サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

T 9260:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 各部の名称 ······················································································································ 1 

5 設計,外観及び構造 ·········································································································· 2 

5.1 設計 ···························································································································· 2 

5.2 外観 ···························································································································· 2 

5.3 構造 ···························································································································· 2 

6 性能······························································································································· 3 

7 試験条件························································································································· 4 

7.1 試験室の環境 ················································································································ 4 

7.2 試験装置 ······················································································································ 4 

7.3 許容差 ························································································································· 4 

8 試験······························································································································· 4 

8.1 一般 ···························································································································· 4 

8.2 安定性試験 ··················································································································· 5 

8.3 静的強度試験 ················································································································ 7 

8.4 耐衝撃性試験 ··············································································································· 10 

8.5 耐久性試験 ·················································································································· 12 

8.6 耐落下衝撃試験 ············································································································ 14 

8.7 滑り抵抗試験 ··············································································································· 15 

8.8 けい(頚)部の引き込まれ回避確認試験(背もたれ及びひじ掛けがある場合) ························· 15 

9 検査······························································································································ 16 

10 表示 ···························································································································· 17 

11 取扱説明書 ··················································································································· 17 

附属書A(参考)設計における配慮事項 ·················································································· 18 

T 9260:2011  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 9260:2011 

福祉用具−入浴用いす 

Assistive products-Shower chairs 

適用範囲 

この規格は,福祉用具のうち,浴室の中で体を洗ったり又はシャワーを使用するときに用いる入浴用い

すについて規定する。ただし,浴槽内で使用するいす及びキャスターなどの移動機能をもついすは除く。 

注記 浴槽内で使用するいすは,JIS T 9259で規定されている。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方 

JIS T 0102 福祉関連機器用語[支援機器部門] 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0102によるほか,次による。 

3.1 

座面 

人体を支えるために垂直に作用する力を支持する面となる部材。 

3.2 

背もたれ 

人体を支えるために水平に作用する力を支持する面となる部材。 

3.3 

ひじ掛け 

腕を支えるための部材。 

3.4 

脚部 

座面及び背もたれにかかる力を支える構造となる部材。 

各部の名称 

各部の名称は,図1による。 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1−入浴用いすの各部の名称 

設計,外観及び構造 

5.1 

設計 

5.1.1 

リスクマネジメントによる設計 

リスクマネジメントによる設計は,隙間に手及び足の指が挟まるリスクについて実施する。これは,製

造業者又は販売業者が実施するもので,実施手順及び結果を文書化し維持しなければならない。また,関

連する要因として,附属書Aに例示した事項を設計において配慮することが望ましい。 

5.1.2 

人間工学的要素 

設計時には,高齢者・障害者を考慮して設計(例えば,安定性など)しなければならない。 

注記 JIS Z 8071の9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。 

5.2 

外観 

外観は,次による。 

a) 外観の仕上げは良好で,機能に影響を与えるようなきず,狂い,接合部の外れなどの欠陥があっては

ならない。 

b) 外部に現れるボルト・ナットなどの先端を含め,人体の触れる部分には,触れた場合に傷を生じるよ

うな突起,鋭い角,ささくれなどがあってはならない。 

c) 塗装面の見えがかり部分は,光沢及び色調が均等で,塗りむら,垂れなどがあってはならない。 

5.3 

構造 

構造は,次による。ただし,該当する部材又は部品がない場合は,その項目は適用しない。 

a) 木材を用いる入浴用いすにあっては,組立て後,使用上有害な割れ,狂いなどの欠陥が生じにくい構

造とする。 

b) 接合部は,溶接,継手などによって堅ろうに接合する。 

c) ねじ類,その他の金属を用いて組み立てる場合は,結合部が容易に緩まない構造とする。 

d) 取り外し可能な部品及び部材は,確実に固定できなければならない。 

e) 折り畳み機構は,円滑かつ確実に操作でき,使用中に容易に折り畳まれない構造とする。 

f) 

回転部がある場合は,堅ろうに取り付けられており,滑らかに作動し,使用中に著しい騒音を生じな

い。 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) 高さ調節機構がある場合は,高さ調節が容易で,使用中に容易に緩まない構造とする。 

h) 座面,背もたれ,ひじ掛け及び脚部の隙間などに足,指などを挟まない構造とする(表1参照)。 

注記 BS EN 12182参照。 

表1−固定部品間の安全距離a) 

項目 

成人のための安全距離 

子供のための安全距離 

指の挟み込み 

 8 mm未満又は 

25 mmを超え 

 5 mm未満又は 

12 mmを超え 

注a) 用具が通常の使用目的を満たすには,孔サイズ及び固定部品間の隙間におけ

るリスク要因の発生が不可避である場合,その用具を安全に操作する方法に
ついて,警告及び指示を製造業者が作成した使用説明書に記載しなくてはな
らない。 

性能 

性能は,8.2〜8.8によって試験をしたとき,表2の規定に適合しなければならない。 

表2−性能 

項目 

性能 

試験箇所 

安定性 

前方安定性 

転倒しない。 
なお,脚部が浮くだけの状態
は,転倒とはみなさない。 

8.2 a) 

側方安定性(ひじ掛けがない場合) 

8.2 b) 

側方安定性(ひじ掛けがある場合) 

8.2 c) 

後方安定性(背もたれがない場合) 

8.2 d) 

後方安定性(背もたれがある場合) 

8.2 e) 

静的強度 

座面への鉛直荷重 

使用上支障のある破損,変形,
緩み及び外れがない。 

8.3 a) 

背もたれへの水平荷重(背もたれがある
場合) 

8.3 b) 

ひじ掛けへの水平荷重(ひじ掛けがある
場合) 

8.3 c) 

ひじ掛けへの鉛直荷重(ひじ掛けがある
場合) 

8.3 d) 

耐衝撃性 

座面の耐衝撃性 

8.4 a) 

ひじ掛けの耐衝撃性(ひじ掛けがある場
合) 

8.4 b) 

背もたれの耐衝撃性(背もたれがある場
合) 

8.4 c) 

耐久性 

座面の耐久性 

8.5 a) 

背もたれの耐久性(背もたれがある場
合) 

8.5 b) 

ひじ掛けの耐久性(水平方向)(ひじ掛
けがある場合) 

8.5 c) 

ひじ掛けの耐久性(鉛直方向)(ひじ掛
けがある場合) 

8.5 d) 

耐落下衝撃 

8.6 

滑り抵抗 

乾燥面の滑り抵抗試験 

移動しない。 

8.7 a) 

湿潤面の滑り抵抗試験 

8.7 b) 

 
 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−性能(続き) 

項目 

性能 

試験箇所 

けい(頚)部の引き込まれ回避確認(背もたれ及びひ
じ掛けがある場合) 

背もたれとひじ掛けとの隙間
が120 mm以下の場合で,背も
たれとひじ掛けとの隙間にV
字状に開口した部位が生じる
ものは,試験用ジグが入り込
まない。 

8.8 

試験条件 

7.1 

試験室の環境 

試験室の環境は,温度5 ℃〜35 ℃,相対湿度(65±20)%とする。 

7.2 

試験装置 

試験装置は,次による。 

a) 試験床 試験床は,水平で平たん(坦)な面とし,8.6の耐落下衝撃試験では,厚さ2 mmのテストラ

バーを剛性の高い床(コンクリート床,鋼製定盤など)面上に敷く。 

なお,テストラバーの硬さは,JIS K 6253に規定するタイプAデュロメータによって,A85±5の

ものとする。 

b) 当て板 当て板は,表面が硬く,平滑であり,十分な強度をもつ板とし,次による。 

なお,当て板を使用する場合は,当て板と供試体との間に発泡体を敷く。 

1) 座面用当て板 座面全体を覆う大きさの剛性の平板。 

2) 荷重用当て板 直径100 mmの剛性の円盤で,表面が平らで縁を半径12 mmに丸める。 

3) 背もたれ用当て板 高さが200 mmで幅が250 mmの剛性長方形物体で,表面が当て板の幅方向に

半径450 mmの円筒状で,縁を半径12 mmに丸める。 

c) ストッパ ストッパは,供試体が移動しないようにするためで,転倒することを防止するものではな

い。ストッパの高さは,12 mm以下とする。ただし,供試体の構造上,12 mmより高いストッパを必

要とする場合は,供試体が移動することを防止するために必要な最小限の高さとする。 

d) 座面用砂袋 座面用砂袋は,底面の直径300 mm±10 mm,質量25 kg±0.5 kgの円筒形の砂袋とする。 

e) 衝撃用砂袋 衝撃用砂袋は,底面の直径200 mm±10 mm,質量20 kg±0.5 kgの円筒形の砂袋とする。 

f) 

発泡体 発泡体は,厚さ10 mm〜20 mmの軟質ウレタンフォームで,見掛け密度20 kg/m3±5 kg/m3

とし,供試体と当て板との間に敷き,試験を行う。 

なお,寸法の指定がない場合は,使用する当て板とほぼ同等の大きさとする。 

g) 転倒防止用のおもり 転倒防止用のおもりは,背もたれに水平力を加えたときなどに,供試体が転倒

しないために用いるおもりであり,試験に影響が出るような過大なおもりであってはならない。 

7.3 

許容差 

特に規定のない限り,力の許容差は±5 %,質量の許容差は±0.5 %,寸法の許容差は±0.5 mmとする。 

試験 

8.1 

一般 

試験に関する一般条件は,次による。 

a) 安定性試験及び静的強度試験では,一定の大きさの力を加えるか又は力を徐々に増大させるものとす

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。一定の大きさの力を加える場合は,その装置としておもりを用いることができる。 

なお,静的強度試験では,供試体に動的な力を発生させないように,力をゆっくりと加えなければ

ならない。 

b) 当て板を使用する試験の場合の負荷の試験値は,当て板の質量を含むこととする。 

c) 縁からの距離が指定されている場合は,力,おもりなどの中心位置が指定する位置となるようにする。 

d) 寸法調節のある供試体については,試験を行う場合は,事前に最大使用寸法に調節する。 

8.2 

安定性試験 

安定性試験は,次による。 

なお,この試験で用いるおもりは,天びん式おもりを用いてもよいが,この場合は,座面用当て板を使

用してはならない。 

a) 前方安定性試験 

1) 試験床に供試体を静置し,前脚部にストッパを当て,座面用当て板[7.2 b) 1)]を載せる。 

2) 座面前縁の中央部から50 mm後方の位置に,質量60 kgのおもりを載せ,座面前縁の中央部に,60 

Nの水平力を前方向に加える(図2参照)。 

図2−前方安定性試験 

b) 側方安定性試験(ひじ掛けがない場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,任意の辺の前後脚にストッパを当て,座面用当て板[7.2 b) 1)]を載せる。 

2) ストッパを当てた側の座面側縁の中央部から50 mm内側の位置に,質量60 kgのおもりを載せ,座

面側縁の中央部に,60 Nの水平力を外方向に加える(図3参照)。 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図3−側方安定性試験(ひじ掛けがない場合) 

c) 側方安定性試験(ひじ掛けがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,任意の辺の前後脚にストッパを当て,座面用当て板[7.2 b) 1)]を載せる。 

2) 座面中央部から100 mm片側の位置で,座面後縁から175 mm前方の位置に,質量25 kgのおもりを

載せる。 

3) ひじ掛け中央部に質量35 kgのおもりを載せ,ひじ掛け中央部に,60 Nの水平力を外方向に加える

(図4参照)。 

図4−側方安定性試験(ひじ掛けがある場合) 

d) 後方安定性試験(背もたれがない場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,後脚にストッパを当て,座面用当て板[7.2 b) 1)]を載せる。 

2) 座面中央部の後縁から50 mm前方の位置に,質量60 kgのおもりを載せ,座面中央部の後縁に,60 

Nの水平力を後方に加える(図5参照)。 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図5−後方安定性試験(背もたれがない場合) 

e) 後方安定性試験(背もたれがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,後脚にストッパを当て,座面用当て板[7.2 b) 1)]を載せる。 

2) 座面後縁の中央部から175 mm前方の位置に,質量60 kgのおもりを載せ,背もたれ中央部上端の

位置で,140 Nの水平力を後方に加える(図6参照)。 

図6−後方安定性試験(背もたれがある場合) 

8.3 

静的強度試験 

静的強度試験は,次による。 

なお,補助質量の上限値は,耐荷重表示がある場合は,耐荷重表示相当とし,耐荷重表示がない場合は,

100 kg程度とする。補助質量として使用した質量は,必ず記録する。 

a) 座面への鉛直荷重試験 

1) 試験床に供試体を静置し,座面に座面用砂袋[7.2 d)]を載せる。 

2) 座面用砂袋上で,座面後縁の中央部から175 mm前方の位置に,座面用砂袋の質量を換算した質量

を含め1 300 Nの鉛直力を10回加える。鉛直力は,少なくとも各回10秒間維持する(図7参照)。 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図7−座面への鉛直荷重試験 

b) 背もたれへの水平荷重試験(背もたれがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,後脚にストッパを当て,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) 背もたれ中央部上端から100 mm下の位置又は最も負荷がかかると想定される位置に,背もたれ用

当て板[7.2 b) 3)]を介して背もたれに垂直になるように,560 Nの水平力を後方に10回加える。

水平力は,少なくとも各回10秒間維持する(図8参照)。 

図8−背もたれへの水平荷重試験(背もたれがある場合) 

c) ひじ掛けへの水平荷重試験(ひじ掛けがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) ひじ掛けの最も破損しやすい位置に,荷重用当て板[7.2 b) 2)]を介して400 Nの水平力を左右同時

に,ひじ掛けの内側から外側へ10回加える。水平力は,少なくとも各回10秒間維持する(図9参

照)。ただし,荷重用当て板は,負荷時にひじ掛け端部から外れない位置1) とする。 

注1) ひじ掛け端部から外れない位置とは,ひじ掛け端部から当て板端部がはみ出さない状態の

位置とする。 

background image

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図9−ひじ掛けへの水平荷重試験(ひじ掛けがある場合) 

d) ひじ掛けへの鉛直荷重試験(ひじ掛けがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) ひじ掛けの最も破損しやすい位置に,荷重用当て板[7.2 b) 2)]を介して800 Nの鉛直力を10回加

える。鉛直力は,少なくとも各回10秒間維持する(図10参照)。ただし,荷重用当て板は,負荷時

にひじ掛け端部から外れない位置1) とする。 

a) 試験方法 

図10−ひじ掛けへの鉛直荷重試験(ひじ掛けがある場合) 

background image

10 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 最も破損しやすい位置の例(両端支持) 

c) 最も破損しやすい位置の例(片端支持) 

図10−ひじ掛けへの鉛直荷重試験(ひじ掛けがある場合)(続き) 

8.4 

耐衝撃性試験 

耐衝撃性試験は,次による。 

a) 座面の耐衝撃性試験 

1) 試験床に供試体を静置する。 

2) 座面中央部に,100 mmの高さから座面用砂袋[7.2 d)]を自由落下させる操作を,10回行う(図11

参照)。 

図11−座面の耐衝撃性試験 

b) ひじ掛けの耐衝撃性試験(ひじ掛けがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,試験をしないひじ掛け側の脚をストッパに当て,座面に転倒防止用のお

もりを載せる。 

2) 重心までの長さを1.5 m±0.1 mとした衝撃用砂袋[7.2 e)]を,鉛直方向に対して角度15°の高さ

(角度)から落下させ,ひじ掛けの最も破損しやすい位置にひじ掛けの外側から内側へ打撃する操

作を,10回行う(図12参照)。 

background image

11 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図12−ひじ掛けの耐衝撃性試験(ひじ掛けがある場合) 

c) 背もたれの耐衝撃性試験(背もたれがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,後脚にストッパを当て,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) 重心までの長さを1.5 m±0.1 mとした衝撃用砂袋[7.2 e)]を,鉛直方向に対して角度15°の高さ

(角度)から落下させ,背もたれの最も破損しやすい位置に背もたれの内側から外側へ打撃する操

作を,10回行う(図13参照)。 

background image

12 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図13−背もたれの耐衝撃性試験(背もたれがある場合) 

8.5 

耐久性試験 

耐久性試験は,次による。 

a) 座面の耐久性試験 

1) 試験床に供試体を静置し,座面に座面用砂袋[7.2 d)]を載せる。 

2) 座面用砂袋上で,座面後縁の中央部から175 mm前方の位置に,座面用砂袋の質量を換算した質量

を含め950 Nの鉛直力を毎分40サイクルを超えない速度で12 500回加える(図14参照)。 

図14−座面の耐久性試験 

background image

13 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 背もたれの耐久性試験(背もたれがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,後脚にストッパを当て,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) 背もたれ中央部上端から100 mm下の位置又は最も負荷がかかると想定される位置に,背もたれ用

当て板[7.2 b) 3)]を介して背もたれに垂直になるように,330 Nの水平力を毎分40サイクルを超

えない速度で後方に12 500回加える(図15参照)。 

図15−背もたれの耐久性試験(背もたれがある場合) 

c) ひじ掛けの耐久性試験(水平方向)(ひじ掛けがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) ひじ掛けの最も破損しやすい位置に,荷重用当て板[7.2 b) 2)]を介して200 Nの水平力を毎分40

サイクルを超えない速度でひじ掛けの内側から外側へ12 500回加える(図16参照)。ただし,荷重

用当て板は,負荷時にひじ掛け端部から外れない位置1) とする。 

図16−ひじ掛けの耐久性試験(水平方向)(ひじ掛けがある場合) 

background image

14 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) ひじ掛けの耐久性試験(鉛直方向)(ひじ掛けがある場合) 

1) 試験床に供試体を静置し,座面に転倒防止用のおもりを載せる。 

2) ひじ掛けの最も破損しやすい位置に,荷重用当て板[7.2 b) 2)]を介して400 Nの鉛直力を毎分40

サイクルを超えない速度で12 500回加える(図17参照)。ただし,荷重用当て板は,負荷時にひじ

掛け端部から外れない位置1)  とする。 

図17−ひじ掛けの耐久性試験(鉛直方向)(ひじ掛けがある場合) 

8.6 

耐落下衝撃試験 

耐落下衝撃試験は,次による。 

a) 試験床上に,供試体の一つの脚部に対して,その脚と対角線上反対側にある脚とを結ぶ直線が水平に

対し10°の角度となるように傾け,残りの両脚を結ぶ直線が水平になるように支える。 

b) 高さ450 mmから前脚の一つを10回,後脚の一つを10回,試験床に落下させる(図18参照)。 

図18−耐落下衝撃試験 

background image

15 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.7 

滑り抵抗試験 

滑り抵抗試験は,次による。 

a) 乾燥面の滑り抵抗試験 

1) 水平で平滑な表面をもつ厚さ2 mm以上のステンレス鋼板をエタノールなどで洗浄し,乾燥させ試

験床面とする。 

2) 試験床面に供試体を置き,座面に質量60 kgのおもりを載せる。 

3) 供試体の最下部にワイヤなどを介し後方向に180 Nを水平に負荷し,移動しないことを確認する。 

なお,4本脚の場合には,ワイヤをかける2本の脚に均等な力を平行に負荷するため,パイプな

どを利用し中央をゆっくり引く。 

注記 最下部とは,先ゴムなどを除いた床面に最も近い位置をいう(図19参照)。 

b) 湿潤面の滑り抵抗試験 

1) 市販のボディーソープを水道水によって質量濃度約10 %に希釈した溶液を用意する。 

2) a) 1)の試験床面にb) 1)を均等に塗布する。 

3) b) 2)の上に供試体を置き,座面に質量60 kgのおもりを載せる。 

4) 供試体の2本の脚の最下部にa) 3)と同様に後方向に120 Nの力を水平に負荷し,移動しないことを

確認する。 

図19−滑り抵抗試験 

8.8 

けい(頚)部の引き込まれ回避確認試験(背もたれ及びひじ掛けがある場合) 

背もたれとひじ掛けとの隙間に,けい部を想定した引き込まれ試験用ジグ(直径60 mmの剛体の円柱)

(図20参照)を50 Nの力で差し込み,ジグが60 mmを超えて入り込まないことを確認する(図21及び

図22参照)。 

なお,ジグを差し込むときは,最も条件の悪い方向及び角度から差し込む。 

単位 mm 

background image

16 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図20−試験用ジグ 

a) 適切なジグの当て方の例 

b) 不適切なジグの当て方の例 

図21−試験用ジグの当て方(上から見た図) 

a) 適合例 

b) 不適合例 

図22−けい(頚)部の引き込まれ回避確認試験(横から見た図) 

検査 

入浴用いすの検査は,形式検査2)と受渡検査3)とに区分し,検査の項目はそれぞれ次のとおりとする。 

なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査の方式は,受渡当事者間の協議による。 

注2) 製品の品質が,設計で示した全ての特性を満足するかどうか判定するための検査。 

3) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める

特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。 

a) 形式検査項目 

1) 外観 

2) 性能 

3) 構造 

4) 表示及び取扱説明書 

b) 受渡検査項目 

1) 外観 

17 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 表示及び取扱説明書 

10 表示 

この規格の全ての要求事項に適合した入浴用いすには,次の事項を表示しなければならない。 

a) 規格名称又は規格番号 

b) 製造年又はその略号 

c) 製造業者名又はその略号,及びその住所又は電話番号 

d) 製品名又は製品を特定できる品番 

e) 寸法,材質及び使用上の注意 

11 取扱説明書 

取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。 

a) 使用方法 

b) 取扱説明書を必ず読み,読んだ後保管する。 

c) 取扱い上の注意事項 

d) 各部の名称(図で示す。) 

e) 手入れの方法 

f) 

諸元表(各部の寸法,質量,材質,最大使用者体重など) 

g) 製造業者,輸入業者又は販売業者の名称,住所,電話番号及びファクシミリ番号 

18 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

設計における配慮事項 

A.1 福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例 

福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例を,次に示す。ただし,全てを

網羅しているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなるよう例示した。 

a) 可動部分(介助者,子供などが手,足,指などを挟み込む構造の存在)に関する危険性 

例 折り畳み機能のある入浴用いすの丁番の近傍に指を入れた場合に挟まれてけがをしないか。 

b) 接触アレルギー誘発性などに関する危険性 

例 適切な表示がされているか。 

c) 他の機器と併用される場合の不適合性 

例 車いすからの移乗を行う場合に問題はないか。 

d) 廃棄物及び/又は福祉用具の廃棄による汚染 

例 燃やすごみとする場合に有毒な物質を排出しないか。 

e) 不適切な操作説明,例えば, 

1) 複雑すぎる操作説明 

2) 使いにくい,まとまりのない取扱説明書 

例 専門用語を不必要に使っていないか。 

f) 

合理的に予見できる誤使用 

例 踏み台として使ってしまった場合にも問題はないか。 

g) 使用者の身体状況に適合させるための改造による危険性 

例 入浴用いすに背当てを取り付けるなどした場合にも問題はないか。 

h) 製品の寿命に関する適切な情報提供 

例 一部の部品が他に比べて製品寿命が短いなどの場合。 

A.2 多様なユーザーに対する人間工学的検討項目の例 

高齢者,障害者等の,身体機能低下によって多様なニーズを持つユーザーに対する人間工学的検討項目

の例を,次に示す。ただし,全てを網羅しているわけではなく,項目を特定する手助けとなるよう例示し

た。 

注記 JIS Z 8071の9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。 

a) 動作能力の低下,筋力の低下及び体力の低下による意図しない動き 

例 自動車運転中の反応時間は,壮年者(19歳〜29歳)に対して高齢者(60歳以上)では,3倍以

上(1.5秒〜3.8秒)であった [1]。 

b) 機器の操作力の低下 

例 押す力は,30歳代に対して60歳代では,約70 %であった [2]。 

注記 JIS T 9241-2では,指による操作は5 N,手による操作は105 N,足による操作は300 N及び

回転による操作は1.9 Nm以下としている。 

c) 認知症を含む使用者の知的能力の低下及び短期記憶能力の低下した利用者による使用 

19 

T 9260:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

例 短期記憶に関わる単語の再生では,20歳〜29歳では約14語であるのに対して,60歳以上では

約7語であった [3]。 

d) 平衡を保ち転倒を避ける能力の低下した利用者による使用 

例 閉眼における立位時の動揺軌跡は,20歳代に対して60歳代では,約1.23倍であった [4]。 

e) 色知覚能力の低下,視力の低下,聴覚機能の低下,触覚感度の低下などによる不十分な情報取得 

例 近距離での生活視力は,35歳〜44歳では約1.05に対して,65歳〜74歳では約0.6であった [5]。 

参考文献  

[1] 独立行政法人産業技術総合研究所・人間福祉医工学研究部門編:人間計測ハンドブック,p.770〜771,

2003年9月,朝倉書店 

[2] 独立行政法人製品評価技術基盤機構人間特性データベース: 

http://www.tech.nite.go.jp/human/jp/contents/cdata/coperation/operation-g.html 

[3] 佐藤方彦 監修:人間工学基準数値数式便覧,第1版3刷,p.169,1999年3月,技報堂出版 

[4] 佐藤方彦 監修:人間工学基準数値数式便覧,第1版3刷,p.97,1999年3月,技報堂出版 

[5] 独立行政法人産業技術総合研究所・人間福祉医工学研究部門編:人間計測ハンドブック,p.444,2003

年9月,朝倉書店 

[6] JIS T 9241-2 移動・移乗支援用リフト−第2部:移動式リフト 

[7] JIS T 9259 福祉用具−浴槽内いす 

[8] JIS Z 8071 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針 

[9] BS EN 12182:1999,Technical aids for disabled persons. General requirements and test methods