>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

T 0923

:2009

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

2

4

  点字の表示原則 

2

4.1

  点字の表記方法

2

4.2

  点字の間隔及び断面形状 

2

4.3

  点字の表示位置

4

4.4

  点字表示と操作ボタンとの位置関係 

5

5

  略語表記

6

5.1

  略語表記をする場合の配慮事項

6

5.2

  略語表記をしてはならない場合

7

6

  点字表示に使用する材料 

7

7

  その他の配慮事項

7


T 0923

:2009

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 T

0923

:2009

高齢者・障害者配慮設計指針−

点字の表示原則及び点字表示方法−

消費生活製品の操作部

Guidelines for older persons and persons with disabilities-

Methods of displaying braille sign-

Consumer products

序文 

近年,高齢者及び障害のある人がより安全で,かつ,円滑に移動ができるように,公共施設のバリアフ

リーに関する法律の整備が進んでいる。視覚障害者の分野では,公共的な施設・設備への点字表示につい

て,点字自体の間違い及び不適切な表示を防ぎ,点字表示の統一が図れるよう JIS T 0921:2006 が制定され

た。しかし,視覚障害者の日常生活において,家電製品を含む様々な消費生活製品の利用も不可欠である

が,点字表示の内容及び表示位置が統一されていないという問題があった。視覚障害者が消費生活製品の

操作部の点字表示から正しい情報を得て円滑に操作するためには,消費生活製品の操作部の点字表示に関

する標準化が必要となる。

この規格は,視覚障害者が日常生活において,製品を安全で,かつ,円滑に使用するための指針として

作成した。

適用範囲 

この規格は,視覚障害者が日常生活で家電製品,衛生設備機器,燃焼機器,住宅設備機器,情報通信機

器,事務機器,計量機器,電動がん(玩)具などの消費生活製品(以下,製品という。

)を安全で,かつ,

円滑に使用できるように,製品の操作にかかわる情報伝達手段として点字を用いる場合の表示原則及び点

字表示方法について規定する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS S 0011

  高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の凸記号表示

JIS S 0012

  高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の操作性

JIS T 0921

  高齢者・障害者配慮設計指針−点字の表示原則及び点字表示方法−公共施設・設備 

JIS T 9253

  紫外線硬化樹脂インキ点字−品質及び試験方法


2

T 0923

:2009

   

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS S 0011JIS S 0012JIS T 0921 及び JIS T 9253 によるほか,

次による。

3.1 

操作性 

使用者が製品を間違いなく使用するための,操作の分かりやすさ及び操作のしやすさ。

3.2 

操作部 

使用者が製品を操作するために,直接力を加える部分,操作の仕方,操作方向,操作手順,製品の状態

などを示す表示部分の集合体。

3.3 

墨字(すみじ) 

点字に対して,鉛筆,ペンなどで書いたり印刷した文字。

3.4 

凸記号 

操作の手がかりとなる,操作ボタンの識別に用いる凸点及び凸バー。凸処理をした図記号(凸図記号)

とは区別して定義する。

3.5 

点字触読性 

点字に手指で触れた場合の認知のしやすさ。

点字の表示原則 

4.1 

点字の表記方法 

点字はいずれの場所に表示する場合でも,左から右に触読できるように配置する。点字表示の表記方法

は正しく行う。

注記  点字表示の表記方法は,日本点字委員会が発行する 日本点字表記法 に記載がある。

4.2 

点字の間隔及び断面形状 

点字の間隔及び断面形状は,次による。

a)

点字の間隔の ab及び の中心間距離は,

表 1 a)  とする。

b)

点字の間隔の と との関係は,

表 1 b)  とする。

c)

点字の断面形状は,

表 とする。


3

T 0923

:2009

表 1−点字の間隔 

a

:1-2 点間,2-3 点間

b

:1-4 点間

p

:1 マスの領域・横 1-1'  点間

q

:1 行の領域・縦 1-1"  点間

a)

  点字間隔の中心間距離 b)  点字の間隔の と との関係 

単位  mm

点字の間隔

中心間距離

2.2

〜 2.5

2.0

〜 2.5

5.1

〜 6.3

11.0

a)

〜 15.0

a)

  a

が 2.2 mm〜2.3 mm の場合に限り,

q

は 10.1 mm を下限とすることがで

きる。

単位  mm

b p

の範囲

2.0 5.1

〜 6.0

2.1 5.2

〜 6.1

2.2 5.4

〜 6.2

2.3 5.6

〜 6.3

2.4 5.8

〜 6.3

2.5 6.0

〜 6.3


4

T 0923

:2009

   

表 2−点字の断面形状 

d

:底面の直径

h

:点の中心の高さ

単位  mm

直径及び高さ

寸法

1.3

〜 1.7

0.3

〜 0.5

4.3 

点字の表示位置 

点字の表示位置は,次による。

a)

操作部の点字の表示位置は,通常操作ボタンの左側又は上側とする(

図 参照)。ただし,製品の形状,

特性,表示スペースなどの理由によって,それが困難な場合は,操作ボタンとの関係が分かるよう操

作ボタンの近傍の分かりやすいところに表示する。

注記  図中の黒丸は,点字の凸部を表す。

図 1−点字の表示位置 

b)

点字表示が操作ボタンに対し,斜めになるような位置には表示しない。

注記  操作ボタンの形状が高く盛り上がっている場合など,点字を操作ボタンに近付け過ぎると点

字触読時の指の動きに支障を与える場合がある(

図 参照)。


5

T 0923

:2009

図 2−点字触読時に支障を与える例 

c) 

操作ボタンの表面は,点字表示しない。

d)

墨字及び点字を重ねて表示しない。ただし,表示スペースなどの理由によってそれが困難なため,重

ねて表示する場合は,墨字の視認性に留意する。

e) 

使用中にやけどのおそれのある熱源をもつ機器については,熱源から遠い位置に表示する。

4.4 

点字表示と操作ボタンとの位置関係 

4.4.1 

操作ボタンの配列 

操作ボタンが縦に並んでいる場合は,操作ボタンの左側に表示する[

図 3 a)  参照]。横に並んでいる場

合は操作ボタンの上側に表示する[

図 3 b)  参照]。ただし,製品の形状,特性,表示スペースなどの理由

によってそれが困難な場合は,操作ボタンとの関係が分かるよう操作ボタンの近傍の分かりやすいところ

に表示する。

 a)

  縦配列の例 b)  横配列の例 

図 3−操作ボタンの配列 

4.4.2 

点字表示の間隔 

誤読防止のため,隣接する点字表記の間隔は 2 マス空けることが望ましい。それが困難な場合には,1.5

マス以上確保する(

図 参照)。

 a)

  マス空けた例 b)  1.5 マス空けた例 

図 4−隣接する点字表記の間隔 


6

T 0923

:2009

   

略語表記 

点字は,省略せずに表記することが望ましい。表示部分の面積が狭いなどの理由によってそれが困難な

場合には,略語表記を用いることができる。略語表記は,理解しやすさに配慮する。

なお,略語表記の選定に当たっては,専門機関に相談することが望ましい。

注記  この項の表で用いられる かな表記 とは墨字の読み方を表すもので,点字表記とは異なる。

5.1 

略語表記をする場合の配慮事項 

5.1.1 

二つ以上の単語を組み合わせた墨字の場合 

伝える意味にふさわしい単語部分を選択して略語表記をすることができる(

表 参照)。

表 3−二つ以上の単語を組み合わせた場合の略語表記の例 

墨字

かな表記

略語

点字読み

点字表記

ロック解除

ろっくかいじょ

かいじょ

カイジョ

お好み仕上げ

おこのみしあげ

しあげ

シアゲ

5.1.2 

単語の一部を用いる場合 

伝える意味にふさわしい文字を選択し,2 マス以上で略語表記をする。ただし,濁音,半濁音,よう(拗)

音,よう濁音及びよう半濁音を含む場合は,3 マス以上が望ましい(

表 参照)。

表 4−単語の一部を用いる場合の略語表記の例 

墨字

かな表記

選択した文字

点字読み

点字表記

揚げ物

あげもの

あげ

アゲ

緊急

きんきゅう

きゅう

キュ−

5.1.3 

より短く分かりやすい同意義の単語に置き換えられる場合 

伝える意味を端的に表した略語表記をすることができる(

表 参照)。

表 5−より短く分かりやすい同意義の単語に置き換える略語表記の例 

墨字

かな表記

置換した単語

点字読み

点字表記

炊飯・スタート

すいはん・すたーと

たく(炊く)

タク

洗浄

せんじょう

あらい(洗い)

アラ

墨字

かな表記

略語

点字読み

点字表記

時間  分

じかん  ふん

じ  ふん

ジ  フン


7

T 0923

:2009

5.2 

略語表記をしてはならない場合 

略語表記をしてはならない場合は,次による。

a) 

略語表記は 1 マス表記はしない。特に,凸点(凸記号)との区別が付かないため, ア 及び ワ の

ような 1 点だけの略語表記はしない(

表 参照)。 

表 6−してはならない略語表記の例 

墨字

かな表記

略語

点字読み

点字表記

上げる

あげる

沸かす

わかす

b) 

同一操作部において,同じ略語を用いてはならない(

表 参照)。

表 7−一緒に用いてはならない略語表記の例 

墨字

かな表記

略語

点字読み

点字表記

洗濯

せんたく

せん

セン

専用洗剤コース

せんようせんざいこーす

せん

セン

点字表示に使用する材料 

点字表示に使用する材料は,次による。

a) 

点字触読性が良好で手指を傷つけない表面形状とする。

b) 

点字部分が長時間の使用によって劣化又は破損したりしない素材を使用することが望ましい。

c)

紫外線硬化樹脂インキによって製作する場合には,JIS T 9253 に規定する品質とする。

その他の配慮事項 

その他の配慮事項は,次による。

a)

点字表示をする場合,製品企画・設計時には点字表示のスペースをあらかじめ考慮することが望まし

い。

b)

製品には,点字と誤認する形状の突起物などを設けないようにすることが望ましい。