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X 5094

:2011

(1) 

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

1

4

  規格適合性 

2

5

  略語

2

6

  時刻の供給及びトレーサビリティ

2

7

  TAA の技術要件

3

7.1

  方針

3

7.2

  TAA 時計の要件

4

7.3

  時刻配信の要件

4

7.4

  時刻監査の要件

5

7.5

  その他の要件 

5

附属書 A(規定)時刻差証明書の要件

6

附属書 B(規定)参照する用語及び定義

7


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(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,独立行政法人情報通信研究機構(NICT)及

び財団法人日本データ通信協会(JADAC)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申

出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 X

5094

:2011

UTC

トレーサビリティ保証のための

タイムアセスメント機関(TAA)の技術要件

Technical requirements for TAA to certify TSA clocks of UTC-traceability

序文 

タイムスタンピングサービスにおいて,タイムスタンプに用いられる時計は正しく日本の標準時に同期

している必要がある。この規格は,タイムスタンピング機関(TSA)に対する日本の標準時の供給階層を

構築すること,及び供給した時刻のトレーサビリティをタイムアセスメント機関(TAA)が保証すること

を目的とする。

なお,対応国際規格は現時点で発行されていない。

適用範囲 

この規格は,時刻配信及び時刻監査を業務とするタイムアセスメント機関(TAA)が満たさなければな

らない技術要件について規定する。TAA が満たさなければならない運用要件に関しては,この規格の対象

外である。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS X 0301:2002

  情報交換のためのデータ要素及び交換形式−日付及び時刻の表記

JIS X 5063-1:2005

  タイムスタンピングサービス−第 1 部:枠組み

JIS Z 8103:2000

  計測用語

JIS Z 8202-1:2000

  量及び単位−第 1 部:空間及び時間

ITU-R TF.536-2

,Time-scale notations

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,

附属書 によるほか,次による。

3.1 

タイミングセンタ(timing center)

標準時を供給する機関。

注記  日本においては,独立行政法人情報通信研究機構法第十四条第一項第三号によって独立行政法

人情報通信研究機構(NICT: National Institute of Information and Communications Technology)が

UTC

(NICT)を決定し,標準時を通報している。


2

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3.2 

タイムアセスメント機関,TAA(time assessment authority,TAA)

TSA

時計に対して時刻配信及び時刻監査を行う機関。

3.3 

UTC

NICT 

機関“NICT”によって実現される UTC(k)

注記  “UTC”及び“UTC(k)”は,附属書 に定義されている。

3.4 

TAA

時計(TAA clock)

時刻配信及び時刻監査において使用する TAA の時計システム。

3.5 

TSA

時計(TSA clock)

TST

附属書 参照)生成時に参照する TSA 内の時計。

3.6 

時刻配信(time dissemination)

時刻の配信。

3.7 

時刻監査(time audit)

所定の手順に基づき時計の時刻を監査すること。

3.8 

時刻差証明書(certificate of time scale difference)

TAA

が発行する TSA 時計の時刻差に関する証明書。

規格適合性 

TAA

は,この規格が示す全ての要求事項に適合しなければならない。

略語 

この規格で用いる略語は,次による。

GPS

全地球測位システム(Global Positioning System)

I/F

インタフェース

OID

オブジェクト識別子(object identifier)

TAA

タイムアセスメント機関(time assessment authority)

TSA

タイムスタンピング機関(time-stamping authority)

TST

タイムスタンプトークン(time-stamp token)

URL

統一資源位置指定子(uniform resource locator)

時刻の供給及びトレーサビリティ 

タイミングセンタから TAA 時計を介した TSA 時計までの時刻の供給及びトレーサビリティの体系を

1

に示す。TAA は,タイミングセンタから時刻配信を受け,UTC(NICT)と TAA 時計との時刻同期を維

持し,次にこの TAA 時計を基準に,TSA 時計に時刻を配信する。


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一方,トレーサビリティの連鎖は,TAA が TAA 時計と TSA 時計との時刻差を測定するとともに,UTC

(NICT)と TAA 時計との時刻差を測定することによって構成する。

時刻差測定

時刻配信

時刻差
の記録

UTC(NICT)

TSA

時計

TAA

時計

時刻配信

時刻差測定

時刻差
の記録

時刻トレーサ
ビリティ

時刻トレーサ
ビリティ

時刻差
証明書

タイミング
センタ

タイムアセスメント機関(TAA)

タイムス
タンピング機関(TSA)

図 1−時刻の供給及びトレーサビリティの体系

7 TAA

の技術要件 

7.1 

方針 

TSA

におけるタイムスタンプ時刻が UTC(NICT)に対して±1 秒以内であることを証明可能にするため

に必要な最小限の要件を規定する。

図 は,この規格で規定される各時計並びに時刻精度及び計測精度の

関係を示す。

時刻配信

UTC(NICT)

TSA

時計

TAA

時計

時刻配信

基準時計

配信時刻

刻出力

I/F

刻出力

I/

F

TST

生成

時刻精度:±50 ミリ秒以内

時刻精度:±秒以内 (参考:タイムスタンプ要件)

計測精度:±50 ミリ秒以内

安定度:1x10

-9

/

図 2−各時計並びに時刻精度及び計測精度の関係

×

タイムアセスメント機関(TAA 

タイムスタンピング機関(TSA


4

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なお,時刻精度は UTC(NICT)に対する時刻の精度であり,また,計測精度は,UTC(NICT)に対す

る時刻差の計測の精度である。

図 にある配信時刻は,TAA の基準時計を時刻源とする時刻配信機器又は

時刻監査機器の出力 I/F における時刻を意味する。

7.2 TAA

時計の要件 

次の 7.2.17.2.5 の要件は,時刻配信及び時刻監査に共通して適用する。

7.2.1 TAA

時計の構成 

TAA

時計の構成に関する要件は,次のとおりとする。

a) TAA

時計は,TAA 内の基準時計並びにそれを時刻源とする時刻配信機器及び時刻監査機器で構成しな

ければならない。

b) TAA

内の基準時計は,二つ以上の冗長構成をとらなければならない。

7.2.2 UTC

NICT)との時刻の同期 

時刻の同期に関する要件は,次のとおりとする。

a) TAA

内の基準時計は,UTC(NICT)に必要十分な精度で同期していなければならない。

b) TAA

時計に適用する UTC(NICT)の時刻配信ポリシーの参照先を開示しなければならない。

注記  この規格では“ポリシー”を,提供方針及び利用原則の意味で用いる。

c)

異常に備え UTC(NICT)のほかの時刻源(例えば,GPS 時計)も参照することが望ましい。

7.2.3 TAA

時計の精度 

TAA

時計の精度に関する要件は,次のとおりとする。

a) TAA

内の基準時計の周波数安定度は,1×10

9

/

日以下でなければならない。

注記  この周波数安定度の要件を満たす時計の例として,原子時計がある。

b) TAA

内の基準時計の時刻精度は,時刻配信精度及び時刻差測定精度に対して 10 倍以上高くなければ

ならない。

7.2.4 

時刻差の測定及び測定データの保存 

時刻差の測定及び測定データの保存に関する要件は,次のとおりとする。

a) GPS

コモンビュー法

[1]

又は相当の方式によって UTC(NICT)と TAA 内の基準時計との時刻差を測定

し,測定データを保存しなければならない。

b)

利用者及び利用者に関わる関係者に対して,必要に応じて当該測定データを開示しなければならない。

7.2.5 

機器操作の記録及び記録の保存 

時刻差測定に関連する機器(GPS 受信機器など)の操作を記録し保存しなければならない。

7.3 

時刻配信の要件 

次の 7.3.17.3.5 の要件は,TAA が TSA に対して時刻配信を行う場合に適用する。

7.3.1 

時刻配信ポリシー 

TSA

時計に対する時刻配信ポリシーを定義し,その OID 又は URL を開示しなければならない。

7.3.2 TSA

時計の管理 

TAA

は,時刻配信対象となる TSA 時計の識別及び認証が可能な通信プロトコルを用いなければならな

い。

7.3.3 

時刻配信制御 

時刻配信制御に関する要件は,次のとおりとする。

a) TAA

は,採用した時刻配信の方法が意図する用途に適切であることを確認し,文書化しておかなけれ

ばならない。


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注記  時刻配信の方法は,国際規格などの公的な規格,定評ある技術機関の出版物,又は該当する

科学文献で公表されている適切な方法を用いることが望ましい。

b) TAA

は,タイムスタンプ時刻の精度が±1 秒以内となることを保証する時刻配信方法を用いなければ

ならない。

c) TAA

時計の配信時刻の精度は,±50 ミリ秒以内としなければならない。

7.3.4 

配信時刻の改ざん対策 

TAA-TSA

間の通信路における配信時刻の改ざん防止又は改ざん検知が可能な配信手段を用いなければ

ならない。

7.3.5 TSA

時計の時刻異常への対応 

時刻配信先の時刻異常を検知した場合は,配信先に通知しなければならない。

7.4 

時刻監査の要件 

次の 7.4.17.4.5 の要件は,TAA が TSA に対して時刻監査を行う場合に適用する。

7.4.1 

監査ポリシー 

TSA

時計に対する時刻監査ポリシーを定義し,その OID 又は URL を開示しなければならない。

7.4.2 TSA

時計の識別及び認証 

TAA

は,時刻監査対象となる TSA 時計の識別及び認証が可能な通信プロトコルを用いなければならな

い。

7.4.3 

時刻差の測定 

時刻差の測定に関する要件は,次のとおりとする。

a) TAA

は,採用した時刻差測定の方法が意図する用途に適切であることを確認し,文書化しておかなけ

ればならない。

注記  時刻差測定の方法は,国際規格などの公的な規格,定評ある技術機関の出版物,又は該当する

科学文献で公表されている適切な方を用いることが望ましい。

b) TAA

は,TAA 時計と TSA 時計との時刻差を測定する間隔,及び測定の精度をあらかじめ開示してお

かなければならない。

c)

時刻差測定の精度は,通信伝送路の遅延の影響を含めて±50 ミリ秒以内でなければならない。

7.4.4 

時刻差証明書の発行 

時刻差証明書の発行に関する要件は,次のとおりとする。

a) TAA

は,TSA に対して,時刻差証明書を適切な間隔で発行しなければならない。

b)

時刻差証明書は,

附属書 の要件を満たさなければならない。

c)

時刻差証明書は,24 時間を超えない間隔での発行が望ましい。

7.4.5 

記録の保存 

時刻差証明書及び時刻差証明書の発行記録を保存しなければならない。

7.5 

その他の要件 

7.5.1 

うるう秒の処理 

うるう秒について,UTC(NICT)に同期して適正に処理しなければならない。


6

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附属書 A

(規定)

時刻差証明書の要件

A.1 

時刻差証明の方式 

時刻差証明書は,次の二つの方式のいずれかによって提供する。

a)

結果方式  過去の時刻差を提示する。

b)

予測方式  測定時点の時刻差を基に以降一定期間の時刻差の範囲を予測し,その期間における TSA 時

計の時刻の正常動作を保証する。

A.2 

時刻差証明書の形式 

結果方式の時刻差証明書の形式は規定しない。予測方式の時刻差証明書の形式は,X.509

[2]

属性証明書

に従う。

なお,属性証明書を用いる場合,TAA がその属性証明書の安全性を保証できるようになっていなければ

ならない。

注記  予測方式の時刻差証明書を TST に格納する場合は,次のいずれかの場所に格納する。

1) Certificate

フィールドの CertificateChoice[1]タグ

2) Certificate

フィールドの CertificateChoice[2]タグ

3)

署名属性(signed attribute)

A.3 

時刻差証明書の内容 

時刻差証明書は,次の内容を含む。

a)

時刻差証明書発行ポリシーの OID

(任意選択)

b) TAA

(発行者)の名称

[必須]

c) TSA

の名称

(任意選択)

d)

測定対象の TSA 時計の名称又は識別子

[必須]

e)

測定時刻

[必須]

f) TAA

時計との時刻差

[必須]

g)

測定時の通信遅延

(任意選択)

h)

時刻差証明書の有効期限

[予測方式では必須]

i)

うるう秒への対応

(任意選択)


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附属書 B

(規定)

参照する用語及び定義

B.1 

JIS X 0301

における用語及び定義 

B.1.1 

協定世界時(UTC)

国際度量衡局(BIPM)及び国際地球回転観測事業(IERS)によって維持管理されている時間尺度。標

準周波数及び時刻信号に関する標準電波の基礎となるもの。

B.1.2 

うるう秒(leap second)

UTC

を調整して UT1(地球の自転に基づく時間尺度)に合致するように近似精度を上げるために用いる

1

秒単位の時間ステップ。

B.2 

JIS X 5063-1

における用語及び定義 

B.2.1 

タイムスタンピング機関,TSA(time-stamping authority,TSA)

タイムスタンピングサービスを提供することを信託された信頼できる第三者機関。

注記  タイムスタンピングサービス(time-stamping service)  あるデータ項目が時間軸上のある点よ

り前に存在していた証拠を提供するサービス。

B.2.2 

タイムスタンプ(time-stamp)

共通の参照時刻に関して,時間軸上の一点を示す,時間的に変化するパラメタ。

B.2.3 

タイムスタンプトークン(time-stamp token)

データ項目の表現と時刻の値との間の,検証可能な暗号化された結合を含むデータ構造。タイムスタン

プトークンは,その結合の中に追加のデータ項目を含んでもよい。

B.3 JIS 

8202-1

における用語及び定義 

B.3.1 

秒(second)

セシウム 133 の原子の基底状態の二つの超微細構造の間の遷移に対応する放射の周期の 9 192 631 770 倍

の継続時間。

B.4 JIS 

8103

における用語及び定義 

B.4.1 

トレーサビリティ(traceability)

不確かさが全て表記された切れ目のない比較の連鎖によって,決められた基準に結びつけられる測定結

果又は標準の値の性質。基準は通常,国家標準又は国際標準である。


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注記  本 JIS の場合,決められた基準は UTC を意味する。

B.4.2 

測定(measurement)

ある量を,基準として用いる量と比較し数値又は符号を用いて表すこと。

B.4.3 

精度(accuracy)

測定結果の正確さと精密さを含めた,測定量の真の値との一致の度合い。

B.5 ITU-R 

TF.536-2

における用語及び定義 

B.5.1 

UTC

k

±100 ns を目標に UTC と間断のない連携を保つ機関“k”による時間尺度。

参考文献  [1]  不確かさの見積もりに関するガイド(時間・周波数測定器等)第 5 版,平成 19 年 4 月 1

日  独立行政法人製品評価技術基盤機構認定センター 

[2]  ITU-T Recommendation X.509 (11/2008)

,Information technology−Open systems

interconnection

−The Directory: Public-key and attribute certificate frameworks