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T 9275

:2015

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲 

1

2

  引用規格 

1

3

  用語及び定義  

1

4

  種類  

2

5

  一般要求事項  

4

5.1

  リスクマネジメントによる設計  

4

5.2

  材料  

4

5.3

  外観  

4

5.4

  構造  

4

5.5

  性能  

5

6

  試験条件 

6

6.1

  試験室  

6

6.2

  試料の調製  

6

6.3

  許容差  

6

7

  試験方法 

6

7.1

  寸法  

6

7.2

  縫い目の引張強さ  

6

7.3

  体位変換用シートの持ち手の引張強さ  

7

7.4

  体位変換用シートの滑りやすさ  

8

7.5

  体位変換用クッションの強度  

12

7.6

  体位変換用クッションの耐久性  

13

7.7

  体位変換用クッションの持ち手の強度  

13

7.8

  体位変換用クッションの底着き性能  

13

8

  検査方法 

14

9

  表示  

14

9.1

  共通表示項目  

14

9.2

  体位変換用シートの表示事項  

14

9.3

  体位変換用クッションの表示事項  

15

10

  取扱説明書  

15

10.1

  共通記載事項  

15

10.2

  体位変換用シートの取扱説明書記載事項  

15

10.3

  体位変換用クッションの取扱説明書記載事項  

15

附属書 A(参考)設計における配慮事項  

17

附属書 B(規定)最大引張荷重の決め方  

18


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(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 T

9275

:2015

福祉用具−体位変換用具

Assistive products-Positioning, turning and sliding devices for the body

適用範囲 

この規格は,介助者が容易に高齢者又は障害者のが(臥)床状態の体位の変換,保持又は移動をするた

めの体位変換用具のうち,体位変換用シート及び体位変換用クッション(以下,体位変換用具という。

)に

ついて規定する。ただし,体を持ち上げて移動させる体位変換用シート,起き上がり補助装置,ボード形

体位変換用具,及びグローブ形体位変換用具には適用しない。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 7512

  鋼製巻尺

JIS B 7516

  金属製直尺

JIS K 6253-3

  加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第 3 部:デュロメータ硬さ

JIS L 0217

  繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法

JIS L 0803

  染色堅ろう度試験用添付白布

JIS L 1093

  繊維製品の縫目強さ試験方法

JIS L 1096

  繊維及び編物の生地試験方法

JIS T 0102

  福祉関連機器用語[支援機器部門]

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0102 によるほか,次による。

3.1 

体位変換用シート 

体位の変換又は移動を容易に行うための用具。体位変換用シートは,身体とマットレスなどとの間に滑

りやすい素材又は滑りやすい構造をしたものを敷き,体位変換用シート又は身体を,押す又は引っ張るこ

とによって身体を移動させたり,滑らせたりするもの。種類として,筒形及びシート形がある。

3.2 

体位変換用クッション 

背部,腰部,上肢,下肢などに差し込むことで体位の変換及び/又は保持を容易に行うための用具。種

類として,自由成形形,形状固定形及び空気圧形がある。


2

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3.3 

自由成形形 

体位変換用クッションのうち,充塡物の流動のあるもの。袋にビーズなどを詰めたものがある。

3.4 

形状固定形 

体位変換用クッションのうち,

充塡物の流動のないもの。

ウレタンフォームなどを使用したものがある。

3.5 

空気圧形 

ポンプを用いてエアバッグを膨縮させることによって体位の変換を容易に行うための用具で,手動又は

動力を用いて空気圧を調整するもの。

3.6 

シートの縦方向 

体位変換用シートの形状がシート状で長方形のものについては長手方向,正方形のものについては任意

の辺の方向,また,体位変換用シートの形状が筒状のものについては円周と直交する方向。

3.7 

シートの横方向 

シートの縦方向に直交する方向。

3.8 

縫い目 

シートをつなぎ合わせたり筒状にするための接続部分。縫製,接着,溶着などによるものを含む。

3.9 

滑り面 

滑りやすい素材の面又は加工などを施したもので,使用するときに滑りを生じさせる面。

3.10 

体位の保持 

主にが(臥)位における仰が位から側が位に移行した状態を保持させること。

3.11 

底着き 

クッションが荷重によって圧縮されクッションの柔軟さが失われた状態。

種類 

体位変換用具の種類は,主な用途によって体位変換用シート及び体位変換用クッションに区分する(

1

参照)


3

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表 1−体位変換用具の種類 

種類

種類の細分

参照図面

体位変換用シート

筒形

図 

シート形

図 

体位変換用クッション

自由成形形

図 

形状固定形

図 

空気圧形

注記 1  体位変換用シートには,持ち手があるものと持ち手がないものとがある。 
注記 2  体位変換用シートには,シートを引っ張って使用するものと滑らせて使用する

ものとがある。

注記 3  体位変換用クッションには,主に体位の変換を目的としたものと主に体位の保

持を目的としたものとがある。

注記 4  体位変換用クッションの空気圧形には,手動のものと動力によるものとがある。

図 1−体位変換用シート  筒形の例 

図 2−体位変換用シート  シート形の例 

a)

  製品の例 

b)

  使用例 

図 3−体位変換用クッション  自由成形形の例 


4

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1)

  製品の例 

2)

  使用例 

a)

  主に体位の変換を目的とした例 

1)

  製品の例 

2)

  使用例 

b)

  主に体位の保持を目的とした例 

図 4−体位変換用クッション  形状固定形の例 

一般要求事項 

5.1 

リスクマネジメントによる設計 

リスクマネジメントによる設計は,

附属書 に記載した要因などについて実施し,残留リスクを受容で

きる範囲にとどめることが望ましい。

なお,リスクマネジメントによる設計を実施する場合は,要因項目,実施手順及び結果を製造業者又は

販売業者によって文書化し,維持しなければならない。

5.2 

材料 

材料は,次による。

a)

体位変換用具の材料は,難燃性であることが望ましい。難燃性を表明する場合には,難燃性に関する

日本工業規格の試験方法名,規格番号,及び区分がある場合はその区分を製品に表示する。

b)

体位変換用シート及び体位変換用クッションのカバーの布地は,JIS L 1096 で規定する破裂強度又は

引張強度が次の強度以上の布地とすることが望ましい。

1)

編物は,破裂強度 1 000 kPa。

2)

織物は,縦方向及び横方向共に引張強度 225 N(25 mm 幅のつかみ)

5.3 

外観 

外観は,目視によって試験したとき,仕上げは良好で,ほつれ,破れ,欠けなどがあってはならない。

5.4 

構造 

体位変換用具は,使用者の身体に接触する部分に,皮膚とこすれると出血などのけがの可能性がある金

属などの硬い部分が露出していてはならない。また,ファスナなどを体位変換用クッションの表面及びカ

バーに設ける場合には,スライダー部が覆われるようにする。


5

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5.5 

性能 

5.5.1 

体位変換用シートの性能 

体位変換用シートは,7.17.4 の試験を行ったとき,

表 の規定に適合しなければならない。洗濯が可

能と表示する体位変換用シートは,6.2.1 に規定する洗濯を行った後に 7.17.4 の試験を行う。

表 2−体位変換用シートの性能 

項目

性能

試験方法

適用

寸法

表示値(cm)に対して±5 %以内とする。 
洗濯後の場合は

a)

,表示値(cm)に対して±10 %以

内とする。

7.1 

縫い目の引張

強さ

切断があってはならない。

7.2 

体位変換用シートを引っ張って

使用するもののうち,布地を縫
い合わせた部分をもつものに限

る。

持ち手の引張

強さ

破れ,ほつれなど使用上問題となる破損があっては

ならない。

7.3 

持ち手があるものに限る。

滑りやすさ

区分記号 A,B,C のいずれかとし,表示する区分記

号に応じた性能を満足しなければならない。

7.4 

a)

洗濯可能と表示する体位変換用シートに適用する。

5.5.2 

体位変換用クッションの性能 

体位変換用クッションは,7.1 及び 7.57.8 の試験を行ったときに,

表 の規定に適合しなければなら

ない。洗濯が可能と表示する体位変換用クッションは,6.2.1 に規定する洗濯を行った後に 7.1 及び 7.5

7.8

の試験を行う。

表 3−体位変換用クッションの性能 

項目

性能

試験方法

適用

自由成形形

形状固定形及び空気圧形

寸法

表示値(cm)に対して長
さ・幅は±5 %以内とし,

高さは±10 %以内とす
る。

洗濯後の場合は

a)

,表示

値(cm)に対して長さ・
幅は±10 %以内とし,高

さは±20 %以内とする。

表示値(cm)に対して±

5 %

以内とする。

洗濯後の場合は

a)

,表示

値(cm)に対して±10 %

以内とする。

7.1 

クッションの

強度

破損があってはならない。

7.5 

耐久性

破損があってはならない。

7.6 

持ち手の強度  破損があってはならない。

7.7 

持ち手があるものに限る。

底着き

100 N

の力で底着きが発生してはならない。

7.8 

体位の保持を目的とするものに

限る。

a)

洗濯可能と表示する体位変換用クッションに適用する。

5.5.3 

電気的安全性 

電装品を装備した場合の電気的安全性は,関連する強制法規に適合しなければならない。


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注記  電気的安全性については,電気用品安全法が制定されている。

試験条件 

6.1 

試験室 

試験室の状態は,温度 23  ℃±5  ℃,相対湿度(50±15)%とする。

6.2 

試料の調製 

6.2.1 

洗濯 

洗濯可能と表示する体位変換用具は,JIS L 0217 に規定する記号を表示する場合は,JIS L 0217 の 3.(試

験方法)に規定する方法によって洗濯を 10 回行い,JIS L 0217 に規定する記号を表示しない場合は,製造

業者の指定する洗濯方法によって洗濯を 10 回行う。

6.2.2 

試料の標準状態 

試料は,6.1 の試験室に 1 時間以上放置する。

6.3 

許容差 

特に規定のない限り,力の許容差は±5 %,質量の許容差は±5 %,寸法の許容差は±10 %,時間の許容

差は±5 %とする。

試験方法 

7.1 

寸法 

7.1.1 

測定具 

寸法の測定は,JIS B 7512 に規定する鋼製巻尺の 2 級,JIS B 7516 に規定する金属製直尺の 2 級又は同

等以上の測定具を使用する。

7.1.2 

手順 

手順は,次による。

a) 

体位変換用シート  体位変換用シートを平らな台の上に置き,不自然なしわ及び張力を取り除いた状

態で,滑り面の寸法(cm)を小数点以下 1 桁まで測り,四捨五入によって整数に丸める。

なお,筒状の体位変換用シートなどで測定箇所に膨らみが生じる場合は,金属製直尺を用い,軽く

押さえて測定する。

b) 

体位変換用クッション 

1)

自由成形形は,平らな台の上に置いて充塡物を均等にならした後,表示項目の寸法(cm)を小数点

以下 1 桁まで測り,四捨五入によって整数に丸める。

2)

形状固定形は,各辺の長さ(cm)

(円筒形は直径及び長さ)

,複雑な形状の物は表示項目の寸法(cm)

を小数点以下 1 桁まで測り,四捨五入によって整数に丸める。

3)

空気圧形は,空気を入れて使用状態にしたときの表示項目の寸法(cm)を小数点以下 1 桁まで測り,

四捨五入によって整数に丸める。

7.2 

縫い目の引張強さ 

7.2.1 

試験片の採取 

試験片は

図 の例で示すとおり,試料の縫い目が中央で直線状となる任意の箇所から,3 枚採取する。

試験片の寸法は,長さ約 15 cm,幅約 10 cm とする。

なお,中綿などの充塡物がある場合は,可能な限り取り除く。


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図 5−試験片の採取例(体位変換用シートの引張強さ) 

7.2.2 

手順 

全ての試験片について,JIS L 1093 の 7.1.1A-1 法)によって引張試験機に取り付け,225 N までの力

で引っ張り,切断しないことを確認する。

なお,縫い目がつかみ間の中央になるように試験片を取り付ける。

7.3 

体位変換用シートの持ち手の引張強さ 

7.3.1 

装置及び試験の準備 

装置は,フック及びおもりとする。試験の準備は,試料である被評価製品をワイヤで引き上げるための

フックの取付けであり,次による。

a)

フックは,持ち手に取り付ける箇所の長さが 5 cm±1 cm,幅は持ち手に完全にかかる大きさとし,持

ち手と接触する箇所は滑らかなものとする。ただし,フックが持ち手に入らないときは,持ち手に入

る最大の長さとする。

b)

向かい合う持ち手が 2 組以上並んであるものは,試料を平らな台の上に敷き,片側に 2 か所ずつ,合

計 4 か所の持ち手にフックを取り付ける。向かい合う持ち手が 3 組以上ある場合は,各側の持ち手中

心間の距離が 100 cm に近い向かい合う各持ち手にフックを取り付ける。

c)

向かい合う持ち手が 1 組だけのもの,又は 1 辺だけに持ち手があるものは,使用上最も不利となる一

つの持ち手にフックを取り付ける。

7.3.2 

手順 

手順は,次による。

a)

試料が 7.3.1 b)  による場合は,合計質量が 100 kg になる砂袋をフックを取り付けた持ち手間の内側で

幅が約 70 cm となる部分の試料上に均等に敷き詰める。向かい合うフックを長さ約 100 cm のワイヤで

つなぎ,ワイヤと試料との間に外径約 3 cm のパイプを通し,試料が持ち上がるまでパイプを静かに引

き上げて 1 分間保持し,破損の有無を確認する[

図 6 a)  参照]。


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a)

  向かい合う持ち手が 組以上並んである例 

b)

  向かい合う持ち手が 組だけ, 

又は 辺だけにある例 

図 6−試験方法の例 

b)

試験片が 7.3.1 c)  による場合は,フックとおもりを合わせた質量が 26 kg のおもりをフックに取り付

け,シートの反対側の位置をつ(吊)り上げジグによってつかみ,静かに試料を持ち上げて 1 分間保

持し,破損の有無を確認する[

図 6 b)  参照]。

7.4 

体位変換用シートの滑りやすさ 

体位変換用シートの滑りやすさは,使用状態にした試料に被介助者を想定した荷重を載せて水平に引っ

張るときに,被介助者を動かし始めるために必要な静摩擦力として求める。

7.4.1 

試験装置 

試験装置は,次による。

7.4.1.1 

圧子 

圧子は,そり(スレッド)とおもりとによって構成し,試料に試験荷重に相当する法線力を与える装置

であり,縦 380 mm±3 mm,横 240 mm±3 mm の長方形の平たん(坦)で滑らかな底面をもつそりとする

図 参照)。均一な圧力分布をかけるために,圧子の底面に,被覆材料として,約 3 mm 厚で硬さが JIS 

K 6253-3

に規定するタイプ A デュロメータによって,A50±15 のゴム板を取り付ける。この被覆材料の表

面は,十分にきめ細かく,試料が型押しされないようなものでなければならない。

図 7−そりに試験荷重を載せた例 


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7.4.1.2 

駆動装置 

駆動装置は,次による。

a)

圧子を引っ張る方向は,摩擦面に対して平行でなければならない。

b)

摩擦を引き起こす運動には顕著な振動があってはならず,速度は 100 mm/分±10 mm/分とし,50 mm

以上の移動が可能でなければならない。

7.4.1.3 

試験テーブル 

試験テーブルは,滑らか又は磨いた表面をもち,長さは試験において圧子の移動が可能な長さをもち,

幅は圧子の縁と障害となるどの縁との間にも約 50 mm の余裕のある幅とする。

7.4.1.4 

摩擦力測定システム 

摩擦力測定システムは,次による。

a)

摩擦力測定システムは,記録装置とロードセルとによって構成する。

b)

記録装置を含めた摩擦力測定システムは,誤差が±5 %を超えず,また,応答時間は 0.1 秒を超えては

ならない。

7.4.2 

試験荷重 

試験テーブルに垂直な力として使う試験荷重は,6 kg 又は 3 kg のおもりを組み合わせて,そりと合わせ

た圧子の質量が 28 kg±0.3 kg とする。

7.4.3 

試料の固定 

手順は,次による。

a)

試料を取り扱うには,特別な注意が必要である。試験表面は,ほこり,指紋,又は表面の特性を変え

るような異物がついていてはならない。

なお,試料は,使用状態にした製品とし,製品を切断せずに使用する。ただし,試料の滑らせる方

向と直行する方向の長さが 500 mm より大きく,滑り面からの引張荷重以外の反力が無視できない場

合は,500 mm 程度に切断してもよい。

b)

試料を試験テーブルの上に,試料を滑らせる方向と圧子を引っ張る方向とが一致するように置く。

c)

試料は,しわを除くか他の一時的な変形を取り除くために必要な最小限以上の伸ばしをせずに試験テ

ーブルに固定する。

d)

試料の固定は,両面接着テープなどによって行い,圧子が移動する間に圧子が試料と接触する範囲に

おいて,試験テーブルと試験テーブルに接触する試料との間は確実に固定し,滑りを生じてはならな

い。

7.4.4 

標準シート 

a)

シート形の試験で使用する標準シートは,綿単一繊維布とし,JIS L 0803 に規定する綿(3-1 号)又は

相当品とする。

注記  相当品とは,ISO 105-F02

[1]

に規定する綿単一繊維布を含む。

b)

標準シートの表面は,試験を進める間に滑って状態が変化するため,標準シートは試験に先立ち,標

準シート同士を 10 回程度擦り合わせて標準シートの慣らしを行い,標準シート表面同士の滑りやすさ

が 7.4.6.3.1 の試験方法によって試験を行ったとき,おおよそ 120 N に収まることを確認する。

c)

標準シートの慣らしは,1 枚の標準シートを試験テーブルに固定し,他の 1 枚を圧子のそりに巻き付

け,試験テーブルの上に置いた標準シートの中央に圧子を置き,圧子を引っ張る操作によって行う。

d)

そりに巻き付ける標準シートの寸法は,縦糸方向(耳に平行な方向)に長さ約 500 mm,幅約 280 mm

とする。


10

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e)

標準シートは,縦糸方向をそりの縦(長手方向)に平行に巻き付ける。

7.4.5 

試験回数 

試験は,5 回行う。

7.4.6 

試験手順 

7.4.6.1 

最大引張荷重の記録 

最大引張荷重の記録は,

附属書 による。ただし,測定結果の曲線にピークが記録されない場合は,記

録開始後 30 秒経過した時点の引張荷重とする。

7.4.6.2 

筒形の試験 

筒形の試験は,次による(

図 参照)。

a)

試料は,7.4.3 によって試験テーブルに固定する。

b)

試験テーブルの上に固定した試料の中央に,上面にショックを与えないように静かにそりを置く。そ

りの方向は,そりの長辺が試料を滑らせる方向と一致するように置く。

c)

そりの短辺に取り付けてあるフックに伸びの生じにくいワイヤを取り付け,ロードセルに接続する。

d)

そりの上に,試験荷重に相当するおもりをそりの上面にショックを与えないように静かに置く。

e)

試験を始める前に,ワイヤにかかる力は取り除いておく。おもりを載荷した後,速やかに圧子の運動

を開始し,記録をスタートさせる。

f)

圧子と試料との間は,薄い粘着テープなどで確実に固定し,滑りが生じてはならない。

g)

圧子を駆動装置によって引っ張り,

附属書 によって最大引張荷重を記録する。

図 8−筒形の試験 

7.4.6.3 

シート形の試験 

7.4.6.3.1 

体位変換用シートと被介助者との間で滑らせるときの試験 

試験は,標準シートと試料との間の摩擦力を試験し,次による(

図 参照)。

a)

慣らしが終わった標準シートを巻き付けたそりを使用する。

b)

試料は,7.4.3 によって試験テーブルに固定する。

c)

試験テーブルの上に固定した試料の中央に,上面にショックを与えないように静かにそりを置く。そ

りの方向は,そりの長辺が試料を滑らせる方向と一致するように置く。

d)

そりの短辺に取り付けてあるフックに伸びの生じにくいワイヤを取り付け,ロードセルに接続する。

e)

そりの上に,試験荷重に相当するおもりをそりの上面にショックを与えないように静かに置く。

f)

試験を始める前に,ワイヤにかかる力は取り除いておく。おもりを載荷した後,速やかに圧子の運動

を開始し,記録をスタートさせる。


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g)

圧子と標準シートとの間は,粘着テープなどで確実に固定し,滑りが生じてはならない。

h)

圧子を駆動装置によって引っ張り,

附属書 によって最大引張荷重を記録する。

図 9−体位変換用シートと被介助者との間で滑らせる試験 

7.4.6.3.2 

体位変換用シート間で滑らせるときの試験 

滑り面と滑り面とを滑らせるときの試験は,体位変換用シートを二つ折りにするなどして,筒形と同様

に滑り面と滑り面との摩擦力を次によって試験する。

ただし,二つ折りをする使い方を想定しない試料は,この試験は行わない。

a)

図 10 に示すとおり,試料を二つ折りにして,折り畳んだ折り目が滑らせる方向と直行し,かつ,ロー

ドセルから遠い側にくるように,試験テーブルの上に置く。

b)

試料は,7.4.3 によって試験テーブルに固定する。

c) 

試験テーブルの上に固定した試料の中央に,上面にショックを与えないように静かにそりを置く。そ

りの方向は,そりの長辺が試料を滑らせる方向と一致するように置く。

d)

そりの短辺に取り付けてあるフックに伸びの生じにくいワイヤを取り付け,ロードセルに接続する。

e)

そりの上に,試験荷重に相当するおもりをそりの上面にショックを与えないように静かに置く。

f)

試験を始める前に,ワイヤにかかる力は取り除いておく。おもりを載荷した後,速やかに圧子の運動

を開始し,記録をスタートさせる。

g)

圧子と試料との間は,薄い粘着テープなどで確実に固定し,滑りが生じてはならない。

h)

圧子を駆動装置によって引っ張り,

附属書 によって最大引張荷重を記録する。


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図 10−シートとシートとの間で滑らせる試験 

7.4.7 

試験結果の表し方 

5

回の試験で得られた結果の最大値を滑りやすさとし,

表 によって区分する。

ただし,シート形では,体位変換用シートと被介助者との間で滑らせる試験及び体位変換用シート間で

滑らせる試験の両方の試験についてそれぞれ結果を求める。

表 4−滑りやすさの区分 

滑りやすさ(N)

区分記号

0

以上∼30 未満

A

30

以上∼60 未満

B

60

以上∼90 未満

C

90

以上

不合格

7.5 

体位変換用クッションの強度 

7.5.1 

装置 

装置は,加圧子とする。加圧子は,底面のエッジ部に曲率半径 2.5 cm±0.1 cm をもつ,直径 25 cm±1 cm

の円形とする。加圧子の下部は平らで平滑な表面とする(

図 11 参照)。

単位  cm

図 11−加圧子 


13

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7.5.2 

手順 

手順は,次による。

a) 

試料の置き方  試料の置き方は,次による。

なお,試験中に試料が動く場合は,両端をテープなどでとめてもよい。

1)

自由成形形は,平らな台の上に縫い目がある場合は縫い目が水平になるように置き,上面を軽く押

して平らに慣らす。

2)

形状固定形及び空気圧形は,平らな台の上に取扱説明書に記載された通常使用する状態に置くが,

特に指示がない場合は,最も安定する状態に置く。

b) 

加圧方法  加圧子の中心は,試料の中央とし,加圧子と合わせて 100 kg となる質量を試料の上に載せ,

1

分後に除荷し,破損の有無を確認する。

7.6 

体位変換用クッションの耐久性 

7.6.1 

装置 

装置は,7.5.1 に規定する加圧子とする。

7.6.2 

手順 

手順は,次による。

a)

試料の置き方は,7.5.2 a)  による。

b)

加圧子の中心は,試料の中央とし,加圧子と合わせて 20 kg±0.5 kg となる質量を試料の上に載せ,静

的に 2 秒∼5 秒加圧する。又は,加圧子を介して 196 N±4.9 N の力を試料に加える。

注記  加圧装置には,サンドバック式繰返し試験機,繰返し圧縮試験機などがある。

c)

次に,荷重を 15 秒∼30 秒取り除き,試料の復元を待つ。この操作を 5 500 回繰り返す。

d)

破損の有無を確認する。

7.7 

体位変換用クッションの持ち手の強度 

7.7.1 

装置 

装置は,フックとする。フックは,持ち手に取り付ける箇所の長さが 5 cm±1 cm,幅は持ち手に完全に

かかる大きさとし,持ち手と接触する箇所は滑らかなものとする。ただし,フックが持ち手に入らないと

きは,持ち手に入る最大の長さとする。

7.7.2 

手順 

持ち手にフックを取り付け,フックとおもりとを合わせた質量が 23 kg の負荷をフックに取り付けて静

かに試料を持ち上げ,1 分間保持し,破損の有無を確認する。

なお,持ち上げるときに持ち手に荷重のかかる方向は,使用時に想定される最も弱い方向になるように

する。

7.8 

体位変換用クッションの底着き性能 

7.8.1 

装置 

装置は,次による。

a)

加圧装置は,加圧子を介し,単位時間の試料の圧縮量が一定となる方法で,力を負荷できる装置とす

る。

b)

加圧子は,直径 (6 cm±0.1 cm)×(6 cm±0.1 cm)  の円柱状のものとする。

7.8.2 

手順 

手順は,次による。

a)

使用状態で最高の高さの位置に加圧子の曲面の中心がくるように試料を置く。


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b)  1

分間に 10 cm±2 cm の速度で 100 N の力が加わるまで圧縮する。ただし,加圧子の中心が試料から

はみ出るときは,はみ出ない位置まで試料を移動してもよい。

c)

移動量及び力を 1 回/秒以上の頻度で連続的に記録する。

d)

負荷する力が急激に大きくならないことを確認する。

なお,急激に大きくなるとは,変化の勾配が 30 N/mm 以上のことをいう。

検査方法 

体位変換用具の検査は,形式検査

1)

と受渡検査

2)

とに区分し,検査の項目は,それぞれ次のとおりとす

る。

なお,受渡検査の抜取検査の方式は,受渡当事者間の協議によって定める。

1)

製品の品質が設計で示した全ての特性を満足するかどうか判定するための検査。

2)

既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しに際して,必要と認める特

性を満足するものであるかどうかを判定するための検査。

a) 

形式検査項目  形式検査項目は,次の項目を箇条 及び目視によって試験したとき,5.25.5,箇条 9

及び箇条 10 の規定に適合したものを合格とする。

1)

材料

2)

外観

3)

構造

4)

性能

5)

表示及び取扱説明書

b) 

受渡検査項目  受渡検査項目は,次の項目を目視によって試験したとき,5.3,箇条 及び箇条 10 

規定に適合したものを合格とする。

1)

外観

2)

表示及び取扱説明書

表示 

9.1 

共通表示項目 

この規格の全ての要求事項に適合した体位変換用具には,容易に消えない方法で見やすい箇所に次の事

項を表示する。

a)

製品の名称,規格番号及び種類

b)

洗濯の可否。洗濯可能とする場合で,試料の調製を JIS L 0217 の 3.(試験方法)に規定する方法によ

って行った場合は,JIS L 0217 

表 1∼表 の記号を表示してもよい。

c)

難燃性を表明する場合は,試験方法名,規格番号,及び区分がある場合は区分。

d)

製造業者名又はその略号

9.2 

体位変換用シートの表示事項 

体位変換用シートには,更に次の事項を表示する。

a)

引っ張って使用できないものは,引っ張ることを禁止する旨。

b)

材質

c)

滑りやすさの区分記号。シート形では,体位変換用シートと被介助者との間で滑らせるとき及び体位

変換用シート間で滑らせるときの結果を区別して表示する。


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例  体位変換用シートと被介助者との間の滑りやすさ:B

体位変換用シート間の滑りやすさ:A

9.3 

体位変換用クッションの表示事項 

体位変換用クッションには,更に次の事項を表示する。

a)

自由成形形及び形状固定形にあっては,クッション材及びカバーの材質。空気圧形にあっては,エア

バッグの材質。

b)

体位の保持を目的としないクッションには,体位の保持を目的としない旨。

10 

取扱説明書 

10.1 

共通記載事項 

体位変換用具には,少なくとも次の事項を記載した取扱説明書を添付する。

a)

製品の名称及び規格番号

b)

使用方法

c)

使用上の注意(蒸れ,ベッドからの転落,踏んだときの転倒,底着き,敷いたままでの使用など)

d)

消毒の可否。消毒可能とする場合,その方法。

e)

洗濯の可否。洗濯可能とする場合,その方法(漂白剤,柔軟剤,乾燥方法を含む。

f)

製造業者名又はその略号及び連絡先

g)

保管方法

h)

使用者体重(ただし,体重制限があるものに限る。

i)

製品質量

10.2 

体位変換用シートの取扱説明書記載事項 

体位変換用シートの取扱説明書には,更に次の事項を記載する。

a)

材質

b)

滑り面の寸法(シートの縦方向,シートの横方向)

,必要な場合滑り面以外の部分を含めた最大寸法

c)

滑りやすさの区分記号及びその説明

注記  シート形では,体位変換用シートと被介助者との間で滑らせるとき及び体位変換用シート間

で滑らせるときの結果を区別して表示する。

区分記号

区分記号の説明の表示例

A

標準シートの滑りやすさより約 4 倍以上滑りやすい

B

標準シートの滑りやすさより約 2 倍以上滑りやすい

C

標準シートの滑りやすさより約 4/3 倍以上滑りやすい

例  シートを折り畳んで使う場合の滑りやすさは区分 B,シートを折り畳まずに使う場合の滑りや

すさは区分 C である。

なお,区分 B はこの規格によって測定した滑りやすさが標準的なシーツより約 2 倍以上滑り

やすいものであり,区分 C は標準的なシーツより約 4/3 倍以上滑りやすいものである。

10.3 

体位変換用クッションの取扱説明書記載事項 

体位変換用クッションの取扱説明書には,更に次の事項を記載する。

a)

自由成形形及び形状固定形にあっては,クッション材及びカバーの材質。空気圧形にあっては,エア


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バッグの材質。

b)

寸法

c)

体位の保持を目的としないクッションには,長時間装着したままにしない旨の注意。


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附属書 A

(参考)

設計における配慮事項

A.1 

福祉用具に関連して起こる可能性があるハザードの例及び関連する要因の例 

福祉用具に関連して起こる可能性があるハザードの例及びそれらに関連する要因の例を示す。ただし,

全てを網羅しているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなる。

a)

接触アレルギー誘発性などに関する危険性

例  材質に関してアレルギー誘発の可能性がある素材など適切な表示がされているか。

b)

他の機器と併用される場合の不適合性

例  ベッドサイドレールと組み合わせる場合に問題はないか。

c)

廃棄物及び/又は福祉用具の廃棄による汚染

例  燃やすごみとする場合に有毒な物質を排出しないか。

d)

不適切な操作説明,例えば,

1)

複雑すぎる操作説明

2)

使いにくい,まとまりのない取扱説明書

例  専門用語を不必要に使っていないか。

e)

合理的に予見できる誤使用

例  浴室などの水回りでの使用,車椅子用クッションとしての使用,体を持ち上げるシートとして

の使用など。

f)

製品の寿命に関する適切な情報提供

例  充塡材の硬さが経時的に変化するなど。

g)

使用者の身体状況に適合させるための改造による危険性

例  クッションを切って使用する場合,タオルを巻いて使用するなど。

A.2 

多様な使用者に対する人間工学的な要因による検討項目の例 

高齢者,障害者などの身体機能の低下によって多様なニーズをもつ使用者に対する人間工学的検討項目

の例を示す。ただし,全てを網羅しているわけではなく,項目を特定する手助けとなる。

注記  JIS Z 8071 の 9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。

a)

動作能力の低下,筋力の低下及び体力の低下による意図しない動き

b)

機器の操作力の低下による意図しない動き

c)

知的能力の低下及び短期記憶能力の低下した利用者による使用

d)

平衡を保ち転倒を避ける能力の低下した利用者による使用

e)

色知覚能力の低下,視力の低下,聴覚機能の低下,触覚感度の低下などによる不十分な情報取得


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附属書 B

(規定)

最大引張荷重の決め方

体位変換用シートの滑りやすさ試験において,摩擦力は,摩擦力測定システムによって波形として記録

される。体位変換用シートの摩擦力は,体位変換用シートの材質,構成などによって様々な特徴を示す。

この試験で測定される波形の例を,

図 B.1 に示す。

各波形における,記録すべき最大引張荷重を丸印(○)で示す。

X

時間(秒)

Y

引張荷重(N)

図 B.1−波形の例 

測定において最大引張荷重は,頂点(複数ある場合は,最初の頂点)又は 30 秒以内に頂点が現れない場

合は,記録開始から 30 秒後の値とする。

参考文献 

[1]  ISO 105-F02

,Textiles−Tests for colour fastness−Part F02: Specification for cotton and viscose adjacent

fabrics

[2]  ISO 139:2005

,Textiles−Standard atmospheres for conditioning and testing

[3]  ISO 8295

,Plastics−Film and sheeting−Determination of the coefficients of friction

[4]  BS 3424

,Testing coated fabrics Part 10. Methods 12A and 12B. Determination of surface drag