>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

T 8205

:2002

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣,厚生労働大

臣が改正した日本工業規格である。これによって JIS T 8205:1992 は改正され,この規格に置き換えられ

る。

JIS T 8205

には,次に示す附属書がある。

    附属書(規定)  試験用ガス(校正用ガスを含む。)及び校正方法


T 8205

:2002

(2) 

目  次

ページ

1.

適用範囲  1

2.

引用規格  1

3.

定義 1

4.

種類,形式及び採気方式  2

5.

性能 2

5.1

指示精度及び警報作動精度  2

5.2

繰返し性  2

5.3

安定度  2

5.4

傾斜による影響  2

5.5

耐衝撃性  2

5.6

指示の遅れ及び警報の遅れ  2

5.7

温度変化による影響  2

5.8

電源電圧の変動による影響  2

6.

構造 2

6.1

一般構造  2

6.2

各部の構造  3

7.

試験方法  3

7.1

サンプリング方法  3

7.2

試験場所の標準状態  3

7.3

指示精度試験及び警報作動精度試験  3

7.4

繰返し性試験  4

7.5

安定度試験  4

7.6

傾斜試験  4

7.7

衝撃試験  4

7.8

指示の遅れ及び警報の遅れ試験  4

7.9

温度試験  5

7.10

電源電圧変動試験  5

8.

表示 5

9.

取扱説明書  5

附属書(規定)  試験用ガス(校正用ガスを含む。)及び校正方法 6

解説  8


     

日本工業規格                   JIS

T 8205

:2002

硫化水素計

Hydrogen sulfide indicator/alarm

1.

適用範囲  この規格は,硫化水素の発生のおそれがあるピット,マンホール,浄化槽,暗きょ(渠),

地下室などの地下構造物及びタンク,管,溝,槽,熱交換器などの地上構造物並びに船倉の内部などにお

いて,硫化水素濃度の測定,監視及び警報用として使用する硫化水素計について規定する。

なお,この規格に規定する硫化水素計の使用温度範囲は,0∼40  ℃とする。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 0930

  電気機器の防爆構造総則

JIS K 0108

  排ガス中の硫化水素分析方法

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

検知部  測定場所の空気と直接接触して,硫化水素濃度を検知する硫化水素計の部分。

b)

拡散式  測定場所の空気を自然に検知部に接触させる採気方式。

c)

吸引式  測定場所の空気をポンプなどで吸引して,検知部に接触させる採気方式。

d)

硫化水素濃度指示計  硫化水素濃度を測定し,検知部と分離した又は一体となった指示部で,その濃

度を指示する硫化水素計。

e)

硫化水素濃度警報計  硫化水素濃度を測定し,検知部と分離した又は一体となった警報部で,その濃

度があらかじめ設定した濃度に達したとき,警報を発する硫化水素計。

f)

硫化水素濃度指示警報計  d)  及び e)  の硫化水素計の両機能をもつ構造の硫化水素計。

g)

定置形  一定箇所に設置,固定して使用する形式。検知箇所が 1 か所の 1 点式と複数箇所の多点式が

ある。

h)

可搬形  台車又は移動車などによって運搬し,移動して使用する形式。

i)

携帯形  手に持つなどして使用する形式。

j)

装着形  ポケットに入れ,腰に着けるなど身体に着けて使用する形式。

k)

試験用ガス  硫化水素計が正しく作動するかどうかの確認に用いるガス。

l)

校正用ガス  試験用ガスのうち,硫化水素計の校正に用いるガス。

m)

ゼロガス  硫化水素計のゼロ点を定める校正用ガス。通常,硫化水素を含まない清浄な空気又は窒素

などを用いる。

n)

形式試験  新しく設計,改造,生産技術条件の変更を行う都度,最初の生産品の品質を確認するため

に行う試験。


2

T 8205

:2002

     

o)

受渡試験  各生産ロットごとに,その製品の品質を確認するために行う試験。

4.

種類,形式及び採気方式  硫化水素計の種類,形式及び採気方式は,表 による。

表  1  硫化水素計の種類

形式

種類

定置形

可搬形

携帯形

装着形

硫化水素濃度指示計

硫化水素濃度警報計

硫化水素濃度指示警報計

備考  採気方式

拡散式及び吸引式:◎ 
拡散式          :○

5.

性能

5.1

指示精度及び警報作動精度

5.1.1

指示精度は,7.3.1 によって試験したとき,試験の結果が 0∼30 ppm の指示範囲では,硫化水素濃

度で±1.5 ppm 以内,他の指示範囲では±3 ppm 以内とする。

5.1.2

警報作動精度は,7.3.2 によって試験したとき,試験の結果が 10 ppm 以下の任意の警報設定濃度で

警報を発し,かつ,警報設定濃度に対して硫化水素濃度で±3 ppm 以内とする。

5.2

繰返し性  7.4 に規定する試験を行ったとき,各指示濃度とその平均濃度とのそれぞれの差は,硫化

水素濃度で±1 ppm 以内とする。

5.3

安定度  7.5 に規定する試験を行ったとき,指示精度及び警報作動精度は,それぞれ 5.1.1 及び 5.1.2

による。

5.4

傾斜による影響  7.6 に規定する試験を行ったとき,指示精度及び警報作動精度は,それぞれ 5.1.1

及び 5.1.2 による。

5.5

耐衝撃性  7.7に規定する試験を行ったとき,指示精度及び警報作動精度は,それぞれ5.1.1及び5.1.2

による。

5.6

指示の遅れ及び警報の遅れ  7.8 に規定する試験を行ったとき,指示の遅れは 30 秒以内,警報の遅

れは 15 秒以内とする。

5.7

温度変化による影響  7.9 に規定する試験を行ったとき,指示精度,警報作動精度,指示の遅れ及び

警報の遅れは,それぞれ 5.1.15.1.2 及び 5.6 に規定する精度及び時間以内とする。

5.8

電源電圧の変動による影響  7.10 に規定する試験を行ったとき,指示精度及び警報作動精度は,そ

れぞれ 5.1.1 及び 5.1.2 に規定する精度とする。

6.

構造

6.1

一般構造  硫化水素計は,検知部と指示部及び/又は警報部とからなり,硫化水素濃度の変化を電

気信号に換え,指示部及び/又は警報部を作動させる構造のもので,次による。

a)

定置形は,設置,取扱い及び保守管理が容易でなければならない。

b)

定置形以外の形式のものは,できるだけ軽量,かつ,小形で,運搬及び携帯に便利で,取扱い及び保

守管理が容易でなければならない。

c)

各部の構造は,十分な強度及び耐久力をもたなければならない。


3

T 8205

:2002

   

d)

金属材料は,耐食性材料を用いるか,又は完全な表面防食処理を行い,塗装は,仕上げが良好で,容

易に色あせ又ははく離してはならない。

e)

各部は,その目的に応じて円滑,かつ,正確に作動しなければならない。

f)

作動状態にあるときは,それが容易に識別できなければならない。

g)

防爆性が必要な場合は,JIS C 0930 に適合した構造でなければならない。

6.2

各部の構造

6.2.1

検知部の採気方式は,拡散式及び吸引式の 2 種類とする。

6.2.2

指示部  指示範囲は,硫化水素濃度で 0∼30 ppm 又は 0∼30 ppm 以上とし,ディジタル方式(数字

表示)のものは,少なくとも 0.5 ppm を指示できるものとする。

6.2.3

警報部  警報部は,次による。

a)

警報部は,その指示範囲の任意の濃度(10 ppm 以下)に設定でき,その設定濃度以上で警報を発する

ものである。

b)

警報は,光,音又は振動若しくはこれらの併用によって行うものである。

c)

一度警報を発した後は,解除操作を行うまで,硫化水素濃度が警報設定濃度以下になっても警報を発

し続ける。ただし,可搬形,携帯形及び装着形は,この限りでない。

d)

解除操作を行うことによって,警報音だけが停止し,他の警報は,硫化水素濃度が警報設定濃度以下

になるまで持続する機構である。ただし,可搬形,携帯形及び装着形は,この限りでない。

e)

定置形多点式の警報は,ある測定箇所の硫化水素濃度の増大に対して警報を発しているとき,別の測

定箇所で硫化水素濃度が増大した場合には,その箇所に対しても警報可能な機構である。

7.

試験方法

7.1

サンプリング方法  サンプリング方法は,表 による。

表  2  サンプリング方法

試験項目

硫化水素濃度指示計

硫化水素濃度警報計

硫化水素濃度指示警報計

一般構造

各部の構造

指示精度

警報作動精度

繰返し性

指示精度の安定度

警報作動精度の安定度

傾斜による影響

耐衝撃性

指示の遅れ

警報の遅れ

温度変化による影響

電源電圧の変動による影響

備考  形式試験及び受渡試験:◎,形式試験:○

7.2

試験場所の標準状態  試験場所の温度は 20±2  ℃,湿度は(65±20)%及び気圧は 860∼1 060 hPa

とする。

7.3

指示精度試験及び警報作動精度試験


4

T 8205

:2002

     

7.3.1

指示精度試験  硫化水素計を作動状態にし,表 に示す安定時間を経過した後,附属書に規定した

校正用ガスを用いて指示の校正を行い,検知部に 10 ppm を中心とした 3 種類以上の濃度の試験用ガスを

導入し,硫化水素計の指示濃度と試験用ガスの硫化水素濃度との差をそれぞれ調べる。指示範囲が 30 ppm

を超えるものは,30 ppm を超える任意の濃度の試験用ガスでも調べる。

  3  指示精度試験の安定時間

単位  min

形式

安定時間

定置形

30

可搬形

携帯形

装着形

 5

7.3.2

警報作動精度試験  硫化水素計を作動状態にし,表 に示す安定時間を経過した後,硫化水素計を

10 ppm

以下の任意の警報濃度に設定し,検知部に警報設定濃度以下の試験用ガスを導入する。次に濃度を

次第に高め,警報設定濃度と警報を発したときの試験用ガスの濃度との差を調べる。

7.4

繰返し性試験  硫化水素計を作動状態にし,表 に示す安定時間を経過した後,ゼロガスと約 10 ppm

の濃度の試験用ガスを交互に各 3 回検知部に接触させ,ゼロガスに対する各指示濃度とその平均濃度との

差及び試験用ガスに対する各指示濃度とその平均濃度との差をそれぞれ求める。

7.5

安定度試験  硫化水素計を作動状態にし,7.3.1 及び 7.3.2 によって,試験を行った後,a)  及び b)  に

よって試験を行う。

a)

指示精度の安定度試験  作動状態のままで,定置形は 8 時間以上,可搬形,携帯形及び装着形は 1 時

間以上経過した後,7.3.1 に規定する方法によって指示精度を調べる。

b)

警報作動精度の安定度試験  作動状態のままで,定置形は 8 時間以上,可搬形,携帯形及び装着形は

1

時間以上経過した後,7.3.2 に規定する方法によって警報作動精度を調べる。

7.6

傾斜試験  硫化水素形を作動状態のままで,標準使用状態の姿勢から前後左右にそれぞれ 30 度以上

傾斜させて,試験用ガスに対する指示濃度及び/又は警報設定濃度に対する作動濃度を調べる。

7.7

衝撃試験

7.7.1

定置形の衝撃試験  コンクリート床上に厚さ 30±5 mm の松板又は杉板を置き,その上に作動状態

の硫化水素計を置き,その一端を少なくとも 100 mm の高さまで持ち上げて落下し,次に他の一端を同様

に持ち上げて落下した後,試験用ガスに対する指示濃度及び/又は警報設定濃度に対する作動濃度を調べ

る。ただし,定置形でも容易に運搬できる硫化水素計は,7.7.2 によって試験を行う。

7.7.2

可搬形,携帯形及び装着形の衝撃試験  コンクリート床上に厚さ 30±5 mm の松板又は杉板を置き,

その上に少なくとも 100 mm の高さから作動状態の硫化水素計を落下し,試験用ガスに対する指示濃度及

び/又は警報設定濃度に対する作動濃度を調べる。ただし,指示計,警報ランプ,調整つまみなどが直接,

板上に接触しないように配慮する。

7.8

指示の遅れ及び警報の遅れ試験  指示の遅れは,試験用ガスを検知部のガス導入口から吸引させる

か又は検知部を試験用ガス中に投入して,検知部に接触させて,90  %応答時間を調べる。また,警報の遅

れは,警報設定濃度を 10 ppm とし,その濃度の約 1.6 倍の試験用ガスを指示の遅れ試験と同様の方法で検

知部に接触させて,警報を発するまでの時間を調べる。ただし,吸引式の場合には,採気管を付けない状

態で試験を行う。


5

T 8205

:2002

   

7.9

温度試験  硫化水素計を標準状態の温度で,校正用ガスを用いて指示の校正及び/又は警報設定を

行った後,

40

℃  以上の雰囲気の中に入れて,

少なくとも 1 時間放置し,

その温度においてゼロ調整を行い,

試験用ガスに対する指示濃度及び/又は警報設定濃度に対する作動濃度,指示の遅れ及び/又は警報の遅

れを調べる。

次に,同様の方法で硫化水素計を 0  ℃以下の雰囲気の中に入れ,少なくとも 1 時間放置し,その温度に

おいてゼロ調整を行い,試験用ガスに対する指示濃度及び/又は警報設定濃度に対する作動濃度,指示の

遅れ及び/又は警報の遅れを調べる。

7.10

電源電圧変動試験  校正用ガスを用いて硫化水素計の指示の校正及び/又は警報設定を行った後,

主電源電圧を定格電圧の±10  %変化させて,

試験用ガスに対する指示濃度及び/又は警報設定濃度に対す

る作動濃度を調べる。

なお,電源を内蔵する硫化水素計では,適切な外部電源を使用するなどの方法によって,電源電圧を製

造業者が保証する電圧又は電池の有効性を確認するために,硫化水素計に設けている計器類による最低使

用可能電圧まで低下させて,試験用ガスに対する指示濃度及び/又は警報設定濃度に対する作動濃度を調

べる。

8.

表示  硫化水素計には,見やすい箇所に次の事項を表示しなければならない。

a)

製品の名称又は測定対象ガス名

b)

製造業者名又はその略号

c)

製造年月又はその略号

9.

取扱説明書  硫化水素計には,次の事項について記載した取扱説明書を添付しなければならない。

a)

測定範囲

b)

使用温度範囲

c)

作動安定時間

d)

使用圧力範囲

e)

検知部の使用時間

f)

校正方法

g)

使用上の注意事項

1)

急激な温度変化を避けること。

2)

検知部が結露した場合には,除去してから測定すること。

3)

激しい振動及び衝撃を与えないこと。

4)

測定環境の気圧が標準気圧と異なる場所(例えば,標高の高い場所など)での測定では,測定濃度の

圧力補正をすること。

5)

防爆構造でない硫化水素計は,可燃性ガスの存在するおそれのある場所では,使用しないこと。

6)

他のガス及び蒸気による影響を考慮すること。

7)

振動警報付の装着形機器については,装着箇所に留意すること。

h)

精度の維持に関する事項

i)

保守管理の方法

j)

その他,硫化水素計の取扱いに関する事項


6

T 8205

:2002

     

附属書(規定)  試験用ガス(校正用ガスを含む。)及び校正方法

1.

適用範囲  この附属書は,硫化水素計の試験用ガス及び校正方法について規定する。

2.

試験用ガス  試験用ガスは,次による。

a)

濃度を確認したもの  JIS K 0108 によって濃度を確認したもの。

b)

高圧容器詰めのもの  必要な濃度に調製した市販の高圧容器詰め標準ガス。そのまま検知部に導いて

使用する。有効期限に注意し,減圧弁などは専用のものを用いる。

c)

パーミエーションチューブを用いて調製したもの  液化硫化水素をふっ素樹脂管に封入してあるバー

ミエーションチューブを恒温で,一定流量の希釈ガスを通すことによって調製したもの。試験用ガス

の濃度は,次の式によって算出する。

22.4

273

34.1

273

t

m

C

V

+

=

×

×

ここに,

C

試験用ガスの硫化水素濃度(ppm)

試験用ガスの温度(℃)

単位時間当たりのチューブの減量(

µg/min)

V

希釈ガスの流量(L/min)

d)

容積比混合法で調製したもの

1)

一定容積の空気又は窒素を入れたバッグに,一定容積の硫化水素を混入して調製したもの。硫化水

素の計量には,マイクロシリンジ又は一定濃度の硫化水素の一定量を封入したアンプルが用いられ

る。

2)

一定容積の容器内に,一定容積の硫化水素を混入して調整したもの。硫化水素の計量には,マイク

ロシリンジ又は一定量の硫化水素を封入したアンプルが用いられる。

3)

試験用ガスの濃度は,次の式によって算出する。

1

0

1

2

V

C

C

V

V

=

×

+

ここに,

C

試験用ガスの硫化水素濃度(ppm)

V

1

硫化水素ガス混入量(ml)

V

2

容器内空気容積(ml)

C

0

硫化水素濃度(ppm)

e)

流量比混合法で調製したもの  一定濃度の硫化水素と空気又は窒素の流量を,それぞれ計測制御して

混合し,この流量比から所要の濃度に調製したもの。

流量比混合法による試験用ガスの濃度は,次の式によって算出する。

1

0

1

2

Q

C

C

Q

Q

=

×

+

ここに,

C

試験用ガスの硫化水素濃度(ppm)

Q

1

硫化水素ガス流量(ml/min)

Q

2

空気又は窒素の流量(ml/min)

C

0

硫化水素濃度(ppm)

f)

その他の方法で調製したもの  各種の試薬の反応によって発生させて調製したもの,電気分解によっ

て発生させて調製したもの,加熱によって発生させて調製したものなど。これらを用いる場合には,


7

T 8205

:2002

   

校正済みの硫化水素計(検知管式ガス測定器を含む。

)で濃度の確認をする。

3.

校正方法

3.1

注意事項    硫化水素は吸着性が強く,化学的に不安定な性質があるので,校正作業には以下の事項

に十分注意しなければならない。

a)

バッグ,容器,配管などには吸着性,反応性及び透過性に支障がないことを確認した材料を用いる。

b)

調製した校正用ガスは,なるべく速く使用すること。

c)

取扱説明書などの注意に従う。

3.2

校正操作  それぞれの硫化水素計の取扱説明書によって行う。