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X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

2

2

  引用規格

3

3

  用語及び定義 

4

4

  適用

5

4.1

  一般的原則 

5

4.2

  適用の枠組み 

5

4.3

  規定(要求事項,推奨事項)の実施 

8

4.4

  適合性

8

5

  アクセシビリティ

8

5.1

  一般

8

5.2

  利用の状況及びアクセシビリティ 

8

5.3

  プロセス 

9

6

  開発管理に関する推奨事項 

9

6.1

  情報アクセシビリティ方針 

9

6.2

  開発に関する責任

9

7

  利用者特性に関する推奨事項

10

7.1

  一般

10

7.2

  視覚

12

7.3

  聴覚

13

7.4

  発話

14

7.5

  身体的能力 

15

7.6

  認知能力 

16

8

  仕事特性に関する推奨事項 

17

8.1

  利用の状況に基づく仕事の実行

17

8.2

  仕事を実行する代替手段の提供

18

8.3

  保守,設定及びその他の支援操作の実行 

18

9

  機器及びサービス特性に関する推奨事項 

18

9.1

  一般

18

9.2

  情報通信機器及びサービスのための他の規格

19

9.3

  支援技術 

20

9.4

  情報通信機器及びサービスの選択及び操作

20

9.5

  操作の準備及び完了

21

10

  環境特性に関する推奨事項 

21

10.1

  様々な環境での操作 

21


X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)  目次

(2)

ページ

10.2

  環境の設計 

22

10.3

  環境への影響 

22

附属書 A(参考)ISO 9241 シリーズの大要 

23

附属書 B(参考)情報通信機器及びサービスへの適用可能性と適合性とを評価するためのチェックリスト

(例示)

24

附属書 C(参考)利用者の要求 

28

附属書 JA(参考)JIS X 8341-1:2004 との対応表

29

附属書 JB(参考)試験方法

37

参考文献

46


X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。

これによって,JIS X 8341-1:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS X 8341

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

X

8341-1

  第 1 部:共通指針

JIS

X

8341-2

  第 2 部:情報処理装置

JIS

X

8341-3

  第 3 部:ウェブコンテンツ 

JIS

X

8341-4

  第 4 部:電気通信機器 

JIS

X

8341-5

  第 5 部:事務機器 


日本工業規格

JIS

 X

8341-1

:2010

(ISO 9241-20

:2008

)

高齢者・障害者等配慮設計指針−

情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス

−第 1 部:共通指針

Guidelines for older persons and persons with disabilities-

Information and communications equipment, software and services-

Part 1: Common Guidelines

序文 

この規格は,2008 年に第 1 版として発行された ISO 9241-20 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項並びに

附属書 JA 及び附属書 JB は,対応国際規格に

はない事項である。

ハードウェア,ソフトウェア及びネットワーク技術を組み合わせた情報通信機器及びサービスを利用す

る人々の数が,情報通信機器及びサービスの種類が増えるにつれて増加している。我々の日常生活は,そ

のような機器及びサービスで埋め尽くされている。

この規格の目的は,開発者を支援して,情報通信機器及びサービス(並びに,将来の新規性の高い又は

革新的な機器及びサービス)を最も幅広い層の人々が,その能力,障害,制限及び文化にかかわらず,利

用できるようにすることである。

この規格は,特に身体,感覚及び/又は認知の障害をもっている個人の特性についての理解に基づいて

いる。しかし,アクセシビリティは多くの人々に影響を与える問題である。インタラクティブシステムの

利用者は,在宅者,生徒,技術者,事務員,販売員,ウェブ設計者などの役割を果たす消費者又は専門家

である。そのような様々な対象グループの個人は,身体,感覚及び認知の能力に大きな個人差があり,一

つ一つの対象グループもそれぞれ異なる能力をもった人々を含むであろう。したがって,障害者を特定の

グループとして分離し無視することはできない。能力の差は,日常生活動作にかか(関)わる能力を制限

する様々な要因から発生し,

“だれでも経験すること”であるかもしれない。したがって,アクセシビリテ

ィは,幅広く定義された利用者グループを扱う。次に例を示す。

−  身体,感覚及び認知の障害が生まれつきあるか,又は後天的に生じた者

−  高齢者(高齢化率が増加しつつある。

)であって,身体,感覚及び認知の能力が衰え,新規性の高い製

品及びサービスの利用が困難な者

−  一時的な障害をもつ者。例えば,腕を骨折した者,眼鏡をなくした者

−  ある状況のため利用が困難な者。例えば,騒々しい環境で働く者,又は他の仕事で両手がふさがって

いる者


2

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

この規格は,情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス(以下,情報通信機器及びサービスと

いう。

)に対するアクセシビリティを確保し改善し,様々な能力をもつ最も幅広い層の人々が利用できるよ

うにする指針として作成した。この規格は,次のものを提示する。

a)

利用の状況という人間工学的概念に基づいた枠組み

b)

情報通信機器及びサービスのアクセシビリティの原則

上記を提示することで,この規格の利用者がアクセシビリティの問題を考察することを支援する。さら

に,製品の主要な特徴及び設計例を記述し,情報通信機器及びサービスの企画,設計,開発,調達及び評

価の情報を提供する。一般的な人間工学指針に従うほかに,この規格及び他のアクセシビリティ規格に規

定するアクセシビリティ指針にも従うことが,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを十分に活用す

るため重要である。

この規格の規定(要求事項,推奨事項)の多くは,アクセシビリティの領域外にも適用できるが,それ

らはアクセシビリティの領域にとって特に重要である。

附属書 のチェックリスト及び附属書 JB の試験

方法は,利用者が情報通信機器及びサービスのアクセシビリティ機能を検討することを助けるためのもの

である。

適用範囲 

この規格は,情報通信機器及びサービスを企画,設計,開発,調達及び評価することに責任を担う人々

がこれを利用することを目的とする。この規格は,情報通信機器及びサービスのアクセシビリティを改善

し,職場,家庭,移動中及び公共の環境で幅広く利用できるようにするための指針である。この規格は,

感覚,身体,及び認知に関して幅広い能力レベルをもつ人(一時的な障害をもつ人及び高齢者を含む。

)に

対する機器及びサービスの設計に関する課題を対象としている。

特定の機器又はサービスの詳細設計は,この規格の規定(要求事項,推奨事項)に基づいて開発できる。

機器又はサービスのアクセシビリティに関する個別の詳細な規格が存在する場合,それら固有の規格と併

せて利用してもよい。そのような規格がない場合,この規格に基づいて情報通信機器及びサービスのアク

セシビリティ機能を設計できる。

さらに,この規格は,情報通信機器及びサービスを調達し評価するための一般的な指針を提供する。そ

の機器及びサービスには,職場,家庭,移動中及び公共の環境で利用される情報処理装置,ウェブコンテ

ンツ,電気通信機器,事務機器,他の同様の技術並びにサービスのハードウェア及びソフトウェアの両側

面が含まれる。

さらに,この規格は,利用の状況に関する重要な情報を提供する。アクセシビリティは,機器及びサー

ビスが利用できる状況の範囲を拡大することによって向上できる。

利用の状況は,

機器又はサービスの様々

な構成要素,例えば利用者,仕事及び機器(ハードウェア,ソフトウェア及び資材)の特性,さらに,物

理的環境・社会的環境の特性によって異なることがある。利用の状況は,情報通信機器及びサービスを,

企画,設計,開発,調達及び評価する場合に考慮に入れることができる。

注記 1  この規格は,すべての情報通信機器及びサービスに適用可能な上位の規格である。したがっ

て,機器又はサービスに特有の詳細な記述は含まれていない。この規格は,貿易及び人々の

移動における障壁を回避し,この分野における国内,地域及び国際の標準化活動で参照され

る。さらに詳しい規定(要求事項,推奨事項)は,JIS X 8341 の他の部に含まれている。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 9241-20:2008

,Ergonomics of human-system interaction−Part 20: Accessibility guidelines for


3

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

information/communication technology (ICT) equipment and services

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定(要求事項,推奨事項)の一

部を構成する。これらの引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その

後の改正版(追補を含む。

)は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

を適用する。

JIS Z 8515

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ワークステーションのレイアウト及び

姿勢の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-5,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 5: Workstation layout and postural requirements(IDT)

JIS Z 8520:2008

  人間工学−人とシステムとのインタラクション―対話の原則

注記  対応国際規格:ISO 9241-110:2006,Ergonomics of human-system interaction−Part 110: Dialogue

principles

(IDT)

JIS Z 8521:1999

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引

注記  対応国際規格:ISO 9241-11:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 11: Guidance on usability(IDT)

JIS Z 8522

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−情報の提示

注記  対応国際規格:ISO 9241-12,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 12: Presentation of information(IDT)

JIS Z 8523

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ユーザー向け案内

注記  対応国際規格:ISO 9241-13,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 13: User guidance(IDT)

JIS Z 8524

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-14,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 14: Menu dialogues(IDT)

JIS Z 8525

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−コマンド対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-15,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 15: Command dialogues(IDT)

JIS Z 8526

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−直接操作対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-16,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 16: Direct manipulation dialogues(IDT)

JIS Z 8527

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−書式記入対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-17,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 17: Form filling dialogues(IDT)

JIS Z 8530:2000

  人間工学−インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス

注記  対応国際規格:ISO 13407:1999,Human-centred design processes for interactive systems(IDT)

JIS Z 8531

規格群  人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア


4

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

注記  対応国際規格:ISO 14915(all parts),Software ergonomics for multimedia user interfaces(IDT)

ISO 9241-151

,Ergonomics of human-system interaction−Part 151: Guidance on World Wide Web user

interfaces

ISO 9241-171

,Ergonomics of human-system interaction−Part 171: Guidance on software accessibility

ISO 9241-300

,Ergonomics of human-system interaction−Part 300: Introduction to electronic visual display

requirements

ISO 9241-302

,Ergonomics of human-system interaction−Part 302: Terminology for electronic visual displays

ISO 9241-410

,Ergonomics of human-system interaction−Part 410: Design criteria for physical input devices

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

アクセシビリティ(accessibility)

様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品,サービス,環境又は施設(のインタラクティブシ

ステム)のユーザビリティ。

注記 1  アクセシビリティの概念では,能力の多少を問わずすべての利用者を対象とし,障害者と正

式に認められた利用者に限定していない。

注記 2  ユーザビリティ指向のアクセシビリティの概念は,すべての利用者の能力の全範囲に十分に

注意を払うと同時に利用の特定の状況を考慮し,できるだけ高い水準の有効さ,効率及び満

足度を達成することを目指している。

3.2 

支援技術(assistive technology)

システムに追加又は内蔵されるハードウェア又はソフトウェアであって,個人のアクセシビリティを向

上させるもの。

注記  対応国際規格では,上記の定義のうち,“内蔵”を除いた“追加される技術だけ”を指すものと

して“支援技術(assistive technology)

”を使っている場合が多い。

3.3 

利用の状況(context of use)

利用者,仕事,機器(ハードウェア,ソフトウェア及び資材)

,並びに製品が利用される物理的環境及び

社会的環境[JIS Z 8521:1999 の定義 3.5

3.4 

情報通信技術(information/communication technology)

情報を収集,蓄積,検索,処理,分析及び送信する技術。

3.5 

インタラクティブシステム(interactive system)

利用者の仕事の達成をサポートするために,利用者から入力を受信し,出力を送信する,ハードウェア

及びソフトウェアの構成要素によって結合されたもの[JIS Z 8530:2000 の定義 2.1

注記  用語“システム”が“インタラクティブシステム”の代わりにしばしば利用される。


5

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

3.6 

スクリーンリーダ(screen reader)

オペレーティングシステムを介して利用可能な情報と組み合わされる支援技術であって,これによって

利用者は幾つかのウィンドウから選択し,コントロール(操作部,コントローラ)の状態を知り,テキス

トを点字又は音声に変換して読むことができるもの。

3.7 

ユーザビリティ(usability)

ある製品が,指定された利用者によって,指定された利用の状況下で,指定された目的を達成するため

に用いられる場合の,有効さ,効率及び利用者の満足度の度合い[JIS Z 8521:1999 の定義 3.1

3.8 

利用者(user)

情報通信機器又はサービスとやり取りする個人。

注記  JIS Z 8521:1999 の定義 3.7 及び JIS Z 8520:2008 の定義 3.8 を改作した。

適用 

4.1 

一般的原則 

アクセシビリティ設計は,次の原則に従うことが望ましい。

a)

最も幅広い利用範囲に対する適切性  最も幅広い層の利用者に有用であり,満足され,利用可能な解

決策を作る目的で設計する。利用者の特有の能力,能力の差異,仕事の多様性,並びに利用者の様々

な環境,経済及び社会の状況を考慮する。

b)

公平な利用  アクセシビリティの向上を目指して設計された解決策が,プライバシーの喪失,個人の

安全性若しくはセキュリティへのリスクの増加,又は個人へのネガティブなレッテルを生じさせない

ようにする。その解決策はすべての利用者に可能なときには同一の手段を,不可能なときには等価の

手段を提供する。

c)

頑健性  情報通信機器又はサービスが提供する機能の点からも,追加の情報通信機器,ソフトウェア

及び/又はサービスの接続性の点からも,広範囲の選択肢に対応する。

注記 1  すべての情報通信技術を,追加の支援技術なしで操作可能にすることは難しいが,この規

格の適用は,支援技術を利用せずにアクセシビリティを向上させる機器及びサービスを設

計者が開発することに役立つ。さらに,必要なインタフェース情報を提供することによっ

て,支援ソフトウェア及び装置を利用したとき効果的,効率的に作動させることが可能に

なる。

注記 2  情報通信技術は,支援技術によって読み取れる情報を提供し,アプリケーション間の標準

通信プロトコルを通じて通信することによって支援技術の統合を促進できる。例えば,ス

クリーン拡大機能を内蔵するシステムによって,多くの利用者が表示されるテキストを読

み,画像を見ることができる。さらに,必要な統合情報が利用できる場合には,利用者は

自分の特定のニーズに合った好みのスクリーン拡大プログラムを付けることもできる。

4.2 

適用の枠組み 

アクセシビリティは,異なる能力をもつすべての人々が情報通信機器及びサービスを利用できるときに

実現する。アクセシビリティを支援する設計による解決策は,平均的能力の人々に対する設計ではなく,

様々な障害をもつ人々を含む最も幅広い層の人々のための設計である。これらの設計による解決策の目標


6

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

は,最大限の能力差のある人々によって利用できる情報通信機器及びサービスを創出することである。特

定の情報通信機器及びサービスのユーザビリティが,利用者相互間で,また,利用の状況に依存して変わ

るであろうことは認識されている(JIS Z 8521 を参照)

。したがってアクセシビリティとは,等しい水準の

ユーザビリティをすべての個人について達成することではなく,少なくともある程度のユーザビリティを

すべての個人について達成することである。この規格の指針が支援できることは,

(一般的な)アクセシビ

リティを多様な人々に対して達成し,利用の状況を理解しながら,多くの個人のアクセシビリティ水準を

改善することである。

アクセシビリティを支援する設計による解決策は,特定の利用者の要求事項,つまりアクセシビリティ

に特化した利用者の要求事項を理解し適用することから始まる。これらの設計による解決策は,人間工学

に関する一連の規格を参考にすることができる。

この規格の規定(要求事項,推奨事項)は,情報アクセシビリティ方針,利用者,仕事,機器及びサー

ビス,環境上の特性に関連している。この規格は他の国際規格,例えば更に詳細なアクセシビリティ規格

ISO 9241-171

と併用すれば,よりアクセシビリティの高い指針を提供できる。さらに,他の人間工学規格

(例えば,ISO 9241-151 及び JIS Z 8531)も,それ自体がアクセシビリティ関連の指針を示すかどうかに

かかわらず,ユーザビリティの側面を確保する点で重要であり,そのユーザビリティは異なる能力をもつ

すべての利用者に適用する場合のアクセシビリティの目標である。

図 では,この規格が,情報通信機器及びサービスのアクセシビリティを向上するためどのように適用

できるか,製品又はサービスのアクセシビリティに対する利用者の要求事項を特定するために,人間工学

に関する一連の規格及び JIS Z 8531 とどのように併用できるか,並びに製品又はサービスの利用の状況を

どのように考慮しているかを示す。この利用の状況には,利用者,仕事,機器,サービス及び環境上の特

性が含まれる。得られたアクセシビリティに対する一連の利用者の要求事項は,製品又はサービスの設計

による解決策の根拠とすることができる。その後,解決策は,アクセシビリティに対する特定された利用

者の要求事項に照らして評価することができる。


7

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

図 1JIS X 8341-1 の適用 

利用の状況 
利用者,仕事,機

器(ハードウェア,
ソフトウェア及び
資材),物理的環

境 , 社 会 的 環 境
JIS Z 8521 に定
義されている。

アクセシビリティに対する利用者の要求事項

アクセシビリティ設計による解決策

アクセシビリティの指針

情報アクセシビリティ方針の必要性

利用者特性

仕事特性

機器及びサ
ービス特性

環境特性

JIS X 8341-1 

情報通信における機器,ソフトウェア及び
サービス−第 1 部:共通指針

アクセシビリティに関する指針を含む他の規格の例 
 
−  ISO 9241-171,ソフトウェアのアクセシビリティ

−  JIS Z 8520JIS Z 8522JIS Z 8523JIS Z 8524JIS 

Z 8525

JIS Z 8526JIS Z 8527,ソフトウェアの人

間工学

−  ISO 9241-151,ワールドワイドウェブ・ユーザイン

タフェース

−  JIS Z 8531-1-2-3,マルチメディア・ユーザインタ

フェース

−  ISO 9241-300 シリーズ,-400 シリーズ

(下の欄)に照らして評価する
ことができる。

(右の欄)の
た め の 主 た
る情報源

(下の欄)に対する根拠

(下の欄)の特定することを支援する。

7

X 8341-1


2010

 (IS

O

 9241-2

0


2008)


8

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

4.3 

規定(要求事項,推奨事項)の実施 

箇条 6∼箇条 10 の個々の規定(要求事項,推奨事項)は,利用の状況を考慮して,適用の可否を評価す

ることが望ましい。適用すると設計目標から逸脱することが明らかな場合,規定(要求事項,推奨事項)

は実施しないほうがよい。

注記  能力の多様性を理由として利用者を除外しなければ,設計目標は差別的にはならない。

4.4 

適合性 

情報通信機器又はサービスがこの規格の規定(要求事項,推奨事項)を満たしたと宣言する場合には,

利用者の要求事項を規定し,機器又はサービスを評価するために利用した手順が明記されていなければな

らない。利用者の要求事項と評価するために利用する手順とをどの程度詳細に決めるかは,関係者間で決

めることができる(

附属書 は,適合性を文書化するのに利用できる。)。

アクセシビリティ 

5.1 

一般 

情報通信機器及びサービスは,一般には利用の状況の範囲を限定して設計されている。アクセシビリテ

ィは,情報通信機器又はサービスが,利用者の目標,能力及び制限を十分に考慮し,インタラクションが

うまくいくように支援する設計がされた場合にだけ達成される。アクセシビリティを制限する要因は,利

用の状況(すなわち,利用者,仕事,機器及び/又は環境)のうちの一つ以上の構成要素及び構成要素間

の相互作用から発生する。利用の状況の範囲を限定して情報通信機器及びサービスを開発すると,利用の

状況の範囲を拡大して開発したシステムよりも,アクセシビリティの問題が多くなるリスクが生じる。

注記  情報通信機器及びサービスは,支援技術を含む多くのハードウェア及びソフトウェアの構成要

素からなる。アクセシビリティは,機器及びサービスの様々な水準において,また,利用者そ

れぞれの個々の環境で存在し,利用者が異なるとアクセシビリティも異なる。アクセシビリテ

ィは,利用の状況内で利用者,仕事,機器・サービス及び環境を扱い,これらの様々な要素を

調整することによって改善できる。

しかし,個々の要素を改善しただけでは,アクセシビリティを保証できず,その改善さえ保

証できない。

必要なことは,

要素をすべて最適化しようと努力する全体的なアプローチである。

これには,利用者の教育,利用者に合わせた仕事の構造化,環境の改善,並びに機器及びサー

ビスの設計の改善を伴うことがある。

5.2 

利用の状況及びアクセシビリティ 

利用者,仕事,社会環境,物理的,技術的環境などの利用の状況(複数の場合もある。

)を特定すること

は重要であり,利用の状況は情報通信機器又はサービスの開発又は評価に適用される。利用の状況を特定

する指針は JIS Z 8521 による。

この規格では扱わないが,多くの国々のアクセシビリティに関する法律で,利用の状況の中で考慮すべ

き指針及び要求事項が提供されている。

利用者グループを特定する場合に特に注意すべきことは,すべての利用者内にみられる利用者特性の範

囲を特定することである。なぜならば利用者グループを特定する目的が,最も幅広い層の利用者のニーズ

を満たすことにあるからである。機器又はサービスのアクセシビリティは,利用者が仕事の目標を達成で

きるように支援する利用者特性の範囲が広いほど向上する。

利用者特性の差異に注意を払うためには,次のアプローチを考慮することが望ましい。

a)

情報通信機器及びサービスを,すべての利用者が改造又は支援技術の接続をしなくても利用できるよ


9

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

うに設計する。このアプローチは,情報通信機器及びサービスを一般向け及び/又は公共機器として

設計する場合に重要である。

b)

情報通信機器及びサービスを,個々の利用者のニーズに合わせて設定を変えられるように設計する。

これによって,能力及び好みの異なる利用者が,機器又はサービスとインタラクションする方法を選

び,有効さ,効率及び満足度を最適化することができる。

c)

上記のアプローチ a)及び b)が可能でないか適切でない場合,すべての利用者全体のニーズをカバーす

る一連の幾つかの情報通信機器又はサービスを提供する。それぞれの機器又はサービスは,すべての

利用者のサブグループのニーズを満たすことを目指しており,個別ベースで取得することができる。

これは特に,人々が個人的選択をすることができる公でない状況で適用できる。

d)

上記のアプローチ a)b)及び c)は,ほとんどの人々のニーズを満たすことができるが,その一方で一

部の人々は,情報通信機器及びサービスとのインタラクションを支援するための支援技術も利用しな

ければならない。そのような人々のために,支援技術との接続性を確保して(それ自体はアクセシビ

リティのための手段ではないが)

これらの利用者が自分のアクセシビリティのための手段を創出する

基礎を提供する。

5.3 

プロセス 

アクセシビリティを確保するために次に示す活動が行われることが望ましい。

a)

利用の状況を理解し特定する。特に注意する対象は,利用者特性の差異,並びに仕事,機器及び環境

上の特性であって,これらはアクセシビリティに影響する。

b)

利用者のアクセシビリティのニーズを識別し特定する。

c)

アクセシビリティに配慮した設計による解決策を作成する。

d)

対象とした利用者グループを代表するような特性をもつ利用者で,情報通信機器及びサービスのアク

セシビリティ設計による解決策を評価する。詳細は,JIS Z 8530 による。

注記 1  ISO/TR 16982 も人間中心設計に対応するユーザビリティ手法の指針を提供する。

注記 2  アクセシビリティ設計による解決策の評価には,利用者評価の結果及び他の利用できる形

の利用者からのフィードバックを得ることも含まれる。

注記 3  多数の関係者が開発に関与する場合,アクセシビリティを達成するには交渉及び合意が重

要である。

開発管理に関する推奨事項 

6.1 

情報アクセシビリティ方針 

事業管理者及び開発管理者は,情報アクセシビリティ方針をもつことが望ましい。

例  会社において,アクセシビリティ目標の言明,会社がこれらの目標を達成することを確保する責

任者,及び会社が満たそうとする特定のアクセシビリティ規格の選別を含む全社的な情報アクセ

シビリティ方針が確立されている。

6.2 

開発に関する責任 

事業管理者及び開発管理者は,情報アクセシビリティ方針が,情報通信機器及びサービスの企画,設計,

開発及び評価の中で遵守されることを確認することが望ましい。

通常,最良の結果がより低コストで達成されるのは,情報アクセシビリティが設計過程の最初から取り

組まれる場合である。


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利用者特性に関する推奨事項 

7.1 

一般 

7.1.1 

利用者特性の対応の範囲 

情報通信機器及びサービスが対応する利用者特性の範囲は,最も幅広い層の利用者すべてが設計で意図

された仕事を行えるようにすることが望ましい。

特定の利用者は,種々の障害を合わせもつので特別の解決策を必要とすることがある。個々の障害に対

する解決策を寄せ集めただけでは適切ではない。例えば,テキストの音声出力は目の不自由な人にとって

有効であり,音声のテキスト出力は耳の不自由な人にとって有効であるが,どちらの出力も,耳も目も不

自由な利用者は恩恵を得ることができない。

例  あるシステムでは,利用者の長期記憶,短期記憶及び学習能力に,過度の負担をかけないように

している。

7.1.2 

多数のインタラクション手段への対応 

情報通信機器及びサービスは,異なる利用者グループのアクセシビリティニーズに対応するために,で

きるだけ多くの代替的なインタラクション手段に対応することが望ましい。

利用者の一部のグループは,特定の知的又は身体的な機能を働かせることが難しい。その場合,代替と

なる知的又は身体的な機能を用いれば,これらの利用者はその機能が行う働きに対してアクセスできる。

例 1  キーボードが打てない人々,及びつづりの書けない人々のための代替手段として,音声認識が

提供されている。

例 2  支援技術によって,機器又はサービスに対し,キーボード等価の入力をできる(例えば,タッ

チスクリーンの代わりにキーボード又は点字入力装置によって入力ができる。

例 3  グラフィカルユーザインタフェースにおいて,グラフィックオブジェクトの代替テキストが提

供されており,見ることのできない利用者が,スクリーンリーダによって読むことができる。

7.1.3 

代替インタラクション手段の同時利用の対応 

情報通信機器及びサービスは,異なる状況又は変化する状況の中で利用者のアクセシビリティニーズを

満たすために,代替的なインタラクション手段の同時利用に対応することが望ましい。

これは,多数のインタラクションチャネルの利用を含んでいる(7.3.10 も参照)

例  表示スクリーンを個別設定できるのに加え,スクリーンリーダが,オペレーティングシステムか

らのテキスト出力にアクセスし,テキスト出力を音声又は点字で送ることができる。

7.1.4 

個別設定への対応 

情報通信機器及びサービスは,利用者による個別設定に対応することが望ましい(7.3.8 及び 7.6.7 では,

二つの特定の個別設定に関する指針を提供する。

例 1  利用者が,与えられた仕事をするためにどの入出力装置を利用するかを選択できる。

例 2  利用者が,個々の装置の物理的な位置を容易に変えることができる。

例 3  利用者が,ドラッグアンドドロップによってディスプレイ上のコンポーネントのレイアウトを

変えることができる。

7.1.5 

設定の変更 

利用者が機器又はサービスの再設定又は再起動をしなくても,情報通信機器又はサービスとインタラク

ションする代替手段を利用し,アクセシビリティに関連する設定を選択できる方法を提供することが望ま

しい。

利用者にとって種々のインタラクション手段を選択できることと同様に,その選択を外すことができる


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ことも重要である。

例 1  利用者が,マウスの代わりにキーボードを用いて画面上のポインタを制御できる。

例 2  利用者が,色覚に制限があっても問題ない配色を選択できる。

例 3  利用者が,システムのスピーカの音量とマイクロホンの音量とを別々に調節できる。

例 4  利用者が,物理的な操作機能,例えば触覚入力装置によって利用されるストローク及び押圧を

調節できる。

例 5  スクリーンの内容を読むために指を利用する利用者が不注意にタッチしても問題ないように,

タッチスクリーンからの入力が遮断されている。タッチスクリーンによって通常行われる機能

は,他の入力方法によって行う。

例 6  支援技術が,利用者が常に利用できるキーボードコマンドによって容易に起動又は停止できる。

7.1.6 

初期設定への復帰 

利用者が機器又はサービスの再設定又は再起動をしなくても,情報通信機器又はサービスを初期設定に

復帰できる方法を提供することが望ましい。

複数の利用者間での共有を意図する情報通信機器及びサービスでこれが特に重要である。

7.1.7 

カスタマイズされた設定の保存及び回復 

できれば,利用者によってカスタマイズされた設定を保存し回復する手段を提供することが望ましい。

利用者がカスタマイズして保存した設定を読み込むことは,利用者の認知能力が低いために設定を作成で

きない状況で特に重要である。

7.1.8 

支援技術への対応 

支援技術に対応するために,標準インタフェース手段が提供されることが望ましい。システムはアクセ

シビリティニーズを満たすように設計されることが望ましいが,一部の利用者にとってはシステムとイン

タラクションできる唯一の手段が,支援技術の利用であることも知られている。一般に利用されている支

援技術のリストを,次に示す。

a)

見ることができない利用者を支援する技術,例えば音声及び/又は点字出力によって情報を示すスク

リーンリーダ

b)

視覚に制限のある利用者を支援する技術,例えば大きなディスプレイ,大きなフォント,高いコント

ラスト及びディスプレイの一部を拡大するハードウェア又はソフトウェア

c)

聞くことができない利用者を支援する技術,例えば字幕及び音の可視化

d)

聴覚に制限のある利用者を支援する技術,例えば音量増幅器及び補聴器

e)

発話ができない利用者を支援する技術,例えば音声合成装置

f)

発話に制限のある利用者を支援する技術,例えば外付け音声拡大装置

g)

動作に制限のある利用者を支援する技術,例えば眼球運動追跡装置,ヘッドスティック,マウスステ

ィック及び遠隔制御装置

h)

聞くことができず見ることもできない利用者を支援する技術,例えば点字出力及びテレタイプライタ

(文字電話)入力

7.1.9 

利用者の疲労の回避 

情報通信機器及びサービスは,次の手段によって,利用者を疲労させず,長時間にわたり利用者に快適

さを確保することが望ましい。

a)

微小で精ち(緻)な関節運動を要求しないようにする。

b)

極端に無理な姿勢又はそれに近い状態で静止を要求しないようにする。


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注記  利用者の耐久力には差があるので,疲労を感じる前に行うことができる身体的・知的作業の量

は利用者によって差が生じる。

利用者の個人差に対処するには,疲労を感じたら常に休息できるように仕事の一時停止及び再開ができ

れば助けになる。

7.2 

視覚 

7.2.1 

見ることができない利用者 

情報通信機器及びサービスは,視力がないか又は環境条件によって物が見えない利用者に対応すること

が望ましい。

見ることができない利用者にとって特に重要な具体的な指針を,7.2.27.2.5 に示す。7.1 で示した一般

的な指針及びこのほかの具体的な指針も,これらの利用者にとって重要である。

7.2.2 

音を用いた情報の提供 

利用者が,視覚的表示の有無にかか(関)わらず,音で情報を得られるようにすることが望ましい。

注記 1  点字を学習した人ならば,点字出力のできるスクリーンリーダを利用でき,音情報がなくて

も済むだろう。しかし,後天的に全盲になる人の中で,点字のような専門の技能を習得でき

る人は少ない。そのような人でも,音情報ならば,新しい聴覚の技能を習得して,追加の聴

覚方法に頼って情報を得られることがある。

注記 2  見ることができない多くの利用者は,音声合成出力によってスクリーンを読み取るので,読

んでいる最中に発生する音出力に注意を払うことは困難か不可能かもしれない。

音による情報の提示が,視覚情報の提示と確実に同期することが重要である。

7.2.3 

聴覚情報でのナビゲーションへの対応 

利用者が音響的な手がかりを用いて,コントロール・表示オブジェクト群の中をナビゲートできる機能

が提供されることが望ましい。

注記  空間的な位置づけを理解することを必要としたり,図式表現されたオブジェクトを見ることを

必要としたりするナビゲーションは,見ることができない利用者にとって不利である。

7.2.4 

聴覚的及び/又は触覚的手段による位置及び機能情報の提供 

利用者に対して,コントロール及び表示オブジェクトについての位置及び機能情報を,聴覚的及び/又

は触覚的手段によって提供することが望ましい。

7.2.5 

非視覚的なフィードバック手段を用いる制御の提供 

キーボード,音声又は他の非視覚的なフィードバック手段によって,利用者がフォーカス,ナビゲーシ

ョン及び他の機能を制御できることが望ましい。

例  利用者がコントロールに遭遇したとき(例えば,コントロールが選択できる位置にカーソルが移

動したとき。

)に,聴覚フィードバックが提供される。

7.2.6 

視覚に制限のある利用者 

情報通信機器及びサービスは,視覚に制限のある利用者に対応することが望ましい。

視覚に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.2.77.2.12 を参照する。7.1 及び

7.2.2

7.2.5 に追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。

7.2.7 

ディスプレイ上にあるオブジェクトのコントラストの調節 

ディスプレイ上にあるユーザインタフェースに関するオブジェクトのコントラストを調節する機能が提

供されることが望ましい。


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7.2.8 

ディスプレイ上にあるオブジェクトのサイズの調節 

ディスプレイ上にあるテキスト,仕事に関連する文字フォント,アイコン及び他のユーザインタフェー

スに関するオブジェクトのサイズを調節する機能が提供されることが望ましい。

7.2.9 

表示の内容の強調 

スクリーン又はディスプレイの一部分を強調する(又は拡大する)機能が提供されることが望ましい。

注記  強調は,ユーザインタフェースに関するオブジェクトの有無にかかわらず,ディスプレイの表

示された一部分に適用される。

7.2.10 

オブジェクトの表示の反転 

ユーザインタフェースオブジェクトを明るく,背景を暗くする設定が提供されることが望ましい。

注記  視覚に制限のある一部の利用者(例えば白内障の利用者)は,白い背景は非常にまぶ(眩)し

く見えるので暗い背景を好む。

7.2.11 

色覚に制限のある利用者 

色の違いを情報の提供に利用する場合,色の違いだけでなく,例えば形・位置の違い又は文字によるラ

ベルのようなものも提供することが望ましい

(その結果,

色がコーディングの唯一の方法ではなくなる。

例  緊急停止取っ手において,赤色に塗られているほかに,

“緊急用”というラベルもちょう(貼)付

されている。

7.2.12 

点滅に反応する利用者 

テキスト,オブジェクト又はビデオスクリーンを点滅させる速度は,光感受性発作(光源性てんかん)

を誘発しやすい周波数を避けることが望ましい。

点滅の周波数に加えて,点滅の面積及び輝度も重要である。点滅刺激の輝度が強いほど,点滅の面積が

大きいほど,感光反応(例えば発作,他の内容に対する注意不足)を起こす危険が大きくなる。

7.3 

聴覚 

7.3.1 

有害な音響の回避 

音響出力は,聴覚を損なうような音量を避けることが望ましい。

音響出力の上限を抑えるか減衰させる手段を提供すると,聴力を保護できる。

例  利用者が聞く音量を,不快感がなく,聴覚を損なわないように減少及び制限できるようにするた

めに,音が急に大きくなる場合に,システムがそれを減衰させるようになっている。

7.3.2 

音声情報の視覚的提供 

すべての音声情報(音声によって示された文字情報)は,視覚的な形式(例えばテキスト,強調表示技

術,手話ビデオ)でも提供されることが望ましい。

視覚的な形式による音声情報の提示が,音響情報の提示と確実に同期することが重要である。

7.3.3 

聞くことができない利用者 

情報通信機器及びサービスは,聞くことができない利用者に対応することが望ましい。

音声情報は,アイコン及び共通の記号,テキスト形式又は“音及び字幕の提示”の機能によって提供で

きる。この機能は,ソフトウェアによって音声情報を視覚的な形式で示すようにするものである。

聞くことができない利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.3.47.3.6 を参照する。7.1 

び 7.3.2 に追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。

7.3.4 

報知音の視覚的提供 

報知音及び警報は,適切な強調表示技術を用いて視覚的に示されることが望ましい。

注記  適切な強調表示技術は,利用者の注意を得る必要性,報知音又は警報の重要性,及び他の同じ


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レベル又は一層重要な活動から利用者の気を散らす可能性を考慮する。

7.3.5 

報知音の触覚的提供 

視覚が利用できないか又は要求されない場合,報知音及び警報は,触覚の刺激を用いて示されることが

望ましい。

例  携帯電話の利用者に対して,電話機の振動によってメッセージを受け取ったことが通知される。

7.3.6 

手話への対応 

手話による情報提供が考慮されることが望ましい。

注記  手話の意味は,地域,国又は言語によって異なる(7.6.10 も参照)。

例 1  ウェブサイトにおいて,手話映像によってウェブサイトの目標及び構造が説明されている。

例 2  情報通信機器において,紙ベースの利用者マニュアルとともに,その製品の主な機能について

説明する手話映像の入った DVD が提供されている。

7.3.7 

聴覚に制限のある利用者 

情報通信機器及びサービスは,聴覚に制限のある利用者に対応することが望ましい。

注記  聴覚に制限のある人々の一部は,音声入力システムが認識できる発声をすることができない。

聴覚に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.3.87.3.107.4.27.4.5 及び 7.4.6

を参照する。7.17.3.1 及び 7.3.2 に追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して

重要である。

7.3.8 

音量調整の提供 

聴覚情報の音量を増減させる機能が提供されることが望ましい。

これは,騒々しい環境において特に重要である。

7.3.9 

非音声音の周波数の管理 

仕事に適切なときは,非音声音の周波数を調節する機能が提供されることが望ましい。

これが可能でない場合,高い周波数を利用しないように考慮する。

7.3.10 

異なるチャネルに対する個別の調整の提供 

異なる音源(チャネル)から来る音声及び非音声音が示される場合,非音声音の音量を調節する機能が

提供されることが望ましい。

7.4 

発話 

7.4.1 

テキストによる入力への対応 

キーボード又はテキスト入力装置の利用によって,すべての入力ができることが望ましい。

例  操作を制御するために音声を利用するアプリケーションの場合に,同等のテキストを入力するた

めに,キーボードが用意されている。

7.4.2 

音声入力の代替手段への対応   

音声入力をプロセスを作動させるために利用する場合,代替手段,例えばキーパッド又は身振りによる

ジェスチャ入力の利用が提供されることが望ましい。

注記  ろう(聾)者の一部は,音声入力システムが認識できる発声をすることができない。

7.4.3 

発話できない利用者 

情報通信機器及びサービスは,発話できない利用者に対応することが望ましい。

注記  発話できない人々の一部は,聞くこともできない。

発話できない利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.4.17.4.2 及び 7.6.8 を参照する。7.1

から追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。


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7.4.4 

発話に制限がある利用者 

情報通信機器及びサービスは,発話に制限がある利用者に対応することが望ましい。

注記  聴覚に制限のある人々の一部は,音声入力システムが認識できる発声をすることができない。

発話に制限がある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.4.17.4.27.4.5 及び 7.4.6 を参

照する。7.1 から追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。

7.4.5 

音声入力の速度の調節 

音声入力の速度は,利用者によって調節できることが望ましい。

注記  発話障害をもつ人々は,単語及び文を発音する時間が他の人々より長くかかることが多い。

7.4.6 

音声入力強調の提供 

音声入力を強調する機能が提供されることが望ましい。聞き取れない小さな音声又は不明りょうな発話

のために音声認識ソフトウェアを利用できない多くの人も,音声強調装置を利用すれば音声認識ソフトウ

ェアを利用できる。

7.5 

身体的能力 

7.5.1 

動作に制限のある利用者 

情報通信機器及びサービスは,動作に制限のある利用者に対応することが望ましい。

例  コントロール類が,過度の手足の移動を不要にするために接近して配置されている。

動作に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.5.27.5.7 を参照する。7.1 から

追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。

7.5.2 

コントロール類の調整可能な配置の提供 

コントロール及びディスプレイの配置は,

利用者の手の届く高さ及び位置に調整できることが望ましい。

動作に制限のある人々,例えば車いす利用者,歩行補助具,又は慢性関節痛の利用者にとって関係がある。

7.5.3 

片手操作への対応 

コントロールは,左右どちらかの手を利用すれば操作が可能で,両手を同時に利用する必要のある操作

は避けることが望ましい。

7.5.4 

力に制限のある利用者 

コントロール類は,

(行う操作の制約内で)必要最小限の力で動かせるようにすることが望ましい。動き

の利用と力とは組み合わされることが多い。

力のかけ方には,押す,握る,つまむ,ねじるなどがある。

これは,脳血管障害を経験した利用者のように,力に制限のある人々にとって特に関係がある。

例  コントロール類が,容易に選べ,動かせ,つかむこと,握ること,及び操作することができるよ

うに,形,大きさ,適切な間隔及び表面仕上げを考慮して設計されている。

7.5.5 

運動制御能力に制限のある利用者 

情報通信機器及びサービスは,運動制御能力に制限のある利用者に対応することが望ましく,高い機敏

性を要求しないことが望ましい。

例  運動制御能力に制限のある利用者に対して,音声制御が提供されている。

7.5.6 

こまかい運動を制御する能力に制限のある利用者 

コントロール類は,こまかい運動を制御する能力の制限(例えば体の震え)を補正するように設計され

ることが望ましい。

例 1  トラッキング装置が,体の震えを補正するダンパを内蔵している。

例 2  マウスのトラッキングが,物理的な大きな動きに対してカーソルが小さく動くように設定でき


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る。

7.5.7 

利用者による応答時間の調整の提供 

利用者が制限時間内に応答する(例えば,ボタンを押す又は情報をタイプで打つ。

)必要があり,そうし

ないと応答が無効になる(時間切れになる)作業の場合,制限時間の長短は利用者が調整できることが望

ましい。調整には,応答時間を無制限にする選択肢も含む。

情報通信機器及びサービスでは,時間切れがインタラクションの本質的な要素でないように設計するの

が重要であるが,そうでないときには,次の少なくとも一つが当てはまることが重要である。

a)

利用者は,時間切れを停止できる。

b)

利用者は,時間切れを調整できる。初期設定の少なくとも 10 倍の時間まで延長できる。

c)

利用者は,時間切れの前に警告され,単純な操作(例えば,どのキーでもよいから打つ。

)によって制

限時間を延長でき,応答時間が与えられる。

d)

時間切れは実時間事象(例えばオークション)の重要な部分であり,時間切れの代替はできない。

e)

時間切れはタイミングが必す(須)の活動(例えば対戦ゲーム又は制限時間のある試験)の一部であ

り,この活動を停止しない限り制限時間の延長ができない。

7.6 

認知能力 

7.6.1 

認知能力に制限のある利用者 

情報通信機器及びサービスは,認知能力に制限のある利用者に対応することが望ましい。

様々な認知能力に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.6.27.6.10 を参照す

る。7.1 から追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。

7.6.2 

不必要に高い認知負荷の回避 

情報通信機器及びサービスは,機器の操作又はサービスの利用に必要な基本的活動を,できるだけ分か

りやすく単純にすることによって,不必要に高い認知負荷を利用者に要求しないことが望ましい。一貫性

の確保及び/又は入出力した情報を見直すことができると,利用者に求められる認知負荷の軽減につなが

る。

例 1  システムにおいて,利用者の記憶及び学習の能力に過度な負担をかけることを避けるために,

状況に応じたヘルプが提供されている。

例 2  利用者がパスワードを覚えていることを不要にするために,生体個人認証が利用されている。

7.6.3 

理解の支援 

情報は,利用者が理解しやすい方法で示され整理されていることが望ましい。

情報及びコントロール類は,

そのレイアウトを工夫することによって,視覚障害又は認知障害のある人々

が読み取りやすくなる。考慮すべき要因は,情報及びコントロール類の論理的なグループ化,適切なラベ

ル及び見出しの利用,文章の 1 行の長さ,情報の関連性,コントロール類と操作との関係性などである。

例   個々の操作の目的を理解しやすくするために,録音再生機器のコントロールボタンの物理的位置,

順序,グループ化,間隔などに一貫性がある。

7.6.4 

分かりやすい用語の利用 

情報通信機器及びサービスの記述及び操作に利用する用語は,利用者の専門知識及び認知能力の水準に

関係なく,できるだけ理解しやすい表現及び定義を利用することが望ましい。

説明又は用語集を提示し,利用者が知らないかもしれない表現及び用語を利用者が理解することを助け

る。

例 1  大衆に利用されるアプリケーションでは,一般的に利用される用語“しもやけ”を専門用語“凍


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そう(瘡)

”の代わりに利用している。

例 2  専門用語,略語,頭字語などが利用の状況下で必要な場合,これらの用語のリンクをオンライ

ン用語集の見出し語に入れて提供している。

7.6.5 

記号又は図による情報の提供 

利用者が理解しやすい情報にするために,記号又は図の形式で提供することが望ましい。話すことがで

きない人々は,しばしば文字情報を読むことに苦労するが,記号又は図の形式で文字情報を伝えると,コ

ミュニケーションの速度が上がる。

例  語学力に制限のある人々のために,アイコンが利用されている。

7.6.6 

適切な手がかりの提供 

情報通信機器及びサービスは,利用者が重要な情報(例えば設定状態)に注意を払うことを支援するた

めに適切な手がかりを提供することが望ましい。

例  銀行の現金自動預払機において,メッセージ,例えば“カードをお取りください”が強調して表

示される。

7.6.7 

インタラクションの速度の調整 

インタラクションの速度は,利用者が調整できることが望ましい。認知障害のある利用者は,特定の活

動を行うために余分な時間がかかることがある。

例  利用者が,自動表示の進行速度を調整できる。

7.6.8 

一時停止又は停止 

移動,点滅,スクロール又は自動更新によって情報を提示する場合,利用者は,この動的表示をいつで

も一時停止又は停止できることが望ましい。一時停止及び停止は,利用者によるインタラクションの速度

の調整にも役立つ。

注記  JIS Z 8531-2 は,情報の動的表示を調整する追加の指針を提供する。

7.6.9 

学習の最小限化 

情報通信機器及びサービスの設計は,利用者に共通する経験に関連させることによって,特別な学習の

必要を最小限にすることが望ましい。

例  独自開発のメッセージ通信システムにおいて,一般に用いられている電子メールクライアントの

レイアウト及び機能が模倣されている。

7.6.10 

文化及び言語の違いへの対応 

情報通信機器及びサービスの記述及び操作に利用する用語は,文化又は言語の違う利用者にも理解でき

る表現を用いることが望ましい。

英語だけを利用した情報通信機器及びサービスは,もしインタラクションが利用者の言語に翻訳されな

ければ,英語を理解しない利用者に対しアクセシビリティの問題を生じることがある。

国際的な利用のために設計されたアイコンの利用は,文化及び言語の違う利用者による理解を改善する

一つの方法である。

例  インストール情報が,様々な言語で入手でき,情報通信機器又はサービスの操作に利用する言語

を選択する方法の情報も含んでいる。

仕事特性に関する推奨事項 

8.1 

利用の状況に基づく仕事の実行 

情報通信機器及びサービスは,利用の状況に合わせて利用者が容易に仕事ができるようにすることが望


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ましい。

例 1  利用者が,ウィザード(対話形式で質問に答えていくことによって操作をしていく機能)を用

いてステップごとに仕事をするか,又は複合的な対話形式を直接用いて仕事をするかを選ぶこ

とができる。

例 2  利用者が,静かな環境でスクリーンリーダを利用するか,又は騒々しい環境で点字出力を利用

するかを選ぶことができる。

8.2 

仕事を実行する代替手段の提供 

情報通信機器及びサービスは,仕事を実行するために利用者が代替手段を選べるようにすることが望ま

しい。

注記  状況によっては,ある仕事は,あるシステムを利用するように指定され,及び/又はある環境

で行われるように指定される。これらのシステム及び/又は環境は,それ自体が制約となる。

例 1  システムにおいて,利用者が作業ステップの実行順序を自分で決めることができ,ステップの

順序が仕事によって要求されることはない。

例 2  複雑な仕事を行う場合に,ウィザードによる操作ガイダンスが利用でき,また,基本的な操作

(初期設定の操作)だけか,すべての操作をウィザードで行うか,又は利用者が選んだ操作だ

けをウィザードで行うかを選択できる。

8.3 

保守,設定及びその他の支援操作の実行 

情報通信機器及びサービスは,保守,設定及びその他の支援操作の必要性を最小限に抑えることが望ま

しい。

例 1  システムにおいて,ディスククリーンアップのような定形作業が自動化されている。

例 2  システムが停止したとき,利用者のアクセシビリティの設定をシステムが保存し,利用者が再

起動したとき保存してある設定で利用できる。

機器及びサービス特性に関する推奨事項 

9.1 

一般 

9.1.1 

基本機能及び附帯的な機能への対応 

次の事項を満たすことが望ましい。

a)

情報通信機器又はサービスの基本機能は,最大限すべての利用者が利用できる。

b)

基本機能を支援するか又は拡張する附帯的な機能は,ほとんどの利用者が利用できる。

例  テキスト入力は,文書作成ソフトウェアの基本的な機能であるので,テキスト入力の様々な方

法ができる限り幅広い層の利用者に提供されている。

9.1.2 

一貫性の確保 

関連する機器又はサービスは,共通のアクセシビリティ機能及び仕様をもっていることが望ましい。

例  シリーズ内のすべての情報通信機器及びサービスは,アクセシビリティを一貫した方法で扱える。

9.1.3 

ユーザ向け案内の提供   

ユーザ向け案内のアクセシビリティは,情報通信機器又はサービスの他の機能のアクセシビリティと同

等であることが望ましい。

注記  ユーザ向け案内に含まれるのは,プロンプト,フィードバック,状態情報,エラー管理及びオ

ンラインヘルプである。ユーザ向け案内に関する JIS Z 8523 の規定(要求事項,推奨事項)を

参照する。


19

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

9.1.4 

安全情報の提供 

機器及びサービス,それらの構成要素並びにそれらの利用に関する危険有害性についての情報は,利用

者が理解できる形式を用いて示されることが望ましい。

例  有毒な材料,又はアレルギー反応を引き起こすおそれのある材料が機器で利用されている場合,

利用者が読んで理解できる警告ラベル(例えば文字と点字との併記)が機器にちょう(貼)付さ

れている。

9.1.5 

相互運用性の提供 

他の情報通信機器又はサービスと一緒に作動することを意図する情報通信機器及びサービスは,これら

の他の情報通信機器及びサービスのアクセシビリティ関連機能を中断又は無効にしないことが望ましい。

例  支援機能をもつ幾つかの装置が複数の USB ポートから接続されている場合にも,それぞれが独立

して機能する。

9.1.6 

誤操作の許容 

すべての利用者は,偶然の行為又は意図しない行為の結果から保護されることが望ましい。

これが特に重要なのは,認知能力に制限のある人々である。なぜならば,そのような人々は誤操作によ

るエラーから復帰しにくいからである。

例 1  操作のための構成要素は誤操作を最小限にするように配列されている。

例 2  誤操作の結果の警告が提供されている。

例 3  多重安全機能が提供されている。

9.1.7 

やり直し又は確認の提供 

次の推奨事項は一般的な人間工学の原則に従ったものであるが,この手段は,意図しない操作をしやす

い障害のある利用者にとって特に重要である。これらの利用者は,意図しない操作をした後,元に戻すの

に非常に時間と手間とがかかるからである。

a)

利用者は,利用者のコマンドに応答してシステムが実行した処理を元に戻す(

“やり直す”

)ことがで

きることが望ましい。

b)

やり直しできない処理については,システムが処理を実行する前に,本当に実行してよいか利用者が

確認を求められることが望ましい。

例  利用者が元の状態に都合よく戻すことができるように,複数回のやり直しができる。例えば,

パーキンソン病の利用者は,知らない間に次々にキーを押し次々に対話操作を作動させるので,

やり直しが必要になる。

9.1.8 

機能の保護 

アクセシビリティ機能を利用者の意図に反して起動又は停止するリスクは,最小限にすることが望まし

い。

9.1.9 

生体個人認証 

指定された生体個人認証のデータを入力できない利用者には,代替手段を提供することが望ましい。

例  セキュリティ対策のために,両手のない利用者には音声認証が,発話できない利用者には指紋認

証が利用されている。

9.2 

情報通信機器及びサービスのための他の規格 

9.2.1 

関連規格の適用 

情報通信機器及びサービスは,9.2.29.2.7 に掲げる規格に従うことが望ましい。これは,利用者の期待

に添うと同時に支援技術の接続を促進するために重要である。


20

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

9.2.2 

入力装置 

情報通信機器の入力装置の指針については,ISO 9241-410 による。

9.2.3 

視覚表示装置 

情報通信機器の出力装置の指針については,ISO 9241-300 及び ISO 9241-302 による。

9.2.4 

ワークステーション 

情報通信機器のワークステーションについては,JIS Z 8515 による。

9.2.5 

ソフトウェア 

情報通信サービスのソフトウェアのコンポーネントについては,JIS Z 8520JIS Z 8522JIS Z 8523

JIS Z 8524

JIS Z 8525JIS Z 8526JIS Z 8527 及び ISO 9241-171 による。

9.2.6 

マルチメディアソフトウェア 

情報通信サービスのマルチメディアソフトウェアのコンポーネントについては,JIS Z 8531-1JIS Z 

8531-2

及び JIS Z 8531-3 による。

9.2.7 

ウェブソフトウェア 

ワールドワイドウェブに関する情報通信サービスのソフトウェアコンポーネントについては,ISO 

9241-151

による。

9.3 

支援技術 

9.3.1 

支援技術の接続 

情報通信機器又はサービスが提供していないインタラクション手段を提供するために,支援技術の接続

に対応することが望ましい。

一部の閉じたシステムは,支援技術を接続できない。そのような場合に重要なことは,様々な能力をも

つ最も幅広い層の人々が支援技術を接続しなくてもそのシステムを利用できるように,閉じたシステムを

設計することである。

利用者がキーボード(又はキーボード等価物)からの時間的制約のない入力だけで,ナビゲーションを

含む入力機能すべてを実行できる情報通信機器又はサービスの場合には,支援技術の接続によって代替入

力を提供することが可能である。

すべての出力に含まれる情報を,

テキストだけの形でも提供する情報通信機器又はサービスの場合には,

支援技術の接続によって,代替出力を提供することが可能である。

9.3.2 

支援技術の組合せへの対応 

複数の支援技術を組み合わせた場合,個々の支援技術の機能を妨害しないことが望ましい。

これを達成する一つの手段として,ある支援技術とシステムとの間で交換される情報を,そのシステム

に接続した他のすべての支援技術にも与えるようにすることで解決できることもある。

組み合わせて利用できないことが既知の場合,重要なことは,これらに関する情報を利用者が入手でき

ることである。

例  製品の包装の外側に明白に組み合わせて利用できないことが列記されている。

9.4 

情報通信機器及びサービスの選択及び操作 

9.4.1 

アクセシビリティ情報の提供 

情報通信機器又はサービスのアクセシビリティに関する情報は,様々な能力をもつ最も幅広い層の人々

が利用できる形式で提供されることが望ましい。

利用者が情報通信機器及びサービスを購入し利用する場合,重要なことは,それが自分のニーズを満た

すかどうか判断できるように情報通信機器及び/又はサービスのアクセシビリティに関する情報を利用者


21

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

が容易に入手できることである。

9.4.2 

意図する利用の状況に関する情報の提供 

意図する利用の状況に関する情報の提供については,次の事項を満たすことが望ましい。

a)

情報通信機器又はサービスが設計対象とする利用の状況に関する情報は,機器又はサービスのオンラ

インヘルプに含まれている。

b)

情報通信機器又はサービスが設計対象とする利用の状況に関する情報が,機器又はサービスのオンラ

インヘルプに含むことができない場合,この情報がその機器又はサービスのための印刷物及び他の形

式の文書で提供される。

9.4.3 

機器又はサービス更新時の互換性の維持 

新バージョン(例えばアップグレード又は新しいモデル)の情報通信機器又はサービスは,少なくとも

既存バージョンと同じ範囲の利用者が利用できることが望ましい。

9.5 

操作の準備及び完了 

9.5.1 

設置情報の提供 

利用者が情報通信機器を設置すると予想される場合,この仕事を完了するために必要な設置情報は,す

べての利用者に利用できる代替形式で提供されることが望ましい。

9.5.2 

設置の実行 

利用者が情報通信機器を設置すると予想される場合,この仕事を完了するために必要な活動は,最も幅

広い層の利用者が達成できるものであることが望ましい。

9.5.3 

機器の停止 

機器は,容易に停止できることが望ましい。

例 1  “オン/オフ”スイッチが,操作しやすく,かつ,知らない間に作動させることのない場所に

ある。

例 2  システムが,物理的な“オン/オフ”スイッチを利用するか,又は機器を停止させるソフトウ

ェアコマンドを出すか,いずれかで停止することができる。

9.5.4 

機器の収納 

機器は,容易に収納できることが望ましい。

例 1  大形の機器において,附属のケーブル及び他の小さな附属品の収納場所が確保されている。

例 2  一組の小形装置が,一緒にして収納しやすいように互いに連結できる設計がされている。

9.5.5 

機器の切離し 

機器は,

(例えば電源,周辺機器及びネットワークから)論理的にも物理的にも切り離しやすいことが望

ましい。

例  接続部が,操作しやすいように装置の(背面ではなく)側面にある。

10 

環境特性に関する推奨事項 

10.1 

様々な環境での操作 

情報通信機器及びサービスは,利用の状況で特定された様々な環境で操作できることが望ましい。

情報通信機器及びサービスは,様々な環境,すなわち,事務所,家庭,及び遠隔環境又は一時的環境(例

えば旅行中のホテルの部屋)で利用される。多くの情報通信サービスが,公共のコンピュータ,パーソナ

ルコンピュータ,ノート型パーソナルコンピュータ,電子手帳などの様々なハードウェアプラットフォー

ム上で利用される。


22

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

例 1  明るすぎてまぶ(眩)しさを感じさせる光は,視覚的条件に悪影響を与える。

例 2  騒音があると聴覚的条件に影響する。

例 3  作業スペースが狭いと物理的な運動条件に影響する。

例 4  気が散ったり,注意を要する仕事がほかにあったりすると認知条件に影響する。

例 5  気が散ると時間的条件を満足させるために利用できる時間が減る。

10.2 

環境の設計 

環境を設計する場合,次の事項について利用者のニーズを特に考慮することが望ましい。

a)

照明及び表面仕上げ

例  間接照明が現金自動預払機の表示面のまぶ(眩)しさを最小限にするために利用される。

b)

スペースの配置及び利用

例  十分なスペースが,車いす利用者の移動のために提供されている。

c)

音響

例  設置スペースが,反響音を減らすように設計されている。

d)

温度

例  寒冷環境で使用される機器の操作部において,手袋を着用しての操作が考慮されている。

10.3 

環境への影響 

情報通信機器又はサービスの操作は,その環境又は近隣の人々に悪影響を及ぼさないことが望ましい。

例  利用者又は環境内にいる他の人々が不注意に触ってもやけど(火傷)をしないように,機器から

の放熱量が制限されている。


23

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

附属書 A

(参考)

ISO 9241

シリーズの大要

(対応国際規格の Annex A は ISO 9241 シリーズの全体構成を示すものであって,この規格とは直接関

係しないので,この規格では掲載しなかった。


24

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

附属書 B

(参考)

情報通信機器及びサービスへの適用可能性と適合性とを

評価するためのチェックリスト(例示)

B.1 

一般 

この規格の個々の規定(要求事項,推奨事項)が適用できるかを判断するために利用するチェックリス

ト(

表 B.1 を参照)を,この附属書は提供する。チェックリストは開発中の製品についても,完成した製

品の評価にも利用できる。チェックリストには,この規格のすべての規定(要求事項,推奨事項)が順番

どおりに並んでいる。

この附属書に記述されている手順は指針であり,この規格自体を代替する包括的なプロセスを提供する

ものではないということに注意を喚起する。このチェックリストを利用すると次のようなことができる。

−  どの規定(要求事項,推奨事項)が適用可能かの判断

−  適用可能な規定(要求事項,推奨事項)に適合しているかの判断

−  適合情報の公開に対応できる,提供可能なすべての規定(要求事項,推奨事項)を列挙した体系的な

リストの提供

すべての情報通信機器及びサービスを様々な能力をもつ最も幅広い層の人々が利用できるようにする場

合,この規格の規定(要求事項,推奨事項)の大多数は適用可能である。しかし,その情報通信機器及び

サービスがどのような利用の状況(利用者,仕事,環境及び技術)で用いられるかということ次第で,ど

の規定(要求事項,推奨事項)が必要となるかが変わる場合もある。

この規格の規定(要求事項,推奨事項)に“場合(には)

”といった表現があるときには,情報通信機器

及びサービスの利用の状況が“場合(には)

”で示す条件に合致しているか判断する必要がある。コンテク

ストに依存する規定(要求事項,推奨事項)に対して適用できる環境に関する情報が細分箇条で与えられ

る。もしそのような条件に合致せず,したがってその規定(要求事項,推奨事項)が適用できないときに

は,チェックリストの該当する“適用可能”の欄にその旨を記入し,

“コメント”欄に簡単な説明を記入す

るのが望ましい。

次のステップは,機器及びサービスがそれぞれの(適用可能な)規定(要求事項,推奨事項)に適合し

ているかを判断することである。この判断方法には,その機能が備わっているかを調べる検査による方法

もあるし,利用者が機器及びサービスの試験を行う方法もある。

どのような試験方法が最も適切と考えられようと,チェックリストに設けられた“適合”の欄に適合の

有無について記し,

“コメント”欄にどのような判断方法を用いたかを書けるようになっている。

できあがったチェックリストは適用可能なすべての規定(要求事項,推奨事項)を示し,この規格の利

用者が適合を確認した結果を示すので,

4.4

に規定する情報通信機器及びサービスの適合性を表明するのに

利用することができる。

B.2 

チェックリストの利用法 

チェックリストの“箇条又は細分箇条”欄には,規定(要求事項,推奨事項)の箇条又は細分箇条と見

出しとが示されている。幾つかの,又はすべての細分箇条が適用可能である。


25

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

開発中又は評価中の特定の情報通信機器又はサービスについて,設計状況に関係付けて,すべての規定

(要求事項,推奨事項)をチェックする必要がある。

“適用可能”欄は,それぞれの箇条又は細分箇条が適用可能かどうかを記載する(はい又はいいえ)の

に利用する。もしその規定(要求事項,推奨事項)が適用可能でなければ,

“コメント”欄にその理由に関

する簡単な説明を記入する。

“適合”欄には,適用可能な規定(要求事項,推奨事項)を満たしているかどうかを記入する。全部満

たしているときには“はい”と,一部ならば“一部”と,満たしていないときには“いいえ”を記入する。

規定(要求事項,推奨事項)を一部しか満たしていないか,又は全部を満たしていないときには“コメン

ト”欄にその理由に関する簡単な説明を記入する。

表 B.1−適用可能性と適合性とを評価するためのチェックリスト

箇条/細分箇条

適用可能 
(はい/ 
いいえ)

適合

(はい/一部

/いいえ)

コメント

開発管理に関する推奨事項 

6.1

情報アクセシビリティ方針

6.2

開発に関する責任

利用者特性に関する推奨事項 

7.1 

一般 

7.1.1

利用者特性の対応の範囲

7.1.2

多数のインタラクション手段への対応

7.1.3

代替インタラクション手段の同時利用の

対応

7.1.4

個別設定への対応

7.1.5

設定の変更

7.1.6

初期設定への復帰

7.1.7

カスタマイズされた設定の保存及び回復

7.1.8

支援技術への対応

7.1.9

利用者の疲労の回避  a)

                         b)

7.2 

視覚 

7.2.1

見ることができない利用者

7.2.2

音を用いた情報の提供

7.2.3

聴覚情報でのナビゲーションへの対応

7.2.4

聴覚的及び/又は触覚的手段による位置

及び機能情報の提供

7.2.5

非視覚的なフィードバック手段を用いる

制御の提供

7.2.6

視覚に制限のある利用者

7.2.7

ディスプレイ上にあるオブジェクトのコ

ントラストの調節

7.2.8

ディスプレイ上にあるオブジェクトのサ

イズの調節

7.2.9

表示の内容の強調

7.2.10

オブジェクトの表示の反転

7.2.11

色覚に制限のある利用者

7.2.12

点滅に反応する利用者


26

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

表 B.1−適用可能性と適合性とを評価するためのチェックリスト(続き)

箇条/細分箇条

適用可能 
(はい/ 
いいえ)

適合

(はい/一部

/いいえ)

コメント

7.3 

聴覚 

7.3.1

有害な音響の回避

7.3.2

音声情報の視覚的提供

7.3.3

聞くことができない利用者

7.3.4

報知音の視覚的提供

7.3.5

報知音の触覚的提供

7.3.6

手話への対応

7.3.7

聴覚に制限のある利用者

7.3.8

音量調整の提供

7.3.9

非音声音の周波数の管理

7.3.10

異なるチャネルに対する個別の調整の

提供

7.4 

発話 

7.4.1

テキストによる入力への対応

7.4.2

音声入力の代替手段への対応

7.4.3

発話できない利用者

7.4.4

発話に制限がある利用者

7.4.5

音声入力の速度の調節

7.4.6

音声入力強調の提供

7.5 

身体的能力 

7.5.1

動作に制限のある利用者

7.5.2

コントロール類の調整可能な配置の提供

7.5.3

片手操作への対応

7.5.4

力に制限のある利用者

7.5.5

運動制御能力に制限のある利用者

7.5.6

こまかい運動を制御する能力に制限のあ

る利用者

7.5.7

利用者による応答時間の調整の提供

7.6 

認知能力 

7.6.1

認知能力に制限のある利用者

7.6.2

不必要に高い認知負荷の回避

7.6.3

理解の支援

7.6.4

分かりやすい用語の利用

7.6.5

記号又は図による情報の提供

7.6.6

適切な手がかりの提供

7.6.7

インタラクションの速度の調整

7.6.8

一時停止又は停止

7.6.9

学習の最小限化

7.6.10

文化及び言語の違いへの対応

仕事特性に関する推奨事項 

8.1

利用の状況に基づく仕事の実行

8.2

仕事を実行する代替手段の提供

8.3

保守,設定及びその他の支援操作の実行


27

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

表 B.1−適用可能性と適合性とを評価するためのチェックリスト(続き)

箇条/細分箇条

適用可能 
(はい/ 
いいえ)

適合

(はい/一部

/いいえ)

コメント

機器及びサービス特性に関する推奨事項 

9.1 

一般 

9.1.1

基本機能及び附帯的な機能への対応  a)

                                       b)

9.1.2

一貫性の確保

9.1.3

ユーザ向け案内の提供

9.1.4

安全情報の提供

9.1.5

相互運用性の提供

9.1.6

誤操作の許容

9.1.7

やり直し又は確認の提供  a)

                              b)

9.1.8

機能の保護

9.1.9

生体個人認証

9.2 

情報通信機器及びサービスのための他の

規格 

9.2.1

関連規格の適用

9.2.2

入力装置

9.2.3

視覚表示装置

9.2.4

ワークステーション

9.2.5

ソフトウェア

9.2.6

マルチメディアソフトウェア

9.2.7

ウェブソフトウェア

9.3 

支援技術 

9.3.1

支援技術の接続

9.3.2

支援技術の組合せへの対応

9.4 

情報通信機器及びサービスの選択及び操

 

9.4.1

アクセシビリティ情報の提供

9.4.2

意図する利用の状況に関する情報の提供

                                    a)

                                    b)

9.4.3

機器又はサービス更新時の互換性の維持

9.5 

操作の準備及び完了 

9.5.1

設置情報の提供

9.5.2

設置の実行

9.5.3

機器の停止

9.5.4

機器の収納

9.5.5

機器の切離し

10 

環境特性に関する推奨事項 

10.1

様々な環境での操作

10.2

環境の設計   a)

                  b)

                  c)

                  d)

10.3

環境への影響


28

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

附属書 C 
(参考)

利用者の要求

(対応国際規格の Annex C は JTC1 で検討途中の技術資料との対応関係を示すものであるが,検討途中

のものを掲載するとかえって誤解を生むおそれがあったため,この規格では掲載しなかった。


29

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

附属書 JA

(参考)

JIS X 8341-1:2004

との対応表

JIS X 8341-1: 2004

JIS X 8341-1: 2010

序文 

1.

適用範囲 

2.

  定義 

3.

  一般的原則 

  3.1  基本方針 

a)

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを企画・開発・設計するときに,可能な限り高
齢者・障害者が操作又は利用できるように配慮する。

4.1

  一般的原則 

a)

  最も幅広い利用範囲に対する適切性

b)

提供する情報アクセシビリティにかか(関)わる機能について,利用者の安全性を確保す
る。

4.1

  一般的原則 

b)

  公平な利用

  3.2

  基本的要件 

a)

視覚による情報入手が不自由な状態であっても操作又は利用できる。

7.2.1

  見ることができない利用者 

7.2.6

  視覚に制限のある利用者 

b)

聴覚による情報入手が不自由な状態であっても操作又は利用できる。

7.3.3

  聞くことができない利用者 

7.3.7

  聴覚に制限のある利用者 

c)

発話が不自由な状態であっても操作又は利用できる。

7.4.3

  発話できない利用者 

7.4.4

  発話に制限がある利用者 

d)

体格にかかわらず操作又は利用できる。

7.5.1

  動作に制限のある利用者 

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供 

e)

力の強弱及びその制御能力にかかわらず操作又は利用できる。

7.5.4

  力に制限のある利用者 

f)

下肢が不自由な状態であっても操作又は利用できる。

7.5.1

  動作に制限のある利用者 

g)

車いすを利用する状態であっても操作又は利用できる。

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供 

10.2

  環境の設計 

b)

  スペースの配置及び利用

例  十分なスペースが,車いす利用者の移動の

ために提供されている。 

h)

任意の片手で操作又は利用できる。

  7.5.3

  片手操作への対応 

i)

手,足,指又は義肢の限定された動きだけでも操作又は利用できる。

7.5.1

  動作に制限のある利用者 

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供

29

X 834

1-

1


2

010

 (

IS

O

 9

2

41
-2

0


20
08
)


30

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

JIS X 8341-1: 2004

JIS X 8341-1: 2010

  3.3  推奨要件 

a)

認知及び記憶能力への過度な負荷をかけないで,操作又は利用できる。

7.6

  認知能力 

7.6.1

  認知能力に制限のある利用者 

7.6.2

  不必要に高い認知負荷の回避 

b)

文化の差異及び言語の違いがあっても,操作又は利用できる。

7.6.10

  文化及び言語の違いへの対応 

c)

初めて操作又は利用する人にとっても,操作又は利用できる。

7.6.9

  学習の最小限化 

4.

  操作に関する共通要件 

  4.1

  アクセス可能な機能・仕様の適用範囲 

基本機能は,情報アクセシビリティを実現しなければならない。その他の附帯的な機能は推

奨範囲とし,更に,この規格に準じて個々の分野の製品カテゴリー別に指針を作成し,その
中で製品のアクセス可能な機能・仕様に関する情報を提示する。

9.1.1

  基本機能及び附帯的な機能への対応 

a)

  情報通信機器又はサービスの基本機能は,最大限

すべての利用者が利用できる。

b)

  基本機能を支援するか又は拡張する附帯的な機

能は,ほとんどの利用者が利用できる。

例  テキスト入力は,文書作成ソフトウェアの

基本的な機能であるので,テキスト入力の

様々な方法ができる限り幅広い層の利用
者に提供されている。

  4.2  同等の情報アクセシビリティ事項 

この規格が規定する仕様・機能・技術と実質的に同等又はそれ以上に,高齢者・障害者に対

し情報アクセシビリティが確保・向上できるものであれば,この規格が規定しない仕様・機
能・技術の使用を妨げない。

対応なし

  4.3  操作に関する要件 

  4.3.1  操作に関し配慮すべき要件 

情報アクセシビリティ開発者は,アクセス可能な情報通信機器,ソフトウェア及びサービス
を企画・開発・設計するに当たり,利用者が意図したタスク(仕事・作業・課題など)が達
成できるように次の作業要件を考慮しなければならない。 

a)

操作前の準備作業に関する要件  利用者の状態にかかわらず,操作前の準備作業が容易にで
きるように配慮する。

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供 

7.5.3

  片手操作への対応 

9.5.1

  設置情報の提供 

b)

操作中の作業に関する要件  利用者の状態にかかわらず,利用者が容易に操作できるよう情
報通信機器,ソフトウェア及びサービスを利用する場合に必要とする機能要素については,

次の事項について配慮する。そのとき,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスの機能要
素と利用者の心身の機能(感覚,認知及び身体機能)とを対応させて検討を行う。

30

X 834

1-

1


2

010

 (

IS

O

 9

241

-2

0


20
08
)


31

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

JIS X 8341-1: 2004 

JIS X 8341-1: 2010

1)

  提示情報の入手のしやすさ  必要な情報に注意を向け,情報の内容を明確に取得できる

ように,検知の容易性,明りょう(瞭)さ,簡潔さ及び区別のしやすさに配慮する。

7.6.3

  理解の支援   

2)

  分かりやすさ  把握しやすいように,簡潔さ及び明りょう(瞭)さに配慮する。また,

利用者が理解しやすいように,分類(論理的,慣習的,探索時間などによる分類)

,順

序付け,階層分け,手がかりの提示,図解などを行う。

7.6.3

  理解の支援 

7.6.6

  適切な手がかりの提供 

3)

  一貫性  ある心身の機能だけを用いることによって,すべての情報の取得,把握及び操

作が可能とする。

9.1.2

  一貫性の確保 

4)

  代替手段の可能性  特定の心身の機能での操作が困難な場合,これを補うために他の心

身の機能によって操作が可能とする。

8.2

  仕事を実行する代替手段の提供 

5)

  個人への適応性(カスタマイズ)  個々の心身の機能の特性に対応するため設定変更が

できる。

7.1.4

  個別設定への対応 

7.1.5

  設定の変更 

7.1.6

  初期設定への復帰 

7.1.7

  カスタマイズされた設定の保存及び回復 

6)

  分かりやすい手順及び復帰の可能性  簡単で習得しやすく,また,分かりやすい理にか

なった手順とするように配慮する。誤操作した場合には,誤操作前の手順又は初めの状
態に復帰できる。また,操作終了後は,操作が終了したことを適切に提示する。

7.1.6

  初期設定への復帰 

7)

  安全及び警告  利用者の不用意な動きによって,利用者の意図しない機器の動作が生じ

ない。場合によっては,製品及びシステムを安全に停止するか,又は利用者が混乱若し

くは困惑しないよう警告提示を行う。

9.1.6

  誤操作の許容 

8)

  物理的負荷  操作要素の位置及び物理的負荷(ボタンの加重,表面のざらつきなど)が

適切となるように配慮する。また,物理的負荷の軽減が困難な場合は,支援する機能を
検討する。

7.5.4

  力に制限のある利用者 

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供 

9)

  時間の適切な配分  操作時間などを適切に配分する。

7.5.7

  利用者による応答時間の調整の提供 

10)

  誤りに対する許容度  誤操作をした場合でも,利用者が訂正作業を最小限行うだけで,

意図した効果が得られるように配慮する。

9.1.7

  やり直し又は確認の提供 

a)

  利用者は,利用者のコマンドに応答してシステム

が実行した処理を元に戻す(“やり直す”)ことが
できることが望ましい。 

b)

  やり直しできない処理については,システムが処

理を実行する前に,本当に実行してよいか利用者
が確認を求められることが望ましい。 

c)

操作後の終了作業に関する要件  操作後の終了作業に関する要件は,次による。

 1)

  安全に操作を終了し,電源の切断及び機器の収納が自分でできるように配慮する。

9.5.3

  機器の停止 

9.5.4

  機器の収納 

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2)

  操作を終了するときに利用者が残しておきたいデータがあれば,データを容易に保存で

きる。

3)

  周辺機器及びネットワークへの接続解除などが容易にできるよう配慮する。

9.5.5

  機器の切離し 

  4.3.2  心身の機能に関する注意事項 

情報アクセシビリティ開発者は,アクセス可能な情報通信機器,ソフトウェア及びサービス
を企画・開発・設計するに当たり,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを利用すると
きに,高齢者・障害者が容易な操作を可能とするために,次の事項に対して配慮しなければ

ならない。

a)

感覚能力に関する配慮  感覚能力に関する配慮は,次による。

1)

識別の容易性  操作部の位置,操作する機能の表示,キー,機器の状態などが容易に識
別できる。

利用者が,色及びコントラスト設定を調整できる製品の場合,広い色選択範囲を提供

する。

7.2.7

  ディスプレイ上にあるオブジェクトのコント

ラストの調節 

2)

代替手段による識別の可能性  主要な操作要素について,利用者にとって識別可能であ
るものを,複数の手段から選択できる。音声だけであったり,ランプの点滅及び色の違
いだけを唯一の手段として,情報の伝達,動作の指示,応答を求める表示又は表示の識
別などに利用してはならない。

7.1.2

  多数のインタラクション手段への対応 

7.1.3

  代替インタラクション手段の同時利用の対応 

3)

設定条件の変更保存の可能性  利用者は,必要な場合には設定条件を変更できる。

なお,利用者が設定した設定条件の内容を保存できる場合,利用時に保存した設定条

件で操作できる。

7.1.7

  カスタマイズされた設定の保存及び回復 

b)

認知能力に関する配慮 

1)

理解・把握の容易性  記憶能力・学習能力に過度な負担をかけなくても利用できる。

7.6.1

  認知能力に制限のある利用者 

7.6.2

  不必要に高い認知負荷の回避 

7.6.3

  理解の支援   

7.6.4

  分かりやすい用語の利用 

7.6.5

  記号又は図による情報の提供 

7.6.6

  適切な手がかりの提供 

2)

設定条件の変更保存の可能性  利用者が変更した設定条件の内容を保存できる。また,
利用時に保存した設定条件で操作できる。

7.1.7

  カスタマイズされた設定の保存及び回復 

3)

復帰の可能性  いつでも初期状態,及び利用者が設定した状態又は保存した任意の設定
条件に復帰できる。

7.1.6

  初期設定への復帰 

7.1.7

  カスタマイズされた設定の保存及び回復 

4)

表示の停止・中断  表示情報が移動,点滅,スクロールなどする場合,それを停止させ

ることができる,又は一時停止することができる。

7.6.8

  一時停止又は停止 

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c)

身体能力に関する配慮  身体能力に関する配慮は,次による。

1)

  操作の容易性  利用者の身体機能などの身体的特徴によらずに操作できる。

7.5.1

  動作に制限のある利用者 

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供 

7.5.3

  片手操作への対応 

7.5.4

  力に制限のある利用者 

7.5.5

  運動制御能力に制限のある利用者 

7.5.6

  こまかい運動を制御する能力に制限のある利

用者 
7.5.7

  利用者による応答時間の調整の提供 

2)

  代替手段の可能性  操作手段にはアクセス可能な,代替機能又は操作支援機能を用意す

る。

8.2

  仕事を実行する代替手段の提供 

3)

  設定条件の変更保存の可能性  利用者の設定によって,機器上の物理的な操作機能の調

節ができる。

時間的制限を必要とせずに操作できる。時間的な制約が必要な場合は,時間調節がで

きる,又は事前に警告し延長できるようにする。

利用者が設定した設定条件の内容を保存できる場合,利用時に保存した設定条件で操

作できる。

7.1.7

  カスタマイズされた設定の保存及び回復 

7.5.7

  利用者による応答時間の調整の提供 

d)

アレルギーに関する配慮  アレルギー性及び毒性のある素材の回避に配慮する。

9.1.4

  安全情報の提供 

例  有毒な材料,又はアレルギー反応を引き起こ

すおそれのある材料が機器で利用されてい
る場合,利用者が読んで理解できる警告ラベ
ル(例えば文字と点字との併記)が機器にち

ょう(貼)付されている。 

  4.4  用語に関する事項 

操作に関する用語は,文化・言語の違い,専門知識の有無にかかわらずできるだけ分かり
やすい表現・用語を用い,必要に応じて用語集の解説を提供する。

7.6.10

  文化及び言語の違いへの対応 

  4.5  高齢者・障害者支援技術との互換性及び組合せ 

   

複数の高齢者・障害者支援技術を組み合わせた場合でも,個々の支援技術の機能を妨げな

い。

9.1.5

  相互運用性の提供 

例  支援機能をもつ幾つかの装置が複数の USB

ポートから接続されている場合にも,それぞ
れが独立して機能する。

9.3.2

  支援技術の組合せへの対応 

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  4.6  代替手段 

特定の製品機能での操作が困難な場合,これを補うために他の身体機能によって操作が可能
な次の代替手段を提供する。

a)

必要に応じて高齢者・障害者支援技術を利用できる。

9.3.1

  支援技術の接続 

b)

代替手段のオンオフができる場合は,オンオフの状態が複数の手段で確認できる。複数の入

力操作手段及び出力手段の中から選択できる。

8.2

  仕事を実行する代替手段の提供 

9.1.3

  ユーザ向け案内の提供 

c)

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスの操作に,指先などの接触に対して敏感に反応す

るタッチスクリーンなどの入力装置を用いる場合は,触覚による補助手段又は片手での軽力
量で容易に操作できる手段を用意し,更に入力リピート操作が可能な場合,入力間隔の待ち
時間の調節ができることが望ましい。

7.1.2

  多数のインタラクション手段への対応 

7.6.7

  インタラクションの速度の調整 

  4.7  操作環境に関する事項 

   

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを利用するときに,利用者の状況及び周囲の人々

への影響に対して配慮する。

10.2

  環境の設計 

a)

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを利用するときに,利用者が容易に機器へ接近で

きなければならない。

10.2

  環境の設計 

b)

  スペースの配置及び利用 

例  十分なスペースが,車いす利用者の移動のた

めに提供されている。

  4.8  情報セキュリティに関する事項 

   

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを利用するときに情報のセキュリティを確保した

アクセス可能な操作方法を提供する。また,利用者の識別及び装置の操作の許可にバイオメ
トリクスを利用する場合は,利用者の身体的な特徴に頼らない代替の方式を選択できるよう
にする。

4.1

  一般的原則 

b)

  公平な利用 

9.1.9

  生体個人認証 

  4.9  利用者が行う手入れ又は交換などメンテナンスに関する要件 

   

機器を正常に,かつ,安全に利用するために必要な手入れ,補充部品の交換などがしやすく
する。

8.3

  保守,設定及びその他の支援操作の実行 

5.

  企画・開発・設計に関する共通要件 

  5.1  企画・開発・設計の基本的要件 

情報アクセシビリティを確保・向上させるために,情報アクセシビリティ開発者は,すべて
の通信機器,ソフトウェア及びサービスがこの規格に規定する基本的要件を満たすよう企
画・開発・設計しなければならない。また,経営者・開発責任者は,アクセス可能な情報通

信機器,ソフトウェア及びサービスの企画・開発・設計に十分な意識をもち,具体的な情報
アクセシビリティ方針をもつ。

6.1

  情報アクセシビリティ方針 

6.2

  開発に関する責任

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  5.2  企画・開発・設計仕様に関する要件 

情報アクセシビリティ開発者が,アクセス可能な情報通信機器,ソフトウェア及びサービス

の,企画・開発・設計を行うに当たり,配慮しなければならない企画・開発・設計仕様は,
次による。

a)

特別な改造,又は特殊な設計をしなくても,すべての人が,可能な限り最大限まで利用でき
るように,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを企画・開発・設計する。

7.1.1

  利用者特性の対応の範囲 

b)

複数の企業が協力して,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを,企画・開発・設計し
提供する場合には,情報アクセシビリティの実現方法について,企業間であらかじめ定めて
おく。

7.1.8

  支援技術への対応 

5.3

  プロセス 

c)

  アクセシビリティに配慮した設計による解決策

を作成する。

注記 3  多数の関係者が開発に関与する場合,

アクセシビリティを達成するには交

渉及び合意が重要である。 

c)

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスをアップグレード,又はモデルチェンジした場合

にも,既に提供されている情報アクセシビリティ品質を損なわない。

9.4.3

  機器又はサービス更新時の互換性の維持 

d)

情報アクセシビリティ技術の企画・開発・設計及び支援機器の活用のために,接続に必要な
インタフェース仕様などは公開し,又は接続の手段若しくは技術を提供することが望まし

い。

7.1.2

  多数のインタラクション手段への対応 

7.1.8

  支援技術への対応 

9.4.1

  アクセシビリティ情報の提供 

e)

アプリケーションは,業界基準に従って企画・開発・設計し,また,標準化された情報アク

セシビリティと認められる他の製品の機能を,中断・無効にしてはならない。また,情報ア
クセシビリティと認められるオペレーティングシステム上の開示された機能を,アプリケー
ションは中断及び無効にせずに動作できなくてはならない。

7.1.8

  支援技術への対応 

9.1.5

  相互運用性の提供 

  5.3  情報アクセシビリティに関する情報の公開 

   

利用者が,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを,購入・利用するときに,利用者の
ニーズに適合する情報アクセシビリティをもつ情報通信機器,ソフトウェア及びサービス
を,容易に選択できるように,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスの提供者は,製品

の情報アクセシビリティに関する情報を公開する。

9.4.1

  アクセシビリティ情報の提供 

  5.4  評価に関する事項 

   

情報アクセシビリティ開発者は,必要に応じて,情報通信機器,ソフトウェア及びサービス
のアクセシビリティを評価し,代替入力装置などの支援機器との互換性を評価し,その記録
を提示できる手段で残さなければならない。また,その評価は,高齢者・障害者によって確

認された方式が望ましい。

5.3

  プロセス 

d)

  対象とした利用者グループを代表するような特

性をもつ利用者で,情報通信機器及びサービスの

アクセシビリティ設計による解決策を評価する。

4.4

  適合性 

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  5.5  フィードバックに関する事項 

情報アクセシビリティ開発者は,利用者の意見を収集する窓口を用意し,利用者からの意見

を,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスの情報アクセシビリティの確保・向上に活か
すように努めなければならない。

5.3

  プロセス 

注記 2  アクセシビリティ設計による解決策の評

価には,利用者評価の結果及び他の利用
できる形の利用者からのフィードバッ

クを得ることも含まれる。 

  5.6  サポートに関する要件 

情報アクセシビリティ及び互換機能の説明情報を,利用者に適切な手段で提供しなければな
らない。また,サポート窓口を用意し,利用者に適切な手段で知らせるとともに,その窓口

には,利用者が複数の手段でアクセスでき,障害のある利用者と十分なコミュニケーション
が取れるように配慮する。

9.4.1

  アクセシビリティ情報の提供 

  5.7  環境負荷に関する要件 

情報通信機器,ソフトウェア及びサービスに搭載されている情報アクセシビリティに関して
も,他の機能と同様に,その製品の環境負荷を最小化する。

対応なし

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附属書 JB

(参考) 
試験方法

JB.1 

序文 

この附属書は,この規格及び個別規格に基づいたアクセシビリティに関する試験の方法,試験の実施,

並びに試験結果の表示及び公開に関する共通のフレームワークを定める。ここで示す共通のフレームワー

クに従って試験方法を定めると,試験の精度を向上させることができる。また,試験の結果を表示し公開

することによって,ハードウェア,ソフトウェア及びネットワーク技術を組み合わせた情報通信機器及び

サービス(以下,機器等という。

)を調達又は利用する者が,アクセシビリティの達成度を把握し比較する

ことによって,使用可能かを判断する助けにもなる。

なお,この附属書は参考であり,試験結果が特定の利用者又は利用者群に対して,試験の対象となる機

器等が利用可能であることを保証するものではない。

また,この規格に基づいて開発された個別規格において,新たに試験方法を定める場合には,この附属

書を参照することが望まれる。

JB.2 

試験に関する一般的事項 

JB.2.1 

一般原則 

一般原則を次のように定める。

a)

試験の対象  試験は,基本機能及び基本機能を支援する附帯的な機能を対象とする。ただし,附帯的

な機能については,その中から対象を選択してもよい。製品単体,製品群,支援技術及び任意選択製

品との組合せで実現する機能を含む。

b)

対象利用者  機器等の対象利用者は,高齢者及び障害者を含む最も幅広い層の利用者とすることが望

ましい。

なお,評価試験の精度を向上させるために,その幅広い利用者層を分類及び特定することが有効で

ある。

c)

規定(要求事項,推奨事項)の確認  この規格及び個別規格から,対応すべき規定(要求事項,推奨

事項)を選択し,製品がその規定(要求事項,推奨事項)を満たしているかどうかを確認する。でき

るだけ客観的で再現性のある方法を使用する。

d)

公開  試験結果は,公開することが望ましい。

JB.2.2 

試験にかかわる利用者の特性及び分類 

JB.2.2.1 

能力 

JIS Z 8071

及び JIS S 0024 

附属書 を参考にして,感覚,身体,認知及びアレルギーの四つの分類を

設け,それを細分化した 11 の項目を定めた。JIS Z 8071 の(手の動きの)自由さと操作とを合わせて巧ち

(緻)性とした。4 分類 11 項目は,次のとおりである。

注記  JIS Z 8071 は食品を含む日常生活用品を対象にしているが,この規格では,基本的に食品は対

象にしていないので,感覚分類の味覚,アレルギー分類の食物は除外した。また,情報通信機器

では移動距離,平衡感覚も大きく影響しないと考えられるので,これも除外した。

a)

感覚  視覚,聴覚及び触覚


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b)

身体  巧ち(緻)性,動作,筋力及び発声

c)

認知  知的能力・記憶,及び言語・読み書き

d)

アレルギー  接触

JB.2.2.2 

能力レベル 

能力及びレベルの分類例を,

表 JB.1∼表 JB.6 に示す。ここに示した数量的なスケールを普遍的に用い

ることが可能になるためには,研究を重ねて評価の手順が開発される必要がある。

注記  国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health, ICF)は,次の

共通スケールを定めている。JIS S 0024 

附属書 1(参考)“身体能力のレベル分けリスト”は,

この共通スケールを用いて,各能力とそのレベルとを区分している。

a)

レベル 0  問題なし(なし,存在しない,無視できる…)

b)

レベル 1  軽度の問題(わずかな,低い…)

c)

レベル 2  中等度の問題(中程度の,かなりの…)

d)

レベル 3  重度の問題(高度の,極度の…)

e)

レベル 4  完全な問題(全くの…)

表 JB.1−身体能力とレベルの分類の例(視覚) 

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 0

・近視

・乱視 
・老眼

・眼鏡及びコンタクトレンズを使用すれば日常生活に支障なし。

レベル 1

・老眼(+)

・白内障 
・色覚障害

・眼鏡なしでは新聞を見るのに苦労する。遠近両用を使用するか,読書用の

眼鏡を携帯している。

・水晶体の白濁及び黄変は始まっている。コントラストの少ない表示は見え

にくく,白-黄色,青-黒を判別しにくい。

・暗い所ではものが見えにくくなり,明るい所ではグレア感の増加を自覚す

る。

・特定の色の組合せが識別しにくい。

レベル 2

・老眼(++) 
・白内障(++)

・弱視

・老眼がかなり進んだ状態。近点距離はほぼ無限大である。

・読書に眼鏡は欠かせない。中間距離(60 cm∼5 m)の読取りは困難である。

・水晶体の白濁及び黄変は更に進み,照度の低い所では視力が更に落ちる。
・階段の段差認識が困難となる。

例:視覚障害  5 級,6 級相当

レベル 3

・弱視

・眼鏡又はコンタクトレンズでは視力は矯正しきれず,天眼鏡などを使用し

ないと文字が読めない。

・緑内障などによる視野狭さく(窄)もある。 
・色の識別が正確でなくなる。

例:視覚障害  3 級,4 級相当

レベル 4

・全盲

・強度の弱視から視力がない(明暗感知不能)のレベルまでを含む。ただし,

点字,スクリーンリーダ使用者とする。

例:視覚障害  1 級,2 級相当

注記 1  障害の視力は,矯正視力を示す。 
注記 2  障害等級は身体障害者福祉法の身体障害者障害程度等級表によるが,これは目安であり,等級と能力の

レベルとが必ず一致するわけではない。


39

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

表 JB.2−身体能力とレベルの分類の例(聴覚)

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 0

耳が遠くなったと自覚するが日常生活及び業務では支障はない。

レベル 1

・耳が遠い

・聴力は落ちるが生活及び業務に支障を来すほどではない。ただし,高音域

(4 000 Hz 以上)の聴力は低下している。

・会話を聞き取りにくい場合がある。

・耳が遠いことを自覚し,他人も認識している。

レベル 2

・難聴

・聴力は明らかに低下し,テレビの音が大きくなる。高音域の聴力低下は更

に進み,2 000 Hz 以上は聞き取りにくくなる。低音の騒音が耳鳴りになる。

・後ろから声をかけられても分かりにくい(補聴器を使用する人もいるが,

常時装着しているとは限らない。

例:聴覚障害  6 級相当

レベル 3

・難聴(+)

・耳介に接しなければ言葉を理解しない(補聴器を使用する場合が多いが,

補正後のレベルは様々。

例:聴覚障害  3 級,4 級相当

レベル 4

・両耳全ろう(聾)

・音は感じるものの,意味のある情報として聞くことができない。

例:聴覚障害  2 級相当

注記  障害等級は身体障害者福祉法の身体障害者障害程度等級表によるが,これは目安であり,等級と能力のレ

ベルとが必ず一致するわけではない。

表 JB.3−身体能力とレベルの分類の例(触覚)

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 0

・日常生活に支障なし。

レベル 1

・加齢による触覚の衰

・感覚が鈍り,突起又はノッチを判別しにくくなる。

レベル 2

・軽度の触覚障害

・スイッチ類の操作時に“入/切”を感知しにくくなり,無用の力を加えて

しまうおそれがある。

レベル 3

・触覚障害(+)

・ほとんど圧感なし

レベル 4

・触覚障害(++)

・圧感なし。 
・スイッチ類の感触なし。

表 JB.4−身体能力とレベルの分類の例(身体・巧ち性) 

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 0

・日常生活に支障なし。

レベル 1

・加齢に伴う巧ち作業

能力の低下

・ポジショニング及び微調整が難しくなる。

・建具の開閉及び施錠・解錠が難しくなる。 
・スイッチ判別がしづらい。 
・握る,つかむ,押す,まわす,引く動作が苦手。

レベル 2

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人
性 疾 患 に よ る 巧 ち

能力の低下

・ポジショニング及び微調整が難しくなる。 
・機器のダイアルを回す,マウスのダブルクリック,マウスのドラッグ動作

などが苦手。

レベル 3

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人
性 疾 患 に よ る 巧 ち
能力の低下(+)

・巧ち性に著しい障害あり。

・機器のつまみをもつ,目盛を合わせる,正確な位置への移動が困難。


40

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

表 JB.4−身体能力とレベルの分類の例(身体・巧ち性)(続き) 

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 4

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人
性 疾 患 に よ る 巧 ち
能力の低下(++)

・巧ち動作不可。

表 JB.5−身体能力とレベルの分類の例(身体・上肢の動き)

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 0

・日常生活に支障なし。

レベル 1

・加齢による全面的身

体 機 能 の 低 下 に 伴
う 上 肢 の 動 き の 衰

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人

性 疾 患 に よ る 軽 度
の身体機能低下

・日常生活において,特別の不自由を感じないものの,ものを取る,運ぶ,

操作するなどの日常生活において,動作が緩慢になる。

・緊急時の対応,とっさの作業に十分な対応ができない。

・ながら動作(押し回しなど)がうまくできなくなる。

レベル 2

・加齢による全面的身

体 機 能 の 低 下 に 伴
う 上 肢 の 動 き の 衰
え(+)

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人
性 疾 患 に よ る 身 体

機能低下(+)

・ものを取る,運ぶ,操作するなどの日常生活において,作業はできるが不

自由を感じ,敏しょう(捷)性もなくなる。

・緊急時の対応,とっさの作業に十分な対応ができなくなる。 
・可動域が少なくなる。

・ながら動作ができなくなる。

レベル 3

・加齢による全面的身

体 機 能 の 低 下 に 伴
う 上 肢 の 動 き の 衰
え(+)

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人
性 疾 患 に よ る 身 体

機能低下(+)

・身体(上肢)の損傷

・車いす使用による制

・上肢機能に著しい障害がある。又は上肢の指を欠き,巧ち動作をはじめ,

日常生活全般にわたり著しい障害がある。

・身辺作業全般にわたり部分的介助が必要。 
(自助具などの使用)

レベル 4

・加齢による全面的身

体 機 能 の 低 下 に 伴
う 上 肢 の 動 き の 衰
え(+)

・脳血管性疾病,関節

リウマチなど,老人
性 疾 患 に よ る 重 度

の 身 体 機 能 低 下
(+)

・身体(上肢)の損傷

・車いす使用による制

限(++)

・左右上肢の機能が全廃であるか,又は上肢を欠く。日常生活全般にわたり,

全面介助を必要とする。

(代替手段の操作)


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表 JB.6−身体能力とレベルの分類の例(認知・記憶)

レベル

症状例

状態(解説)

レベル 0

・健常

・日常生活に支障なし。

・固有名詞が出てこないなどの,

“ど忘れ”,

“物忘れ”を時々するなどの良

性記憶障害。

レベル 1

・軽度の良性記憶障

害(物忘れ)

・良性記憶障害でも 60 代になると固有名詞だけでなく一般名詞も出てこな

くなる傾向。記憶とは記銘⇒保持⇒再生の手順で記憶するが,良性記憶障
害では記憶の再生機能が衰える。

・新しいものへの適合性が低下。

レベル 2

・良性記憶障害(+)

・良性記憶障害でも記銘,保持,再生の全体機能が衰える。時に,短期記憶

障害が顕著となる。

・機器に関しても操作方法の取得が困難であり,かつ,いったん覚えても忘

れてしまう傾向。

レベル 3

・脳疾患による記憶

障害

・認知症

・短期記憶障害のほか,時として失語,失行,失認などが現れる。 
・機器誤動作が多くなる。

レベル 4

・認知症(+)

・重度の認知症など。

JB.2.3 

試験の対象となる機器等の特性 

JB.2.3.1 

機器等の構成 

試験の対象となる機器等の構成は,

単独で実現している場合,オプションを追加して実現している場合,

又は支援技術等を併用して実現している場合があり,その構成を明確にする必要がある。

支援技術を併用する場合は,市販又は公開されており,利用者が容易に入手して利用できるものを用い

ることが望ましい。

JB.2.3.2 

機器等の特性 

試験の対象となる機器等が,公衆に供される場合,又は不特定の利用者が想定される業務用機器などの

場合には,可能な限り多様な利用者特性に対応することが求められる。逆に,個人で所有,又は占有して

利用する形態の機器等の場合には,一つの製品で多様な利用者特性に対応するよりも,製品群で多様性に

対応したほうがよい場合もある。試験の対象となる機器等の特性を明確にする。

JB.3 

試験方法 

JB.3.1 

試験方法の分類 

JB.3.1.1 

測定及び自動化試験 

測定は,情報の提示に関する何らかの変量を測定すること,又は算出することを指す。適合性は,測定

から得られた値を,配慮事項での値と比較することで判定する。自動化試験は,規格又は業界標準等でそ

の仕様が明確であり,ヒューリスティックなアルゴリズムを必要とせず,人を介することなく,機械的に

確認できる配慮事項に対して適用できる。ヒューリスティックなアルゴリズムを使用した自動化試験を行

う場合には,その結果を人が確認する必要があるため,次に示す観察,又は専門家評価に分類される。

JB.3.1.2 

観察 

観察は,ある観察可能な条件が満たされているか又はある観察可能な特徴をもつかについて,検討又は

点検することを意味する。観察した結果から,利用者自身も意識していない要求又は願望を発見し,その

意図を探ることができる。また,実際の使用環境で観察を行った場合には,時間,人,環境及び文化の影

響を探ることも可能となる。


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JB.3.1.3 

資料的論拠 

資料的論拠は,配慮事項に対して,試験対象が適合しているかに関連して資料化された文書情報すべて

を指す。資料化された文書情報には,仕事の要求事項又は特性,作業の流れ,利用者の技能・適性・習慣

又は癖,プロトタイプでの試験データ,類似システムの設計からの試験データ,国際規格,JIS,業界団体

標準などのデータが含まれる。

JB.3.1.4 

専門家評価 

専門家評価は,試験対象についての適切な専門家による“有識者的”判断のことである。この方法は,

他の情報及び知識の文脈でだけ判断できるような特徴の評価に用いる。ほかにも,専門家評価は,システ

ムが設計文書の形でだけ存在したり,利用者評価用に利用者の十分なサンプルが得られなかったり,時間

及び資源に制約がある場合に,適合性を判定する適切な方法となる。

例 1  商品そのもの,サービスそのもの,それらのプロトタイプのインタフェースなどに問題がない

かどうかを,各配慮事項に基づいて専門家の経験則によって調べていく方法。専門家の幅広い

知識と経験とに基づき様々な問題点を発見することを目的とする。

例 2  簡易プロトタイプなどのデザイン案を特定の利用者及び文脈を基に利用者シナリオを作成し,

利用者が操作,利用できるかを検討していく方法。

JB.3.1.5 

利用者評価 

利用者評価は,

想定する利用者の参加を得て,

試験対象が操作及び利用できるかを確認する方法である。

この方法は,プロトタイプ又は実際の製品が利用でき,想定する利用者層を代表する利用者の参加が得ら

れる場合に最適である。利用者評価を行うことで,単に試験項目を確認できるだけでなく,更なる改善項

目を見つけることができる。高齢者及び障害者は,機能低下又は障害の内容及び程度,並びに機器使用の

経験及び知識に関する個人差が大きく一般化が難しいので,参加者は利用者層を代表するできるだけ多く

の人数が望ましい。利用者評価を行う場合には,利用者が実際に使用する場面に合わせ,利用者が用いる

支援技術等補助手段の併用を検討する。

JB.3.2 

利用者シナリオの構成方法 

利用者シナリオは,想定する利用者層が行うと予想される代表的な操作手順に基づいて,利用環境に配

慮して構成する。また,利用者シナリオは,機器等の操作に関する事項だけでなく,初期設定,準備,終

了,保守に至る,利用者が機器等を使用する場合に必要となる一連の作業に基づいて構成する。専門家評

価に用いる利用者シナリオを構成する場合には,操作手順を詳細化した上で,その各操作ステップが想定

した利用者にとって操作可能かどうか,及び利用可能かどうかの判断を行う。利用者評価における利用者

シナリオは,課題を利用者に提示し,一連の操作が可能か確認する。利用者が利用者シナリオを完遂でき

ない場合には,適切な操作の指示をしてもよい。

JB.3.3 

評価者 

試験対象がこの規格群の配慮事項を満たしているかどうかを評価する者(以下,評価者という。

)は,試

験対象,該当規格,試験方法,利用者,支援技術などに関する知識が求められる。複数の評価者で分担し

てもよい。評価者には,試験方法に応じて次の資質が求められる。

a)

測定及び自動化試験  試験装置及び/又はソフトウェア等を設置,操作し,結果を分析する技能を保

持している。

b)

観察  観察は自明の特徴を判定する能力があるときには,だれにでも可能な手法である。より効果的

な観察を実施するためには,観察対象及び利用の状況に関する知識が求められる。


43

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c)

資料的論拠  資料的論拠に基づく評価には,過去の研究開発,同様の評価事例などを収集し正しく理

解できる知識が求められる。

d)

専門家評価  専門家評価には,経験則を用いた評価を実施するため,利用者の身体的・認知的な特性,

設計文書などの設計に関する技術的な事項,支援技術に関する知識及び経験が求められる。

e)

利用者評価  利用者評価には,専門家評価と同様の知識及び経験が求められる。また,参加者の身体

的能力を考慮し過剰な負荷がかからないようにするために,最低限度の人間工学の知識が求められる。

JB.4 

試験の実施 

JB.4.1 

試験の実施計画 

通常,開発最終段階で試験を行う。しかし,アクセシビリティを確保・向上するためには,製品の企画,

設計段階から試験を取り入れて,利用に至るまで製品のライフサイクル全体で複数回取り組むことが重要

である。各段階で行う試験に関する注意事項を,次に示す。

a)

企画段階  企画段階では,この規格及び該当する規格等を参照して,JB.2.2 の“能力とレベルの分類”

に基づいてどのような利用者に対するアクセシビリティを確保するかを決定し,JB.2.3 に基づいてア

クセシビリティを確保する機能を特定する。

b)

設計段階  設計段階では,この規格及び該当する規格等に基づいて技術的な課題を整理し,必要に応

じて,使用する技術に対応した詳細なチェックリストを作成するとよい。また,プロトタイプ等を利

用して,専門家評価又は利用者評価を行うと,設計の早い段階で問題点を発見できることがある。こ

のような,設計と試験のサイクルを複数回まわすことによって,アクセシビリティを更に高めること

ができる。

c)

開発最終段階  開発の最終段階では,製品等の最終的な試験を JB.4.2 の手順に従って行う。

JB.4.2 

試験の実施手順 

該当する規格の配慮事項に基づいたチェックリストを用いて,試験を行う。利用者評価も併せて行うこ

とが望ましい。

JB.4.2.1 

配慮事項チェックリスト項目の選定 

該当する規格で用意された配慮事項チェックリストを用いて試験を行う。試験の前に,各配慮事項を適

用すべきかどうかを判断する。配慮事項チェックリストに,試験方法の指定がない場合には評価者が判断

し,適切な方法を用いる。用いた方法を,配慮事項チェックリストに記載する。該当する個別の規格がな

い場合には,

附属書 を参考に試験方法を記載する項を追加した配慮事項チェックリストを作成する。

JB.4.2.2 

詳細チェックリストの作成 

配慮事項チェックリストだけでは確認が困難な場合には,詳細チェックリストを用いる。詳細チェック

リストは,配慮事項チェックリストの各項目を試験可能なレベルまで詳細化したものである。例を

表 JB.7

に示す。


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X 8341-1

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表 JB.7−詳細チェックリストの例(一部)

詳細チェック項目

適用

適合

試験方法

備考

7.5.2

  コントロール類の調整可能な配置の提供

1

ディスプレイの角度を変更できる

資料的

論拠

前 機 種 の 利 用 者 評
価結果に基づく

2

テンキーの位置を変更できる

観察

本 体 分 離 型 の テ ン
キー

3

代替キーボードを接続できる

7.5.3

  片手操作への対応

1

片手でデータの入力ができる

利用者

評価

2

片手で原稿をセットできる

利用者

評価

3

片手でメンテナンスを実施できる

専門家

評価

設計段階で評価

7.5.4

  力に制限のある利用者

1

弱い力でもボタンを押すことができる

測定及び

自動化

試験

ボ タ ン の 作 動 力 を
測定

(**N 以下)

2

弱い力でもつまみを回すことができる

観察

(以下省略)

JB.5 

試験結果報告書の表示及び公開 

JB.5.1 

表示及び公開の目的 

表示及び公開の目的は,試験方法,試験結果及び試験の責任者(発行機関又は発行人)を明確にするこ

とによって,調達又は利用する者が機器等のアクセシビリティの達成度を把握し,使用可能かどうかの判

断を助けることである。

試験結果報告書は,アクセシブルな方法で提供することが望ましい。

JB.5.2 

試験結果報告書の内容 

試験結果報告書は,次の事項を識別するのに十分な情報を含んでいることが望ましい。

a)

“該当する規格番号(発行年)に対する試験結果報告書”という表示

b)

試験結果報告書の固有の識別(発行番号など)

c) 

発行者の名称及び連絡先住所

d) 

対象の識別(例えば,製品名称,型式,製造年月日若しくは製造ロット番号,及び/又は関連する補

足情報)

e) 

対象にした人間の生活機能又は利用者特性

f) 

試験結果

g) 

支援技術を含む場合は,使用した支援技術の種別(例えば,製品名称,型式,及び/又は関連する補

足情報)

h) 

試験結果報告書の発行日

i) 

試験結果報告書の内容に関する問合せ先

JB.5.3 

試験結果報告書の様式 

試験結果報告書の例を,

表 JB.8 に示す。


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表 JB.8−試験結果報告書の様式例

JIS X 8341-5(2006)

に対する試験結果報告書 

1)

  発行番号:IN-1234

2)

  発行者の名称:○○○○株式会社

発行者の住所:東京都港区△△△△1−2−3

3)

  対象製品

デジタルカラー複合機  型名 XXXXXXXXXXXXXXX

オプションユニット A 付

4)

  対象にした人間の生活機能又は利用者特性

聴覚  レベル 0∼2 まで,認知  レベル 0 及び 1

5)

  該当する規格番号

JIS X 8341-5:2006

  高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサ

ービス−第 5 部:事務機器

6)

  試験結果

別紙 XXX

7)

  支援技術の種別

音声読み上げソフト XXXX バージョン XXX

8)

  試験結果報告書の発行日

○○年○月○日

9)

  試験結果報告書の内容に関する問合せ先

メールアドレス 
電話番号


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:2010 (ISO 9241-20:2008)

参考文献

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,Guidelines for standards developers to address the needs of older persons and persons with

disabilities

[2]  ISO/TR 16982

,Ergonomics of human-system interaction−Usability methods supporting human-centred

design

[3]  ISO/IEC JTC 1/SC 37

,Standing Document 2, Harmonized Biometric Vocabulary

[4]  CARTER J. and FOURNEY D., Using a Universal Access Reference Model to Identify Further Guidance that

belongs in ISO 16071, Universal Access in the Information Society, 3(1):17-29, 2004

[5]  Center for Universal Design. http://www.ncsu.edu/www/ncsu/design/sod5/cud/pubs_p/pud.htm

[6]  Electric communication facility accessibility guidelines for persons with disabilities, etc. Information

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[7]  DIN TR 124

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[8]  ETSI EG 202 115 V1.2.1

,Human Factors (HF), Guidelines for ICT products and services: “Design for All” as

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[9]  European Commission, einclusion@EU. http://www.einclusion-eu.org/default.asp?MenuID=8#Submenu

[10] JBMS-73

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http://www.jbmia.or.jp/hyojun/jbms-up/upload/list.cgi

[11]  JIS X 8341-1:2004

  高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサー

ビス−第 1 部:共通指針

[12] Electric communication facility accessibility guidelines, Japan Ministry of Public Management, Home Affairs,

Posts and Telecommunications, 1998

http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/b_free/b_free2.html

[13] Notification Information processing equipment accessibility guidelines, Japan Ministry of Economy, Trade and

Industry, 1990

http://www.meti.go.jp/kohosys/topics/00000085/

[14] Design for Inclusion: Creating a New Marketplace, US National Council on Disability, 2004

[15] Section 255, US Telecommunication Act

[16] Section 508, US Rehabilitation Act

[17] Electronic and Information Technology Accessibility Standards, Part II of US Federal Register for Thursday,

December 21, 2000, US Architectural and Transportation Barriers Compliance Board

http://www.usdoj.gov/crt/508/report2/standards.htm

[18] YAMADA, H., Activities in Japan: Standardization on Accessibility in the Information and Communications

Field, CEN/CENELEC/ETSI Conference 2003, Accessibility for All

[19] YAMADA, H. and YAMAZAKI, T. Trends in R & D and Standardization on Accessibility in the Information

and Communications Field

−Toward Barrier-Free Equipment and Services of Information and Communications,

Science and Technology Trends Quarterly Review, p.19, No.7 National Institute of Science and Technology


47

X 8341-1

:2010 (ISO 9241-20:2008)

Policy, 2003

http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/eng/stfc/stt007e/STTqr7.pdf