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T 5217-1

:2009

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語,定義及び記号

2

3.1

  用語及び定義

2

3.2

  呼び及び対応径

2

4

  要求事項

3

4.1

  材料

3

4.2

  寸法

3

4.3

  機械的要求事項

10

4.4

  化学的要求事項

11

5

  サンプリング及び合否判断法

11

6

  試験

12

6.1

  目視検査

12

6.2

  寸法の計測

12

6.3

  ねじり抵抗及びねじり角度

12

6.4

  曲げ抵抗

13

6.5

  引張り及びねじりに対する抵抗

13

6.6

  耐食性

14

6.7

  滅菌の熱影響

14

7

  指定,表示及び識別

15

7.1

  色指定

15

7.2

  番号及びリング表示

15

7.3

  識別記号

16

8

  包装

16

9

  表示

16

附属書 A(参考)参考文献

17

附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

18


T 5217-1

:2009

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本歯科器械工業協同組合(JDMMA)及び社

団法人日本歯科医師会(JDA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS T 5217

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

T

5217-1

  第 1 部:ファイル,リーマ,歯科用クレンザ,ラスプ,ペーストキャリア及び歯科用ブ

ローチ

JIS

T

5217-2

  第 2 部:エンラージャ


日本工業規格

JIS

 T

5217-1

:2009

歯科用根管器具−

第 1 部:ファイル,リーマ,歯科用クレンザ, 
ラスプ,ペーストキャリア及び歯科用ブローチ

Dental root-canal instruments

−Part 1: Files, reamers, barbed broaches,

rasps, paste carriers, explorers and cotton broaches

序文

この規格は,1992 年に第 1 版として発行された ISO 3630-1 を基に,技術的内容を変更することなく作

成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目(滅菌の熱影響)を日本工業

規格として追加している。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

1

適用範囲

この規格は,次の歯科用根管器具(以下,器具という。

)の要求項目及び試験方法について規定する。

−  ファイル(K ファイル,H ファイル)

−  リーマ

−  歯科用クレンザ

−  ラスプ

−  ペーストキャリア

−  歯科用ブローチ

注記 1  表 参照

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 3630-1:1992

,Dental root-canal instruments−Part 1: Files, reamers, barbed broaches, rasps,

paste carriers, explorers and cotton broaches (MOD)

なお,対応の程度を表す記号

(MOD)

は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを

示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。


2

T 5217-1

:2009

JIS T 5501

  歯科用回転器具−番号表示法

JIS T 5504-1

  歯科用回転器具−軸−第 1 部:金属製

注記  対応国際規格:ISO 1797-1:1992,Dental rotary instruments−Shanks−Part 1: Shanks made of

metals (MOD)

JIS T 5504-2

  歯科用回転器具−軸−第 2 部:プラスチック製

注記  対応国際規格:ISO 1797-2:1992,Dental rotary instruments−Shanks−Part 2: Shanks made of

plastics (MOD)

ISO 13402:1995

,Surgical and dental hand instruments−Determination of resistance against autoclaving,

corrosion and thermal exposure

3

用語,定義及び記号

3.1

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による(ISO 1942-3 参照)

3.1.1

歯科用根管器具(dental root-canal instruments

根管治療に用いる手用及び能動形機器に接続する歯科用根管器具。

なお,能動形機器は能動型機器ともいう。

3.2

呼び及び対応径

歯科用根管治療に用いるすべての器具の作業部の呼びを定める(

表 参照)。

呼びは,先端部の径又は作業部の径に 1/100 mm 表示で対応するものである。

3

けた(桁)の数字での呼びは,JIS T 5501 に規定している 15 けたの識別番号の部分である。

表 1−呼び及び対応径

呼び

対応する直径の寸法

mm

呼び

対応する直径の寸法

mm

008

010

012

015

017

020

025

030

035

040

045

050

055

060

0.08

0.10

0.12

0.15

0.17

0.20

0.25

0.30

0.35

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

070

075

080

090

100

105

110

120

130

140

150

160

170

190

0.70

0.75

0.80

0.90

1.00

1.05

1.10

1.20

1.30

1.40

1.50

1.60

1.70

1.90


3

T 5217-1

:2009

4

要求事項

4.1

材料

4.1.1

作業部

作業部及びシャフトが一体であるものは,ステンレス鋼製又は炭素鋼製とする。鋼材のタイプ及びその

処理方法は,製造販売業者による。

4.1.2

シャンク及びハンドル

シャフトにハンドル又はシャンクを取り付けたものは,金属又は診療に耐え得るプラスチック(JIS T 

5504-1

及び JIS T 5504-2 参照)で作られたものとする。材料のタイプ及び処理は,製造販売業者による。

4.2

4.4 に適合する場合には,その器具は,4.1.2 に適合するものとみなす。

4.2

寸法

4.2.1

一般

長さは mm 単位で,角度は度単位で表す。

器具の寸法は,6.1 及び 6.2 によって試験したとき,それぞれの表及び図に適合しなければならない。形

状及びデザインは,規定された寸法内で変更してもよい。

4.2.2

シャンク

シャンクは,JIS T 5504-1 又は JIS T 5504-2 の軸部形式 1 又は軸部形式 2 でなければならない。軸部形

式 1 又は軸部形式 2 のシャンクとともに用いる器具は,低速に限定されたハンドピースで操作しなければ

ならない。

4.2.3

作業部

4.2.3.1

ファイル及びリーマ

ファイル及びリーマは,次による。

  ファイル    タイプ H

  ファイル    タイプ K

  リーマ      タイプ K

これらのファイル及びリーマは,

図 及び表 2∼表 に適合していなければならない。


4

T 5217-1

:2009

l

1

≧0.5d

1

l

1

≦0.87d

1

d

1

先端部(呼び)での作業部の突出部の径

d

2

長さ l

2

での径

d

3

長さ l

3

での径

l

1

先端部長さ

l

2

計測点 d

2

までの長さ

l

3

計測点 d

3

までの長さと作業部との最小長さ

l

4

操作端末の長さ

先端部長さは,l

1 min

l

1 max

の範囲内でなければならない。テーパは,作業部に沿って 0.02:1 とする。

形状及び先端形状は,製造販売業者による。ハンドル又はシャンク(JIS T 5504-1 の軸部形式 1 又は軸部形式 2)は,

製造販売業者による。 
注記 1  寸法は,歯科用根管充てん(填)ポイント(JIS T 6515)と同じである。 
注記 2  拡大部 Y の詳細形状は,表 参照。

図 1−ファイルタイプ H,ファイルタイプ 及びリーマタイプ K

表 2−詳細形状 Y

器具

拡大部 Y の詳細形状

図 参照)

ファイルタイプ H

ファイルタイプ K

リーマタイプ K


5

T 5217-1

:2009

表 3−ファイル及びリーマの寸法

単位  mm

d

2

d

3

呼び

d

1

(参考値)

許容差

許容差

l

2

l

3

最小

008

010

015

020

025

030

035

040

0.08

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0.35

0.40

0.14

0.16

0.21

0.26

0.31

0.36

0.41

0.46

0.40

0.42

0.47

0.52

0.57

0.62

0.67

0.72

紫 

黄色

赤 
青 

045

050

055

060

0.45

0.50

0.55

0.60

0.51

0.56

0.61

0.66

±0.02

0.77

0.82

0.87

0.92

±0.02

黄色

赤 

070

080

0.70

0.80

0.76

0.86

1.02

1.12

緑 

090

100

110

120

130

140

0.90

1.00

1.10

1.20

1.30

1.40

0.96

1.06

1.16

1.26

1.36

1.46

±0.04

1.22

1.32

1.42

1.52

1.62

1.72

±0.04

3 16

黄色

青 
緑 

表 4l

4

長さ

寸法

mm

l

4

±0.5

21

25

28

31

表記されていない器具の操作端末の長さは,その長さの±0.5 mm 以内とする。


6

T 5217-1

:2009

4.2.3.2

歯科用クレンザ

歯科用クレンザは,

図 及び表 に適合しなければならない。

d

1

先端部での心部分の突出部の径

d

2

長さ l

2

での心径

d

3

長さ l

3

での心径

h

突起の高さ

l

1

先端部から最初の突起の立ち上がり部までの長さ

l

2

計測点 d

2

までの長さ

l

3

計測点 d

3

までの長さと作業部との長さ

l

4

操作端末の長さ

先端形状及びハンドル形状は,製造販売業者による。

図 2−歯科用クレンザ

表 5−歯科用クレンザの寸法

寸法

mm

指定

d

1

d

2

d

3

l

2

l

3

l

4

突起の数

呼び

a)

許容差

許容差

許容差

±1.5

最小

最小

番号

020

025

030

0.12

0.14

0.16

±0.02

0.15

0.17

0.19

±0.02

0.22

0.24

0.26

±0.02

0.075

0.085

0.095

黄色

0

1

2

035

040

0.18

0.21

±0.03

0.21

0.24

±0.03

0.28

0.31

±0.03

0.105

0.120

赤 

3

4

050

060

0.25

0.29

±0.04

0.28

0.32

±0.04

0.35

0.39

±0.04

3 10.5 20

0.140

0.160

36

5

6

a)

呼びは,心径 d

1

と突起の高さの約 2 倍との和として計算する。


7

T 5217-1

:2009

4.2.3.3

ラスプ

ラスプは,

図 及び表 に適合しなければならない。

d

1

先端部での心部分の突出部の径

d

2

長さ l

2

での心径

d

3

長さ l

3

での心径

h

突起の高さ

l

1

先端部から最初の突起の立ち上がり部までの長さ

l

2

計測点 d

2

までの長さ

l

3

計測点 d

3

までの長さと作業部との長さ

l

4

操作端末の長さ

先端形状及びハンドル形状は,製造販売業者による。

図 3−ラスプ

表 6−ラスプの寸法

寸法

mm

指定

呼び

a)

d

1

    +0.03 
      0

d

2

    +0.03 
      0

d

3

    +0.03 
      0

l

2

l

3

±1.5

l

4

±0.5

突起の数

最小

番号

025

030

035

040

045

050

0.15

0.18

0.21

0.24

0.27

0.30

0.20

0.23

0.26

0.29

0.32

0.35

0.31

0.34

0.37

0.40

0.43

0.46

3 10.5  25.5

0.05

0.06

0.07

0.08

0.09

0.10

50

黄色

赤 

緑 

1

2

3

4

5

6

a)

呼びは,心径 d

1

と突起の高さの約 2 倍との和で計算する。


8

T 5217-1

:2009

4.2.3.4

ペーストキャリア

ペーストキャリアは,

図 4,表 及び表 に適合しなければならない。

d

1

先端部(呼び)での作業部の突出部の径

l

1

作業部の長さ

l

2

操作端末の長さ

注記 1  シャンクの軸部形式は,JIS T 5504-1 の軸部形式 1 又は軸部形式 2 とする。 
注記 2  ら(螺)旋の曲げは,製造販売業者の任意による。

図 4−ペーストキャリア

表 7−ペーストキャリアの寸法

寸法

mm

指定

呼び

d

1

±0.05

l

1

最小

シャンクのリング表示

(溝切り表示)

025

030

035

040

0.25

0.30

0.35

0.40

16

赤 

緑 

|

||

|||

||||

表 8l

2

長さ

寸法

mm

l

2

±0.5

シャンク軸部形式 1

シャンク軸部形式 2

21

25

29

21

25


9

T 5217-1

:2009

4.2.3.5

歯科用ブローチ

歯科用ブローチは,

図 及び表 に適合しなければならない。

d

1

先端部(呼びサイズ)での作業部分の突出部の径

d

2

作業部端末の径

d

3

操作部端末の径

l

1

先端長さ

l

2

計測点 d

2

までの作業部の長さ

l

3

計測点 d

3

までの操作端末部の長さ

l

4

全長

操作部端末のテーパは,0.007:1 で,許容差は

003

.

0

0

+

である。

操作部端末の横断面は,丸又は多角形で,製造販売業者による。

図 5−歯科用ブローチ

表 9−歯科用ブローチの寸法

寸法

mm

指定

呼び

d

1

±0.02

d

2

±0.02

d

3

最大

l

1

l

2

±1.5

l

3

±0.5

l

4

±1.5

番号

012

015

017

020

025

030

0.12

0.15

0.17

0.20

0.25

0.30

0.20

0.23

0.25

0.28

0.33

0.38

0.8 2

×d

1

 10.5  25

50

黄色

青 
緑 

1

2

3

4

5

6


10

T 5217-1

:2009

4.3

機械的要求事項

4.3.1

ねじり抵抗及びねじり角度

4.3.1.1

ファイル,リーマ,歯科用クレンザ及びラスプ

器具は,6.3 によって試験したとき,

表 10 に規定した最小ねじり抵抗及び最小ねじり角度で破折しては

ならない。

4.3.1.2

その他の器具

その他の器具については,規定しない。

表 10−ねじり抵抗及びねじり角度

ねじり抵抗

mN

・m

a)

最小

ねじり角度偏差

最小

呼び

K

ファイル  H ファイル  K リーマ

歯科用

クレンザ

ラスプ

K

ファイル

及び

K

リーマ

H

ファイル

歯科用

クレンザ

ラスプ

008

010

015

0.5

0.6

0.8

0.5

0.6

0.8

0.5

0.6

0.8

− 

− 

− 

− 

020 1.8

1.2

1.2  0.5

025

030

035

3.0

4.5

6.5

2.0

3.5

5.0

2.0

3.5

5.0

0.6

0.8

1.0

0.8

1.0

1.2

180

040

045

050

10.0

12.0

17.0

6.5

9.0

12.0

7.0

9.5

12.0

1.2

2.0

2.0

2.6

3.5

360

120

90

90

055

060

070

b) 

16.0

25.0

35.0

b) 

3.5

− 

b) 

90

90

− 

a)

 1

mN

・m=10.19 g・cm

b)

この表に規定した呼びより大きなものは,規定しない。大きなサイズのすべての器具は,十分なねじり抵抗

及びねじり角度をもつとみなす。

4.3.2

曲げ抵抗

4.3.2.1

ファイル,リーマ,歯科用クレンザ及びラスプ

6.4

によって試験したとき,破折してはならない。また,

表 11 で規定した値を超えてはならない。


11

T 5217-1

:2009

表 11−曲げ抵抗

曲げモーメント

mN

・m

a)

最大

呼び

K

ファイル  H ファイル

K

リーマ

歯科用クレンザ

ラスプ

008

010

015

020

025

030

035

040

045

050

2.0

2.5

5.0

8.0

12.0

15.0

19.0

25.0

36.0

45.0

2.0

2.0

3.5

6.5

10.0

13.5

17.0

22.0

32.0

52.0

2.0

2.5

5.0

8.0

12.0

15.0

22.0

32.0

37.5

41.0

− 

2.5

3.0

4.0

5.0

8.0

12.0

− 

− 

5.0

7.0

9.0

14.0

17.0

21.0

055

060

070

b) 

72.0

92.0

112.0

b) 

17.0

− 
− 

a)

 1

mN

・m=10.19 g・cm

b)

この表に規定した呼びより大きなものは,規定しない。大きなサイズのすべ
ての器具は,曲げは考慮されない。

4.3.2.2

その他の器具

その他の器具の曲げ抵抗は,規定しない。

4.3.3

引張り及びねじりに対する抵抗,ハンドル又はシャンクの安全性

この要求事項は,ペーストキャリアには適用しない。

ハンドル又はシャンクが操作端末に固定される場合には,確実,かつ,永久的でなければならない。器

具は,6.5 によって試験したとき,ハンドル又はシャンクからの軸運動がなく,トルクが掛かったとき,ハ

ンドル又はシャンク内でねじれてはならない。

4.4

化学的要求事項

4.4.1

耐食性

ステンレス製の器具は,6.6 によって試験したとき,腐食の徴候を示してはならない。腐食に対して特別

な処置をしていない金属製の器具は,含まれない。

4.4.2

滅菌の熱影響

器具の作業部分は,6.7 によって試験したとき,劣化の徴候を示してはならない。また,ハンドルは,形

状変形又は色調変化が目視で認められてはならない。

5

サンプリング及び合否判断法

次の要求事項を確認するため,器具の各タイプ及び各サイズを 10 本ずつ試験する。

a)

寸法

b)

ねじり抵抗及びねじり角度

c)

曲げ抵抗

10

本がすべて適合するときは,合格とする。2 本以上が不適合のときは,不合格とする。


12

T 5217-1

:2009

1

本が不適合のときは,更に 5 本を追加試験し,5 本すべてが適合するときは,合格とする。

その他の要求事項についてのサンプリングは,それぞれの試験項目に規定する。

6

試験

6.1

目視検査

目視検査は,ほかに指定されない限り,健常視力によって行う。

6.2

寸法の計測

長さ,直径及びテーパは,投影機又は他の同等の精度をもつ装置,例えば,ダイヤルゲージで測定して

求める。

テーパは,実際に測定した直径又は心径 d

2

及び d

3

を用いた計算によって決定する。テーパは,d

2

と d

3

との差を l

2

と l

3

との差で除したものである。テーパの許容公差は,規定された径の許容公差による。

先端の寸法は,その器具の長軸(中心線)に垂直な平面に作業部テーパを投影して求める。先端の長さ

を決定するときは,先端上の複数のエッジがほぼ同じ長さを示すまで,その器具を回転させる。

6.3

ねじり抵抗及びねじり角度

6.3.1

試験装置

図 6−ねじり抵抗試験装置

6.3.1.1

低速可逆ギヤモータ  試験片を 2 min

1

回転できる能力のある低速可逆ギヤモータ。

6.3.1.2

トルク測定装置  シャフト上に装着された 2 個のリニアボールベアリングに固定されたトルク測

定装置。

6.3.1.3

黄銅製チャック  テストピースの先端から 3 mm を固定するもの(図 参照)。

図 7−テストチャック詳細


13

T 5217-1

:2009

6.3.1.4

分離増幅器及びデジタル表示装置  モータ動作を制御し,トルク及びねじり角度を記録するもの。

6.3.1.5

鋼製チャック  試験片のシャンクを固定するもの。

6.3.2

試験方法

ハンドルが器具のシャフトに取り付けられた位置で,適切なワイヤカッタでハンドルを切り離す。試験

する試料のトルク範囲域に対し,トルク測定装置を校正する。チャックの外のシャンクが装着されない部

分を最大 1 mm 残して,可逆ギヤモータの鋼製チャックの中にテストピースをセットし,チャックを締め

付ける。

試験片の先端が黄銅製チャックに 3 mm 入るまで,リニアボールベアリングを介してトルク測定装置を

静かにスライドさせる。両チャックの中心が同軸上にあることを確認して,チャックを締め付ける(

図 6

参照)

。固定は,試験片に圧縮応力を生じる可能性があるため,可逆ギヤモータをデジタル表示装置又はチ

ャート記録計の読みがゼロになるまで,段階的に作動させる。可逆ギヤモータが,試験片のシャンク端末

部から見て右回りにセットされていることを確認した後,装置を動かす。

試験装置は,試験片が破折したときに,その操作を停止する。最大トルク及びねじり角度は,各々試験

された試験片ごとに記録する。

6.4

曲げ抵抗

6.4.1

試験装置

図 に示す曲げ試験装置を用いる。モータ制御装置は,試験が停止する 45°のねじり角度に設定できな

ければならない。

6.4.2

試験方法

ハンドルが器具の軸に取り付けられた部位で,適切なワイヤカッタでハンドルを切り離す。

45

°のねじり角度で停止するように装置を設定する。トルク測定装置のシャフト上にチャックを装着す

る。3 mm の深さでモータ軸に対し垂直なチャックに試験片の先端をセットし,チャックを締め付ける。

キャッチピンをモータシャフトの上に装着する。試験片が回転ピンの上に位置するまで,リニアボールベ

アリングを介してトルク測定装置を移動する。キャッチピンがテストピースに触れるまで,モータを回転

する。表示装置が 0(ゼロ)を示すことを確認し,トルク測定装置を作動させる。ねじり角度が 45°に達

したとき,試験を停止する。各試験片に対し,表示装置の数値を記録する。

図 8−曲げ試験装置

6.5

引張り及びねじりに対する抵抗

引張り力の試験片は,器具の各タイプ及び各サイズからそれぞれ 5 本ずつ使用する。更に,ねじりに対


14

T 5217-1

:2009

する抵抗力の試験片も,器具の各タイプ及び各サイズからそれぞれ 5  本ずつ使用する。

6.5.1

引張り力

シャフト 3 mm を残して操作端末をつかむ。ハンドル又はシャンクを保持する。軸方向に 22 N の荷重を

加える。操作端末の長さを計測し,記録する。

6.5.2

ねじりに対する抵抗力

トルク計のチャックにハンドル又はシャンクを装着する。ハンドル又はシャンクは,操作端末に装着し

たワイヤの端部に沿った部分で保持しなければならない。シャンク 3 mm を残して器具の操作部分を挿入

する。36.0 mN・m のトルクで器具をねじる。

ハンドル若しくは器具のワイヤがスリップするか,又は規定された最小トルクが得られるまでトルク計

を回転させる。ワイヤ径が 0.60 mm までのものに対しては,シャフトが,ハンドル又はシャンク内ですべ

りが生じるまでにねじれる可能性があることに注意する。

6.6

耐食性

6.6.1

サンプリング及び試験片の作製

試験片として各々のテストに各サイズ 5 個を用いる。石けん(鹸)水で試験片をこすり,熱湯中ですす

ぎ,更に,95

%(体積分率)のエタノール溶液又はイソプロピルアルコール溶液に漬けた後,乾燥する。

6.6.2

試験方法

試験片は,6.6.2.1 及び 6.6.2.2 に規定した試験のうちの一つによる。

6.6.2.1

硫酸銅試験

次の硫酸銅溶液を作製する。

−  硫酸銅(CuSO

4

・5H

2

O

:4.0 g

−  硫酸(H

2

SO

4

,密度 1.84 g/ml)

:10.0g

−  水(H

2

O

:90 ml

20

±2  ℃の硫酸銅溶液の中に試験片を 6 分間浸せきする。次に水でぬらした布でよくぬぐう。少なくと

も 5 倍の拡大率の下で,試験片に腐食を示す褐色のさびが出ているかどうかを目視で検査する。

6.6.2.2

寒天イオン試験

次の寒天ゲルを作製する。

−  フェリシアン化カリウム[K

3

Fe

(CN)

6

:0.2 g

−  塩化ナトリウム(NaCl)

:1.0 g

−  水(H

2

O

:100 ml

−  寒天:1.5 g

寒天ゲルを透明容器に注入する。試験片を容器の縁から 10 mm 以上離して,37±2  ℃のゲル中に挿入す

る。試験片を 20 mm の深さに 6 分間挿入する。ゲル中の試験片の表面に腐食を示す青い沈殿物の有無を目

視で検査する。

6.7

滅菌の熱影響

6.7.1

装置

高圧蒸気滅菌器及び乾熱滅菌器を用いる。

6.7.2

試験方法

蒸留水又は非イオン化水を用いて,10  本の各々のサイズの開封された器具を 220 kPa の圧力及び 132±

2

℃の温度で 30 分間又は ISO 13402 によって滅菌し,その後 180±5

℃で 120 分間の乾熱滅菌を行う。試

験片の表面にさび又は変色がなく,その外観に変化のないことを目視で検査する。


15

T 5217-1

:2009

単回使用の器具は,除外する。

7

指定,表示及び識別

7.1

色指定

器具のハンドル又はシャンクは,

表 12 で指定した色,又は表 13 に規定した色が付けられなければなら

ない。

色については,

表 13 に規定した略字を用いてもよい。

表 12−色指定

呼び

H

ファイル

K

ファイル

K

リーマ

ペースト 
キャリア

歯科用

クレンザ

ラスプ

歯科用

ブローチ

008

010

012

015

017

020

025

030

灰 

− 
白 

黄色

赤 

− 

− 
− 

− 
赤 

− 

− 
− 

紫 

黄色

− 

− 
− 

− 

黄色

− 

黄色

青 
緑 

035

040

045

050

055

060

070

緑 
黒 

黄色

赤 

緑 
黒 

− 
− 

赤 
青 

緑 
− 

赤 
青 

黒 
− 

− 
− 

− 
− 

080

090

100

110

120

130

140

黄色

青 
緑 

− 
− 

− 
− 

− 
− 

− 
− 

− 
− 

− 
− 

− 
− 

− 
− 

表 13−色略字

略字

灰 

黄色

青 
緑 

gry

pur

wht

yel

red

blu

grn

blk

7.2

番号及びリング表示

番号及びリング(溝切りの数)を表示する場合には,

表 14 による。


16

T 5217-1

:2009

器具は,

表 に規定したサイズ指定,及び図 に規定した識別記号をハンドルに表示してもよい。

7.3

識別記号

識別記号を,ハンドル,包装又はカタログに用いる場合には,

図 による。

表 14−番号及びリング表示(溝切り表示)

番号及びリング表示(溝切り表示)

呼び

歯科用クレンザ

ラスプ

ペーストキャリア

012

015

017

020

025

030

035

040

045

050

060

075

090

105

− 

0

1

2

3

4

5

6

− 

− 
− 

1

2

3

4

5

6

− 
− 

− 
− 

|

||

|||

||||

− 

− 
− 

図 9−識別記号

8

包装

器具は,製造販売業者の指示によって,単品又はセットで包装する。

9

表示

器具の包装には,次の事項を表示しなければならない。

a)

製品名及びタイプ

b)

作業部の長さ

c)

器具の呼び(100 以下のサイズの最初のけた“0”は除外してもよい。

d)

操作部の材料の種類

e)

製造番号又は製造記号

f)

製造販売業者名及び所在地

g)

その他法定表示事項


17

T 5217-1

:2009

附属書 A

参考)

参考文献

[1]  JIS T 5217-2  歯科用根管器具−第 2 部:エンラージャ

[2]  JIS T 6515  歯科用根管充てん(填)ポイント

[3]  ISO 1942-3:1989,Dental vocabulary−Part 3: Dental instruments


18

T 5217-1

:2009

附属書 JA

参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS T 5217-1:2009

  歯科用根管器具−第 1 部:ファイル,リーマ,歯科用クレンザ,

ラスプ,ペーストキャリア及び歯科用ブローチ

ISO 3630-1:1992

, Dental root-canal instruments − Part 1: Files, reamers, barbed

broaches, rasps, paste carriers, explorers and cotton broaches

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ) 国際規格の規定

(Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

箇条番号

及び名称

内容

(Ⅱ)

国際
規格
番号

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ) JIS と国際規格との技術的差異

の理由及び今後の対策

6.7.2

試験

方法

蒸留水又は非イオン化水を用
い,10 本の各々のサイズの開

封された器具を 220 kPa の圧
力及び 132±2

℃の温度で 30

分間滅菌し,その後 180±5

で 120 分間の乾熱滅菌を行う。

 6.7.2

JIS

に同じ。ただし,

試験温度条件が JIS

と異なる。

選択

高圧蒸気滅菌器の温度条件を,

ISO

規 格では滅菌温 度 136 ±

2

℃の温度で 20 分間滅菌する。

高圧蒸気滅菌器の試験温度条件を,
我が国で一般的な 132±2

℃(ISO

規格では 136±2

℃)とした。ISO

規格と整合の予定はない。

ただし,ISO 13402 の試験条件を

選択できるようにした。

9

表示

器具の包装に表示する。  9 JIS にほぼ同じ。

追加

JIS

では,g)

を追加した。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 3630-1:1992,MOD

関連する法規

薬事法

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  選択 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。 

18

T

 52

17
-1


200

9