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X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 2 

2 略語······························································································································· 2 

3 FSM関連規格(JIS X 0135規格類),FSMM規格及びそれらの関係 ··········································· 2 

3.1 FSM関連規格のあらまし ································································································ 2 

3.2 規格化されたFSMMのあらまし ······················································································· 4 

3.3 FSM関連規格間の関係 ··································································································· 5 

3.4 FSM関連規格の利用指針 ································································································ 8 

4 FSM及びFSの用途 ·········································································································· 8 

4.1 概略 ···························································································································· 8 

4.2 プロジェクト管理 ·········································································································· 8 

4.3 遂行管理(Performance management) ·············································································· 10 

5 FSMMの選択及び開発プロセス ························································································· 11 

5.1 概略 ··························································································································· 11 

5.2 利用目的に適したFSMMの選択 ······················································································ 11 

5.3 FSMMの開発プロセス··································································································· 14 

附属書A(参考)FSM関連規格の適用範囲 ·············································································· 16 

参考文献 ···························································································································· 21 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

JIS X 0135の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS X 0135-1 第1部:概念の定義 

JIS X 0135-2 第2部:ソフトウェア規模測定手法のJIS X 0135-1:1999への適合性評価 

JIS X 0135-6 第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利用指針 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 0135-6:2008 

(ISO/IEC 14143-6:2006) 

ソフトウェア測定−機能規模測定− 

第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利用指針 

Information technology−Software measurement−Functional size 

measurement−Part 6: Guide for use of ISO/IEC 14143 series and related 

International Standards 

序文 

この規格は,2006年に第1版として発行されたISO/IEC 14143-6を基に,技術的内容及び対応国際規格

の構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある“注記”は,対応国際規格にはない事項である。 

機能規模測定は,ソフトウェアの利用者機能要件を数値化することによってソフトウェアの規模を測定

する技法である。この概念を取り込んで出版された最初の手法は,Allan J. Albrechtが1970年代末に開発

した“ファンクションポイント法(Function Point Analysis)”である。それ以来,最初の手法の拡張版及び

変形版が数多く開発されてきた。機能規模測定に関して次に示すJIS,国際規格,標準報告書などが発行

されている。 

− JIS X 0135規格類(JIS X 0135-1:1999,JIS X 0135-2:2004,ISO/IEC TR 14143-3:2003,ISO/IEC TR 

14143-4:2002及びISO/IEC TR 14143-5:2004) 

注記 日本工業規格では,部で構成する規格がある場合,この部編成の規格全体を総称して,“規格

群”と呼ぶ。この規格では,日本工業規格になっていない標準報告書を含めて,規格全体を

総称する場合は,“規格類”と呼ぶ。また,この規格類の中では,日本工業規格になっていな

い標準報告書を,便宜上,第3部,第4部,第5部と呼ぶ。 

− JIS X 0143:2006 

− ISO/IEC 20926:2003 

− ISO/IEC 20968:2002 

− ISO/IEC 24570:2005 

この規格は,機能規模測定手法の利用者及び開発者に対して,上記の規格が互いにどのように関連し,

どのように使用すればよいかの指針を提供するために制定された。 

ソフトウェアを測定することによって得られる機能規模は,ソフトウェア並びにその開発,保守及び支

援活動の特性をより深く理解する助けとなる。機能規模及び/又は機能規模測定の定義・利用に関連する

規格は,次の三つの型に分類できる。 

a) 概念標準:概念を記述し,定義を提供する。 

b) 支援標準:機能規模測定手法の評価を支援し,機能規模測定手法が測定するソフトウェアの機能領域

の例に関する情報を提供する。 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 手法標準:具体的な機能規模測定手法を定義する。 

適用範囲 

この規格は,機能規模測定(FSM)関連規格の要約及び次の二つの間の関係を提供する。 

− FSMの枠組みを定めるJIS X 0135(ISO/IEC 14143)規格類。これは,FSMの定義及び概念を提供し,

機能規模測定手法(FSMM)の適合性評価方法及び検証方法を提供する。 

− 機能規模測定手法の規格,すなわち,JIS X 0143:2006,ISO/IEC 20926:2003,ISO/IEC 20968:2002及

びISO/IEC 24570:2005。 

この規格は,利用者が要求に合致したFSMMを選択する場合及びFSMMの開発者がFSMMを開発する

場合の助けとなるプロセスも提供する。さらに,この規格は,機能規模(FS)の利用方法の指針も提供す

る。FSMMには,JIS X 0143:2006,ISO/IEC 20926:2003,ISO/IEC 20968:2002及びISO/IEC 24570:2005を

含むが,これらに限定されない。 

注記1 FSMMは,JIS X 0135-1の必す(須)要求事項に適合したソフトウェア規模測定手法である。

特定のFSMMの推奨は,この規格の適用範囲外である。 

この規格の利用者は,FSMの利用者及び潜在的利用者,並びにFSMMの開発者である。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 14143-6:2006,Information technology−Software measurement−Functional size  

measurement−Part 6: Guide for use of ISO/IEC 14143 series and related International Standards 

(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを

示す。 

略語 

この規格で用いる主な略語は,次による。 

BFC 基本機能要素(Base Functional Component) 

FS 機能規模(Functional Size) 

FSM 機能規模測定(Functional Size Measurement) 

FSMM 機能規模測定手法(Functional Size Measurement Method) 

FUR 利用者機能要件(Functional User Requirements) 

RUR 参照利用者要件(Reference User Requirements) 

FSM関連規格(JIS X 0135規格類),FSMM規格及びそれらの関係 

3.1 

FSM関連規格のあらまし 

3.1.1 

概略 

ファンクションポイント法は,1970年代終わりに確立され,その後,世界中で使用されてきている。そ

の間,代替手法が派生及び考案されてきた。これらの手法のソフトウェアを測定する規則は様々であるが,

すべての手法がソフトウェアのFURの測定に焦点を当てている。 

JIS X 0135-1は,FSM及びFSMMの概念を定義している。JIS X 0135規格群の第2部以降は,FSMMを

評価するために作成された。 

以降に,FSM関連規格のあらましを示す。 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 附属書AにFSM関連規格の“適用範囲”の写しが示されている。 

3.1.2 

JIS X 0135-1 

JIS X 0135-1は概念標準であり,支援標準及び手法標準に分類されるほかの規格並びに標準報告書のよ

りどころとなっている。 

JIS X 0135-1は,JIS X 0135規格類の基礎となる規格であり,次に示す内容を含んでいる。 

a) 定義 

b) FSMMの特性 

c) FSMMの要求事項 

d) FSMMを適用するプロセス 

e) FSMMの命名規約 

3.1.3 

JIS X 0135-2 

JIS X 0135-2は,支援標準である。 

JIS X 0135-2は,FSMM候補がJIS X 0135-1に適合しているかどうかを評価するプロセスを定義してい

る。適合性評価は,JIS X 0135-2を利用せずに行うことも可能であるが,JIS X 0135-2を利用することが

望ましい。 

JIS X 0135-2は,次に示す内容を含んでいる。 

a) 評価員の特性 

b) 適合性評価への入力 

c) 適合性評価手順の作業手順 

d) 適合性評価の成果物 

e) 適合性評価結果 

加えて,次の附属書がある。 

− 評価員の能力(参考) 

− 適合性評価チェックリストの例(参考) 

− 適合性評価報告書の例(参考) 

3.1.4 

ISO/IEC TR 14143-3 

ISO/IEC TR 14143-3は,支援標準である。 

どのFSMMが自分のニーズに最も合致しているかを評価したい利用者,又は自分が開発したFSMMが

意図する能力を発揮するかどうかを評価したいFSMM開発者に対して,ISO/IEC TR 14143-3はFSMMの

能力特性を検証するプロセスを提供する。FSMMの検証方法は多々あるが,ISO/IEC TR 14143-3を利用す

ることが望ましい。 

ISO/IEC TR 14143-3は,次に示す内容を含んでいる。 

a) 検証チームに必要な能力及び責任 

b) 検証への入力 

c) 検証手順 

d) 検証の成果物 

加えて,次の附属書がある。 

− 試験要求項目の記述方法(規定) 

− 検証手法(規定) 

− 検証報告書の例(参考) 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1.5 

ISO/IEC TR 14143-4 

ISO/IEC TR 14143-4は,支援標準である。 

この標準報告書は,複数のFSMMによるFSMの結果を比較する場合に有用である標準的なRURの組合

せを提供する。また,この標準報告書には,参照FSMMを選択するための指針を含む。この標準報告書を

ISO/IEC TR 14143-3とともに用いることによって,FSMMの能力についての定量的,かつ,基準となる根

拠を得ることができる。 

ISO/IEC TR 14143-4は,次に示す要件を含んでいる。 

a) RUR 

b) 参照FSMM 

加えて,次のRUR例を附属書に含んでいる。 

− 業務アプリケーションRUR(規定) 

− リアルタイム及び制御RUR(規定) 

− RUR参考文献一覧(参考) 

3.1.6 

ISO/IEC TR 14143-5 

ISO/IEC TR 14143-5は,支援標準である。 

この標準報告書は,あるソフトウェアが所属する機能領域(ソフトウェア種別)又は(JIS X 0135-1の

要求事項に基づき)FSMMが適用可能であると宣言する機能領域(ソフトウェア種別)を示すために制定

された。 

この標準報告書は,機能領域の特性及びFURの特性から機能領域を決定するための手順を明らかにする

ことによって,機能領域を決めるための手段を提供する。これらの原則を実装する手法の事例を2件,附

属書に提供している。 

ISO/IEC TR 14143-5は,機能領域を定義するプロセスを提供する。 

ISO/IEC TR 14143-5は,次に示す内容を含んでいる。 

a) 機能領域に対する一般的な要求事項 

b) 機能領域の特性に対する一般的な要求事項 

c) 所与のFURに対する機能領域の決定手法 

d) あるFSMMが特定の機能領域に適用可能かどうかの決定手法 

e) 機能領域分類手法の事例 

加えて,次の機能領域分類手法の事例を附属書に含んでいる。 

− 機能領域を決定するためのCHAR手法(参考) 

− 機能領域を決定するためのBFC型手法(参考) 

3.2 

規格化されたFSMMのあらまし 

3.2.1 

手法標準 

ISO/IECは,次の四つのFSMMの規格を提供している。 

a) ISO/IEC 19761(COSMIC−FFP法)[JIS X 0143(IDT)] 

b) ISO/IEC 20926(IFPUG法) 

c) ISO/IEC 20968(MkⅡ法) 

d) ISO/IEC 24570(NESMA法) 

注記 FSMMは,“ファンクションポイント法”を含む機能規模測定手法の総称である。 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.2.2 

ISO/IEC 19761(COSMIC-FFP法)[JIS X 0143(IDT)] 

JIS X 0143は,COSMICフルファンクションポイント(COSMIC−FFP)法を規格化したものである。こ

のFSMMは,ソフトウェアを,エントリ(データ入力型,E),エグジット(データ出力型,X),読込み

(データ読込型,R)及び書込み(データ書込型,W)に分類されるデータ移動の機能プロセスから構成

されるものと想定している。COSMIC-FFP手法では,測定単位はCOSMIC-FFP手法によって認識されるデ

ータ移動の実体である四つの型のいずれかとなる。 

このFSMMは,経営情報システム(MIS)型ソフトウェア及びリアルタイム型ソフトウェアのいずれに

も適用可能であると宣言している。 

注記 The Common Software Measurement International Consortium(COSMIC)がCOSMIC-FFP法を維持

管理している。 

3.2.3 

ISO/IEC 20926(IFPUG法) 

ISO/IEC 20926は,未調整IFPUG 4.1機能規模測定手法を規格化したものである。このFSMMは,ソフ

トウェアを,外部入力(EI),外部出力(EO),外部照会(EQ),内部論理ファイル(ILF)及び外部インタ

フェースファイル(EIF)に分類されるBFC型から構成されるものと想定している。 

これらの五つの要素は,FSMのためのBFCである。 

このFSMMは,すべての種類のソフトウェアに適用可能であると宣言している。 

注記 The International Function Point Users Group(IFPUG)がIFPUG法を維持管理している。 

3.2.4 

ISO/IEC 20968 

ISO/IEC 20968は,MkⅡファンクションポイント法(MkⅡ法)を規格化したものである。このFSMM

は,ソフトウェアを,論理トランザクションから構成されるものと想定し,入力データ要素型(Ni),参照

エンティティ型(Ne)及び出力データ要素型(No)の数を測定する。 

このFSMMは,論理トランザクションを特定できるすべての種類のソフトウェアに適用可能であると宣

言している。 

注記 The United Kingdom Software Metrics Association(UKSMA)がMkⅡ法を維持管理している。 

3.2.5 

ISO/IEC 24570 

ISO/IEC 24570は,NESMAファンクションポイント法(NESMA法)を規格化したものである。この手

法は,次に示すソフトウェア規模計測の付加的手法を含んでいる点を除いては,IFPUG法に極めて類似し

ている。 

a) ファンクションポイント概算法(The estimated function point count) 

b) ファンクションポイント試算法(The indicative function point count) 

これらの二つの手法は,ソフトウェア開発の初期局面での利用のために用意されている。 

このFSMMは,すべての種類のソフトウェアに適用可能であると宣言している。 

注記 The Netherlands Software Metrics Users Association(NESMA)がNESMA法を維持管理している。 

3.3 

FSM関連規格間の関係 

ここでは,FSM関連規格間の関係を示す。 

JIS X 0135-1は,FSMを規定するとともに,FSMMの特性及びソフトウェア規模計測手法が規格に適合

したFSMMとして認められるための要求事項を示す。JIS X 0135-1は,FSM関連規格の基礎となる規格で

ある。 

FSMMの利用者は,最もニーズに合うと思われる手法に対して,まずJIS X 0135-1に適合していること

を確認し,次に利用者が要求する能力をもっていることを検証する,という評価を行う必要がある。FSMM

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

候補は,JIS X 0135-1の必す(須)要求事項に適合していることが検証された場合に限り,FSMMである

と宣言できる。 

検証方法は多数あるが,JIS X 0135-2を利用することが望ましい。JIS X 0143,ISO/IEC 20926,ISO/IEC 

20968及びISO/IEC 24570は,JIS X 0135-1の必す(須)要求事項に適合していることが検証されたFSMM

である。 

FSMM候補がJIS X 0135-2を用いてFSMMであると検証されたとき,そのFSMMの能力は,ISO/IEC  

TR 14143-3を用いて評価される。 

FSMMの能力を評価するとき,標準的なFURの組をそのFSMMに適用することが有用である。ISO/IEC 

TR 14143-4は,そのような標準的なFURを含むRURを提供する。ISO/IEC TR 14143-4は,また同様に,

FSMM間の比較を行うための測定事例の入手方法を提供する。 

FSMMの利用者又は開発者にとって重要な要求は,測定しようとするソフトウェアが属する機能領域に

対して,そのFSMMが適用可能であるかどうかを特定できることである。ISO/IEC TR 14143-5は,機能

領域の定義方法を示す。 

この規格は,FSM関連規格利用のための指針を与えるとともに,FSMMの利用者がニーズに最も合致す

るFSMMを選択するための支援プロセスを与える。 

図1に,ここで示したFSM関連規格間の関係を示す。 

background image

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS X 0135-1への

適合性評価

能力特性に関する検証

用途に適した

FSMMの選択

FSMM

規格化された既存のFSMM

プロセス

組合せ

他の規格,プロセス及びそれらの組合せに対して
与えられる規格内の情報

JIS X 0135-1

JIS X 0135-2

ISO/IEC

TR 14143-3

ISO/IEC

TR 14143-5

TR X 0073-4

FSMMの状態を示す流れ

JIS X 0135-6

JIS X 0142

JIS X 0143

ISO/IEC

20968

ISO/IEC

24570

FSMM

FSMの概念及びFSMMに
対する要求事項の定義

FSMM 候補のJIS X 0135-1に
対する適合度を評価する
プロセス例の定義

計測対象に合致したFSMMの
能力を検証するプロセス例の
定義

これらのプロセスを支援する
機能領域の提供

ソフトウェアを機能領域の観点で分類
するプロセス例2件の定義
FSMMは,機能領域の観点で,その
手法の適用可能領域を宣言できる。

検証のための
試験事例候補の提供

RURの組の提供

FSMMの適用及び利用
の例示としての用途

計測対象に
適した
FSMM

FSMM候補は,JIS X 0135-2を
用いたJIS X 0135-1への適合性評価
を利用してもよい。

JIS X 0135-2を用いて
適合性が確認されたとき,
FSMMであると
宣言できる。

能力の検証が可能になる。

検証された結果と
して能力を宣言
できる。

計測対象に適したFSMMを
選択するための指針

規格又は標準報告書

手法

図1−FSM関連規格間の関係 

3

X

 0

1

3

5

-6

2

0

0

8

 (I

S

O

/IE

C

 1

4

1

4

3

-6

2

0

0

6

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.4 

FSM関連規格の利用指針 

ここでは,FSMの利用者及びFSMMの開発者の視点からFSM関連規格を簡潔に説明する。 

3.4.1 

FSMの利用者のための指針 

一つ以上のFSMMを選択及び採用するとき,利用者は次を行う。 

a) FSMMの定義及び特性を理解するために,JIS X 0135-1を用いる。 

b) FSMM候補がJIS X 0135-1に適合しているかどうかを評価するために,JIS X 0135-2を用いる。 

c) FSMMの宣言内容(すなわち,能力特性)の検証及び/又は検証スポンサからの要求に基づく検証の

ために,ISO/IEC TR 14143-3を用いる。 

d) 複数のFSMMによる測定結果を比較するために,ISO/IEC TR 14143-4のRURの組を用いることがで

きる。 

e) FURの特性を評価することによって機能領域を決定するために,ISO/IEC TR 14143-5を用いることが

できる。 

f) 

評価,検証,比較及びその後の選択のため,JIS X 0143,ISO/IEC 20926,ISO/IEC 20968及びISO/IEC 

24570を用いることができる。 

3.4.2 

FSMMの開発者のための指針 

FSMM候補を設計するとき,FSMMの開発者は,次を行う。 

a) FSMMの定義及び特性を理解するために,JIS X 0135-1を用いる。 

b) FSMM候補がJIS X 0135-1に適合しているかどうかを評価するために,JIS X 0135-2を用いる。 

c) 自分が開発したFSMMの宣言内容(すなわち,能力特性)の検証のために,ISO/IEC TR 14143-3を

用いる。 

d) FSMM候補の参照測定結果を得るために,ISO/IEC TR 14143-4を用いる。 

e) FSMM候補が適用可能な機能領域を示すために,ISO/IEC TR 14143-5を用いる。 

FSM及びFSの用途 

4.1 

概略 

ここでは,FSM及びFSの用途を幾つか示す。これらは,FSMの利用マニュアルではなく,またすべて

の利用法を網羅しているわけではない。 

FSM及びFSの用途は,プロジェクト管理及び実行管理に大別できる。 

注記1 FSMは,FSMMによって遂行される。次の4.2〜4.3では,FSM及びFSの用途を示しており,

FSMMの用途は示していない。 

注記2 ソフトウェアに対する利用者のニーズには,FURに加えて,品質要件及び技術要件(JIS X 

0135-1を参照)が含まれていても差し支えがない。ソフトウェアの規模測定手法の中には,

FSMに要求される作業手順に加えて,品質要件及び技術要件を考慮した一つ以上の作業手順

が含まれているものがある。この付加的作業手順は,FSMM適用のプロセス(JIS X 0135-1

を参照)には含まれないが,次の4.2〜4.3で示すFSの利用の場合に役立ててもよい。 

4.2 

プロジェクト管理 

ここでは,FSがソフトウェアプロジェクトの管理及び制御にどのように適用できるかを示す。 

4.2.1 

プロジェクト資源の予測 

新規開発プロジェクト及び機能改良プロジェクトに対して,算術的予測モデルが構築できる。そのため

には,幾つかの完了したプロジェクトの事例から収集された種々の形式のデータが必要となる。例えば,

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

FS,品質要件,技術要件,使用した資源(コスト,工数又はスケジュールで表したもの),及び使用した

資源の総量に対して影響を及ぼしたと思われるプロジェクトの人的特性が挙げられる。いったん,あるモ

デルが構築されれば,例えば,次の情報をそのモデルに入力することによって,ソフトウェアプロジェク

トのライフサイクルの初期に資源予測ができる。 

a) ソフトウェアのFS 

b) 品質要件,技術要件及びプロジェクトの人的特性による影響見込み 

c) この種のソフトウェア開発におけるプロジェクトの生産性見込み 

注記 ソフトウェアの保守が,欠陥の訂正,性能の改善又は計算機の環境変化への対応(新しい型の

データ記憶装置の追加など)のためのソフトウェアを修正するプロセスであるのに対して,ソ

フトウェアの機能改良は,利用者機能を追加,変更又は削除するソフトウェアの修正のプロセ

スを意味する。 

4.2.2 

プロジェクトの進ちょく(捗)管理 

ソフトウェアプロジェクトのライフサイクルの早い時点で,FSMMを用いることによって,ソフトウェ

アの新規開発又は機能改良のためのBFCの一覧を作成できる。プロジェクト管理者は,プロジェクトの進

ちょく(捗)を追跡及び把握するために,次の手順でこのBFC一覧を利用することができる。 

a) まず,対象とするBFCの変更を追跡する(すなわち,一覧に追加及び削除されたBFCを特定する。)。 

b) 次に,BFCが開発されたかどうかを記録する。 

これによって,プロジェクトの進ちょく(捗)は,マイルストーンを通過したBFCの比率又は開発を完

了したBFCの比率として示すことができる。 

4.2.3 

ソフトウェアの範囲の変更管理 

ソフトウェアプロジェクトのライフサイクルの早い時点で,利用者とソフトウェア供給者とが合意した

BFCの一覧を作成することによって,FSMを用いてソフトウェアの範囲を決定することができる。合意し

たBFCへの変更については,機能規模を算出して見積モデルへ入力することによって,工数及びスケジュ

ールへの影響を予測することができる。予測された影響は,ソフトウェアの範囲及びプロジェクト計画の

修正を協議するのに利用できる。 

注記1 “ソフトウェアの範囲”とは,ソフトウェアのうち,プロジェクト管理の観点で着目するこ

とが望ましい対象範囲のことをいう。 

注記2 JIS X 0135-1では,次のように定義している。 

3.11 FSMの範囲 特定のFSMに含まれる利用者機能要件の集合。 

注記 FSMの範囲は,ソフトウェアを測定する目的によって決まる。例えば,ある組

織でソフトウェア資産の規模を知る必要がある場合,FSMの範囲は現在利用さ

れているすべての利用者機能要件を含む。しかし,プロジェクト管理者が特定

の版の規模を求める必要がある場合には,FSMの範囲は,そのプロジェクトに

よって影響される利用者機能要件だけを含む。 

4.2.4 

パッケージの機能の適合度 

FSMは,FURに対してパッケージが提供する機能の適合度を表現するときに役立てることができる。

FSMは,FUR全体のFSも,パッケージによって満たされる機能要件のFSも計算できる。適合度は,FUR

全体のFSに対する,パッケージによって満たされるFURのFSの割合として表現できる。 

background image

10 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 FURとパッケージの機能との関係を,図1Aに示す。 

図1A−FURとパッケージの機能との関係 

図1Aにおいて,Func̲a,Func̲b及びFunc̲cの機能は,次のとおりとする。 

− Func̲a:FUR全体のうち,パッケージの機能で用意されず,別途開発する必要がある部分 

− Func̲b:FUR全体のうち,パッケージの機能で用意される部分 

− Func̲c:パッケージの機能のうち,FURにない(使用されない)部分 

Func̲aのFSをFS̲a,Func̲bのFSをFS̲bとすると,パッケージの機能の適合度は,次の式で表され

る。 

パッケージの機能の適合度 =(

)

FS̲b

FS̲a

FS̲b

+

FUR全体のFS = FS̲a + FS̲b 

4.2.5 

プロジェクト結果の分析 

すべてのプロジェクト実績及び費やされた資源は,他のプロジェクトと比較できるようにFSと関連付

けるとよい。 

4.3 

遂行管理(Performance management) 

ここでは,FSが所要資源の見積り及び遂行管理にどのように適用できるかを述べる。FSの適用におい

ては,通常,FSを正規化因子として利用し,モデルの作成に必要な大量のデータを収集することが含まれ

る。 

4.3.1 

生産性管理 

FSMは,ソフトウェアの新規開発,機能改良及び保守のプロセスの生産性管理に役立てることができる。

生産性指標及びプロジェクトの人的特性を分析することによって,どの特性が生産性に最大の影響を与え

るかを判定できる。プロジェクトの人的特性とは,ソフトウェアの新規開発,機能改良又は保守のプロセ

スに影響を及ぼす可能性のある,環境特性,プロジェクト特性及び/又は要員特性である。例えば,要員

の経験,ツール利用,利用者との関係,作業環境,要員の業務知識,開発言語などがある。分析を行った

以降のソフトウェアプロジェクトにおいて,継続的に,これら諸特性を操作し,生産性傾向にどのような

変化が現れるかを観察することによって,生産性を管理することができる。 

4.3.2 

品質管理 

FSMは,欠陥数の管理に役立てることができる。欠陥密度(一定期間に発見された欠陥数のFSに対す

る比率)を分析することによって,プロジェクトのどの人的特性が欠陥密度に最大の影響を与えるかを判

定できる。分析を行った以降のソフトウェアプロジェクトにおいて,継続的に,人的特性を操作し,欠陥

密度傾向にどのような変化が現れるかを観察することによって,欠陥密度を管理することができる。 

パッケージの機能 

Func̲c 

Func̲b 

FUR全体 

Func̲a 

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X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.3 

組織成熟度及びプロセス能力 

FSMは,より高い水準の組織成熟度又はプロセス能力を目指すために必要な定量的測定の基礎を提供す

ることができる。 

4.3.4 

組織のソフトウェア資産管理 

FSは,組織がもつソフトウェア資産の一部又は全体に対して計算でき,ソフトウェアの総資産,又は置

換え総費用,再構築の総費用若しくは外部委託の総費用を決定するための見積モデルに入力することがで

きる。 

4.3.5 

保守の予算管理 

FSMは,組織がもつソフトウェア資産の保守に対する予算管理に役立てることができる。ソフトウェア

資産の構成要素のFSは,それに対応する保守の費用又は工数とともに,監視できる。これらの情報は,

保守の予算の立案に使用することができる。 

4.3.6 

契約管理 

FSMは,ソフトウェアの供給者にソフトウェア開発を委託する場合の費用及びスケジュールの管理に使

用することができる。 

FSMMの選択及び開発プロセス 

5.1 

概略 

ここでは,次のプロセスにおけるJIS X 0135規格類の利用法を示す。 

a) 利用者の要件を満たすFSMMを,利用者が選択することを支援するプロセス。 

b) 次の二つを満たすFSMMを開発する開発者を支援するプロセス。 

− JIS X 0135-1に適合していること 

− 適用可能な機能領域に対して有効であること 

5.2 

利用目的に適したFSMMの選択 

5.2.1 

FSMMの選択プロセスの概略 

ここでは,利用者がニーズに適したFSMMを選択することを支援するプロセスを,JIS X 0141の考え方

を用いて示す。JIS X 0141は,測定手段選択のプロセスを示している。FSMMの選択は,測定手段を提供

する手法を選択するプロセスであり,次に示すJIS X 0141のA.1(一般)の項目が要求される。 

a) 組織の特徴付け 

b) 情報ニーズの特定 

c) 測定手段の選択 

この規格の目的のため,FSMM選択のためにカスタマイズしたプロセスを“FSMM選択プロセス”と呼

ぶ。FSMM選択プロセスの概略を,図2に示す。5.2で示す事例は,JIS X 0141の附属書Fにある。 

background image

12 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

FSMMの選択プロセス (5.2.2) 

組織の特徴付け (5.2.2.1) 

情報ニーズの特定 (5.2.2.2) 

FSMMの選択 (5.2.3) 

利用可能なFSMMの特定 (5.2.3.1) 

最適なFSMMの選択 (5.2.3.2) 

選択結果の文書化 (5.2.3.3) 

FSMMの選択及び開発プロセス (箇条5) 

FSMMの開発プロセス (5.3) 

図2−FSMM選択プロセスの概略 

5.2.2 

FSMMの選択プロセス 

5.2.2.1 

組織の特徴付け 

FSMMが有効であるための要求は,個々の組織において異なる。その理由は,測定対象のソフトウェア

の種別が異なること,及び測定結果に求められる正確さへの要求度合いが異なることによるからである。

あるFSMMが最適であるかどうかは,測定結果としてのFSをどのように利用するかにも依存する。例え

ば,財務部門は,典型的に,経営情報システム(MIS)を正確に,かつ,反復して測定できるFSMMを選択

する。対照的に,化学プラント部門は,“リアルタイム”であると示される機能領域に適用可能なFSMM

を選択する。したがって,FSMMの選択は,組織のソフトウェアを機能領域ごとに分類することから始ま

る。組織がFSMの結果をある業界における生産性のベンチマーク試験に必要なものとするのであれば,そ

の業界で共通的に使用されているFSMMの方がその業界で利用されていないFSMMよりも適している。

組織の要求が概算に特化したものであれば,FSMMに対してはISO/IEC TR 14143-3を用いて能力を検証

するときに求められる測定結果の正確さを引き下げる場合もある。 

次の分析プロセスは,適切なFSMMの選択を容易にする。 

a) 測定対象の組織の分野を特定し,その組織のソフトウェアをISO/IEC TR 14143-5を用いて機能領域に

分類する。機能領域としては,例えば,MIS,リアルタイム,科学技術,社会基盤などがある。 

b) 組織で利用されているソフトウェア調達プロセスの種別を決定する。例えば,内部開発,市販パッケ

ージソフトウェアの購入,第三者への開発アウトソースなどである。調達プロセスは,FSMMによる

測定対象とすべきソフトウェアアクティビティの範囲の決定及び測定の目的の決定を支援する。 

c) JIS X 0160で定義されたプロセスのうち,どのプロセスが組織によって用いられ,FSMの対象アクテ

ィビティであるかを特定する。プロセスには,計画,発注,設計,実装,資産管理などがある。組織

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X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に固有のプロセス定義を用いてもよいが,JIS X 0160に定義されたプロセスを用いることを強く推奨

する。 

d) JIS X 0141を手引として用い,組織における測定プロセスの有効性を確立する。組織の測定能力は,

収集すべき情報の正確さ及び量に影響を与える。また,組織の測定能力は,測定要員に求められる情

報技術の技能水準にも影響を与える。測定結果は,測定担当者の測定技能水準,測定のために利用可

能な時間及び測定の目的によって異なるかもしれない。 

5.2.2.2 

情報ニーズの特定 

ここでは,5.2.2.1で示した組織の特性の分析に基づいて,最適なFSMMに求められる要件を定義及び

確立するプロセスを示す。組織の情報ニーズは,分析の過程で優先順位が付けられる。 

注記 優先順位付けの例としては,“不可欠な”,“望ましい”,“あるとよい”及び“不必要な”がある。

他の例としては,“高”,“中”及び“低”がある。 

a) FSの測定結果が利用される目的を分析する。この分析のためには,FSの目的を一覧化し,優先順位

付けするのが有用である。 

b) それぞれの目的に対する反復性,正確さ,変換性,感度,識別力,適用性などの能力要件を特定する。

能力要件の事例及びその検証プロセスは,ISO/IEC TR 14143-3に示されている。 

c) 測定対象のソフトウェアのBFCを決定し,測定対象のBFCに対する記述が成果物として利用者に提

供される開発プロセスの局面を特定する。日付及び時刻は,“このプロセス開始後何か月”のような絶

対表現方式及び“開発プロセスの○○○アクティビティ”のような相対表現方式のいずれでも表現可

能である。組織は,BFCの属性を考慮してどちらの表現形式を用いるかを決定することが望ましい。 

5.2.3 

FSMMの選択 

5.2.3.1 

利用可能なFSMMの特定 

5.2.2.2で行った分析に基づいて,一つ以上のFSMMを選択する。次を考慮に入れることが望ましい。 

a) 文書の入手のしやすさ及び文書の品質,測定事例集,教育訓練,認定制度,有資格測定者数,支援ソ

フトウェアの有無など,FSMMにおいて利用可能な情報。組織のソフトウェアが属する機能領域への

FSMMの適用可能度合いとともに,開発者によるFSMMの保守及び支援の水準,業界での利用度合

い,並びに業界における測定データの入手のしやすさも,FSMMの選択に影響を与える。 

b) 測定が要求される時点における組織のソフトウェアのBFCの認識及び測定可能度合い。 

c) 選択したFSMMが組織の情報ニーズを満たすかどうか。 

d) 情報ニーズの優先順位。 

注記 優先順位付けに有用な手段については,参考文献[14]及び参考文献[15]による。 

5.2.3.2 

最適なFSMMの選択 

次のプロセスを用いて最適なFSMMを選択する。 

a) FSMMがJIS X 0135-1に適合していることを確認する。JIS X 0135-2に定義された“JIS X 0135-1に

適合していることを宣言する文書”がFSMMの開発者又は所有者から提供されない場合,JIS X 0135-2

又は適切な方法によってJIS X 0135-1への適合性を評価する。 

b) 可読性,反復性,正確さなどFSMMに対する追加の能力要件がある場合,ISO/IEC TR 14143-3及び

/又はISO/IEC TR 14143-4を用いてFSMMがこれらの要件を満たしているかどうかを検証する。ま

た,既に公開されている検証に関する文書を参照する。 

c) 上述のa) 及びb) の結果に基づいて,利用者のFSMMに対する要件に照らして最適なFSMMを選択

する。 

14 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2.3.3 

選択結果の文書化 

将来,組織の情報ニーズが変化したときにFSMMの選択の見直しを容易にするため,FSMMの選択に

利用したプロセス及び選択基準を文書化する。 

5.2.4 

FSMの実施に関連する活動 

5.2.2及び5.2.3によって選択したFSMMを用いて効果的,かつ,正確な測定を行うために,次を行うこ

とが望ましい。 

a) 測定プロセスを明確にし,測定関係者にそのプロセスを確実に実施させる。FSMで実際に用いられる

作業手順を定義することが必要である。測定対象データの収集方法,FSMに関連する活動,測定結果

の報告並びに測定結果の保管及び管理についての作業手順を定義することが望ましい。 

b) レビュー方法を明確にし,測定関係者に必要なレビューを確実に実施させる。測定結果のレビュー方

法及び測定プロセスの管理方法を定義することが重要である。この定義が測定手順の一元化に役立ち,

ひいては正確な測定結果を導くことに貢献する。 

c) a) 及びb) の実施とともに,選択したFSMMを組織内で公式に認定し,必要な資源を確保する。選択

したFSMMの公式な認定及び測定プロセスに必要な資源の確保は,組織の経営者のレビューを経て決

定されることが重要である。 

d) 測定のための支援ツール又は技法の入手,十分なデータ記憶領域の割当て,及び関係者に対する必要

な教育訓練を行うことが望ましい。 

5.3 

FSMMの開発プロセス 

JIS X 0135-1に適合したFSMMの開発を意図するとき,開発者は次の作業手順を実施することが望まし

い。 

a) JIS X 0135-1を熟読し,FSMの概念を完全に理解する。 

b) ISO/IEC TR 14143-5の附属書A又は附属書Bを用いて,FSMM候補が適用可能な機能領域を定義す

る。 

c) FSMM候補を開発する。 

d) JIS X 0135-2又は適切な手法を用いて,FSMM候補がJIS X 0135-1の要求事項に適合しているかどう

かを評価する。 

e) ISO/IEC TR 14143-3を用いて,反復性及び再現性,正確さ,変換性,識別能力,機能領域への適用可

能度合いを検証し,ISO/IEC TR 14143-3の附属書Cを参照して検証結果を文書化する。 

注記 識別能力(discrimination threshold) 

あるFSMMが,検知して測定結果の違いに反映できる,FURの違いの最小度合い。 

一般に,FSの違いは,BFCの増減,又は各BFCに割り当てられる値の変化によって生じ

る。識別能力が鋭敏なFSMMは,FURの違いを細かくFSに反映できるという長所があるが,

同時に,次のような短所もあるので,FSMMの識別能力は高いほどよいわけではない。 

− FURが未確定な場合に,最終的なFSとは異なる測定値が出てしまう可能性が高い。 

− ささいな測定上の誤り,個々の計測者の解釈の違いなどから,反復性が低い(計測値が

ばらつく)可能性が高い。 

− 計測時に細かな情報が必要な場合が多く,計測コストが高い場合が多い。 

f) 

d) における不適合又はe) における低評価の場合,c) に戻る。 

g) 当該FSMMの構成要素がJIS X 0135-1及び当該FSMMに適合していることを確認する。 

h) e) で検証されたFSMMのベンチマーク試験のために,同じRURを用いて,当該FSMMによる測定結

15 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

果を他のFSMMによる測定結果と比較する。その場合,ISO/IEC TR 14143-4の附属書A及び附属書

BにあるRURを用いて比較することを推奨する。 

16 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

FSM関連規格の適用範囲 

注記 この附属書は,FSM関連規格の“適用範囲”の写しから構成される。この“適用範囲”は,そ

れぞれの規格の最新版におけるものである。 

A.1 JIS X 0135(ISO/IEC 14143)規格類 

A.1.1 JIS X 0135-1 

JIS X 0135-1は,FSMの基本的な概念を定義し,FSMMを適用する場合の一般的な原理を示す。JIS X 

0135-1では,次の項目に関する具体的な規則は与えない。 

− 特定手法を用いたソフトウェアの機能規模の測定方法 

− 特定手法によって得られる結果の利用方法 

− 特定手法の選定方法 

JIS X 0135-1は,あるソフトウェア規模測定手法がFSMMであるかどうかを決めるときに利用できる。

JIS X 0135-1は,種々の手法の開発を妨げるものではなく,むしろ特定の手法がFSMに適合するかどうか

を検定するための基準を提供するものである。 

JIS X 0135-1は,ソフトウェアの取得,開発,利用,支援,保守及び監査にかかわる人々による利用を

意図している。 

A.1.2 JIS X 0135-2 

A.1.2.1 JIS X 0135-2は,次を行う。 

a) JIS X 0135-1の各規定内容に対して,FSMM候補の適合性評価の枠組みを確立する。 

b) FSMM候補がJIS X 0135-1の要求事項を満足するかどうかを判断するための適合性評価プロセスを示

す。 

c) 適合性評価プロセスの反復性並びに適合性判定及び最終結果の一貫性を保証するために,適合性評価

を実行するための要求事項を示す。 

d) 適合性評価プロセスの成果物が,客観的であり,公平であり,一貫性があり,反復性があり,完全で

あり及び監査可能であることを保証することを目的とする。 

e) 適合性評価チームの適格性を決定するための参考指針(JIS X 0135-2の附属書A参照)を提供する。 

f) 

FSMM候補の適合性評価を支援するためのチェックリストの例(JIS X 0135-2の附属書B参照)を提

供する。 

g) 適合性評価報告書の記載例(JIS X 0135-2の附属書C参照)を提供する。 

適合性評価は,JIS X 0135-2に示されている適格性をもった適合性評価チームによって実施される。JIS 

X 0135-2は,JIS X 0135-1に示されている概念及び定義について熟知していることを前提としている。 

適合性評価では,FSMM候補の各構成要素をJIS X 0135-1の規定内容に対応付けた後,各構成要素の適

合性をそれぞれ評価する。 

適合性評価の成果物には,評価された各規定内容に対する判定結果が含まれる。FSMM候補がJIS X 

0135-1に適合しているかどうかを決定する場合には,要求事項(“…しなければならない”などで記述し

ている規定内容)だけが考慮される。FSMM候補の利用者に追加情報を提供するために,JIS X 0135-1の

17 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

推奨事項(“…することが望ましい”などで記述している規定内容)も併せて調査してもよい。 

適合性評価プロセスの成果物は,適合性評価報告書となる。この報告書は,次のように利用できる。 

a) あるFSMM候補が,JIS X 0135-2に従った適合性評価によってJIS X 0135-1に適合しており,したが

って,それがFSMMであることを利用者に通知する。 

b) どの手法が利用者のニーズに最も合致するかについて,利用者が判断することを支援する。 

A.1.2.2 JIS X 0135-2は,供給者,利用者若しくは購入者,又は第三者が適合性評価を行う場合に使用で

きる。 

注記 所有者,スポンサ及び評価者間の関係は,評価形態によって異なる。すなわち,評価者が,供

給者,利用者若しくは購入者,又は第三者のいずれによるかに依存する。 

A.1.2.3 JIS X 0135-2を利用せずにFSMM候補のJIS X 0135-1への適合性を主張してもよいが,JIS X 

0135-2は,適合性に関する主張の信頼性を高めるために利用できる適合性評価プロセスを提供している。

JIS X 0135-2で提供している適合性評価手順は,供給者,利用者若しくは購入者,又は第三者が各自の立

場で適合性を評価するときに利用可能であるが,第三者による適合性評価が必要な場合に特に適した規定

内容を含んでいる。JIS X 0135-2に従って適合性を評価されたFSMMを利用又は取得したい場合は,評価

を要求する場合にこの規格に従って評価するよう明確に指定することが望ましい。 

A.1.2.4 適合性評価は,あるFSMMに不適合箇所が全くないことが保証されるとは解釈しないほうがよ

い。適合しているとの判定結果は,その適合性評価プロセスにおいて,不適合の証拠が見つからなかった

ということを示すだけである。 

A.1.2.5 FSMM候補は,JIS X 0135-2の4.4(適合性評価手順の作業手順)に示す適合性評価手順を成功裏

に完了した場合にだけ,その適合性を宣言できる。 

注記1 FSMM候補の適合性は,JIS X 0135-1の要求事項に対する評価に基づく。JIS X 0135-2は,

FSMM候補がJIS X 0135-1の要求事項に適合しているかどうかを評価するために利用できる

プロセスを定義する。 

注記2 JIS X 0135-2のような適合性評価又は試験手法に関する規格は,それがいかなるものであれ,

その実施義務を示唆するものではない。この種の規格は,(例えば,規制,契約文書などにお

いて)評価が要求及び指定されている場合に,実施することが望ましい評価手法を示してい

るにすぎない。 

A.1.3 ISO/IEC TR 14143-3 

ISO/IEC TR 14143-3は,次の能力特性に関連して,FSMMの記述内容の検証及び/又は検証スポンサか

ら要求された試験実施の枠組みを確立する。 

− 反復性及び再現性 

− 正確さ 

− 変換性 

− 識別能力 

− 機能領域への適用可能度合い 

注記1 FSMMの記述内容及び他の能力特性に関する試験要求は,ISO/IEC TR 14143-3の適用範囲外

である。 

ISO/IEC TR 14143-3は,検証の成果物が客観的であり,公平であり,一貫性があり,反復性があること

の確保を目的としている。ISO/IEC TR 14143-3の適用結果としての検証報告書は,将来の利用者に対して,

自己のニーズを満たすFSMMの選択を可能にする。 

18 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 FSMMの検証によって,次が明らかとなる。 

− 能力特性が発揮される範囲。 

− 能力特性が,FSMMが宣言する範囲で発揮されるかどうか。 

ISO/IEC TR 14143-3には“合格”又は“不合格”という概念はない。FSMMは,適切な検証がなされた

かどうかに基づき,特定の能力特性に対して“検証済”又は“未検証”とされる。 

A.1.4 ISO/IEC TR 14143-4 

ISO/IEC TR 14143-4は,FSMMの有効性を検証する場合に用いる参照モデルを定義する。 

参照モデルは,次の二つの要素で構成される。 

− FSMMを用いてその規模を測定するRURの分類の枠組み。そのようなRURの例,及びRURとして

用いることのできる利用者要件(UR)の参考文献一覧を,ISO/IEC TR 14143-4の附属書に示す。 

− 参照FSMMの選択指針。参照FSMMは,あるFSMMと比較できるものである。 

参照モデルは,あるFSMMの評価プロセスへの入力となる。評価試験の手順決定及び実行,並びに評価

試験結果の解釈は,ISO/IEC TR 14143-4の適用範囲外である。 

ISO/IEC TR 14143-4に含まれるRUR及び参考文献一覧は,ある領域及び状況におけるURの例を示し

ているにすぎない。ISO/IEC TR 14143-4の附属書A,附属書B及び附属書Cに含まれていない領域及び

状況に対するRURは,ISO/IEC TR 14143-4に示されている枠組みを利用してもよい。 

参照FSMMに対する要求事項は,参照FSMMを選択する場合の一助としてもよい。 

A.1.5 ISO/IEC TR 14143-5 

ISO/IEC TR 14143-5は,機能領域の属性及びFURの特性を用いて機能領域を決定するための原則を示

す。この原則を実装した,機能領域を決定するための二つのモデルをISO/IEC TR 14143-5の附属書で提供

する。 

次の目的のために,二つのモデルのいずれかを直接利用してもよい。また,モデルで定義された内容を

部分的に取り入れた機能領域を利用してもよい。 

a) FSMMの利用者によって,特定のFURが表す機能領域に対して特定のFSMMが適用可能であるかど

うかを決定する。 

b) 所与のFURに対して,そのFURが属する機能領域を示す。 

c) FSMMの所有者及び開発者によって,JIS X 0135-1で求められている,そのFSMMが適用可能な機能

領域を示す。 

機能領域を特定するために,ISO/IEC TR 14143-5の附属書に収録したモデルを利用することの意義は,

異なる出自のFURの比較及びFSMMの特定の機能領域への適用可能度合いの比較が可能になることにあ

る。 

A.2 FSMM規格 

この箇条では,JIS X 0143,ISO/IEC 20926,ISO/IEC 20968及びISO/IEC 24570について,目的,適用

範囲又は対象読者,及び制限事項の観点から概略を示す。 

A.2.1 JIS X 0143 

A.2.1.1 目的 

JIS X 0143は,COSMIC-FFP FSMMの定義,規則及び測定手順を示す。 

A.2.1.2 適用範囲 

JIS X 0143は,次の機能領域のソフトウェアに適用できる。 

19 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 業務支援アプリケーションソフトウェア 

例1 銀行業務,保険業務,経理,人事,購買,物流又は製造 

注記 実世界での事象に関する大量のデータを取り扱うことが複雑さの大部分を占めることから,

こうしたソフトウェアは,“データ豊富(データリッチ)”と特徴付けられる。 

b) 実世界で起こる事象を遅滞なく取り込んだり,制御したりすることを目的とするリアルタイムソフト

ウェア 

例2 − 電話交換用及びメッセージ交換用ソフトウェア 

− 家電製品,エレベータ,自動車のエンジンなどの機械制御装置に組み込まれた,プロセ

ス制御用及びデータ自動取得用のソフトウェア 

− コンピュータのオペレーティングシステムに含まれるソフトウェア 

c) a) 及びb) が複合したソフトウェア。 

例3 航空会社又はホテルのリアルタイム予約システム 

A.2.1.3 制限事項 

JIS X 0143は,設計上,次のソフトウェア又はその一部のFSを測定対象としていない。 

a) 複雑な計算アルゴリズム又は特殊で複雑な規則で特徴づけられるソフトウェア 

例1 エキスパートシステム,シミュレーションソフトウェア,自己学習型ソフトウェア,気象予

測システム 

b) オーディオサウンド又はビデオイメージのような連続的な変数を処理するソフトウェア 

例2 コンピュータゲームソフトウェア,楽器 

ただし,これらのソフトウェアに対しても,COSMIC-FFP FSMMの特定用途向け改定手法を定義するこ

とは可能である。 

A.2.2 ISO/IEC 20926 

ISO/IEC 20926は,IFPUGの“ファンクションポイント計測マニュアル 第4.1版”に基づいており,こ

のマニュアルの未調整ファンクションポイント計測の部分に対応する。 

A.2.2.1 目的 

ISO/IEC 20926の主な目的を,次に示す。 

− ファンクションポイント計測の明確で詳細な記述を提供する。“ファンクションポイント計測”は,こ

の手法で使用されているFSMの別称である。 

− ファンクションポイント計測の結果が,その手法の利用者の間で一貫性をもつことを保証する。 

− よく使用されている開発方法論及び技法の成果物からファンクションポイントを計測するための指針

を与える。 

− ファンクションポイントの計測自動化を手助けするための共通理解を提供する。 

A.2.2.2 対象読者 

ISO/IEC 20926は,ソフトウェア規模測定に“ファンクションポイント法”を利用する,初級者から上

級者までのあらゆる人を対象にしている。 

A.2.2.3 制限事項 

ISO/IEC 20926には,制限事項は示されていない。 

A.2.3 ISO/IEC 20968 

ISO/IEC 20968は,“MkⅡファンクションポイント法 第1.3.1版”に基づいている。 

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X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.2.3.1 目的 

ISO/IEC 20968は,情報処理アプリケーションの定量的分析及び測定手法を提供する。この手法は,情

報処理要件を定量化し,その要件を実現するソフトウェア製品の規模を表す値を算出する。 

A.2.3.2 適用範囲 

ISO/IEC 20968は,測定プロセスの効率化を図り,アプリケーションソフトウェアの開発,修正又は維

持管理活動の費用管理を支援する手法を定義する。この手法は,ソフトウェアの技術特性からは独立に,

利用者に関連した項目でソフトウェアの規模を測定する。この手法は,次が可能である。 

− ソフトウェア開発プロセスの早い段階での適用 

− ソフトウェアのライフサイクルを通した適用 

ISO/IEC 20968は,入力,処理及び出力から成る論理トランザクションという形で表現できるソフトウ

ェアのFSの測定に利用することができる。データの蓄積及び抽出に着目することによって,論理トラン

ザクションが検出しやすくなるという傾向にある業務システムの領域のソフトウェアに適応することを前

提に設計されている。 

A.2.3.3 制限事項 

ISO/IEC 20968は,A.2.3.2で示した業務システム以外の機能領域のソフトウェアへ適用してもよい。し

かし,ISO/IEC 20968の測定規則が,科学ソフトウェア及び工業分野ソフトウェアに典型的に見られるよ

うな複雑なアルゴリズムなどの規模,並びにリアルタイム性の要件を考慮に入れていないことに,利用者

は注意しなければならない。ISO/IEC 20968をこれらの機能領域に適用しても差し支えない場合もあり,

ISO/IEC 20968の測定規則の拡張又は新しい解釈が必要になる場合もある。 

A.2.4 ISO/IEC 24570 

ISO/IEC 24570は,“ファンクションポイント法適用のための定義及び計測指針”マニュアルの第2.0版

に基づいている。 

A.2.4.1 目的 

ISO/IEC 24570は,定義及び標準指針を表すことによって論理的枠組みを提供することを目的としてい

る。また,ISO/IEC 24570は,複数の事例を用いて計測指針を可能な限り正確に示すことにも努めている。 

ISO/IEC 24570はさらに,ソフトウェア開発の早い段階でFSを見積もる二つの手法を提供している。 

A.2.4.2 対象読者 

ISO/IEC 24570は,ソフトウェア規模測定にファンクションポイント法を利用する人,すなわち,ISO/IEC 

24570の利用者だけでなくISO/IEC 20926の利用者も対象にしている。ISO/IEC 20926とISO/IEC 24570

との間にはいくらかの相違があるが,ISO/IEC 20926に定義された計測規則を用いる人にとっても,

ISO/IEC 24570は有用な補足資料になる。すなわち,ISO/IEC 24570は,すべてのISO/IEC 20926の利用

者に役立つ多くの手がかり,指針及び事例を含んでいる。ISO/IEC 24570は,利用者がISO/IEC 20926に

ついてある程度の知識をもっていることを想定しているが,ISO/IEC 20926を知らない人又は初めて計測

する人にとって十分な初歩的な知識及び具体的な説明を含んだマニュアルとなることを,可能な限り目指

している。 

A.2.4.3 制限事項 

ISO/IEC 24570には,制限事項は示されていない。 

21 

X 0135-6:2008 (ISO/IEC 14143-6:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1]JIS X 0160:1996 ソフトウェアライフサイクルプロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 12207:1995,Information technology−Software life cycle processes (IDT) 

[2]JIS X 0135-1:1999 ソフトウェア測定−機能規模測定−第1部:概念の定義 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-1:1998,Information technology−Software measurement−

Functional size measurement−Part 1: Definition of concepts (IDT) 

[3]JIS X 0135-2:2004 ソフトウェア測定−機能規模測定−第2部:ソフトウェア規模測定手法のJIS X 

0135-1:1999への適合性評価 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-2:2002,Information technology−Software measurement−

Functional size measurement−Part 2: Conformity evaluation of software size measurement methods 

to ISO/IEC 14143-1:1998 (IDT) 

[4]ISO/IEC TR 14143-3:2003,Information technology−Software measurement−Functional size measurement

−Part 3: Verification of functional size measurement methods 

[5]ISO/IEC TR 14143-4:2002,Information technology−Software measurement−Functional size measurement

−Part 4: Reference model 

[6]ISO/IEC TR 14143-5:2004,Information technology−Software measurement−Functional size measurement

−Part 5: Determination of functional domains for use with functional size measurement 

[7]JIS X 0141:2004 ソフトウェア測定プロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15939:2002,Software engineering−Software measurement process (IDT) 

[8]JIS X 0143:2006 ソフトウェア技術−COSMIC-FFP法−機能規模測定法 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 19761:2003,Software engineering−COSMIC-FFP−A functional size 

measurement method (IDT) 

[9]ISO/IEC 20926:2003,Software engineering−IFPUG 4.1 Unadjusted functional size measurement method−

Counting practices manual  

注記 対応日本工業規格:JIS X 0142 ソフトウェア技術−機能規模測定手法−未調整IFPUG 4.1

を発行予定。 

[10]ISO/IEC 20968:2002,Software engineering−Mk II Function Point Analysis−Counting Practices Manual 

[11]ISO/IEC 24570:2005,Software engineering−NESMA functional size measurement method version 2.1−

Definitions and counting guidelines for the application of Function Point Analysis 

[12]ISO/IEC Guide 2:1996,Standardization and related activities−General vocabulary 

[13]ISO: International Vocabulary of basic and general terms in metrology 

[14]Thomas L. Saaty,Luis G. Vargas: Models,Methods,Concepts & Applications of the Analytic Hierarchy 

Process,International Series in Operations Research and Management Science,Volume 34,Kluwer Academic 

Publishers,2000 

[15]Gass, Saul I.,Harris, C.M. (eds.),Encyclopedia of Operations Research and Management Science. 2nd ed.,

Kluwer Academic Publishers Group,2001