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T 8030

:2015

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

2

4

  原理 

5

5

  分析技術及び捕集媒体の選択  

5

5.1

  一般  

5

5.2

  気体捕集媒体  

5

5.3

  液体捕集媒体  

6

5.4

  その他の捕集媒体  

6

6

  試験装置  

6

6.1

  厚さ測定器  

6

6.2

  化学天びん  

6

6.3

  透過テストセル  

6

6.4

  透過試験装置  

6

6.5

  ストップウォッチ又は適切な時間計測器  

6

6.6

  恒温室又は恒温槽  

6

7

  システムの構成  

6

7.1

  開放回路系  

6

7.2

  閉鎖回路系  

7

8

  検出 

8

8.1

  測定頻度  

8

8.2

  分析方法  

8

9

  試験片  

9

9.1

  採取  

9

9.2

  試験片の準備  

9

9.3

  試験片の厚さ及び質量の測定  

9

10

  試験手順  

10

10.1

  一般  

10

10.2

  法−液体化学物質との連続接触試験  

10

10.3

  法−気体化学物質との連続接触試験  

10

10.4

  法−液体化学物質又は気体化学物質との断続的接触試験  

13

10.5

  測定結果  

14

10.6

  試験片の目視検査  

16

10.7

  再試験  

16


T 8030

:2015  目次

(2)

ページ

11

  報告書  

17

附属書 A(参考)推奨試験化学物質  

19

附属書 B(参考)透過テストセル及び透過セル用部品の供給元  

21

附属書 C(参考)透過テストセルの設計及び仕様例  

22

附属書 D(参考)縫合部及び開閉具の耐透過性試験  

26

附属書 E(参考)試験所間比較及び試験片間の差異  

28

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

30


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まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,公益社団法人日本

保安用品協会(JSAA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格

を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正

した日本工業規格である。

これによって,JIS T 8030:2005 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 T

8030

:2015

化学防護服−防護服材料の耐透過性試験

Protective clothing-Protection against chemicals-Determination of

resistance of protective clothing materials to permeation by

liquids and gases

序文 

この規格は,2013 年に第 3 版として発行された ISO 6529 を基とし,使用上の利便性を考慮するため技

術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,防護服に使用する材料の,連続的又は断続的な接触条件における液体又は気体の化学物質

に対する耐透過性試験方法について規定する。

防護服には,

服一体形の手袋及びフットウエアが含まれる。

耐透過性試験方法は,次のとおり区分する。

−  A 法は,防護服材料に連続的接触が想定される,液体化学物質の試験の場合に適用できる。

−  B 法は,防護服材料に連続的接触が想定される,気体化学物質の試験の場合に適用できる。

−  C 法は,防護服材料に断続的接触が想定される,液体又は気体化学物質の試験の場合に適用できる。

防護服材料の耐透過性は,破過基準,すなわち,基準となる透過速度又は累積透過質量から導き出され

る破過時間によって評価する。

この規格は,液体及び気体化学物質の耐透過性の測定に用いる。固体化学物質に対する耐透過性には適

用できない。

試験は,防護服材料及び特定部位(例えば,縫合部)の性能を対象とする。

試験は,実験室条件下での防護服材料の耐透過性を評価するもので,全ての条件を模擬実験するもので

はない。多くの場合,透過試験の条件は,想定される作業現場の条件よりも厳格である。試験データの利

用は,防護服材料及び特定部位の性能を比較評価することに限定しなければならない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 6529:2013

,Protective clothing−Protection against chemicals−Determination of resistance of

protective clothing materials to permeation by liquids and gases(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの


2

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引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 6404-1

  ゴム引布及びプラスチック引布試験方法−第 1 部:基本特性(標準雰囲気及び引布の

寸法並びに質量の測定方法)

JIS L 1096

  織物及び編物の生地試験方法

JIS T 8115

  化学防護服

JIS Z 9015-1

  計数値検査に対する抜取検査手順−第 1 部:ロットごとの検査に対する AQL 指標型抜

取検査方式

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は JIS T 8115 によるほか,次による。

3.1 

透過(permeation)

化学防護服材料の表面に接触した化学物質が,吸収され,内部に分子レベルで拡散を起こし,裏面から

離脱するプロセス(JIS T 8115 の 3.12 参照)

3.2 

浸透(penetration)

化学物質が,防護服の多孔質材料,縫合部,ピンホール,その他の不完全な部分などを非分子レベルで

通過するプロセス(JIS T 8115 の 3.11 参照)

3.3 

劣化(degradation)

防護服材料の 1 種以上の物理的特性が悪化する現象。

3.4 

防護服材料(protective clothing material)

防護服本体に使用する材料又は材料の組合せ。

注記  防護服材料には,着用者の主防護層(primary barrier)となる材料を含む。同時に使用するバイ

ザー(アイピースともいう。

,手袋及びフットウエアの構成に使用される材料は,防護服材料

には含まない。

3.5 

試験化学物質(test chemical/challenge chemical)

防護服材料試験片を暴露するために用いられる液体又は気体。

3.6 

分析技術(analytical technique)

捕集媒体中の化学物質の濃度を定量的に測定する方法。

注記  分析方法は,個々の化学物質と捕集媒体との組合せで決まってくる場合が多い。

例  分析方法には,紫外線(UV)及び赤外線(IR)分光法,質量分析法,pH 測定法,イオンクロマ

トグラフィ,伝導度測定法,比色分析法,大気分析用検知管法,放射性標識核種(タギング)検

出法などがある。気体・液体クロマトグラフィは,検出方法というよりはむしろ分離技術ではあ

るが,適切な検出器と組み合わせることによって,捕集媒体に透過した化学物質の定量化に用い

ることができる。


3

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3.7 

透過速度(permeation rate)

単位時間及び単位暴露表面積当たりの,防護服材料を透過する試験化学物質の量。

例  毎分

μg/cm

2

3.8 

透過質量(permeation mass)

単位暴露表面積当たりの,防護服材料を透過する試験化学物質の量。

μg/cm

2

3.9 

破過点検出時間(breakthrough detection time)

試験化学物質が最初に検知されるまでの時間[

図 

a)

注記  破過点検出時間は,試験方法の感度とサンプリング頻度(サンプリング時間の間隔)に依存す

る。

3.10 

透過速度の最小検出限界(minimum detectable permeation rate)

試験システムで測定可能な最小透過速度。

注記  この値は,分析装置に固有の検出限界となるとは限らない。

3.11 

透過質量の最小検出限界(minimum detectable mass permeated)

試験システムで測定可能な最小透過質量。

注記  この値は,分析装置に固有の検出限界となるとは限らない。

3.12 

標準透過速度(normalization permeation rate)

標準破過点検出時間の決定に用いられる透過速度。

注記  標準透過速度は製品規格で規定するが,例として,毎分 0.1

μg/cm

2

又は毎分 1.0

μg/cm

2

がある。

3.13 

標準破過点検出時間(normalized breakthrough detection time)

透過速度又は累積透過質量が破過基準に達するまでの時間[透過速度の場合,

図 

b)

“標準破過時

間”ともいう。

3.14 

累積透過質量(cumulative permeation mass)

試験開始時から事前に設定した時間を経過するまでに単位暴露面積を透過した化学物質の総量。

μg/cm

2

3.15 

標準累積透過質量(normalization cumulative permeation mass)

標準破過点検出時間の決定に用いられる累積透過質量。

注記  標準累積透過質量は製品規格で規定するが,例として,150

μg/cm

2

がある。

3.16 

累積透過時間(cumulative permeation time)

単位暴露面積を透過した化学物質が,破過基準,すなわち,事前に定められた累積透過質量に達するま


4

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での時間。

3.17 

破過基準(breakthrough predetermined reporting criteria)

標準破過点検出時間を決定するための基準となる透過速度又は累積透過質量。

3.18 

破過時間(breakthrough time)

試験化学物質が破過基準に最初に達するまでの時間。ただし,破過時間は実際の経過時間でなく,標準

破過点検出時間直前のサンプリング時間とする[

図 

c)

。この時間を報告に使用する。

3.19 

定常状態の透過速度(steady-state permeation rate)

化学物質との接触が連続的で透過に影響する全ての力が平衡に達した場合に,破過後に出現する一定の

透過速度。

 1  定常状態の透過速度 
 Y  透過速度(毎分 μg/cm

2

  t  時間(min) 
  ○  実測データポイント

注記 1  標準透過速度が毎分 0.05 μg/cm

2

における標準破過点検出時間は 23 分であるが,破過時間は,直前のサン

プリング時間である 20 分として報告する

(データの補間を認めないため)

標準透過速度が毎分 0.1 μg/cm

2

における標準破過点検出時間は 33 分であるが,同様に,破過時間は,直前のサンプリング時間である 28

分として報告する。定常状態の透過速度は,毎分約 0.14 μg/cm

2

である。

注記 2 60 分間の累積透過質量は,グラフ上の網かけ部分に示されている。

図 1−破過点検出時間,標準破過点検出時間,破過時間及び累積透過質量を示す概念図 


5

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3.20 

開放回路系(open-loop)

新しい捕集媒体が捕集側セル隔室を連続的に流れる試験方法。捕集媒体は再使用又は循環しない。

3.21 

閉鎖回路系(closed-loop)

捕集媒体の体積が一定の試験方法。捕集媒体は,連続的に循環し透過した試験化学物質を捕集する。

注記 1  捕集媒体の交換が行われない場合でも,捕集媒体の容積が若干変わることがある。

注記 2  閉鎖回路系捕集媒体は,必ずしも物理的に密閉されているわけではない。例えば,液体捕集

媒体は,捕集媒体容器において大気と接触することがある。

3.22 

捕集媒体(collection medium)

試験片を透過した試験化学物質を捕集するための,

透過テストセルの捕集側セル隔室内の液体又は気体。

3.23 

接触時間(contact time)

断続的接触試験で,

各サイクル中,

試験化学物質が透過テストセルの投入側セル隔室に入っている時間。

3.24 

サイクル時間(cycle time)

断続的接触試験(C 法)において,ある接触期の開始から次の接触期の開始までの時間。

3.25 

パージ時間(purge time)

断続的接触試験において,接触時間終了後に試験化学物質が投入側セル隔室から除去され,空気又は窒

素が防護服材料の外側表面上に吹き付けられている時間。

原理 

防護服材料の試験片は,透過テストセルの投入側セル隔室と捕集側セル隔室との間の隔壁の役割を果た

す。

連続的又は断続的のいずれかの方式で,防護服材料の試験片を試験化学物質に接触させ,捕集媒体(液

体又は気体のいずれでもよい。

)に含まれる化学物質の濃度を定量的に分析し,透過速度,累積透過質量及

び破過時間を求める。試験化学物質,捕集媒体及び試験条件の選択に応じて試験方法を選択する。耐透過

性の比較に使用できる推奨試験化学物質を,

附属書 に示す。試験所間比較及び試験片間の差異を,附属

書 に示す。

分析技術及び捕集媒体の選択 

5.1 

一般 

試験化学物質の検出感度が最大になるように,分析技術と捕集媒体との組合せを選択する。

5.2 

気体捕集媒体 

気体捕集媒体は,乾燥空気,乾燥した不燃性不活性ガス又は試験化学物質の検出を妨げない気体とし,

透過プロセス又は分析手順の妨げとならないよう純度が十分高いものを使用する。

気体捕集媒体は,通常,流れが連続する状態において試験片を透過する分子が定量分析に十分なほど捕

集できる場合に使用する。気体の供給量は試験中安定したものでなければならない。供給量の変化によっ


6

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て試験化学物質の検出が妨げられてはならない。

例  窒素又は乾燥空気

5.3 

液体捕集媒体 

液体捕集媒体は,水又は防護服材料の耐透過性に影響を及ぼさない液体とする。

液体捕集媒体は,通常,揮発性の低い透過分子が定量分析に十分なほど捕集媒体に溶け出す場合に使用

する。

5.4 

その他の捕集媒体 

試験化学物質に対する捕集効率が適切であれば,

その他の捕集媒体として固体吸着剤なども使用できる。

試験装置 

6.1 

厚さ測定器  JIS K 6404-1 若しくは JIS L 1096 に規定する厚さ測定器,又はこれらと同等の厚さ 0.02

mm まで測定できるもの。

6.2 

化学天びん  JIS K 6404-1 若しくは JIS L 1096 に規定する天びん,又はこれらと同等の質量 0.01 g

まで読み取ることができるもの。

6.3 

透過テストセル  試験片の外側表面(服の外側)を試験化学物質に接触させ,試験片の内側表面(服

の内側)を捕集媒体と接触させるため,二つのセル隔室で構成するテストセルを使用する。

注記 1  附属書 に透過テストセル製造業者のリストを示す。

注記 2  附属書 に縫合部及び開閉具の耐透過性試験を行うときの留意点を示す。

透過テストセルは,

附属書 を参照してもよい。又はこれと同等の性能をもつ代替テストセルを使用す

るとよい。

6.4 

透過試験装置  透過試験装置の構成は,次による。

a)

ポンプ(必要であれば)

b)

流量制御装置

c)

配管

d)

透過テストセル

e)

捕集媒体中の試験化学物質の検出と定量に適する分析器

6.5 

ストップウォッチ又は適切な時間計測器 

6.6 

恒温室又は恒温槽  恒温室又は恒温槽は,透過テストセルを試験温度±1  ℃の温度に維持するため

に使用する。

システムの構成 

システムの構成は,開放回路系又は閉鎖回路系のいずれかとする。

7.1 

開放回路系 

開放回路系においては,

捕集媒体は,

捕集媒体容器から透過テストセルの捕集側を通って分析器に流れ,

分析器において試験化学物質の有無の分析が行われる。分析後,捕集媒体は廃棄される(

図 参照)。

試験片を透過する試験化学物質が捕集媒体に迅速に捕集されるよう,テストセルの捕集側を通る捕集媒

体の流速は十分とらなければならない。必要となる捕集媒体の流速は,透過テストセルの設計によって異

なるが,1 分間に透過テストセルの捕集側セル隔室の 5 体積量を実現できなければならない。


7

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1  新鮮な捕集媒体 
2  捕集側セル隔室 
3  捕集媒体 
4  ポンプ 
5  分析器 
6  排出

図 2−開放回路系透過試験装置の構成例 

7.2 

閉鎖回路系 

閉鎖回路系においては,

捕集媒体は,

捕集媒体容器から透過テストセルの捕集側を通って分析器に流れ,

分析器において試験化学物質の有無の分析が行われる。分析された捕集媒体は,捕集媒体容器に戻される

図 参照)。

注記  閉鎖回路系において液体捕集媒体を使用する際に生じる,ポンプの潤滑材による汚染,捕集媒

体と接触するポンプ部品の腐食などの問題は,捕集媒体の循環にぺリスタポンプ[ぜん(蠕)

動ポンプ]を使用することで解決することができる。ぺリスタポンプの設計によっては,捕集

媒体の流れが過剰に振動することがある。振動が過剰になると,試験片に過度の圧力がかかる

ことがある。

試験片を透過する試験化学物質が捕集媒体に迅速に捕集されるよう,テストセルの捕集側を通る捕集媒

体の流速を十分にとらなければならない。

このための最低流速は,

透過テストセルの種類によって異なる。


8

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1  再利用捕集媒体 
2  捕集側セル隔室 
3  捕集媒体 
4  ポンプ 
5  分析器(非破壊式) 
6  捕集媒体容器

図 3−閉鎖回路系透過試験装置の構成例 

検出 

8.1 

測定頻度 

破過時間を求めるための捕集媒体の測定頻度は,対象の試験化学物質及び使用する測定技術に基づき,

適正に設定する。

捕集媒体のサンプリング及び分析,すなわち,測定を連続して行わない場合,任意のデータポイント間

で補間を行うことによって,結果を推定してはならない。

注記  時間に対する透過速度又は質量のグラフが線形になることはほとんどなく,したがって,補間

の信頼性は低く,結果の誤解につながりかねない。

8.2 

分析方法 

次の条件を満たす方法であれば,いかなる分析方法も用いることができる。

a)

試験する試験化学物質に対する感度が適切である。

b)

捕集媒体に対する分析器の感度が低いか,又はその感度を正確に判定して感度分を差し引くことがで

きる。

c)

捕集媒体に固有の微量の不純物,又は試験片への接触時間が長時間に及んだために捕集媒体に入り込

んだ微量の不純物に対する分析器の感度が低い。

注記  例えば,着脱を容易にするために製造工程において手袋の内側に“粉を振りかけた”手袋の

試験をする場合,その粉に敏感な分析方法を用いてはならない。


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捕集媒体に透過した他の成分も同時に確認できることが望ましい。この確認は,例えば,クロマトグラ

フィによる保持時間又は吸収波長の形で行うか,又はイオン選択性電極などの幾つかの検出方法によって

行うことができる。閉鎖回路系においては,試験化学物質によって試験片に劣化が生じる場合には,試験

化学物質による破過が生じる前に,分解生成物が閉鎖回路系に混入する場合があるため,透過する化学物

質の確認が,特に重要になる。

検出方法の中には,検出した分子を部分的に又は完全に破壊してしまうものもある。例えば,水素炎イ

オン化検出(FID)は,検出した化学物質を燃やしてしまう。閉鎖回路系試験においてこのような検出方

法を使用する場合は,試験化学物質は,検出のために一部を失い,その量を減少させる。閉鎖回路系にお

いては,

検出方法によっては,

分析用に捕集媒体容積の減少及び捕集媒体中の試験化学物質の量の減少は,

常に補償されなければならない。

試験片 

9.1 

採取 

a)

防護服の試験片は,次のいずれかから採取する。

1)

防護服完成品

2)

縫製前の防護服材料

3)

防護服完成品から採取した縫合部

4)

縫製前の防護服材料に取り付けられた縫合部

5)

製品規格で指定する防護服の特定部位

防護服完成品から試験片を採取する場合,試験片は実際の防護服の構成を代表する。複層構造の試験片

は,全ての層が適切な順序で配置されていなければならない。ただし,複層構造試験片の内側表面又は外

側表面に透過性の高い層が存在する場合は,試験片とテストセルとの間の密閉を容易にするために,これ

らを取り除いて試験を行うことができる。

取り除いて試験を行った場合は,

その事実を報告書に記載する。

防護服に,

異なる材料又は厚さの異なる材料が用いられる場合,

それぞれの位置から試験片を採取する。

試験片は各 3 枚とし,テストセルの寸法と形状に合わせた,適切な寸法と形状の試験片を,ランダムに

採取する。必要に応じて,JIS Z 9015-1 に規定するランダム試験片を作製する。

b)

フットウエアの試験片は,次のいずれかから採取する。

1)

土踏まずの最も薄い平らな部位

2)

フットウエア完成品の厚さの最低値に相当する厚さの,フットウエア材料の平らなシート

3)

製品規格で指定するフットウエアの特定部位

c)

手袋の試験片は,次のいずれかから採取する。

1)

手袋の手のひら(掌)

2)

手袋の手の甲

3)

手袋の手首部分

4)

製品規格で指定する手袋の特定部位

9.2 

試験片の準備 

試験実施前に,試験片が試験温度±3  ℃以内となるように試料調整する。

注記  製品規格で要求される場合は,必要な試料調整及び/又は前処理を行う。

9.3 

試験片の厚さ及び質量の測定 

試験片の厚さの測定は,JIS K 6404-1 又は JIS L 1096 の 8.4(厚さ)によって行い,試験片の質量の測定


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は,JIS K 6404-1 又は JIS L 1096 の 8.3.2(標準状態における単位面積当たりの質量)によって行う。

10 

試験手順 

10.1 

一般 

a)  1

枚目の試験片を 6.3 の透過テストセルに取り付け,テストセルを組み立てる。装置は十分な力でボル

ト又はクランプで締め付けて,試験片及び試験化学物質と捕集媒体との両方を,漏れが生じない密閉

状態にする。

b)

特に指定のない限り,23±3  ℃の温度で試験を行う。試験開始前に,透過テストセル,捕集媒体及び

試験化学物質の全てが指定の温度範囲内にあるよう,必要な措置を講じる。

c)

捕集媒体を透過テストセルの捕集側セル隔室(材料試験片の内側表面が捕集側セル隔室内の環境にさ

らされる。

)に充塡する。

d)

捕集媒体を連続的にかくはん,循環又は流す。液体捕集媒体を使用する場合は,試験片の内側表面に

気泡が生じないよう,適切な措置を講じる。

注記 1  捕集媒体をかくはんする目的は,次のとおりである。

−  捕集媒体を均一にする。

−  防護服材料と捕集媒体との界面における透過物質の濃度境界層の発生を防止又は最低

限に抑える。

e)

捕集媒体の捕集を連続的又は不連続的に開始し,試験時間中,8.1 によって測定する。

注記 2  透過テストセルに試験化学物質を加える前にサンプリングを開始し基準値を確定する。

10.2 A

法−液体化学物質との連続接触試験 

a)

液体化学物質を透過テストセルの投入側セル隔室(材料試験片の外側表面が接触するセル隔室)に流

し始める。作業は迅速に行う。試験片外側表面の全体が試験化学物質に接触するよう,投入側セル隔

室を試験化学物質で満たし,試験時間の測定を開始する。

注記 1  試験化学物質の密度が高く,試験対象となっている防護服材料試験片が薄いラテックス・

フィルムのように強度が弱い場合,液体の重みで試験片がゆがんでしまい,サンプル面積

が拡大する。この場合は液体量を減らしてもよい。しかし,試験時間中,常に試験片が試

験化学物質で完全に覆われるように注意する。

b)  10.1

の e)  によって,試験開始後に,捕集媒体中の試験化学物質の濃度及び時間を記録する。

c)

次の条件のうち一つ以上が満たされた場合,サンプリングを中止し,試験を終了する(

図 参照)。

1)

透過が定常状態に達した場合[

図 の a)  及び図 の e)  参照]。

2)

標準破過時間を経過した場合。

3)

透過速度が定常状態に達した後,再び透過速度が増加し続けている場合[

図 の c)  参照]。

4)

最大速度に達している場合[

図 の b)  及び図 の d)  参照]。

5)  8

時間又は事前に設定した時間を経過した場合。

注記 2  使用者との協議によっては,8 時間以上継続することもでき,逆に 8 時間未満で打ち切

ることもできる。

d)

テストセルを分解し,完全に掃除する。

10.3 B

法−気体化学物質との連続接触試験 

a)

気体化学物質を透過テストセルの投入側セル隔室(材料試験片の外側表面が接触するセル隔室)に流

し始める。通過気体流量はセル隔室への入口に設置された流量計を用いて測定する。セル隔室容積の


11

T 8030

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5 倍量の気体を通過させた時点で,試験時間の測定を開始する。この 5 倍量の気体は,1 分以内にセル

隔室を通過させ,初期時間経過後は,試験片が常に試験気体化学物質と接触する範囲内で気体流速を

下げることができる。

b)  10.1

の e)  によって,試験開始後に,捕集媒体中の試験化学物質の濃度及び時間を記録する。

c)

次の条件のうち一つ以上が満たされた場合,サンプリングを中止し,試験を終了する(

図 参照)。

1)

透過が定常状態に達した場合[

図 の a)  及び図 の e)  参照]。

2)

標準破過時間を経過した場合。

3)

透過速度が定常状態に達した後,再び透過速度が増加し続けている場合[

図 の c)  参照]。

4)

最大速度に達している場合[

図 の b)  及び図 の d)  参照]。

5)  8

時間又は事前に設定した時間を経過した場合。

d)

テストセルを分解し,完全に掃除する。

a)

  透過挙動:透過挙動の典型的なタイプ。透過速度が“定常状態”値で安定する透過挙動タイプ 

図 4種類の透過挙動 


12

T 8030

:2015

b)

  透過挙動:材料試験片が化学物質によって構造的に変化したため, 

透過速度が増加又は減少する透過挙動タイプ 

c)

  透過挙動:材料試験片の透過速度が突然,急上昇する場合に生じる透過挙動タイプ 

図 4種類の透過挙動(続き) 


13

T 8030

:2015

d)

  透過挙動:材料試験片に中程度に又は重度の膨潤が見られるが, 

透過速度が最終的に安定化する場合に生じる透過挙動タイプ 

e)

  透過挙動:重度の膨潤が見られる場合に生じる透過挙動タイプ 

 Y  透過速度(毎分 μg/cm

2

  t  時間(min)

注記 1  上記以外の透過行動も考えられるが,一般的ではない。 
注記 2  参考文献[1]参照。

図 4種類の透過挙動(続き) 

10.4 C

法−液体化学物質又は気体化学物質との断続的接触試験 

a)

表 に示すいずれかの方法によって,気体又は液体の試験化学物質を試験片に断続的に接触させる。

試験の開始時には,

(液体に関しては)

“A 法”によって,

(気体に関しては)

“B 法”によって,試験

片を試験化学物質に暴露する。次いで,指定の接触時間が経過するまで(

表 参照),試験化学物質を


14

T 8030

:2015

試験片に接触させ,その後に,試験化学物質を取り除き,テストセルの投入側セル隔室を乾燥空気又

は不活性ガスで洗浄する。この洗浄は,指定されているパージ時間中,継続させる。このサイクルを

指定されている回数,繰り返す。

b)

洗浄は,乾燥空気又は不活性ガスを毎分,チャンバ容積の 10±1 倍の流速でテストセルの投入側セル

隔室に流し込むことによって行う。

気体捕集媒体に関しても,

同じパージガスの要求事項を適用する。

c)

(液体に関しては)10.2 の c)  の条件,

(気体に関しては)10.3 の c)  の条件のいずれかを満たしてい

る場合を除いて,指定されているサイクル回数の間,試験を続行する。

表 1−断続的接触試験で推奨する試験条件 

方法

接触時間

min

パージ時間

min

サイクル数

C1

1  10  11

C2

 5

10

 8

C3 10  60

2

d)

試験開始後,経過した時間と対比させて,捕集媒体中の試験化学物質の濃度を測定する。

10.5 

測定結果 

測定結果は,試験目的及び/又は製品規格の要求事項から,次の 3 種類の測定結果のうち,一つ以上の

値を用いて報告する。

a)

透過速度に基づく破過時間

b)

累積透過質量

c)

累積透過時間

注記  試験目的には,使用環境,完成品の使用目的などから,透過が事前に定められた累積質量又は

速度に達するまでの時間の測定を目的とする場合と,事前に定められた時間内に透過する累積

質量又は一定時間後の透過速度の測定を目的とする場合とがある。

10.5.1 

透過速度に基づく破過時間 

標準破過時間とは,透過速度が事前に設定した破過基準に最初に達した時間(計算のためのデータ例に

関しては,

表 参照)であり,この基準には,通常,毎分 0.1 μg/cm

2

又は毎分 1.0 μg/cm

2

が用いられる。

透過速度が破過基準に最初に達した時間の直前の測定時間を,報告書に記載する破過時間とする。デー

タの補間は信頼性が乏しく,認められない。

例  容積 100 mL の捕集媒体を使用する閉鎖回路系試験

試験化学物質と接触する試験片の面積は 5 cm

2

破過基準は,毎分 0.1 μg/cm

2


15

T 8030

:2015

表 2−標準破過時間を計算するためのデータの例 

分析時間

 

min

閉鎖回路系における
試験化学物質の濃度

μg/L

閉鎖回路系における
試験化学物質の質量

μg

試験片の単位面積に
透過した試験化学物

質の総質量

μg/cm

2

透過速度

 

毎分

μg/cm

2

0 0

0

0

0

5 0

0

0

0

10 0

0

0

0

12 1

0.1  0.02  0.01

14 2

0.2  0.04  0.01

16 3

0.3  0.06  0.01

18 5

0.5  0.1

0.02

20 7

0.7  0.14  0.02

22 12

1.2

0.24

0.05

24 18

1.8

0.36

0.06

26 38

3.8

0.76

0.20

28 61

6.1

1.22

0.23

30 90

9.0

1.8

0.29

透過速度が最初に破過基準を超えるのは,26 分の時点であり,この場合の破過時間は 24 分と報告する。

10.5.2 

累積透過質量 

累積透過質量とは,単位暴露面積を透過した化学物質が,試験開始時から事前に設定した時間を経過す

るまでに単位暴露面積を透過した化学物質の総量である(計算のためのデータ例に関しては,

表 参照)。

例  流速を 400 mL/min とする開放回路系試験

試験化学物質と接触する試験片の面積は 20 cm

2

事前に設定した時間間隔は 30 分

表 3−累積透過質量を計算するためのデータの例 

分析時間

 
 

min

任意の時間

間隔

 

min

捕集媒体中

の試験化学
物質の濃度

μg/L

試験化学物質

の捕集媒体へ

の流入率

μg/min

単位面積当たり

の透過速度

 

毎分

μg/cm

2

任意時間間隔

中に単位面積
を透過した化

学物質の質量

μg/cm

2

試験開始時から

各単位面積を透
過した化学物質

の総質量

μg/cm

2

0

− 0

0

0

0

0

1 1  0 0

0

0

0

2 1  0 0

0

0

0

… 0

0

0

0

0

22 2  0 0

0

0

0

24 2  0 0

0

0

0

26 2  8 3.2

0.16

0.32  0.32

27 1  10 4.0

0.2

0.2

0.52

28 1  13 5.2

0.26

0.26  0.78

29 1  17 6.8

0.34

0.34  1.12

30 1  23 9.2

0.46

0.46  1.58


16

T 8030

:2015

事前に設定した 30 分間に透過した化学物質の総質量は,1.58 μg/cm

2

となる。

10.5.3 

累積透過時間 

累積透過時間とは,単位暴露面積を透過した化学物質が,破過基準,すなわち,事前に定められた累積

透過質量に達するまでの時間である(計算のためのデータ例に関しては,

表 参照)。

報告書に記載する破過時間は,累積透過質量が破過基準に最初に達した時間の直前の測定時間とする。

データの補間は信頼性が乏しく,認められない。

例  捕集媒体の容積を 120 mL とする閉鎖回路系試験

試験化学物質と接触する試験片の面積は 4.8 cm

2

事前に設定した累積透過質量は,15 μg/cm

2

表 4−累積透過時間を計算するためのデータの例 

分析時間

min

捕集媒体中の試験化学

物質の濃度

μg/L

捕集媒体に透過した試験

化学物質の総質量

μg

試験片の単位面積を透過し

た試験化学物質の総質量

μg/cm

2

0 0

0

0

1 0

0

0

2 0

0

0

3 0

0

0

4 0

0

0

5 0

0

0

6 1

0.12

0.025

7 2

0.24

0.050

8 5

0.6

0.125

9 11

1.32

0.275

10 23

2.76

0.575

11 48

5.76

1.200

12 73

8.76

1.825

13 127

15.24

3.175

14 201

24.12

5.025

15 295

35.4

7.375

16 409

49.08

10.225

17 523

62.76

13.075

18 637

76.44

15.925

19 751

90.12

18.775

累積透過質量は,18 分の時点で最初に破過基準を超える。この場合,15 μg の破過時間は,17 分と報告

する。

10.6 

試験片の目視検査 

試験終了後,各試験片を目視検査し,試験化学物質との接触による試験片の変化がないかを観察する。

試験片乾燥後は,膨潤状態が観察されなくなることがあり,目視検査は,試験片が湿っているときと乾燥

させた後との両方で実施する。変色,剝離,膨潤,ぜい(脆)化,破れなどの変化が見られた場合は,記

録する。

10.7 

再試験 

a)

平均との差異が 20 %を超える結果を示した試験片の有無を調べる。


17

T 8030

:2015

b)

試験結果とそれらのデータ群の平均との差異が 20 %以内である場合には,箇条 11 に従って試験報告

書を作成する。

c)

試験結果とデータ群の平均との差異が 20 %を超えるものがある場合には,妥当と思われる理由を考察

する。試験片の厚さにおける大幅な差異等の妥当な理由が見いだされた場合には,箇条 11 に従って試

験報告書を作成し,その内容を報告書に記載する。妥当な理由が見いだされない場合は,9.1 によって

同一条件の試験片を 3 枚採取し,これを 2 セット目の試験片(代替試験片)として,再試験を実施す

る。

d)  2

セット目の試験片から得られた結果とそれらのデータ群の平均との差異が 20 %以内の場合には,2

セット目のデータだけに基づいて,箇条 11 に従って試験報告書を作成する。

e)

2 セット目の試験片から得られた結果とそれらのデータ群の平均との差異が 20 %を超えるものがある

場合には,f)  又は g)  に従う。ただし,f)  は,任意手順であり,採用の可否は,試験機関及び試験依

頼者両者の協議によって決定する。

f)

9.1

によって同一条件の試験片を 3 枚採取し,これを 3 セット目の試験片として,再試験を実施する。

3 回の試験結果つまり 9 個の結果から最も性能が低い結果(破過時間及び累積透過時間に関しては最

も短い値,累積透過質量に関しては最も大きい値)を除外する。

注記  9 個のデータの中に認められる最も低い性能を示す異常値を除外することは,この値が他の 8

個の値と比べ特異に低い値で,試験実施時の認識されていない操作上の誤びゅう(謬)に起

因する結果であることの可能性が想定できる場合にだけ適用できる。

8 個の残った結果と平均との差異が 20 %以内である場合は,残った結果(数を減らした結果)だけ

から,箇条 11 に従って報告書を作成する。除外した結果に関しては,全てを報告書に記載するととも

に,報告された平均破過時間又は平均累積透過時間の全体の計算には使われていないことを明記する。

8 個の残った結果と平均との差が 20 %を超える場合には,g)  に従う。

g)  2

回の試験結果つまり 6 個,又は 3 回の試験結果つまり 9 個の結果から,最も性能が高い結果(破過

時間及び累積透過時間に関しては最も大きい値,

累積透過質量に関しては最も小さい値)

を除外する。

残った結果と平均との差が 20 %以内である場合は,残った結果だけから,箇条 11 に従って試験報告

書を作成する。残った結果の中に平均との差が 20 %を超えるものがある場合には,残った結果と平均

との差が 20 %以内になるまで,最も性能が高い結果(破過時間及び累積透過時間に関しては最も大き

い値,累積透過質量に関しては最も小さい値)を除外するという作業を繰り返し,残った結果だけに

基づいて,箇条 11 に従って試験報告書を作成する。除外した結果に関しては,全てを報告書に記載す

るとともに,報告された平均値の計算には使われていないことを明記する。

注記  試験結果が二峰性分布を示す場合,最高性能を示す結果を放棄する作業を繰り返すことによ

って,分布中の,より低い性能を示す単峰部分に基づく報告書,すなわち,より安全サイド

に立った報告書を作成することとなる。

11 

報告書 

試験報告書には,次の情報を記載する。

a)

この規格(JIS T 8030)の番号及び西暦年

b)

用いた試験方法の種類

例 1  “A 法”,“C2 法”

c)

試験材料の名称及び用いた試験片の採取方法


18

T 8030

:2015

注記 1  必要に応じ,例えば,試験片を材料から採取したのか防護服完成品から採取したのかの別,

試験片の組成(繊維の種類,加工剤など)

,供給企業名,ロット番号,試験材料の納品日

を記載する。防護服完成品から試験片を採取した場合は,それぞれの材料に関し,その構

成,縫合部の種類,又はその他の試験条件(実施した試料調整・前処理など)

,及び採取

した防護服完成品の部位を記載する。

d)

試験片の厚さ及び平均厚さ(単位:mm)

e)

9.1

に基づいて取り外した多層試験片の層についての説明

f)

試験片の単位面積当たりの質量及び平均質量(単位:g/m

2

g)

使用した試験化学物質

注記 2  その物理的状態と濃度(溶液の場合),及びその等級又は純度

h)

試験時間を分(min)の単位で表記する。

i)

捕集媒体(該当する場合は,流速及びかくはん速度)

,システム構成(開放回路系又は閉鎖回路系)及

び使用した分析方法。

注記 3  システム構成に相違がある場合,試験結果に大きな差異が生じる可能性がある。このため,

全ての透過試験について,用いたシステム構成を記載することが重要である。

j)

断続的試験の場合は,サイクル時間,接触時間,パージ時間及びサイクル数。

k)

分析器の感度が,開放回路系システムにおいては,透過速度の最小検出限界値が毎分 0.05 μg/cm

2

未満,

累積透過の最高検出限界値が毎分 10  μg/cm

2

超え,閉鎖回路系システムにおいては,透過質量の最小

検出限界値が 0.05

μg/cm

2

未満,最高検出限界値が 500

μg/cm

2

超えとする基準値に適合していない場合

は,破過時間の報告においては,定量化できた最小及び最大透過速度,累積透過質量又は累積透過時

間の報告においては,検出できた最小及び最大透過質量。

l)

各試験片の破過時間,及び平均破過時間。

m)

各試験片の透過速度に基づく破過時間,累積透過質量又は累積透過時間,及び各々の平均。透過速度

に基づく破過時間の報告には,標準透過速度を示す下付き文字を添えなければならない。

例 2 BT

0.1

,又は BT

1.0

透過プロセスが定常状態に達した場合は,観察された定常状態の透過速度を報告することが望まし

い。

n)

開放回路系透過試験において透過が検出されなかった場合若しくは標準透過速度に達しなかった場

合,又は閉鎖回路系透過試験において設定した標準累積透過質量に達しなかった場合若しくは透過が

検出されなかった場合は,その事実を報告する。

o)  10.6

で観察した内容。

p)

再試験を実施した場合は,10.7 に規定する全ての報告事項。


19

T 8030

:2015

附属書 A

(参考)

推奨試験化学物質

A.1 

目的 

この附属書の目的は,試験プログラムにおける化学防護服材料の評価用として,液体及び気体化学物質

の推奨リストを提供することである。

注記 1  これらの試験化学物質を用いた試験プログラムから得られた結果は,化学防護服材料の明確

な特性を提供するものではない。

注記 2  この試験化学物質リストは,全ての試験化学物質を包含しているわけではない。これらの化

学物質は,多様な液体及び気体化学物質のクラスと特性を代表させるために選択されたもの

であり,全ての化学物質クラスが表示されているわけではない。この附属書の推奨化学物質

のほかに,特に製造業者又は利用者が関心をもつ化学物質についても試験するのがよい。

A.2 

推奨液体試験化学物質 

試験化学物質の一般名及び異名を,次に示す。また,CAS 登録番号を[  ]内に示す。

a)

アセトン(2-プロパノン)

[67-64-1]

b)

アセトニトリル(シアノメタン)

[75-05-8]

c)

二硫化炭素[75-15-0]

d)

ジクロロメタン(塩化メチレン)

[75-09-2]

e)

ジエチルアミン[109-89-7]

f)

酢酸エチル[141-78-6]

g)  n-

ヘキサン[110-54-3]

h)

メタノール(メチルアルコール,カルビノール)

[67-56-1]

i)

水酸化ナトリウム(40 質量  %)

ρ =1.33 kg/L[1310-73-2]

j)

硫酸(96 質量  %)

ρ =1.83 kg/L∼1.84 kg/L[7664-93-9]

k)

硫酸(18 質量  %)

l)

テトラヒドロフラン(THF,1,4-エポキシブタン)

[109-99-9]

m)

トルエン(トルオール)

[108-88-3]

A.3 

推奨気体試験化学物質 

試験化学物質の一般名,最小純度及び異名を,次に示す。また,CAS 登録番号を[  ]内に示す。

a)

アンモニア,無水(99.99 %)

[7664-41-7]

b)

塩素(99.5 %)

[7782-50-5]

c)

塩化水素(99.0 %)

[7647-01-0]

A.4 

推奨試験化学物質の説明 

A.2

及び A.3 の化学物質は,化学防護服着用者が遭遇すると予想される化学物質の多くを代表する試験

化学物質である。このリストは,他の用途にも適用される一般的リストではなく,化学防護服の耐透過性


20

T 8030

:2015

試験用のリストである。

試験化学物質は,二つの化学物質のグループから構成される。一つは,多くの化学的バリア材料を透過

するとして知られている化学物質のグループで,他の一つは,化学防護服の着用者が遭遇する可能性が高

い汎用的な危険化学物質のグループである。一部の試験化学物質はこの両方のカテゴリーに入る。A.2 

び A.3 に挙げられている化学物質の全てに対して良好な性能を発揮する防護服材料は,通常,大半の化学

物質に対して多岐に及ぶ防護性能を発揮すると推定することができる。

このリストに挙げられている化学物質は,通常,当該タイプの化学物質の最も小さな分子であるが,通

常の温度と圧力の下において,より小さな分子がガス状である場合,また,より小さな同属体が二量体又

は三量体を形成する場合は,液体は気体よりも凝縮率がはるかに高く,透過の過程が試験対象の化学物質

の濃度に大きく左右されるという理由から,液体の分子が選ばれている。

固体は,ごく少数の例外を除いて,化学防護服が着用されると予想される時間内に化学的バリア壁を透

過しないという理由から,試験化学物質のリストには挙げられていない。固体に関しては,現在のところ,

信頼できる透過試験方法も存在しない。

化学物質の破過時間は,その毒性と何ら関係しない。リストに挙げられている試験化学物質は,透過が

生じた場合に,その成分が着用者に有毒か否かという基準には関係なく,当該化学物質が当該化学防護服

材料を透過するか否かを試験する試験化学物質として選ばれている。したがって,このリストに周知の毒

物が挙げられていないという理由から,このリストに欠陥があると解釈してはならない。

リストに挙げられている化学物質は,防護服がその成分に対して防護機能を発揮すると予想される化学

物質に絞って選択されている。空気に対して強烈に反応する化学物質,不安定な爆発物及び極低温液体な

どの化学物質は,その危険性がほとんどの化学防護服の製品規格の適用範囲を超えるという理由から,考

慮の対象にはしていない。

a) 

アセトン−ケトン中の最小物質−非常に一般的な工業溶剤

b) 

濃硫酸−強力な酸化性溶液−一般的な工業用酸

c) 

ジクロロメタン−最小液体クロロアルカン−ハロゲン溶剤の代表−多くの化学的バリア材を容易に透過

d) 

トルエン−最小芳香族分子の一つ(ベンゼンのほうがこれよりも若干小さいが,試験に使用するには,

発がん性が高すぎると考えられている。

e) 

ジエチルアミン−最小かつアルカリ性が最も高い液体有機アミン

f) 

メタノール−最小アルコール分子

g) 

アセトニトリル−最小有機ニトリル分子−ニトリル単量体の代表

h) 

アンモニア−一般的な工業用冷却剤

i) 

ヘキサン又はヘプタン−アルカン−石油燃料の代表

j) 

酢酸エチル−最も一般的なエステル−工業溶剤として大量に使用される。

k) 

塩化水素−極性無機ガスの代表−一部のプラスチックとゴムの燃焼生成物−清潔な消毒用酪農機器に

使われる濃縮塩酸溶液から放出される。

l) 

塩素−ハロゲンの代表−飲用水及び水泳用プールの消毒剤として広く使われる。

m) 

二硫化炭素−最小液体有機硫化物

n) 

水酸化ナトリウム溶液−強力なアルカリ水溶液の代表

o) 

テトラヒドロフラン−液体エーテルの最小分子−透過性の高い化学物質の代表

p) 18 

%

硫酸−強力な酸性水溶液の代表−タイプ 3 及びタイプ 4 の防護服の使用対象となる典型的な化学

物質


21

T 8030

:2015

附属書 B

(参考)

透過テストセル及び透過セル用部品の供給元

この附属書に掲載した製品は,市販製品の一例である。この情報は,この規格の利用者の便宜を図って

掲載するもので,この製品を推奨するものではない。

テストセルには,Corning Glass, Catalog No.72-0702(長さ,1 インチ単位)か,又はこれと同等のものを

使用することができる。

フランジには,Corning Glass, Catalog No.72-9062(アルミニウム)か,又は Catalog No.72-9654(鋳鉄)

を使用することができる。

ガスケットには,Corning Glass, Catalog No.72-9256 を使用することができる。

PTFE ガスケット材は,W.L. Gore and Associates, Inc., Industrial Sealant Group, Elkton, MD 21921, USA が販

売している。

透過テストセルは,次のところでも販売されている。

Verre Equipements

3 rue des Quatres Chemins, 69660 Collonges au Mont d’Or, France

Cambridge Glassblowing Limited

Brookfield Business Centre, Twentypence Road, Cottenham, Cambridge, CB24 8PS, England

Pesce Lab Sales Inc.

226 Birch Street, Kennett Square, PA 19348, USA

A.A. Pesce Glass Company Inc.

PO Box 1578, Hockessin, DE 19707, USA

LABC-Labortechnik

Müller & Zillger GbR, Josef-Dietzgen-Strasse 1, 53773 Hennef, Germany


22

T 8030

:2015

附属書 C 
(参考)

透過テストセルの設計及び仕様例

C.1 

液体試験化学物質用透過テストセル 

液体化学物質を収容でき,ぴたりと合う断面をもつ二つのガラスセル隔室から構成されている。それぞ

れのセル隔室の内径は,25 mm 又は 51 mm である(

図 C.1 参照)。

ガラスと併用できない化学物質(例えば,ふっ化水素酸など)の試験には,ガラス以外の材料を用いて

もよい。

a)

ガラス製の透過テストセルは,次に示すように準備する。

1)

セル隔室の片側は,各ガラス断面の片側を密閉する(例えば,元のセル隔室のガラスと同等の質を

もつガラス製円板を用いて密閉する。

2)

反対側の断面は,互いの表面が密着するように平滑にする。

3)

セル隔室には,

図 C.1 に示すコックの付いた入口部及び出口部を取り付ける。

4)

二つのセル隔室をフランジで水平に連結し,

接合部にガスケットを挟み込む。

適切に密閉するため,

必要に応じて,試験片の反対側にもう 1 枚のガスケットを用いてもよい。

例 1 PTFE ガスケット材料

5)

表面が平滑でない試験片及び部位(縫合部又は開閉具)の試験には密封材を追加する必要が生じる

ことがある。

例 2  ブチル密封材,円形材(round profile)

6)

より高い分析感度が必要である閉鎖回路系試験では,短めのガラス・パイプを使って捕集媒体を収

容してもよい。体積を減らすことによって,捕集媒体の体積に対する材料試験片面積の比を増加さ

せることができる。開放回路系試験では,捕集媒体の流速を遅くすると,透過速度の最小検出限界

が下がり,システムの感度が向上する。

b)

投入側セル隔室(チャレンジサイド)は,液体化学物質の入口と反対の位置に,下向きに出口(コッ

ク付き)をもう一つ追加するように改良してもよい。この改良をすることによって,断続的試験中に

液体化学物質の流入・除去の繰り返しが容易となる。

c)

テストセルを構成するガラス製セル隔室の間に防護服材料試験片を挟む。試験片が適切に配置された

場合,テストセルは二つのセル隔室に分割される。

注記  透過テストセルの部品の供給元を,附属書 に示す。


23

T 8030

:2015

1  交換式かくはん棒

5  標線

2  試験化学物質の入口

6  投入側セル隔室(チャレンジサイド)

3  止水栓アダプタ

7  捕集側セル隔室(サンプリングサイド)

4  試験片

8  アルミニウム・フランジ

図 C.1−試験化学物質が液体の場合の透過テストセル 

C.2 

気体試験化学物質用透過テストセル 

気体化学物質を収容できる透過テストセル。

図 C.1 を基準にすると,二つの捕集媒体セクションが用い

られている以外は,液体の透過テストセルと同じである。したがって,貯留槽から投入側セル隔室(チャ

レンジサイド)を通して,気体化学物質を循環させることができる。テストセル隔室内のガスの組成及び

濃度が時間とともに変化しないようにする。セル隔室内の試験ガスは,十分混合させる。

テストセルを構成するガラス製セル隔室の間に防護服材料試験片を挟む。試験片が適切に配置された場

合,テストセルは二つのセル隔室に分割される(

図 C.2 参照)。


24

T 8030

:2015

1  捕集側セル隔室(サンプリングサイド)

5  防護服材料試験片

2  投入側セル隔室(チャレンジサイド)

6  ガスケット

3  バルブ

7  アルミニウム・フランジ

4  充塡用チューブ

図 C.2−気体試験化学物質用に構成された透過テストセル 


25

T 8030

:2015

C.3 

上記以外の透過試験用透過テストセル(図 C.3 参照) 

単位  mm

1  ルーズカバー

4  ねじ

2  上方セル隔室(試験液用)

5  下方セル隔室(捕集媒体用)

3  試験片

試験片の暴露面積:4.91 cm

2

下方セル隔室の容積:17.2 cm

3

図 C.3−代替透過テストセル 


26

T 8030

:2015

附属書 D 
(参考)

縫合部及び開閉具の耐透過性試験

D.1 

一般 

化学防護服の製品規格の多くは,縫合部及び開閉具の耐透過性試験を求めているが,その方法に関する

詳細は記載されていない。ここでは,縫合部及び開閉部の試験に当たっての理論的問題点及び実際の場に

おける問題点を取り上げ,考えられる幾つかの解決策を提案する。

D.2 

理論上の考察 

化学防護服の縫合部及び開閉具の化学物質に対する防護性が十分かどうかということを明らかにするこ

とは,重要なことである。縫合部において漏れが生じることは,その防護服材料に高い耐透過性があった

としても,防護服としての性能に欠陥があることを意味する。したがって,縫合部及び開閉具も防護服材

料と同じ耐透過性試験を行うことが必要であるが,次の理由から,必ずしも同じようには実施できない。

a)

耐透過性試験は,試験化学物質と接触する防護服材料の単位面積当たりの透過速度(累積透過量)を

測定するが,縫合部,開閉具などは,帯状の形状である特徴をもつ。

b)

縫合部,開閉具などの試験は,それだけを切り離して行うことができない。試験においては,必然的

にその両側の防護服材料も試験することになる。したがって,試験結果は,テストセル内で試験化学

物質と接触する両側の材料に対する縫合部又は開閉具の相対的比率に左右される。

c)

標準的な透過テストセルは,円状である。試験化学物質と接触する縫合部又は開閉具の面積と防護服

材料面積との相対的比率は,テストセルのサイズに左右される。

これらのことから,縫合部及び開閉具の試験結果は,透過テストセルのサイズ及び形状に大きく左右さ

れることになる。次の例によって説明する。

例 1  標準的な公称 2.54 cm{1 in}直径のテストセルで試験した場合,化学物質と接触する幅 1 cm の

縫合部の面積は 2.47 cm

2

,接触する材料の面積は 2.58 cm

2

で,防護服材料面積に対する縫合部

面積の比率は,約 1:1 である。公称 5.08 cm{2 in}のテストセルで試験すると,化学物質と接

触する縫合部の面積は 5.04 cm

2

,防護服材料の面積は 15.21 cm

2

となり,防護服材料面積に対す

る縫合部面積の比率は,約 1:3 となる。すなわち,公称 2.54 cm{1 in}のテストセルを使った

場合のほうが,耐透過性に与える縫合部の影響が大きくなる。

例 2  幅 2.75 cm の縫合部を公称 2.54 cm{1 in}のテストセルを使って試験した場合,試験化学物質

と接触する部分は全て縫合部であり,100 %縫合部の耐透過性の結果が得られる。ただし,縫

合部と防護服材料との境界部に試験化学物質が接触していないため,縫合部に使用している接

着剤の影響は確認できていない。2.75 cm の縫合部を,公称 5.08 cm{2 in}のテストセルで試験

すると,防護服材料の面積に対する縫合部の比率は,1.8:1 となり,結果は,防護服材料の耐

透過性の影響が生じてくる。

以上のように,試験結果がテストセルのサイズによって左右される。

また,

例 の公称 2.54 cm{1 in}のテストセルの場合は,縫合部と防護服材料との境界部が試験化学物

質に接触していないため,防護服の耐透過性の評価としては不十分である。


27

T 8030

:2015

D.3 

解決策の検討例 

標準的な透過テストセルは,全て,平らな平面の試験片を試験するよう設計されており,縫合部又は開

閉具にみられるような盛り上がった部分を取り付けることは簡単ではない。しかしながら,次のような工

夫を加えれば,ほとんどの縫合部と,少なくとも一部の開閉具を標準的なテストセルに取り付けることが

できるものと考える。

a)

縫合部及び開閉部の上下に,柔らかいゴムの座金を用いる。十分に柔らかいゴムを使い,盛り上がっ

た部分をこのゴムの中に押し込む。この場合,座金が押し潰されて,試験化学物質又は捕集媒体と試

験片とが接触する面積が少なくならないように気を付ける。

b)

硬化していない,又は部分的に硬化しているゴムのシール材を使用する。これらは,自動車産業,建

設業又は水産業で使用される固形シール材を利用して,縫合部又は開閉具の形に密着するシールを成

型する。この場合も,シール材が大きすぎて,試験片と試験化学物質又は捕集媒体との接触が少なく

ならないように配慮する。

c)

液体シール材を使用する。シリコン製の浴室用シール材,アクリル製装飾用シール材,速硬性の接着

剤などを使用することができる。これらは試験装置を組み立てるときに使用し,試験開始時には完全

に硬化するように調整する。このような処置に加えて,これらのシール材の一部は,硬化の過程にお

いて,溶媒,酢酸などを放出する可能性があることにも留意する。これらの物質は,縫合部及び開閉

具に影響を与えるか,又は捕集媒体の分析を妨げる可能性がある。

d)

縫合部又は開閉部を樹脂で固める。多くの場合,樹脂の環状部分に固定することが可能である。樹脂

で縫合部又は開閉具の中心部を除いて,外側周囲を覆う。その後,縫合部又は開閉具の上下に平らな

座金を置き,この組合せでテストセルにセットする。この場合,樹脂は,試験結果に影響を与えない

ものを選ぶ必要がある。

e)

外形を合わせた詰め具を使用する。これは,開閉具の形状に合わせて成型した厚い座金である。化学

物質に対する耐透過性に優れた開閉具を試験する場合には,特にこの手法が役に立つ。液体シール材

を使って,この詰め具を更にシールすることもできる。

これらのゴム,シール材,樹脂及び詰め具は,いずれの場合も,試験化学物質と長時間接触しても,試

験に影響を与えないものを選ぶ必要がある。


28

T 8030

:2015

附属書 E

(参考)

試験所間比較及び試験片間の差異

透過試験は,事実上,破壊試験である。このため,同じ試験片を試験することによって試験所間におけ

る再現性を評価することはできない。試験所間の比較は,たとえ試験片セットが同じ試料から採取した場

合であっても,それぞれの試験所で別の試験片セットを使って試験を行うこととなる。比較は,全ての試

験片が全く同じであるとの前提に基づいている。しかし,過去 20 年にわたる透過試験の経験から,試験片

間及び試料間の差異はかなり大きいという結論が導き出されている。

個々の透過試験に伴う測定の不確かさは低いと思われるものの,反復試験の結果の差異がより高いこと

が,測定の不確かさだけによって説明されることがある。試験片間の差異が 3 枚の試験片を測定した結果

の平均よりも 20 %も高いこともある。透過試験の結果は,次の要素を含む各種の要素に敏感であることが

知られている。

a)

製造上の許容範囲内であっても,試験片及び試料の厚さの差異

b)

表面のきず及び表面処理の欠陥

c)

コーティング生地,フットウエア又は手袋の基布の微小な欠陥又は不具合

d)

基布から離脱した繊維が被覆全体に広がり,毛細管現象によって,被覆全体に化学物質が急速に浸透

する経路を作り出す場合

e)

ポリマー又はエラストマー形成における微小な不均質性

f)

折り曲げ,屈曲,摩擦などを含む,試料及び/又は試験片の履歴

g)

通常の取扱時における天然皮脂,化粧品などによる汚染

h)

印刷又は型押しなどの特定の表面加工

i)

同じ材料への異なる染色剤の使用などの,色素の違い

同じ防護服,手袋又はフットウエアから採取した試料間の少しの違いが,透過試験結果に大きな差異を

生じる可能性がある。したがって,透過試験方法の試験所間の再現性を評価する場合,試料間の差異が大

きな制限要因となる。

透過テストセルのデザイン,寸法などの差異は,結果の質に全く又はほとんど影響を与えない。試験結

果は,捕集媒体が液体であるか気体であるかということに敏感であることが判明している。試験片を試験

装置に密着させる方法には様々な方法があるが,試験片を密閉性の高い方法で密着させないと,必ずとい

ってよいほど,破過時間が短くなる。

次のデータは,CEN/TC162 が,2011 年 11 月に 14 の試験所に協力を依頼して実施した試験所間試験に

おいて得られたものである。この試験は,ISO 6529 及び CEN/TC162/JWG-permeation/N 043 が指定した

追加仕様に基づいて実施された。これらの追加仕様は,ごく小さい違いが含まれている。しかしながら,

試験材料と試験化学物質との三つの組合せに関しては,

表 E.1 に挙げられている試験所間差異に本質的な

影響を与えるものではないと考えられる。


29

T 8030

:2015

表 E.1−試験材料と試験化学物質との三つの組合せに対する 

破過時間に関する試験所間試験の結果 

試験材料/試験化学物質

ハイパロン/トルエン

クロロプレンゴム/

硫酸 96 %

ニトリルゴム/

メタノール

材料源

この調査のために用意

商業用手袋

商業用手袋

参加試験所数 13

14

13

異常値削除後の試験所数 12

13

13

破過時間の平均値

167 min

208 min

52 min

試験所間差異

14 %

34 %

31 %

参考文献 

[1]  Nelson G.O., Lum B.Y., Carlson G.J., Wong C.M., Johnson J.S. Glove permeation by organic solvents. Am. Ind.

Hyg. Assoc. J. 1981, 42 PP. 217-225


30

T 8030

:2015

附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS T 8030:2015

  化学防護服−防護服材料の耐透過性試験

ISO 6529:2013

,Protective clothing−Protection against chemicals−Determination of

resistance of protective clothing materials to permeation by liquids and gases

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

3  用 語 及
び定義

3.9  破 過 点 検 出 時
間:試験化学物質が
最 初 に 検 知 さ れ る

までの時間

3.2

ISO

規格は“最初に検知

されたサンプリング時間
の直前のサンプリング時

間”としている。

変更

破過点検出時間,標準破過点検

出時間及び破過時間との間で
用語の使い方に矛盾があるた

め,各々の定義を整理した。

次回 ISO への提案を検討する。

3.13  標 準 破 過 点 検
出時間:透過速度又
は 累 積 透 過 質 量 が

破 過 基 準 に 達 す る

までの時間

3.13

透過速度だけを採用して

いる。

変更

追加

製品規格でも引用されている

ため,閉鎖回路系試験で使用す
る累積透過質量の概念を追加

した。

次回 ISO への提案を検討する。

3.15  標 準 累 積 透 過
質量:標準破過点検

出 時 間 の 決 定 に 用

ら れ る 累 積 透 過 質

追加 3.12

標準透過速度に対応する

標準累積透過質量の定義を追

加した。

次回 ISO への提案を検討する。

3.17  破過基準:標準
破 過 点 検 出 時 間 を

決 定 す る た め の 透
過 速 度 又 は 累 積 透

過質量

追加

累積透過質量の概念を追加し

たため,新たに定義を追加し

た。

次回 ISO への提案を検討する。

3.18  破過時間:報告
に 使 用 す る 耐 透 過
性試験時間

追加

ISO

規格では,破過点検出時間

の中に 3.9 及び 3.17 の概念が混
用されているため再定義した。

次回 ISO への提案を検討する。

30

T

 80

30

201

5


31

T 8030

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

4  原理

原理を説明

4

JIS

にほぼ同じ

変更

用語として“破過点検出時間及

び標準破過点検出時間”の代わ
りに“破過時間”を採用した。

技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

5  分 析 技
術 及 び 捕
集 媒 体 の

選択

分 析 技 術 及 び 捕 集

媒 体 の 選 択 に つ い
て規定

5

JIS

にほぼ同じ

削除

解説的要素の高い内容を記載

した段落及び注記を削除した。
技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

6  試 験 装

分 析 に 使 う 装 置 に

ついて規定

6

JIS

にほぼ同じ

削除

解説的要素の高い内容を記載

した段落及び注記を削除した。
技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

6.2  化学天びん

6.2

追加

装置の精度に関する規定を追

加した。技術的な差異はない。

7  シ ス テ
ムの構成

シ ス テ ム の 構 成 を

説明

7

JIS

にほぼ同じ

削除

解説的要素の高い内容を記載

した段落及び注記を削除した。
技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

8  検出

検出方法を規定

8

JIS

にほぼ同じ

削除

解説的要素の高い内容を記載

した段落及び注記を削除した。

技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

8.1  測定頻度

8.1.1 
表 1

想定される結果(破過時
間)から対応する最低測

定頻度を規定している。

削除

最適な測定頻度は,対象物質及
び測定手法に依存して変化す

るため,一律の値を提示する表
1 を削除

9  試験片 9.3

試験片の厚さ及

び質量の測定:測定

方法を規定

9.3

測定方法は“注記”に記

変更

JIS

法の採用も可とし,ISO 

格の“注記”に記載の測定方法

を規定に移動した。

31

T

 80

30

201

5


32

T 8030

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

10  試験手

10

JIS

にほぼ同じ

削除

解説的要素の高い内容を記載

した段落及び注記を削除した。
技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

10.1

透過試験の前に水を用い

て ISO 13994

JIS T 8031

浸透圧力試験の手順 A に
よってプレスクリーニン

グを行うとする。

削除

ISO 13994

JIS T 8031)の手順

A は,5 分間 0 kPa,続いて 10
分間 14 kPa の圧力をかけ,防
護服材料に対する液体の浸透

性を評価する試験手順である。

浸透は,分子レベルで化学物質
が材料を通過するプロセスで

あり,透過は,非分子レベルで

化学物質が材料を通過するプ
ロセスである。二つの試験は材

料を化学物質が通過するプロ

セスが異なるため,浸透圧力試
験を透過試験のプレスクリー

ニングに用いることには,論理

的矛盾があるため削除した。

次回 ISO への提案を検討する。

10.2

分析器の感度について規
定し,このための校正の

必要性に関する記載。

削除

分析器の感度については,箇条
11 の k)  に規定した。

次回 ISO への提案を検討する。

10.3

試験システムが一定の精

度を維持するために,検
証に必要性を記載。

削除

試験者にとって,試験を行う際

にこの試験システムが一定の
精度を維持していることは必

然であり,あえて箇条を設け規

定する必要はないとして,JIS
では削除した。

次回 ISO への提案を検討する。

 10.1

一般

10.4

JIS

にほぼ同じ

変更

試験温度を製品規格で規定す

る温度に変更した。

JIS

:23±3  ℃

ISO

規格:23±1  ℃

次回 ISO への提案を検討する。

32

T

 80

30

201

5


33

T 8030

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

10  試験手
順(続き)

10.4 c)  C 法の手順
の一部

10.7.5

JIS

にほぼ同じ

変更

ISO

規 格 で は , 除 外 条 件 を

10.4.2 及び 10.5.3 としている
が,誤りで,正しくは 10.5.3

及び 10.6.3 である。JIS では,

除外条件を 10.2 の c)  及び 10.3
の c)  としている。

次回 ISO への提案を検討する。

 10.4

d)

C 法の手順

の一部

10.7.6

JIS

にほぼ同じ

削除

測定頻度に注記を加えている

が,JIS では削除した。注記で

あり,技術的な差異はない。

次回 ISO への提案を検討する。

 10.5

測定結果

10.8

JIS

にほぼ同じ

変更

各項を細別として列記し,注記
に解説を加えた。

 10.5.1

透 過 速 度 に

基づく破過時間

10.8.1

標準破過時間

変更

JIS

の用語及び定義に整合させ

た。

次回 ISO への提案を検討する。

 10.5.3

累 積 透 過 時

10.8.3

JIS

にほぼ同じ

追加 10.5.1 との整合のため,10.5.1

と同じくデータの補間が認め
られないことを追記した。

次回 ISO への提案を検討する。

 10.7

f)

10.10.6

変更

ISO

規 格 で は , こ の 手 順

(10.10.6)の採用は,事実上任

意であるとしているが,規格に
そぐわない表現であり,受渡当

事者間双方の協議によること

を任意ではなく義務化し,修正
した。

次回 ISO への提案を検討する。

11  報告書

c)  試験片の採取方

11 c)

JIS

にほぼ同じ

変更

ISO

規格では,本文に記載して

いる具体的な記載項目を注記

として例示した。

例示であるため,注記で問題な

い。次回 ISO への提案を検討す

る。

 h)

試験時間の単位

11 h)

JIS

にほぼ同じ

変更

ISO

規格では試験時間を“時間

(h)”で表示するとしている

が,JIS では試験時間を“分

(min)

”で表示する。

製品規格では“分(min)

”での表

示を要求しているため。

次回 ISO への提案を検討する。

33

T

 80

30

201

5


34

T 8030

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

11  報告書
(続き)

m)  破通時間等

11 o)  の
次段落

JIS

にほぼ同じ

変更

ISO

規格では,観察された場合

は,

“定常状態の透過速度を報

告しなければならない”として

規定しているが,これを推奨事

項とした。

実施される例は少なく,実態に合

わせた。 
次回 ISO への提案を検討する。

各試験結果について図 1
の図の作成及び報告を要

削除

実施される例はほとんどなく,
実態に合わせ,要求項目から削

除した。

次回 ISO への提案を検討する。

 p)

再試 験 を 実施 し

た場合の報告

追加

再試験を実施した場合は,10.7

に報告事項が規定されている。
箇条 11 には,この項目がない

ため追加した。

次回 ISO への提案を検討する。

附属書 C

(参考)

図 C.2  気 体 試験 化

学 物 質 用 に 構 成 さ
れ た 透 過 テ ス ト セ

書 C  図 C.2  気体試験化学物質

用に構成された透過テス
トセル

変更

図 C.2 のフランジの位置がセ

ルの裏面にしか付いていない
図となっているため,修正し

た。

次回 ISO への提案を検討する。

附属書 D

一般事項,校正手順例,

最小感度の判定方法例,
測定の不確かさに関する

概念について記載する。

削除

推奨手順であり,かつ,解説的

要素の高い内容であり,附属書
としては削除した。

次回 ISO への提案を検討する。

附属書 D

(参考)

縫 合 部 及 び 開 閉 具

の 耐 透 過 性 試 験 に
ついて記載

書 E

JIS

にほぼ同じ

変更

一部の数値の変更,文章構成の

修正を加えた。 
技術的な差異はない。

書 F

規定した内容の再録。

削除

あえて附属書とする必要性は

ない。

次回 ISO への提案を検討する。

34

T

 80

30

201

5


35

T 8030

:2015

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6529:2013,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

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