サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

T 8114:2007  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 記号及び略号 ··················································································································· 2 

5 品質······························································································································· 2 

5.1 外観 ···························································································································· 2 

5.2 防振性能 ······················································································································ 2 

6 構造······························································································································· 3 

7 材料······························································································································· 3 

8 外観試験 ························································································································· 3 

9 防振性能の試験・測定方法 ································································································· 3 

9.1 試験・測定原理及び装置 ································································································· 3 

9.2 試験・測定装置 ············································································································· 4 

9.3 加振システム ················································································································ 5 

9.4 試験・測定条件及び手順 ································································································· 6 

9.5 試験・測定結果の評価方法······························································································· 9 

10 検査 ···························································································································· 10 

11 表示 ···························································································································· 10 

附属書A(規定)振動試験信号の数学的定義 ············································································ 11 

附属書B(参考)把持力測定センサを備えたハンドルの例 ··························································· 12 

附属書C(参考)振動試験信号の1/3オクターブバンドスペクトル ··············································· 13 

附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 15 

T 8114:2007  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本保安

用品協会(JSAA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正した日本工業規

格である。 

これによって,JIS T 8114:1987は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認に

ついて,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 8114:2007 

防振手袋 

Vibration isolation gloves 

序文 

この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 10819を基に作成した日本工業規格であるが,製品

規格にするため技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線及び/又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項で

ある。変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,鉱業,林業,土木建設業,製造業などの事業場において工具,機械などから手袋を通して

作業者の手に伝わる振動(周波数範囲31.5〜1 250 Hz)を軽減するための防振手袋(以下,手袋という。)

について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 10819:1996,Mechanical vibration and shock−Hand-arm vibration−Method for the measurement 

and evaluation of the vibration transmissibility of gloves at the palm of the hand (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示

す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0153 機械振動・衝撃用語 

注記 対応国際規格:ISO 2041,Vibration and shock−Vocabulary (MOD) 

JIS B 7761-1 手腕系振動−第1部:測定装置 

注記 対応国際規格:ISO 8041,Human response to vibration−Measuring instrumentation (MOD) 

JIS B 7761-3 手腕系振動−第3部:測定及び評価に関する一般要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 5349-1,Mechanical vibration−Measurement and evaluation of human exposure 

to hand-transmitted vibration−Part 1: General requirements (IDT) 

JIS C 1514 オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ 

注記 対応国際規格:IEC 61260,Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filters (IDT) 

JIS Z 8131 機械振動及び衝撃−人体暴露−用語 

注記 対応国際規格:ISO 5805,Mechanical vibration and shock−Human exposure−Vocabulary (MOD) 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0153,JIS B 7761-3の箇条3及びJIS Z 8131によるほか,

次による。 

3.1 

伝達率(transmissibility) 

手の表面及び基準点で測定した加速度の比。伝達率が1より大きい場合は,手袋が振動を増幅すること

を表し,1より小さい場合は,手袋が振動を減衰することを表す。 

記号及び略号 

記号及び略号は,次による。 

aw 

補正フィルタを用いて測定された周波数補正加速度実効値,又は加速度スペクトルから計算した周

波数補正加速度実効値(JIS B 7761-1及びJIS B 7761-3参照) 

aws 

振動スペクトルs(s=M又はH,9.4.2参照)における周波数補正加速度実効値 

基準点,すなわちハンドルでの測定を意味するために用いる下付き文字 

掌部での測定を意味するために用いる下付き文字 

素手,すなわち手袋非着用での測定を意味するために用いる下付き文字 

手袋を着用した手,すなわち手袋と手の間での測定を意味するために用いる下付き文字 

下付き文字の組合せの例 

awMPg 手袋を着用した掌部で測定した振動スペクトルMに対する補正加速度 

TRsb 素手で測定した振動スペクトルsに対する伝達率 

(TRsb=awsPb/awsRb) 

TRsg 手袋を着用した手で測定した振動スペクトルsに対する伝達率 

(TRsg=awsPg/awsRg) 

TRs 

振動スペクトルsに対する手袋の修正振動伝達率 

(TRs=TRsg/TRsb) 

s

TR 振動スペクトルsに対する手袋の平均修正伝達率(s=M又はH,9.5.1参照) 

品質 

5.1 

外観 

手袋は,きず,気泡,はん点,汚れ,その他使用上の欠点があってはならない。 

5.2 

防振性能 

防振性能は,箇条9の試験を行ったとき,次の規定を満足しなければならない。 
 

M

TR

<1.0及び

H

TR

<0.6 

注記1 多くの要因が手袋を通した振動の伝達に影響を及ぼす。この規格による振動伝達率値が振動

による健康リスクを評価するものではなく,これらの基準を満たす手袋を用いたとき,振動

暴露の危険がなくなることを意味するものではない。 

注記2 手袋の指の部分が振動表面に接触しないで,手袋の掌の部分が振動表面に接触した状況で用

いるとき,手袋の掌の部分が振動伝達率に関する要求事項を満たす場合,指の部分と掌の部

分との特性が異なる手袋も防振性能に対して有益な効果が期待できる。 

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

構造 

手袋の構造は,掌部側に防振材を用いたものでなければならない。 

材料 

手袋に使用する材料は,強度,弾性,保温性などが良好で,かつ,掌を覆っている部分と手袋の指の部

分とは,同じ特性(材料及び厚さ)とする。 

外観試験 

外観試験は,製品を供試体とし,その正面から適切な照明の下で目視で行い,きず,気泡,はん点,汚

れのないことを確認する。 

防振性能の試験・測定方法 

9.1 

試験・測定原理及び装置 

試験・測定は,把持力を測定するための特別なハンドル(附属書B参照)及び押付け力を測定するため

の装置を備えた加振システムを用いる。 

測定は,加振方向の振動をハンドルの表面及び手と手袋との間,すなわち手袋の内側に加速度ピックア

ップを内蔵した図2のアダプタを用いて同時に2点測定する。手袋の振動伝達率は,手袋着用及び非着用

におけるハンドルから手への振動伝達率の差として計算する。 

振動伝達率の測定のための系統図を図1に示す。 

把持力及び押付け力は,被験者が要求値に調整できるよう連続表示できなければならない。 

図1−振動伝達率の測定のための系統図 

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

許容差±0.5 mm 

注記 第一角法による。 

図2−手の掌に加速度ピックアップを保持するためのアダプタ 

9.2 

試験・測定装置 

9.2.1 

一般要求事項 

試験・測定装置は,二つの加速度ピックアップ及び2チャンネルの測定装置(信号調整及び補正を含む。)

が必要である。 

測定系の要素はJIS B 7761-1の規定を満たすもので,入力信号に対する過負荷表示を備え,ダイナミッ

クレンジは少なくとも60 dBとする。 

周波数分析は,定帯域幅分析又は1/3オクターブバンド分析による。分析器は,2チャンネル構造が望

ましい。 

9.2.2 

加速度ピックアップの取付け 

9.2.2.1 

ハンドル内の基準点への取付け 

加速度ピックアップは,ハンドル内に固く,加振軸に近接して平行に取り付ける。 

9.2.2.2 

手における測定のための取付け 

加速度ピックアップを内蔵した図2のアダプタを掌に保持する。 

注記 加速度ピックアップを内蔵したアダプタの質量は,15 gを超えてはならない。 

図2におけるR22〜R30の厳密な値は,手袋の生地に均一な圧力をかけられるように選択する。ハンド

ルとアダプタ内の非補正加速度の周波数応答は,9.4.3.2の規定による。 

9.2.3 

周波数分析 

周波数分析に1/3オクターブバンド分析を適用する場合,フィルタの性能はJIS C 1514の規定を満たす

ものとする。 

周波数分析に定帯域幅分析を適用する場合,スペクトルMの測定における分解能は1 Hz以上とし,ス

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ペクトルHの測定における分解能は10 Hz以上とする。 

9.2.4 

把持力測定系 

把持力は,図3に示す方法で測定する力を意味する。また,把持力測定系の要求事項は,次による。 

ダイナミックレンジ:    10〜50 N 

分解能:          2 N以上 

他の測定誤差:       5 %未満 

表示のための積分時間:   0.25秒 

ハンドルに組み込んだひずみゲージの例を,附属書Bに示す。 

図3−測定する把持力の定義(平面図) 

9.2.5 

押付け力測定系 

押付け力は,加振システムに向かって押し付ける水平方向の力を意味する。また,押付け力測定系の要

求事項は,次による。 

ダイナミックレンジ:    10〜80 N 

分解能:          2 N以上 

他の測定誤差:       5 %未満 

表示のための積分時間:   0.25秒 

押付け力の測定は,次の二つの方法がある。 

− 被験者が踏み台に加える水平方向の力を測定する(図5参照)。 

− 加振システムの一部として押付け力を直接測定する。 

9.3 

加振システム 

9.3.1 

幾何学的特性 

9.3.1.1 

ハンドルの寸法及び方向 

ハンドルは,直径40 mmの円形断面で,110 mmの長さとしハンドルの方向は鉛直とする。 

9.3.1.2 

加振システムの位置 

振動軸は水平とし,立位の被験者の前腕と平行とする(図5参照)。 

加振システム及び被験者が立つ踏み台は,9.4.1.3のh) に規定する被験者の姿勢を満足するように調整す

る。 

9.3.2 

加振システムの性能 

加振システムは,9.4.1.3のa) の把持力及びb) の押付け力を加えたとき,9.4.2に規定する振動スペクト

ルを生じなければならない。 

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.4 

試験・測定条件及び手順 

9.4.1 

試験・測定条件 

9.4.1.1 

被験者の手の寸法 

表1による手のサイズ7〜9の成人3人を被験者とする。 

表1−手のサイズと手袋のサイズ 

手のサイズ 

掌部周り 

mm 

手の長さ(A) 

mm 

手袋のサイズ 



178 
203 
229 

171 
182 
192 



注記 図4に示すとおり,掌部周りとは,親指と人差し指との間のまた(股)から20 mmの幅の部分

で測定した掌部の外周とし,手の長さとは,中指の先端から手首までの距離(A)とする。 

単位 mm 

図4−掌部周りの測定箇所及び手の長さ 

9.4.1.2 

試験手袋 

各被験者の手のサイズに合わせた三つの手袋を試験する(手袋は各被験者ごとに用意する)。 

9.4.1.3 

その他の条件 

試験・測定をするときは,次の条件を守らなければならない。 

a) 把持力 把持力は,常に表示する。被験者は,試験時間中把持力を30±5 Nに維持する。 

b) 押付け力 押付け力は,常に表示する。被験者は,試験時間中押付け力を50±8 Nに維持する。 

c) 室温 測定は,室温20±5 ℃で行う。 

d) 湿度 相対湿度は,70 %以下とする。 

e) 手袋の準備 試験する手袋は,少なくとも30分間規定された室温で保管し,試験開始の少なくとも3

分前に着用する。 

f) 

手袋の適合性 手袋のサイズは,9.4.1.1に従い選択する。 

g) 試験時間 1回の試験時間は,補正測定又は1/3オクターブバンド分析に対しては少なくとも30秒と

し,定帯域分析を適用する場合は,少なくとも60スペクトルの平均化が可能な時間とする。 

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

h) 被験者の姿勢 被験者は,床又は踏み台上に直立して立つ(図5参照)。前腕は振動軸に向ける。ひじ

(肘)は90±10°の角度をとる。ひじ(肘)は,測定の間体に触れてはならない。手首の角度は0°(中

立)から40°(背面曲げ)までとする(図6参照)。 

図5−測定中の被験者の姿勢 

図6−ハンドル及びアダプタを持つ手の位置(平面図) 

9.4.2 

振動信号 

ハンドルで測定される二つの振動スペクトル(M及びH)は,帯域制限ランダムノイズからなり,図7

及び表2を満足しなければならない。パワースペクトル密度(PSD)は,単位帯域当たりの平均二乗加速

度として,単位(m/s2)2/Hzで表す。これらの信号の数学的定義を,附属書Aに規定する。 

必要なPSD関数は,例えば,ホワイトノイズ発生器及び12 dB/オクターブのスロープをもつバンドパス

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

フィルタを用いて生成させることができる。加振システムによっては,追加のスペクトル成形が必要であ

る。 

附属書Cに,両スペクトルの1/3オクターブバンド値を示す。 

表2−振動スペクトルM及びHの加速度値並びに許容差 

指定スペクトル 

非補正加速度 

補正加速度 

周波数範囲に対する許容差 

m/s2 

実効値 m/s2 

許容差 

(中心周波数) 

16.7 

3.4 

±10 % 

±1 dB 31.5〜200 Hz 
±2 dB 16.0〜400 Hz 

92.2 

3.3 

±10 % 

±1 dB 200〜1 000 Hz 
±2 dB 100〜1 500 Hz 

図7−ハンドルで測定する二つの振動信号(M及びH)のスペクトル 

9.4.3 

手順 

9.4.3.1 

準備 

測定を開始する前に,次の措置を行わなければならない。 

− 校正は,JIS B 7761-1による。 

− 手袋の準備 

− 被験者への操作説明及び押付け力,並びに把持力の制御を把握するための試行 

− 振動信号の点検(周波数分析)及び調整 

background image

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.4.3.2 

素手での測定 

それぞれの被験者についてスペクトルM及びHに対して2回の測定を実施する。ハンドル(awsRb)及

び掌(awsPb)で得る補正加速度は,同時に測定し,素手で測定した振動スペクトルsに対する伝達率すな

わち補正伝達率TRsb(9.5.1参照)の計算に用いる。 

スペクトルM又はHに対する非補正加速度asRb及びasPbが0.95〜1.05の範囲を超えたときは,その測定

を無効とする。 

注記 伝達関数の位相も計算することが望ましい。位相がスペクトルM及びHを規定する周波数範

囲において,位相が±5°を超えたときは,その測定を無効とすることが望ましい。 

9.4.3.3 

手袋を着用しての測定 

9.4.3.2の測定で用いたものと同じアダプタを用いて,それぞれの被験者についてスペクトルM及びH

に対して2回の測定を実施する。ハンドル(awsRg)及び掌(awsPg)で得る補正加速度は,同時に測定し,

手袋を着用した手で測定した振動スペクトルsに対する伝達率,すなわち,補正伝達率TRsg(9.5.1参照)

の計算に用いる。 

注記 二つの非補正信号asRg及びasPgのコヒーレンス及び伝達関数についても計算することが望まし

い。スペクトルM及びHで規定する周波数範囲において,コヒーレンスが0.95以下のとき,

又は伝達関数が連続していないときは,測定の有効性を検討することが望ましい。 

9.5 

試験・測定結果の評価方法 

9.5.1 

伝達率の計算 

平均修正伝達率の計算は,次のステップからなる(表3参照)。 

表3−平均修正伝達率の確定の計算 

測定条件 

(3人) 

測定箇所 

伝達率 

修正振動伝達率 

素手 

(1回) 

ハンドル awsRb 
手 

awsPb 

伝達率 

TRsb 

6回の修正振動伝達率 

手袋着用 

(2回) 

ハンドル awsRg 
手 

awsPg 

伝達率 

TRsg 

平均修正伝達率 

 
素手で得た結果から,各振動スペクトルに対する補正伝達率TRsbを計算する。 

TRsb=awsPb/awsRb 

手袋着用で得た結果から,各振動スペクトルに対する補正伝達率TRsg(2回分の値)を計算する。 

TRsg=awsPg/awsRg 

手袋の修正振動伝達率TRsは,各振動スペクトルに対して,次のように計算する。 

TRs=TRsg/TRsb 

スペクトルM及びHに対する平均修正伝達率

s

TRは,6回の結果(3人の被験者につき2回の測定)の

算術平均値を計算する。加えて,標準偏差及びばらつきの係数を計算する。 

9.5.2 

周波数の関数としての伝達率 

9.5.2.1 

一般 

周波数の関数として,伝達率を決定することが望ましい。これは,振動スペクトルが既知の場合に,周

波数補正振動における手袋の効果を推定することを可能にする。計算の原理は,補正伝達率に対して9.5.1

に規定したものと一致する。 

振動の伝達率は,二つの入力スペクトルM及びHに対して測定し,周波数の関数として求める。 

10 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.5.2.2 

1/3オクターブバンドでの伝達率 

周波数の関数としての伝達率を1/3オクターブバンドで測定する場合,結果は1/3オクターブバンド中

心周波数ごとに表す。 

振動スペクトルMは,31.5〜200 Hzとする。 

振動スペクトルHは,200〜1 250 Hzとする。 

9.5.2.3 

狭帯域分析での伝達率 

狭帯域分析を用いて伝達率を測定する場合は,二つの振動スペクトルから得た結果は次のように用いる。 

振動スペクトルMは,32.0〜200 Hzとする。 

振動スペクトルHは,200〜1 250 Hzとする。 

10 検査 

検査は,製品ごとに箇条9の防振性能の試験・測定方法及び目視などによって行い,5.2及び5.1,箇条

6及び箇条7の規定に適合しなければならない。また,検査は,合理的な抜取検査方式によってもよい。 

11 表示 

手袋には,次の事項を表示しなければならない。 

a) 製造業者名又はその略号 

b) 製造年又はその略号 

c) 手袋のサイズ(製造業者の指示による。) 

background image

11 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

振動試験信号の数学的定義 

序文 

この附属書は,振動試験信号の数学的定義について規定する。 

パワースペクトル密度(PSD)の方程式 

(

)

(

)2

12

2

12

LP

HP

c

PSD

×

×

=

ここに, 

  

2

2

12

s

1.414s

1

s

HP

=

2

12

s

s

414

.1

1

1

LP

=

ここに, 

  

cf

jf

=

s

1

j

=

f:周波数,Hz 

フィルタカットオフ周波数 fc 及び恒常的要因cを,次の表A.1に示す。 
 

表A.1−振動スペクトルのためのカットオフ周波数fc及び恒常的要因c 

(フィルタスロープ12 dB/オクターブ,バターワース特性) 

スペクトル 

fc(HP12) 

Hz 

fc(LP12) 

Hz 

(m/s2)2/Hz 

備考 

  8 
 31.5 
200 

   31.5 
  200 

1 000 

 0.82 
 1.52 
10.0 

注記を参照 

− 
− 

注記 現状の知識では,手袋は150 Hz以下では有効な振動減衰を示さない。低周波数での振動伝達率の

調査が必要ならば,(例えば,この周波数において振動減衰を主張する手袋の試験のために)M及
びHに加えてスペクトルLを用いることが望ましい。 

background image

12 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

把持力測定センサを備えたハンドルの例 

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。 

単位 mm 

図B.1−把持力測定センサを備えたハンドルの例 

background image

13 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

振動試験信号の1/3オクターブバンドスペクトル 

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。 

9.4.2及び附属書Aに規定する振動試験信号は,振動試験信号を1/3オクターブバンドで解析するとき,

表C.1,表C.2及び図C.1の加速度値となる。 

表C.1−スペクトルM                             表C.2−スペクトルH 

バンド 

Hz 

arms 

m/s2 

許容差 

バンド 

Hz 

arms 

m/s2 

許容差 

16 

0.18 

± 2 dB 

100 

3.77 

± 2 dB 

20 

0.40 

± 2 dB 

125 

6.29 

± 2 dB 

25 

0.90 

± 2 dB 

160 

10.47 

± 2 dB 

31.5 

2.36 

± 1 dB 

200 

15.24 

± 1 dB 

40 

3.18 

± 1 dB 

250 

20.20 

± 1 dB 

50 

3.88 

± 1 dB 

315 

24.86 

± 1 dB 

63 

4.54 

± 1 dB 

400 

29.07 

± 1 dB 

80 

5.16 

± 1 dB 

500 

32.48 

± 1 dB 

100 

5.71 

± 1 dB 

630 

35.15 

± 1 dB 

125 

6.14 

± 1 dB 

800 

35.95 

± 1 dB 

160 

6.28 

± 1 dB 

1 000 

33.79 

± 1 dB 

200 

5.89 

± 1 dB 

1 250 

28.91 

± 2 dB 

250 

5.04 

± 2 dB 

1 600 

22.40 

± 2 dB 

315 

3.94 

± 2 dB 

400 

2.89 

± 2 dB 

background image

14 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図C.1−スペクトルM及びH 

background image

15 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS T 8114:2007 防振手袋 

ISO 10819:1996,Mechanical vibration and shock−Hand-arm vibration−Method 
for the measurement and evaluation of the vibration transmissibility of gloves at 
the palm of the hand 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ)  
国際規 
格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

工具,機械などから手袋
を通して作業者の手に伝
わる振動(周波数範囲
31.5 Hz〜1 250 Hz)を軽
減するための防振手袋。 

周波数範囲31.5 Hz〜  
1 250 Hzのハンドルから
掌へ伝わる振動の,手袋
を通しての振動伝達率に
関する,実験室での測定
方法,データ分析及び報
告の方法。 

変更 

製品規格にするため,適用範囲
を防振手袋とした。 

2 引用規格 

JIS 5件 

JISにほぼ同じ 
EN420 

一致 
削除 

対応するJISに置き換えた。  

EN420は引用規格とせず,外観,
構造,形状寸法の規定内容とし
て取り入れた。 

3 用語及び定
義 

一致 

4 記号及び略
号 

一致 

5 品質 
5.1 外観 

きず,気泡,はん点,汚
れ,その他使用上の欠点
があってはならない。 

− 

追加 

ISO規格は手袋の要件をEN
規格を参照としている。 

製品規格にするため,項目を追
加した。 

5.2 防振性能 

7.2 

一致 

6 構造 

− 

追加 

製品規格にするため,項目を
追加した。 

3

T

 8

11

4

2

0

0

7

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

16 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ)  
国際規 
格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

7 材料 

強度,弾性,保温性など
が良好であること 

− 

追加 

製品規格にするため,手袋の
備えるべき要件を追加した。 

8 外観試験 

きず,気泡,はん点,汚
れのないことを確認する。 

− 

追加 

製品規格にするため,項目を
追加した。 

9 防振性能の
試験・測定方
法 


一致 

9.1 試験・測
定原理及び装
置 

5.1 

一致 

9.2 試験・測
定装置 

5.2 

一致 

9.3 加振シス
テム 

5.3 

一致 

9.4 試験・測
定条件及び手
順 

一致 

ISO規格は手袋の要件をEN
規格を参照としている。 

製品規格にするため,EN420の
内容をJISに取り入れた。 

9.5 試験・測
定結果の評価
方法 

一致 

9.5.1 伝達率
の計算 

7.1 

一致 

9.5.2 周波数
の関数として
の伝達率 

7.3 

一致 

10 検査 

検査は,合理的な抜取検
査方式によってもよい。 

− 

追加 

製品規格にするため,項目を
追加した。 

11 表示 

製品の表示事項 

試験報告 

変更 

ISO規格は試験報告を規定。 ISO規格は試験方法の規格であ

るため,試験報告を規定してい
るが,JISは製品規格にするた
め表示事項として規定した。 

3

T

 8

11

4

2

0

0

7

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

17 

T 8114:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ)  
国際規 
格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

附属書A 
(規定) 

振動試験信号の数学的定
義 

Annex A 

一致 

附属書B 
(参考) 

把持力測定センサを備え
たハンドルの例 

Annex B 

一致 

附属書C 
(参考) 

振動試験信号の1/3オク
ターブバンドスペクトル 

Annex C 

一致 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 10819:1996,MOD 

 
関連する外国規格 

ISO 2041,ISO 8041,ISO 5349-1,IEC 61260,ISO 5805 

 
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 一致……………… 技術的差異がない。 
  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD………………国際規格を修正している。 

3

T

 8

11

4

2

0

0

7

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。