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T 9206 : 2001

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人自転車産業振興協会 (JBPI) /財団法

人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業

標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

今回の制定は,日本工業規格を国際規格に整合させるため,ISO/DIS 7176-21 : 1999, Wheelchairs−Part21 :

Requirements and test methods for electromagnetic compatibility of electrically powered wheelchairs andmotorized

scooters

を基礎として用いた。


日本工業規格

JIS

 T 9206

: 2001

電動車いすの電磁両立性要件

及び試験方法

Requirements and test methods for electromagnetic

compatibility of electrically powered wheelchairs and motorized scooters

序文  この規格は,1999 年に発行された ISO/DIS 7176-21, Wheelchairs−Part 21 : Requirements and test

methods for electromagnetic compatibility of electrically powered wheelchairs and motorized scooters

を翻訳し,技

術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

警告

この規格で規定されている試験方法のうち,十分な予防措置を講じないと人体に対して有害

となるものが含まれている。それは,述べられている試験方法が技術的に適切であることに

ついて言及しているに過ぎず,試験者の健康及び安全に関して製造業者又は試験機関の法律

的責任を免除するものではない。

1.

適用範囲  この規格は,身体障害者用で,最高時速 15km 以下の,屋内用及び屋外用電動車いす並び

に電動スクータの電磁エミッション及び電磁イミュニティに関する要件と試験方法について規定する。ま

た,手動車いすに動力装置を取り付けたもの,及び一人乗り用として設計されたものに適用する。さらに,

内蔵のバッテリ充電器をもつ電動車いすの,電磁エミッション及び電磁イミュニティについての追加要件

も規定する(内蔵されないバッテリ充電器には適用しない。

備考1.  この規格における“車いす”(以下,車いすという。)は,電動車いす,電動スクータ及び手

動車いすに動力装置を取り付けたものをいう。

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO/DIS 7176-21 : 1999

  Wheelchairs − Part 21 : Requirements and test methods for

electromagnetic compatibility of electrically powered wheelchairs and motorized scooters (IDT)

参考1.  この規格において“最高時速15km 以下の……”と規定されているが,日本国内では道路交通

法において最高速度6km 以下の車いすは,歩行者と同じ扱いをしている。

2.

この規格における“電動スクータ”とは,JIS T 9203

附属書 で規定する 1.“電動車いす形

式分類”の自操用ハンドル形のことを指し,通常意味するスクータ(原動機付き自転車)な

どとは異なる[JIS T 9203 : 1999(電動車いす)参照]

3.

この規格における“電動車いす”とは,JIS T 9203

附属書 で規定する 1.“電動車いす形式

分類”のすべてのことを指す[JIS T 9203 : 1999(電動車いす)参照]


2

T 9206 : 2001

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1000-412

  電磁両立性−第 4 部:試験及び測定技術−第 2 節:静電気放電イミュニティ試験

備考  IEC 61000-4-2 : 1995, Electromagnetic compatibility (EMC)  −Part 4 : Testing and measurement

techniques

−Section 2 : Electrostatic discharge immunity test からの引用事項は,この規格の

該当事項と同等である。

JIS C 1000-4-3

  電磁両立性−第 4 部:試験及び測定技術一第 3 節:放射無線周波電磁界イミュニティ

試験

備考  IEC 61000-4-3 : 1995, Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement

techniques

−Section 3 : Radiated, radio frequency, electromagnetic field immunity test が,この

規格と一致している。

JIS C 1000-4-4

  電磁両立性−第 4 部:試験及び測定技術−第 4 節:電気的ファストトランジェント/

バーストイミュニティ試験

備考  IEC 61000-4-4 : 1995, Electromagnetic compatibility (EMC)  −Part 4 : Testing and measurement

techniques

−Section 4 : Electrical fast transient/burst immunity test からの引用事項は,この規

格の該当事項と同等である。

JIS C 1000-4-5

  電磁両立性−第 4 部:試験及び測定技術−第 5 節:サージイミュニティ試験

備考  IEC 61000-4-5 : 1995, Electromagnetic compatibility (EMC)  −Part 4 : Testing and measurement

techniques

−Section 5 : Surge immunity test からの引用事項は,この規格の該当事項と同等

である。

JIS C 1000-4-6

  電磁両立性−第 4 部:試験及び測定技術−第 6 節:無線周波電磁界によって誘導され

た伝導妨害に対するイミュニティ

備考  IEC 61000-4-6 : 1996, Electromagnetic compatibility (EMC)  −Part 4 : Testing and measurement

techniques

−Section 6 : Immunity to conducted disturbances, induced by radio frequency fields

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS T 9203

  電動車いす

IEC 61000-4-1-1 : 1994

  Electromagnetic compatibility (EMC) − Part 4 : Testing and measurement

techniques-

−Section 11 : Voltage dips, short interruptions and voltage variation tests

ISO 7176-5 : 1986

  Wheelchairs−Part 5 : Determination of overall dimensions, mass and turning space

ISO 7176-9 : 1988

  Wheelchairs−Part 9 : Climatic tests for electric wheelchairs

ISO 7176-15 : 1996

  Wheelchairs−Part 15 : Requirements for information disclosure, documentation and

labeling

ISO 7176-22 : 2000

  Wheelchairs−Part 22 : Set up procedure for adjustable wheelchairs

CISPR 22

  Limits and methods of measurements of radio disturbance characteristics of information

technology equipment


3

T 9206 : 2001

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

前方垂直面 (Front Vertical)   前進方向に対して垂直で,最も前方の車輪の前端に接する垂直面(図

1

参照)

3.2

後方垂直面 (Rear Vertical)   前進方向に対して垂直で,最も後方の車輪の後端に接する垂直面(図

1

参照)

3.3

側方垂直面 (Side Vertical)   前進方向に対して平行で,車いすの側方で最も外側車輪の外側端に接

する垂直面(

図 参照)。

図 1  基準面

4.

車いすの分類  車いすの分類は,次による。

カテゴリ A:電子式差動操だ装置及び電子制御ブレーキを備えた車いす。

カテゴリ B:サーボ操だ装置及び電子制御ブレーキを備えた車いす。

カテゴリ C:手動操だ装置及び電子制御ブレーキを備えた車いす。

カテゴリ D:電子式差動操だ装置及び手動制御ブレーキを備えた車いす。

カテゴリ E:サーボ操だ装置及び手動制御ブレーキを備えた車いす。

カテゴリ F:電子式速度制御,手動操だ装置及び手動ブレーキ制御付き車いす。

カテゴリ G:単純な ON/OFF モータ,手動操だ装置及び手動制御ブレーキを備えた車いす。


4

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重複分類を可とする。

5.

要求事項

5.1

一般事項  すべての車いすは,5.2 に適合しなければならない。

なお,バッテリ充電器を内蔵する車いすは,5.3 にも適合しなければならない。

5.2

駆動時試験

5.2.1

放射エミッション  車いすは,9.1 によって試験したとき,CISPR 22 に規定するクラス B の放射

エミッション限度値に適合しなければならない。

備考  5.2 及び 5.3 における多くの要求事項で 2 秒間の観察期間を規定している。これは,観察期間が

経過した後に車いすの誤作動を容認するものではない。無限の経過期間を設定することは実用

的ではなく,たとえ試験中に車いすが誤作動しても試験結果として 2 秒以内に誤作動したこと

とする。

5.2.2

静電気放電 (ESD) イミュニティ  車いすは,10.1 及び 10.2 の試験の前後において,ISO 7176-9 

規定する機能上の要求事項に適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,接触放電では 2kV, 4kV 及び

6kV

の試験レベルを,気中放電では 2kV, 4kV 及び 8kV の試験レベルを用いて 10.1 によって試験したとき

及び 8kV の試験レベルを用いて 10.2 によって試験したとき,次の要求事項を満たさなければならない。

a)

車いすの駆動システムは,放電後 2 秒間(プログラム可能な ESD 発生器を用いる場合には,一連の放

電試験の間)5.2.4 の要求事項に適合しなければならない。

b)

駆動用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ機構

など)は,放電後 2 秒間(プログラム可能な ESD 発生器を用いる場合には,一連の放電試験の間)動

いてはならない。

5.2.3

放射イミュニティ  車いすは,10.3 の試験の前後において,ISO 7176-9 に規定する機能上の要求事

項に適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,26MHz∼1GHz の周波数範囲で 12V/m の試験レベルを

用いて 10.3 によって試験したとき,次の要求事項を満たさなければならない。

a)

車いすの駆動システムは,印加した無線周波電磁場下において,5.2.4 の要求事項に適合しなければな

らない。

b)

駆動用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ機構

など)は,印加した無線周波電磁場下において,動いてはならない。

5.2.4

速度及び方向の安定性

5.2.4.1

速度  カテゴリ A, B, C, D, E 及び F の車いすでは,11.における規定式で算出した平均車輪速度変

化率⊿S

avg

が,±20%を超えてはならない。

備考  正の値は加速,負の値は減速を示す。

カテゴリ G の車いすでは,当該要求事項は適用しない。

5.2.4.2

操だ装置  カテゴリ A 及び D の車いす(電子式差動操だ装置を備えた車いす)では,11.におけ

る規定式で算出した差動輪の速度変化率⊿S

diff

が±25%を超えてはならない。

備考  正の値は右折に,負の値は左折に相当する。

カテゴリ B 及び E の車いす(サーボ操だ装置を備えた車いす)では,この最大許容変化率は操だ用サー

ボの位置又は操だ角度の,ISO 7176-5 で定義される回転半径の 4m に相当するものである。

カテゴリ C, F 及び G の車いす(手動操だ装置を備えた車いす)では,当該要求事項は適用しない。

5.3

充電時試験


5

T 9206 : 2001

5.3.1

伝導エミッション  車いすは,9.2 によって試験したとき,CISPR 22 に規定するクラス B の伝導

性エミッション限度値に適合しなければならない。

5.3.2

放射エミッション  車いすは,9.1 によって試験したとき,CISPR 22 に規定するクラス B の放射

エミッション限度値に適合しなければならない。

5.3.3

静電気放電 (ESD) イミュニティ  車いすは,10.1 の試験の前後において,ISO 7176-9 に規定する

機能上の要求事項に適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,接触放電では 2kV,4kV 及び 6kV,気

中放電では 2kV,4kV 及び 8kV の試験レベルを用いて 10.1 によって試験したとき,放電後 2 秒間(プログ

ラム可能な ESD 発生器を用いる場合には一連の放電試験の間)

,駆動輪は回転せず,自動ブレーキは解除

されず,駆動用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ

機構など)は動いてはならない。バッテリー充電器は,10.1 によって試験したとき,人的介入を伴わずに

機能し続けなければならない。

5.3.4

ファストトランジェント/バーストイミュニティ  車いすは,10.4 の試験の前後において,ISO 

7176-9

に規定する機能上の要求事項に適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,1kV の試験レベルを

用いて 10.4 によって試験したとき,試験後 2 秒間,駆動輪は回転せず,自動ブレーキは解除されず,駆動

用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ機構など)は

動いてはならない。バッテリ充電器は,10.4 によって試験したとき,人的介入を伴わずに機能し続けなけ

ればならない。

5.3.5

サージイミュニティ  車いすは,10.5 の試験の前後において,ISO 7176-9 に規定する機能上の要求

事項に適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,ライン−ライン間 1kV,及びライン−接地間 2kV の

試験レベルを用いて 10.5 によって試験したとき,試験後 2 秒間,駆動輪は回転せず,自動ブレーキは解除

されず,駆動用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ

機構など)は動いてはならない。バッテリ充電器は,10.5 によって試験したとき,人的介入を伴わずに機

能し続けなければならない。

5.3.6

伝導無線周波数イミュニティ  車いすは,10.6 の試験の前後において,ISO 7176-9 に規定する機能

上の要求事項に適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,150kHz∼80MHz の周波数範囲で 3V の試験

レベルを用いて 10.6 によって試験したとき,試験の間に駆動輪は回転せず,自動ブレーキは解除されず,

駆動用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ機構など)

は動いてはならず,バッテリ充電器は正常に機能していなければならない。

5.3.7

電圧ディップ  車いすは,10.7 の試験の前後において,ISO 7176-9 に規定する機能上の要求事項に

適合しなければならない(8.参照)

。車いすは,0.5 周期の間の継続時間で定格電圧に対して 30%の電圧低

下及び 5 周期間の継続時間で定格電圧に対して 60%の電圧低下の試験レベルを用いて 10.7 によって試験し

たとき,試験後 2 秒間,駆動輪は回転せず,自動ブレーキは解除されず,駆動用でない電動装置(例えば,

レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助するサーボ機構など)は動いてはならない。バッテリ

充電器は,10.7 に従う試験の結果,人的介入を伴わずに機能し続けなければならない。

5.3.8

短時間停電  車いすは,10.8 の試験の前後において,ISO 7176-9 に規定する機能上の要求事項に適

合しなければならない(8.参照)

。車いすは,250 周期の間の継続時間で定格電圧に対して 95%を超える電

圧低下の試験レベルを用い 10.8 によって試験したとき,試験後 2 秒間,駆動輪は回転せず,自動ブレーキ

は解除されず,駆動用でない電動装置(例えば,レッグサポート,立上がり機能付き着座装置を補助する

サーボ機構など)は動いてはならない。バッテリ充電器は,10.8 による試験のとき,人的介入を伴わずに

機能し続けなければならない。


6

T 9206 : 2001

6.

試験装置

6.1

支持システム  支持システムは,車いすの車体が固定され,駆動輪の回転を可能にし,車いすを支

持することができる,木製ブロック,タイヤ,繊維性ストラップ及び同様な装置で構成される。同様な装

置としては,車いすの車体が固定され,車輪の回転を可能にするローラシステムなどがある。この支持シ

ステムは,非導電性の材料で構成する。また,車いすとその周囲にある物体との間に導電路を形成しては

ならない。電気絶縁タイヤ(特定の試験のためにロックされる,非駆動輪,駆動輪及びローラシステム上

に配置される任意の車輪)は,支持システムの一部を構成できる。この支持システムでは,車いすを 0.1m

以上持ち上げてはならない。前後の車輪は 0.1m の範囲内で別々の高さでもよく,支持システム上に置か

れた後,車いすは水平でなくてもよい。

6.2

放電接地ストラップ  長さ 2m 以下のワイヤケーブル又は編組線で,車いすと金属グランド面との間

のインピーダンスが低いものとする。このストラップがワイヤケーブルである場合には,断面積は,15mm

2

以上でなければならない。このストラップが編組線である場合,編み方は高周波用の良品質の同軸ケーブ

ル外部導体に用いられる編み方と同様とする。この編み幅は,フラットにした場合 20mm 以上でなければ

ならない。

6.3

車輪速度モニタ  光ファイバケーブルを使用した装置又は類似の装置によって各駆動輪の回転速度

を観測し,実測回転速度から,11.に規定した式によって,平均車輪速度変化と差動輪の速度変化を算出す

る。

類似の装置としては,ストロボ回転計,ビデオカメラなどがある。車輪速度モニタはの時定数,0.1 秒を

超えてはならない。また,車いすとグランド面との間に導電路を形成してはならない。車輪速度モニタは,

試験中に測定される,又は発生する電磁界を乱したり,電磁界から影響を受けてはならない。

6.4

ステアリングモニタ  ステアリングサーボ位置又は操向角度を観測することができるビデオカメラ

若しくは類似の装置。

備考  ステアリングモニタは,対象となるカテゴリの車いすの試験にだけ用いる。

ステアリングモニタの時定数は,0.1 秒を超えてはならない。また,車いすとグランド面との間に導電路

を形成してはならない。ステアリングモニタは,試験中に測定される,又は発生する電磁界を乱したり,

電磁界から影響を受けてはならない。

7.

試験車いすの準備

7.1

車いすの装置  車いすは,ISO 7176-22 の規定によって準備する。ダミーは,取り付けない。

7.2

車いすの支持  車いすは,6.1 に規定する支持システムによって支持する。支持システムは,各試験

ごとに要求されたグランド面上又はテーブル上に設置しなければならない。

7.3

調整  車いすの能力に悪影響を及ぼす可能性があり,かつ,工具を用いることなく調整することが

できる,操作可能なパラメータ(例えば,最高前進速度,最高後進速度,最高感度,最大加速度,最大減

速度,最大ブレーキ力及び最短時間遅れ。

)は,通常の操作範囲内の最大能力を発揮するよう設定する。

7.4

駆動時試験の設定  車いすの電源を投入する。制御部の設定を,最高速度の (50±10) %とする。さ

らに,カテゴリ B 及び E の車いす(電子サーボステアリング付き車いす)に関しては,ステアリングサー

ボを直進位置(操向角度が 0±1°)にする。バッテリ充電器は,AC 電源に接続してはならない。

7.5

充電時試験の設定  車いすの電源を投入する。制御部の設定を,駆動輪が回転せず,自動ブレーキ

はすべて掛かった状態となるようにする。充電器の取扱いは,製造元の発行する説明書の指示による。


7

T 9206 : 2001

8.

試験順序  5.2 に規定したすべての試験は,1 台の車いすで行う。5.3 に規定した試験が適用される場

合には,これも同一の車いすを用いて行う。各々のイミュニティ試験が行われている間は,ISO 7176-9 

規定する機能上の要求事項を確認する必要はなく,すべてのイミュニティ試験が完了してから確認する。

上記を除き,それぞれの試験順序は任意とする。

9.

電磁エミッションの試験方法

9.1

放射エミッション試験  車いすを 7.17.27.37.4 及び 7.5 によって準備する。支持システムをグラン

ド面上に設置する。CISPR 22 によって試験を行う。

9.2

伝導エミッション試験  車いすを 7.1,  7.2,  7.3 及び 7.5 によって準備する。支持システムをグランド

面上に設置する。CISPR 22 によって,内蔵バッテリ充電器の AC 電源ポートからのエミッションを測定す

る。

10.

電磁イミュニティの試験方法

10.1

静電気放電イミュニティ試験  車いすを 7.17.27.37.4 及び 7.5 によって準備する。車いすは,次を

例外として,JIS C 1000-4-2 によって,床置型装置として試験する。JIS C 1000-4-2 に規定する水平結合板

と垂直結合板は不要であり,間接放電試験は行わない。直接接触放電と直接気中放電試験を行う。この試

験に関しては,JIS C 1000-4-2 の床置型装置要件によって構成される基準グランド面を用いる。支持シス

テムは,グランド面上に設置する。車いすは,地面上で走行するように設計されているので,JIS C 1000-4-2

に規定されるグランド面と供試装置との間隔である 0.1m は,適用しない。車いすを 7.1 及び 7.2 によって

準備したとき,放電箇所は,ESD 発生器の放電電極を用いて接触できる下記の場所とする。

a)

各モータケーシング,ギアボックスケーシング,ケーブル,コネクタハウジング,操作レバ又はボタ

ン,調節ノブ及びインジケータに各一つの放電箇所を設定する。

b)

電子回路のきょう(筐)体については,最多 6 面までの各面に一つの放電箇所を設定する。特定のき

ょう体が複雑な非直方体形状である場合,同等の直方体形状の各面に最もよく似た面を選択する。

c)

フレームについては,最多 6 面までの各面に一つの放電箇所を設定する。フレームが複雑な非直方体

形状である場合,同等の直方体形状の各面に最もよく似た面を選択する。

d)  5.3

の要件に関しては,バッテリ充電器への AC 電源ケーブルをいっぱいに伸ばし,車いすの車体又は

フレームからケーブルが出る点にできるだけ近いケーブル上の点に放電箇所を設定する。

導電部への接触放電については,試験レベルは 2kV, 4kV 及び 6kV とする。非導電部への気中放電につ

いては,試験レベルを 2kV, 4kV 及び 8kV とする。各放電箇所に対し,各極性(プラスとマイナス)につ

いて,各 10 回の放電を行う。

10.2

帯電フレームの静電気放電イミュニティ試験  車いすがカーペット上で運転されて帯電した後,接

地された金属物体に接触して放電する状態をシミュレートするため,車いすを試験する。この試験につい

ては,JIS C 1000-4-2 の床置型装置要件によって形成した基準グランド面を用いる。車いすを 7.1,  7.2,  7.3

及び 7.4 によって準備する。支持システムを,グランド面上に設置する。放電は,6.2 に規定した放電スト

ラップを介して行う。このストラップの一端をグランド面に接続し,他端を放電に用いる。ESD 発生器の

放電リターンケーブルと放電ストラップの両方を,低インピーダンスボンドを介してグランド面に接続す

る。車いすが通常の運転中に,接地された金属構造物に接触する可能性のある車いすの周囲の各場所に一

つの放電箇所を設定する。各放電箇所について,次の試験を行う。ESD 発生器の放電電極を,放電箇所に


8

T 9206 : 2001

最も近い車いすのフレームの部分に電気的に直接接触させ,フレームを 8kV の電位に帯電させる。ESD 発

生器を車いすから離し,放電ストラップをできるだけ速く放電箇所へ動かして放電を行う。各放電箇所に

対し,各極性(プラスとマイナス)について,各 10 回の放電を行う。

10.3

放射イミュニティ試験  車いすを 7.17.2 及び 7.4 によって準備する。JIS C 1000-4-3 によって,12V/m

の試験レベルで 1kHz サイン波で 80%振幅変調した信号を,26MHz∼1GHz の周波数範囲にわたって掃引す

る。周波数ステップサイズは,元の周波数の 1%を超えない。

備考  “元の周波数の 1%を超えない”という表現は,各ステップの周波数がその前の周波数に 1.01

(1%ステップサイズの場合)を乗じた値以下であることを意味する。

周波数  (n+1)  ≦1.01×周波数 n

必要な電界の均一性の達成を容易にするため,卓上形装置に関する要求事項を適用する。JIS C 1000-4-3

に定義されているとおり,校正領域面の 75%以上にわたって電界強度が公称値の−0dB から+6dB の範囲

内であれば,電界が均一とみなす。JIS C 1000-4-3 によって,無変調で,所定の試験レベル又は実際の試

験レベルにおいて,均一性についてのマッピングを行うことが重要である。電界の水平及び垂直偏波につ

いて校正する。

支持システムをテーブル上に設置しなければならない。アンテナ出力電力を適宜調節して,

所定のレベルより強い電界強度で試験してもよい。各周波数ステップにおいて,出力電力は,校正された

電界強度の電力に調節するか,適切であれば,更に高い電界強度に必要な電力に調節する。変調をかけた

後,パワーアンプが飽和していないことを確認するため,出力電力を観測する。信号は一つの周波数にお

いて,2 秒以上発生しなければならない。ホイール速度及び該当するのであればサーボステアリング角度

も 2 秒後に測定する。放射イミュニティ試験は,二つの試験方法のいずれか一方を用いることができる。

周波数範囲のある部分に一つの方法を用い,他の部分に別の方法を用いてもよい。異なった結果が得られ

た場合には,ギガヘルツ・トランスバース・電磁セル (GTEM) の結果よりも,無響室の結果を優先する。

この二つの方法は,次による。

a)

JIS C 1000-4-3

に規定される無響室を用いる。車いすの 2 種類の方向と,放射アンテナの二つの偏波

を用いる。車いすの方向は,(1)前進方向はアンテナに直面,(2)車いすとアンテナを結ぶ線に直角で,

アンテナは,車いすの制御装置が配置されている側面(又は,制御装置が中央に配置されている場合,

車いすの電子装置の大部分が配置されている,若しくは大部分の電気ケーブルが配線されている側)

に向ける。車いすは,車いすの適当な垂直面(

図 参照)が試験チャンバの均一電界面に設置される

ように位置決めする。

アンテナ偏波は,車いすの各方向とも水平及び垂直となるように位置決めする。

b)

ギガヘルツ・トランスバース・電磁セル (GTEM) は,JIS C 1000-4-3 が規定する暴露システムの代替

暴露システムを構成する。適用すべき手順を次に説明する。JIS C 1000-4-3 に規定されたアンテナま

での距離は,GTEM には無関係のパラメータである。GTEM において,車いすは,供試機器 (EUT) に

関する GTEM メーカーの推奨サイズを超えてはならない。

車いすの 2 種類の方向で試験しなければならない。(1)車いすが直立状態で,その前面が GTEM の頂点に

最も近くなるように設置(垂直偏波)

,(2)車いすが仰向きの状態でその頂部が GTEM の頂点に最も近くな

るよう(水平偏波)に設置する。垂直偏波に対してマップ面は,車いすの前方垂直面から後方垂直面の幾

何学的中間にくるように位置決めする。水平偏波に対してマップ面は,車いすの最上部と,その車輪の底

部との間の中間にくるように位置決めする(

図 2,図 参照)。


9

T 9206 : 2001

図 2  ギガヘルツ・トランスバース・電磁セル (GTEM) における垂直偏波

図 3  ギガヘルツ・トランスバース・電磁セル (GTEM) における水平偏波

10.4

ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験  車いすを,7.17.27.3 及び 7.5 によって準

備する。内蔵バッテリ充電器の AC 電源部は,JIS C 1000-4-4 によって,床置型装置として試験しなければ

ならない。車いすは,地上面を走行するように設計されているので,地上面と供試装置との間が JIS C 

1000-4-4

で規定した間隔 0.1m を厳密に守る必要はない。6.1 に規定した支持システムは,地上面に直接置

かなければならない。

10.5

サージイミュニティ試験  車いすを 7.17.27.3 及び 7.5 によって準備する。内蔵バッテリ充電器

の AC 電源部は,JIS C 1000-4-5 によって,床置型装置として試験しなければならない。車いすは,直接地

上面を走行するように設計されているので,地上面と供試装置との間が JIS C 1000-4-5 で規定した間隔

0.1m

を厳密に守る必要はない。6.1 に規定した支持システムは,地上面に直接置かなければならない。

10.6

伝導無線周波イミュニティ試験  車いすを 7.17.27.3 及び 7.5 によって準備する。内蔵バッテリ

充電器の AC 電源部は,JIS C 1000-4-6 によって,床置型装置として次のパラメータを用いて試験をしなけ

ればならない。

変調度:80%AM, 1kHz サイン波


10

T 9206 : 2001

周波数ステップ:最大 1%増分

照射時間:2 秒

備考  “最大 1%増分”という表現は,各ステップの周波数がその前の周波数に 1.01(1%増分の場合)

を乗じた値であることを意味する。

周波数  (n+1)  ≦1.01×周波数 n

車いすは,地上面を走行するように設計されているので,地上面と供試装置との間が JIS C 1000-4-6 

規定した間隔 0.1m を厳密に守る必要はない。6.1 に規定した支持システムは,地上面に直接置かなければ

ならない。

10.7

電圧ディップ試験  車いすを 7.1,  7.2,  7.3 及び 7.5 によって準備する。内蔵バッテリ充電器の AC 電

源部は,IEC 61000-4-11 によって,床置型装置として試験しなければならない。車いすは,地上面を走行

するように設計されているので,地上面と供試装置との間が IEC 61000-4-11 で規定した間隔 0.1m を厳密

に守る必要はない。6.1 に規定した支持システムは,地上面に直接置かなければならない。

10.8

短時間停電試験  車いすを 7.1,  7.2,  7.3 及び 7.5 によって準備する。内蔵バッテリ充電器の AC 電源

部は,IEC 61000-4-11 によって,床置型装置として試験しなければならない。車いすは,地上面を走行す

るように設計されているので,地上面と供試装置との間が IEC 61000-4-11 で規定した間隔 0.1m を厳密に

守る必要はない。6.1 に規定した支持システムは,地上面に直接置かなければならない。

11.

車輪速度変化の計算  2 輪駆動の車輪をもつすべての車いすについて,平均速度変化率⊿S

avg

は,次の

式によって算出する。

100

5

.

0

×

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

=

off

off

on

off

off

on

avg

Sr

Sr

Sr

Sl

Sl

Sl

S

Sl

off

7.4

によって試験前に準備したときの左車輪速度

Sl

on

:  試験中の左車輪速度

Sr

off

7.4

によって試験前に準備したときの右車輪速度

Sr

on

:  試験中の車輪速度

代わりに,2 輪駆動で機械式差動装置付車いす(電子式差動操だ装置なしの車いす)のカテゴリ B, C, E

及び F 車いすは,一つの車輪をロックした状態で,他方のモニタされた,拘束されずに回転している駆動

の車輪速度だけでよい。この場合,平均車輪速度変化は,シングル駆動の車輪をもつ車いすのために次に

示す方程式を使って計算される。シングル駆動の車輪だけをもつ車いすのために,そして一つだけの車輪

だけの速度がモニタされる試験だけで,次のように百分率として,⊿S

avg

を計算する。

100

×

=

off

off

on

avg

S

S

S

S

S

off

:  7.4 によって試験前に準備したとき Son は試験中の車輪速度

次のように百分率として,差動輪の速度変化⊿S

diff

を計算する。

100

×

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

=

off

off

on

off

off

on

diff

Sr

Sr

Sr

Sl

Sl

Sl

S

Sl

off

:  7.4 によって試験前に準備したときの左車輪速度

Sl

off

:  試験中の左車輪速度

Sr

off

:  7.4 によって試験前に準備したときの右車輪速度

Sr

on

:  試験中の右車輪速度


11

T 9206 : 2001

12.

試験報告書  試験報告書には,次の項目を記載しなければならない。

a)

JIS T 9206

によって試験を行った旨

b)

試験機関の名称及び所在地

c)

車いす製造業者の名称及び所在地

d)

試験報告書の発行日

e)

車いすの形式番号,製造番号及び/又はロット番号

f)

車いすの構造

g)

車いすがこの規格の必要条件を満たしたかどうか

備考  試験要件について,何らかの不備が生じたとき,試験手順の要点を確認できるような追加情報

を要求することができる。

13.

情報開示  次の情報は,ISO 7176-15 で規定されるように,開示されなければならない。

a)

車いすの形式番号及び/又は一義的に車いすを識別するであろう何らかの情報。

b)

車いすが JIS T 9206 の必要条件を満たしたかどうか。


12

T 9206 : 2001

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

田  中      理

横浜市総合リハビリテーションセンター

廣  瀬  秀  行

国立身体障害者リハビリテーションセンター

沖  川  悦  三

神奈川リハビリテーション病院研究部

荒  木  由季子

通商産業省機械情報産業局

平  瀬  隆  治

通商産業省製品評価技術センター

○  島  田  昌  彦

財団法人日本品質保証機構総合製品安全本部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会

高  橋  義  信

財団法人自転車産業振興協会技術研究所

林  原  弘  明

スズキ株式会社

長  縄  正  裕

株式会社今仙技術研究所

福  井      巧

ヤマハ発動機株式会社

西  川  泰  蔵

工業技術院

○  川  島  博  幸

スズキ株式会社都田研究所

○  川  野  和  弘

通商産業省製品評価技術センター

(事務局)

横  山  克  義

財団法人自転車産業振興協会

山  田  玄  一

財団法人自転車産業振興協会

備考  ○は専門委員会委員も兼ねる。