>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  電気特性の表示

5

4.1

  管電圧

5

4.2

  公称最高管電圧

5

4.3

  管電流

5

4.4

  陰極エミッション特性

5

4.5

  外囲器特性

5

5

  線管負荷

5

5.1

  照射時間

5

5.2

  負荷繰返し時間

6

6

  入力

6

6.1

  陽極入力

6

6.2

  公称陽極入力

6

6.3

  公称撮影陽極入力

6

6.4

  公称 CT 陽極入力

6

6.5

  [線]管装置入力

6

6.6

  公称連続入力

6

6.7

  連続陽極入力

6

6.8

  CT スキャン入力(CTSPI

6

6.9

  公称 CT スキャン入力(公称 CTSPI

6

7

  撮影定格

6

7.1

  一般

6

7.2

  単発負荷定格

6

7.3

  連続負荷定格

6

8

  データの表示

6

附属書 A(参考)規格の根拠及び歴史的背景

8

附属書 B(参考)管電流の測定

12

附属書 JA(参考)負荷入力例

13

附属書 JB(参考)照射時間の定義

14

附属書 JC(参考)陰極エミッション特性例

15

参考文献

16

定義された用語の索引

17


T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本画像医療システム工業会

(JIRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業

規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


  

日本工業規格

JIS

 T

60613

:2013

(IEC 60613

:2010

)

診断用 X 線管装置の負荷特性

Electrical and loading characteristics of X-ray tube assemblies

for medical diagnosis

序文

この規格は,2010 年に第 3 版として発行された IEC 60613 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所並びに

附属書 JA,附属書 JB 及び附属書 JC の参考事項

は,対応国際規格にはない事項である。

この規格の本文中の太字は,JIS Z 4005JIS T 0601-1JIS T 0601-1-3 及びこの規格の箇条 で定義し

た用語である。この規格で定義した用語を,太文字で表記していない場合,定義は適用せず,意味は文脈

に沿って解釈する。

1

適用範囲

この規格は,診断用回転

陽極又は固定陽極 線管に適用する。

一体形 線発生装置については,その 線管装置に関連する部分にも適用する。

この規格は,動作中及び動作後における X

線管装置の電気特性及び負荷特性の性能に関連する定義,条

件及びこれらの特性の適切な測定方法に適用する。よって,この規格は,

製造業者及び責任部門に関わる

ものである。

注記 1  この規格での“測定”は,実使用と関係している。この“測定”によって 線管装置の寿命

には影響しない。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60613:2010

,Electrical and loading characteristics of X-ray tube assemblies for medical

diagnosis

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

)は適用しない。

JIS T 0601-1:2012

  医用電気機器−第 1 部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項

注記  対応国際規格:IEC 60601-1:2005,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for

basic safety and essential performance

(IDT)

JIS T 0601-1-3:2012

  医用電気機器−第 1-3 部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項−副通則


2

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

−診断用 X 線装置における放射線防護

注記  対応国際規格:IEC 60601-1-3:2008,Medical electrical equipment−Part 1-3: General requirements

for basic safety and essential performance

−Collateral Standard: Radiation protection in diagnostic

X-ray equipment

(IDT)

JIS Z 4005:2012

  医用放射線機器−定義した用語

注記  対応国際規格:IEC/TR 60788:2004,Medical electrical equipment−Glossary of defined terms

(MOD)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 4005JIS T 0601-1 及び JIS T 0601-1-3 によるほか,次に

よる。

なお,CT とは,X 線 CT をいう。

3.1

線]管電圧(X-RAY TUBE VOLTAGE)

X

線管の陽極と陰極との間に加える電位差。通常,管電圧は,ピーク値をキロボルト(kV)で表す。

JIS T 0601-1-3:2012  定義 3.88

3.2

公称最高管電圧(NOMINAL X-RAY TUBE VOLTAGE)

規定の操作条件に適用される最高許容 X 線管電圧。

JIS T 0601-1-3:2012  定義 3.42

注記 1  線管の異なる動作条件(例として連続動作,断続動作,短時間動作),異なる 線管容器

の形状によって,

公称最高管電圧は違う値を示す。

注記 2  片接地形 線管装置では,陽極−接地間,陰極−接地間で最も高い許容される値となる。

3.3

線]管電流(X-RAY TUBE CURRENT)

X

線管のターゲットに入射する電子ビームの電流。通常,管電流は,その平均値をミリアンペア(mA)

で表す。

JIS T 0601-1-3:2012  定義 3.85

注記  詳細は,附属書 を参照。

3.4

陰極エミッション特性(管電流特性)(CATHODE EMISSION CHARACTERISTIC)

フィラメント加熱電流,

管電圧などの変数に対する管電流の依存性。

3.5

外囲器(ENVELOPE)

X

線管の真空容器。

3.6

外囲器電流(ENVELOPE CURRENT)

外囲器導電部分を介して流れる電流。

注記  金属外囲器において流れる電流を示す。


3

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

3.7

外囲器電圧(ENVELOPE VOLTAGE)

X

線管外囲器導電部分と接地との間の電位差。

3.8

負荷(LOADING)

X

線発生装置においては,線管の陽極に電気エネルギーを供給すること。

JIS T 0601-1-3:2012  定義 3.34

3.9

X

線管負荷(X-RAY TUBE LOAD)

X

線[管負荷]条件値の組合せによって表した,線管に供給する電気エネルギー。

3.10

X

線[管負荷]条件(LOADING FACTOR)

X

線管負荷に影響を及ぼす条件。例えば,線管電流,負荷時間,連続陽極入力,線管電圧及びリプ

ル百分率。

JIS T 0601-1-3:2012  定義 3.35

3.11

照射時間(IRRADIATION TIME)

規定の方法によって決定された照射の継続時間。通常は,放射線量の率がある指定の基準を超えている

時間。

JIS T 0601-1-3:2012  定義 3.32

3.12

負荷繰返し時間(CYCLE TIME)

一連の

単発負荷において,負荷の開始と次の負荷開始までとの間隔。

同一の

連続負荷繰返しにおいて,連続負荷の開始と次の連続負荷までとの間隔。

注記  附属書 JA 参照。

3.13

陽極入力[電力](ANODE INPUT POWER)

X

線を発生するために,線管の陽極に加える電力。

3.14

公称陽極入力[電力](NOMINAL ANODE INPUT POWER)

規定の照射時間で単発の 線管負荷として加えることができる最大陽極入力[電力]。

3.15

公称撮影陽極入力(NOMINAL RADIOGRAPHIC ANODE INPUT POWER)

照射時間 0.1 秒,負荷繰返し時間 1 分で繰り返し可能な単発 線管負荷に適用する公称陽極入力。

注記 1  [線]透視[法]には適用しない。

注記 2  この定義は,歯科用 X 線撮影にも適用できる。詳細は,A.3.3 を参照。

3.16

公称 CT 陽極入力(NOMINAL CT ANODE INPUT POWER)

照射時間 4 秒,負荷繰返し時間 10 分で繰り返し可能な単発 線管負荷に適用する公称陽極入力。


4

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

3.17

線]管装置入力[電力](X-RAY TUBE ASSEMBLY INPUT POWER)

負荷前,負荷中,負荷後にあらゆる目的で 線管装置に加える平均の電力。回転陽極 線管のステータ,

フィラメント及び X

線管装置に含まれる全ての器具に加える電力を含む。

3.18

公称連続入力(NOMINAL CONTINUOUS INPUT POWER)

連続的に X

線管装置に入力可能な指定の最大 線管装置入力。

3.19

連続陽極入力(CONTINUOUS ANODE INPUT POWER)

連続的に

陽極に入力可能な指定の最大陽極入力。

注記 1  連続陽極入力は,公称連続入力から電子線以外の入力,例えばフィラメント加熱,陽極駆動

などを減じた入力である。

注記 2  指定されていない場合,連続陽極入力は,漏れ放射線を測定するときの 線条件である。

3.20

CT

スキャン入力(CTSPI)(CT SCAN POWER INDEX)

一定の

負荷繰返し時間において,単発負荷における指定範囲の照射時間で CT 撮影に使用する 線管装

置の特性。CTSPI は,次による。

(

)

( )

=

max

min

d

1

min

max

t

t

t

t

P

t

t

CTSPI

ここに,

t

max

照射時間上限(秒)

t

min

照射時間下限(秒)

P

(t)

単発

負荷定格を示す関数(kW)

注記  CTSPI は,CT スキャン時の患者処理能力を示す。

3.21

公称 CT スキャン入力(NOMINAL CT SCAN POWER INDEX)

公称 CTSPI(NOMINAL CTSPI)

負荷繰返し時間 10 分に対して,照射時間下限が 1 秒及び上限が 25 秒で,算出する CTSPI

3.22

撮影定格(RADIOGRAPHIC RATINGS)

X

線管の作動について,線管負荷条件,及びその他の条件の指定した組合せ。この組合せの下で,X

線管の負荷能力の指定した限界が得られる。

3.23

[最大]単発負荷定格(SINGLE LOAD RATING)

指定した条件下での 1 回の

負荷について,陽極入力電力と照射時間との関係によって与えられる最大許

容 X

線管負荷。

注記  附属書 JA 参照。

3.24

連続負荷定格(SERIAL LOAD RATING)

指定した X

線管負荷条件をもつ,連続した個々の 線管負荷の総和に対して,陽極入力電力と照射時間


5

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

との関係によって与えられる最大許容 X

線管負荷。

注記  附属書 JA 参照。

4

電気特性の表示

4.1

管電圧

管電圧は,ピーク値をキロボルト(kV)で表す。

4.2

公称最高管電圧

公称最高管電圧は,ピーク値をキロボルト(kV)で表す。

4.3

管電流

管電流は,その平均値をミリアンペア(mA)で表す。

4.4

陰極エミッション特性

陰極エミッション特性は,フィラメント加熱電流を変数とした管電流の曲線群として表し,必要な場合

は別の

陰極特性を変数とした管電流の曲線群として表す。各曲線は,管電圧に相当し,高電圧波形,及び

必要な場合はその他の条件を指定する。

フィラメント加熱電流とフィラメント電圧との関係及び他の陰極

特性への依存性も示さなければならない。

注記  附属書 JC 参照。

4.5

外囲器特性

4.5.1

外囲器電流

外囲器電流を表示する場合には,指定の条件下での管電流に対する割合(%)で表す。

4.5.2

外囲器電圧

外囲器電圧を表示する場合には,接地に対する電位差をキロボルト(kV)で表す。

5

X

線管負荷

5.1

照射時間

5.1.1

単位

照射時間の単位は,秒(s)で表す。

5.1.2

測定

照射時間は,次の時間間隔として測定する。

管電圧が,最初に最大値の 75 %まで上昇した瞬間。

−  その後,最大値の 75 %に下がった瞬間。

電子管又は格子制御形 X

線管の高電圧回路の電子制御を備えたシステム(二次側制御)の場合には,時

間計測器が照射開始信号を発した時点と照射終了信号を発した時点との間隔を照射時間としてもよい。

高電圧回路の高電圧印加と X

線管のフィラメント加熱とを同時に印加するシステム(一次側制御)の場

合には,

照射時間は,線管電流が最初に最大値の 25 %に達した時点と最後に最大値の 25 %まで降下し

た時点との間の時間とする。

注記 1  定義 3.11 も参照。

注記 2  照射時間は,高電圧ケーブルの静電容量の影響を最小にするために 線管装置への入力部で

管電圧を測定する方がよい。

注記 3  現地での試験では,照射時間の妥当な近似は,空気カーマ率が最大値の 50 %を超える照射時

間の測定によって得ることができる。その場合,JIS T 0601-1-3 に定義した方法を用いる。


6

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

注記 4  附属書 JB 参照。

5.2

負荷繰返し時間

負荷繰返し時間は,分又は秒の適切な単位で表す。

6

入力

6.1

陽極入力

陽極入力は,指定した負荷の条件に対してキロワット(kW)で表す。

6.2

公称陽極入力

公称陽極入力は,キロワット(kW)で表す。

6.3

公称撮影陽極入力

公称撮影陽極入力は,キロワット(kW)で表す。

6.4

公称 CT 陽極入力

公称 CT 陽極入力は,キロワット(kW)で表す。

6.5

  [線]管装置入力

線]管装置入力は,ワット(W)で表す。

6.6

公称連続入力

公称連続入力は,ワット(W)で表す。

特に指定がない場合,周囲温度は 20  ℃∼25  ℃とする。

6.7

連続陽極入力

連続陽極入力は,ワット(W)で表す。

6.8

CT

スキャン入力(CTSPI

CT

スキャン入力(CTSPI)は,キロワット(kW)で表す。

6.9

公称 CT スキャン入力(公称 CTSPI

公称 CT スキャン入力は,キロワット(kW)で表す。

7

撮影定格

7.1

一般

撮影定格には,表,図など実用に役立つ 線管負荷条件に対するパラメータの情報を含まなければなら

ない。

公称陽極入力を指定する場合には,撮影定格は,少なくとも指定の公称陽極入力に関連した 線管

負荷条件の組合せを含まなければならない。

7.2

単発負荷定格

単発負荷定格は,例えば,公称焦点値,陽極回転速度などの適切な 線管負荷条件に対して,照射時間

及び

負荷繰返し時間を変数とした陽極入力の曲線又は数値表で表示しなければならない。

7.3

連続負荷定格

連続負荷定格は,負荷繰返し時間及び適切な 線管負荷条件の値とともに,曲線又は数値表で表示しな

ければならない。例えば,X

線管負荷 1 回当たりの陽極入力,線管負荷 1 回当たりの照射時間,負荷総

数又は繰返し負荷の持続時間,及び 1 秒当たりの X

線管負荷回数。

8

データの表示

この規格によって個々の数値を表す場合には,次による。


7

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

<箇条 による用語>  <値>  <単位>  JIS T 60613:2013 による。

この規格によって図又は表を表示する場合には,この規格番号を記載する。


8

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

附属書 A

参考)

規格の根拠及び歴史的背景

A.1

  概要

この附属書は,この規格作成に当たっての一般的な目的及びその作成方法について記載することを目的

とし,かつ,対応国際規格 IEC 60613 の第 3 版で新しく追加した用語と削除した用語との相関関係を明確

にする。

A.2

  履歴:対応国際規格 IEC 60613 の初版及び第 版の基本となるもの

対応国際規格 IEC 60613 の第 3 版以前の版が扱ったのは,医療用 X

線管装置の電気・熱的定格及び負荷

特性についてのものであった。当時の X 線管の熱,電気に関わる構造及び動作は,これらの規格の内容に

直接的に関わるものであった。歴史的にみて,医療用の X

線管の外囲器には,陽極と陰極との間の絶縁材

として主にガラスが用いられてきた。このように,絶縁を目的とした

外囲器は,どの部分も一定の電位と

はならないため,これを定義する必要も意味もなかった。よって,

陽極と陰極との間の電位差,又は対接

地間の電位差を記載するだけで十分であった。熱・

負荷特性について,ほとんどの医療用回転陽極 線管

は,X 線発生過程で生じる熱を一時的に蓄積し,それを,非常に非線形な熱ふく射という形で放熱する構

造になっている。さらに,当時,用途は単純

撮影が主であった。その後,心臓循環器,CT というこれま

でとは異なる

負荷条件(比較的長い照射時間,高い患者処理人数)を含む使い方を考慮する必要が出てき

た。

A.3

  問題及び解決策:この規格の目的とするもの

A.3.1

  一般

X

線管設計の技術的な進歩として,IEC 60613 の旧版においては十分に規定できていない。特に 線管

の熱的挙動についての改善が行われた。主な進歩及びその旧版への影響について記載する。

A.3.2

  金属/セラミックの外囲器構造の出現

この X

線管産業,特に高出力 線管において広く適用されてきた進歩の一つは,金属外囲器の使用であ

る。しばしば絶縁材としてガラスではなくセラミックを使用している。X

線管動作中に,ターゲットから

の反跳電子によって,

管電流の一部が金属外囲器内面に集まり,高電圧装置へと戻ることになる。よって,

X

線管と高電圧装置との間を電気的にどのように接続するかは重要であり,この IEC 60613 の第 3 版では,

特に,

外囲器の電気的構成に関わる“用語及び定義”を追加した。

A.3.3

  陽極熱容量を基準としない熱定格の定義

IEC 60613

の旧版では,熱的特性として,熱容量,冷却率,加熱カーブ,冷却カーブなどを記載してい

た。X

線装置へコンピュータが広く組み込まれる前は,これらのデータは,診療放射線技師によって,X

線管へ入力する負荷,又は連続の負荷を入力する前の熱的状態を計算する目的で用いられていた。最新の

X

線装置においては,入力値及び入力後の 線管の加熱状態を自動計算し,線管の入力熱許容値を超え

ないように安全設計を行い,前述の詳細なデータの必要がなくなった。

同時に,X

線管の設計上の改良から,これらの定義した特性は,該当の 線管の熱的性能を推定するに

は有用でなくなった。まず,

陽極熱容量定格は,高い処理能力をもつ CT(あるレベルの心臓循環器の用


9

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

途も含む。

)の出現によって飛躍的に高まった。

ターゲットでの熱伝動に時間遅れがあるといった構造上の

問題は,しばしば実使用において妨げとなり,かつ,IEC 60613 の旧版に基づく単純な加熱及び冷却によ

っては十分にシミュレーションできなくなった。次に,最近の回転

陽極の画期的冷却技術は,これまでの

IEC 60613

の旧版にある熱ふく射を主とした冷却とは全く異なる冷却性能をもたらした。これらの技術進

歩によって,IEC 60613 の旧版で規定化した有用性は低下し,見直しが必要になった。

まず重要なことは,この規格は,

患者及び医療従事者へのサービスという観点から,線管の“臨床的

有用性”という性能をよりよく表現し,かつ,他製品と比較することができることである。これらの明確

な目的によって IEC 60613 の第 3 版への変更では,次の要点を基に見直した。

−  熱容量といった実験室でしか検証できないような定義は削除し,場所がどこであれ,電力,時間とい

った最終使用者で検証可能な定義に置き換えた。これは,実験室でしか検証できない熱容量(HU 

はジュール)の代わりに,決められた

負荷繰返し時間での陽極の熱的状態を規定化することにあり,

これは,臨床現場で再現可能なものである。HU は,過去,多ピーク形 X

線高電圧装置(6 ピーク形

及び 12 ピーク形)を 1 ピーク形又は 2 ピーク形 X

線高電圧装置と入力との比較をするために導入し

たものである。

−  臨床的に有意義な条件を定義する。例えば,CT 用 X

線管の公称陽極入力にこれまで適用してきた 0.1

秒の

照射時間は規定しない。なぜなら,この条件は,臨床上使用される典型的スキャンを表すもので

はない(したがって,

公称 CT 陽極入力という新たな定義語を導入することとなった。)。さらに,“患

者処理能力(スループット)”は,臨床的にも 線管の熱特性に重要であるため,新定義語“負荷繰

返し時間”を導入した。負荷繰返し時間は,公称陽極入力を定義するための新しい概念であり,公称

陽極入力は,永久に繰り返すことのできる負荷のことで,日常の臨床を模擬したものである。

−  X 線管の熱定格を定義する“臨床的に重要な特性値”は多くあるが,このうち最も臨床上重要と考え

られる特性値を指標とする。この条件によれば,

公称撮影陽極入力及び公称 CT 陽極入力が臨床上重

要な特性を十分に表している。

公称撮影陽極入力は,固定陽極 X 線管(歯科用など)用途における,

入力特性(これまで

照射時間 1 秒を用いた)にも適用できる。なぜなら,これらの用途においては,1

秒照射の特性は,0.1 秒のそれと大差ないためである。

−  X 線条件としては,臨床上実用的で,かつ,重負荷となる条件を選択する。臨床に用いる X 線管の負

荷条件は広範囲にわたるが,重負荷側の X 線条件を選択することで X 線管の重要な性能を正確に比較

することができるためである。

A.3.4

  CTSPI の定義

陽極熱容量は,IEC 60613 の第 3 版では削除された。X 線装置,特に CT 装置では,患者の処理能力を

見積もるためには

陽極熱容量が広く用いられてきた。前述のとおり,陽極熱容量は,患者の処理能力を正

確に見積もるという点において,その有用性を失いつつある。これは,前述の臨床上の性能を基にした新

しく定義する特性に置き換えられることが望ましい。また,この新しく定義する特性は,IEC 60613 の第

3

版において既に定義されたパラメータを基にすることが望ましい。これによって,CT における新しい用

語となる CT

スキャンパワーインデックス(CTSPI)は,次の特徴をもつ。

−  この規格で定義された単発負荷定格を基にする。

−  X

線管の内部設計及び使われる技術をブラックボックス化して性能を規定できる。この規定は,

管がどのような構造かを考慮しない性能評価に使われ,かつ最終使用者にも検証され得るものである。

−  旧版に規定された

陽極熱容量を基にした定義よりも,より正確な CT 用 線管の患者処理能力を提供

する。


10

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

−  この規格の主旨は,kW 単位の数値から成る曲線で表すことができる。

この規格においては,

公称 CT 陽極入力は,10 分のサイクルで繰り返すことのできる 4 秒のスキャン時

間での最大負荷を表す。CTSPI は,これを臨床的に重要なスキャン時間にまで広げた X

線管の負荷能力を

含むものである。例として,実用のスキャン時間の範囲で

単発負荷定格の連続した曲線で表した部分(図

A.1

の斜線部分)である。それは,臨床的に重要な条件下で

患者処理能力の見積もりを目的とした単発負

荷定格となる一つの数値で表すことができる。

図 A.1−例:スキャン時間 秒∼25 秒の CTSPI 計算の範囲を示す単発負荷定格チャート

CTSPI

は,

単発負荷定格の重要な情報を提供し,かつ,一つの数値として表すことができる。二つの異

なる CT 用 X

線管において,全く異なる CTSPI 値をもつにもかかわらず,同じ公称 CT 陽極入力値をもつ

ことはあり得る(

図 A.2 参照)。したがって,線管の患者処理能力を特徴付けるには,公称 CT 陽極入力

だけでは十分ではない。IEC 60613 の第 3 版において,CT 用 X

線管の負荷を規定する数値として,公称

陽極入力が公称 CT 陽極入力に置き換わる。同様に,患者処理能力を見積もる一つの値として,CTSPI 

陽極熱容量に置き換わることになる。


11

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

各カーブの下部面積(あるスキャン時間間隔の性能を表す)は異なり,それは CTSPI 計算の基となる。

図 A.2−例:同じ公称 CT 陽極入力値をもつ,異なる CT 用 線管の単発負荷定格カーブ

CTSPI

の定義として,より複雑な

連続負荷定格を用いることはできるが,意図して単発負荷定格を基に

単純化した(この

単発負荷定格からなる曲線には,公称 CT 陽極入力も含まれる。)。この規格では,CTSPI

を計算するのに用いる時間を 10 分の

負荷繰返し時間,及びスキャン時間範囲における下限値 1 秒,上限値

25

秒と定め,計算した値を公称 CTSPI と呼ぶ。これらは,臨床的に実用的であり,かつ,入力的には厳

しいスキャン条件を考慮して決められる。10 分の

負荷繰返し時間は,1 時間に 6 人の患者を処置すること

からきている。スキャン時間の 1 秒及び 25 秒は,最新の CT スキャナの現実的なスキャン時間からきてお

り,CT 用 X

線管の患者処理能力を表すために CTSPI を単純かつ正確なものとしている(詳細は,参考文

献[1]参照。

A.3.5

  線管装置最大連続入力,呼び名を変更

前述のとおり,定義語は,熱容量を基にして定義することはしない。この考え方から,X

線管装置最大

連続入力は,公称連続入力へ呼び名を変更する。したがって,3.17 で定義した用語へつながる。二つの用

陽極入力及び連続陽極入力(A.3.6 参照)についても同様である。

A.3.6

  漏れ線量測定時の入力

X

線管装置入力の定義には,ステータ入力及びフィラメント加熱入力といった X 線発生に関わらないエ

ネルギーを含んでいるため,漏れ線量測定の条件としては正確ではない。そこで新しい用語として

連続陽

極入力を定義した。これは,X 線発生だけに寄与する 線管への入力を表し,漏れ線量測定の正しい条件

となる。


12

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

附属書 B

参考)

管電流の測定

A

陽極

C

陰極

E

外囲器

I

a

陽極電流

I

c

管電流

I

e

外囲器電流

図 B.1−管電流測定回路

管電流は,外囲器電流(

図 B.1 の I

e

)の影響によって,必ずしも陽極電流(

図 B.1 の I

a

)と一致しない。

外囲器が非導電性,例えばガラスの場合,外囲器電流が 0 となり,管電流 I

c

は I

a

と等しくなる。


13

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

附属書 JA

参考)

負荷入力例

図 JA.1−単発負荷定格入力例

図 JA.2−連続負荷定格入力例

時間

入力

負荷繰返し時間

時間

負荷繰返し時間

入力


14

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

附属書 JB

参考)

照射時間の定義

図 JB.1−管電圧波形による照射時間の定義

図 JB.2−管電流負波形による照射時間の定義


15

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

附属書 JC

参考)

陰極エミッション特性例

図 JC.1−陰極エミッション特性


16

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

参考文献

[1]  LOUNSBERRY, Brian D.; UNGER, Christopher D. “New CT tube performance specifications”, in Medical

Imaging 2004: Physics of Medical Imaging. Edited by Yaffe, Martin J.; Flynn, Michael J. Proceedings of the

SPIE, 2004, Volume 5368, pp. 621-632


17

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

定義された用語の索引

注記  この規格では JIS T 0601-1:2012,JIS T 0601-1-3:2012 及び JIS Z 4005:2012 で定義されている用

語だけが定義されている。

これらの定義された用語は,

IEC

ウェブサイト http://std.iec.ch/glossary

で検索できる。

一体形 線発生装置 X-ray

tube head  JIS Z 4005:2012

11300

陰極 Cathode

JIS Z 4005

:2012

10148

陰極エミッション特性(管電流特性)  Cathode emission characteristic    3.4

X

線管 X-ray tube

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.83

X

線管装置

X-ray tube assembly  JIS T 0601-1-3:2012

,  3.84

線]管装置最大連続入力[電力]

Maximum continuous heat dissipation ···· JIS Z 4005:2012

10633

線]管装置入力[電力]

X-ray tube assembly input power    3.17

X

線装置 X-ray

equipment

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.78

X

線管電圧 X-ray

tube voltage  JIS T 0601-1-3:2012

,  3.88

X

線管電流

X-ray tube current  JIS T 0601-1-3:2012

,  3.85

X

線発生装置 X-ray

generator

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.79

X

線管負荷

X-ray tube load    3.9

X

線撮影法 Radiography

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.64

線]CT スキャン入力(CTSPI

CT scan power index (CTSPI)    3.20

X

線透視法 Radioscopy

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.69

外囲器 Envelope

3.5

外囲器電圧 Envelope

voltage

3.7

外囲器電流 Envelope

current

3.6

患者 Patient

JIS T 0601-1

:2012

3.76

規定の Specific

JIS Z 4005

:2012

11094

空気カーマ率 Air

kerm rate

JIS Z 4005

:2012

10042

公称最高管電圧 Nominal

X-ray

tube voltage  JIS T 0601-1-3:2012

,  3.42

公称撮影陽極入力 Nominal

radiographic

anode input power ···   3.15

公称 CT スキャン入力(公称 CTSPI)  Nominal CT scan power index (nominal CTSPI)  3.21

公称 CT 陽極入力

Nominal CT anode input power   3.16

公称焦点値 Nomina focal

spot value  JIS Z 4005:2012

10709

公称(値) Nominal

(value)

JIS T 0601-1

:2012

3.69

公称陽極入力

Nominal anode input power    3.14

公称連続入力

Nominal continuous input power    3.18

高電圧 High

voltage

JIS T 0601-1

:2012

3.41

高電圧発生装置 High-voltage

generator

JIS Z 4005

:2012

,  10472-1

コンピュータ断層撮影

Computed tomography (CT)  JIS Z 4005:2012

10179

[最大]単発負荷定格

Single load rating    3.23


18

T 60613

:2013 (IEC 60613:2010)

  

撮影定格 Radiographic

ratings

3.22

時間計測器 Timing

device

JIS Z 4005

:2012

11168

指定の Specified

JIS Z 4005

:2012

11096

照射 Irradiation

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.30

照射時間 Irradiation time

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.32

製造業者 Manufacturer

JIS T 0601-1

:2012

3.55

責任部門 Responsible

organization

JIS T 0601-1

:2012

,  3.101

ターゲット Target

JIS Z 4005

:2012

11144

電子 Electron

JIS Z 4005

:2012

10335

フィラメント電流 Filament

current

JIS Z 4005

:2012

10394

負荷 Loading

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.34

負荷繰返し時間 Cycle

time

3.12

X

線管)負荷条件 Loading

factor

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.35

放射線 Radiation

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.53

漏れ放射線 Leakage

radiation

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.33

陽極 Anode

JIS Z 4005

:2012

10049

陽極回転速度 An

speed

JIS Z 4005

:2012

10055

陽極入力[電力]

Anode input power    3.13

陽極熱量

Anode heat content  JIS Z 4005:2012

10052

リプル百分率 Percentage

ripple

JIS T 0601-1-3

:2012

,  3.44

連続負荷定格

Serial load rating    3.24

連続陽極入力

Continuous anode input power    3.19