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日本工業規格

JIS

 Z

2252

-1991

高温ビッカース硬さ試験方法

Test methods for Vickers hardness at elevated temperatures

1.

適用範囲  この規格は,主として金属材料の高温におけるビッカース硬さ試験方法について規定する。

この場合,試験温度は常温を超えて 800℃以下とする。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 7725

  ビッカース硬さ試験機

JIS B 7734

  微小硬さ試験機

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

(1)

高温硬さ  くぼみの形成からくぼみの計測までを,常温を超える一定の温度で行って得た硬さ。

(2)

ビッカース硬さ  対面角が 136゜のダイヤモンド又はサファイヤ正四角すい(錐)圧子を用い,試験

面にくぼみを付けたときの試験荷重と,くぼみの対角線長さから求めた表面積とから,次の式によっ

て求めた値。

2

2

1

189

.

0

2

sin

2

102

.

0

102

.

0

HV

d

F

d

F

S

F

θ

ここに, HV:

ビッカース硬さ

F

試験荷重 (N)

S

くぼみの表面積 (mm

2

)

d

くぼみの対角線の長さの平均 (mm)

θ

圧子の対面角  (

°)

(3)

硬さ記号  ビッカース硬さの記号 HV に,試験荷重に比例する数値を付加した記号。

なお,硬さ記号と試験荷重の対応は,

表 による。

表 1  硬さ記号と試験荷重

硬さ記号

試験荷重

N

硬さ記号

試験荷重

N

硬さ記号

試験荷重

N

HV0.01 0.098

07 HV0.2

1.961  HV2.5

24.52

HV0.02 0.196

1  HV0.3

2.942  HV3

29.42

HV0.025 0.245

2  HV0.5

4.903  HV5

49.03

HV0.05 0.490

3  HV1

9.807  HV10

98.07

HV0.1 0.980

7 HV2

19.61  HV20

196.1

(4)

試験温度  硬さを測定するときの試料の試験面温度。

(5)

設定温度  温度調節計に設定した温度。


2

Z 2252-1991

3.

試料  試料は,次による。

(1)

試料の試験面は,平面とする。

(2)

試験面の仕上がりは,鏡面仕上げとする。

(3)

試験面は,試料採取のときに生じた加工層を除去する。

また,試験面の仕上げの際,研磨などによる加工変質層が生じないように注意する。

(4)

試験面は,油や酸化物などの異物による汚れがあってはならない。

(5)

試料は,十分な厚さのものであって,原則として,くぼみが生じたためにその裏面に変化が認められ

てはならない。

備考1.  試料の厚さは,一般にくぼみの対角線長さの1.5倍以上とする。

2.

表面処理層の硬さを測定する場合など,試料の厚さについて上記の規定が適用できないとき

は,受渡当事者間の協定による。

4.

試験装置

4.1

試験機  高温硬さ試験に用いる試験機は,機枠,試料支持装置,圧子,負荷装置,計測顕微鏡,加

熱装置,温度計測装置及び真空又は雰囲気調整装置を備えていなければならない。

また,試験機は,十分に安定性のある台上に置き,圧子の取付軸を鉛直にして使用する。

なお,試験機は,使用頻度に応じ,日常点検を行うことが望ましい。日常点検は,あらかじめビッカー

ス硬さ試験機又は微小硬さ試験機を用いて常温硬さを比較して,くぼみ形状,硬さ測定値などの異常の有

無を確かめるとともに加熱装置及び真空又は雰囲気装置に異常のないことを確かめる。

4.2

負荷装置  負荷装置は,JIS B 7725 又は JIS B 7734 に適合したものでなければならない。

4.3

圧子  圧子の材料は,ダイヤモンド又はサファイヤとする。ダイヤモンド圧子の形状及び仕上げは,

JIS B 7725

又は JIS B 7734 に適合したものでなければならない。サファイヤ圧子の場合は,これに準じる

ものとする。

4.4

計測顕微鏡  計測顕微鏡は,JIS B 7725 又は JIS B 7734 による。

4.5

保持具  試料の保持具は,高温において寸法変化が少なく,化学的にも安定な材料を用い,かつ,

硬さの測定に影響のない機構にしなければならない。

4.6

加熱装置  加熱装置は,毎分 20℃以上の昇温速度が得られる性能をもつとともに,試料が均一に加

熱されることが望ましい。設定温度における温度精度は,±5℃以下とする。

5.

試験  試験は,次による。

(1)

試料の試験面を圧子取付軸に垂直になるように置き,試料が試験温度に達するまで加熱する。試料の

昇温速度は,特に指定がない限り毎分 20℃を標準とする。

また,加熱は,できるだけアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気で行い,酸化などによる表面の変

質を防ぐとともに圧子及びヒーターの損傷を防ぐ。

(2)

試験温度が所定温度になるように,温度計測位置との差を補正して設定温度を調節する。

なお,温度測定の位置は,試験面の温度を最少の温度差で補正できるような位置及び方法をとる。

(3)

試料の予熱時間(

1

)

は,特に指定がない限り 5 分とする。

(

1

)

試料の予熱時間とは,試料が試験温度に到達した後の時間をいう。

(4)

圧子の予熱時間及び方法は,試験機に指定された方法による。

(5)

試験荷重の大きさは,できるだけ大きく選ぶのがよい。


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Z 2252-1991

(6)

荷重は,衝撃を伴うことなく,しかも運動部分の慣性による誤差を無視できる程度に徐々に増加して

規定の大きさにする。

備考  負荷速度の適正値は,試験機の構造によって異なるから,その試験機に指定された負荷条件に

よる。

(7)

荷重を規定の大きさに保つ時間は,特に指定がない限り 30 秒を標準とする。ただし,保持時間が特に

指定された場合,その精度は±1 秒とする。

(8)

試料の試験位置は,既にあるくぼみの中心からそのくぼみの対角線長さの 4 倍以上で,かつ,試料の

縁から 2.5 倍以上であることが望ましい。

(9)

試験中にくぼみの大きさ,くぼみの面及びくぼみの形状に異常が認められたときは,直ちに試験を中

止し,圧子の異常を調べる。

6.

くぼみの測定及び高温ビッカース硬さの算出  くぼみの測定及び高温ビッカース硬さの算出は,次に

よる。

(1)

試料を試験温度に保ち,

試験荷重を除去した後,

くぼみの 2 本の対角線長さをそれぞれ少なくとも 1

µm

の値まで読み取る。

(2)

くぼみの 2 本の対角線長さの平均値を求め,その値を用いてビッカース硬さを算出する。

(3)

試験は,同一試験温度条件で 2 回行い,それぞれのビッカース硬さを求め,その平均値を高温ビッカ

ース硬さとする。高温ビッカース硬さの値は,JIS Z 8401 によって有効数字 3 けたに丸める。

7.

高温硬さの表示  高温硬さは,高温ビッカース硬さ,硬さ記号,試験温度  (℃)  の順に表示する。た

だし,試験荷重又は試験温度を特定しない場合は,その特定しない項目を省略して表示してもよい。

1. 120HV1

(500

℃) …… 高温ビッカース硬さ

120

試験荷重 9.807N

試験温度 500℃のとき

2. HV……………… …… 試験荷重と温度を特定しないとき

3. HV1

…………… …… 温度を特定しないとき

4. HV (500 ℃ )

…… 荷重を特定しないとき

8.

報告  試験結果の報告には,試験温度,圧子の材質,試験機の種類,試験荷重,雰囲気の種類,昇温

速度,試験片予熱時間,圧子の予熱方法及び荷重保持時間を付記する。その他の条件は,受渡当事者間の

協定による。

関連規格  JIS Z 2244  ビッカース硬さ試験方法

JIS Z 2251

  微小硬さ試験方法


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Z 2252-1991

ニューマテリアルセンター  高温硬さ試験方法 JIS 原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

田  村  今  男

京都大学

富  永  敏  文

東京都立工業技術センター

山  中  久  彦

大阪府立産業技術総合研究所

植  村  幸  三

阪南大学

津  金  秀  幸

工業技術院標準部

宮  崎  松  生

株式会社東芝

岩  永  真一郎

住友金属鉱山株式会社

岩  崎  昌  三

株式会社アカシ

秋  山  俊  夫

株式会社ニコン

有  田  一  敏

ユニオン光学株式会社

山  本      普

株式会社山本科学工具研究社

山  本  靖  則

株式会社島津製作所

小  原      忠

大阪ダイヤモンド工業株式会社

河  合  久  孝

三菱重工業株式会社

寺  西  洋  志

住友金属工業株式会社

飛  岡  正  明

住友電気工業株式会社

竹  島  義  雄

住友軽金属工業株式会社

西  山  幸  夫

川崎重工業株式会社明石工場

佐  野  嘉  信

大蔵省造幣局作業管理部

中  村  重  義

株式会社日立製作所

(事務局)

斎  藤  恭  寛

財団法人大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター

脇  坂  啓  司

財団法人大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター