サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

1.1 目的 ···························································································································· 1 

1.2 適用分野 ······················································································································ 1 

1.3 規格の修整 ··················································································································· 2 

1.4 適合性 ························································································································· 2 

1.5 制約 ···························································································································· 2 

2 用語及び定義 ··················································································································· 3 

3 規格の適用 ······················································································································ 7 

3.1 測定プロセスの目的及び成果···························································································· 7 

3.2 規格の概要 ··················································································································· 7 

3.3 規格の構成 ·················································································································· 11 

4 アクティビティの記述 ······································································································ 13 

4.1 測定に関与することの確約及び維持 ·················································································· 13 

4.2 測定プロセスの計画 ······································································································ 14 

4.3 測定プロセスの遂行 ······································································································ 17 

4.4 測定の評価 ·················································································································· 20 

附属書A(参考)測定の情報モデル ························································································ 22 

附属書B(参考)測定プロセスの作業成果物 ············································································· 30 

附属書C(参考)測定量の選択基準例 ····················································································· 31 

附属書D(参考)情報成果物を評価する判断基準の例································································· 33 

附属書E(参考)測定プロセスの効果を評価する基準の例 ··························································· 36 

附属書F(参考)測定計画での考慮事項の例 ············································································· 37 

附属書G(参考)情報成果物の報告の手引 ··············································································· 38 

参考文献 ···························································································································· 39 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。これによって,JIS X 0141:2004は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 0141:2009 

(ISO/IEC 15939:2007) 

システム及びソフトウェア技術−測定プロセス 

Systems and software engineering-Measurement process 

序文 

この規格は,2007年に第2版として発行されたISO/IEC 15939を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある“注記”は,対応国際規格にはない事項である。 

測定は,プロセス及び製品の管理及び改善を支援する。測定は,システム及びソフトウェアライフサイ

クルの活動を管理し,プロジェクト計画の実現可能性を診断し,プロジェクト内の活動が計画に適合して

いるかを監視するための主要なツールである。また,システム及びソフトウェア測定は,製品の品質及び

組織のプロセスの成熟度を評価するときの重要分野である。測定は,二者間契約の場において,仕様書,

管理及び受入れ基準の原則を提供しており,重要度を増しつつある。 

継続して改善することには,組織内の変化を必要とする。変化の評価には,測定を必要とする。測定そ

のものは,変化を開始しない。測定は,行動を導き出すのが望ましく,単にデータを蓄積するためにだけ

採用するのではないことが望ましい。測定では,目的を明確に定義することが望ましい。 

この規格は,すべてのシステム技術分野及びソフトウェア技術分野,並びに管理分野に適用できる測定

プロセスを規定する。測定プロセスのアクティビティを定義するモデルによって,プロセスを記述してい

る。これらのアクティビティは,測定情報に関する要求事項,測定及び分析の結果の適用方法,並びに分

析結果の妥当性を確認する方法を適切に定めるために必要なものである。測定プロセスは,異なる利用者

のニーズに対して,柔軟で,修正可能で,かつ,調整可能である。 

この規格で規定された測定プロセスは,システム及びソフトウェア分野に対して記述されているが,他

の分野にも適用することができる。 

適用範囲 

1.1 

目的  

この規格は,プロジェクト全体又は組織における測定の仕組みの中で測定を特定,定義,選択,適用及

び改善するために必要なアクティビティ及びタスクを明確にする。この規格は,また,システム及びソフ

トウェア業界で共通に使用する測定用語の定義も規定している。 

この規格は,測定量の一覧でもないし,プロジェクトに適用するための測定量の推奨セットを提供する

ものでもない。この規格は,特定の情報ニーズに着目した場合,それに適した一連の測定量を定義するた

めのプロセスを明確にする。 

1.2 

適用分野 

この規格は,供給者及び取得者が利用することを意図している。供給者には,システム及びソフトウェ

ア開発,保守,統合並びに製品サポートを行う組織で一般的管理,技術管理及び品質管理の各機能を担当

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する要員を含む。取得者には,調達組織及び利用者組織で一般的管理,技術管理及び品質管理の各機能を

担当する要員を含む。 

この規格の使用方法の例を次に示す。 

− 供給者が,特定のプロジェクト又は組織の情報ニーズに合わせて測定プロセスを構築する。 

− 取得者(又は第三者機関)が,供給者の測定プロセスがこの規格に合致しているかどうかを評価する。 

− 取得者(又は第三者機関)が,取得に関連する特有の技術的な情報ニーズ及びプロジェクト管理に必

要な情報ニーズに着目して測定プロセスを構築する。 

− 取得者と供給者間との契約の中で,プロセス及び製品について交換すべき測定情報を定義する方法と

して使用する。 

1.3 

規格の修整 

この規格は,組織,企業及びプロジェクト特有のニーズを満たす測定プロセスの構成要素となるアクテ

ィビティ及びタスクの集合を規定する。修整プロセスでは,測定プロセスの目的を達成し,成果をあげる

ために,タスクに関する規定以外の記述を変更する。規定は,すべて満足する必要がある。修整において,

この規格で定義されていない新しいアクティビティ及びタスクを新たに付け加えてもよい。 

1.4 

適合性 

測定プロセスの目的を達成し,成果をあげ,箇条4で規定するタスクの中の規定すべてを満たすとき,

プロセスはこの規格に適合していると定義する。この規格を取引の条件として義務付ける組織は,この規

格で義務付けられているタスク特有の基準をすべて定めて公開する責任をもつ。 

この規格では,“なければならない”は,この規格を適用する当事者を束縛する規定に使い,“のがよい”

又は“とよい”は幾つかの可能性の中での推奨事項に使い,“してもよい”は,規格の範囲の中で許される

一連の動作を示すために使う。 

この規格に適合していることを示すために,規定を満たす適切な証拠を保持することは,組織の責任と

する。 

1.5 

制約 

この規格では,測定のための組織モデルに関していかなる仮定も規定もしていない。この規格の利用者

は,例えば,組織の中で独立した測定部門が必要か,測定部門を個々のプロジェクトの中に統合すべきか

又はプロジェクトにまたがって統合すべきかを,現在の組織構成,組織文化及び組織内で一般的となって

いる制約をもとに判断するのがよい。 

この規格では,作成すべき文書の名前,形式又は明示内容を規定する意図はない。この規格は,文書の

とりまとめ方法,すなわち,ある様式に従った文書の組合せ方法については規定していない。これらの判

断は,この規格の利用者にゆだねられている。 

測定プロセスは,組織の品質システムに適切な形で統合するのがよい。内部監査及び不適合報告全体  

は,これらが品質システムの領域内にあることを前提にしているので,それらすべてをこの規格の中に明

白に含んでいるわけではない。 

この規格は,組織内の既存の方針,標準又は手続と矛盾することを意図してはいない。しかし,どのよ

うな矛盾も解決することが望ましく,規定を無効にする条件及び状況は,この規格の適用における例外事

項として明文化しなければならない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 15939:2007,Systems and software engineering−Measurement process (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

取得者 (acquirer) 

供給者から,製品又はサービスを取得又は調達する利害関係者 (JIS X 0170:2004)。 

注記 取得者に関して通常使用される他の用語には,買い手,顧客,所有者及び購入者がある。 

2.2 

属性 (attribute) 

人手又は自動的な手段によって,定量的又は定性的に識別できる実体の特性又は特徴。 

2.3 

基本測定量 (base measure) 

単一の属性とそれを定量化するための方法とで定義した測定量。 

注記 基本測定量は,他の測定量と機能的に独立した測定量をいう。 

2.4 

データ (data) 

基本測定量,導出測定量及び/又は指標に割り当てられた値の集合。 

2.5 

データ提供者 (data provider) 

データの発信源となる個人又は組織。 

2.6 

データ蓄積 (data store) 

検索を可能にするために系統立てられ,堅固に保持されるデータ及び情報の集合。 

2.7 

判断基準 (decision criteria) 

アクション若しくは追加調査の必要性を決めるため又は与えられた結果の信頼度のレベルを記述するた

めに使う,しきい(閾)値,目標又はパターン。 

2.8 

導出測定量 (derived measure) 

複数の基本測定量の値の関数として定義した測定量。 

2.9 

実体 (entity) 

その属性を測定することによって特徴付けが行われる対象。 

注記 実体としては,プロセス,製品,プロジェクト又は資源がある。 

2.10 

指標 (indicator) 

定義された情報ニーズに関するモデルから導出した特定の属性の見積り又は評価を示す測定量。 

2.11 

指標値 (indicator value) 

指標に割り当てられた数値又は分類結果。 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.12 

情報ニーズ (information need) 

目的,目標,リスク及び問題点を管理するために必要となる見解。 

2.13 

情報成果物 (information product) 

ある情報ニーズに着目した一つ以上の指標及びそれに関連する解釈。 

例 欠陥率の実績を予測と比較して,その違いが問題となるかどうかを評価したもの。 

2.14 

測定可能な概念 (measurable concept) 

実体の属性と情報ニーズとの間の抽象的な関係。 

2.15 

測定量(名詞)[measure (noun)] 

測定の結果として値が割り当てられる変数。 

注記 “測定量”という用語は,基本測定量,導出測定量及び指標をまとめて参照するために使う。 

2.16 

測定する(動詞)[measure (verb)] 

測定を行う行為。 

注記 JIS X 0133-1:1999における定義による。 

2.17 

測定 (measurement) 

測定量の値を決定するという目的をもった操作の集合。 

2.18 

測定分析者 (measurement analyst) 

測定における計画作成,遂行,評価及び改善に対する責任をもった個人又は組織。 

2.19 

測定経験データベース (measurement experience base) 

情報成果物及び測定プロセスの評価,並びに測定プロセスを通して学んだ教訓を含んだデータ蓄積。 

2.20 

測定の関数 (measurement function) 

複数の基本測定量を結合するために遂行するアルゴリズム又は計算。 

2.21 

測定データ管理者 (measurement librarian) 

測定データを蓄積したものを管理する責任をもった個人又は組織。 

2.22 

測定方法 (measurement method) 

特定の尺度に関して属性を定量化するために使う一連の操作の論理的な順序を一般的に記述したもの。 

注記 測定方法の類型は,属性を定量化するために使う操作の性質による。これには,次の二つの類

型がある。 

主観的−人間の判断を含んだ定量化 

客観的−数値的な規則に基づいた定量化 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.23 

測定手続 (measurement procedure) 

与えられた方法に従って,ある特定の測定を遂行するときに使う具体的に記述した操作の集合。 

2.24 

測定プロセス (measurement process) 

プロジェクト全体,企業又は組織における測定の仕組みの中で測定を確立,計画,遂行及び評価するた

めのプロセス。 

2.25 

測定プロセスの責任者 (measurement process owner) 

測定プロセスに責任をもつ個人又は組織。 

2.26 

測定スポンサ (measurement sponsor) 

測定プロセスの確立を承認及び支援する個人又は組織。 

2.27 

測定利用者 (measurement user) 

情報成果物を利用する個人又は組織。 

2.28 

モデル (model) 

一つ以上の基本測定量及び/又は導出測定量をそれに関連する判断基準と結合するアルゴリズム又は計

算。 

2.29 

観測 (observation) 

基本測定量に対する値を得るために測定手続を適用する実現例。 

2.30 

運用者 (operator) 

システムを運用する実体。 

2.31 

組織単位 (organizational unit) 

測定の対象となる組織の部分。 

注記 JIS X 0145-1:2008の定義を編集している。 

2.32 

プロセス (process) 

インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。 

注記 JIS Q 9000:2006における定義による。 

2.33 

製品 (product) 

計算機プログラム,手続並びにその関連する文書及びデータを含めたまとまり。プロセスの結果。 

注記1 JIS Q 9000:2006における定義による。 

注記2 次に示す四つの一般的な製品分類がある。 

− ハードウェア(例えば,エンジン機械部品) 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− ソフトウェア(例えば,コンピュータプログラム) 

− サービス(例えば,輸送) 

− 素材製品(例えば,潤滑剤) 

ハードウェア及び素材製品は,一般に有形である一方,ソフトウェア又はサービスは一般

に無形である。ほとんどの製品は,異なる製品分類に属する要素からなる。製品をハードウ

ェア,素材製品,ソフトウェア又はサービスのいずれで呼ぶかは,その製品の支配的な要素

で決まる。 

2.34 

プロジェクト (project) 

定められた資源及び要求に従って,製品又はサービスを作り出すために実施される,定義された開始日

及び終了日がある取組み。 

注記1 JIS Q 9000:2006を基にしている。 

注記2 プロジェクトを,調整され,制御されたアクティビティからなる独自のプロセスとして見て

もよいし,JIS X 0170:2004に定義されたプロジェクトプロセス及びテクニカルプロセスのア

クティビティで構成されるものとしてもよい。 

2.35 

尺度 (scale) 

連続的若しくは離散的な値の順序集合又は分類の集合で,それに属性を対応付けるもの。 

注記 尺度の類型は,尺度上の値同士の関係による。一般には次の4種類の尺度を定義する。 

− 名義尺度 測定値は,分類した結果を示す。 

− 順序尺度 測定値は,離散的な階級に分けた結果を示す。 

− 間隔尺度 測定値は,属性の等しい量に対応して等しい距離をもつ。 

− 比尺度 

測定値は,属性の等しい量に対応して等しい距離をもち,ゼロという値は,そ

の属性に対応するものが存在しないことを示す。 

これらは,尺度の類型の例でしかない。Roberts[16]は,より多くの尺度の類型を定義してい

る。附属書Aは,尺度のそれぞれの類型の例を含んでいる。 

2.36 

サービス (service) 

製品に付随した活動,作業又は職務の遂行。 

2.37 

利害関係者 (stakeholder) 

システムに権利,もち分,請求権又は利害をもっている個人又は組織。又は関係者のニーズ及び期待に

合う特性をシステムがもつことに,権利,もち分,請求権又は利害をもっている個人又は組織。 

注記 この規格では,利害関係者とは,次のことを行う個人又は組織のことをいう。 

− 費用を負担する。 

− データを提供する。 

− 測定結果を利用する。 

− 測定プロセスに参加する。 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.38 

供給者 (supplier) 

取得者と合意して,その合意条項に基づいて製品又はサービスを提供する組織又は個人。 

注記1 供給者に関して通常使用される他の用語には,請負業者,生産者,販売者又はベンダがある。 

注記2 取得者及び供給者は,同じ組織に属していてもよい。 

2.39 

システム (system) 

一つ以上の明記された目的を達成するために編成された相互に影響する要素を組み合わせたもの。 

注記 システムとは,それが提供する製品又はサービスとみなしてもよい。 

2.40 

測定の単位 (unit of measurement) 

取決め又は慣習に従って定義し採用した特別の量で,同じ種類の他の量をそれと比較することによって,

その量の相対的な大きさを表現するためのもの。 

2.41 

利用者 (user) 

システムを利用する間,システムからの恩恵を受ける個人又はグループ。 

2.42 

値 (value) 

基本測定量,導出測定量又は指標に割り当てられた数値又は分類結果。 

規格の適用 

ここでは,測定プロセスの概要を示す。測定プロセスは,この規格の利用者が置かれている環境でこの

規格を正しく適用できるように,利用指針を提供することを目的とする。 

3.1 

測定プロセスの目的及び成果 

この規格で定義している測定プロセスは,プロセス管理が効果的に行われることを支援し,製品の品質

を客観的に示すために,組織単位内で開発されている製品及び実施されているプロセスに関連するデータ

を収集,分析及び報告することを目的とする。 

測定プロセスを実施することによって,次の結果が得られる。 

− 測定に対して,組織としての確約が確立され維持される。 

− 技術プロセス及び管理プロセスに必要な情報ニーズが特定される。 

− 情報ニーズに基づいて適切な一連の測定量が特定及び/又は開発される。 

− 測定アクティビティが特定される。 

− 特定された測定アクティビティが計画される。 

− 必要なデータが収集され,蓄積され,分析されて,その結果の意味が解釈される。 

− 情報成果物が意思決定を支援するため及び情報伝達の客観的なベースを提供するために使われる。 

− 測定プロセス及び測定量が評価される。 

− 改善結果が測定プロセスの責任者に報告される。 

3.2 

規格の概要 

この規格は,測定プロセスを導入するときに必要なアクティビティ及びタスクを定義する。アクティビ

ティとは,測定プロセスの目的(3.1参照)を達成し,成果をあげるための一連の関連タスク群のことをい

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

う。タスクとは,明確に定義された一まとまりの作業のことをいう。個々のアクティビティは,一つ以上

のタスクで構成する。この規格では,アクティビティを構成するタスクの実施方法の詳細については定め

ない。 

この規格で定義している測定プロセスのアクティビティの特性は,ISO/IEC 15288:2008及びISO/IEC 

12207:2008で定義された特性と同じものを指している。 このことは,個々のアクティビティの開始基準

及び終了基準のような特徴を,この規格では定義しないことを意味している。 

注記1 この測定プロセスは,JIS Q 9001:2000の8.2(監視及び測定)で規定する測定要求事項を補

足している。 

注記2 この規格は,ISO/IEC 15288:2008及びISO/IEC 12207:2008の測定プロセスの詳細を提供して

いる。詳しくは,アクティビティ及びタスクで提供されている。この詳細化の一部として,

責務を確立し,維持するという成果を一つ追加し,それに伴って,アクティビティ及びタス

クを追加している。この成果は,ISO/IEC 15288:2008及びISO/IEC 12207:2008のエンタプラ

イズレベルで記述している。 

測定プロセスは,図1のプロセスモデルで示している四つのアクティビティで構成する。これらのアク

ティビティを,測定プロセスの継続的なフィードバック及び改善のために順次繰り返して遂行する。図1

の測定プロセスモデルでは,品質改善活動の基本として一般的にいわれている“PDCA 

(Plan-Do-Check-Action)”サイクルを採用した。アクティビティ内でのタスクもまた,繰り返して遂行する。 

組織単位又はプロジェクトにおける“技術プロセス及び管理プロセス”は,この規格の適用範囲には含

まれないが,このようなプロセス群は,この規格に含まれているアクティビティにとって重要な外部イン

タフェースとなる。 

測定プロセスの計画及び測定プロセスの遂行という二つのアクティビティを測定プロセスの中核とみな

す。この二つのアクティビティは,主に,測定利用者の関心にこたえている。残りの二つのアクティビテ

ィは,測定の責務への関与及び維持のアクティビティ,並びに測定の評価のアクティビティであり,測定

プロセスの中核に対する基盤を与え,測定プロセスの中核に対してフィードバックを提供する。後者の二

つのアクティビティは,測定プロセスの責任者の関心にこたえている。 

図1は,測定プロセスの中核が組織の情報ニーズに基づいて実行されるということを示している。 個々

の情報ニーズに対して,測定プロセスの中核は,その情報ニーズを満足するような情報成果物を生み出す。

その情報成果物は,意思決定のベースとして組織に伝えられる。測定量と情報ニーズとの間の関連は,附

属書Aで測定情報モデルとして例付きで示される。 

この規格で定義した規定としてのアクティビティ及びタスクは,JIS X 0145-2:2008の求める要求事項 

の少なくとも能力水準1を満足する。しかし,この規格に含まれている手引は,より高い能力水準におい

て測定プロセスを実施するための基盤を提供する。 

図1に示すように,この規格で定義したプロセスは,評価アクティビティを含む。その意図は,評価及

びフィードバックが測定プロセスの基本的な構成要素であって,それらが測定プロセス及び測定の改善に

つながるのが望ましいということを強調することにある。 評価は,簡単に済ませることもできるし,能力

レベルが低い場合には無計画に行われることもあるが,能力レベルが高い場合には,測定プロセス及びそ

の成果物の品質を評価するために精ち(緻)な統計技術を用いて定量的に評価することもある。測定量は,

それが組織に提供する付加価値に基づいて評価するのが望ましく,それがもたらす利益を特定できる分野

においてだけ採用するのがよい。 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

サイクルの中に,“測定経験データベース”が含まれている。これは,過去の繰返しサイクルから得ら  

れた情報成果物,情報成果物のこれまでの評価,及び測定プロセスのこれまでの繰返しに対する評価を参

照するためにある。これには,組織単位にとって有用と分かった測定量があれば,それも含まれる。この

“測定経験データベース”の性質又は技術面については,継続的な情報の蓄積場所ということ以外には,

いかなる仮定も設けない。将来,繰り返して測定プロセスを用いるときに,“測定経験データベース”に蓄

積された成果物(例えば,情報成果物,蓄積データ及び学んだ教訓)を再利用することを意図している。 

このプロセスモデルは,繰り返して遂行されるものだが,後続の繰返しでは測定の成果物及び作業慣行

は,単に更新するだけでよい。この規格では,測定プロセスを繰り返して遂行するたびに,測定の成果物

及び作業慣行を作成し,導入する必要があるとは考えていない。この規格では,初めて(すなわち,最初

の実行で)測定プロセスを導入する場合を想定して記述している。その後の繰返しではこの記述を,文書

及び測定の作業慣行を更新する又は変更するものと解釈するのがよい。 

この規格で示している機能的役割から見た主な関係者は,利害関係者,スポンサ,測定利用者,測定分

析者,測定データ管理者,データ提供者及び測定プロセスの責任者となる。箇条2でその役割を定義する。 

測定プロセスの遂行中に多くの作業成果物を作成する。附属書Bに,作業成果物及びそれを作成するタ

スクを示す。 

background image

10 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

1

0

X

 0

1

4

1

2

0

0

9

 (I

S

O

/IE

C

 1

5

9

3

9

2

0

0

7

1

0

X

 0

1

4

1

2

0

0

9

 (I

S

O

/IE

C

 1

5

9

3

9

2

0

0

7

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1−測定プロセス 

測定経験データベース 

測定プロセスの中核 

計画内容 

技術プロセス及び

管理プロセス 

情報成果物及び

評価結果 

情報成果物及び 

効果の測定量 

情報成果物 

情報ニーズ 

測定に対する要求事項 

測定利用者のフィードバック 

確約 

JIS X 0141 の適用範囲 

改善活動 

測定の評価 (4.4) 

 
 
 

測定プロセス
の計画 (4.2) 

 
 
 

測定プロセスの 
遂行 (4.3) 

 
 

 
 

測定に関与する
ことの確約及び
維持 (4.1) 

凡例 

アクティビティ 

データの流れ 

データの蓄積 

background image

11 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3 

規格の構成 

この規格では,2段階の“4.a”でアクティビティを記述し,3段階の“4.a.b”でタスクを記述している。

4段階の“4.a.b.c”が,特定のタスクに対する規定とする。アクティビティ及びアクティビティを構成す

るタスクは,次のような構成となる。 

4.1 

測定に関与することの確約及び維持 

4.1.1 

測定に対する要求事項の受入れ 

4.1.1.1 

測定の対象範囲を明確に特定しなければならない。 

4.1.1.2 

管理者及びその補佐役は,測定について確約しなければならない。 

4.1.1.3 

確約を組織単位内で公表し,周知しなければならない。 

4.1.2 

資源の割当て 

4.1.2.1 

組織単位内で測定プロセスの責任者を任命しなければならない。 

4.1.2.2 

任命した責任者に測定プロセスの計画を立案するための資源を提供し

なければならない。 

4.2 

測定プロセスの計画 

4.2.1 

組織単位の特徴付け 

4.2.1.1 

測定量の選択及び情報成果物の解釈に関係のある組織単位の特徴を明

確に記述しなければならない。 

4.2.2 

情報ニーズの特定 

4.2.2.1 

測定のための情報ニーズを特定しなければならない。 

4.2.2.2 

特定した情報ニーズに対して優先順位を付けなければならない。 

4.2.2.3 

着目すべき情報ニーズを選択しなければならない。 

4.2.2.4 

選択した情報ニーズを文書化し,周知しなければならない。 

4.2.3 

測定量の選択 

4.2.3.1 

選択した情報ニーズを満足する測定量の候補を特定しなければならな

い。 

4.2.3.2 

測定量の候補から測定量を選択しなければならない。 

4.2.3.3 

選択した測定量について,名称,測定の単位,正式な定義,データ収集

の方法,及び情報ニーズとの関連を文書化しなければならない。 

4.2.4 

データ収集,分析及び報告手続の定義 

4.2.4.1 

蓄積方法及び検証方法を含めたデータ収集の手続を定義しなければな

らない。 

4.2.4.2 

データ分析の手続及び情報成果物の報告手続を定義しなければならな

い。 

4.2.4.3 

構成管理の手続を定義しなければならない。 

4.2.5 

情報成果物及び測定プロセスの評価基準の定義 

4.2.5.1 

情報成果物の評価基準を定義しなければならない。 

4.2.5.2 

測定プロセスの評価基準を定義しなければならない。 

background image

12 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2.6 

測定タスクに対するレビュー,承認及び資源の提供 

4.2.6.1 

作成した測定計画をレビューし,承認しなければならない。 

4.2.6.2 

計画した測定タスクを実現できる資源を確保しなければならない。 

4.2.7 

支援技術の取得及び展開 

4.2.7.1 

利用可能な支援技術を評価し,適切なものを選択しなければならない。 

4.2.7.2 

選択した支援技術を取得し,展開しなければならない。 

4.3 

測定プロセスの遂行 

4.3.1 

手続の統合 

4.3.1.1 

データの生成及び収集を関連するプロセスに統合しなければならない。 

4.3.1.2 

統合したデータの収集手続をデータ提供者に公表し,周知しなければな

らない。 

4.3.1.3 

データ分析及びその報告を関連するプロセスに統合しなければならな

い。 

4.3.2 

データ収集 

4.3.2.1 

データを収集しなければならない。 

4.3.2.2 

収集したデータは,それを検証,理解又は評価を行うために必要となる

関連情報とともに蓄積しなければならない。 

4.3.2.3 

収集したデータを検証しなければならない。 

4.3.3 

データの分析及び情報成果物の作成 

4.3.3.1 

収集したデータを分析しなければならない。 

4.3.3.2 

データの分析結果を解釈しなければならない。 

4.3.3.3 

情報成果物をレビューしなければならない。 

4.3.4 

結果の周知 

4.3.4.1 

情報成果物を文書化しなければならない。 

4.3.4.2 

情報成果物を測定利用者に周知しなければならない。 

4.4 

測定の評価 

4.4.1 

情報成果物及び測定プロセスの評価 

4.4.1.1 

情報成果物は,特定の評価基準並びに得られた情報成果物の優れた点及

び劣っている点に関する結論によって評価しなければならない。 

4.4.1.2 

測定プロセスは,特定の評価基準並びに得られた測定プロセスの優れた

点及び劣っている点に関する結論によって評価しなければならない。 

4.4.1.3 

評価から学んだ教訓を“測定経験データベース”に蓄積しなければなら

ない。 

4.4.2 

改善すべき点の特定 

4.4.2.1 

情報成果物に対する改善すべき点を特定しなければならない。 

4.4.2.2 

測定プロセスに対する改善すべき点を特定しなければならない。 

4.4.2.3 

改善すべき点を周知しなければならない。 

13 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

個々のアクティビティを構成するタスクは,タスクの一般的な遂行順序に対応して記述する。しかし,

一つのアクティビティから先行するアクティビティにさかのぼって繰り返すことがたびたび発生する。

個々のアクティビティに対応するタスクの記述順序は,必ずしもタスクの実現順序を意味してはいない。

個々のタスクごとに,そのタスクを実現するときの一つ以上の規定条件を定義する。多くのタスクに対し

て,この規定要件の解釈及びタスク実現の助けとなる“参考手引”があり,字下げをして記述している。 

タスク定義及び附属書の中にある参考情報リストは,すべてを網羅しているとは考えていない。それら

は単なる例として示している。 

アクティビティの記述 

この規格に適合した測定プロセスを導入する組織単位は,次のアクティビティを実施しなければならな

い。技術プロセス及び管理プロセスからの“測定に対する要求事項”が測定プロセスを起動する。 

4.1 

測定に関与することの確約及び維持 

このアクティビティは,次のタスクで構成する。 

a) 測定に対する要求事項の受入れ 

b) 資源の割当て 

4.1.1 

測定に対する要求事項の受入れ  

4.1.1.1 測定の対象範囲を明確に特定しなければならない。 

参考手引 測定の対象範囲には,この規格の目的達成のための組織単位を定義する。組織単位は,単

一のプロジェクト,一つの部門,企業全体,一事業所又は複数の事業所にまたがる場合が

ある。組織単位は,複数のソフトウェアプロジェクトで構成する場合,複数の支援プロセ

スで構成する場合又は両者を含む場合がある。後続して発生するすべての測定タスクは,

ここで定義した対象範囲だけに適用するのがよい。 

組織単位の範囲は,インタビュー及び組織図などの文書を調べることで特定できる。 

これに加えて,利害関係者をすべて特定するのがよい。例えば,プロジェクト管理者,

情報システム管理者又は品質管理の責任者が利害関係者となることがある。利害関係者は,

組織単位内の場合も,組織単位外の場合もある。利害関係者が測定の目的を特定するのが

よい。 

4.1.1.2 管理者及びその補佐役は,測定について確約しなければならない。  

参考手引 “測定に対する要求事項” が定義されたときに確約するのがよい(図1 参照)。 

これは,測定プロセスに必要な資源を確保すること及び確約を維持する意志表示を含む。

組織単位は,この確約を,例えば,組織単位の測定方針,責任及び義務の割当て,訓練並

びに予算及び他の資源の割当てという形で示すのがよい。また,確約が測定を要求する顧

客との契約の形をとることもある。 

4.1.1.3 確約を組織単位内で公表し,周知しなければならない。  

参考手引 例えば,組織単位内での公式発表,社内報などで公表し,周知することもある。 

4.1.2 

資源の割当て  

4.1.2.1 組織単位内で測定プロセスの責任者を任命しなければならない。  

参考手引 測定のスポンサは,能力のある個人が測定の責任者に任命されることを確認するのがよい。

能力のある個人は,配置転換,指導,訓練,外注契約及び/又は採用によって確保しても

よい。能力としては,データの収集方法,分析方法及び情報成果物の伝達方法という測定

14 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の原則についての知識を含む。最低限,次の役割に対して責任を負う要員を任命するのが

よい。 

− 測定利用者 

− 測定分析者 

− 測定データ管理者 

上に示した三つの役割は,それぞれの役割を担当するのに必要な要員数を示してはいな

い。要員数は,組織単位の規模及び構造に依存する。小さいプロジェクトの場合には,一

人でこれらすべての役割を果たすこともあり得る。 

4.1.2.2 任命した責任者に測定プロセスの計画を立案するための資源を提供しなければならない。 

参考手引 測定のスポンサは,測定のための資源確保を保証する責任を負うのがよい。この資源には,

予算措置及び要員確保を含む。アクティビティ4.2 の遂行中に資源の配置を変更してもよ

い。 

4.2 

測定プロセスの計画 

このアクティビティは,次のタスクで構成する。 

a) 組織単位の特徴付け 

b) 情報ニーズの特定 

c) 測定量の選択 

d) データ収集,分析及び報告手続の定義 

e) 情報成果物及び測定プロセスの評価基準の定義 

f) 

測定タスクに対するレビュー,承認及び資源の提供 

g) 支援技術の取得及び展開 

このアクティビティの実施中に“測定経験データベース”中の情報成果物及び評価結果を参照するのが

よい。 

測定プロセスの計画を作成するときに留意すべき項目の例を,附属書Fに示す。 

4.2.1 

組織単位の特徴付け  

4.2.1.1 

測定量の選択及び情報成果物の解釈に関係のある組織単位の特徴を明確に記述しなければなら

ない。 

参考手引 組織単位が,測定の背景を規定する。したがって,組織単位のもつ背景並びに前提及び制

約を明らかにすることが重要となる。組織のプロセス,アプリケーション領域,技術,事

業部門間のインタフェース及び組織の構造の観点から特徴付けを行うことができる。プロ

セスは,プロセスモデルの記述法を用いて特徴付けてもよい。 

このタスクは,タスク4.1.1.1と似ているが,タスク4.1.1.1で実施した対象範囲の明確化

よりも更に詳細な情報を定める。 

この後のアクティビティ及びタスクでは,組織単位の特徴を考慮に入れるのがよい。 

4.2.2 

情報ニーズの特定  

4.2.2.1 測定のための情報ニーズを特定しなければならない。 

参考手引 技術的プロセス及び管理プロセスから情報ニーズを導き出す。情報ニーズは,目的,制約,

リスク及び組織単位の問題点に基づいている。ビジネス,組織,(法律又は行政による)規

制,製品及び/又はプロジェクトの目的から情報ニーズを導き出してもよい。 

情報ニーズは,例えば“どのようにして将来のプロジェクトの生産性を見積もればよい

15 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

か”,“どのようにして設計時のソフトウェア製品品質を評価すればよいか”,“どのように

してコーディング作業の状況を把握すればよいか”などの疑問に着目したものでもよい。

リスクに関する情報ニーズを明らかにする場合に参考になるリスクに関する手引が,JIS X 

0162:2008にある。 

4.2.2.2 

特定した情報ニーズに対して優先順位を付けなければならない。 

参考手引 一般に優先順位付けは,利害関係者によって行われるか,又は利害関係者と連携して行わ

れる。特定した情報ニーズの一部だけを更に深く追求してもよい。この方法は,初めて測

定に取り組む組織単位で特に有効となる。その場合は,小規模な活動から始めるのがよい。 

優先順位付けの簡単で具体的な方法は,例えば,情報ニーズのランク付けを複数の利害

関係者に尋ねることである。それぞれの情報ニーズについてランクの平均を計算し,その

平均値をもとに順位を付ける。この順位が,情報ニーズの優先順位となる。 

4.2.2.3 

着目すべき情報ニーズを選択しなければならない。 

参考手引 優先順位を付けた情報ニーズの中で実際に測定プロセスで着目すべきものを選択する。資

源の制約及び情報ニーズの重要度・緊急度のトレードオフによってこの選択を行うのがよ

い。 

大規模な開発プロジェクトでは,測定利用者が要求しないでおくと,後で必要となる情

報は特定はされても,定義が十分でなかったり,それに対する測定プロセスが実装されて

いなかったりすることがある。 

4.2.2.4 選択した情報ニーズを文書化し,周知しなければならない。 

参考手引 文書の形式に関する条件はない。紙でも電子媒体でもよい。文書を検索可能にするだけで

よい。 

選択した情報ニーズは,すべての利害関係者に周知するのがよい。これによって,ある

データを収集する理由及びそのデータの利用方法を,利害関係者に確実に理解させること

ができる。 

4.2.3 

測定量の選択  

4.2.3.1 選択した情報ニーズを満足する測定量の候補を特定しなければならない。 

参考手引 情報ニーズ及び測定量の候補の対応関係を明確にするのがよい。対応関係は,附属書Aで

示す測定の情報モデルを利用して定めることができる。 

新しい測定量については,選択の判断(タスク4.2.3.2)ができるように十分詳細に定義

するのがよい。参考文献で示した規格には,一般に利用されているソフトウェア測定量及

びその測定量の定義に関する要求事項が示されている。 

新しい測定量は,既存の測定量を応用したものでもよい。 

4.2.3.2 測定量の候補から測定量を選択しなければならない。 

参考手引 情報ニーズの優先順位を反映して測定量を選択するのがよい。測定量の選択に利用できる

判断基準の例を附属書Cに示す。 

測定量の解釈又は正規化に必要な関連情報も考慮するのがよい。例えば,異なるソース

コードの“コード行数”を比較するときには,プログラム言語を特定しなければならない。

また,異なる要求元からの情報を比較するときには,システムの属性を明らかにするのが

よい。 

16 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2.3.3 選択した測定量について,名称,測定の単位,正式な定義,データ収集の方法,及び情報ニーズ

との関連を文書化しなければならない。  

参考手引 選択した測定量は,厳密に定義するのがよい。新しい情報ニーズを満たすために,例えば,

製品の規模測定量のような客観的な測定量も,顧客満足度に関するアンケート調査のよう

な主観的な測定量も厳密に定義するのがよい。 

測定単位の例としては,“時間(hour)”がある。 

正式な定義では,導出測定量を得るための入力となる測定量及び定数も含めて,値の計

算方法を正確に記述する。そのような定義は,“測定経験データベース”に,既に存在する

場合もあることを付け加えておく。 

データ収集の方法には,例えば,性能解析又は診断のためのデータ捕捉ツール,データ

収集の帳票,質問票がある。 

附属書Aは,測定の情報モデルを使って測定量を情報ニーズと関連付けるための手引に

なる。 

4.2.4 

データ収集,分析及び報告手続の定義 

4.2.4.1 

蓄積方法及び検証方法を含めたデータ収集の手続を定義しなければならない。 

参考手引 この手続では,データの収集方法並びに収集したデータの格納場所及び格納方法を明確に

するのがよい。データの検証は,監査で実施してもよい。定義すべき項目に関するより詳

細な参考情報を附属書Fに示す。 

4.2.4.2 

データ分析の手続及び情報成果物の報告手続を定義しなければならない。 

参考手引 この手続では,データの分析方法並びに情報成果物を報告するときの様式及び方法を明確

にするのがよい。 

データ分析に必要となるツールを特定するのがよい。統計分析の手法を選択するときの

有効な手引が,ISO/TR 10017:2003にある。 

4.2.4.3 

構成管理の手続を定義しなければならない。 

参考手引 原始データ,情報成果物,選択した情報ニーズなどの項目は,構成管理の対象とするのが

よい。構成管理の手続は,その組織単位が他の業務で利用しているものを用いてもよい。 

4.2.5 

情報成果物及び測定プロセスの評価基準の定義 

4.2.5.1 

情報成果物の評価基準を定義しなければならない。 

参考手引 この評価基準は,情報ニーズを満足させるのに十分な品質で必要とするデータを収集し分

析しているかどうかを判断できるようなものがよい。この評価基準は,プロジェクト又は

プロセスの最初に定義しておく必要があり,成功したか否かの判定に使える必要がある。 

この評価基準は,組織単位の技術的目的及び事業目的を考慮して定義する必要がある。

情報成果物の評価基準の例として,測定手続の正確性及び測定方法の信頼性がある。より

詳しい評価基準を附属書Dに示す。しかしこれ以外に,情報成果物の評価基準及び測定量

を新しく定義する必要があるかもしれない。 

注記 測定方法の信頼性とは,D.8測定方法の繰返し可能性及びD.9測定方法の再現

性を合わせた概念をいう。 

4.2.5.2 

測定プロセスの評価基準を定義しなければならない。  

参考手引 この評価基準は,組織単位の技術的目的及び事業目的を考慮して定義する必要がある。測

定プロセスの評価基準の例として,測定プロセスの適時性及び効率性がある。より詳しい

17 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

評価基準を附属書Eに示す。しかしこれ以外に,測定プロセスの評価基準及び測定量を新

しく定義する必要があるかもしれない。 

4.2.6 

測定タスクに対するレビュー,承認及び資源の提供 

4.2.6.1 作成した測定計画をレビューし,承認しなければならない。 

参考手引 測定計画作成タスクは,4.2.1から4.2.5までのすべてのタスクで構成する。作成した測定

計画には,データ収集の手続,収集データの蓄積,分析及び報告の手続,評価基準,スケ

ジュール並びに責務が含まれる。測定計画に含まれる項目の詳細な例を附属書Fに示す。 

測定計画の作成に当たっては,“測定経験データベース”の中にある適切な経験データ及

び前回の測定サイクルで提案された改善点及び変更箇所(図1の“改善活動”)を考慮する

のがよい。提案された改善点のどれを実施するかを検討するときは,既存の計画に対して

直前に変更を加えることの妥当性,変更を行うために必要となる資源及びツールの利用可

能性,測定対象プロジェクトに混乱を与える可能性などの基準を考慮するのがよい。 

測定計画が,例えば,前回の測定サイクルなどで作成済みであれば,“新規に開発する”

のではなく,それを更新するだけでよいことがある。また,測定計画が既に存在するので

あれば,附属書Fの幾つかの項目は必要ないかもしれない。例えば,更新が測定量の削除

だけならば,それを試行してみる必要はないかもしれない。 

利害関係者が測定計画をレビューし,注釈を加えるのがよい。測定のスポンサがレビュ

ーを受けた測定計画を承認するのがよい。承認することが,スポンサが測定について確約

していることの証拠となる。 

4.2.6.2 計画した測定タスクを実現できる資源を確保しなければならない。  

参考手引 組織単位の管理者が測定計画に同意し,資源を割り当てるのがよい。測定計画は,承認を

得るために何回も繰り返して修正することになるかもしれない。測定は,組織全体で実施

する前に,個別のプロジェクトで試行するとよい。それによって,事前に資源確保の見通

しを明らかにすることができる。 

4.2.7 

支援技術の取得及び展開  

4.2.7.1 利用可能な支援技術を評価し,適切なものを選択しなければならない。  

参考手引 支援技術は,例えば,自動化ツール及び訓練コースを含む。 

図表を用いたプレゼンテーションツール,データ分析ツール及びデータベースが自動化

ツールとして必要となるかもしれない。データ収集のツール,例えば,静的解析ツール及

びテスト網羅性測定ツールが必要となるかもしれない。支援技術の評価及び選択は,既存

のツールの変更及び/又は拡張並びにツールの校正及びテストを含む。 

支援技術の評価及び選択の結果,測定計画の見直しが必要になるかもしれない。 

4.2.7.2 選択した支援技術を取得し,展開しなければならない。  

参考手引 支援技術がデータ管理の基盤にかかわっている場合には,組織のセキュリティ政策及びそ

の他の機密性のための制約に応じてデータへのアクセス権を与えるとよい。 

4.3 

測定プロセスの遂行  

このアクティビティは,次のタスクで構成する。 

a) 手続の統合 

b) データ収集 

c) データの分析及び情報成果物の作成 

18 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 結果の周知 

4.2で記述したタスクで作成した計画に沿って,これらのタスクを遂行するのがよい。測定計画に含まれ

る項目の例を附属書Fに示す。 

このアクティビティの遂行中に,“測定経験データベース”の中にある情報成果物及び評価結果を参考に

するとよい。 

4.3.1 

手続の統合 

4.3.1.1 データの生成及び収集を関連するプロセスに統合しなければならない。 

参考手引 データの生成及び収集のアクティビティを円滑化するために,統合に際して現状のプロセ

スに若干の修正を加えることもあり得る。例えば,検査の調整役が各検査の終了時に準備

作業の工数記録シート及び欠陥記録を測定データ管理者に提供するように,検査プロセス

を変更する場合もある。これに応じて,検査の手続の変更が必要となる場合もある。統合

に当たっては,既存のプロセスへの影響度及び測定プロセスの必要性の兼ね合いも考慮対

象となる。既存のプロセスに中程度以上の大きな影響を与える変更は,通常,費用効果が

なく,効率又は効果が得られないこともある。既存のプロセスへの影響度は最小限にする

のがよい。 

データの生成及び収集を関連するプロセスにどこまで統合すべきかは,測定量の種別及

び情報ニーズに依存する。例えば,不定期に実施する社員の士気調査を統合する必要はほ

とんどない。しかし,毎週末の作業時間記録表への記入作業は,作業区分構成(Work 

Breakdown Structure, WBS)又は費用計算及び経理業務の手続と統合する必要がある。 

収集すべきデータには,情報成果物を評価するために特別に定義した測定量による測定

結果,又は測定プロセスの効率を評価するための測定量による測定結果もあり得る。 

4.3.1.2 

統合したデータの収集手続をデータ提供者に公表し,周知しなければならない。 

参考手引 例えば,説明会,要員教育又は組織の定期刊行物によってこの周知を行ってもよい。 

データ収集手続を周知する目的は,データの提供者が必要なデータ収集作業を的確に実

施できるようにすることにある。これは,例えば,データ収集手続の訓練によって達成で

きる。これによって,データの提供者は,要求されるデータの種別,必要とされる様式,

使用すべきツール,データの提供時期及び頻度を正確に理解できるようになる。例えば,

データ提供者は,欠陥データ用紙への記入方法の訓練を受けることによって,欠陥の分類

体系及び(切り分け作業及び修正作業のような)さまざまな作業区分の意味を正確に把握

できるようになる。 

4.3.1.3 データ分析及びその報告を関連するプロセスに統合しなければならない。 

参考手引 データ分析及びその報告は,通常定期的に実施する。そのためには,この作業を組織及び

プロジェクトの現状のプロセスに統合する必要がある。 

4.3.2 

データ収集  

4.3.2.1 データを収集しなければならない。 

参考手引 選択した属性を,所定の測定方法を用いて測定する。データ収集は,手動又は自動化した

方法で行う。例えば,要件管理ツールによって要件データベースを更新するたびに,デー

タを自動化した方法で収集するとよい。また,例えば,欠陥データ用紙に記入してそれを

測定データ管理者に送付してもらうことでデータを手動で収集することもある。 

19 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.2.2 収集したデータは,それを検証,理解又は評価を行うために必要となる関連情報とともに蓄積し

なければならない。 

参考手引 データの蓄積に当たっては,必ずしも自動化ツールを用いる必要はないことに注意する。

例えば,小さな組織で短期間に極少量の測定値を収集する場合は,紙によるデータ蓄積で

もよい。 

4.3.2.3 

収集したデータを検証しなければならない。 

参考手引 データの検証は,チェックリストを用いてデータを検査してもよい。チェックリストは,

欠落データを最小限にすること及び値に意味があることを検証できるような構成にするの

がよい。その例として,欠陥分類の妥当性を検査すること,又は構成要素の大きさが前回

入力したすべての構成要素より一けた(桁)以上ではないことを検査することがある。不

具合が生じた場合,データ提供者は,調査を受け,必要に応じて原始データを修正する。

データの範囲及びデータタイプのチェックを自動化してもよい。 

データの検証は,測定データ管理者の責任でデータ提供者とともに実施してもよい。 

4.3.3 

データの分析及び情報成果物の作成  

4.3.3.1 収集したデータを分析しなければならない。 

参考手引 分析に先立って,データを集計,変換,正規化又は再コード化してもよい。このタスクで

は,計画に基づいた指標の値を求めるためにデータを処理する。分析の精密度は,データ

及び情報ニーズの性質に応じて決定するのがよい。 

統計的分析を実施するための手引として,ISO/TR 10017:2003を用いてもよい。 

4.3.3.2 データの分析結果を解釈しなければならない。 

参考手引 測定分析者は,分析結果から何らかの最初の結論を導くとよい。しかし,分析者は,技術

上及び管理上のプロセスに直接的には携わっていない場合もあるので,他の利害関係者も

この最初の結論をレビューする必要がある(4.3.3.3を参照)。 

すべての解釈は,測定の背景を考慮して行うのがよい。 

データの分析結果,指標,その解釈及びそれらに関連する情報が情報成果物の内容とな

る。 

4.3.3.3 情報成果物をレビューしなければならない。 

参考手引 レビューは,分析及び解釈が適切で,情報ニーズを満たしていることを確認するために行

う。レビューは,非公式な“自己レビュー”であってもよいし,より公式的な検査プロセ

スであってもよい。そのようなレビューで検討すべき項目の例を附属書Gに示す。 

データ提供者及び測定利用者が共同で情報成果物をレビューするとよい。これは,情報

成果物に意味があり,かつ,できれば対処可能なことを確認するために行う。定性的な情

報は,定量的な結果の解釈を裏付けるものと考えるのがよい。 

4.3.4 

結果の周知  

4.3.4.1 情報成果物を文書化しなければならない。 

参考手引 情報成果物の報告に関する手引の例を附属書Gに示す。 

4.3.4.2 情報成果物を測定利用者に周知しなければならない。 

参考手引 情報成果物は,データの提供者,その他の利害関係者が利用できるものがよい。 

利害関係者には,要求されたときだけでなく,積極的に情報成果物をフィードバックす

るとよい。このフィードバックは,利害関係者が情報成果物及び測定プロセスを評価する

20 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ための有益な入力情報となる。 

注記 4.3.3及び4.3.4は,繰り返し遂行される典型的なタスクである。 

リスク管理プロセスへの入力として測定結果を伝える場合に参考となる手引が,JIS X 

0162:2008にある。 

4.4 

測定の評価 

このアクティビティは,次のタスクで構成する。 

a) 情報成果物及び測定プロセスの評価 

b) 改善すべき点の特定 

4.4.1 

情報成果物及び測定プロセスの評価 

4.4.1.1 情報成果物は,特定の評価基準並びに得られた情報成果物の優れた点及び劣っている点に関する

結論によって評価しなければならない。 

参考手引 情報成果物の評価は,内部的な又は独立した監査によって行ってもよい。情報成果物の評

価に対する基準の例を附属書Dに示す。評価基準は,4.2.5で定義する。 

この評価を行うための入力には,測定に用いた測定量,情報成果物及び測定利用者から

のフィードバックがある。 

情報成果物の評価として,現在の情報ニーズを満たさなくなった測定量がある場合には,

取り除いたほうがよいという結論を下すこともある。 

4.4.1.2 測定プロセスは,特定の評価基準並びに得られた測定プロセスの優れた点及び劣っている点に関

する結論によって評価しなければならない。 

参考手引 測定プロセスの評価は,内部的な又は独立した監査によって行ってもよい。測定プロセス

を評価するための基準の例を附属書Eに示す。評価基準は,4.2.5で定義している。 

測定プロセスの品質は,情報成果物の品質に影響を与える。 

この評価に対する入力には,効果の測定量,情報成果物及び測定利用者からのフィード

バックがある。 

4.4.1.3 評価から学んだ教訓を“測定経験データベース”に蓄積しなければならない。 

参考手引 学んだ教訓は,情報成果物,測定プロセス,及び評価基準自身のそれぞれについての長所・

短所,及び/又は,測定計画作成時の経験(例えば,“ある測定値を特定の頻度で収集する

ことに対して,データ提供者の強い抵抗があったこと”)という形で整理してもよい。 

4.4.2 

改善すべき点の特定  

4.4.2.1 情報成果物に対する改善すべき点を特定しなければならない。  

参考手引 情報成果物の変更の例としては,指標の表現形式の変更がある。例としては,次のものが

ある。 

− 長さから面積への変更 

注記 長さという一つの測定量を与えると,面積が自明になるものを想定している。

例えば,機器(プリンタなど)は,幅又は奥行きを指定すれば必要面積にな

る。 

− 分から時間,月又は年への変更 

− コード行数による規模測定量から機能規模測定量への変更 

− ソフトウェアの欠陥分類方法の変更 

情報成果物の変更によって,測定プロセスの変更が必要になることもある。 

21 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.4.2.2 測定プロセスに対する改善すべき点を特定しなければならない。  

参考手引 このような“改善活動”を,将来の“測定プロセスの計画作成”時のアクティビティに反

映するとよい。 

実現しようとする“改善すべき点”の選択に際し,改善すべき点に対する費用及び利益

を考慮するのがよい。改善によっては,費用対効果の面で適切でなかったり,現状の測定

プロセスで十分であったりして,改善すべき点が何もないこともある。 

4.4.2.3 改善すべき点を周知しなければならない。  

参考手引 一般には,測定プロセスの変更をそのプロセスの責任者に,情報成果物の変更を測定分析

者に報告する。 

4.4.2.1で改善すべき点が特定されない場合は,その旨を周知するのがよい。 

22 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

測定の情報モデル 

序文 

この附属書は,測定の情報モデルについて記載するものであって,規定の一部ではない。 

A.1 一般 

測定の情報モデルは,情報ニーズをそれに関係する適切な実体及び属性に結び付ける構造になっている。

実体には,プロセス,製品,プロジェクト及び資源が含まれる。測定の情報モデルは,対象となる属性を

定量化して意思決定の基礎を与える指標に変換する方法を示す。 

情報ニーズに対する適切な測定量の選択又は定義の作業は,測定可能な概念,すなわち,測定可能など

の属性が情報ニーズに関連しているのか及びそれらがどのように関連しているのかについての考え方から

始める。測定の計画作成者は,これらの属性を特定の情報ニーズに結び付ける測定の枠組みを定義する。

この測定の情報モデル(図A.1を参照)では,基本的な用語及び概念を特定する。測定モデルは,測定の

計画作成,遂行及び評価を通じて,測定の計画作成者が仕様として定める必要のある事項を決定するのに

役立つ。 

background image

23 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.1−測定の情報モデルにおける主要な関係図 

A.2 モデルの記述 

図A.1は,測定の情報モデルにおける主要な構成要素間の関係を示す。モデルは,三つのタイプの測定

量(基本測定量,導出測定量及び指標)を定義する。測定量に関する情報の内容は,このモデルの中で情

報ニーズに近づくほど多くなる。A.3で,このモデルを特定の情報ニーズに対して具体化した例を示す。

 
 
 

指標 

情報ニーズ 

基本測定量及び/又は導出測定量に

特定の分析モデルを適用することに

よって値が割り当てられる変数 

 
 

導出測定量 

 
 

導出測定量 

属性 

属性 

実体 

情報ニーズに関連

する特性 

複数の基本測定量を結合す

るためのアルゴリズム 

単一の属性に特定の測定方法

を適用することによって値が

割り当てられる変数 

属性を尺度に写像

する操作 

複数の基本測定量に特

定の測定の関数を適用

することによって値が

割り当てられる変数 

測定量及び判断基準を結合

するためのアルゴリズム 

測定可能な概念 

 
 
 
 
 
 

情報成果物 

測定方法 

測定方法 

基本測定量 

基本測定量 

 
 

測定の関数 

(分析)モデル 

 
 
 

解釈 

指標の定量的な情報を測定利用者の

言葉で記述した情報ニーズに関係付

けて行う説明 

情報ニーズを満足する測定

プロセスの実施結果 

24 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この一般化された情報モデルの個々の構成要素を次に示す。 

A.2.1 実体 

実体とは,その属性を測定することによって特徴付けすべき対象(例えば,プロセス,製品,プロジェ

クト,資源)のことをいう。システム又はソフトウェア技術における典型的な対象は,製品(例えば,設

計文書,ネットワーク,ソースコード,テストケース),プロセス(例えば,設計プロセス,テストプロセ

ス,要求分析プロセス),プロジェクト及び資源(例えば,システム技術者,ソフトウェア技術者,プログ

ラマ,テスト担当者)に分類することができる。実体は,情報ニーズに対して有意な幾つかの特性を保持

することができるものであり,実際どのような実体も,前記のカテゴリのいずれか一つ以上に分類できる。 

A.2.2 属性 

属性とは,人手又は自動的な手段によって,定量的又は定性的に識別できる実体の特性又は特徴のこと

をいう。実体は一般に多くの属性をもっているが,測定に適するものはそのうちの限られたものだけであ

る。測定の情報モデルを具体化するときの最初の段階では,測定利用者の情報ニーズに最適な属性を選び

出す。ある一つの属性を,さまざまな情報ニーズに応じた複数の測定の枠組みに対して共通に用いてもよ

い。 

A.2.3 基本測定量 

基本測定量とは,単一の属性とそれを定量化するための方法とで定義した測定量(測定量は変数で,こ

れに対して値を割り当てる。)のことをいう。基本測定量は,機能的に他の測定量と独立している。基本測

定量は,単一の属性についての情報を得る。データ収集とは,基本測定量に値を割り当てることを含む。

基本測定量の値の期待される範囲及び/又は種別を設定することは,収集したデータの品質を検証するの

に役立つ。 

A.2.3.1 測定方法 

測定方法とは,特定の尺度によって属性を定量化するために使う一連の操作の論理的な順序を一般的に

記述したものをいう。操作は,発生した事象を数え上げること,時間経過を観測することなどのアクティ

ビティを含む。同一の測定方法を多数の属性に適用してもよい。しかし,属性及び方法に関する固有の組

合せは,それぞれ異なる基本測定量を与える。測定方法の中には,複数の実現方法をもつものもある。一

つの測定手続は,ある測定方法を与えられた組織の環境の中で実現する。 

A.2.3.1.1 測定方法の類型 

測定方法の類型は,属性を定量化するために使う操作の性質による。これには,次の二つの類型がある。 

− 主観的−人間の判断を含んだ定量化。 

− 客観的−数値的な規則,例えば計数に基づいた定量化。規則は人手又は自動化した手段で実現する。 

A.2.3.1.2 尺度 

尺度とは,連続的若しくは離散的な値の順序集合又は分類の集合で,それに属性を対応付けるものをい

う。測定方法とは,属性の測定結果を尺度上の一つの値に対応付けることをいう。測定の単位は,一つの

尺度と関連していることが多い。 

A.2.3.1.2.1 尺度の類型 

尺度の類型は,尺度上の値同士の関係による。一般には次の4種類の尺度を定義する。 

注記 これらは,尺度の類型の例でしかない。Roberts[16]は,より多くの尺度の類型を定義している。 

− 名義尺度 測定値は,分類した結果を示す。例えば,欠陥を型によって分類したときに,各分類項目

に順序があることを意味してはいない。 

− 順序尺度 測定値は,離散的な階級に分けた結果を示す。例えば,欠陥に重大度レベルを割り当てる

25 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

のは階級に分けることをいう。 

− 間隔尺度 測定値は,属性の等しい量に対応して等しい距離をもつ。例えば,サイクロマティックの

複雑さは,最小値1をもち,それが一つ増えることは1本のパスが増えることを表す。ゼロという値

をもつことはできない。 

注記 サイクロマティックの複雑さとは,ソースコードの制御の流れの複雑さを表す測定量のこと

をいう。 

− 比尺度 測定値は,属性の等しい量に対応して等しい距離をもち,ゼロという値は,その属性に対応

するものが存在しないことを示す。例えば,要求事項の数について考えると,ゼロという値は,要求

事項がないことを表し,定義された追加要求事項のそれぞれは,等しい量の増分値を表すので,比尺

度になる。 

注記 ここでは要求事項の件数だけに着目し,要求事項の複雑さ及び重要度は考慮していない。ま

た,ここで要求事項ゼロとは,ある限られた期間内で測定した場合のことをいう。 

一般には,測定の方法は,与えられた属性に確実に使用できる尺度の類型に影響を与える。例えば,主

観的な測定方法では,通常は,名義尺度又は順序尺度だけを用いる。 

A.2.3.1.2.2 測定の単位 

測定の単位は,取決め又は慣習に従って定義し採用した特別の量で,同じ種類の他の量をそれと比較す

ることによってその量の相対的な大きさを表現する。同じ測定の単位で示した量だけが直接比較できる。

単位の例としては,H(時間の単位),M(長さの単位)などがある。 

A.2.4 導出測定量 

導出測定量とは,複数の基本測定量の値の関数として定義した測定量のことをいう。導出測定量は,複

数の属性又は複数の実体の同じ属性についての情報を得る。基本測定量の単なる変換(例えば,基本測定

量の平方根を求めること)は,新たな情報を加えるわけではないので,導出測定量とはならない。データ

の正規化には,基本測定量を異なった実体同士の比較に使うことのできる導出測定量に変換することも含

まれる。 

A.2.4.1 測定の関数 

関数とは,複数の基本測定量を結合するために遂行するアルゴリズム又は計算のことをいう。導出測定

量の尺度及び単位は,もとの基本測定量の尺度及び単位並びに関数によるそれらの結合方法に依存する。 

A.2.5 指標 

指標とは,定義された情報ニーズに関するモデルから導出した特定の属性の見積り又は評価を示す測定

量のことをいう。指標は,分析及び意思決定の基礎となる。これこそ測定利用者に提示すべきものとなる。

測定は,常に不完全な情報に基づいている。したがって,指標の確信度,正確性又は重要性を定量化する

ことが,実際の指標値を提示する上で必す(須)の事項となる。 

A.2.5.1 モデル 

モデルとは,一つ以上の基本測定量及び/又は導出測定量をそれに関連する判断基準と結合するアルゴ

リズム又は計算のことをいう。それは,要素となる測定量及び/又はそれらの経時的振る舞いの間の期待

される関係に対する理解又は前提条件に基づく。モデルは,定義された情報ニーズに関連した見積り又は

評価を生み出す。尺度及び測定方法は,指標を計算するために使う分析技法又はモデルの選択に影響を与

える。 

A.2.5.1.1 判断基準 

判断基準とは,アクション若しくは追加調査の必要性を決めるため,又は与えられた結果の信頼度のレ

26 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ベルを記述するために使う数値的なしきい(閾)値若しくは目標のことをいう。判断基準は,測定結果を

解釈するときの助けとなる。判断基準は,計算によって求めてもよいし,又は期待される振る舞いの概念

的な理解に基づくことでもよい。判断基準は,蓄積データ,計画及び発見的手法から導き出してもよいし,

又は統計的な管理限界若しくは統計的な信頼限界として計算してもよい。 

A.2.6 測定可能な概念 

測定可能な概念とは,実体の属性と情報ニーズとの間の抽象的な関係のことをいう。例えば,情報ニー

ズが,あるプロジェクトグループの開発生産性を目標値と比較するというものかもしれない。この場合の,

測定可能な概念とは,“開発生産性”のことをいう。この概念を評価するには,(選択した生産性のモデル

に依存した)システム又はソフトウェア製品の規模及びその製品を生産するために投入した資源量の測定

が必要となる。その他の測定可能な概念の例として,品質,リスク,実行性能,能力,成熟度及び顧客に

とっての価値がある。 

A.3 例  

次に,特定の情報ニーズに対してモデルを具体化した例を示す。これらの例は,測定に関する最良の実

践方法として推奨するために作成したものではなく,さまざまの一般的な状況で測定の情報モデルがどの

ように適用できるかを示すために作成したものである。 

A.3.1 生産性の事例 

この例では,意思決定者は,プロジェクト計画の基礎としてある特定の生産性レベルを選択する必要が

ある。測定可能な概念は,プロジェクトの生産性であって,それは投入した工数及び生産したソフトウェ

アの規模に関係する。したがって,工数及びコードがここでの測定可能な実体となる。この例では,生産

性は,過去の実績から見積可能と仮定する。データ蓄積の中にある各プロジェクトに対して,基本測定量

のためのデータ(次の図中で番号の付いている項目)を収集して導出測定量を計算する必要がある。 

生産性数値がどのようなものになったとしても,システム又はソフトウェアの生産においては,本来不

確実性があるので,見積もった生産性を正確には実現できない可能性がある。蓄積データに基づく生産性

見積りでは,実際の結果が見積値にどの程度近づくことができるかを評価するための信頼限界を計算する

ことができる。 

background image

27 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

情報ニーズ 

将来のプロジェクトの生産性を見積もる。 

測定可能な概念 

プロジェクトの生産性 

関連する実体  

1 過去のプロジェクトで生産したコード 
2 過去のプロジェクトで費やした工数 

(測定可能な)属性 

1 (ソースコードとして記述された)C++言語の文 
2 (工数を記録するための)タイムカードの欄 

基本測定量 

1 プロジェクトXのコードの行数 
2 プロジェクトXの工数 

測定方法 

1 プロジェクトXのコードの中にあるセミコロンの数を数える。 
2 プロジェクトXのタイムカードの欄を集計する。 

測定方法の類型 

1 客観的 
2 客観的 

尺度 

1 ゼロから無限大までの整数 
2 ゼロから無限大までの実数 

尺度の類型 

1 比尺度 
2 比尺度 

測定の単位 

1 行 
2 人時 

導出測定量 

プロジェクトXの生産性 

測定の関数 

プロジェクトXのコード行数を工数で除す。 

指標 

平均生産性 

モデル 

全プロジェクトの生産性の値から平均及び標準偏差を計算する。 

判断基準 

標準偏差に基づいて計算された信頼限界は,実際に平均値に近い結果が得られそ
うな度合いを示す。信頼限界が,非常に幅の広い場合,結果が平均値から大きく
離れる可能性があり,不測の事態に備える計画を立てておく必要があることを暗
示する。 

図A.2−“生産性”に対する測定の事例 

A.3.2 品質の事例 

この例では,意思決定者は,設計が行われているときに設計品質を詳細に評価する必要がある。測定可

能な概念は,生産物の品質であり,それは,生産した設計文書の量及び発見した欠陥数に関係する。した

がって,設計文書及び欠陥のリストが着目対象の実体となる。設計文書の品質は,欠陥率を計算すること

で正規化できる。レビューのときに各設計文書に対して,基本測定量に関するデータ(次の図中で番号の

付いている項目)を収集し,導出測定量を計算する必要がある。 

設計文書ごとの欠陥率は,実際には必ずしも同じではないので,各設計文書における欠陥率が平均から

許容範囲内にあるかどうかを決めるための管理限界を計算できる。 

background image

28 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

情報ニーズ 

生産物の設計時の品質を評価する。 

測定可能な概念 

生産物の品質 

関連する実体 

1 設計文書 
2 設計検査報告書 

(測定可能な)属性 

1 検査の対象となる設計文書の本文 
2 検査で発見した欠陥のリスト 

基本測定量 

1 設計文書Xの規模 
2 設計文書Xにおける欠陥数 

測定方法 

1 設計文書の本文の行数を数える。 
2 報告書で列挙された欠陥数を数える。 

測定方法の類型 

1 客観的 
2 客観的 

尺度 

1 ゼロから無限大までの整数 
2 ゼロから無限大までの整数 

尺度の類型 

1 比尺度 
2 比尺度 

測定の単位 

1 行数 
2 欠陥数 

導出測定量 

検査による欠陥密度 

測定の関数 

設計文書ごとに欠陥数を規模で除す。 

指標 

設計の欠陥密度 

モデル 

欠陥密度の値を用いて,プロセスの平均及び管理限界を計算する。 

判断基準 

管理限界の範囲外にある結果に対しては,継続して調査を行う必要がある。 

図A.3−“品質”に対する測定の事例 

A.3.3 プロジェクト進ちょく(捗)の事例 

この例では,意思決定者は,プロジェクトの進ちょく(捗)度が十分であるか否かを評価する必要があ

る。測定可能な概念は,作業の進ちょく(捗)状況であり,それは計画した作業量及び完了した作業量に

関係する。したがって,計画した作業項目(ユニット)が着目対象の実体となる。この例では,開発担当

者が作業項目ごとに進ちょく(捗)状況(完了度合い)を報告することを想定する。計画した作業項目ご

とに,基本測定量に関するデータ(次の図中で番号の付いている項目)を収集し,導出測定量を計算しな

ければならない。 

注記 ユニットとは,作業の構成単位を表す。 

各作業項目の進ちょく(捗)状況は,主観的な評価であるので,判断基準としては,統計的な管理限界

ではなく単純な数値的なしきい(閾)値を使う。 

background image

29 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

情報ニーズ 

コーディング作業の進ちょく(捗)状況を評価する。 

測定可能な概念 

作業の進ちょく(捗)状況 

関連する実体 

1 計画・スケジュール 
2 完成又は作成中のユニット 

(測定可能な)属性 

1 計画で明示したユニット 
2 ユニットのコーディング状況 

基本測定量 

1 現時点までに作成すると計画したユニット 
2 ユニットのコーディング状況 

測定方法 

1 この時点までに完了すると計画したユニットを数える。 
2 各ユニットのコーディング完了率を担当者に尋ねる。 

測定方法の類型 

1 客観的  
2 主観的 

尺度 

1 ゼロから無限大までの整数 
2 ゼロから100までの整数 

尺度の類型 

1 比尺度 
2 順序尺度 

測定の単位 

1 ユニットの数 
2 百分率 

導出測定量 

現時点までの作業進ちょく(捗)状況 

測定の関数 

現時点までに完成すると計画したすべてのユニットの完了率を加算する。 

指標 

比率で表したコーディング作業の進ちょく(捗)状況 

モデル 

現時点までの進ちょく(捗)を,現時点までに完了すると計画したモジュール
数に100を乗じた値で除す。 

判断基準 

プロジェクトがスケジュールどおりであると結論を下すためには,得られた比
率が 0.9〜1.1 の範囲にある必要がある。 

図A.4−“プロジェクト進ちょく(捗)”に対する測定の事例 

background image

30 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

測定プロセスの作業成果物 

序文 

この附属書は,測定プロセスの作業成果物について記載するものであって,規定の一部ではない。 

この附属書では,この規格で言及している作業成果物とそれを作成するアクティビティ又はタスクとを

対応付けている。ここでは,最終作業成果物だけをまとめてあり,アクティビティ又はタスクの実施中に

作成する可能性のあるすべての中間作業成果物を取り上げているわけではないことに注意を要する。 

この規格は,作成する文書の名前,書式又は記述内容を明示的に規定することを意図してはいない。ま

た,この規格は,文書の構成方法又は保管方法について規定する意図もない。これらについては,この規

格の利用者が決めることになる。 

作業成果物 

作業成果物を作成するアクティビティ及び/又はタスク 

外部で作成される作業成果物 

測定に対する要求事項 

技術プロセス及び管理プロセス 

情報ニーズ 

技術プロセス及び管理プロセス 

測定利用者からのフィードバック 

技術プロセス及び管理プロセス 

“測定プロセスの計画”で作成する作業成果物 

組織単位の特徴 

4.2.1 組織単位の特徴付け 

選択した情報ニーズ 

4.2.2 情報ニーズの特定 

選択した測定量に対して具体化した測定情
報モデル 

4.2.3 測定量の選択 

選択した測定量の定義 

4.2.3 測定量の選択 

データ収集,蓄積及び検証の手続 

4.2.4 データ収集,分析及び報告手続の定義 

データ分析及び報告の手続 

4.2.4 データ収集,分析及び報告手続の定義 

構成管理の手続 

4.2.4 データ収集,分析及び報告手続の定義 

情報成果物の評価基準 

4.2.5 情報成果物及び測定プロセスの評価基準の定義 

測定プロセスの評価基準 

4.2.5 情報成果物及び測定プロセスの評価基準の定義 

測定計画に対する承認結果 

4.2.6 測定タスクに対するレビュー,承認及び資源の提供 

選択した支援技術 

4.2.7 支援技術の取得及び展開 

“測定プロセスの遂行”で作成する作業成果物 

統合したデータ収集の手続 

4.3.1 手続の統合 

蓄積したデータ 

4.3.2 データ収集 

データ分析結果及びその解釈 

4.3.3 データの分析及び情報成果物の作成 

情報成果物 

4.3.4 結果の周知 

“測定の評価”で作成する作業成果物 

測定経験データベース(更新済み) 

4.4.1 情報成果物及び測定プロセスの評価 

評価結果 

4.4.1 情報成果物及び測定プロセスの評価 

改善活動 

4.4.2 改善すべき点の特定 

図B.1−測定プロセスの作業成果物 

31 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

測定量の選択基準例 

序文 

この附属書は,測定量の選択基準例について記載するものであって,規定の一部ではない。 

特定の情報ニーズに対応して,基本測定量,導出測定量及び指標のさまざまな組合せから適切なものを

選択してもよい。多くの選択肢の中から,特定の測定量を採用するときには,次のような基準に照らして

検討するとよい。 

− 優先順位を付けた情報ニーズとの関連 

− 組織単位内のデータ収集の実現可能性 

− データを収集し,管理する人的資源の利用可能性 

− データ収集の容易さ 

− 開発関係者に対する割込み及び関係者に生ずる混乱の度合い 

− 適切なツールの利用可能性 

− プライバシの保護 

− データ提供者の潜在的な抵抗 

− 基本測定量から導出できる指標の数 

− 測定結果を格納するために必要な記憶容量 

− 測定利用者及び測定分析者による解釈の容易さ 

− その指標を使った情報成果物の利用者数 

− 個人的な好み(例えば,人は,時折“好みの測定量”をもっている。) 

− 利用できるライフサイクルの段階 

− 目的又は情報ニーズへの測定量の適性に関する(組織単位の内部又は外部から見た)根拠及びその有

用性 

− 状況を把握できる感度(例えば,ある環境ではオブジェクト指向クラスの継承がそれほどに使われな

いために継承の深さの測定量は大きな変化を示さない。この環境ではこのような測定量はあまり意味

がない。) 

あらゆるレベルでのデータの収集,管理及び分析に必要な費用も考慮したほうがよい。費用には次のも

のを含む。 

注記 これは,IEEE Standard for a Software Quality Metrics Methodology, IEEE Std 1061-1998[17]から編集

している。 

− 測定量の運用費用:各測定量に関連する費用として,データ収集,(可能であれば)測定値の計算の自

動化,データ分析,分析結果の解釈及び情報成果物の周知のための費用がある。 

− システム又はソフトウェアプロセスの変更費用:例えば,新たなデータを収集するために,一組の測

定量を採用することが,開発プロセスの変更を引き起こすことがある。 

− 組織の変更費用:一組の測定量が,組織構造の変更をもたらすことがある。 

− 特別な設備:測定量を実際に測定するために,システム,ハードウェア及び/又はソフトウェアツー

32 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ルを設置,評価,購入,変更又は開発しなければならないことがある。 

− 訓練:品質を管理・制御する組織又はすべての開発チームに測定量の使用法及びデータ収集手続を訓

練する必要が生じることがある。ある測定量を実現するために開発プロセスを変更する場合には,そ

の変更を要員に周知しなければならない。 

33 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

情報成果物を評価する判断基準の例 

序文 

この附属書は,情報成果物を評価する判断基準の例について記載するものであって,規定の一部ではな

い。 

D.1 一般 

測定プロセスで利用する測定の枠組みの有効性は,あらかじめ定義した判断基準を用いて評価する必要

がある。次にそのような判断基準の例を挙げる(すなわち,これは完全なリストではない。)。ある判断基

準は,基本測定量,導出測定量又は指標に特有のものである。これらの判断基準の幾つかは,製品に対す

る測定量を評価するためのTS X 0111-2を変更している。次の判断基準は必ずしもお互いに独立ではない。

ある場合は,判断基準を定量的な評価に使うことができるし,他の場面では,定性的な評価が適している

かもしれない。情報成果物が契約上の承認事項の一部であれば,これらの判断基準はより一層重要なもの

になる。 

D.2 情報成果物の利用度 

測定プロセスが生み出す情報成果物を,測定が支援する管理プロセス又は技術的なプロセスにおける意

思決定に実際に利用する程度。 

例えば,測定データを用いて実施する分析の一部として,再検査のための意思決定モデルを作成しても,

検査の調整役が意思決定のためにこのモデルをほとんど使用しないならば,この情報成果物は,利用して

いないことになる。 

次に示す判断基準の多くが,情報成果物の利用度に影響を与える。 

D.3 情報成果物の信用度 

情報成果物の利用者が情報成果物で述べられた基本測定量,導出測定量,指標及び解釈に対して信用す

る程度。 

(例えば,すべてのデータ項目を追跡可能にすることによって)データの誤った使用・表記を防ぐため

の手続を設けておけば,信用度は向上する。 

分析者が,有能で,かつ,公平であり,そのことが理解されるようにすれば信用度は高まる。加えて,

評価プロセス(例えば,定例のフィードバック会議など)に測定利用者が参加するようにすれば,更に信

用度は高まる。 

注記 フィードバック会議では,情報成果物をレビューする(4.3.3.3を参照)。 

D.4 情報成果物の合目的性の実証度 

情報成果物がある特定の情報ニーズに有効であることを実証できる程度。 

指標の解釈は,実施している測定の流れ全体を考慮して行うとよい。すべての指標がすべての場面で有

効に働くわけではない。基本測定量に対するデータは,環境の違いによって収集の難易度が変わることが

ある。そのことがそのデータを用いた情報成果物の合目的性に影響を与える。このような又はこれと類似

34 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の環境では,有効性を示す証拠を積み上げることによって,情報成果物の合目的性に対する信用度を高め

ることができる。 

合目的性は,次のことを含む。 

− 測定量が,測定しようとするものをきちんと測定している程度。 

− 予測のために利用する測定量は,それが予測しようとしていることをきちんと予測できるということ

がはっきり分かるようなものでなければならない。 

情報ニーズの求めていることに対して情報成果物が理解しやすく適切なフィードバックを与えるときは,

その情報成果物は目的に合致していると判断してもよい。 

D.5 情報成果物の理解容易性 

測定利用者が,指標及びその解釈を容易に理解することができる程度。 

情報成果物が理解しにくい場合には,利用されないことが多い。これは,解釈に専門用語を使用したり,

利用者に不自然な方法で指標を示したりすることに起因する場合がある。量が多いだけで,理解のしやす

さを妨げることがある。例えば,長過ぎるレポートは,注意深く読まれないことが多い。 

D.6 指標モデルの前提条件の満足度 

指標のベースとなっているモデル本来の前提条件(例えば,データの分布,測定の尺度,測定の単位,

サンプルの大きさ)を満たしている程度。 

統計的技法は,入力データの前提条件に依存することが多い。単純な定量化技法でさえ,通常,測定し

たものに関する幾つかの前提条件に依存する。特定の状況で起こり得るこれらの前提条件からの逸脱の程

度によっては,これらの前提条件に依存する指標モデルを避けるか,少なくとも注意深く解釈したほうが

よい。 

D.7 測定手続の正確性 

基本測定量を測定するための手続が意図した測定方法に適合している程度。正確な手続は,基本測定量

の真の(又は意図した)値に近い結果を生み出す。 

測定の手続は,基本測定量を測定するための方法を実現する。これらの手続は,手続のシステム的誤り,

測定方法に本来内在するランダム誤り及び手続をきちんと実施しないことなどの問題のために,意図した

ものとは異なる結果を生み出すことがある。 

基本測定量に対する人手による手続又は自動化した方法が,測定の定義と異なることがある。例えば,

静的解析ツールが,元々文献に示されていた方法と異なる計算アルゴリズムで実現されているかもしれな

い。また,測定方法,尺度,単位などのあいまいな定義が食い違いの原因となるかもしれない。良い測定

手続でさえも,矛盾して適用すると,データの欠落又は誤ったデータの混入を発生させることがある。 

主観的な方法は,人間の解釈に依存する。例えば,質問項目の記述方法によっては,質問の意味が回答

者に伝わらなかったり,回答にバイアスをかけたりすることがある。明確で簡潔な指示は,調査の精度を

高める。 

例えば,次のようなことを確実に行うことで精度を高めることができる。 

− データの欠落度合いが,定めたしきい(閾)値の範囲内にあること。 

− 矛盾するデータ入力の数が,定めたしきい(閾)値の範囲内にあること。 

− 測定の取りこぼし度合いが,定めたしきい(閾)値の範囲内にあること(例えば,データを収集して

35 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

いない検査の数など)。 

− サンプリングの過程で不適切な選択を行わないこと(例えば,利用者満足度を評価するときに満足し

ていない利用者だけを調査すること,又は全体の生産性を決定するときに成功したプロジェクトだけ

を評価すること)。 

− すべての基本測定量をきちんと定義し,それらの定義をデータ提供者に周知すること。 

定義不十分な測定量は,不正確なデータを生み出すことが多い。測定方法の繰返し可能性及び再現性(次

を参照)もまた,測定手続の正確性に制限を加えることがある。 

D.8 測定方法の繰返し可能性 

同じ組織単位の中で同じ条件(例えば,ツール,測定を実施する個人)のもとで同じ測定方法に従って

基本測定量を繰り返し利用したときに,同一と認められる結果を得ることができる程度のこと。主観的な

測定方法は,客観的な方法より経験上繰返し可能性が低くなる傾向にある。測定のランダム誤りが繰返し

可能性を低下させる。 

D.9 測定方法の再現性 

同じ組織単位の中で異なる条件(例えば,ツール,測定を実施する個人)のもとで同じ測定方法に従っ

て基本測定量を繰り返し利用したときに,同一と認められる結果を得ることができる程度のこと。主観的

な測定方法は,客観的な方法より経験上再現性が低くなる傾向にある。測定のランダム誤りが再現性を低

下させる。 

36 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

測定プロセスの効果を評価する基準の例 

序文 

この附属書は,測定プロセスの効果を評価する基準の例について記載するものであって,規定の一部で

はない。 

E.1 

一般 

プロセスが適切かどうかは,(JIS X 0145で記述しているように)プロセス能力のアセスメントを行うこ

と,又はその効果を測定し,評価することによって判定できる。測定プロセス能力のアセスメントを行う

ための参照モデルとしてこの規格全体を利用することができるが,測定プロセスの効果の評価だけに着目

したものがこの附属書である。 

次の例は,測定プロセスの効果を評価するときに利用できる。これらの基準は,定量的な評価に利用す

ることも,定性的な評価に利用することもできる。 

次の基準は,測定プロセスの責任者の潜在的な情報ニーズとみなすことができる。この規格で規定する

測定プロセスは,測定プロセスの責任者が特定する情報ニーズに対応する情報成果物を作成するために適

用できる。 

E.2 

適時性 

測定プロセスは,測定利用者のニーズを満たすために,適切なタイミングで情報成果物を提供するのが

よい。適切なタイミングは,支援対象である管理プロセス又は技術的プロセスのスケジュールに依存する。 

E.3 

効率性 

測定プロセスの実施に際しては,提供する情報の価値以上の費用をかけないほうがよい。プロセスがよ

り効率的になれば,費用は少なくなり,より大きな費用対効果を得る。 

E.4 

欠陥の抑止 

測定プロセスは,誤ったデータ及び誤った結果の混入を最小限にし,混入したものはできる限り徹底的,

かつ,速やかに取り除くのがよい。 

E.5 

顧客満足度 

情報成果物の利用者が,情報成果物の品質(附属書D参照),並びに適時性,効率性及び欠陥の抑止に

関する測定プロセスの効果に満足しているのがよい。満足度は,提供される情報成果物の品質及び効果に

対する利用者の期待に影響される。 

E.6 

プロセス準拠性 

測定活動は,意図する測定プロセスを記述した,計画及び手続すべてに準拠して実行するのがよい。プ

ロセス準拠性は,品質管理の監査又はプロセス能力アセスメントによって判断することができる。 

37 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F 

(参考) 

測定計画での考慮事項の例 

序文 

この附属書は,測定計画での考慮事項の例について記載するものであって,規定の一部ではない。 

本体の4.2では,計画に入れるとよい主要な測定タスクについて規定した。主要な測定タスクの計画作

業及びその他の計画作業の検討結果を,測定計画として一つにまとめることができる。 

測定計画に含めてもよい項目の例を次に挙げる。 

− 組織単位の特徴 

− 事業及びプロジェクトの目的 

− 優先順位を付けた情報ニーズ,並びにそれを事業,組織,規制,製品及び/又はプロジェクトの目的

と関連付ける方法 

− 測定量の定義及び測定量と情報ニーズとの関係 

− データ収集の責任及びデータ発生源 

− データ収集のスケジュール(例えば,各検査の終了時点,毎月) 

− データ収集のためのツール及び手続(例えば,静的解析ツール実行の指示) 

− データ保管場所 

− データ検証のための要求事項 

− データ入力及び検証手続 

− 分析及び報告の頻度を含めたデータ分析計画 

− 測定計画を実施するために必要となる組織及び/又はシステム・ソフトウェアプロセスの変更 

− 情報成果物の評価基準 

− 測定プロセスの評価基準 

− データ・情報成果物についての機密性のための制約,及び機密性を保証するために必要な対応処置・

予防処置 

− パイロットプロジェクト及び組織単位全体での実施を含めた測定計画の実施に対するスケジュール及

び責任 

− データ,測定経験データベース及びデータ定義の構成管理の手続 

38 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書G 
(参考) 

情報成果物の報告の手引 

序文 

この附属書は,情報成果物報告の手引について記載するものであって,規定の一部ではない。 

情報成果物を報告する場合の一般的な基準を次に示す。 

− 結果についての限界及びその他あらゆる制限事項(例えば,導かれた結論の妥当性に対する限界) 

− データが収集された日付又は期間 

− 統計分析に使用したシステム又はソフトウェアツールの名称及び版番号 

− 結論を導くもととなった観測数 

− 使用したサンプル抽出の手順 

− 使用した分析技法の背後にある前提条件及びその前提条件から逸脱した場合の頑健性をチェックする

ために行う感度分析の結果 

− 集計演算の正確な実施方法(例えば,算術平均,加重平均) 

− 結論を導くもととなった観測の単位(例えば,検査の対象となる設計文書,構成管理の対象となる品

目) 

− 適用可能な場合,欠落データ及び例外データの処理方法 

− 適用可能な場合,データ分析におけるはずれ値の処理方法 

− 適用可能な場合,異なるデータ集合にまたがったデータの併合方法 

− 統計的な検定を行う場合に,片側又は両側のいずれの検定を用いたか 

− 統計的な検定を行う場合に用いられたアルファレベル(第一種の過誤の許容危険率) 

注記 アルファレベル 正しいにもかかわらず誤りとみなす確率 

− 統計的な検定を行う場合,p値(観測結果又は極端な結果が偶然得られる確率)の計算方法 

− 適用可能な場合,信頼区間の計算方法 

− 使用した統計手法(限界も含め) 

これらの基準に適合しない限り,情報成果物に関する経験が豊富な測定利用者でも,それを正しく解釈

し,そこから導く結論に確信をもつことは難しい。特殊なデータ分析技法に対しては,追加報告が必要に

なることもある。また,これらの詳細な報告のうち主たる報告対象者には適切でないものがある場合は,

それらは付録に含めてもよい。分析のレベルは,測定利用者又は利用者の知識レベルに応じて調整が必要

となることもある。 

39 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS Q 9000:2006 品質マネジメントシステム−基本及び用語 

注記 対応国際規格:ISO 9000:2005,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary 

(IDT) 

[2] JIS Q 9001:2000 品質マネジメントシステム−要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 9001:2000,Quality management systems−Requirements (IDT) 

[3] ISO/TR 10017:2003,Guidance on statistical techniques for ISO 9001:2000 

[4] JIS X 0001:1994 情報処理用語−基本用語 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 2382-1:1993,Information technology−Vocabulary−Part 1: Fundamental 

terms (MOD) 

[5] JIS X 0020:1992 情報処理用語(システム開発) 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 2382-20:1990,Information technology−Vocabulary−Part 20: System 

development (MOD) 

[6] ISO/IEC 9126 (all parts),Software engineering−Product quality 

注記 JIS X 0129-1:2003 ソフトウェア製品の品質−第1部:品質モデルが,ISO/IEC 9126-1: 2001

と一致している。ISO/IEC 9126の他の部は,標準仕様書(TS)を作成中である。 

[7] JIS X 0160:1996 ソフトウェアライフサイクルプロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 12207:1995,Information technology−Software life cycle processes (IDT) 

[8] JIS X 0160追補1:2007 ソフトウェアライフサイクルプロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 12207 Amendment 1:2002/Amendment 2:2004,Information technology

−Software life cycle processes (IDT) 

[9] JIS X 0135-1:20XX ソフトウェア測定−機能規模測定−第1部:概念の定義 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-1:2007,Information technology−Software measurement−

Functional size measurement−Part 1: Definition of concepts (IDT) 

[10] JIS X 0135-6:2008 ソフトウェア測定−機能規模測定−第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利

用指針 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-6:2006,Information technology−Software measurement−

Functional size measurement−Part 6: Guide for use of ISO/IEC 14143 series and related 

International Standards (IDT) 

[11] JIS X 0133-1:1999 ソフトウェア製品の評価−第1部:全体的概観 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14598-1:1998,Information technology−Software product evaluation−

Part 1: General overview (IDT) 

[12] JIS X 0170:2004 システムライフサイクルプロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15288:2002,Systems engineering−System life cycle processes (IDT) 

[13] JIS X 0145-1:2008 情報技術−プロセスアセスメント−第1部:概念及び用語 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15504-1:2004,Information technology−Process assessment−Part 1: 

Concepts and vocabulary (IDT) 

[14] JIS X 0145-2:2008 情報技術−プロセスアセスメント−第2部:アセスメントの実施 

40 

X 0141:2009 (ISO/IEC 15939:2007) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15504-2:2003,Information technology−Process assessment−Part 2: 

Performing an assessment (IDT) 

[15] JIS X 0162:2008 システム及びソフトウェア技術−ライフサイクルプロセス−リスク管理 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 16085:2006,Systems and software engineering−Life cycle processes−

Risk management (IDT) 

[16] F. Roberts. Measurement Theory with Applications to Decision Making, Utility, and the Social Sciences. 

Addison-Wesley, 1979 

[17] IEEE Std. 1061-1998, IEEE Standard for a Software Quality Metrics Methodology