>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 X

5107

-1985

マルチリンク手順

Multilink Procedures

1.

適用範囲  この規格は,データリンク層において複数の並行するデータリンクを用いて,ネットワー

ク層エンティティ間に種々の伝送容量をもつ一つのデータリンクを提供するために用いるマルチリンク手

順について規定する。

備考1.  マルチリンク手順は,データリンク層内の上位の副層のプロトコルであり,複数のシングル

リンク手順からなるデータリンク層内の下位の副層とネットワーク層の間で動作する。MLP

は,マルチリンク手順を実行し,SLP は,シングルリンク手順を実行する。MLP と SLP との

関係を

1に示す。マルチリンク手順で使用される複数のシングルリンク手順の遅延特性や回

線速度は,それぞれ異なってもよい。

図 1  MLP と SLP との関係

2.

マルチリンク手順を実行するものを MLP と呼び,シングルリンク手順を実行するものを SLP

という。

引用規格:

JIS X 0001

  情報処理用語

JIS X 5104

  ハイレベルデータリンク制御手順のフレーム構成

JIS X 5105

  ハイレベルデータリンク制御手順の手順要素

JIS X 5003

  開放型システム相互接続の基本参照モデル

対応国際規格:

ISO DIS 7478

  Multilink procedures


2

X 5107-1985

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS X 0001(情報処理用語),JIS X 5104(ハイレ

ベルデータリンク制御手順のフレーム構成)

JIS X 5105(ハイレベルデータリンク制御手順の手順要素)

及び JIS X 5003(開放型システム相互接続の基本参照モデル)によるほか,次のとおりとする。

(1)

マルチリンクフレーム  マルチリンク手順における転送単位。マルチリンク制御フィールド及びデー

タユニットからなるビットの列である。

(2)

シングルリンク手順  単一のデータ通信回線を通してデータリンクの設定,維持,切断及びデータ伝

送を行うデータリンクプロトコル。

(3)

ウィンドウ  マルチリンクフレームのフロー制御を行うための制御方式。送信ウィンドウ及び受信ウ

ィンドウの 2 種類があり,連続して送受信するマルチリンクフレームの数の制限や紛失したマルチリ

ンクフレームの検出などを行う。

3.

パラメータの定義とマルチリンクフレームの形式

3.1

パラメータの定義  パラメータは,次のとおりとする。

(1)

マルチリンク送信順序番号 [MN (S)]   送信するマルチリンクフレームに付与する 0 から 4095 までの

順序番号。受信側 MLP は,データユニットをネットワーク層へ渡す前にマルチリンクフレームの再

順序制御をしたり,重複又は紛失したマルチリンクフレームを検出したりするために MN (S) を使用

する。

(2)

マルチリンク送信状態変数 [MV (S)]   次に送信するマルチリンクフレームに付与する MN (S) を示

す。

(3)

マルチリンクフレーム確認状態変数 [MV (T)]   自局 SLP からの送達確認の通知を待つ最旧マルチリ

ンクフレームの MN (S)  を示す。送信ウィンドウの下限を表す。

(4)

マルチリンク受信状態変数 [MV (R)]   ネットワーク層へ渡すべき,次に受信が期待されるマルチリ

ンクフレームの MN (S)  を示す。受信ウィンドウの下限を表す。

(5)

マルチリンクウィンドウサイズ (MW)   送信ウィンドウは,MV (T) から MV (T) +MW−1 までの

順序番号の範囲を示し,受信ウィンドウは,MV (R)  から MV (R)  +MW−1 までの,順序番号の範囲

を示す。一つの伝送方向において送信側 MLP と受信側 MLP とは,同一の MW を用いる(

1

)

(

1

) MW

は,システムパラメータであり,4095−MX を超えてはならない。パラメータ MW の値に

影響する要素としては,伝送時間,伝搬遅延,リンク数,マルチリンクフレームの長さ,シン

グルリンクパラメータ[SLP 再送回数 N,応答時間及び確認を受けずに連続送信できる情報 (I)

フレームの最大数]などがある。

(6)

受信 MLP ウィンドウガード領域 (MX)   受信ウィンドウに先行する一定の順序番号の範囲。MN (S)

が MX 内にあるマルチリンクフレームを受信すると,MV (R)  からその MN (S)  −MW までの範囲内

の受信されていないマルチリンクフレームは,紛失したとみなされる。

(7)

異常マルチリンクフレーム範囲 (MZ)   正常な状態では受信することのない MN (S)  の範囲。MN (S)

が MZ 内にあるマルチリンクフレームは,廃棄しなければならない。

(8)

順序制御無効ビット (V)   V ビットは,受信したマルチリンクフレームの再順序制御が必要か否かを

示す。V=1 は,再順序制御が不要であることを示し,V=0 は,再順序制御が必要であることを示す。

(9)

順序検査オプションビット (S)   S ビットは,V=1(受信マルチリンクフレームの再順序制御が不要

なことを示す。

)のときにだけ有効となる。V=1 かつ S=1 は,送信側 MLP がマルチリンクフレーム

に MN (S)  の値を付与しなかったことを示す。V=1 かつ S=0 は,マルチリンクフレームの重複又は


3

X 5107-1985

紛失の検査を容易に行うため,送信側 MLP が MN (S)  の値を付与したことを示す。

(10) MLP

リセット要求ビット (R)   R ビットは,MLP 状態変数をリセットするのに用いる。R=0 は,通

常の通信に使用する。R=1 は,受信側 MLP 状態変数のリセット要求を示す。R=1 の場合,マルチリ

ンクフレームのデータユニットフィールドには,高位層の情報を含んではならないが,リセットの理

由を組み入れる付加的な理由フィールドを含んでもよい。

(11)  MLP

リセット確認ビット (C)   C ビットは,すべての MLP 状態変数がリセットされたことを確認す

るために,R=1 の応答として使用する。C=0 は,通常の通信に使用する。C=1 は,R=1 に対する

応答に使用され,MLP 状態変数のリセットが完了したことを示す。C=1 の場合,マルチリンクフレ

ームは,データユニットフィールドをもたない。

(12)

マルチリンクフレーム紛失タイマ (T1)   MV (R) に等しい MN (S) をもつマルチリンクフレームの

紛失を検出するために使用する。

(13)

グループビジータイマ (T2)   受信側 MLP は,このタイマを使用することにより,マルチリンクフレ

ームの再順序制御を行う前にバッファが不足し,閉塞状態になったことを検出することができる。こ

のタイマの設置は,任意とする。

(14) MLP

リセット確認タイマ (T3)   T3 タイマは,R=1 のマルチリンクフレームの送信後,期待される

C

=1 のマルチリンクフレームが受信されなかったことを検出するために使用する。

(15) SLP

再送回数 (N)   SLP は,N 回マルチリンクフレームの再送を試みた後,MLP にそのことを通知

する。N 回再送後の動作は,SLP の設計により異なる。MLP は,N 回リトライアウトとなったマルチ

リンクフレームを同一の SLP か,一つ又は複数の他の SLP に割り当てる。

3.2

マルチリンクフレームの形式    データユニット(例:パケット)の再順序制御を行うために,マル

チリンク制御 (MLC) フィールドを使用する。このフィールドは,SLP 送信ユニットの情報フィールド内

の最初の 2 オクテットとして送信される。

図 に MLC フィールドとデータユニットとの関係及びシング

ルリンク手順ヘッダとトレイラを示す。シングルリンク手順ヘッダの直後に 2 オクテットの MLC フィー

ルドが続く。シングルリンク手順のヘッダ及びトレイラ並びに MLC フィールドは,データリンク層にお

いてだけ生成,使用され,ネットワーク層には渡されない。

マルチリンク送信順序番号 MN (S)  は 12 ビットからなり,モジュロ 4096 で表す。MN (S)  は,

図 に示

すように MNH (S)  と MNL (S)  の二つのフィールドに分かれる。

MLC

フィールド内には,四つの制御ビットがある。順序制御無効ビット V は,相手ネットワーク層よ

り受け取ったデータユニットを自ネットワーク層に渡す前に再順序制御が不要であるか否かを示すのに用

いる。V=1 のとき,受信側 MLP は,データユニットの再順序制御を行う必要がなく,直ちにネットワー

ク層にデータユニットを渡す。V=0 のときは,MN (S) が必ず存在し,受信側 MLP は,データユニット

をネットワーク層に渡す前に再順序制御を行う。順序検査オプションビット S は,V=1(マルチリンクフ

レームの再順序制御が不要であることを示す。

)のときだけ有効となる。S ビットは,V=0 のとき意味を

もたない。V=1 かつ S=1 のとき,送信側 MLP は,マルチリンクフレームに MN (S)  の値を付与しない。

受信側 MLP は,マルチリンクフレームの MN (S)  の正当性又は重複の検査を行わず,マルチリンクフレー

ム内のデータユニットをネットワーク層に渡す。V=1 かつ S=0 のとき,送信側 MLP は,マルチリンク

フレームに MN (S)  の値を付与する。受信側 MLP では,再順序制御を行わないが,マルチリンクフレーム

の重複又は紛失の検査を行う。重複マルチリンクフレームのデータユニットは,ネットワーク層に渡さな

い。MLP リセット要求ビット R は,マルチリンクリセット手順を開始するために使用する。MLP リセッ

ト確認ビット C は,

マルチリンクリセット手順の完了を確認するために使用する。

通常の通信においては,


4

X 5107-1985

R

=C=0 とする。

図 2  マルチリンクフレームの形式

4.

送信側動作

4.1

基本動作  送信側 MLP は,上位層(ネットワーク層)から渡されたデータユニットをマルチリンク

フレームに組み込み,更に,受信側 MLP へ送信するために SLP へと渡す一連の制御を確実に行う。

送信側 MLP の機能を次に示す。

(1)

ネットワーク層からデータユニットを受け取る。

(2) MN

(S)

を含むマルチリンク制御フィールドを,データユニットに付加する。

(3)

送信ウィンドウの範囲外の MN (S)  を付与しないことを保証する。

(4)

作成したマルチリンクフレームを転送のために SLP に渡す。

(5) SLP

から送達確認の通知を受け取る。

(6) SLP

で起こる転送の失敗や異常を監視し,回復を行う。

(7) SLP

からのフロー制御の指示を受け取って,適切な処置をとる。

4.2

マルチリンクフレームの転送  送信側 MLP は,ネットワーク層からデータユニットを受け取ると,

マルチリンクフレーム内にそのデータユニットを組み込む。必要ならば(V=0 のとき,又は V=1 かつ S

=0 のときは)

,MN (S)  に MV (S)  の値を設定し,そして,MV (S)  に 1 を加算する。

送信状態変数及び受信状態変数は,次のように連続する繰返し数列に従って増加する。すなわち,モジ

ュロ 4096 によって 4095 は 4094 より 1 だけ大きく,0 は 4095 より 1 だけ大きい。

MN (S)

が MV (T)  +MW より小さく,相手局の動作可能な SLP の少なくとも一つがビジー状態でなけ

れば送信側 MLP は,まだ割り当てていない最小番号の MN (S)  をもつマルチリンクフレームを任意の動作

可能な SLP に割り当てる。

送信側 SLP は,相手局 SLP からの送達確認の受信によって,マルチリンクフレームの転送を正常に終了


5

X 5107-1985

したとき,送信側 MLP にこれを通知する。これにより,送信側 MLP は,確認済みマルチリンクフレーム

を廃棄する。送信側 MLP は,自局 SLP からの送達確認の通知を受け取ると,まだ確認のとれていない最

小番号の MN (S)  を示すよう MV (T)  を更新する。

送信側 MLP は,常に最小番号の MN (S) をもつマルチリンクフレームを最初に SLP に割り当てる。ま

た,一つのマルチリンクフレームを,複数の SLP に割り当ててもよい。

マルチリンクフレームを複数の SLP で転送する場合(例えば,転送成功確率を上げるために)

,これら

のマルチリンクフレームの一つが既に確認された後に,重複したマルチリンクフレームが相手局 MLP に

届くことが起こり得る。この場合,先に受信したマルチリンクフレームによって受信側 MLP は,MV (R)  を

更新し,送信側 MLP は MV (T)  を更新する。受信側 MLP が,重複マルチリンクフレームを 4096 の整数倍

進んだ新しいマルチリンクフレームと取り違えないことを保証するため,送信側 MLP は,すべての SLP

が重複マルチリンクフレームを正常に転送終了するか,又は最大回数の再送を行うまで,MN (S)  −MW−

MX

に等しいか又は大きい順序番号をもつ新マルチリンクフレームを送信してはならない。この場合,MN

(S)

は,他の SLP で転送が行われている重複マルチリンクフレームの MN (S) とする。これに代わる方法

として,すべての SLP が重複マルチリンクフレームを正常に転送終了するか,又は最大回数の再送を行う

まで,MV (T)  の更新を保留してもよい。

4.3

送信側フロー制御  フロー制御は,MW と相手局 SLP によるビジー状態の通知によって行われる。

送信側 MLP は,MV (T) +MW−1 より大きい MN (S) を,マルチリンクフレームに付与してはならな

い。次に送信するマルチリンクフレームの MN (S)  が MV (T)  +MW に等しいとき,送信側 MLP は,これ

とこれに続くマルチリンクフレームを,MV (T)  を更新する送達確認の通知を受けるまで保持する。

図 において,MV (S)  は,MV (T)  +MW となっている。この時点では,送信側 MLP は,MV (T)  を更

新するまで,これ以上マルチリンクフレームを SLP に割り当ててはならない。

受信側 MLP は,一つ以上の SLP のビジー状態の通知によって,送信側 MLP のフロー制御を行う。実現

する送信側フロー制御の程度は,ビジー状態の SLP の数で決まる。送信側 MLP は,一つ以上の SLP から

ビジー状態の通知を受けると,それらの SLP に割り当てた送達確認のとれていないマルチリンクフレーム

の再割当てを行う。この場合,送信側 MLP は,最小番号の MN (S)  をもつマルチリンクフレームから動作

可能な SLP に割り当てる。

図 3  送信側フロー制御


6

X 5107-1985

4.4

再送  送信側 SLP が N 回再送しても,マルチリンクフレームを含むフレームの送達確認がとれない

場合,送信側 MLP は,別の SLP からこのマルチリンクフレームに対する送達確認が通知されていない限

り,一つ又は複数の他の SLP にこの送達確認のとれていないマルチリンクフレームの再割当てを行う。

4.5

リンク障害  送信側 SLP がデータリンク障害を検出した場合,その SLP は,データリンクがサービ

スを停止していることを送信側 MLP に通知する。すべての送達確認のとれていないマルチリンクフレー

ムは,送信側 MLP によって再割当てされる。送信側 MLP は,データリンク障害を検出した SLP のデータ

リンクが復旧するまで,この SLP にマルチリンクフレームを割り当ててはならない。

4.6

送信側の再構成  データリンクは,物理層又はデータリンク層における切断によってサービスを停

止することがある。送信側 SLP は,送信側 MLP にデータリンクがサービスしていないことを通知する。

その SLP に割り当てられているすべての送達確認のとれていないマルチリンクフレームは,送信側 MLP

によって再割当てされる。サービスを再開したか,又は最初にサービスを開始したデータリンクは,その

SLP

によって送信側 MLP に通知される。これによって送信側 MLP は,この SLP にマルチリンクフレーム

を割り当てることができる。

5.

受信側動作

5.1

基本動作  受信側 MLP は,SLP からマルチリンクフレームを受け取ると,MLC フィールドの内容

を調べる。V=0 のときは,マルチリンクフレームをネットワーク層に渡す前に再順序制御を行う。受信側

SLP

で検出できない伝送誤りが発生するか,又は装置内部の誤りが発生すると,マルチリンクフレームは,

紛失する場合がある。受信側 MLP は,紛失したマルチリンクフレームを 5.4 に述べるように検出できる。

紛失したマルチリンクフレームの回復は高位レベルにより行われると仮定されている。受信側 MLP が,

バッファ資源を使い果たしそうになったときは,5.5 に述べるフロー制御を用いてもよい。

5.2

マルチリンクフレームの受信  受信側 MLP は,長さが 2 オクテット未満のすべてのマルチリンクフ

レームを廃棄する。

V

=0 ならば,受信側 MLP は,マルチリンクフレームの再順序制御を行う。V=1 かつ S=0 で MN (S)  が

MV (R)

≦MN (S)  ≦MV (R)  +MW+MX−1 を満足し,かつ MN (S)  が重複していなければ,マルチリン

クフレームに含まれているデータユニットを直ちにネットワーク層へ渡す。V=1 かつ S=1 ならば,マル

チリンクフレームに含まれているデータユニットを直ちにネットワーク層へ渡す。

マルチリンクフレームの受信を制御するために用いる受信側 MLP の順序番号は,

図 に示すように三

つの領域に分割される。

MV (R)

は,次にネットワーク層に渡すデータユニットを含むマルチリンクフレームの MN (S)  である。

MV (R)

より大きい MN (S)  をもつ既に受信されているマルチリンクフレームは,

MV (R)

に等しい MN (S)

をもつマルチリンクフレームを受信するまでネットワーク層へ渡されず,

MLP

内に保持される。

MV (R)

関連する三つの領域は,次のとおりとする。

(1) MV

(R)

から MV (R)  +MW−1 までの順序番号を有する受信ウィンドウ(マルチリンクウィンドウサ

イズ MW)

(2) MV

(R)

+MW から MV (R)  +MW+MX−1 までの順序番号を有するガード領域(受信 MLP ウィンド

ウ領域 MX)

(3) MV

(R)

+MW+MX から MV (R)  −1 までの順序番号を有する異常領域(異常マルチリンクフレーム

範囲 MZ)

受信側 MLP は,MN (S)  =MV (R)  のマルチリンクフレームを受信し,そのデータユニットをネットワ


7

X 5107-1985

ーク層に渡すとき,MV (R)  を増加させる。

図 4  マルチリンクフレームの受信

5.3

再順序制御  受信側 MLP は,再順序制御が必要な場合,MN (S)  が MV (R)  +1 から MV (R)  +MW

−1 までの範囲にあるすべてのマルチリンクフレームを保持しておき,それらのデータユニットをネット

ワーク層に渡す前にマルチリンクフレームの再順序制御を行う。

5.4

紛失したマルチリンクフレームの検出  受信側 SLP がマルチリンクフレームを含むフレームの受信

と送達確認を行い,送信側 SLP が,この送達確認を送信側 MLP に通知したとき,送信側 MLP は,そのウ

ィンドウを進め,より大きい MN (S)  をもつマルチリンクフレームを SLP へ割り当てる。受信したマルチ

リンクフレームが SLP から MLP へ渡される前に紛失すると,

受信側 MLP の受信ウィンドウは,

進まない。

受信側 MLP は,紛失したマルチリンクフレームを次のいずれかの時点まで待たなければならない。

(1)

受信側 MLP の MX 内の MN (S)  をもつマルチリンクフレームの受信

(2) T1

タイマのタイムアウト

受信側 MLP は,マルチリンクフレームの紛失を検出した場合,ネットワーク層にこれを通知する。

受信側 MLP は,MN (S)  が MX 内にあるマルチリンクフレームを受信した場合,有効なマルチリンクフ

レームとみなす。この場合,MV (R) から受信 MN (S) −MW までのまだ受信していないマルチリンクフ

レームは,紛失したとみなす。

MV (R)

から受信 MN (S) −MW までの既に受信済みのマルチリンクフレームは,ネットワーク層へ渡

される。受信ウィンドウは,MV (R)  が受信 MN (S)  −MW+1 となるよう進められる。更に,MV (R)  は,

未受信である最小の MN (S)  に等しくなるまで進められる。MV (R)  の更新例を

図 に示す。

MX

は,受信側 MLP でマルチリンクフレームの紛失が発生した後に,その受信ウィンドウの外で正当に

受信し得る最大の MN (S)  を認識できるよう十分大きいものとする。

T1

タイマがタイムアウトになると,受信側 MLP は,MN (S)  =MV (R)  のマルチリンクフレームが紛失

したとみなし,受信ウィンドウを進める。MN (S) が MV (R) よりも大きく,かつ再順序制御が必要なマ

ルチリンクフレームを受信したとき,T1 タイマを始動する。MN (S) =MV (R) のマルチリンクフレーム

を受信したとき,

MN (S)

が更新された MV (R)  に等しいマルチリンクフレームを受信していないために,

ネットワーク層への転送を待っているマルチリンクフレームが存在する場合,T1 タイマを再始動し,存在

しない場合は,T1 タイマを停止する。すべての SLP がビジー状態を示しているとき,T1 タイマを停止す

る。


8

X 5107-1985

図 5  紛失したマルチリンクフレームの検出

5.5

受信側フロー制御  受信側 SLP は,送信側 MLP のフロー制御を要求する場合,ビジー状態を表示す

ることができる。

受信側 MLP が再順序制御を完了する前にそのバッファ容量を使い果たすことがあるならば,T2 タイマ

を用いてもよい。

受信側 MLP のすべての SLP がビジー状態になり,かつ受信側 MLP でマルチリンクフレームが再順序制

御を待っているときは,T2 タイマを始動する。ビジー状態が一つ又は複数の SLP で解除されたとき,T2

タイマを停止する。

T2

タイマがタイムアウトになった場合,MN (S) =MV (R) のマルチリンクフレームは,受信不能のた

め紛失したとみなす。受信側 MLP は,MV (R)  を次のまだ受信していない順序番号まで進め,その間にあ

る順序番号をもつ受信済みのマルチリンクフレームのデータユニットをネットワーク層に渡す。ビジー状

態がすべての SLP で依然継続しており,かつ受信側 MLP で再順序制御を待つマルチリンクフレームが存

在するとき,T2 タイマを再始動する。

T2

タイマの値は,各 MLP により独立に設定してもよい。

6.

MLP

の初期設定  MLP の初期設定において,MLP は,7.のマルチリンクリセット手順を適用するこ

とによって,MV (S), MV (T)  及び MV (R)  を 0 に初期設定する。

7.

MLP

のリセット  マルチリンクリセット手順は,MLP 相互間の MN (S) を同期させるための機構を

提供する。マルチリンクリセット手順の完了後には,各転送方向の MN (S)  は,0 から開始する。R=1 の

マルチリンクフレームは,MLP のリセットを要求するのに使用し,C=1 のマルチリンクフレームは,マ

ルチリンクリセット手順の完了を確認するのに使用する。一つの MLP は,R=1 のマルチリンクフレーム

を SLP に渡すときに MV (S)  と MV (T)  を 0 にリセットし,R=1 のマルチリンクフレームを受信するとき

に MV (R)  を 0 にリセットする。

一つの MLP がマルチリンクリセット手順を開始するときには,その MLP 及び関連する SLP が保持して


9

X 5107-1985

いるすべての未確認マルチリンクフレームを除去し,それらのマルチリンクフレームについての制御を維

持する。これ以後,開始側 MLP は,マルチリンクリセット手順が完了するまでは R=C=0 のマルチリン

クフレームを SLP に渡さない。

(SLP 内のマルチリンクフレームを除去する一つの方法は,その SLP のデ

ータリンクを切断することである。

開始側 MLP は,次にその MV (S)  及び MV (T)  を 0 にリセットする。開始側 MLP は,一つの SLP に R

=1 のマルチリンクフレームをリセット要求として渡し,T3 タイマを始動する。R=1 のときには,受信

側 MLP は,MN (S)  を無視する。このため,R=1 のマルチリンクフレームの MN (S)  は,任意の値でよい。

開始側 MLP は,相手局 MLP から R=1 のマルチリンクフレームを受信するまで,5.2 で記述した手順に従

って相手局 MLP からのマルチリンクフレームの受信とその処理を継続する。

通常の通信状態において,MLP が相手局 MLP から R=1 のマルチリンクフレームを受信したとき,上

述の動作を開始する。MLP は,マルチリンクリセット手順が終了するまでは,相手局 MLP からの R=C

=0 のマルチリンクフレームを廃棄する。

その MLP がそれ自身のマルチリンクリセット手順を既に開始し,

かつ送信のために一つの SLP に R=1 のマルチリンクフレームを渡し済みである場合には,その MLP が相

手局 MLP から R=1 のマルチリンクフレームを受信するときに,上述の動作を反復してはならない。

R

=1 のマルチリンクフレーム(リセット要求)を受信すると,受信側 MLP は,受信済みのマルチリン

クフレームのデータユニットをネットワーク層に渡し,SLP に割り当て済みかつ送達未確認のマルチリン

クフレームを識別する。MV (R) の元の値から受信すべき最大の MN (S) までの未受信のマルチリンクフ

レームの紛失をネットワーク層に通知してもよい。R=1 のマルチリンクフレームを受信した MLP では,

MV (R)

を 0 にリセットする。

MLP

は,一つの SLP に R=1 のマルチリンクフレームを割り当てた後に,C=1 のマルチリンクフレー

ムを送信するときの一つの条件として,SLP から R=1 のマルチリンクフレームの送達確認又は送信不成

功の通知を得ていなければならない。リセット開始側 MLP では,R=1 のマルチリンクフレームを受信し,

前述のマルチリンク状態変数のリセット動作が完了したときに,相手局 MLP に対して C=1(リセット確

認)のマルチリンクフレームを送信する。受信側 MLP は,R=1 のマルチリンクフレームを受信し,R=1

のマルチリンクフレームを送信し,そして前述のマルチリンク状態変数のリセットが完了した後,その SLP

から R=1 のマルチリンクフレームに対する送達確認又は送信不成功が通知されると,相手局 MLP に対し

て C=1(リセット確認)のマルチリンクフレームを速やかに送信する。C=1 のマルチリンクフレームは,

R

=1 のマルチリンクフレームに対する応答とする。受信側 MLP は,C=1 のマルチリンクフレームの MN

(S)

を無視する。このため,C=1 のマルチリンクフレームの MN (S)  は任意の値でよい。マルチリンクリ

セット手順の完了後に,各 MLP で受信するマルチリンクフレームの MN (S)  は,0 から開始する。

MLP

が R=1 のマルチリンクフレームと C=1 のマルチリンクフレームの送信にただ一つの SLP を用い

るならば,MLP は,R=1 のマルチリンクフレームの送信後には,SLP からその送達確認又は送信不成功

の通知を待たずに C=1 のマルチリンクフレームを直ちに SLP に渡すことができる。MLP は,T3 タイマ

がタイムアウトになるまで,R=1 又は C=1 のマルチリンクフレームを再送してはならない。MLP は,一

方の SLP を R=1 のマルチリンクフレームの送信に使用し,他方の SLP を,送信した R=1 のマルチリン

クフレームに対する SLP からの送達確認又は送信不成功の通知後における C=1 のマルチリンクフレーム

の送信に使用するのであれば,二つの異なった SLP を使用してもよい。R=C=1 のマルチリンクフレーム

は,使用してはならない。

MLP

は,C=1 のマルチリンクフレームを受信したときに T3 タイマを停止する。MLP は,SLP へ C=1

のマルチリンクフレームを渡し,かつ相手局 MLP から C=1 のマルチリンクフレームを受信することによ


10

X 5107-1985

って,マルチリンクリセット手順を完了する。R=C=0 の最初のマルチリンクフレームの MN (S) は,0

でなければならない。MLP は,C=1 のマルチリンクフレームを SLP に渡した後,一つ以上の R=C=0 の

マルチリンクフレームを受信可能とする。MLP は,C=1 のマルチリンクフレームを受信後に,一つ以上

の R=C=0 のマルチリンクフレームを送信可能とする。

MLP

は,R=1 のマルチリンクフレームを受信してから C=1 のマルチリンクフレームを SLP に渡すま

での間に,更に R=1 のマルチリンクフレームを受信したときには,これらを廃棄する。MLP が C=1 の

マルチリンクフレームを受信したときに,それが R=1 のマルチリンクフレームに対する応答でないなら

ば,受信した C=1 のマルチリンクフレームを廃棄する。

MLP

が,C=1 のマルチリンクフレームを一つの SLP で送信した後に,その MLP は,相手局 MLP から

R

=1 のマルチリンクフレームを受信することがある。その MLP は,R=1 のマルチリンクフレームを新た

なリセット要求とみなして,マルチリンクリセット手順を最初から開始しなければならない。R=1 のマル

チリンクフレームを受信していない MLP が,R=1 のマルチリンクフレームを送信した後に,C=1 のマル

チリンクフレームを受信したとき,その MLP はマルチリンクリセット手順を最初から再開始しなければ

ならない。

T3

タイマがタイムアウトになったときには,MLP は,マルチリンクリセット手順を最初から再開始す

る。T3 タイマの値は,SLP における送信,再送,伝搬遅延,及び MLP における R=1 のマルチリンクフ

レームの受信から C=1 のマルチリンクフレームの応答までの動作時間を含めて,十分に大きな値としな

ければならない。


11

X 5107-1985

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(主査)

渋  谷  多喜夫

日本電信電話株式会社

(幹事)

谷      公  夫

日本電信電話株式会社

赤  井  貞  夫

日本電気株式会社

石  坂  充  弘

三菱電機株式会社

磯  貝  徹  二

沖電気工業株式会社

伊  東      厚

工業技術院

伊  藤  哲  史

日本情報処理開発協会

小  野  欽  治

国際電信電話株式会社

河  本  清  人

日本アイ・ビー・エム株式会社

小  林  哲  二

日本電信電話株式会社

斎  藤  忠  夫

東京大学

杉  田  信  昭

日本ユニバック株式会社

関      公  雄

郵政省

高  橋      修

日本電信電話株式会社

仲  瀬      煕

株式会社日立製作所

中  山  信  行

日本国有鉄道

長谷川      昇

日本科学技術情報センター

二  瀬  裕  孝

株式会社東芝

山  口  宏  二

富士通株式会社

吉  田      暁

全国銀行協会

原案作成委員会 WG 構成表

氏名

所属

(主査)

谷      公  夫

日本電信電話株式会社

(幹事)

高  橋      修

日本電信電話株式会社

井  出  政  司

沖電気工業株式会社

植  野  弘  宣

日本アイ・ビー・エム株式会社

宇野沢  庸  弘

株式会社東芝

小  林  哲  二

日本電信電話株式会社

鹿  間  敏  弘

三菱電機株式会社

永  田      悟

富士通株式会社

庭  山  正  幸

日本ユニバック株式会社

松  尾  一  紀

国際電信電話株式会社

山  川      博

日本電気株式会社

和  田  宏  行

株式会社日立製作所