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T 8010 : 2001

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS T 8010 : 1979 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,前回改正以来の技術進歩及び使用環境の変化を考慮して改正を行った。

JIS T 8010

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)  沿面距離


日本工業規格

JIS

 T

8010

 : 2001

絶縁用保護具・防具類の

耐電圧試験方法

Testing method for withstand voltage of personal

protective equipment and insulating devices

1.

適用範囲  この規格は,7 000V 以下の電線路の活線作業,その近接作業などで,感電などの危害を防

止するために用いる絶縁用保護具,絶縁用防具及び絶縁用防護具の一般商用周波数における耐電圧試験及

び充電電流の測定方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補は適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最

新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 0920

  電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

絶縁用保護具(以下,保護具という。)  活線作業,活線の近接作業などで,作業者の感電などの危害

を防止するために,当該作業者が着用する絶縁性のもの(

1

)

b)

絶縁用防具(以下,防具という。)  活線作業,活線の近接作業などで,作業者の感電を防止するため

に,電線路の充電部,支持物などに装着する絶縁性のもの(

2

)

c)

絶縁用防護具(以下,防護具という。)  建設作業において,建設物周辺の電線路に建設機械器具,作

業者又はその取扱物が接近又は接触することによる作業者の感電を防止するために,当該電線路の充

電部,支持物などに装着する絶縁性のもの(

3

)

d)

水中試験  供試品の内部に水を満たして水槽中に保持し,当該供試品の内外面の水を電極として行う

試験。

e)

気中試験  供試品の内外面に導電性の金属又は導電性の液体(

4

)

を含浸した布地などを導電体として密

着させ,両面の導電体をそれぞれ電極として行う試験。

f)

沿面距離  水中試験又は気中試験において,二つの電極間に介在する供試品の表面に沿った最短距離。

(

1

)

保護具には電気用安全帽,電気用ゴム手袋,電気用袖カバー,電気用絶縁衣,電気用長靴など

がある。

(

2

)

防具には,電気用絶縁管,電気用絶縁シート,電気用絶縁カバー,接地体用の絶縁カバーなど


2

T 8010 : 2001

がある。

(

3

)

防護具には,建設用防護管,建設用防護シート,建設用防護カバーなどがある。

(

4

)

この試験で用いられる主な導電性の金属としては,銅,黄銅,アルミニウムなどがあり,導電

性液体としては,水,石けん溶液,水溶性シリコーンなどがある。

4.

試験方法の種類及び適用

4.1

試験方法の種類  試験方法の種類は,次による。

a)

水中試験

b)

気中試験

c)

散水後に行う気中試験

4.2

試験方法の種類の適用  試験方法の種類の適用は,供試品の構造及び形状によって,次のいずれか

による。

a)

供試品の内外面に規定の沿面距離を保ち,その内外の水位が同一になるまで水を満たすことができる

構造のものは,水中試験を行う。

例  電気用安全帽,電気用ゴム手袋,電気用長靴

b)

水中試験を行うことが不可能なものは,気中試験を行う。

例  電気用絶縁シート,建設用防護管

c)

散水後に行う気中試験は,建設用防護管に適用する。

5.

試験条件

5.1

試験室の標準状態  この試験は,特に指定する場合を除いて,JIS Z 8703 に規定する常温 (20±

15)

℃,常湿[相対湿度 (65±20) %]の室内で行う。

5.2

供試品の試験準備

a)

水中試験及び気中試験においては,供試品は,試験実施前,少なくとも 1 時間以上 5.1 に規定する標

準状態の試験室内に置いたものを用いる。

b)

散水後に行う気中試験においては,供試品は,JIS C 0920 の 4.5“保護等級 3(防雨形)

”に規定する

試験方法によって散水を行ったものを用いる。

6.

試験装置及び器具

6.1

耐電圧試験装置  耐電圧試験装置は,主に変圧器,回路遮断器,電圧調整装置などからなり,各装

置の性能は,次による。

a)

変圧器  変圧器は,供試品の充電電流に対して適正容量以上のもので,かつ,試験電圧の 1/2 以上で,

波高率が 1.34∼1.48 の範囲内でなければならない。また,三次巻線をもつものは,その精度が±1%以

内でなければならない。

なお,二次側に保護抵抗を挿入する場合には,その電圧降下による誤差が無視できる程度でなけれ

ばならない。

備考  充電電流の小さい供試品に対しては,定格 500VA 程度の試験用変圧器又は定格負荷 100VA 以

上の計器用変圧器を用いてもよい。

b)

回路遮断器  回路遮断器は,供試品の絶縁破壊によって流れる電流から変圧器及び電極を保護するた

め,破壊により自動的に,速やかに動作しなければならない。


3

T 8010 : 2001

c)

電圧調整装置  電圧調整装置は,ほぼ一定の電圧上昇速度が得られるものを用い,(1)可変比単巻変圧

器,(2)抵抗分圧器,(3)誘導電圧調整器による方法のうちのいずれかによるものとし,電圧の調整のと

きに回路が遮断されてはならない。

6.2

測定計器  試験電圧,充電電流の測定などに用いる測定計器は,次のような精度をもち,測定値が

その定格値の 15∼85%の範囲でなければならない。

なお,測定計器は,正しく取り付け,電圧計及び電流計に関しては,少なくとも 1 年に 1 回以上,その

性能について検査を実施し,校正しなければならない。

a)

電圧計  試験電圧を測定するための電圧計は,実効値を指示するものであって,その精度は,0.5 級以

上のものでなければならない。ただし,静電電圧計を用いる場合には,2.5 級以上のものでよい。

b)

電流計  充電電流を測定するための電流計は,実効値を指示するものであって,その精度は,1.0 級以

上のものでなければならない。

c)

周波数計  試験装置に用いる電源の周波数を測定したい場合に用いるものであって,その許容差は,

±1%以内でなければならない。

6.3

電極  電極は,次による。

a)

水中試験の場合には,供試品の内外面の水を電極とする。

b)

気中試験の場合には,供試品の形状及び寸法に適合し,かつ,供試品の表面に密着する導電性金属(縁

部を丸く仕上げた構造)

に織布,フェルト又はウレタンフォームなどを内張りしたものを電極とする。

ただし,供試品の形状などによって電極の一部が織布,フェルト,ウレタンフォーム,導電性金属だ

けであってもよく,また,供試品の表面が平滑なシート状のもの若しくは管状のもので試験時に供試

品にひずみを与えず,かつ,電極が供試品の表面に密着できる構造の場合,又は供試品が耐オゾン性

に富み,オゾンによって劣化,き裂などの変質のおそれのない場合には,導電性金属だけであっても

よい。

なお,織布,フェルト,ウレタンフォームを用いる場合には,導電性液体を十分含浸させる。

参考  以上のものを総合した試験装置の結線の一例を,参考図 に示す。


4

T 8010 : 2001

参考図 1  試験装置の結線例

6.4

散水器具  散水器具は,JIS C 0920 の参考 に示すじょろ口とする。

7.

試験方法

7.1

試験電圧の測定方法  試験電圧の測定方法は,次のいずれかの方法による。

a)

試験用変圧器の三次巻線に電圧計を接続する。

b)

高圧側に静電電圧計を接続する。

c)

計器用変圧器の二次側に電圧計を接続する。

d)

一次側の電圧から換算する。ただし,この場合,供試品の静電容量と変圧比の関係から,あらかじめ

試験装置ごとに特性を確認しておく。

7.2

試験電圧  試験電圧は,規定試験電圧値の 75%まで速やかに上昇させ,以降は 1 秒間に約 1 000V の

割合で規定試験電圧値まで高める。

7.3

試験時間  試験時間は,規定試験電圧値に達したときから起算して連続印加する時間とする。

7.4

充電電流の測定方法  耐電圧試験中に流れる充電電流を測定する場合には,一般に接地側に接続し

た電流計によって測定する。測定値の丸め方は,JIS Z 8401 による。

多数同時に並列して耐電圧試験を行う場合の充電電流は,算術平均値で示す。

参考  試験電源周波数の違いによる充電電流の換算方法を,次に示す。


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T 8010 : 2001

試験電源周波数が 50Hz で測定された充電電流を 60Hz に換算したい場合には,

次の式による。

なお,数値の丸め方は,JIS Z 8401 による。

60

50

50

60

×

=

I

I

ここに,  I

60

: 60Hz における充電電流 (mA)

I

50

: 50Hz における充電電流 (mA)

7.5

沿面距離  試験の際の沿面距離は,沿面放電を生じない限度において,できる限り小さくする。水

中試験では,供試品の形状によって沿面距離を均等にとれない場合もあるが,このような場合には,沿面

距離が最短となる箇所で測定する。気中試験では,できる限り沿面距離が均一になるように電極形状を工

夫する。

なお,受渡検査の場合には,試験を容易に簡便にするために,沿面距離を多少緩和してもよい。

参考  沿面距離の目安を,附属書(参考)に示す。

7.6

試験時における供試品及び電極の配置と状態

7.6.1

水中試験の場合

a)

供試品は,縁の部分を上にして水槽中に保持し,供試品の沿面部分が水槽に接触しないようにする。

b)

供試品の内側の水電極に挿入する導電体は,先端の滑らかな金属棒又は金属製鎖を用い,供試品内面

を傷つけたり,供試品に変形を与えないもので,供試品の沿面部分に接触しないようにする。

c)

多数同時に並列して試験する場合には,供試品相互が接触しないよう適当な間隔を保つ。

d)

沿面部分は,濡れてはならない。

7.6.2

気中試験の場合

a)

電極は,供試品の変形を加えることなく,供試品の内面及び外面に密着させる。

b)

多数同時に並列して試験を行う場合には,電極間の放電を避ける。

c)

沿面部分は,濡れていてはならない。

7.6.3

散水後に行う気中試験の場合  供試品に散水後,水滴をふき取らずに,当該供試品の内面及び外面

に電極を密着させる。

8.

記録  試験成績書には,次の事項を記録しなければならない。

a)

試験年月日

b)

試験室の温度及び湿度

c)

試験電圧及び試験時間

d)

試験結果(充電電流を測定した場合には,充電電流値も含む。

e)

その他の必要事項


6

T 8010 : 2001

附属書(参考)  沿面距離

序文  この附属書(参考)は,沿面距離について記述するものであり,規定の一部ではない。

沿面距離は,試験電圧及び試験の種類によって当然異なるが,このほかに供試品の種類によっても多少変

える必要がある。現状の国内外の規格を基に,保護具,防具及び防護具における沿面距離の目安は,次に

よる。

1.

電気用ゴム手袋,電気用長靴,絶縁シートなどの絶縁用保護具,防具,防護具については,試験電圧

及び試験の種類の違いによって,

附属書表 に示すような沿面距離を目安とすることが望ましい。

附属書表 1  沿面距離

沿面距離  mm

試験電圧  kV

水中,気中試験の場合

散水後の気中試験の場合

3

以下 30 以内 40 以内

  3

を超え10 以下 40 以内 50 以内

10

を超え15 以下 50 以内

(

1

)

15

を超えるもの 70 以内

(

1

)

(

1

)

沿面放電が生じない限度とする。

2.

電気用安全帽のように,沿面距離をあまり大きくすると耐電圧性能を試験する必要部分が小さくなっ

てしまうようなものについては,試験電圧及び試験の種類の違いによって,

附属書表 に示すような沿面

距離を目安にすることが望ましい。

附属書表 2  沿面距離

沿面距離  mm

試験電圧  kV

水中,気中試験の場合

散水後の気中試験の場合

3

以下 30 以内 40 以内

  3

を超え10 以下 40 以内 50 以内

10

を超え15 以下 50 以内

(

2

)

15

を超えるもの 60 以内

(

2

)

(

2

)

沿面放電が生じない限度とする。


7

T 8010 : 2001

JIS

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

田  中  隆  二

社団法人産業安全技術協会

(委員)

南  本  禎  亮

労働省労働基準局

市  川  健  二

労働省産業安全研究所

西  出  徹  雄

通商産業省工業技術院

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会

大  関      親

中央労働災害防止協会

初  見  隆  司

財団法人日本電気用品試験所

滝  田  和  宣

東京都立工業技術センター

中  井  佐  敏

東日本旅客鉄道株式会社

石  松  文  顯

東京電力株式会社

三  浦  由  三

株式会社関電工

浜  中      進

株式会社きんでん

飯  田  和  道

株式会社キョウワ

梅  脇  幸  弘

ヨツギ株式会社

大  脇  宣  夫

株式会社イノアックコーポレーション

吉  田      寳

渡部工業株式会社

(事務局)

三  上  圭  二

社団法人日本保安用品協会