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T 9241-1:2008

(1) 

目  次

ページ

序文

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義

1

4  種類及び区分

3

4.1  種類

3

4.2  最大質量による区分(区分記号)

3

5  設計及び構造

4

5.1  一般

4

5.2  設計

4

5.3  構造

4

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
T 9241-1:2008

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)及

び財団法人日本規格協会(JSA)から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS T 9241 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS T 9241-1  第 1 部:種類及び一般要求事項

JIS T 9241-2  第 2 部:移動式リフト

JIS T 9241-3  第 3 部:設置式リフト

JIS T 9241-4  第 4 部:レール走行式リフト

JIS T 9241-5  第 5 部:リフト用スリング


 

   

日本工業規格

JIS

 T

9241-1

:2008

移動・移乗支援用リフト−

第 1 部:種類及び一般要求事項

Hoists for the transfer of persons with disabilities

Part 1: Classification and general requirement

序文

この規格は,部編成で構成される第 2 部から第 5 部までの規格で規定されるリフトに関する包括的な規

定であり,種類及び区分,並びに共通して適用する要求事項を規定している。

1

適用範囲

この規格は,自力での移動又は移乗が困難な人を対象に使用するリフト(以下,リフトという。

)及び身

体支持具の種類及び一般要求事項について規定する。この規格は,異なる階上への移動用機器には適用し

ない。

注記  この規格は,移動・移乗支援用リフトの特性について規定するものであるが,その特性にかか

わる規定は,その種類及び一般要求事項のために示すものであり,この規格によって適合性評

価を行うことは,意図していない。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 9702  機械類の安全性−リスクアセスメントの原則

JIS T 9241-2  移動・移乗支援用リフト−第 2 部:移動式リフト

JIS T 9241-3  移動・移乗支援用リフト−第 3 部:設置式リフト

JIS T 9241-4  移動・移乗支援用リフト−第 4 部:レール走行式リフト

JIS T 9241-5  移動・移乗支援用リフト−第 5 部:リフト用スリング

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

移動式リフト(mobile hoist

被懸ちょう(吊)者を持ち上げ,床面を自由に動かして,他の場所に移動又は移乗させるキャスターな

どが付いたリフト。床走行式リフト及びストレッチャー式リフトがある。

3.2

床走行式リフト(wheeled hoist



T 9241-1:2008

   

移動式リフトの一つで,被懸ちょう者を持ち上げ,床面を自由に動かして,他の場所に移動又は移乗さ

せるキャスターなどが付いたリフト。

3.3

ストレッチャー式リフト(hoists trolley

移動式リフトの一つで,被懸ちょう者を乗せ,床面を自由に動かして,他の場所に移動又は移乗させる

ストレッチャー形式のリフト。

3.4

設置式リフト(stationary hoist

被懸ちょう者を,あらかじめ設定された場所で持ち上げ,移動又は移乗させるリフト。壁面,天井,床,

浴槽又はベッドなどに固定するもの。

3.5

住宅設置式リフト(stationary hoist fixed to the wall/wallsfloor and/or ceiling

設置式リフトの一つで,住宅の壁面,天井,床などに設置して使用するリフト。

3.6

機器設置式リフト(stationary hoist fixed tomounted inor on another product

設置式リフトの一つで,浴槽,ベッドなどの機器に設置して使用するリフト。

3.7

レール走行式リフト(rail guided hoist

天井,壁,支柱など頭上に取り付けたレールに沿って移動するリフト。天井走行式及び据置式がある。

3.8

天井走行式リフト(ceiling hoist

レール走行式リフトの一つで,天井又は壁に固定した頭上取付形のリフト。

3.9

据置式リフト[stationary free standing hoist (free standing type)]

レール走行式リフトの一つで,必要な場所に据え置いて使用するリフト。

3.10

身体支持具(body-support unit

被懸ちょう者を関連附属装置と一体として持ち上げ,移動又は移乗させるときの身体を支持するための

用具(例えば,スリング,座,ストレッチャーなど)

3.11

スリング(sling

身体に適合する柔軟な布などで作られ,昇降装置に連結する身体支持具。

3.12

剛性身体支持具(rigid body-support unit

リフトの昇降装置に連結する剛性の材料(必要ならば,パッドをかぶせる。

)であらかじめ成形された台

座,又はフレームに柔軟な材料を取り付けた身体支持具。

3.13

最大質量(maximum load

被懸ちょう者,身体支持具及びその他を含んだ,リフトの最大許容質量。


3

T 9241-1:2008

3.14

被懸ちょう者(lifted person

リフトで移乗する対象者。

4

種類及び区分

4.1

種類

4.1.1

リフト

リフトの種類は,

表 による。

表 1−リフトの種類

種類

図番号

該当規格

床走行式

図 

移動式

ストレッチャー式

図 

JIS T 9241-2

住宅設置式 
(壁面・天井・床などに取り付ける)

図 

設置式

機器設置式 
(浴槽・ベッドなどに取り付ける)

図 4,図 

JIS T 9241-3

天井走行式

図 

レール走行式

据置式

図 

JIS T 9241-4

その他のリフト

注記  その他のリフトについては,存在を示すために表示するが,日本工業規格の規定

はしない。 

4.1.2

身体支持具

身体支持具の種類は,

表 による。

表 2−身体支持具の種類

種類

図番号

該当規格

ベルト形スリング

図 8 a) 

シート形スリング(頭部サポートなし)

図 8 b) 

シート形スリング(頭部サポート付き)

図 8 c) 

脚分離形スリング(頭部サポートなし)

図 8 d) 

脚分離形スリング(頭部サポート付き)

図 8 e) 

JIS T 9241-5

スリング

その他のスリング

剛性身体支持具

図 

注記  剛性身体支持具,その他のスリングについては,存在を示すために表示するが,日本

工業規格の規定はしない。 

4.2

最大質量による区分(区分記号)

最大質量による区分(区分記号)は,

表 による。



T 9241-1:2008

   

表 3−最大質量による区分(区分記号)

区分記号

最大質量範囲  kg

WS

     60 以下

WM 60 超え 80 以下 
WL 80 超え 100 以下 
WLL 100 超え 120 以下 
WX 120 超えるもの

5

設計及び構造

5.1

一般

次の要求事項を満足するとともに,JIS T 9241-2JIS T 9241-5 の各部に規定する要求事項を満足しなけ

ればならない。

5.2

設計

5.2.1  リスク分析

リスク分析は,JIS B 9702 などの手法を用いる。また,リスク分析の手順の実施及び結果は,製造業者

によって文書化し維持しなければならない。

5.2.2  人間工学的要素

リフトの人間工学的条件は,リフトの設計時に考慮しなければならない。安全性を確保するために,人

間の能力,技能,限界及び欲求を考慮に入れて,人間,技術及び作業環境の相互関係をも考慮しなければ

ならない。

a)  表示及び信号は,鮮明に,あいまいさなく認知されるように設計しなければならない。

b)  アクチュエータの制御は,それを操作するのに使う身体の部分の生理学的な特性と,適合するように

設計しなければならない。

c)  作業環境(騒音,振動,熱的放射,照明,危険性のある材料及び放射線)の身体に対する影響を考慮

して設計しなければならない。

d)  被懸ちょう者がつ(吊)り上げられることにより感じる不安に,配慮しなければならない。

5.3

構造

構造に関し,考慮すべき事項を次に示す。

a)  身体寸法,姿勢,身体の動作及び生体力学を考慮し,リフトの操作ハンドル及びペダルは,次の条件

を満足しなければならない。

1)  操作力 10 N 以上の操作ハンドルとリフト構造部品との距離は,35 mm 以上とする。

2)  ペダルの上面とリフトの他の部分との距離は,つま先のすき間が鉛直距離にして 75 mm 以上とす

る。

3)  操作力 10 N 以上の操作ハンドル及び握りの直径は,19 mm∼43 mm の範囲とする。

4)  ペダルの高さは,床面から 300 mm 以内とする。

5)  手動式制御装置の位置は,床面から 800 mm∼1 200 mm の高さとする。

6)  操作ハンドルの高さは,900 mm 以上とする。

注記  被懸ちょう者が操作する制御装置は,上記の位置でなくてもよい。

b)  浴室など水周りで使用する電動リフトの操作機器は防水について考慮しなければならない。


5

T 9241-1:2008

図 1−床走行式リフトの例 

図 2−ストレッチャー式リフトの例 

図 3−住宅設置式リフトの例 

図 4−機器設置式リフト(浴槽に設置した例) 



T 9241-1:2008

   

図 5−機器設置式リフト(ベッドに設置した例) 

図 6−天井走行式リフトの例 

図 7−据置式リフトの例


7

T 9241-1:2008

a)  ベルト形スリングの例

b)  シート形スリングの例 
    (頭部サポートなし)

c)  シート形スリングの例 
    (頭部サポート付き)

d)  脚分離形スリングの例 
    (頭部サポートなし)

e)  脚分離形スリングの例 
    (頭部サポート付き)

図 8−スリングの例

図 9−剛性身体支持具の例