T 6114
:2015
(1)
目 次
ページ
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
金合金の種類
1
4
品質
1
4.1
生体適合性
1
4.2
外観
1
4.3
化学成分
1
4.4
機械的性質
2
4.5
密度
2
4.6
耐食性
2
4.7
変色
2
4.8
液相点及び固相点
2
5
試験方法
2
5.1
プラスメタルの場合
2
5.2
金合金の場合
3
6
表示及び添付文書
3
6.1
表示
3
6.2
添付文書
4
T 6114
:2015
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本歯科材料工業
協同組合(JDMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改
正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本工業規格であ
る。これによって,JIS T 6114:2011 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格
JIS
T
6114
:2015
歯科鋳造用 14 カラット金合金用プラスメタル
Plus metals for dental casting 14 K gold alloys
1
適用範囲
この規格は,JIS T 6113 で規定する歯科鋳造用 14 カラット金合金(以下,金合金という。
)を作製する
ために用いる,歯科用金地金に添加するプラスメタル(以下,プラスメタルという。
)について規定する。
注記 平成 30 年 9 月 30 日まで JIS T 6114:2011 を適用することができる。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS T 0993-1
医療機器の生物学的評価−第 1 部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
JIS T 6001
歯科用医療機器の生体適合性の評価
JIS T 6002
歯科用金属材料の腐食試験方法
JIS T 6004
歯科用金属材料の試験方法
JIS T 6113
歯科鋳造用 14 カラット金合金
JIS Z 2241
金属材料引張試験方法
JIS Z 8721
色の表示方法−三属性による表示
3
金合金の種類
プラスメタルを添加して作製する金合金の種類は,
表 1 による。
表 1−種類
種類
主な用途例
第 1 種
インレー
第 2 種
クラスプ
4
品質
4.1
生体適合性
金合金の生体適合性については,JIS T 0993-1 及び JIS T 6001 によって生物学的安全性を評価する。
4.2
外観
プラスメタルの外観は,5.1.1 によって試験したとき,均質であって金属光沢をもち,表面は異種物質が
付着していてはならない。
4.3
化学成分
4.3.1
一般
2
T 6114
:2015
プラスメタルの化学成分は,5.1.2 によって試験したとき,6.1 a) 2) 及び 6.2 a) 1) に記載の値に対し,
表
2
の許容差とする。また,金合金に含まれるニッケルが 0.1 %を超える場合には,6.1 b) 2) 及び 6.2 b) 8) に
記載の値を超えてはならない。
表 2−プラスメタルの化学成分の許容差
単位 %
成分分量
許容差
銀
白金族元素
a)
その他の元素
1 以上 10 未満
+0.5
0
+0.5
0
±1
10 以上
+2
0
+2
0
±2
注
a)
オスミウムを除く。
4.3.2
有害元素
有害元素は,カドミウム,ベリリウム及び鉛とする。プラスメタルに含まれるカドミウム,ベリリウム
及び鉛は,5.1.2 によって試験したとき,それぞれ 0.02 %以下でなければならない。
4.4
機械的性質
金合金の機械的性質は,5.2.2 によって試験したとき,
表 3 による。ただし,強さについては,耐力又は
引張強さのいずれでもよい。
表 3−金合金の機械的性質
種類
熱処理
強さ MPa
伸び
%
耐力
引張強さ
第 1 種
軟化 180 以上 245 以上 10 以上
第 2 種
硬化 360 以上 540 以上
2 以上
4.5
密度
金合金の密度は,5.2.3 によって試験したとき,6.2 b) 5) に記載の値の±5 %以内でなければならない。
4.6
耐食性
金合金の耐食性は,5.2.4 によって試験したとき,金合金から溶出するイオンの全量が,7 日間当たり 200
μg/cm
2
を超えてはならない。
4.7
変色
金合金の変色は,5.2.5 によって試験したとき,変色しないか,又は変色することがあっても,試験片の
色相は JIS Z 8721 に基づく標準色票の 7.5YR で,明度は 8 以上,かつ,彩度は 6 以下でなければならない。
4.8
液相点及び固相点
金合金の液相点及び固相点は,5.2.6 によって試験したとき,6.2 b) 6) に記載の値の±20 ℃以内でなけ
ればならない。
5
試験方法
5.1
プラスメタルの場合
5.1.1
外観
3
T 6114
:2015
外観は,JIS T 6004 の 6.1(外観試験)による。
5.1.2
化学成分
化学成分は,JIS T 6004 の 6.2(定量試験)による。
5.2
金合金の場合
5.2.1
試験に用いる金合金
試験に用いる金合金は,製造販売業者が指定する方法によって作製する。
5.2.2
機械的性質
5.2.2.1
試験片
試験片は,製造業者が指定する方法によって鋳造及び熱処理を行ったものを 6 本用い,直径を 2±0.1 mm
及び標点距離を 20±0.1 mm,若しくは直径を 3±0.1 mm 及び標点距離を 15±0.1 mm とし,試験片の形状
は,JIS T 6004 の
図 2(つかみ部円柱状試験片)の a) 又は b) による。
なお,JIS T 6004 の
図 2 のつかみ部は直径 2 mm でもよい。
5.2.2.2
試験方法
引張試験は,JIS Z 2241 に規定する方法又はクロスヘッドスピード(1.5±0.5 mm/min)で,耐力(0.2 %)
又は引張強さのいずれか,及び伸びについて行う。試験結果は,6 本の試験片のうち,4 本以上が
表 3 に
適合する場合には,適合する全てのものの平均値で表す。
なお,適合するものが 3 本以下の場合には,再度試験を行う。その結果,適合するものが 3 本以下の場
合には,不合格とする。
5.2.3
密度
密度は,JIS T 6004 の 6.4(密度試験)による。
5.2.4
耐食性
耐食性は,JIS T 6004 の 6.5(腐食試験)による。
5.2.5
変色
変色は,JIS T 6002 の 4.4[硫化物による変色試験(静的浸せき)
]による。
5.2.6
液相点及び固相点
液相点及び固相点は,JIS T 6004 の 6.7(液相点及び固相点又は融点試験)による。
6
表示及び添付文書
6.1
表示
プラスメタルの包装には,次の事項を記載しなければならない。
a)
プラスメタルに関する事項
1)
製品名
2)
成分分量(%)
3)
質量
4)
製造販売業者名及び所在地
5)
製造番号又は製造記号
6)
他の法定表示事項
b)
金合金とした場合の事項
1)
金合金の種類
例 1 歯科鋳造用 14 カラット金合金 第 1 種
4
T 6114
:2015
例 2 歯科鋳造用 14 カラット金合金 第 2 種
2)
ニッケルの含有量及び注意事項(0.1 %を超える場合)
3)
他の法定表示事項
6.2
添付文書
プラスメタルには,次の事項を記載した文書を添付しなければならない。
a)
プラスメタルに関する事項
1)
成分分量(%)
2)
金合金の作製方法
3)
金合金の作製に関する注意事項
4)
使用上の注意事項
5)
他の法定記載事項
b)
金合金とした場合の事項
1)
金合金の種類
2)
鋳造方法及び熱処理方法
3)
耐力又は引張強さ
4)
伸び
5)
密度
6)
液相点及び固相点
7)
推奨するろう材及びろう付方法
8)
ニッケルの含有量及び注意事項(0.1 %を超える場合)
9)
使用上の注意事項
10)
他の法定記載事項