>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲 

1

2

  引用規格 

1

3

  用語及び定義  

3

4

  アクセシビリティ実現の根拠及び効用  

10

5

  アクセシブルなソフトウェアを設計するための原則  

10

6

  利用者特性の差異をもたらす原因  

12

7

  この規格の利用方法  

12

7.1

  一般  

12

7.2

  適合  

13

8

  一般的指針及び要求事項  

14

8.1

  ユーザインタフェース要素の名称及び見出し  

14

8.2

  利用者の個人設定  

17

8.3

  アクセシビリティを調節する上での特別な配慮  

20

8.4

  制御及び操作についての一般的な指針  

21

8.5

  支援技術との両立性  

25

8.6

  閉じたシステム  

32

9

  入力  

33

9.1

  代替入力手段  

33

9.2

  キーボードフォーカス  

34

9.3

  キーボード入力  

35

9.4

  ポインティングデバイス  

42

10

  出力  

46

10.1

  出力についての全般的指針  

46

10.2

  視覚出力(表示)  

47

10.3

  文章及び字体  

48

10.4

  色  

49

10.5

  ウィンドウの外観及び振る舞い  

50

10.6

  聴覚出力  

53

10.7

  音情報と等価な文章(字幕)  

55

10.8

  媒体上の情報  

55

10.9

  触覚出力  

56

11

  オンライン資料,ヘルプ及び支援サービス  

56

11.1

  資料及びヘルプ  

56

11.2

  支援サービス  

57


X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)  目次

(2)

ページ

附属書 A(参考)ISO 9241 シリーズの大要  

59

附属書 B(参考)要求事項一覧  

60

附属書 C(参考)適用の可否及び適合を査定する手順例  

62

附属書 D(参考)活動制限事項  

87

附属書 E(参考)アクセス機能  

93

附属書 F(参考)アクセシビリティと使用性との関係  

102

参考文献  

105


X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本人間工学会(JES)及び一

般財団法人日本規格協会(JSA)から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS X 8341

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

X

8341-1

  第 1 部:共通指針

JIS

X

8341-2

  第 2 部:情報処理装置

JIS

X

8341-3

  第 3 部:ウェブコンテンツ

JIS

X

8341-4

  第 4 部:電気通信機器

JIS

X

8341-5

  第 5 部:事務機器

JIS

X

8341-6

  第 6 部:対話ソフトウェア

JIS

X

8341-7

  第 7 部:アクセシビリティ設定


日本工業規格

JIS

 X

8341-6

:2013

(ISO 9241-171

:2008

)

高齢者・障害者等配慮設計指針−

情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス

−第 6 部:対話ソフトウェア

Guidelines for older persons and persons with disabilities-

Information and communications equipment, software and services-

Part 6: Guidance on software accessibility

序文 

この規格は,2008 年に第 1 版として発行された ISO 9241-171 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,仕事,家庭,教育及び公共の場で用いるソフトウェアをアクセシブルに設計するための人

間工学上の手引及び明細事項について規定する。この規格は,一時的な障害のある人及び高齢者を含め,

身体,感覚及び認知能力において多様な広がりをもつ人々にとってアクセシブルなソフトウェアの設計を

扱う。この規格は,JIS Z 8520JIS Z 8527JIS Z 8530,及び JIS Z 8531-1JIS Z 8531-3 で扱う一般的な

使用性設計を補完するという立場で,ソフトウェアのアクセシビリティについて考慮すべき事項を扱う。

この規格は,インタラクティブシステムのアクセシビリティの問題に適用する。この規格では多様なソ

フトウェア(例えば,事務用,ウェブ,学習支援及び図書館システム)を扱う。

この規格は,より広く多くの利用者にとってシステムの使用性を高めることを目指している。また,イ

ンタラクティブシステムの重要な構成要素としての支援技術の用い方について扱い,支援技術(支援ソフ

トウェアを含む。

)の振る舞い,及び支援技術そのものへの要求事項については扱わない。

この規格は,ソフトウェアのプラットフォーム及びアプリケーションの仕様決定,設計,開発,評価及

び調達に携わる人が使用することを意図している。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 9241-171:2008

,Ergonomics of human-system interaction−Part 171: Guidance on software

accessibility

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの


2

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8520

  人間工学−人とシステムとのインタラクション−対話の原則

注記  対応国際規格:ISO 9241-110:2006,Ergonomics of human-system interaction−Part 110: Dialogue

principles

(IDT)

JIS Z 8521

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引

注記  対応国際規格:ISO 9241-11:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 11: Guidance on usability(IDT)

JIS Z 8522

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−情報の提示

注記  対応国際規格:ISO 9241-12:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 12: Presentation of information(IDT)

JIS Z 8523

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ユーザー向け案内

注記  対応国際規格:ISO 9241-13:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 13: User guidance(IDT)

JIS Z 8524

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-14:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 14: Menu dialogues(IDT)

JIS Z 8525

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−コマンド対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-15:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 15: Command dialogues(IDT)

JIS Z 8526

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−直接操作対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-16:1999,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 16: Direct manipulation dialogues(IDT)

JIS Z 8527

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−書式記入対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-17:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 17: Form filling dialogues(IDT)

JIS Z 8530

  人間工学−インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス

注記  対応国際規格:ISO 13407:1999,Human-centred design processes for interactive systems(IDT)

JIS Z 8531-1

  人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア−第 1 部:設

計原則及び枠組み

注記  対応国際規格:ISO 14915-1:2002,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 1:

Design principles and framework

(IDT)

JIS Z 8531-2

  人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア−第 2 部:マ

ルチメディアナビゲーション及び制御

注記  対応国際規格:ISO 14915-2:2003,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 2:

Multimedia navigation and control

(IDT)

JIS Z 8531-3

  人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア−第 3 部:メ

ディアの選択及び組合せ

注記  対応国際規格:ISO 14915-3:2002,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 3:

Media selection and combination

(IDT)


3

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

アクセラレータキー(accelerator key)

あるメニュー選択肢を,その選択肢のあるメニュー又は途中段階のメニューを表示することなく呼び出

すキーの組合せ。ショートカットキー(shortcut key)とも呼ぶ[JIS Z 8524:1999 の 3. a)(アクセラレータ

キー)参照]

注記  現在のシステムでは,アクセラレータキーで素早く呼び出せる機能は,必ずしもメニュー選択

肢として与えられているものに限らない。しかし,1990 年代前半に開発されたシステムでは,

素早く呼び出せる機能はメニュー選択肢として与えられる機能に限られていたものがあった。

3.2 

アクセシビリティ(インタラクティブシステムにおける)[accessibility(interactive system)]

様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品,サービス,環境又は施設(のインタラクティブシ

ステム)のユーザビリティ(JIS X 8341-1 の 3.1 参照)

注記 1  このアクセシビリティの概念は,障害があると公式に認定された利用者だけに限定せずに,

利用者のあらゆる範囲の能力を扱おうとしている。

注記 2  使用性の概念に基づくこのアクセシビリティの考え方は,想定利用者内の能力の広がりに注

意を払いながら具体的状況を考慮し,できるだけ高い水準の有効さ,効率及び満足度を達成

することを目指している。

注記 3  使用性の概念に基づくアクセシビリティの考え方については,附属書 で補足説明している。

3.3 

アクセシビリティ機能(accessibility feature)

障害を経験する人々に対して製品の使用性を高めることを目的として,特別に設計された機能。

3.4 

活性化(activation)

精神的及び身体的機能の効率に差がある内部状態(JIS Z 8502 の 3.3.1.2 参照)

3.5 

支援技術,AT(assistive technology, AT)

システムに付加して,又はシステム内に組み込んで,人にとってのアクセシビリティを高めるハードウ

ェア又はソフトウェア。

例  点字表示装置,画面読上げ,画面拡大ソフトウェア及び視線入力装置。

3.6 

複数キーの同時押し(chorded key-press) 

ある働きをもたらすための,キーボードの複数のキー又はポインティングデバイスの複数のボタンの同

時押下げ。

注記  この定義には,データの入力又は何らかの働きをもたらすための,修飾キーと修飾キー以外の

キーとの組合せ又は修飾キー以外のキーだけの組合せを含む。

例  修飾キー以外のキーだけの組合せには,S, D, F, J, K, L キーを組み合わせて点字を入力する方法が

ある。


4

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

3.7 

閉じたシステム(closed system)

ユーザ接続も支援技術(全てのユーザインタフェースに接続するためのプログラムを含む。

)の導入も許

さないシステム。

注記  閉じたシステムとする理由には,方針,システムの構造,物理的制約などがある。

3.8 

配色(colour scheme) 

ユーザインタフェース要素を着色するのに用いる色の組合せ。

注記  “色”とは,色相,彩度及び明度の組合せをいう。

3.9 

対比(知覚における)[contrast(perceptual sense)]

視野中の 2 か所以上の部分の見かけ上の差異が呼び起こす知覚(輝度対比,明度対比,色対比などがあ

る。

。2 か所以上の部分は,同時に視野に入る場合(同時対比)と,連続的に視野に入る場合(継時対比)

とがある(IEC 60050-845:1987 の definition 845-02-47 参照)

3.10 

カーソル(cursor) 

キーボード(又はキーボード模擬機構)を介する利用者とのやり取りが生じる箇所を,視覚的に示すも

の。

注記  キーボードフォーカスカーソル(3.22 参照),テキストカーソル(3.35 参照),ポインタ(3.30

参照)と比較対照すると理解の助けとなる。

3.11 

有効さ(effectiveness) 

利用者が指定された目標を達成する上での正確さ及び完全さ(JIS Z 8521 の 3.2 参照)

3.12 

効率(efficiency 

利用者が目標を達成する際に正確さと完全さとに関連して費やした資源(JIS Z 8521 の 3.3 参照)

3.13 

明示的指示子(explicit designator) 

名称から離して(通常は名称の左側に)表示する,メニューの選択肢又はコントロールの見出しを表す

符号又は略号。この符号又は略号をキー入力するとメニューの選択肢又はコントロールが選択される。

例  図 に示す“H”,“T”,“Z”,“I”。

図 1−明示的指示子の例 


5

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記 1  暗示的指示子(3.16 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 

注記 2  JIS Z 8524 の 3. s)(選択肢指示子)参照。 

注記 3  明示的指示子としては,選ぼうとする選択肢を簡潔に指定するものであること,及びキー入

力が容易なことが望ましいので,日本語の場合は仮名文字を用いてもよい。

例えば,

図 で,“ヒ”,“ト”,“ホ”,“イ”。 

3.14 

フォーカスカーソル(focus cursor)

どのユーザインタフェース要素がキーボードフォーカスをもっているかを,視覚的に示すもの。位置カ

ーソル(location cursor)とも呼ぶ。

例  文字入力欄,ボタン,リスト,メニュー選択肢などの周りを囲む,箱図形又は強調表示した領域。

注記 1  フォーカスをもつユーザインタフェース要素の種類によって,通常,フォーカスカーソルの

外見は異なる。ユーザインタフェース要素がフォーカスをもっている場合,それがコントロ

ール(例えば,ボタン)である場合は起動することができ,それが選択可能である場合は(例

えば,アイコン,リスト項目)

,選択状態とすることができる。

注記 2  入力フォーカス(3.18 参照)及びカーソル(3.10 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。

3.15 

アイコン(icon) 

コ ン ピ ュ ー タ シ ス テ ム の 何 ら か の 機 能 を 表 す , 表 示 装 置 の 画 面 上 に 表 示 さ れ る 図 形 ( ISO/IEC 

11581-1:2000

の 4.7 参照)

3.16 

暗示的指示子(implicit designator)

キーボードを用いた選択に利用する,メニューの選択肢名の一部又はコントロールの見出しの一部。

例  プリント作業のコントロールの見出しが“Print”と表示される場合,頭文字の“P”。“P”キーを

押すと,印刷が開始される。

注記 1  JIS Z 8524 の 3. s)(選択肢指示子)参照。 

注記 2  日本語を用いるシステムでは,選択肢名表示に用いる文字(仮名,平仮名及び漢字)とキー

ボードから入力する文字とが直接に対応しない(例えば,ローマ字入力)ことがあるため,

暗示的指示子は利用しにくい。

3.17 

個人化(individualization) 

利用者それぞれの能力及び必要性に合致するように,情報のやり取り及び情報提示の仕方を変更するこ

と。

3.18 

入力フォーカス(input focus) 

所定の入力装置における利用者の入力指示が,どのオブジェクトに向かうのかを示すもの[JIS Z 8526

の 3.11(入力フォーカス)参照]

例  ポインタフォーカス及びキーボードフォーカスは,入力フォーカスである。

3.19 

キーボード模擬機構(keyboard emulator) 

キーボードからの入力と等価の入力を生成する,ソフトウェア又はハードウェア。


6

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記  キーボード模擬機構には,キーを提示するもの(例えば,画面キーボード)又は提示しないも

の(例えば,音声認識)がある。

プラットフォームが備える画面キーボード,音声入力,手書き入力などは,アプリケーション

にとって,その出力をキーボードからアプリケーションへの入力として扱えるので,キーボー

ド模擬機構の例である。

3.20 

等価キー(keyboard equivalent) 

通常,ポインティングデバイス,音声入力などの入力又は操作機構によって起動する機能を動作可能に

する,キーボード上のキー又はキーの組合せ。

3.21 

キーボードフォーカス(keyboard focus) 

キーボード又はキーボード模擬機構からの入力の,ユーザインタフェース要素への割当て。

注記  個々のユーザインタフェース要素がフォーカスを得ていることは,フォーカスカーソルで示す。

3.22 

キーボードフォーカスカーソル(keyboard focus cursor) 

キーボード又はキーボード模擬機構を介する利用者とのやり取りが生じる箇所を,目に見えるように示

すもの。

注記  キーボードフォーカス(3.21 参照),ポインタ(3.30 参照)及びテキストカーソル(3.35 参照)

と比較対照すると理解の助けとなる。

3.23 

見出し(label) 

入力欄,表示専用欄,表,コントロール又はオブジェクトに付ける短い説明的な標題。

例 1  表題,文字入力欄に付ける入力を促す記号,コントロールに識別のために付ける文字又は図(例

えば,ボタンの上面に表示するもの。

)及び双方向音声応答システムで用いる発声を促す音。

例 2  図 に示す“作成日時”

図 2−見出し付きのテキスト欄の例

例 3  図 に示す“改ページ位置の自動修正”は,グループ見出しの例であり,

“改ページ時 1 行を残

して段落を区切らない”

“次の段落と分離しない”

“段落を分割しない”及び“段落前で改ペ

ージする”は,個々のチェックボックス見出しの例である。


7

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

図 3−グループ見出しと個々の見出しとを付けたチェックボックスグループの例

例 4  クリックするとその時点の文書を印刷できるウィンドウ中のプリンタの絵。

注記 1  アプリケーションによっては,見出しを読取り専用欄として扱う。 

注記 2  この定義は,JIS Z 8527 の 3.4(見出し)の規定を参考にしている。 

注記 3  この規格では,見出しとはユーザインタフェース要素の提示された標題を指し,名称属性と

は区別している。利用者に対して名称属性を提示しない場合もあるが,その場合でも,支援

技術に対しては名称属性の情報が利用できるようにする。文章で表現した見出しは,名称を

視覚表示するものが多い。

注記 4  名称(3.27 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 

3.24 

ラッチ(latch) 

修飾キー以外のキーを押すまで,又はポインティングデバイスのボタンを動かすまで,修飾キーの効果

を保持し続ける状態。

注記  ロック(3.25 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。

3.25 

ロック(lock) 

修飾キー又はポインティングデバイスのボタンを無効にするまで,修飾キー又はポインティングデバイ

スのボタンの効果を保持し続ける状態。

注記 1  キーボード及びポインティングデバイスの働きにだけ効果を及ぼすラッチとは異なり,ロッ

クはその振る舞いを変えようとして修飾キーを利用している全てのソフトウェアに効果を及

ぼす。 

注記 2  ロック状態は,通常,利用者が明示的に解除するが,その他にもシステムの停止又は再起動

時に解除されることがある。 

注記 3  ラッチ(3.24 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 

3.26 

修飾キー(modifier key) 

修飾キー以外のキー又はポインティングデバイスによる働き又は効果を変化させる機能をもつ,キーボ

ード上のキー。

例 1  シフト(Shift)キーを押しながら,キーボードの移動キー又はポインティングデバイスを使っ

てキーボードフォーカスを移動させると,単にキーボードフォーカスカーソルの位置が変わる

のではなく,選択部分がキーボードフォーカスカーソル移動の方向に伸縮する。


8

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 2 “C”

キーを押すと,その文字が入力される。制御(Ctrl)キーを押しながら “C” キーを押すと,

“コピー”機能が働く。

3.27 

名称(name) 

利用者がユーザインタフェース要素を識別するのに用いる,ユーザインタフェース要素に付けた語句。

注記 1  名称には,画面上の教示,ソフトウェアの資料,又は利用者自身が参照するユーザインタフ

ェース要素の主要な語句を用い,ユーザインタフェース要素の種類又は状態の情報を含ませ

ないことが望ましい。 

注記 2  見出しとは対照的に,利用者に対する名称属性の提示の有無にかかわらず,支援技術は名称

属性を利用することができる。この規格では,見出しとはユーザインタフェース要素の標題

を指す。文章で表現した見出しは,名称を視覚表示するものが多い。 

注記 3  文章で表現した見出しを付けている場合,その見出しは一般に,名称又は名称の短縮形を示

している。しかし,必ずしも全てのユーザインタフェース要素に見出しを付けるとは限らな

い。見出しを付けない場合でも,支援技術(吹き出しで表示する使用上のヒントなど)は名

称を利用できる。 

注記 4  名称と内部的な識別子(ID)とを混同しないようにする。識別子はソフトウェアが用いるた

めのものであるため,人に分かりやすく設計されているとは限らない。

注記 5  見出し(3.23 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 

3.28 

自然言語(natural language) 

ある地域で多用され,主として実際の使われ方から言語規則が導かれた言語。

3.29 

プラットフォームソフトウェア(platform software) 

ハードウェアとやり取りし,他のソフトウェアへのサービスを提供するソフトウェア。

例  オペレーティングシステム,デバイスドライバ,ウィンドウシステム,ソフトウェアツールキッ

ト。

注記 1  ブラウザ(ウェブ閲覧アプリケーション)は,アプリケーションとしてもプラットフォーム

ソフトウェアとしても機能する。 

注記 2  この規格では,ソフトウェアとはプラットフォームソフトウェアとアプリケーションソフト

ウェアとの両方を指している。 

3.30 

ポインタ(pointer) 

ポインティングデバイスの操作に応じて,画面上を移動する図記号[JIS Z 8526 の 3.15(ポインタ)参

照]

注記  画面上に表示されたユーザインタフェース要素の位置までポインタを動かし直接操作を開始す

ることで,利用者はそのユーザインタフェース要素とのやり取りを行う。

3.31 

ポインタフォーカス(pointer focus) 

ポインティングデバイスからの入力の,ウィンドウへの割当て。

注記  ポインタフォーカスを得ているウィンドウは,通常,境界及び/又は標題バーが強調表示され


9

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

るなどの,際立った特徴をもつ。

3.32 

ポインティングデバイス(pointing device) 

人の制御動作を,表示上の制御動作へと変換する装置(JIS Z 8526 の 3.17 参照)

注記 1  機械装置だけでなく,人の体の部分(例えば,指,腕)をポインティングデバイスとして利

用する技術もある。

注記 2  ポインティングデバイスには,通常,ユーザインタフェース要素の起動又は操作に利用でき

るボタンが付いている。 

注記 3  ほとんどのハードウェアは,適切なソフトウェアを用いればポインタ(3.30)を制御するの

に利用できる。

3.33 

満足度(satisfaction) 

不快感から独立した,製品使用に対する肯定的な見方[JIS Z 8521 の 3.4(満足度)参照]

3.34 

画面読取り機構(screen reader) 

画面の表示内容を,主として,音声による文の読上げ,又は書換え可能な点字表示装置上の動的な点字

として出力する支援技術。

注記 1  画面読取り機構は,主として,文を音声で読み上げるか,又は書換え可能な点字表示装置上

に動的な点字として出力される。 

注記 2  画面読取り機構は,オペレーティングシステム及びアプリケーションから得ることのできる

情報(例えば,ユーザインタフェース要素の名称又は見出し)に依存している。

3.35 

テキストカーソル(text cursor) 

テキスト入力が挿入される現在位置を,視覚的に示すもの。

注記  ポインタ(3.30 参照),フォーカスカーソル(3.14 参照)と比較対照すると理解の助けとなる。

3.36 

ユーザビリティ,使用性(usability) 

ある製品が,指定された利用者によって,指定された目的を達成するために用いられる場合の,指定さ

れた利用状況下における有効さ,効率及び利用者の満足度の度合い[JIS Z 8521 の 3.1(使用性)参照]

3.37 

ユーザインタフェース,UI(user interface, UI)

インタラクティブシステムを用いて特定の仕事を遂行する利用者に対して,情報及び制御を提供する,

インタラクティブシステム(ソフトウェア又はハードウェア)における全ての構成要素[JIS Z 8520 の 3.9

(ユーザインタフェース)参照]

3.38 

ユーザインタフェース要素(user-interface element)

ソフトウェアが利用者に対して提示するユーザインタフェースの個々の構成要素。ユーザインタフェー

スオブジェクト(user-interface object)とも呼ぶ。

例  文章,図及びコントロール

注記 1  ユーザインタフェース要素には,双方向性をもつものともたないものとがある。


10

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記 2  行う作業に関連する構成要素とユーザインタフェースそのものの構成要素との両方を,ユー

ザインタフェース要素として扱う。ユーザインタフェース要素は,タスクオブジェクトを視

覚的に表現し,利用者がそれとやり取りをするもの(例えば,手紙,注文,電子部品,配線

図など)もあれば,システムオブジェクト(例えば,プリンタ,ハードディスク,ネットワ

ーク接続)もある。これらのユーザインタフェース要素の中には,利用者が直接操作できる

ものも含まれる。

注記 3  グラフィカルユーザインタフェース(GUI)中のユーザインタフェース要素としては,基本

オブジェクト(例えば,ウィンドウの標題バー,メニュー項目,押しボタン,イメージマッ

プ及び入力テキスト欄)と,コンテナ(例えば,ウィンドウ,グルーピングボックス,メニ

ューバー,メニュー,そのうちから一つしか選べないオプションボタンの集まり,小画像か

ら成る複合画像)とがある。聴覚ユーザインタフェースのユーザインタフェース要素には,

音声メニュー,音声メニュー項目,メッセージ(例えば,

“ピーットイウ  オトノアトニ  デ

ンゴンヲ  イレテクダサイ”

,行動の催促(例えば,

“ピーッ”

)などがある。

アクセシビリティ実現の根拠及び効用 

アクセシビリティは,製品,システム,環境及び設備の設計において,それらを使用することが可能な

人及びそれらを利用しやすい人の範囲に影響を及ぼすという点で,重要な考慮事項である。アクセシブル

な設計であるほど,使えると考える人の範囲は広がる。特別な要求をもつ利用者にとって有効であること

が知られている機能及び属性を組み入れることによって,アクセシビリティは向上する。どの程度アクセ

シビリティが達成できたかを測定するには,幅広い範囲の利用者に対する,有効さ,効率及び満足度を測

る必要がある。アクセシビリティの測定は,利用の状況を構成する要素[利用者,仕事,設備(ハードウ

ェア,ソフトウェア及び資材)

,物理的環境及び社会的環境]の間の相互作用の複雑さから見て,特に重要

である。利用の状況が異なる場合,同じ製品,システム,環境又は設備でも,達成されるアクセシビリテ

ィの水準は,大きく異なることがある。

設計及び開発過程における不可欠な要素としてアクセシビリティを扱うには,利用の状況におけるアク

セシビリティの必要条件(アクセシビリティの測定方法及び検証基準を含む。

)について,系統立てて明確

化することが必要である。これらの条件は,でき上がった設計の検証基盤を形成する,設計目標を提供す

る。この規格で採用する進め方には,次の効用がある。

−  ある製品のアクセシビリティを特定する,設計する又は評価するときに,アクセシビリティの側面と

して考慮すべき利用の状況を構成する要素を明らかにするための枠組みとして使用できる。

−  ある製品,システム,環境又は設備が,特定の利用の状況の下でどの程度アクセシブルかを測るのに,

利用者の能力及び満足度を用いることができる。

−  利用者の能力及び満足度の測定は,同じ利用の状況で用いられる,技術的に異なる特徴をもつ製品の

アクセシビリティを決定し比較するための基盤を提供することができる。

−  ある製品計画のアクセシビリティ側面を規定し,文書化し,検証できる(例えば,品質計画の一部)

アクセシブルなソフトウェアを設計するための原則 

アクセシビリティの高いソフトウェアを設計するには幾つかの方法がある。この規格は,何らかの具体

的設計手法又は手順を仮定していないし,また,アクセシビリティの高いソフトウェアを設計可能にする

のに必要な活動全てを扱うわけではない。この規格は,そのソフトウェアを利用可能な人の数を増加させ


11

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

ることを目指して,既存の設計手法を補うものであり,また,具体的な設計手順又は特定の利用の状況に

関わりなく適用可能な,JIS Z 8530 に基づいた人間中心のアクセシビリティの展望を提供するものである。

この規格に規定している手引は,インタラクティブシステム開発のいずれの段階にでも適用可能である。

アクセシビリティの高いソフトウェアを設計するには,次の原則に沿うことが望ましい。

−  使用の公平性

公平性の実現のため,全ての利用者に対して,同種の利用手段を,可能ならば同一又は等価な利用

手段を提供する。

使用の公平性を達成することで,

アクセシビリティを高めるために設計した方法が,

プライバシーの侵害,人の安全若しくは保安に関する危険の増大,又は個人の名誉毀損をもたらすこ

とを防ぐことができる。

注記  障害のあることが明らかになることを気にかける人は,使用の公平性によって,障害がある

ことを周囲から察知されずに済むため,プライバシーが守られることになる。

−  最も幅広い層の利用者に対する利用の適切性

最も幅広い層の利用者に対する利用の適切性には,利用者として想定する範囲内のできるだけ広い

層の利用者にとって有用で,満足でき,かつ,利用可能な方法を生み出すことを目的とした設計と,

これらの利用者の特別な才能,能力の違い,果たすべき目的の多様さ,環境,並びに経済的及び社会

的状況の差異についての配慮が必要である。

−  頑健性[JIS X 8341-3:2010 の箇条 5 d)参照]

ソフトウェアは,可能な限り頑健に設計して,現在及び将来の支援技術と組み合わせて動作できる

ようにすることが望ましい。

全てのソフトウェアを,付加的な支援技術なしでもアクセシブルにすることは現実的ではないが,堅ろ

うさを目指した指針は,支援技術を利用しなくてもアクセシビリティを高めるソフトウェアを設計者が開

発する助けとなる。必要な接続情報を提供することで,採用した支援技術及び装置が有効かつ効率的に動

作することができるようになる。支援技術が取り入れることのできる情報を提供し,標準的なアプリケー

ション間通信プロトコルを介して支援技術と通信することによって,ソフトウェアは支援技術の統合を推

進することができる。

例  システムが,画面の拡大表示を備えている場合,より多数の利用者が,提示した文章を読み,画

像を見ることができる。しかしながら,例え備えていない場合でも,組込みに必要な情報が得ら

れる場合,利用者は,各自の必要性に応じて選んだ画面拡大プログラムを付加することができる。

アクセシブルなソフトウェアにつながる解決案は,人間工学的な設計の手引の適用に基づいて作りだす

ことが望ましい。人間工学的な設計の手引については,JIS Z 8520JIS Z 85228526JIS Z 8530,及び

JIS Z 8531-1

JIS Z 8531-3 を参照しなければならない。これら規格の手引は,特にアクセシビリティを高

めることを目指した他の規格及び刊行物,例えば,JIS X 8341-3:2010,ユニバーサルデザイン,デザイン

フォー  オール(DFA)[9],などに含まれているものもある。

人間工学的原則及び慣習に象徴される,アクセシビリティを達成するための基礎として特に重要な観点

には,次のものがある。

−  情報は,利用者が知覚できるものであることが望ましい(JIS Z 8522,WCAG 2.0 第 1 原則)

−  コンテンツ及びコントロールは,分かりやすいことが望ましい  (JIS Z 8522JIS Z 8520,WCAG 2.0

第 3 原則)

−  インタフェース要素は,操作可能であることが望ましい(JIS Z 8520,WCAG 2.0 第 2 原則)

−  ソフトウェアは,誤りに対して耐性をもつことが望ましい(JIS Z 8520,DFA)


12

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

−  ソフトウェアは,利用する上で柔軟性があり,代わりとなる入出力を広い範囲から利用者が選べるよ

うにすることが望ましい(JIS Z 8520,DFA)

この規格は上記以外にも考慮すべき手引として,能力の異なる多様な利用者にとってのニーズを満たそ

うと設計するときに生じる問題を具体的に扱っている。

利用者特性の差異をもたらす原因 

全ての利用者層は,特性,能力及び好みの点で無視できない広がりをもっている。どのインタラクティ

ブシステムも,設計上想定した利用者グループ内に,身体的,感覚的及び認知的能力の大きく異なる人々

を含んでいる。これらの差異は,先天的なもの,文化,経験,学習,生涯を通じての変化など,様々な要

因からもたらされる。この規格の要求事項及び推奨事項が基づいているのは,身体的,感覚的及び認知的

機能障害のある人の個々の特性についての現時点での理解であるが,それらの規定を適用することで,活

動の制限へつながるかもしれない想定利用者層内の能力の差異を扱うことができる。

障害と考えられるものには,肢体不自由(身体障害)

,ふるえなどの移動又は身体動作の制約によるもの

だけではなく,ロービジョン,難聴などの感覚機能障害,一時記憶の減退,失語症などの認知的要因に関

連するものを含む。障害は,断続的に生じるものもあれば,予測しがたく突然に生じるものもある。障害

は,個人にとって全く異例の出来事(例えば,腕の骨折)として生じることがある。

附属書 は,様々な種類の障害によって人が遭遇する制限の一覧であるが,生じる可能性のあるあらゆ

る事態の包括的かつ詳細な記述ではない。また,活動への制限は,物理的環境(例えば,劣悪な照明,騒

音)によっても,社会的環境(他人が居る場での秘密を要する仕事)によっても,並行して他の作業を行

う必要によっても生じるので,これらの状況も考慮に入れる必要がある。

障害をもたらすものから生じる制限の程度は様々であり,この規格で規定している手引の中には,障害

の程度に特有なものがある。視覚の機能障害は,細かいものが見にくくなる程度から生まれつき目が見え

ない程度まで幅広い。インタラクティブシステムの設計では,障害の程度に合わせたそれぞれの処置が必

要となる場合もある。例えば,画面上の詳細部分を拡大する機能は,目が見えない人の問題は扱うことが

できない。

複数の障害を経験する人もいることを認識することは重要である。ある障害を取り除くのに適切な手引

でも,その障害のある人が別の障害ももっている場合には,適切に機能しない場合がある。例えば,文章

の音声読上げは,盲ろう(聾)者に対する支援にはならない。障害の組合せ及び障害の程度の変異は,予

想外の影響をもたらすことがある。このため,利用者及び作業内容に合わせて,インタフェースを個人化

できるような様々な対処手段を備えることが重要である。

この規格の利用方法 

7.1 

一般 

アクセシビリティを高めるには,ソフトウェア体系の幾つかの部分で,そのための支援を与える必要が

ある。幾つかの部分とは,プラットフォームソフトウェア(オペレーティングシステム及びその関連層,

並びにツールキット)と,プラットフォームソフトウェア上で動作し,プラットフォームソフトウェアが

提供するサービスを利用するその他のソフトウェア(ほとんどのアプリケーションが,これに該当する。

である。

アプリケーションの設計の仕方でアクセシビリティ向上の多くを果たせるものの,利用者が求める入出

力の支援の全てをどのような状況においてでも提供することは,アプリケーション層だけでは不可能であ


13

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

る。ソフトウェアのどの部分にせよ,その部分の動作特性が,それより下位の層により強く依存するほど,

その部分に必要となるアクセシビリティ特性を,下位の層が確実に実現させる必要がある。同様に,プラ

ットフォームで実現しているアクセシビリティ特性が十分に効果的であるためには,そのプラットフォー

ム上で動作する層からの協力を必要とする場合がある。箇条 8∼箇条 11 の要求事項及び推奨事項の大多数

は,それらの規定を満たすためにはソフトウェアシステムの複数の層で対応することを必要とする。

ソフトウェアの層間の相互依存は,プラットフォーム内の種々の層間(例えば,ウィンドウ管理層はプ

ロセス管理層及び画面描画層へ依存し,プロセス管理層及び画面描画層はハードウェアドライバへ依存す

る。

)でも,プラットフォーム上で動作するアプリケーション間でも生じる。アプリケーション自体も幾つ

かの層からなり,それらの層間で相互依存を生じることがある。

この規格の規定のほとんどは,ソフトウェアのユーザインタフェースを具体化する又は具体化に役立つ

あらゆるソフトウェアに対して,それらがプラットフォームの一部であるかないかにかかわらず,適用で

きる。幾つかの規定(下位層の入力,ウィンドウ管理,システム全域の振る舞いなどについての指針)は,

プラットフォームソフトウェアの部分に対してだけ適用できる。例えば,ハードウェアの制御,特に入力

を扱う装置の制御が関係するアクセシビリティ機能にとっては,一般的には,プラットフォームがそれを

具体化し,制御する手段である。同様に,ユーザインタフェース要素を表示する,音を生成するなどの具

体的な挙動を示すソフトウェアにだけ当てはまる規定もある。適用可能なソフトウェア層が限定されてい

る場合には,各規定の文中で,適用可能なソフトウェア層又は種類を指摘する。場合によっては,注記で,

更に,詳述する。

7.2 

適合 

この規格への適合は,適用できる要求事項の全てを満たし,かつ,満たした推奨事項全ての一覧を提供

することによる。適用できないと判断した要求事項も全て,適用できない理由を付けて列挙しなければな

らない。参考のため,この規格の要求事項の一覧を,

附属書 に示す。

この規格を使用するには,設計しようとするインタラクティブシステムに対し明確化した利用の状況に

照らして,各要求事項が適用できるかを評価しなければならない,及び各推奨事項が適用できるかを評価

することが望ましい。ある製品を,この規格の適用可能な要求事項及び推奨事項に適合していると主張す

るには,ソフトウェアのアクセシビリティの要求仕様を定める手順と,ソフトウェアのアクセシビリティ

を開発及び/又は評価した手順とを具体的に示さなければならない。この手順を記述する詳細度は,関係

者間の協議による。

利用の状況を明らかにし詳細指定する上での手引として,JIS Z 8530 の 7.2 及び JIS Z 8521 の 5.3 を参考

としなければならない。適用可能性を査定するための手引として,

附属書 を参照するとよい。

全ての要求事項及び推奨事項が適用可能かを決定し記録する手段及び適用可能な規定を満たしているか

を報告する手段を,

附属書 に示す。同等ならば他の形式でも構わない。

サーバソフトウェア(クライアントサーバ環境及びメインフレーム環境で利用する。

)は,そのサーバソ

フトウェアとともに用いるクライアント(端末装置を含む。

)のソフトウェアと組み合わせて評価しなけれ

ばならない。

閉じたシステム上で用いる又は用いる想定のソフトウェアは,想定するハードウェア構成と組み合わせ

て評価し,かつ,8.5 を除く箇条 8∼箇条 11 の全ての適用可能な要求事項を満たしていなければならない。


14

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

一般的指針及び要求事項 

8.1 

ユーザインタフェース要素の名称及び見出し 

8.1.1 

各ユーザインタフェース要素への名称の提供 

ソフトウェア名称は,どのユーザインタフェース要素にも利用者がその要素を識別するのに役立つ名称

を,その名称がなくても済む場合を除き,付けなければならない。

注記 1  名称は,ユーザインタフェース要素がどんなものかを利用者に対して伝える。名称は,ある

ユーザインタフェース要素の機能(例えば,それが押しボタンとして働く。

)を知らせる役割

属性と,その要素の外見を要約する説明属性とを補足する。

例 1  アプリケーションは,その下に内容説明欄のあるファイルの名前を示す固定文字欄の名称であ

る,

“ファイル名”という見出しを提供する。

例 2  ダイアログボックス又はウィンドウには,耳から情報を得ている利用者が画面を見る以上に,

状況についての適切な情報を入手できるよう,分かりやすい名称を付ける。

注記 2  あるユーザインタフェース要素に名称が付いていないと,支援技術が,そのユーザインタフ

ェース要素を識別しきれない,又はそのユーザインタフェース要素を,利用者に代わって操

作できないことがある。

注記 3  次のユーザインタフェース要素に対して,名称がなくても済むことがある。

そのユーザインタフェース要素の意味合いが,役割属性から十分に伝わるもの(例えば,

けい線)

他のユーザインタフェース要素を命名する役割をもつもの(例えば,固定文字欄)

上位のユーザインタフェース要素の構成上欠かせない部分としてだけ働くもの(例えば,

ボタンの周りを囲む枠線)

 

例 3  ソフトウェアは,固定文字欄に“姓:”と表示され,また,その後に続くテキストボックスの

識別が示されている場合,これら一連の欄の値属性の用途が明らかにされているので,名称を

提供する必要はない。

例 4  ウェブブラウザで動くスクリプト又はオブジェクトが,ウィンドウの標題をそのブラウザの他

のウィンドウで既に使われているものに設定しようとした場合に,ブラウザは設定しようとす

る文字列を他と重複しないように手直しする。

注記 4  名称は,目に見えるように表示する場合もあるが,そうでない場合,8.5 に規定するように支

援技術がプログラムで取り出して利用するためだけにある。

例 5  あるコントロールを,製品資料中で“印刷ボタン”と呼んでいる場合は,ソフトウェアがその

コントロールを識別するための名称を,

(そのボタンの視覚表現中に“印刷”という言葉が例え

現れなくても)

“印刷”とする。

注記 5  下位の要素をまとめる役割を果たすユーザインタフェース要素としてはコンテナがある。代

表的な GUI では,ユーザインタフェース要素には,基本要素(ウィンドウのタイトルバー,

メニュー項目,押しボタン,画像,テキストラベル,編集可能なテキスト欄など)と,コン

テナ(ウィンドウ,リストボックス,グルーピングボックス,メニューバー,メニュー,そ

のうちから一つしか選べないオプション押しボタンの集まり,幾つかの小画像から構成され

る複合画像)とがある。代表的な聴覚インタフェースでは,インタラクティブなユーザイン

タフェース要素の例として,音声メニュー,音声メニュー項目,メッセージ,催促音及び休

止がある。


15

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 6  他のユーザインタフェース要素の集まりから成る複合ユーザインタフェース要素は,グループ

名称をもつ。幾つかの小部分画像ファイルから成るウェブページの画像は,それぞれの構成部

分画像の名称(

“建物”

“ブルドーザ”

“ダンプトラック”

“クレーン”など)に加えて,グル

ープ名称(

“建設現場”

)をもつ。

8.1.2 

意味のく(汲)める名称の提供 

ユーザインタフェース要素の名称は,想定する利用者が意味をくむことのできる,自然言語の言葉から

成っていることが望ましい。

注記 1  利用者が意味をくむことができる名称とは,名称中のそれぞれの語が標準的な辞書に,又は

想定利用者向けにソフトウェアが用意する電子文書中に出てくる,という意味である。 

注記 2  画面上の教示で,ソフトウェア資料で,及び利用者自身で参照するユーザインタフェース要

素の名称は,名詞又は名詞相当語句を用いるのがよい。その名称に,そのユーザインタフェ

ース要素の種類又は状態の情報を含ませても有用な名称とはならない。

例 1  チェックボックスの名称としては,

“性別チェックボックス”ではなく,

“性別”が適切である。

注記 3  実体のあるもの(例えば,文書,場所,個人)を表すユーザインタフェース要素に対しては,

例えそれが長くて,又は不可解で読みにくいものでも,その実体の名前を名称として付ける

ことがある。

注記 4  もし想定利用者に意味が通じることが確実であれば,特定の専門領域に特有な用語を名称と

して用いることもある。 

例 2  あるコントロールを,製品資料中で“印刷ボタン”と呼んでいる場合は,ソフトウェアがその

コントロールを識別するための名称を,

(そのボタンの視覚表現中に“印刷”という言葉が例え

現れなくても)

“印刷”とする(

注記 を参照)。

例 3  ダイアログボックス又はウィンドウにそれらがどんなものかが分かりやすい名称を付けておけ

ば,画面が見えないために音声出力を用いる利用者が,状況についての適切な情報を入手でき

る。

8.1.3 

コンテクスト内で一意な名称の提供 

ソフトウェア開発者がユーザインタフェース要素に付ける名称は,コンテクスト内で一意であることが

望ましい。

注記 1  同じコンテクスト内で,複数のユーザインタフェース要素が同じ名称をもっていると,利用

者は,名称でユーザインタフェース要素を識別できない。

注記 2  同一コンテナ又は上位要素(例えば,ウィンドウ,グループボックス,区分領域など)内に,

同じ名称と同じ役割属性をもつユーザインタフェース要素が他にない場合,その名称は,コ

ンテクスト内で一意であると考える。 

注記 3  実体のあるもの(例えば,文書,場所,個人)を表すユーザインタフェース要素に対しては,

例えそれがコンテクスト内で一意でなくても,その実体の名前を名称として付けることがあ

る。

例 1  ある書式に,顧客の自宅についての欄を含む領域と勤務先についての欄を含む領域とを表示し

ている。二つの領域には,それぞれ“変更”ボタンが付いている。二つの“変更”ボタンの名

称は同じにせずに,一方を“自宅を変更”

,他方を“勤務先を変更”としている。

例 2  購入アプリケーション用の書式は,書名を表示する文字欄とそれに続いてその書籍を購入する

のに使う“購入”ボタンとから成る何行かを含んでいる。各ボタンは表面上同じ見かけで表示


16

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

されるにしても,支援技術による利用に備えて,例えば,

“雪国を購入”

“枕草子を購入”のよ

うに各ボタンが一意な名称をもつように実装されている。

例 3  文書処理アプリケーションを利用中に,利用者がある文書の 2 番目のウィンドウを開いた。第

1

,第 2 のウィンドウ共に同じ文書に対するもので,両者とも編集可能である。文書処理アプリ

ケーションは,二つのウィンドウが一意な名称をもつように,

第 1 のウィンドウの名称として,

文書名の後に“:1”を付けたものを,第 2 のウィンドウの名称として,

“:2”を付けたものを当

てる。

例 4  ウェブブラウザで動くスクリプト又はオブジェクトが,ウィンドウの標題を,そのブラウザの

他のウィンドウで既に使われているのと同じ標題に設定しようとした場合に,ブラウザは,設

定しようとする文字列を他と重複しないように手直しをする。

8.1.4 

支援技術による名称の入手 

ソフトウェアは,各ユーザインタフェース要素の名称とその名称が指すユーザインタフェース要素との

対応を,文書化し,かつ,普遍的な形式で,支援技術によって利用可能となるようにしなければならない。

注記 1  名称とそれが指すユーザインタフェース要素とを結び付ける標準的なサービスを用意してい

ないプラットフォームにおいては,支援技術がその情報をどのように入手するかについてア

プリケーション開発者が文書化する。 

注記 2  名称とその名称が指すユーザインタフェース要素との対応を提供するサービスについては,

8.5.4

で取り上げている。

8.1.5 

名称の提示 

もし,ユーザインタフェース要素が,目に見えるように提示され,かつ,ユーザインタフェースの標準

的な構成部品でなければ,ソフトウェアは,そのユーザインタフェース要素の名称を利用者に対して(既

定として,又は利用者の求めに応じて)提示することが望ましい。

注記  ユーザインタフェースの標準的な構成部品とは,プラットフォームが提供するもので,どのア

プリケーションでもその見かけと振る舞いとが同じであるような構成要素をいう。

例 1  あるアプリケーションでは,ウィンドウをスクロールさせるボタンには,このボタンがプラッ

トフォーム上のどのアプリケーションでも標準的なものなので,見出し又はポップアップテキ

ストをもたせない。しかしながら,スクロールバーの下端に特別に付けた,

“次に見つかった場

所へ”矢印及び“前に見つかった場所へ”矢印に対しては,その機能を説明するポップアップ

テキストをもたせている。

例 2  印刷ボタンにはプリンタの絵が描かれ,その絵には文字表現の名称が付いている。この名称は,

利用者がポインタをそのボタン上で止めたとき,及び利用者がそのボタンへとキーボードフォ

ーカスを移してからあるキーボードコマンドを押したとき,ポップアップする。

8.1.6 

簡潔な名称及び見出しの提供 

ソフトウェア開発者が指定するユーザインタフェース要素の名称及び見出しは,簡潔な見出しを用いる

ことは,

視覚出力を利用する利用者だけでなく,

聴覚及び触覚出力を利用する利用者にとっても役に立つ。

注記 1  開発者が名称の前の方に特徴的な部分をもたせるよう努めれば,音声による読上げで又は動

的点字表示でその要素が何であるかが分かるくらいまで名称を読んだら,利用者はその先を

読み飛ばすことができる。 

注記 2  実体のあるもの(例えば,文書,場所,個人)を表すユーザインタフェース要素に対しては,

例えそれが長くて又は不可解で読みにくいものでも,その実体の名前を名称として付けるこ


17

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

とがある。 

注記 3  簡潔な見出しを用いることは,視覚出力を利用する利用者だけでなく,聴覚及び触覚出力を

利用する利用者にとっても役に立つ。 

例 1  “印刷ボタン”又は“このボタンは文書を印刷する”としないで,単に“印刷”とする。

例 2  文書を表すアイコンには,例えその文字列が長くても,読んで分かりにくくてもファイル名又

は文書の標題を見出しとして付ける。その理由は,この文字列は文書の著者が決めるもので,

ソフトウェア開発者が決めるものではないからである。

8.1.7 

アイコンに文字見出しを付けるかどうかの選択の自由 

ソフトウェアは,画像だけのアイコン,画像と文字見出しとが付いたアイコン,又は文字見出しだけの

アイコンの中から,利用者が選択できるようにすることが望ましい。

注記  字体の大きさを利用者が変更できるようにすることも役に立つ(10.3 も参照)。

8.1.8 

ユーザインタフェース要素の見出しの適切な画面位置への配置 

ソフトウェアがユーザインタフェース要素に付ける見出しは,その見出しが参照するユーザインタフェ

ース要素に対して一貫した相対位置関係で表示することが望ましい(JIS Z 8522 の 5.9.4 及び 5.9.6 参照)

プラットフォームソフトウェアに,見出しと被参照ユーザインタフェース要素との位置関係についての

慣例があれば,それに従うことが望ましい。

注記  この推奨事項は,支援技術が見出しとそれに対応するコントロールとを正しく結び付けるのを

助ける。また,画面拡大ソフトウェアの利用者が,見出し又はコントロールを探す場所を知る

のに役立つ。

8.2 

利用者の個人設定 

8.2.1 

利用者の個人設定の個人化 

ソフトウェアが,利用者の選好に合わせた個人設定を可能としている場合,設定を容易に調節できるよ

うにすることが望ましい。

例 1  あるアプリケーションソフトウェアでは,利用者がウィンドウ内の字体の大きさ及び書体の設

定を変更し,その設定を保存することができる。

注記 1  製品それぞれに対する利用者の個人設定の他に,プラットフォームが提供するシステム全体

に通用する利用者の個人設定を利用する必要も生じる。 

例 2  あるアプリケーションソフトウェアは,認知障害のある利用者に対して,同時に表示するアイ

コンの数と大きさとを選べるようにしている。

注記 2  設定構成を記述するファイルの内容を利用者に手作業で編集させることは,利用者が正しく

ない値を誤って入力する,又はファイル内容を壊す可能性が高いので,選好に合わせた設定

を個人化するための適切なやり方ではない。 

例 3  利用者は,設定構成ファイル内容を直接に編集するのではなく,GUI を通して個人設定を選択

する。

注記 3  ある種の状況においては,操作の一貫性に関連する業務上の配慮,性能重視からくる配慮,

安全性,プライバシー及び保安への懸念などの理由で,利用者がユーザインタフェース要素

の挙動と外見とを変更できる範囲に,システムの管理者が制限を課す必要が生じる。管理者

は,利用者による制御を制限するのに控えめであることが求められる。必ずしも全ての個人

設定が,管理者による管理の適切な対象となるわけではない。

注記 4  使用性及びアクセシビリティの向上のために,個人設定に高い自由度を必要とする利用者用


18

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

に,

注記 の業務環境での管理者が,専用の許可ファイルを作成することもある。

8.2.2 

広く一般に用いられるユーザインタフェース要素の属性調節 

作業目的にかなっている場合,ソフトウェアは,広く一般に普及しているユーザインタフェース要素の

属性を,利用者が調節できるようにすることが望ましい。

注記 1  目に見えるユーザインタフェース要素のどれもが共通にもつ属性の一例としては,字体,字

体の大きさ,字体の色などがある。聴覚ユーザインタフェース要素の属性の一例としては,

再生速度,音量,高さ,三次元音空間中での位置などがある。触覚ユーザインタフェース要

素の属性の一例としては,触覚オブジェクトの大きさ,触感,二次元又は三次元座標位置,

押下げ感度,固さなどがある。

注記 2  プラットフォームソフトウェアが備えている標準のユーザインタフェース要素に対しては,

属性の調節が可能となっていることが多い。

(アプリケーション間で共通したユーザインタフ

ェース要素を使うことで)利用者の利用体験がい(活)きるように,プラットフォーム層で

定義した設定を,アプリケーションが利用することがある。

例  ソフトウェアは,ウィンドウの大きさ及び位置についての利用者の個人設定を,使用機会が変わ

っても維持する。

8.2.3 

ユーザインタフェースの見かけと操作方式の個人化 

ソフトウェアは,コマンドボタンを変更する又はコマンドボタンを隠すことを含めて,インタフェース

の見かけと操作方式とを,利用者が自分に合うように設定可能とすることが望ましい。

例 1  認知障害のある利用者は,あるアプリケーションを利用するときに,アプリケーションの見か

けと操作方式とが簡素なものになるように,インタフェースを変更することができる。

例 2  文書処理アプリケーションで,そのときの情況では無用と感じるメニュー項目とツールバーの

ボタンとを,利用者が一時的に隠すことができる。

8.2.4 

キーボードフォーカスカーソル,テキストカーソル及びポインタの個人化 

ハードウェアが対応している場合,ソフトウェアは,キーボードフォーカスカーソル,テキストカーソ

ル及びポインタの,形状,大きさ,線の太さ,色,明滅の速さ(該当する場合)

,ポインタの軌跡(該当す

る場合)などの属性を,利用者に個人化可能とさせなければならない。

注記 1  プラットフォームソフトウェアが備えている標準のカーソル及びポインタの多くは,個人ご

との設定が可能であって,その場合には,標準のカーソル及びポインタを利用するソフトウ

ェアは,必然的にこの要求事項を満たす。 

注記 2  カーソルを明滅しないように設定できることは,気の散りやすい注意欠損の利用者に対して

重要である。

注記 3  この規定中の色についての記載は,カーソル及びポインタを,色を使わずに明暗の反転で提

示している場合には適用しない。

注記 4  注記 1∼注記 中のカーソルは,キーボードフォーカスカーソルとテキストカーソルとの総

称である。 

例 1  ロービジョンの利用者は,テキストカーソルを明滅するものに変更する,その大きさを調節す

るなどで,自分の視力で見やすいように調節できる。

例 2  ロービジョンの及び/又は色覚に特性のある人は,キーボードフォーカスがより分かりやすく

なるように,キーボードフォーカスカーソルの太さと色とを変更できる。

例 3  ロービジョンの利用者は,どこにあるか見つけやすいようにポインタを大きくすることができ


19

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

る。

8.2.5 

利用者の好みについてのプロファイルの提供 

ソフトウェアは,入力及び出力の特性を含めて,利用者の個人設定のプロファイルの作成,保存,編集

及び呼出しを,状態及びデータの変更をもたらす再起動を実行せずに,利用者ができるようにすることが

望ましい。

注記 1  図書館システムのような複数の利用者が利用するシステムでは,既定のプロファイルへと復

元できるのが望ましいことがある。

注記 2  個人設定がネットワークから取り入れ可能であると有用なことが多い。ネットワークからの

取り入れを,セキュリティに配慮した形で行うことは,特に,障害のあることが明らかにな

るのを気にかける人にとってのプライバシーを守ることになる。 

注記 3  ユーザインタフェース設定の変更を有効にするために,システム又はアプリケーションを再

起動する必要を最小限にすることが望ましい。

例 1  プラットフォームソフトウェアは,それぞれの利用者がシステムのどこででも通用する字体の

大きさ,音量及びポインタの動きの設定を,保存できるようにしている。

例 2  あるアプリケーションソフトウェアは,ウィンドウ内の字体の大きさ及び書体の設定を変更し,

その設定を保存することを利用者に可能にしている。

例 3  公共図書館システム用のプロファイルが,そのときの利用者の必要性に合わせて変更され,そ

の利用者の利用が終わると既定の値に戻される。

例 4  アクセシビリティ機能の調節が必要な利用者が,あるオンライン手続を完了しようとしている。

その利用者にとって,アクセシビリティ機能の調節のためにオペレーティングシステム又はユ

ーザエイジェントを起動し直すことは,それまで行った作業を失うことにつながる。

8.2.6 

個人設定の場所によらない利用 

ソフトウェアは,利用者各自の個人設定を,利用者が容易に互換性のあるシステムへと移し替えること

ができるようにすることが望ましい。

注記 1  障害のある利用者にとって,彼らのインタラクション上の必要性に合うように個人設定をし

ていないとシステムは使えない又は使いにくいものになるので,可搬性は重要である。個人

設定を作り出す手間と労力とを,利用する各場所で繰り返し払わなければならないとしたら,

システムの使用性にとって大きな阻害要因となる。

注記 2  利用者の個人設定のプロファイルを,公開利用可能(例えば,インターネットからダウンロ

ードして利用できるように)とすることがある。人によっては,他人が自分の障害を知るの

を気にかけることがあるので,公開利用可能なプロファイルの使用を秘しておける場合,助

けとなる。

注記 3  プラットフォームソフトウェアの中には,個人設定を移し替えるための汎用の仕組みを備え

たものがある。その場合のソフトウェアは,プラットフォームの慣例に従って利用者の個人

設定を保存する限り,個人設定を移し替える機能を自前で実装する必要はない。

例 1  利用者が,会社のネットワークで接続されている別の建物を訪れ,そこでシステムにログイン

すると,システムは,自動的に利用環境を特定し,その利用者の個人設定をネットワークから

利用する。利用者が設定構成ファイルを利用環境に合わせて編集する必要はない。

例 2  利用者は,USB(汎用シリアルバス)ドライブから,新たに使い始めたコンピュータ上へと個

人設定ファイルを読み込む。


20

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 3  利用者の個人設定は,スマートカードから新たなシステム上へと読み込まれる。

8.2.7 

応答の制限時間の利用者による調節 

利用者の応答の速さに制限を課すことが,目的若しくは活動を全うするために不可欠な場合を除いて,

又は現実の時間制約に基づく場合(例えば,競売)を除いて,ソフトウェアは,ソフトウェアが指定する

利用者の応答時間の限定要素を,次の方法の幾つかで,利用者が調節できるようにしなければならない。

−  利用者は,時間切れを無効にできる。

−  利用者は,時間切れまでの時間を,既定の長さの少なくとも 10 倍までの範囲内で調節できる。

−  利用者は,時間切れに達する前に警告を与えられ,簡単な動作(例えば,何らかのキーを押す。

)で,

時間切れまでの時間を延長できる,警告から延長要求までに少なくとも 20 秒のゆとりを与える。

例  ログオンを促す画面では,利用者に 30 秒以内のパスワード入力を求める。画面に時間切れまでの

残り時間を示し,かつ,残り時間のカウントダウンを止められるコントロールを用意する。

8.3 

アクセシビリティを調節する上での特別な配慮 

8.3.1 

アクセシビリティ機能用のコントロールの利用者による発見及び操作 

ソフトウェアは,アクセシビリティ機能を“入り”又は“切り”にする,及び調節するコントロールを,

その機能を必要とする人が,見つけることができ,かつ,操作できるようにしなければならない。

注記  アクセシビリティ機能の設定と説明とが,ユーザインタフェースを(アプリケーションから利

用できるヘルプの拾い読みを含めて)

ざっと見渡して見つかる場合,それは発見可能と考える。

例 1  利用者は,キーを組み合わせて押さなくても,シフト(Shift)キーを続けて 5 回押せば,

“固定

キー”機能を,

“入り”又は“切り”にできる。

例 2  システムの起動時に,あるキーを押し下げたままにすることで,アクセシビリティ機能が“入

り”となる。

例 3  アクセシビリティ機能をロービジョンの人向けに設定するためのコントロールには,初めから

大きな文字を使っている。

8.3.2 

アクセシビリティ機能の不用意な起動・解除に対する予防措置 

ソフトウェアは,アクセシビリティ機能の不用意な起動又は解除を防ぐことが望ましい。

例  アクセシビリティ機能を起動又は解除する前に,ソフトウェアは利用者に確認を求める。

8.3.3 

アクセシビリティ機能への干渉の回避 

ソフトウェアは,プラットフォームのアクセシビリティ機能を無効化又は妨害してはならない。

例  キーボード入力を取り入れるソフトウェアは,キーのラッチ,ロックなどのキーボードフィルタ

の作動を無効化しない。

8.3.4 

アクセシビリティ機能の“入り”又は“切り”状況の利用者への通知 

ソフトウェアは,アクセシビリティ機能の“入り”又は“切り”の状態が利用者から分かるようにする

ことが望ましい。

例 1  コントロールパネルで,全てのアクセシビリティ機能の現況を示す。

例 2  画面上の小アイコンで,アクセシビリティ機能が“入り”になっていることを示す。

8.3.5 

アクセシビリティ機能が起動することの利用者への通知 

あるアクセシビリティ機能が意図せずに起動状態となる可能性がある場合,ソフトウェアは,そのアク

セシビリティ機能を起動することを利用者に通知し,利用者が起動を認めるか又は取り消すかを選択でき

るようにすることが望ましい。

注記 1  それぞれのアクセシビリティ機能について,利用者が要求すれば起動の通知を行わないよう


21

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

にしてもよいが,既定としては通知を行う。

注記 2  “スローキー”機能(附属書 参照)が偶然に起動した場合,気付かない利用者はキーボー

ドが壊れたと思い込むので,

“スローキー”機能をキーボードのショートカットキーから起動

したときは,常に警告を与えるのがよい方策である。しかしながら,

“スローキー”機能の常

用者は,

“スローキー”機能を“入”にする都度警告に煩わされずに済むように,起動通知を

無効にすることを好む。

8.3.6 

表示したままにする設定 

利用者が,情報又はコントロールを,又は,表示するためのユーザインタフェース要素(メニュー,コ

ントロールなど)を起動したとき,行おうとする作業に適している場合には,ソフトウェアは,それらを

利用者が消去するまでは,他の作業の間もずっとそれら情報又はコントロールを消さないままにすること

が望ましい[44]。

注記  多用するウィンドウ及びコントロールを表示したままにしておくことは,身体,言語,学習又

は認知障害のある利用者にとって助けとなり,それらを扱うのに要する手間を減らす。

例 1  利用者は,ヘルプで説明している作業を進める間,そのヘルプウィンドウを開いたままにして

おける。

例 2  利用者は,メニューを本来の場所から切り離して,常時見える場所に移し,そこで利用するこ

とができる(切取り可能メニューと呼ぶ。

。これによって,他のウィンドウへ移る,他のメニ

ューを使うなどしながらでも,そのメニューが見え,利用できる。

例 3  利用者は,あるメニューコマンドと同じ働きをもつボタンをツールバーに追加することができ

る。そうすることで,このメニューコマンドは常時表示される。

8.4 

制御及び操作についての一般的な指針 

8.4.1 

入力・出力の代替手段の切替え 

プラットフォームソフトウェアは,システム又はアプリケーションを再構成又は再起動することなく,

利用可能な中から,利用者が代替となる入力手段・出力手段を切り替えて利用できるようにすることが望

ましい。再構成又は再起動が,状態又はデータの変化をもたらさない場合は,この限りではない。

注記  この働きは,同じシステムで共に作業する,能力が様々に異なる利用者たちにとって助けとな

る。

例 1  目の見えない人は,マウスの動きをキーボードで代用する機能を使いながら,キーボードだけ

を使ってシステムを利用する。同じシステムを利用する目の見える利用者はマウスを利用し,

文字はキーボードで入力する。両者の使用交代時にシステムを起動し直す必要はない。

例 2  ある利用者は,文書を表す画面上のアイコンをマウスでポイントし,

“印刷”と発話することで

その文書を印刷する。別の利用者は,文書をクリックし,制御(Ctrl)キーと“P”キーとを同

時に押してその文書を印刷する。また,別の利用者は,

“ファイル”メニューの“印刷”項目を

用いて文書を印刷する。

例 3  あるアプリケーションは,設定の変更を実現するには再起動しなければならないが,再起動時

にキーボードフォーカスの位置も含めた全てのデータを復旧する。

8.4.2 

作業に要する操作数の最適化 

ソフトウェアは,ある作業に対してそれに要する利用者の手間が最適となるように設計することが望ま

しい。

注記  手間を減らして効率を上げることと,手間を増やしてでもめったに行わない作業に対しては十


22

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

分な説明を与えることの調和をとることが重要である。JIS Z 8530 は,最適な設計を決める上

での助けとなる人間中心設計プロセスについての手引を規定している。

例 1  文書を印刷しようとする利用者は,僅か二手間で行える。ツールバーの“印刷”アイコンを選

ぶと,ダイアログが表示されるので,利用者は単に“OK”ボタンを選べばよい(そうしたけれ

ば,ダイアログを用いて様々な印刷設定を変更してもよい。

例 2  脳性麻ひ(痺)などの利用者の中には,キー操作が遅い人がいるので,メニュー及びダイアロ

グボックスを行き来しなくても,キーを組み合わせて一度押せば文書を保存できるのならば,

そのほうがずっと便利である。

8.4.3 

元に戻す”及び/又は“確認”機能の提供 

ソフトウェアは,利用者が,少なくとも直前の利用者の行為を取り消して元に戻す,及び/又は確認段

階の間にその行為を中止することができる仕組みを提供することが望ましい([44]参照)

注記 1  この推奨事項は,一般的な人間工学原則であるが,

“元に戻す”の仕組みは,意図しない動作

を引き起こしやすい障害のある利用者にとって特に重要である。これらの利用者は,意図せ

ずに行ってしまった動作から復旧するのにかなりの時間と労力とを要することがある。

注記 2  一つのマクロで行っている働き全てをまとめて,一つの利用者の行為とみなす。

注記 3  一般に,元に戻すことができる行為の数は多いほどよい。

注記 4  “元に戻す”操作そのものも,元に戻せるとよい。

注記 5  しかしながら,物理的装置若しくは論理的装置の根本的変形を生じる操作,又はソフトウェ

アの統制領域外にある第三者とのデータ交換に関わる活動に関しては,

“元に戻す”操作が不

可能なこともある。

注記 6  “元に戻す”コマンド一つでは,元に戻すことができない行為に対して,

“確認”手順を用意

するのを既定の設定とする場合もある。

注記 7  ソフトウェアは,特定の行為に対しては“確認”を出さないように利用者に設定させること

がある。 

例 1  パーキンソン病の利用者は,ダイアログを起動するキーをうっかりして何回か押してしまい,

起動した幾つかのダイアログをその後で“元に戻さ”なければならないことがある。数段階前

まで“元に戻す”機能が使えれば,利用者が元々の状態に戻すことができる。

例 2  利用者がハードディスクをフォーマットしようとしている。この操作は“元に戻す”ことが不

可能なので,ソフトウェアはフォーマットを開始する前に,確認のダイアログを表示する。

8.4.4 

支援技術が作動しないときの代わりとなる手段の提供 

支援技術又は音声出力が利用できないソフトウェアの状態(例えば,システムの起動時)のときに,あ

る作業で利用者とのやり取りが必要な場合,ソフトウェアは,利用者に対して,その作業を完了するため

の代わりとなる利用者とのやり取りを必要としない手段を,提供しなければならない。

注記  システムの起動時及び再起動時には,利用者のアクセシビリティ支援及び個人設定が有効とな

る前に,操作が必要となる段階がある。それらの操作は,アクセシブルにするか又はやり取り

を要さないようにするかのいずれかの対処が必要である。

例 1  コンピュータは起動プログラムを備えていて,利用者は,これによってシステム上にある複数

のオペレーティングシステムの中から起動するオペレーティングシステムを選ぶことができる。

その起動プログラムのメニューは,オペレーティングシステムが起動を完了する前に,又は支

援技術が作動し始める前に働くので,そのメニューでは,そのメニュー独自の支援技術を用い


23

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

てシステムの開始時に読み込むオペレーティングシステムを利用者が指定する。

例 2  アクセシブル機能を読み込み終わるまでは,コンピュータは,パスワードその他の利用者入力

を要求しない。

例 3  公共の情報キオスクが自動的に再起動され,アクセシブルな状態に設定される。アクセシブル

機能が作動し始めるまで,ログオンを行わない。

8.4.5 

記録媒体のソフトウェアによる取出し 

ソフトウェアによる媒体の取出しが可能なハードウェアの場合,ソフトウェアは,利用者がソフトウェ

アによって媒体を取り出せるようにしなければならない。

注記 1  ソフトウェアでも取出し可能な媒体には,フロッピーディスク,CD-ROM,DVD などがある。

注記 2  ほとんどの場合,アプリケーションソフトウェアがこの機能を改めて提供しなくても,プラ

ットフォームソフトウェアが用意したものを利用者は利用できる。

例  装置の取出しボタンを押せない又は CD-ROM を手で扱えない利用者でも,画面キーボードを用い

て,オペレーティングシステムにディスクを取り出すよう指示ができ,その結果コンピュータの

次回の起動時に邪魔にならずに済む。

8.4.6 

コピー”及び“貼付け”操作の提供 

ソフトウェアは,文字入力を扱う全てのユーザインタフェース要素に対して,

“コピー”及び“貼付け”

操作を可能とすることが望ましい。

注記 1  “コピー”及び“貼付け”操作を用いると,障害のある利用者が,やっかいで,時間がかか

り,誤りを生じやすい多量のデータの入れ直しをせずに済むようになる。

注記 2  パスワード入力欄及び同様の保護すべき情報を含むオブジェクトからの“コピー”操作では,

実際に入力した文字列ではなく,画面に表示した文字列をコピーすることがある。

例  利用者がパスワード入力欄に文字を入力していくにつれて,それぞれの文字を,“*”で表したも

のが欄に表示される。利用者は,この文字列を選択してクリップボードにコピーできるが,コピ

ーされるものは入力したパスワードではなく,一連の“*”文字である。

注記 3  利用者の作業を手早くするために,“切取り”操作をも備えることがある。

8.4.7 

編集できない文字列に対する“コピー”操作 

ソフトウェアは,文字列を表示するユーザインタフェース要素全てに対して,

“コピー”操作ができるよ

うにすることが望ましい。

注記  編集を許されない文字列をクリップボードへとコピーする働きによって,障害のある利用者が,

その文字列を他の場所へ手で入力する,やっかいで,時間がかかり,誤りを生じやすい操作を

せずに済ますことができる。

例 1  利用者支援チームと電子メールで通信する利用者は,エラーを表示するダイアログから文字列

をコピーして電子メールに貼り付けることで,文字列を再度入力し直さなくても問題の実例を

提出できる。

例 2  あるオペレーティングシステムでは,オペレーティングシステムの文字描画ルーチンで画面上

に描いた文字列を,

“Ctrl”キーと“Alt”キーとを押しながら選択できる。

8.4.8 

ユーザインタフェース要素を選択することによる文字入力の代行 

コマンドの入力,ファイル名の入力のように,限られた選択肢の中から選ぶ形で利用者が入力できる場

合には,ソフトウェアは,利用者が名前全部をキーボードから文字入力しなくても,候補中から選ぶこと

ができる手段を少なくとも一つ用意することが望ましい。


24

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記 1  これによって,全ての利用者にとって認知的負荷が減るとともに,正しくつづ(綴)ること

又はキーボードから文字入力することが,困難か,遅いか又は苦痛である利用者にとって,

文字を入力する作業量が減少する。

例 1  アプリケーションが,利用者に対してファイル名の入力を求めるとき,ファイル名をキーボー

ドから文字入力することも,存在するファイル名の一覧から選択することもできる,ダイアロ

グボックスを提示する。

例 2  コマンドを入力しようとする利用者が,ファイル名の先頭何文字かを入力して,タブキーを押

すとファイル名が補完される。その後,タブキーを押すごとに利用者が入力した文字列に整合

するファイル名が次々と候補として挙げられる。この仕組みは,ファイル名だけでなくコマン

ド名の入力にも利用できる。

注記 2  プラットフォームが備えている標準的なユーザインタフェース要素をソフトウェアが組み込

んで利用しているとき,多くの場合,この機能は,そのソフトウェアが特に何もしなくても

実現される。

8.4.9 

警告又は誤り情報の継続表示 

ソフトウェアは,警告又は誤りの情報を,その誤り若しくは警告の原因が解消しない限り,又は利用者

が消去するまで,表示したままにするか,又は適切な形で繰り返し表示させなければならない(参考文献

[44]

,[49]及び [51] 参照)

例  ファイルを保存していないことを指摘するダイアログボックスは,利用者が“閉じる”ボタンを

押すまで表示され続ける。

8.4.10 

一貫した提示形式での利用者への通知 

警報,警告などの利用者への通知は,利用者が,それらの場所を見つけ,情報の種類(例えば,警報な

のか,

エラーメッセージなのか)

を見極めることができる一貫した手法を用いて提示することが望ましい。

例 1  “ビー”という音に続いて,場所を知らせる通知文が一定の場所に表示されるので,ロービジ

ョンの利用者が,より容易にエラーメッセージを探し,見つけることができる。

例 2  エラーメッセージは,全てダイアログボックス中に現れ,説明的な(エラーではない)メッセ

ージは,全てウィンドウの左下に現れる。エラーメッセージを一貫した位置に置くと,拡大機

能を用いているため画面の一部だけしか見えていない利用者でも,どの種の情報はどこに表示

されるかの予想がつく。

注記  画面の特定の場所に一貫して現れるメッセージは,画面読取り機構で自動的に読み上げさせる

ことができる。

例 3  書式中のある欄が,必須欄なのか読取り専用欄なのかの通知がステータスバーに表示される。

タブキー操作でコントロールを順次たどっていくとき,ステータスバーを監視するようプログ

ラムされた画面読取り機構は,その時々にフォーカスのある欄が,必須欄か読取り専用欄かを

音声で知らせることができる。

8.4.11 

理解可能な形での利用者への通知 

警報,警告などの,ソフトウェアが与える利用者への通知は,短いこと,単純であること,及び明瞭な

言葉で書かれていることが望ましい。

注記 1  利用者への通知を短くといっても,利用者の求めに応じて,更に詳細を与えることを妨げな

い。 

注記 2  JIS Z 8523 は,“ユーザ向け案内”についての詳細な推奨事項を規定している。 


25

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 1  通知は,システム内部で使う符号,略語及び開発者向けの用語を避け,利用者が使う言葉で提

示する。

例 2  短い分かりやすいメッセージ“ネットワークが使えなくなった”を,表示するメッセージボッ

クスが現れた。利用者は,

“OK”ボタンを押してこのメッセージを消去してもよく,

“詳細”ボ

タンを押して,更に詳しいメッセージ“エラー#527:スレッド 0xA725 は,許容時間内にミュ

ーテックス生成に失敗”を調べてもよい。詳細メッセージは,必ずしも利用者にとって理解可

能なものとは限らない。

8.4.12 

誤りの箇所への容易な移行 

利用者が形式に合わないデータを入力したことを,

ソフトウェアが検出したときには,

ソフトウェアは,

生じた誤りが何であるかが分かり,誤りの生じた場所へたどり着けるような形で,そのことを利用者に対

して通知することが望ましい。

注記  ソフトウェアが誤りを検出したときに,キーボードフォーカスが予想できない形で移動し,そ

のまま元に戻らなかった場合,画面読取り機構を利用している利用者は,当惑し,訂正しよう

として誤りの生じた場所を見つけるのが困難となり,時間がかかる。

例  利用者は,どこに,どんな誤りがあるかを知らせるダイアログボックスで,誤りについて通知さ

れる。そのダイアログボックスを消し去ると,キーボードフォーカスは,利用者による訂正に備

えて,誤りのある場所に置かれる。

8.5 

支援技術との両立性 

8.5.1 

一般 

8.5.2

8.5.13 は,利用者が,ソフトウェアにアクセスし利用するのを助けるために,支援技術に必要と

なる情報及びプログラム手段を規定することを,目指している。これらの規定は,支援技術を組込み可能

なシステム又はソフトウェアと連動して支援技術を組み込もうとするシステムにだけ適用する。閉じたシ

ステムには適用しない(7.2 参照)

8.5.2 

ソフトウェアと支援技術との情報交換の実現 

プラットフォームソフトウェアは,8.5.58.5.10 の,要求事項を満たす又は推奨事項に応じることがで

きる形で,支援技術が他のソフトウェアとやり取りすることを可能にするサービス(以下,アクセシビリ

ティサービスという。

)一そろ(揃)いを,提供しなければならない(参考文献[26]及び[41]  参照)

ソフトウェアが動作するプラットフォームがアクセシビリティサービスを提供している場合,ソフトウ

ェアが,それらのサービスを利用できるように,ソフトウェアツールキットを用意しなければならない。

注記 1  これらのアクセシビリティサービスを用いて,支援技術は,アプリケーションのユーザイン

タフェース要素を取り出し,識別し又は操作することができる。アプリケーションは,自分

のユーザインタフェース要素についての情報及びオートメーション機能を,これらのサービ

スを用いて他のソフトウェアに提供できる。 

注記 2  支援技術は,ソフトウェアと同じシステム上で動くことも,別のシステム上で動くこともあ

る。 

例 1  画面読取り機構は,画面上の標準的ではないユーザインタフェース要素についての情報を調べ

るのに,アクセシビリティサービスを用いる。

例 2  画面拡大ソフトウェアは,アプリケーションで生じたキーボードフォーカスの変化の通知を,

アクセシビリティサービスを用いて受け取り,常に,フォーカスをもつユーザインタフェース

要素を拡大して表示する。


26

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 3  音声認識ソフトウェアは,アプリケーションのツールバーにどのようなアプリケーション独自

のユーザインタフェース要素があるかの情報を,アクセシビリティサービスを用いて取り出し,

ツールバーのどの要素を(利用者が)声で指示したのかを,その情報に基づいて決めそれを起

動する。

8.5.3 

標準アクセシビリティサービスの利用 

ユーザインタフェース要素を提供するソフトウェアは,支援技術と協力して動作するのに,プラットフ

ォームが提供するアクセシビリティサービスを用いなければならない。プラットフォームの標準アクセシ

ビリティサービスだけを用いたのでは,8.5.58.5.10 への適合が実現しない場合,ソフトウェアは,サポ

ートを受けることができ,公開資料があり,支援技術によって実装されている他のサービスを利用しなけ

ればならない。

注記 1  多くの場合,プラットフォームソフトウェアが提供する標準のユーザインタフェース要素は,

アクセシビリティサービスを既に利用しているので,ソフトウェアは標準ではないユーザイ

ンタフェース要素を用いるときだけ,アクセシビリティサービス利用の配慮をすればよい。 

注記 2  支援技術は,ソフトウェアと同じシステム上で動くことも,別のシステム上で動くこともあ

る。

例 1  標準ではないユーザインタフェース要素を扱うアプリケーションは,オペレーティングシステ

ムのアクセシビリティサービスを利用して,それらのユーザインタフェース要素の名称,説明,

役割,状態その他についての情報を提供する。

例 2  文書処理アプリケーションは,アクセシビリティサービスを用いて編集中の文書の文章を,支

援技術が取り出せるようにしている。その他にも,キーボードフォーカスカーソルの位置,テ

キストカーソルが置かれた文字,語又は文,そのときの選択箇所の内容などをも知らせること

ができる。

例 3  アプリケーションは,ユーザインタフェースが変化したときに,それに応じて支援技術が画面

状態の管理情報を更新できるように,アクセシビリティサービスを用いて変化したことの通知

を送り出す。

例 4  ある会社が,支援技術を用いてアプリケーション間で通信させる標準的手段を備えていないプ

ラットフォーム上にアプリケーションを開発しようとしている。求める機能をもつツールキッ

トは得られないことが分かったので,会社は,そのプラットフォーム用の支援技術プログラム

の開発業者と契約し,各製品が備えるべき通信の仕組みを共同して,設計,実装及び公開する。

8.5.4 

支援技術へのユーザインタフェース要素情報の提供 

ソフトウェアは,個々のユーザインタフェース要素についての情報を 8.5.3 に規定するとおり,支援技術

に対して提供しなければならない。ただし,ユーザインタフェース要素のうち,より上位の要素の構成上

欠かせない部分としての役割しかもたない要素,入力を取り込まない要素及びそれ自身についての何らの

情報を伝える必要のない要素を除く。

注記 1  ユーザインタフェース要素についての情報には,一例として,状態一般(例えば,存在する,

選択されている,キーボードフォーカスをもっている,占めている位置など)

,属性(例えば,

大きさ,色,役割,名称など)

,値(例えば,固定欄又は編集可能文字欄中の文字列)

,ある

種のユーザインタフェース要素に特有の状態(例えば,

“入・切”

“押された・放された”

及びユーザインタフェース要素間の関係(例えば,あるユーザインタフェース要素が他のユ

ーザインタフェース要素を含む,命名する,説明する,効果を及ぼすなど)がある。


27

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記 2  通常,利用者は,ユーザインタフェース要素についての情報を,ユーザインタフェース要素

を見て,又はそのユーザインタフェース要素とのやり取りを通じて入手する。ある種の障害

のある利用者は,支援技術があって初めてこれら情報が見える又は検出できる。

注記 3  プラットフォームが備えている標準的なユーザインタフェース要素をソフトウェアが組み込

んで利用しているとき,多くの場合,この機能はそのソフトウェアが特に何もしなくても実

現される。

注記 4  名称属性について,及びユーザインタフェース要素とその表示見出しとの関係については,

8.1

を参照。

注記 5  支援技術が画面状態の管理情報を更新できるように,アプリケーションのユーザインタフェ

ースが変化したことを,アクセシビリティサービスを用いて支援技術に対し通知する方法に

ついては,8.5.7 を参照。

例 1  画面読取り機構が語,文及び段落境界付きで文章を取り出すことができるので,失読症の人は,

発声している箇所を強調表示させながら画面上の文章を読み上げさせることができる。

例 2  目の見えない利用者が,今作業している場所を画面読取り機構に問い合わせるキーボードコマ

ンドを入力する。画面読取り機構は,アクセシビリティサービスを用いて,そのときのアプリ

ケーションに対し,キーボードフォーカスのあるユーザインタフェース要素を識別するよう問

い合わせる,そしてさらに,そのユーザインタフェース要素の上位要素,そのまた上位要素と

問合せを,

アプリケーションにたどり着くまで繰り返す。

そして,

“メモ帳アプリケーションの,

状況報告.txt 文書の,検索ダイアログの,検索する方向グループボックスの,下へオプション

ボタン”と合成音声を生成する。

例 3  目の見えない利用者は,画面読取り機構によって画面上の文章を声で読み上げさせることがで

きる。画面読取り機構は声を変えて,読み上げる文章の字体,字体の大きさ又は色が違うこと

を示す。画面読取り機構は,また,文章中の絵の部分に来たときに声でそのことを告げ,その

絵に説明文が付いている場合,それを読み上げる。

例 4  目の見えない利用者は,画面読取り機構に対して,挿入点位置にある単語及び文字並びに現在

選択されている文字列を,声に出すよう求めることができる。

例 5  表形式のデータ又は何列かから成るデータを表示する場合,アプリケーションは,データにつ

いての情報を行又は列の名称も含めて,支援技術に対して提供する。

例 6  利用者が,画面上のキーボードフォーカスを上のほうへ動かすキーボードコマンドを,マクロ

に対して実行する。マクロは,そのときのアプリケーションにキーボードフォーカスをもって

いるユーザインタフェース要素とその位置とを問い合わせ,その上方に,キーボードフォーカ

スをもてるユーザインタフェース要素があるかを,更に調べる。そのような要素があれば,そ

のユーザインタフェース要素にプログラムによってフォーカスを移す。

例 7  音声認識ソフトウェアは,アクセシビリティサービスを用いてアプリケーションのツールバー

及びそのツールバー中のコントロールを識別し,それらのコントロールの名称を,作業用の語

彙一覧中に追加する。利用者が“保存をクリック”と発声すると,音声認識ソフトウェアは,

ツールバーの“保存”ボタンを起動する(そのコントロールが,目にはフロッピーディスクの

絵として見えていても,名称が“保存”であると知ることはできる。

例 8  オペレーティングシステムの提供する標準コントロールを利用するアプリケーションを,開発

者が構築中である。標準コントロールは,既にプラットフォームのアクセシビリティサービス


28

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

への対応ができているので,コントロールに対して名称その他の属性を備えさせれば,開発者

はこの要求事項に従っていることになる。開発者は,出荷前の試験を支援技術に依存する利用

者を含めて行い,それらの利用者にアプリケーションがアクセシブルであることを検証する。

例 9  標準ではないユーザインタフェース要素を扱うアプリケーションは,オペレーティングシステ

ムのアクセシビリティサービスを利用して,それらのユーザインタフェース要素の名称,説明,

役割,状態その他についての情報を提供する。

例 10  ソフトウェアはスクロールバーについての情報を,その種類(“スクロールバー”),名称(“縦”),

値(

“47 %”

,大きさ及び位置を含めて,支援技術に対し提供している。アプリケーションは,

また,

“上へ”

“下へ”

“1 ページ上へ”及び“1 ページ下へ”ボタン並びに位置表示つまみな

どの,スクロールバー中の操作可能な個別の構成部品についての情報を提供する。この情報に

よって,利用者が音声認識プログラムを用いて,これらの構成部品をクリック,ドラッグその

他の操作をすることが可能となる。

例 11  ソフトウェアは,あるコントロールを描くのに用いている個々の線についての情報を,支援技

術に対して提供する手間はかけない。支援技術は,個々の描画要素の位置に頼らなくても,そ

のコントロールの大きさ属性と位置属性とを調べれば,コントロールが占める領域を決定でき

る。

例 12  通知内容が電子的な文章として得られるので,触覚提示した通知の内容を触覚に障害のある利

用者でも,視覚又は聴覚を通じて理解できる。

8.5.5 

支援技術によるキーボードフォーカス及び選択の変更 

ソフトウェアは,ユーザインタフェース要素のキーボードフォーカス属性及び選択属性を支援技術が変

更することを,8.5.3 で規定するように,可能にしなければならない。

注記  プラットフォームが備えている標準的なユーザインタフェース要素をソフトウェアが組み込ん

で利用しているとき,多くの場合,この機能はそのソフトウェアが特に何もしなくても実現さ

れる。

例  音声認識ソフトウェアは,アプリケーションウィンドウ中のユーザインタフェース要素の名称を,

利用者が発声するのを聞き取ろうとしている。対応の取れる名称が聞こえると,音声認識ソフト

ウェアはそのユーザインタフェース要素に,キーボードフォーカスをもたせ,選択されている状

態にする。音声認識ソフトウェアにとっては必ずしも常に,キーボード又はマウスの働きを模擬

して,そのユーザインタフェース要素へとキーボードフォーカスを移す方法が明白であるとは限

らないので,アプリケーション及びオペレーティングシステムは,音声認識ソフトウェアが直接

にユーザインタフェース要素へキーボードフォーカスを移すこと(すなわち,支援技術がキーボ

ードフォーカスを変更すること)を可能にする。

8.5.6 

ユーザインタフェース要素の説明の提供 

ユーザインタフェース要素の役割属性及び名称属性では表現しきれない,視覚的又は聴覚的内容を取り

出すことが作業に必要な場合,ソフトウェアはこのようなユーザインタフェース要素に対して,説明を提

供しなければならない。利用者に,直接説明を提示するしないにかかわらず,説明は利用者にとって分か

りやすい内容とし,支援技術が,8.5.3 に規定するように,標準のプログラムインタフェースを通じてその

説明を入手できなければならない[44]。

注記 1  ユーザインタフェース要素を命名する名称属性とユーザインタフェース要素の機能を明らか

にする役割属性とに比べると,説明はユーザインタフェース要素の目に見える外見を与える


29

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

もので,利用者がそのユーザインタフェース要素とのやり取りを十分に行うには,名称属性

と役割属性とでは足りないときだけ必要となる。

注記 2  飾りのためだけで,何らの情報を含まない視覚的なユーザインタフェース要素には,説明は

必要ない。しかしながら,一見飾りのためだけに見えるユーザインタフェース要素が,例え

ば,区切り,アイコン,標識などの何らかの情報としての機能を,実際にはもつことがある。

その場合,ユーザインタフェース要素には,8.5.4 で規定したように,役割及び/又は名称属

性をもたせる必要がある。 

注記 3  ロービジョンの又は目の見えない利用者が,視覚表示したユーザインタフェース要素が見え

ない利用者に向けた説明文章を読み上げるソフトウェアを用いることがある。 

注記 4  説明は,表示を目で見ている人と,支援技術を用いて受け取る人との間の意思疎通の助けと

もなる。 

例 1  太郎は,花子に鉛筆の絵の上でクリックするように指示する。花子は目が見えないが,画面読

上げソフトウェアが“作文”と見出しの付いたボタンには,説明“鉛筆の絵”が付いているこ

とを知らせるので,花子はそのボタンをクリックするよう画面読上げソフトウェアに指示を出

す。

例 2  ある地図画像は,“ヨーロッパの地図”の見出しをもち,説明として“ヨーロッパ西部の地図,

フランスからドイツにかけての“ぎざぎざ”の線は,先の氷河期に氷河に覆われていた境目を

示す”が付いている。

例 3  図解百科事典の動画(動画オブジェクト)には,文章での説明“下の町を瞬く間に覆い尽くす

火山からの溶岩”が付いている。

例 4  内容の詳細を提示するに先立って,内容の概要“このページには,五つの画像と二つの段落と

がある”を,表示情報に付けた音声による説明として提示する。

8.5.7 

支援技術に対する事象通知の実現 

ソフトウェアは,利用者の行為に関連する事象を,8.5.3 に規定するように,支援技術に対して通知しな

ければならない。

注記 1  利用者の行為に関連する事象の一例としては,ユーザインタフェース要素の状態変化(例え

ば,新しいユーザインタフェース要素の生成,選択箇所の変更,キーボードフォーカスの変

化,位置の変化)

,ユーザインタフェース要素の属性(例えば,大きさ,色,名称)の変化及

びユーザインタフェース要素間の関係(例えば,あるユーザインタフェース要素が,他を,

含む,命名する,説明する及び影響を及ぼす。

)の変化がある。同様に重要なものとして,キ

ーの押し下げ,マウスボタンの押し下げなどの入力事象,及び画面への文章書き出し,音情

報の再生などの出力事象がある。ユーザインタフェースの状態(例えば,2 状態交互切替え

キーの状態)も重要である。 

注記 2  プラットフォームが備えている標準的なユーザインタフェース要素をソフトウェアが組み込

んで利用しているとき,多くの場合,この機能は,そのソフトウェアが特に何もしなくても

実現される。 

例 1  利用者がリストボックス中のある項目を選択すると,そのリストボックスで選択事象が発生し

たことが支援技術に通知される。

例 2  利用者があるアイコンの場所を変えると,そのアイコンの位置が変わったことが支援技術に通

知される。


30

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 3  利用者がある押しボタンにキーボードフォーカスを移すと,フォーカスが変化したことが支援

技術に通知される。

例 4  利用者がボタン又はキーボードフォーカスカーソルの位置を変えると,位置が変わったことが

支援技術に通知される。

例 5  音の再生中には音と話声とが邪魔し合わないように,話声を生成する支援技術に対して通知が

送られる。

例 6  利用者が,キーを押すことで,又はプログラムによって,

“Caps Lock”が“入”になったとき,

画面読取り機構にその通知が送られ,画面読取り機構が,キーボードの状態表示灯の見えない

利用者に対してそのことを知らせる。

8.5.8 

支援技術による利用資源の扱い 

機構的に可能である場合,ソフトウェアは,支援技術が組み込まれているか又は直接に接続されている

システムのもつ共有利用可能な資源を,支援技術が扱えるようにすることが望ましい。

注記  支援技術と共有利用する資源の例としては,CPU 時間,表示面空間,ポインティングデバイス

及びキーボードからの入力,並びにシステム全域で利用できるアクセラレータキーがある。支

援技術との資源の共有利用は,利用者がアプリケーション又はツールと組み合わせて支援技術

を効果的に利用するのを妨げないためには重要である。

例 1  バックグラウンドで動く音声認識ソフトウェアは,フォアグラウンドのアプリケーションが

CPU

時間全てを使おうとはしていないので,利用者の発声に間に合うのに十分な CPU 時間を

割り当てられる(フォアグラウンドソフトウェアが,CPU 時間全てを使おうとしても,支援技

術のほうを優先させる。

例 2  アプリケーションが画面全部を占有するウィンドウを使おうとはしていないので,画面拡大ソ

フトウェアはその拡大ウィンドウを絶えず画面上に見えているように表示できる。アプリケー

ションソフトウェアが,そのウィンドウで他のウィンドウを(連結するツールバーも含めて)

隠そうとした場合でも,支援技術のほうを優先させる。

例 3  作動中のアプリケーションが自分のウィンドウ内でしかポインタが動けないように限定してい

ないので,利用者は,画面キーボードの上へとポインタを移動させることができる。

例 4  画面拡大ソフトウェアと音声認識ソフトウェアとがキーボード入力機能を共用でき,かつ,両

者で同じキーの使い方をしないように利用者が設定しているので,利用者は,同時に両者を利

用できる。

例 5  キーボードマクロを処理するソフトウェアは,キーボード事象発生の通知をプラットフォーム

のある処理層から取り入れて処理している。マクロの依存する処理層を通さず直接キーボード

からの入力を読む下位水準の機能をアプリケーションが使っていないので,そのアプリケーシ

ョン内でマクロは,利用者のキー押しを監視できる。

例 6  いずれのウィンドウも画面いっぱいに広げなくても使えるので,利用者は,あるウィンドウで

教示を見ながら,もう一つのウィンドウでその教示を実行できる。

8.5.9 

システム標準の入力及び出力 

ソフトウェアは,プラットフォームが提供する標準の入力及び出力手段を利用しなければならない。こ

れができないときは,標準の入力及び出力手段で得られるものと同等の情報を,8.5.3 で規定するように,

利用可能としなければならない。

注記  この要求事項がもたらす働きは,自動試験アプリケーション,広く用いられているマクロ機能,


31

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

スクリプト機能などの利用者に代わって働くソフトウェアをい(活)かすのにも役に立つ。

例 1  ソフトウェアは,キーボードフォーカスカーソルを移動するのにシステム機能を用いる。こう

することで,支援技術が,キーボードフォーカスカーソルの現在位置を読み出すことが可能に

なる。

例 2  あるソフトウェアは,システムの図形描画機能をう(迂)回させて,より描画性能を高めてい

る。しかし,そのソフトウェアは利用者がそのように選択すれば,支援技術を用いているかい

ないかの状態を検出し,支援技術を用いているときには,システムの図形描画機能を使って描

画する。

8.5.10 

表の適切な提示 

表の形式で,又は,複数行若しくは複数列の形式で,情報を提示する場合,配置,行及び列の表題並び

に提示するデータ間の表示形態上の関係についての情報が,支援技術に対して,8.5.3 で規定するように,

伝わらなければならない[52]。

例  表形式のデータ,又は何列かから成るデータを表示する場合,アプリケーションは,データにつ

いての情報を,行又は列の名前も含めて,支援技術に対して提供する。

8.5.11 

キーボード及び/又はポインティングデバイス模擬機構の導入 

プラットフォームソフトウェアは,標準の入力装置と並行して作動するキーボード及び/又はポインテ

ィングデバイス模擬機構を導入できなければならない。

注記  代替ポインティングデバイスが,本来のポインティングデバイスと並行して作動することは重

要である。手を動かしにくい利用者は,目標の近くまでマウスを用いてポインタを移動させて

から,代替ポインティングデバイスで微調整をすることがある。複数の利用者が,同じコンピ

ュータを同時に利用する場合もある。

例 1  オペレーティングシステムは,標準のマウスと同時に使用できるボタン主体のマウス模擬機構

を受け入れる。

例 2  オペレーティングシステムは,物理キーボードとともに同時に,又は物理キーボードとは別個

に使用できるマウス操作主体の画面キーボードを受け入れる。

8.5.12 

支援技術による出力の監視 

プラットフォームソフトウェアは,支援技術が標準出力の動きについての通知を受け取り,各出力の動

きに関連するデータとデータの出所とを識別できる仕組みを用意しなければならない。

例 1  オペレーティングシステムは,画面上に文章を描くのにアプリケーションが用いるサービスを

提供する。その際に,オペレーティングシステムは,文章をその内部で画像へと変換してから

ディスプレイドライバに引き渡している。したがって,オペレーティングシステムは描画動作

について画面読取り機構に通知するサービスと,

(その通知を受けた)画面読取り機構が,元々

の文章及び変換後の画像の表示位置を調べるサービスとを提供する。

例 2  メモリ中にビットマップ画像を描き,その画像操作を行い,得られた画像を画面に移すのに,

アプリケーションが利用できるサービスをグラフィックツールキットが提供している。このツ

ールキットは,画面読取り機構に対して描画動作について通知するサービスを提供していて,

画面読取り機構が画像中の目に見える形状,文章,絵などについて知ることができるようにし

ている。

例 3  訓練アプリケーションが重要な空間情報(例えば,遠くか近くか,左方か右方か)を利用者に

対して伝えることができるように,支援技術は,左右の音響チャンネルの出力を別々に監視す


32

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

る。

8.5.13 

支援技術の組合せ利用 

ソフトウェアは,同時に複数の支援技術が作動できるようにすることが望ましい。

注記 1  同時に作動する支援技術間の両立性を確保するためには,それぞれの支援技術間で調整が必

要である。

注記 2  この規定は,複数の支援技術ソフトウェアを直列又は並列に接続する場合,及びソフトウェ

アが,支援技術ハードウェアを含めた様々なデバイスを制御する場合を含めて扱う。

例  あるオペレーティングシステムでは,キーボード入力を取り入れる(加工処理する)もの,素通

りさせるものを含め,利用者が複数の支援技術を組み込むことができる。

8.6 

閉じたシステム 

8.6.1 

閉じたシステム内の情報の取出し 

閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,視覚に対して提示した全ての情報へと利用

者がキーボード又はキーパッドを用いてキーボードフォーカスを移し,その内容を声で聞き取れるように

しなければならない。

8.6.2 

閉じたシステムに生じた変化の通知 

閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,キーボードフォーカスの,状態又は内容の

あらゆる変化を,音又は声で告げるように利用者が指示可能としなければならない。

8.6.3 

触れて見分けられるコントロールによる操作 

閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,視覚によらなくても使える機構を用いて全

ての機能を実行できる利用形態を少なくとも一つ提供しなければならない。

例  タッチスクリーンのソフトウェアは,全ての機能を触れてすぐ分かるキーの付いたキーパッドを

介しても実行できるように設計されている。

注記 1  ソフトウェアがキーボードから操作できるように設計されている場合,そのキーボードが,

操作するには目が見える必要がある(例えば,画面キーボード)のが事前に分かっているの

でない限り,又はソフトウェアが平たんなメンブレーンキーボード専用に設計されているの

でない限り,そのソフトウェアはこの要求事項を満たしている。 

注記 2  “視覚によらなくても使える機構を用いて全ての機能を実行できる利用形態”には音声の利

用もあり得るが,この細分箇条では触覚による機器使用を規定する。

8.6.4 

システムのアクセシビリティ機能の中継 

閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,プラットフォームのアクセシビリティ機能

を中継又は実装しなければならない。

注記 1  “アクセシビリティ機能を実装する”とは,同様のアクセシビリティ機能を,ソフトウェア

自身で提供することを意味する。 

注記 2  プラットフォームソフトウェアのアクセシビリティ機能であっても,プラットフォームのハ

ードウェアに当てはまらないもの(例えば,キーボードを使わないキオスクのキーボード機

能)は,そのプラットフォームのアクセシビリティ機能とはみなさない,したがって,ソフ

トウェアにはこの種の機能を中継又は実装することを求めない。


33

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

入力 

9.1 

代替入力手段 

9.1.1 

全ての標準入力機構からのキーボード入力の提供 

プラットフォームソフトウェアは,プラットフォームが備える標準入力機構のそれぞれに対して,その

機構からキーボード入力を生成する手段を提供することが望ましい。

例 1  マウス入力を扱えるプラットフォームは,マウスで操作する画面キーボードを備えていて,キ

ーボード入力を取り入れるように設計されている全てのアプリケーションは,その画面キーボ

ードを用いても操作できる。

例 2  プラットフォームが,音声認識機構と,それを用いて標準キーボードの任意のキー又はキーの

組合せを入力する機能とを備えている。

9.1.2 

ポインティングデバイスと並行するキーボードによる代替手段の提供 

プラットフォームソフトウェアは,標準のポインティングデバイスに対してキーボードによる代替手段

を備え,キーボード(キーボード模擬機構を含む。

)を用いて,ポインタの動きの制御とポインティングデ

バイスのボタン機能とを可能にしなければならない。キーボードによる代替手段は,本来のポインティン

グデバイスと並行して働くものでなければならない[44],[49]。

注記 1  この機能は広く一般に“マウスキー”と呼ばれる(附属書 参照)。

注記 2  この機能は,手・腕の動き又は協調動作に制約をもつ利用者に,ポインティングデバイスの

働きをより容易に制御することを可能にする。

注記 3  キーボードによる代替手段が,本来のポインティングデバイス(マウス,トラックボール,

タッチスクリーンなど)と並行して働くことが重要である。運動機能の低下した利用者は,

マウスポインタを目標の近辺までポインティングデバイスで移動させ,その後キーボードを

用いてポインタの位置を微調整することがある。 

9.1.3 

ポインティングデバイスによるキーボードの働きの提供 

プラットフォームソフトウェアは,キーボードの働きをラッチ及びロックの制御も含めて,ポインティ

ングデバイスによって代行可能とすることが望ましい。

注記  この機構によって,キーボードが使えずポインティングデバイスしか使えない利用者が,文字

入力ができるようになる。

例 1  キーボードが使えない利用者は,頭の動きで動かすポインティングデバイスを使って,キーボ

ードと等価な操作を実現できる。

例 2  オペレーティングシステムが画面キーボードを備えているので,利用者は,それを用いてポイ

ンティングデバイスだけで実質的にキーボードの全てのキーの押し下げ,ラッチ及びロックを

行うことができる。

9.1.4 

音声認識サービスの提供 

ハードウェアが音声認識の機能を備えている場合,プラットフォームソフトウェアは,その音声認識を

利用するためのサービスを提供するか,又はその上で動くアプリケーションからプログラムでその音声認

識を利用可能とすることが望ましい。

注記 1  この推奨事項は,プラットフォームソフトウェアに音声認識ソフトウェアを必ず備えること

を意味していない,音声認識ソフトウェアの組込みが可能ならばよい。

注記 2  この推奨事項は,視覚,身体及び認知障害のある利用者に密接に関連する。

例  ある仮想マシンで,その仮想マシン上で動くソフトウェアにオペレーティングシステムが提供す


34

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

る音声認識サービスを利用可能としている。

9.1.5 

システム全域で共通利用可能なつづ(綴)り検査ツールの提供 

プラットフォームソフトウェアは,誤りの可能性のあるつづりを指摘し,つづりの候補が特定できれば

提案する形でつづりを扱う,システム全域で利用できる支援を提供することが望ましい。利用者のつづり

に関しての能力を調べることが目的の一部である場合を除き,アプリケーションソフトウェアは,システ

ムのもつ,つづり検査プログラミングサービスを(利用者が)使えるようにするか,又はプラットフォー

ムソフトウェアが提供していなければ,アプリケーションソフトウェア自体がつづり検査機能を提供する

かのいずれかが望ましい。

注記 1  自動的なつづり検査の働きは,必ずしもどの言語でも可能なわけではない。

注記 2  つづりは,失語症などの書記言語障害のある人も含め,多くの利用者にとって問題である。 

例 1  テキストボックスに入力した利用者のつづりを,オペレーティングシステムのつづり検査サー

ビスを利用して検査する。

例 2  つづり検査機能をもたない文章編集プログラムを使う人が,オペレーティングシステムのつづ

り検査サービスを利用する。

9.2 

キーボードフォーカス 

9.2.1 

キーボードフォーカスとテキストカーソルとの提供 

ソフトウェアは,どのユーザインタフェース要素がその時点でキーボードフォーカスをもつかを,目に

見えるように示すキーボードフォーカスカーソルと,文章要素中にフォーカスの位置を示すテキストカー

ソルとを,提供しなければならない。

注記  この情報を支援技術が利用する方法については,8.5 に記載されている。

例 1  スペースバーを押せばチェックマークが付く状態になっている(すなわち,キーボードフォー

カスをもっている。

。チェックボックスの周囲に(キーボードフォーカスカーソルとして)四

角枠を表示するか又は周囲を強調表示する。

例 2  データ入力欄中のキーボードから入力する文字が入るはずの位置に,又は選択箇所を表す強調

表示の部分の端に,テキストカーソル(点滅する縦棒)が現れる。後者のテキストカーソルは,

シフト(Shift)キーを押しながら矢印キーを押すことによって選択部分の前後いずれの端が伸

縮するかを示す。

9.2.2 

視認性の高いキーボードフォーカスカーソル及びテキストカーソル 

ソフトウェアは,対角線長 38 cm(15 インチ)の大きさの画面に 1 024×768 ピクセルの解像度で表示し

ている場合,視覚に障害のない人が,キーボードフォーカスカーソル又はテキストカーソルを動かさなく

ても 2.5 m の距離で見てとることができるキーボードフォーカスカーソル及びテキストカーソルの表示の

仕方を,少なくとも一つ用意しなければならない。

例 1  ソフトウェアは,コントロール又は入力欄がキーボードフォーカスをもつことを,太いはっき

り違う色の枠で囲んで示すこともできるようにしている。

例 2  ソフトウェアは,上下の端に明るい黄色の三角形が付いているテキストカーソルを利用者が選

択できるようにしている。

9.2.3 

キーボードフォーカスを再取得したときの状態の復元 

はじめに作業していたウィンドウから,一旦他のウィンドウへ移動し,再度最初のウィンドウに戻った

とき,ソフトウェアは,キーボードフォーカス,選択部分,及びアクティブか又は非アクティブかの状態

を,最初に作業していたウィンドウの状態に復元することが望ましい。ただし,利用者が状態を復元しな


35

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

いことを明示的に指示する場合を除く。

注記 1  キーボードを用いてウィンドウを切り換えている場合,ウィンドウがフォーカスを再取得し

たときにキーボードフォーカスが復元されないと,以前の位置及び選択に戻るためには,利

用者は何度もキーを押さなければならないので,状態の復元は重要である。

注記 2  キーボードフォーカスをあるウィンドウに戻し,次にキーボードフォーカスを自動的にその

ウィンドウ内のあるユーザインタフェース要素に移すように,又はそのウィンドウ内の文書

の状態を変えるように利用者が指示できることもある。

例 1  他のウィンドウにフォーカスが移る直前にウィンドウ中の 3 番目のボタンにキーボードフォー

カスが置かれていた。フォーカスが元のウィンドウに戻ったとき,キーボードフォーカスは,

そのウィンドウの 3 番目のボタンに戻る。

例 2  表計算アプリケーションのあるセルの内容を編集中に,キーボードフォーカスが別のウィンド

ウへと切り換えられた。利用者が元の表計算アプリケーションのウィンドウに戻ったとき,ア

プリケーションは,編集状態のままで,同じ文章が選択され,テキストカーソルは,そのウィ

ンドウがフォーカスを失う前に選択されていた部分の以前と同じ端に置かれる。

例 3  あるプラットフォーム上では,利用者がキーボードフォーカスをもたないウィンドウ上にポイ

ンタを置き,そのウィンドウ内のあるコントロールをクリックすると,キーボードフォーカス

は,そのウィンドウに移り,さらに,利用者がクリックしたコントロールへと移る。

9.3 

キーボード入力 

9.3.1 

一般 

この細分箇条の各規定中で,キーボード入力と呼ぶものにはソフトウェア及びハードウェアによる種々

のキーボード代替装置からもたらされる入力を含む。

ここでは,キーボードとは物理的キーボードではなく論理的な装置を指すと解釈するのがよい。

9.3.2 

キーボードからの全ての利用 

ソフトウェアは,キーボード(又はキーボード模擬機構)入力操作の時間的側面(例えば,あるキーを

押し下げている時間長)を入力情報として用いずに,全ての作業をキーボード(又はキーボード模擬機構)

を用いて実行する選択の自由を利用者に対し与えなければならない。ただし,行おうとする作業が入力操

作の時間的側面を入力情報として必要とする場合を除く。

注記 1  この要求事項を満たすことは,いろいろな障害のある多数の人の利益になるだけでなく,障

害のない人にとっての使用性も向上させる。

注記 2  入力操作の時間的側面を入力情報として必要としない作業には,文章又はその他の文書構成

要素の編集作業,全てのコントロールへのナビゲーション及びそれらの操作並びにキーボー

ドフォーカスを何らかのユーザインタフェース要素に渡したままにしないことを含む。

注記 3  プラットフォームが提供する画面キーボード,音声認識入力及び手書き文字入力は,それら

からの出力が,アプリケーションにとってはキーを押すことによる入力のように見えるので,

全てキーボード模擬機構の例である。

例 1  ポインタを置いている時間の長さに応じてポインタの指す領域の塗りの色の濃さが増す水彩画

描画アプリケーションは,作業のために入力操作の時間的側面を情報として必要とするので,

この規定の対象外である。

例 2  利用者は,キーボード入力を生成する音声コマンドを使って,幾つかのソフトウェアが表示す

るウィンドウ間でキーボードフォーカスを切り換える。


36

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記 4  “マウスキー”機能は,キーボード模擬機構ではなくマウス模擬機構(アプリケーションに

とっては,マウスのように見える。

)に該当するので,

“マウスキー”機能を用いてもこの要

求事項は満たさない。 

注記 5  キーボードから操作できる必要があるのは,入力の働きをもつもの全てであって,ユーザイ

ンタフェース要素全てではない。ある作業を行うのに複数のやり方があるときには,キーボ

ードで全て操作可能なのは,そのうちの一つだけでよい。しかしながら,もし,どのやり方

もキーボードだけで操作できるのであれば,それに越したことはない。

注記 6  キーボードだけで操作できることを求めているからといって,キーボードに加えて他の入力

方法(例えば,マウス)によっても操作できることを禁じたり,控えさせたりするものでは

ない。

注記 7  アプリケーションに組み込まれているアクセシビリティ機能も,この要求事項の対象に含む。

例 3  聴覚障害のある人が,マウスの使いにくい身体障害を併せもつ場合があるので,難聴の人向け

の機能はキーボードだけでも全て操作可能である。

注記 8  この要求事項は,コントロールグループ内部のナビゲーションだけでなく,グループ間のナ

ビゲーションもキーボードだけで行えることを求めている(9.3.17 参照)

 

例 4  利用者は,リスト(これは,コントロールグループである。)間をタブ(Tab)キーで,リスト

内(コントロールグループ内)を矢印キーで移行する。

例 5  ポインティングデバイスを介して扱える全てのユーザインタフェース要素又はそれと等価な機

能は,キーボードを介しても扱うことができる。利用者は,メニューの選択,ボタンの起動,

項目の選択などのポインタを用いて行う作業を,キーボードからの入力で行う。

例 6  コンピュータ援用設計(CAD)プログラムは,通常マウスで利用する。しかし,点を x,y 及

び z の座標値で指定する機能,並びに描く部品を,部品及び下部構成部品の階層リスト中から,

画面に表示した要素間を矢印キーで行き来しながら選ぶ機能を備えている。利用者が,キーボ

ードを用いて移行するときには,キーボードフォーカスの位置が分かりやすく表示される。

例 7  携帯情報機器(PDA)のアプリケーションは,一般的にスタイラスペンを用いて操作するが,

接続したキーボードからでも全ての機能を操作できる。

例 8  物体の放物線運動を扱う物理教育用シミュレータは,投げる角度及び速度を指定するのにマウ

スを用いる。これは大変直感的な方法だが,マウスを使えない利用者には不便である。代わり

の方法として,角度及び速度の数値を文字入力欄に入力する方式が考えられる。

9.3.3 

複数キー同時押しの逐次操作 

幾つかのキーの組合せ及びキーとマウスボタンとの組合せを,利用者が同時に押すのではなく,一つず

つ逐次に押して入力できるように,ソフトウェアは,修飾キー[オペレーティングシステムによって異な

るが,例えば,シフト(Shift)キー,制御(Ctrl)キー,コマンド(Command)キー,Alt キー又は Option

キー]を,利用者がロック又はラッチできるようにしなければならない[44],[46],[49]。

注記 1  この機能は一般に“固定キー”と呼ばれる(附属書 参照)。

注記 2  ほとんどのオペレーティングシステムは,標準的な修飾キーに対してこの機能を備えている。

他のソフトウェアは,通常,標準的な修飾キー以外のキーを修飾キーとして扱おうとする場

合にだけ,この機能を自身で実装する必要が生じる。 

注記 3  これによって,キーの組合せによるコマンド[例えば,制御(Ctrl)キー及び C キー,並び

に制御(Ctrl)

,Alt キー及び抹消(Delete)キー]を,一つずつキーを押すことで入力する手


37

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

段が,身体的機能障害のある利用者に提供される。

例  ある描画プログラムでは,利用者が抹消(Delete)キーを押し下げておくことで,マウスのクリ

ックの本来の働きを変更できる。抹消(Delete)キーはオペレーティングシステムでは修飾キー

としては扱われないので,描画プログラムは,抹消(Delete)キーのラッチ及びロック機能を実

現するか又は同時押下げを必要としない代わりの方法を提供する。

9.3.4 

キーの押下げ受け付けまでの時間長の調節 

ソフトウェアは,キーを押したと認められるまでキーを押し続ける時間を 2 秒を含む範囲内で利用者が

調節できるようにしなければならない[44],[46],[49]。

注記 1  この機能は広く一般に“スローキー”と呼ばれる(附属書 参照)。

注記 2  もし,ソフトウェアが,プラットフォームの用意する標準的キーボード入力サービスを利用

し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能は,その

ソフトウェアが特に何もしなくてもプラットフォームによって提供される。

注記 3  キー押下げ受け付けまでの時間長の一般的範囲は,0.5∼5 秒である。

注記 4  この機能は,身体的な協調動作に制限がある利用者及び押そうとするキーをうまく押せない

利用者に,押そうとするつもりもなく押してしまう時間よりも長くキーを押し下げ続けさせ

ることで,利用者が入力しようと意図したキー入力を可能にする。キー押しとしての受け付

けを遅くすることで,キーに思わず触れたために生じる短いキー押しを無視できるようにな

る。

注記 5  “バウンスキー”機能(9.3.5)は,“スローキー”機能が働いているときには無効となる。

9.3.5 

同一キーの 度押下げ防止時間長の調節 

ソフトウェアは,ある時間内に同じキーが続けて押されたら,後続のキー押しを無視する時間長を,0.5

秒を含む範囲内で,利用者が調節できるようにしなければならない[46],[49]。

注記 1  この機能は広く一般に“バウンスキー”と呼ばれる(附属書 参照)。 

注記 2  もし,ソフトウェアが,プラットフォームの用意する標準的キーボード入力サービスを利用

し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能は,その

ソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。 

注記 3  この機能は,不随意運動によって同じキーを 2 度以上たた(叩)いてしまうような手の震え

その他の運動障害のある利用者が,意図しないキー押しをシステムに受け付けさせないよう

にすることを可能にする。

注記 4  “バウンスキー”機能は,“スローキー”機能(9.3.4)が働いているときには無効となる。

注記 5  2 度押し防止のための時間長の代表的範囲は,0.2∼1 秒である。 

9.3.6 

キー反復の速さの調節 

ソフトウェアは,キー反復の速さを 2 秒間に 1 回を下限として,利用者が調節できるようにすることが

望ましい。

注記 1  この機能によって,普通の速さで反応しにくい利用者が,ある時間キーを押し下げている間

に繰り返し入力される文字数をうまく制御できるようになる。

注記 2  もし,ソフトウェアが,プラットフォームの用意する標準的キーボード入力サービスを利用

し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能は,その

ソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。


38

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

9.3.7 

キー反復開始までの時間長の調節 

ソフトウェアは,キーを押したと受け付けたときからキー反復が始まるまでの時間長を,2 秒を含む範

囲内で利用者が調節できるようにすることが望ましい。

注記 1  この機能によって,普通の速さで反応しにくい利用者が,キー反復が始まるくらいにまで意

図に反して長くキーを押し下げて不要な文字を繰り返し入力してしまうのを防ぐことができ

るようになる。

注記 2  もし,ソフトウェアが,プラットフォームの用意する標準的キーボード入力サービスを利用

し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能は,その

ソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

9.3.8 

キー反復有効又は無効の利用者による設定 

キー反復機能を備えているソフトウェアは,利用者がその機能を無効にすることを可能としなければな

らない。

注記 1  この機能によって,普通の速さで反応しにくい利用者が,キーを押し下げている間に意図し

ない文字の繰返しを入力してしまうのを防ぐことができる。

注記 2  もし,ソフトウェアが,プラットフォームの用意する標準的キーボード入力サービスを利用

し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この設定機能は,その

ソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

9.3.9 2

状態交互切替えキーの状態通知 

ソフトウェアは,二つの状態を交互にとる,又は三つ以上の状態を巡回してとるキーの状態変化につい

ての情報を,利用者に対して視覚及び聴覚の両形式で提供することが望ましい(参考文献[44]参照)

注記 1  この機能は広く一般に“切替えキー”と呼ばれる(附属書 参照)。

注記 2  この機能によって,キーボードの状態を示す表示灯が見えない利用者が,“Caps Lock”,“Num

Lock”

などの 2 状態交互切替えキーの状態を知ることができる。

注記 3  主要なオペレーティングシステムが用意しているこの機能を,アプリケーションで重ねて実

現する必要はない。ある特定のプラットフォーム用に開発するアプリケーションでは,その

アプリケーションが利用し,プラットフォームが提供する“切替えキー”機能では処理され

ない 2 状態交互切替え(又は 3 状態以上の巡回切替え)キーについてのフィードバックを与

える必要がある。 

注記 4 8.5.7 は,ソフトウェアが支援技術に対してこれらの状態変化について通知することを求めて

いる。 

例 1  ロック状態となったことを高いピーという音(又は中音−高音の順の 2 音)で,ロックを解除

された状態となったことを低いブーという音(又は中音−低音の順の 2 音)で示す。

例 2  ノートブックコンピュータのファームウェアは,利用者が Fn キーと F4 キーとを押して,三つ

の表示先[コンピュータの液晶表示装置(LCD)

,外部接続の投影機器(CRT)及び両装置(LCD

+CRT)

]を順次切り替えるとき,表示先に対応する 3 種類の音を発生する。

例 3  あるアプリケーションは,入力した文字をテキストカーソルの位置に挿入するか,入力した文

字で上書きするかの切替えを,

“Insert”キーを用いて行っている。この切替え状態はそのアプ

リケーション固有のものであり,オペレーティングシステムの“切替えキー”機能では処理さ

れないので,そのアプリケーションが,ステータスバー中の状態表示を切り替え,さらに,そ

う設定している場合,挿入が“入り”か“切り”か,を示す音を発生する。


39

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

9.3.10 

アクセラレータキーの提供 

ソフトウェアは,多用する機能に対してアクセラレータキーを提供することが望ましい(参考文献[44]

及び [49]参照)

注記 1  多くの場合,全ての機能に対してアクセラレータキーを割り当てる必要は必ずしもないし,

また,実現しにくい。どの機能に対してアクセラレータキーを割り当てるかの選定は,それ

らの機能の利用頻度と有用さとに基づくことが多い。

注記 2  アクセラレータキーは,キーボード入力が遅い利用者,やり取りをキーボードだけで行う利

用者,及び音声認識システムなどのキーボード模擬機構を用いる利用者にとって特に重要で

ある。アクセラレータキーがなければ必要となる時間のかかる起動の手間が省けるので,障

害のある利用者のためになる。

注記 3  どのキーをアクセラレータキーとして利用できるかは,プラットフォームでの慣例及びユー

ザインタフェースに用いる言語にある程度依存する。

例  利用者は,コピーするのに制御(Ctrl)キーと C キーとを,貼り付けるのに制御(Ctrl)キーと V

キーとを,印刷するのに制御(Ctrl)キーと P キーとを押すこともできる。

9.3.11 

指示子(明示的又は暗示的)の提供 

ソフトウェアは,入力を取り入れ,かつ,文字見出しを表示する全てのユーザインタフェース要素に対

して,既定として表示する明示的指示子又は暗示的指示子を,キーボードから入力可能な文字の範囲及び

プラットフォームの慣例の範囲で提供することが望ましい。明示的指示子及び暗示的指示子は,コンテク

スト内で互いに重複しないことが望ましい。重複が避けられない場合には,利用者が意図しない操作を実

行してしまわないように,重複する指示子の中から選択指定できるようにすることが望ましい。

注記 1  この規定は,明示的及び/又は暗示的指示子を無効にする選択の自由を排除するものではな

い。 

注記 2  明示的及び暗示的指示子は,表示可能で,かつ,キーボード入力可能な文字の範囲に限定さ

れる。したがって,見出し付きのユーザインタフェース要素が多数ある場合には,全てに対

して指示子を用意することは不可能な場合がある。その場合,最も多用するユーザインタフ

ェース要素に限って指示子を提供する必要が生じる。 

注記 3  一つの書式中に極めて多数のコントロールをもたせるのは,しばしば使用性の低下につなが

るばかりでなく,重複しない指示子を用意できなくなる。 

例 1  図 に示すメニュー中で,暗示的指示子は,“T”,“S”,“E”,“W”,“g”,“m”,“L”,“D”である。

図 4−メニュー中の暗示的指示子の例


40

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 2  図 に示す押しボタンで,暗示的指示子は,“D”  及び “P”である。

図 5−押しボタンに使われる暗示的指示子の例 

例 3  印刷を始めるためのウィンドウ上に,名称が“Print”と表示されるコントロールがある。“P”が

Print

コマンドの暗示的指示子である。

注記 4  指示子についてのこれ以上の手引として JIS Z 8524 の 7.を参照。

注記 5  日本語を用いるシステムでは,選択肢表示に用いる文字(仮名,平仮名及び漢字)と,キー

ボードから入力できる文字とが直接に対応しないため,ラテン文字の場合のように選択肢表

示の中の一文字に下線を付けて暗黙に指示子として利用しにくいので,暗示的指示子は実現

が困難である。

なお,

“ファイル(F)”

“編集(E)”の,F, E などは,括弧で離して表示された明示的指示子

である。

9.3.12 

アクセシビリティ機能用のアクセラレータキーの確保 

表 左列のアクセラレータキーを,右列に示す目的に割り当てるように確保しなければならない。

表 1−予約済みアクセラレータキーの割当て

アクセラレータキー

目的

a)

シフト(Shift)キーを続けて 5 回押す

“固定キー”機能の入・切

右のシフト(Shift)キーを 8 秒間押し続ける

“スローキー”機能及び“バウンスキー”機能の入・切

a)

附属書 参照

他のアクセシビリティ機能に当てるため,プラットフォームソフトウェアは,更にその他のアクセラレ

ータキーを確保してもよい。

9.3.13 

キーボード機能の再割当ての実現 

プラットフォームソフトウェアは,ハードウェアの制約がない限り,全てのキーとそのキーの働きとの

対応付けを利用者が変更可能とすることが望ましい。その種のシステムで動くソフトウェアは,プラット

フォームのキーボード機能の割当て変更に対応することが望ましい。

注記 1  キーボード機能の割当て変更はアプリケーション内である機能を別のキーに割当て変更する

こと(9.3.12 参照)と同じではない。キーボード機能の割当て変更は,キーボード上の物理

的なキーに対してどの論理的なキーが対応するかをシステム全体として変更する。

注記 2  もし,ソフトウェアが,プラットフォームの用意する標準的キーボード入力サービスを利用

し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この再割当て機能は,

そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

例 1  左腕だけの利用者は,出現頻度の高い文字がキーボードの左半分に来るようにキー配置を切り

替える。

例 2  オペレーティングシステムの水準が提供するキーボード機能の割当て変更を適切にい(活)か

すためには,アプリケーションは物理的キーに結び付いた“走査符号”を直接用いずに,物理

キーから論理キーへの変換を済ませた“仮想キー”

を読み出すプラットフォームの機能を使う。


41

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

9.3.14 

キーボードのナビゲーション機能と起動機能との分離 

ソフトウェアは,利用者に対して,情報の提示への効果だけをもたらすように,キーボードフォーカス

を動かす手段を提供しなければならない。情報の提示以外の効果をもたらすことをはっきりと示す,キー

押しなどの利用者の操作を提供しなければならない。

注記 1  この規定は,情報の提示以外の何らかの影響(例えば,選択箇所の変更)をもたらすフォー

カス移動の方法を併せて備えることを排除するものではない。

注記 2  画面全体を見渡せないままユーザインタフェース要素全部にわたってフォーカスを切り替え

ながらユーザインタフェースを調べていかなければならない利用者にとって,両機能が分離

していないと,そのようなナビゲーションがもたらす起動機能に気が付かないことも起こる

ので,この要求事項は,特に大事である。

注記 3  データを入力又は変更しない限り,利用者がデータ入力欄から出られないようでは,キーボ

ードフォーカスをその種のデータ入力欄へ移動させることで何らかの影響(データの入力を

必ず求められる状態に入る。

)を生じるため,ソフトウェアはこの規定を満たしているとはい

えない。8.1 を参照。

例 1  ボタンからチェックボックスグループへとフォーカスを移すのに,利用者はタブ(Tab)キーを

押す。グループ中の先頭のチェックボックスにキーボードフォーカスが移ってもチェックボッ

クスは“入”にはならず,

“入”状態にするには,例えば,スペースバーを押すなどの別の手順

を必要とする。

例 2  リスト中から選択するのにマウスを用いる他に,利用者はリスト中を矢印キーで移動し,スペ

ースバーを押して選択できる。複数項目を選択できるリストの場合,コントロールキーを押し

ながら矢印キーでリスト中を移動し,選択したい項目ごとにスペースバーを押す。

9.3.15 

プラットフォームでのキーボード利用慣例の重視 

ソフトウェアは,そのソフトウェアが動くプラットフォームで決まっている慣例に従って,キーボード

からの入力を取り入れることが望ましい。

注記 1  これによって,新たに使うアプリケーションの使用性が向上する。また,キーボードしか使

えない利用者又は認知障害のある利用者にとって,慣例に従ったキーボードの使い方は特に

重要である。 

注記 2  プラットフォームの慣例には,通常,暗示的指示子,修飾キー及びアクセラレータキーの割

当てを含む。 

注記 3  プラットフォームの慣例によるものに加えて,キーボードのショートカットなどを,更に追

加することをこの規定は排除しない。

注記 4  キーボード慣例は,オペレーティングシステムによって決まるものも,また GUI 層によって

決まるものもある。

例 1  アプリケーションは,システムの慣例に従って,“Alt”キーが押されると,暗示的指示子を使

うとみなし,そのキーを放したときに主メニューを呼び出す。

例 2  アプリケーションは,オペレーティングシステムが  “マウスキー”機能を“入”にするために

使うキーの組合せに,違う機能を割り当てることはしない。

例 3  アプリケーションは,そのアプリケーション独自のダイアログボックス及びメッセージボック

スを打ち切るのに,オペレーティングシステムで確立した慣例に従って“Esc”キーを用いる。

9.3.16 

リスト及びメニューにおけるナビゲーションの促進 


42

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

ソフトウェアは,

メニュー及びリスト内でのキーボードを用いるナビゲーションを容易にする仕組みを,

提供することが望ましい。

注記 1  メニュー及びリスト中を選択していて,メニュー及びリストの終端に達したのち,さらに,

進もうとしたとき,その一方の終端を越えて他方の終端にまわったことを,聴覚及び視覚で

示すのは一つの方法である。他に,

“Home”及び“End”キーを使って,いずれかの端へ移

動する方法もある。しばしば両者が併用される。 

注記 2  メニュー及びリストの探し方が巡回的(一方の端を越えて,さらに,進むと,他方の端に移

る。

)である場合,巡回的であることを音で注意喚起する。

例 1  利用者は,“Home”キーでリストの先頭の項目に,“End”キーで最後の項目に,“Page Up”又は

“PgUp”及び“Page Down”又は“PgDn”キーでそれぞれ前方向及び後方向にリストの見えている

分だけ,移動する。

例 2  利用者が何文字かを入力すると,入力した文字列と一致する先頭部分をもつ項目に移動する。

9.3.17 

コントロールをグループ化することでのナビゲーションの促進 

操作対象のコントロールが多数である場合,コントロールをグループ化して,ナビゲーションを容易に

することが望ましい。

9.3.18 

作業目的に沿った順序でのコントロールの配置 

利用者が,コントロールのナビゲーションをキーボードを用いて行うときに,利用者の作業の順序に沿

って進んでいけるようにコントロールを配置することが望ましい(参考文献[46]参照)

注記  視覚に障害のある利用者にとっては,キーボードによるナビゲーションが生じる順序とまとま

りとが,コントロールを使う上で手掛かりにする唯一の秩序となる場合がある。

例  利用者がタブキーを押すと,キーボードフォーカスカーソルがラジオボタンの仕事上関連するま

とまりへと移り,さらに,タブキーを押すごとに次々と作業上又は概念上適切な順序に並んだま

とまりへと移る。ラジオボタンのそれぞれのまとまりの中では,利用者は矢印キーを押して各ラ

ジオボタン間を移動して行く。

9.3.19 

利用者自身によるアクセラレータキー設定の個人化 

ソフトウェアは,アクセラレータキーとその働きとの対応付けを,利用者が自分に合わせて設定可能と

することが望ましい。

例 1  あるアプリケーションでは,利用者が幾つかの働きを実行するマクロを作り,それに対してア

クセラレータキーを割り当てることが可能である。

例 2  ある利用者は,制御(Ctrl)キーと O キーとを押すつもりで制御(Ctrl)キーと P キーとを押し

てしまうことが多いので,制御(Ctrl)キーと P キーとの組合せが,印刷機能へのアクセラレ

ータキーとして働かないように設定する。

9.4 

ポインティングデバイス 

9.4.1 

一般 

ここでは,ポインティングデバイスという用語は,物理的入力装置及び論理的位置決め装置のいずれを

も指し,マウス,トラックボール,タッチスクリーン,タッチパッド,顔の向き追跡装置,呼気装置その

他の,システムがポインティングデバイスとして扱うハードウェア・ソフトウェアの組合せを指すのに用

いる。タッチスクリーン,タッチパッドなどのある種の装置は,指先でたたくこと又は指先の動かし方を,

物理的なボタンの代わりに用いていて,ここでは,これらをポインティングデバイスのボタンから生じる

事象と等価なものとみなして扱う。


43

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記  ISO 9241-410 は,物理入力装置,中でも,マウス,トラックボール,タッチスクリーン及びタ

ッチパッドの設計における人間工学上の要因を扱っている[57]。

9.4.2 

外付け装置からの直接のポインタ位置制御 

プラットフォームソフトウェアは,ソフトウェア(ポインティングデバイスのドライバを含む。

)に対し

て,ポインタの位置決めを直接に可能にするサービスを提供しなければならない。さらに,ポインティン

グデバイスのドライバは全てポインタを直接的に位置決めできるものでなければならない。

例  視線検出によってマウスの代わりをする装置を USB に接続した場合においても,標準のマウスド

ライバを用いて,マウスポインタを画面上に位置付けることができる。

9.4.3 

ポインティングデバイスで選択しやすいポインティング目標の提供 

ポインティングデバイスで選択する目標の大きさは,選択しやすさ,まとまりのもたせやすさ,及び隣

り合うユーザインタフェース要素との隔たりの点で,最適であることが望ましい。

注記  この規定は,全ての人にとってポインティングデバイスを使いやすくする。また,障害のある

利用者が,マウス又は頭で操作するポインティングデバイスを使って,効果的にユーザインタ

フェース要素を選択できるようにするという点でこの規定は特に重要である。

9.4.4 

ポインティングデバイスボタンの機能割当ての変更 

プラットフォームソフトウェアは,ポインティングデバイスの各ボタンの機能を,利用者が割り当て直

すことを可能にしなければならない(参考文献[44]参照)

注記  アプリケーションそれぞれで,機能の割当てを行うのではなく,オペレーティングシステムの

全域的設定を重視するのがアプリケーションとしては望ましい。

例 1  右腕に部分的に麻ひ(痺)のある利用者が,左手で使うようにマウスボタンの機能割当てを変

更しようとする。左からボタン 1,2,3 として扱う代わりに,左からボタン 3,2,1 と扱うよ

うに変更する。

例 2  四つのボタンが付いているトラックボールを使う利用者が,各機能にどのボタンを割り当てる

かを指の届きやすさに基づいて選ぶ。

9.4.5 

ポインティングデバイスの複雑な操作に対する代替入力方法の提供 

ソフトウェアは,複数回のクリック(すなわち,ダブルクリック又はトリプルクリック)

,同時操作(例

えば,マウスのボタンを押しながら,マウスを移動させる。

,又は空間的な若しくは時間的なしぐさ(例

えば,

運筆動作又は指定した時間ボタンを押し続ける。

によって行う利用者の活動を,

複数回のクリック,

同時操作又はしぐさを必要としない代わりとなる方法で,ポインティングデバイスによって行えるように

することが望ましい。

注記  標準的なポインティングデバイスが備えているボタンの数は限られているので,複数回クリッ

クとしての,又は“ボタン押し続け”ボタンとしての働きをもたせることのできるボタンには,

限りがある。したがって,通常は複数回クリック又はマウスボタン同時操作を行うための他の

方法が必要となる。

例 1  ダブルクリックで実行する働きを,右クリックメニューを使って実行できる。

例 2  ポップアップが閉じないようにポインティングデバイスのボタンを押し下げたままにする代わ

りに,利用者は,クリックしてポップアップを開き,もう一度クリックして閉じるようにする

ことができる。

例 3  認知障害のある利用者は,複数回クリック操作で実行する働きを,代わりに 1 回のクリックで

行うことができる。


44

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

9.4.6 

ポインティングデバイスボタンの押下げ固定 

ソフトウェアは,ポインティングデバイスのボタンを,クリックとして受け付けられる時間まで押し続

けなくても,利用者がユーザインタフェース要素を直接操作する,コントロールを起動する,又はメニュ

ーを開いたままにすることができる手段を提供しなければならない。

注記 1  多くのシステムでは,ポインティングデバイスのドライバソフトウェアが,この機能を組み

込んでもよい。

注記 2  標準のポインティングデバイスと並行して,完全な“マウスキー”機能(9.1.2 及び附属書 E

参照)が組み込まれている場合,キーボードを用いて,ポインティングデバイスのボタンを

押し下げた状態にすることができるので,ボタンを押し下げたままにするという働きは与え

られる。プラットフォームがこの働きを提供し,かつ,他のソフトウェアがこの働きを無効

にしていなければ,この規定は,満たされる。

例 1  利用者は,メニューを見るのに,マウスボタンを押したままにする代わりに,ボタンを押して

放す方法を選ぶことができる。

例 2  利用者は,マウスボタンを“クリックしたまま”状態にして,ずっとボタンを押し続けている

かのように扱うことができる。そうすれば,文章中のある範囲を選択するのに,マウスボタン

をずっと押し下げ続けずに済む。

例 3  “マウスキー”機能を使って(これを使うと数字パッド上のキーを押してマウスボタンを押し

下げた状態に固定することができる。

)利用者は,マウスボタンを押したままにしなくても,ユ

ーザインタフェース要素をドラッグすることができる。

例 4  あるアプリケーションは,グラフィックタブレットのペンを用いる利用者のあるしぐさで,画

面上の数字を消去できる。このアプリケーションは,ペン上のボタンの入・切を交互に切り替

える働きを用意しているので,利用者は消去のしぐさとしてペンを動かすときに,ボタンを押

し下げたままにする必要はない。

9.4.7 

ポインティングデバイスボタンの押下げ受け付けまでの時間長の調節 

ソフトウェアは,押し下げたと受け付けられるまでポインティングデバイスのボタンを押し下げ続ける

時間の長さを,1 秒を含む範囲内で利用者が調節できるようにすることが望ましい。

注記 1  ポインティングデバイスのボタンが押されたと受け付けられるまでの時間長の典型的な調節

範囲は,0.1∼1.0 秒である。

注記 2  もし,ソフトウェアがプラットフォームの用意する標準のポインティングデバイス入力サー

ビスを利用し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機

能は,そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

例  手に震えをもつ利用者は,マウスを動かすときの震えによる不用意なボタン押しを,意図して押

したと受け取られないように,この時間長を十分長くとる。

9.4.8 

ドラッグしたとみなす最小の移動距離の調節 

ソフトウェアは,ポインティングデバイスのボタンを押しながらポインタを移動させたとき,どれだけ

移動させたらドラッグ操作とみなすかの最小距離を,利用者が調節できるようにすることが望ましい。

注記  もし,ソフトウェアがプラットフォームの用意する標準的ポインティングデバイス入力サービ

スを利用し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能は,

そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

例  この距離をある程度長く設定すれば,手に震えをもつ利用者が,ドラッグしたとみなされて項目


45

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

の位置をずらしてしまうことなくマウスで項目を選択できる。

9.4.9 

複数回クリック時の諸特性の調節 

ソフトウェアは,ダブルクリック,又はトリプルクリック操作として受け付けられるための,クリック

間最大時間間隔及びクリック間でのポインタの最大許容移動量を,利用者が調節できるようにしなければ

ならない(参考文献[44]参照)

注記  もし,ソフトウェアがプラットフォームの用意する標準的ポインティングデバイス入力サービ

スを利用し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能は,

そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

例 1  動作の遅い利用者は,文書ファイルを開くためのダブルクリック操作で,クリック間に 1 秒以

上かかることがある。うまくダブルクリックとして受け付けられるように,ダブルクリック操

作とみなすためのクリック間時間間隔を調節する。

例 2  手に震えをもつ利用者は,ダブルクリックの最初のクリックと次のクリックの間で不用意にマ

ウスを動かしてしまうことがしばしばある。2 度のクリックの間に許されるマウスの移動量を

調節して,クリック間で不用意にマウスを動かすことがあっても,ダブルクリックとして受け

付けられるようにすることができる。

9.4.10 

ポインタの移動速さの調節 

ソフトウェアは,ポインティングデバイスの動きに応じてポインタが動く速さ又は比を,利用者が調節

できるようにしなければならない(参考文献[44]参照)

注記  もし,ソフトウェアがプラットフォームの用意する標準的なポインティングデバイス入力サー

ビスを利用し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機能

は,そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

例  利用者が,ポインタの動きの速さを,速さそのもので又はポインティングデバイスの動きとポイ

ンタの動きとの比で設定して,ポインタの動き 1 に対する,ポインティングデバイスの動きがそ

れまで 1 だったものを,3 になるように変更できる。

9.4.11 

ポインタの加速の仕方の調節 

ソフトウェアがポインティングデバイスの動きを加速してポインタの動きとしている場合,ソフトウェ

アは,全く加速しないことも含めて,ポインタの動きの加速の大きさを調節できるようにしなければなら

ない。

注記  加速なしの設定の場合には,ポインティングデバイスの動きに基づいて支援技術が算出したポ

インタの動きと利用者の予測とが常に一致する。

9.4.12 

ポインタの移動方向の変更 

ソフトウェアは,ポインティングデバイスの動きに応じてポインタが動く方向を,利用者が調節できる

ようにすることが望ましい。

注記 1  ポインタの動く方向の調節の仕方としては,少なくとも,ポインティングデバイスの動く方

向に対して同方向,逆方向又は垂直方向がある。

注記 2  手の動かし方に制限がある利用者にとって,この推奨事項は役に立つ。

注記 3  もし,ソフトウェアがプラットフォームの用意する標準的ポインティングデバイス入力サー

ビスを利用し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この調節機

能は,そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。


46

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

9.4.13 

ポインタを見つける手段の提供 

ポインタが,背景に対して大きな対比をもたないことがある,他の陰に隠れることがある,又は文章よ

りも太く及び大きく表示されないことがある場合には,プラットフォームソフトウェアは,利用者がポイ

ンタの現在位置を見つけられる機構を提供しなければならない。

例  ロービジョンの利用者がマウスポインタを眼で追い損なったとき,制御(Ctrl)キーを押すと,

マウスポインタを中心として拡大縮小を繰り返す円が提示される。

9.4.14 

ポインティングデバイスの同時操作に対しての代替手段の提供 

ソフトウェアは,複数のキー又はボタンを組み合わせて同時に押す操作に対して,同時に押さずに済む

代替手段を提供しなければならない。

同時に押すのは,

ポインティングデバイスのボタンの場合もあれば,

キーボードのキーとポインティングデバイスのボタンとの場合もある(参考文献[44]参照)

注記 1  同時組合せ動作は,運動機能障害のある利用者にとって困難又は不可能である。それゆえ,

この規定の意図は,同時組合せ動作に対して,代わりとなる順次動作による手段で置き換え

る,又は追加することである。 

注記 2  もし,ソフトウェアがプラットフォームの用意する標準的ポインティングデバイス入力サー

ビスを利用し,かつ,このサービスを無効にしていなければ,ほとんどの場合,この代替手

段は,そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフォームによって提供される。

例 1  マウスのボタン 1 とボタン 2 とを同時に押すことで実行されるある作業を,一つのマウスボタ

ンだけを使って,その作業を含むメニューを表示させることでも実行できる。

例 2  マウスボタンを押し,キーボードの修飾キーを押しながらドラッグすることでファイルのコピ

ーができる場合,同じことを,メニュー中の“Copy”を選択することでも行うことができる。

10 

出力 

10.1 

出力についての全般的指針 

10.1.1 

発作を誘発する速さの明滅の回避 

ソフトウェアは,光過敏性発作障害のある人に発作を引き起こすおそれのある明滅を,避けなければな

らない。

注記 1  この領域の規格は,新技術の表示装置に適応するように現在改正中である。

注記 2  1 秒間に 3 回未満の明滅の場合には,現状の全ての規格を満たしている。

10.1.2 

時間とともに変化する情報提示方法の利用者による制御 

動く,点滅する,スクロールする,又は自動的に書き換わる情報を提示する場合は,ソフトウェアは,

それらの提示を利用者が停止又は一時停止できるようにしなければならない。ただし,単純な進行度表示

の場合は除く。

注記 1  単純な進行度表示とは,動きとしてその時点までの完了状況だけを示すものをいう。 

例 1  ある進行度表示は,箱を運ぶ小人の動画と完了状況を示すステータスバーとから成っている。

その進行度表示上でクリックすると小人は動きを止めるが,ステータスバーは完了状況を表示

し続ける。

注記 2  ロービジョンの人,又は読むことに困難のある人は,情報を理解するに至るまで調べるのに

時間がかかる。 

注記 3  提示の速さを変えることも,また有用である。

例 2  ソフトウェアが,出力する文章に同期させて,点字表示を絶えず書き換えている。利用者は,


47

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

点字を読み終わる前に書換えが起こらないように,点字の提示を一時停止する。

例 3  スクロールしている文章上で利用者がマウスボタンを押すと,押している間文章のスクロール

が一時停止し,利用者に文章を読む余裕ができる。

10.1.3 

仕事に重要な音及び映像に対するアクセシブルな代替情報の提供 

仕事に重要な情報を音又は映像で提示する場合,ソフトウェアは,等価な内容をアクセシブルな代替形

式で提示しなければならない。

例 1  ビデオは,その音声トラックの内容を字幕として含んでいる。

例 2  複数のメディアによって提示する情報のうちで,視覚で提供する情報中の重要な部分を,シス

テムは,音響又は音声の聴覚情報として説明する(音声解説と呼ぶ。

10.2 

視覚出力(表示) 

10.2.1 

利用者による図の属性の調節 

図の判読性を高めるため,ソフトウェアは,内容の提示に用いる図の属性をその意味を変えることなく

利用者が変更できるようにすることが望ましい[44]。

注記  見かけを変えると必然的に意味も変わる事例は多い。この推奨事項の意図は,意味を変えない

範囲内で利用者に見かけを変えさせることである。

例 1  ロービジョンの利用者が,過去 5 年間の株式価格平均の折れ線グラフを眺めようとしている。

利用者は,グラフの線の太さと色とを変えて,グラフを見やすくする。

例 2  利用者が,変更しても意味に影響しない範囲で,図表,グラフ及び図解が見やすくなるように,

線,境界,黒丸,影の長さなどの属性を変更する。

例 3  温度計表示の長さを変化させるときには,それに応じて目盛も共に伸縮させる。

例 4  利用者は,アイコンの大きさを見分けやすいように変える。

10.2.2 

ロービジョンの利用者が利用できる形態での視覚情報の提供 

ソフトウェアは,矯正視力 0.1∼0.28 の範囲の利用者が,音に頼らずに利用可能な形態の視覚情報を,少

なくとも一つ提供することが望ましい。

注記  候補となる手段としては,画面に表示するものをソフトウェアで拡大する,他には,利用者に

字体及びアイコンの大きさを変えさせるなどがある。

例 1  見やすくなるように,字体,線及びコントロールを倍々と拡大して表示する“大判表示”設定

をオペレーティングシステムが,提供する。また,画面の一部を,さらに,広げる拡大機構を

も,オペレーティングシステムが提供する。

例 2  あるアプリケーションでは,72 ポイントの大きさまでの字体で文書を拡大表示できるように,

字体の大きさ変更と行末の単語折返しとが可能である。

10.2.3 

図を描く要素としての文字利用の抑制 

グラフィカルユーザインタフェース(GUI)においては,文章記述に用いる文字は,文にだけ用い,線,

箱などの図記号を描くのに用いないことが望ましい[44]。

注記 1  図を描く要素として文章記述に用いる文字を使用すると,画面読取り機構の利用者が混乱す

る。

注記 2  文字主体の表示又は領域中で,“+”,“#”などの文章記述には通常用いない文字を利用する

のは構わない。

注記 3  この推奨事項では,図形を描くために文字を使うこと(例えば,“ASCII ART”)に言及して

いるだけで,画像中で文字を使うことには言及していない。


48

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例  文字領域の周りを文字 “X” で囲んで描いた箱図形は,画面読上げソフトウェアでは,“X X .... X

X”

が一行目に,次には“X”と内容,その後に“X”.…のように読み上げる(図として用いた文字は,

利用者が支援ソフトウェアを利用してそれらを順次に読んでいくときには,通常紛らわしいか,

理解できないものになる。

10.2.4 

装置画面外の表示情報のキーボードによる扱い 

仮想画面(例えば,デスクトップ)が実際の装置画面より大きく取られていて,何らかの情報が装置画

面からはみ出している場合,プラットフォームソフトウェアは,そのはみ出した情報を,キーボードで扱

うことのできる機構を提供しなければならない。

注記  表示装置の物理的境界を越えた広さの表示領域は,通常,仮想画面と呼ばれる。

例  可動ビューポートは,それを上下・左右移動することで,物理画面上に表示されていない仮想画

面の部分を利用者が見えるようにする手段である。

10.3 

文章及び字体 

10.3.1 

字体の外見上の属性だけに頼らない情報伝達 

ソフトウェアは,字体の外見を決める属性だけを用いて,情報を伝えない又はシステムの動作を示さな

いことが望ましい。

例 1  ある欄に必ず文字を記入する必要があることを,その欄の見出しを太字体にすることで示して

いる場合,その見出しの後に語句“必要”を付加する。こうすれば,必ず記入する必要がある

という情報を,目の見えない人が音声出力を介して,及び太字体であることに気付きにくい人

が画面拡大機構を使って,手に入れることができる。

例 2  メニュー項目がその時点で利用できないことを,灰色又は薄い色の文字で示している。そのメ

ニュー項目が利用できないという状態は,支援技術に対してもプログラムによって伝えられる。

10.3.2 

利用者による字体の最小の大きさの設定 

ソフトウェアは,情報を提示する字体の最小の大きさを,利用者が設定できるようにすることが望まし

い[1],[44],[49]。

注記 1  プラットフォームソフトウェアが既にこの機能を備えている場合,アプリケーションは,そ

れを利用すればよい。

注記 2  字体の最小の大きさ設定は,表示する文書中での大きさ指定に優先して適用される。

注記 3  字体の最小の大きさ及びそれ以上どの大きさまで許すかについては制限を置いてもよいが,

役に立つためには,その制限の範囲に大きな字体を含める必要がある。

例 1  文書処理アプリケーションには,文書中の全ての文章をその文書で指定している書式情報を無

視して,利用者の選んだ字体の種類,色,及び大きさで表示する“下書き表示”がある。利用

者にとって読みにくい小さな字の文章があったら,

“下書き表示”に切り替えて,読みにくく感

じた箇所を利用者の必要性に合わせて設定しておいた大きさの字で読むことができる。

例 2  ある利用者は,画面上の小さな字の文章が読みにくいので,オペレーティングシステムのコン

トロールパネル中で字体の最小の大きさを設定する。ウェブブラウザは,この設定を守り,設

定値より小さな文字を設定した最小の大きさに自動的に拡大する。

10.3.3 

字体の大きさ変更に応じたユーザインタフェース要素の大きさ及び配置の調整 

ユーザインタフェース要素に使われている文字の大きさの変化に対応するように,ソフトウェアは,ユ

ーザインタフェース要素の拡大縮小,配置の調整を行うことが望ましい。

注記 1  この推奨事項は,アイコンに付ける文字に対しても当てはまる[1],[44],[49]。


49

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

注記 2  ソフトウェアがプラットフォームの提供する標準のユーザインタフェース要素を組み入れて

いるとき,多くの場合,この働きは,そのソフトウェアが特に何もしなくても,プラットフ

ォームによって実現される。

注記 3  字体の最小の大きさ及びそれ以上どの大きさまで許すかについては制限を置いてもよいが,

役に立つためには,その制限の範囲に大きな字体を含める必要がある。

例 1  字体を大きくするにつれて,大きくなった文字がはみ出さないようにボタン及びメニューの大

きさも調整して大きくする。それらがかなり大きくなってボタンなどが互いに重なり合う場合,

それを避けるためにウィンドウを拡大する。拡大したウィンドウが表示装置の可視部分より大

きくなる場合,スクロールバーを追加する。

例 2  利用者が,オペレーティングシステムの画面解像度設定(ピクセル数/論理センチ:何ピクセ

ル分を 1 センチとみなすか)を増加させて,より多数のピクセル分を 1 センチとみなすように

変更した。この設定は,システム全体に適用される。アプリケーションが,10 ポイント字体の

行で 3 行分下にアイコンを配置し表示する設計のウィンドウを表示しようとする。しかし,シ

ステム全体の設定が変更されたので,10 ポイント字体の行は,より多数のピクセルを用いて描

かれるようになり,表示面で 1 行の占める高さは変更前よりも増加する。アプリケーションは,

アイコンを描く位置を決めるときに,行の高さがそれまでのピクセル数であると想定せずに,

新たに行の高さを見積もる配慮をする。

注記 4  画面表示技術における 1 ポイントとは,0.353 mm(1/72 インチ)の長さである。

10.4 

 

10.4.1 

色だけに頼らない情報伝達 

ソフトウェアは,色だけで情報を伝える又はシステムの動作を示すことをしてはならない。

注記  JIS Z 8522 の 7.5.1 参照。

例 1  赤い色を,システムが動作していないことを又は緊急状態にあることを操作員に警告するため

に用いている。赤色表示に“注意”又は“警告”の文字を添えて効果を確実にする。

例 2  誤りが生じたことを表示の色を変えて示す場合には,誤りが生じたことを示す文章又は音情報

をも利用者に伝える。

例 3  数値が負であることを,赤字で示すだけでなく括弧で囲んでも示す。

10.4.2 

障害のある人向けの配色 

何種類かの配色を用意しているソフトウェアは,障害のある人が使うように設計した配色をその中に含

めることが望ましい[45],[46],[47],[48],[49],[50],[51]。

注記  視覚に障害のある人,失読症の人,光恐怖症の人及び画面のちらつきに過敏な人は,それぞれ

に色の好みがあり,これが発光型表示装置の使い方に影響する。

例  白地に黒,及び黒地に白を含む対比の大きな単色の配色を用意する。色覚に特性のある人,白内

障,黄はん(斑)変性症などの該当者の多い視覚機能障害のある利用者を惑わすおそれのある色

を避けた配色を,ソフトウェアシステムは用意する。

10.4.3 

配色の個人化 

配色を用いるソフトウェアは,前景色と背景色との組合せも含め,自分に合わせた配色を,利用者が作

り上げ,保存し,自分用に設定できるようすることが望ましい。

注記 1  利用者間で配色を共有できることも役に立つ。

注記 2  この種の設定の個人化及びその保存を扱う規定として,8.3 を参照。


50

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 1  利用者が,色覚に特性のある人向けに用意された配色を自分にとって色の違いを最も見分けや

すいように調整する。

例 2  視力の低い人が,オペレーティングシステムのコントロールパネルを用いて,ウィンドウの標

題及びメニューを黒地に黄色の文字で描くように設定する。

例 3  利用者は,各種のユーザインタフェース要素(ウィンドウ,メニュー,警告,キーボードフォ

ーカスカーソル,ウィンドウの既定の背景色及び文字)を描くのに用いる配色,一般的な状態

(キーボードフォーカスをもっている,選択されている)を表示するのに用いる配色及び作業

に特有な状態(オンライン,オフライン,エラーなど)を表現するのに用いる配色を選択でき

る。

10.4.4 

利用者による色使いの個人化 

業務用の基幹システム向けに,警告又は警報を標準化している(例えば,赤はネットワークの故障を表

す。

)場合を除き,ソフトウェアは,選択されていることを表すのに,処理中であることを表すのに,並び

にユーザインタフェース要素の種類及び状態を表すのに用いる色を,利用者が自分に合わせて設定できる

ようにすることが望ましい。

例 1  利用者が,リンクを表す色として赤を選んだ場合,この環境で動くアプリケーションはこの設

定を無視せずに,それまでは赤で表していたものを赤以外の別の色で表す。

例 2  赤と緑とを見分けられない利用者は,プリンタの状態を表す色を,正常時を濃い青で,異常時

を黄色で表示するように設定できる。さらに,プリンタに異常が生じたときには,システムは

音でも警告を与える。

10.4.5 

対比の大きい前景色と背景色との組合せ 

ソフトウェアが既定とする前景色及び背景色(色相及び明度)の組合せは,色を知覚する能力がどうあ

ろうとも対比をもつ組合せとすることが望ましい。

注記  ウェブページに表示する文字と背景の対比については,JIS X 8341-3:2010 にガイドラインが規

定されている。

例  色相の違いを見分けられない利用者でも明暗の違いを手掛かりに見分けられるように,対比の大

きい色の組合せを選ぶ。

10.5 

ウィンドウの外観及び振る舞い 

注記  この細分箇条におけるウィンドウとは,JIS Z 8522 の 3.14 で規定されているウィンドウを指す。

10.5.1 

意味のく(汲)める一意なウィンドウの標題 

全てのウィンドウには,同じソフトウェアが表示する他のウィンドウと同じではない,意味のくめる標

題を付けることが望ましい。これは,例え同一のユーザインタフェース要素を,幾つかのウィンドウが多

面的にそれぞれ表示する場合であっても同じである。

例 1  文書処理アプリケーションを用いている利用者が,一つ目のウィンドウで既に表示している文

書を,さらに,二つ目のウィンドウで開いた。両方のウィンドウとも同一の文書に対するもの

で両方で編集が可能である。文書処理アプリケーションは,最初のウィンドウの標題を文書名:1

とし,2 番目のウィンドウの標題を文書名:2 として,二つのウィンドウにそれぞれ意味のくめ

る,かつ,一意な標題をもたせる。

例 2  ウェブブラウザ内で動かしているスクリプト又はオブジェクトがブラウザで扱っている他のウ

ィンドウで既に標題として使われている文字列を新たなウィンドウの標題として付けようとし

たとき,ブラウザが,この文字列を他のウィンドウの標題と同じにならないように修正する。


51

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

10.5.2 

システム全域にわたって一意なウィンドウの標題 

ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,全てのウィンドウに対してそのときシステム

上にある他のウィンドウと重複しない標題をもたせることが望ましい。

注記  この推奨事項は,プラットフォームに限定したものである。多くのプラットフォーム上ではセ

キュリティ上の理由で,アプリケーションは,別のアプリケーションに属すウィンドウについ

て知ることができない。

例  ソフトウェアが新たにウィンドウを生成しようとするとき又は既存のウィンドウの標題を変更し

ようとするとき,オペレーティングシステムは,システム上の他の全てのウィンドウの標題を調

べ,重複が見つかれば標題の後ろに他と区別するための番号を追加する。

10.5.3 

ウィンドウへのポインティングデバイスを用いないナビゲーション 

ソフトウェアは,キーボードなどの非ポインティングデバイスを用いて,キーボードフォーカスを受け

取ることができる全てのウィンドウへと利用者がキーボードフォーカスを移せるようにしなければならな

い。

注記  この要求事項は,ポインティングデバイスを使えない利用者がポインティングデバイスを使え

る場合と比べて,できるだけ効率よくウィンドウ間を切り替えて回れるようにするためのもの

である。

例 1  動作中のウィンドウの一覧が常に表示されていて,利用者は,それを見ながらキーボードを用

いてキーボードフォーカスを受け取るウィンドウを選択する。

例 2  利用者は,一連のキーボードコマンドを生成する音声コマンドで幾つかのウィンドウのうちの

一つにキーボードフォーカスを移すことができる。

10.5.4 

ウィンドウの最前面への固定 

ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,あるウィンドウが絶えず他のウィンドウの前

面にあるように設定可能としなければならない。

注記 1  利用者が作業遂行のために絶えずある機能又はウィンドウを必要とする場合,他のウィンド

ウとの位置関係がどうであっても,絶えずそのウィンドウが隠れずに見え続けるようにでき

ることが大切である。

注記 2  他のウィンドウからキーボードフォーカスを移さなくても,あるウィンドウを,

“常に最前面”

状態にできるとよい場合が多い(10.5.10 参照)

例 1  利用者は,常に見えるように他のウィンドウの前面に表示される移動可能な画面キーボードを

利用できる。このとき,画面キーボード上で画面キーボード操作のためにマウスをクリックし

ても,他のウィンドウはキーボードフォーカスを変わらずもち続け,画面キーボードからの入

力は,そのウィンドウに向けられる。

例 2  利用者は,最前面にある画面拡大ウィンドウを選び,最前面のままのその中に他のウィンドウ

の様子を拡大して眺めることができる。

10.5.5 

複数の“常に最前面”ウィンドウの利用者による管理 

ウィンドウを管理するプラットフォームは,

“常に最前面”に設定するウィンドウの選択,又はウィンド

ウの“常に最前面”設定を解除することの選択を,利用者に可能にしなければならない。

注記 1  “常に最前面”と指定したウィンドウが複数ある場合,利用者による管理は,相互矛盾を解

消するために重要である。 

注記 2  例えば,カレンダと時計との組合せのように,利用者が複数のウィンドウを最前面に置こう


52

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

とすることがある。したがって,複数の“常に最前面”ウィンドウの間での優先順位を,利

用者が付けられるようにするのが望ましい場合もある。

例  二人の利用者が,画面キーボード及び一部分を全画面へと拡大する拡大ウィンドウの両方をそれ

ぞれ使っている。一人は,一部分を全画面へと拡大する拡大ウィンドウの前面に画面キーボード

を出して,物理画面の一定の場所で画面キーボードを使用する。もう一人は,一部分を全画面へ

と拡大する拡大ウィンドウを最前面に出して,その中に画面キーボードを拡大表示して使用する。

10.5.6 

キーボードフォーカス及びポインタが重なったウィンドウに及ぼす効果の利用者による選択 

ソフトウェアは,キーボードフォーカス又はポインタを受け取ったウィンドウを,自動的に他のウィン

ドウ(

“常に最前面”ウィンドウは除く,10.5.4 参照。

)の前面に置くか,又は重なり状態をそのままにす

るかを利用者が選択できるようにすることが望ましい。

例  動きに制限をもつ又は反復運動損傷をもつ利用者は,ウィンドウ間を移動するのにポインタをあ

るウィンドウの上に置いただけで,そこでクリックしなくてもそのウィンドウが自動的に最前面

にくる方が早く容易なのでその方式を選ぶ。

注記  アプリケーションがプラットフォームの正規のウィンドウ処理に介入しない限り,プラットフ

ォームソフトウェアが,この働きを受けもつ。

10.5.7 

ウィンドウの位置の調節 

ソフトウェアは,ダイアログボックスも含め全てのウィンドウの位置を変える手段を,利用者に提供し

なければならない。ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,ウィンドウの位置を固定し

ようとする他のソフトウェアによる設定を無効にする選択の自由を,利用者に与えなければならない。

注記  これは,支援技術を含む複数のアプリケーション及び/又はウィンドウを用いている利用者に

とって助けとなり,また,時として必要となる。

例  画面キーボードを使っている利用者が,ポップアップダイアログの位置を,画面キーボードの傍

らに並ぶように変更する。

10.5.8 

ウィンドウの大きさの調節 

ソフトウェアは,ダイアログボックスも含め全てのウィンドウの大きさを変更する手段を,利用者に提

供することが望ましい。ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,ウィンドウの大きさを

固定しようとする他のソフトウェアによる設定を無効にする選択の自由を利用者に与えることが望ましい。

注記  幾つかの普及しているオペレーティングシステムが,いまだにダイアログボックスの大きさを

変更不可としているので,この規定は要求事項ではなく推奨事項としている。

例  ロービジョンの利用者が大きな字体を使っていると,その字体の大きさでは文章がダイアログボ

ックスに収まりきれないことが起こる。利用者は,文章全部が見えるようにダイアログボックス

の大きさを広げる。

10.5.9 

ウィンドウの最小化,最大化,元の大きさに戻す及び閉じる操作の提供 

ウィンドウを重なり合うように配置できる場合,ソフトウェアは,そのソフトウェアのウィンドウを最

小化する,

最大化する,

元の大きさに戻す及び閉じる選択の自由を利用者に対して与えることが望ましい。

注記 1  この推奨事項は,利用者が多数のアプリケーション及び/又はウィンドウを同時にうまく使

用する助けとなる。

注記 2  幾つかの普及しているオペレーティングシステムがいまだにダイアログボックスの大きさを

変更不可としているので,この規定は,要求事項ではなく推奨事項としている。

例  一時的に情報を覚えておきにくい利用者は,ウィンドウの“最大化”ボタンをクリックしてでき


53

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

るだけ多くの情報が見えるようにする。

10.5.10 

キーボードフォーカスを受け取らないウィンドウ 

ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,ウィンドウがキーボードフォーカスを受け付

けないようにすることができなければならない。キーボードフォーカスを受け付けないように指定されて

いるウィンドウには,キーボードフォーカスを割り当てない。

注記  ウィンドウがキーボードフォーカスを受け付けないよう指定されている場合,通常はキーボー

ドフォーカスをウィンドウにもたせるどの活動もフォーカスの割当てを行わない。

例 1  画面キーボードプログラムが,画面ボタンを含むウィンドウを表示していて,そのウィンドウ

を“常に最前面”となるように設定し,キーボードフォーカスを受け付けないようにしている。

利用者がこのウィンドウの画面ボタンの上でマウスをクリックしても,画面キーボードプログ

ラムは,キーボードフォーカスを受け付けずに,そのキーから生じた事象を利用者が作業して

いるアプリケーションウィンドウに送り,アプリケーションウィンドウがフォーカスをもち続

ける。

例 2  利用者が,画面拡大ウィンドウを開く。このウィンドウは,他のウィンドウ内を拡大して見る

ための最前面のウィンドウであり,

“常に最前面”に置かれる。利用者が画面のどこかでマウス

のボタンをクリックしても,キーボードフォーカスはそのまま変わらずに,画面拡大ソフトウ

ェアは,下になっている適切なウィンドウへとマウス入力を中継する。

10.6 

聴覚出力 

10.6.1 

音の変化パターンによる情報の伝達 

情報を聴覚を介して伝える場合,ソフトウェアは,音の大きさ又は高さそのものを用いるのではなく,

音の大きさの又は高さの変化パターンを用いることが望ましい。

例  遠隔会議サービスにおいて,ある参加者が退席したことを単なる低音ではなく高音から低音へと

移行する音の変化パターンで知らせる。

10.6.2 

音量調節の提供 

ソフトウェアは,聴覚出力の音量を,利用者が調節できるようにしなければならない。

注記  聴覚出力を発生するソフトウェアは,発生する聴覚出力の大きさを他のソフトウェア及びシス

テム全体の音量設定に対して相対的に調節するコントロールを備えることが望ましい。

例  利用者がマルチメディア再生アプリケーションと電話アプリケーションとを使っていて,前者の

音量を小さく,後者の音量を大きく設定しているので,後者の呼出し音は,前者の再生音より大

きく聞こえる。利用者がオペレーティングシステムの全域設定で音量を下げると,後者の音が前

者の音より大きいままで両者の音は,共に小さくなる。

10.6.3 

非話声音に用いる適切な周波数範囲 

ソフトウェアで用いる,作業に密接に関連する非話声音の基本周波数は,500∼3 000 Hz の範囲であるこ

とが,又は利用者が容易にその範囲に調節できることが望ましい[38]。

注記  この周波数範囲の音は,音の聞こえにくい人が最も気付きやすい。

10.6.4 

聴覚出力の調節の提供 

ソフトウェアは,作業に密接に関連する聴覚出力の周波数,速さ,音内容などの属性を利用者が調節で

きるようにすることが望ましい。

注記  調節可能な範囲は,システムが発生できる音に制約を受ける。

例 1  利用者は,種々の事象及び通知を表す音を,自分が聞き分けることのできる音に置き換えるこ


54

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

とができる。

例 2  利用者は,音声合成からの発声の速さを理解しやすいように変更できる。

10.6.5 

背景音とそれ以外の音との個別の制御 

背景音とそれ以外の音とが別々のトラックに記録されている場合,ソフトウェアは,それぞれの音トラ

ックの音量の制御を及び/又はそれぞれの音トラック出力の入り・切りを,利用者に可能とすることが望

ましい。

注記  背景音(例えば,効果音,音楽)は,難聴の人が話声を聞き取るのを妨げる,又は話声と聞き

分けるのを困難にするおそれがある。

例  難聴の人は,対談を聞き取れるように背景音を小さくする。

10.6.6 

注意,警告に用いる特定の周波数の音 

ソフトウェアが用意する警報その他の警告音は,少なくとも二つの中低音域(推奨する範囲は,500∼

3 000 Hz

及び 300∼750 Hz)の音を含むことが望ましい[38]。

10.6.7 

聴覚出力の代替となる視覚情報の利用者による選択 

ハードウェアで聴覚出力と視覚出力との両方が使える場合,プラットフォームソフトウェアは,作業に

密接に関連する聴覚出力(警報音を含む。

)を視覚形式で,聴覚形式で,又はそれらの両形式で受け取るこ

とを,利用者が選べるようにしなければならない。また,そのプラットフォーム上で稼動するソフトウェ

アは,利用者のその選択に対応しなければならない。

注記  この機能は広く一般に“サウンド解説”と呼ばれる(附属書 参照)。

例 1  エラーメッセージを表示したとき又はフッターの内容を更新したときに,既定では,ビーとい

う音が鳴る。視覚形式でフィードバックを受け取ることを選んだ利用者に対しては,ダイアロ

グボックスの境界が注意喚起音に伴って点滅する。

例 2  警報のような音を再生したときには,ダイアログボックス中に警報かそうでない音であるかを

説明文で表示する。

例 3  音声を出力するソフトウェアは,字幕表示が可能なシステム上で又は点字出力装置でその字幕

を表示できるように,支援技術を通じてその音声の文章字幕を提供する。

10.6.8 

等価な聴覚情報の視覚的事象との同期 

ソフトウェアは,等価な聴覚情報を,それと関連する視覚的事象に同期させなければならない。

注記 1  画面の見えない利用者が,これによって,出来事の経過をたどることができる。 

注記 2  他の聴覚事象との競合を避けるため又はリアルタイムの遅れのために,ときによっては聴覚

情報を少し早期に又は直後に提示することもある。

例  映画には,重要な視覚情報についての音声解説が付いている。その解説は,映画の中の会話の途

切れた合間に入れてある。

10.6.9 

音声出力サービスの提供 

ハードウェアで音声合成が可能な場合,プラットフォームソフトウェアは,その上で動くアプリケーシ

ョンが音声出力を利用できるサービスを提供しなければならない。

注記 1  この規定は,文章−音声変換(TTS: Text to speech)機構を必ず備えなければならないことを

意味しない。

注記 2  この規定は,目が見えない又は文の読解に支障のある利用者,及び音声利用の支援技術に頼

る利用者にとって,特に実際的な重要性をもつ。

例  音声出力サービスの市販商品例としては,SAPI (Speech API),Java Speech,Mac OS X TTS 及び


55

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

GNOME speech

がある。

10.7 

音情報と等価な文章(字幕) 

10.7.1 

用意された全ての字幕の表示 

聴覚情報を提示するソフトウェアは,その聴覚情報に関連する字幕を表示する手段を備えなければなら

ない。

注記  背景に対して十分な対比をもつように字幕を表示することが大事である(10.4.5 参照)。

例  利用者は,観光案内ビデオ中に含まれる字幕を,再生アプリケーションで表示させることができ

る。これによって,難聴の利用者及び耳の聞こえない利用者がこの案内ビデオを利用する上での

大きな助けとなる。

10.7.2 

システム全域にわたる字幕の制御 

プラットフォームソフトウェアは,利用者が字幕があればそれを表示するように,どのソフトウェアに

対しても,システム全域に通用する設定で指示可能とすることが望ましい。

注記  字幕を全体的に有効又は無効とする設定は,“サウンド解説”機能が与える。“サウンド解説”

機能は,主要なプラットフォーム上で利用できる(

附属書 参照)。

10.7.3 

字幕の有効又は無効の設定 

字幕を提示するソフトウェアは,別に指定されない限り,システム全体にわたる字幕の有効又は無効の

設定を利用しなければならない。この設定が再生途中で変更されたときには,新たな設定に従わなければ

ならない。

例  映像を再生するソフトウェアは,再生開始時にシステムの“サウンド解説”設定を調べ,表示す

るように設定されていれば字幕を表示する。そのソフトウェアでは利用者が一時的に字幕の表示

設定を変更することも可能であるが再生中にシステムの設定を変更したら,それに合わせて字幕

を表示する又は表示しないを切り替える。

10.7.4 

内容表示の妨げにならない字幕の位置 

字幕を提示するソフトウェアは,表示している内容をできるだけ邪魔することがない位置に字幕を出す

ことが望ましい。

例  映像を再生するソフトウェアは,再生映像が隠れないように,字幕表示用の別のウィンドウを新

たに開く。

10.8 

媒体上の情報 

10.8.1 

利用者による,開始,停止及び一時停止の制御 

ソフトウェアは,利用者が媒体上の情報の提示を開始する,停止する及び一時停止することを可能にし

なければならない。

10.8.2 

利用者による,もう一度再生,巻き戻し,一時停止及び早送りの制御 

行う仕事に適切である場合,ソフトウェアは,利用者にもう一度再生する,巻き戻す,一時停止する,

及び早送りする又は先に飛ぶことを可能にすることが望ましい。

注記 1  もう一度再生する機能は,利用者が情報を受け取り損なうことを避ける助けとなる。

注記 2  この推奨事項はどんな場合にも適用可能とは限らない。適用できない代表的な場合としては,

実時間で進行する状況の提示がある。

10.8.3 

利用者による複数の媒体の提示管理 

行う仕事に適切である場合,ソフトウェアは,複数の媒体のどれを提示するかを,利用者が選べるよう

にすることが望ましい。


56

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

例 1  目は見えるが耳の聞こえない利用者は,適切な音量を決められないために周囲を騒がすことを

避けようとして音を消して字幕付きで映像を見る。

例 2  映像の背景音と語りとが別々の媒体上にあるので,映像を視聴するとき利用者が背景音を消す

ことを選択できる。

10.8.4 

内容変更に合わせた代替となる情報の更新 

ある記録媒体の内容が変更されたときには,ソフトウェアは,等価な情報を提供する代替手段(例えば,

字幕,映像内容の音声解説)を変更された内容に即して更新できることが望ましい(参考文献[4],チェッ

クポイント 6.2 参照)

例  ある観光案内ビデオの音声部分を改正した場合,同時に対応する字幕及び説明音声をも修正する。

10.9 

触覚出力 

10.9.1 

触覚だけに頼らない情報の伝達 

ソフトウェアは,触覚出力だけを用いて情報を伝える又は動きを示すことをしないことが望ましい。

注記  視聴覚出力とは対照的に,触覚出力では標準化された記号体系は,僅かしかない(例えば,何

種類かの点字)

例 1  発生させた振動を電話のベルが鳴っていることを表すものだと声で説明する。

例 2  触覚フィードバック付きポインティングデバイスが与えるフィードバックの振動パターンだけ

で,指している対象の機能を伝えない。

例 3  力覚フィードバック(force feedback)の最大圧力の設定値を,英数字表現による数値として視

覚提示する。

10.9.2 

なじみのある触覚パターンの採用 

ソフトウェアは,情報を触覚で提示するのに,周知の(日常でなじみのある)触覚パターンを用いるこ

とが望ましい。

注記  触覚記号(点字,モールス符号など)に特に知識をもたない人でも,ほとんどは日常生活で触

覚パターンを経験することは多い。

例  電話のベルの鳴るのに似たパターンとなるように,振動発生を設計する。

10.9.3 

触覚出力の調節 

ソフトウェアは,不快さを感じる,痛みを感じる,又は傷を負うことのないように,利用者が触覚出力

の特性を調節できるようにすることが望ましい。

例  触覚の衰えた利用者は,力覚フィードバック系の触覚出力の上限値を自分に合うように調節でき

る。

11 

オンライン資料,ヘルプ及び支援サービス 

11.1 

資料及びヘルプ 

11.1.1 

分かりやすい資料及びヘルプの提供 

製品の資料及びヘルプは,仕事で使う語彙を用いて可能な範囲において,簡潔,明瞭な言葉で書くこと

が望ましい。

注記  専門用語の使用は,機能又は製品を明瞭に説明するのに必要な範囲にとどめる。

例  コンピュータ援用設計(CAD)システムの資料では,製図の分野の専門用語を使うことがある。

11.1.2 

利用者にとってアクセシブルな電子的形式での資料の提供 

全ての利用者向け資料及びヘルプは,該当する文書アクセシビリティ標準を満たす電子的形式で提供し


57

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

なければならない。資料は,製品とともに又は求めに応じて適時に,かつ,追加請求なしに提供しなけれ

ばならない。

注記  利用者として管理者を含む。ソフトウェア開発用のソフトウェアでは,利用者としてソフトウ

ェア開発者を含む。

11.1.3 

電子資料及びヘルプに対する代替テキストの提供 

ソフトウェアが絵及び図を用いて提示する情報は,画面読取り機構,印刷又は点字翻訳に適した説明文

としても提供し,代替手段で読めるようにしなければならない[44],[46],[49]。

注記  初めから文章と図との両形式で情報を伝えることは,一方を他方の補強に用いる人及び情報処

理の様式(言語的又は視覚的)が異なる人にとって助けとなることが多い。

例  利用者は,オンラインヘルプの文章部分を印刷し,ヘルプにある図の説明文を読むことができる。

11.1.4 

具体的装置の不必要な参照をしない教示及びヘルプの記述 

ソフトウェアについての教示及びヘルプは,利用者の操作とその結果とを示すのに,ある装置を具体的

に参照する書き方ではなくある範囲の装置のいずれにも通じるような書き方とすることが望ましい。具体

的な装置(例えば,マウス又はキーボード)に言及するのは,与える助言の理解に重要かつ不可欠なとき

だけにすることが望ましい。

注記  マウスなど具体的な装置の操作が必要な状況では,一般的な記述ができない場合がある。しか

し,そのような具体的記述が必要なのは,その装置に関連するヘルプの中だけであってあらゆ

る状況で必要なわけではない。

例 1  ヘルプの中の作業の説明は,利用者がユーザインタフェース要素の色を見分けられなくても,

そのユーザインタフェース要素を使えるように記述する。説明文としては,例えば,

“緑のアイ

コンをクリックする”としないで,そのユーザインタフェース要素(アイコン)の名称を知ら

せる。

例 2  あるアプリケーションでは,作業の仕方を,それに利用できる入出力(マウス,キーボード,

音声など)それぞれを使った事例で説明する。

11.1.5 

アクセシビリティ機能についての資料及びヘルプの提供 

ソフトウェアのヘルプ又は資料は,アクセシビリティ機能が利用可能かどうかの一般的情報並びに各機

能の目的及び使い方についての情報を,提供しなければならない。

注記  ソフトウェアのアクセシビリティ機能を,利用者が容易に見つけられることは重要である。

例 1  オンラインヘルプは,障害のある人が関心を寄せる機能について説明する項を備えている。

例 2  オンラインヘルプで,ソフトウェアのキーボードだけを用いる使い方を説明する。

例 3  オンラインヘルプで,字体の大きさの変え方について説明する。

例 4  ある製品は,複数の配色を備えていて,どの配色なら色覚に特性のある人が使えるかを資料及

びオンラインヘルプで説明している。

11.2 

支援サービス 

11.2.1 

アクセシブルな支援サービスの提供 

ソフトウェアについての技術サポート及び利用者サポートのサービスは,障害のある最終利用者の情報

伝達上の必要性を考慮したものでなければならない。

例 1  リレーサービスが無料で提供されていない国で,ある会社が,リレーサービス業者と契約し聴

覚障害のある顧客とサポート要員との間の技術サポート手続を援助する。顧客の文字電話又は

テレビ電話を用いた通話をリレーサービスが理解できる形に即時に言い換えることで,両者の


58

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

間の文字又は手話による電話連絡を可能にし,技術サポートを実現する。言葉を聞き取れるよ

うに話せない人の言葉を中継者が言い直す類似のサービスも提供する。企業は,リレーサービ

スを介した最適な会話の仕方も技術サポート要員に訓練する。

例 2  ソフトウェア会社のウェブ上で提供するオンラインヘルプ又は資料は,ウェブの内容をアクセ

シブルにする公開指針に従って設計されている。

例 3  アプリケーションのヘルプデスク担当者は,アクセシビリティ機能についての訓練を受けてい

て,マウスを使わずキーボードだけを用いてある作業を行う又は誤り状態を復旧する手順を,

利用者に案内することができる。

例 4  ある会社は,聴覚障害者用通信装置(TDD Telecommunication Device for the Deaf)を使う客先と

の間に専用回線を引き,サポート要員を TDD の使い方と作法について訓練し顧客サポート要

員と直接に(リレーサービス経由でなく)

,利用者が情報伝達を行えるようにしている。

例 5  IVR (interactive voice response  双方向音声応答,対話型音声応答又は自動音声応答)システムは,

文字電話(TTY)を用いる利用者にとってアクセシブルなソフトウェア支援サービスを提供す

る。

例 6  支援サービスは,音声電話利用(リレーサービス,TTY を含む。)の他に,FAX,電子メール,

ウェブページなどを介して提供する。

11.2.2 

アクセシブルな教育訓練教材の提供 

製品の一部として教育訓練を提供している場合,教育訓練の教材は,該当するアクセシビリティ標準を

満たしていることが望ましい。


59

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

附属書 A

(参考)

ISO 9241

シリーズの大要

(対応国際規格の Annex A は ISO 9241 シリーズの全体構成を示すものであって,この規格とは直接関

係しないので,不採用とした。


60

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

附属書 B

(参考)

要求事項一覧

この附属書は,この規格の使用者の便宜のために,要求事項を規定する細分箇条を掲げる。この規格に

適合していると主張するには,これらの要求事項のうちで,適合を主張しようとする製品,サービスに対

して当てはまる要求事項の全てを満たしていることを要求される。

8.1.1 

各ユーザインタフェース要素への名称の提供 

8.1.4 

支援技術による名称の入手 

8.2.4 

キーボードフォーカスカーソル,テキストカーソル及びポインタの個人化 

8.2.7 

応答の制限時間の利用者による調節 

8.3.1 

アクセシビリティ機能用のコントロールの利用者による発見及び操作 

8.3.3 

アクセシビリティ機能への干渉の回避 

8.4.4 

支援技術が作動しないときの代わりとなる手段の提供 

8.4.5 

記録媒体のソフトウェアによる取出し 

8.4.9 

警告又は誤り情報の継続表示 

8.5.2 

ソフトウェアと支援技術との情報交換の実現 

8.5.3 

標準アクセシビリティサービスの利用 

8.5.4 

支援技術へのユーザインタフェース要素情報の提供 

8.5.5 

支援技術によるキーボードフォーカス及び選択の変更 

8.5.6 

ユーザインタフェース要素の説明の提供 

8.5.7 

支援技術に対する事象通知の実現 

8.5.9 

システム標準の入力及び出力 

8.5.10 

表の適切な提示 

8.5.11 

キーボード及び/又はポインティングデバイス模擬機構の導入 

8.5.12 

支援技術による出力の監視 

8.6.1 

閉じたシステム内の情報の取出し 

8.6.2 

閉じたシステムに生じた変化の通知 

8.6.3 

触れて見分けられるコントロールによる操作 

8.6.4 

システムのアクセシビリティ機能の中継 

9.1.2 

ポインティングデバイスと並行するキーボードによる代替手段の提供 

9.2.1 

キーボードフォーカスとテキストカーソルとの提供 

9.2.2 

視認性の高いキーボードフォーカス及びテキストカーソル 

9.3.2 

キーボードからの全ての利用 

9.3.3 

複数キー同時押しの逐次操作 

9.3.4 

キーの押下げ受け付けまでの時間長の調節 

9.3.5 

同一キーの 度押下げ防止時間長の調節 

9.3.8 

キー反復有効又は無効の利用者による設定 


61

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

9.3.12 

アクセシビリティ機能用のアクセラレータキーの確保 

9.3.14 

キーボードのナビゲーション機能と起動機能との分離 

9.4.2 

外付け装置からの直接のポインタ位置制御 

9.4.4 

ポインティングデバイスボタンの機能割当ての変更 

9.4.6 

ポインティングデバイスボタンの押下げ固定 

9.4.9 

複数回クリック時の諸特性の調節 

9.4.10 

ポインタの移動速さの調節 

9.4.11 

ポインタの加速の仕方の調節 

9.4.13 

ポインタを見つける手段の提供 

9.4.14 

ポインティングデバイスの同時操作に対しての代替手段の提供 

10.1.1 

発作を誘発する速さの明滅の回避 

10.1.2 

時間とともに変化する情報提示方法の利用者による制御 

10.1.3 

仕事に重要な音及び映像に対するアクセシブルな代替情報の提供 

10.2.4 

装置画面外の表示情報のキーボードによる扱い 

10.4.1 

色だけに頼らない情報伝達 

10.5.3 

ウィンドウへのポインティングデバイスを用いないナビゲーション 

10.5.4 

ウィンドウの最前面への固定 

10.5.5 

複数の“常に最前面”ウィンドウの利用者による管理 

10.5.7 

ウィンドウの位置の調節 

10.5.10 

キーボードフォーカスを受け取らないウィンドウ 

10.6.2 

音量調節の提供 

10.6.7 

聴覚出力の代替となる視覚情報の利用者による選択 

10.6.8 

等価な聴覚情報の視覚的事象との同期 

10.6.9 

音声出力サービスの提供 

10.7.1 

用意された全ての字幕の表示 

10.7.3 

字幕の有効又は無効の設定 

10.8.1 

利用者による,開始,停止及び一時停止の制御 

11.1.2  

利用者にとってアクセシブルな電子的形式での資料の提供 

11.1.3  

電子資料及びヘルプに対する代替テキストの提供 

11.1.5  

アクセシビリティ機能についての資料及びヘルプの提供 

11.2.1  

アクセシブルな支援サービスの提供 


62

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

附属書 C 
(参考)

適用の可否及び適合を査定する手順例

C.1 

一般 

この附属書はこの規格中の適用可能な要求事項が満たされているか,及び適用可能な推奨事項が守られ

ているかを決めるのに用いるチェックリストの例を示す。

チェックリストは,製品開発の過程においても,完成した製品の評価にも利用できる。

チェックリストは,この規格の全ての要求事項及び推奨事項を,箇条・細分箇条番号順に列挙している。

記載してある手順は,手引として提供するものであり,この規格そのものの代用として用いるべき厳密

な手順ではないことに留意するとよい。

チェックリストを用いると,次のことに役に立つ。

−  適合を検討する上で,対象とするシステムに対しては,どの要求事項と推奨事項とが当てはまる(適

用可能である)かを決定する。

−  適用可能な要求事項が満たされているか,又は適用可能な推奨事項が守られているかを,判定する。

−  適用可能な要求事項の全てが満たされ,かつ,適用可能な推奨事項の全てが守られていることを示す

一覧表を提供し,この規格に適合すると主張するための材料を与える。

要求事項の大多数は,様々な能力範囲の人々に広く利用できることを目指すソフトウェアに対して適用

可能である。しかしながら,利用の状況[利用者,仕事,装置(ハードウェア,ソフトウェア及び資材)

並びに製品が利用される物理的環境及び社会的環境]次第で,ソフトウェアがアクセシブルであるために

どの要求事項及び推奨事項を満たすべきかは,違ってくる。要求事項又は推奨事項中に,

“もし…の場合”

条件句を含んでいる場合は,ソフトウェアを利用するか又は利用を想定する利用の状況が,細分箇条中に

記載している条件に含まれるかを決定する必要がある。適用が状況に依存する各要求事項又は推奨事項に

は,適用できる条件についての情報を,その規定中に与えている。各要求事項及び推奨事項に対して,適

用条件が該当せず,その要求事項又は推奨事項を適用しないときは,このことを表の適用可能性区分の“可

否”欄中に“否”として記入する。さらに,

“適用しない理由”欄中に,簡潔な説明を記入することが望ま

しい。

次に,適用可能と判断した要求事項又は推奨事項に対して,評価しようとするソフトウェアが適合して

いるかを決定する。決定に用いる方法は,ある機能が備わっているかどうかを点検・判定する方法から,

ソフトウェアを利用者に利用させて試験する方法まで多様である。チェックリストは,適合の度合い(

“適

合,一部適合又は適合せず”

)を示す欄と,最も適切であるとして採用した方法又は判定についての所見の

記入にも使える“備考”欄とを備えている。

完成したチェックリストは,ソフトウェアがこの規格に適合することを表明するのに利用できる。

C.2 

チェックリストの使い方 

表 C.1 の第 1 列と第 2 列とに,箇条・細分箇条番号と箇条標題とを掲げる。

第 3 列は,細分箇条中の要求事項又は推奨事項が適用できるかどうかを示すのに用いる。適用するのに

条件の付かない細分箇条には,この列にあらかじめ“可”

“適用可能”を示す。

)を記載して,適用できる

ことを示している。一方,この列に記入してある“条”

“条件付き”を示す。

)は,適用条件が該当する場


63

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

合には,適用可能であることを示している。

第 3 列に,あらかじめ“可”も“条”も記載していない細分箇条に対しては,開発又は評価するソフト

ウェアシステムの具体的な設計状況に照らして,適用できるかどうかを検討する。

さらに,推奨事項全てに対して,適用できるかどうかを検討し,第 3 列に検討結果の“可”又は“否”

を記入する。

適用可能でない要求事項又は推奨事項に対して,適用可能でないと判断した理由を,第 4 列に簡潔に記

入することが望ましい。

要求事項又は推奨事項が満たされたかを検討するときは,第 3 列で適用可能とされている全ての要求事

項又は推奨事項を調査する必要がある。

適用可能な要求事項又は推奨事項が,満たされていること,部分的に満たされていること,又は満たさ

れていないことに対応して,それぞれ第 5 列(

“適合”

,第 6 列(

“一部”

,又は第 7 列(

“否”

)のいずれ

かに印をつけて示す。

一部適合又は適合せずと判定した要求事項又は推奨事項に対して,その理由を示す手短な説明を,備考

欄に記入するとよい。

注記  あらかじめ第 3 列に“可”が記入されている要求事項でも,評価対象のソフトウェアによって

は,必ずしも適用可能ではない場合がある。


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

一般的指針及び要求事項 

8.1 UI

要素の名称及び見出し 

8.1.1 

各 UI 要素への名称の提供 
ソフトウェア名称は,どの UI 要素にも利用者がその要素を識別す

るのに役立つ名称を,その名称がなくても済む場合を除き,付けな
ければならない。

8.1.2 

意味のく(汲)める名称の提供 
UI

要素の名称は,想定する利用者が意味をくむことのできる,自然

言語の言葉から成っていることが望ましい。

8.1.3 

コンテクスト内で一意な名称の提供 
ソフトウェア開発者が UI 要素に付ける名称は,コンテクスト内で
一意であることが望ましい。

8.1.4 

支援技術による名称の入手 
ソフトウェアは,各 UI 要素の名称とその名称が指す UI 要素との対

応を,文書化し,かつ,普遍的な形式で,支援技術によって利用可

能となるようにしなければならない。

8.1.5 

名称の提示 
もし,UI 要素が,目に見えるように提示され,かつ,UI の標準的

な構成部品でなければ,ソフトウェアは,その UI 要素の名称を利

用者に対して(既定として,又は利用者の求めに応じて)提示する
ことが望ましい。

8.1.6 

簡潔な名称及び見出しの提供 
ソフトウェア開発者が指定する UI 要素の名称及び見出しは,簡潔

な見出しを用いることは,視覚出力を利用する利用者だけでなく,

聴覚及び触覚出力を利用する利用者にとっても役立つ。

8.1.7 

アイコンに文字見出しを付けるかどうかの選択の自由 
ソフトウェアは,画像だけのアイコン,画像と文字見出しとが付い

たアイコン,又は文字見出しだけのアイコンの中から,利用者が選

択できるようにすることが望ましい。

64

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.1.8 UI

要素の見出しの適切な画面位置への配置 

ソフトウェアが UI 要素に付ける見出しは,その見出しが参照する

UI

要素に対して一貫した相対位置関係で表示することが望ましい。

プラットフォームソフトウェアに,見出しと被参照 UI 要素との位

置関係についての慣例があれば,それに従うことが望ましい。

8.2 

利用者の個人設定 

8.2.1 

利用者の個人設定の個人化 
ソフトウェアが,利用者の選好に合わせた個人設定を可能としてい
る場合,設定を容易に調節できるようにすることが望ましい。

8.2.2 

広く一般に用いられる UI 要素の属性調節 
作業目的にかなっている場合,ソフトウェアは,広く一般に普及し

ている UI 要素の属性を,利用者が調節できるようにすることが望

ましい。

8.2.3 

ユーザインタフェースの見かけと操作方式の個人化 
ソフトウェアは,コマンドボタンを変更する又はコマンドボタンを

隠すことを含めて,インタフェースの見かけと操作方式とを,利用

者が自分に合うように設定可能とすることが望ましい。

8.2.4 

キーボードフォーカスカーソル,テキストカーソル及びポインタの
個人化 
ハードウェアが対応している場合,ソフトウェアは,キーボードフ

ォーカスカーソル,テキストカーソル及びポインタの,形状,大き

さ,線の太さ,色,明滅の速さ(該当する場合)

,ポインタの軌跡

(該当する場合)などの属性を,利用者に個人化可能とさせなけれ

ばならない。

8.2.5 

利用者の好みについてのプロファイルの提供 
ソフトウェアは,入力及び出力の特性を含めて,利用者の個人設定
のプロファイルの作成,保存,編集及び呼出しを,状態及びデータ

の変更をもたらす再起動を実行せずに,利用者ができるようにする

ことが望ましい。

65

X 83

41-

6


99
99
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.2.6 

個人設定の場所によらない利用 
ソフトウェアは,利用者各自の個人設定を,利用者が容易に互換性
のあるシステムへ移し替えることができるようにすることが望ま

しい。

8.2.7 

応答の制限時間の利用者による調節 
利用者の応答の速さに制限を課すことが,目的若しくは活動を全う

するために不可欠な場合を除いて,又は現実の時間制約に基づく場
合(例えば,競売)を除いて,ソフトウェアは,ソフトウェアが指

定する利用者の応答時間の限定要素を,次の方法の幾つかで,利用

者が調節できるようにしなければならない。 
−  利用者は,時間切れを無効にできる。

−  利用者は,時間切れまでの時間を,既定の長さの少なくとも 10

倍までの範囲内で調節できる。

−  利用者は,時間切れに達する前に警告を与えられ,簡単な動作

(例えば,何らかのキーを押す。

)で,時間切れまでの時間を延

長できる,警告から延長要求までに少なくとも 20 秒のゆとりを
与える。

8.3 

アクセシビリティを調節する上での特別な配慮 

8.3.1 

アクセシビリティ機能用のコントロールの利用者による発見及び
操作 
ソフトウェアは,アクセシビリティ機能を“入り”又は“切り”に

する,及び調節するコントロールを,その機能を必要とする人が,
見つけることができ,かつ,操作できるようにしなければならない。

8.3.2 

アクセシビリティ機能の不用意な起動・解除に対する予防措置 
ソフトウェアは,アクセシビリティ機能の不用意な起動又は解除を

防ぐことが望ましい。

8.3.3 

アクセシビリティ機能への干渉の回避 
ソフトウェアは,プラットフォームのアクセシビリティ機能を無効
化又は妨害してはならない。

66

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.3.4 

アクセシビリティ機能の“入り”又は“切り”状況の利用者への通
 
ソフトウェアは,アクセシビリティ機能の“入り”又は“切り”の
状態が利用者から分かるようにすることが望ましい。

8.3.5 

アクセシビリティ機能が起動することの利用者への通知 
あるアクセシビリティ機能が意図せずに起動状態となる可能性が
ある場合,ソフトウェアは,そのアクセシビリティ機能を起動する

ことを利用者に通知し,利用者が起動を認めるか又は取り消すかを

選択できるようにすることが望ましい。

8.3.6 

表示したままにする設定 
利用者が,情報又はコントロールを,又は,表示するための UI 要

素(メニュー,コントロールなど)を起動したとき,行おうとする

作業に適している場合には,ソフトウェアは,それらを利用者が消
去するまでは,他の作業の間もずっとそれら情報又はコントロール

を消さないままにすることが望ましい。

8.4 

制御及び操作についての一般的な指針 

8.4.1 

入力・出力の代替手段の切替え 
プラットフォームソフトウェアは,システム又はアプリケーション

を再構成又は再起動することなく,利用可能な中から,利用者が代
替となる入力手段・出力手段を切り替えて利用できるようにするこ

とが望ましい。再構成又は再起動が,状態又はデータの変化をもた

らさない場合は,この限りではない。

8.4.2 

作業に要する操作数の最適化 
ソフトウェアは,ある作業に対してそれに要する利用者の手間が最
適となるように設計することが望ましい。

8.4.3 

元に戻す”及び/又は“確認”機能の提供 

ソフトウェアは,利用者が,少なくとも直前の利用者の行為を取り

消して元に戻す,及び/又は確認段階の間にその行為を中止するこ
とができる仕組みを提供することが望ましい。

67

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.4.4 

支援技術が作動しないときの代わりとなる手段の提供 
支援技術又は音声出力が利用できないソフトウェアの状態(例え
ば,システムの起動時)のときに,ある作業で利用者とのやり取り

が必要な場合,ソフトウェアは,利用者に対してその作業を完了す

るための代わりとなる利用者とのやり取りを必要としない手段を,
提供しなければならない。

8.4.5 

記録媒体のソフトウェアによる取出し 
ソフトウェアによる媒体の取出しが可能なハードウェアの場合,ソ

フトウェアは,利用者がソフトウェアによって媒体を取り出せるよ

うにしなければならない。

8.4.6 

コピー”及び“貼付け”操作の提供 

ソフトウェアは,文字入力を扱う全ての UI 要素に対して,

“コピー”

及び“貼付け”操作を可能とすることが望ましい。

8.4.7 

編集できない文字列に対する“コピー”操作 
ソフトウェアは,文字列を表示する UI 要素全てに対して,

“コピー”

操作ができるようにすることが望ましい。

8.4.8 UI

要素を選択することによる文字入力の代行 

コマンドの入力,ファイル名の入力のように,限られた選択肢の中

から選ぶ形で利用者が入力できる場合には,ソフトウェアは,利用

者が名前全部をキーボードから文字入力しなくても,候補中から選
ぶことができる手段を少なくとも一つ用意することが望ましい。

8.4.9 

警告又は誤り情報の継続表示 
ソフトウェアは,警告又は誤りの情報を,その誤り若しくは警告の

原因が解消しない限り,又は利用者が消去するまで,表示したまま

にするか,又は適切な形で繰り返し表示させなければならない。

8.4.10 

一貫した提示形式での利用者への通知 
警報,警告などの利用者への通知は,利用者が,それらの場所を見

つけ,情報の種類(例えば,警報なのか,エラーメッセージなのか)

を見極めることができる一貫した手法を用いて提示することが望
ましい。

68

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.4.11 

理解可能な形での利用者への通知 
警報,警告などの,ソフトウェアが与える利用者への通知は,短い
こと,単純であること,及び明瞭な言葉で書かれていることが望ま
しい。

8.4.12 

誤りの箇所への容易な移行 
利用者が形式に合わないデータを入力したことを,ソフトウェアが
検出したときには,ソフトウェアは,生じた誤りが何であるかが分
かり,誤りの生じた場所へとたどり着けるような形で,そのことを
利用者に対して通知することが望ましい。

8.5 

支援技術との両立性            閉じたシステムに対してはこの細分箇条の規定は適用しない 

8.5.1 

一般 

8.5.2 

ソフトウェアと支援技術との情報交換の実現 
プラットフォームソフトウェアは,8.5.58.5.10 の規定を満たす形
で,支援技術が他のソフトウェアとやり取りすることを可能にする
サービス一そろ(揃)いを,提供しなければならない。ソフトウェ
アが動作するプラットフォームがアクセシビリティサービスを提
供している場合,ソフトウェアが,それらのサービスを利用できる
ように,ソフトウェアツールキットを用意しなければならない。

8.5.3 

標準アクセシビリティサービスの利用 
UI

要素を提供するソフトウェアは,支援技術と協力して動作するの

に,プラットフォームが提供するアクセシビリティサービスを用い
なければならない。プラットフォームの標準アクセシビリティサー
ビスだけを用いたのでは,8.5.58.5.10 への適合が実現しない場合,
ソフトウェアは,サポートを受けることができ,公開資料があり,
支援技術によって実装されている他のサービスを利用しなければ
ならない。

8.5.4 

支援技術への UI 要素情報の提供 
ソフトウェアは,個々の UI 要素についての情報を 8.5.3 に規定する
とおり,支援技術に対して提供しなければならない。ただし,UI
要素のうち,より上位の要素の構成上欠かせない部分としての役割
しかもたない要素,入力を取り込まない要素及びそれ自身について
の何らの情報を伝える必要のない要素を除く。

69

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.5.5 

支援技術によるキーボードフォーカス及び選択の変更 
ソフトウェアは,UI 要素のキーボードフォーカス属性及び選択属性
を支援技術が変更することを,8.5.3 で規定するように,可能にしな

ければならない。

8.5.6 UI

要素の説明の提供 

UI

要素の役割属性及び名称属性では表現しきれない,視覚的又は聴

覚的内容を取り出すことが作業に必要な場合,ソフトウェアはこの
ような UI 要素に対して,説明を提供しなければならない。利用者

に,直接説明を提示するしないにかかわらず,説明は利用者にとっ

て分かりやすいものとし,支援技術が,8.5.3 に規定するように,標
準のプログラムインタフェースを通じてその説明を入手できなけ

ればならない。

8.5.7 

支援技術に対する事象通知の実現 
ソフトウェアは,利用者の行為に関連する事象を,8.5.3 に規定する
ように,支援技術に対して通知しなければならない。

8.5.8 

支援技術による利用資源の扱い 
機構的に可能である場合,ソフトウェアは,支援技術が組み込まれ

ているか又は直接に接続されているシステムのもつ共有利用可能

な資源を,支援技術が扱えるようにすることが望ましい。

8.5.9 

システム標準の入力及び出力 
ソフトウェアは,プラットフォームが提供する標準の入力及び出力

手段を利用しなければならない。これができないときは,標準の入

力及び出力手段で得られるものと同等の情報を,8.5.3 で規定するよ
うに,利用可能としなければならない。

8.5.10 

表の適切な提示 
表の形式で,又は,複数行若しくは複数列の形式で,情報を提示す

る場合,配置,行及び列の表題並びに提示するデータ間の表示形態

上の関係についての情報が,支援技術に対して,8.5.3 で規定するよ
うに,伝わらなければならない。

70

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

8.5.11 

キーボード及び/又はポインティングデバイス模擬機構の導入 
プラットフォームソフトウェアは,標準の入力装置と並行して作動
するキーボード及び/又はポインティングデバイス模擬機構を導

入できなければならない。

8.5.12 

支援技術による出力の監視 
プラットフォームソフトウェアは,支援技術が標準出力の動きにつ

いての通知を受け取り,各出力の動きに関連するデータとデータの
出所とを識別できる仕組みを用意しなければならない。

8.5.13 

支援技術の組合せ利用 
ソフトウェアは,同時に複数の支援技術が作動できるようにするこ

とが望ましい。

8.6 

閉じたシステム 

8.6.1 

閉じたシステム内の情報の取出し 
閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,視覚に
対して提示した全ての情報へと,利用者がキーボード又はキーパッ

ドを用いてキーボードフォーカスを移し,その内容を声で聞き取れ

るようにしなければならない。

8.6.2 

閉じたシステムに生じた変化の通知 
閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,キーボ
ードフォーカスの,状態又は内容のあらゆる変化を,音又は声で告

げるように利用者が指示可能としなければならない。

8.6.3 

触れて見分けられるコントロールによる操作 
閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,視覚に
よらなくても使える機構を用いて全ての機能を実行できる利用形

態を少なくとも一つ提供しなければならない。

8.6.4 

システムのアクセシビリティ機能の中継 
閉じたシステムで動く又は動かそうとするソフトウェアは,プラッ

トフォームのアクセシビリティ機能を中継又は実装しなければな
らない。

71

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

入力 

9.1 

代替入力手段 

9.1.1 

全ての標準入力機構からのキーボード入力の提供 
プラットフォームソフトウェアは,プラットフォームが備える標準

入力機構のそれぞれに対して,その機構からキーボード入力を生成
する手段を提供することが望ましい。

9.1.2 

ポインティングデバイスと並行するキーボードによる代替手段の
提供 
プラットフォームソフトウェアは,標準のポインティングデバイス

に対してキーボード(キーボード模擬機構を含む。

)による代替手

段を備え,キーボードを用いてポインタの動きの制御とポインティ

ングデバイスのボタン機能とを可能にしなければならない。キーボ

ードによる代替手段は,本来のポインティングデバイスと並行して
働くものでなければならない。

9.1.3 

ポインティングデバイスによるキーボードの働きの提供 
プラットフォームソフトウェアは,キーボードの働きをラッチ及び

ロックの制御も含めて,ポインティングデバイスによって代行可能
とすることが望ましい。

9.1.4 

音声認識サービスの提供 
ハードウェアが音声認識の機能を備えている場合,プラットフォー

ムソフトウェアは,その音声認識を利用するためのサービスを提供

するか,又はその上で動くアプリケーションからプログラムでその
音声認識を利用可能とすることが望ましい。

72

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.1.5 

システム全域で共通利用可能なつづ(綴)り検査ツールの提供 
プラットフォームソフトウェアは,誤りの可能性のあるつづりを指
摘し,つづりの候補が特定できれば提案する形でつづりを扱う,シ

ステム全域で利用できる支援を提供することが望ましい。利用者の

つづりに関しての能力を調べることが目的の一部である場合を除
き,アプリケーションソフトウェアは,システムのもつ,つづり検

査プログラミングサービスを(利用者が)使えるようにするか,又

はプラットフォームソフトウェアが提供していなければ,アプリケ
ーションソフトウェア自体がつづり検査機能を提供するかのいず

れかが望ましい。

9.2 

キーボードフォーカス 

9.2.1 

キーボードフォーカスとテキストカーソルとの提供 
ソフトウェアは,どの UI 要素がその時点でキーボードフォーカス

をもつかを目に見えるように示すキーボードフォーカスカーソル
と,文章要素中にフォーカスの位置を示すテキストカーソルとを,

提供しなければならない。

9.2.2 

視認性の高いキーボードフォーカスカーソル及びテキストカーソ
 
ソフトウェアは,

対角線長 38 cm

(15 インチ)

の大きさの画面に 1 024

×768 ピクセルの解像度で表示している場合,視覚に障害のない人

が,カーソルを動かさなくても 2.5 m の距離で見てとることができ

るキーボードフォーカスカーソル及びテキストカーソルの表示の
仕方を,少なくとも一つ用意しなければならない。

9.2.3 

キーボードフォーカスを再取得したときの状態の復元 
はじめに作業していたウィンドウから,一旦他のウィンドウへ移動

し,再度最初のウィンドウに戻ったとき,ソフトウェアは,キーボ
ードフォーカス,選択部分及びアクティブか非アクティブかの状態

を,最初に作業していたウィンドウの状態に復元することが望まし

い。ただし,利用者が状態を復元しないことを,明示的に指示する
場合を除く。

73

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.3 

キーボード入力 

9.3.1 

一般 

9.3.2 

キーボードからの全ての利用 
ソフトウェアは,キーボード(又はキーボード模擬機構)入力操作

の時間的側面を入力情報として用いずに,全ての作業をキーボード
(又はキーボード模擬機構)を用いて実行する選択の自由を利用者

に対し与えなければならない。ただし,行おうとする作業が入力操

作の時間的側面を入力情報として必要とする場合を除く。

9.3.3 

複数キー同時押しの逐次操作 
幾つかのキーの組合せ及びキーとマウスボタンとの組合せを,利用
者が同時に押すのではなく,一つずつ逐次に押して入力できるよう

に,ソフトウェアは,修飾キー[オペレーティングシステムによっ

て異なるが,例えば,シフト(Shift)キー,制御(Ctrl)キー,コ
マンド(Command)キー,Alt キー又は Option キー]を,利用者が

ロック又はラッチできるようにしなければならない。

9.3.4 

キーの押下げ受け付けまでの時間長の調節 
ソフトウェアは,キーを押したと認められるまでキーを押し続ける
時間を,2 秒を含む範囲内で利用者が調節できるようにしなければ

ならない。

9.3.5 

同一キーの 度押下げ防止時間長の調節 
ソフトウェアは,ある時間内に同じキーが続けて押されたら,後続

のキー押しを無視する時間長を,0.5 秒を含む範囲内で,利用者が
調節できるようにしなければならない。

9.3.6 

キー反復の速さの調節 
ソフトウェアは,キー反復の速さを 2 秒間に 1 回を下限として,利

用者が調節できるようにすることが望ましい。

9.3.7 

キー反復開始までの時間長の調節 
ソフトウェアは,キーを押したと受け付けたときからキー反復が始
まるまでの時間長を,2 秒を含む範囲内で利用者が調節できるよう

にすることが望ましい。

74

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.3.8 

キー反復有効又は無効の利用者による設定 
キー反復機能を備えているソフトウェアは,利用者がその機能を無
効にすることを可能としなければならない。

9.3.9 2

状態交互切替えキーの状態通知 

ソフトウェアは,二つの状態を交互にとる,又は三つ以上の状態を

巡回してとるキーの状態変化についての情報を,利用者に対して視

覚及び聴覚の両形式で提供することが望ましい。

9.3.10 

アクセラレータキーの提供 
ソフトウェアは,多用する機能に対してアクセラレータキーを提供

することが望ましい。

9.3.11 

指示子(明示的又は暗示的)の提供 
ソフトウェアは,入力を取り入れ,かつ,文字見出しを表示する全

ての UI 要素に対して,既定として表示する明示的又は暗示的指示
子を,キーボードから入力可能な文字,及びプラットフォームの慣

例の範囲内で提供することが望ましい。明示的指示子及び暗示的指

示子は,コンテクスト内で互いに重複しないことが望ましい。重複
が避けられない場合には,利用者が意図しない操作を実行してしま

わないように,重複する指示子の中から選択指定できるようにする

ことが望ましい。

9.3.12 

アクセシビリティ機能用のアクセラレータキーの確保 
表 左列のアクセラレータキーを,右列に示す目的に割り当てるよ
うに確保しなければならない。

9.3.13 

キーボード機能の再割当ての実現 
プラットフォームソフトウェアは,ハードウェアの制約がない限

り,全てのキーとそのキーの働きとの対応付けを利用者が変更可能
とすることが望ましい。その種のシステムで動くソフトウェアは,

プラットフォームのキーボード機能の割当て変更に対応すること

が望ましい。

75

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.3.14 

キーボードのナビゲーション機能と起動機能との分離 
ソフトウェアは,利用者に対して,情報の提示への効果だけをもた
らすように,キーボードフォーカスを動かす手段を提供しなければ

ならない。情報の提示以外の効果をもたらすことをはっきりと示

す,キー押しなどの利用者の操作を提供しなければならない。

9.3.15 

プラットフォームでのキーボード利用慣例の重視 
ソフトウェアは,そのソフトウェアが動くプラットフォームで決ま
っている慣例に従って,キーボードからの入力を取り入れることが

望ましい。

9.3.16 

リスト及びメニューにおけるナビゲーションの促進 
ソフトウェアは,メニュー及びリスト内でのキーボードを用いるナ
ビゲーションを容易にする仕組みを,提供することが望ましい。

9.3.17 

コントロールをグループ化することでのナビゲーションの促進 
操作対象のコントロールが多数である場合,コントロールをグルー

プ化して,ナビゲーションを容易にすることが望ましい。

9.3.18 

作業目的に沿った順序でのコントロールの配置 
利用者が,コントロールのナビゲーションをキーボードを用いて行
うときに,利用者の作業の順序に沿って進んでいけるようにコント

ロールを配置することが望ましい。

9.3.19 

利用者自身によるアクセラレータキー設定の個人化 
ソフトウェアは,アクセラレータキーとその働きとの対応付けを,

利用者が自分に合わせて設定可能とすることが望ましい。

9.4 

ポインティングデバイス 

9.4.1 

一般 

9.4.2 

外付け装置からの直接のポインタ位置制御 
プラットフォームソフトウェアは,ソフトウェア(ポインティング
デバイスのドライバを含む。)に対して,ポインタの位置決めを直

接に可能にするサービスを提供しなければならない。さらに,ポイ

ンティングデバイスのドライバは全てポインタを直接的に位置決
めできるものでなければならない。

76

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.4.3 

ポインティングデバイスで選択しやすいポインティング目標の提
 
ポインティングデバイスで選択する目標の大きさは,選択しやす

さ,まとまりのもたせやすさ,及び隣り合う UI 要素との隔たりの

点で,最適であることが望ましい。

9.4.4 

ポインティングデバイスボタンの機能割当ての変更 
プラットフォームソフトウェアは,ポインティングデバイスの各ボ
タンの機能を,利用者が割り当て直すことを可能にしなければなら

ない。

9.4.5 

ポインティングデバイスの複雑な操作に対する代替入力方法の提
 
ソフトウェアは,複数回のクリック(すなわち,ダブルクリック又

はトリプルクリック)

,同時操作(例えば,マウスのボタンを押し

ながら,マウスを移動させる。

,又は時間的な若しくは空間的なし

ぐさ(例えば,運筆動作又は指定時間ボタンを押し続ける。)によ

って行う利用者の活動を,複数回のクリック,同時操作又はしぐさ

を必要としない方法で,ポインティングデバイスによって行えるよ
うにすることが望ましい。

9.4.6 

ポインティングデバイスボタンの押下げ固定 
ソフトウェアは,ポインティングデバイスのボタンを,クリックと

して受け付けられる時間まで押し続けなくても,利用者が,UI 要素

を直接操作する,コントロールを起動する,又はメニューを開いた
ままにすることができる手段を提供しなければならない。

9.4.7 

ポインティングデバイスボタンの押下げ受け付けまでの時間長の
調節 
ソフトウェアは,押し下げたと受け付けられるまでポインティング
デバイスのボタンを押し下げ続ける時間の長さを,1 秒を含む範囲

内で利用者が調節できるようにすることが望ましい。

77

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.4.8 

ドラッグしたとみなす最小の移動距離の調節 
ソフトウェアは,ポインティングデバイスのボタンを押しながらポ
インタを移動させたとき,どれだけ移動させたらドラッグ操作とみ

なすかの最小距離を,利用者が調節できるようにすることが望まし

い。

9.4.9 

複数回クリック時の諸特性の調節 
ソフトウェアは,ダブルクリック,又はトリプルクリック操作とし
て受け付けられるための,クリック間最大時間間隔及びクリック間

でのポインタの最大許容移動量を,利用者が調節できるようにしな

ければならない。

9.4.10 

ポインタの移動速さの調節 
ソフトウェアは,ポインティングデバイスの動きに応じてポインタ

が動く速さ又は比を,利用者が調節できるようにしなければならな

い。

9.4.11 

ポインタの加速の仕方の調節 
ソフトウェアがポインティングデバイスの動きを加速してポイン
タの動きとしている場合,ソフトウェアは,全く加速しないことも

含めて,ポインタの動きの加速の大きさを調節できるようにしなけ

ればならない。

9.4.12 

ポインタの移動方向の変更 
ソフトウェアは,ポインティングデバイスの動きに応じてポインタ

が動く方向を,利用者が調節できるようにすることが望ましい。

9.4.13 

ポインタを見つける手段の提供 
ポインタが,背景に対して大きな対比をもたないことがある,他の

陰に隠れることがある,又は文章よりも太く及び大きく表示されな
いことがある場合には,プラットフォームソフトウェアは,利用者

が,ポインタの現在位置を見つけられる機構を提供しなければなら

ない。

78

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

9.4.14 

ポインティングデバイスの同時操作に対しての代替手段の提供 
ソフトウェアは,複数のキー又はボタンを組み合わせて同時に押す
操作に対して,同時に押さずに済む代替手段を提供しなければなら

ない。同時に押すのは,ポインティングデバイスのボタンの場合も,

キーボードのキーとポインティングデバイスのボタンとの場合も
ある。

10 

出力 

10.1 

出力についての全般的指針 

10.1.1 

発作を誘発する速さの明滅の回避 
ソフトウェアは,光過敏性発作障害のある人に発作を引き起こすお
それのある明滅を,避けなければならない。

10.1.2 

時間とともに変化する情報提示方法の利用者による制御 
動く,点滅する,スクロールする,又は自動的に書き換わる情報を

提示する場合は,ソフトウェアは,それらの提示を利用者が停止又
は一時停止できるようにしなければならない。ただし,単純な進行

度表示の場合は除く。

10.1.3 

仕事に重要な音及び映像に対するアクセシブルな代替情報の提供 
仕事に重要な情報を音又は映像で提示する場合,ソフトウェアは,

等価な内容をアクセシブルな代替形式で提示しなければならない。

10.2 

視覚出力(表示) 

10.2.1 

利用者による図の属性の調節 
図の判読性を高めるため,ソフトウェアは,内容の提示に用いる図
の属性を,その意味を変えることなく,利用者が変更できるように

することが望ましい。

10.2.2 

ロービジョンの利用者が利用できる形態での視覚情報の提供 
ソフトウェアは,矯正視力 0.1∼0.28 の範囲の利用者が,音に頼ら
ずに利用可能な形態の視覚情報を,少なくとも一つ提供することが

望ましい。

79

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

10.2.3 

図を描く要素としての文字利用の抑制 
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)においては,文章記述に
用いる文字は,文にだけ用い,線,箱などの図記号を描くのに用い

ないことが望ましい。

10.2.4 

装置画面外の表示情報のキーボードによる扱い 
仮想画面(例えば,デスクトップ)が実際の装置画面より大きく取

られていて,何らかの情報が装置画面からはみ出している場合,プ
ラットフォームソフトウェアは,そのはみ出した情報をキーボード

で扱うことのできる機構を提供しなければならない。

10.3 

文章及び字体 

10.3.1 

字体の外見上の属性だけに頼らない情報伝達 
ソフトウェアは,字体の外見を決める属性だけを用いて,情報を伝

えない又はシステムの動作を示さないことが望ましい。

10.3.2 

利用者による字体の最小の大きさの設定 
ソフトウェアは,情報を提示する字体の最小の大きさを,利用者が

設定できるようにすることが望ましい。

10.3.3 

字体の大きさ変更に応じた UI 要素の大きさ及び配置の調整 
UI

要素に使われている文字の大きさの変化に対応するように,ソフ

トウェアは,UI 要素の拡大縮小,配置の調整を行うことが望ましい。

10.4 

 

10.4.1 

色だけに頼らない情報伝達 
ソフトウェアは,色だけで情報を伝える又はシステムの動作を示す
ことをしてはならない。

10.4.2 

障害のある人向けの配色 
何種類かの配色を用意しているソフトウェアは,障害のある人が使

うように設計した配色をその中に含めることが望ましい。

10.4.3 

配色の個人化 
配色を用いるソフトウェアは,前景色と背景色との組合せも含め,
自分に合わせた配色を,利用者が作り上げ,保存し,自分用に設定

できることが望ましい。

80

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

10.4.4 

利用者による色使いの個人化 
業務用の基幹システム向けに,警告又は警報を標準化している(例
えば,赤はネットワークの故障を表す。)場合を除き,ソフトウェ

アは,選択されていることを表すのに,処理中であることを表すの

に,並びに UI 要素の種類及び状態を表すのに用いる色を,利用者
が自分に合わせて設定できるようにすることが望ましい。

10.4.5 

対比の大きい前景色と背景色との組合せ 
ソフトウェアが既定とする前景色及び背景色(色相及び明度)の組

合せは,色を知覚する能力がどうであろうとも対比をもつ組合せと

することが望ましい。

10.5 

ウィンドウの外観及び振る舞い 

10.5.1 

意味のく(汲)める一意なウィンドウの標題 
全てのウィンドウには,同じソフトウェアが表示する他のウィンド
ウと同じではない,意味のくめる標題を付けることが望ましい。こ

れは,例え同一の UI 要素を,幾つかのウィンドウが多面的にそれ

ぞれ表示する場合であっても同じである。

10.5.2 

システム全域にわたって一意なウィンドウの標題 
ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,全てのウ

ィンドウに対してそのときシステム上にある他のウィンドウと重

複しない標題をもたせることが望ましい。

10.5.3 

ウィンドウへのポインティングデバイスを用いないナビゲーショ
 
ソフトウェアは,キーボードなどの非ポインティングデバイスを用

いて,キーボードフォーカスを受け取ることができる全てのウィン

ドウへと利用者がキーボードフォーカスを移せるようにしなけれ
ばならない。

10.5.4 

ウィンドウの最前面への固定 
ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,あるウィ

ンドウが絶えず他のウィンドウの前面にあるように設定可能とし
なければならない。

81

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

10.5.5 

複数の“常に最前面”ウィンドウの利用者による管理 
ウィンドウを管理するプラットフォームは,

“常に最前面”に設定

するウィンドウの選択,又はウィンドウの“常に最前面”設定を解

除することの選択を,利用者に可能にしなければならない。

10.5.6 

キーボードフォーカス及びポインタが重なったウィンドウに及ぼ
す効果の利用者による選択 
ソフトウェアは,キーボードフォーカス又はポインタを受け取った
ウィンドウを,自動的に他のウィンドウ(

“常に最前面”ウィンド

ウは除く,10.5.4 参照)の前面に置くか,又は重なり状態をそのま

まにするかを,利用者が選択できるようにすることが望ましい。

10.5.7 

ウィンドウの位置の調節 
ソフトウェアは,ダイアログボックスも含め全てのウィンドウの位

置を変える手段を,利用者に提供しなければならない。ウィンドウ

を管理するプラットフォームソフトウェアは,ウィンドウの位置を
固定しようとする他のソフトウェアによる設定を無効にする選択

の自由を,利用者に与えなければならない。

10.5.8 

ウィンドウの大きさの調節 
ソフトウェアは,ダイアログボックスも含め全てのウィンドウの大

きさを変更する手段を,利用者に提供することが望ましい。ウィン
ドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,ウィンドウの大

きさを固定しようとする他のソフトウェアによる設定を無効にす

る選択の自由を,利用者に与えることが望ましい。

10.5.9 

ウィンドウの最小化,最大化,元の大きさに戻す及び閉じる操作の
提供 
ウィンドウを重なり合うように配置できる場合,ソフトウェアは,

そのソフトウェアのウィンドウを最小化する,最大化する,元の大
きさに戻す及び閉じる選択の自由を利用者に対して与えることが

望ましい。

82

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

10.5.10 

キーボードフォーカスを受け取らないウィンドウ 
ウィンドウを管理するプラットフォームソフトウェアは,ウィンド
ウがキーボードフォーカスを受け付けないようにすることができ

なければならない。キーボードフォーカスを受け付けないように指

定されているウィンドウには,キーボードフォーカスを割り当てな
い。

10.6 

聴覚出力 

10.6.1 

音の変化パターンによる情報の伝達 
情報を聴覚を介して伝える場合,ソフトウェアは,音の大きさ又は

高さそのものを用いるのではなく,音の大きさの又は高さの変化パ

ターンを用いることが望ましい。

10.6.2 

音量調節の提供 
ソフトウェアは,聴覚出力の音量を,利用者が調節できるようにし
なければならない。

10.6.3 

非話声音に用いる適切な周波数範囲 
ソフトウェアで用いる,作業に密接に関連する非話声音の基本周波

数は,500∼3 000 Hz の範囲であることが,又は利用者が容易にその
範囲に調節できることが望ましい。

10.6.4 

聴覚出力の調節の提供 
ソフトウェアは,作業に密接に関連する聴覚出力の周波数,速さ,

音内容などの属性を利用者が調節できるようにすることが望まし

い。

10.6.5 

背景音とそれ以外の音との個別の制御 
背景音とそれ以外の音とが別々のトラックに記録されている場合,

ソフトウェアは,それぞれの音トラックの音量の制御を及び/又は

それぞれの音トラック出力の入り・切りを,利用者に可能とするこ
とが望ましい。

10.6.6 

注意,警告に用いる特定の周波数の音 
ソフトウェアが用意する警報その他の警告音は,少なくとも二つの

中低音域(推奨する範囲は,500∼3 000 Hz 及び 300∼750 Hz)の音

を含むことが望ましい。

83

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

10.6.7 

聴覚出力の代替となる視覚情報の利用者による選択 
ハードウェアで聴覚出力と視覚出力との両方が使える場合,プラッ
トフォームソフトウェアは,作業に密接に関連する聴覚出力(警報

音を含む。

)を視覚形式で,聴覚形式で,又はそれらの両形式で受

け取ることを,利用者が選べるようにしなければならない。また,
そのプラットフォーム上で稼動するソフトウェアは,利用者のその

選択に対応しなければならない。

10.6.8 

等価な聴覚情報の視覚的事象との同期 
ソフトウェアは,等価な聴覚情報を,それと関連する視覚的事象に

同期させなければならない。

10.6.9 

音声出力サービスの提供 
ハードウェアで音声合成が可能な場合,プラットフォームソフトウ

ェアは,その上で動くアプリケーションが音声出力を利用できるサ

ービスを提供しなければならない。

10.7 

音情報と等価な文章(字幕) 

10.7.1 

用意された全ての字幕の表示 
聴覚情報を提示するソフトウェアは,その聴覚情報に関連する字幕
を表示する手段を備えなければならない。

10.7.2 

システム全域にわたる字幕の制御 
プラットフォームソフトウェアは,利用者が字幕があればそれを表

示するように,どのソフトウェアに対しても,システム全域に通用

する設定で指示可能とすることが望ましい。

10.7.3 

字幕の有効又は無効の設定 
字幕を提示するソフトウェアは,別に指定されない限り,システム

全体にわたる字幕の有効・無効の設定を利用しなければならない。

この設定が,再生途中で変更されたときには,新たな設定に従わな
ければならない。

10.7.4 

内容表示の妨げにならない字幕の位置 
字幕を提示するソフトウェアは,表示している内容をできるだけ邪

魔することがない位置に,字幕を出すことが望ましい。

84

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

10.8 

媒体上の情報 

10.8.1 

利用者による,開始,停止及び一時停止の制御 
ソフトウェアは,利用者が媒体上の情報の提示を開始する,停止す

る及び一時停止することを可能にしなければならない。

10.8.2 

利用者による,もう一度再生,巻き戻し,一時停止及び早送りの制
 
行う仕事に適切である場合,ソフトウェアは,利用者にもう一度再

生する,巻き戻す,一時停止する及び早送りする又は先に飛ぶこと
を,可能にすることが望ましい。

10.8.3 

利用者による複数の媒体の提示管理 
行う仕事に適切である場合,ソフトウェアは,複数の媒体のどれを

提示するかを,利用者が選べるようにすることが望ましい。

10.8.4 

内容変更に合わせた代替となる情報の更新 
ある記録媒体の内容が変更されたときには,ソフトウェアは,等価
な情報を提供する代替手段(例えば,字幕,映像内容の音声説明)

を,変更された内容に即して更新できることが望ましい。

10.9 

触覚出力 

10.9.1 

触覚だけに頼らない情報の伝達 
ソフトウェアは,触覚出力だけを用いて情報を伝える又は動きを示

すことをしないことが望ましい。

10.9.2 

なじみのある触覚パターンの採用 
ソフトウェアは,情報を触覚で提示するのに,周知の(日常でなじ
みのある)触覚パターンを用いることが望ましい。

10.9.3 

触覚出力の調節 
ソフトウェアは,不快さを感じる,痛みを感じる,又は傷を負うこ

とのないように,利用者が触覚出力の特性を調節できるようにする
ことが望ましい。

11 

オンライン資料,ヘルプ及び支援サービス 

11.1 

資料及びヘルプ 

85

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


表 C.1−この規格の適用の可否及び適合性査定のためのチェックリスト(続き)

箇条・細

分箇条

要求事項又は

推奨事項

適用の可否

適合性

適用できない理由

備考

11.1.1 

分かりやすい資料及びヘルプの提供 
製品の資料及びヘルプは,仕事で使う語彙を用いて可能な範囲にお
いて,簡潔,明瞭な言葉で書くことが望ましい。

11.1.2 

利用者にとってアクセシブルな電子的形式での資料の提供 
全ての利用者向け資料及びヘルプは,該当する文書アクセシビリテ
ィ標準を満たす電子的形式で提供しなければならない。資料は,製
品とともに又は求めに応じて適時に,かつ,追加請求なしに提供し
なければならない。

11.1.3 

電子資料及びヘルプに対する代替テキストの提供 
ソフトウェアが絵及び図を用いて提示する情報は,画面読取り機
構,印刷又は点字翻訳に適した説明文としても提供し,代替手段で
読めるようにしなければならない。

11.1.4 

具体的装置の不必要な参照をしない教示及びヘルプの記述 
ソフトウェアについての教示及びヘルプは,利用者の操作とその結
果とを示すのに,ある装置を具体的に参照する書き方ではなくある
範囲の装置のいずれにも通じるような書き方とすることが望まし
い。具体的な装置(例えば,マウス又はキーボード)に言及するの
は,与える助言の理解に重要かつ不可欠なときだけにすることが望
ましい。

11.1.5 

アクセシビリティ機能についての資料及びヘルプの提供 
ソフトウェアのヘルプ又は資料は,アクセシビリティ機能が利用可
能かどうかの一般的情報並びに各機能の目的及び使い方について
の情報を,提供しなければならない。

11.2 

支援サービス 

11.2.1 

アクセシブルな支援サービスの提供 
ソフトウェアについての技術サポート及び利用者サポートのサー
ビスは,障害のある最終利用者の情報伝達上の必要性を考慮したも
のでなければならない。

11.2.2 

アクセシブルな教育訓練教材の提供 
製品の一部として教育訓練を提供している場合,教育訓練の教材
は,該当するアクセシビリティ標準を満たしていることが望まし
い。

86

X 83

41-

6


20
13
 (ISO 9

2

4

1

-17
1


20
08)


87

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

附属書 D 
(参考)

活動制限事項

D.1 

一般 

この附属書は,ソフトウェアシステムの利用に関係する活動に対する代表的な制限がどこからもたらさ

れるか,及びアクセシビリティに向けた設計にそれらの制限がどのように関係するかについて,更に,詳

しく示す。

制限をもたらすものについては,例えば,ICF 分類([55]参照)で用いられているように,基礎をなす身

体機能と関連して記述することが多い。しかし,例えば,文字が読めないために利用ができないという制

限は,照明が暗くて文字が読めないという場合のように,身体機能とは別のものからもたらされることも

ある。

この附属書では,ICF 分類中の次の三つの領域をソフトウェアシステムとのインタラクションにとって

重要であるとして扱う。

a)

視聴覚を含む感覚機能。

b)

神経筋骨格機能及び運動機能。

c)

注意,記憶及び言語を含む精神機能。

さらに,制限を生じさせる複合した要因が身体機能上アクセシビリティに及ぼす影響についても言及し

ている。

D.2 

感覚機能 

D.2.1 

視覚 

多くのインタラクティブなソフトウェアシステムでは,

利用者と技術との間のやり取りの主要な部分を,

視覚に提示する題材が占めている。

D.2.1.1 

利用者がものを見ることができない場合 

利用者がものを見ることができない場合は,視覚以外の残存感覚を使わざるを得ないので,これらの感

覚を介して同等の内容及び資源にアクセスできるような適切な対策を講じる必要が生じる。さらに,例え

ば,運転者が GPS システムの画面を運転中に見ることができないように,通常の視覚をもっていても,状

況又は行うべき作業に関連した理由で画面を見ることができない場合がある。

インタラクティブシステムで利用する代表的な非視覚形式のインタフェースは,聴覚又は触覚を利用す

る。視覚インタフェースの代替手段として用いられるにせよ,それ自体として用いられるにせよ,次の事

項が主たる問題となる。

−  聴覚又は触覚表示によって与える情報の受け取り方,視覚提示と連結して与えるか否か。

−  聴覚環境又は触覚環境でのナビゲーションの仕方,及び/又は視覚提示した要素間のナビゲーション

を等価に実現する仕方。

−  ユーザインタフェース要素の識別の仕方。

−  キーボード,ジョイスティック,音声などの操作手段を介した,フォーカス,ナビゲーションなどの

働きの実現の仕方。

目の見えない人の中には,専用の支援技術を利用する人がいる。例えば,点字を習得した人は,画面内


88

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

容を点字で出力するソフトウェア及びハードウェアを活用できる。成人後に失明した人は,聴覚を利用す

る別種の新しい技能を習得し,これを用いて情報を得ることはできるものの,点字を読む技能を習得する

可能性は低い。

画面読取り機構とは,ウィンドウ,コントロール,メニュー,画像,文章などの通常は画面上に視覚的

に表示される対象について音声による情報を提供する支援ソフトウェアであり,情報伝達を主として音声

に頼らなければならない人に役立つ。

他に Braille 点字又は Moon 触字

1)

で表示する動的触覚表示装置を利用する技術もある。

1)

 Moon

触字とは,目の見えない人向けの触字表記法の一つで,字は曲線で構成される。

空間的関係に基づくインタラクション及び視覚的類似性の利用は,視覚以外の感覚で等価な情報を受け

取るという点で,目の見えない人にとっては大きな困難をもたらす。それゆえ,文章だけに限らず視覚的

に与える全ての情報を,他の感覚を用いて表示できるように,支援技術が入手できることが重要である。

さらに,視覚的に表示する代わりに音声出力を利用する場合には,それを聞き取ろうとするときにその

他の聴覚出力への傾聴がおろそかになりかねない問題を生じる可能性がある。点字その他の触覚表示はこ

の場合に助けとなる。

D.2.1.2 

ロービジョンの人 

ロービジョンの人は,目の見えない人向けの技術(例えば,画面読取り機構)を利用することが多い。

しかしながら,ロービジョンの人にとってできるだけ残存視力を活用するみち(途)を探すことは重要で

ある。目は例え制限があったとしても非常に強力な働きをもっていて,ロービジョンの人を目の見えない

が如き状況に置くことは望ましくない。

視覚技術と聴覚技術(触覚もときには利用されるが,極めて視力の弱い人を除いて一般的ではない。

)と

の組合せが効果を上げることが多い。

視覚は生涯を通じて変化し,成人後は加齢とともに減退する傾向があるのは広く経験されている。さら

に,低視力,色覚の異常,対比感度の低下,奥行き知覚の喪失,視野の狭まりなどいろいろな要因が,視

覚提示されたものを見る及び見分ける能力に影響を及ぼすこともある。日射のまぶしさ,演色性の悪い光

源などの環境要因が同様な結果をもたらす場合もある。視力の落ちた人は,最適に視力矯正をした場合で

も,普通の文を読むのに困難を覚えることが多い。

アクセシビリティ向上の主要な進め方は,視覚を妨げる外的要因を排除する他に,視覚的に提示する題

材を,より視認しやすいものへ及びより判別しやすいものへと変える手段を提供することである。人は,

視力の弱い条件下でシステムを利用するときに,大きさの違い,字体の違いを見分けること,ポインタ,

キーボードフォーカスカーソル,テキストカーソル,ドロップターゲット,ホットスポット,直接操作用

のハンドルなどのユーザインタフェース要素を見つけたり,動かしたりすることが,格段に困難になるこ

とがある。

視覚に表示する題材の大きさ,対比及び全体的な視認性を増大する手段を提供する,色及び色の組合せ

を選べるようにするなどの支援の仕方がある。どの場合にも,何が求められるかは,各人の視覚の具体的

必要性に依存し,さらに,どの程度まで個人化が可能かに依存する。よく利用する支援技術には,大形画

面,大きな字体,対比の増強,表示の一部を拡大するハードウェア及びソフトウェアなどがある。

さらにまた,携帯電話,携帯情報端末,券売機などの小さな表示を読む必要がある場合にも,目の見え

ない又はロービジョンの場合は,困難を生じる可能性がある。

D.2.2 

聴覚 

聴覚フィードバック(音声でも非音声でも)及び自動音声認識による利用者入力は,ソフトウェアとの


89

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

インタラクションの重要な要素となってきている。

D.2.2.1 

利用者が音を聞き取ることができない場合 

利用者に音が聞こえない場合は,

聴覚形式で提示される情報に気付くことも聞き分けることもできない。

90 dB

未満の音を聞き取れるかどうかが,一般に,音の聞取り不能の判断基準とされる。例えば,周囲雑

音が大きい,聴覚保護具を使っているなどの場合のように,システムの発生する信号を人が聞き取れない

場合に,障害を引き起こす環境となる。この種の情況を,人のシステム利用上の能力を狭めるものとみな

して対処する必要がある。このような情況下では,問題の素因を取り除くような解決策が望ましい。しか

しながら,実際上この解決策が取れないときには,通常の環境でも聞き取れない人向けの適切なソフトウ

ェアを利用する解消策を講じることになる。

ソフトウェアシステムとやり取りするとき,重要な情報が聴覚的な形式でしか提示されないとしたら,

耳の聞こえない利用者には大きな問題となる。したがって,聴覚情報を他の感覚に対して提示できること

が重要である。例えば,話声情報を,周知の図記号で,テキスト形式で,又は“サウンド解説”機能(こ

の機能は,聴覚情報を視覚形式で提示するようソフトウェアに通知する。

)で提供することができる。この

種の手法は,周囲の騒音で音が妨害される状況(例えば,機械工場内)又は音が止められている若しくは

利用できない状況(例えば,図書館)にある人にとっても有益となる。

聴覚情報を取り入れられない人々は,また発声及び話声機能にも制限を経験することがある。このこと

は,音声入力システムが認識できるように発声することが難しいことを意味しており,音声認識利用の技

術を組み込もうとする場合に考慮する必要がある。さらに,その国の言葉を第 2 言語としている場合(生

まれつき又は幼児期に耳が聞こえなくなった人にとって,手話が第 1 言語である場合が多い。

,習得言語

の認知様式の側面が,聴覚に代えて視覚に提示するのに用いる言語の形式に影響する。

耳の聞こえない人は,双方向音声応答システムのようなソフトウェアと,ろう(聾)者用通信装置(TDD)

文字電話(TTY)

,リレーサービス(話声を人手で文章として文字入力し,それを利用者に中継する。

)な

どを介してやり取りすることがある。この種のアプリケーションを,耳の聞こえない利用者にとってアク

セシブルとなるように,及び不要な応答時間制限を課して情報の交換を実質上不可能にしないように,設

計することが重要である。

D.2.2.2 

聴力の減退している場合 

人は,その個人の能力の結果として及び外的な妨害要因の結果として,聴覚情報の聞取り及び判別に困

難を覚えることがある。その場合に生じる問題には次のものがある。

−  音に気付くことができない。

−  周波数の変化を聞き分けられない,ある範囲の周波数の音への感度が低下する。

−  音の来る方向が分かりにくい。

−  周囲の雑音から音を聞き分けにくい。

−  聴覚情報を聞き誤ったために,又は聞き取れないために適切に応答できない。

耳の聞こえない人の場合と同じく,聴覚に提示するのと同等の情報を他の感覚を介して,例えば,

“サウ

ンド解説”機能を用いて,提供するのがアクセシビリティ確保の主な方策である。

さらに,聴覚の減退した人は,聴覚提示の仕方(例えば,音量を上げる,周波数のある範囲を選択的に

変化させるなど)を個人ごとに合わせる働きを通じて,聴覚情報を調節することもある。

聴力の減退している人が,補聴器を必ず使うとは限らないが,補聴器という支援技術で,ソフトウェア

システムからの候補中から選んで入力する形式をある程度まで活用できるので,その形式の入力が使える

ことは,アクセシビリティを高める。聴力の減退している人は,多少にせよ聞こえたものを他の感覚と組


90

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

み合わせて利用する(例えば,音と字幕)ことが多い。

最後に,耳の聞こえない人の場合と同じく,聴力の減退している人は,発声及び話声に制限を感じるこ

とがある。

このことは,

音声入力システムが認識できるように発声することが難しいことを意味しており,

音声認識利用の技術を組み込もうとする場合に考慮する必要がある。

D.2.3 

触覚 

人によっては,疾病,事故,加齢などによって触覚の感度が低下する。こうした場合,何らかの形の触

覚出力においての妨げとなる。

情報を様々な形式で得られるようにすることは,

この解決にも重要である。

また,その感覚が利用者によっては不自由なこともある(例えば,糖尿病では視覚と指先の感覚とが失わ

れることがある。

)ので,どの感覚が代わりに使えるかを予断しないことも重要である。

D.3 

神経筋骨格系及び運動関連機能 

D.3.1 

一般 

ソフトウェアとのやり取りは,人が用いる入力・出力の方法に高度に依存している。体全体を移動させ

られるかは必ずしも決定的な要因ではないが,四肢及び手指を動かす能力(関節及び骨の可動性及び安定

性によるものか,筋肉の出力,張り,持続機能によるものか,動作の随意又は不随意の制御によるものか

を問わず)は,やり取りをうまく行う上で不可欠である。ソフトウェアの設計では,想定する利用者特性

の質的・量的範囲に配慮する必要がある。

D.3.2 

運動機能に制限のある人 

運動機能に及ぼす多数の要因が考えられる。活動制限の原因には機能障害がある。機能障害には,長期

及び/又は進行性のもの,一時的なもの,状況がもたらすもの(例えば,ソフトウェアとやり取りしなが

ら他の作業を行わなければならない。

,がある。具体的な問題には,動作の協調がうまくいかない,筋力

が弱い,可動範囲が狭い,不随意の動き(震え,無定位運動症)

,体のある部分を動かしにくいなどがある。

痛み,皮膚の損傷もまた,入力するのに他の手段を用いざるを得なくなるという点で身体能力の制限をも

たらすこともある。人は,加齢によって,反応時間及び動作の遅れを生じることがある。

アプリケーションの設計においては,限られた時間内に応答を必要とするソフトウェアは,この点を考

慮に入れて利用者の動きに十分な時間のゆとりを確保する必要がある。

動きに制限のある人は,支援技術を使うことも使わないこともある。支援技術として採用できるハード

ウェア及びソフトウェアは非常に多様であり,したがって,ここでは全てを詳細に説明できない。

支援技術の例としては,視線追跡装置,画面キーボード,音声認識,代替ポインティングデバイスなど

がある。

運動機能に制限のある人が必要とすることとできることには極端に幅があるので,入力装置の特性を個

人個人に適切に合わせる働きがアクセシビリティ達成の上で不可欠となる。特に,機能性を空間的にどう

割り当てるかという観点,及びやり取りを成立させる時間的側面の観点から,入力の特性を個別設定でき

ることが必要である。

D.3.3 

身体寸法及び到達範囲 

子供でも大人でも,体く(躯)の小さな人がいる。体く(躯)の小ささは,到達範囲,手指の長さ,通

常の着座姿勢などに問題を生じる可能性をもつ。いずれの場合にも,アクセシビリティ上の大部分の問題

はハードウェア又は作業場所に関連している。しかしながら,代わりとなる入力装置を利用する能力はこ

の集団にとって極めて重要となる。


91

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

D.3.4 

発声障害 

発声もまた,運動機能の一形態であり,人によっては,聴き取れるように発声するのが困難な運動又は

認知障害があったり,全く発声できなかったりする。人の発声障害は,発声の生理機構(呼吸,声帯,調

音機構)の損傷,発声を制御する神経筋機構の問題,言語中枢の認知障害などの多様な理由に起因する。

音声入力を用いるユーザインタフェースでは音声に代わる他の入力手段を提供するか,又は各利用者が音

声で入力可能とする必要がある。発声障害のある人の中には補助装置を使えば発声できる人もいる。

D.4 

知的機能 

D.4.1 

一般 

人の機能のうちで心理機能の変異がおそらく最も大きい。ソフトウェアのアクセシビリティに特に関連

するのは,心理機能のうちでも情報を扱うことに関係した認知機能の領域である。

情報を受け取り,それを処理し,適切に応答することは,インタラクティブなソフトウェアを利用する

ときの主要活動である。人の認知能力は極めて多様であり,高度に適応性をもち,生涯にわたり変化を受

けやすい。

認知障害のある利用者がよく遭遇する問題点は,情報を受け取る上での,それを処理する上での,及び

知っていることを伝える上での困難さである。これらの機能障害のある利用者は,学習すること,一般化

する及び連想すること,言語(音声言語,手話言語,書記言語)を通して自身を表出することなどが困難

である。注意欠陥多動障害では,じっと座り,作業に集中することができにくくなる。

失読症の利用者が多く直面する問題は,書かれた文を読む及び文を書く上での難しさである。

上述したのはよく知られている問題点であり,それらに対して具体的な手引を与えることはできるもの

の,認知機能の理解はいまだ不十分であること,及び多くの場合に当てはまる一般的な手引は得られない

くらい個別事例は多様であることを心得る必要がある。

D.4.2 

注意の制限 

情報を扱う多くの作業では,注意を集中する,又はある期間注意を維持することが必要である。情報を

形式表現しそれを提示するときに,どのような注意集中が必要かを識別するのを助ける方策は,有益であ

る。気をそらすのを防ぐ上で,仕事に関連しない表示情報の特性を調節可能とすることは,注意の集中に

制限がある人にとって,重要である。

D.4.3 

記憶の制限 

情報を扱う作業は,短期,長期両記憶上の制限に影響を受けやすい。特に,短期記憶に保持する量が多

い場合及び長く保持していなければならない場合に,長期記憶からの再生が困難だったり,短期記憶中に

新たな提示情報を保持しにくかったりする。したがって,インタラクティブソフトウェアの設計では,で

きる限り再生よりも再認が可能になるようにし,情報を一貫して,及び利用者の期待に沿った形で用いる

ことが望ましい。

短期記憶の負担は最小限にするのがよい。

D.4.4 

言語機能の制限 

書記言語及び/又は音声言語を,理解する能力及び/又は生成する能力の制限は,ソフトウェアシステ

ムで用いる言語のあり方に影響する。これらの制限は,出生時の条件,病気,事故,他の病気の治療手段,

加齢などに起因している。

言語機能の制限は,生理的,認知的又は心理的なものであったりする。耳が聞こえず視覚的な情報交換

に頼る人は,書記言語が彼らの視覚言語(通常,手話ではこれが当てはまる。

)と隔たっているという理由


92

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

で,書記言語を苦手とすることも時としてある。原因は何であれ,結果として書記言語及び/又は音声言

語を扱う能力は低下する。明瞭な言語表現についての手引を与える規格は,最大多数の読み手にとっての

読みやすさを実現する上で重要となる。さらに,並行して音読形式で文章を聞くことを選べるようにする

などの追加的支援の提供は有益である。書く能力に制限のある人にとって,文章生成を必要としない代わ

りとなる入力,例えば,記号及び音声認識の使用は,助けとなる。それゆえに,ソフトウェア内で,両立

性をもたせながら代わりの入力及び出力手段を支援することは重要である。

D.5 

その他の障害 

D.5.1 

拒否反応(アレルギー) 

人によっては,化学物質その他に対して,吸い込んだり長く触れたりできないほど強い拒否反応を示す

ことがある。このために,生活環境又は作業環境が大幅に狭められることも,使用する装置の材質が限定

されることも起こる。しかしながら,これは主としてハードウェアの問題でありソフトウェアの設計には

影響しない。

そうはいっても,ソフトウェアで代わりの入力手段が使えることが,及び多種の表示装置が使えること

が,人によっては助けとなる。

D.5.2 

その他の機能制限 

人によっては,触れて感じる感覚,力の感覚,前庭機能(平衡感覚)

,匂いを感じる感覚,味を感じる感

覚などに影響する障害のある場合もある。これらの働きはソフトウェアのユーザインタフェースを利用す

るときに必要とされることは少ない。しかし,これらの感覚を活用しようと設計したシステムではこれら

の感覚の障害の影響に配慮する必要があり,障害のある利用者が,システムを利用できるように代わりと

なる入出力経路を用意する必要がある。

D.6 

複合身体機能の影響 

複数の身体機能を同時に働かす上で制限を覚える人がいる,そして,このことがインタラクティブなソ

フトウェアにおいてアクセシビリティを達成する上で大きな困難をもたらすことがある。感覚,運動及び

認知機能において並行して変化が生じる加齢に伴い,このことが特に生じやすい。

加齢の影響を身体機能に関して感じるのは万人共通であり,

高齢の利用者にとって大きな関心事である。

この理由で,付加的な支援技術を求めずに,利用者能力の全ての範囲をソフトウェアシステム内で扱う統

合的な設計案の可能性が増すほど,アクセシビリティ達成及び潜在的な欠点の解消から見て有望な結果を

得やすくなる。

運動機能に関して指摘したと同様に,

人が年をとるにつれて認知機能に関しても遅れが生じがちになる。

加齢によるにせよその他の条件によるにせよ,認知の速さが低下している人を利用者に含んでいる場合,

制限時間のある操作では,実行するのに十分な時間を利用者が確実にもてるようにソフトウェアを開発す

る必要がある。

運動機能と認知機能との制限が組み合わさると,指針のうちのあるものは複合した影響を受けている人

の必要性には応じられない場合がある。例えば,視覚提示する文章を聴覚にも出力したとしても,視力の

低下だけでなく聴力の低下をも感じている人にとっては助けとならないことがある。

異種障害から複雑な相互作用が生じるので,具体的な必要性を満たすように各個人に合わせた解決策を

可能にすることが一層求められる。


93

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

附属書 E

(参考)

アクセス機能

E.1 

一般 

この附属書は,広範な身体の及び感覚の機能障害のある人々に,コンピュータシステムを利用可能にす

ることを目指して,米国のウィスコンシン大学マディソン校トレース研究開発センタが開発したアクセス

機能について解説する。

これらの機能は,少なくとも次のオペレーティングシステム及び環境で実装されている

1)

− Apple

IIe

,IIgs 及び MacOS(トレース研究開発センタ及びアップル社が開発)

− IBM

PC-DOS

及び Microsoft DOS(AccessDOS,アイ・ビー・エム社に向けてトレース研究開発センタ

が開発)

− X

Windows

(Access X,X コンソーシアムが開発)

− Microsoft

Windows

2.0

及び 3.1(Access Pack,トレース研究開発センタが開発)

− Windows

95

,98,NT,ME,XP 及び VISTA(マイクロソフト社が開発)

− Linux(実装作業進行中)

1)

この情報は,この規格の使用者の便宜として与えるもので,名指した製品についての是認を

与えるものではない。同じ結果をもたらすことが示せれば,同等な製品を用いてもよい。

これらのアクセス機能のソースコード及び試作実装は,オープンソースライセンス条件で公開されてい

て,商品中に組み込むことができる。

E.2 

用いている用語 

用語“固定キー”

“スローキー”

“バウンスキー”

“フィルタキー”

“マウスキー”

“リピートキー”

“切替えキー”

“サウンド表示”

“サウンド解説”及び“シリアルキー”は,ウィスコンシン大学の商標

である StickyKeys™,SlowKeys™,BounceKeys™,FilterKeys™,MouseKeys™,RepeatKeys™,ToggleKeys™,

SoundSentry™

,ShowSounds™及び SerialKeys™に,それぞれ対応している。

E.3 

アクセス機能の解説 

E.3.1 

共通する“入り・切り”操作法 

アクセス機能のうちの多く(全てではない。

)を,

“入り”又は“切り”にする二つの方法がある。一つ

は,コントロールパネルを用いる方法,もう一つは,キーボードショートカットを用いる直接的な方法で

ある。ショートカットを用意する理由は,次の二つである。第 1 の理由は,キオスクその他の閉じたシス

テムでアクセス機能が必要となることも多く,その場合コントロールパネルは利用できないからである。

第 2 の理由は,利用者又はオペレーティングシステムによっては,アクセス機能が“入り”になっていな

いと,コントロールパネルを開くのが困難なことがあるからである。両方の“入り・切り”操作法を定め

ているアクセス機能に対しては,これ以降でそのように記載する。

キーボードからアクセス機能を“入り”にしたときには,低音から高音へと移行する音を発生させるこ

とが望ましい。高音から低音へと移行する音は,

“切り”の場合に用いるのがよい。


94

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

E.3.2 

固定キー”機能 

E.3.2.1 

一般 

“固定キー”機能は,片手しか使えない利用者又は小棒を使って文字入力する利用者に向けて設計され

ている。

“固定キー”機能を使うと,キーを組み合わせて[例えば,制御(Ctrl)キーと Alt キーと抹消(Delete)

キーとを]同時に押し下げなくても,それらのキーを順次に押し下げていくことができる。

“固定キー”機

能は,シフト(Shift)

,Alt,制御(Ctrl)などの修飾キーとして決められたキーとともに働く。通常,

“固

定キー”  機能の“入り・切り”状態は,利用者がそのように選択している場合,画面上に示される。

E.3.2.2 

機能を“入り”にする 

この機能を“入り”にする次の二つの手段があり,二つとも必須である。

−  コントロールパネルから。

−  キーボードから,シフト(Shift)キーを,途中に他のキーを押さずに,又はマウスボタンをクリック

せずに,5 回押すことで。

キーボードから起動する場合には,起動の確認を求めるダイアログ提示を推奨する,ただし,確認のダ

イアログ提示をするかしないかは,利用者が選択できることが望ましい。

機能が“入り”になったことを,視覚及び聴覚に対して示すのを推奨する。

注記  キーボードからの起動は,コントロールパネルで,有効・無効に設定できることもある。

E.3.2.3 

機能を“切り”にする 

この機能は,

“入り”にするのと同じ方法で,

“切り”にできる,それに加えて,

(利用者が選択すれば)

任意の二つのキーを同時に押すことで“切り”にできる。

機能が“切り”になったことを,視覚及び聴覚に対して示すのを推奨する。

E.3.2.4 

機能の働き 

この機能は,次のように作動する。

−  ある修飾キーを一度押して放すと,低音から高音への移行音が鳴り,その修飾キーがラッチされ,そ

の結果,修飾キー以外の引き続いてのキー押し(又は引き続いてのポインティングデバイスのボタン

押し)が,ラッチされた修飾キーで修飾される。

−  ある修飾キーを続けて 2 度押すと,高音が鳴り,その修飾キーがロックされる。それ以降の全ての,

修飾キー以外のキー押し,修飾キーによって変更されたポインティングデバイスの,又はソフトウェ

アの活動は,ロックされた修飾キーで修飾される。

−  ロックされている修飾キーを押すと,そのロックが外され,低音が鳴る。

注記  複数の修飾キーが,それぞれ独立にラッチ及び/又はロック状態になることができる。

E.3.2.5 

調節 

この機能で調節できるものは,次のとおり。

−  “入り・切り”

“固定キー”機能の“入り・切り”

(既定では“切り”

キーボードショートカットの“入り・切り”

[シフト(Shift)キーを 5 度押すことによる。

(既定で

は“入り”

キーボードから起動することの確認ダイアログ提示の“入り・切り”

(既定では“入り”

二つのキーを同時に押して機能を“切り”にすることの“入り・切り”

(既定では“入り”

画面への“固定キー”機能の状態表示の“入り・切り”

(既定では“入り”


95

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

−  “固定キー”機能が,

“入り”に変わったこと及び“入り”状態であることの音での指摘(任意)

(既

定では“入り”

標準的な修飾キー全てに対して,システムが“固定キー”機能を提供することが望ましい。何らかの修

飾キー,例えば,多くのノートブックコンピュータに見られる Fn キーは,キーボードのファームウェア

中で,

“固定キー”機能を実装しなければならないことがある。

E.3.3 

スローキー”機能 

E.3.3.1 

一般 

“スローキー”機能は,キーボードから文字入力するときに,そうするつもりがなくても周りのキーに

触れてしまうような,統制できない過度の動きをする利用者に向けて設計されている。

“スローキー”機能

が働くと,指がぶつかった程度の,又は軽いキー押しを,キーボード入力として無視するようになる。利

用者指定の時間よりも長く押されたときだけ,キー押しとして受け付ける。

E.3.3.2 

機能を“入り”にする 

この機能を“入り”にする二つの手段があり,二つとも必須である。

−  コントロールパネルから。

−  キーボードから,右のシフト(Shift)キーを 8 秒間押し続けることで(この機能のキーボードからの

起動が,コントロールパネルで有効に設定してある場合)

キーボードから起動する場合には,起動の確認を求めるダイアログ提示を推奨する,ただし,確認ダイ

アログ提示は,利用者が無効にできることが望ましい。

機能が“入り”になったことを,視覚及び聴覚に対して示すのを推奨する。

E.3.3.3 

機能を“切り”にする 

この機能は,

“入り”にするのと同じ方法で,それに加えて,システムを起動し直す(再起動する)こと

で“切り”にできる。この機能は,そうしないとキーボードが壊れていると誤解されるので,再起動時に

常に“切り”となる。再起動時には,この機能を必ず“切り”にする。

E.3.3.4 

機能の働き 

この機能は,次のように作動する。

−  右のシフト(Shift)キーを 8 秒間押し続けると,この機能が“入り”となる。5 秒間押し続けた時点

で,ビーという音が二度鳴って不用意にシフト(Shift)キーを押し続けた場合に中止ができる。右の

シフト(Shift)キーによる起動は,コントロールパネルで有効と設定しておかなければならない。

−  “スローキー”機能が“入り”になると,この機能の受付け時間長よりも短いキー押しは受け付けな

くなる。何らかのキーが押されたとき,高い音が鳴る。決められた受付け時間が経過すると,低い音

が鳴り,キー押しが受け付けられる(キー押下げの事象が送り出される。

E.3.3.5 

調節 

この機能で調節できるものは次のとおり。

−  “入り・切り”

“スローキー”機能の“入り・切り”

(既定では“切り”

“スローキー”機能のキーボードからの“入り”及び“切り”

(既定では“入り”

キーボードから起動することの確認ダイアログ提示(既定では“入り”

“スローキー”機能が,

“入り”に変わったこと及び“入り”状態であることの音での指摘(任意)

(既定では“入り”

−  キーが押されたと受け付けるまでの時間長(狭くても 0.5∼2 秒の範囲を含む範囲内で[既定値は,0.75


96

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

秒]

注記  “スローキー”機能と“バウンスキー”機能とが,両方同時には働かないようにするのも一案

である。両機能を同時に起動することが可能だが,

“スローキー”機能が,

“バウンスキー”機

能を無力化する(

“スローキー”機能が起動している場合,短い間隔で二つのキーは押せなくな

る)ので,

“スローキー”機能だけを起動したのと同じことになる。

E.3.4 

バウンスキー”機能 

E.3.4.1 

一般 

“バウンスキー”機能は,手腕が震えて,あるキーを押そうとするときにうっかり何度かそのキーをた

たいてしまう利用者に向けて設計されている。

“バウンスキー”機能は,ある時点で同じキーから 1 度のキ

ー押しだけを受け付ける。あるキーを(押し下げてから)放した後,ある時間(この長さは利用者が設定

できる。

)が経過するまでは,そのキーは例え押されてもキー押しとしては受け付けられない。

E.3.4.2 

機能を“入り”にする 

この機能を“入り”にする二つの手段があり,二つとも必須である。

−  コントロールパネルから。

−  キーボードから,右のシフト(Shift)キーを 8 秒間押し続けることで(この機能のキーボードからの

起動を,コントロールパネルで有効に設定してある場合)

キーボードから起動する場合には,起動の確認を求めるダイアログ提示を推奨する,ただし,確認ダイ

アログ提示は,利用者が無効にできることが望ましい。

機能が“入り”になったことを,視覚及び聴覚に対して示すのを推奨する。

E.3.4.3 

機能を“切り”にする 

この機能は,

“入り”にするのと同じ方法で,それに加えて,システムを再起動することで“切り”にで

きる(この機能は,2 度押し受け付けまでの時間長の設定が 0.35 秒を超えていたら,起動時に“入り”と

はならない。

E.3.4.4 

機能の働き 

この機能が起動すると,利用者はわざと動きを遅くすることなくキーボードから文字入力できる。指先

の震えなどによるキー押しは無視される。同じ文字を続けて打つためには,利用者は,二つのキー押しの

間で僅かに(普通,0.5 秒程度)時間をおけばよい。

E.3.4.5 

調節 

この機能で調節できるものは,次のとおり。

−  “入り・切り”

“バウンスキー”機能の“入り・切り”

。  (既定では“切り”

“バウンスキー”機能のキーボードからの“入り”及び“切り”

(既定では“切り”

キーボードから起動することの確認ダイアログの“入り・切り”

(既定では“入り”

“バウンスキー”機能が,

“入り”に変わったこと及び“入り”状態であることの音での指摘の“入

り・切り”

(任意)

(既定では“入り”

−  同じキーがもう一度押されたと受け付けるまでの時間長(狭くても 0.2∼1 秒の範囲を含む範囲内で

[既定値は,0.5 秒]

注記  “スローキー”機能と“バウンスキー”機能とが両方同時には働かないようにするのも一案で

ある。両機能を同時に起動することが可能だが,

“スローキー”機能が,

“バウンスキー”機能

を無力化する(

“スローキー”機能が起動している場合,短い間隔で二つのキーは押せなくなる)


97

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

ので,

“スローキー”機能だけを起動したのと同じことになる。

E.3.5 

フィルタキー”機能 

“フィルタキー”機能は,

“バウンスキー”機能(E.3.4 参照)と“スローキー”機能(E.3.3 参照)とを

一つにまとめたものを指す名前である。

“スローキー”機能と“バウンスキー”機能とが両方同時には働か

ないようにするのも一案であるが,両機能を同時に起動することは可能である。

E.3.6 

マウスキー”機能 

E.3.6.1 

一般 

“マウスキー”機能は,マウスを正確に又は全く扱えない利用者に向けて設計されている。

“マウスキー”機能によって,画面上のポインタを制御する及びマウスのボタンを操作するのに,数字

キーパッド上のキーが使えるようになる。

E.3.6.2 

機能を“入り”にする 

この機能を“入り”にする二つの手段があり,二つとも必須である。

−  コントロールパネルから。

−  キーボードから,オペレーティングシステムで指定したキーの組合せを押すことで(この機能のキー

ボードからの起動が,コントロールパネルで有効に設定してある場合)

新たにオペレーティングシステムに実装する場合には,左のシフト(Shift)キー,左の“Alt”キー及び

“NumLock”キーの組合せを検討することが望ましい。

E.3.6.3 

機能を“切り”にする 

この機能は,

“入り”にするのと同じ方法で,

“切り”にできる。

E.3.6.4 

機能の働き 

“マウスキー”機能が起動すると,数字キーパッドの働きを,

“マウスキー”操作と標準のキーパッド操

作(これには,数字入力とナビゲーションとの二つの作動様式がある。

)との間で,

“NumLock”キーを用

いて切り換えられるようになる。

“マウスキー”機能の状態が,指定すれば,画面に表示されることを推奨

する。

“マウスキー”機能が“入り”のときは,数字キーパッドは次のように働く。

−  ポインタの動きの制御(数字キーパッド付きのコンピュータ)

1

左下へ移動

2

下へ移動

3

右下へ移動

4

左へ移動

6

右へ移動

7

左上へ移動

8

上へ移動

9

右上へ移動

注記 1  これらの移動キーでは全て,キーを押して放すと,1 ピクセル分ポインタが移動する。

注記 2  キーを押してそのままにしておくと,1 ピクセル分ポインタが移動する,0.5 s 経過す

ると,ポインタはより早い速度で移動し始める。

注記 3  制御(Ctrl)キーが押されている場合,キーを押して放すと,ポインタが一定ピクセ

ル(例えば,20 ピクセル)分移動する(任意)

注記 4  シフト(Shift)キーが押されている場合,移動キーを押し続ける時間にかかわらず,


98

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

ポインタは 1 ピクセルしか移動しない(任意)

−  クリック及びドラッグ(推奨)

5

選択されているマウスボタンをクリック

+

選択されているマウスボタンをダブルクリック

.

選択されているマウスボタンをロック

0

ロックされているマウスボタン全てのロックを解く

−  マウスボタンの選択(推奨)

/

左マウスボタン選択

*

中マウスボタン選択

.

中マウスボタンをもたないシステムで,左右両マウスボタン選択

-

右マウスボタン選択

E.3.6.5 

調節 

この機能で調節できるものは,次のとおり。

−  “入り・切り”

“マウスキー”機能の“入り・切り”

(既定では“切り”

“マウスキー”機能のキーボードからの“入り”及び“切り”

(既定では“入り”

NumLock

キーが押されたときの“マウスキー”機能の働き:本来のキーパッドの二つの働き(数字

入力又はキーによるナビゲーション)のいずれの働きをするか。

“マウスキー”機能を利用可能とするかの“入り・切り”

(既定では“入り”

“マウスキー”機能の状態を画面に表示任意(既定では“入り”

−  ポインタの動きの最大速さの設定。

−  加速の大きさの設定(極めてゆっくりと動き始めて,1 秒後にそれと分かるくらいに速くなる。

注記  “マウスキー”機能の“入り・切り”と,NumLock キーの“入り・切り”との組合せで,数

字キーパッドの各キーがどのように働くかを,

表 E.1 に示す。

表 E.1−“マウスキー”機能と NumLock キーとを組み合わせたときの数字キーパッドキーの働き 

NumLock

キー“入り” NumLock キー“切り” 

マウスキー”機能“入り” 

数字入力又はキーナビゲーション

a)

“マウスキー”機能

マウスキー”機能“切り” 

数字入力

キーナビゲーション

a)

いずれの働きをするかは“マウスキー”機能の調節で選択

E.3.7 

リピートキー”機能 

E.3.7.1 

一般 

“リピートキー”機能は,キーを押すときに,指を速く動かせないために,キーボードの自動反復入力

機能が始まるほどにキーを長く押し続けてしまう利用者が,コンピュータを利用できるように設計されて

いる。自動反復入力の始まるまでの時間及び反復の速さを調節する機能並びに自動反復機能を無効にする

機能は,ほとんどのキーボードコントロールパネルに通常含まれている。しかしながら,これらの機能が

含まれていない場合は,それらを“リピートキー”機能が提供する。

“リピートキー”機能は,また,自動

反復入力の始まるまでの時間及び反復の時間間隔を,素早く反応できない利用者にとって十分に長く確実

に設定させる(標準のキー自動反復で設定できる最大時間長では不足する場合)


99

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

E.3.7.2 

機能の働き 

キーが押されたままのときの自動反復機能に,この機能の設定値が影響する。

E.3.7.3 

調節 

この機能で調節できるものは,次のとおり。

−  自動反復入力機能の“入り・切り”

−  自動反復入力が始まるまでの時間長(2 秒を下回らない範囲内で)

−  反復の時間間隔(2 秒を下回らない範囲内で)

E.3.8 

切替えキー”機能 

E.3.8.1 

一般 

“切替えキー”機能は,

“CapsLock”

“ScrollLock”

“NumLock”などの,押す度にロック・解除が切り

替わるキーの,ロック状態を示すキーボード上の表示が見えない利用者に向けて設計されている。

“切替え

キー”機能は,押す度にロック・解除が切り替わるキー(例えば,

“CapsLock”

)が,ロックされたことを

ある音信号(例えば,高いピーという音)で,ロックを解除されたことを別の音信号(例えば,低いビー

という音)で,利用者に知らせる。

E.3.8.2 

機能の“入り”・“切り” 

この機能は,コントロールパネルから“入り・切り”する。

E.3.8.3 

機能の働き 

押す度にロック・解除が切り替わる何らかのキーが押されると,音を鳴らす,そのキーがロックされた

ことを高い音で,ロックを解除されたことを低い音で示す。

E.3.8.4 

調節 

“切替えキー”機能の“入り・切り”

(既定では“切り”

E.3.9 

サウンド表示”機能 

E.3.9.1 

一般 

“サウンド表示”機能は,システムの出す音が聞こえない利用者に向けて設計されている。聞こえない

理由には,聴覚機能障害,騒がしい環境,図書館,教室など音をたてることが許されない環境などがある。

“サウンド表示”機能は,コンピュータが音を出したことを,目に見えるように示す視覚信号[せん(閃)

光,字幕バーのまたたきなど]を提供する。

“サウンド表示”機能は,システムの音を出すハードウェアを

監視して,音を出す働きが生じると,そのことを明示する。明示の仕方は,利用者が選択できる。

この機能は,通常,音を区別できないこと,どこから出された音かも判断できないこと,音声出力又は

音で表現された情報の代用として役立つものではないことを心に留めておくとよい。

アプリケーションは,

音を用いて伝える情報に代わるものを利用者に対して提供するには,

“サウンド表示”機能ではなく,

“サ

ウンド解説”機能に対応するほうがよい。

“サウンド表示”機能は,

“サウンド解説”機能に対応していな

いアプリケーションに対しての,システムレベルでの予備手段に過ぎない。

E.3.9.2 

機能の“入り”・“切り” 

この機能は,コントロールパネルから“入り・切り”する。

E.3.9.3 

機能の働き 

“サウンド表示”機能が“入り”のとき,音が出るときには全て,利用者が指定した視覚への表示が働

く。

E.3.9.4 

調節 

この機能で調節できるものは,次のとおり。


100

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

−  “サウンド表示”機能の“入り・切り”

(既定では“切り”

−  視覚へのフィードバックの種類,よく用いられる例としては,画面上のアイコン,画面全体,前景ウ

ィンドウ枠及びデスクトップを短時間光らせる。

E.3.10 

サウンド解説”機能 

E.3.10.1 

一般 

“サウンド解説”機能は,聴覚機能障害,騒がしい環境,図書館,教室など音をたてることが許されな

い環境などの理由で,コンピュータからの音声を明瞭に聞き取れない,又はコンピュータから出る音を聞

き分けられない利用者に向けて設計されている。

“サウンド解説”機能は,利用者が設定可能な,システムのしるし(フラグ)の一つであり,アプリケ

ーションが読み出せる。このフラグは,聴覚に対して伝える情報全てを目に見える形でも伝えるべきこと

を,

“サウンド解説”機能に配慮したアプリケーションに対して,示そうとしている。

例  録音された声,又は音声合成による声のメッセージに対して,字幕を表示する,又は電子メール

が届いたことを声で知らせるとき,アイコンを表示する。

画面上に目に見えるように提示してある情報を,

(画面読取り機構が)読み上げることで得られる音声出

力に対しては,

(重複して目に入るので)字幕を与えない方がよい。

E.3.10.2 

サウンド解説”システムフラグの“入り・切り” 

この機能は,コントロールパネルから“入り・切り”する。

E.3.10.3 

調節 

“サウンド解説”機能の“入り・切り”状態を表示するか又は表示しない(既定では,表示しない。

E.3.11 

一定時間後無効機能(アクセス機能全てに対して) 

E.3.11.1 

一般 

一定時間後無効機能は,キーボードにもマウスにも操作が行われないままに,設定した一定の時間が経

ったら,アクセス機能を自動的に無効にする。図書館,書店などでの公共又は共同利用のコンピュータで,

この機能を使うことを想定している。そのような場所では,利用者がアクセス機能を“入り”にしたまま,

コンピュータを離れることがあり,その場合,次の利用者又は案内役の人が,コンピュータが壊れたと考

えて混乱することが生じる。

E.3.11.2 

機能の“入り”・“切り” 

この機能は,コントロールパネルから“入り・切り”する。

E.3.11.3 

調節 

この機能で調節できるものは,次のとおり。

−  一定時間後無効機能の“入り・切り”

(既定では“切り”

−  アクセス機能が無効になるまでの時間長(30 分を下回らない範囲内で,既定値は 10 分)

E.3.12 

シリアルキー”機能 

“シリアルキー”機能を用いると,利用者が,コンピュータシステムのシリアルポートに外付けのハー

ドウェア装置を接続し,その装置からシリアルポートに ASCII 文字列を送り込み,

“シリアルキー”機能

に対して,標準のキーボード及びマウス事象を模擬するように指示できる。アプリケーションにとっては,

“シリアルキー”機能で模擬したキーボード及びマウス事象と物理的キーボード及びマウスが生成する事

象とは区別できないことが望ましい。

“シリアルキー”機能は,従来のキーボード及びマウスが使えず,キーボード及びマウスとしての働き

をもつ特殊な通信支援又はコンピュータアクセス支援を使わざるを得ない利用者に向けて設計されている。


101

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

しかしながら,この用途に対して USB が使われ始め,

“シリアルキー”機能は退役しつつある。そのため,

この附属書ではこの程度の解説にとどめ,詳述はしない。

注記  “シリアルキー”機能についての,更に,詳しい情報は,ASCII/Unicode 文字列対応の技術仕様

を含め,http://trace.wisc.edu サイトで,

“GIDEI”を検索して得ることができる。


102

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

附属書 F

(参考)

アクセシビリティと使用性との関係

F.1 

一般 

この附属書の目的は,この規格中で用いるアクセシビリティの定義の基礎となる事柄についてより詳し

く解説し,この定義を用いることの意味を検討することにある。できるだけ広範な利用者の能力に対応し

ようと目指す設計を,アクセシビリティの基礎として置くべきである,というのがこの規格での考え方で

ある。アクセシビリティは,それが設計の一つの目標であるという点で,設計過程に関連し,それが製品

の利用可能性をはかる基礎となるという点で,設計過程の産物(すなわち,製品)にも同じく関連する。

インタラクティブシステムのソフトウェアを扱うこの規格では,目標を達成する利用者能力の最も重要

な側面をアクセシビリティとして扱っている。アクセシビリティは,インタラクティブシステム(代表例

として,製品又は提供サービス)の属性を特徴付ける単一又は複合の指標ではなく,目標達成という観点

からの,利用者と製品又はサービスとの間のインタラクションに関連する概念である。このことは,製作

者,利用企業,及び最終利用者が,対象とするインタラクティブシステムの目的(多くは,果たすべきこ

と及びそれに関連する目標として表現される。

)を定義する役割を担い,かつ,アクセシビリティの観点か

ら表現した設計目標に合意する必要があることを意味する。場合によっては,法規上求められる事柄があ

り,それらが,作業目的とアクセシビリティ目標とを設定する上での枠組みを与える。

F.2 

アクセシビリティの定義 

3.2

で規定しているアクセシビリティの定義は,JIS Z 8521 中及び 3.36 で規定している使用性の定義に

基づいている。

使用性は,製品自体に結び付くものではなく,利用者とその製品との間のインタラクションに結び付く

ものである。

ソフトウェア製品で高い水準のアクセシビリティを達成するという目標にとって,インタラクション品

質の重視も必須のものと考えられている。二つの概念の間の重点の相違は,想定利用者層内の能力の多様

性の問題をどのように扱うかである。

次の事柄が,合意を得てきている。

−  JIS Z 8521 での“指定された利用者”には,多様な能力範囲の人々を,かつ,ほぼ確実に障害のある

人を含んでいる。指定された利用者と障害のある人とを区別して扱うべきではない。テストパイロッ

トが極めて具体的な能力基準で選抜されるように,従事できる人の能力範囲が,役割上限定される場

合も生じる。しかしながら,一般には,利用者層は,高度に多様性があり,インタラクティブなソフ

トウェアシステムの利用が普及するにつれて,利用者特性の差異の範囲はますます拡大する。

−  指定された利用者の中に含まれている障害のある人が,設計目標とした水準の有効さ,効率及び満足

度をもって製品を操作できない場合,それらの人にとってのその製品の使用性は低く,かつ,指定さ

れた利用者に対して達成できたアクセシビリティの水準も同じく低い。このような場合,障害のある

人に向けてユーザインタフェースを単に適応させるだけでは不十分であり,設計時に系統立てて手引

を統合的に取り入れる必要がある。これには支援技術を利用する必要性を実現可能な範囲にとどめる

こと,必要となった場合の支援技術との結合を容易にすることなどが含まれる。


103

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

−  それを用いて目標を達成できない製品は,有効さとは程遠い,したがって,使用性も高くもなければ

アクセシブルでもない。製品の使用性は,有効さの水準が向上し,効率及び満足度の向上が達成され

るに応じて高まる。指定された利用者として,より広範な能力をもつ利用者を含むようになっても,

高い有効さ,効率,及び満足度を達成できることがアクセシビリティ向上へとつながる。しかしなが

ら,使用性もアクセシビリティも両者共に利用の状況と設計の状況とに照らして理解すべきものであ

り,絶対的な概念ではない。

−  このように,アクセシビリティの概念と使用性の概念とは互いに重なる部分をもち,かつ,相互に関

係しているので,使用性とアクセシビリティとを結び付けた定義を採用している。この規格のアクセ

シビリティの定義は,製品,サービスなどをできるだけ広い範囲の人々が使えるように設計するとい

うデザイン  フォー  オール,ユニバーサルデザインなどの概念と矛盾していない。

−  ある設計状況において,より高いアクセシビリティを,可能な限りの範囲で達成しようというのが狙

いであるから,この進め方からの結論は,アクセシビリティのある一つの水準が,あらゆる場合に対

しての目標となることはあり得ない,である。

F.3 

使用性及びアクセシビリティの計測可能性 

JIS Z 8521

から得ている使用性の定義は,使用性の達成水準は状況によって変異する可能性があること

と,達成水準の差異を測定する客観的測度が得られることとに重点を置いている。指定された利用者が指

定された目標を達成するため指定された利用の状況下で製品を利用する場合の有効さ,効率及び満足度の

計測が可能である。実際には,与えられた設計状況に特定された操作的な測度を用意することが必要とな

る。有効さ,効率及び満足度の各要因の操作的測度の相対的重要さは状況ごとに異なる。

課題目標に照らして有効であり得るかは基本的なことではあるものの,高い有効さを達成することの相

対的重要さは,ある設計状況においては,他の要因の操作的測度と比べてそれほど重大ではない場合もあ

る。例えば,ある消費者製品において,備えている基本的機能で間に合う目標を利用者が達成できるよう

にすることは重要であろう。しかし,製品が美的見地から好ましいこと,及び所有することの高い満足度

を保証することに比べれば,高い有効さで利用できる追加機能を提供することは,それほどには重要視さ

れないことがある。与えられた設計状況においては,操作的測度は結果の使用性をそれに照らして測定す

る判断基準を提供する,そして,それらの間の相対的重要さは通常設計要件中に明確化される。

これは,使用性を比較する場合には,同一の操作的な測り方を当てはめながら,一時に一つだけの項目

を変化させる必要があることを意味する。

使用性は,有効さ,効率及び満足度の操作的測度をもち,利用者,製品,課題・目標及び利用の状況の

関数である。

例えば,二つの製品の使用性を比べる場合には,利用の状況と課題とを同じくして,同等の特性をもつ

利用者群を用いて試験しなければならない。

このことから,この規格で定義されたアクセシビリティもまた計測可能であるとの推論が成り立つ。し

かしながら,より一層高度のアクセシビリティをもつと主張するには,設計時に判断基準として設定した

有効さ,効率及び満足度の水準がより広範な能力をもつ利用者によって達成可能であることを実証する必

要がある。すなわち,想定した利用者層に含まれる利用者の特性が広がって,制限の少ない利用者が経験

する使用性と同等の高さの使用性を制限の多い利用者が達成できることを示す必要がある。


104

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

F.4 

設計の手引との関係 

利用者にとっての結果という観点からアクセシビリティを扱うことの大事さはあるものの,アクセシビ

リティを高めるようなソフトウェア製品の属性へと全般的につながる要求事項及び推奨事項を規定するこ

とは可能である。要求事項及び推奨事項には,様々な利用者の特性を支援するためには,ソフトウェアは

どのような挙動を示す必要があるかの点から表現されているものが多数あり,利用の状況の様相に依存す

る。しかしながら,ある場合には,手引は具体化すべき解決案の観点から規範的に記述されていて,この

場合,その手引は,そのような解決案によって一層広範な利用者特性が受け入れ可能となると明らかにさ

れた根拠に基づいている。また,ある場合には,採用すべき適切な解決案につながる手引は,明確化され

た利用の状況と具体的に関連していて,それらの手引を適用する上では利用の状況の理解を必要とする。

したがって,この規格で規定する要求事項及び推奨事項は,アクセシビリティの向上につながる解決案

を,利用の状況を考慮に入れながら作り上げていく助けとなる。


105

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

参考文献

各文献の末尾に括弧で囲んで,その文献を参照している箇所の箇条・細分箇条番号を記載する。

[1]

BERGMAN, E., JOHNSON, E., Towards Accessible Human-Computer Interaction, Advances in HCI, Volume

5, Ablex Publishing Corporation (1995) (10.3.210.3.3)

[2]

BLATTNER, M.M., GLINERT, E.P., JORGE, J.A. and ORMSBY, G.R., Metawidgets: Towards a theory of

multimodal interface design. Proceedings: COMPASAC 92, IEEE Press, pp. 115 - 120 (1992)

[3]

BROWN, C., Computer Access in Higher Education for Students with Disabilities, 2nd Edition. George

Lithograph Company, San Francisco (1989)

[4]

BROWN, C., Assistive Technology Computers and Persons with Disabilities, Communications of the ACM,

35 (5), pp. 36 - 45 (1992) (10.8.4)

[5]

CARTER, J, FOURNEY, D., Using a Universal Access Reference Model to identify further guidance that

belongs in ISO 16071. Universal Access in the Information Society, 3 (1), pp. 17 - 29 (2004)

入手先:<http://www.springerlink.com/link.asp?id=wdqpdu5pj0kb4q6b>

[6]

CASALI, S.P., WILLIGES, R.C., Data Bases of Accommodative Aids for Computer Users with Disabilities,

Human Factors, 32 (4), pp. 407 - 422 (1990)

[7]

CHISHOLM, W., VANDERHEIDEN, G., JACOBS, I. (eds), 1999 Web Content Accessibility Guidelines 1.0

W3C, Cambridge, MA, USA

入手先:<www.w3.org/TR/WAI-WEBCONTENT/>

[8]

CHURCH, G., GLENNEN, S., The Handbook of Assistive Technology, Singular Publishing Group, Inc., San

Diego

[9]

CONNELL, B.R., JONES, M., MACE, R., MUELLER, J., MULLICK, A., OSTROFF, E., SANFORD, J.,

STEINFELD, E., STORY, M., VANDERHEIDEN, G., The Principles Of Universal Design, NC State

University, The Center for Universal Design (1997). (5)

[10]  EDWARDS, W.K., MYNATT, E.D., RODRIGUEZ, T., The Mercator Project: A Nonvisual Interface to the X

Window System, The X Resource, O’Reilly and Associates, Inc. (1993)

[11]  EDWARDS, A., EDWARDS, A., MYNATT, E., Enabling Technology for Users with Special Needs,

InterCHI ’93 Tutorial (1993)

[12]  ELKIND, J., The Incidence of Disabilities in the United States, Human Factors, 32 (4), pp. 397 – 405 (1990)

[13]  EMERSON, M., JAMESON, D., PIKE, G., SCHWERDTFEGER, R., THATCHER, J., Screen Reader/PM.

IBM Thomas J. Watson Research Center, Yorktown Heights, NY (1992)

[14]  GLINERT, E.P., YORK, B.W., Computers and People with Disabilities, Communications of the ACM, 35 (5),

pp. 32 - 35 (1992)

[15]  GRIFFITH, D., Computer Access for Persons who are Blind or Visually Impaired: Human Factors Issues,

Human Factors, 32 (4), pp. 467 - 475 (1990)

[16]  GULLIKSEN, J., HARKER, S., Software Accessibility of Human-computer Interfaces – ISO Technical

Specification 16071. In the special issue on guidelines, standards, methods and processes for software

accessibility of the Springer Journal Universal Access in the Information Society, Vol. 3, No. 1, pp. 6 - 16,


106

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

Edited by J. Gulliksen, S. Harker, G. Vanderheiden (2004)

[17]  IBM Technical Report, Computer-Based Technology for Individuals with Physical Disabilities: A Strategy for

Alternate Access System Developers (1988)

[18] KAPLAN,

D.,

DEWITT,

J., STEYAERT, M., Telecommunications and Persons with Disabilities: Laying the

Foundation World Institute on Disability (1992)

[19]  KUHME, T., A User-Centred Approach to Adaptive Interfaces, Proceedings of the 1993 International

Workshop on Intelligent User Interfaces, Orlando, FL, New York, ACM Press, pp. 243 - 246 (1993)

[20]  LAZZARO, J.J., Adaptive Technologies for Learning and Work Environments, American Library Association,

Chicago and London (1993)

[21]  Macintosh Human Interface Guidelines, Addison-Wesley (1992)

[22]  Managing Information Resources for Accessibility, U.S. General Services Administration Information

Resources Management Service, Clearinghouse on Computer Accommodation (1991)

[23]  MCCORMICK, J.A., Computers and the American’s with Disabilities Act: A Manager’s Guide, Windcrest

(1994)

[24]  MCMILLAN, W.W., Computing for Users with Special Needs and Models of Computer Human Interaction,

Conference on Human Factors in Computing Systems, CHI ’92, Addison Wesley, pp. 143 - 148 (1992)

[25] Microsoft

Corporation,

The

Windows Interface Guidelines for Software Design, Microsoft Press (1995)

[26]  Microsoft Corporation, Microsoft Active Accessibility Version 2.0, (2001) (8.5.2)

入手先:<http://msdn.microsoft.com/library/default.asp?url=/library/en-us/msaa/msaastart_9w2t.asp>

[27] Microsoft Corporation, LOWNEY, G.C., The Microsoft® Windows® Guidelines for Accessible

SoftwareDesign, Microsoft Press (1993 - 1997)

[28]  Microsoft Corporation, Designed for Microsoft® Windows NT® and Windows® 95 Logo Handbook for

Software Applications, Microsoft Press (1998)

[29]  Microsoft Corporation, Application Specification for Microsoft® Windows® 2000 Server/Advanced

Server/Datacenter Server: Design Guide for Building Server Applications, Microsoft Press (1998 - 1999)

[30]  Microsoft Corporation, Application Specification for Microsoft® Windows® 2000 for desktop applications:

Design Guide for Building Business Applications, Microsoft Press (2000)

[31]  Microsoft Corporation, Certified for Microsoft® Windows® Test Plan for desktop applications installed on

Windows 2000 Professional, Microsoft Press (1998 - 2000)

[32]  MYNATT, E., Auditory Presentation of Graphical User Interfaces, in Kramer, G. (ed), Auditory Display:

Sonification, Audification and Auditory Interfaces, Santa Fe, Addison Wesley, Reading MA (1994)

[33]  NEWELL, A.F., CAIRNS, A., Designing for Extraordinary Users, Ergonomics in Design (1993)

[34]  NIELSEN, J., Usability Engineering, Academic Press, Inc., San Diego (1993)

[35]  NSI T1.232:1993, Operations, Administration, Maintenance, and Provisioning (OAM&P)

−G Interface

Specification for Use with the Telecommunications Management Network (TMN)

[36]  OZCAN, O., Feel-in-Touch: Imagination through Vibration, Leonardo, MIT Press, Volume 37, No 4, pp 325 -

330 (2004)

[37]  PERRITT Jr., H.H., Americans with Disabilities Act Handbook, 2nd Edition, John Wiley and Sons, Inc., New

York (1991)

[38]  Resource Guide for Accessible Design of Consumer Electronics, EIA/EIF (1996) (10.6.310.6.6)


107

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

[39] SAUTER, S.L., SCHLEIFER, L.M., KNUTSON, S.J., Work Posture, Workstation Design, and

Musculoskeletal Discomfort in a VDT Data Entry Task. Human Factors, 33 (2), pp. 407 - 422 (1991)

[40]  SCHMANDT, C., Voice Communications with Computers, Conversational Systems, Van Nostrand Reinhold,

New York, (1993)

[41]  Sun Microsystems, Inc. JAVA ACCESSIBILITY. Overview of the Java Accessibility Features, Version 1.3

(1999) (8.5.2)

入手先:<http://java.sun.com/products/jfc/jaccess-1.3/doc/guide.html>

[42]  STEPHANIDIS, C., AKOUMIANAKIS, D., VERNARDAKIS, N., EMILIANI, P., VANDERHEIDEN, G.,

EKBERG, J., ZIEGLER, J., FAEHNRICH, K., GALETSAS, A., HAATAJA, S., IAKOVIDIS, I.,

KEMPPAINEN, E., JENKINS, P., KORN, P., MAYBURY, M., MURPHY, H., UEDA, H., Part VII: Support

Measures. Industrial policy issues, and Part VIII: Looking to the Future, Toward an information society for all:

An international R&D agenda, in C. Stephanidis (Ed.), User Interfaces for All Concepts, Methods, and Tools

(589 - 608), Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates, Inc (2000)

[43]  THATCHER, J., BURKS, M., SWIERENGA, S., WADDELL, C., REGAN, B., BOHMAN, P., HENRY, S.,

and URBAN, M., Constructing Accessible Web Sites, Glasshaus, Birmingham, U.K. (2002)

[44]  THORÉN, C. (ed.), Nordic Guidelines for Computer Accessibility, Second Edition, Vällingby, Sweden,

Nordic Committee on Disability (1998) (8.3.68.4.38.4.98.5.69.1.29.3.39.3.4, 9.3.99.3.109.4.49.4.9,

9.4.109.4.1410.2.110.2.310.3.210.3.310.1.3)

[45]  VANDERHEIDEN, G.C., Curbcuts and Computers: Providing Access to Computers and Information Systems

for Disabled Individuals, Keynote Speech at the Indiana Governor’s Conference on the Handicapped (1983)

(10.4.2)

[46]  VANDERHEIDEN, G.C., Considerations in the Design of Computers and Operating Systems to Increase their

Accessibility to People with Disabilities, Version 4.2, Trace Research & Development Center (1988) (9.3.3,

9.3.49.3.59.3.1810.4.211.1.3)

[47]  VANDERHEIDEN, G.C., Thirty-Something Million: Should They be Exceptions? Human Factors, 32 (4), pp.

383 - 396 (1990) (10.4.2)

[48]  Vanderheiden, G.C., Accessible Design of Consumer Products: Working Draft 1.6, Trace Research and

Development Center, Madison, Wisconsin (1991) (10.4.2)

[49]  VANDERHEIDEN, G.C., Making Software more Accessible for People with Disabilities: Release 1.2, Trace

Research and Development Center, Madison, Wisconsin (1992) (8.4.99.1.29.3.39.3.49.3.59.3.1010.3.2,

10.3.310.4.211.1.3)

[50]  VANDERHEIDEN, G.C., A Standard Approach for Full Visual Annotation of Auditorily Presented Information

for Users, Including Those Who are Deaf: Show sounds, Trace Research & Development Center (1992).

(10.4.2)

[51]  VANDERHEIDEN, G.C., Application Software Design Guidelines: Increasing the Accessibility of Application

Software to People with Disabilities and Older Users, Version 1.1, Trace Research & Development Center

(1994) (8.4.910.4.2)

[52]  WAI Accessibility Guidelines: User Agent Accessibility Guidelines (2000) (8.5.10)

入手先:<http://www.w3c.org/wai>

[53]  WAI Accessibility Guidelines: Web Content Accessibility Guidelines 2.0 (2005)


108

X 8341-6

:2013 (ISO 9241-171:2008)

入手先:<http://www.w3c.org/TR/WCAG20>

注記  現在は,WCAG 2.0 (2008)として勧告化されており,JIS X 8341-3:2010 はこの勧告に基づき規

格化されている。

[54]  WALKER, W.D., NOVAK, M.E., TUMBLIN, H.R., VANDERHEIDEN, G.C., Making the X Window System

Accessible to People with Disabilities, Proceedings: 7th Annual X Technical Conference, O’Reilly &

Associates (1993)

[55] World Health Organization, Towards a common language for functioning, disability and health:

ICF,WHO/EIP/CAS/01.3, (2002), World Health Organization, Geneva, (D.1)

入手先:<http://www3.who.int/icf/>

[56]  ISO 13406-2:2001

,Ergonomic requirements for work with visual displays based on flat panels−Part 2:

Ergonomic requirements for flat panel displays

[57]  ISO 9241-410

,Ergonomics of human-system interaction−Part 410: Design criteria for physical input devices

(9.4.1)

[58]  ISO 9241-302

,Ergonomics of human-system interaction−Part 302: Terminology for electronic visual

displays

[59]  ISO/IEC 11581-1:2000

,Information technology−User system interfaces and symbols−Icon symbols and

functions

−Part 1: Icons−General

[60]  ISO/IEC Guide 71:2001

,Guidelines for standards developers to address the needs of older persons and

persons with disabilities

注記  JIS Z 8071:2003  高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針が,この

ガイドに対応している。

[61]  ISO/TS 16071:2003

, Ergonomics of human-system interaction − Guidance on accessibility for

human-computer interfaces

注記  この標準仕様書は,2008 年に廃止され,この規格の対応国際規格である次へと改訂された。

ISO 9241-171:2008

,Ergonomics of human-system interaction−Part 171: Guidance on software

accessibility

へと改訂された。

[62]  ISO 10075:1991

,Ergonomic principles related to mental work-load−General terms and definitions

[63]  CIE 17.4:1987

,International Lighting Vocabulary