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X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 3 

4 記号及び略語 ··················································································································· 3 

5 ハイブリッドメディア機能及びプロセスの解説 ······································································ 4 

6 RMシステムの適合試験 ···································································································· 4 

6.1 概要 ···························································································································· 4 

6.2 製品の適合性 ················································································································ 4 

6.3 プロセス管理項目 ·········································································································· 5 

6.4 プロセス制御方法 ·········································································································· 5 

7 RFタグ構成要素の適合試験 ······························································································· 7 

7.1 概要 ···························································································································· 7 

7.2 製品の適合性 ················································································································ 7 

7.3 RFID性能試験 ·············································································································· 7 

7.4 プロセス管理方法 ·········································································································· 8 

8 異なるデータキャリア技術の統合に関する適合性留意事項 ······················································· 9 

8.1 概要 ···························································································································· 9 

8.2 データメモリの割当てに関する留意事項············································································· 9 

8.3 RFIDエアインタフェースコマンドの処理··········································································· 9 

8.4 RFタグのデータロック ··································································································· 9 

8.5 消去及び書換えサイクル:RFIDへの影響·········································································· 10 

8.6 RFID及びセンサ ·········································································································· 10 

8.7 データフローの調整 ······································································································ 10 

附属書A(参考)RHMの例 ·································································································· 11 

附属書B(参考)インライン品質評価の方法············································································· 13 

附属書C(参考)使用限界を測定するプロセス管理方法 ····························································· 15 

附属書D(参考)運用上のフローチャート ··············································································· 17 

参考文献 ···························································································································· 21 

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本自動認識システム協会

(JAISA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 0525:2013 

(ISO/IEC 29133:2010) 

自動認識技術− 

リライタブルハイブリッドメディアの評価仕様 

Automatic identification and data capture techniques- 

Quality specification for rewritable hybrid media data carriers 

序文 

この規格は,2010年に第1版として発行されたISO/IEC 29133を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

一次元シンボル及び二次元シンボルは,一回書き/多数回読み(write once read memory: WORM)技術と

みなされてきた。リライタブルメディア(以下,RMという。)の台頭によって,符号化されたデータキャ

リア及び目視情報を消去し,新しい情報に書き換える機会がアプリケーションに与えられた。RMが,既

存のWORMアプリケーションに完全に統合できることを確実にすることが求められている。また,RMは,

RFID技術と組み合わせることができ,リライタブルハイブリッドメディア(以下,RHMという。)と呼

ばれている。RHMは,光学的データキャリア及びRFIDデータキャリアが統合された形として,ビジネス

アプリケーションで用いることができる。RM及びRFIDの技術では,データの書換手順が異なるため,

それぞれの書換えサイクル上で,データ(必ずしも同一ではない。)が同期していることを確実にすること

が求められている。 

RM及びRFタグは,何度も再利用できるため,紙及びカードベースの商品を用いる現在のシステムよ

りも,生涯にわたってCO2排出量が少なく,環境保全に貢献することができる。また,RMとRFIDとを

組み合わせて用いることによって,一度しか用いないラベルなどを削減することができる。 

バーコード装置及びRFID装置の製造業者,並びにこれらのデータ取得技術の利用者は,RHM及びその

構成パーツの品質に対する,客観的な評価を行うために,公開されている標準試験仕様を要求している。

この標準試験仕様は,装置及びアプリケーション標準を開発するとき,並びにデータキャリアの品質を測

定するときに参照することができ,書換えプロセスの間及びその後のプロセス管理,並びに品質保証を目

的とする品質測定機器の開発の土台となる。 

この規格では,RHMを活用するアプリケーションにおける,特定の品質要求を満たすための要求事項

及びガイドラインを提供する。RHMを複数個用いる場合,それぞれの特性は異なっており,何度も消去

及び書き換えられたアイテムの中には,新旧のアイテムが混じっている場合がある。この規格に規定する

手順は,1枚のRHMの年齢及び書換回数に関係なく,最小限の要求品質が維持されることを確実にする。 

バーコードシンボルは,バーコードリーダによって確実に復号できるような方法で作る必要がある。同

様に,RFタグを用いるときも,確実に読めるような方法で,正しく符号化する必要がある。 

この規格は,RHMの全体的な品質プロセス及び品質プロセスに関連する方法を規定している。この規

格は,様々なタイプの商品コンビネーションと統合されたRHMシステムが,正しく実現できるための品

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

質特性を規定している。 

この規格は,この技術をサポートするデータキャリア及びデバイスの相互運用性に貢献する。さらに,

この規格では,RM技術の開発が進むにつれて,新しく開発されるRMが,既存のデータキャリアと互換

性を取れるような方法として応用できるかどうかを評価する指標も提供する。 

適用範囲 

この規格は,RHM(RFタグ技術と消去可能な目視基材に書かれている一次元シンボル及び/又は二次

元シンボルとを組み合わせたもの)として適合させるために用いる方法を規定する。この規格は,商品構

成の種類として次の三つを扱う。 

− RM。すなわち,一次元又は二次元シンボルの書換え機能をもつもの。 

− RHM。すなわち,RMにRFタグが組み込まれたもの。 

− RFID技術を組み合わせたRMであるが,データキャリア同士が物理的に離れており,それぞれの符

号化プロセスがRHMシステムの一部として,統合されていることが求められるもの。 

特に,この規格では,次のことを実行する。 

a) RM及びRM装置の基本的な要求事項の規定(6.2参照)。 

b) RMに対して,画像を,繰り返して書込み及び消去するプロセス制御方法の規定(6.4参照)。 

c) RFタグ構成要素を評価する参照規格の規定(7.2及び7.3参照)。 

d) RFID構成要素に対して,繰り返して書込み及び消去するプロセス管理方法の規定(7.4参照)。 

e) バーコードシンボル体系に符号化したデータ及びRFIDデータキャリアに符号化したデータに矛盾が

ないこと,すなわち同じデータセットに由来することを確実にするための情報提供(箇条8参照)。ア

プリケーションによっては,符号化されたデータが同一の場合もあれば異なる場合もある(例えば,

一方のデータキャリアが追加的なデータを提供する。)。 

RHMと光学画像を作り出す書換装置(プリンタ)とが相互依存的であるため,適合を規定するために

は,RHMシステム全体として考慮する必要がある。したがって,関連する規格で規定する所定の印字品

質を満たす性能を規定することを求めている。 

RHMを用いた総合的なとらえ方には,もう一つの利点がある。それは,将来使われるかもしれない,

又は開発されるかもしれない媒体の種類及び“印字”技術を規定していない点である。印字技術及び媒体

の組合せが印字品質グレードを満たす限り,この規格に適合しているとみなすことができる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 29133:2010,Information technology−Automatic identification and data capture techniques

−Quality test specification for rewritable hybrid media data carriers(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS X 0500-1 自動認識及びデータ取得技術−用語−第1部:一般 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 19762-1,Information technology−Automatic identification and data 

capture (AIDC) techniques−Harmonized vocabulary−Part 1: General terms relating to AIDC(IDT) 

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS X 0500-2 自動認識及びデータ取得技術−用語−第2部:光学的読取媒体 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 19762-2,Information technology−Automatic identification and data 

capture (AIDC) techniques−Harmonized vocabulary−Part 2: Optically readable media (ORM)

(IDT) 

JIS X 0500-3 自動認識及びデータ取得技術−用語−第3部:RFID 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 19762-3,Information technology−Automatic identification and data 

capture (AIDC) techniques−Harmonized vocabulary−Part 3: Radio frequency identification (RFID)

(IDT) 

JIS X 0520 バーコードシンボル印刷品質の評価仕様−1次元シンボル 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15416,Information technology−Automatic identification and data capture 

techniques−Bar code print quality test specification−Linear symbols(IDT) 

JIS X 0523 バーコードのディジタル方式画像化及び印刷性能試験 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15419,Information technology−Automatic identification and data capture 

techniques−Bar code digital imaging and printing performance testing(IDT) 

ISO/IEC 15415,Information technology−Automatic identification and data capture techniques−Bar code 

symbol print quality test specification−Two-dimensional symbols 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 0500-1,JIS X 0500-2及びJIS X 0500-3によるほか,次に

よる。 

3.1 

RM(rewritable media) 

バーコードシンボル及び/又は人間可読データを含む光学データの書込みと消去とが繰り返してできる

もので,保護層,光学画像形成層及び基材から構成される媒体。 

3.2 

RHM(rewritable hybrid media) 

RM及びRFタグを統合した製品(又は運用上で組み合わされた)媒体。 

3.3 

RHMシステム(rewritable hybrid media system) 

“RHM”,“検証可能なデータキャリア適合を満たすプロセス管理”及び“バーコードとRFID構成要素

(データキャリアが統合又は運用上で組み合わされたもの。)とのデータの整合性”から構成されるシステ

ム。 

記号及び略語 

nm 

ナノメートル(10−9 m) 

RL 

明反射率 

Rmax 

最大反射率 

RLmin 

明反射率の中での最小値 

RD 

暗反射率 

RDmax 

暗反射率の中での最大値 

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

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Rmin 

最小反射率 

ハイブリッドメディア機能及びプロセスの解説 

RMは,バーコードシンボル及び/又は人間可読データを含む光学データの書込みと消去とが繰り返し

てできる基材である。これは,基材に光学画像形成層を組み込むことで可能となる。消去及び書換えは,

通常この二つの機能を兼ね備えた単独の装置によって行われるが,それぞれの機能に特化した個別装置の

組みによって行われることもある。 

この規格は,箇条6で規定している適合への基本的な要求事項を満たすことだけを規定するものであっ

て,システムの構成要素である基材の種類及び“印字”プロセスに対して,何ら制約を課すものではない。

技術例を附属書Aに示す。 

このRHMを用いることによって,表示技術及び無線技術の利点を活用したアプリケーションの開発を

可能にする。重要な優位性は,媒体が複数回再利用できることにある。 

注記 個別装置には,RM消去装置,RM印字装置,RFID読取装置,RFID書込装置などがある。 

RMシステムの適合試験 

6.1 

概要 

箇条6では,RMを単体として用いる場合,又はRHMの構成要素の一つとして用いる場合にも,同じ

く適用する。 

RMシステムは,RM製品と,バーコード及び/又は人間可読データを消去し,新しく書き換えること

ができる装置とによって構成する。6.2では,RMとRM専用の装置との性能に対して,適合性を要求する

(又は適合していることを明確にする。)ための手順を規定する。6.2.1及び6.2.2では,プロセス管理目的

で考慮を要する要素を規定する。最終的には,より詳細な一連のプロセス管理方法を規定している。 

6.2 

製品の適合性 

RM製品及びRM装置の製造業者は,アプリケーション設計者及び使用者が適切な製品を選択できるよ

うに,製品の型式試験を実施することを求められている。全ての適合性表明は,次の条件を満たす最小総

合印字品質グレードとして表現しなければならない。 

a) JIS X 0523に規定されている手順を用いている。 

b) 一次元シンボルの場合,JIS X 0520の手順を用いて申告し,試験目的で用いたシンボル及びX寸法を

特定する。 

c) 二次元シンボルの場合,ISO/IEC 15415の手順を用いて申告し,試験目的で用いたシンボル及びその

X寸法を特定する。 

d) (消去及び書換えサイクルの繰返しにおける)最初の印字画像には,未使用のRM製品を用いている。 

e) RM製品の製造業者によって申告された消去及び書換えサイクルの回数に基づいている。 

f) 

グレードを測定したときの,光源の波長を申告する。 

g) 試験で用いたスキャンの測定開口径を申告する。 

注記 上記f)及びg)は,b)及びc)での内容と重複しているが,この規格は,対応国際規格とのIDTで

あるため,そのまま記載した。 

6.2.1 

RMの製造業者による試験及び申告 

RMの製造業者は,どのような書換装置を選択して製品試験を実施してもよい。この装置は,試験報告

の中で製造社名及び型式コードによって識別されることが望ましい。試験報告は,6.2にある項目全てを扱

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

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わなければならず,その他の点ではJIS X 0523に適合しなければならない。 

6.2.2 

RM書換装置の製造業者による試験及び申告 

RM書換装置の製造業者は,どのようなRMを選択して装置試験を実施してもよい。この媒体は,試験

報告の中で製造社名及び型式コードによって識別されることが望ましい。試験報告は,6.2にある項目全て

を扱わなければならず,その他の点ではJIS X 0523に適合しなければならない。 

6.3 

プロセス管理項目 

RMの性質上,一次元シンボルのJIS X 0520及び二次元シンボルのISO/IEC 15415に規定された方法以

外にも考慮する必要がある事項がある。これらは,6.3.1〜6.3.5で規定する。 

6.3.1 

最小総合グレード 

JIS X 0520に規定されている方法を用いて一次元シンボルを評価するとき,又はISO/IEC 15415に規定

されている方法を用いて二次元シンボルを評価するときは,繰り返して印字される画像の最小総合印字品

質グレードをアプリケーションによって規定されたとおりにしなければならない。 

6.3.2 

シンボルコントラストのグレード付け及びアプリケーション標準 

RMによっては,高いシンボルコントラストグレードを得ることが難しい場合もある。アプリケーショ

ンが3(B)よりも高いレベルの総合グレードを要求する場合は,アプリケーション標準で追加的なアドバ

イスを提供し,シンボルコントラストを省いた総合シンボルグレードを計算する。それに加えてシンボル

コントラストに対する許容可能なグレードを規定することが望ましい。 

6.3.3 

変位幅のグレード付け及びアプリケーション標準 

RMによっては,最も高い変位幅グレードを得ることが難しい場合もある。アプリケーションが3(B)よ

りも高いレベルの総合グレードを要求する場合は,アプリケーション標準で追加的な推奨的な事項を提供

し,シンボルグレードを算出するときに変位幅を省いた総合シンボルグレードを規定し,それに加えて変

位幅に対する許容可能なグレードを規定することが望ましい。 

6.3.4 

最小反射率における要求事項 

6.4に規定しているプロセス制御方法を使用可能にするために,アプリケーションによって,基材の反射

率しきい(閾)値[最小明反射率(RLmin)]を設定しなければならない(6.4.2参照)。これは,シンボル

コントラスト及び変位幅に関する要求が満たせることを確実にするためである。 

注記 基材からの明反射率(RL)は,場所によって値が異なるが,それらの値の中で最小の値がRLmin

である。 

6.3.5 

光源の波長 

RMの光学特性に起因し,反射率の測定値は,用いるスキャナ(光学読取装置)の光源の波長によって

大きく変化する。光学システムに用いる技術及びスキャナが製造会社及び型式によって,反射率の測定値

が異なっているため,アプリケーションにおいて,走査目的に適した光源の波長について,何らかの考慮

が必要である。 

ISO/IEC 15415が提供している詳しい助言は,この規格においても,RMに印刷された一次元シンボル

及び二次元シンボルの両者に当てはまる。ISO/IEC 15415は,想定走査環境での特性と同じ特性をもつ光

源を用いて測定することを推奨している。 

プロセス制御試験(6.4参照)は,アプリケーションで定められた波長の光源を用いて行われることが望

ましい。アプリケーションで規定されていない場合,初期値を660 nmとする。 

6.4 

プロセス制御方法 

6.4.1 

プロセス制御に関する留意事項 

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.4.1.1 

JIS X 0520のプロセス制御 

JIS X 0520の附属書J(参考)が引用しているISO/IEC 15416のAnnex J (informative)は,シンボル印字

のプロセス制御について考察している。この附属書に規定されている手順は,RMに,そのまま適用する

ことはできない。なぜならば,それらの手順では,同じシンボルを,一様に均質な基材を用いて連続印字

するような状況に適用しているからである(すなわち,それらは均質なセットを形成する。)。JIS X 0520

のプロセス制御方法は,均質なセットの変動をモニタ及び制御するように設計されている。それに対して,

RMを消去して書き換えるのに用いるプロセスには,多数回又は何回か再利用されている媒体が,ランダ

ムに連続して混在している(すなわち,それらは不均質なセットを形成する。)。さらには,RMは,消去

回数及び書換回数だけでなく,想定外の損傷,使用条件などによっても影響を受ける。 

RMのための,より適切なプロセス制御方法を,次に規定する。 

6.4.1.2 

不均質性 

RMの性質は,使用に伴い,複雑に組み合わされる要因によって,品質が劣化することである。基本的

な要因は,書換えの回数であるが,データキャリアとしての媒体が,繰り返して用いられる中で,悪い環

境条件(例えば,通常使用よりも高い温度の下。)に置かれると,劣化が加速することもある。書換えのた

めに処理されたRMの集まりは,不均質である可能性があり,RMとしての品質が一枚一枚異なるため,

書換えに適さない媒体の存在を予測するのは困難である。 

6.4.1.3 

サンプリング数に関する留意事項 

各媒体の品質が均質なセットについては,緻密な試験を,少ないサンプル数で適用できるのに対し,RHM

については,簡単な試験を,より多くのサンプル数又は全数で適用することが,より適切である。6.4.2〜

6.4.5では,順を追って緻密になる一連の試験方法を特定する。それらの試験の適用範囲は,少数のサンプ

ルから全数検査までの幅がある。 

6.4.2 

反射率試験 

最も簡単な試験の一つとして,基材の地色からの明反射率(RL)を判定する方法がある。 

RLに基づいたこの基本的な方法は,消去及び書換えサイクルに用いた,RMの一枚一枚に適用すること

が望ましい。また,アプリケーションは,判定のしきい(閾)値[最小明反射率(RLmin)]を新しい基材

の反射率との比の形で設定することが望ましい。アプリケーションが設定しないときのしきい(閾)値は,

基材の最大反射率(Rmax)のマイナス10 %とする[例えば,もし,新しい基材のアプリケーションが設定

しないときのRmaxが0.83であれば,この試験での反射率しきい(閾)値は,各書換えサイクルにおいて,

0.75以上であることを示す。]。 

この反射率試験で不合格となった全てのRM印刷結果は,JIS X 0520及び/又はISO/IEC 15415で規定

する要求事項で判定することが望ましい。 

注記 この評価法は,最も簡便な方法の例である。RM又はRHMの初期の最大反射率は,RM又は

RHMを製造する時点で測定した値を製品に添付しておくと,よりよい結果が得られる場合があ

る。 

6.4.3 

シンボルコントラスト試験 

RMを再利用する場合,より適した評価は,全ての走査線における,反射率の最大値及び最小値に基づ

いて計算されたシンボルコントラストによって行うことができる。この試験は,消去前のRMに適用でき

る。もし,シンボルコントラストがアプリケーションで定められた値よりも小さければ,そのRM印刷結

果は,JIS X 0520及び/又はISO/IEC 15415に定められている要求事項で試験することが望ましい。 

任意の画像(バーコードも含まれている場合がある。)のシンボルコントラストを測定することに代わっ

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て,別の方法を考えることができる。もし,アプリケーション標準によって,印字領域に十分な余裕があ

れば,特別なマークのセットを,各書換えサイクルにおいて印字することができる。附属書Bでは,使用

されるごとに,消去よりも前に特別なマークのセットを読み取り,RMが使えないか,再利用できるかを

判断することが可能な構造を示している。 

注記1 評価プロセスは,シンボルコントラストを測ることを意図しているが,6.4.2に規定している

反射率試験に適用することもできる。 

注記2 この評価法は,RM又はRHMの表示内容を書き換えるごとに,RM又はRHMの目立たない

場所に特別なマークを印字して反射率の測定を行い,使用限界を判定する方法の例である。 

6.4.4 

使用限界判定のための新たなプロセス制御方法 

JIS X 0520の評価方法に加えて,新たな試験方法[二つの反射率値の和(Rmax−RLmin)+(RDmax−Rmin)

を用いる方法]を適用する(附属書Cを参照)。 

注記 RM又はRHMの使用限界を判定できる最も複雑な例である。この例では,最も適切な使用限

界を見つけることができる。 

6.4.5 

シンボル検証 

シンボル検証は,シンボルの品質及び/又は印字プロセスをモニタすることを主たる意図として,印字

の後にサンプル単位で適用するのが望ましい。個別のRMが使用限界に達したことを検知することを目的

として,シンボル検証を適用することは望ましくない。 

注記 サンプル単位のシンボル検証は,消去の前に適用しないことが望ましい。なぜならば,システ

ム全体の品質に寄与しないからである。 

RFタグ構成要素の適合試験 

7.1 

概要 

箇条7では,RFタグがRHMの構成要素として組み込まれる場合,又は物理的に別のデータキャリアと

してRHMシステム内(例えば,通い箱など)にある場合にも,同じく適用する。 

7.2〜7.4では,RFタグの適合性を要求するための手順を規定する。7.4.1〜7.4.3では,プロセス管理の目

的で考慮を必要とする要素を規定する。最終的に,簡易法から精密法までの一連のプロセス管理方法が規

定される。 

7.2 

製品の適合性 

RHMのアプリケーションで用いるRFタグは,ISO/IEC 18000規格群の中の特定の部に規定された適切

な技術に基づくべきであり,具体的には,用いるモード及びエアインタフェース手順の種類を特定する。 

RHM製品に用いるRFタグの製造業者は,製品の型式試験を実施して,アプリケーション設計者及び利

用者が,適切な製品を選定可能にすることを求められている。ISO/IEC TR 18047規格群に規定されている

試験手順では,RFタグの機能試験を規定している。特定のエアインタフェース手順機能試験に合格した

RFタグだけをRHM製品の構成要素として用いなければならない。このような試験は,手順に従って試験

が実施されたことの詳細を提供する,製造業者の証明書によって保証されることが望ましい。 

7.3 

RFID性能試験 

ISO/IEC 18046規格群は,RFタグの性能を測定する試験手順を規定する。ISO/IEC 18046規格群に完全

に適合させるための試験測定場所は,既定の仕様を満たす,電波暗室,接地面のある電波暗室又は所定の

オープンエリアテストサイト(OATS)であることが求められている。 

この規格の目的上,ISO/IEC 18046規格群は,RFID製品が,アプリケーションの要求する性能と比較可

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

能にする型式試験だけに用いることが望ましい。 

この規格の目的上,RHMを処理する連続的サイクルからは,RFタグ構成要素の仕様変更を要求しない。

しかし,幾つかのプロセス管理試験を7.4に規定する。 

7.4 

プロセス管理方法 

RFタグが次の7.4.1,7.4.2及び7.4.3で示すような機能を利用可能にし,その機能がアプリケーションで

要求されている場合は,次のプロセス管理方法を適用しなければならない。 

7.4.1 

RFタグの読取り及び書込み 

RFタグへの基本的な要求として,過去のサイクルのデータを読み取り,新しいデータに書き換えること

ができなければならない。いずれかの機能が果たせない場合,タグに何らかの損傷が与えられたか,又は

RFタグによっては,通常の書換禁止モードに設定されていることを示している。例えば,アプリケーショ

ンサイクルから,RFタグ内にある追加的又は代替的パスワードを発行してしまうことがある。 

この試験(7.4.1)で不合格となったいかなるタグも排除されなければならない。また,RHMシステム

の中に存在してはならない。 

7.4.2 

ロックされたメモリへの試験 

多くのRFタグは,メモリ内の選択された箇所を,アプリケーションの要求によってロックする機能を

提供する。アプリケーション標準によってロックすべきデータ及びロックすべきではないデータを特定す

ることが可能であり,アプリケーションに関係するデータに書き換えることができる。書換えの前の読取

りサイクルの中で,メモリの一部分が,アプリケーションが定めていない方法でロックされていることが

判明した場合,そのRFタグを,RHMシステムから排除しなければならない。 

注記 全てのRFタグが,製品の仕様に完全に適合している場合は,RHMの導入が容易である。異な

るロッキング機能を備えるRFタグが,基本的なエアインタフェース手順に適合している場合,

RFタグが混在すると,このような種類の合格又は不合格手順を適用することができない。 

7.4.3 

センサ機能 

RFタグの中には,センサ機能が組み込まれているものもある。ISO/IEC 18000規格群の中にある,特定

のエアインタフェース手順の標準は,どのインタフェース手順がこのセンサ機能を利用可能にするのかを

特定している。 

RFタグがセンサを利用可能にする場合,RFタグが書換え可能か又は除外すべきかを決めるために,次

の手順を適用しなければならない。 

1) センサを利用可能にする電池の出力が低い場合は,RFタグは,一時的に書換手順を中断しなければ

ならない。電池の状態は,書換手順とは別に評価され,電池が再充電又は交換できたRFタグが,

RHMプロセスに戻される。 

注記 電池を交換できるセンサ付きRFタグも存在する。 

2) センサのアラームが起動状態にある場合,RFタグは,一時的に書換手順を中断しなければならない。

そのセンサを,更なるオフライン試験手順に従ってアラームをリセットし,RFタグをRHMプロセ

スに戻すかを判断することができる。 

注記 センサによっては,再設定及びアラームのリセットが可能である。 

3) アプリケーションが書換手順に入る前に,過去のアプリケーションサイクルの履歴の確認と消去と

を要求する場合,センサメモリの履歴部分だけを選択的に読み取ることで,追加的な抜取検査を適

用できる。抜取検査では,もし,ロットの中で一つでもデータが残っているセンサが見つかれば,

そのロットはオフラインでの確認及び再処理を行って,過去の履歴が消去されることを確実にする

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ために,そのロットを切り離すことが望ましい。 

あるセンサ(ISO/IEC 24753でシンプルセンサと呼ばれているセンサ)によっては,センサに関連する

アラームが起動したときに,再設定できないものもある。RHMに含まれているRFIDシンプルセンサのア

ラームが起動してしまったものは,破棄されなければならない。 

異なるデータキャリア技術の統合に関する適合性留意事項 

8.1 

概要 

箇条8では,RFIDデータキャリアに一次元シンボル体系及び/又は二次元シンボル体系を統合させる

場合に適用する。この統合では,それらの技術の本質的な違いに対応しなければならない。この規格に関

連する光学画像(一次元シンボル体系及び/又は二次元シンボル体系)は,完全に各サイクルで消去され

書き換えられる。一方,RFIDは,選択的読取り機能,選択的書込み機能及び選択的ロッキング機能を利

用可能にしている。RFIDを用いるときは,連続的なサイクルごとに,基本的なアプリケーション要求事

項への適合を確実にする追加的な管理手順が必要になる。 

8.2 

データメモリの割当てに関する留意事項 

一次元シンボル,二次元シンボル及びRFタグに符号化されたデータが同じでも,それぞれの符号化規

則は異なる。さらに,ISO/IEC 18000規格群に規定されている,特定の種類及びモードに適合する様々な

RFタグ基本設計概念によっても符号化は異なる。 

これらの基本的な違いが,技術の異なる側面も結び付けて,アプリケーションによって利用されること

を考えると,アプリケーション設計者は,要求事項及び統合に関する技術的な課題を考慮する必要がある。 

ISO/IEC 15962に規定されている符号化規則のセットは,ISO/IEC 18000規格群のエアインタフェース

手順及びRFタグ基本設計概念の多くに適用できる。データ要求事項がアプリケーションにおいて特定さ

れるべきことを考えると,RFID符号化規則は,選択された種類のRFタグへの代表的な符号化を形づくる

ために用いることができる。この形づくるためのプロセスは,“ロックされるデータ要素”,“可変長にする

データ要素”及び“任意に選択できるデータ要素”のためのアプリケーションからの要求を考慮すること

が望ましい。 

なお,このプロセスでは,符号化するバイト数及び符号化されたメモリ容量の,どのような変動にも対

応できる,標準的な一連のメモリマップを作成することが望ましい。この情報は,プロセス設定及びRHM

としての適合要求を決めるために用いることができる。その詳細を8.3及び8.4に示す。 

8.3 

RFIDエアインタフェースコマンドの処理 

ISO/IEC 18000規格群中の一つの規格のモード又はタイプにおけるコマンド及び機能は,その他の

ISO/IEC 18000規格群と大きな違いがある。明らかではないが,ISO/IEC 18000規格群中で,関連する部

分での特定モード及びタイプ中での違いである。これらの違いは,個別のRFタグ上で起動できるような

コマンドのセットに応用できる。 

エアインタフェースコマンドを選択できる場合は,合計処理時間が最小になるように,それらを選択す

ることが望ましい。それによってRFIDの読取り及び書込みサイクルの処理時間を決定できる。 

注記 ISO/IEC 18000規格群の中では,コマンド及び機能が統一されていない。 

8.4 

RFタグのデータロック 

商業用途では,ある種のデータ要素を,ロック対象として特定できる。符号化規則は,元データを,一

連の符号化されたバイト列に変換し,ブロック状に配列させることによって,RFタグ基本設計概念の要求

を満たす。ロックされたブロックは,上記の作成手順を用いて特定できる(8.2参照)。 

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書換手順の中で,通常は,ロックされたブロックは,書き換えられない。1枚のRHMの一部であるRF

タグが再利用されるとき,決められたブロックだけがロックされなければならない。もし,他のメモリブ

ロックがロックされたときは,RFタグは誤りとみなさなければならず,RHMシステムの一部としての,

更なる利用から除外しなければならない。 

8.5 

消去及び書換えサイクル:RFIDへの影響 

画像全部が消去されそして書き換えられるような光学的媒体のプロセスとは異なり,この方法をRFID

構成要素に用いるのは,おそらく最も非効率である。RFIDの消去プロセスは,実際にはヌルビット“0”

でRFタグを書き換え,次のプロセスでは,データが次の書換えサイクルに関するアプリケーションの要

求を満たすように書かれる。 

データがロックされているかいないかに関係なく,RFIDに採用できる最も効率的な手順は,変更が必

要な実際のブロックを特定し,これらのブロックだけを変えるためのエアインタフェースコマンドを起動

することである。RFIDデータを次の書換えサイクルに向けて符号化するために,これを果たすためには,

読込み及び書込みのサイクルを一つの流れの中に入れ,近くにあるのが好ましい。RFタグのデータを全て

読み込むことで,アプリケーションは,どの情報を変える必要があるのかを決めることができる。それに

よってISO/IEC 15962に規定されているような符号化規則は,アドレス可能なブロックだけを特定するこ

とができる。 

8.6 

RFID及びセンサ 

新たに標準化を検討している選択肢として,センサをRFIDデータキャリアに組み込むというものがあ

る。ラベルをデザインするときは,RFIDセンサの詳細な形成要素を考慮する必要がある。 

RFIDセンサは,消去及びパラメタ再配置のために,独自の符号化規則及び手順をもっている。RHMに

組み込まれたRFIDも,一般的に再配置可能であるという想定ができる。そのようなセンサは,過去の事

象記録が消去されることを求め,そのようなプロセスは,RM上の光学データの消去及び書換えプロセス

とは独立して行うこともできる。もし,アプリケーションが消去及び書換えサイクル中でのセンサの再構

成を求めるのであれば,これに必要な処理時間を,全体の処理時間に含むように考慮しなければならない。 

RHMプロセスの一環でセンサを再構成することは,アプリケーションで明確に求めている場合だけで

なければならない。なぜならば,一度,センサが再構成されると,環境のサンプリングを始め,監視する

ように設計されている特性を検知し始めるからである。構成が早すぎると,誤ったセンサ履歴が残ること

になる。 

注記 センサの再構成に関する一般的な規則は,移動中の制御されていない環境の中で監視をするの

に,より適した環境である生産地点又は配送地点のいずれかで,再構成を行うことである。 

8.7 

データフローの調整 

RFタグの再符号化プロセス及び光学データキャリアの消去及び書換えプロセスは,統合されたプロセス

で調整することが望ましい。このプロセスは,箇条6及び箇条7で規定しているような品質検査を含むこ

とが望ましい。 

この規格は,RFIDの読取り及び書込みを,バーコードシンボル体系の消去及び書換えプロセスの前で

行うか又は後で行うかについては,制約を設けない。これは,商品設計及び実装の領域である。ただし,

附属書Dは,幾つかの代表的な手順をフローチャートで示す。装置製造業者は,自動的に適用されるよう

な方法で,手順を組み込むことを考慮することが望ましい。 

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附属書A 

(参考) 

RHMの例 

A.1 技術の位置付け 

RMは,光学データキャリアに,消去及び再書込みサイクルを繰り返して,異なるデータを符号化する

ことを可能にする。これは,過去に印字されたバーコードシンボルを完全に消去し,新しいシンボルに書

き換えることで実現される。さらに,RHMは,RFIDが,この商品構成に加わる。RFID構成要素は,特

定のエアインタフェースプロトコルの性能によっては,選択的に書き換えることができる。 

この技術(リライタブルハイブリッド技術)は,光学的及びRFIDで読み取れるデータに対応するAIDC

技術群の一部である。図A.1は,この規格が対象とする二つの領域(網掛けをしている領域)を示す。 

図A.1−JIS X 0525に関連する書換技術及びAIDC技術 

A.2 サーマルリライタブル技術 

広義において,RHMは,持ち運びのできる入出力基材であり,機械読取り可能なディジタルデータキ

ャリアとしての機能に加え,目視可能な書換技術の機能が融合されている基材である。書換え可能な基材

には,サーマルリライタブル,電気泳動,液晶などの電子ペーパがある。 

これらの中で,バーコードを印字するサーマルリライタブル技術及びRFIDを組み合わせたものがRHM

として知られている。図A.2は,一般的な印字消去過程を示し,消去及び印字間の状態変化を表している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.2−RHMでの状態変化 

サーマルリライタブル技術の例は,ロイコ染料に基づいている。図A.3は,その過程を示し,一連の各

状態において,画像形成層で生じる変化を表している。 

図A.3−ロイコ染料を活用したサーマルリライタブル印字及び消去プロセス 

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13 

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附属書B 

(参考) 

インライン品質評価の方法 

B.1 

概要 

この附属書では,書換えサイクルごとに交互に再生成する二つの品質評価パターンを示す。また,この

附属書は,これらのパターンに基づいたインライン品質評価プロセスも示す。 

図B.1に示すパターン(B.2参照)及び手順(B.3参照)は,符号器付きプリンタにこの評価方法を(こ

の規格に)適合する方法で組み込むことを推奨している。もし,異なるパターン,又は異なる反射率がア

プリケーションの要求を満たすために規定されるのであれば,専用の符号器付きプリンタが必要となる場

合がある。 

B.2 

品質評価パターン 

品質評価パターンを,図B.1に示す。 

図B.1−品質評価パターン 

図B.1は,パターンをそれぞれの長辺に置くことで,消去及び書換え時に,挿入方向の制約を受けない

ことを示している。最初の黒ブロックは,両方のパターンの同じ位置にある。これによって,交互に印字

するサイクルごとに,前回印字されなかった部分が黒く印字され,黒く印字されていた部分が消去される。

何度もサイクルを繰り返すと,基材の反射率が下がることが想定され,様々な箇所の反射率を測定するこ

とで,与えられたしきい(閾)値を用いて品質を評価することが可能になる。 

B.3 

符号器付きプリンタにおける評価手順 

消去プロセスの直前に設けられている,簡易的な反射率センサ又はシンボルコントラストセンサを用い

た配置を図B.2に示す。RMが前に搬送されると,黒い部分及び白い部分の反射率が測定される。もし,

白い部分の反射率(又は計算されるのであればシンボルコントラスト)がしきい(閾)値を超えない場合,

この媒体は拒否される。拒否された媒体を取り除くプロセスは,この規格の適用範囲外となる。 

パターンE 

パターンO 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.2−装置の配置 

反射率の測定に加えて,符号器付きプリンタのセンサ及び関連するロジックは,パターンE及びパター

ンOを識別できなければならない。媒体がセンサを通過するとき,パターン(例えば“E”)をプリンタの

メモリに保存する。消去の後,印字プロセスでは,もう一つのパターン(例えば“O”)に書き換える。こ

のようにして,RHMの一枚一枚は,連続してパターンEからパターンOへ又はパターンOからパターン

Eへと印字が切り換えられる。 

反射率センサの仕様を,次に示す。 

− 光源の波長: 

650 nm 

− 測定開口径: 

0.2 mm 

− 校正: 

JIS K 5600-4-5及びJIS K 5600-4-6に適合している,硫酸バリウム又は酸化マグネ 

シウムの反射率を100 %とする。 

− 反射率の確度: Rmax=±5 %,Rmin=±3 % 

印字 

プロセス 

消去 

プロセス 

パターンE 

センサ 

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附属書C 
(参考) 

使用限界を測定するプロセス管理方法 

この附属書では,RMの使用限界を評価するのに有効なプロセス管理方法を示している。RMは,印字

及び消去を繰り返していくと,様々な要因で品質が劣化していくので,ある時点で“これ以上は使えない”

と判断することが望ましい。この方法は,この規格で参照すべき規格として定めているISO/IEC 15415及

び/又はJIS X 0520の品質評価方法を置き換えるものではない。 

この附属書で説明されているプロセス管理方法は,RMの“使用限界”を知らせるという意味で,利用

者にとって有益である。 

RMには,次の特性がある。 

図C.1−RM繰返し使用時のシンボルグレードの変化 

図C.1は,SC(Symbol Contrast,Rmax−Rmin)の変化量よりもMRD(Minimum Reflectance Defference,

RLmin−RDmax)の変化量の方が概して大きいことを表している。 

注記 Rmaxが基材からの明反射率,Rminが基材が発色した部分の最小反射率,RLminが明反射率の下限

値及びRDmaxが発色部分の上限値である。これらの値から消し残り値(Rmax−RLmin)及び発色

濃度の低下値(RDmax−Rmin)を計算することができる。書換回数が増すと,消し残り値の量及

び発色濃度の低下値の量が急激に大きくなるポイント(雪崩ポイント)が現れる。雪崩ポイン

トが現れた後,更に書換回数を増やすと,印字品質総合グレードが最小の“0(F)”になる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

消し残り+濃度低下の結果(影響)は,図C.2に示すように,バーコードリーダでの読取率と比較する

ことができる。 

図C.2−消し残り+濃度低下及びバーコード読取率の比較 

図C.2は,バーコード読取率と消し残り+濃度低下との間に,強い相関があることを示している。 

注記 附属書Cは,新たな試験方法を規定するための指針を示している。 

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附属書D 
(参考) 

運用上のフローチャート 

D.1 フローチャート 

この附属書では,装置という観点から,フローチャート及びプロセスの例を示し,RFIDの読取り及び

書込みプロセスと光学的消去及び書換えプロセスとの整合を確保する。媒体発行装置でデータの同期を維

持するのは,アプリケーションの責任である。 

次のフローチャートの例は,想定し得るプロセスの順序を示している。そのプロセスは,D.2で定義さ

れている。RFIDの読取り及び書込みが入っているプロセスで,光学的データの消去及び書換えの前に完

了するものを,図D.1に示す。 

図D.1−RFIDプロセス全てが光学的プロセス全ての前にくるフローチャート 

両方のRFIDプロセスが,光学的データの消去の後に実施されるように,光学的プロセス(の方)を分

けることができるが,光学的書込みプロセスの前に済んでいる例を,図D.2に示す。 

RHMをプリンタに挿入 

搬送 

RHM目視情報を消去 

搬送 

RHM目視情報を印字 

RFIDデータを読む 

適合? 

RFIDにデータを書く 

ACK? 

RHM排出 

Yes 

Yes 

No 

No 

エラー 
で排除 

エラー 
で排除 

搬送 

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18 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.2−RFIDプロセスが二つの光学的プロセスの間にあるフローチャート 

RHMをプリンタに挿入 

搬送 

RHM目視情報を消去 

搬送 

RHM目視情報を印字 

RFIDデータを読む 

適合? 

RFIDにデータを書く 

ACK? 

RHM排出 

Yes 

Yes 

No 

No 

エラー 
で排除 

エラー 
で排除 

搬送 

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19 

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

さらに,RFIDプロセスが両方の光学的プロセスの後にくる例を,図D.3に示す。 

図D.3−RFIDプロセス全てが光学的プロセス全ての後にくるフローチャート 

D.2 プロセス 

次のa)〜i)は,フローチャートの中の簡単な説明をそれぞれ詳述している。全てのプロセスが類似して

いて,順序だけが異なるので,それぞれの詳述は図D.1の手順に従っている。このプロセスは,インライ

ン品質評価マークの使用を述べている。他の光学的品質管理プロセスは,符号器付きプリンタプロセスの

中に実装されるか,又は書換えサイクルの前か後に実行される。この手順が,書換えの後に行われる場合,

光学的に符号化されたデータ及びRFタグに符号化されたデータは,別のRHMに再度適用される。 

a) RHMをプリンタに挿入 RHMがシステムに取り込まれ,次の手順が起動できるように,1枚の媒体

が隔離される。 

b) 搬送 内部機構が,RHMを前進させて,次のプロセスを呼び起こすか,又はそのままの位置で次の

プロセスを呼び起こすかを示す。 

c) RFIDデータを読む RFタグから全てのデータを読み取る。 

d) 適合? RFタグから読み取られたデータは,アプリケーションからの要求に応じているかどうかを検

査され,要求されたブロックだけがロックされているかどうか,全メモリからデータを正しく読める

かどうかが検査される。もし,全ての条件を満たしていれば,その媒体は,次のプロセスに進み,そ

うでなければ排除される。 

e) RFIDにデータを書く 新しいデータがRFタグに書き込まれる。 

RHMをプリンタに挿入 

搬送 

RHM目視情報を消去 

搬送 

RHM目視情報を印字 

搬送 

RFIDデータを読む 

適合? 

RFIDにデータを書く 

ACK? 

RHM排出 

Yes 

Yes 

No 

No 

エラー 
で排除 

エラー 
で排除 

20 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

f) 

ACK? RFIDリーダは,書込みプロセスが完了したことを知らせるRFタグからの受信確認を待つ。

もし,YESであれば,その媒体は次のプロセスに進み,そうでなければ排除される。 

g) RHM目視情報の消去 消去プロセスが起動し,媒体表面を空白状態にする。インライン品質評価マ

ーク(附属書B参照)を用いる場合,印字品質検査は,プロセス内のこの時点よりも前に行われてい

ることになっており,使用限界を判定する数値(指標)が記録される。 

h) RHM目視新情報の印字 該当するバーコードシンボルの新しい画像は,もし,追加的な目視データ

があれば,それと一緒に媒体上に印字される。もし,インライン品質評価マークが使われる場合,そ

のマークは,次のサイクルでの指標となる。 

i) 

RHM排出 書換えプロセスが完了する。 

21 

X 0525:2013 (ISO/IEC 29133:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS K 5600-4-5 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第5節:測色(測定) 

注記 対応国際規格:ISO 7724-2,Paints and varnishes−Colorimetry−Part 2: Colour measurement(IDT) 

[2] JIS K 5600-4-6 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第6節:測色(色差の計算) 

注記 対応国際規格:ISO 7724-3,Paints and varnishes−Colorimetry−Part 3: Calculation of colour 

differences(IDT) 

[3] ISO/IEC 15962,Information technology−Radio frequency identification (RFID) for item management−Data 

protocol: data encoding rules and logical memory functions 

[4] ISO/IEC 18000-2,Information technology−Radio frequency identification for item management−Part 2: 

Parameters for air interface communications below 135 kHz 

注記 対応日本工業規格:JIS X 6351-2:2010 物品管理用RFID−第2部:135 kHz未満のエアイン

タフェース通信パラメタ(IDT)がISO/IEC 18000-2:2004に対応している。 

[5] ISO/IEC 18000-3,Information technology−Radio frequency identification for item management−Part 3: 

Parameters for air interface communications at 13,56 MHz 

注記 対応日本工業規格:JIS X 6351-3:2010 物品管理用RFID−第3部:13.56 MHzのエアインタ

フェース通信パラメタ(IDT)がISO/IEC 18000-3:2004に対応している。 

[6] ISO/IEC 18000-4,Information technology−Radio frequency identification for item management−Part 4: 

Parameters for air interface communications at 2,45 GHz 

注記 対応日本工業規格:JIS X 6351-4:2010 物品管理用RFID−第4部:2.45 GHzのエアインタフ

ェース通信パラメタ(IDT)がISO/IEC 18000-4:2004に対応している。 

[7] ISO/IEC 18000-6,Information technology−Radio frequency identification for item management−Part 6: 

Parameters for air interface communications at 860 MHz to 960 MHz 

[8] ISO/IEC 18046-2,Information technology−Radio frequency identification device performance test methods

−Part 2: Test methods for interrogator performance 

[9] ISO/IEC 18046-3,Information technology−Radio frequency identification device performance test methods

−Part 3: Test methods for tag performance 

[10] ISO/IEC TR 18047-2,Information technology−Radio frequency identification device conformance test 

methods−Part 2: Test methods for air interface communications below 135 kHz 

[11] ISO/IEC TR 18047-3,Information technology−Radio frequency identification device conformance test 

methods−Part 3: Test methods for air interface communications at 13,56 MHz 

[12] ISO/IEC TR 18047-4,Information technology−Radio frequency identification device conformance test 

methods−Part 4: Test methods for air interface communications at 2,45 GHz 

[13] ISO/IEC TR 18047-6,Information technology−Radio frequency identification device conformance test 

methods−Part 6: Test methods for air interface communications at 860 MHz to 960 MHz 

[14] ISO/IEC 24753,Information technology−Radio frequency identification (RFID) for item management−

Application protocol: encoding and processing rules for sensors and batteries