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日本工業規格

JIS

 T6602

-1993

歯科用りん酸亜鉛セメント

Dental zinc phosphate cement

1.

適用範囲  この規格は,仮封用を除く歯科用りん酸亜鉛セメント(以下,セメントという。)について

規定する。

備考  この規格の引用規格及び対応国際規格を,次に示す。

引用規格 

JIS Z 8801

  標準ふるい

対応国際規格 

ISO 1566 : 1978

  Dental zinc phosphate cement

2.

品質

2.1

一般的性質  セメントは,粉末及び液から成り,製造業者が指定する方法で練和したとき,速やか

に硬化しなければならない。

2.2

為害作用  練和したセメントは,製造業者が指定する方法で使用したとき,口くう(腔)内組織及

び歯髄に長期にわたり為害作用があってはならない。

2.3

特性  セメントの特性は,4.44.8 によって試験したとき,表 のとおりでなければならない。

表 1  特性

項目

特性

試験方法

硬化時間

4

分以上 8 分以内

4.4

圧縮強さ 70MPa 以上

4.5

被膜厚さ 30

µm 以下

4.6

崩壊率 0.2%以下

結晶を認めないこと

4.7

ひ素含有量 2.0mg/kg

(ppm)

以下

4.8

3.

材料  材料は,次のとおりとする。

(1)

液は,りん酸溶液を主成分とし,無色透明で沈殿物又は析出物を認めてはならない。

(2)

粉末は,酸化亜鉛を主成分とし,均一できょう(夾)雑物がなく,顔料を含むときは均一に分散され

ていなければならない。

(3)

セメントは,製造業者が指定する方法で練和したとき,ガスを発生したり,不均一になってはならな

い。

(4)

セメントは,充てん(填)又は装着したとき,歯の組織を着色してはならない。

4.

試験


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T6602-1993

4.1

試験条件  試験は,すべて温度 23±2℃,相対湿度 (50±10) %の均一な環境で行う。

4.2

試験片の作製時の練和法  試験片を作製するときの練和法は,製造業者が指定する方法で行う。指

定がないときは,4.3 で求められる標準ちょう(稠)度に相当する量の液と粉末を採り,液の全量に対し粉

末を分割して練和する。粉末の分割比率及び練和時間は,

表 のとおりとし,合計 90 秒で練和する。

表 2  粉末の分割比率及び練和時間

4.3

試験片作製時のちょう度  練板の上に 0.5ml の液を採り,製造業者が指定する比率の粉末を加えて

4.2

に規定した方法で練和したセメント 0.5ml を

図 に示す器具を用いて計量する。次にセメントをガラス

板上に静かに押し出し,練和を開始したときから 3 分を経過したとき,これに質量約 20g の他のガラス板

を載せ,その上に質量約 100g のおもりを静かに載せ,その合計質量が 120±0.5g になるようにする。

練和を開始したときから 10 分を経過したとき,おもり及び上部のガラス板を取り除き,広がった試料の

平行線間の最大部及び最小部の寸法を 0.5mm の単位で測定し,この平均値をちょう度とする。

製造業者の指定のない場合は,この平均値が 29∼31mm となったとき,これを標準ちょう度とし,この

粉末量を 0.5ml の液と練和すべき粉末量とする。

図 1  ちょう度測定器略図

4.4

硬化時間試験  図 に示す耐酸性の硬化時間試験用型(a)をガラス板(b)の上に置き,これに 4.2 に規

定した方法で練和したセメントを満たし,表面を平らにする。練和を開始したときから 3 分を経過したと

き,これを温度 37±1℃,相対湿度 95∼100%の恒温器中に移し,質量 300g,針の断面積 1mm

2

のビカー針

を試験片の面に静かに落とす。この操作を針跡がつかなくなるまで繰り返し,試験片に針跡を残さなくな

ったときを練和開始から起算して硬化時間とする。

この試験を 3 回行い,平均の時間を例のように 15 秒単位で表し,セメントの硬化時間とする。

例  6 分 53 秒∼7 分 7 秒は 7 分,7 分 8 秒∼7 分 22 秒は 7 分 15 秒とする。


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T6602-1993

図 2  硬化時間試験用型(a)及びガラス板(b)

4.5

圧縮強さ試験  圧縮強さ試験は,次のとおりとする。

(1)

図 の耐酸性の型を耐酸性の板の上に置き,この中に 4.2 に規定した方法で練和したセメントを入れ

る。

(2)

その上に他の耐酸性の板を当て,

図 の加圧器を用い,非粘着性シートを介して他のガラス板で圧接

加圧して過量のセメントを押し出す。

図 3  圧縮強さ試験用型

図 4  加圧器

(3)

練和を開始したときから 3 分経過したとき,加圧したまま温度 37±1℃,相対湿度 95∼100%の恒温器

中に移す。

(4)

練和を開始したときから 60 分経過したとき,試験片を型から取り出し,必要があれば試験片の両端面

を軸に直角で平らに仕上げて,温度 37±1℃の蒸留水中に入れる。

(5)

練和を開始したときから 24 時間経過したとき,蒸留水中から取り出し,圧縮強さ試験を行う。

(6)

試験片は,圧縮試験機の圧縮板の中央に置き,上下に水でぬらした厚さ約 0.5mm のろ紙の小片で挟ん

でクロスヘッドスピード毎分 1mm の速さで加圧し,試験片が破砕したときの荷重を測定する。

(7)

測定は 5 個の試験片について行い,その総平均値の−15%以下の数値を除いた残りの数値の平均値を

もって圧縮強さとし,四捨五入して 1MPa の単位で表す。ただし,総平均値の−15%以下の数値が 2

個以上のときは,再試験を行うものとする。


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T6602-1993

4.6

被膜厚さ試験  4.2 に規定した方法で練和したセメントを接触面積約 200mm

2

,厚さ約 1.5mm の均等

な厚さの 2 枚のガラス板の間に挟み,練和を開始したときから 3 分を経過したとき,これに 150N を 10 分

間加えた後,セメントを挟んだまま 2 枚のガラス板の厚さを 1

µm の精度をもつ測定器を用いて測定し,セ

メントを挟まないときのガラス板の厚さとの差を求める。

この試験を 3 回行い,測定値の平均値を四捨五入して 1

µm の単位で表し,被膜厚さとする。

4.7

崩壊率試験  崩壊率試験は,次のとおりとする。

(1)  4.2

に規定した方法で練和したセメントを,

図 に示すガラス板(b)上の崩壊率試験用型(a)の 2 個に満

たす。

図 5  崩壊率試験用型(a)及びガラス板(b)

(2)

この 2 個の試験片に質量既知の適切な長さの耐酸性のある細線を挿入する。

(3)

これを他のガラス板で軽く圧接してセメントの直径を約 20mm とし,練和を開始したときから 3 分を

経過したとき,温度 37±1℃,相対湿度 95∼100%の恒温器中に移す。

(4)

練和を開始したときから 1 時間を経過したとき,2 個の試験片をガラス板からはく離し,直ちに質量

既知の内容積約 100ml の共栓ガラス瓶に入れて栓をし,ひょう量する。

(5)

この質量と瓶及び細線の合計質量との差を求め,試験片の質量とする。

(6)

これに 50ml の蒸留水を入れ,

2

個の試験片を細線によって水中に懸垂させ,

軽く栓をして温度 37±1℃

の恒温器中に 23 時間保つ。

(7)

試験片を瓶から取り出し,その表面に結晶の析出があるかどうかを調べる。

(8)

ガラス瓶内の水を温度 100℃の恒温器で蒸発させ,さらに,温度 150℃の恒温器中で瓶の質量変化が

24

時間につき 0.5mg 以下になるまで乾燥させる。

(9)

次にデシケータの中に入れて放冷した後,瓶をひょう量する。

(10)

この値から元のガラス瓶の質量を差し引いて蒸発残留物の質量を求め,試験片の元の質量に対する割

合 (%) を求め,これを崩壊率とし,四捨五人して 0.1%の単位で表す。


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T6602-1993

4.8

ひ素含有量試験  硬化後,乾燥密閉容器中で 24 時間経過したセメントを微粉砕し,JIS Z 8801 に規

定する 75

µm のふるいを通過する粉末とし,その 1.0g を正確に量り,100ml の蒸留水を加え,水浴上で 1

時間加熱した後ろ過し,20ml 以内の温蒸留水で洗い,洗液とろ液とを合わせる。この液を水浴上で 20∼

15ml

まで濃縮したものを試験液とし,

日本薬局方  一般試験法 40.ヒ素試験法に定める装置,試験及び操

作法によって試験を行う。

5.

製品の呼び方  製品の呼び方は,規格の名称による。

例  歯科用りん酸亜鉛セメント

6.

表示  セメントの包装には,次の事項を表示しなければならない。

(1)

規格の名称

(2)

粉末及び液の別

(3)

内容量

(4)

製造番号又は製造記号

(5)

製造業者名及び所在地

(6)

他の法定表示事項

7.

説明書  セメントには,次の事項を記載した説明書を添付しなければならない。

(1)

練和方法

(2)

粉液比

(3)

練和用練板の種類

(4)

練和時間

(5)

使用上の注意事項


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参考

この参考は,本体の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

日本薬局方(第一二改正)  一般試験法

40.

ヒ素試験法 

ヒ素試験法は,薬品中に混在するヒ素の限度試験である。その限度は三酸化ヒ素 (As

2

O

3

)

の量として表

す。

医薬品各条には,ヒ素(As

2

O

3

として)の限度を ppm で(  )内に付記する。

装置 A

図 に示すものを用いる。

A

:発生瓶(肩までの内容約 70ml)

B

:排気管

C

及び D:褐色ガラス管(内径 5.6mm,接続部の外径は 18mm でそれぞれすり合わせとする。

E

:小孔


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図 1

排気管 B に約 30mm の高さにガラス織維 F を詰め,酢酸鉛試液及び水の等容量混液で均等に潤した後,

下端から弱く吸引して,過量の液を除く。これをゴム栓 H の中心に垂直にさし込み,B の下部の小孔 E は

下にわずかに突きでるようにして発生瓶 A に付ける。B の上端にはガラス管 C を垂直に固定したゴム栓 J

を付ける。C の排気管側の下端はゴム栓 J の下端と同一平面とする。

検液の調製法

別に規定するもののほか,次の方法による。


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図 2

(1)

第 

区薬品各条に規定する量の試料を量り,水 5ml を加え,必要ならば加温して溶かし,検液とする。

(2)

第 

医薬品各条に規定する量の試料を量り,水 5ml 及び硫酸 1ml を加える。ただし,無機酸の場合には

硫酸を加えない。これに亜硫酸水 10ml を加え,小ビーカーに入れ,水浴上で加熱して亜硫酸がなく

なり約 2ml となるまで蒸発し,水を加えて 5ml とし,検液とする。

(3)

第 

医薬品各条に規定する量の試料を量り,白金製,石英製又は磁製のるつぼにとる。これに硝酸マグ

ネシウムのエタノール溶液 (1→50) 10ml を加え,エタノールに点火して燃焼させた後,徐々に加熱し

て灰化する。もしこの方法で,なお炭化物が残るときは,少量の硝酸で潤し,再び強熱して灰化する。

冷後,残留物に塩酸 3ml を加え,水浴上で加温して溶かし,検液とする。

試液 

ヒ化水素吸収液:ジエチルジチオカルバミン酸銀 0.50g をピリジンに溶かし,100ml とする。この液は

遮光した共栓瓶に入れ,冷所に保存する。

ヒ素標準原液:三酸化ヒ素を微細の粉末とし,105°で 4 時間乾燥し,その 0.100g を正確に量り,水酸

化ナトリウム溶液 (1→5) 5ml に溶かす。この液に希硫酸を加えて中性とし,更に希硫酸 10ml を追加し,

新たに煮沸して冷却した水を加えて正確に 1 000ml とする。

ヒ素標準液:ヒ素標準原液 10ml を正確に量り,希硫酸 10ml を加え,新たに煮沸して冷却した水を加え

て正確に 1 000ml とする。この液 1ml は三酸化ヒ素 (As

2

O

3

) 1

µg を含む。この液は用時調製し,共栓瓶に


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保存する。

操作法

別に規定するもののほか,次の方法により試験を行う。

(1)

装置 A を用いる方法

標準色の調製は同時に行う。

発生瓶 A に検液をとり,必要ならば少量の水で洗い込む。これにメチルオレンジ試液 1 滴を加え,

アンモニア試液,強アンモニア水又は希塩酸を用いて中和した後,薄めた塩酸 (1→2) 5ml 及びヨウ化

カリウム試液 5ml を加え,2∼3 分間放置した後,更に酸性塩化第一スズ試液 5ml を加え,室温で 10

分間放置する。次に水を加えて 40ml とし,無ヒ素亜鉛 2g を加え,直ちに B,C,G 及び D を連結し

たゴム栓 H を発生瓶 A に付け,25°の水中に発生瓶 A の肩まで浸し,1 時間放置した後,直ちに臭化

第二水銀紙の色を観察する。この色は標準色より濃くない。

標準色の調製発生瓶 A にヒ素標準液 2ml を正確に加え,更に薄めた塩酸 (1→2) 5ml 及びヨウ化カリ

ウム試液 5ml を加えて 2∼3 分間放置した後,酸性塩化第一スズ試液 5ml を加え,室温で 10 分間放置

する。以下前記と同様に操作して得た臭化第二水銀紙の呈色を標準色とする。この色は三酸化ヒ素

(As

2

O

3

) 2

µg に対応する。

(2)

装置 B を用いる方法

標準色の調製は同時に行う。

発生瓶 A に検液をとり,以下装置 A を用いる方法と同様に操作し,室温で 10 分間放置する。次に

水を加えて 40ml とし,無ヒ素亜鉛 2g を加え,直ちに B 及び C を連結したゴム栓 H を発生瓶 A に付

ける。C の細管部の端はあらかじめヒ化水素吸収液 5ml を入れた吸収管 D の底に達するように入れて

おく。次に発生瓶 A は 25。の水中に肩まで浸し,1 時間放置する。吸収管をはずし,必要ならばピリ

ジンを加えて 5ml とし,吸収液の色を観察する。この色は標準色より濃くない。

標準色の調製  発生瓶 A にヒ素標準液 2ml を正確に加え,更に薄めた塩酸 (1→2) 5ml 及びヨウ化カ

リウム試液 5ml を加えて 2∼3 分間放置した後,酸性塩化第一スズ試液 5ml を加え,室温で 10 分間放

置する。以下前記と同様に操作して得た吸収液の呈色を標準色とする。この色は三酸化ヒ素 (As

2

O

3

)

2

µg に対応する。

注意: 試験に用いる器具,試薬及び試液はヒ素を含まないか,又はほとんど含まないものを用い,

必要ならば空試験を行う。


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医療安全用具部会  歯科材料専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

長谷川  二  郎

愛知学院大学

石  川  達  也

東京歯科大学

斉  藤      毅

日本大学

高  橋  重  雄

松本歯科大学

溝  上  隆  男

東京歯科大学

村  井  正  大

日本大学

稲  葉  裕  俊

工業技術院標準部

澤      宏  紀

厚生省薬務局

庵  原  靖  之

日本歯科医師会

梅  田  昭  夫

日本歯科医師会

岡      英  男

日本歯科医師会

梶  山      進

日本歯科医師会

杉  山      勉

日本歯科医師会

住  井  俊  夫

日本歯科医師会

加  藤      勇

三金工業株式会社

田  中  文  夫

昭和薬品化工株式会社

中  村  悦  三

株式会社松風

宮  崎  平  八

株式会社日本橋徳力

渡  辺  一  弘

株式会社ジーシー

富  岡  健太郎

日本歯科材料工業協同組合

(事務局)

柾  谷  栄  吾

工業技術院標準部電気規格課

金  地  隆  志

工業技術院標準部電気規格課