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T 9272:2015  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 種類······························································································································· 1 

5 リスクマネジメントによる設計 ··························································································· 2 

6 外観及び構造 ··················································································································· 2 

6.1 外観 ···························································································································· 2 

6.2 構造 ···························································································································· 2 

7 性能······························································································································· 2 

8 試験方法························································································································· 3 

8.1 固定性能試験 ················································································································ 3 

8.2 静的強度試験 ················································································································ 3 

8.3 落下強度試験 ················································································································ 4 

9 検査······························································································································· 4 

10 表示 ····························································································································· 4 

11 取扱説明書 ···················································································································· 5 

附属書A(参考)設計における配慮事項 ··················································································· 6 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 9272:2015 

福祉用具−車椅子用テーブル 

Assistive products-Wheelchair tables 

適用範囲 

この規格は,車椅子に装着して使用することが可能なテーブル(以下,テーブルという。)について規定

する。ただし,小型で携帯電話が置ける程度の大きさのテーブルは除く。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6253-3 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ 

JIS T 0102 福祉関連機器用語[支援機器部門] 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0102による。 

種類 

テーブルの種類は,車椅子本体への装着方法によって,次の3方式に区分する。 

a) 上下装着式 テーブルを,車椅子本体のフレームに,上からはめ込み装着する(図1参照)。 

b) 前後装着式 テーブルを,車椅子本体のフレームに,前から後ろに向かってはめ込み装着する(図2

参照)。 

c) 面ファスナ装着式 テーブルを,面ファスナなどで車椅子本体に固定する(図3参照)。 

図1−上下装着式の例 

図2−前後装着式の例 

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図3−面ファスナ装着式の例 

リスクマネジメントによる設計 

リスクマネジメントによる設計は,次のリスクについて実施し,実施の手順及びその結果は,製造業者

及び/又は販売業者によって文書化し,維持しなければならない。また,関連するハザード要因として,

附属書Aに例示した事項についても配慮することが望ましい。 

a) 車椅子と組み合わせたときに生じる隙間に,首,手及び指などが挟まるリスク 

b) 衣服などが絡まるリスク 

c) 手の指が挟まるリスク 

d) 調節機構が緩み,テーブルが不意に落下するリスク 

e) テーブルが不意に外れるリスク。例えば,車椅子利用者が足及び手でテーブルを押し上げるなど。 

f) 

耐久性不足による破損又は緩みのリスク 

外観及び構造 

6.1 

外観 

外観は,次による。 

a) 外観の仕上げは良好で,機能に影響を与えるようなきず,ひずみ及び接合部の外れがあってはならな

い。 

b) 外観に現れるボルト,ナットなどの先端を含め,人体の触れる部分には,触れた場合に傷を生じるよ

うな突起,鋭利な角,ささくれなどがあってはならない。 

6.2 

構造 

テーブルの構造は,次による。ただし,該当する部材又は部品がない場合は,その項目は適用しない。 

a) 各部の接合,組立てなどは良好で,緩み,がた,変形などがあってはならない。 

b) 取り外し可能な部品及び部材は,確実に固定できなければならない。 

c) ねじ類,その他金属を用いて組み立てる場合には,結合部が容易に緩まない構造とする。 

d) 木材を使用するテーブルにあっては,組立て後に,使用上有害な割れ,変形などの欠陥が生じにくい

構造とする。 

性能 

テーブルの性能は,表1による。 

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表1−性能 

項目 

性能 

試験項目 

固定性能 

脱落,浮き,破損などがあってはならない。 

8.1 

静的強度 

使用上支障のある異常があってはならない。 

8.2 

落下強度 

使用上支障のある異常があってはならない。 

8.3 

試験方法 

8.1 

固定性能試験 

固定性能試験は,次による。 

a) テーブルを製造業者の指定する方法で車椅子に取り付ける。 

b) テーブルの長辺の中央で,テーブルの縁から50 mm離れた位置に当て板の中心が位置するように載せ

る。 

c) 当て板に,当て板の質量を含め最大積載質量と同等のおもりを,当て板の中心におもりの中心がくる

ように載せて[図4 a) 参照]1分間放置したとき,テーブルの脱落,浮き,破損など,使用上支障の

ある異常の有無を確認する。ただし,最大積載質量の表示が30 kg未満の場合は,30 kgのおもりを用

いて試験を行う。 

d) テーブルの短辺側についても,短辺の中央で,テーブルの縁から50 mm離れた位置に当て板の中心が

位置するように載せ,c) と同様の試験を行う[図4 b) 参照]。 

e) 当て板は,半径約50 mmの円盤又は一辺約100 mmの方形の板とする。 

a) 長辺側 

b) 短辺側 

図4−固定性能試験の荷重位置 

8.2 

静的強度試験 

静的強度試験は,次による。 

a) テーブルを車椅子に取り付ける。 

b) テーブルの中央部又は最も破損を生じやすい部位に8.1 e) の当て板を載せ,当て板の質量を含め最大

積載質量の1.5倍に相当する質量のおもりを載せる。ただし,最大積載質量の表示が30 kg未満の場合

は,45 kgのおもりを用いて試験を行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) おもりを載せたままの状態で1時間放置した後,テーブルの各部について,使用上支障のある変形及

び異常の有無を目視によって確認する。 

d) さらに,おもりを除去した状態で,各部について使用上支障がある異常の有無を目視によって確認す

る。 

8.3 

落下強度試験 

落下強度試験は,次による。 

a) 試験を開始する直前に,きずなどがないかテーブルを検査する。 

b) テーブルの短辺の一つをつ(吊)り上げ,床面に向けて自由落下させる。 

c) 落下させる方向は,供試体の最も不利な箇所が下側になるように向け,供試体の下端が床面から750 

mmの高さ1) になるようにセットし,3回自由落下を行う。 

注1) 車椅子にテーブルを取り付けた高さに相当する。 

d) 試験終了後,各部について使用上支障がある異常の有無を確認する。 

e) 試験床は,平滑で剛性の高い水平面(コンクリート床,鋼製定盤など)とし,厚さ2 mmのテストラ

バーを床面上に敷く。 

なお,テストラバーの硬さは,JIS K 6253-3に規定するタイプAデュロメータによってA85±5の

ものとする。 

検査 

テーブルの検査は,形式検査2) と受渡検査3) とに区分し,検査の項目はそれぞれ次のとおりとする。 

なお,受渡検査の抜取検査方式は,受渡当事者間の協定による。 

a) 形式検査項目 形式検査項目は,次の項目を箇条8及び目視によって試験したとき,箇条5〜箇条7,

箇条10及び箇条11に適合したものを合格とする。 

1) リスクマネジメントによる設計 

2) 外観及び構造 

3) 性能 

4) 表示及び取扱説明書 

b) 受渡検査項目 受渡検査項目は,次の項目を目視によって試験したとき,6.1,箇条10及び箇条11の

規定に適合したものを合格とする。 

1) 外観 

2) 表示及び取扱説明書 

注2) 製品の品質が,設計で示した全ての特性を満足するかどうかを判定するための検査。 

3) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の出荷をする場合,必要と認める特

性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。 

10 

表示 

この規格の全ての要求事項に適合したテーブルには,容易に消えない方法で,見やすい箇所に次の事項

を表示する。 

a) 規格名称又は規格番号 

b) 製造年又はその略号 

c) 製造業者名,販売業者名若しくは輸入業者名又はそれらの略号,及びそれらの住所又は電話番号 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 製品の種類及び製品を特定できる品番 

e) 寸法,材質及び使用上の注意 

f) 

最大積載質量 

11 

取扱説明書 

取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。 

a) 使用方法及び固定方法 

b) 取扱説明書を必ず読み,読んだ後の保管要領 

c) 取扱い上の注意事項 

d) 手入れの方法 

e) 諸元表(各部の寸法,質量,材質,最大積載質量など) 

f) 

製造業者,販売業者又は輸入業者の名称,住所,電話番号及びファクシミリ番号 

g) 使用場所で甲板の取付けなど最終組立てを行うものにあっては,組立て方法,車椅子への取付け及び

取外し方法並びに注意事項 

h) 使用上の注意事項及び保護部品が外れた場合などの注意事項 

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附属書A 

(参考) 

設計における配慮事項 

A.1 福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例 

福祉用具に関連して起こる可能性があるハザードの例及びそれらに関連する要因の例を示す。ただし,

全てを網羅しているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなる。 

a) 可動部分(介助者,子供などが手,足,指などを挟み込む構造の存在)に関する危険性 

例1 設置の仕方によって,挟み込む危険はないか。 

b) 接触アレルギー誘発性などに関する危険性 

例2 材質に関してアレルギー誘発の可能性がある素材など適切な表示がなされているか。 

c) 他の機器と併用する場合の不適合性 

例3 特殊な車椅子に使用される場合の対応はあるか。 

d) 廃棄物及び/又は福祉用具の廃棄による汚染 

例4 燃えるごみとする場合に有毒な物質を排出しないか。 

e) 不適切な操作説明,例えば, 

1) 複雑すぎる操作説明 

2) 使いにくい,まとまりのない取扱説明書 

例5 専門用語を不必要に使っていないか。 

f) 

合理的に予見できる誤使用 

例6 設置する方向,裏表など。 

g) 製品の寿命に関する適切な情報提供 

例7 性能が経時的に変化するなど。 

h) 使用者の身体状況に適合させるための改造による危険性 

例8 使用者の体形に合わせてテーブルのくりを広げるなど。 

A.2 多様な使用者に対する人間工学的な要因による検討項目の例 

高齢者,障害者などの身体機能の低下によって多様なニーズをもつ使用者に対する人間工学的検討項目

の例を示す。ただし,全てを網羅しているわけではなく,項目を特定する手助けとなる。 

注記 JIS Z 8071の9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。 

a) 動作能力の低下,筋力の低下及び体力の低下による意図しない動き 

b) 機器の操作力の低下による意図しない動き 

c) 知的能力の低下及び短期記憶能力の低下した利用者による使用 

d) 平衡を保ち転倒を避ける能力の低下した利用者による使用 

e) 色知覚能力の低下,視力の低下,聴覚機能の低下,触覚感度の低下などによる不十分な情報取得 

A.3 機械的損傷,保守の不足及び老朽化によってもたらされるハザードの例 

福祉用具の機械的損傷,保守の不足及び老朽化によってもたらされるハザードの例を示す。ただし,全

てを網羅しているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなる。 

T 9272:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 偶発的な製品の損傷によって生じるハザード 

b) 不適切又は不十分な保守,及び保守後の点検の不良によって生じるハザード 

参考文献  

[1] JIS Z 8071 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針