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T 9281

:2016

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  種類 

2

5

  リスクマネジメントによる設計  

4

6

  外観及び性能  

4

6.1

  外観  

4

6.2

  性能  

4

7

  試験方法  

5

7.1

  試験条件  

5

7.2

  試験用具  

5

7.3

  水平方向の強度試験  

6

7.4

  水平方向の耐久性試験  

6

7.5

  水平方向の衝撃性試験  

6

7.6

  垂直下向きの強度試験  

7

7.7

  垂直下向きの耐久性試験  

7

7.8

  垂直上向きの強度試験  

7

7.9

  耐熱性試験  

8

7.10

  挟込み回避確認試験  

8

8

  検査方法  

9

9

  表示 

9

10

  取扱説明書  

9

附属書 A(参考)設計における配慮事項  

11


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まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 T

9281

:2016

福祉用具−据置形手すり

Assistive products-Free-standing handrails

適用範囲 

この規格は,主にが(臥)位・座位からの立ち・座り,移乗・移動及び立位保持,段差における立位で

の昇降動作,立位での水平方向への移動動作,排せつ(泄)姿勢への座り動作,並びに排せつ姿勢からの

立ち上がり動作を支援する据置形手すり(以下,手すりという。

)について規定する。ただし,設置の際に

ねじ又は接着剤で固定する手すり,

留め具を使用して固定する手すり及び浴室内に設置する手すりを除く。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS T 0102

  福祉関連機器用語[支援機器部門]

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0102 によるほか,次による。

3.1 

据置形(free-standing type)

床の上に,固定具又は留め具を使わずに自重だけで据え置く形式。

3.2 

ハザード(hazard)

人体に危害を及ぼすおそれのある潜在的な源。

3.3 

リスク(risk)

危害の生じる危険性。理論的には危害の発生確率及びその危害の程度の組合せ。

3.4 

リスクマネジメント(risk management)

リスクを識別し,最小限に抑え又は除去するなど,リスクに対応し,管理する行為。

3.5 

性能(performance)

製品がもつ各種能力の特性を程度で表したもの。

3.6 

使用上支障のある異常(abnormality that create problem for intended use)


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使用したとき,機能上,性能上,又は安全上支障のある損傷又は変形。

3.7 

体の挟込み(trapping of body)

製品の隙間への身体各部の挟まれ,引込まれ又は閉込め。

3.8 

立ち座り用手すり(handrails for standing up and sitting down)

主としてが位又は座位からの立ち上がり動作及び座り動作を支援するための手すり。

3.9 

移動用手すり(handrails for moving)

主として昇降移動又は水平移動における動作を支援するための手すり。

3.10 

便器での立ち座り用手すり(handrails for standing up and sitting down at toilets)

便器への座り動作及び便器からの立ち上がり動作を支援するための立ち座り用手すり。

種類 

種類は,用途によって区分し,

表 による。

表 1−種類の区分 

用途による種類区分

説明の図

立ち座り用手すり

図 

移動用手すり

図 

便器での立ち座り用手すり

図 


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図 1−立ち座り用手すりの例 

図 2−移動用手すりの例 


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図 3−便器での立ち座り用手すりの例 

リスクマネジメントによる設計 

リスクマネジメントによる設計は,次による。

a)

手すりに対して,リスクマネジメントによる設計を次の事項について実施しなければならない。

1)

製品上に存在する隙間について,7.10 の試験で評価しない箇所のリスク。

2)

手すりの部品間,又は手すりと床との間に身体の一部が挟まって抜けなくなるリスク。

3)

衣服などが絡まるリスク。

4)

ベース部につまずくリスク。

5)

手すりと他の機器との衝突,消毒剤などによって製品にきずが付き,人体が負傷するリスク。

6)

手すりを構成する部品の材料(表面の塗装,皮膜及びその他表面処理を含む。

)が人体に対して化学

的に及ぼすリスク(アレルギー,毒性など)

7)

最大使用者体重が 100 kg 超である場合。

b)

個別製品の設計には,a)  以外に想定されるリスクはないか考慮し,あればリスクマネジメントを実施

する項目として付け加えなければならない。

c)

福祉用具一般に考えられるハザード及び人間工学から見たハザードにも配慮することが望ましい。そ

れらを

附属書 に例示する。

d)

リスクマネジメントの実施手順及び結果を,製造業者又は販売業者によって文書化し,それを維持し

なければならない。

外観及び性能 

6.1 

外観 

外観は,目視及び触感によって製品を調べたとき,次の事項を満足しなければならない。

a)

仕上げが良好で,各部に変形,亀裂,ばり,鋭い突起,さび及び表面処理の剝がれがあってはならな

い。

b)

各部の端部に角がある場合は,角に丸みを付けるか,面取りを行わなければならない。

c)

金属部(ねじ部を含む。

)には,防せい(錆)処理を施さなければならない。

6.2 

性能 

性能は,

表 による。


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表 2−性能 

項目

性能

試験項目

全体の強度

水平方向の強度

右欄に示す試験方法によって製品を試験した結果,各部

に使用上支障のある異常があってはならない。ただし,
使用者体重が 100 kg 超である場合は,試験荷重はリス

クマネジメントによって製造業者が指定した値によっ

て行う。

7.3 

水平方向の耐久性

7.4 

水平方向の衝撃性

7.5 

垂直下向きの強度

7.6 

垂直下向きの耐久性

7.7 

垂直上向きの強度

7.8 

耐熱性

7.9 

挟込み回避確認

7.10

に示す条件に適合しなければならない。

7.10 

試験方法 

7.1 

試験条件 

試験条件は,次による。

a)

試験は,JIS Z 8703 に規定する温度(20±5)℃,相対湿度(65±20)%で行う。

b)

組立部分がある場合は,その部分を正常,かつ,決められたとおりに組み立て,がたつきがあっては

ならない。

c)

長さ調整及びロック部分がある場合は,最も不利な長さにセットして,ロックを確実に行う。

d)

最大使用者体重を 100 kg 超とする場合は,リスクマネジメントを行い試験値を指定する。

7.2 

試験用具 

7.2.1 

静荷重負荷用ジグ 

荷重のかけ方は,荷重点を押す方法と引っ張る方法とがあり,そのいずれによってもよい。荷重をかけ

る幅は 50 mm 以下の範囲とし,押すジグの材料には金属,硬い木材,プラスチックなどを使用する。引っ

張るジグに使うベルトの材料には,金属,樹脂,布材などで可とう(撓)性があり伸びないものを使用す

る。

7.2.2 

衝撃試験用おもり(錘) 

衝撃試験用おもりは,

図 に示す形状で,質量 20 kg,直径 200 mm の円筒形の砂袋とする。

単位  mm

図 4−衝撃試験用おもり 


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7.2.3 

隙間への挟込み回避確認試験ジグ 

隙間への挟込み回避確認試験ジグは,次による。

a)

頭部の閉じ込めに対する隙間の確認試験ジグは,

図 に示す形状の剛体を使用する。

b)

けい(頸)部の引き込まれに対する隙間の確認試験ジグは,

図 に示す形状の剛体を使用する。

単位  mm

単位  mm

図 5−頭部の閉じ込め隙間確認試験ジグ 

図 6−けい(頸)部の引き込まれ隙間確認試験ジグ

7.3 

水平方向の強度試験 

ベース部を水平な平面に固定して,グリップ部の最も不利な点に 500 N の負荷を 10 回,各 30 秒間,水

平に加える。ただし,便器での立ち座り用では,400 N の負荷とする。負荷後,各部に使用上支障のある

異常がないことを目視で確認する(

図 参照)。

図 7−水平静荷重試験 

7.4 

水平方向の耐久性試験 

ベース部を水平な平面に固定して,グリップ部の最も不利な点に 200 N の負荷を 20 000 回,水平に繰り

返し加える。負荷後,各部に使用上支障のある異常がないことを目視で確認する(

図 参照)。

図 8−水平耐久性試験 

7.5 

水平方向の衝撃性試験 

ベース部を水平な平面に固定して,

グリップ部の最も不利な点に

図 に示す衝撃試験用おもりを用いて,

15

°の角度から自然落下させ,水平に 1 回衝突させる。衝突後,各部に使用上支障のある異常がないこと

を目視で確認する(

図 参照)。


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図 9−水平耐衝撃性試験 

7.6 

垂直下向きの強度試験 

垂直下向きの強度試験は,次による。

a)

ベース部を水平な平面に固定して,グリップ部の最上部で,グリップの中央又は最も不利な点(

図 10

参照)

,及びグリップの左右いずれかの端部(

図 11 参照)に負荷する。

b)

立ち座り用及び移動用は,750 N の負荷を 10 回,各 30 秒間,垂直下向きに加える。

c)

便器での立ち座り用は,800 N の負荷を 10 回,各 30 秒間,垂直下向きに加える。

d)

負荷後,各部に使用上支障のある異常がないことを目視で確認する。

注記  グリップの中央又は最も不利な点への負荷は,グリップ部の強度確認,グリップの左右いずれ

かの端部への負荷は,支柱のロック部の強度確認を目的とする。

図 10−垂直下向き静荷重試験(中央荷重) 

図 11−垂直下向き静荷重試験(端部荷重) 

7.7 

垂直下向きの耐久性試験 

ベース部を水平な平面に固定して,グリップ部の最も不利な点に 400 N  の負荷を 20 000 回垂直下向きに

加える。負荷後,各部に使用上支障のある異常がないことを目視で確認する(

図 12 参照)。

7.8 

垂直上向きの強度試験 

ベース部を水平な平面に固定して,グリップ部の最も不利な点に 500 N の負荷を 10 回,各 30 秒間,垂

直上向きに加え,支柱部からグリップ部が抜けないことを確認する。試験後,各部に使用上支障のある異

常がないことを目視で確認する(

図 13 参照)。


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図 12−垂直下向き荷重耐久性試験 

図 13−垂直上向き静荷重試験 

7.9 

耐熱性試験 

手すりを温度が一定に保たれる高温槽又は試験室に入れ,65  ℃の設定温度で,5 時間放置した後,各部

に外観上及び使用上支障のある変質を含む異常がないことを目視及び触感によって確認する

図 14 参照)。

図 14−耐熱性試験 

7.10 

挟込み回避確認試験   

挟込み回避確認試験は,次による。

a) 

閉じた隙間 

1)

頭部が閉じ込められるリスクが想定される箇所では,

図 の試験ジグを 50 N の力で隙間に差し込み,

直径 120 mm の部分が隙間を通り抜けないとき,適合とする(

図 15 参照)。

2) 

図 15 の,ベース部と最下グリップとの間の隙間は,リスクマネジメントで対応し,試験の対象とし

ない。

b) 

開いた隙間 

1)

けい(頸)部が引き込まれるリスクが想定される箇所では,

図 の試験ジグを 50 N の力で隙間に押

し込む。

2)

ジグの最上面が手すりの上面より上にあれば適合とする[

図 16 a)  参照]。

3)

ジグの最上面が手すりの上面より下まで来れば不適合とする[

図 16 b)  参照]。


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a)

  適合の例 b)  不適合の例 

図 15−挟込み回避確認試験 

図 16−挟込み回避確認試験適合の判断 

検査方法 

検査は,形式検査

1)

と受渡検査

2)

とに区分し,検査の項目はそれぞれ次のとおりとする。

なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査方法は,受渡当事者間の協定による。

a) 

形式検査項目  形式検査項目は,次の項目を箇条 によって試験したとき,箇条 5,箇条 6,箇条 9

及び箇条 10 に適合したものを合格とする。

1)

リスクマネジメントによる設計

2)

外観

3)

性能

4)

表示及び取扱説明書

b) 

受渡検査項目  受渡検査項目は,次の項目を目視によって試験したとき,6.1,箇条 及び箇条 10 

規定に適合したものを合格とする。

1)

外観

2)

表示及び取扱説明書

1)

製品の品質が設計で示した全ての特性を満足するかどうか判定するための検査。

2)

既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める

特性を満足するものであるかどうか判定するための検査。

表示 

この規格の全ての要求事項に適合した手すりには,製品上のよく見える場所に,使用者が読みやすい字

の大きさで,容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。

a)

情報の表示

1)

製品の名称

2)

最大使用者体重

3)

規格番号

4)

製造業者若しくは輸入業者の名称又はその略号

5)

製造年月若しくは輸入年月又はその略号

6)

製造番号

b)

製品使用上の注意,警告,設置場所・環境,使い方の禁止事項など

10 

取扱説明書 

製品販売時又はレンタル時には,取扱説明書を添付しなければならない。取扱説明書には次の項目を記

載する。


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a)

製品の主要寸法,質量,材質

b)

最大使用者体重

c)

水平方向の安定性に関する注意事項

例  水平方向の荷重をかけないこと

d)

組立・分解の方法及び注意事項

e)

製品の使い方

f)

不適切な使い方への注意事項,警告

g)

設置する場所・環境などの推奨・指定

h)

点検,手入れの方法

i)

故障時の処置方法,販売業者への連絡方法

j)

その他必要と思われる事項

k)

製造業者若しくは販売業者の名称又はその略号,住所,電話番号及びファクシミリ番号


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附属書 A

(参考)

設計における配慮事項

A.1 

福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例 

据置形手すりに関連して起こる可能性があるハザードの例及びそれらに関連する要因の例を示す。ただ

し,全てを網羅しているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなる。

a)

製品を使う人が高齢者,障害者であることが多いこと,また,介助者も製品を扱うこと

b)

製品を使う環境のいかんによってできるハザード。置く場所,温湿度など

c)

汚物で汚れることはないか。

d)

他の機器との併用(ベッド,ソファなど)によって生じるハザード(他製品との間にできる隙間への

挟込みなど)

。他の機器との併用が不適正で起きるハザード

e)

取扱説明書,表示などが不適切なことによって生じるハザード

f)

サービス及び保守の不適切な説明

g)

使用前点検の不十分な説明

h)

不適切な附属品の仕様書

i)

用具の扱いに習熟していない者による使用の説明,指導

j)

介助者などが負傷する機構の存在

k)

合理的に予見できる誤使用

l)

使用者及び介助者の意図しない動き

m)

所有者及び使用者の勝手な改造による危険性

n)

製品の点検及び寿命に関する情報提供の不十分さ

A.2 

多様な使用者に対する人間工学的な要因による検討項目の例 

高齢者,障害者などの身体機能の低下によって多様なニーズをもつ使用者に対する人間工学的検討項目

の例を示す。ただし,全てを網羅しているわけではなく,項目を特定する手助けとなる。

注記  JIS Z 8071 の 9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。

a)

動作能力の低下,筋力の低下及び体力の低下による意図しない動き

b)

機器の操作力の低下による意図しない動き

c)

平衡を保ち転倒を避ける能力の低下による意図しない動き

d)

知的能力の低下及び記憶能力の低下による非正常な動き

e)

視覚,聴覚及び触覚感度の低下などによる不十分な情報獲得による意図しない動き

A.3 

保守の不足及び老朽化によってもたらされるハザードの例 

福祉用具の保守の不足及び老朽化によってもたらされるハザードの例を示す。ただし,全てを網羅して

いるわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなる。

a)

偶発的な製品の損傷によって生じるハザード

b)

不適切又は不十分な保守,及び保守後の点検の不良によって生じるハザード


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参考文献   

[1]  JIS Z 8071

  高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針