求める。

0

0

)

(

A

W

W

W

a

I

S

+

+

=

  (1)

ここに,

a

酸化増量 (g/m

2

)

W

S

はく離スケール質量 (g)

W

I

密着スケール込みの試験片質量 (g)

W

O

試験前に測定した試験片質量 (g)

A

O

試験片表面積 (m

2

)

(3)

酸化減量  (b)  は,密着スケール込みの試験片質量,試験前の試験片質量及び試験片表面積から式(2)

によって小数点第 2 位まで求める。

0

0

)

(

A

W

W

b

I

=

  (2)

ここに,

b

:  酸化減量 (g/m

2

)

W

I

:  密着スケール込みの試験片質量 (g)

W

O

:  試験前に測定した試験片質量 (g)

A

0

:  試験片表面積 (m

2

)


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Z 2281-1993

5.7

試験片の表面及び断面の観察  試験片の表面及び断面の観察は,受渡当事者間の協定による。試験

片の表面及び断面を観察する場合は,次によることが望ましい。

(1)

試験片表面の酸化状態を報告するために実物大で外観を写真撮影する。

(2)

酸化による変質層深さ又は最大侵食深さなどを報告するために,倍率 200 の顕微鏡によって試験片中

央断面を観察する。

6.

報告

6.1

記載事項  試験結果報告書には,次の項目を記載する。

(1)

試験材料

(a)

製造業者名

(b)

材料の名称

(c)

種類又は記号

(d)

溶解番号

(e)

化学成分

(2)

試験片

(a)

試験片数

(b)

試験片寸法及び表面積

(c)

試験片表面仕上げ状態

(d)

試験片の脱脂方法

(3)

試験条件

(a)

試験温度  試験中の試験温度,最高及び最低温度

(b)

試験時間

(c)

加湿空気露点温度

(d)

加湿空気の試験片表面積及び時間当たりの流量

(e)

加湿空気の試験片支持部断面積及び時間当たりの流速

(f)

加湿空気流量

(g)

脱スケール方法

(4)

試験結果

(a)

酸化増量

(b)

減量

(c)

はく離スケール量

6.2

付記事項  試験結果報告書には,次の項目についての記録を付記することが望ましい。

(1)

試験材料

(a)

加工条件

(b)

熱処理条件

(2)

素材の結晶粒度番号

(3)

素材の室温における機械的性質

(4)

素材からの試験片採取条件

(5)

試験装置の概要

(6)

試験条件


6

Z 2281-1993

(a)

昇温時間

(b)

冷却条件

(7)

試験結果

(a)

試験後の外観写真

(b)

試験後の試験片中央表層を含む断面写真

(c)

試験後の試験片中央の酸化による変質層深さ又は最大侵食深さ。

関連規格  JIS G 0567  鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法


7

Z 2281-1993

JIS

原案作成委員会  金属材料高温連続酸化試験方法委員会  構成表

(順不同)

氏名

所属

(委員長)

田  村  今  男

京都大学名誉教授

(ワーキンググループリーダ)

榊  原  瑞  夫

新日本製鐵株式会社

大  谷  隆  一

京都大学工学部

金  澤  健  二

科学技術庁金属材料研究所

新  田  明  人

財団法人電力中央研究所

桝  本  弘  毅

株式会社超高温材料研究所

葭  本  輝  夫

株式会社クボタ

福  井      寛

株式会社日立製作所

河  合  久  孝

三菱重工業株式会社

岡  田  康  孝

住友金属工業株式会社

藤  原  優  行

株式会社神戸製鋼所

宮  崎  松  生

株式会社東芝

岩  永  真一郎

住友金属鉱山株式会社

楓          博

愛知製鋼株式会社

山  村  武  民

宇部興産株式会社

小  川  孝  寿

株式会社竹中工務店

藤  本  幸  男

株式会社島津製作所

飯久保  知  人

大同特殊鋼株式会社

植  松  美  博

日新製鋼株式会社

佐  平  健  彰

三菱マテリアル株式会社

田  村      学

NKK

中  野  善  文

川崎製鉄株式会社

二  瓶  正  俊

社団法人日本鉄鋼協会

黒  木  勝  也

財団法人日本規格協会

服  部  幹  雄

工業技術院標準部

(事務局)

守  安  禎四郎

財団法人大阪科学技術センター付属

ニューマテリアルセンター

脇  坂  啓  司

財団法人大阪科学技術センター付属

ニューマテリアルセンター

金属材料の高温連続酸化試験方法ワーキンググループ  構成表

(順不同)

氏名

所属

(委員長)

田  村  今  男

京都大学名誉教授

ワーキンググループリーダ)

榊  原  瑞  夫

新日本製鐵株式会社

葭  本  輝  夫

株式会社クボタ

藤  原  優  行

株式会社神戸製鋼所

飯久保  知  人

大同特殊鋼株式会社

植  松  美  博

日新製鋼株式会社

佐  平  健  彰

三菱マテリアル株式会社

楓          博

愛知製鋼株式会社

(事務局)

守  安  禎四郎

財団法人大阪科学技術センター付属

ニューマテリアルセンター

脇  坂  啓  司

財団法人大阪科学技術センター付属

ニューマテリアルセンター