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X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

JIS X 0133-1

は,JIS X 0129 : 1994 を置き換えることになる JIS X 0129-1(作成中)と組み合わせて利用

することを意図している。この規格を含む JIS X 0133 群及び JIS X 0129 群の二つの規格群は,ソフトウェ

ア製品の評価にかかわる技術の進展を考慮し,JIS X 0129 : 1994 で規定された品質モデル及び評価プロセ

スモデルを拡張したものである。

JIS X 0129

群は,ソフトウェア製品の品質モデル及び測定法に関する規格であり,JIS X 0129 : 1994 か

らの主要な拡張を次に示す。

−  参考情報であった品質副特性を規定化

−  品質特性,品質副特性の定義の見直し

−  多様な品質評価の視点,時点を考慮した評価技術への対応

−  品質測定法を標準情報として提示

JIS X 0133

群は,ソフトウェア製品の評価プロセスに関する規格であり,JIS X 0129 : 1994 からの主要

な拡張を次に示す。

−  評価プロセスモデルの構成の見直し

−  作業要素の定義の見直し

−  評価主体の役割に応じた評価プロセスの規定

−  ソフトウェア製品評価の支援プロセスの規定

−  評価モジュールの枠組みの規定

次の図で,JIS X 0129 群と JIS X 0133 群との関係を説明する。

JIS X 0129

群と JIS X 0133 群との関係 


X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

  まえがき

(2) 

JIS X 0133-1

は,JIS X 0129 群及び JIS X 0133 群によって表されるソフトウェア製品の評価の全体的な

枠組みを規定し,その他の規格は,その枠組みの下に個別の技術的側面を規定している。JIS X 0133-2(作

成中)は,ソフトウェア製品の評価を計画的に推進し,管理するための支援プロセスを規定している。JIS 

X 0133-3

(作成中)

JIS X 0133-4(作成中)及び JIS X 0133-5 は,それぞれ開発者,取得者及び第三者的

な評価者が,ソフトウェア製品を評価するプロセスを規定している。JIS X 0133-6(作成中)は,評価技術

を蓄積し,活用するためのひな形を規定している。

JIS X 0129-1

(作成中)

は,

品質モデル及び品質測定法を用いたソフトウェア製品の評価の枠組みを示し,

品質モデルを構成する品質特性及び品質副特性を規定している。JIS X 0129 群の

第 部,第 部及び第 4

部は,標準情報として作成中であり,ソフトウェア製品を稼働して評価するための外部測定法,ソフトウ

ェア製品を開発段階で評価するための内部測定法及び利用者がソフトウェア製品を利用したときの影響を

評価するための外部測定法について,それぞれ提案している。

JIS X 0133

群は,

“ソフトウェア製品の評価”の主題で,次の部から構成されている。

第 1 部:全体的概観

第 2 部:計画及び管理(作成中)

第 3 部:開発者のプロセス(作成中)

第 4 部:取得者のプロセス(作成中)

第 5 部:評価者のプロセス

第 6 部:評価モジュールの文書化(作成中)

関連する JIS X 0129 群は,

“ソフトウェア製品の品質”の主題で,次の部から構成されている。

第 1 部:品質モデル(作成中)

第 2 部:外部測定法(標準情報,作成中)

第 3 部:内部測定法(標準情報,作成中)

第 4 部:利用時の品質測定法(標準情報,作成中)


X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  適合性

1

3.

  引用規格

1

4.

  定義

2

5.

  JIS X 0133 群 (ISO/IEC 14598) 及び JIS X 0129 群 (ISO/IEC 9126) の概観

5

5.1

  JIS X 0133 群 (ISO/IEC 14598) 及び JIS X 0129 群 (ISO/IEC 9126) の構造

6

5.2

  評価プロセス

6

5.3

  評価のための支援

6

5.4

  ソフトウェア品質特性及び測定法

7

6.

  評価プロセス

8

7.

  評価要求の確立

8

7.1

  評価目的の確立

8

7.2

  評価対象製品の種別の識別

10

7.3

  品質モデルの仕様化

12

8.

  評価の仕様化

12

8.1

  測定法の選択

12

8.2

  測定法のための評定水準の確立

13

8.3

  総合評価のための基準の確立

14

9.

  評価の設計

14

9.1

  評価計画の作成

14

10.

  評価の実施

14

10.1

  測定値の収集

14

10.2

  基準との比較

14

10.3

  結果の総合評価

14

11.

  支援プロセス

15

参考文献 16


日本工業規格

JIS

 X

0133-1

 : 1999

(ISO/IEC

14598-1

 : 1998

)

ソフトウェア製品の評価−

第 1 部:全体的概観

Software product evaluation

Part 1 : General overview

序文  この規格は,1998 年に発行された ISO/IEC 14598-1, Information technology−Software product

evaluation

−Part 1 : General overview を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した

日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,JIS X 0133 群全体を紹介する。それぞれの部の概観を与え,JIS X 0129 群の

品質モデルと JIS X 0133 群との関係を説明する。

この規格は,

JIS X 0133

群で使われる技術用語を定義し,

ソフトウェア品質の仕様化及び評価の一般的な要求事項を記述することで,一般的な概念を明確にする。

さらに,ソフトウェア製品の品質を評価するために,フレームワークを提供し,ソフトウェア製品の測定

及び評価の方法に対する要求事項を示す。

JIS X 0133

群は,特にソフトウェア製品の評価に対して責任がある開発者,取得者及び独立した評価者

による使用を意図している。管理者並びに開発者及び/又は保守者は,JIS X 0133 群を適用して得られた

評価結果を用いて,要求事項への適合度を測定,又は必要な場合には改善に役立てることができる。また,

分析者は,評価結果を用いて,内部測定法と外部測定法との関係の確立に役立てることができる。プロセ

ス改善の担当者は,

評価結果を用いて,

プロジェクトの製品品質情報の調査及び審査を行うことによって,

どのようにプロセスが改善できるかの判断に,役立てることができる。

備考  JIS X 0133 群での手引きの大部分は,ソフトウェアに特定するものではなく,他の複雑な製品

にも適用できる。

2.

適合性  ソフトウェアの仕様化及び評価は,6.のプロセス及び 8.3 に要求されている品質モデルを使用

しているならば,この規格に適合する。JIS X 0133 群の全体に適合するには,適用可能な発効済みの JIS X 

0133

群のすべての規格に適合しなければならない。

3.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この規格の制定時点では,次に示す版が有効であった。この規格に基づくことに同意した関係者は,

次に示す規格の最新版が適用できるかを調べるとよい。現在有効な国際規格の登録維持は,IEC 及び ISO

の構成員が行っている。

JIS X 0001 : 1994

  情報処理用語−基本用語


2

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

備考  ISO /IEC2382-1 : 1993, Data processing−Vocabulary−Part 1 : Fundamental terms がこの規格に

対応している。

JIS X 0129-1 :

  ソフトウェア製品の品質・第 1 部:品質モデル(

1

)

備考  ISO/IEC 9126-1 : −−,Information Technology−Software product quality−Part 1 : Quality

model

がこの規格と一致している。

JIS X 0160 : 1996

  ソフトウェアライフサイクルプロセス

備考  ISO /IEC 12207 : 1995, Information Technology−Software life-cycle processes がこの規格と一致

している。

ISO 8402 : 1994

  Quality Vocabulary

4.

定義  JIS X 0133 群で用いる主な用語の定義は,次による。

4.1

取得者 (acquirer)   供給者からシステム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを取得又は

調達する組織  (JIS X 0160 : 1996)。

4.2

属性 (attribute)   実体の測定可能な物理的又は概念的な特徴。

備考  属性は,内部属性でも外部属性でもよい。

参考  ソフトウェア製品の場合,実体とは,仕様書,原始プログラム,利用者用文書及びロードモジ

ュール並びにそれを実行するシステムを含む。内部属性とは,仕様書,原始プログラムなどの

属性を含み,外部属性とは,利用者が直接使用する実体(利用者用文書,ロードモジュールを

実行中のシステムなど)の属性である。

4.3

開発者 (developer)   ソフトウェアライフサイクルプロセスにおいて,開発活動(要求分析,設計,

試験,受入れまでを含む。

)を遂行する組織  (JIS X 0160 : 1996)。

4.4

直接測定値 (direct measure)   他のいかなる属性の測定値にも依存しないある属性の測定値。

4.5

評価モジュール (evaluation module)   特定のソフトウェア品質特性又は品質副特性のための一組の

評価技術。

備考  評価モジュールは,評価方法及び技法,評価への入力及び測定し収集すべきデータ,並びに支

援手続き及びツールを含む。

4.6

外部測定値 (external measure)   対象とするソフトウェア製品を含むシステムのふるまいを測定す

ることから導かれる,ソフトウェア製品の間接測定値。

備考1.  システムは,あらゆる関連あるハードウェア,ソフトウェア(注文ソフトウェア又は既製ソ

フトウェア)及び利用者を含む。

2.

試験中に発見された故障の数は,対象プログラムを実行している計算機システムの運用時に

数えられるので,プログラム中の障害の数の外部測定値である。

3.

外部測定値は,設計の本来の目的により近い品質属性を評価するために使うことができる。

4.7

外部品質 (external quality)   製品が指定された条件下で使用された場合に,明示的及び暗示的必要

性を満足させる程度。

4.8

故障 (failure)   要求された機能を遂行する製品の能力が尽きる状態,又は事前に仕様化された制限

内で機能を遂行する製品の能力がない状態。

4.9

障害 (fault)   計算機プログラム内の不正確なステップ,プロセス又はデータの定義。

                                                        

(

1

)

  作成中である。この規格が発効するまで,JIS X 0129 : 1994 を使うのがよい。


3

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

備考  この定義は,IEEE 610.12 : 1990 から引用している。

4.10

暗示的必要性 (implied needs)   対象の実体が特定の条件下で使われるとき,明示されていないが配

慮すべき必要性。

備考  暗示的必要性は,文書化されていないが,実際に必要となる事柄である。

4.11

指標 (indicator)   他の測定値の見積り又は予測に使うことができる測定値。

備考1.  予測された測定値は,同じ又は異なったソフトウェア品質特性に対するものでもよい。

2.

指標は,ソフトウェア品質属性及び開発プロセスの属性を見積もるために使われてもよい。

そのときには,属性に対する間接測定値である。

4.12

間接測定値 (indirect measure)   一つ以上の他の属性の測定値から導かれるある属性の測定値。

備考  計算機システムの属性の外部測定値(例えば,利用者からの入力への応答時間のような)は,

ソフトウェアの属性だけでなく,その実行環境の属性の影響を受けるであろうから,ソフトウ

ェアの属性の間接測定値である。

4.13

中間ソフトウェア製品 (intermediate software product)   ソフトウェア開発プロセスのある段階の製

品で,他の段階への入力として用いられる製品。

備考  ある場合には,中間製品は,同時に,最終製品でもよい。

4.14

内部測定値 (internal measure)   製品それ自身の測定値で,直接又は間接のいずれでもよい。

備考  コード行数,複雑さの測定値,ウォークスルーで発見された障害の数及びフォグインデックス

(Fog Index)

は,すべて製品それ自身の内部測定値である。

参考  フォグインデックスとは英文の複雑さを表す指標のことで,仕様書などに適用される。

フォグインデックス=〔

(文章当たりの平均語数)+[総語数に対する長語数の割合 (%)]

×0.4

ここで,

“文章当たりの平均語数”は,100 語以上 200 語以下のサンプルを取り出したとき,

その中の 1 文章当たりの語数の平均値。

“長語数”は,3 シラブル以上の語の数(ただし,固有

名詞,合成語及び ed, es の付いた動詞を除く。

仕様書又は技術文書では,12 から 16 の値が受容できる範囲とされている。

4.15

内部品質 (internal quality)   特定の条件下で使用される場合に,明示的及び暗示的必要性を満たす製

品の能力を決定する製品の属性の全体。

備考1.  “内部品質 (internal quality)”という用語は,JIS X 0133群では,“外部品質 (external quality)”

と対比する意味で使われており,ISO 8402での“品質 (quality)”と本質的に同じ意味をもっ

ている。

2.

“属性 (attribute)”という用語は,4.21 で使用されている“特性 (characteristic)”と同じ意味

で使われており,JIS X 0129 群では,

“特性 (characteristic)”という用語は,より限定的な意

味で使われる。

4.16

保守者 (maintainer)   保守活動を遂行する組織  (JIS X 0160 : 1996)  。

4.17

測定する[measure(動詞)]  測定を行う行為。

4.18

測定値[measure(名詞)]  測定することによって,実体の属性に割り当てられた数又は分類。

4.19

測定 (measurement)   実体の属性に対して尺度から値(数又は分類でもよい。)に割り当てるために,

測定法を使う行為。

備考  分類を使うことで,質的な測定を行える。例えば,プログラムの言語(Ada,C,COBOL など)

のようなソフトウェア製品の重要な属性は,質的な分類である。


4

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

4.20

測定法 (metric)   定義された測定方法及び測定尺度。

備考1.  測定法には,内部又は外部があり,かつ,直接的又は間接的であり得る。

2.

測定法は,性的なデータを分類するための方法を含む。

4.21

品質 (quality)   ある“もの (entity)”の明示された又は暗黙の必要性を満たす能力に関する特性の

全体  (ISO 8402 : 1994)。

備考1.  契約下において,又は原子力安全性の分野のような法的規制の状況下においては,必要性は,

仕様化されるが,それ以外の場合には,暗黙の必要性を明確にし,定めることが望ましい(ISO 

8402 : 1994

備考1.)。

2.

JIS X 0133

群の中での“もの”とは,ソフトウェア製品を示す。

参考  “entity”の訳語には,情報技術の分野では,“実体”が通常に用いられるが,ここでは,JIS Z 

9900 : 1994

の“参考品質管理と品質保証の規格−用語”に記載している ISO 8402 : 1994 の翻訳

を用い,

“もの”とした。

4.22

品質評価 (quality evaluation)   ある“もの”が,規定要求事項をどれだけ満たすことができるかの

程度を示すための体系的な審査  (ISO 8402 : 1994)。

備考  製品が契約の下で,特定の利用者向けに開発される場合には,要求事項は,正式に仕様化され

るのがよい。製品が消費者向けソフトウェアのような不特定利用者向けの場合には,要求事項

は,開発組織によって仕様化されるのがよい。比較及び選択を目的として利用者が製品を評価

する場合には,要求事項は,より概括的であってもよい。

4.23

利用時の品質  (quality in use)    指定された利用者が仕様化された特定の仕方で製品を利用したとき,

仕様化された目的を達成するために,有効性,生産性及び満足度を伴い必要性を満たしている程度。

備考  この利用時の品質の定義は,ISO 9241-11 における使用性 (usability) と類似させている。JIS X 

0133

群においては,使用性という用語は,JIS X 0129-1 に規定されたソフトウェア品質特性を

参照して用いられている。

4.24

品質モデル (quality model)   品質要求及び品質評価の基礎を与えるような特性の集合及び特性間の

関係。

4.25

評定 (rating)   測定値を適切な評定水準に対応付ける行為。評定は,対象ソフトウェアについて,

特定の品質特性がどの評定水準に対応するかを決定するために行う。

4.26

評定水準 (rating level)   測定尺度を分類するために使われる順序尺度上の点。

備考1.  評定水準は,明示的又は暗示的必要性に基づき,ソフトウェアを分類(評定)することを可

能にする(10.2参照)

2.

適切な評定水準は,例えば,利用者,管理者,開発者のような異なる品質の視点に関係付け

てもよい。

参考  例えば,次のように,それぞれ異なる視点から評定水準を区分する場合もある。

利用者の視点からは,利用時の得失及び影響の度合いに関係付けた水準,

開発者の視点からは,設計目標又は技術的な難易度に関係付けた水準,

保守者の視点からは,問題発生時の保守対応の緊急度に関係付けた水準,

管理者の視点からは,市場の中での位置付けに関係付けた水準。

このようにすると,一つの測定値をそれぞれの異なる品質の視点から解釈することができる。

4.27

尺度 (scale)   定義された特徴をもつ値の集合。

備考  尺度の種別の例を,次に示す。


5

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

・  分類の集合に対応する名義尺度。

・  尺度上の点の順序に対応する順序尺度。

・  等間隔の尺度上の点の順序に対応する間隔尺度。

・  等間隔の尺度上の点だけでなく絶対値に対応する比率尺度。

測定法は,定性的なデータを扱う場合には,名義尺度又は順序尺度を用い,定量的なデータ

を扱う場合には,間隔尺度又は比率尺度を用いる。

4.28

ソフトウェア (software)   情報処理システムに関する,プログラム,プロセス,規則及び関連する

文書の全体又は一部  (JIS X 0001 : 1994)。

備考  ソフトウェアは,記録媒体によらない知的な創造物である。

4.29

ソフトウェア製品 (software product)   計算機プログラム,手続き並びにその関連する文書及びデー

タを含めたまとまり。

備考  製品は,中間製品,開発者,保守者などの利用者向けに作成された製品を含む  (JIS X 0160 :

1996)

4.30

供給者 (supplier)   契約を交わした取得者に,システム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサー

ビスを契約に基づいて提供する組織  (JIS X 0160 : 1996)。

4.31

システム (system)   明示的な必要性又は目的を満たす能力を与えるために,一つ以上のプロセス,

ハードウェア,ソフトウェア,設備及び人間からなる統合されたもの  (JIS X 0160 : 1996)。

4.32

利用者 (user)   特定の機能を遂行するために,ソフトウェア製品を使う個人。

備考  利用者には,オペレータ,ソフトウェアの結果の受入者,ソフトウェアの開発者又は保守者を

含めてもよい。

4.33

妥当性確認 (validation)   定められた用途に対する特有の要求事項が満たされていることを,客観的

証拠の審査及び提出によって確認すること  (ISO 8402 : 1994)

備考1.  設計及び開発において,妥当性確認は,使用者の必要性への適合性を確定するため,製品の

検討のプロセスに関係する。

2.

妥当性確認は,通常,最終製品について規定の運用条件の下で実施される。これは,もっと

早い段階で行うことが重要である。

3.

“妥当性確認済”という用語は,妥当性が確認された状態を示すために用いる。

4.

複数の異なった用途があるとき,複数の妥当性確認が実施されることがある。

4.34

検証 (verification)   規定要求事項が満たされていることを,客観的証拠の審査及び提出によって確

認すること  (ISO 8402 : 1994, 2.17)。

備考1.  設計及び開発において,検証は,ある活動に対する規定要求事項への適合性を確定するため,

その活動結果の検討のプロセスに関係する。

2.

“検証済”という用語は,検証された状態を示すために用いる。

5.

JIS X 0133

 (ISO/IEC 14598) 及び JIS X 0129  (ISO/IEC 9126) の概観


6

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

5.1

JIS X 0133

 (ISO/IEC 14598) 及び JIS X 0129  (ISO/IEC 9126) の構造  JIS X 0129 群は,はん

(汎)用の品質モデル及び品質特性を定義し,また,測定法の例を与える。JIS X 0133 群は,ソフトウェ

ア製品評価手順の概要を示し,評価のための手引き及び要求事項を規定している。

第 部及び第 部は,

企業又は部門レベルの評価管理及び支援に関連しており,

第 部,第 部及び第 部は,プロジェクトレ

ベルにおける評価のための要求事項及び手引きを与える。

図 及び図 に,これらの規格及び技術標準の

関係を示す。

5.2

評価プロセス  JIS X 0133 群は,次の三つの異なった状況で行う評価プロセスについての手引き及

び要求事項を規定している。

−  開発(機能拡張)する場合  (JIS X 0133-3)

−  取得する場合  (JIS X 0133-4)

−  (第三者評価を含む)独立した評価を行う場合  (JIS X 0133-5)

5.2.1

開発者のプロセス  新製品の開発又は既存製品の機能拡張を計画し,自部門の技術スタッフで製品

評価を遂行する役目をもつ組織は,JIS X 0133-3 を使用するのがよい。JIS X 0133-3 は,ライフサイクルの

途中で開発された中間製品を測定することで,最終製品の品質を予測できるような指標の使用に焦点を合

わせている。

5.2.2

取得者のプロセス  既存又は開発済みのソフトウェア製品を取得するか,又は再利用することを計

画している組織は,JIS X 0133-4 を使用するのがよい。JIS X 0133-4 は,製品の受入れの決定,又は候補の

中から一つの製品を選択するために適用できる(製品は,単独で完結したもの,システムの一部,又はよ

り大きい製品の一部として含まれるものであってもよい。

5.2.3

評価者のプロセス  ソフトウェア製品の独立した総合評価を実行する評価者は,JIS X 0133-5 を使

用するのがよい。この評価は,開発者,取得者又は他の関係者のいずれかの依頼があれば,実施すること

ができる。JIS X 0133-5 は,独立した評価を行う人のためのものである。多くの場合,そうした人達は,

第三者組織で仕事をしている。

5.3

評価のための支援  それぞれの評価プロセス規格は,JIS X 0133-2(計画及び管理)及び JIS X 0133-6

(評価モジュールの文書化)と併せて使用できる(

図 1)。

図 1  評価支援規格と評価プロセスの関係

5.3.1

計画及び管理  JIS X 0133-2 計画及び管理は,ソフトウェア製品の評価を助けるような,支援機能

についての要求事項及び手引きを含んでいる。支援は,ソフトウェア評価プロセスの計画及び管理に関係

し,また,組織内の評価の専門的知識の開発,取得,標準化,制御,技術伝達及びフィードバックを含め

た関連する活動に関係している。管理者は,定量的な評価計画を作るために,JIS X 0133-2 を使用できる。


7

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

5.3.2

評価モジュールの文書化  JIS X 0133-6 は,評価モジュールを文書化するための手引きを示す。こ

れらのモジュールは,品質モデル(すなわち品質特性,品質副特性及び対応する内部測定法又は外部測定

法)

の仕様,

計画されたモデルの適用に関するデータ及び情報並びにその実際の適用のための情報を含む。

ソフトウェア製品の評価のために,適切な評価モジュールが選択される。新しい評価モジュールを開発す

ることが必要になる場合もある。新しい評価モジュールを作成する組織は,JIS X 0133-6 を使用できる。

5.4

ソフトウェア品質特性及び測定法  JIS X 0133 群の各部は,ソフトウェア品質特性及び測定法を規

定している JIS X 0129 群の規格と併せて使用するのがよい。

−  品質モデル  (JIS X 0129-1)

−  外部測定法  (JIS X 0129-2)

−  内部測定法  (JIS X 0129-3)

−  利用時の品質測定法  (JIS X 0129-4)

第 部は,品質特性及びそれらに関連付けられた品質副特性,並びに JIS X 0129 群の品質モデルの上位

3

階層間の関係を定義している。JIS X 0129 群の

第 部及び第 部は,(内部及び外部)測定法と,それに

対応している品質特性及び品質副特性との関係を示している(

図 参照)。幾つかの内部測定法には,対応

する外部測定法があることに注意する。

図 2  JIS X 0129 群のソフトウェア品質特性及び測定法

参考  上位 3 階層とは,利用時の品質,品質特性及び品質副特性の三つを指す。

5.4.1

品質特性及び品質副特性  JIS X 0129-1 は,品質特性及びそれらに対応する品質副特性の集合を定

義している。これらの品質副特性は,ソフトウェアが計算機システムの一部として使用されるとき,ソフ

トウェアの内部属性の結果として外部的に現れる。JIS X 0129-1 は,品質モデルの上位 3 階層を構成する

ための基盤として用いられる。利用者視点からの品質の総合的目的が,利用時の品質である。

5.4.2

外部測定法  JIS X 0129 群の第 部は,ソフトウェアの利用時における外部の視点によるソフトウ

ェア品質を示す測定法について記述している。外部測定値は,ソフトウェアが利用されているときに,事

前に定められた期間を通して得られる。時間及び労力のような量の値が,外部測定値の基礎として使用さ

れる。外部測定値は,試験及び運用の段階に適用する。試験期間中に適用されるときは,ソフトウェアが

利用及び運用されるときに期待される品質水準を早期に予測する測定値として用いられる。外部測定値は,

一般に,利用者の立場から見た品質を代表している。

5.4.3

内部測定法  JIS X 0129 群の第 部は,設計及びコードと関係するソフトウェアの内部属性を測定

する測定法について記述している。これらの“早期の (early)”測定値は,ソフトウェアシステムが試験及

び運用に入ったときに,期待されるものを予測するための指標として用いられる。したがって,内部測定

値は,下流工程の問題を見極める貴重な手立てになるので,開発管理者にとって,最も重要である。内部

測定値は,対応する外部測定値を予測するために使われる。JIS X 0129 群の第 3 部は,どの内部測定法が

外部測定法に関係するかを示している。

5.4.4

利用時の品質測定法


8

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

参考  ISO /IEC 9126-4  利用時の品質測定法は,この規格  (ISO/IEC 14598-1)  の発行後に追加された。

6.

評価プロセス  ソフトウェア品質を評価するには,最初に評価要求を確立し,次に評価を仕様化し,

設計し,そして実行する(

図 参照)。各ステップの詳細は,図 に示した箇条で記述する。JIS X 0133

群の

第 部は,そのプロセスの外観を示している。JIS X 0133 群のその他の部は,プロセスが異なった状

況でどのように適用されるかを説明している。

図 3  評価プロセス

7.

評価要求の確立

7.1

評価目的の確立

7.1.1

概要  ソフトウェア品質評価の目的は,利用者及び顧客の必要性に合致するソフトウェアの開発及

び取得の双方を直接に支援することである。究極の目的は,製品が要求される品質を提供することを確実

にすること,つまり,

(オペレータ,ソフトウェアの処理結果を受け取る者又はソフトウェアの保守者を含

む)利用者の明示的及び暗示的必要性に合致することである。

中間製品の品質評価の目的は,次のようなものとなる場合がある。

−  外部委託先からの中間製品の受入れを決定する。

−  プロセスの完了,及び次のプロセスに製品を送り出す時期を決定する。

−  最終製品の品質を予測する,又は見積もる。

−  プロセスを制御及び管理するために,中間製品についての情報を集める。

最終製品の品質評価の目的は,次のようなものとなる場合がある。

−  製品の受入れを決定する。

−  製品の引渡し時期を決定する。

−  競合製品との比較を行う。

−  代替製品群から製品を選択する。

−  製品使用時の肯定的及び否定的な効果を評価する。


9

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

−  製品の機能拡張又は置換えの時期を決定する。

ソフトウェア品質は,JIS X 0160 で定義された製品の開発及び取得のライフサイクルプロセスを通じ,

定義した品質構造を用いて,評価することができる。

7.1.2

取得  注文ソフトウェア製品を取得するとき,取得者は,外部品質要求を確立し,供給者に対して

要求を仕様化し,そして取得前に,これらの要求に対して購入に値するかを評価するのがよい。

製品が開発されているときに,品質要求を仕様化する目的は,製品が利用者の明示的及び暗示的必要性

に合致していることを確実にすることである(JIS X 0133-3 参照。

ソフトウェア製品を購入するとき,代替製品を比較するため,及び選択した製品が品質要求に合致して

いることを確実にするために,評価を使用することができる(取得者用プロセスとしては,JIS X 0133-4

を参照。第三者の評価要求を含む評価者用プロセスとしては,JIS X 0133-5 を参照。

7.1.3

供給  供給者は,取得者によって,又は他の製品との比較によって設定された要求品質基準に製品

が合致していることを確実にするために,ソフトウェア製品の評価結果を利用することができる。

7.1.4

開発  ソフトウェア製品の要求事項は,検討中のソフトウェア製品に対する利用者の必要性を表現

し,開発の前に定義する。ソフトウェア製品は,主要な構成要素に分割されるので,製品全体から導かれ

た要求事項は,構成要素ごとに異なってもよく,異なった評価基準を必要としてもよい。品質評価の前に,

品質要求は,品質特性及び品質副特性(JIS X 0129-1 参照)という観点で仕様化するのがよい。

評価の最初の段階において,評価の計画及び実施のために,これらの品質要求は,調査し,識別するの

がよい。開発者は,それぞれの対象とする品質特性のために,外部品質要求を確立するのがよい。すべて

の必要な要求が仕様化され,不要な要求が除外されていることを確実にするために,品質要求仕様の完全

性及び正確性を評価するのがよい。

開発者は,

納入前にこれらの要求に対して製品を評価する必要がある。

明示的及び暗示的必要性の双方が合致している品質を達成するために,暗示的必要性が,すべての対象

とする品質特性に関して,十分な詳細さで仕様化されていることをチェックすることが重要である。もし

可能であるなら,暗示的必要性を評価するために,調達者又は購入者,及び最終利用者によって要求を評

価するのがよい。プロトタイプによる利用者の経験は,利用時の品質の要求に対するより正確な記述に役

立つ。

開発者は,内部品質要求を識別するのがよい。内部品質要求を使用するとき,開発者は,外部品質要求

に関連する品質モデルを使ってそれらを識別し,開発中の中間製品の品質を検証するために,内部的な要

求を使うのがよい。

開発プロセスにおける中間製品の内部品質要求を仕様化することによって,ソフトウェア評価を,開発

中に品質を予測し,検証するために,使うのがよい。特定の意図した使用に対する完成した製品の外部品

質は,初期の要求に対して,後に,評価することができる(開発者用評価プロセスのための JIS X 0133-3

参照)

ソフトウェア品質評価の結果は,品質要求に合致させるために異なった開発プロセス,設計方法又は

CASE

ツールが使える,という範囲までフィードバックするために使うことができる。

7.1.5

運用  ソフトウェアシステムを運用する組織は,品質要求が異なる運用条件下でも対応しているか

どうかという妥当性を確認するために,及び保守についての責任がある人に対して種々の変更についての

必要性をフィードバックするために,ソフトウェア品質評価を使うことができる。

7.1.6

保守  ソフトウェアシステムを保守する組織は,品質要求が引き続き合致していること,並びに保

守性及び移植性のための要求が達成されていることの妥当性を確認するために,ソフトウェア評価を使う

ことができる。


10

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

7.2

評価対象製品の種別の識別  評価する中間ソフトウェア製品又は最終ソフトウェア製品の種別は,

ライフサイクルの段階及び評価の目的に依存する(

図 参照)。

ソフトウェア製品は,実際に利用者に使われるとき,明示的及び暗示的必要性に合致していることが目

的となる。外部品質は,ソフトウェア製品がその一部として包含されているハードウェア及びソフトウェ

アシステム全体に対してだけ,総合評価が可能である。外部測定法は,ソフトウェアを実行しているとき

に,適用される。外部測定値の値は,必然的にソフトウェア以外のものに依存しているため,ソフトウェ

アは,稼働中のシステムの一部として評価される。

利用時の品質は,特定の利用者(最終利用者,オペレータ又は保守者であるかも知れない。

)に対応する

品質特性の複合的な効果である。利用時の品質を備えたソフトウェアであるためには,特定のハードウェ

ア及びソフトウェアの環境下で特定の作業を遂行することについて,利用者の必要性に合致することが必

要である。ある環境下で十分満足に機能するソフトウェアも,他の環境下では,障害を露呈するかもしれ

ない。したがって,品質特性の外部的な評価は,予期される利用条件に可能な限り近く模擬した条件下で,

実施するのがよい。品質特性の外部的な測定は,コードが完全なときに実施する。しかしながら,正確な

利用条件(ネットワーク環境及び利用者の特性)を模擬することが不可能な場合もあるので,外部測定値

が,実際の“利用時の品質”を見積もる指標にすぎないこともある。

外部品質要求が達成されなかったならば,評価結果は,外部品質改善を目的としてソフトウェア特性を

修正するために,フィードバックとして利用される。このように,反復的な改善プロセスを支援する。

図 4  ソフトウェアライフサイクルにおける品質

開発の目的に対して,内部品質要求は,中間製品の品質が検証可能なように定義される。ソフトウェア

の内部的な特徴(例えば,仕様書又はソースコード)は,内部測定法によって測定できる。内部測定法は,

開発プロセス中に最も注目に値するものである。


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X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

内部測定法は,外部属性の指標として用いられる。モジュール性及び追跡可能性は,測定可能な内部属

性の例である。

要求された内部品質の達成は,利用時のソフトウェアの外部要求に合致することに貢献する。ソフトウ

ェア品質の内部測定値は,

このように利用時の品質を見積もる指標として用いることができる

図 参照)。

例えば,応答時間は,ソフトウェアの使用性及び効率性を評価するときに要求される重要な測定値であ

るが,応答時間は,開発中には測定できない。開発中に製品の効率性を評価するために,パスの長さを中

間製品又は仕様書に基づいて測定することができる。パスの長さは,ある条件下での応答時間の粗い見積

りを与える指標として用いることができる。

ソフトウェアの内部品質属性が,外部品質要求に関連付けられていることによって,開発中のソフトウ

ェア製品(中間及び最終のソフトウェア製品の項目)の品質特性を,最終的なシステムの利用時の品質の

必要性に関連付けて総合評価できることは,非常に重要である。内部測定値は,外部品質に関係付けられ

ている証拠がなければ,価値は小さくなってしまう。

図 5  測定値の関係

最終的な品質に対応する特定の属性は,意図した利用条件に依存する。対話型の製品の場合に,これら

の属性は,最終利用者及び作業の必要性に依存する。ソフトウェア製品の品質に対する必要性に影響する

その他の事項には,製品が購入されるものか又は開発されるものかのいずれであるかということ,開発の

段階,並びに製品が使われるハードウェア,ソフトウェア及びネットワークの環境が含まれる。

計算機システムの外部測定値は,内部ソフトウェア品質の間接的な測定値として利用することもできる。

このように,計算機システムの応答時間は,特定の実行環境における,ソフトウェアの効率性を測定する

のに利用することができる。


12

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

7.3

品質モデルの仕様化  ソフトウェア評価の第 1 ステップは,ソフトウェア品質を個別の特性に展開

した品質モデルを用いて,対象とする品質特性を選択することである。ソフトウェア評価のための品質モ

デルは,一般に,階層的な木構造の特性及び副特性に分類されたソフトウェア品質属性の全体を表してい

る。この構造の最上位階層は,品質特性で構成され,最下位階層は,ソフトウェア品質属性で構成される。

JIS X 0129-1

は,ソフトウェア品質特性を六つの大分類(機能性,信頼性,使用性,効率性,保守性及び

移植性)で定義したはん用モデルを提供している。さらに,これらの特性は,測定可能な幾つかの属性を

もつ品質副特性に展開することができる。特定の利用状況での品質特性の複合的な効果は,利用時の品質

として定義される。

ソフトウェア製品の内部品質属性は,明示的及び暗示的な必要性を満たす能力に影響する特徴であり,

ソフトウェア製品の測定可能な特徴である。一つ以上の属性を,特定のソフトウェア品質特性又は品質副

特性を総合評価するために,用いることができる(

図 6)。

図 6  品質特性,品質副特性及び属性

内部属性及び外部属性は,個々の要求された品質副特性に対応して十分に識別するのがよい。

いずれの特定の状況においても,対象とする実際の品質特性及び品質副特性は,評価の目的に依存し,

品質要求の調査によって識別するのがよい。JIS X 0129-1 の品質特性及び品質副特性は,品質に関連する

課題の有用なチェックリストを提供するが,特定の状況においては,他の方法での品質の分類が,より適

切な場合もある。

備考  ディペンダビリティ (dependability) を“利用者がシステムの提供するサービスに正当に頼るこ

とができる程度”と定義している IEC 60050 (191)  は,その例である。ディペンダビリティは,

信頼性,可用性及び保守性の三つの特性に分割される。それには,使用性,回復性,安全性,

拡張性及びセキュリティも含まれる。

8.

評価の仕様化

8.1

測定法の選択  ソフトウェア製品の測定は,容易で経済的に行え,測定の結果としての測定値を簡

単に使えることが重要である。多くのソフトウェアの測定は,ある種のツールを使って簡便に行えること

があり,それらのツールは,評価モジュールとしてパッケージ化されることもある  (JIS X 0133-6)。

品質特性の定義方法は,品質特性を直接的に測定するような形にはなっていない。ソフトウェア製品の

特性に関連する測定法が確立される必要がある。特性に関係しているソフトウェアの属性で,定量化でき

るすべての内部属性及び環境と相互に影響しあう外部属性は,測定法として確立することができる。

測定法は,それらが使われる環境及び開発プロセスの段階に依存し,異なってよい。開発プロセスの中


13

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

で使われる測定法には,利用者の観点からの測定法が非常に重要であるため,利用者の視点を入れた測定

法と相関関係をもたせなければならない。

備考  測定法の例,その選択方法の説明及び品質副特性ごとの測定法は,JIS X 0129 群の第 2 部及び

第 3 部に示す。

8.1.1

測定の種別  評価には,次の二つの広い意味での目的がある。

−  問題点を修正することができるように,それらを識別する。

−  製品の品質を,代替候補の製品又は要求事項(要求事項には,審査証明しようとする事項を含める

場合がある。

)と比較する。

要求される測定の種別は,評価の目的に依存する。もし,主要な目的が欠陥を理解し,修正することで

あるならば,ソフトウェアについて改善の実施又は制御するために,幾つかの測定を実施してもよい。チ

ェックリスト,専門家の意見を含め多様な測定値は,これらの目的のために有用である。主要な要求は,

ソフトウェアにどのような変更を行っても,変更がその品質に与えた影響を,測定が正しく識別すること

である。

製品間の品質の比較又は外部基準値との比較を信頼できるものにするためには,より精密な測定法が必

要とされる。基準への対応付け及び比較を行える程度に,十分な精度をもって測定していることを示すよ

うな測定手続きを用いてソフトウェアの品質特性(又は副品質特性)を測定するのがよい。評価仕様は,

正確な品質モデル及び測定の方法並びにそれぞれの測定法に関する尺度及び評定水準を,仕様化すること

が重要である。チェックリストから得られたデータ及び専門家の意見は,異なった属性で製品を比較する

ときには,信頼できない場合もある。測定ツール又は人的誤りが起こし得る測定誤りのために,測定誤差

の許容範囲を設定するのがよい。

8.1.2

測定のための要求  内部測定法は,妥当な予測ができるようにするのがよい。すなわち,内部測定

法は,幾つかの望ましい外部基準と相関関係をもつのがよい。例えば,ソフトウェアの特定の属性の内部

測定値は,ソフトウェアが使われたときに分かる品質の幾つかの測定可能な側面と相関関係をもつのがよ

い。通常の期待と一致する値がどの程度の値かを測定によって割り当てることは重要である。例えば,も

し,測定によって製品が高い品質であることを示したならば,これは,その製品が特定の利用者の必要性

を満足する製品であることと一致するのがよい。

測定に関する要求についてのさらに詳しい情報は,JIS X 0129-1 を参照するのがよい。

8.2

測定法のための評定水準の確立  定量化可能な特質は,品質測定法を使って定量的に測定すること

ができる。その結果である測定値は,尺度上に対応付けられる。尺度の値は,それ自身が満足度の水準を

示してはいない。満足度水準を示す目的のために,尺度は,要求事項を満足する程度の違いに応じた範囲

に分割されなければならない。例として,次のものがある。

−  尺度を,二つのカテゴリに分割する:不満足及び満足。

−  尺度を,既存又は代替候補の製品の現在の水準,最悪ケース及び計画された水準によって,区分さ

れた四つのカテゴリに分割する。現在の水準は,新システムが現在の状況から悪化しないようにす

ることを制御するために指定される。計画された水準は,利用可能な資源のもとで,達成可能だと

考えられる水準である。最悪ケースの水準は,製品が計画された水準を満たさない場合の利用者の

受入れ限界である(

図 7)。


14

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

図 7  測定法のための評定水準の例

8.3

総合評価のための基準の確立  ソフトウェアの品質要求仕様は,適切でよく定義された品質モデル

を使って定義されなければならない。別のモデルを使う特別の理由がない限り,この目的のために,JIS X 

0129-1

の品質モデル及び定義を使うのがよい。

製品の品質を総合評価するために,異なった特性の評価の結果は,集約される必要がある。評価者は,

異なった品質特性ごとにそれぞれの基準を分離するような手続きを準備するのがよい。これらの基準は,

個々の品質副特性又は重み付けされた品質副特性の組合せで表現する場合がある。手続は,通常,特定の

環境の下でソフトウェア製品の品質の総合評価に影響する他の側面,例えば時間及びコストも含むのがよ

い。

9.

評価の設計

9.1

評価計画の作成  評価計画は,評価方法及び評価者の作業(JIS X 0133 の第 部,第 部又は第 5

部を参照)のスケジュールを記述する。それは,測定計画  (JIS X 0133-2)  と一貫性をもつのがよい。

10.

評価の実施

10.1

測定値の収集  測定において,選択された測定法をソフトウェア製品に適用する。その結果として,

測定法の尺度上の値を得る。

10.2

基準との比較  評定のステップでは,測定値をあらかじめ決めておいた基準(図 で示した例)と

比較する。

10.3

結果の総合評価  総合評価は,ソフトウェア製品の評価の最終ステップであり,一連の評定された

水準を集約する。その結果は,ソフトウェア製品が品質要求に適合している程度に関する記述である。集

約された品質を時間及びコストのような他の側面と比較する。最終的に,管理上の判断を管理上の基準に

基づいて行う。結果は,ソフトウェア製品の受入れ又は拒否,若しくはリリースする又はリリースしない,

という管理上の意思決定である。

評価の結果は,ソフトウェア開発ライフサイクルの中で,引き続くステップについての判断のために重

要である。例えば,判断には,要求事項が変更されるのか,又は開発プロセスのためにもっと多くの資源


15

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

が必要とされるのか,がある。

11.

支援プロセス  評価を支援する作業には,評価ツール及び方法に関する情報を収集すること,測定法

を開発し,その妥当性を確認すること,並びに評価プロセス,測定法及び測定値を標準化することがある。

JIS X 0133-2

は,ソフトウェア製品の評価のための要求事項及び手引きを含んでいる。


16

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

参考文献 

規格 

[1]  IEC 60050 (191)

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[2]  IEEE 610.12 : 1990

  Standard Glossary of Software Engineering Terminology

[3]  ISO/IEC 9126-2 : (

−)    Information technology Software quality characteristics and metrics−Part 2 :

External metrics (under development)

[4] ISO/IEC 9126-3 : (

−)    Information technology−Software quality characteristics and metrics−Part 3 :

Internal metrics (under development)

他の参照

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methodologies and associated products

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17

X 0133-1 : 1999 (ISO/IEC 14598-1 : 1998)

原案作成委員会

氏名

所属

(委員長)

東      基  衞

早稲田大学

(委員)

池  田  幸  男

沖電気工業株式会社

江  崎  和  博

株式会社荏原製作所

海老原  親  志

富士通株式会社

遠  藤  和  彦

三菱電機株式会社

神  品  芳  明

株式会社日立製作所

込  山  俊  博

日本電気株式会社

田  中  秀  明

情報処理振興事業協会

谷  津  行  穂

日本アイ・ビー・エム株式会社

西  島  政  信

日本ユニシス株式会社

橋  爪  邦  隆

通商産業省工業技術院

三  宅  武  司

日本電信電話株式会社

山  田      淳

株式会社東芝

(事務局)

青  木  幸  男

財団法人日本規格協会