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T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

(1) 

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  線量の測定

2

5

  線量測定システムの選択及び校正

2

5.1

  一般

2

5.2

  線量測定システムの選択

2

5.3

  線量測定システムの校正

2

6

  最大許容線量の確立

3

7

  滅菌線量の確立

3

8

  据付適格性の確認

4

9

  運転適格性の確認

5

9.1

  一般

5

9.2

  ガンマ線照射設備

5

9.3

  電子線照射設備

6

9.4

  線照射設備

7

10

  稼働性能適格性の確認

9

10.1

  一般

9

10.2

  ガンマ線及び 

9

10.3

  電子線

10

11

  日常監視及び管理

11

11.1

  一般

11

11.2

  線量測定の頻度

11

附属書 A(参考)数学モデル

13

参考文献

16


T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本医療機器学会(JSMI)及び財団法人日本規

格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会

の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS T 0806

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

T

0806-1

  第 1 部:医療機器の滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理の要求事項

JIS

T

0806-2

  第 2 部:滅菌線量の確立

JIS

T

0806-3

  第 3 部:線量測定にかかわる指針


   

日本工業規格

JIS

 T

0806-3

:2010

(ISO 11137-3

:2006

)

ヘルスケア製品の滅菌−放射線−

第 3 部:線量測定にかかわる指針

Sterilization of health care products

−Radiation−

Part 3: Guidance on dosimetric aspects

序文

この規格は,2006 年に第 1 版として発行された ISO 11137-3 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構

成を変更することなく作成した日本工業規格である。

線量測定の実施能力は,放射線滅菌において不可欠な部分である。線量は,滅菌プロセスの開発,バリ

デーション及び日常監視のすべてのプロセスで測定する。線量測定は,国際又は国家計量標準にトレース

が可能であること,測定の誤差を把握していること,線量計の反応に対する温度,湿度,その他の環境条

件を理解していることが必要であり,これらの事項が理解されていなければならない。この規格では,滅

菌プロセスで線量測定を行う場合の指針を示す。

線量測定に関する要求事項は,JIS T 0806-1 及び JIS T 0806-2 に規定している。この規格では,これら

の要求事項に関する指針を示す。この指針は,要求事項ではなく,かつ,監査員のためのチェックリスト

として準備されたものでもない。この指針は,要求項目を満足するための適切な手法及び説明を提供する。

指針に示す方法以外のものであっても,JIS T 0806-1 の要求事項を満たすのに有効な場合には使用しても

よい。

1

適用範囲

この規格は,JIS T 0806-1 及び JIS T 0806-2 における線量測定にかかわる要求事項を満たすための指針

を示す。放射線滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理に関連する線量測定手順を記載する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 11137-3:2006

,Sterilization of health care products−Radiation−Part 3: Guidance on dosimetric

aspects (IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む)

は適用しない。


2

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

JIS T 0806-1:2010

  ヘルスケア製品の滅菌−放射線−第 1 部:医療機器の滅菌プロセスの開発,バリ

デーション及び日常管理の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 11137-1:2006,Sterilization of health care products−Radiation−Part 1:

Requirements for development, validation and routine control of a sterilization process for medical

devices (IDT)

JIS T 0806-2:2010

  ヘルスケア製品の滅菌−放射線−第 2 部:滅菌線量の確立

注記  対応国際規格:ISO 11137-2:2006,Sterilization of health care products−Radiation−Part 2:

Establishing the sterilization dose (IDT)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0806-1 及び JIS T 0806-2 によるほか,次による。

3.1

線量測定システム  (dosimetry system)

線量計,測定機器,関連する参照基準及びそれらの使用についての手順を含む吸収線量を決定するため

に使用する相互関係のある要素(ISO/TS 11139 参照)

4

線量の測定

医療機器の放射線滅菌では,吸収線量の測定は,水の吸収線量として表す。線量測定システムは,水の

吸収線量として校正するとよい。この規格では,吸収線量を線量という。

5

線量測定システムの選択及び校正

5.1

一般

製品の照射を監視するために使用する線量測定システムは,利用する全線量域で正確,かつ,精度のよ

い測定結果を提供できる必要がある。

5.2

線量測定システムの選択

5.2.1

線量測定は,滅菌線量の確立,バリデーション及び放射線滅菌の日常管理で必要である。異なる線

量測定システムが異なる業務に対して必要になる場合がある。例えば,滅菌線量の確立では,検定線量又

は累加線量照射試験のために使用する線量域は,滅菌線量の測定に使用する線量測定システムで推奨して

いる(及び校正している)使用範囲外になることがある。そのような状況では,代替のシステムを採用す

る必要がある。

5.2.2

放射線滅菌に使用する適切な線量計の指針は,ISO/ASTM 51261 を参照。個々の線量計システムの

特質及びそれらの使用手順は,参考文献の ISO/ASTM 規格を参照。

5.3

線量測定システムの校正

5.3.1

JIS T 0806-1

では,線量測定は,適切な国際又は国家計量標準にトレース可能であり,不確かさの

レベルが既知であることを要求している。したがって,測定上の不確かさの主要な原因のすべてを特定し,

かつ,その変動幅を評価するのが望ましい。

5.3.2

放射線滅菌に使用する線量測定システムの校正は,重要な作業である。大部分の線量計は,照射条

件及び測定条件に影響される(例えば,温度,湿度,線量率及び照射終了から測定までの時間)

。さらに,

これらの条件は,互いに関連しており,また,線量計のバッチごとに異なる。したがって,校正は,使用

する実際の状況にできるだけ合わせた状況下で実施するとよい。すなわち,校正は,設備ごとに実施する


3

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

必要があり,線量計製造業者が供給する校正の結果は,追加の実験的検証がなされていない限り使用しな

い方がよい。

5.3.3

国際又は国家計量標準へのトレーサビリティを確保するのは,JIS Q 17025 で認定されている研究

所又はこれらに相当する研究所で行うのがよい。正式な認証書又は認定書を保有しない研究所で発行され

た校正証明書は,必ずしも国際又は国家計量標準へのトレーサビリティの証拠とはならないので,追加文

書による証拠が必要となる。

5.3.4

正確な線量測定を実施できるかどうかは,校正及び線量計システム全体の性能についての整合性に

よって決まる。このことは,線量計だけでなく線量測定に関係するすべての測定機器を管理し,その性能

を検証していることを意味する。

5.3.5

詳細な校正手順は,ISO/ASTM 51261 を,測定の不確かさの評価及び報告に関する情報は,

ISO/ASTM 51707

を参照するとよい。追加的な指針は,Sharpe and Miller

 [19]

に示されている。

6

最大許容線量の確立

6.1

最大許容線量を確立するための試験は,製品又は材料サンプルを使用し,実際の滅菌プロセスで受

ける線量よりも大きな線量を照射する。滅菌プロセスで受ける最大線量は,照射設備の特性及び製品の載

荷形態の影響を受ける。したがって,別の照射設備を使用した場合及び載荷形態を変更した場合には,製

品が受ける最大線量が異なることがある。

6.2

照射試験のための製品又は材料サンプルの配置は,線量が正確に決定でき,かつ,できるだけ均一

になるように選択するとよい。日常の滅菌プロセスで使用する照射容器での照射は,通常,製品への線量

分布が広すぎるので試験目的には適さない。日常の照射容器を使用する場合には,試験製品の配置は,そ

の製品の線量幅が最小となるようにするとよい。

6.3

試験用の製品又は材料サンプルに必要な線量は,線量計の校正範囲外になる場合がある。そのよう

な場合には,累加的に線量を与え,個々の累加線量を測定することで対応できる。全線量は,各累加線量

の合計となる。

7

滅菌線量の確立

7.1

滅菌線量を確立する方法(JIS T 0806-2 参照)では,製品又はその製品の一部分[分割試料

(SIP)

を許容変動範囲内の線量で照射することを要求している。そのような線量を測定するのに使用する線量測

定システムは,対象となる線量範囲全体にわたって正確,かつ,精度のよい測定ができることが必要にな

る。滅菌線量の確立又は線量の実証での混乱を避けるために,使用する線量測定システムは,その方法が

定めた許容範囲内で確実な測定が可能なように正確であることが必要である。

7.2

滅菌線量の確立及び線量の実証(JIS T 0806-2 参照)で規定している線量の許容変動範囲は,滅菌線

量の確立時に使用する製品又は SIP を用いる場合には,製品の表面及び/又は内部のすべての場所の最大

線量及び最小線量に関係する。この要求事項の背景には,製品に適用する線量分布が既知ということであ

る。特に電子線照射の場合には,個別の製品の詳細な線量分布評価が必要となることもある。そのような

線量分布評価は,稼働性能適格性の確認(PQ,箇条 10 参照)で要求されるものと類似のものである。

7.3

照射中の製品の配置は,個々の製品だけでなく製品間での線量の変動が最小になるように選択する

とよい。これを実施するためには,製品を個別に照射することが必要となる場合もあり,特別な場合には,

線量が許容範囲内に入るように製品を分解し,再包装することが必要となることもある。このことについ

ては,JIS T 0806-2 の 5.4.1 も参照。


4

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

7.4

製品又はその一部分に照射した線量範囲を確認するために,線量分布評価を実施する。線量分布評

価は,必ずしも線量設定のために使用する線量と同じ線量で実施する必要はない。線量計がより正確に測

定できる,より高い線量域で実施してもよい。それによって線量分布評価の全体の精度が向上する。

7.5

線量分布評価は,繰り返して実施するのがよい。繰り返すことによって測定の不確かさは減少する。

7.6

ガンマ線を使用する線量設定又は線量の実証の照射では,通常,滅菌線量よりも低線量照射が可能

なように設計した特別な設備又は滅菌設備の通常の照射コンベアの外側に設置したターンテーブル又は研

究用照射容器を使用して実施する。

7.7

電子線又は X 線を使用した線量設定又は線量の実証の照射では,通常,滅菌に使用する設備で実施

する。線量を低下させるためには,電子加速器の出力の低下及び/又はコンベア速度を速める。

7.8

電子線の照射では,電子を散乱させるための物質で製品の周囲を覆い,より均一な線量分布を得る

ようにする。

7.9

検定線量試験では,最大線量が検定線量の 10  %を超えないよう規定している。最大線量は,照射中

の直接測定又は線量分布評価のデータから計算する。線量分布評価のデータが使用できる場合には,その

データの統計的変動幅を考慮するのがよい。これを実行するための一つの方法は,Panel on Gamma and

Electron Irradiation

 [20]

が参考になる。

7.10

検定線量試験のやり直しは,最大及び最小線量の算術平均値が,意図した検定線量の 90

%未満であ

れば認められる。最大及び最小線量は,照射中に直接測定するか,又は線量分布評価のデータから計算す

る。

7.11  JIS T 0806-2

に規定する方法 2A 及び方法 2B では,一連の目標線量で製品を照射する累加線量試験

が必要で,それぞれの累加線量は,独立に線量測定することを要求している。それぞれの累加線量での最

大線量は,定められた線量範囲内であることが規定されており,照射中に直接測定するか又は線量分布評

価のデータから計算する。線量分布評価のデータを使用する場合には,そのデータの統計的変動幅を考慮

するのがよい。これを実行するための一つの方法は,Panel on Gamma and Electron Irradiation

 [20]

が参考にな

る。

7.12  JIS T 0806-2

に規定する方法 2A 及び方法 2B では,累加線量結果での最大及び最小線量の算術平均

値が,あらかじめ定めた下限線量より低い場合,製品又は SIP を使用して累加線量照射のやり直しを認め

ている。最大及び最小線量は,照射中に直接測定するか,線量分布評価のデータから計算する。

8

据付適格性の確認

8.1

据付適格性の確認(IQ)の目的は,照射設備が設計仕様書に従い供給され,据え付けられたことを

実証することである。

8.2

JIS T 0806-1

には,電子線又は X 線照射設備に関するビームの特性を決定する要求事項が規定され

ている。この特性の中には,電子線エネルギー又は X 線エネルギー,平均ビーム電流及び該当する場合に

は,走査幅及び走査の均一度が含まれる。これらの特性の詳細は,照射設備の設計及び建設条件によって

決まる。例を 8.4 及び 8.5 に示すが,これらがすべてではないことに注意する。

8.3

電子線の特性を決める大部分の方法には,線量測定が含まれる。多くの場合には,相対的な測定が

要求されている(例えば,走査幅の測定)

。相対的な測定をした場合には,測定のトレーサビリティは要求

されないこともある。

8.4

X

線照射設備では,電子線エネルギー又は X 線エネルギーのいずれかを IQ 中に測定することが必要

になる。X 線照射設備の設計では,電子線のエネルギーを測定するのが一般的である。


5

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

8.5

電子加速器では,要求された線量均一度を与える十分なビームの重複があるように,製品表面での

電子線の断面分布について走査周波数,走査幅,パルス繰返し率(パルス加速器の場合)とコンベア速度

との関係を考慮する必要がある。

8.6

走査均一度の特性については,多くの場合,走査方向及び製品の移動方向の両方の均一度の測定を

含む。

8.7

電子線を特徴付ける方法の詳細は,ISO/ASTM 51649 を,また,X 線を特徴付ける方法は ISO/ASTM 

51608

を参照するとよい。

8.8

ガンマ線照射設備の IQ に対する線量測定上の特定の要求事項はない。しかし,照射設備の仕様によ

っては,仕様内で操作できることを確認するために,線量測定及び/又は IQ における線量分布評価を実

施することが必要となる場合がある。これには,運転適格性の確認(OQ)で使用する線量測定と同じ手法

が利用できる。

9

運転適格性の確認

9.1

一般

OQ

の目的は,設置した照射設備が運転可能であり,かつ,あらかじめ定めた範囲内で適切な線量を照

射できることを立証することである。このことは線量分布を線量分布評価から求め,この線量分布をプロ

セスパラメータに関係付けることで達成できる。

9.2

ガンマ線照射設備

9.2.1

線量分布及び再現性に関する照射設備の特性を得て,かつ,プロセス中断が線量に及ぼす影響を確

立するため,OQ で照射設備の線量分布評価を実施する。線量分布評価は,均一密度の物質をその設計限

界まで満たした照射容器内に,線量計を配置して実施するとよい。この密度は,照射設備が使用できる密

度の範囲内とするとよい。少なくとも 2 種類の線量分布評価試験を行うことが望ましく,一つはその照射

設備で意図して使用する密度範囲の下限に近い物質を用いて,もう一つはその範囲の上限に近い物質を用

いて行う。

9.2.2

照射容器間の線量及び線量分布の変動を決定するために,十分な数の照射容器(最低 3 個)を用い

て,それぞれの密度で線量分布評価を実施するとよい。必要な線量分布評価の詳細及び実施回数は,以前

に実施した同一又は類似の照射設備の OQ での線量分布評価から得た情報量に影響される。このことは新

規の照射設備では,線源の追加補充時に行う線量分布評価の適格性の確認よりも,多くの繰返し試験が必

要であるということを意味している。

9.2.3 OQ

の線量分布評価では,照射設備が線量分布評価をしているのと同一の密度の物質で照射容器を

満たした場合と同等の効果がでるように,十分な数の照射容器を配置するとよい。必要とする照射容器の

数は,照射設備の構造によって決まる。

9.2.4

個々の線量計,線量計素子片又は線量計シートは,線量分布を決定し,十分な解析が行えるように

照射容器内の全域について三次元的に配置するとよい。線量計の数は,照射容器のサイズ及び照射設備の

構造によって決まる。一例として 1 m×1 m×0.5 m の容器では,三次元の 20 cm 格子(例えば,20 cm 間

隔)で照射容器の全域に線量計を配置するとよい。線量分布評価の適格性の再確認では,前回までのデー

タが線量計の配置を最適化するのに使用できる。モンテカルロ法又はポイントカーネル法のような数学的

モデル技法によって,線量計の位置の適正化も可能である(

附属書 参照)。

9.2.5

線量分布評価のデータは,タイマ設定と異なった密度の物質に対する照射容器内の特定の場所にお

ける線量の変動との関係を確立するために使用できる。これらの関係の概略値は,照射設備製造業者が提


6

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

供するもの又は数学モデルによる計算から得る。線量分布評価のデータは,特定の照射設備に対し,これ

らの概略値をより精密化するのに使用できる(

附属書 参照)。

9.2.6

プロセス中断(JIS T 0806-1 の 3.26 参照)の影響を評価するためには,別途,独立した線量分布評

価を実施するか,トランジット線量の計算を実施するとよい。トランジット線量の計算が適切であるかど

うかの評価は,線量測定によって検証するとよい。この試験は,上記のように線量計又は線量計素子片を

配置した照射容器を照射し,照射容器が線源の近傍で,線源移動によって最も影響を受けやすい場所にあ

るときに,プロセス中断を行うことで実施できる。プロセス中断の影響は,通常のプロセスで実施した線

量分布評価の結果と比較して評価する。効果の影響を正確に評価するために,複数回のプロセス中断が必

要な場合もある。

9.2.7

ある種の線量計の応答は,照射後から測定までの時間に影響することが知られている。この影響の

変動幅は,この期間の温度により変わる。プロセス中断を受けた線量計からの測定値を評価する場合には,

これらの要因を考慮するとよい。

9.2.8

製品の密度が変化することによって,照射容器内の線量及び線量分布の影響を決定するために線量

分布評価を実施するとよい。同時に照射できる密度の許容範囲は,これらの測定によって決定できる。線

量及び線量分布についての密度変化の影響は,異なる密度の 2 種類の物質,すなわち 1 番目の密度の物質

の最後の照射容器と 2 番目の密度の物質の最初の照射容器とを続けて照射することで決定できる。異なる

密度をもつ 2 種類の物質を続けて照射する場合には,二次的な線量変動を決定するために,これらの照射

容器で得られたデータと均一な試験物質の線量分布評価データとを比較するとよい。

9.2.9

特殊なコンベアシステム(リサーチループ)

,又は手動で製品位置を決める構造の照射セル(ター

ンテーブル)内の固定した場所に対しては,別に線量分布評価を実施するとよい。このようなコンベア及

び場所の使用に伴う線量率又は温度などが線量計システムに影響することを考慮するのがよい。

9.2.10 PQ

での線量分布評価を減少させる又はなくすためのデータを得るため,追加して線量分布評価に

よる検討を実施してもよい。そのような検討の例には,次のものがある。

a)

照射バッチの最後の照射容器に部分的に載荷された製品の影響

b)

照射容器の中央に試験物質を載荷することで製品の幅を薄くして,照射容器内の最大線量/最小線量

比を向上する。

部分的に製品を載荷した照射容器は,満載した容器より線量が高くなる。したがって,部分的に載荷し

た製品では,隣接する満載の照射容器と同様に,最大線量となる可能性がある位置に線量計を配置すると

よい。

照射容器の中央に載荷した製品の線量分布は,照射容器全体に載荷した製品のそれとは異なる。このよ

うな場合には,最小及び最大線量となる可能性のある位置に線量計を配置するとよい。

9.2.11 OQ

の線量分布評価のデータから,実際の製品積載でも最大及び最小線量となる位置について有用

な情報を得ることができる。

9.3

電子線照射設備

9.3.1

線量の分布及び再現性に関する照射設備の特徴を得て,プロセス中断が線量に及ぼす影響を確立す

るため,OQ で照射設備の線量分布評価を実施する。線量分布評価は,製品の照射に使用される仕様限界

の全範囲をカバーするように選択した操作パラメータで実施するとよい。線量分布評価は,設計限度まで

均一物質で満たした照射容器内に線量計を配置して実施する。この密度は,照射設備が使用できる密度の

範囲内とするのがよい。一般に OQ の照射設備の線量分布評価は 1 種類の密度でよいが,1 種類以上の密

度,例えば,照射設備が使用する密度範囲の限界に近い密度を使用すれば,より詳細な情報が得られる。


7

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

9.3.2

照射容器間の線量及び線量分布の変動を決定するために,十分な数の照射容器(最低 3 個)を用い

てそれぞれの操作パラメータで線量分布評価を実施するとよい。要求される線量分布評価の詳細及び実施

回数は,以前に実施した同一又は類似の照射設備の OQ での線量分布評価から得た情報量に影響される。

このことは新規の照射設備では,あらかじめ定めた間隔での適格性の再確認よりも多くの繰返し試験が必

要であるということを意味している。

9.3.3

線量分布評価の試験をしている照射容器中の線量分布は,その前後の照射容器内の物質によって影

響を受ける。この効果を評価し,また,その変動幅を決定するとよい。照射設備の構造によっては,前後

の照射容器を同じ密度の物質で満たした照射容器で線量分布測定をする必要がある場合もある。

9.3.4

線量計は,照射する物質の表面を含め三次元的に配列するとよい。線量計は,照射容器内の全体の

体積の線量分布を測定するために十分な数とする。線量計の数は,照射容器のサイズ,照射設備の構造及

び電子線のエネルギーによって決まる。

線量計はシート状のもの,細長い形状のもの,一点測定用のもの又は長い範囲を測定するために互いに

近接して配置した複数の一点測定用の線量計となる場合がある。

先立って実施した試験のデータは,線量計の配置場所を最適化するのに使用できる。モンテカルロ法の

ような数学的モデル技法によって線量計の位置の適正化も可能である(

附属書 参照)。

9.3.5

線量分布評価のデータは,ビーム特性及びコンベア速度と既知の密度をもつ均一な物質で満たした

照射容器の内部又は表面のあらかじめ定めた場所での線量との関係を決定するのに使用する。これに代わ

る方法として,照射容器とは離れた位置で,一緒に移動する場所を線量計の位置として定め,ビーム及び

コンベア速度とその場所での線量の変動との関係を決定することがある。この位置は,通常照射時の線量

監視点として使用できる。

9.3.6

プロセス中断の線量への影響を評価するため,別途独立した線量測定を実施するとよい。この影響

は,線量計又は線量計素子片をプロセス中断の影響が最も大きいと考えられる場所に配置して測定するこ

とで決定できる。この場所は,電子線が入射する照射容器の表面となる場合が多い。容器表面を通常のプ

ロセス条件で照射しているときに,照射容器がビーム内に入った時点でプロセスを中断する。プロセス中

断の影響は,プロセスを再稼働し,プロセス中断がない場合とプロセス中断があった場合との線量を比較

することで決定する。

9.3.7

ある種の線量計の応答は,照射後から測定までの時間が影響することが知られている。この影響の

変動幅は,この期間の温度によって変わる。プロセス中断をした線量計の測定値を評価する場合には,こ

れらの要因を考慮するとよい。

9.3.8

照射設備の構造によっては,密度の異なった製品に変更した場合に,照射容器内に生じる線量及び

線量分布の影響を決定するために線量分布評価を実施するとよい。同時に照射できる密度の許容範囲は,

これらの測定によって決定できる。線量及び線量分布についての密度変化の影響は,異なる密度の 2 種類

の物質,すなわち 1 番目の密度の物質の最後の照射容器と 2 番目の密度の物質の最初の照射容器とを続け

て照射することで決定できる。異なる密度をもつ 2 種類の物質を続けて照射する場合には,二次的な線量

変動を決定するために,照射容器で得られたデータと均一な試験物質の線量分布評価データとを比較する

とよい。

9.3.9 OQ

の線量分布評価で得られたデータから,製品載荷中の最大及び最小線量位置の情報を得ること

ができる。

9.4

X

線照射設備

9.4.1 OQ

の線量分布評価では,照射設備の線量分布と線量の再現性に関して特性を明らかにし,かつ,


8

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

プロセス中断が線量に及ぼす影響を確立する。線量分布評価は,均一密度の物質でその設計限界まで満た

した照射容器内に線量計を配置して実施するとよい。この密度は,照射設備が使用できる密度の範囲内と

するとよい。線量分布評価は,製品の照射に使用される操業限界をカバーする選択された操作パラメータ

及び物質密度の全範囲で実施するとよい。少なくとも 2 種類の線量分布評価を行う必要があり,一つはそ

の照射設備が意図して使用する密度範囲の下限に近い物質密度を用いて,もう一つはその範囲の上限に近

い物質密度を用いて行うのがよい。

9.4.2

照射容器間の線量及び線量分布の変動を決定するために,十分な数の照射容器(最低 3 個)を用い

てそれぞれの操作パラメータで線量分布評価を実施する。要求される線量分布評価の詳細及び実施回数は,

以前に実施した同一又は類似の照射設備の OQ での線量分布評価から得た情報量に影響される。このこと

は新規の照射設備では,あらかじめ定めた間隔での適格性の再確認よりも,多くの繰返し試験が必要であ

るということを意味している。

9.4.3 OQ

の線量分布評価では,照射設備が線量分布評価をしているのと同一の密度の物質で照射容器を

満たした場合と同等の効果がでるように,十分な数の照射容器を配置するとよい。必要とする照射容器の

数は,照射設備の構造によって決まる。

9.4.4

個々の線量計,線量計素子片又は線量計シートは,線量分布を決定し,十分な解析が行えるように

照射容器内の全域について三次元的に配置するとよい。線量計の数は,照射容器のサイズ及び照射設備の

構造並びに X 線のエネルギーによって決まる。一例として 1 m×1 m×0.5 m の容器では,三次元の 20 cm

格子(例えば,20 cm 間隔)で照射容器の全体に線量計を配置するとよい。線量分布評価の適格性の再確

認では,前回までのデータが線量計の配置を最適化するのに使用できる。モンテカルロ法又はポイントカ

ーネル法のような数学的モデル技法によって線量計の位置の適正化も可能である(

附属書 参照)。

9.4.5

線量分布評価のデータを,ビーム特性及びコンベア速度と既知の密度をもつ均一な物質で満たした

照射容器の内部又は表面のあらかじめ定めた場所での線量値との関係を決定するために使用する。これに

代わる方法として,照射容器とは離れた場所で,一緒に移動する場所を線量計の位置として定め,ビーム

及びコンベア速度とその場所での線量の変動との関係を決定することがある。この位置は,通常照射時の

線量監視点として使用できる。

9.4.6

プロセス中断の線量への影響を評価するため,別途独立した線量測定を実施するとよい。この影響

は,線量計又は線量計素子片をプロセス中断の影響が最も大きいと考えられる場所に配置して測定するこ

とで決定できる。この場所は,X 線が入射する照射容器の表面となる場合が多い。照射容器を通常のプロ

セス条件で照射しているときに,照射容器がビーム内に入った時点でプロセスを中断する。プロセス中断

の影響は,プロセスを再稼働し,プロセス中断がない場合とプロセス中断があった場合との線量を比較す

ることで決定する。

9.4.7

ある種の線量計の応答は,照射後から測定までの時間に影響することが知られている。この影響の

変動幅は,この期間の温度に依存する。プロセス中断を受けた線量計からの測定値を評価する場合には,

これらの要因を考慮するとよい。

9.4.8

密度の異なった製品に変更した場合,照射容器内に生じる線量及び線量分布の影響を決定するため

に線量分布評価を実施するとよい。同時に照射できる密度の許容範囲は,これらの測定によって決定でき

る。線量及び線量分布についての密度変化の影響は,異なる密度の 2 種類の物質,すなわち 1 番目の密度

の物質の最後の照射容器と 2 番目の密度の物質の最初の照射容器とを続けて照射することで決定できる。

異なる密度をもつ 2 種類の試験物質を続けて照射する場合には,二次的な線量変動を決定するために,照

射容器で得られたデータと均一な試験物質の線量分布評価のデータとを比較するとよい。


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T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

9.4.9

特殊なコンベアシステム(リサーチループ)

,又は手動で製品位置を決める構造の照射セル(ター

ンテーブル)内の固定した場所に対しては,別に線量分布評価を実施するとよい。このようなコンベア及

び位置による線量率,温度などが線量計システムに影響することを考慮するとよい。

9.4.10 PQ

での線量分布評価を減少させる又はなくすためのデータを得るため,追加して線量分布評価に

よる検討を実施してもよい。そのような検討の例には,次のものがある。

a)

照射バッチの最後の照射容器に部分的に載荷された製品の影響

b)

照射容器の中央に試験物質を載荷することで製品の幅を薄くして,照射容器内の最大線量/最小線量

比を向上する。

部分的に製品を載荷した照射容器は,満載した容器よりも線量が高くなる。したがって,部分的に載荷

した製品では,隣接する満載した照射容器及び同様に最大線量となる可能性のある位置に線量計を配置す

るとよい。

照射容器の中央に載荷した製品の線量分布及び線量値は,照射容器全体に載荷した製品のそれとは異な

る。このような場合には,最小及び最大線量となる可能性のある位置に線量計を配置するとよい。

9.4.11 OQ

の線量分布評価のデータから,製品載荷中の最大及び最小線量となる位置の情報を得ることが

できる。

10

稼働性能適格性の確認

10.1

一般

10.1.1

  照射設備及び製品に関係する幾つかの因子が,線量分布に影響を及ぼす。PQ における線量分布評

価で得たデータを,製品内の最小及び最大線量の変動及び場所を特定するため及びこれらの線量と線量監

視点線量との関係を示すのに用いる。選定した線量監視点は,照射容器の内部(例えば,最小及び最大線

量となる位置)又は照射容器と一緒に移動する近接する場所の場合もある。

10.1.2

  線量分布評価中に測定した線量からの情報は,タイマ設定又はコンベア速度のようなプロセスパラ

メータを決定するために用いる。これらは最大許容線量を超えることなく,規定された滅菌線量を与える

ように設定する。

10.1.3

  OQ の線量分布評価のデータは,PQ の線量分布評価における線量計の位置についての情報を与え

る。中間的な線量の場所よりも,詳細に測定すべき最小及び最大線量となる可能性のある場所に注目する

とよい。

10.1.4

  線量分布評価における線量計は,あらかじめ定めた配置形態に基づいて製品全体に設置するとよ

い。照射されている製品表面又は内部における最大及び最小線量を特定するために,線量分布評価を詳細

に実施するのがよい。顕著な線量のこう(勾)配は,個別の製品表面又は内部で起こることがあるので,

線量計の配置時は十分に注意するとよい。それぞれの場合で個々に評価が必要となるが,線量計の設置に

関する指針を次に示す。モンテカルロ法又はポイントカーネル法のような数学的モデル技法は,線量計の

設置位置を最適化するのに有効である(

附属書 参照)。

10.2

ガンマ線及び 

10.2.1

ガンマ線又は X 線で照射される低密度製品は,個々の製品で顕著な線量こう(勾)配が起こらな

いので,製品の一次包装の外側に線量計を配置するのが一般的である。典型的な例は,周囲に部分的な放

射線遮へい効果をもたらすほど大きな物質量をもたない低原子量の元素(例えば,非金属)からなる製品

である。


10

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:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

10.2.2

  ガンマ線又は X 線で照射するとき,部分的な遮へい効果を及ぼす物質量をもつ製品の場合には,

最大及び最小線量を決定するために,製品の一次包装内に線量計を配置するとよい。

10.2.3

  製品が照射容器内部で移動し,そのことで線量分布に影響を及ぼす場合,例えば,照射容器内で起

こる可能性がある幾つかの形態で線量分布評価を実施するとよい。

10.2.4

  線量分布評価のときには,最小及び最大線量が適切に測定できるよう,線量計の場所と同様に大き

さにも注意を払う必要がある。必要とする空間線量分布の分解能を得るために,薄いフィルム線量計を保

護袋に入れずに使用することも必要になる場合がある。保護袋に入れない線量計は,湿度の変化に対し非

常に敏感であり,顕著な測定誤差の原因となり得る。これらの誤差は,2 種類の線量計が同じ線量の照射

を受けることを確実とするような幾何学的位置の線量分布評価で,参照線量計の近くで追加的な線量計を

照射することで低減できる。2 種類の線量計の線量測定値間の差を線量分布評価の結果を修正するのに用

いる。

10.2.5

  線量計システムは,高度な空間的分解能をもち,例えば,物質の境界で生じるような線量こう(勾)

配の測定ができるものがよい。

10.2.6

  製品のバッチの最後で起こるような,製品を部分的に載荷した照射容器の線量分布についても決定

するとよい。部分的に載荷した照射容器については,別途線量分布評価が必要となる場合もある。その場

合,部分載荷した照射容器が他の満載に載荷した照射容器の線量分布に影響することを考慮する必要があ

る。部分載荷した照射容器での照射を避けるためには,そのような照射容器の空間を同様な密度の物質で

満たせばよい。

10.2.7

  線量監視点を用いる場合,製品の最大又は最小線量と線量監視点線量との比は,変動があり,その

結果不確かさの影響を受ける。不確かさに関する要素は,線量の製品に対する全体の不確かさの原因にな

るので,滅菌製品の照射時には考慮しておく必要がある。

10.2.8

  照射設備,製品の変化及び線量の不確かさによって生じる線量の変動に関する情報を得るために,

複数回の線量分布評価を実施する。統計的に有意なデータを得るためには最低 3 回の試験(別々な照射容

器を使用して個別に実施すること)を行うのがよい。測定値の信頼性は,試験の回数を増やせば増加する。

繰返しの線量分布評価では,線量計を全体に配置していなくても,極端な線量を示す場所だけに配置する

ことで十分である。

10.2.9

  試験ごとの最小線量と線量監視点線量との比及び最大線量と線量監視点線量との比を計算するた

めに線量分布評価のデータを分析する。これからそれぞれの平均値及び標準偏差値が計算できる。最小線

量と線量監視点線量との比の平均値及び線量測定システムの不確かさを含んだ不確かさは,製品の処理に

おいて,最小線量を定義した信頼限界で滅菌線量を超えていることを保証する監視線量を選択するために

用いることができる(AAMI TIR 29

 [16]

参照)

10.2.10

  線量測定データの分析から得た情報は,プロセスパラメータの規定,線量監視点の線量の許容限

度などのプロセス仕様を作成するために使用できる。

10.2.11

  PQ データの分析に関する追加の指針及びそれらの日常プロセスへの応用は,AAMI TIR 29

 [16]

び  Panel on Gamma and Electron Irradiation

 [21]

を参照。

10.3

電子線

10.3.1

  電子線照射設備で照射する製品は,通常,最大及び最小線量を決定するために製品の一次包装内に

線量計を配置する必要がある。

10.3.2

  製品が照射容器内部で移動し,線量分布に影響を及ぼす場合には,照射容器内で起こり得る幾つか

の形態で線量分布評価を実施するとよい。


11

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

10.3.3

  線量分布評価を実施する場合には,最小及び最大線量が適切に測定できるよう,線量計の場所と同

様に大きさにも注意を払うとよい。必要とする空間線量分布の分解能を得るために,薄いフィルム線量計

を保護袋に入れずに使用することも必要な場合がある。保護袋に入れない線量計は,湿度の変化に対し非

常に敏感であり,顕著な測定誤差の原因となり得る。これらの誤差は,線量分布評価で参照線量計の近く

に追加の線量計を配置し,2 種類の線量計が確実に同じ線量の照射を受けるような幾何学的位置として照

射することで低減できる。2 種類の線量計の線量測定間の差を線量分布評価の結果を修正するのに用いる。

10.3.4

  線量計システムは,高度な空間的分解能をもち,例えば,物質の境界において生じるような線量こ

う(勾)配の測定ができるものがよい。電子線照射の場合には,線量こう(勾)配の変動は 1 mm 未満で

あっても数十%となることがある。

10.3.5

  製品のバッチの最後で起こるような,製品を部分的に載荷した照射容器の線量分布についても決定

するとよい。部分載荷した照射容器については,別途線量分布評価が必要になる場合もある。その場合,

部分載荷した照射容器が,他の満杯に載荷された照射容器の線量分布に影響することを考慮する必要があ

る。部分載荷した照射容器での照射を避けるためには,照射容器の空間を同様な密度の物質で満たせばよ

い。

10.3.6

  線量監視点を適用した場合,製品に対する最大又は最小線量と線量監視点線量との比は,変動及び

不確かさを受けやすい。不確かさに関する要素は,線量の製品に対する全体の不確かさの原因になるので,

製品の滅菌照射時には考慮するとよい。

10.3.7

  照射設備,製品の変化及び線量の不確かさによって生じる線量の変動に関する情報を得るために複

数回の線量分布評価を実施する。統計的に有意なデータを得るために最低 3 回の試験(別々な照射容器を

使用して個別に実施すること)が推奨される。測定値の信頼性は,試験の回数を増やせば増加する。繰返

しの線量分布評価では,線量計を全体に配置して線量分布評価を実施しなくても,極端な線量を示す場所

だけに配置することで十分である。

10.3.8

  試験ごとの最小線量と線量監視点線量との比,及び最大線量と線量監視点線量との比を計算するた

め線量分布評価のデータを分析する。これからそれぞれの平均値及び標準偏差値が計算できる。最小線量

と線量監視点線量との比の平均値及びその不確かさ並びに線量測定システムの不確かさは,製品の処理に

おいて,最小線量を定義した信頼限界で滅菌線量を超えていることを保証する監視線量を選択するために

用いることができる(AAMI TIR 29

 [16]

参照)

10.3.9

  線量測定データの分析から得られる情報は,プロセスパラメータの規定及び線量監視点の線量の許

容限度を含むプロセス仕様を作成するのに用いることができる。

10.3.10

  PQ データの分析に関する追加の指針及びそれらの日常プロセスへの応用は,AAMI TIR 29

 [16]

び Panel on Gamma and Electron Irradiation

 [21]

を参照。

11

日常監視及び管理

11.1

一般

最小及び最大線量と線量監視点線量との関係は,線量分布評価の結果から決定する。プロセス中の線量

監視点の線量は,最小線量が滅菌線量より高く,かつ,最大線量は最大許容線量を超えないことを検証す

るために使用する。線量監視点の線量変動の許容範囲をプロセス仕様書に記載する。

11.2

線量測定の頻度

日常的な線量監視点の線量測定では,照射設備における他の制御及び測定システムとは独立したプロセ

スパラメータが得られる。線量測定の最低頻度は,照射設備又はプロセスに基づいて選択するとよい。ガ


12

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

ンマ線を用いるプロセスでは,線量計は,通常は特定の処理カテゴリを構成する製品の各処理における最

初及び最後に付ける。さらに,線量計は常時最低 1 枚が照射室内に存在するようにする。電子線又は X 線

を用いたプロセスでは,線量計は通常,特定のプロセスパラメータで照射される処理カテゴリを構成する

製品の運転の最初及び最後に付ける。


13

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

附属書 A

参考)

数学モデル

A.1

一般

数学モデルは,ある種の応用に関して線量を推定することに使用できる。計算結果は,線量測定で検証

するとよい。数学モデルは,線量測定の応用として最適化するにも有用である。

数学モデルは,線源及び製品間の物質による減衰及び散乱を考慮した照射設備からの光子又は電子の転

移を近似的に模擬できる。ガンマ線照射設備に対する線量分布の数学モデルには,線源の放射能分布,線

源の組成及び位置,線源ラック,製品搬送キャリア,照射設備の支持構造並びに製品の正確な知見が必要

である。電子線及び X 線照射設備に対しては,ビームエネルギー,電流値,パルス分布(パルス加速器の

場合)

,製品の構成及び位置,製品搬送キャリア並びに近接し,散乱を起こす物質を正確に知ることが肝要

である。計算時の入力パラメータの間違いは,計算結果を誤らせるので計算による線量分布は,線量分布

評価で検証するとよい。

各モデルの簡単な説明は,A.2 及び A.3 に記載している。更なる数学モデルの使用法及び応用の指針を

ASTM E 2232-02

に示す。

A.2

モデルのタイプ

A.2.1

一般

放射線移送については,数多くの数学モデルの方法がある。大多数のモデルは,ポイントカーネル法又

はモンテカルロ法のどちらかを用いて実施する。ポイントカーネル法は,ガンマ線及び X 線照射設備の線

量分布を計算するのに用いる。電子線照射には使用しない。モンテカルロ法は,ガンマ線,X 線及び電子

線照射設備に用いる。

A.2.2

ポイントカーネル法

ポイントカーネル法では,ガンマ線又は X 線源(例えば,幾つかの線源カプセルが長方形の枠又はシリ

ンダに配置しているガンマ線源)を,幾つかの点線源によって近似する。各点線源及び計算する各位置の

間の内部の物質を,線源,照射設備及び製品体積の座標から決定する。線量率に関するこの内部物質の影

響は,測定点に到達する光子が,距離の二乗に逆比例して減衰し,物質の質量に応じて指数関数的に減衰

すると仮定することで評価する。エネルギーが低下した散乱光子からの寄与は,ビルドアップ係数と呼ば

れる係数を用いて近似する。ビルドアップ係数は,製品の幾何学的位置に対する様々な物質及び線源のエ

ネルギーで計算される。しかし,報告されている数値は,簡単な均一媒体(例えば,一つの無限媒体中の

点線源)だけである。実際のガンマ線及び X 線照射設備では,線源及び製品の幾何学的関係は単純でなく,

混合した物質及びその境界面にビルドアップ係数を適用する場合には正確度に制限をもたらす。

A.2.3

モンテカルロ法

モンテカルロ法では,製品及び照射設備の物質を通しての線源からのそれぞれの光子又は電子の移送は,

様々な相互作用後のエネルギー付与及び散乱経路の変更を決定するために乱数を用いて模擬する。各相互

作用の確率は,刊行済み文献にある。理論的には,モンテカルロ法は,実際の光子及び電子の移送につい

て正確に模擬することができる。しかし,光子又は電子は,個々の相互作用に対する確率によって決定す

る独特の経路を通るので,大量の光子又は電子からの線量寄与は,大量の光子又は電子の履歴からだけ決


14

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

定できる。ランダムな統計変動を伴った不確かさを推定し,計算した線量が許容できる統計的な不確かさ

に達するまで計算は続けられる。最新の高速計算機を使用しても,正確な計算は過大な計算時間を要する。

そのため通常は近似値を使用する。この種の近似値は,まれに追加の履歴の計算に偏りをもたせることが

ある。

A.3

モデルの使用

A.3.1

照射設備の設計

数学モデルは,照射設備の設計で広く使われる。期待する生産量及び線量均一度を達成するために,照

射の幾何学的配置の最適性を計算する。数学モデルからのデータは,均一密度の製品で満たされたときの

照射設備の照射性能を決定するのに使用する。計算結果は,kCi 当たりの期待できる線量,又は電子線出

力(kW),製品密度に伴う線量変動,線量均一度及び製品の最小及び最大線量に関する情報を提供する。あ

る種の数学モデルは,製品密度の異なる製品間における移行,線源の移動中のトランジット線量又は電子

線の停止,それに製品の間げき(隙)又は異種製品に対しても計算できる。ある種の数学モデルは,ガン

マ線又は X 線照射設備での様々な照射位置でのエネルギースペクトルに関する情報も提供できる。

A.3.2

ガンマ線・電子線の運転

ガンマ線及び X 線照射設備では,数学モデルによって提供された予想線量分布の情報は,線量分布評価

において,最小及び最大線量となる場所に十分な数の線量計を配置することを保証するために使用できる。

数学モデルによって示された最小及び最大線量域だけでなく,線量計は,照射設備が期待どおりに運転さ

れたことを確認するための他の場所にも設置するとよい。数学モデルは,通常,入力においてすべての線

源,照射設備及び製品特性は正確であると仮定しているので,これらのパラメータからの変動の影響は,

線量測定だけで決定できる。

線量分布評価が,数学モデルのデータで得られた結果の信頼性を確認した後で,数学モデルは,他の中

間的製品密度に対する線量分布を決定するために,測定された結果間の内挿及び製品密度の変化の影響又

は不均一な製品によって起こる変動のような,一般的な傾向を決定するための効果的な道具を提供するこ

とになる。数学モデル及び線量分布評価の組合せで線量分布評価の数をかなり減らすことができる。この

例を次に示す。

−  幾つかの密度の均一製品内の線量分布を計算するために,数学モデルを使用する。

−  線量分布評価のデータとの一致を得るために計算結果を標準化し,測定した製品の密度範囲に対し適

用できる標準化係数を決定する。

−  中密度の製品に対し線量分布を計算し,それに必要な標準化係数を適用する。

−  密度の異なる製品を連続して照射するとき,最初及び最後の製品照射容器の線量分布を計算する。

−  数学モデルの計算結果の信頼性を確認するために,連続して照射する異なる密度の製品の線量分布評

価のデータと計算したデータとを比較する。

結果のデータは,特定の製品を同時に処理するとき,線量仕様を満たしていることを確認し,かつ,異

なる密度の製品に移行する間の最適のタイマ設定を決定するためにも用いる。

A.3.3

電子線の運転

電子線照射設備では,照射設備の線量分布評価において,数学モデルによって得た線量分布に関する情

報を,最小及び最大線量になると想定される位置に,十分な数の線量計を確実に配置できるように用いる

ことができる。また,数学モデルは,製品の縁で起こる急こう(勾)配の線量分布がある場合の線量を,

線量計によって確実に決定するためにも使用できる。数学モデルの与える結果は,製品の縁近傍の線量を


15

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

決定するためにフィルム線量計の素子片又はフィルムシートによる線量分布評価が必要となる位置を示す

ことができるからである。


16

T 0806-3

:2010 (ISO 11137-3:2006)

   

参考文献

[1]  JIS Q 9001

  品質マネジメントシステム−要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9001,Quality management systems−Requirements (IDT)

[2]  JIS Q 13485:2005

  医療機器−品質マネジメントシステム−規制目的のための要求事項

注記  対応国際規格:ISO 13485:2003,Medical devices−Quality management systems−Requirements for

regulatory purposes (IDT)

[3]  JIS Q 17025:2005

  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

注記  対応国際規格:ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and calibration

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[5]  ISO/ASTM 51261

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[9]  ISO/ASTM 51538

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[10]   ISO/ASTM 51607

,Practice for use of the alanine-EPR dosimetry system

[11]   ISO/ASTM 51608

,Practice for dosimetry in an X-ray (bremsstrahlung) facility for radiation processing

[12]   ISO/ASTM 51631

,Practice for use of calorimetric dosimetry systems for electron beam dose measurements

and dosimeter calibrations

[13]   ISO/ASTM 51649

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between 300 keV and 25 MeV

[14]   ISO/ASTM 51650

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[15]   ISO/ASTM 51707

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[16]   AAMI TIR 29

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[17]   ASTM E 2232-02

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[18]   ASTM E 2303-03

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