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T 6609-1

:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本歯科材料工業協同組合(JDMA)/財団法

人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 9917-1:2003,Dentistry−Water-based

cements

−Part 1:Powder/liquid acid-base cements  を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS T 6609-1

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)硬化時間試験方法

附属書 B(参考)歯科用セメントの化学的組成及び用途

附属書 C(規定)被膜厚さ試験方法

附属書 D(規定)圧縮強さ試験方法

附属書 E(規定)酸溶解性試験方法

附属書 F(規定)光学的特性試験方法

附属書 G(規定)酸溶解性ひ素及び鉛含有量試験方法

附属書 H(規定)X 線造影性試験方法

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 6609

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS T 6609-1

第 1 部:粉液型酸-塩基性セメント

JIS T 6609-2 

第 2 部:レジン添加型セメント


T 6609-1

:2005

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  分類

2

4.1

  化学的組成による分類

2

4.2

  用途別分類

2

5.

  材料

2

5.1

  一般的性質

2

5.2

  構成品

2

5.3

  未硬化セメント

2

6.

  試料の準備

2

6.1

  試験条件

2

6.2

  練和方法

2

7.

  試料の採取

3

8.

  品質

3

8.1

  生体適合性

3

8.2

  硬化時間

3

8.3

  被膜厚さ

3

8.4

  圧縮強さ

3

8.5

  酸溶解性

3

8.6

  光学的特性

3

8.7

  酸溶解性ひ素含有量

3

8.8

  酸溶解性鉛含有量

3

8.9

  線造影性

3

9.

  包装,表示及び製造業者の提供する情報

3

9.1

  包装

3

9.2

  表示

3

9.3

  説明書

4

附属書 A(規定)硬化時間試験方法

6

附属書 B(参考)歯科用セメントの化学的組成及び用途

8

附属書 C(規定)被膜厚さ試験方法

9

附属書 D(規定)圧縮強さ試験方法

11

附属書 E(規定)酸溶解性試験方法

14

附属書 F(規定)光学的特性試験方法

17


T 6609-1

:2005  目次

(3) 

ページ

附属書 G(規定)酸溶解性ひ素及び鉛含有量試験方法

20

附属書 H(規定)線造影性試験方法

21

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

23


T 6609-1

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白      紙


日本工業規格

JIS

 T

6609-1

:2005

歯科用ウォーターベースセメント−

第 1 部:粉液型酸-塩基性セメント

Dentistry

−Water-based cements−

Part 1: Powder/liquid Acid-base cements

序文  この規格は,2003 年に第 1 版として発行された ISO 9917-1,Dentistry−Water-based cements−Part 1:

Powder/liquid acid-base cements

を翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,

附属書 1(参考)に示す。

1.

適用範囲  この規格は,最終的な合着,修復,裏層(ベース)又は裏装(ライニング)に用いる粉液

型酸-塩基性歯科用セメント(以下,セメントという。

)に対する要求事項及び試験方法について規定する。

この規格は,手練和用セメント及び機械練和用カプセル入りセメントの両者に適用できる。この規格は,

そのセメントの使用用途が合着材,修復材,裏層材又は裏装材のいずれであるかによって,それらの使用

目的ごとに要求性能を規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 9917-1:2003

,Dentistry−Water-based cements−Part 1:Powder/liquid acid-base cements    (MOD)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 7557

  X 線用バッジフィルム

JIS T 0993-1

  医療機器の生物学的評価−第 1 部:評価及び試験

JIS T 6001

  歯科用医療機器の生体適合性の前臨床評価−歯科材料の試験方法

JIS T 6003

  歯科材料の色調安定性試験方法

備考  ISO 7491:2000,Dental materials−Determination of colour stability  からの引用事項は,この規

格の該当事項と同等である。

JIS Z 4711

  診断用一体形 X 線発生装置

ISO 2590

, General method for the determination of arsenic−Silver diethyldithiocarbamate photometric

method

ISO 3665

,Photography−Intra-oral dental radiographic film−Specification

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。


2

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a)

練和時間(mixing time)  セメントを十分に練和するために必要な時間。操作時間の一部である。

b)

操作時間(working time)  セメントの特性を損なわずに操作できる練和開始からの時間。

c)

硬化時間(net setting time)  練和終了からセメントが硬化するまでを,附属書 の方法によって測定し

た時間。

備考  練和時間は,セメントによって大きく異なるので,この規格では,硬化時間を練和終了から測

定して決定する。

4.

分類

4.1

化学的組成による分類  この規格では,歯科用セメントを,化学的組成に基づいて次のように分類

する。

a)

歯科用りん酸亜鉛セメント  附属書 の 1.参照

b)

歯科用ポリカルボキシレートセメント  附属書 の 2.参照

c)

歯科用グラスポリアルケノエートセメント  附属書 の 3.参照

d)

歯科用けい酸塩セメント  附属書 の 4.参照

e)

歯科用けいりん酸セメント  附属書 の 5.参照

粉液型酸-塩基硬化性のウォーターベースセメントは,上に掲げた以外にも,この規格の適用範囲に該当

するものがある。製造業者が特定の製品の適合性を示す場合には,正しい性能規格値を適用するために,

4.1

及び 4.2 によって材料を分類しなければならない。

4.2

用途別分類  セメントは,用途によって次のように分類する。ただし,小か(窩)裂溝封鎖用の場

合には,次のいずれの分類のものも用いることができる。

a)

合着材

b)

裏層材及び裏装材

c)

修復材

5.

材料

5.1

一般的性質  セメントは,製造業者が指定する方法によって練和したとき,5.及び 8.に適合しなけれ

ばならない。

5.2

構成品

5.2.1

液  液を目視によって調べる。液には,沈殿物又は繊維状物があってはならない。また,目視で分

かるようなゲル化の兆候があってはならない。

5.2.2

粉  粉を目視検査する。粉には,異物[きょう(夾)雑物]があってはならない。粉が着色されて

いる場合には,顔料(着色材)は粉全体に均一に分散していなければならない。

備考  カプセル入りセメントの場合には,適用しない。

5.3

未硬化セメント  セメントを 6.によって練和し,目視によって調べたとき,均質で滑らかなちょう

度でなければならない。

6.

試料の準備

6.1

試験条件  すべての試料は,温度 23±1  ℃,相対湿度 (50±10)

%

の雰囲気下で準備する。

6.2

練和方法  セメントは,製造業者が指定する方法によって調製する。各試験片を 1 回の練和物で作

製するために十分な量のセメントを練和する。試験片ごとに,新しい練和物を調製する。


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備考  カプセル入り材料は,試験片を作製するために,複数のカプセルの同時練和が必要になる場合

がある。

7.

試料の採取  試料は,同一ロットから採取し,その量は,規定されたすべての試験を完了するのに十

分な量でなければならない。

8.

品質

8.1

生体適合性  生体適合性については,JIS T 0993-1 及び JIS T 6001 によって生物学的安全性を評価す

る。

8.2

硬化時間  硬化時間は,附属書 によって試験したとき,付表 による。

8.3

被膜厚さ(合着用セメントに適用)  被膜厚さは,附属書 によって試験したとき,付表 による。

8.4

圧縮強さ  圧縮強さは,附属書 によって試験したとき,付表 による。

8.5

酸溶解性  酸溶解性は,附属書 によって試験したとき,付表 による。

8.6

光学的特性  (修復用グラスポリアルケノエートセメント,けい酸塩セメント及びけいりん酸セメン

トに適用)  光学的特性は,

附属書 によって試験したとき,次に適合しなければならない。

a)

セメント硬化体の不透明度は,

付表 による。ただし,製造業者がオペークと表示した修復用セメン

トの場合には,適用しない  [9.2 g)  参照]

b)

セメント硬化体の色調は,製造業者の指定によってシェードガイドと合致しなければならない。

もし,

シェードガイドを提供しない場合,かつ,必要な場合には,製造業者は,この要求項目への適合を評

価するために用いる市販のシェードガイドを指定しなければならない[9.3.1 c)  参照]

8.7

酸溶解性ひ素含有量  酸溶解性ひ素含有量は,附属書 によって試験したとき,付表 による。

8.8

酸溶解性鉛含有量  酸溶解性鉛含有量は,附属書 によって試験したとき,付表 による。

8.9

X

線造影性  材料に X 線造影性があると製造業者が表示したとき[9.2 h)  参照]には,X 線造影性

は,

附属書 によって試験したとき,同じ厚さの金属アルミニウムの X 線造影性と少なくとも同等でなけ

ればならない。製造業者がこれよりも高い X 線造影性を表示した場合には,

附属書 によって試験したと

きの測定値は,製造業者が表示した値を下回ってはならない。

9.

包装,表示及び製造業者の提供する情報

備考  製造業者の任意又は法令の要求による追加情報を含めてよい。

9.1

包装  材料は,内容物を適切に保護し,内容物の品質に不都合な影響を与えない容器又はカプセル

に入れて供給しなければならない(この規格では,この容器又はカプセルは,材料の直接の被包であると

みなされる。

。この容器又はカプセルの複数を 1 単位とする外装を用いてもよい。

9.2

表示  セメントの包装には,次の事項を表示しなければならない。

a)

製品名及び種類

b)

色調(必要な場合,製造業者が指定したシェードガイドによる表示。

c)

内容量

d)

製造業者名及び所在地

e)

製造番号又は製造記号

f)

保管条件及び使用期限(外装)

g)

オペーク性の表示(オペーク性を表す場合)


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h) X

線造影性の表示(X 線造影性を表す場合)

i)

カプセルの数及びカプセル 1 個中の質量(カプセルの外装の場合)

j)

その他の法定表示事項

9.3

説明書

9.3.1

共通事項  セメントには,次の事項を記載した説明書を添付しなければならない。

a)

製品名

b)

製造業者名及び所在地

c)

シェードガイド,又はシェードガイドを提供しない場合,かつ,必要な場合には,該当する市販シェ

ードガイド。

9.3.2

手練和用セメント  手練和用セメントの場合には,次の事項を記載しなければならない。

a)

練和温度条件

b)

粉液比又は混和比及び計量方法

c)

練和器具

d)

練和方法

e)

練和時間

f)

操作時間

g)

硬化時間

h)

裏層材の適用を推奨する旨の記述(必要な場合)

i)

仕上げ研磨時期及び方法

j)

セメントの表面保護コーティング材の必要性及び種類(必要な場合)

9.3.3

カプセル入りセメント  カプセル入りセメントの場合には,次の事項を記載しなければならない。

a)

混和方法

b)

練和器の種類及び練和時間

c)

操作時間

d)

硬化時間

e)

裏層材の適用を推奨する旨の記述(必要な場合)

f)

仕上げ研磨時期及び方法

g)

カプセル 1 個の使用可能量

h)

セメントの表面保護コーティング材の必要性及び種類(必要な場合)


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付表  1  歯科用セメントの物理的・化学的性質

特性値

化学的組成による分類

用途別分類

硬 化 時 間

min

被 膜 厚 さ

µm

圧縮強さ

MPa

酸 溶 解 性

mm

光 学 的 特 性

-----------------

不 透 明 度

C

0.70

酸溶解性ひ素

含有量

mg/kg

酸溶解性鉛

含有量

mg/kg

りん酸亜鉛

合 着 材  2.5∼8

25

以下 50 以上 

0.30

以下

2

以下 100 以下

ポリカルボキシレート

合 着 材  2.5∼8

25

以下 50 以上 

0.40

以下

2

以下 100 以下

グラスポリアルケノエート

合 着 材  1.5∼8

25

以下 50 以上 

0.17

以下

  100

以下

りん酸亜鉛

裏 層 材 ・

裏 装 材

2

∼6  

50

以上 

0.30

以下

2

以下 100 以下

ポリカルボキシレート

裏 層 材 ・

裏 装 材

2

∼6  

50

以上 

0.40

以下

2

以下 100 以下

グラスポリアルケノエート

裏 層 材 ・

裏 装 材

1.5

∼6

50

以上 

0.17

以下

  100

以下

グラスポリアルケノエート

修 復 材  1.5∼6

100

以上

0.17

以下 0.35∼0.90   100 以下

けい酸塩

修復材 1.5∼6 

100

以上

0.35

∼0.55

2

以下 100 以下

けいりん酸

修復材 1.5∼6 

100

以上

0.35

∼0.90

2

以下 100 以下

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附属書 A(規定)硬化時間試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,硬化時間の試験方法について規定する。

2.

装置  装置は,次による。

a)

恒温恒湿器  温度 37±1  ℃,相対湿度 90 %以上維持できるもの。

b)

ビカー針  質量 400±5 g で,直径 1±0.1 mm の平たんな末端をもつ針部を備え,末端は平面で,針の

長軸に対して直角であるもの。

c)

金型  附属書 図 に示す形状又はこれと同等のもの。

d)

金属製ブロック  最小寸法 8×75×100 mm で,恒温恒湿器内に置いて,温度 37±1  ℃に維持できる

もの。

e)

アルミニウムはく

f)

時計  最小目盛 1 秒のもの。

3.

手順  試験の手順は,次による。

a)

温度 23±1  ℃に調整した金型をアルミニウムはく上に置き,練和したセメントを金型上面と同じ高さ

まで充てんする。

b)

練和終了から 60 秒間後に,この型,はく及びセメント試料からなる組を,恒温恒湿器内のブロックの

上に置く。型とはくとブロックとの間をよく密着させる。

c)

練和終了から 90 秒間後に,ビカー針を注意深くセメント表面に垂直に降ろし,5 秒間維持する。概略

の硬化時間を求めるために 30 秒間隔で繰り返し試行を行い,完全な円形のくぼみが 2 倍拡大鏡で観察

してもセメント表面に確認できなくなるまでの時間を求める。必要であれば操作の間に針部を清掃す

る。

d)

この手順を再度行い,概略の硬化時間の 30 秒前から操作を開始し,10 秒間隔で行う。

e)

練和終了から,セメントに完全な円形のくぼみが確認できなくなるまでの時間を硬化時間として記録

する。

f)

手順  d)  及び e)  を更に 2 回繰り返す。

4.

結果の処理  3 回の試験結果を記録する。すべての結果が,本体の付表 に規定された範囲内にある

とき,そのセメントは,要求品質に適合する。


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単位  mm

備考  内側の隅角は鋭角でもよい。 

附属書   1  硬化時間試験片の金型

許容差  ±0.15 mm


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附属書 B(参考)歯科用セメントの化学的組成及び用途

  この附属書は,歯科用セメントの化学的組成及び用途を記述するものであり,規定の一部ではない。

1.

歯科用りん酸亜鉛セメント  酸化物粉末(主成分は酸化亜鉛。)とりん酸水溶液(金属イオンを含有し

てもよい。

)との反応に基づく歯科用セメント。歯科用補てつ(綴)物を口くう(腔)硬組織又は他の補て

つ(綴)物に合着させる合着材,修復時の裏層材,暫間修復材などとして用いることができる。

2.

歯科用ポリカルボキシレートセメント  酸化亜鉛粉末とポリアクリル酸若しくは類似のポリカルボン

酸化合物水溶液との反応,又は酸化亜鉛粉末とポリカルボン酸粉末との混合物に水若しくはポリカルボン

酸化合物水溶液を加えて練和することによる反応に基づく歯科用セメント。歯科用補てつ(綴)物を口く

う硬組織若しくは他の補てつ(綴)物に合着させる合着材,又は修復時の裏層材若しくは暫間修復材など

として用いることができる。

3.

歯科用グラスポリアルケノエートセメント(グラスアイオノマーセメント)  アルミノシリケートグ

ラス粉末とポリカルボン酸水溶液との反応,又はアルミノシリケートグラス/多価酸粉末混合物と水,酒

石酸水溶液,ポリカルボン酸化合物水溶液などとの反応に基づく歯科用セメント。これらのセメントは,

歯の審美修復材,支台築造材又は修復時の裏層材若しくは裏装材として用いる。また,歯科用補てつ(綴)

物を口くう硬組織又は他の補てつ(綴)物に合着させる合着材,小か(窩)裂溝封鎖材などとして用いる。

この種類のセメントには,グラスポリアルケノエートセメント中のガラスに金属が融合又は混合されてい

るものであって,歯の修復を目的とするものを含む。

4.

歯科用けい酸塩セメント  アルミノシリケートグラス粉末とりん酸水溶液

(金属イオンを含有しても

よい。

)との反応に基づく歯科用セメント。前歯の審美的修復などに用いる。

5.

歯科用けいりん酸セメント  酸溶解性のアルミノシリケートグラス粉末及び金属酸化物粉末(主成分

は酸化亜鉛。

)とりん酸水溶液(金属イオンを含有してもよい。

)との反応に基づく歯科用セメント。暫間

修復材又は歯科用補てつ(綴)物を口くう硬組織に合着させる合着材,小か裂溝封鎖材などとして用いる。


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附属書 C(規定)被膜厚さ試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,被膜厚さの試験方法について規定する。

2.

装置  装置は,次による。

a)

ガラス板  2 枚の長方形又は円形のガラス板であって,光学的に平たんな,接触表面積が 200±25 mm

2

のもの。ガラス板は,厚さが 5 mm 以上で均一な厚さのもの。

b)

加重装置  附属書 図 に示した型の加重装置又は同等の手段で,150±2 N の荷重を上側のガラス板

を介して垂直にセメントにかけることができる装置。 荷重を受けるロッドの底部に取り付けた押板は,

水平で,かつ,基盤に対して平行でなければならない。加重操作は,滑らかで,かつ,回転を起こさ

ないように行う。

c)

寸法測定器具  マイクロメータ又はこれと同等の計測器具で,最小目盛が 2 µm 以内のもの。

3.

手順  試験の手順は,次による。

a) 2

枚の光学的に平たんなガラス板を密着させて重ね合わせ,2 枚重ねの厚さを±1 µm の精度で計測す

る(厚さ A

b)

上側のガラス板を取り除き,練和したセメント 0.1±0.05 mL を下側のガラス板の上面中央に載せる。

これを,加重装置の荷重中心線に合わせて,同装置の基盤上に置く。先に取り外しておいた上側のガ

ラス板を,最初の厚さ計測時と同じ向きにして,セメントに中心を合わせて再び載せる。

c)

製造業者が表示した操作時間の終了 10 秒前に,150±2 N の荷重を押板を介して試料に対し垂直方向

に,かつ,中心線を合わせて注意深く負荷する。セメントが 2 枚のガラス板間を完全に満たしている

ことを確認する。

d)

荷重負荷後, 10 分間以上経過した時点で加重装置から取り出し,ガラス板 2 枚とセメント被膜とが

組み合わさった厚さを計測する(厚さ B

。セメント被膜の有無による厚さの差(厚さ B−厚さ A  )

を記録する。

この試験を更に 4 回繰り返す。

4.

結果の処理  試験結果に基づき,次のように判定する。

a) 5

個のうち,25 µm 以下が 4 個以上のときは,合格とする。

b) 25

µm

以下が 2 個以下のときは,不合格とする。

c) 25

µm

以下が 3 個のときは,更に 5 個の試験を行い,第 2 回目のすべてが 25 µm 以下のときは,合格

とする。


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附属書   1  被膜厚さ試験用の加重装置


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附属書 D(規定)圧縮強さ試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,圧縮強さの試験方法について規定する。

2.

装置  装置は,次による。

a)

恒温恒湿器  温度 37±1  ℃,相対湿度 30 %以上維持できるもの。

b)

分割型及び板  附属書 図 に例示するもの。  分割型の内寸法は,高さ 6.0±0.1 mm,  直径 4.0±0.1

mm

とする。分割型及び板は,ステンレス鋼又はセメントによって影響を受けない適切な材料で製作

する。ポリアクリル酸系のセメントを試験する場合には,板のセメント接触面をセルロースアセテー

トなどのシートで覆うことによって固着を防ぐ。

c)

加圧器  附属書 図 に例示するもの。

d)

寸法測定器具  マイクロメータ又はこれと同等の計測器具で,最小目盛 2 µm 以内のもの。

e)

圧縮試験機  クロスヘッドスピード 0.75±0.30 mm/min  又は負荷率 50±16 N/min で操作できるもの。

3.

試験片の作製  試験片の作製は,次による。

a)

分割型,板及び加圧器を 23±1  ℃に温度調整する。

b)

製造業者の指定によってセメントを練和し,練和終了後 60 秒間以内に分割型内に少し過剰に充てんす

る。セメントを強固にし,気泡の残留を避けるために,練和したセメントの適正な部分の最大量を分

割型に移し,片側から適切な器具を用いて充てんする。少し過剰に充てんした分割型を若干の圧力を

加えて下側の板に押し付ける。

c)

押し出されたセメント塊を除去した後,上側の金属板を分割型の上に載せて押しつけ,更に余剰なセ

メントを押し出す。この型と板とを加圧器に入れ,締め付ける。練和終了から 120 秒間以内に,この

組み付けた全体を恒温恒湿器内に移す。

d)

練和終了から 1 時間後に板を外し,試験片の両末端部が試験片の長軸に直角で平らになるように研磨

する。

備考  水でぬらしたシリコンカーバイド研磨紙 400 番を用いて研磨するのが適切な方法である。いか

なる方法においても,研磨材は,これよりも粗くてはいけない。

e)

表面研磨後すぐに,試験片を型から外し,気泡又は辺縁欠けを,拡大なしで目視によって調べて,こ

のような欠陥がある試験片は,廃棄する。

備考  硬化したセメント試験片の取出しを容易にするため,セメント充てんの前に,型の内側面にマ

イクロクリスタリンワックス又はパラフィンワックスの 3 %石油エーテル溶液を均一に塗布し

てもよい。これらの代わりに,シリコングリースの薄い膜,又はポリテトラフルオロエチレン

の固体潤滑膜を用いてもよい。

f)

同様にして,試験片を 5 個作製する。それぞれの試験片を作製後すぐに,37±1  ℃の蒸留水中に 23±

0.5

時間浸せきする。

g)

試験片の互いに直交する 2 方向の直径を精度±0.01 mm で計測し,この平均値を各試験片の直径とす

る。

4.

手順  手順は,次による。


12

T 6609-1

:2005

a)

練和終了から 24 時間後に,試験片の平たんな末端を圧縮試験機の圧縮盤間に置き,試験片の長軸方向

に圧縮荷重を負荷する。ろ(濾)紙(例えば,ワットマンろ紙 No.1)を水に浸して,圧縮試験機の上

下の圧縮盤の試験片に接触する範囲にちょう(貼)付する。ろ紙は,試験ごとに新しいものを用いる。

b)

試験片が破壊したときの荷重を記録し,圧縮強さ  (C)  を次の式によって,メガパスカル (MPa) 単位

で求める。

)

/(

4

2

d

p

C

×

=

π

ここに,

p

負荷された最大荷重

 (N)

d

試験片の直径

 (mm)

π

円周率

 (3.14)

5.

結果の処理  試験結果に基づき次のように判定する。

a

) 5

個のうち,

4

個以上が本体の

付表 に規定した最小値以上であるときは,合格とする。

b

) 3

個以上が最小値未満のときは,不合格とする。

c

) 3

個の値が,最小値以上であるときは,追加試験

5

個を行い,全

10

個のうち

8

個が最小値以上のとき

は,合格とする。


13

T 6609-1

:2005

単位  mm

附属書   1  分割型及び加圧器

a

)

  分割型

b

)

  加圧器


14

T 6609-1

:2005

附属書 E(規定)酸溶解性試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,溶解液中での酸溶解性の試験方法について規定する。

2.

装置  装置は,次による。

a

)

恒温恒湿器  温度

37

±

1

℃,相対湿度

90 %

以上を維持できるもの。

b

)

試料ホルダ  長方形(縦横

30 mm

,厚さ

5 mm

又は円形(直径

30 mm

,厚さ

5 mm

)のポリメチル

メタクリレート(以下,

PMMA

という。

)製で,中央に,直径

5.0

±

0.5 mm

,深さ

2.0

±

0.5 mm

の孔を

設けたもの。

備考

試料ホルダの寸法及び形状は,例えば,長方形の角を丸めるなど,容器への挿入に適する場合

には,少し異なっていてもよい。

c

)

PMMA

備考

 PMMA

板の寸法は,試料ホルダとほぼ同じ寸法であればよい。

d

)

分離膜  セメントが硬化した後,

PMMA

板を外すために試料ホルダにかぶせる,例えば,ポリエステ

ル製ストリップなどの膜。

e

)

クランプ  試料型をセメントの硬化中,一体に保持するように設計されたクリップ又はこれと同等の

器具。

f

)

天びん(秤)  最小目盛が,

0.1 mg

以内のもの。

g

)

体積計量器具

30 mL

の採取に適したピペット又は代替可能な器具で計量単位が

0.1 mL

のもの。

h

)

容器  試験液を

30 mL

収容でき,液中に試料ホルダを水平に完全に浸せきし,溶解液表面と浸せきし

た試料ホルダー上面との距離が

10

±

3 mm

にできるもの。この容器は,蒸発及び異物混入防止のため,

栓又はねじぶた付きでなければならない。

i

)

恒温器  温度

37

±

1

℃を維持できるもの。

備考

恒温恒湿器も使用できるが,ここでは,相対湿度

90 %

は,必要としない。

j

)

研磨紙

1 200

番の乾湿両用の研磨紙。

k

)

ダイヤルゲージ  ばね押し式で,先端が半球形であって,

0.01 mm

又はそれ以下(

0.005 mm

の計測可

能)の目盛をもつもの。このダイアルゲージのばねの強さは,

0.49

0.98 N

の範囲内,先端部の直径

は,

3.5

±

0.5 mm

でなければならない。

備考

静荷重を備えた同等の加重器を用いてもよい。加重条件が規定どおりであれば,電子的読取り

/表示装置も用いてよい。

3.

溶解液の調製  乳酸(試薬一級以上の純度)

8.26 g

と乳酸ナトリウム(試薬一級以上の純度)

0.92 g

とを共に純品・乾燥品計算でひょう量し,蒸留水に溶解して

1 L

に調製する。使用直前に,この溶液の

pH

2.74

±

0.02

であることを確認する。必要な場合には,

1 mol/L

の乳酸ナトリウム又は乳酸の水溶液で調整

する。この溶液は,一連の試料を試験するごとに,新しく調製しなければならない。

備考

この溶液は,

0.1 mol/L

の乳酸/乳酸ナトリウム緩衝溶液で,

pH

2.74

である。

4.

試料の作製  試料の作製は,次による。

a

)

試料ホルダ,

PMMA

板,分離膜及びクランプを温度

23

±

2

o

C

に調整する。


15

T 6609-1

:2005

b

)

試験材料を温度

23

±

2

℃で,製造業者の指定によって調合し,練和する。手練和セメントの場合には,

指定された混和比で天びんを用いて計量する。これを製造業者が指定する練和板上に置く。製造業者

指定の方法によって練和する。カプセル入りセメントの場合には,指定された練和器及び時間,練和

する。

c

)

練和終了後

60

秒以内に,試料ホルダの孔にセメントを充てんする。気泡の巻き込みを避けるため,練

和したセメントの適正な部分の最大量を採取し,試料ホルダの孔の一方向側から充てんする。

次いで,

残りの試料ホルダの孔を空気の巻込みを避けながら充てんする。このようにして,試料ホルダを少し

過剰に充てんする。

d

)

分離膜をかぶせた

PMMA

板でセメントを覆い,強く圧迫してクランプで留める。練和終了から

180

秒後に,組み付けた全体を温度

37

±

2

℃,相対湿度

90 %

以上に維持した恒温恒湿器に入れる。

e

) 24

時間後に,

PMMA

板と分離膜とをクランプから外し,研磨紙を用いて連続注水下で,セメントを

試料ホルダとともに平たんになるまで研磨する。

f

) 5

個の試料を調製する。すべての試料を検査し,明らかなムラ又は気泡のある試料は,すべて不採用

とする。

5.

セメント中央の初期深さ D

0

の測定及び計算  手順は,次による。

a

)

試料ごとに,固定された対照面として試料ホルダの縁を用いて,試料の中央における初期深さを計測

する。

備考

この手順は,初期セメント高さを確定するため,及びセメントの高さが試料ホルダの高さとほ

ぼ同じであることを確認するために必要である。

b

)

元のセメントの高さが試料ホルダより

5

µ

m

を超える場合には,セメントと試料ホルダとのレベルが

5

µ

m

以内になるまで,さらに研磨を行う。

備考

一般的にダイヤルゲージの一目盛は,

0.010 mm

であるから,

0.005 mm (5

µ

m)

は一目盛の半分

とみなせる。

c

)

試料ホルダの

4

か所と試料のほぼ中心とにおいてダイヤルゲージを用いて計測した高さを記録し,基

準深さとする。試料ホルダの

4

か所は,均等に

90

度の間隔で,試料から

0.5

1.0 mm

離れた位置と

する。

d

)

試料ホルダの

4

か所の高さの平均値を求める。

e

)

この値から試料の中心での高さを差し引き

D

0

(セメント中央の初期深さ)を求める。

6.

浸せき  試料を試料ホルダごと,

30 mL

の溶解液を入れた個別の容器に水平に浸せきする。試料ホル

ダを“上向き”に置き,セメント表面全体が溶液に浸り,溶液表面が試料の表面から

10

±

3 mm

上になる

ようにする。容器を密封し,

37

±

2

℃の恒温器内に

24

時間保管する。

24

時間浸せき後,試料と試料ホル

ダとを取り出して蒸留水で水洗する。

7.

セメント中央の溶解後深さ D

t

の測定及び計算  試料ごとに 5.と同様に,固定された対照面として試料

ホルダの縁を用いて,試料の中央における溶解後の深さ

  (D

t

)

を計測する。

8.

結果の表示  試料ごとにセメントの中央部での溶解深さ

  (D)

を次の式によって求め,ミリメートル単

位で表示する。


16

T 6609-1

:2005

0

t

D

D

D

=

ここに,

D

0

浸せき前の試料の中央部の深さ

 (mm)

D

t

浸せき後の試料の中央部の深さ

 (mm)

備考

D

0

は,もし元の試料の高さが試料ホルダーより高い場合には,マイナスの値になる。この場合

には,は,D

t

及び D

0

の絶対値を加算して求める。

5

個の試験試料それぞれの の値を求める。

9.

結果の処理  手順は,次による。

a

)

計算された値 を本体の

付表 の規定値と比較する。

b

) 4

個以上が規定値以下のときは,合格とする。

c

) 3

個以上が規定値以上のときは,不合格とする。

d

) 5

個のうち

3

個が規定値以下のときは,更に

5

個の試料を調製して試験する。

5

個すべてが規定値以下

のときは,合格とする。


17

T 6609-1

:2005

附属書 F(規定)光学的特性試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,光学的特性(不透明度及び色調)の試験方法について規定する。

2.

不透明度  この試験は,修復材だけに適用する。

2.1

装置  装置は,次による。

a

)

恒温恒湿器  温度

37

±

1

℃,相対湿度

30 %

以上維持できるもの。

b

)

不透明度標準板  ガラス製の不透明度標準板で,コントラスト比 C

0.70 

が,

0.35

0.55

及び

0.90

のもの。

備考

コントラスト比 C

0.70

は,黒色背景上の試験片からの反射光量と白色背景(光反射率

70 %

)上

の同じ試験片からの反射光量との比である。

c

)

黒白しま(縞)付きシート  ポリエチレン又はセルロースアセテート製の白色耐水性シート(約

110

×約

40 mm

)の全長にわたって,線幅

2 mm

の黒い線を

3 mm

間隔で複数表示したもの。

d

)

試験片用の型  附属書 図 に例示のように,スプリットをもつ真ちゅう(鍮)又はステンレス鋼製

のリングを保持枠(フォーマー)に入れ,

2

枚の平板で挟む型とする。リングの寸法は,高さ

1.0

±

0.03

mm

,内側直径

10.0

±

0.3 mm

とする。

e

)

クランプ  セメントの硬化中に試験片の型を一体に保持するように設計されたクランプ,クリップ又

はこれら同等の器具。

f

)

マイクロメータ  最小目盛

0.01 mm

のもの又はこれと同等性能の器具。

g

)

時計  最小目盛

1

秒のもの。

2.2

試験片の作製  試験片の作製は,次による。

a

)

金属製平板上に黒白しま(縞)付きシートを載せ,その上に試験片用の型を置く。セメントを製造業

者の指定によって練和し,リング内に充てんする。シート及び第

2

の平板で覆って強く加圧した後,

クランプで挟む。練和終了から

120

秒間後に,組み付けた全体を恒温恒湿器に入れる。

b

)

練和終了から

1

時間後に平板とシートとをクランプから取り外し,試験片をリングから注意深く分離

する。試験片の厚さをマイクロメータを用いて計測し,厚さが

1.0

±

0.1 mm

の試験片だけを採用する。

この試験片を温度

37

±

1

℃の蒸留水中に

7

日間浸せきする。

2.3

手順  手順は,次の a

)

又は b

)

のいずれかによる。

a

)

目視比較  黒白しま(縞)付きシート上に試験片と適正な二つの不透明度標準板とを置き,試験片の

不透明度

を標準板と目視比較する。比較試験実施中は,試験片,標準板及びしま(縞)付きシートを

蒸留水の薄膜で常に覆う。試験片の不透明度が,本体の

付表 の最小∼最大値に対応する二つの標準

板の間又は同じであれば,要求品質に適合する。

b

)

計測  コントラスト比

C

0.70

 

の計測精度が±

0.02

C

0.70

以内の光量計を用いて,不透明度の比較を行う。

この手順では,照明された白色背景(光反射率

70 %

)に試験片を置き,この試験片の反射光量

  (

R

0.70

)

を測定する。次に,試験片を黒色背景に移し,同じ光源で照明し,この試験片の反射光量

  (

R

B

)

を測

定する。次の式によって,この試験片の不透明度 C

0.70

を求める。

70

.

0

70

.

0

R

R

C

B

=

セメント試験片の不透明度 C

0.70

が,本体の

付表 の最小から最大値の間又は同じであれば,要求品質

に適合する。


18

T 6609-1

:2005

3.

色調

3.1

器具  白色の上質紙で,光反射率約 90 %の光散乱性の白色背景を与えるもの。

3.2

試験片の作製  試験片の作製は,不透明度と同じ方法による。

3.3

手順  手順は,次による。

a

)

試験片を温度 37±1  ℃の蒸留水中に 7 日間浸せきする。

b

)

試験片を蒸留水中から取り出し,表面の付着水をろ(濾)紙で除去し,光散乱性の白色背景上に置く。

c

)

この試験片の色調を製造業者が提供又は指定したシェードガイドと比較する。その方法は,JIS T 6003

に規定する色調比較手順による。試験片の色調は,製造業者の説明書の記述と一致しなければならな

い。


19

T 6609-1

:2005

単位  mm

附属書   1  不透明度及び色調の試験片用型


20

T 6609-1

:2005

附属書 G(規定)酸溶解性ひ素及び鉛含有量試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,酸溶解性ひ素含有量及び酸溶解性鉛含有量の試験方法について規定する。

2. 

試薬  試薬は,次による。

なお,分析用として認定されたものであって,低鉛グレードのものでなければならない。

a

)

塩酸  密度

ρ

が 1.18 g/mL を示すもの。

b

)

希塩酸  濃塩酸(濃度 36 %)20 mL を精製水 80 mL に混合して調製したもの。

c

)

水  精製水

3.

試験液の調製  試験液の調製は,次による。

a

)

セメント 3 g に対応する量を製造業者が指定する方法で練和する。練和したセメントを清浄なプラス

チック製袋に入れ,密封する。この袋の中のセメントを指で押しつぶして非常に薄い円板を作る。

b

)

この円板を温度 37  ℃の恒温器中で 24 時間保持する。

c

)

この円板をめのう(瑪瑙)製の乳鉢と乳棒とを用いて微粉砕する。

d

)

微粉砕したセメント約 2 g を精確にひょう量し,容量 150 mL の三角フラスコに入れる。希塩酸 50 mL

を加え,フラスコに栓をしてよく振り,16 時間静置する。

e

)

この混合液を遠心分離チューブに入れ,10 分間遠心分離した後,清澄な液をピペットを用いて検体容

器に移液し,密栓する。

4.

ひ素定量方法  3.で調製した試験液の適正量(整除可能な量)を採取し,次の a)又は b)のいずれかに

よって,ひ素を定量する。

a

)  ISO 2590

によってひ素を定量する。

b

)

日本薬局方  一般試験法 40.  ひ素試験法  第 1 法

によってひ素を定量する。

  日本薬局方  一般試験法 40.  ひ素試験法  第 1 法によるときは,試験液 25 mL を精確に採取し,

この液を 20∼15 mL まで濃縮して試験液とする。

5.

鉛定量方法  3.で調製した試験液の適正量(整除可能な量)を採取し,試験液を原子吸光法又はこれ

と同等以上の精度をもつ方法によって試験し,鉛を定量する。


21

T 6609-1

:2005

附属書 H(規定)線造影性試験方法

1.

適用範囲  この附属書は,X 線造影性の試験方法について規定する。

2.

装置  装置は,次による。

a

)

単相歯科用 線ユニット  JIS Z 4711 に規定する診断用一体形 X 線発生装置又は管電圧 65±5 kV で

作動可能で,厚さ 1.5 mm のアルミニウム板を全透過する能力をもち,適正な附属装置を備えたもの。

b

)

歯科用 線フィルム  JIS K 7557 に規定する X 線用バッジフィルムの D 感度のもの又は ISO 3665 

規定する D 感度のもの。

c

)

現像液及び定着液  新しく調製したもの。

d

)

アルミニウムステップウェッジ  厚さ 0.5 mm の等間隔の階段状で 0.5∼5.0 mm の厚さ範囲をもつアル

ミニウム製ウェッジであって,

質量分率 98 %以上の純度(銅の質量分率 0.1 %未満,

鉄の質量分率 1.0 %

未満)のもの。アルミニウムステップウェッジは,すべての厚さの階段面が X 線フィルムに対して平

行でなければならない。

e

)

写真濃度計  光学濃度を 0.5∼2.5 の範囲で測定できるもの。

f

)

スプリットリング  試験円板(直径 15±1 mm,厚さ 1.0±0.1 mm)作製用の型(例えば,金属製のワ

ッシャ。

g

)

分離膜  厚さ 50±30

µm(例えば,ポリエステル製のもの。)

h

)

ガラス又は金属製平板  スプリットリングを挟める大きさのもの。

i

)

恒温恒湿器  温度 37±1  ℃,相対湿度 90 %以上を維持できるもの。

j

)

マイクロメータ  精度 0.01 mm のもの又はこれと同等性能の器具。

k

)

クランプ  セメントの硬化中に試験片の型を一体に保持するように設計されたクランプ,クリップ又

はこれと同等の器具。

l

)

研磨紙  粒度 1 200 番の乾湿両用の研磨紙。

3.

試験片の作製  試験片の作製は,次による。

a

)

ガラス又は金属製平板の上に分離膜を載せ,その上にスプリットリングを置く。製造業者の指定によ

って練和したセメントを,少し過剰にスプリットリングに充てんし,分離膜で覆い,第 2 のガラス又

は金属製平板を載せ,余剰のセメントを押し出す。精確な厚さの試験片を確実に作製するため,これ

をクランプで締め付け,恒温恒湿器に入れて 30 分間保持し,セメントを硬化させる。

b

)

型から試験片を取り出し,マイクロメータを用いて円板の中心付近の厚さを測定する。厚さが 1.0±0.1

mm

の試験片だけを採用する。試験片の厚さが厚すぎる場合には,研磨紙を用いて繰返し研磨して規

定の厚さにしてもよい。

c

) 23

±1  ℃に保った蒸留水に試験片を浸せきする。

備考  試験片は,浸せき後,7 日間以内に X 線造影性試験に用いる。

4.

手順  手順は,次による。

a

) X

線フィルムを厚さ 2 mm 以上の鉛シートの上に載せる。そのフィルムの中央に,試験片及びアルミ

ニウムステップウェッジを置く。


22

T 6609-1

:2005

備考  試験片の乾燥を避けるため,水から取り出して 30 分以内に X 線造影性を測定する。

b

) X

線フィルムとの距離 400 mm,管電圧 65±5 kV で,試験片,アルミニウムステップウェッジ及び X

線フィルムに向けて X 線を照射する。照射時間は,試験片及びアルミニウムステップウェッジ近傍の

X

線フィルムの現像後の光学濃度が 1.5∼2 となるような時間とする。

備考  代表的な X 線照射時間は,電流 10 mA のとき,0.3∼0.4 秒間である。

c

) X

線フィルムを現像・定着後,写真濃度計を用いて,試験片像の光学濃度をアルミニウムステップウ

ェッジ像の光学濃度と比較する。

備考  この測定の精度を改善するには,アルミニウムステップウェッジのアルミニウム厚さと光学濃

度との関係図を X 線照射ごとに作成するとよい。

5.

結果の判定  X 線造影性をアルミニウム相当の厚さとして,このフィルムの光学濃度から評価する。

試験片の光学濃度とアルミニウムステップウェッジの各ステップの光学濃度とを比較する。最も近い光学

濃度を示すアルミニウムステップウェッジの厚さの高い方の値を採用する(例えば,試験片がアルミニウ

ムの厚さ 3.5 mm と 4.0 mm の間の濃度を示した場合には,4.0 を採用する。

備考  X 線造影性評価の結果の判定においては,X 線造影性が高いほど,現像後のフィルム上の像濃

度が低くなる(透明度が高い)ことに注意する。


23

T 6609-1

:2005

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 6609-1:2005

  歯科用ウォーターベースセメント−第 1 部:粉液型酸-塩基性セメン

ISO 9917-1

:2003  歯科−ウォーターベースセメント−第 1 部:粉/液型酸-

塩基性セメント

(

Ⅰ)

JIS

の規定

(

Ⅱ)  国際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の

項目ごとの評価及びその内容 
  表示箇所:本体,附属書

  表示方法:点線の下線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異の理由

及び今後の対策

項目 
番号

内容

項目 
番号

内容

項 目 ご と
の評価

技術的差異の内容

1.

適用

範囲

最終的な合着,修復,裏層
又 は 裏 装 に 用 い る 粉液 型

酸-塩基性歯科用セメント
に 対 す る 要 求 事 項 及び 試
験方法について規定。この

規格は,手練和用セメント
及 び 機 械 練 和 用 カ プセ ル
入 り セ メ ン ト の 両 者に 適

応可能。

ISO 

9917-1 

1

JIS

とほぼ同じ。 MOD/削除

ISO

規格は,生体適合

性 に つ い て は 適 合 範

囲外とし,ISO 7405 
び ISO10993-1 を参照
すると推奨。

生体適合性について JIS は,項目 8.1 に
おいて,ISO 規格のそれぞれ対応 JIS

である,JIS T 6001 及び JIS T 0993-1 
よって評価すると規定。したがって技
術的差異はない。

2.

引用 規

ISO 2590

 ISO 3665JIS T 

6003 

 2 JIS

と同じ。 IDT

JIS K 7557

JIS T 0993-1

JIS T 6001

,  JIS Z 4711

− MOD/追加

規格の追加。

JIS

として必要な規格である。

ISO 3696 MOD/

削除

ISO

規格を削除。

我が国には,ISO 規格に合致する水が
ない。

3.

定義

三つの用語の定義を規定。

3

JIS

と同じ。 IDT

4.

分類 4.1 化学的組成による分類

4.1

JIS

とほぼ同じ。 

MOD/

追加

二つの分類を追加。

次回 ISO 規格改正時に提案することを
検討する。

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T

 6609-1


2005


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T 6609-1

:2005

(

Ⅰ)

JIS

の規定

(

Ⅱ)  国際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の

項目ごとの評価及びその内容 
  表示箇所:本体,附属書

  表示方法:点線の下線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異の理由

及び今後の対策

項目

番号

内容

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

4.

分類

(続)

4.2

用途別分類

4.2

JIS

とほぼ同じ。 

MOD/

追加

小か(窩)裂溝封鎖用
として,規定のいずれ

の 分 類 に も 使 用 で き
る。

5.

材料

5

JIS

と同じ。 

IDT

6.

資料 の

準備

6

JIS

と同じ。 

IDT

7.

試料 の

採取

7

JIS

と同じ。 

IDT

8.

品質 8.1 生体適合性:JIS T 0993-1

及び JIS T 6001 によって評
価。

 

MOD/

追加

技術的差異はない。

[項目 1 の  (Ⅴ)  参照]

 8.2

硬化時間

8.3

被膜厚さ

8.4

圧縮強さ

8.5

酸溶解性

8.6

光学的特性

8.7

酸溶解性ひ素含有量

8.8

酸溶解性鉛含有量

8.9 X

線造影性

 8

9

10

11

12

13.1

13.2

14

正味硬化時間 
被膜厚さ 
圧縮強さ

酸溶解性 
光学的特性 
酸溶解性ひ素含有量

酸溶解性鉛含有量

X

線造影性

MOD/

追加

項目 8.2,8.4,8.8,8.7
及び 8.8 に対して,項
目 4.2 で追加した種類

に つ い て の 品 質 要 求
事項を追加。

次回 ISO 規格改正時に提案することを
検討する。

9.1

包装

15.1

包装 IDT  −

9.2

表示

15.2

JIS

とほぼ同じ。 MOD/追加  “その他法定表示事項”

を 表 示 項 目 と し て 追
加。

ISO

規格で,項目 15 全体に対する備考

として“製造業者の任意又は法令の要
求による追加情報を含めてもよい。

”と

しているので,実質的差異はない。

9.

包装 ,

表示及び
製造業者

の提供す
る情報

9.3

説明書

15.3

製造業者による指示

IDT

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T

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2005


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T 6609-1

:2005

(

Ⅰ)

JIS

の規定

(

Ⅱ)  国際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の

項目ごとの評価及びその内容 
  表示箇所:本体,附属書

  表示方法:点線の下線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異の理由

及び今後の対策

項目

番号

内容

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

附属書 A
(規定)

硬化時間試験方法

附 属 書 A
(規定)

JIS

と同じ。 IDT

附属書 B
(参考)

歯 科 用 セ メ ン ト の 化学 的
組成及び用途

附 属 書 B
(参考)

JIS

とほぼ同じ。 MOD/追加

項目 4 で追加した分類
に 属 す る セ メ ン ト を

追加。

次回 ISO 規格改正時に提案することを
検討する。

附属書 C

(規定)

被膜厚さ試験方法

附 属 書 C

(規定)

JIS

と同じ。 IDT

附属書 D

(規定)

圧縮強さ試験方法

附 属 書 D

(規定)

JIS

と同じ。 IDT

附属書 E
(規定)

酸溶解性試験方法

附 属 書 E
(規定)

JIS

と同じ。 IDT

附属書 F
(規定)

光学的特性試験方法

附 属 書 F
(規定)

JIS

と同じ。 IDT

附属書 G
(規定)

酸 溶 解 性 ひ 素 及 び 鉛含 有
量試験方法

附 属 書 G
(規定)

JIS

とほぼ同じ。 MOD/選択

ひ素定量について,日
本 薬 局 方 に 記 載 の 試

験方法を追加。

我が国で制定している試験方法も選択
できるようにした。

附属書 H

(規定)

X

線造影性試験方法

附 属 書 H

(規定)

JIS

と同じ。 IDT

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD/削除………  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

    ―  MOD/追加………  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    ―  MOD/選択………  国際規格の規定内容と別の選択肢がある。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。

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