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X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 15489-1:2001,Information and

documentation

−Records management−Part1:General を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS X 0902

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS X 0902-1

第 1 部:総説


X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

(2) 

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  記録管理の利点 

3

5.

  規制環境

4

6.

  方針及び責任 

4

6.1

  総論

4

6.2

  方針

4

6.3

  責任

4

7.

  記録管理の要求事項

5

7.1

  記録管理プログラムの原則 

5

7.2

  記録の特性 

5

7.2.1

  総論

5

7.2.2

  真正性 

6

7.2.3

  信頼性 

6

7.2.4

  完全性 

6

7.2.5

  利用性 

6

8.

  記録システムの設計及び実施

6

8.1

  総論

6

8.2

  記録システムの特性

7

8.2.1

  はじめに 

7

8.2.2

  信頼性 

7

8.2.3

  完全性 

7

8.2.4

  コンプライアンス

7

8.2.5

  包括性 

7

8.2.6

  体系的 

7

8.3

  記録システムの設計及び実施

8

8.3.1

  総論

8

8.3.2

  記録処理の文書化

8

8.3.3

  物理的な収納媒体及び保護

8

8.3.4

  分散管理 

8

8.3.5

  変換及び移行

8

8.3.6

  アクセス,検索及び利用 

8

8.3.7

  保有及び処分

8


X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

(3) 

8.4

  設計及び実施の方法論 

8

8.5

  記録システムの停止

9

9.

  記録管理プロセス及び統制 

9

9.1

  記録システムに取込まれる文書の決定 

9

9.2

  記録の保有期間の決定 

10

9.3

  記録の取込み 

11

9.4

  登録

11

9.5

  分類

11

9.5.1

  業務活動の分類

11

9.5.2

  分類システム

12

9.5.3

  用語統制 

12

9.5.4

  索引づけ 

12

9.5.5

  数字及び記号の付与 

12

9.6

  収納及び取扱 

12

9.7

  アクセス 

12

9.8

  追跡

13

9.8.1

  総論

13

9.8.2

  活動の追跡 

13

9.8.3

  所在場所の追跡

13

9.9

  処分の実施 

13

9.10

  記録管理処理プロセスの文書化

14

10.

  監視及び監査 

14

11.

  研修 

14

 


日本工業規格

JIS

 X

0902-1

:2005

(ISO 15489-1

:2001

)

情報及びドキュメンテーション−記録管理−

第 1 部:総説

Information and documentation

Records management

Part1:General

序文  この規格は,2001 年に第 1 版として発行された ISO 15489-1,Information and documentation−Records

management

−Part1:General を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業

規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

ISO 15489-1:2001

は,世界で始めて国家規格として策定されたオーストラリア規格  “AS4390 Records

Management

”を元にして,ISO/TC 46/SC 11 が原案を作成し,関係各国の投票によって標準として承認さ

れた。

1. 

適用範囲  この規格は,官公庁又は民間の組織が作成する記録の内部及び外部の利用者のための記録

管理に関する指針について規定する。

この規格に概説したすべての要素について,適切に記録を作成し,取り込み,管理できるようにするこ

とを推奨する。この規格が概観する原則及び要素に従った記録の管理を確実にするための手順は,ISO/TR 

15489-2 (Guidelines)

で提供する。

この規格は次のとおりとする。

−  すべての公的又は民間の組織が,業務活動遂行の過程で作成・受領する記録,又は記録の作成・維持

の義務をもつ個人が作成又は受領する記録の管理に適用する。記録の形式及び媒体は,問わない。

−  記録,記録方針,手順,システム及びプロセスに対する組織の責任を決定する指針を提供する。

−  JIS Q 9001 及び JIS Q 14001 に対応する品質プロセスの枠組みを支援する記録管理に関する指針を

与える。

−  記録システムの設計及び実施に関する指針を提供する。

−  アーカイブ機関内のアーカイブ記録の管理を含まない。

この規格の想定利用者は次のとおりとする。

−  組織の管理職

−  記録,情報及び技術の管理専門家

−  組織におけるその他のすべての要員

−  記録を作成,維持することを職務とするその他の個人

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。


2

X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

ISO 15489-1:2001

,Information and documentation−Records management−Part1:General (IDT)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Q 9001

  品質マネジメントシステム−要求事項

備考 ISO 

9001

  Quality management systems−Requirements が,この規格と一致している。

JIS Q 14001

  環境マネジメントシステム−仕様及び利用の手引

備考 ISO 

14001

  Environmental management systems−Specification with guidance for usr が,この規

格と一致している。

JIS X 0701

ドキュメンテーション用語(基本概念)

備考  ISO 5127  Information and documentation−Vocabulary  が,この規格と一致している。

ISO 5963

  Documentation−Methods for examining documents,determining their subjects,and selecting

indexing terms

3.

定義  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 0701 によるほか,次による。

3.1 

アクセス(access)  情報を探し出し,利用し,検索する権利,機会及び方法。

3.2 

説明責任(accountability)  個人,組織及び集団はその行動に対する責任をもち,その行動を他の人々

に説明することを要求され得るという原則。

3.3 

活動の追跡(action tracking)  活動に関する時間的制限を監視し,業務遂行者にその制限を課すプ

ロセス。

3.4 

アーカイブ機関(archival authority,archival agency,archival institution,archival programme)  アー

カイブを選択,受入,保存し,利用できるようにすること,及びそれ以外の記録の廃棄に責任をもつ当局,

又は制度。

参考  一般にアーカイブは,次のいずれかである。

a)

個人又は組織が作成・取得したあらゆる媒体及び形態の記録で半永久に保存するもの。

b)  a)

の保存及び利用施設。

c)

組織全体の記録の保存管理をもっぱら統括する部署及び部門。

3.5 

分類(classification)  論理的に構成された規定,方法及び手順規則に従ったカテゴリによる業務活

動及び/又は記録の系統的な識別及び配列。

3.6 

分類システム(classification system)  分類を行うためのシステム。

3.7 

変換(conversion)  ある媒体から別の媒体に,又はある形式から別の形式に記録を変換するプロセ

ス(3.13 参照)

3.8 

廃棄(destruction)  記録を除去又は削除して,いかなる再生も不可能にするプロセス。

3.9 

処分(disposition)  処分権限又はその他の規定に基づいて文書化された,記録の保有,廃棄又は移

管の決定に関係したプロセスの範囲。

3.10 

文書(document)  一つの単位として取り扱われる記録された情報,又はオブジェクト。

3.11 

索引付け(indexing)  記録及び/又は情報の検索を容易にするアクセス点を定めるプロセス。

3.12 

メタデータ(metadata)  記録のコンテキスト(背景・状況・環境),内容,構造,及びある期間の

記録の管理について説明したデータ。


3

X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

 
 

3.13 

移行(migration)  記録の真正性,完全性,信頼性及び利用性を維持しつつ,記録をあるシステム

から別のシステムに移す行為(3.7 参照)

3.14 

保存(preservation)  真正な記録を長期にわたり技術的,内容的に存続し続けられるようにするた

めのプロセス及び運用。

3.15 

記録(records)  法的な責任の履行,又は業務処理における,証拠及び情報として,組織,又は個

人が作成,取得及び維持する情報。

3.16 

記録管理(records management)  記録の作成,取得,維持,利用,及び処分の効率的で体系的な統

制に責任をもつ管理の分野であって,記録の形で業務活動及び処理に関する証拠及び情報を取り込み,維

持するためのプロセスを含む。

参考  記録管理(records management)の管理対象は,記録(records)であるが,我が国で一般に使われてい

る文書管理は,記録(records)のほかに文書(documents)をも管理対象としており,その範囲が広

い。

3.17 

記録システム(records system)  長期間,記録を取り込み,維持し,アクセスを提供する情報シス

テム。

3.18 

登録(registration)  システムへの入力時に記録に独自の識別子を与える行為。

3.19 

追跡(tracking)  記録の移動及び利用のために情報を作成し,取り込み,維持すること。

3.20 

移管 [transfer <custody>]  <管理における>記録に対する管理権,所有権及び責任の変更。

3.21 

移動 [transfer <movement>]  <移動における>記録を,ある場所から別の場所に動かすこと。

4. 

記録管理の利点  記録管理は,記録管理者及び自分の業務活動の過程で記録を作成,又は利用する者

の実務を律する。組織の記録管理は,次の事項を含む。

a)

方針及び標準を設定すること。

b)

責任及び権限を定めること。

c)

手順及び指針を策定し,普及すること。

d)

記録の管理及び利用に関連した一定の範囲のサービスを提供すること。

e)

記録を管理するため,特別のシステムを設計,導入,管理すること。

f)

記録管理を業務システム及び処理プロセスに統合すること。

記録は情報(貴重な資源であって,重要な業務上の資産でもある情報)を含む。記録を行動の証拠とし

て保護し保存するために,組織及び社会が記録の管理に対し系統的なアプローチを取ることが重要となる。

記録管理システムは,現在及び将来の利害関係者に対する説明責任を確かなものにするとともに,後の活

動及び意思決定に役立つ,業務活動に関する情報源となる。

記録によって組織は,次のことが可能になる。

−  規則正しく,効率的で,説明責任が果たせる方法で業務を管理すること。

−  一貫して公平な方法でサービスを提供すること。

−  方針策定及び経営の意思決定を支援し,文書化すること。

−  経営及び管理における一貫性,継続性及び生産性を提供すること。

−  組織全体の活動の効果的な遂行を促進すること。

−  災害発生時の業務の継続性を保つこと。

−  長期保存,監査及び監督の活動を含む法令・規制要件を満たすこと。

−  組織活動における証拠の有無又は欠如に関係したリスクの管理を含む,訴訟時の防御及び支援を提


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X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

供すること。

−  組織の利益並びに従業員,顧客,現在及び将来の利害関係者の権利を保護すること。

−  歴史的な調査とともに,現在及び将来の研究開発の活動,展開及び遂行を支援し,文書化すること。

−  業務,個人及び文化の活動の証拠を提供すること。

−  業務,個人及び文化のアイデンティティを確立すること。

−  組織,個人,又は集団の記憶を維持すること。

5. 

規制環境  すべての組織は,その活動及び活動を文書化する要件に影響する規制環境を確認する必要

がある。組織の方針及び手順は,この規制環境が組織の業務プロセスに適用されていることを反映するの

が望ましい。組織は規制環境を順守していることを示す適切な証拠をその活動の記録に残すことが望まし

い。

規制環境は,次の事項からなる。

a)

特に記録,アーカイブ,アクセス,プライバシー,証拠,電子商取引,データ保護,及び情報に関す

る法律又は規定類を含む特定分野,並びに一般的な業務環境を規定する制定法,判例及び各種規制。

b)

義務付けられている実務標準。

c)

ベストプラクティスの自主規定。

d)

行動及び倫理の自主規定。

e)

特定の分野又は組織にとって容認できる行動について,地域社会が示す期待組織又は組織が属する分

野の性質は,組織の記録管理の要求事項に対して,これらの規制の要素(個々の,又は組合せ)のど

れが,最も適切であるかの決定につながる。

6. 

方針及び責任

6.1 

総論  この規格に準拠しようとする組織は,その組織の活動に関する証拠,説明責任,情報につい

ての業務上の要求が適合するようにするために,記録管理の方針,手順及び実務を確立し,文書化し,維

持し,公表することが望ましい。

6.2 

方針  組織は,記録管理に関する方針を定義し,文書化するのが望ましい。方針の目標は,業務の

機能と活動に役立つような,真正で信頼でき,利用できる記録を,それが必要とされる限り,作成,管理

することが望ましい。組織は,方針が組織の全階層に確実に伝達,実施されるようにすることが望ましい。

方針は,最高の意思決定レベルで採用され,承認され,全組織にわたり公表されることが望ましい。法

令順守に対する責任を定めることが望ましい。

方針は,業務活動の分析から導き出されることが望ましい。方針は,業務活動に結びついた記録の作成

において,法,規制,その他の規格及びベストプラクティスが最も的確に適用される領域を定義すること

が望ましい。その定義に当たり,組織は,組織環境及び経済的影響を考慮に入れることが望ましい。方針

は,現在の業務上の要求が反映されていることを確かめるために定期的に見直しを行うのが望ましい。

6.3 

責任  記録管理の責任及び権限をもつ人は,記録を作成し,取り込む具体的な要求が明確化されて

いる組織では,必要な行動を取る責任がだれにあるのかが明らかになるように,記録管理の責任及び権限

を定義し,割り当て,組織全体に公表することが望ましい。これらの責任は,記録管理者,関連する情報

専門家,経営者,部門責任者,システム管理者及び業務の一環として記録を作成するその他の人々を含め

た組織内のすべての従業員に割り当てることが望ましく,これは職務分掌を記した記録などに記載するの

がよい。記録管理に対する具体的なリーダシップの責任及び説明責任は,組織内の適切な権限をもつ人に


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委ねられることが望ましい。責任ある個人の指名は,法律で決められることもある。

このような責任には,次のような記述を含むことが望ましい。

a)

記録管理の専門家は,記録システムの設計,実行,維持及びその運用のあらゆる面において責任をも

ち,また各個人の実務に影響する記録管理及び記録システム運用に関する利用者の訓練に責任をもつ。

b)

経営者は,組織全体において記録管理の方針が適用されるよう支援することに責任をもつ。

c)

システム管理者は,すべての文書化が正確で,従業員が必要とするときに利用及び判読ができるよう

にする責任をもつ。

d)

すべての被雇用者は,自分の活動の正確で完全な記録を維持するための責務及び説明責任をもつ。

記録管理の方針・手順の計画及び実現の処理プロセスにおいては,アーカイブ機関が含まれてもよい。

7. 

記録管理の要求事項

7.1 

記録管理プログラムの原則  記録は,業務活動の遂行において作成され,受け取られ,利用される。

業務の継続的遂行を支え,規制環境を順守し,必要な説明責任を提供するためには,組織は,必要な期間

中,真正で信頼でき,利用できる記録を作成し,維持し,それらの記録の完全性を保護することが望まし

い。そのためには,組織は,次のようなことを含む包括的な記録管理プログラムを制定し実施するとよい。

a)

各業務処理でどのような記録を作成することが望ましいか,そしてどのような情報を記録に含める必

要があるかを決定すること。

b)

どのような形式及び構成で記録を作成,取り込むのがよいかということと,利用する技術とを決定す

ること。

c)

どのようなメタデータを,記録及び記録プロセスを通して作成し,そのメタデータをどのように記録

に確実に結び付け,管理するかを決定すること。

d)

業務プロセス間及び利用者間で記録の検索,利用,伝達などのための要求事項を決定し,この要求事

項を満たすために記録をどのくらいの期間保有することが必要であるかを決定すること。

e)

利用要求を支援するために,どのように記録をまとめるのかを決定すること。

f)

活動の正式な記録をもたないことによって引き起こされるリスクを査定すること。

g)

業務上の要求及び社会の期待に応えるために,記録を保存し,ある期間,記録にアクセスできるよう

にすること。

h)

法律及び規制の要求,適用される標準並びに組織方針に従うこと。

i)

記録は,安全で危険のない環境のもとで確実に維持するようにすること。

j)

必要又は要求される期間だけ,記録を確実に維持するようにすること。

k)

プロセス,意思決定及びよりよい記録の作成又は管理をもたらすであろう活動に関して,効果,効率

又は品質を改善するための機会を確認し,評価すること。

記録及び記録に関するメタデータの,作成及び取込みに関する規則を,活動の証拠を記録する必要のあ

る全業務処理を律する手順に組み込むことが望ましい。

業務継続計画及び緊急対策は,組織の継続的機能に不可欠な記録をリスク分析の一環として明らかにし,

保護し,必要時には回復できるようにすることが望ましい。

7.2 

記録の特性

7.2.1 

総論  記録は,何が伝えられ,決定され,又はどのような行動がとられたかを正確に反映するとよ

い。記録は,それが関係する業務のニーズを支援することができ,説明責任の目的で使用することが望ま

しい。


6

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記録は,内容と同様に,業務処理を文書化するのに必要なメタデータを内部に含むか,それと継続的に

結び付けられているか,又は関係付けられていることが望ましい。更に次のようであることが望ましい。

a)

記録の構造,すなわち記録のフォーマット及び記録を構成する要素間の関係が完全であることが望ま

しい。

b)

記録を作成し,受け取り,使用した業務上のコンテキストは,記録の中で明らかであることが望まし

い(当該業務処理がその一部となっている業務プロセス,業務処理の日時及び業務処理における関係

者を含む。

c)

別々ではあるが一つの記録を作るため結びついている文書間のリンクが,存在することが望ましい。

記録管理の方針,手順及び実務は,7.2.27.2.5 に規定している特性をもった正式な記録を導きだすこと

が望ましい。

7.2.2 

真正性  真正な記録とは,次のことを立証できるものとする。

a)

記録が主張しているとおりのものであること。

b)

それを作成又は送付したと主張する者が,作成又は送付していること。

c)

主張された時間に作成し,送付していること。

記録が真正であることを確実にするために,組織は,記録作成者に権限を与え,それがだれかを明確に

することが望ましい。許可のない記録の追加,削除,変更,利用及び隠ぺい(蔽)から確実に記録が守ら

れるように,記録の作成,取得,送信,維持及び処分を管理する方針並びに手順を実施し,文書化するこ

とが望ましい。

7.2.3 

信頼性  信頼のおける記録とは,その内容が,処理,活動又は事実が完全であると信じることがで

き,そして継続して起こるその後の処理及び活動の過程を証明し,かつよりどころとすることができるも

のをいう。記録は,関連する処理又は事象の発生時に,又はその直後に,事実について直接知っている個

人によって,又は処理を行う業務で日常的に使われる機器によって作成されることが望ましい。

7.2.4 

完全性  記録の完全性は,その内容が完結していて変更されていないことを意味する。記録は,許

可のない変更から守られなければならない。記録管理の方針及び手順は,記録作成後どんな追加又は注釈

が許されるのか,どのような状況で追加又は注釈が許される場合があるか,だれに追加又は注釈を入れる

権限があるのかを定めることが望ましい。どのような追加,注釈又は削除でも,それが明示され追跡可能

になっていることが望ましい。

7.2.5 

利用性  利用できる記録は,所在場所がわかり,検索でき,表示でき,解釈できるものをいう。記

録は,それを作り出した業務活動又は業務処理に直接関係するものとして,その後,提示できるものであ

ることが望ましい。記録のコンテキストのつながりには,記録を作成し利用した業務処理の理解に必要な

情報を含むことが望ましい。より広い業務の活動又は機能のコンテキストの中で,記録を見つけることが

可能であることが望ましい。一連の活動を文書化した記録間のつながりを,維持することが望ましい。

8. 

記録システムの設計及び実施

8.1 

総論  記録管理戦略は,組織運営上のニーズに合致し,規制環境に適合する方法で方針,手順及び

実施方法を策定・採用すること及びシステムを設計・実施することに基づく。業務活動を文書化するため

組織によって適用される戦略は,どのような記録が必要か,又いつ,どこで,どのような方法で記録シス

テムに取り込むべきかを決定することが望ましい。

柔軟な記録システムに対する導入戦略には次のものを含んでもよい。

a)

記録システムを設計すること。


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b)

記録システムを文書化すること。

c)

記録取扱者,その他要員の研修を行うこと。

d)

記録を新しい記録システム,フォーマット,及び統制の管理下へ変換すること。

e)

標準を設定し,それらに対するコンプライアンス及び成果を評価すること。

f)

規制環境に対応して,保有期間を決定し,継続的価値をもつ記録に関する意思決定を行うこと。

記録管理戦略は,情報管理戦略計画といった戦略計画の中で文書化することが望ましく,そしてそれは,

組織全体計画の文書に組み込まれることが望ましい。情報システム,業務のアプリケーション,通信シス

テム及びそれらが支援する業務プロセスは,日常的な担当業務活動として適切な記録を作成し,取り込む

ように設計,修正,又は再設計することが望ましい。

8.2 

記録システムの特性

8.2.1 

はじめに  記録システムは,7.2 に示された特性をもつ記録を支援することが望ましい。このシス

テムは 8.2.28.2.6 に規定する特性をもつことが望ましい。

8.2.2 

信頼性  記録を管理するために配置されるいかなるシステムも,信頼できる手順に従って継続的で

規則正しい運用ができることが望ましい。

記録システムは,次の項目を満たすことが望ましい。

a)

システムが及ぶ業務活動の範囲内のすべての記録を定常的に取り込む。

b)

記録作成者の業務プロセスを反映する形で記録を体系付ける。

c)

記録を権限のない変更又は処分から守る。

d)

記録に記述されている行動についての主要な情報源として定常的に機能を果たす。

e)

すべての関係記録及び関連メタデータをいつでもアクセスできるよう用意する。

システムの信頼性については,システム運用の記録を作成,維持することによって,文書化することが

望ましい。これらの記録は,システムが a)e)の基準を満たしていることを示すことが望ましい。

記録システムは,変化する業務のニーズに対応することが望ましいが,システムのどのような変更もシ

ステムにおける記録の特性に影響を与えないことが望ましい。同様に,記録を別のシステムに移動すると

きは,移動は,記録の特性に不都合な影響がない方法で行うことが望ましい。

8.2.3 

完全性  アクセスの監視,ユーザ確認,権限に基づいた廃棄,セキュリティなどの統制の手段は,

記録に対して権限のないアクセス,廃棄,変更又は移動を防止することが望ましい。こうした統制は,記

録システム内に存在してもよいし,特定のシステムでは外部にあってもよい。電子記録に対しては,組織

は,システム障害,更新又は定期保守が記録の完全性に影響しない証明を要求してもよい。

8.2.4 

コンプライアンス  記録システムは,組織が活動する現行業務,規制環境及び地域社会の期待から

生じるすべての要求事項に適応して管理されることが望ましい。記録を作成する人は,これらの要求事項

が遂行する業務活動にどのように影響するかを理解することが望ましい。このような要求事項に適応した

記録システムを,定期的に評価し,その評価記録を証拠として保有することが望ましい。

8.2.5 

包括性  記録システムは,そのシステムが稼動している組織,又は組織の一部に関するすべての範

囲の業務活動から発生する記録を管理することが望ましい。

8.2.6 

体系的  記録を,体系的に作成し,維持し,管理することが望ましい。記録の作成及び維持の実務

は,記録システム及び業務システム双方の設計及び運用をに通してシステム化することが望ましい。

記録システムは,その管理のために,正確に文書化された方針,課せられた責任,及び正規の方法論を

もつことが望ましい。


8

X 0902-1

:2005 (ISO 15489-1:2001)

8.3 

記録システムの設計及び実施

8.3.1 

総論  記録システムは,9.に規定する記録管理プロセスを実行し,また支援することを可能にする

機能性をもつことが望ましい。記録システムの設計及び実施並びにそれらが支援するプロセスに関する決

定は,既存の組織のシステムとの関連において考慮する必要がある。

8.3.2 

記録処理の文書化  記録システムは,特定の記録に関連して発生するすべての業務の完全で正確な

記述を含むことが望ましい。これらの記述は,個々の記録にかかわるプロセスを含む。そのような詳細を,

特定の記録に埋め込み,添付し,又は関係付けられたメタデータの部分として文書化してもよい。別の方

法として,それらの詳細を,少なくとも関連文書が維持されている限り保有することが望ましい監査結果

として,記録してもよい。

8.3.3 

物理的な収納媒体及び保護  記録システムを設計する場合,適切な保存環境と媒体,物理的な保護

用具,取り扱い手順及び収納システムを考慮することが望ましい。どれ位の期間,その記録を保有・維持

する必要があるかを知ることが,収納媒体の決定に影響することになる。記録システムは,リスクを確認

し,軽減するため,災害に備えて対応することが望ましい。災害の復旧中であれ復旧後であれ,完全性を

明確に維持することが望ましい。

8.3.4 

分散管理  記録システムは,記録の所在場所について他の選択もできるようにすることが望ましい。

規制環境が許す場合,記録がある組織で物理的に収納されるが,責任及び管理権は作成部門,又は別の適

切な権限ある部門のもとにあってもよい。記録の収納,所有権,責任を区分けして考える取り決めは,特

に電子記録システムにおける記録にとって重要である。こうした取り決めの変更は,システムが存在して

いる間いつ起るかもしれないし,これら取り決めのどのような変更も追跡できるようにし,文書化される

ことが望ましい。

8.3.5 

変換及び移行  記録の全保有期間にわたり,フォーマット変換,ハードウエア及びオペレーテング

システム又は特定のソフトウエアアプリケーション間の移行などを含むいかなる種類のシステム変更があ

っても,記録システムは,記録が真正で,信頼でき,利用できる状態を保つように設計されることが望ま

しい(8.5 参照)

8.3.6 

アクセス,検索及び利用  記録システムは,継続的な業務の遂行に必要な記録に対し,関連する説

明責任の要求事項を満足させるため,タイムリー,かつ,効率的なアクセス及び検索ができるようにする

ことが望ましい。記録の完全性を損なわないようにするため,システムは,アクセスに関する統制を含み,

その統制を適用することが望ましい。システムは,記録が権限のない利用,変更,又は廃棄から効果的に

守られていることを示す監査結果,その他の方法を提供,維持することが望ましい。

8.3.7 

保有及び処分  記録システムは,記録の保有及び処分に関する決定を促進し,実行できる能力をも

つことが望ましい。こうした決定は,記録システムの設計段階を含め,記録が存在する限り,いつでもで

きることが望ましい。また,適切であれば,処分が自動的に実施されることが望ましい。システムは,完

了した処分の行為を追跡するための監査結果,又はその他の方法を提供することが望ましい。

8.4 

設計及び実施の方法論  持続できる記録システムを設計,実行するには,設計及び実行の方法論が

重要である。a)h)の項目に示す方法は,かならずしも順番どおりに設計・実施されるわけではない。業

務は,組織の要求,正式なコンプライアンスの要求事項及び組織環境,記録管理環境の変化に従って,異

なる段階で,繰り返し,部分的に,又は徐々に着手してもよい。

a)

事前調査  文書調査及び聞き取り調査によって情報を収集する。記録管理に関係する,組織の役割及

び目的,構成,法令,規制,業務並びに方針面での環境,重要な要素及び弱点を確認し,文書化する。

b)

業務活動の分析  文書の調査及び聞き取り調査によって情報を収集する。それぞれの業務機能,活動


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及び処理を明確にし,文書化し,更にそれらの階層化,すなわち,業務の分類体系を確立し,業務の

プロセスの流れ及びそれを構成する業務処理を明確にし,文書化する。

c)

記録に対する要求事項の明確化  文書の調査及び聞き取り調査によって情報を収集する。それぞれの

業務の機能,活動,業務処理の証拠及びそれら情報に対する記録を通して満足されることが望ましい

要求事項を明確にする。要求事項は組織の規制環境の分析及び記録を作成,保存しないことによるリ

スクから導き出される。それぞれの要求事項が記録管理プロセスを通してどのように満足されうるか

を決定し,記録に関する要求事項を明確化,文書化する。それぞれの業務の機能,活動,又は処理を

最もよく満足する適切な記録の構造を選択する。

d)

既存システムの評価  記録の要求事項に対する既存システム及び他の情報システムの成果を測定する

ため,これらを明確化し,分析する。

e)

記録の要求事項を満足させるための戦略の明確化  記録に対する要求事項を満足させる方法で,記録

の要求事項を満足させるための戦略を明確にする。戦略には,採用する方針,標準,手順,及び実践

並びに新システムを設計し,システムを実行することなどを含んでもよい。戦略は,それぞれの記録

の要求事項に対し,個別に又は組合せで適用してもよい(7.参照)

。記録システムが支援しようと意図

した業務機能の面,既存のシステム環境の面,又は戦略が成功することが望ましい組織文化の面の各

面において,要求を満足させることに失敗した場合のリスクの程度に基づいて戦略が選択されること

が望ましい。

f)

記録システムの設計  この標準に規定した戦略,プロセス及び実践を組み入れた記録システムを設計

する。記録システムが業務プロセスを支援し,妨げないことを確実にする。記録管理を具体化するた

めに,業務プロセス,運用業務,情報伝達システムを評価し,必要ならばそれらを再設計する。

g)

記録システムの実施  記録システムの実施は,状況に応じた業務プロセス及び関係するシステムと記

録システムとの運用を統合する観点とともにプロジェクト計画及び方法論によって,系統だった取り

組みが望ましい。

h)

システム導入後の見直し  不可欠で継続的なプロセスとして,記録システムの性能に関する情報を集

める。これは,管理職及び主要な従業員に対する聞取り調査を行い,質問票を用い,稼動中のシステ

ムを観察し,手順マニュアル・訓練用資料及び文書化されたものを検証し,並びに記録品質と統制方

法とを無作為に検査することで,行ってもよい。システムの性能の見直し及び評価を行い,改善活動

を発案し,監視し,そして継続する監視及び定期的な評価の制度を確立する。

8.5 

記録システムの停止  記録システムを停止,又は終了する場合は,記録へのアクセスは,継続して

可能であることが望まれるが,それ以降記録をシステムに追加することはできない。有効な保有及び処分

の指針に従って,又は変換及び移行戦略によって,記録は,システムから移動できる。システムを停止す

るプロセスは,システム内に存在した記録の真正性,信頼性,利用性及び完全性維持のための詳細が要求

されるであろうことから,変換計画,又はデータの図式化(7.2 参照)も含め,文書化されることが望まし

い。

9. 

記録管理プロセス及び統制

9.1 

記録システムに取込まれる文書の決定  どの文書を記録システムに取り込むかの決定は,規制環境,

業務及び説明責任の要求事項,並びに記録を取り込まない場合のリスク分析に基づく。その要求事項は組

織の型,運営されている法的及び社会的な状況によって異なるかもしれない。

文書は,常に変化している技術を用いた種々の媒体で作成され,受け取られる。文書の主な特徴は,動


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的な性質をもつ。文書は多数の作成者によって作成され,複数の版で存在し,異なる期間,作成段階で存

在する場合もある。

組織又は個人が行動し,説明責任を果たし,その行動,決定又は意思決定プロセスを文書化するときは,

それらを記録として取り込み,当該業務のコンテキストを明確にするメタデータをリンクすることが望ま

しい。

9.2 

記録の保有期間の決定  どれだけの期間,記録を記録システムに維持することが望ましいかの決定

は,規制環境,業務と説明責任との要求事項,及びリスクの評価に基づく。保有期間の決定には,特定の

業務活動に関係する外部及び内部の記録管理の方針,又は標準及び要求事項に応じて,特定の業務活動を

運営する部門,指名された記録管理者及び要求されるその他の人を関与させることが望ましい。法令,そ

の他の規制は,最低の保有期間を要求し,又は必要な承認のために公認のアーカイブ機関,又は監査人の

ような認可機関への提出を要求することがあってもよい。記録をどれだけの期間維持する必要があるかを

定めるときには,すべての利害関係者の権利及び利益が考慮されることが望ましい。その決定に当たって

は,意図的にアクセスの権利が無視されないようにすることが望ましい。

記録の保有は,次のように管理されることが望ましい。

a)

次によって現在及び将来の業務要求を満足する。

1)

現在及び将来における決定及び活動を伝える集団の共有する記憶の一部として,過去及び現在の決

定及び活動に関する情報を保有すること。

2)

説明責任の義務に適合するために過去及び現在の活動の証拠を保有すること。

3)

もはや必要としない記録は,できるだけ早く,承認された組織的な方法で削除すること。

4)

記録が保有されているシステムが終了されていたり,又は大きな変更が加えられているような場合

においても,将来の利用者が記録の真正性及び信頼性の判断ができるように記録のコンテキストを

保有すること。

b)

特定の業務活動の記録管理に対し適用される規制環境を文書化し,理解し,確実に実行することに

よって,法的な要求に従うこと。

c)

次によって,内外の利害関係者がもつ現在及び将来の要求を満足させること。

1)

組織自身の要求よりも長い期間記録を保存することで,利害関係者が得るかもしれない,実施可能

な,又は合法的な利害関係を明確にすること。利害関係者には,ビジネスパートナー,顧客及び組

織の決定又は行動によって影響を受けるその他の人達,組織が説明責任の要求を満たすために記録

を利用できるようにする人達,例えば,監査人,規制当局,及び調査機関,アーカイブ機関又は利

用者などが含まれてもよい。

2)

全体として,調査及び社会の利益に奉仕するため記録を保存することによって,法的,財政的,政

治的,社会的,その他の利益を確認し,評価すること。

3)

適用可能なアーカイブ機関の規制があれば,それに従うこと。

継続的な保存の対象となる記録は,次のようなものが考えられる。

−  組織の方針及び行動に関する証拠及び情報を提供するもの。

−  奉仕する顧客集団と組織との交信に関する証拠及び情報を提供するもの。

−  個人及び組織の権利及び義務を文書化するもの。

−  科学的・文化的・歴史的な目的のために組織の記憶の構築に貢献するもの。

−  内部及び外部の利害関係者の利益に関係する活動についての証拠及び情報を含む。

9.3 

記録の取込み  記録システムへ記録を取り込む目的は,次とする。


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−  記録と,作成者と,記録を発生させた業務のコンテキストとの相互関係を明確にする。

−  記録とその関連性とを記録システム内に取り込む。

−  他の記録と連結する。

このプロセスは,明確なメタデータを,フォーマットにかかわりなく特定の記録に埋め込む,添付する

か又は関連付けることで履行できる。これは,記録システムの手順の中に組み込まれることが望ましい。

このメタデータは,いつでも,記録の状態,構造及び内容の完全性を,権限をもって再追跡し,その他の

記録との関係を示すのに欠かせない。

確実な記録の取込み技術は,次のようなものを含んでもよい。

a)

適切な関連付け,グループ分け,名前の付与,セキュリティの保護,利用者の許可・検索,処分,及

び必す記録の確認を可能にするための分類及び索引化。

b)

物理的なファイル又は電子的なディレクトリのいずれであれ,後からの利用及び参照を容易にする論

理的な構造及び配列による整備。

c)

記録システムにおける記録の存在の証拠を提供する登録。

d)

業務を行う中で取られた活動の概要を示す次のことを行うシステム。

1)

業務のコンテキストとの関連を記述したメタデータを提供する。

2)

記録の所在場所を示す証拠を提供する。

3)

どのような行為が未解決かを確認する。

4)

誰が記録にアクセスしたかを確認する。

5)

いつそのアクセスがあったかを確認する。

6)

記録上でなされた処理の証拠を提供する。

9.4 

登録  登録の機能をもつ記録システムの条件は,次のとおりである。

a)

記録は,記録システムに取り込まれたときに登録される。

b)

登録が完了するまでは,その記録に影響する追加的な処理を行うことはできない。

登録の第一の目的は,記録が作成され,又は記録システムの中に取り込まれた証拠を与えることであり,

付加的な便宜は検索を容易にすることである。登録は,記録に関する短い記述情報,すなわちメタデータ

を記録すること,及びシステム内で固有の識別子を記録に割り当てることを含む。登録によって,記録シ

ステムへの記録の取込みが正式なものとなる。

記録は,記録システム内において,一つの集合レベルでなく複数の集合レベルで登録されてもよい。電

子環境においては,記録は取り込むときから記録管理者の介入なしに,ビジネスシステムの利用者にとっ

て分かりやすい,自動的なプロセスによって記録を登録するよう,設計してもよい。

9.5 

分類

9.5.1 

業務活動の分類  業務活動の分類は,業務の遂行を助け,また次のような記録の管理に含まれる多

くのプロセスにおける強力なツールとして作用する。

a)

活動の継続的な記録を提供するために蓄積する個々の記録間のリンク付けをすること。

b)

期間を通じて,一貫した方法で記録の名称付けを確実にすること。

c)

特定の機能又は活動に関係するすべての記録の検索を助けること。

d)

記録の組合せに対する適切なセキュリティ保護及びアクセスを規定すること。

e)

ある特定グループの記録のへのアクセスのため,又は活動のために使用者許可を与えること。

f)

特定の記録の組合せを管理するための責任を割り当てること。

g)

活動のために記録を配布すること。


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h)

記録に対する適切な保有期間及び処分を決定すること。

9.5.2 

分類システム  分類システムは,システムが由来している組織の業務,及び通常組織の業務活動の

分析に基づく組織の業務を反映している。システムは,各種の記録管理プロセスを支援するために用いら

れる。組織は,業務の目的のために必要とする分類の統制度合を決定する必要がある。

9.5.3 

用語統制  分類システム及び索引は,組織の記録の複雑さに適切に対応した用語の統制によって支

援されてもよい。このような用語の統制は,用語について組織特有の定義又は使い方を説明することが望

ましい。

9.5.4 

索引付け  索引付けは,手作業によって,又は自動的に作成できる。索引は,記録システムにおけ

るいろいろな集合レベルで作成してもよい。索引付けについての手引きは,ISO 5963 から参照できる。

9.5.5 

数字及び記号の付与  表題以外の方法として簡略表記法が一般に用いられる。通常,記録の集合に

対し,数字又はコードが付与される。コード化の目的は,記録の所在場所を探す機能と関連する。つまり,

数字やコードは記録の“アドレス”を示し,記録システム内の所在場所を指定することで検索することが

できる。

9.6 

収納及び取扱い  記録は,必要とされる期間,利用性,信頼性,真正性及び保存性を確実にする媒

体に収納されるのがよい(8.2 参照)

。記録の維持,取扱い及び収納に関連する問題は,記録が非活用にな

ったときだけでなく,記録の存在する全期間内で発生する。

記録は,特定の物理的及び化学的な特性を考慮する収納の条件や取扱いプロセスを要求する。フォーマ

ットにかかわりなく,継続的に価値のある記録は,価値が存在する限り,保存のためにより高い品質の収

納及び取扱いを要求する。収納の条件及び取扱いプロセスは,不正なアクセス,紛失又は破壊並びに盗難

や災害から記録を守るよう設計されることが望ましい。

組織は,一つの記録システムから他のシステムへの記録の変換,又は移行のための方針及び指針をもつ

ことが望ましい。

電子記録のためのシステムは,どのようなシステム変更があっても,保有する全期間にわたり,記録は

アクセスでき,真正で,信頼性があり,利用できるように設計されていることが望ましい。システム変更

には,異なるソフトウエアへの移行,他システムによるエミュレーション形態での記録の再表示,又はそ

の他の将来的方法での記録の再表示が含まれることがある。こうしたプロセスが発生するところでは,記

録の設計又はフォーマットの変更の詳細とともに,活動の証拠が残されることが望ましい。

9.7 

アクセス  組織は,だれがどのような環境で記録に対してアクセスが許可されるかを定める公式な

指針をもつことが望ましい。

組織活動の規制環境は,記録システムの運用に組み込まれることが望ましいアクセス権,条件,又は制

限に関する幅広い原則を確立する。記録及びアーカイブに関して,プライバシー,機密,情報の自由など

の分野を網羅する特定の法律などがあるかもしれない。記録には,個人的に,商業的に,又は運営上,慎

重な取扱いを要する情報が含まれているかもしれない。場合によっては,記録へ,又は記録についての情

報へのアクセスが,許可されなくてもよい。

アクセスに対する制限は,組織,内部及び外部使用者の両者に対し適用することができる。制限された

記録が業務ニーズ又は規制環境によって特に要求された場合にだけ確認されるのがよい。必要期間以上に

こうした記録への追加的な監視が実施されないようにするために,制限は定められた期間課せられるよう

にするのがよい。アクセス性に対する制限の必要性は時間の経過とともに変化しうる。適切なアクセス統

制は,記録及び個人の双方に対するアクセス上の立場を定めることによって,確実なものとする。

アクセスプロセスの管理は,次の条件を確実にすることを含む。


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a)

ある時点におけるアクセス状態に従って,記録が類別されている。

b)

記録は,見る権限を与えられている人だけに開示される。

c)

暗号化された記録は,必要で承認された場合にだけ読めるようにすることができる。

d)

記録のプロセス及び業務処理は,遂行する権限を与えられた人だけによって実施される。

e)

特定の業務機能に責任をもつ組織の部門は,自らの責任の領域に関係する記録へのアクセス許可を定

める。

使用者許可及び管理職務責任についての監視及び図式化は,フォーマットに関係なくすべての記録シス

テムで発生する継続的プロセスである。特に地理的に分散したシステムからアクセス可能な電子記録シス

テムは,他のアプリケーションからユーザ確認手順を受け継ぐことがある。

9.8 

追跡

9.8.1 

総論  記録システムにおける記録の移動及び利用の追跡には,次の事項が必要となる。

a)

必す(須)処理で未処理のものがないか確認する。

b)

記録の検索を可能にする。

c)

記録の消失を防止する。

d)

システム維持及びセキュリティのため利用状況を監視し,記録処理(例,取込み,登録,分類,索引

作業,収納,アクセス及び利用,移行並びに処分)の監査経過を維持する。

e)

システムが統合又は移行された場合には,個々の記録の運用上の起源を確認できる能力又は機能を維

持する。

9.8.2 

活動の追跡  組織によって,又は組織に対して,行動に時間的制限があるプロセスに対しては,記

録システム内で行動の追跡を実施することができる。この場合の活動の追跡とは次をいう。

a)

記録に記述された,決定又は処理に対応して取られる手段を割り当てる。

b)

指定された人に対し,活動責任を付与する。

c)

活動期限の日付,及び活動が実行された日付を記録する。

活動追跡が効果的に実行されるのは,資料がその記録システムに登録された後に担当者に引き渡される

場合に限定される。

9.8.3 

所在場所の追跡  記録の移動は,要求されたとき常に記録の所在場所が確実につきとめられるよう

文書化するのが望ましい。追跡メカニズムは,当該記録の識別子,題目,当該記録の所有者又は部署,及

び移動の日時を記録することが望ましい。

記録システムは,記録の処分又はアーカイブ機関を含む承認された外部組織への移管と同様に,記録の

発生,個人の間での移管,記録の元の位置,又は収納場所への返還を追跡するのが望ましい。

9.9 

処分の実施  運用システムからの記録を除去する処分権限を,通常業務活動の中で系統的,かつ,

経常的に,記録に対し適用するのが望ましい。記録がもはや不要であること,作業が残っていないこと,

当該記録に証拠を依存するような進行中又は未決の訴訟・調査がないことの確認なしに,処分行為を行わ

ないことが望ましい。

処分の行為には,次のいずれの事項を含んでもよい。

a)

上書き,削除などを含む,即時で物理的な廃棄。

b)

部門内における保有期間の延長。

c)

組織の統制のもとでの適切な収納場所又は媒体への移動。

d)

事業再編成,売却又は民営化によって,業務活動の責任を負う別の組織への移管。

e)

適切な契約の取決めをしている独立のサービス提供者が,組織に代わって管理している収納場所への


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移管。

f)

記録の作成組織が記録を物理的に保有している期間中に,適切な権限をもつ部門の記録の管理責任へ

の移管。

g)

組織内のアーカイブへの移管。

h)

外部のアーカイブ機関への移管。

次の原則で,記録の物理的な廃棄を管理することが望ましい。

−  廃棄は,常に規則どおりであることが望ましい。

−  進行中若しくは未決の訴訟,又は進行中若しくは未決の調査に関係する記録は,廃棄しないことが

望ましい。

−  記録の廃棄は,記録の内容の機密を完全に守る方法で実施することが望ましい。

−  廃棄を承認されたすべての記録の複写物は,安全,保存又はバックアップ用いずれの目的であって

もすべて廃棄することが望ましい。

9.10 

記録管理処理プロセスの文書化  記録管理のプロセス及び記録システムの文書化に際しては,法的,

組織的,技術的核要求事項に焦点をあてることが望ましい。記録の分類,索引,見直し,処分など,記録

管理プロセスの承認権限は,明確に記載されることが望ましい。

記録管理プロセスの実行,見直し,監査及び試験に対する要求事項を決定するため,関係する法令,標

準及び方針は,記録されることが望ましい。情報管理環境における組織全体の完全性を維持するために,

当該組織内で使われている他の情報システム及び方針に対しても細心の注意を払うことが望ましい。

記録の取込み及び記録の維持期間に関するすべての決定を,明文化し,保有することが望ましい。これ

らの決定は記録処分の責任者としての立場から説明してもよい。記録を取り込み,そして維持するための

決定を導き出した分析又はその他の正式な文書は,承認のために上級管理者のために用意され,提出され

ることが望ましい。その文書には,業務活動の詳細及びその各業務活動に起因する記録を含め,それぞれ

の記録の保有期間と処分行為とを明確,かつ,あいまいさを排除して規定するとよい。処分行為を促進又

は可能にさせるできごともはっきり特定することが望ましい。別の収納形態(例,オフライン収納又はオ

フサイト収納)への記録の移動指示も含まれることが望ましい。必要な場合には,上記の文書は,必要な

承認を得るため,アーカイブ機関,監査機関などの外部の認定機関に提出することが望ましい。処分の実

施後は,処分活動の記録を維持することが望ましい。

10. 

監視及び監査  コンプライアンスについての監視は,記録システムの手順及びプロセスが組織の方針

及び要件に従って履行され,期待される結果に合致していることを確認するよう,定期的に実施されるの

が望ましい。こうした見直しは,記録システムに関して組織の業務活動実績及び利用者の満足を調査する

ことが望ましい。

規制環境は,外部の組織による監視及び監査を実施することを要求してもよい。

不適切,又は効果的でないことが判明した場合には,記録システム及び記録管理プロセスへの修正を行

うことが望ましい。

システムの適合性及び監視結果を文書化し,報告書を作成し維持することが望ましい。

11. 

研修  この規格に適合することを求める組織は,記録についての研修の継続的な計画を確立すること

が望ましい。記録管理及び特定の実務に必要な研修計画の対象者としては,業務活動中に記録を作成し,

記録システムに記録を取り込むとき,組織の業務活動の全部又は一部に対し責任のある,すべての経営者,


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従業員,契約者,ボランティア及びその他の個人とすることが望ましく,その人たちの役割及び責任を包

含することが望ましい。こうした研修計画は,外部組織の協力を得て設計し,設定してもよい。