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日本工業規格

JIS

 T

6607

 - 1993

歯科用グラスポリアルケノートセメント

Dental glass polyalkenoate cement

1.

適用範囲  この規格は,歯科で使うアルミノシリケートガラスとポリアルケノイック酸の水溶液との

反応によって成る歯科用グラスポリアルケノートセメント(一般名称としてグラスアイオノマーセメント

という。以下,セメントという。

)について規定する。

備考  この規格の引用規格及び対応国際規格を,次に示す。

引用規格 

JIS Z 8801

  標準ふるい

対応国際規格  ISO 7489 :1986 Dental glass polyalkenoate cements

2.

種類  セメントは,使用目的によって次の 2 種類とする。

第 1 種  合着用

第 2 種  修復用

なお,小か(窩)裂溝封鎖用としては,第 1 種,第 2 種共に使用できる。

3.

品質

3.1

一般的性質  セメントは,粉末及び液から成るか,又は水と練和したときに硬化する粉末から成る

ものとし,製造業者が指定する方法で練和したとき,速やかに硬化しなければならない。

3.2

為害作用  練和したセメントは,製造業者が指定する方法で使用したとき,口くう(腔)内組織及

び歯髄に長期にわたり為害作用があってはならない。

3.3

色調  製造業者が指定する方法で練和し,硬化したセメントの色調は,37±1℃の水中に 7 日間浸し

た後,水中で自然光によって観察したとき,製造業者が供給する色調見本に適合しなければならない。

3.4

特性  セメントの特性は,5.35.9 によって試験したとき,表 のとおりでなければならない。

表 1  特性

項目

第 1 種

(合着用) 第 2 種

(修復用) 試験方法

被膜厚さ

µm 25  以下

5.3

硬化時間  min

7.5

以内

    5

  以内

5.4

圧縮強さ  MPa 70  以上 145  以上

5.5

崩壊率  %

1.0

以下

    0.7

以下

5.6

不透明度  C

0.70

 (

1

) -

0.35

∼0.90

5.7

ひ素含有量  mg/kg (ppm)

  2.0

以下

    2.0

以下

5.8

鉛含有量  mg/kg (ppm)

50

  以下

50

  以下

5.9

(

1

)

コントラスト比率 C

0.70

は,黒い背景上の標本による光の反射と,

反射率70%の白い背景上の標本の光反射との間の比率である。


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4.

材料  材料は,次のとおりとする。

(1)

液は,ポリカルボン酸水溶液を主成分とし,透明で沈殿物又は析出物を認めてはならない。

また,明らかなゲル状の徴候を示してはならない。

(2)

粉末は,アルミノシリケートガラスを主成分とし,均一できょう(夾)雑物がなく,顔料を含むとき

は均一に分散されていなければならない。

(3)

セメントは,製造業者が指定する方法で練和したとき,ガスを発生したり,不均一になってはならな

い。

(4)

セメントは,充てん又は装着したとき,歯の組織を着色してはならない。

5.

試験

5.1

試験  条件試験は,すべて温度 23±2℃,相対湿度 (50±10) %の均一な環境で行う。

5.2

試験片の作製  試験片を作製する場合,練和方法,粉液比などは製造業者が指定する方法で行う。

5.3

被膜厚さ試験  5.2 に規定した方法で練和したセメントを接触面積約 200mm

2

,

厚さ約 1.5mm で均等な

厚さの 2 枚のガラス板の間に挟み,練和を開始したときから 1 分 30 秒を経過したとき,

図 の試験機によ

ってこれに 150N を 10 分間加えた後,セメントを挟んだまま 2 枚のガラス板の厚さを 1

µm の精度をもつ

測定器を用いて測定し,セメントを挟まないときのガラス板の厚さとの差を求める。

この試験を 3 回行い,測定値の平均値を四捨五入して 1

µm の単位で表し,被膜厚さとする。

図 1  被膜厚さ試験用加圧装置

>

5.4

硬化時間試験  図 に示す耐酸性の硬化時間試験用型(a)をガラス板(b)上に置き,これに 5.2 に規定

した方法で練和したセメントを満たして,

表面を平らにする。

練和を開始したときから 2 分経過したとき,

これを温度 37±1℃,相対湿度 95∼100%の恒温器中に移し,質量 300g,針の断面積 1mm

2

のビカー針を試

験片の面に静かに落とす。このとき,針跡がつくかどうかを調べ,針跡がつかなくなるまで繰り返し,試

験片に針跡を残さなくなったときを練和開始から起算して硬化時間とする。

この試験を 3 回行い,平均の時間を例のように 15 秒単位で表し,セメントの硬化時間とする。

例  6 分 53 秒∼7 分 7 秒は 7 分,7 分 8 秒∼7 分 22 秒は 7 分 15 秒とする。


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図 2  硬化時間試験用型(a)及びガラス板(b)

5.5

圧縮強さ試験  圧縮強さ試験は,次のとおりとする。

(1)

図 の耐酸性の型を耐酸性の板の上に置き,この中に 5.2 に規定した方法で練和したセメントを入れ

る。

(2)

その上に他の耐酸性の板を当て,

図 の加圧器を用い,非粘着シートを介して他のガラス板で圧接加

圧して過量のセメントを押し出す。

(3)

練和を開始したときから 2 分 30 秒経過したとき,加圧したまま温度 37±1℃,相対湿度 95∼100%の

恒温器中に移す。

(4)

練和を開始したときから 60 分経過したとき,試験片を型から取り出し,必要があれば試験片の両端面

を軸に直角で平らに仕上げて,37±1℃の蒸留水中に入れる。

(5)

練和を開始したときから 24 時間経過したとき,蒸留水中から取り出し,圧縮強さ試験を行う。

(6)

試験片は,圧縮試験機の圧縮板の中央に置き,上下に水でぬらした厚さ約 0.5mm のろ紙の小片で挟ん

でクロスヘッドスピード毎分 1mm の速さで加圧し,試験片が破砕したときの荷重を測定する。

(7)

測定は 5 個の試験片について行い,その総平均値の−15%以下の数値を除いた残りの数値の平均値を

もって圧縮強さとし,四捨五入して 1MPa 単位で表す。ただし,総平均値の−15%以下の数値が 2 個

以上のときは,再試験を行うものとする。

図 3  圧縮強さ試験用型

図 4  加圧器


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5.6

崩壊率試験  崩壊率試験は,次のとおりとする。

(1)

あらかじめ非粘着性シートを敷いた二組の

図 のガラス板(b)上に,崩壊率試験用型(a)に示すステンレ

ス鋼製リングを置き,5.2 に規定した方法で練和したセメントを満たす。

(2)

この 2 個の試験片に質量既知の適切な長さの耐酸性のある細線を挿入する。

(3)

これを非粘着性シートを介して他のガラス板で圧接加圧し,練和を開始したときから 2 分 30 秒を経過

したとき,温度 37±1  ℃,相対湿度 95∼100%の恒温器中に移す。

(4)

練和を開始したときから 1 時間を経過したとき,2 個の試験片をガラス板とシートから  はく離し,直

ちに質量既知の内容積約 100ml の共栓ガラス瓶に入れて栓をし,ひょう量する。

(5)

この質量と瓶及び細線の合計質量との差を求め,試験片の質量とする。

(6)

これに 50ml の蒸留水を入れ,2 個の試験片を細線によって水中に懸垂させ,軽く栓をして温度 37±

1

℃の恒温器中に 23 時間保つ。

(7)

試験片を瓶から取り出す。

(8)

ガラス瓶内の水を温度 100℃の恒温器で蒸発させ,さらに,温度 150℃の恒温器中で,瓶の質量変化が

24

時間につき 0.5mg 以下になるまで乾燥させる。

(9)

次に,デシケータの中に入れて放冷した後,瓶をひょう量する。

(10)

この値から,元のガラス瓶の質量を差し引いて蒸発残留物の質量を求め,試験片の元の質量に対する

割合 (%) を求め,これを崩壊率とし,四捨五入して 0.1%の単位で表す。

図 5  崩壊率試験用型(a)及びガラス板(b)

5.7

不透明度試験  不透明度試験は,次のとおりとする。

(1)

あらかじめ非粘着性シートを敷いた二組の

図 のガラス板(b)上に,不透明度試験用型(a)に示すステン

レス鋼製リングを置き,5.2 に規定した方法で練和したセメントを満たす。

(2)

これを非粘着性シートを介して他のガラス板で圧接加圧して,練和を開始してから 2 分 30 秒を経過し

たとき,温度 37±1℃,相対湿度 95∼100%の恒温器中に移す。

(3)

練和を開始したときから 1 時間を経過したとき,2 個の試験片をガラス板とシートからはく離し,リ

ングから分離して,37±1℃の蒸留水中に 1 週間貯蔵する。


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(4)  C

0.70

の値がそれぞれ 0.35, 0.90 をもつ標準オパールガラス又はこれと同等な 2 個の間に試験片を置き,

白と黒のしま(縞)模様になった背景下で試験片の不透明度を比較する。このとき,試験片と標準オ

パールガラス又はこれと同等品と  しま模様の背景は蒸留水の薄膜で覆う。

(5)

セメント試験片の不透明度が,これら 2 枚の標準オパールガラス若しくは同等品の中間,又はこれと

同等のときは合格とする。

図 6  不透明度試験用型(a)及びガラス板 (b) 

5.8

ひ素含有量試験  硬化後,乾燥密閉容器中で 24 時間経過したセメントを微粉砕し,JIS Z 8801 に規

定する 75

µm のふるいを通過する粉末とし,その 1.0g を正確に量り,100ml の蒸留水を加え,水浴上で 1

時間加熱した後ろ過し,20ml 以内の温蒸留水で洗い,洗液と  ろ液とを合わせる。この液を水浴上で 20∼

15ml

まで濃縮したものを試験液とし,

日本薬局方  一般試験法 40. ヒ素試験法に定める装置,試液及び操

作法によって試験を行う。

5.9

鉛含有量試験  5.8 の方法によって作製したセメント粉末 2±0.01g を正確に量り,150ml の三角フラ

スコに移して 20%塩酸 50±0.5ml を加え,フラスコに栓をしてよく振り,16 時間静置する。次に,溶液を

遠心分離チューブに入れ 10 分間遠心分離した後,

ピペットで液を採取して原子吸光法で鉛の含有量を測定

する。

6.

製品の呼び方  製品の呼び方は,製品名称及び種類による。

例  歯科用グラスポリアルケノートセメント  第 1 種

歯科用グラスアイオノマーセメント  第 1 種

7.

表示  セメントの包装には,次の事項を表示しなければならない。

(1)

製品名称

(2)

種類及び用途

(3)

粉末又は液の別

(4)

内容量


6

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(5)

製造番号又は製造記号

(6)

製造業者名及び所在地

(7)

他の法定表示事項

8.

説明書  セメントには,次の事項を記載した説明書を添付しなければならない。

(1)

合着用及び修復用に対する練和方法

(2)

粉液比

(3)

練和用練板の種類

(4)

練和時間

(5)

操作時間

(6)

使用上の注意事項


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参考

この参考は,本体の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

日本薬局方(第二改正)一般試験法 

40.

ヒ素試験法

ヒ素試験法は,薬品中に混在するヒ素の限度試験である。その限度は三酸化ヒ素 (As

2

O

3

)

の量として表

す。

医薬品各条には,ヒ素(As

2

O

3

として)の限度を ppm で  (  )  内に付記する。

装置 A

図 に示すものを用いる。

排気管 B に約 30mm の高さにガラス繊維 F を詰め,酢酸鉛試液及び水の等容量混液で均等に潤した後,

下端から弱く吸引して,過量の液を除く。これをゴム栓 H の中心に垂直にさし込み,B の下部の小孔 E は

下にわずかに突きでるようにして発生瓶 A に付ける。B の上端にはガラス管 C を垂直に固定したゴム栓 J

を付ける。C の排気管側の下端はゴム栓 J の下端と同一平面とする。


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検液の調製法

別に規定するもののほか,次の方法による。

図 2

(1)

第 1 法

医薬品各条に規定する量の試料を量り,水 5ml を加え,必要ならば加温して溶かし,検液とする。

(2)

第 2 法

医薬品各条に規定する量の試料を量り,水 5ml 及び硫酸 1ml を加える。ただし,無機酸の場合には

硫酸を加えない。これに亜硫酸水 10ml を加え,小ビーカーに入れ,水浴上で加熱して亜硫酸がなく

なり約 2ml となるまで蒸発し,水を加えて 5ml とし,検液とする。

(3)

第 3 法

医薬品各条に規定する量の試料を量り,白金製,石英製又は磁製のるつぼにとる。これに硝酸マグ

ネシウムのエタノール溶液 (1→50) 10ml を加え,エタノールに点火して燃焼させた後,徐々に加熱し

て灰化する。もしこの方法で,なお炭化物が残るときは,少量の硝酸で潤し,再び強熱して灰化する。

冷後,残留物に塩酸 3ml を加え,水浴上で加温して溶かし,検液とする。


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試液 

ヒ化水素吸収液:ジエチルジチオカルバミン酸銀 0.50g をピリジンに溶かし,100ml とする。この液は

遮光した共栓瓶に入れ,冷所に保存する。

ヒ素標準原液:三酸化ヒ素を微細の粉末とし,105°で 4 時間乾燥し,その 0.100g を正確に量り,水酸

化ナトリウム溶液(1→5)5ml に溶かす。この液に希硫酸を加えて中性とし,更に希硫酸 10ml を追加し,新

たに煮沸して冷却した水を加えて正確に 1 000ml とする。

ヒ素標準液:ヒ素標準原液 10ml を正確に量り,希硫酸 10ml を加え,新たに煮沸して冷却した水を加え

て正確に 1 000ml とする。この液 1ml は三酸化ヒ素  (As

2

O

3

) 1

µ

g

を含む。この液は用時調製し,共栓瓶に

保存する。

操作法

別に規定するもののほか,次の方法により試験を行う。

(1)

装置 A を用いる方法

標準色の調製は同時に行う。

発生瓶 A に検液をとり,必要ならば少量の水で洗い込む。これにメチルオレンジ試液 1 滴を加え,

アンモニア試液,強アンモニア水又は希塩酸を用いて中和した後,薄めた塩酸 (1→2) 5ml 及びヨウ化

カリウム試液 5ml を加え,2∼3 分間放置した後,更に酸性塩化第一スズ試液 5 ml を加え,室温で 10

分間放置する。次に水を加えて 40ml とし,無ヒ素亜鉛 2g を加え,直ちに B, C, G 及び D を連結した

ゴム栓 H を発生瓶 A に付け,25°の水中に発生瓶 A の肩まで浸し,1 時間放置した後,直ちに臭化第

二水銀紙の色を観察する。この色は標準色より濃くない。

標準色の調製発生瓶 A にヒ素標準液 2ml を正確に加え,更に薄めた塩酸 (1→2) 5ml 及びヨウ化カリ

ウム試液 5ml を加えて 2∼3 分間放置した後,酸性塩化第一スズ試液 5ml を加え,室温で 10 分間放置

する。以下前記と同様に操作して得た臭化第二水銀紙の呈色を標準色とする。この色は三酸化ヒ素

(As

2

O

3

) 2

µg に対応する。

(2)

装置 B を用いる方法

標準色の調製は同時に行う。

発生瓶 A に検液をとり,以下装置 A を用いる方法と同様に操作し,室温で 10 分間放置する。次に

水を加えて 40ml とし,無ヒ素亜鉛 2g を加え,直ちに B 及び C を連結したゴム栓 H を発生瓶 A に付

ける。C の細管部の端はあらかじめヒ化水素吸収液 5ml を入れた吸収管 D の底に達するように入れて

おく。次に発生瓶 A は 25°の水中に肩まで浸し,1 時間放置する。吸収管をはずし,必要ならばピリ

ジンを加えて 5ml とし,吸収液の色を観察する。この色は標準色より濃くない。

標準色の調製  発生瓶 A にヒ素標準液 2ml を正確に加え,更に薄めた塩酸    (1→2) 5ml 及びヨウ化

カリウム試液 5ml を加えて 2∼3 分間放置した後,酸性塩化第一スズ試液 5ml を加え,室温で 10 分間

放置する。以下前記と同様に操作して得た吸収液の呈色を標準色とする。この色は三酸化ヒ素

(As

2

O

3

) 2

µg に対応する。

注意:試験に用いる器具,試薬及び試液はヒ素を含まないか,又はほとんど含まないものを用い,必

要ならば空試験を行う。


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T 6607 - 1993

医療安全用具部会  歯科材料専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

長谷川  二  郎

愛知学院大学

石  川  達  也

東京歯科大学

斉  藤      毅

日本大学

高  橋  重  雄

松本歯科大学

溝  上  隆  男

東京歯科大学

村  井  正  大

日本大学

稲  葉  裕  俊

工業技術院標準部

澤      宏  紀

厚生省薬務局

庵  原  靖  之

日本歯科医師会

梅  田  昭  夫

日本歯科医師会

岡      英  男

日本歯科医師会

梶  山      進

日本歯科医師会

杉  山      勉

日本歯科医師会

住  井  俊  夫

日本歯科医師会

加  藤      勇

三金工業株式会社

田  中  文  夫

昭和薬品化工株式会社

中  村  悦  三

株式会社松風

宮  崎  平  八

株式会社日本橋徳力

渡  辺  一  弘

株式会社ジーシー

富  岡  健太郎

日本歯科材料工業協同組合

(事務局)

柾  谷  栄  吾

工業技術院標準部電気規格課

金  地  隆  志

工業技術院標準部電気規格課