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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格         JIS 

X 0015:2002 

情報処理用語(プログラム言語) 

Information technology―Vocabulary―Programming languages 

序文 この規格は,2000年に第3版として発行されたISO/IEC 2382-15:2000,Information technology―

Vocabulary―Part 15:Programming languagesを翻訳し,その技術的内容を変更することなく作成した日本工

業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考は,原国際規格にはない事項である。また,用語の定義

部分は,原国際規格では表形式ではないが,この規格では以前からの慣例に従って表形式とした。 

1. 適用範囲 この規格は,情報処理におけるプログラム言語に関する主な用語,定義及び対応英語につ

いて規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO/IEC 2382-15 Information technology―Vocabulary―Part 15:Programming languages (MOD) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。 

なお,これらの引用規格は,記載年の版だけがこの規格を構成するものであって,その後の改正版には

適用しない。 

JIS X 0001:1994 情報処理用語―基本用語 

備考 ISO/IEC 2382-1:1993 Information technology―Vocabulary―Part 1:Fundamental termsからの

引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS X 0002:1976 情報処理用語(算術演算及び論理演算) 

備考 ISO/IEC 2382-2:1976 Data processing―Vocabulary―Part 2:Arithmetic and logic operationsか

らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS X 0005:2002 情報処理用語―データの表現 

備考 ISO/IEC 2382-5:1999 Information technology―Vocabulary―Part 5:Representation of dataから

の引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS X 0007:2001 情報処理用語―プログラミング 

備考 ISO/IEC 2382-7:2000 Information technology―Vocabulary―Part 7:Computer programmingか

らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

3. 分類 用語は,次のとおり分類する。 

a) 構文素(15.01参照) 

b) 宣言(15.02参照) 

X 0015 : 2002 

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c) データ対象(15.03参照) 

d) データ型(15.04参照) 

e) 文及び式(15.05参照) 

f) プログラムの部分(15.06参照) 

g) タスク(15.07参照) 

h) 実行(15.08参照) 

i) オブジェクト指向プログラミング(15.09参照) 

j) 機能及び特性(15.10参照) 

4. 表記法 この規格は,各用語を,番号,用語,定義及び対応英語の四つの欄に分けて規定する。それ

ぞれの欄における表記法及び解釈を,次に示す。 

a) 番号 番号は,数字6個によって表す。最初の2けたの数字は,情報処理用語の規格番号の末尾2け

たを示す。次の2けたは,この規格での分類を示す。最後の2けたは,同一分類番号内での一連番号

を示す。 

b) 用語 

1) 同一の意味を示す用語が二つ以上ある場合は,表記した順に従って優先使用する。 

2) 同じ用語が,情報処理用語に関する他の日本工業規格で別の意味で定義されている場合には,用語

に引き続く丸括弧( )の中に,使用分野がこの規格の適用範囲に限定されることを示す。 

例 “ラベル(プログラム言語における)”(15.01.10参照) 

3) 用語の一部分が丸括弧( )で囲まれている場合は,その部分を省略してもよいことを表す。この場合,

括弧内を省略したときと省略しなかったときとの間に優先順位はない。 

例1. “暗示(的)宣言”は,“暗示的宣言”又は“暗示宣言”を表す(15.02.04参照)。 

2. “局所(的)”は,“局所”又は“局所的”を表す(15.02.11参照)。 

4) 用法を用語に引き続く丸括弧( )の中に示す。 

例 “ADT(省略形)”(15.04.02参照) 

5) 漢字が常用漢字表にない場合には,仮名で示し,それに引き続く丸括弧 (  ) 内に該当する漢字を

示す。 

例 “はん(汎)体”(15.06.28参照) 

c) 定義 

1) 文中で下線の引かれている語句は,情報処理用語に関する日本工業規格の中で規定されていること

を示す。 

2) 丸括弧( )の使い方は,b)と同様とする。 

d) 対応英語 

1) この欄の英語は,対応国際規格の中で規定されている用語であって,規定されている用語と対応す

る。 

2) 丸括弧( )の使い方は,b)と同様とする。 

3) 同一の対応英語が別の定義をもつ場合には,それらを個々に記載し,用語の後に (1),(2),…を付

ける。 

例 “visibility (1)”(15.02.17“可視性”参照) 

“visibility (2)”(15.02.18“可視範囲”参照) 

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5. 情報処理用語(プログラム言語) 

15.01 構文素 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.01.01 構文素, 

字句要素, 
字句単位 

プログラム言語のアルファベットからなる1文字以上の列であっ
て,規則に基づいて意味上の基礎的な単位を表現するもの。 
例 2G5というリテラル,PASCALにおけるlast̲nameなどの識別

子。 

lexical token, 
lexical element, 
lexical unit 

15.01.02 言語構成要素,

言語要素 

プログラム言語の規則に従って一つ以上の構文素から形成される,
プログラムの構文的に容認できる部分。 
備考 01.05.10と同一用語。 

language construct 

15.01.03 識別子(プログ

ラム言語にお
ける) 

言語構成要素を名付ける構文素。 
例 変数,配列,レコード,ラベル,手続きなどの名前。 
備考 識別子は,通常,英字で始まり,場合によっては英字,数字

などの文字が続く。 

identifier (プログ

ラム言語におけ
る) 

15.01.04 既定義の識別子 プログラム言語の一部分として定義される識別子。 

例 予約語。 
備考 既定義識別子が予約されていなかった場合,その識別子を用

いる宣言によって,その宣言の有効範囲における意味が再定
義される。 

predefined identifier 

15.01.05 予約語 

プログラマが再定義できない既定義識別子。 
備考 予約語のないプログラム言語もある。 

reserved word 

15.01.06 区切り記号 

構文上の単位とみなされる構文素又は文字列の始まり又は終わりを
示す別の構文素。 
備考1. 特殊文字又は予約語が,区切り記号として機能する場合も

ある。 

2. 分離記号(15.01.07)参照。 
3. 用語“分離記号”を,この意味で使用しないほうがよい。 

delimiter, 
separator (この意

味で使用しない
ほうがよい) 

15.01.07 分離記号 

隣り合う構文素又は構文単位が単一の項目として解釈されないよう
にするための区切り記号。 
例 間隔文字又は書式制御文字。 
備考 区切り記号(15.01.06)参照。 

separator 

15.01.08 多重定義する 

ある構文素に対して二通り以上の意味を割り当てる。 
例 構文素“+”は,整数加算,実数加算,和集合,結合などを意

味することがある。 

<to> overload 

15.01.09 あいまい(曖昧)

性除去 

同じ順番で配列された構文素からなる言語構成要素が幾つかあるう
ちで,プログラム中に特にその一つが現れたとき,どの言語構成要
素が参照されているかを決定する仕組み。 

disambiguation 

15.01.10 ラベル(プログ

ラム言語にお
ける), 

名札 

プログラムの中で場所を表すための識別子。 
備考1. ラベルは,文の参照に使用されることが多い。 

2. BASICでは,行番号がラベルとしての機能を果たすが,必

ずしも制御の移行先とはならない。 

3. FORTRANでは,ラベルは,最大数字5個で構成し,文の

左に先行して置き,その文を参照するために使用する。 

label (プログラム

言語における) 

15.01.11 注釈, 

注 

プログラムの実行に影響を及ぼさないテキストを,そのプログラム
に含ませるために使用する言語構成要素。 
例 読者に対する説明,自動文書システム用のデータ。 

remark, 
comment 

 
 
 
 

background image

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15.02 宣言 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.02.01 宣言 

プログラムの中に識別子を導入し,その識別子の解釈方法を指定す
る明示的な言語構成要素。 
例 データ型,記憶編成,パッケージ及びタスクの宣言。 
備考 プログラム言語によっては,宣言が文とみなされるものもあ

る。 

declaration 

15.02.02 宣言部, 

データ部 

一つ以上の宣言で構成されるプログラムの部分。 
備考 COBOLでは,宣言部は“データ部”(data division)とよばれ

る。 

declarative part, 
data division 

15.02.03 省略時(の), 

既定(の) 

明示的に何も指定しなかった場合に仮定される属性,データ値又は
オプションに関する用語。 
例 FORTRANでは,省略時の命名法によって,英字I〜Nのいずれ

か一つで始まる名前が整数型の変数を表すものと規定してい
る。 

default 

15.02.04 暗示(的)宣言 

対象を指す識別子の存在によって引き起こされる宣言であって,省
略時解釈によって識別子の特性が決まるもの。 
例 PASCALにおける“output=text” 

implicit declaration 

15.02.05 既定義(の), 

組込み 

プログラム言語の定義によって宣言されている言語構成要素に関す
る用語。 
例 PL/1における既定義の関数SIN,FORTRANにおける既定義の

データ型INTEGER。 

predefined, 
built-in, 
intrinsic 

15.02.06 有効範囲, 

宣言の有効範囲 

宣言が適用されるプログラムの部分。 

scope, 
scope of declaration 

15.02.07 共用データ 

非同期又は並行に実行されることがある二つ以上のモジュールによ
ってアクセスされるデータ。 
例 FORTRANにおけるCOMMON,ある種のプログラム言語にお

ける“compool”,EXTERNALが前に付いたPL/1の変数,Ada
におけるパッケージの一形式。 

shared data 

15.02.08 動的有効範囲 

モジュールの全体又は一部分の活性化によって作り出される有効範
囲であって,あるモジュールで使用している宣言を,別のモジュー
ルからでも使用するようにしたもの。 

dynamic scope 

15.02.09 静的有効範囲 

ある宣言の行われているモジュールを取り囲む最も内側のモジュー
ルを見つけることによって決まるような有効範囲。 
備考 プログラムの机上検査は,静的有効範囲を見つけるという目

的を十分に満たす。 

static scope 

15.02.10 宣言区域 

宣言を構成するプログラムの部分。 

declarative region 

15.02.11 局所(的) 

言語構成要素に関する用語であって,その言語構成要素の有効範囲
が宣言されている宣言区域の内側にだけ及んでいる場合に使用す
る。 

local 

15.02.12 大域(的) 

言語構成要素に関する用語であって,その言語構成要素の有効範囲
がプログラムの全モジュールに及んでいる場合に使用する。 

global 

15.02.13 外部(的) 

言語構成要素に関する用語であって,その言語構成要素を参照して
いるモジュールの外側で宣言されている場合に使用する。 
備考 名前を用意し,全定義が外部にあることを示すためには,宣

言を必要とすることがある。 

external 

15.02.14 静的 

対象に関する用語であって,その対象がプログラム全体の実行中ず
っと存在し,それがもつ値が保持されている場合に使用する。 
例 ある実行から次回の実行までに値を保持するために静的に宣言

されている副プログラムの変数。 

static 

background image

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.02.15 動的 

データ属性に関する用語であって,その値がプログラムの全体又は
一部分の実行中にだけ確立されている場合に使用する。 
例 可変長の長さデータ対象の長さは動的である。 

dynamic 

15.02.16 生存期間 

実行時間の一部分であって,ある言語構成要素が存在する期間。 

lifetime 

15.02.17 可視性 

モジュール内の特定の場所にある特定の言語構成要素を参照できる
能力。 

visibility (1) 

15.02.18 可視範囲 

プログラムの一部分であって,その内側で特定の言語構成要素を参
照できるもの。 

visibility (2) 

15.03 データ対象 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.03.01 データ構造 

データ単位とデータ自身との間の物理的又は論理的な関係。 

data structure 

15.03.02 データ対象(プ

ログラム言語
における) 

ファイル,配列のようなデータ構造の要素,又はオペランドであっ
て,プログラムの実行にとって必要とされるもの。 
備考 データ対象は,定数であっても変数であってもよい。 

data object (プログ

ラム言語におけ
る) 

15.03.03 変数(プログラ

ム言語におけ
る) 

宣言又は暗示的宣言によって確立される四つ組であって,識別子,
データ属性の集合,一つ以上のアドレス及びデータ値で構成され,
アドレスとデータ値との間の関係が変化しうるもの。 
備考 プログラム言語によっては,アドレスの変化に従って関係す

るデータ値が変化したり,アドレスは変化しないが,通常,
関係するデータ値がプログラムの実行中に変化したりするも
のもある。 

variable (プログラ

ム言語におけ
る) 

15.03.04 データ値 

宣言済みデータ対象の集合の要素であって,特定の文脈において,
変数,データ型などの言語構成要素と関連づけられるもの。 
備考 原則的には,データ値は,数学における“関数値”と区別し,

数値表現における“数の値”及び“位置の値”とも区別する。 

data value 

15.03.05 定数 

宣言又は暗示的宣言によって確立される四つ組であって,識別子,
属性の集合,一つ以上のアドレス,及び単一のデータ値で構成され
るもの。 

constant 

15.03.06 集成, 

集合体 

構成要素の構造化された集まりであって,その要素は同種のデータ
構造であっても異種のデータ構造であってもよく,その集まりのデ
ータ構造自身は対応する合成型の構成部分であってもよいもの。 
参考 用語“合成型”は,“構造型”と同義に使用することがある。 

aggregate 

15.03.07 集成式の値 

集成式に関連づけられたデータ値。 

aggregate value 

15.03.08 配列 

配列型を実現値とする集成式であって,各要素又は要素の適切な集
まりが他とは無関係に,かつ,個別に参照されるもの。 

array 

15.03.09 部分配列 

任意の次元に沿って連続したセルからなる配列の部分。 
備考 Adaでは,部分配列は基本操作でもある。 

array slice, 
slice 

15.03.10 可変部 

データ対象で構成されるレコードの一部分であって,対応するデー
タ構造又は宣言済みのデータ型を変えることが可能なもの。 
備考 データ対象の個数も構成も変えてもよい。 

variant part 

15.03.11 可変レコード 

可変部をもつレコード。 
備考 レコードは,可変部にデータ型を指示する判別子を含むこと

がある。 

variant record 

15.03.12 判別子 

パラメタに似た言語構成要素であって,与えられた可変レコード内
部で使用されるデータ構造を指定するもの。 

discriminant 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.03.13 パラメタ(プロ

グラム言語に
おける) 

モジュール間でデータ対象又はデータ値を授受するための言語構成
要素。 

parameter (プログ

ラム言語におけ
る) 

15.03.14 実パラメタ, 

実引き数 

呼出し又ははん(汎)用体専用化において,データ対象とその対応す
る宣言とを関連づけるために使用されるパラメタ。 
例 式,識別子などの言語構成要素。 
備考 対応する宣言は,仮パラメタとよばれる。 

actual parameter, 
actual argument 

15.03.15 仮パラメタ, 

仮引き数 

あるモジュールの宣言の中で定義され,呼出し又ははん(汎)用体専
用化の中の実パラメタと関連づけられるパラメタ。 

formal parameter, 
dummy argument 

15.03.16 パラメタ結合 

仮パラメタと,呼出し又ははん(汎)用体専用化の中の対応する実パ
ラメタとの関連づけ。 

parameter 

association 

15.03.17 データ属性 

データ型,データ対象,モジュールなどの言語構成要素に関する既
定義の特性。 
例 実数型は,PRECISIONというデータ属性をもち,SINGLE又は

DOUBLEというデータ値を伴うことがある。タスクは,
TERMINATEDというデータ属性をもつことがあり,その属性
は,タスクが終了したときはTRUE,終了しなかったときには
FALSEになる。 

data attribute 

15.03.18 名前の修飾, 

修飾 

プログラムの一部分の有効範囲において言語構成要素を参照するた
めの仕組みであって,その部分への参照と,その部分の中の言語構
成要素に対して宣言された識別子とによって行われるもの。 
例 レコード要素の参照(COBOLの B OF A),ライブラリのメン

バ,モジュールの中の言語構成要素。 

name qualification, 
qualification 

15.03.19 別名  

ある言語構成要素に代わる代替の識別子。 

alias 

15.03.20 ポインタ(プロ

グラム言語に
おける) 

あるデータ対象のアドレスをデータ値とする別のデータ対象。 
備考 付図1参照。 

pointer (プログラ

ム言語におけ
る) 

15.03.21 空ポインタ 

データ対象を何も明示的に指していないポインタ。 
備考 プログラム言語によっては,空ポインタは,nil,nullなどと

書き表される。 

null pointer 

15.04 データ型 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.04.01 データ型 

指定されたデータ構造をもつデータ対象の既定義の集まり,及び許
容された操作の集まりであって,これらの操作の一つを実行すると
きにそのデータ対象がオペランドとしての役割を果たすもの。 
例 整数型は,非常に単純な構造をもっている。その各実現値は,

通常,値とよばれるが,指定された範囲の整数の要素を表現し
たものである。許容される操作には,これらの整数の上での通
常の算術演算が含まれる。 

備考1. 文脈上明らかな場合,“データ型”の代わりに“型”という

用語を使用してもよい。 

2. 付図1参照。 
3. 17.05.08と同一用語であるが,例及び備考を追加した。 

data type, 
datatype 

15.04.02 抽象データ型,

ADT(省略
形) 

データ構造体のクラスであって,そのデータ構造体において用意さ
れている操作又は機能の一覧,それらの操作に関する形式的な特性,
及び内部的な実現方法とは無関係なインタフェースによって記述す
るもの。 

abstract data type, 

ADT(省略形) 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.04.03 密閉型 

外部から参照できるように定義したインタフェース,並びに内部構
造及び関連した操作に関しては外部からは参照できないように定義
した実現方法をもつデータ型。 

encapsulated type 

15.04.04 スカラ型, 

単純型 

個々の実現値がスカラを表現しているデータ型。 
備考1. PASCALでは単純型といい,順序型又は実数型のいずれか

である。Adaではスカラ型といい,離散型又は実数型のい
ずれかである。 

2. 付図1参照。 

scalar type,  
simple type 

15.04.05 原子型 

個々のデータ対象が細分不可能な単一のデータ値で構成されるデー
タ型。 

atomic type 

15.04.06 論理型, 

ブール型 

データ対象は論理値(通常はTRUE又はFALSE)だけを想定し,ブー
ル演算子だけで操作できるデータ型。 
備考 文字型,列挙型,整数型,実数型も参照。 

logical type, 
Boolean type 

15.04.07 範囲(プログラ

ム言語におけ
る) 

スカラ型の連続したデータ値からなる集合。 

range (プログラム

言語における), 

span (この意味で

使用しないほう
がよい) 

15.04.08 実数型 

個々のデータ対象が,おそらくは近似によって実数を表現している
データ型。 
例 10進数0.1は,2進記数法に変換した場合は,無限のけた数を

もつ。 

備考1. 実数型は固定小数点型又は浮動小数点型のいずれかであ 

る。 

2. 付図1参照。 

real type 

15.04.09 固定小数点型 

実数型の一種であって,個々のデータ対象が固定小数点表示法で表
現されているもの。 
備考 付図1参照。 

implied decimal 

type, 

fixed-point type 

15.04.10 浮動小数点型 

実数型の一種であって,個々のデータ対象が浮動小数点表示法で表
現されているもの。 
備考 付図1参照。 

floating-point type 

15.04.11 順序型, 

離散型 

個々のデータ対象が可算順序集合の要素を表しているデータ型。 
備考1. PASCALでは順序型といい,列挙型,文字型,整数型及び

論理型がある。Adaでは離散型といい,整数型又は列挙型
のいずれかである。 

2. 付図1参照。 

ordinal type, 
discrete type 

15.04.12 添え字型 

順序型の一種であって,個々のデータ対象が元の配列の添え字を表
しているもの。 
備考 付図1参照。 

index type 

15.04.13 整数型 

順序型の一種であって,個々のデータ対象が特定範囲内の整数を表
しているもの。 
備考 付図1参照。 

integer type 

15.04.14 列挙型 

順序型の一種であって,個々のデータ対象がデータ型の宣言の中で
明示的に列挙されているもの。 
備考 付図1参照。 

enumeration type, 
enumerated type 

15.04.15 数値型 

スカラ型の一種であって,個々のデータ対象が整数であるか,又は
実数の近似値を表現しているもの。 
備考 付図1参照。 

numeric type 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.04.16 文字型 

個々のデータ対象が文字を表現しているデータ型。 
備考 付図1参照。 

character type 

15.04.17 文字列型 

個々のデータ対象が文字列を表現しているデータ型。 
備考 付図1参照。 

string type 

15.04.18 ポインタ型, 

アクセス型 

ポインタを個々のデータ対象とするデータ型。 
備考 付図1参照。 

pointer type, 
access type 

15.04.19 配列型 

合成型であって,個々の成分がすべて同じデータ型であるもの。 
備考1. 配列型は,対応する集成式の次元に従って,行,列などの

形で配置される。 

2. 付図1参照。 

参考 用語“合成型”は,“構造型”と同義に使用することがある。 

array type 

15.04.20 レコード型 

フィールド型又は他のレコード型を成分とする合成型。 
例 人事レコードは,同じ人事レコードの中にフィールド又はサブ

レコードとして配置された人事データによって構成されること
もある。 

備考1. レコード型によって,値及び操作の集合が定義される。そ

のようなレコード型の実現値には,それ自身がレコードで
あるような値が含まれていてもよい。 

2. 付図1参照。 
3. 17.05.11と同一用語であるが,例及び備考を追加した。 

参考 用語“合成型”は,“構造型”と同義に使用することがある。 

record type 

15.04.21 可変レコード型 レコード型であって,構成要素の選択候補を指定する可変部をもつ

もの。 

variant record type 

15.04.22 部分型, 

副型 

あるデータ型に制約を課することによって,そこから導出される別
のデータ型。 

subtype 

15.04.23 基底型 

部分型の派生するデータ型。 

base type, 
host type, 
underlying type 

15.04.24 制約 

あるデータ型に対してその範囲又は操作を限定すること。 

constraint 

15.04.25 密閉型 

データ型であって,その構造,値の集まり及び操作がプログラムの
中では定義されているが,そのプログラムの特権部分に限って使用
可能であるもの。 
例 Adaでは,明示的にアクセス可能となっている操作以外は,代

入,一致判定及び不一致判定に限って利用者にとって使用可能
である。 

private type 

15.04.26 限定型, 

限定付き型 

密閉型であって,その型に対して明示的に宣言された操作又はデー
タ属性だけが,宣言の含まれるプログラムの外側で使用可能である
もの。 

limited type 

15.04.27 親の型 

新しいデータ型を作成するためのひな(雛)形としての役割を果たす
データ型。 
備考 基底型(15.04.23),派生型(15.04.28)を参照。 

parent type 

15.04.28 派生型 

データ値及び操作が,既存の親の型のものの丸写しであるデータ型。 
備考1. 強い型付けでは,明示的な型変換を使用しない限り,異な

る派生型のデータ値どうしの操作,又は派生型と親の型と
の間の操作を禁止している。 

2. データ値の集合,又は派生型に関して適用可能な操作の集

合は,縮小又は拡大することができる。 

3. 親の型(15.04.27)を参照。 

derived type 

background image

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著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.04.29 型変換 

通常は,データ型の違法な不一致を回避するために遂行される,あ
るデータ型のデータ値から別のデータ型のデータ値への表現の変
換。 
備考 数値型どうしの型変換は可能であるが,型変換の結果として,

正確度,精度又はその両方とも失われることもある。 

type conversion 

15.04.30 強い型付け 

言語構成要素の中のオペランドが,操作に関するデータ型と整合し
ているデータ型をもっているか,又は操作の遂行前に明示的な型変
換が終了していなければならない,という強い要請。 
例 Adaにおける強い型付けでは,2+3.5 という加算は,2が整数,

3.5が実数であるという理由から,違法になってしまう。 

strong typing 

15.04.31 弱い型付け 

強い型付けに関する規則の緩和。 
例 弱い型付けの場合,二つのオペランドのいずれか一方の型変換

を明示的に行わなくても,整数と浮動小数点数との加算が許容
されることがある。 

備考 弱い型付けの場合,暗黙の型変換が行われたり,行われなか

ったりする。 

weak typing 

15.04.32 既定義(の)型 既定義の識別子によって参照されるデータ型であって,プログラム

言語ではその識別子に対して適切な操作が用意されるもの。 

predefined type 

15.04.33 普遍型 

数値リテラルからなるデータ型及び,強い型付けに適合させるため
に使用する既定義の操作の結果からなるデータ型。 
例 Adaでは,数の宣言(データ型を除く)は普遍型を前提にしてい

る。 

universal type 

15.04.34 無名(の) 

データ型が明示的に宣言されていないデータ対象に関する用語。 

anonymous 

15.04.35 書式(プログラ

ム言語におけ
る) 

レコード,ファイル,メッセージ,記憶装置又は伝送路上のデータ
対象の表現を,文字の形式で指定する言語構成要素。 

format (プログラ

ム言語におけ
る) 

15.04.36 ピクチャ 

モデルとなる文字リテラルによって,文字列型のデータ対象の書式
を記述する言語構成要素。 

picture (プログラ

ム言語におけ
る) 

15.05 文及び式 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.05.01 

文, 
命令文 

宣言を表現したり,遂行する動作,動作の遂行に用いられるオペラ
ンド(必要ならば),及び結果の処置で構成される一単位の作業を規
定したりするための,明示的に完結している構文上の単位。 
備考 プログラム言語によっては,宣言を文とはみなさないものも

ある。 

statement 

15.05.02 

単純文 

他の文を含まない文。 

simple statement, 
elementary 

statement(使用し
ないほうがよ
い) 

15.05.03 

複合文 

一つ以上の文で構成される文であって,構文的に単純文と等価にな
るように区切られるもの。 

compound statement 

15.05.04 

代入文 

単純文であって,変数の現在のデータ値を式で指定した新しいデー
タ値に置き換えるもの。  

assignment 

statement 

15.05.05 

exit文, 
終了文 

包含する言語構成要素の実行を終了させるために使用する単純文。 exit statement 

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10 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.05.06 

return文, 
復帰文 

モジュール中の言語構成要素であって,そのモジュールにおいて一
つ(又は場合によっては複数)の実行順序の終わりを示し,呼ぶ モジ
ュールの中の指定された場所への飛越しを引き起こし,場合によっ
ては呼ぶ側に結果を引き渡すもの。 

return statement 

15.05.07 

戻る 

呼ぶ プログラムへの飛越しを引き起こすreturn文を実行する。 

<to> return 

15.05.08 

返す, 
戻す 

return文の実行時に,呼ぶ プログラムに対してデータ値を引き渡
す。 

<to> return 

15.05.09 

エントリ 

副プログラムの先頭,又は副プログラムの中の入り口名によって指
定された任意の場所における実行順序の開始。 

entry 

15.05.10 

入り口名 

実行順序の始まりを指定する識別子。 

entry name 

15.05.11 

goto文, 
飛越し文 

実行順序の中の指定された点から,通常はラベルによって識別され
る目標の文へと,プログラム制御の明示的な移行を指定する単純文。
備考 プログラムの制御の移行を,飛越しという。 

goto statement 

15.05.12 

無条件文 

無条件に実行される文。 
参考 “imperative statement”は,COBOLでの呼称である。 

unconditional 

statement, 

imperative statement 

15.05.13 

条件文 

複合文の一種であって,一つ以上の対応する条件に関する条件式の
値に従って,文を包含する列の一つを実行するために選択するか,
全く選択しないかを決めるもの。 
例 PASCALにおける,if文及びcase文は条件文である。 

conditional 

statement 

15.05.14 

条件式 

式であって,その評価が以降の実行順序の選択に使用されるもの。 conditional 

expression 

15.05.15 

if文, 
判断文 

条件文の一種であって,条件式の真理値に従って,その文が包含す
る文の列の実行を引き起こしたり,引き起こさなかったりするもの。 

if statement 

15.05.16 

case文, 
場合分け文 

条件文の一種であって,条件式の値に従って,幾つかの選択可能な
文の列の中から実行するために一つを選び出すもの。 

case statement 

15.05.17 

反復文, 
繰返し文, 
loop文 

包含する幾つかの文の繰返し実行を制御する仕組みをもつ複合文。 iteration statement,

loop statement 

15.05.18 

while構文, 
前判定繰返し

構文 

反復制御のための言語構成要素であって,遂行する試験を各反復段
階の前で定義するもの。 

while-construct 

15.05.19 

until構文, 
後判定繰返し

構文 

反復制御のための言語構成要素であって,遂行する試験を各反復段
階の後で定義するもの。 

until-construct 

15.05.20 

for構文, 
繰返し構文 

反復制御のための言語構成要素であって,通常は,ループ制御変数
に従ってその制御のために遂行される試験と,反復段階の間に遂行
される反復制御変数の変更に関する規定とを定義するもの。 

for-construct 

15.05.21 

do while文, 
repeat while文, 
perform while文 

反復制御がwhile構文の中に組み込まれている反復文。 

do while statement, 
repeat while 

statement, 

perform while 

statement 

15.05.22 

until文, 
repeat until文, 
perform until文 

反復制御がuntil構文の中に組み込まれている反復文。 

until statement, 
repeat until 
 statement, 
perform until 

statement 

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11 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.05.23 

perform文 

複合文であって,一つ以上のCOBOL手続きへの制御の移行を明示
的に指定し,かつ,指定された手続きの実行が完了すると必ず暗黙
的に制御の戻りを指定するもの。 
備考 perform文は,その文の有効範囲内にある一つ以上の無条件文

の実行を制御するためにも使用される。 

perform statement 

15.05.24 

ブロック文 

単一の構文単位として扱われる文の有限列であって,識別子をもつ
ことがあるもの。 
例 PASCALプログラムは,単に特別な頭部の後に同じように定義

された手続きを伴ったブロック文が続いたものとみなすことが
できる。 

備考1. ブロック文は,ブロック構造言語の基本的な構文要素であ

る。 

2. プログラム言語によっては(例えば,C++),ブロックが複

合文と同義に用いられることもある。また,Adaのように,
ブロックが特別な意味をもち,宣言及び例外ハンドラを付
加してもよいプログラム言語もある。 

3. ブロック文の内部表現は,通常,ブロック文の部分として

宣言したデータ対象の有効範囲及び生存期間に影響を与
える。 

block statement 

15.05.25 

手続き呼出し

文, 

手続き文 

手続きに実パラメタを与え,手続きの実行を引き起こす単純文。 
備考 関数呼出し(15.06.13)参照。 

procedure-call 

statement, 

procedure statement 

15.05.26 

エントリ呼出

し文 

あるタスクから別のタスクとのランデブー要求をできるようにする
ために使用する単純文。 

entry-call statement 

15.05.27 

delay文, 
遅延文 

遅延要求を含むタスクの実行を中断するために使用する単純文。 

delay statement 

15.05.28 

abort文, 
打切り文 

一つ以上のタスクが異常状態になるようにし,これらのタスクとの
以降のランデブーを禁止する単純文。 

abort statement 

15.05.29 

raise文, 
生起文 

例外を伝搬させたり,例外を発生させたりする単純文。 

raise statement 

15.05.30 

accept文, 
受理文 

サーバ タスクの中の複合文であって,このサーバ タスクが,別の
タスク又は主プログラムを待ち受けて,タスク同期のためにエント
リ呼出し文の実行を引き起こすもの。 

accept statement 

15.05.31 

select文, 
選択文 

呼ぶ タスク又は呼ばれる タスクが,動作を達成する幾つかの過程
の中から一つを選び出したり,それらに対して待機したりすること
のできる複合文。 

select statement 

15.05.32 

選択待機文 

エントリ呼出し文からの呼出しを待って,その文の列を実行する選
択文。 

selective-wait 

statement 

15.05.33 

式 

一つ以上のオペランドからの結果としてのデータ値の計算法を定義
する言語構成要素。 
備考 オペランドは,リテラル,識別子,関数呼出しであってもよ

い。 

expression 

15.05.34 

混合型, 
混合モード 

二つ以上の異種のデータ型で構成される式に関する用語。 

mixed type, 
mixed mode 

15.05.35 

論理式, 
ブール式 

論理値の計算法を定義する言語構成要素。 

Boolean expression 

15.05.36 

演算子の優先

順位 

式の中で演算子の適用の順番を定める規則。 
備考 この順序付け規則では,評価の方向を指定してもよい。 

operator precedence 

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12 

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15.06 プログラムの部分 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.06.01 モジュール, 

プログラム単位 

コンパイル,結合,実行などの動作に関して個々に区別又は識別で
きるように作成されたプログラムの部分であって,他の幾つかのプ
ログラム又はプログラムの部分と相互作用しうるもの。 
備考1. “モジュール”という用語の指す概念は,プログラム言語

によって異なることがある。 

2. 付図2参照。 

module, 
program unit 

15.06.02 本体(プログラ

ム言語におけ
る) 

文又はモジュールの実行可能部分を構成する言語構成要素。 

body (プログラム

言語における) 

15.06.03 副プログラム 

識別子の付いたモジュールであって,特定の言語構成要素によって
別のプログラム又は他のモジュールから制御流れの中へ呼び込まれ
て起動され,その制御流れから起動側のプログラム又はモジュール
に戻るもの。 

subprogram 

15.06.04 コルーチン 

副プログラムの一種であって,実行後に再度呼び出されたとき,直
前の実行時の戻り場所から再開するもの。 

coroutine 

15.06.05 呼出し(プログ

ラム言語にお
ける) 

通常は,呼ぶ モジュールに制御が返されるという暗黙の仮定の下
に,あるモジュールから別のモジュールに制御を移行する命令。 
備考 呼出しでは,通常は,呼ばれる モジュールとの間で授受され

るパラメタを指定する。 

call (プログラム言

語における) 

15.06.06 呼び出す 

呼出しを実行する。 

<to> call 

15.06.07 名前呼び 

呼出しの一種であって,呼ぶ モジュールが,呼ばれる モジュール
に対して,一つ以上のパラメタの名前を与え,関連するパラメタが,
呼ばれる モジュールの中で使用される都度評価されるもの。 

call by name 

15.06.08 参照呼び, 

アドレス呼び, 
場所呼び 

呼出しの一種であって,呼ぶ モジュールが,呼ばれる モジュール
に対して,引き渡されるパラメタのアドレスを与えるもの。 
備考 参照呼びでは,呼ばれる モジュールが,呼ぶ モジュールの

記憶したパラメタの値を変更することができる。 

call by reference, 
call by address, 
call by location 

15.06.09 値呼び 

呼出しの一種であって,呼ぶ モジュールが,呼ばれる モジュール
に対して,引き渡されるパラメタの実効値を与えるもの。 
備考 値呼びでは,呼ばれる モジュールは,呼ぶ モジュールの記

憶したパラメタの値の変更も,呼ぶ モジュール用に記憶され
たパラメタの値の変更もすることはできない。 

call by value 

15.06.10 副プログラム呼

出し 

副プログラムを起動する呼出し。 
例 手続き呼出し文,関数呼出し。 

subprogram call 

15.06.11 手続き, 

サブルーチン 

副プログラムの一種であって,パラメタ授受の一環である場合を除
き,データ値を返さないもの。 
備考1. COBOLにおける手続きとは,手続き部の中の段落,又は

論理的に続いた幾つかの段落の集まり若しくは節(段落が
あったりなかったりする)をいう。 

2. ある種のプログラム言語,例えば,C,C++では,戻りの

データ値が空であったり使用されなかったりすることを
除けば,手続きの言語構成要素と関数の言語構成要素との
間には差異が認められない。 

procedure, 
subroutine 

15.06.12 関数(プログラ

ム言語におけ
る) 

副プログラムの一種であって,通常,仮パラメタをもち,起動場所
に返すデータ値を作成するもの。 
備考 関数は,パラメタの使用によって,他の変化を引き起こすこ

ともある。 

function (プログラ

ム言語におけ
る) 

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13 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.06.13 関数呼出し 

関数の実行を引き起こすための実パラメタを与え,実行を引き起こ
す言語構成要素。 
備考1. 関数呼出しは,式の中ではオペランド,又は副プログラム

呼出しの実パラメタとしても使用される。 

2. 手続き呼出し文(15.05.25)を参照。 

function call 

15.06.14 トランザクショ

ン呼び 

関数呼出しの一種であって,あるタスクが,別のタスクとのランデ
ブーを要求できるようにするもの。 

transaction call 

15.06.15 副単位 

個別にコンパイルされたモジュールの本体。 

subunit 

15.06.16 本体受け 

本体の一形式であって,モジュールの実行可能部分が副単位の中で
定義されているもの。 

body stub 

15.06.17 接続(プログラ

ム言語におけ
る) 

モジュール相互間,特に手続き呼出し文と非同期手続きとの間の相
互作用を可能にする技法。 

connection (プログ

ラム言語におけ
る) 

15.06.18 名前によるパラ

メタ結合, 

名前による代入 

副プログラム呼出しにおいて,実パラメタに対応する仮パラメタを
明示的に名前で示すことによって,パラメタ結合を確立すること。 
備考1. 名前によるパラメタ結合では,任意の順番で実パラメタを

与えることができる。 

2. 位置によるパラメタ結合(15.06.19)を参照。 

named parameter 

association, 

assignment by name 

15.06.19 位置によるパラ

メタ結合 

副プログラム呼出しにおいて,実パラメタと,副プログラムの宣言
の中の同じ位置にある仮パラメタとを対応付けること。 
備考 名前によるパラメタ結合(15.06.18)を参照。  

positional parameter 

association 

15.06.20 仮パラメタモー

ド 

仮パラメタを変更せずにそれを評価してよいか,新しい値を与えて
よいか,又は評価し,かつ,変更してよいかどうかを指示する特性。 

formal parameter 

mode 

15.06.21 マクロ命令, 

マクロ 

呼ぶ側のプログラム言語のレベルでマクロ定義を起動する命令。 

macroinstruction, 
macro 

15.06.22 マクロ呼出し 

呼ぶ側のプログラム言語のレベルでマクロ定義を起動する文。 

macrocall 

15.06.23 マクロ定義 

指令,文又は命令の既定義の列であって,対応する起動中のマクロ
命令又はマクロ呼出しのそれぞれを置き換えるもの。 

macrodefinition 

15.06.24 パッケージ(プ

ログラム言語
における) 

データ型,そのデータ型のデータ対象,そのデータ型のパラメタを
用いる副プログラムのような,論理的に関連し合った言語構成要素
をグループ分けすることによって,抽象化,カプセル化又は情報隠
ぺい(蔽)を規定することを意図したモジュール。 

package(プログラ

ム言語におけ
る) 

15.06.25 パッケージ宣言 言語構成要素に関する個別の宣言であって,インタフェース用又は

コンパイル用のいずれかのために,パッケージの外側で言語構成要
素の詳細指定が必要とされるもの。 

package declaration 

15.06.26 可視部 

パッケージ宣言の一部分であって,オブジェクトの利用者又はパッ
ケージのサービスに必要な詳細情報を与えるもの。 

visible part 

15.06.27 密閉部 

パッケージ宣言の一部分であって,開発過程で必要とされる構造の
詳細情報を与えるが,パッケージの機能利用者には無縁であり,か
つ,アクセス不可能であるもの。 

private part 

15.06.28 はん(汎)用体 

適用可能なデータ型のために実言語構成要素を,強い型付けの規則
に従って生成するためのひな(雛)形として機能する言語構成要素に
関する用語。 

generic 

15.06.29 はん(汎)用体宣

言 

はん(汎)用体専用化の間に実パラメタで置き換えられるはん(汎)用
体 パラメタを導入するためのはん(汎)用体 言語構成要素の宣言。 

generic declaration 

15.06.30 はん(汎)用体本

体 

汎用体専用化の間に対応する実言語構成要素の本体のひな(雛)形と
して機能する汎用体 言語構成要素の本体。 

generic body 

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14 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.06.31 はん(汎)用体操

作 

多重定義の行われる操作であって,特定の一つの操作を指定するの
ではなく,特定のデータ型の実パラメタのために仮パラメタを提供
するもの。 
例 構文素“+”は,整数加算,実数加算,和集合,結合などを意

味する。 

generic operation 

15.06.32 はん(汎)用体パ

ッケージ 

関連するアルゴリズム又は操作のためにひな(雛)形を提供すること
を意図したパッケージ。 
例 三角関数,スタックの操作などのためのはん(汎)用体パッケー

ジ。 

generic package 

15.06.33 はん(汎)用体モ

ジュール 

はん(汎)用体専用化によってモジュールを生成するためのパラメタ
化されたひな(雛)形。 
備考 ひな(雛)形のパラメタは,はん(汎)用体の性質に属するもの

であり,結果として作り出されるモジュールの仮パラメタと
同義に使用してはならない。 

generic module 

15.06.34 はん(汎)用体専

用化 

具体的なモジュールを作成するために,はん(汎)用体モジュールか
らのはん(汎)用体 パラメタの問題を解決する過程。 

generic instantiation 

15.06.35 はん(汎)用体単

位の専用体 

はん(汎)用体専用化によってはん(汎)用体モジュールから作成され
る具体的なモジュール。 

generic instance 

15.07 タスク 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.07.01 主プログラム 

実行されるプログラムの最初のモジュールであって,他のモジュー
ルの実行を引き起こすことがあるもの。 

main program 

15.07.02 タスク (プログ

ラム言語にお
ける) 

多重プロセッサ上での実行,又は単独のプロセッサ上での切替え実
行によって,他のモジュールと並行に 実行できるモジュール。 
備考 実行制御の観点からみたとき,タスクとモジュールは,必ず

しも厳密には区別できない。 

task (プログラム言

語における) 

15.07.03 危険域 

タスクの一部分であって,その実行中は自分自身の他の部分,又は
他のタスクの実行が禁止されているもの。 

critical section 

15.07.04 タスク同期 

複数のタスクが互いに待機し合って活動を調整する手段。 
例 セマフォ,モニタ,ランデブー。 

task synchronization 

15.07.05 ランデブー 

二つのタスク間の相互作用であって,タスク 実行の各処理過程のあ
る点において,一方の処理過程が時間調整を行って他方を待つこと
があるもの。 

rendezvous 

15.07.06 セマフォ,  

信号灯 

一つ以上のタスクにとって使用可能である資源を,一度に一つのタ
スクにだけに使用可能にするように,資源へのアクセスを待ち行列
によって制御するためのデータ構造。 

semaphore 

15.07.07 モニタ (プログ

ラム言語にお
ける) 

共用データ対象及び操作の集合であって,並列プロセスにとって使
用可能であるが一度に一つのプロセスだけに使用可能である資源に
対する要求,又はそのような資源へのアクセスを制御するために,
データ対象を操作することがあるもの。 

monitor (in 

programming 
languages) 

15.08 実行 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.08.01 実行順序 

宣言の確立,並びに一連の文全体及びその一部分の実行の順番。 

execution sequence 

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15 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.08.02 制御流れ 

一つのプログラム全体を通して,実行順序がとることのできる経路。 
備考 制御流れ図によって,すべての制御流れを抽象化したものを

表現することができる。 

control flow 

15.08.03 副作用 

式,文,又は副プログラムの実行によって引き起こされる間接的な
作用。 
備考 副作用によって,例えば,関数から引き渡されるパラメタの

データ値が変更されてしまうことがある。 

side effect 

15.09 オブジェクト指向プログラミング 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.09.01 情報隠ぺい(蔽) 利用者が本質的に知っているべきであると考えられる細部以外の,

ある言語構成要素又はその特定の細部にアクセスしたり,それらを
知ろうとしたりすることを拒否するという原則。 

information hiding 

15.09.02 カプセル化する 言語構成要素に対して情報隠ぺい(蔽)を適用する。 

<to> encapsulate 

15.09.03 カプセル化 

カプセル化する過程又はその結果。 

encapsulation 

15.09.04 密閉 

言語構成要素の利用者にとって直接に使用可能でないような言語構
成要素の特性に関する用語。 

private 

15.09.05 オブジェクト 

(プログラム
言語におけ
る) 

操作及びデータからなる集合であって,操作の結果を格納し保持す
るもの。 
備考 オブジェクトは,Adaでは“パッケージ”又は“タスク”,

Modula-2では“モジュール”,Smalltalkでは“オブジェクト”
としてそれぞれ実現されている。 

object (プログラム

言語における)  

15.09.06 メッセージ(プ

ログラム言語
における) 

オブジェクトに対してその操作の一つを遂行する要求。 

message (プログラ

ム言語におけ
る)  

15.09.07 プロトコル(プ

ログラム言語
における) 

メッセージの交換においてオブジェクトの振る舞いを決める規則の
集まり。 

protocol (in  
programming 

languages) 

15.09.08 メソッド 

メッセージの受取り時にオブジェクトが実行する操作。 

method 

15.09.09 クラス(プログ

ラム言語にお
ける) 

オブジェクトに関するひな(雛)形であって,そのようなオブジェク
トの専用体用の内部構造と操作の集合とを定義するもの。 
備考 オブジェクト指向プログラミングでは,クラスは,C,

PASCALのような,ある種のプログラム言語におけるデータ
型に相当する。 

class (プログラム

言語における) 

15.09.10 多様性, 

多相性, 
多態性 

同一のメッセージに対して個々のオブジェクトが異なった応答を行
う能力。 

polymorphism 

15.09.11 継承 

あるクラスから下位クラスに対して,その内部構造及び操作の集ま
りの全体又は一部分をコピーすること。 

inheritance 

15.09.12 委譲 

あるオブジェクトが,あるメッセージに関するサービスを別のオブ
ジェクトに譲渡することを許可する手段。 

delegation 

15.09.13 オブジェクト指

向 

オブジェクト,クラス及び継承を支援する技法又はプログラム言語
に関する用語。 

備考  オブジェクト指向プログラミングに関しては,次の要件をあ

げている論者もいる。情報隠ぺい(蔽)又はカプセル化,デー
タ抽象化,メッセージ引渡し,多様性,動的結合及び継承。 

object-oriented 

background image

16 

X 0015 : 2002 

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

15.10 機能及び特性 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

15.10.01 添え字指定 

配列参照と,評価時に配列の要素の位置を明示する一つ以上の式と
によって,その要素を参照する仕組み。 

subscripting 

15.10.02 間接参照 

参照先の言語構成要素を指すデータ対象によって参照する仕組み。 
備考 参照は,データ対象の連鎖をたどって行ってもよい。この場

合,途中の各データ対象が次のデータ対象を指し,最後のデ
ータ対象が参照先の言語構成要素を指す。 

indirect referencing 

15.10.03 初期化する 

データ対象の生存期間の始まりに,そのデータ対象にデータ値を与
える。 

<to> initialize 

15.10.04 動的記憶割振り データ対象の有効範囲の実行中にだけ,そのデータ対象に対して記

憶空間を割り振ること。 

dynamic storage 
 allocation 

15.10.05 拡張性 

標準の言語構成要素と同じ構文記述方法で新しい言語構成要素の仕
様を受け入れ,それを使用することができるプログラム言語の能力。 

extensibility 

17 

X 0015 : 2002 

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

PASCALのデータ型 

+──────────+──────────+ 
|                   |                   | 

単純型            ポインタ型            構造型 

|                                       | 

                          +───+──+                   +─────+───+─+─────+ 
                          |         |                   |         |        |         | 

         順序型   実数型             レコード型   配列型  ファイル型  集合型  

                          | 
             +───+───+──+────+ 
             |      |          |       |       
           列挙型   文字型   整数型   論理型 

 
 

Adaのデータ型 

  | 

+───────────────+─────────+──────+ 
|                              |                |           | 

単純型                         構造型           密閉型     タスク型 

                      |                              |                | 
            +─────+────+                +──+───+        限定型 
            |                  |                |          | 
        アクセス型         スカラ型         配列型    レコード型 
            |                  |                |          | 
           FILE̲TYPE           |             STRING       TIME 
                   +──────+───────+ 
                   |                         | 
                実数型                     離散型 
                   |                         | 
            +──────+         +─────+──────+ 
            |            |         |                     | 
    固定小数点型   浮動小数点型  整数型                列挙型 
            |            |         |                     | 
         DURATION        |     +──+-──+        +───+──+ 
            |            |     |         |        |           | 
            |            | NATURAL  POSITIVE    論理型      文字型 
            |            |     |         | 
            +────────────+─────+─────+ 
                         | 
                      数値型 
 
            備考 大文字表記の語句は既定義の識別子を表す。 
 

付図1 データ型の例 

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X 0015 : 2002 

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Adaのプログラム単位 

|─ 副プログラム ─+─ 手続き 

|                  +─ 関数 

|─ タスク 

|─ パッケージ 

|─ はん(汎)用体単位 ─+─ はん(汎)用体副プログラム 

                       |─ はん(汎)用体パッケージ 

COBOLの部(division) 

|─ 見出し部 

|─ 環境部 

|─ データ部 

|─ 手続き部 

FORTRANのプログラム単位 (コンパイルの単位) 

|─ 主プログラム 

|─ モジュール 

|─ 外部副プログラム ─+─ 関数副プログラム 

|                      |─ サブルーチン副プログラム 

|─ 初期値設定プログラム 

付図2 プログラムの構成