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X 8341-4

:2012

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

2

2

  引用規格  

2

3

  用語及び定義  

2

4

  一般原則  

2

5

  企画,開発及び設計における要件  

3

5.1

  企画,開発及び設計における基本的要件  

3

5.2

  アクセシビリティ確保のためのアプローチ  

3

5.3

  基本方針  

4

5.4

  開発プロセスに関する活動  

4

6

  操作及び利用に関する共通要件  

5

6.1

  操作  

5

6.2

  設置,接続及び設定  

7

6.3

  心身の安全性  

8

6.4

  情報セキュリティ  

9

6.5

  コンテンツ利用の権利  

9

6.6

  代替手段  

9

6.7

  機器個別の要件  

10

7

  機器に関する共通要件  

10

7.1

  入出力インタフェース  

10

7.2

  機器本体の形状及び構造  

16

7.3

  外部接続部  

16

7.4

  用語及び表記  

17

7.5

  インタフェース仕様の公開  

18

7.6

  機器個別の要件  

18

8

  サポートに関する要件  

18

8.1

  取扱説明書  

18

8.2

  電気通信アクセシビリティ情報の公開 

18

8.3

  教育  

18

8.4

  サポート窓口  

19

附属書 A(参考)電気通信サービスに関する配慮事項  

20

附属書 B(規定)固定電話機の基本機能及び配慮要件  

23

附属書 C(規定)携帯電話機の基本機能及び配慮要件  

25

附属書 D(規定)ファクシミリの基本機能及び配慮要件  

28

附属書 E(規定)テレビ電話機の基本機能及び配慮要件  

31


X 8341-4

:2012  目次

(2)

ページ

附属書 F(参考)参考文献  

34


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(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,情報通信アクセス

協議会(ICAC)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調

査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS X 8341-4:2005 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS X 8341

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

X

8341-1

  第 1 部:共通指針

JIS

X

8341-2

  第 2 部:情報処理装置

JIS

X

8341-3

  第 3 部:ウェブコンテンツ

JIS

X

8341-4

  第 4 部:電気通信機器

JIS

X

8341-5

  第 5 部:事務機器

JIS

X

8341-6

  第 6 部:対話ソフトウェア(予定)

JIS

X

8341-7

  第 7 部:アクセシビリティ設定


日本工業規格

JIS

 X

8341-4

:2012

高齢者・障害者等配慮設計指針−

情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス

−第 4 部:電気通信機器

Guidelines for older persons and persons with disabilities-

Information and communications equipment, software and services-

Part 4: Telecommunications equipment

序文 

この規格は,2005 年に制定され,今日に至っている。その後,2007 年に第 1 版として発行された ITU-T 

F.790

に対応するために改正した。

この規格は,2007 年に発行された ITU-T F.790 を参考に作成しているが,技術的内容を変更して作成し

た日本工業規格である。

移動体通信,インターネットなどの情報通信技術のめざましい発展は,一面として電気通信機器及び電

気通信サービスのバリアフリー化にも貢献している。例えば,従来の外出時の主要な通信手段であった公

衆電話は,視覚に障害のある利用者にはその場所を特定することが困難であり,また,下肢の障害などに

よって車いすを利用している利用者には,位置が高い,ドアが開けられないなど,利用することが難しい

場合があった。また,聴覚又は言語に障害があり音声通話ができない利用者には公衆電話を利用できず,

外出時の連絡自体が難しかった。携帯電話及びそれによる電子メール(ショートメッセージを含む。

)の普

及が,障害のある利用者の外出時の連絡などを容易にし,行動の自由を拡大した。

このように,情報通信技術の発展は,高齢者・障害者等の生活をも便利にするが,その一方で電気通信

機器の多機能化,複合化及び小形化によって,新たなバリアを生む可能性もあり,これらの機器を企画・

開発・設計するときに,高齢者・障害者等に配慮することが重要である。この規格は,主に高齢者,障害

のある人々及び一時的な障害のある人々が,様々な電気通信サービスを利用するときに使用する機器のア

クセシビリティを確保,向上するために配慮すべき事項について規定している。その中でも特に,利用者

が家庭若しくは職場で,又は携帯して使用する機器を主な対象としている。

なお,既存の機能が複合化した機器,公衆用又は特殊用途の機器,電気通信サービスを利用することが

主たる目的ではないが,ネットワークに接続して使用することが可能な機器などについても,この規格が

参考になる。

なお,この規格は,電気通信サービスに関しては規定していないが,電気通信アクセシビリティを確保

するためには,主に聴覚又は言語に障害のある利用者のための電話リレーサービス,リアルタイムの文字

通信などのように,利用者が直接操作する機器に対する配慮だけでは解決が困難で,その他の電気通信に

関する設備及び電気通信サービス全体で解決すべき課題もある。このことから,電気通信サービスに関し

ては,ITU-T F.790 を参考にして,

附属書 A  電気通信サービスに関する配慮事項を記載した。


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適用範囲 

この規格は,電気通信機器のアクセシビリティを改善し,職場,家庭,移動中及び公共の環境で幅広く

利用できるようにするための指針であり,高齢者,障害のある人々及び一時的な障害をもつ人々(以下,

高齢者・障害者等という。

)を含む,幅広い感覚,身体,認知の能力をもつ人に対する電気通信機器を企画,

開発及び設計するときに配慮すべき事項について規定する。

注記 1  この規格は,高齢者・障害者等を含む,幅広い感覚,身体,認知の能力をもつ人に対する電

気通信機器の流通,調達及び評価に関与するときにも,利用することができる。

注記 2  複合製品など,従来の電気通信機器に当てはまらない新しい概念の製品及び製品群も,この

規格に従うことが望ましい。ただし,今後その製品群に関する規格が制定された場合は,そ

の規格による。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

)は適用しない。

JIS X 8341-1:2010

  高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサー

ビス−第 1 部:共通指針

注記  対応国際規格:ISO 9241-20:2008,Ergonomics of human-system interaction−Part 20: Accessibility

guidelines for information/communication technology (ICT) equipment and services

(IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 8341-1:2010 によるほか,次による。

3.1 

電気通信機器(telecommunications equipment)

電気通信に関する設備の中において,電気通信サービスの利用者が直接操作する機器。

3.2 

電気通信アクセシビリティ(telecommunications accessibility)

高齢者・障害者等を含む様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する,電気通信機器及び電気通信サ

ービスのユーザビリティ。

3.3 

電気通信サービス(telecommunications services)

電気通信に関する設備を用いて利用者に提供される便益。

3.4 

基本機能

電気通信機器が提供する主たる機能であって,製品カテゴリーに共通する機能であり,付帯的な機能で

はないもの。

注記  この規格における固定電話機,携帯電話機,ファクシミリ及びテレビ電話機の基本機能につい

ては,附属書の B.1C.1D.1 及び E.1 を参照。

一般原則 

電気通信機器を企画,開発及び設計する人々(以下,開発者という。

)が,電気通信アクセシビリティを


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確保し,向上させるために守らなければならない一般原則は,次による。

a)

高齢者・障害者等が可能な限り独力で電気通信機器を利用できるようにする。

注記 1  高齢者・障害者等に配慮するためのアプローチについては,5.2 を参照。

注記 2  利用者への適合性を評価する場合には,開発プロセスにおける活動(5.4 参照)を通じて

評価を行う。

注記 3  アクセシビリティを十分に確保するためには,人的支援が必要な場合がある。ただし,ア

クセシビリティ確保のための解決手段は,個別の人的支援(支援者,家族による支援等)

を利用することを前提としないことが望ましい。

b)

知的能力,記憶などの認知機能に過度の負担をかけることなく,可能な限り電気通信機器を利用でき

るようにする。また,文化の差異又は言語の違いがある場合,及び/又は初めて利用する場合にも,

可能な限り電気通信機器を利用できるようにする。

c)

電気通信アクセシビリティを確保するための方法によって,既存の機能で実現できることと同等又は

それに類似したことを,高齢者・障害者等が達成できるようにする。

d)

電気通信アクセシビリティを確保するときは,利用者の心身の安全も確保する。

e)

電気通信アクセシビリティを確保するときは,利用者の情報セキュリティも確保する。

企画,開発及び設計における要件 

5.1 

企画,開発及び設計における基本的要件 

企画,開発及び設計における基本的要件は,次による。

a)

事業管理者及び開発管理者は,電気通信機器を企画,開発及び設計するときには,電気通信アクセシ

ビリティ方針を設けなければならない。また,その方針を開発者が遵守することを確認しなければな

らない。

b)

開発者は,電気通信のアクセシビリティを確保し,向上させるために,この規格に規定する要件に配

慮して,企画,開発及び設計しなければならない。

注記  個々の機器にこの規格を適用するときは,この規格の中から要件を選択して適用する。要件

の選定をするときは,その選定理由及び配慮内容を明示する。

c)

開発者は,電気通信機器を新しく設計する場合には,可能な限り既存の規格を利用し,既存機器との

互換性をもたせることが望ましい。

5.2 

アクセシビリティ確保のためのアプローチ 

開発者は,電気通信アクセシビリティを確保するために,次のアプローチを取ることが望ましい。

a)

電気通信機器を,全ての利用者が,設定変更などの特別な準備をすることなく利用できるように,可

能な限り設計する。

注記  このアプローチは,公衆電話機などの公衆端末を設計する場合に重要である。

b)

電気通信機器を,個々の利用者のニーズに合わせて設定を変えられるように設計する。

例  多機能な電気通信機器においては,利用頻度の高い機能だけを選択できる操作モードを提供す

る。

注記  このアプローチによって,能力及び利用ニーズの異なる利用者が,電気通信機器の操作方法

を最適化することができる。

c)

a)

及び b)が不可能又は不適切な場合,全ての利用者全体のニーズをカバーする一連の電気通信機器群

又は幾つかの電気通信機器を,可能な限り提供する。


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例 1  視覚に障害のある利用者などのために,音声読上げ機能の入った携帯電話機を提供する。

例 2  多機能な電気通信機器の操作に不慣れな高齢者などのために,音声通話に機能を限定した携

帯電話機を提供する。

d)  a)

b)及び c)では対応できない利用者のニーズを満たすために,支援技術との接続性を確保して,こ

れらの利用者が自分のアクセシビリティ確保のための手段を創出する基礎を提供する(6.6 及び 7.5 

照)

5.3 

基本方針 

開発者は,電気通信アクセシビリティを確保し,向上させるために,人間中心設計の概念を理解するこ

とが望ましい。

電気通信アクセシビリティに対する人間中心設計の取組みは,

次のように特徴づけられる。

a)

開発製品が対象とする利用者の要求内容を把握するために,高齢者・障害者等,支援者などを開発プ

ロセスに参加させる。

注記  利用者の要求事項及び心身機能の特性は多様であり,使用環境による影響も大きい。したが

って,これらの利用者に開発プロセスに積極的に参加してもらい,開発者とのコミュニケー

ションを促進することで,電気通信アクセシビリティを確保・向上するための有効な情報が

得られる。

なお,利用者参加の方法は,開発プロセスにおける手法によって異なる。

b)

開発製品が対象とする利用者に使いやすいユーザインタフェースにするために,機能を,利用者の操

作に任せるものと,電気通信機器及び電気通信サービスが受けもつものとに適切に切り分ける。

注記  機能が適切に切り分けされていない場合は,高齢者・障害者等にとって使いにくいものにな

る。また,必要以上のコストを要したりする場合がある。機能を配分する場合には,電気通

信アクセシビリティに加えて,デザイン,コスト,信頼性などに対する配慮も重要である。

c)

設計及び評価を繰り返す。

注記  利用者の要求事項に配慮した製品仕様を決定し,利用者などによる評価を活用して電気通信

アクセシビリティを確保・向上するための設計過程を繰り返す。

d)

開発プロセスに多様な専門家を参加させる。

注記  利用者の心身機能の多様性に適切に対応するためには,開発者だけではなく,人間工学の専

門家,アクセシビリティの専門家,ユーザインタフェースデザイナー,システムエンジニア,

プログラマ,サポート担当者,営業部門などの多様な職種の人が参加することが必要で,こ

れによってアクセシビリティが確保された利用者に使いやすい機器を設計することが可能に

なる。

5.4 

開発プロセスに関する活動 

開発者は,開発プロセスの計画に,電気通信アクセシビリティを確保するための方針を含めなければな

らない。5.4.15.4.4 に示す 4 項目の開発プロセスに関する活動を,目標達成まで繰り返すことが望まし

い。JIS X 8341-1:2010 の 5.3(プロセス)を参照。

5.4.1 

利用状況の把握及び明示 

開発製品が対象とする利用者の利用状況の理解及び特定のために,次の活動を行う。

・  開発製品が対象とする利用者の,心身機能の特性を把握する。

・  開発製品が対象とする利用者の,電気通信機器の利用に関する知識,経験,要求などを把握する。

・  開発製品が対象とする利用者が電気通信機器を利用する場合の環境を把握する。

注記  高齢者・障害者等は,電気通信機器を利用するとき,環境による影響又は制限を受けることが


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多い。

5.4.2 

利用者の要求事項の把握 

開発製品が対象とする利用者の要求事項を把握するためには,次の活動を行う。

・  開発製品が対象とする利用者に合わせて,要求事項を特定する。

・  開発製品が対象とする利用者間の要求事項の優先順位を決定する。

・  関係する法律などで示される要求事項を把握する。

注記  箇条 4,箇条 5,及び附属書 B∼附属書 の中から,必要な要求事項を一つ以上選択する。

5.4.3 

設計による解決案の作成 

設計による解決案を作成するために,次の活動を行う。

・  この規格に記載の具体的な配慮要件,解決のための例及び注記,並びに人間工学,認知工学などの既

存知識を利用する。

・  シミュレーション,モデル,モックアップなどを利用した解決策のプロトタイプを作成する。

5.4.4 

要求事項に対する評価 

要求事項に対する設計の評価をするために,次の活動を行う。

・  対象とする利用者によるプロトタイプの評価を行う。

・  評価結果を元に必要に応じて各活動に戻り,対象とする利用者の要求事項を達成するまで,開発プロ

セスのサイクルを繰り返す。

操作及び利用に関する共通要件 

6.1 

操作 

6.1.1 

基本機能の操作 

電気通信機器の基本機能に関わる使用開始から使用終了までに必要な全ての操作は,容易に完了できな

ければならない。

注記  基本機能以外の付帯的な機能については,利用の状況などが配慮されて,アクセシビリティ確

保の範囲が定められる。

6.1.2 

操作手順の容易性 

電気通信機器は,利用者の認知過程及び行動特性を考慮して,可能な限り,容易な手順で操作できるこ

とが望ましい。

例 1  操作手順又は画面の内容を記憶していることがそれに続く操作に必要な場合には,それまでに

行った操作手順が表示されたり,画面の表示が再提示されたりする。

例 2  片手だけで入力できる。

例 3  音声ガイダンスだけで情報が取得できる。

例 4  メニューの対話方式だけで操作できる。

例 5  画面が遷移しても,情報の表示形式が一貫している。

注記 1  利用者は,類似した機器の使い慣れた操作と大きく変更がなければ,操作を新たに理解・記

憶しなくても,容易に類推して操作することができる。

注記 2  加齢などによって記憶力が低下している利用者は,操作手順又は画面の内容を正確に記憶す

ることが難しい場合がある。

注記 3  機器本体の操作方法などに一貫性をもたせることによって,支援技術を利用した場合でも,

操作の容易さ及び操作効率の低下を防ぐことができる。


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注記 4  メニュー対話に関する,メニュー構造,メニューの提示などの推奨事項については,JIS Z 

8524

に記載されている。

6.1.3 

確認 

次の項目の利用者による確認は,複数の感覚によってできなければならない。

・  機器が使用可能な状態か

・  通信回線が使用可能な状態か

・  操作の結果

・  入力操作が意図されたものであったか

・  まもなく機器が使用できなくなること,また,もし可能ならばその理由。

これらの項目以外の状態の確認も,複数の感覚によってできることが望ましい。

例 1  操作可能な状態かどうかを,画面表示だけでなく,報知音でも確認できる。

例 2  通話可能な状態かどうかを,報知音だけでなく,視覚的表示でも確認できる。

例 3  モードが変化したことを,画面表示だけでなく,報知音でも確認できる。

例 4  数値しか入力できない入力領域に誤って文字を入力したような場合のエラーメッセージは,報

知音だけでなく,画面にも表示される。

例 5  注意メッセージは,画面表示だけでなく,音声ガイダンスでも出力される。

注記 1  情報が視覚的に表示されているだけでは,視覚障害のある場合,及び画面を見ることのでき

ない利用環境においては,その内容を把握できないことがある。また,情報を音声でしかガ

イドできないと,聴覚障害のある場合,騒音環境及び音を出力できない利用環境においては,

その内容を把握できないことがある。

注記 2  複数の確認機能を提供することは,記憶力などの認知機能が低下した利用者,及び多様な利

用環境においても有効である。

注記 3  確認機能の提供方法として,視覚情報を聴覚情報で代替するなどの方法のほかに,音量を上

げるなどの感覚機能の低下を補償する方法もある。

6.1.4 

時間制限への対応 

電気通信機器は,一定時間以内に利用者から入力を求める場合には,可能な限り,制限時間の調節がで

きることが望ましい。それができない場合は,時間制限がある旨を事前に通知することが望ましい。

例 1  情報提示及び入力確定に時間制限がない。

注記  操作に時間がかかり,入力時間制限で画面が自動的に変化した場合に,利用者がこれ

に気づかず,操作ができなくなる場合がある。

例 2  入力した電話番号を確認してから発信できる。

注記  加齢などによる認知機能の低下,視力低下,筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意

運動などのために,応答の入力に時間がかかる場合がある。

6.1.5 

誤操作の防止 

電気通信機器は,利用者が誤操作しにくい配慮がされていなければならない。

例 1  各種の操作ボタンの配置,配色,コントラスト及び形状が視覚的に分かりやすい。各操作ボタ

ンに印刷された文字又は図記号が分かりやすい。

例 2  利用者に応答を求めるときに,簡潔で分かりやすい表現,読みやすいサイズの文字,明瞭な口

調で聞き取りやすい音量及び速度の音声ガイダンスなどが用いられている。

例 3  視覚に障害のある利用者が触覚又は聴覚で正しいキーが分かるようにするために,操作の基準


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となる位置のキーに凸記号表示が付いていたり,又は,キーの名称若しくは機能を音声で読み

上げたりする。

例 4  用紙,インクリボンなどの消耗品は,正しい方向で補充又は交換ができる。周辺機器などは,

正しい方向で接続できる。

例 5  データの送信,消去などにおいて,操作が取消しできないときに,あらかじめ利用者に操作の

確認を求める。

6.1.6 

誤操作の取消し 

電気通信機器は,可能な限り,利用者が誤操作を取消し,操作前の設定又は状態に戻れなければならな

い。

例 1  複数回の操作を,1 回ずつ取消し又は操作前の状態に順に戻ることができる。

例 2  階層メニューの選択を誤ったときに,一つ前のメニューに戻ることができる。

注記  データ送信の取消しなど電気通信機器だけで対応できない場合,電気通信機器の記憶容量の制

限などで記憶できない大容量データの復旧などは除く。

6.1.7 

操作の起点への復帰 

電気通信機器は,利用者が操作の途中でも,簡単に操作の起点に戻ることができなければならない。

例  メニュー操作中に操作が分からなくなった場合,トップメニューなどに戻ることができる。

6.1.8 

異常時の操作 

電気通信機器は,異常が発生した場合に,利用者自身によって可能な限り操作可能な状態に復帰できな

けばならない。

例 1  電源をオフにしてから再度電源をオンにすることで,操作可能な状態に戻る。

例 2  リセットボタンを押すことで,初期設定状態に戻る。

6.1.9 

出力の調整 

音響,振動,画面点滅などの出力は,利用者自身によって調節できなければならない。また,その出力

の状態は,分かりやすく提示されることが望ましい。

注記 1  皮膚感覚が低下すると,振動レベルが弱いと気がつかないことがある。

注記 2  視野が狭い場合,画面の点滅領域の大きさ又は点滅タイミングによっては,点滅しているこ

とが分からない場合がある。

注記 3  聴覚障害があると,電気通信機器から大きな音が出ていて周囲へ迷惑を与えていても分から

ない場合がある。

6.1.10 

エラーメッセージ 

エラーメッセージ及びその対応方法は,明確で曖昧さがないことが望ましい。

6.2 

設置,接続及び設定 

設置,接続及び設定に関する共通要件は,次による。

a)

包装容器の開閉及び包装容器からの取出しは,利用者自身によって容易にできることが望ましい。

例 1  こん(梱)包箱の上下を分かりやすくするために印が付いている。

例 2  こん(梱)包箱を開ける方法が図示されている。

例 3  こん(梱)包箱に手を入れやすくなっている。

例 4  輸送用の包装材及び固定テープを,見分けやすく,取り外ししやすい。

b)

電気通信機器の組立て及び取付け作業は,利用者自身によって容易にできることが望ましい。

c)

電気通信機器は,設置が容易な構造で,コネクタの接続,ケーブルの配線などが,利用者自身によっ


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て誤りなく容易にできることが望ましい。

例  着脱する可能性のある端子などが,正しい向きで挿入及び取外しができるような配色,コント

ラスト,又は形状になっている。

d)

電気通信機器は,操作中に設置位置から簡単に動いたり及び転倒したりしないようにしなければなら

ない。

例  電気通信機器を固定するための金具,ねじ穴などが付いている。

e)

トレーなどの附属品,電池の取付け位置及び取付け方法は,分かりやすくなければならない。

f)

時刻・名前・電話番号などの情報の電気通信機器への登録作業は,利用者自身によって容易にできる

ことが望ましい。

注記  登録情報には,電話帳登録,短縮ダイヤル設定,時刻設定,利用者名などがある。

g)

通常の消耗品の交換作業は,利用者自身によって容易にできることが望ましい。

注記 1  通常の消耗品の交換作業は,電池の交換,インクリボンの交換,紙の補給などがある。

注記 2  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,消耗品の位置及び/又は着脱の向きが

分かりにくい場合がある。

6.3 

心身の安全性 

6.3.1 

安全性の確保 

電気通信機器は,利用者が行う操作又は動作によって,利用者の安全及び健康に悪影響を与えてはなら

ない。

例 1  鋭利な角で指などを損傷しないために,利用者が触る可能性のある箇所は,鋭角にしない。

例 2  インクリボン又はトナーカートリッジの交換を手探りで行っても,高温部に触れない構造にす

る。

例 3  利用者が誤って危険な作業を行うと予見されることについては,複数の手段を用いて警告する。

6.3.2 

電波,電磁ノイズなどへの配慮 

電気通信機器が発生させる電波,電磁ノイズなどのレベルは,国内及び/又は国際的合意の範囲内に収

めなければならない。

注記 1  “時間変化する電界,磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(300 GHz

まで)

[平成 10 年 4 月  国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)策定]

”は,電磁波の健康

への有害な影響を防止するための EMF(電界,磁界及び電磁界)ばく(曝)露制限の国際的

指針である。

注記 2  “医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針[平成

9

年 3 月 27 日不要電波問題対策協議会(現電波環境協議会)策定]

”は,平成 7 年∼平成 8

年にかけて運用されていた機器の調査に基づく携帯電話機などによる医用電気機器(補聴器,

ペースメーカなど)への電波の影響を防止するための指針である。また,総務省では,携帯

電話などと医用電気機器との双方における状況の変化に対応するため,平成 12 年度から継続

的に“電波の医療機器等への影響に関する調査”を実施して,その結果を公表している。

6.3.3 

光過敏性発作への配慮 

画像,光などの点滅は,光過敏性発作などを誘発させないように,点滅条件が配慮されなければならな

い[JIS X 8341-1:2010 の 7.2.12(点滅に反応する利用者)を参照]

6.3.4 

アレルギーへの配慮 

皮膚に常時接触する箇所には,アレルギーを引き起こす可能性のある材料が用いられないことが望まし


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い。用いる場合は,利用者に材料に関する情報が開示されなければならない[JIS Z 8071:2003 の 9.5(ア

レルギー)を参照]

注記  アレルギーを引き起こす素材としては,ニッケル,クロム,一部のゴムなどがある。

6.3.5 

過大な音響の回避 

音響出力は,聴覚を損なうような音量になってはならない。

注記  聴覚障害者の中には,非常に大きな音響出力が必要かつ有効な場合もあるが,それは補聴器の

ような医療機器によって提供される。

6.4 

情報セキュリティ 

6.4.1 

プライバシーの保護 

私的又は秘密の性質をもつ情報を保護するため,安全かつアクセシビリティを確保した操作手順が提供

されなければならない。この手順の中で秘密情報を入手する第三者は,その情報の秘密を守らなければな

らない。

注記  情報セキュリティに配慮しないで音声化を行うと,パスワード,個人情報などの重要な情報が

第三者に漏れる可能性がある。

6.4.2 

生体個人認証に対する代替手段 

指定された生体個人認証のデータを入力できない利用者には,代替手段が提供されることが望ましい。

例  指紋認証,アイリス[こう(虹)彩]認証,顔認証などの認証方式を使用する場合に,代替手段

として暗証番号を入力できる。

注記  生体個人認証に使用している身体の部位に障害があると,利用できない場合がある。

6.5 

コンテンツ利用の権利 

電気通信機器は,点字変換,法律で認められた録音などを,阻害してはならない。

注記  著作権法第 37 条では,公表された著作物から点字出力のための電子化点字ファイルへの変換

及び特定の施設での録音は認められている。

6.6 

代替手段 

代替手段に関する共通要件は,次による。

a)

支援技術を,可能な限り利用できなければならない。

注記 1  手の震え,不随意運動などによって,細かなキー入力操作ができない利用者には,大形の

キーボードが有効である。

注記 2  筋力低下,麻ひ(痺)などによって,手の動かせる範囲に制限がある利用者には,小形の

キーボードが有効である。

注記 3  肢体不自由などによって,操作ボタンを押しにくい利用者には,足などで操作する大形ス

イッチ,身体の僅かな動きで操作するマイクロスイッチ,呼気スイッチなどが有効である。

注記 4  視覚障害などによって,画面表示が見えにくい利用者には,表示機能に表示されている情

報を読み上げる音声合成装置が有効である。

注記 5  聴覚障害などによって,着信音が聞こえにくい利用者には,着信時に点滅する外付けのラ

イトが有効である。

b)

利用者が支援技術を利用する場合,機器本体の機能(操作ボタン,キー及びスイッチを含む。

)を併用

できることが望ましい。

例  特別なキーボードが接続されている場合でも,標準のキーボードからも入力できる。

注記  介助者が入力操作などをサポートするとき,利用者に適合させた特別なキーボードだけしか


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接続できないと,効率的に操作できない場合がある。

6.7 

機器個別の要件 

固定電話機,携帯電話機,ファクシミリ及びテレビ電話機の四つについては,6.16.6 に加えて,機器

個別に配慮すべき要件を,

附属書 B∼附属書 に示す。

機器に関する共通要件 

7.1 

入出力インタフェース 

7.1.1 

操作パネルのレイアウト 

操作パネル(タッチパネルを含む。

)のレイアウトに関する共通要件は,次による。

a)

操作ボタン,キー,スイッチなどは,操作の論理性に加えて,利用者の認知過程,運動能力及び行動

特性を考慮して,分かりやすく,操作しやすく,かつ,誤操作しにくいように配置されなければなら

ない。

注記 1  操作ボタンは,電気通信機器がもつ機能を有効にするために,選択又は押下するものであ

る。キーは,文字キー,テンキーなど一般的にそのものに印字又は表示が付記され,文字,

数字などを入力するものである。ただし,機器又は目的によって操作ボタン及びキーは,

厳密に使い分けられているわけではない。スイッチは,機構的に機能をオン又はオフする

ために使用するものである。

注記 2  操作ボタン,キー,スイッチなどを論理的に配置するためには,JIS C 0447 を参照して,

使用順序,使用頻度,優先順位などを考慮するのがよい。

例 1  操作ボタン,キーなどは,誤入力しないように間隔をあけて配置されている。

例 2  使用順序,優先順位などがある画面内の操作ボタン,キー及びテキストは,左か

ら右へ上から下に配置されている。

注記 3  利用者が画面を見る場合,視線は,一般に左上から右下に向かって移動することが多い。

注記 4  スクリーンリーダー(読上げソフト)は,表示画面上の配置とは無関係に,ソースプログ

ラムに記述された順番で読み上げるので,ソースプログラムは,表示画面上の配置と対応

する順番で記述すると,音声で聞いても内容が分かりやすい。

注記 5  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,操作ボタン,キー,スイッチなどの位

置が確認しにくい場合があるので,それらのサイズ,色などのほかに,レイアウトを工夫

して,グループ分けを明確にしたり,個々の判別をしやすくしたりするのがよい。

注記 6  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,操作ボタン,キー,及びス

イッチを正確に押すことが難しい場合がある。押しやすくするためには,それらのサイズ,

形状などのほかに,間隔を広げるなどのレイアウトの工夫をするのがよい。

b)

過度に長い行の表示及び過度に詳細な情報は,避けなければならない。

c)

画面内に表示されるメニューなどを選択又は操作する操作ボタン及びキーは,相互の関係を考慮して,

分かりやすい位置に配置されなければならない。

d)

スイッチ,レバーなどの操作方向は,機器の動作方向又は表示画面のスクロール方向と一致していな

ければならない。

e)

多数ある操作ボタンは,視覚及び触覚で識別しやすくなければならない。

注記  視覚障害,加齢などによる視力低下,指先感覚の麻ひ(痺),皮膚感覚の鈍化などのために,

操作ボタン,キー,スイッチなどの位置及び機能が分かりにくい場合がある。


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7.1.2 

操作ボタン,キー及びスイッチ 

操作ボタン,キー及びスイッチに関する共通要件は,次による。

a)

操作ボタン,キー及びスイッチは,可能な限り視覚とともに触覚でも識別しやすい大きさ及び形状で

なければならない。

b)

操作ボタン,キー及びスイッチは,操作しやすく,かつ,誤操作しにくい大きさ及び形状でなければ

ならない。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,操作ボタン,キー,スイッチが

操作しにくい場合がある。

c)

次の場合に,それらは,視覚及び触覚の両方で容易に識別できなければならない。

1)

同形状の操作ボタン,キー及びスイッチが多数ある場合

2)

標準ポジションがある切替えスイッチの場合

3)

操作の方向性を示す必要のある場合

例  テンキーの“5”に凸点が付いている。

注記 1  テンキーの“5”の凸点は,テンキーの標準ポジションを示すものであり,他のキーを推

測するための基準になるため,キーの中央部に配置することが有効である。

注記 2  視覚障害,加齢などによる視力低下,指先感覚の麻ひ(痺),皮膚感覚の鈍化などのため

に,操作ボタン,キー,スイッチなどの位置が分かりにくい場合がある。

d)

操作ボタン,キー及びスイッチを押したこと,又は切り替えたことは,触覚だけでなく,視覚及び聴

覚で確認できなければならない。

例 1  キーを押したときに,報知音,音声などを出力する。

例 2  キーを押したときに LED が点灯する。

注記  指先感覚の麻ひ(痺)又は鈍化のために,操作ボタン,キー,及び電源スイッチを押したこ

とが確認しにくい場合がある。

e)

操作ボタン,キー及びスイッチの操作の結果は,視覚とともに聴覚で確認できなければならない。

例  キー入力が確定したことを,報知音,音声などでフィードバックする。

注記  視覚障害及び加齢などによる視力低下などのために,画面の表示が確認できない場合がある。

f)

意図しない二度押しを防止する機能が提供されることが望ましい。

例  キー入力を無効とするまでの時間が調節できる。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,押したキーを再び押し,2 回以

上入力してしまう場合がある。

g)

キーを押し続けたときにキーリピートが生じる場合,その設定は変更できることが望ましい。

注記 1  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,押したキーを短時間で離す

ことができず,

キーリピート機能によって 2 個以上の文字が入力されてしまう場合がある。

注記 2  キーリピート機能の設定項目には,次のものがある。

・  キーリピートの有効・無効

・  キーリピートが開始するまでの時間

・  キーリピートで 2 回目以降のキーが入力される時間間隔(リピート率)

h)

少ないキー操作で入力できる手段が提供されることが望ましい。

例 1  一つのボタンを押すだけで,あらかじめ登録した相手先に自動的に発信できる(短縮ダイヤ

ル機能)


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例 2  かな漢字変換に予測変換機能が搭載されている。

注記 1  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,複数のボタン操作に時間が

かかることがある。

注記 2  操作の慣れない初心者及び高齢者にも有効である。

i)

操作ボタン,キー及びスイッチは,可能な限り,義肢,マウススティックなどの自助具を使用して操

作できなければならない。

例 1  自助具を用いて操作しやすくするために,操作ボタンは凹型になっている。

例 2  キーガードが提供されている。

注記  静電式のタッチパネルは,自助具で操作できないことがある。

j)

タッチパネルは,手の震え,不随意運動をもつ利用者にも押しやすく,視力の低下した使用者にも可

能な限り操作できなければならない。

例 1  キーリピートが利用者の意図に反して生じないように,入力時間間隔を調節できる。

例 2  タッチパネル内の操作ボタン及びキーは,見やすく大きく表示される。

例 3  操作ボタン及びキーの選択時及び/又は入力確定時に,報知音,音声などでフィードバック

される。

注記 1  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,タッチパネルのボタン及びキーの場所

が見にくい場合がある。

注記 2  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,隣接するボタンを誤って押

してしまうことがある。

7.1.3 

表示装置 

表示装置に関する共通要件は,次による。

a)

視覚的に表現されている情報は,可能な限り見やすくなければならない。

注記 1  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,ディスプレイ内に表示される文字,ボ

タン,アイコンなどが見にくい場合がある。

注記 2  見やすく,読み取りやすく,快適につかえるようにするオフィス用視覚表示装置に対する

要求事項は,JIS Z 8513 に規定されている。

b)

操作に必要な情報は,利用者の色覚特性に依存しない方法で提示しなければならない。

例 1  色の違いによって表現している情報に,テキストが付記されている。

例 2  文字色と背景色との間に,十分なコントラストが与えられている。

注記 1  視覚障害,色覚障害,加齢による視力低下,水晶体の黄変,混濁などのために,ディスプ

レイ内に表示される文字,ボタン,アイコンなどが配色によっては見にくい場合がある。

注記 2  一般的な配色に関する要求事項は,JIS Z 8518 に規定されている。その規格を用いると,

一般の利用者の最低限の要求事項を満足できるとともに,色覚障害のある場合にも参考に

なる。

c)

画面が見にくくなる画面反射は,可能な限り避けなければならない。

注記 1  画面反射に関する一般的な要求事項は,JIS Z 8517 に規定されている。

注記 2  視覚障害,加齢などによる視力低下,水晶体の黄変,混濁などのために,利用者の見えや

すさは多様であり,ディスプレイ内に表示される情報の配色又はコントラストによっては

見にくい場合がある。特に低照度の環境では顕著である。

d)

輝度及びコントラストは,可能な限り調整できなければならない。


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注記 1  視覚障害,加齢などによる視力低下,水晶体の黄変,混濁などのために,輝度又はコント

ラストによって,ディスプレイ内に表示される背景,文字,ボタン,アイコンなどが見に

くい場合がある。

注記 2  一般的な輝度及びコントラストに関する要求事項は,JIS Z 8518 に規定されている。

注記 3  バックライト機能があると,低照度の環境下で若年者よりも見にくくなる高齢者にとって

効果的である。

注記 4  7.1.3 a)d)に関して,液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの場合は,JIS 

Z 8528-2

を参照。

e)

文字(記号を含む。

)のサイズ,フォント,行間隔,文字間隔,配色などは,利用者が変更できること

が望ましい。

注記  弱視,加齢などによる視力低下などのために,ディスプレイ内に表示される文字,ボタン,

アイコンなどが小さくて見にくい場合がある。

f)

視覚的に表現されている情報は,視覚以外の感覚によってもその情報を取得できることが望ましい。

例 1  テキスト情報が合成音声で読み上げられる。

例 2  相手先番号通知が利用できる場合に,相手先番号又は電話帳登録名が合成音声で読み上げら

れたり,通常の着信時とは異なる着信音が鳴動したりする。

g)

基点(標準位置)は,視覚とともに聴覚でも確認できることが望ましい。

例  操作ボタンによってメニューを操作する場合に,基点となる位置が報知音で確認できる。

注記  視覚障害,加齢などによる視力低下のために,画面表示が見にくいと,ボタンを押すたびに

その状態が替わる機能は,現在の状態を確認することが難しい場合がある。

7.1.4 

着信音 

着信音に関する共通要件は,次による。

a)

着信音の音量及び周波数特性は,可能な限り,聴力が低下した利用者にも配慮して聞き取りやすくな

ければならない。

例  単純な倍音構造ではなく,非整数次の倍音を含むような複雑な構造の音色が使用されている。

注記  聴覚障害,加齢などによる高音域の聴力低下によって,基本周波数が高すぎると聞き取りに

くくなり,また,低すぎると周囲の騒音に埋もれ聞き取りにくくなる。

b)

音量の調節及びミュート(消音)ができなければならない。また,それらの設定のときには,音量レ

ベルが視覚などでも確認できなければならない。

注記 1  聴覚障害,加齢などによる聴力低下で通常の音量では聞き取れないときには,音量を大き

くしたい場合がある。

注記 2  ミュート(消音)できる機能があると,公共空間などで周囲に迷惑をかけない。

注記 3  聴覚障害,加齢などによる聴力低下で着信音が聞き取れないと,電気通信機器からの大音

量が周囲に迷惑を与えていることに気が付かない場合がある。

c)

音色,パターン,メロディなどが選択できることが望ましい。

注記  聴覚障害,加齢などによる聴力低下の程度は,多様であり,聞き取りやすい音色などには個

人差がある。

d)

着信音が伝える情報は,聴覚以外の感覚によっても,その情報を取得できなければならない。

例  着信音出力時に LED を発光したり又は振動したりする。


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7.1.5 

報知音及び音声ガイダンス 

報知音及び音声ガイダンスに関する共通要件は,次による。

a)

報知音には,可能な限り一貫性のあるパターン,聞き取りやすい音量及び周波数特性が用いられなけ

ればならない。

注記 1  JIS S 0013:2002 の 4.(報知音を発生する機器の要件)には,通常それが用いられる様々な

使用環境における利用者にとって聞き取りやすく,目的及び意味が理解及び判別しやすい

ようにするための配慮事項が規定されている。

注記 2  JIS S 0014:2003 には,報知音の音圧レベルの測定方法,及び様々な環境下における適切な

報知音の音圧レベルの推奨値が規定されている。

注記 3  聴覚障害,加齢などによる高音域の聴力低下によって,基本周波数が高すぎると聞き取り

にくくなり,また,低すぎると周囲の騒音に埋もれ聞き取りにくくなる。

b)

音声ガイダンスは,分かりやすい言葉,聞き取りやすい話し方,及び利用者の思考に沿った順序で提

示されなければならない。

例 1  一つの文章が短く,専門用語が用いられていない。

例 2  話速がゆっくりで,適度なところで間がとられている。

c)

音量の調整及びミュート(消音)ができなければならない。また,その設定のときには,音量レベル

を視覚などでも確認できなければならない。

注記 1  聴覚障害,加齢などによる聴力低下などのために,通常の音量では聞き取れないときには,

音量を大きくしなければならない場合がある。

注記 2  ミュート(消音)できる機能があると,公共空間などで周囲に迷惑をかけない。

注記 3  聴覚障害,加齢などによる聴力低下で報知音が聞き取れず,電気通信機器からの大音量が

周囲に迷惑を与えていることに気が付かない場合がある。

d)

報知音の基本周波数及び周波数特性は,調節できることが望ましい。

注記  聴覚障害,加齢などによる聴力低下などのために,高音域が聞きにくい場合がある。

e)

音声ガイダンスの再生速度は,調節できることが望ましい。

注記  加齢などによって聴力及び認知機能が低下している場合,音声の再生速度を遅くする,一時

的に再生を中断する,などの操作が行えると,内容が理解しやすくなる。一方,視覚障害な

どのため画面読上げソフトウェアを使用している利用者には,効率的に内容を理解するため

に速い音声再生が好まれる場合がある。

f)

音声ガイダンスは,聞き直せることが望ましい。

注記  聴力及び/又は認知機能が,加齢などによって低下している場合,聞き直せると内容が理解

しやすくなる。

g)

報知音が伝える情報は,聴覚以外の感覚によってもその情報を可能な限り取得できなければならない。

例  報知音出力時に画面表示したり又は振動したりする。

h)

音声ガイダンスが提示する情報は,視覚でも取得できなければならない。

注記  情報が音声でしか提示されていないと,聴覚障害,加齢などによって聴力が低下した利用者

は,その内容を把握できない場合がある。視覚的にも情報が提示されていると,記憶力など

の認知機能が低下した利用者にとっても有効である。

7.1.6 

音声入出力装置 

音声入出力装置に関する共通要件は,次による。


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a)

受話音は,聴力が低下した利用者にも配慮して,可能な限り聞き取りやすくなければならない。

例 1  受話音量が通常よりも大きくなっている。

例 2  大型の受話スピーカが使用されている。

例 3  高音域が強調されている。

例 4  受話音が自動的に最適な音量になる。

注記  聴覚障害,加齢などによって聴力が低下した利用者に対して,通常レベルよりも少し大きく

したり,高音域を強調したりすることで聞き取りやすくなることがある。過度にすれば,一

般の利用者に不快になることもあるが,適度の強調は気にならず,騒音が大きい場所などで

は一般の利用者にも有効である。

b)

受話音の音量は,可能な限り通話中に調整できなければならない。

例  通話中に,音量調節ボタンなどによって音量を調節できる。

c)

電気通信機器が複数の利用者によって利用されることが想定される場合,受話音の音量は,通話終了

時に通常レベルに戻らなければならない。

注記 1  固定電話機は,複数の利用者が使用する場合があり,前の利用者が設定した大きな受話音

量が継続されると,次の利用者に不適切な場合がある。

注記 2  個人で使用する携帯電話機においても,騒音が大きい場所などでは,一時的に通常の音量

よりも大きくする場合がある。自動的に通常使用時の音量に戻っていると,騒音のない環

境で通話を開始したときに,音量調節をする必要がない。

d)

受話音を大きくできる場合は,音漏れを最小限にすることが望ましい。

例  受話部の密着性が高い。

注記 1  受話音を大きくすると音漏れが大きくなり,周囲に迷惑をかける,及び/又はプライバシ

ーが保てない場合がある。

注記 2  補聴器用誘導コイル又は外部出力端子を備えることも有効である。

e)

聴覚特性に応じた調節機能が提供されることが望ましい。

例 1  音質(周波数特性)を調整できる。

例 2  話速を遅くできる。

例 3  骨導受話器が利用できる。

注記  骨導方式は,伝音性及び混合性難聴に有効であるとともに,周囲がうるさい場合にも有効

である。

f)

受話音に適切な側音(送話部で話した音声が,受話部を通して自分の耳で聞き取れる。

)が入らなけれ

ばならない。

注記  T モードにした補聴器(マイクロホン入力がオフにされる。)を装着した利用者にとって,側

音が挿入されていると,自分の声を受話部の誘導コイルを通じて聞くことができ,発話しや

すくなる。

g)

可能な限り,音声出力装置は,受話音が補聴器が内蔵する誘導コイルを通じて受聴できるように,適

度な磁界を発生しなければならない。

注記 1  補聴器には,マイクロホン入力のほかに,音声電流による磁界からの誘導を受けて起電力

を発生する誘導コイルが内蔵されているものがある。

注記 2  JIS C 5512:2000 の 4.2.5(誘導コイル入力の性能)には,補聴器の誘導コイル入力の周波数

レスポンス及び最大感度について規定されている。


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h)

可能な限り,音声出力装置は,補聴器及び人工内耳の外部入力端子に接続できなければならない。

例 1  人工内耳スピーチプロセッサ用の電話機アダプタを電話機との間に挿入するために,電話機

の送受話器端子に,着脱式端子が使用されている。

例 2  オーディオ出力端子が装備されている。

i)

補聴器,人工内耳などに可能な限り雑音を発生させないように配慮しなければならない。

注記  携帯電話機を補聴器に近づけると,携帯電話機の発する電波の影響で,補聴器に雑音が生じ

て,通話が聞こえなくなる場合がある(6.3.2 参照)

j)

送受話器を保持しなくても通話ができなければならない。

例 1  スピーカーホンで通話ができる。

例 2  イヤホンマイク又はヘッドセットマイクで通話ができる。

注記 1  上肢障害などによって,送受話器を適切な位置に保持することが困難な場合がある。

注記 2  発信,応答などを音声認識でできると,上肢障害などによって,ボタン操作ができないな

どの利用者にも利用できるようになる。

7.2 

機器本体の形状及び構造 

機器本体の形状及び構造に関する共通要件は,次による。

a)

保持しながら操作する機器本体又はその一部は,持ちやすい形状,材質,構造及び重量バランスでな

ければならない。

例  手に握る部分が,凹凸によって滑りにくくなっている。

b)

据置き形の機器は,多様な設置方法に対応できるような,形状,構造及び重量バランスであることが

望ましい。

例  機器が壁などに固定できる。

c)

左右いずれかの手だけで操作できる形状及び構造でなければならない。

d)

操作部の向き及び位置は,視覚とともに触覚によっても分かりやすくなければならない。

例 1  送受話器の送話部及び受話部は,区別しやすい形状になっている。

例 2  カメラ機能をもつ機器のレンズの位置は分かりやすい。

e)

可動部の開閉方法は,分かりやすくなければならない。また,開閉できたことを視覚及び触覚で確認

できることが望ましい。

例  適切に開閉できたときに操作感がある。

f)

可動部は,過度な力を必要とせずに操作できなければならない。ただし,不用意に動いてはならない。

例  加齢などによって筋力が低下すると,力をかけられない場合がある。

7.3 

外部接続部 

外部接続部に関する共通要件は,次による。

a)

外部接続部の位置は,分かりやすくなければならない。

例 1  頻繁に着脱する外部接続部が,操作面上又は手前に付いている。

例 2  外部接続部は,機能別に分けて配置されている。

注記 1  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,外部接続部の位置が分かりにくい場合

がある。

注記 2  操作面の対応する位置に図記号を併記したり,突起を付けたりすると,外部接続部の位置

が分かりやすくなる。

b)

複数ある外部接続部は,互いに識別しやすくなければならない。


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例 1  外部接続部が,機能別に色分けされている。

例 2  類似した形状の外部接続部に,触覚によっても識別できるように突起が付いている。

注記  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,外部接続部の位置が分かりにくい場合が

ある。

c)

外部接続部は,

正しい方向で差し込みやすく,

不用意に抜けることのないようにしなければならない。

例 1  端子に表裏がある場合に,外部接続部に表裏を表す図記号が付いている。

例 2  ケーブル側の端子を差し込みやすくするために,機器側の端子の周囲がすり鉢状になってい

る。

例 3  端子を抜けにくくするために,着脱用の爪が付いている。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,端子の着脱などが難しい場合が

ある。視覚障害,加齢などによる視力低下のために,端子の着脱の向きが分かりにくい場合

がある。

7.4 

用語及び表記 

7.4.1 

一般的な用語及び表記の使用 

機器への印刷表示及び刻印,表示装置の表示内容,及び取扱説明書には,専門用語,外来語及び略語を

多用せず,一般的に使用されている用語又は分かりやすい表現を用いなければならない。

注記  専門用語,外来語及び略語を使う場合は,用語集を用いると理解の助けとなる。

7.4.2 

印刷表示及び刻印 

印刷表示及び刻印に関する共通要件は,次による。

a)

機器に印刷表示及び刻印する文字,図記号及び説明図は,見やすくなければならない。

注記 1  弱視,加齢などによる視力低下などのために,機器に印刷表示及び刻印された文字,図記

号などが小さくて見にくい場合がある。

注記 2  見やすさには文字サイズとともに,文字のコントラストも影響する。印刷面のスペースに

よる制約等から,十分な文字サイズを得られない場合には,コントラスト比を高めるのが

よい。

b)

操作に関する情報の提示方法は,利用者の色覚特性に依存してはならない。

例 1  色の違いによって表現している情報に,テキストが付記されている。

例 2  十分なコントラスト比が与えられている。

注記  視覚障害,色覚障害,加齢などによる水晶体の黄変・混濁などのために,印刷表示の配色に

よっては見にくい場合がある。

c)

印刷表示及び刻印は,対象とする操作部の近くに表示されなければならない。

注記 1  視野が狭いと,情報を一度に見られずに誤認識する場合がある。

注記 2  操作を担う操作ボタン,キー,スイッチなどと,説明を担う印刷表示及び刻印とが近くに

位置していると,操作が分かりやすい。

d)

印刷表示及び刻印する用語は,適切な長さで分かりやすく表現されなければならない。

注記 1  認知機能が低下すると,長文及び複雑な文章を理解することが困難になる場合がある。

注記 2  視野が狭いと,情報を一度に見られずに誤認識する場合がある。

7.4.3 

アイコン,図記号及び説明図の使用 

利用者が理解しやすく一貫性のある図記号,アイコン及び説明図を用いなければならない。

注記  加齢などによる認知機能の低下などのために,文字及び文章を理解することが難しい場合にも


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図記号及び説明図が分かりやすいと,機器を操作しやすくなる。

7.5 

インタフェース仕様の公開 

ハードウェア仕様及びソフトウェア仕様の情報は,開示されなければならない。

7.6 

機器個別の要件 

電気通信機器のうち,固定電話機,携帯電話機,ファクシミリ及びテレビ電話機の四つについては,7.1

7.4 に加えて,機器個別に配慮すべき要件を,

附属書 B∼附属書 に示す。

サポートに関する要件 

8.1 

取扱説明書 

取扱説明書は,可能な限りアクセシビリティを確保した形式で,提供されることが望ましい。

例 1  視覚障害のある利用者へ,図及びイラストの説明を言葉で補って,スクリーンリーダー(読上

げソフト)で読み上げ,点字データに変換,又は拡大印刷できるように,印刷物と同等の内容

の電子文書,点字印刷,又は録音図書による取扱説明書が提供されている。

例 2  加齢などによって認知機能の低下した利用者が理解しやすいよう,テキストを図及びイラスト

で補足説明した取扱説明書が提供されている。

例 3  高齢者にも読みやすい大きな文字を用いた取扱説明書が提供されている。

注記  JIS S 0032:2003 には,表示ラベル,パンフレットなどに使用される多様な文字の最小

可読サイズを定量的に推定する方法が規定されている。

例 4  基本操作を説明した簡易版の取扱説明書が提供されている。

8.2 

電気通信アクセシビリティ情報の公開 

8.2.1 

公開の対象 

電気通信アクセシビリティに関する情報は,可能な限り公開されることが望ましい。

例  製品が対象とした利用者に対して配慮した項目などを公開する。

8.2.2 

公開の方法 

電気通信アクセシビリティに関する情報は,アクセシビリティを確保した方法で公開されることが望ま

しい。

例  公開する情報が,音声ブラウザで読み上げられやすい HTML(マークアップ言語)で提供されて

いる。

注記 1  JIS X 8341-3 には,高齢者・障害者等に利用可能なウェブコンテンツの制作について配慮す

べき事項,具体的な対応方法などが規定されている。

注記 2  電気通信アクセシビリティ情報が公開されていると,利用者が自分の障害,能力などに応じ

て機器を選択するときに役立つ。

8.3 

教育 

8.3.1 

流通経路への支援 

電気通信アクセシビリティに関する情報は,販売店,情報サービス企業,支援者などへ可能な限り提供

されることが望ましい。

例 1  利用者が,目的,環境,障害の程度などに適合した電気通信アクセシビリティ製品を購入し,

効果的に利用するために,製品に関する様々な情報(製品仕様,他社製品との組合せの可否,

Q&A

,使い方に関するノウハウ,留意事項など)が提供されている。

例 2  利用者が最適な製品選択ができるように,販売店に対し,利用者の心身機能などへの製品の対


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応情報が周知されている。

8.3.2 

利用者への支援 

利用者が教育を受ける場合,

その教育はアクセシビリティを確保した形式で提供されることが望ましい。

例 1  視覚障害のある利用者のために,教材が,音声化,点字化又は拡大印刷が可能なように電子デ

ータとして用意されている。

例 2  聴覚障害のある利用者のために,手話通訳又は要約筆記サービスが提供されている。

例 3  教材及び口頭による説明に,専門用語,外来語及び略語を多用せず,できるだけ分かりやすい

表現が用いられている。

8.4 

サポート窓口 

サポート窓口に関する要件は,次による。

a)

可能な限り利用者のニーズに合わせた多様な手段で,情報が提供されることが望ましい。また,可能

な限り,障害のある利用者とコミュニケーションできることが望ましい。

例  電話による問合せが難しい聴覚障害・言語障害がある利用者に対して,ファクシミリ,電子メ

ールなどによる対応が取られている。

注記 1  サポート窓口の担当者は,製品についてだけではなく,障害及び情報保障についても理解

し,障害のある利用者と十分にコミュニケーションできるようにするのがよい。

注記 2  サポート窓口は,製品のもつアクセシビリティ機能及び支援機器との互換性情報について

の問合せに対応できるようにするとよい。

b)

利用者が使用できるかなどを確認するために,製品の試用ができることが望ましい。


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附属書 A

(参考)

電気通信サービスに関する配慮事項

A.1

適用範囲

この附属書は,ITU-T F.790 を参考にして,電気通信サービスのアクセシビリティを改善し,職場,家

庭,移動中及び公共の環境で幅広く利用できるようにするための指針であり,高齢者・障害者等を含む,

幅広い感覚,身体,認知の能力をもつ人に対する電気通信サービスを企画,開発及び設計するときに配慮

すべき事項について記述する。

A.2

用語及び定義 

附属書 で用いる主な用語及び定義は,次による。

A.2.1 

双方向電気通信サービス(interactive telecommunications services)

交換機,ネットワークサーバ等の電気通信に関する設備を介して,複数の地点の複数の利用者間で双方

向の情報を交換するための仕組みを提供するサービス(音声電話,ファクシミリ,テレビ電話,電子メー

ル,インスタントメッセージサービス等)

A.2.2 

電気通信プラットフォームサービス(telecommunications platform services)

情報プロバイダに対して,電気通信に関する設備管理,利用者管理,利用者認証,コンテンツ管理,課

金及び決済等の仕組みを提供するサービス。

A.2.3 

情報プロバイダ 

電気通信に関する設備及び電気通信プラットフォームサービスを介して,利用者に対する情報サービス

の提供を行う者。

A.3

電気通信サービスに関する要件

A.3.1

双方向電気通信サービス

A.3.1.1

リアルタイム通信

技術的に実現可能な場合,多様なメディアによるリアルタイムのコミュニケーションを可能とするため

に,文字,静止画像及び動画像による通信が,次に示す要件を満たすことが望ましい。

a)

同時に双方向での通信(全二重通信)が可能である。

b)

遅延がない。ただし,コミュニケーションに影響を与えない程度の遅延はあってもよい。

c)

情報の欠落がない。ただし,コミュニケーションに影響を与えない程度の欠落はあってもよい。

注記  音声通信において実現されているこれらのことが,音声以外のメディアにおいても可能になれ

ば,音声通信が困難な聴覚言語障害者等にとって有効な通信手段となる。

例  回線交換方式(ダイレクト方式,直送式)の電子メールによって,必要に応じて相手を呼び出し,

遅延なく相手の機器に送信できるか,又は不着であることを確認できる。また,双方向で同時に

送受が可能な場合は,全二重通信性をも満たす。


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注記 1  インスタントメッセージサービスは,相互にサーバ等に接続している必要はあるが,

双方向で,おおむね小さな遅延でテキスト等によって通信ができる。

注記 2  米国等では,TTY(Tele-Typewriter)が普及している。文字ディスプレイ,キーボード

及びモデムをもった専用機器で,モデムを介して電話回線で入力した文字をお互いの

TTY

のディスプレイに表示する機能をもっている。

注記 3  ITU-T V.18 には各国の Text Telephone の通信プロトコルが規定されているが,使用で

きる文字は ASCII(7 ビット)文字だけであり,漢字等の通信に必要な 2 バイト文字

等は規定されていない。

注記 4  双方向の動画通信(テレビ電話等)を使って,手話等の視覚情報によってコミュニケ

ーションをする場合,15 fps 以上のフレームレートにすると,ゆっくりした動作の簡

単な手話の識別は可能である。しかし,日常使われる通常の速度の手話,口の動きな

どで相手の発話内容を把握する読話のためには,30 fps 以上が望まれる。

A.3.1.2

マルチメディア

異なるメディア(文字,音声,静止画像,動画像など)の組合せを含むリアルタイムの双方向電気通信

サービスが,提供されることが望ましい。

注記  聴覚障害者の中には,音声の聞き取りは困難でも,発話は可能な者も多い。その場合,自分自

身は発話し,相手からはテキスト等の視覚的な手段で通信を行う方法を用いることができる。

また,通常は音声で会話し,一部聞き取りにくいところだけテキストで確認するといった方法

も有効である。

A.3.1.3

メディア変換 

メディア変換サービス(音声から文字,文字から音声など)が,できる限り提供されることが望ましい。

例 1  音声による通信が利用できない聴覚言語障害者等のために電話リレーサービスが提供されてい

る。

注記  電話リレーサービスとは,オペレータを介して,テキスト通信と音声通信とを仲介するサービ

スである。オペレータはテキストによる通信をする聴覚言語障害者等(以下,テキスト通信者

という。

)とのテキスト通信と,その人と会話をする音声による通信をする相手(以下,音声通

信者という。

)との音声通信を同時に行う。さらに,テキスト通信者が入力した文字を読み上げ,

音声通信者に伝える。逆に,音声通信者の話した内容をそのまま文字入力してテキスト通信者

に伝える。また,テキスト通信の代わりに,テレビ電話を使って,手話を用いる利用者と音声

通信者とをリレーするサービスもある。この場合のオペレータは,手話通訳者となる。

例 2  電子メールを音声合成で読み上げ,電話等で聞けるサービスが提供されている。

A.3.1.4

互換性

A.3.1.1

A.3.1.3 の要件を含む双方向電気通信サービスは,異なる通信事業者間及び/又は機器間におい

ても互換性が確保されることが望ましい。

A.4

電気通信プラットフォームサービス

A.4.1

代替メディア 

電気通信機器でメディア変換が困難な情報は,情報プロバイダが,代替メディアを通して情報を提供で

きる手段が用意されていることが望ましい。

例  視覚障害者等のために,音声認識及び音声合成等による音声サービスが提供できる手段が用意さ


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れている。

A.4.2

メディア変換

メディア変換サービス(音声から文字,文字から音声など)が,できる限り提供されることが望ましい。

A.4.3

マルチメディアコンテンツ情報の代替 

情報プロバイダがマルチメディアコンテンツを提供する場合に,非テキスト情報を,文字その他の代替

メディアによって提供できる手段を用意することが望ましい。

例  情報プロバイダが,音声を伴う動画によって情報を提供する場合に,動画と同期したキャプショ

ンと状況説明とを提供できる。

A.4.4

電気通信機器の識別

ネットワークが電気通信機器の特性を認識できる場合,情報プロバイダが,機器特性に応じたコンテン

ツを提供できる手段が用意されていることが望ましい。

A.5

緊急通信

緊急通信及び個人の安否確認等のための通信は,アクセシビリティを確保した多様な手段で提供される

ことが望ましい。

例  緊急時のための 110 番(警察),119 番(消防,救急),安否確認等の通信サービスが,音声によ

るほか,ファクシミリ,電子メール及び/又はウェブ上でできる。

注記  緊急時に回線のふくそう(輻輳)を防ぐために通信を制限する場合には,音声が利用できない

利用者が電子メール等の手段を用いることがあることに配慮する。

A.6

電気通信サービスの仕様

支援技術の開発及び利用を促進するために,電気通信サービスを企画,開発及び設計するときに,国際

規格などの普及した仕様を適用することが望ましい。独自の仕様を適用する場合,可能な限りこれを公開

することが望ましい。

注記  支援技術を開発するためには,機器だけではなく,通信プロトコル等のネットワーク側の仕様

の情報が必要なことがある。


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附属書 B

(規定)

固定電話機の基本機能及び配慮要件

B.1

固定電話機の基本機能

この規格では,

“音声通話”を固定電話機(据置き,壁掛け,コードレス電話機,IP 電話などを含む。

の基本機能とする。

注記  基本機能を補完する機能として,電話帳登録機能及び閲覧機能についても配慮されると,より

使いやすくなる。

B.2

操作及び利用に関する要件

B.2.1

操作

操作に関する要件は,6.1 による。

B.2.2

設置,接続及び設定

設置,接続及び設定に関する要件は,6.2 による。

B.2.3

心身の安全性

心身の安全性に関する要件は,6.3 による。

B.2.4

情報セキュリティ

情報セキュリティに関する要件は,6.4 による。

B.2.5

コンテンツ利用の権利

コンテンツ利用の権利に関する要件は,6.5 による。

B.2.6

代替手段 

代替手段に関する要件は,6.6 による。

B.2.7

インタフェース仕様の公開 

インタフェース仕様の公開に関する要件は,7.5 による。

B.3

機器に関する要件 

B.3.1

入出力インタフェース

入出力インタフェースに関する要件は,7.1 による。

B.3.2

機器本体の形状及び構造

機器本体の形状及び構造に関する要件は,7.2 によるほか,次による。

B.3.2.1

送受話器 

送受話器に関する要件は,次による。

a)

持ちやすい形状,滑りにくい形状,及び重量バランスの良い形状でなければならない。

b)

受話部の位置並びに送話部及び送受話器の向きは,分かりやすくなければならない。

例  機器本体への装着位置及び向きを特定できるようにするために,送話部の形状と受話部の形状

とが異なっている。

B.3.3

外部接続部

外部接続部に関する要件は,7.3 による。


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B.3.4

用語及び表記

用語及び表記に関する要件は,7.4 による。

B.4

その他 

コードレス電話機では,形状が携帯電話機などに類似している機種の場合,必要に応じて,

附属書 

参照。


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附属書 C

(規定)

携帯電話機の基本機能及び配慮要件

C.1

携帯電話機の基本機能

この規格では,

“音声通話”

“メール送受信”

,及び“ウェブ閲覧”を,携帯電話機の基本機能とする。

ただし,ウェブ閲覧については,携帯電話機に搭載されるブラウザ機能だけを対象とする。また,テレビ

電話機能は,携帯電話機の基本機能としないが,

附属書 によることが望ましい。

注記 1  基本機能を補完する機能として,電話帳登録機能及び閲覧機能についても配慮されると,よ

り使いやすくなる。

注記 2  ウェブコンテンツに関しては,JIS X 8341-3 を参照。

C.2

操作及び利用に関する要件

C.2.1

操作

操作に関する要件は,6.1 によるほか,次による。

C.2.1.1

確認

確認に関する要件は,6.1 によるほか,次の項目が,可能な限り,複数の感覚で確認できなければならな

い。

a)

電波の受信状態

b)

電池残量

c)

操作を受け付けなくするロック状態,及びマナーモード状態

d)

充電の開始又は終了

例  a)d)の項目を,報知音,音声ガイダンス,又は振動で知らせる。

C.2.2

設置,接続及び設定

設置,接続及び設定に関する要件は,6.2 によるほか,次による。

C.2.2.1

卓上ホルダ

卓上ホルダに関する要件は,次による。

a)

携帯電話機の卓上ホルダへの着脱は,容易にできなければならない。

なお,充電は確実にできなければならない。

b)

不用意に動かない構造,及び転倒しにくい構造でなければならない。

C.2.2.2

機器の固定

携帯電話機は,車載アダプタなどに固定できなければならない。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのために,機器を保持することが難しい利用

者がいる。また,車いすの一部に機器を固定して使う場合もある。

C.2.3

心身の安全性

心身の安全性に関する要件は,6.3 による。

C.2.4

情報セキュリティ

情報セキュリティに関する要件は,6.4 による。


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C.2.5

コンテンツ利用の権利

コンテンツ利用の権利に関する要件は,6.5 による。

C.2.6

代替手段

代替手段に関する要件は,6.6 によるほか,次による。

C.2.6.1

外部入力機器との接続 

キー及びボタン操作のための外部入力装置が,可能な限り接続できなければならない。

C.2.6.2

外部表示機器との接続

外部表示装置が,接続できることが望ましい。

注記  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,携帯電話機の小さな表示装置では,見えに

くい場合がある。

C.2.7

インタフェース仕様の公開

インタフェース仕様の公開に関する要件は,7.5 による。

C.3

機器に関する要件

C.3.1

入出力インタフェース

入出力インタフェースに関する要件は,7.1 によるほか,次による。

C.3.1.1

操作ボタン,キー及びスイッチ

携帯電話機の操作ボタン,キー及びスイッチに関する要件は,次による。

a)

通話の開始及び終了のボタンは,視覚とともに触覚でも他の操作ボタンと区別できなければならない。

例  開始ボタンと終了ボタンとで違う形状にしたり,凸記号を付けたりする。

b)

複数の接点が一体となっているボタン(十字キーなど)には,押下方向を示す矢印などの目印が付い

ていなければならない。

注記  加齢などによって認知機能が低下した利用者などは,操作方法を覚えにくい場合がある。

c)

利用頻度が高く,手順が多い操作には,少ないキー操作で入力できる手段(ショートカット操作など)

が提供されなければならない。

例  ワンタッチダイヤルで発信できる。

d)

長押し操作には,代替手段が提供されることが望ましい。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動のある利用者,又は自助具を用いる利用者は,

長押し操作が難しい場合がある。

C.3.1.2

表示装置 

携帯電話機の表示装置に関する要件は,次による。

a)

文字のサイズは,可能な限り変更できなければならない。

注記  メール作成,メール閲覧,ウェブ閲覧,電話帳登録,及び電話帳閲覧のときには特に重要で

ある。

b)

アイコンなどの図記号の表示サイズは,可能な限り変更できなければならない。

例  電池残量,電波状態などの重要なアイコンが,見やすいサイズに調整できる。

C.3.1.3

音声読上げ 

音声読上げに関する要件は,次による。

a)

画面に表示された情報は,音声で読み上げられることが望ましい。

注記  メール作成,メール閲覧,ウェブ閲覧,電話帳登録,及び電話帳閲覧のときには特に重要で


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ある。

b)

文字入力時の情報が,音声で読み上げられることが望ましい。

例  かな漢字変換に,詳細読み機能(漢字の同音異義語を区別するために,漢字の意味の説明を付

加して読み上げる機能)が搭載されている。

C.3.2

機器本体の形状及び構造

機器本体の形状及び構造に関する要件は,7.2 によるほか,次による。

a)

収納及び取出しがしやすい形状及び構造であることが望ましい。

注記  アンテナなどの突起物があると,突起物がひっかかり,かばん又はポケットに出し入れしに

くい場合がある。

b)

折り畳み形及びこれに準じる形状の携帯電話機は,左右いずれの片手でも容易に開閉できなければな

らない。

c)

机の上に置いた状態で,安定したキー入力などの操作ができる形状及び構造でなければならない。

d)

ストラップの取付けに関する要件は,次による。

1)

ストラップが取り付けられなければならない。

注記 1  ストラップを使用すると,筋力が弱い場合などに携帯電話機を落とすことを防ぐことが

できる。

注記 2  ストラップを使用すると,片手で開きやすくなる。

2)

ストラップの取付け位置が,複数あることが望ましい。

注記 1  利用者の使用状況及び特性に応じて選択できるようになる。

注記 2  携帯電話機上部の左右両端に取付け位置があると,ぶら下げたり又は固定したりして利

用する場合でも,携帯電話機が回転しにくくなる。

C.3.3

外部接続部

外部接続部に関する要件は,7.3 による。

C.3.4

用語及び表記

用語及び表記に関する要件は,7.4 による。


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附属書 D

(規定)

ファクシミリの基本機能及び配慮要件

D.1

ファクシミリの基本機能 

この規格では,

“送信”及び“受信”をファクシミリの基本機能とする。

注記  基本機能を補完する機能として,電話帳登録機能及び閲覧機能についても配慮されると,より

使いやすくなる。

D.2

操作及び利用に関する要件

D.2.1

操作

操作に関する要件は,6.1 によるほか,次による。

D.2.1.1

確認

確認に関する要件は,6.1.3 によるほか,次の項目が,複数の感覚で,確認できなければならない。

a)

送信の完了

例  送信の完了を,報知音又は音声ガイダンスで知らせる。

b)

着信(ファクシミリ及び電話)の区別

例  ファクシミリの場合は,自動着信(無鳴動着信),電話の場合は,着信音が鳴るように設定でき

る。

c)

エラー内容など

例  送信エラー,紙詰り,インク切れ,トナー切れ,記録紙切れ,原稿取り忘れなどを,音声ガイ

ダンスで知らせる。

D.2.2

設置,接続及び設定

設置,接続及び設定に関する要件は,6.2 によるほか,次による。

D.2.2.1

インク,ロール紙などの取付け

インク,ロール紙などの取り付けに関する要件は,次による。

a)

取付け方法及び方向が,分かりやすい構造及び形状でなければならない。

例  異なる方向では取り付けられないように,形状に方向性がある。

b)

取り付けたことの確認が,複数の感覚で,できなければならない。

例  取付け完了時のクリック感が強調されていたり,機械的なクリック音を出力したりする。

D.2.3

心身の安全性

心身の安全性に関する要件は,6.3 による。

D.2.4

情報セキュリティ

情報セキュリティに関する要件は,6.4 による。

D.2.5

コンテンツ利用の権利

コンテンツ利用の権利に関する要件は,6.5 による。

D.2.6

代替手段

代替手段に関する要件は,6.6 による。


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D.2.7

インタフェース仕様の公開

インタフェース仕様の公開に関する要件は,7.5 による。

D.3

機器に関する要件

D.3.1

入出力インタフェース

入出力インタフェースに関する要件は,7.1 によるほか,次による。

D.3.1.1

スタートボタン及びストップボタン

スタートボタン及びストップボタンは,

視覚とともに触覚でも他のボタンと区別できなければならない。

例 1  スタートボタンの中央部分に凸点,ストップボタンの中央部分に凸バーがある。

例 2  大きさ,形状,色彩などで,他のボタンと区別できる。

D.3.2

機器本体の形状及び構造 

機器本体の形状及び構造に関する要件は,7.2 によるほか,次による。

D.3.2.1

原稿挿入口

原稿挿入口に関する要件は,次による。

a)

視覚とともに触覚でも識別できる構造・形状でなければならない。また,記録紙挿入口がある場合に

は,原稿挿入口との違いが識別できる構造・形状でなければならない。

b)

原稿の挿入方法が分かりやすい構造・形状でなければならない。

注記  加齢などによって認知機能が低下した利用者は,新しい操作方法が覚えにくくなる。

c)

視覚に頼らず,原稿を裏表いずれの向きで挿入すればよいかが分かることが望ましい。

例  音声ガイダンスで原稿の向きを知らせる。

d)

視覚に頼らず,原稿をセットしたことが確認できなければならない。

例  原稿がセットできたことを,報知音又は音声ガイダンスで知らせる。

D.3.2.2

原稿ガイド 

原稿ガイドに関する要件は,次による。

a)

原稿ガイドの操作部(つまみ)は,つまみやすく,過度な手首の回転及び力を必要とせずに,操作で

きなければならない。

例  操作部(つまみ)を滑りにくくするために,表面に凹凸が付いている。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などのある利用者,又は加齢によって,手指の

細かな動きができなくなるとともに,筋力が低下し十分な力が出せなくなったり,関節の可

動範囲が狭くなったりする利用者は,操作部を操作できない場合がある。

b)

原稿ガイドの位置決めは,視覚とともに触覚でも確認できなければならない。

例  用紙サイズに合わせた所定の位置で,操作感がある。

D.3.2.3

原稿排出口及び記録紙排出口

原稿排出口及び記録紙排出口は,原稿及び記録紙が取りやすい構造及び形状でなければならない。

例 1  排出口に受け皿がある。

例 2  ロール紙が,自動的に切り取られる。

注記  筋力低下,麻ひ(痺),手の震え,不随意運動などがある利用者は,ロール紙を切り取ることが

難しい場合がある。

D.3.2.4

保持用カバー

保持用カバーに関する要件は,次による。


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a)

開閉方法が分かりやすい構造及び形状でなければならない。

b)

視覚によってだけでなく,触覚によっても開閉が確認できなければならない。

例  カバーの開閉が完了したことを確認できるように,操作感がある又は機械的なクリック音を出

力する。

c)

不用意に開閉してはならない。

注記  利用者の意図に反して閉じられてしまうと,けがをすることがある。

D.3.3

外部接続部

外部接続部に関する要件は,7.3 による。

D.3.4

用語及び表記

用語及び表記に関する要件は,7.4 による。

D.4

その他

音声通話機能を備える場合には,

附属書 による。


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附属書 E

(規定)

テレビ電話機の基本機能及び配慮要件

E.1

テレビ電話機の基本機能

この規格では,

“同時に映像を受信しながら音声通話する機能”をテレビ電話機の基本機能とする。

注記 1  テレビ電話機は,固定電話機と同様な形状をした固定電話機型,テレビに接続しその画面を

使用するセットトップ型,又は携帯電話機にテレビ電話機能を搭載した携帯電話機型に大別

される。

注記 2  基本機能を補完する機能として,電話帳登録機能及び閲覧機能についても配慮されると,よ

り使いやすくなる。

E.2

操作及び利用に関する要件

E.2.1

操作

操作に関する要件は,6.1 によるほか,次による。

E.2.1.1

リモコンによる操作

リモコンで操作ができる場合は,操作が,リモコンだけで一貫してできることが望ましい。

E.2.1.2

確認

確認に関する要件は,6.1.3 によるほか,次の項目が,複数の感覚で確認できることが望ましい。

a)

映像の送信状態。

例  映像が送信されているかどうかを,報知音又は音声ガイダンスで知らせる。

b)

映像入力機器(カメラ)の向き。

c)

複数の映像入力機器が接続されている場合の,選択されている機器。

例  撮影している映像入力機器の番号などを,音声ガイダンスで知らせる。

d)

カメラのズーム量。

例  ズーム量の変更の操作(ズームアップ又はズームダウン)時に,報知音を鳴らす。

E.2.2

設置,接続及び設定

設置,接続及び設定に関する要件は,6.2 による。

E.2.3

心身の安全性 

心身の安全性に関する要件は,6.3 による。

E.2.4

情報セキュリティ 

情報セキュリティに関する要件は,6.4 による。

E.2.5

コンテンツ利用の権利 

コンテンツ利用の権利に関する要件は,6.5 による。

E.2.6

代替手段

代替手段に関する要件は,6.6 による。

E.2.7

インタフェース仕様の公開

インタフェース仕様の公開に関する要件は,7.5 による。


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E.3

テレビ電話機に関する要件

E.3.1

入出力インタフェース

入出力インタフェースに関する要件は,6.1 によるほか,次による。

E.3.1.1

操作ボタン,キー及びスイッチ

操作ボタン,キー及びスイッチに関するテレビ電話機の個別の要件は,次による。

a)

通話開始ボタン,テレビ電話開始ボタン及び終了ボタンは,視覚とともに触覚で他の操作ボタンと区

別できなければならない。

例 1  通話開始ボタン及びテレビ電話開始ボタンの中央部分に凸点,テレビ電話終了ボタンの中央

部分に凸バーが付いている。

例 2  大きさ,形状などで,他の操作ボタンと区別できる。

E.3.1.2

表示装置

表示装置に関する要件は,次による。

a)

受信映像に同時に表示する操作ガイダンスなどの文字情報は,可能な限り,見やすくなければならな

い。

例  コントラストを付けるために,文字情報に背景色が付加されている。

b)

大画面の外部表示装置などを接続できるように,出力インタフェース(Video OUT,RGB OUT など)

を備えることが望ましい。

c)

受信映像とともに送信映像を可能な限り同時に確認できなければならない。

例  ピクチャインピクチャ機能(画面内に小さな画面を入れる機能)で,送信中の映像が確認でき

る。

注記  手話による通信を行う場合,上半身全体が適切な大きさで撮影されていることを,送信側で

常に確認できないと,途中で手指動作等が撮影範囲から外れてしまい,相手に伝わらないお

それがある。

d)

映像のフレームレート及び解像度が,可能な限り調節できなければならない。

注記 1  映像を繰り返し見ることができると,手話又は読唇をより正確に読み取ることができる。

注記 2  手話又は読唇には,フレームレートが 15 fps 以上及び解像度が 352×288 画素以上あると,

読み取りやすい。この二つの条件を同時に確保できない場合は,フレームレートを優先す

るのがよい。

e)

映像を,録画及び再生できることが望ましい。

注記  映像を繰り返し見ることができると,手話又は読唇をより正確に読み取ることができる。

E.3.1.3

映像入力装置(カメラ) 

映像入力装置(カメラ)に関する要件は,次による。

a)

オートフォーカス(自動焦点)の機能を備えることが望ましい。

注記  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,焦点を正しく合わせることが難しい場合

がある。

b)

オートアイリス(自動露出)の機能を備えることが望ましい。

注記  視覚障害,加齢などによる視力低下などのために,露出を適切に合わせることが難しい場合

がある。

c)

カメラの撮影範囲(ズームなど)及び方向(パン,チルトなど)が,変更できなければならない。

注記 1  映像で手話を伝えるには,上半身及び両手が映る必要がある。


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注記 2  視覚障害のある利用者が,通信先の相手から指示を受けながらカメラの撮影範囲及び方向

を操作し,相手に文字,色などの視覚的な情報を読み取ってもらうことができる。

d)

カメラの機能は,通信相手側からも制御できることが望ましい。また,この機能は,必要に応じて拒

否できなければならない。

注記 1  視覚障害のある利用者のカメラを,通信先の相手から制御できると,より的確に情報を読

み取ることができる。

注記 2  事前に承諾した撮影範囲以外を,通信先の相手に見てほしくない場合には,制御機能を禁

止できることが必要になる。

e)

外部カメラを接続できるように,映像入力インタフェースを備えることが望ましい。

注記  視覚障害のある利用者が,手元の情報を通信先の相手に読み取ってもらうときに,近接撮影

できる外部カメラを接続できると,書類などの小さな文字も精細に撮影できる。

E.3.2

機器本体の形状及び構造

機器本体の形状及び構造は,7.2 による。

E.3.3

外部接続部

外部接続部に関する要件は,7.3 による。

E.3.4

用語及び表記

用語及び表記に関する要件は,7.4 による。

E.4

その他 

固定電話機型又はセットトップ型は,

附属書 を参照。携帯電話機型は,附属書 を参照。


34

X 8341-4

:2012

附属書 F

(参考) 
参考文献

(設計指針など)

JIS C 0447:1997

  マンマシンインタフェース(MMI)−操作の基準

JIS C 5512:2000

  補聴器

JIS S 0013:2002

  高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の報知音

JIS S 0014:2003

  高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の報知音−妨害音及び聴覚の加齢変化

を考慮した音圧レベル

JIS S 0032:2003

  高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−日本語文字の最小可読文字サイズ推定

方法

JIS X 8341-3

  高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−

第 3 部:ウェブコンテンツ

JIS Z 8071:2003

  高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針

JIS Z 8513

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−視覚表示装置の要求事項

JIS Z 8517:1999

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−画面反射に関する表示装置の要求

事項

JIS Z 8518:1998

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−表示色の要求事項

JIS Z 8524:1999

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

JIS Z 8528-2:2006

  人間工学−フラットパネルディスプレイ(FPD)を用いる作業−第 2 部:FPD の

人間工学的要求事項

JIS Z 8530:2000

  人間工学−インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス

ITU-T F.790

,Telecommunications accessibility guidelines for older persons and persons with disabilities

ITU-T V.18

,Operational and interworking requirements for DCEs operating in the text telephone mode

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)

    時間変化する電界,磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(300 GHz まで)

1998

年  <http://www.soc.nii.ac.jp/jhps/j/information/nonioniz/icnirp.html>

不要電波問題対策協議会(現電波環境協議会)

    医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針  1997 年