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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 7321-1989 

高気圧酸素治療装置 

Hyperbaric Oxygen Chambers 

1. 適用範囲 この規格は,低酸素症などの治療に使用する高気圧酸素治療装置(以下,装置という。)に

ついて規定する。 

備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって規格

値である。 

引用規格: 

JIS B 7505 ブルドン管圧力計 

関連規格:JIS B 8243 圧力容器の構造 

JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方 

関連法規 :労働安全衛生法 

 労働安全衛生法施行令 

 労働省令ボイラ及び圧力容器安全規則 

 消防法 

 消防法施行規則 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。 

(1) 高気圧酸素治療 大気圧よりも高い気圧環境の中に患者を収容し,この患者に高濃度の酸素を適用す

ることによって病態の改善を図ろうとする治療。 

(2) 気積 装置の内容積。 

(3) 最高使用圧力 国で定める圧力容器規定(1)による第二種圧力容器として使用できる装置の最高圧力。 

(4) 最高治療圧力 装置を治療に使用する場合の最高圧力。 

注(1) 労働安全衛生法の第二種圧力容器に関する安全規則などによる。 

3. 種類 種類は,収容する患者の定員によって次のとおりとする。 

(1) 第1種装置 1名の患者を収容する装置 

(2) 第2種装置 同時に2名以上の患者,又は患者と共に治療に従事する医療職員を収容する装置 

4. 最高使用圧力 装置の最高使用圧力は,ゲージ圧力0.54MPa {5.5kgf/cm2} を超えないものとする。 

5. 寸法 

5.1 

第1種装置の気積 第1種装置の気積は,2m3以下とする。 

T 7321-1989  

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5.2 

第2種装置の気積 第2種装置の気積は,内部に収容される人員1名について4m3以上とする。 

6. 構造及び性能 

6.1 

本体の構造 本体の構造は,次のとおりとする。 

(1) 装置加圧部本体の形状は,原則として円筒形又はだ円筒形とする。 

(2) 第1種装置は,原則として単室構造とする。 

(3) 第2種装置は,少なくとも主室及び副室の2室構造とする。主室は,少なくとも単独に加圧でき,ま

た,主室と副室とを同時に加圧でき,かつ,主室の加圧された状態において副室を加圧し,減圧でき

る構造とする。 

6.2 

扉の構造 装置の扉は,容易な操作で完全に閉鎖し,開放できるものとする。 

また,装置内部の圧力が大気圧より高い場合には,扉を開放できない安全装置を設けるものとする。 

6.3 

観察用窓 装置の観察用窓は,次のとおりとする。 

(1) 第1種装置には,可視部の直径が100mm以上の内部観察用窓を2個以上,又はこれと同等以上の視

野を得ることができる内部観察用部分1個以上を設けるものとする。 

(2) 第2種装置には,外部の装置を操作する場所において,内部に収容された患者の状況及び医療職員の

作業状態を完全に観察し,監視できる内部観察用窓などを取り付けるものとする。 

6.4 

加圧時の物品授受設備 第2種装置には,装置が加圧されているとき,装置の内部と外部との間に

装置内の圧力を変化させずに物品の出納授受ができる設備を取り付けるものとする。この物品授受設備に

は,誤って使用されることのないよう,必要な安全装置及び防護装置を設けなければならない。 

6.5 

送気系 

6.5.1 

第1種装置の送気系 第1種装置の送気系は,次のとおりとする。 

(1) 高圧ガスを充てん(填)した容器から装置へ送気を行う場合には,2段以上の減圧方式による調整器

を使用する。 

(2) 空気圧縮機を使用して装置へ送気を行う場合には,無油式空気圧縮機を使用し,かつ,送気される空

気を清浄にするための空気清浄装置を設ける。 

(3) 酸素による加圧及び空気による加圧の両者を可能とする装置においては,空気送気系も酸素送気系に

準じた材料を使用する。気体清浄装置もこれに準じるものとする。 

(4) 圧力0.98MPa {10kgf/cm2} 以上の酸素を充てんした高圧ガス容器から6.8.1によって患者に酸素を投与

する場合には,2段以上の減圧方式による調整器を使用する。 

(5) 加圧の速度は,毎分0.078MPa {0.8kgf/cm2} 以下とし,速度を任意に,かつ,微細に調節できる構造と

する。 

(6) 送気弁は,これを排気に使用できない構成とする。 

6.5.2 

第2種装置の送気系 第2種装置の送気系は,次のとおりとする。 

(1) 高圧ガスを充てんした容器から装置へ送気を行う場合には,2段以上の減圧方式による調整器を使用

する。 

(2) 空気圧縮機を使用して装置へ送気を行う場合には,無油式空気圧縮機を使用し,かつ,送気される空

気を清浄にするため除じん(塵),除菌及び油分除去のできる空気清浄装置を設ける。 

(3) 圧力0.98MPa {10kgf/cm2} 以上の酸素を充てんした高圧ガス容器から6.8.2によって患者に酸素を投与

する場合には,2段以上の減圧方式による調整器を使用する。 

(4) 送気弁は,これを排気に使用できない構成とする。 

T 7321-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(5) 加圧の速度は,毎分0.078MPa {0.8kgf/cm2} 以下とし,速度を任意に,かつ,微細に調節できる構造と

する。 

6.6 

排気系 排気系は,次のとおりとする。 

(1) 排気弁は,送気弁とは別にこれを設ける。 

(2) 減圧の速度は,毎分0.078MPa {0.8kgf/cm2} 以下とし,速度を任意に,かつ,微細に調節できる構造と

する。 

(3) 第1種装置の排気系には,通常使用される排気弁のほかに,最高使用圧力から0.009 8MPa {0.1kgf/cm2} 

まで60秒以内に減圧できる緊急減圧用排気弁又はこれに代わる緊急減圧装置を備えるものとする。こ

の緊急減圧用排気弁は一操作で全開できるものとし,不必要なとき誤って使用されることがないよう,

必要な保護装置及び銘板を附属するものとする。 

6.7 

換気系 

6.7.1 

第1種装置の換気系 第1種装置の換気系は,次のとおりとする。 

(1) 換気系は,換気流量を微細に調節できる構造とする。 

(2) 換気系は,患者1名を収容して空気又は酸素によって加圧し,患者の呼気を装置内に放出する場合に,

装置内の二酸化炭素分圧が0.0009 8MPa {0.01kgf/cm2} を超えない構造とする。 

(3) 換気系には,流量計又はこれに代わる換気確認装置を取り付ける。 

6.7.2 

第2種装置の換気系 第2種装置の換気系は,次のとおりとする。 

(1) 換気系は,換気流量を微細に調節できる構造とする。 

(2) 換気系は,患者及び医療職員を収容して空気によって加圧し,患者及び医療職員の呼気を装置内に放

出する場合に,装置内の二酸化炭素分圧が0.0009 8MPa {0.01kgf/cm2} を超えない構造とする。 

(3) 換気系には,換気流量計を取り付ける。 

6.8 

酸素系及び空気呼吸系 

6.8.1 

第1種装置の酸素系 第1種装置の酸素系は,次のとおりとする。 

(1) 装置内全体を空気で加圧し,患者だけに酸素を投与する方式又は装置内全体を酸素で加圧する方式と

する。 

(2) 酸素の供給圧力を表示する計器を医療職員の見やすい位置に取り付ける。 

6.8.2 

第2種装置の酸素系及び空気呼吸系 第2種装置の酸素系及び空気呼吸系は,次のとおりとする。 

(1) 患者に対する酸素投与の方式は,マスク,気管内挿管,人工呼吸器又はその他の方法によって患者だ

けに酸素を投与する方式とする。 

(2) 患者の呼吸のために供給する酸素系は,その最高供給圧力を装置の最高使用圧力に0.39MPa 

{4kgf/cm2} を加えた圧力とする。 

(3) 医療職員の呼吸のために供給する酸素系は,その最高供給圧力は0.57MPa {5.8kgf/cm2} とし,装置内

の圧力が0.18MPa {1.8kgf/cm2} 以下の状態で使用されるものとし,内部のすべての医療職員の呼吸の

ために十分な流量を維持できるものとする。 

(4) 装置内の空気が汚染された場合などに対処するため,内部のすべての医療職員の呼吸のために十分な

供給圧力と流量を維持できる医療職員呼吸用空気系を備える。 

(5) 装置に供給される突気及び酸素の各系の供給圧力を表示する計器を外部の装置を操作する場所に取り

付ける。 

6.9 

安全弁 安全弁は,次のとおりとする。 

(1) 第1種装置には,ばね式安全弁又はこれに代わる安全装置を備える。その吹出圧力は,装置内部の圧

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力が装置の最高使用圧力を超えないように設定する。 

(2) 第2種装置には,主室及び副室の各1室につき,それぞれ1個以上のばね式安全弁又はこれに代わる

安全装置を備える。その吹出圧力は,装置内部の圧力が装置の最高使用圧力を超えないように設定す

る。 

(3) 安全弁は,検査しやすい位置に取り付け,かつ,弁軸を鉛直に取り付ける。 

6.10 装置内圧表示圧力計 装置内圧表示圧力計は,次のとおりとする。 

(1) 第1種装置には,装置内の圧力を表示するための圧力計を取り付ける。 

(2) 第2種装置には,装置内の圧力を表示するため主室及び副室の各室に圧力計を取り付ける。 

(3) 圧力計の目盛盤の最大示度は,最高使用圧力の1.5倍以上,3倍以下の圧力を示す示度とする。ただし,

圧力計が治療に必要な圧力の精度を満足しない場合には,この目的に適合する精度等級及び最大示度

をもつ圧力計を別に設ける。この圧力計の最大示度が装置の水圧試験圧力以下のときには適当な安全

対策を講じるものとする。 

(4) 圧力計の目盛盤の径は,75mm以上とする。 

(5) 圧力計精度等級は,JIS B 7505(ブルドン管圧力計)の1.5級以上とする。 

(6) 圧力計は,装置の送気,排気及び換気の各操作を行う場合に見やすく,かつ,取扱いの容易な位置に

取り付ける。 

6.11 装置内環境の監視装置 

6.11.1 第1種装置内環境の監視装置は,次の環境条件を監視できるものとする。 

(1) 圧力 

(2) 温度 

(3) 換気流量 

備考 第1種装置内雰囲気の酸素及び二酸化炭素濃度についても監視できることが望ましい。 

6.11.2 第2種装置内環境の監視装置 第2種装置内環境の監視は,次の環境条件を監視できるものとする。 

(1) 圧力,温度及び換気流量 

(2) 装置内雰囲気の酸素濃度 

(3) 装置内雰囲気の二酸化炭素濃度 

(4) 装置内雰囲気の湿度 

6.12 消火設備 

6.12.1 第1種装置の消火設備 特定の場所に固定して使用する第1種装置においては,装置内での発火に

対する消火設備として,装置の外側又は内側の任意の一側での一操作で作動する散水弁の開放によって,

直ちに内部へ散水できる消火設備を設置する。 

備考 移動形の第1種装置においても,同様な消火設備の設置が望ましい。 

6.12.2 第2種装置の消火設備 第2種装置の消火設備は,次のとおりとする。 

(1) 装置室内消火栓 国で定める消防用設備などの規定(2)に適合する装置室内消火栓を1個以上設ける。 

注(2) 消防法の消火栓設備に関する規則による。 

(2) 装置内散水装置 装置内有効床面積1m2について毎分50lの放水を1分間維持できるスプリンクラ設

備若しくは水噴霧消火設備又はこれらと同等以上の放水能力をもつ装置内散水装置を設ける。この消

火装置は,装置の外側又は内側の任意の一側での一操作で作動する散水弁の開放によって,直ちに内

部へ散水できる消火設備を設置する。 

(3) 規格放水量 装置の最高使用圧力で装置が使用されている場合における放水量とする。 

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6.13 電気部品及び電気配線 

6.13.1 第1種装置の電気部品及び電気配線 第1種装置の電気部品及び電気配線は,次のとおりとする。 

(1) 電気火花を発生するおそれがない材料及び部品を使用する。 

(2) 装置内部の電気配線には,すべて保護配管を施す。 

(3) 装置内に電力供給用の配線,端子及び電源を設けない。 

6.13.2 第2種装置の電気部品及び電気配線 第2種装置の電気部品及び電気配線は,次のとおりとする。 

(1) 電気火花を発生するおそれがない材料及び部品を使用する。 

(2) 装置内部の電気配線は,事故による断線を完全に防止できるものとする。 

(3) 装置内部で使用される電気機器は,十分な機械的強度をもち,かつ,その使用材料が高圧空気の化学

作用に耐えることができるものとする。 

6.14 電話及び通信系 

6.14.1 第1種装置の通話及び通信系 第1種装置内の患者と外部との通話及び通信のため,少なくとも1

系統の通話装置及び内部で発信できる警報用電鈴を設ける。 

6.14.2 第2種装置の通話及び通信系 第2種装置の通話及び通信系は,次のとおりとする。 

(1) 通話装置 外部の装置を操作する場所と,装置の内部との間に少なくとも1系統の通話装置を設ける。 

(2) 警報通信系 装置内の各室にそれぞれ1か所以上の発信装置をもち,外部の装置を操作する場所に受

信装置をもつ警報電鈴系その他の警報通信系を備える。 

6.15 生体情報計測装置 生体情報計測装置は,次のとおりとする。 

(1) 第1種装置内の患者の生体情報の計測のため,心電図及び頭皮脳波を外部に誘導することができる専

用貫通端子を設ける。 

(2) 第2種装置内の患者の生体情報の監視,計測及び記録を外部で行うため,必要とされる生体情報のそ

れぞれについて必要な個数の専用貫通端子を設ける。 

7. 材料 

7.1 

主要材料 装置製作に使用する主要材料は,国で定める圧力容器規定(1)による。 

7.2 

内装材料 内装材料は,次のとおりとする。 

(1) 装置内面の塗装は,金属溶射又は難燃性塗料を使用して行う。 

(2) 金属以外の内装材料は,難燃性試験に合格したものを使用しなければならない。 

また,その使用量は必要最小限にとどめるものとする。 

(3) 装置を構成する各部分は,完全に接地できるものとする。 

また,内部に収容された人体も完全に接地できる構造とする。 

(4) 第1種装置の内装は,容易に消毒及び洗浄ができるものとする。 

(5) 第2種装置の床は,導電性材料を使用する。 

8. 検査 

8.1 

検査項目 検査項目は,次のとおりとする。 

(1) 耐圧検査 

(2) 気密検査 

(3) 外観検査 

(4) 配線検査 

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(5) 性能検査 

8.2 

検査方法 検査方法は,次のとおりとする。 

(1) 耐圧検査 本体について国で定める圧力容器規定(1)に基づく水圧検査を行う。 

(2) 気密検査 本体,配管など受圧部分について最高使用圧力と同等の圧力で気密性能を確認する。 

(3) 外観検査 装置全般について完成状態で有害なきず,変形などの異状がなく,かつ,所要の表示を確

認する。 

(4) 配線検査 電気系統全般について誤配線がないことを確認する。 

また,導通確認及び絶縁抵抗測定を行う。 

(5) 性能検査 装置の加圧,減圧及び換気性能について6.5〜6.7を満足していることを確認する。 

9. 表示 

9.1 

第1種装置には,国で定める圧力容器規定(1)による事項のほか,その装置の最高使用圧力と最高治

療圧力とが異なる場合には最高治療圧力を表示しなければならない。 

9.2 

第2種装置には,装置の定員数及び国で定める圧力容器規定(1)による事項のほか,その装置の最高

使用圧力と最高治療圧力とが異なる場合には,最高治療圧力を表示しなければならない。 

9.3 

注意事項の表示 装置外部の見やすい場所には,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 禁止所持品 マッチ,ライタ,たばこ,かいろ,湯たんぽその他の保暖器具,時計,ラジオその他の

電気器具,セルロイド製品その他の引火性物品などの所持を禁止すること。 

(2) 衣類の制限 合成繊維製品の着用を禁止すること及び所定の防炎又は不燃加工を施した衣類を着用し

なければならないこと。 

(3) 異常時の連絡 内部に収容された患者が体調の異常を自覚し,又は装置内部に異常を認めた場合など

の緊急連絡の通報方法。 

医療安全用具部会 医用器械専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

榊 原 欣 作 

名古屋大学医学部附属病院高気圧治療部 

大 場 琢 磨 

日本医療用プラスチック協会 

渡 辺   徹 

厚生省薬務局 

前 田 勲 男 

工業技術院標準部 

平 井 慶 徳 

順天堂大学 

水 野   明 

東京大学医学部 

沢     桓 

東京医科歯科大学医学部 

宮 坂 久 基 

株式会社千代田製作所 

河 西 輝 久 

株式会社河西医療電機製作所 

池 田 玉 治 

川崎重工業株式会社神戸工場 

石 丸 裕 康 

トミー精工株式会社 

若 井 秀 治 

泉工医科工業株式会社 

佐々木   磨 

アトム株式会社 

(事務局) 

柾 谷 栄 吾 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

根 上 雄 二 

工業技術院標準部電気・情報規格課