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T 7403-2:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本バイオマテリアル学会(JSB)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 5832-9:1992,Implants for surgery―

Metallic materials

―Part 9: Wrought high nitrogen stainless steel を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本

工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願

公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS T 7403-2

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 7403

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS T 7403-1

第 1 部:ステンレス鋼

JIS T 7403-2

第 2 部:高窒素ステンレス鋼


 
T 7403-2:2005

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  用語の定義

3

4.

  品質

3

4.1

  溶鋼分析

3

4.2

  完全焼きなまし材の金属組織

3

4.3

  機械的性質

3

5.

  試験

4

5.1

  溶鋼の化学分析試験

4

5.2

  引張試験

4

6.

  検査

5

7.

  報告

5

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

6


日本工業規格

JIS

 T

7403-2

:2005

外科インプラント用鉄基合金―

第 2 部:高窒素ステンレス鋼

Stainless steel based alloys for surgical implant applications―

Part 2: Wrought high nitrogen stainless steel

序文  この規格は,1992 年に第 1 版として発行された ISO 5832-9,Implants for surgery―Metallic materials

―Part 9: Wrought high nitrogen stainless steel を元に,対応する部分については対応国際規格を翻訳し,技術

的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,具体化のため,対応国際規格には規定されて

いない規定項目を追加している。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。変更の一覧表をそ

の説明を付けて,

附属書(参考)に示す。

1.

適用範囲  この規格は,外科インプラントを製造するために使用される高窒素ステンレス合金鍛造材

の化学成分,機械的性質及びその試験方法について規定する。

備考1.  この高窒素ステンレス鋼を用いて製造された最終製品から採取した試験片の機械的性質は,

必ずしもこの規格を満足しなくてもよい。

2.

固溶化熱処理線材の機械的性質に関しては,現時点で規定できるサイズでの値を規格化して

いる。受渡し当事者間の協定により,必要な引張り強さと破断伸びを得ることができる。

3.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 5832-9:1992

,Implants for surgery―Metallic materials―Part 9: Wrought high nitrogen stainless

steel (MOD)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0201

  鉄鋼用語(熱処理)

JIS G 0202

  鉄鋼用語(試験)

JIS G 0404

  鋼材の一般受渡し条件

備考  ISO 404:1992  Steel and steel products―General technical delivery requirements からの引用事項

は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 0416

  鋼及び鋼製品―機械試験用供試材及び試験片の採取位置並びに調整

備考  ISO 377:1997  Steel and steel prouducts―Location and preparation of samples and test pieces for

mechanical testing

が,この規格と一致している。



T 7403-2:2005

JIS G 0551

  鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法

備考  ISO 643:1983  Steels―Micrographic determination of the ferritic or austenitic grain size からの引

用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 0555

  鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法

備考  ISO 4967:1998  Steel―Determination of content of nonmetallic inclusions―Micrographic method

using standard diagrams

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 0571

  ステンレス鋼のしゅう酸エッチング試験方法

JIS G 0575

  ステンレス鋼の硫酸・硫酸銅腐食試験方法

備考  ISO 3651-2:1998  Determination of resistance to intergranular corrosion of stainless steels―Part

2:Ferritic,austenitic and ferritic-austenitic (duplex) stainless steels

― Corrosion test in media

containing sulfuric acid

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 1211

  鉄及び鋼―炭素定量方法

備考  ISO 437:1982  Steel and cast iron―Determination of total carbon content―Combustion gravimetric

method

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 1212

  鉄及び鋼―けい素定量方法

備考  ISO 439:1994  Steel and iron―Determination of total silicon content―Gravimetric method からの

引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 1213

  鉄及び鋼―マンガン定量方法

JIS G 1214

  鉄及び鋼―りん定量方法

備考  ISO 10714:1992  Steel and iron―Determination of phosphorus content―Phosphovanadomolybdate

spectrophotometric method

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS G 1215

  鉄及び鋼―硫黄定量方法

JIS G 1216

  鉄及び鋼―ニッケル定量方法

JIS G 1218

  鉄及び鋼―モリブデン定量方法

JIS G 1219

  鉄及び鋼―銅定量方法

JIS G 1228

  鉄及び鋼―窒素定量方法

JIS G 1237

  鉄及び鋼―ニオブ定量方法

JIS G 1238

  鉄及び鋼−クロムの定量方法−電位差又は目視滴定法

JIS G 1253

  鉄及び鋼―スパーク放電発光分光分析方法

JIS G 1256

  鉄及び鋼―蛍光 X 線分析方法

JIS G 1257

  鉄及び鋼―原子吸光分析方法

JIS G 1258

  鉄及び鋼―誘導結合プラズマ発光分光分析方法

JIS Z 2201

  金属材料引張試験片

備考  ISO 6892:1984  Metallic materials―Tensile testing からの引用事項は,この規格の該当事項と

同等である。

JIS Z 2241

  金属材料引張試験方法

備考  ISO 6892:1984  Metallic materials―Tensile testing からの引用事項は,この規格の該当事項と

同等である。


3

T 7403-2:2005

3.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS G 0201 及び JIS G 0202 によるほかは,次によ

る。

a)

固溶化(熱)処理  焼きなまし(Annealing)は,ステンレス鋼全般に用いられるが,特にオーステナ

イトステンレス鋼においては,オーステナイト相中へクロム炭化物を分解再固溶させる必要があるた

め,固溶化(熱)処理となる。

4.

品質

4.1

溶鋼分析  溶鋼の化学成分は,5.1 によって試験を行ったとき,表 による。

  1  溶鋼の化学成分

化学成分  %

その他の元素

C Si

Mn

Ni

Cr

Mo

Nb

S P

Cu

N Fe

各々

全量

0.08

以下

0.75

以下

2

4.25

9

11

19.5

∼22

2

∼3

0.25

∼0.8

0.01

以下

0.025

以下

0.25

以下

0.25

0.5

残部 0.1 以下 0.4 以下

参考  その他の元素としては,蛍光 X 線分析可能な元素として,Ti, Al, Zr, V, Co, Zn, Sn, Ta, W などがある。 

4.2

完全焼きなまし材の金属組織

4.2.1

結晶粒度  オーステナイトの結晶粒は,JIS G 0551 によって行い,結晶粒度番号が 4 より細かくな

ければならない。

備考  結晶粒度の測定は,最終固溶化熱処理後で,最終冷間加工前で行うことが望ましい。最終冷間

加工材で行う場合には,横断面を用いるべきである。

4.2.2

δフェライト  固溶化熱処理材の縦断面と横断面から観察試料を採取し,JIS G 0571 などに準じて

腐食した後,100 倍の光学顕微鏡観察で,δフェライトを含んではならない。

4.2.3

非金属介在物  厚さ 15 cm 未満のビレットでの鋼の非金属介在物は,表 に示した値を超えてはな

らない。

  2  非金属介在物

介在物の含有量指数

介在物の種類

薄いシリーズ

厚いシリーズ

グループ A−硫化物系 
グループ B−アルミナ系

グループ C−シリケート系
グループ D−粒状酸化物系

1.5

2

2

2.5

1.5

1.5

1.5

1.5

備考  これらの清浄度の鋼を製造するには,真空溶解及びエレクトロスラグなど

の特殊な設備が必要かもしれない。 

4.2.4

耐食性  試験前に 650  ℃で 30 分間保持後,空冷した鋭敏化熱処理材を用い,JIS G 0575(本体の

Strauss

試験)に準じ,連続 20 時間の沸騰試験による粒界腐食試験に合格しなければならない。

4.3

機械的性質  棒材,線材,薄板及びストリップの機械的性質(引張強さ,耐力及び破断伸び)は,

5.2

によって試験を行ったとき,

表 3による。



T 7403-2:2005

  3  棒材の機械的性質

引張試験

仕上方法

直径又は厚さ

mm

引張強さ

MPa

耐力

MPa

破断伸び

固溶化熱処理 80 以下 740 以上 430 以上 35 以上

参考  ISO でも ASTM F 1586 に準じ,直径 20 mm 以下に対して,引張強さ:1 000 MPa 以上,耐力:

700 MPa

以上,破断伸び:20  %以上の Medium hard(中硬度)材,及び引張強さ:1 100 MPa

以上,耐力:1 000 MPa 以上,破断伸び:10  %以上 Hard(高硬度)材が加えられる動きがあ
る。 

  4  線材及び棒材の機械的性質

引張試験

仕上方法

直径(d)

mm

引張強さ

MPa

破断伸び

0.025

d≦0.381 1

340

以上 25 以上

0.381

d≦0.635 1

040

以上 25 以上

0.635

d≦0.889 1

030

以上 25 以上

固溶化熱処理

0.889

d 1

030

以上 25 以上

冷間引抜き(

1

)

3

3.5

4

4.5

5

5.5

6

1 800

以上

1 740

以上

1 600

以上

1 460

以上

1 320

以上

1 200

以上

1 060

以上

4

以上

4

以上

4

以上

4

以上

6

以上

8

以上

12

以上

注(

1

)

試験前の線材の直径:6.5 mm

参考  固溶化熱処理において,1.の備考 2.に示した理由から強度の規定が存在していない直径に関し

ては,ISO で改正の動きのある値を加えた。 

  5  薄板及びストリップの機械的性質

引張試験

仕上方法

引張強さ

MPa

耐力

MPa

破断伸び

固溶化熱処理 770 以上 465 以上 35 以上

5.

試験

5.1

溶鋼の化学分析試験  化学成分の化学分析試験は,次による。

5.1.1

分析試料の採取  分析試料の採取及び一般事項は,JIS G 0404 の 8.及び JIS G 0416 による。

5.1.2

分析試験  化学分析試験は,JIS G 1211JIS G 1212JIS G 1213JIS G 1214JIS G 1215JIS G 

1216

JIS G 1218JIS G 1219JIS G 1228JIS G 1237JIS G 1238JIS G 1253JIS G 1256JIS G 1257

又は JIS G 1258 のいずれかによる。

5.2

引張試験

5.2.1

試験片  試験片は,JIS Z 2201 によって,採取条件は,JIS G 0416 による。試験片の本数は,ある


5

T 7403-2:2005

同一ロッド(製造プロセス及び熱処理が同一)で少なくとも 2 本以上とする。

5.2.2

試験方法  引張試験は,JIS Z 2241 による。

6.

検査  5.によって試験を行い,4.の規定に適合しなければならない。4.3 の規定に適合しなかった場合

及び標点間以外で破断した場合には,JIS G 0404 の 9.8 に従い,再試験しなければならない。

7.

報告  製造業者は,必要に応じて材料名,製造方法,寸法,質量,製造年月日,製造業者名,製造番

号,試験の成績などを記載した明細書を注文者に提出する。

関連規格  ASTM F 1586  Standards specification for wrought nitrogen strengthened 21 chromium-10 nickel-3

manganese-2.5 molybdenum stainless steel alloy bar for surgical implant (UNS S31675)



T 7403-2:2005

附属書(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 7403-2:2005

外科インプラント用鉄基合金−第 2 部:高

窒素ステンレス鋼

ISO 5832-9:1992

,外科用インプラント−第 9 部:高

窒素ステンレス鋼

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的

差異の項目ごとの評価及びそ

の内容 
  表示箇所:本体 
  表示方法:点線の下線

項目番号

内容

(

Ⅱ)

国際規

格番号

項目 
番号

内容

項 目 ご と の
評価

技 術 的 差 異 の
内容

(

Ⅴ)  JIS と国際規

格との技術的差異

の理由及び今後の
対策

1.

適 用 範

高 窒 素 ス テ
ン レ ス 鋼 の
特 性 及 び 対

応 す る 試 験
方 法 に つ い
て規定。

ISO 

5832-9

1

JIS

に同じ IDT

2.

引 用 規

JIS G 0201

JIS G 0202

JIS G 0404

JIS G 0416

JIS G 0551

JIS G 0555

JIS G 0571

JIS G 0575

JIS G 1211

JIS G 1212

JIS G 1213

JIS G 1214

JIS G 1215

JIS G 1216

JIS G 1218

JIS G 1219

JIS G 1228

JIS G 1237

JIS G 1238

JIS G 1253

JIS G 1256

JIS G 1257

JIS G 1258

JIS Z 2201

JIS Z 2241

 2

― 

ISO 404

ISO 377

ISO 643

ISO 4967

ISO 3651

ISO 437

ISO 439

ISO 10714

― 

― 
― 

― 
― 

― 
― 

ISO 6892

ISO 6892 

MOD/

追加

MOD/

追加

IDT

IDT

IDT

IDT

MOD/

追加

IDT

IDT

IDT

MOD/

追加

IDT

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

MOD/

追加

IDT

IDT

JIS

のあるもの

については JIS

を追加し,より
具 体 的 に す る
ため ASTM 

引用した。 

実質的な差異はな
い。

3.

用 語 の

定義

固溶化(熱)処
理 の 用 語 を
定義した。

― MOD/追加

具 体 的 に わ か
り や す く す る
た め 用 語 を 定

義した。

実質的な差異はな
い。


7

T 7403-2:2005

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅲ)  国際規格の規

(

Ⅳ) JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及

びその内容 
  表示箇所:本体 
  表示方法:点線の下線

項目番号

内容

(

Ⅱ )

国 際

規 格
番号

項目 
番号

内容

項 目 ご と
の評価

技 術 的 差 異 の
内容

(

Ⅴ)  JIS と国際規格と

の技術的差異の理由及

び今後の対策

4.

品質

4.1

溶鋼分析  C, Si, Mn, Ni,

Cr, Mo, Nb, S,

P, Cu, N, Fe

化学成分を規

定。

 3

JIS

に同じ

IDT

4.2

完 全 焼

き な ま し 材

の金属組織

金属組織の結
晶粒度,δフ

ェライト,非
金属介在物を
規定。

 4

JIS

に同じ

MOD/

追加

具 体 的 に JIS
の 試 験 方 法 規

格を明示。

ISO

規格には,認可さ

れた方法に準じてとの

記述があり,実質的な
差異はない。

4.2.4

耐食性

耐 食 性 を 規
定。

 5

JIS

に同じ

IDT

4.3

機械的性

引張強さ,耐

力,破断伸び
を規定。

 6

JIS

に同じ

IDT

5.

試験

5.1

溶鋼の化

学分析試験

化学分析試験
を規定。

 7

JIS

に同じ

MOD/

追加

具 体 的 に JIS
及び ASTM 

試 験 方 法 規 格
を明示。

ISO

規格には,認可さ

れた分析方法に準じる

との記述があり,実質
的な差異はない。

5.2

引張試験  引張試験を規

定。

 7

JIS

に同じ

MOD/

追加

JIS T 7401

に準じて試

験片の本数を追加。

6.

検査

検査方法を規
定。

 6

IDT

構成上の変更。

7.

報告

製造業者は,
必要に応じて

報告の明細書
を注文者に提
出することを

規定。

― MOD/追加

商 取 引 に お い
て は 必 要 な も

のであり,追加
した。

JIS T 7401

に準じて追

加。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

―  IDT………………  技術的差異がない。

    ―  MOD/追加………  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

2.

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

―  MOD……………国際規格を修正している。