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T 8150

:2006

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本保安

用品協会(JSAA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正した日本工業規格

である。これによって,JIS T 8150:1992 は改正され,この規格に置き換えられる。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本

工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願

公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。

JIS T 8150 

には,次に示す附属書がある。

附属書(規定)大気じんを用いた呼吸用保護具の防護係数決定の手順


T 8150

:2006

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  選択

2

4.1

  環境空気の有害の程度による選択

2

4.2

  使用条件による選択

3

4.3

  着用者の条件

5

4.4

  呼吸用保護具の防護性能による選択

5

4.5

  環境条件によるろ過式呼吸用保護具の選択

7

4.6

  法令による呼吸用保護具の選択

7

4.7

  呼吸用保護具使用の計画

7

5.

  使用方法

7

5.1

  呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項

7

5.2

  使用前点検

7

5.3

  面体と顔面とのフィットネスの検討

7

5.4

  呼吸用保護具使用の計画に関する注意事項

9

5.5

  IDLH 環境での使用

9

5.6

  換気が不十分な場所での使用

9

5.7

  給気式呼吸用保護具に使用する酸素及び空気の品質

9

5.8

  高気圧下での使用

9

5.9

  低温下及び高温下での使用

10

5.10

  めがねなどの使用

11

5.11

  会話装置

11

5.12

  危険区域からの脱出

11

6.

  管理責任者の責務

11

7.

  着用者の教育及び訓練

11

7.1

  着用者の教育

11

7.2

  着用者の訓練

12

8.

  保守管理

12

8.1

  清浄化及び消毒

12

8.2

  保守管理上の注意事項

12

8.3

  部品交換の場合の注意事項

13

8.4

  保管上の注意事項

13

8.5

  廃棄基準

13

附属書(規定)大気じんを用いた呼吸用保護具の防護係数決定の手順

21


日本工業規格

JIS

 T

8150

:2006

呼吸用保護具の選択,使用及び保守管理方法

Guidance for selection, use and maintenance

of respiratory protective devices

1.

適用範囲  この規格は,工場,鉱山などの事業場,火災現場,船舶,トンネル[ずい(隧)道],その

他の場所(以下,作業場などという。

)において,酸素欠乏空気,粒子状物質,ガス,蒸気などを吸入する

ことによって,人体に有害のおそれがあるときに使用する呼吸用保護具の選択,使用及び保守管理方法に

ついて規定する。

備考  対象の呼吸用保護具を,付図 に示す。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 1101

  酸素

JIS M 7601

  圧縮酸素形循環式呼吸器

JIS M 7611

  一酸化炭素用自己救命器(CO マスク)

JIS M 7651

  閉鎖循環式酸素自己救命器

JIS T 8001

  呼吸用保護具用語

JIS T 8151

  防じんマスク

JIS T 8152

  防毒マスク

JIS T 8153

  送気マスク

JIS T 8155

  空気呼吸器

JIS T 8156

  酸素発生形循環式呼吸器

JIS T 8157

  電動ファン付き呼吸用保護具

JIS T 8159

  呼吸用保護具面体の漏れ率試験方法

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 8001 によるほか,次による。

a)  IDLH

  生命及び健康に直ちに危険を及ぼす環境空気の状態(Immediately dangerous to life or health  の

省略語)

b)

ばく(曝)露限界濃度  週 40 時間程度,有害物質にばく(曝)露される場合に,ほとんどすべての労

働者に健康上の悪い影響が見られないと判断されるばく(曝)露濃度範囲の最高値。

参考  学会などの専門家団体が物質ごとに公表しているばく(曝)露限界濃度勧告値を参照すること

ができる。

c)

濃度倍率  呼吸用保護具を使用する環境の空気中に存在する有害物質の濃度の,ばく(曝)露限界濃

度に対する倍率。次の式によって算出する。


2

T 8150

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濃度倍率=環境中の有害物質濃度/有害物質のばく(曝)露限界濃度

d)

指定防護係数  実験室内で測定された多数の防護係数値の代表値。訓練された着用者が,正常に機能

する呼吸用保護具を正しく着用した場合に,少なくとも得られるであろうと期待される防護係数。

4.

選択  呼吸用保護具は,次の諸条件によって,適切なものを選択しなければならない。ただし,法令

などに定めがある場合は,それによる。

4.1

環境空気の有害の程度による選択  作業場などの環境空気の有害の程度によって呼吸用保護具を選

択する場合は,4.1.1 に規定する酸素濃度による選択をした後,4.1.2 に規定する有害物質の濃度による選

択を行う(

付表 参照)。両者によって選択される呼吸用保護具の種類が異なる場合は,次による。

a)  4.1.1 a)

又は b)に該当する場合は,それぞれで必要とされる防護係数を 4.1.2 で必要とされる防護係数

と比較し,数値が異なる場合は高い方の防護係数をもつ給気式呼吸用保護具を選択する。

b)  4.1.1 c)

に該当する場合は,4.1.2 によって呼吸用保護具を選択する。

この場合,選択の基準とする防護係数は,通常,着用者が実際に呼吸用保護具を装着して測定した値を

用いる。着用者が実際に呼吸用保護具を装着して防護係数を測定することができない場合は,

付表 の指

定防護係数を用いることができる。詳細は,4.1.1 及び 4.1.2 による。

4.1.1

酸素濃度による選択  空気中の酸素濃度による呼吸用保護具の選択は,次による。

  規定された酸素濃度の数値は,大気圧下の数値であるので,気圧の低い場所では,濃度換算をする必要

がある。

a)

酸素濃度が 14  %未満又は不明の場合

1)

ろ過式呼吸用保護具は使用してはならない。

2)

全面形面体で防護係数が 30 以上の給気式呼吸用保護具で,かつ,面体の脱落のおそれのないものを

選択する。

なお,送気マスクを使用する場合は,次のいずれかを選択する。

−  全面形面体をもつ複合式エアラインマスク

−  全面形面体をもつ緊急時給気切替警報装置付きエアラインマスク

b)

酸素濃度が 14  %以上,かつ,18  %未満の場合

1)

ろ過式呼吸用保護具は使用してはならない。

2)

防護係数 10 以上の給気式呼吸用保護具を選択する。

c)

酸素濃度が 18  %以上の場合  有害物質が存在する場合は,ろ過式又は給気式呼吸用保護具を使用す

る。ただし,ろ過式の場合は,対象とする有害物質を除去することができるものでなければならない

4.5 参照)

4.1.2

有害物質の濃度による選択  対象とする有害物質の濃度が,次の a)∼c)  に示す範囲にあるとき,

それぞれの範囲に適した呼吸用保護具の種類の中から選ぶことができる。ただし,酸素濃度が 18  %未満

の場合は 4.1.1 の a)  及び

 b)  によって,給気式呼吸用保護具を選択しなければならない。また,空気中の

有害物質が目に障害を与える物質である場合には,使用可能な呼吸用保護具の中から,目を保護すること

ができる全面形面体,フード,フェイスシールドなどが取り付けられているものを選択することが必要で

ある。

a)

有害物質の濃度が IDLH 環境の場合,濃度倍率が 1 000 を超える場合及び有害物質の種類又は濃度が

不明な場合

1)

次のいずれかの呼吸用保護具を選択しなければならない。


3

T 8150

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−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形空気呼吸器

−  全面形面体をもつ陽圧形の圧縮酸素形循環式呼吸器

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形複合式エアラインマスク

−  全面形面体をもつ緊急時給気切替警報装置付きプレッシャデマンド形エアラインマスク

2)

対象とする有害物質の濃度範囲の上限が IDLH 濃度になる可能性があるときは,

IDLH

環境とみなす。

b)

有害物質の濃度が,IDLH 環境よりは低いが,ばく(曝)露限界濃度を超える場合  空気中の有害物

質の濃度変動を考慮し,変動範囲の最高濃度に相当する濃度倍率によって,次の 1)∼3)で規定する呼

吸用保護具の中から,防護係数が濃度倍率より高い種類を選択する。ただし,ろ過式呼吸用保護具の

場合は,対象物質を除去することができるものでなければならない(4.5 参照)

1)

濃度倍率が 100 を超え,1 000 以下の場合  次の呼吸用保護具を,防護係数が濃度倍率以上であるこ

とを確認した後,使用することができる。

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形空気呼吸器

−  全面形面体をもつ陽圧形の圧縮酸素形循環式呼吸器

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形エアラインマスク

2)

濃度倍率が 50 を超え,100 以下の場合  次の呼吸用保護具を,防護係数が濃度倍率以上であること

を確認した後,使用することができる。

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形空気呼吸器

−  全面形面体をもつ陽圧形の圧縮酸素形循環式呼吸器

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形エアラインマスク

−  全面形面体をもつ一定流量形エアラインマスク

−  全面形面体をもつ送風機形ホースマスク

−  全面形面体をもつ動力付き及び動力なしろ過式呼吸用保護具(

1

)

注(

1

)

動力付きろ過式呼吸用保護具は面体内部を常に陽圧に保つことのできる送風量があるものでな

ければならない。全面形面体をもつ動力付き及び動力なしろ過式呼吸用保護具は,濃度倍率が

50

を超え 100 以下の場所では,防護係数の実測値が 50 を超える場合だけ,防護係数に対応す

る濃度倍率までの場所で使用することができる。対象とする有害物質が粒子状物質の場合は,

99

%以上を除去できるフィルタをもつものでなければならない。

3)

濃度倍率がばく(曝)露限界濃度を超え,50 以下の場合  防護係数が濃度倍率以上のすべての呼吸

用保護具を使用することができる。

c)

有害物質の濃度がばく(曝)露限界濃度以下の場合  臭気又は刺激を感じる場合は,対象物質を除去

することのできるろ過式呼吸用保護具又は給気式呼吸用保護具を使用する。

4.2

使用条件による選択  使用条件によって呼吸用保護具を選択する場合は,次の項目について考慮す

る必要がある。

4.2.1

定常作業における作業の特徴及び留意点  定常作業における作業の特徴及び留意点は,次による。

a)

作業強度が大きい作業では,呼吸量が大きくなることから,着用者の呼吸の負担が過剰にならない呼

吸用保護具を選択する必要がある。

b)

呼吸用保護具を着用しなければならない作業の時間は,可能な限り短くすることが望ましい。そのた

めに,汚染空気の排出,ろ過及び汚染物質の低有害物質への代替などの工学的対策を基本とし,これ

らの対策によっても除去できない有害物質へのばく(曝)露から作業者を保護する手段として,呼吸

用保護具使用の計画を立てることが必要である。


4

T 8150

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c)

作業の動作,頻度及び移動範囲を解析し,呼吸用保護具が作業を妨害しないこと及び作業によって呼

吸用保護具の性能が低下しないことを確認する必要がある。

d)

呼吸用保護具使用の計画は,考えられる工程の日内変動及び日間変動を予測し,工程内で実施される

作業内容に対して適合するものでなければならない。そのために,必要な種類の呼吸用保護具を用意

し,作業内容に応じて使用することが必要である。

4.2.2

作業場などの条件  作業場などの条件は,次による。

a)

作業場などの通風,換気設備及び作業環境評価結果を調査し,環境の有害物質の種類及び濃度変動の

最高値に対して防護できる呼吸用保護具を選択しなければならない。

b)

作業場などの狭あい(隘)さ及び閉鎖性は,酸素欠乏を生じる原因となる可能性があり,また,有害

物質の空気中濃度が高くなりやすいことを考慮して,この危険に対応できる呼吸用保護具を選択しな

ければならない。

c)

作業区域にある行動上の障害物を調査し,作業中に使用する送気マスクのホースの管理など,呼吸用

保護具の着用者の行動に伴う危険を防止するための対策を確定しなければならない。

d)

作業場などの温湿度によって,ろ過式呼吸用保護具のフイルタ,吸収缶などの有効時間が変化する場

合があること,また,呼吸用保護具の着用者の生理的な負担が変化することがあることを考慮して呼

吸用保護具を選択しなければならない。

e)

作業場などの照度,騒音,視覚上の障害物などによって,呼吸用保護具の着用者の行動に伴う危険を

防止し,意思の疎通を妨げないような呼吸用保護具を選択しなければならない。

f)

高気圧下で作業を行うときは,高気圧下の使用に適した呼吸用保護具(5.8  参照)

,繊維ロープ,その

他非常の場合に作業者を避難させ,又は救出するために必要な用具を備えなければならない。

4.2.3

取扱う化学物質の種類及び有害性  取扱う化学物質の種類及び有害性は,次による。

a)

作業場などで取り扱われる原材料,中間体,半製品,最終製品及び副産物として,実際に存在する物

質と存在の可能性がある物質とを調査する必要がある。

b)  a) 

において,存在する物質と存在の可能性がある物質とのばく(曝)露限界濃度として勧告されてい

る値を調査する必要がある。もし,これらの値が公表されていない場合には,有害性に関する情報を

広く収集し,ばく(曝)露による影響を推定して,その影響から着用者を防御することができる呼吸

用保護具の種類を選択する必要がある。

c)

呼吸用保護具の対象とする物質の濃度の変動を考慮し,変動幅の最高値に対する濃度倍率から呼吸用

保護具を選択する必要がある。

4.2.4

非定常作業,緊急時の作業又は避難脱出に用いる呼吸用保護具

a)

非定常作業及び緊急時の作業  非定常作業及び緊急時の作業に使用する呼吸用保護具は,次による。

1)

作業場などに存在する有害物質の種類,濃度などを推定することができない場合  次のいずれかの

呼吸用保護具をあらかじめ準備しておかなければならない。

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形空気呼吸器

−  全面形面体をもつ陽圧形の圧縮酸素形循環式呼吸器

−  全面形面体をもつプレッシャデマンド形複合式エアラインマスク

−  全面形面体をもつ緊急時給気切替警報装置付きプレッシャデマンド形エアラインマスク

2)

作業場などに存在する有害物質の種類,濃度などがあらかじめ推定できる場合  作業場などに存在

する有害物質の種類,濃度などがあらかじめ推定できる場合  4.1.1 及び 4.1.2 b)  によって,適切な

呼吸用保護具を選択しなければならない。


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b)

避難脱出  避難脱出に使用する呼吸用保護具は,次による。

1)

酸素欠乏が想定される場合は,あらかじめ自給式の避難用呼吸用保護具を準備しておかなければな

らない。

2)

目への障害が想定される場合は,全面形面体をもつ避難用呼吸用保護具又は目の保護も考慮された

避難用呼吸用保護具を準備しておかなければならない。

3)

ろ過式呼吸用保護具の場合は,存在が想定される有害物質について有効なものを準備しておかなけ

ればならない。

4.3

着用者の条件  着用者の条件は,次による。

a)

年齢,体力などの肉体的条件を考慮し,呼吸用保護具の着用による負荷が少なく,呼吸抵抗が作業者

にとって耐えられるような呼吸用保護具を選択する必要がある。

b)

呼吸用保護具と同時に  めがね,安全帽,耳栓などの個人保護具を使用する場合には,これらの個人保

護具と併用することができる呼吸用保護具を選択する必要がある。

c)

呼吸用保護具を使用した経験がないか,又は経験が浅い場合には,安全に使用できるような種類を選

択しなければならない。

d)

使用者のひげ,もみ上げなどで,面体の顔面への密着性を損なうおそれのある場合は,次のいずれか

による。

1)

面体形以外の呼吸用保護具を選択する。

2)

面体形呼吸用保護具を選択する場合は,面体の顔面への密着性を損なう要因を取り除かなければな

らない。

e)

使用者は,着脱法,安全な装着法,管理方法などを習得している種類の呼吸用保護具を選択する必要

がある。使用者が,上記について習得していない場合は,4.7 の管理者による教育と訓練とを受ける必

要がある。

4.4

呼吸用保護具の防護性能による選択

4.4.1

基本的な考え方  環境中の有害物質の濃度がばく(曝)露限界濃度より高い環境では,着用者の吸

気中の有害物質の濃度をばく(曝)露限界濃度以下に低下させることができる呼吸用保護具を選択するこ

とが必要である。

そのために,作業場などの濃度倍率より高い防護係数をもつ呼吸用保護具を選択する必要がある。濃度

倍率が不明な場合には,IDLH 環境とみなして選択する。

4.4.2

防護係数の求め方  防護係数を求めるには,次の方法による。ただし,実測で得られた防護係数は,

着用者個人の測定時の値であり,実作業時の防護係数は,より低下する可能性があるので,十分な安全性

を考慮しなければならない。

a)

試験用コンタミナンツを用いる場合  試験用コンタミナンツを用いる方法は,次による。

1)

ろ過式呼吸用保護具

1.1)

試験用コンタミナンツを除去できる高性能フィルタを取り付けたものを着用して試験用コンタミ

ナンツを分散した環境内に入り,面体等の内側及び外側の試験用コンタミナンツ濃度を測定し,

面体等の漏れ率を求める。

備考  面体等の漏れ率は,フィルタからの漏れがないことを前提としているため,次の漏れ率を総合

したものとみなすことができる。

−  着用者の身体と面体等とのすき間からの漏れ率(%)

−  排気弁,弁座部及びその他各部のすき間からの漏れ率(%)


6

T 8150

:2006

1.2)

実使用されるフィルタの透過率は,製造業者が提供する情報による。

1.3)

防護係数は,次の式(1)によって求める。

L

L

PF

f

m

100

+

=

 (1)

ここに,

PF

防護係数

L

m

面体等の漏れ率(%)

L

f

フィルタの透過率(%)

2)

給気式呼吸用保護具

2.1)

給気式呼吸用保護具を着用して実使用条件で作動させ,試験用コンタミナンツを分散した環境内

で面体等の内側及び外側の試験用コンタミナンツ濃度を測定する。

2.2)

防護係数は,次の式(2)によって求める。

C

C

PF

i

o

=

 (2)

ここに,

PF

防護係数

C

o

面体等の外側の試験用コンタミナンツ濃度

C

i

面体等の内側の試験用コンタミナンツ濃度

b)

大気じんを用いる場合  大気じんを用いる方法は,次による。ただし,詳細は,附属書による。

1)

ろ過式呼吸用保護具

1.1)

大気じんを除去できる高性能フィルタを取り付けたものを着用し,面体等の内側及び外側の大気

じん濃度を測定し,面体等の漏れ率を求める。

備考  面体等の漏れ率の解釈は,4.4.2 a) 1)  の備考に規定する内容と同様である。

1.2)

実使用されるフィルタの透過率は,製造業者が提供する情報による。

1.3)

防護係数は,次の式(3)によって求める。

L

L

PF

f

m

100

+

=

 (3)

ここに,

PF

防護係数

L

面体等の漏れ率(%)

L

フィルタの透過率(%)

2)

給気式呼吸用保護具

2.1)

給気式呼吸用保護具を着用して実使用条件で作動させ,面体等の内側及び外側の大気じん濃度を

測定する。

2.2)

防護係数は,次の式(4)によって求める。

C

C

PF

i

o

=

 (4)


7

T 8150

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ここに,

PF

防護係数

C

o

面体等の外側の大気じん濃度

C

i

面体等の内側の大気じん濃度

c)

実測しない場合  呼吸用保護具を着用した状態で防護係数を実測しない場合は,付表 に示す指定防

護係数による。

4.5

環境条件によるろ過式呼吸用保護具の選択  環境条件によるろ過式呼吸用保護具の選択は,次によ

る。

a)

ろ過式呼吸用保護具は,酸素濃度が 18  %未満の場合は,使用してはならない(4.1 参照)

b)

防じんマスク及び電動ファン付き呼吸用保護具(粒子状物質用)は,対象粒子が固体の場合には,固

体粒子専用又は液体粒子兼用のフィルタをもつものを使用することができる。対象粒子がオイルミス

トなどの液体粒子を含む場合には,液体粒子兼用のフィルタをもつものを選択する必要がある。

c)

防毒マスクは,対象有害物質がガス又は蒸気だけの場合には,対象ガス又は蒸気を除去できる吸収缶

で防じん機能のあるもの及び防じん機能のないものを付けたものを使用することができる。

しかし,ガス又は蒸気と粒子状物質とが共存する場合には,対象粒子を除去できる防じん機能付き

吸収缶を付けた防毒マスクを選択する必要がある。

4.6

法令による呼吸用保護具の選択  労働安全衛生法及び関連法令,消防法,船舶安全法などの法令に

よって特定の呼吸用保護具の使用が規定されている場合には,その規定による。

4.7

呼吸用保護具使用の計画  作業場などにおける呼吸用保護具の使用にかかわる管理者は,4.24.6

について,事前に必要な調査を行い,呼吸用保護具使用の計画を作成しなければならない。また,呼吸用

保護具使用の計画の管理者は,使用者に対して呼吸用保護具の着脱,安全な装着法,管理方法などについ

て教育と訓練とを施すことが必要である。さらに,必要な呼吸用保護具を常備し,常時使用できる状態に

管理しなければならない。

5.

使用方法

5.1

呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項  呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事

項は,

付表 に示すとおりとする。

5.2

使用前点検  呼吸用保護具を使用するときは,必ず製造業者が示す方法によって面体等の接合部,

面体等とろ過材又は給気源との接続部の気密性,弁類の作動性,各部の劣化の程度などについて使用前点

検を行わなければならない。点検方法の詳細は,製造業者の使用説明書による。面体形の呼吸用保護具を

選択する場合には,フィットテストができる構造のものを選ぶ必要がある。

5.3

面体と顔面とのフィットネスの検討

5.3.1

フィットテスト  面体形の呼吸用保護具を着用し,作業区域内に立ち入るときには,事前に面体と

顔面とのフィットネスを試験し,良好であることを確認しなければならない。試験方法は,次による。

a)

定性的方法

1)

陰圧試験  陰圧試験は,次による。

1.1)

呼吸用保護具を装着して吸気口又は空気流入部を,呼吸用保護具に具備されている密そく(塞)

具又は手のひらで閉鎖し,静かに吸気する。ただし,閉鎖することによって,面体と顔面との接

触状態が変化したり,改善されることがないように注意する。

1.2)

顔面との密着部分に空気の漏れが感じられず,かつ,面体内の圧力低下が感じられれば,顔面と


8

T 8150

:2006

のフィットネスは良好と考えてよい。

2)

陽圧試験  陽圧試験は,次による。

2.1)

呼吸用保護具の排気弁,呼気管などの排気口を呼吸用保護具に具備されている密そく(塞)具又

は手のひらで閉鎖し,静かに息を吐き出す。ただし,閉鎖することによって,面体と顔面との接

触状態が変化したり,又は改善されることがないように注意する。

2.2)

顔面との密着部分に空気の漏れが感じられず,かつ,面体内の圧力増加が感じられれば,顔面と

のフィットネスは良好と考えてよい。

備考  陽圧試験で漏れが認められても陰圧試験の結果が良好であれば,この面体のフィットネスは良

好と判断してよい。ただし,循環式呼吸器の場合,陽圧試験で漏れが感じられるものは,呼吸

ガスの消費が加速し,高圧ガス容器の耐用時間が短縮する原因となりやすいので,注意を要す

る。

3)

臭気,刺激などのある物質による試験  臭気,刺激などのある物質による試験は,次による。

なお,この試験は,給気式呼吸用保護具及び試験に使用する物質(試験用コンタミナンツ)を除

去することのできるフィルタをもつろ過式呼吸用保護具(

2

)

に限る。

注(

2

)

ここでいうろ過式呼吸用保護具は,酢酸イソアミルについては有機ガス用吸収缶を備えたもの,

刺激性の煙については JIS T 8151 で規定する S3 以上の粒子捕集性能をもつフィルタを備えたも

の,及びサッカリンエアロゾルについては防じんマスクがそれぞれ該当する。

3.1)

呼吸用保護具を着用した後,人間がきゅう(嗅)覚又は味覚によって容易に感知できる物質(例

えば,酢酸イソアミル,刺激性の煙,サッカリンエアロゾルなど。

)を含む環境空気中に入る。

3.2)

臭気,刺激などを感じなければ,顔面とのフィットネスは良好と考えてよい。

b)

定量的方法

1)  JIS T 8159 

による面体の漏れ率試験方法  使用する試験用コンタミナンツに有効なフィルタを取

り付けた面体を着用し,面体の内側及び外側の試験用コンタミナンツ濃度を測定することによって,

面体の漏れ率を求める。フィットネスの良否の評価,面体の選択,面体の着用教育などに用いるこ

とができる。

2)

大気じんを用いる試験方法  粒子状物質用フィルタを取り付けた面体を着用し,面体の内側及び外

側の大気じん濃度を測定することによって,面体のフィットネスの良否を判定する。

試験法の詳細は,

附属書による。

5.3.2

面体の着用が不適切な条件  次に示すように,面体の顔面へのフィットネスを損なうなど,呼吸用

保護具の効果を低下させるおそれがある場合は,面体形の呼吸用保護具を着用してはならない。ただし,

面体内に環境空気の侵入を防ぐために十分な量の送気がある場合は,この限りでない。

a)

面体が顔の形状に適合しないか,接顔部に入り込むようなひげ,もみ上げ,前髪などがあることによ

って,面体と顔面との密着性が保てない場合。

b)

フェイスシールド,フード,めがねなどを併用した場合に,面体と顔面とのフィットネスを損なう場

合。

c)

排気弁の作動を妨害する口ひげ又はあごひげがある場合。

d)

鼓膜に破れがある場合。

e)

呼吸器系及び循環器系に疾患がある場合。その他,産業医が不適切と認めた場合。

f)

その他呼吸用保護具の効果を低下させるおそれがある場合。


9

T 8150

:2006

5.4

呼吸用保護具使用の計画に関する注意事項  呼吸用保護具使用の計画を立案する場合は,次の事項

に十分注意しなければならない。

a)

使用する環境中の酸素濃度  酸素濃度が 14  %未満の場合は,IDLH 環境であるので,面体の脱落など

は,致命的な事故となるため,十分な注意が必要である。

b)

有害物質の種類,物性,有害性及び濃度  有害物質の種類ごとに,物性,有害性,ばく(曝)露限界

濃度,皮膚障害などの可能性を調査するとともに,

環境中の有害物質の濃度を測定することによって,

環境の濃度倍率を求める。

c)

使用環境の状況  有害物質の発生が定常的か,間けつ(歇)的か,発生する時間帯,複数の有害物質

が共存するか,作業場の温湿度,照度,騒音,障害物の有無などの使用状況を調査し,適切な呼吸用

保護具使用の計画を立てる。

d)

使用環境への適合  使用環境に適合した呼吸用保護具を選ぶ(4.1 及び 4.2 による。)。

e)

着用方法  適正な方法に従う。呼吸用保護具着用の経験のない作業者には装着訓練を実施する。

f)

使用及び保守管理方法  正しい使用及び保守管理を行う。

5.5

IDLH

環境での使用  IDLH 環境での使用は,次による(4.1 及び 4.2 参照)。

a)

作業者は安全帯又は命綱を着用しなければならない。

b)

安全区域に少なくとも 1 名の監視者を配置しなければならない。

c)

安全区域には救出用の呼吸用保護具,救命用具などを準備しなければならない。

d)

作業者と監視者との間には連絡の手段[音声,信号,会話装置(有線,無線)など。

]を講じておかな

ければならない。

e)

連続する作業時間が長時間にならないように注意しなければならない。

5.6

換気が不十分な場所での使用  マンホール,タンク,サイロなど換気が不十分な場所で呼吸用保護

具を使用する場合は,次による。

a) IDLH

環境とみなし,5.5 を適用する。

b)

作業前に酸素濃度,可燃性物質及び有害物質の濃度の測定をしなければならない。

c)

作業中に,できる限り換気を行い,新鮮な外気を取り入れなければならない。また,必要に応じて可

燃性物質及び有害物質の濃度並びに酸素濃度の測定を行わなければならない。

5.7

給気式呼吸用保護具に使用する酸素及び空気の品質  給気式呼吸用保護具に使用する酸素及び空気

の品質は,次のとおりとする。

a)

循環式呼吸器に使用する圧縮酸素は,日本薬局方の酸素,JIS K 1101 に規定する酸素又はこれらと同

等以上の品質のものでなければならない。

b)

給気式呼吸用保護具に使用する圧縮空気は,呼吸及び呼吸用保護具に適した空気の品質のものでなけ

ればならない。呼吸用保護具に適する空気の品質は,呼吸用保護具の種類又は設計によって異なるの

で,詳細は使用説明書など,製造業者の指示によらなければならない。

c)

b) 

の目的を達成するために,油滴又は油蒸気の出る空気圧縮機を使用する場合には,油滴などを除く

フィルタなどを設けるほか,空気圧縮機の過熱によって一酸化炭素が発生することを防止する措置を

講じなければならない。

d)

空気を充てんした高圧ガス容器を使用した自給式呼吸器に,酸素を充てんした高圧ガス容器を使用し

てはならない。

5.8

高気圧下での使用  給気式呼吸用保護具を使用する場合は,次の事項について考慮しなければなら

ない。


10

T 8150

:2006

a)

エアラインマスク  大部分のものは使用可能である。ただし,デマンド形の一部には使用できないも

のもあるので,不明の場合は製造業者に照会して機種を選択しなければならない。環境圧力に見合っ

た供給圧力に調整する必要がある。

b)

空気呼吸器  高気圧用のものを使用する。ただし,表 のように使用時間は環境圧力(絶対圧力)が高

くなるほど,これに反比例して短くなることに注意しなければならない。

  1  空気呼吸器の環境圧力に対する使用時間比

環境圧力

ゲージ圧力

絶対圧力

kPa kPa

  大気圧下で 30 分

使用可能な場合の使用

時間(概略値)

環境区分

使用時間比

(

概略値)

min

大気圧

  0

 98

1

30.0

 98

196

1/2

15.0

196

294

1/3

10.0

294

392

1/4

 7.5

高気圧

392

490

1/5

 6.0

c)

半閉鎖循環式呼吸器  高気圧用として作られたもので,呼吸ガス中の酸素分圧が高くならないよう窒

素と酸素とを混合したガスを使用している。ただし,使用するときは,製造業者の使用説明書に従い,

慎重に取り扱わなければならない。

d)

循環式呼吸器  この種の呼吸器のうち,使用前から循環系内にある空気を再呼吸する方式で,酸素分

圧が一定範囲内に自動的に調節される構造のものは高気圧下でも使用できるが,それ以外のものは着

用時間によっては酸素中毒を起こす危険性が大きい。いずれの場合も,使用するときは,製造業者の

使用説明書に従って取り扱わなければならない。

5.9

低温下及び高温下での使用  低温下及び高温下での使用は,次による。

a)

低温下で呼吸用保護具の使用

1)

給気式呼吸用保護具に使用する圧縮空気又は圧縮酸素は乾燥したものとする。

2)

著しい低温環境では,排気弁が呼気中の水蒸気によって凍結するおそれがあるので,特殊な防寒カ

バーを取り付けるなどの注意が必要である。

3)

アイピースの曇りを防止するため,次の事項に注意する必要がある。

3.1)

全面形面体は,ノーズカップをもつものとする。

3.2)

アイピースにはあらかじめ防曇処理を施すか,又は防曇剤を塗布して使用する。

3.3)

全面形面体を着用する場合は,アイピースに息を吹きかけないように着用する。

3.4)

低温環境下で保管された面体等は,クラックを生じたり,顔面と十分に密着が得られないほど変

形又は硬化するおそれがあるので注意する必要がある。

b)

高温下での呼吸用保護具の使用

1)

高温環境では,ボルテックスチューブ,冷媒などによって,給気を冷却できるものを使用すること

が望ましい。

2)

高温環境下で使用及び保管された呼吸用保護具は,ゴム部品などの老化が促進されるおそれ,又は


11

T 8150

:2006

永久的な変形をしているおそれがあるので十分点検しなければならない。

5.10

めがねなどの使用  めがねなどを呼吸用保護具と併用する場合は,次による。

a)

めがね,ゴーグル,フェイスシールド,溶接用保護面などと面体とを併用する場合は,面体と顔面と

のフィットネスを妨げるような着用をしてはならない。

b)

コンタクトレンズと呼吸用保護具とを併用する場合は,作業中コンタクトレンズがずれたり取れたり

したときでも,安全区域に脱出するまでは呼吸用保護具を外してはならない。

5.11

会話装置  会話装置を使用する場合は,次による。

a)

伝声板方式の会話装置を使用する場合は,孔があいていないことを確認し,また,孔をあけないよう

に注意する。

b)

電気による会話装置を爆発又は火災のおそれがある場所で使用する場合は,環境空気に適した防爆構

造を備えていなければならない。

5.12

危険区域からの脱出  次のいずれかに該当するときは,危険区域から脱出しなければならない。

a)

呼吸用保護具が故障したとき。

b)

呼吸用保護具内への有害物質又は環境空気の漏れを感じたとき。

c)

警報器が付いている呼吸用保護具が,警報を発したとき。

d)

呼吸用保護具の使用可能時間が残り少なくなったとき。

e)

呼吸抵抗の異常な増加又は減少を感じたとき。

f)

呼吸用保護具着用中にめまい,吐き気,寒気,目への刺激,脱力などを感じたり,せき,くしゃみ,

おう吐,発熱,呼吸困難などがあったとき。

g)

その他異常を感じたとき。

6.

管理責任者の責務  呼吸用保護具の使用を管理する責任者は,次に示す事項について,一般的知識を

もたなければならない。

a)

環境空気の有害の程度

b)

呼吸用保護具の選択基準

c)

着用者の訓練方法

d)

使用時の注意事項

e)

点検及び保守管理方法

f)

使用に関する法令,規則など

g)

その他必要とする項目

7.

着用者の教育及び訓練

7.1

着用者の教育  呼吸用保護具の着用者には,次に示す事項について教育をしなければならない。

a)

環境空気の有害の程度

b)

呼吸用保護具の有効性及び選択した理由

c)

使用する呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項

d)

点検及び保守管理方法

e)

緊急時の認識及び対処方法(必要がある場合)

f)

使用に関する法令,規則など

g)

その他必要とする項目


12

T 8150

:2006

7.2

着用者の訓練  呼吸用保護具の着用者には,次に示す事項について指導及び訓練をさせなければな

らない。

a)

呼吸用保護具の着脱を迅速,かつ,確実に行う方法。

b)

各部の調節方法。例えば,しめひもの締め過ぎによる面体の過度の圧迫感,ハーネスの調節不良によ

る呼吸用保護具の安定感の不足,空気呼吸器の空気量の過不足による呼吸のひっ迫,  圧迫感などを,

できるだけ少なくするような調節方法。

c)

面体を用いる場合はフィットテストの方法。フィットネスが悪いと防護率が低下するため,着用する

場合には特に注意を要する。例えば,しめひもは,締付けが不十分でも強く締め付け過ぎてもフィッ

トネスを損なうことがある。したがって,フィットネスを向上させる着用方法及びフィットテスト方

法には,日ごろの訓練で十分習熟しておく必要がある。

d)

使用可能時間を知る方法。

e)

呼吸用保護具の気密漏れなどの不具合及び故障の発見方法並びにその場の対策。

f)

ろ過材,吸収缶,清浄缶などの消耗品,又は排気弁,吸気弁などの消耗部品の交換時期を知る方法。

g)

着用者にとって必要な呼吸用保護具の保守及び点検方法。

8.

保守管理

8.1

清浄化及び消毒  清浄化及び消毒は,次による。

a)

個人専用の呼吸用保護具は,必要に応じて清浄化処理を行わなければならない。

b)

共同使用する呼吸用保護具は,着用者が替わるたびに清浄化し,かつ,消毒しなければならない。

8.2

保守管理上の注意事項  呼吸用保護具の保守管理上の注意事項は,法令などに定めるほか,次の事

項による。

a)

定期的に点検を行う。点検に当たっては,製造業者の使用説明書などによることが望ましい。

b)

呼吸用保護具を投げたり,落としたり,強い衝撃を与えたりしないように注意しなければならない。

c)

呼吸用保護具が次に示すいずれかに該当するときは,廃棄,修理又は部品の交換を行わなければなら

ない。

1)

破損しているとき。

2)

老化,変形,腐食,汚損などが著しく,適正な性能が得られないおそれがあるとき。

3)

使い捨て式防じんマスクの場合は使用限度時間が,その他の呼吸用保護具の場合は保存年限が,交

換時期に達しているとき。

4)

排気弁の作動が正常でないとき又は排気弁座にきずなどがあるとき。

d)

防じんマスクを使用中に,面体内,フィルタの裏などに汚れが認められる場合は,次の事項などの可

能性があるので,調査し改善する必要がある。

1)

粉じんがフィルタを透過したとき。

2)

顔面と面体とのすき間から漏れたとき。

3)

取扱いが適切でないために汚れたとき。

e)

防じんマスクのフィルタに粉じんがたい(堆)積したため,吸気抵抗が増大し,使用に支障を来した

場合は,製造業者の取扱説明書中の使用上の注意事項による。

f)

防毒マスク用吸収缶のうち,栓のあるものは,上下に栓をし,栓がないものは,気密性の良い容器な

どに入れて,外気と遮断して保管することが望ましい。

g)

清浄化及び消毒に当たっては,呼吸用保護具の材料をいためるおそれがあるものは使用しない。


13

T 8150

:2006

h)

その他詳細は,製造業者の使用説明書による。

8.3

部品交換の場合の注意事項  呼吸用保護具の部品を交換する場合には,法令などによるほか,次に

よる。

a)

部品などの交換は,次による。

1)

国家検定対象品の場合は,その呼吸用保護具用として指定されたものを使用しなければならない。

2)

国家検定対象品以外の場合は,その呼吸用保護具用として設計されたもの,

製造業者が勧めるもの,

又は安全が確認されたものを使用しなければならない。

b)

製造業者が使用説明書に交換方法を記してある消耗品及び消耗部品を交換する場合は,その方法どお

りに行わなければならない。

8.4

保管上の注意事項  呼吸用保護具を保管する場合は,次による。

a)

次に示す場所を避けて,保管することが望ましい。

1)

ほこりが多い場所

2)

直射日光又は有害光線が当たる場所

3)

呼吸用保護具に悪い影響を与えるような高温,低温又は多湿な場所

4)

呼吸用保護具に害を与える物質の存在する場所

b)

永久的な変形を起こさないように保管しなければならない。

c)

脱出用又は救出用のものは,常に迅速に取り出せるように保管し,明りょう(瞭)な標識を付けてお

かなければならない。

d)

その他詳細は,製造業者の使用説明書による。

8.5

廃棄基準  呼吸用保護具(部分及び部品も含む。以下,同じ。)を廃棄する場合は,次による。

a)

廃棄基準を定めることが望ましい。

b)

廃棄基準制定に当たっては,法令,規則などによるほか,使用説明書及び製造業者の提供する情報を

利用することが望ましい。

c)

廃棄する呼吸用保護具は,廃棄品であることを明示するなど,再使用されないようにしておかなけれ

ばならない。


14

T 8150

:2006

付表  1  環境空気の有害の程度による呼吸用保護具の選択(保護具が正しく機能している場合に適用する。

保護具の種類

給気式保護具

ろ過式保護具

送気マスク

自給式呼吸器

ホースマスク

エアラインマスク

開放式呼吸器

循環式呼吸器

複合式

緊急時給気切替

警報装置付き

圧縮空気形

圧縮酸素形

環境空気中の酸素濃度

及び

有害物質濃度

肺力

吸引

送風機形

一定流量形

デマ
ンド

プレッ
シャデ
マンド

デマ
ンド

プレッ
シャデ
マンド

デマ
ンド

プレッシ
ャデマン

ド形

デマ
ンド

プレッシ
ャデマン

ド形

陽圧

陰圧

酸素

発生

動力なし

動力付き

面体等の

種類(

3

)

IDLH

,1 000<有害物質

の濃度倍率及び有害物
質の種類,有害作用又は
濃度が不明  (

4

)

×  ×  ×  ×  ×  × × × ×

× × × ×

×

× × ×

○ × ×  ×  ○  × × × ○ × ○ × × × ×

×

×

×

×

×

×

100

<有害物質の濃度倍

率≦1 000          

×  ×  ×  ×  ×  × × × ×

× × × ×

(

5

)

× × ×

○ × ×  ×  ○  × × × ○ × ○ × × × ×

×

×

×

×

×

×

50

<有害物質

の濃度倍率

≦100

×  ×  ×  ×  ×  × × × ×

× × × ×

×

× × ×

○ × ×  ×  ○  × × × ○ × ○ × × × ×

×

×

×

×

×

×

有害物質の濃

度倍率≦50

(

6

)(

7

)

×  ×

×  ×

×  × × × ×

× × × × ×

× ○ ×

○ × ○  ×  ○  × ○ × ○ × ○ × ○ × ○

×

×

×

×

×

×

14

%未

有害物質の濃

度がばく(曝)

露限界濃度以

下(

6

)(

7

)

×  ×

×  ×

×  × × × ×

× × × × ×

× ○ ×

○ × ○  ×  〇

× ○ × ○ × ○ × ○ × ○

×

×

×

×

×

×

50

<有害物質

の濃度倍率

≦100(

8

)

×  ×  ×  ○  ×  × × ○ ×

× × × ×

× × ×

○ × ×  ×  ○  × × × ○ × ○ × × × ×

×

×

×

×

×

×

有害物質の濃

度倍率≦50(

8

)

○  ○  ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

○ ○ ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

×

×

×

×

×

×

18

14

%

有害物質の濃

度がばく(曝)

露限界濃度

以下(

8

)

○  ○  ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

○ ○ ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

×

×

×

×

×

×


15

T 8150

:2006

15

T

 81
50

20
06

15

T

 81
50

20
06

付表  1  環境空気の有害の程度による呼吸用保護具の選択(保護具が正しく機能している場合に適用する。

続き)

保護具の種類

給気式保護具

ろ過式保護具

送気マスク

自給式呼吸器

ホースマスク

エアラインマスク

開放式呼吸器

循環式呼吸器

複合式

緊急時給気切替

警報装置付き

圧縮空気形

圧縮酸素形

環境空気中の酸素濃度

及び

有害物質濃度

肺力

吸引

送風機形

一定流量形

デマ
ンド

プレッ
シャデ
マンド

デマ
ンド

プレッ
シャデ
マンド

デマ
ンド

プレッシ
ャデマン

ド形

デマ
ンド

プレッシ
ャデマン

ド形

陽圧

陰圧

酸素

発生

動力なし

動力付き

面体等の

種類(

3

)

50

<有害物質

の濃度倍率

≦100(

4

)

×  ×  ×  ○  ×  × × ○ ×

× × × ×

× × ×

○ × ×  ×  ○  × × × ○ × ○ × × × ×

×

×

(

9

)

×

×

(

9

)

×

×

有害物質の濃
濃度倍率≦50

(

4

)

○  ○  ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

○ ○ ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

(

10

)

(

10

)

(

10

)

(

10

)

(

10

)

(

10

)

18

%

有害物質濃度

がばく(曝)露

限界濃度以下

○  ○  ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

○ ○ ○  ○  ○  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

(

10

)

(

10

)

(

10

)

(

10

)

(

10

)

(

10

)

注(

3

)

有害物質が目に障害を与える物質である場合には,目を保護することができる全面形面体,フード,フェイスシールドなどが取り付けられているものとする。

(

4

)

防護係数が濃度倍率以上の呼吸用保護具を選択する。

(

5

)

酸素濃度 14  %未満又は不明の場合,送気される空気の供給停止の場合に脱出するための,予備空気源をもつ複合式エアラインマスク又は緊急時給気切替警報装置付きエアラインマスク
を使用する。

(

6

)

送気される空気の供給停止の場合に脱出するための,予備空気源をもつ複合式エアラインマスク又は緊急時給気切替警報装置付きエアラインマスクを使用する。

(

7

)

防護係数が 30 以上,かつ,濃度倍率以上の呼吸用保護具を選択する。

(

8

)

防護係数が 10 以上,かつ,濃度倍率以上の呼吸用保護具を選択する。

(

9

)

防護係数の実測値が 50 以上の場合だけ,防護係数の実測値に相当する濃度倍率の場所で使用できる。対象物質が粒子状物質の場合は,捕集効率が 99  %以上のフィルタをもつものとす
る。

(

10

)

対象物質を除去できる種類とする。

備考  表中の記号は,次の意味を示す。 
      ○:使用可 
      ×:使用不可


16

T 8150

:2006

付表  2  呼吸用保護具の面体等の種類ごとの指定防護係数

呼吸用保護具の種類

面体等の種類

指定防護係数(

11

)

半面形

10

肺力吸引形

全面形

50

半面形

50

全面形

100

フード形

25

送風機形

フェイスシールド形

25

半面形

50

全面形

100

フード形

25

一定流量形

フェイスシールド形

25

半面形

10

デマンド形

全面形

50

半面形

50

プレッシャデマンド形

全面形

1 000

半面形

10

デマンド形

(緊急時給気切替警報装置付き)

全面形

50

半面形

50

プレッシャデマンド形 
(緊急時給気切替警報装置付き)

全面形

1 000

半面形

10

デマンド形

全面形

50

半面形

50

送気

複合式

プレッシャデマンド形

全面形

1 000

半面形

10

デマンド形

全面形

50

半面形

50

開放式

圧縮空気形

プレッシャデマンド形

全面形

5 000

半面形

10

陰圧形

全面形

50

半面形

50

圧縮酸素形

陽圧形

全面形

5 000

半面形

10

給気式

自給式呼


循環式

酸素発生形

全面形

50

半面形

3

∼10

動力なし

全面形

4

∼50

半面形

4

∼50

全面形

4

∼100

フード形

4

∼25



(

12

)

動力付き

フェイスシールド形

4

∼25

注(

11

)

呼吸用保護具が正常に機能している場合に,期待される最低の防護係数。

(

12

)

ろ過式の防護係数は,面体等の漏れ率[L

m

(%)

]及びフィルタの透過率[L

f

(%)

]から,100/(L

m

+L

f

)に

よって算出。

備考1.  給気・ろ過両用式は,その使用状態の機能によって防護係数を割り当てなければならない。

2.

半開放式(避難脱出用)及び半閉鎖循環式は,製造業者のカタログなどを参考とする。


17

T 8150

:2006

付表  3  呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項

機能及び特徴の概要

使用上の注意事項

給気

過両用

給気式及びろ過式の両方の機能をもつ呼吸用保護具。

  通常は,給気式として使用するが,送気が停止したときに,
ろ過式に切り替えて,附属しているフィルタによって,環境
中に存在する有害物質を除去する。

酸素欠乏環境で使用中に送気が停止すると,極

めて危険となるため,使用は適切ではない。 
  ろ過式として使用する場合,附属しているフ
ィルタが,作業環境に存在する有害物質を除去

する性能をもっていないと危険である。

着用者が環境空気とは別の空気又は酸素を呼吸する形式の
呼吸用保護具。酸素欠乏の場合又は有害物質の種類及び濃度

が不明の場合も使用可能なものがある。

ホース又は中圧ホースを通じて,作業区域外から空気

を供給する。

空気の供給に制限が少なく,着用する部分が比較的

軽量であるため,長時間使用に適する。

消耗部品が少ない。

着用者の行動は,ホースなどの長さによって制

限される。引き返すときは,進入時と同じコー
スを戻る。

送気停止の場合には,直ちに危険区域から脱

出しなければならない。

ホース又は中圧ホースが,圧縮又は切断され

ることによる送気の遮断を防止する処置をし

なければならない。

なお,送気停止の場合の対策も講じなければ

ならない。

肺力


面体,腰バンド,大口径のホースなどを

もっており,着用者の肺力で吸気する形
式。

電源がないところでも使用可能。

ホースの長さが最長 10 m と短いため,有害環

境空気を吸入する可能性が高いことに注意を
要する。

面体内が吸気時に陰圧になるので,面体のフ

ィットネスなどに十分注意する。

空気取入口は,呼吸に適する空気のあるとこ

ろにしっかり固定し,使用中であることを示す

表示が必要である。

給気式

送気

送風機形

電動又は手動の送風機によって,ホース,

面体,フード又はフェイスシールド(手
動の場合は面体だけ)を通じて送気する
構造。中間に送風を調節する装置又は空

気調節袋を備えている。

面体形及びフード形にあっては,通常

内部が陽圧となるため環境空気の侵入が

少ない。

面体形は送風機が停止したときも自己

の肺力で呼吸可能。

電動送風機は,安定した送風が可能。
手動送風機は,電源がないところでも

使用可能。

送風機は,呼吸に適する空気のあるところに設

置しなければならない。

電動送風機の電源スイッチに送風機使用中

であることを表示する。

有害物質の種類によっては,フードを透過す

ることもあるので注意しなければならない。


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:2006

付表  3  呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項(続き)

機能及び特徴の概要

使用上の注意事項

送気

コンプレッサ,高圧空気容器などからの圧縮空

気を中圧ホース,面体等を通じて送気する構造
で,中間に風量を調節するための装置を備えて
いる。

圧縮空気中の粉じん,オイルミストなどのろ

過装置付きのものもある。

一定流量形,デマンド形及びプレッシャデマ

ンド形がある。

一定流量形は,面体のほかフード又はフェイ

スシールドの使用が可能。また,面体形及びフ

ード形にあっては,通常内部が陽圧になるため
環境空気の侵入が少ない。

デマンド形及びプレッシャデマンド形は面体

だけ使用が可能。

プレッシャデマンド形の面体内は,常に陽圧

を保っているので,特に環境空気の侵入が少な

い。

デマンド形は,吸気時に面体内が陰圧になるの

で,面体のフィットネスに注意しなければなら
ない。

コンプレッサは,呼吸に適する空気のあると

ころに設置しなければならない。

有害物質の種類によっては,フード及びスー

ツの材質から透過することもあるので注意す

る。

緊急時に,自動的に給気源を他のものに切り

換える緊急時給気切替警報装置を設置するこ

とが望ましい。

着用者が環境空気とは別の空気源又は酸素源を携行
している呼吸用保護具。給気源の容器を背負う構造の

ものが多い。

使用時間は 5∼120 分。 
緊急時の使用に適している。

使用時間は携行している空気量又は酸素量で
制限を受ける。

作業強度によって使用時間が変わる。 
避難用として製作されたものを作業用又は

救出用に使用してはならない。

残り使用可能時間が少なくなったことを知

らせる警報器を備えたものを使用することが
望ましい。

開放式呼

吸器

高圧空気容器から,供給弁を通して面体内に放
出された空気を吸気し,呼気は呼気弁を通じて

排出する空気呼吸器。

デマンド形とプレッシャデマンド形とがあ

る。

プレッシャデマンド形は,面体内が吸気中で

も陽圧であるため,環境空気の侵入が少ない。

JIS T 8155

参照。

空気呼吸器に高圧酸素容器を取り付けてはな
らない。

空気呼吸器(大気圧・高気圧兼用のもの)を

高気圧環境下で使用する場合は,使用時間は環
境の絶対圧力に反比例して短くなる[5.8 b)参

照]

デマンド形は,吸気時に面体内が陰圧になる

ので,面体のフィットネスに注意しなければな

らない。

プレッシャデマンド形は,空気が外部に漏出

しないよう面体のフィットネスに注意しなけ

ればならない。

給気式

自給式呼


半閉




呼吸

着用者の呼気中の二酸化炭素を除去し,酸素と

窒素などとの混合ガスを補給し,かつ,排気さ
せながら適切な酸素分圧に調整して,再呼吸す
る方式の呼吸器で,高気圧下の特殊用途用。

その呼吸に適した混合ガスを使用しなければ

ならない。

また,定められた最高圧力以下の環境で使用

する。


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付表  3  呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項(続き)

機能及び特徴の概要

使用上の注意事項

自給式呼


半閉




呼吸

着用者の呼気中の二酸化炭素を除去し,携行して
いる酸素源から酸素を補給して,循環系内の空気
を再呼吸する方式のもので開放式呼吸器に比べ
て軽量であり,長時間使用できるが,構造がやや
複雑である。

圧縮酸素形と酸素発生形とがある。 
圧縮酸素形のものは,一般に循環式酸素呼吸器

と呼ばれる。

JIS M 7601

参照。

酸素発生形には,化学薬品を反応させて酸素を

連続的に発生させる方式(クロレートキャンドル
形)と,化学薬品に呼気を通して呼気中の水分に
よって酸素を発生させる方式(KO

2

形)とがある。

JIS T 8156

及び JIS M 7651 参照。

面体内が陽圧の場合でも,顔面とのフィットネ
スが特に優れた面体を選択しなければならな
い。このフィットネスが劣ると呼吸ガスの不足
の原因となる。特に半面形面体は,顔を動かし
たときのフィットネスに注意しなければなら
ない。

給気式

複合

式エ

エアラインマスクに小形の高圧空気容器を組み合わ
せたもので,空気源又は中圧ホースの故障などによ
って,危険区域から緊急脱出を必要とするときに使

用できる。

この表のエアラインマスク及び開放式呼吸器
の使用上の注意事項と同じ。

環境空気中の有害物質を吸収缶又はろ過材によって除去す

る形式の呼吸用保護具。

動力なしと動力付きとがある。

次に示す場合には使用してはならない。

a)

環境空気が酸素欠乏空気の場合

b)

使用している吸収缶又はろ過材が環境空
気中の有害物質に適合しない揚合

吸収缶又はろ過材の有効使用時間は,呼吸用

保護具の形式,環境空気の温度・湿度,環境空
気中の有害物質の濃度,着用者の呼吸量などに

よって異なる。有効使用時間又は交換時期につ
いては,製造業者の使用説明書などによる。

小形,軽量で取扱いが容易であり,作業性がよい。

全面形又は半面形が多く,マウスピース形もある。

吸収缶又はろ過材の取付け構造によって,隔離式と直

結式とに大別される。

吸気時に面体内が陰圧になるので,面体のフィ
ットネスに注意しなければならない。

粒子

状物

防じんマスク JIS T 8151 参照。

捕集された後,有害なおそれがあるガス・蒸気

を発生させる物質(例えば,ナフタリン,塩酸
など)が存在する場所では,使用してはならな
い。

過 

動力な

有毒

防毒マスク JIS T 8152 参照。

備考  呼吸用保護具は,通常皮膚の保護はしないので,皮膚刺激性物質を含んでいる環境では保護衣を着用するな

ど適切な処置が必要である。また,目の保護が必要な場合は,適切なめがねを併用するなどの処置が必要で
ある。


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付図  1  呼吸用保護具の系統図


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附属書(規定)大気じんを用いた呼吸用保護具の防護係数決定の手順

1.

適用範囲  この附属書は,大気じんを用いた呼吸用保護具の防護係数決定の手順について規定する。

2.

試験の対象者  試験の対象者は,次による。

a)

該当する形式の面体等を初めて着用する場合など,防護係数の未定の着用者

b)

体重が大きく変化したり,歯の治療などで顔が変化した着用者

3.

測定装置及び測定環境  大気じんを試験用コンタミナンツとして用いる漏れ率測定装置は,現在,2

種類が入手可能である。これらの装置は,被験者が面体等を装着して測定を開始すると,面体等内外の大

気じんを吸引し,その粒子数を計測し,内外の濃度比を与える。この方法で測定可能な呼吸用保護具には,

防じんマスク,電動ファン付き呼吸用保護具又は防じん機能をもつ防毒マスク若しくは給気式呼吸用保護

具がある。防毒マスクにおいては,その面体に取付け可能な他の防じん機能付き吸収缶又は高性能の防じ

んマスク用フィルタを使用する。

4.

測定手順  測定手順は,次による。

a)

測定者は対象者に,該当の呼吸用保護具を示し,着用方法を説明する。

b)

被験者が面体等を着用した状態で,測定者は面体等と測定装置とを附属のサンプリングチューブで接

続する。被験者は面体等のハーネスを調節して漏れの少ない最適の着用位置を探す。測定者はその手

助けを適宜行う。

c)

この測定を開始後,被験者は面体等着用状態で,普通の呼吸,深呼吸,顔を左右にゆっくり振る,顔

を上下にゆっくり振る,話す,の 5 種類の動作を各 1 分間ずつ計約 6 分間行う。測定装置は,被験者

の面体等内外の大気じんの濃度を計測する。測定者は被験者の様子を監視し,自動記録式ではない装

置の場合は,装置の操作と記録とを行う。

d)

測定者は被験者の感想,体調,時間の都合などを聞き,終了するか,継続する場合は休憩の後  a)へ戻

る。

5.

評価方法  測定結果が漏れ率[(面体等の内側の濃度/面体等の外側の濃度)×100  %]で表示される

装置にあっては,その表示値の逆数を 100 倍した値を,測定結果がフィットファクタ(面体等の外側の濃

度/面体等の内側の濃度)で表示される装置にあってはその表示値を防護係数とする。異なる動作ごとに

得られた漏れ率を算術平均して平均漏れ率を求め,これを着用者の面体等の漏れ率とする。フィットファ

クタで値が得られる場合も漏れ率の算術平均になるように計算する。

6.

注意点  注意点は,次による。

a)

測定に当たっては医師の問診によって,重大な呼吸器及び循環器の既往疾患のないことを確認する。

b)

測定を行う部屋では大気じんを用いるため,空調がよく管理されているなど粉じんの少ない部屋では

測定ができない。

c)

動作には 3. c)  の 5 種類のほかに顔をゆが(歪)める(しかめ面)

,その場でジョギングをする,立っ

た状態で手を伸ばしてつま先につけることを繰り返す,などがある。作業負荷が大きい場合には,全

身運動を導入する。この場合,一連の動作の最初と最後に普通の呼吸(安静状態)を置き,その間に


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これらの動作を加える。

d)

使用する面体等には,その面体にサンプリングチューブをつなぐための小さな金属製の取出し口(外

径 4 mm,高さ 4 mm)を取り付けて使用する。専用のアダプタを使用してもよい。

e)

面体等は使用後,アルコールを噴霧して殺菌し,乾燥後,再使用する。

面体等着用時の通気抵抗は,通常の健康な成人では受け入れられる範囲であっても,被験者が息苦しさ

を感じた場合には,いつでも脱いでよい旨を伝え,また,その場合には,測定者は測定を直ちに中止し,

面体等を脱ぐことを手伝う。