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T 0601-2-31

:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)か

ら,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,

厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60601-2-31:1994,Medical electrical

equipment Part 2-31

:Particular requirements for the safety of external cardiac pacemakers with internal power source

を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本

工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願

公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS T 0601-2-31

には,次に示す附属書がある。

附属書 L(規定)引用規格:この規格で引用した規格

附属書 AA(参考)概説

附属書 BB(参考)参考文献

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表


T 0601-2-31

:2005

目  次

ページ

序文 

1

第 章  一般

2

1.

  適用範囲及び目的

2

2.

  定義

3

5.

  分類

3

6.

  標識,表示及び文書

3

7.

  電源入力

6

第 章  環境条件 

6

第 章  電撃の危険に対する保護 

6

14.

  分類に関係する要求事項 

6

19.

  連続漏れ電流及び患者測定電流

6

第 章  機械的危険に対する保護 

7

第 章  不要又は過度の放射による危険に対する保護

7

36.

  電磁両立性 

7

第 章  可燃性麻酔剤の点火の危険に対する保護

8

第 章  過度の温度及びその他の危害に対する保護

8

44.

  あふれ,こぼれ,漏れ,湿気,液体の浸入,清掃,滅菌,消毒及び適合性

8

49.

  電源の遮断 

9

第 章  作動データの正確度及び危険な出力に対する保護 

9

50.

  作動データの正確度

9

51.

  危険な出力に対する保護 

10

第 章  異常作動及び故障状態:環境試験 

11

第 10 章  構造上の要求事項 

11

56.

  部品及び組立一般

11

附属書 L(規定)引用規格:この規格で引用した規格

14

附属書 AA(参考)概説 

15

附属書 BB(参考)参考文献 

24

附属書 1(規定)JIS と対応する国際規格との対比表

25


日本工業規格

JIS

 T

0601-2-31

:2005

医用電気機器−

第 2-31 部:内部電源形体外式心臓ペースメーカの

安全に関する個別要求事項

Medical electrical equipment

Part 2-31

:Particular requirements for the safety of

  external cardiac pacemakers with internal power source

序文  この規格は,1994 年に第 1 版として発行された IEC 60601-2-31,Medical electrical equipment Part 2 -

31

:Particular requirements for the safety of external cardiac pacemakers with internal power source 及び

Amendment 1

(1998)を翻訳し,技術的な内容を一部変更して作成した日本工業規格である。ただし,追

補(Amendment)については,編集して一体とした。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更してある事項である。変更の一覧

表にその説明を付けて,

附属書 に示す。

項目番号の左上の  *印は,

附属書 AA(参考)に概説及び解説があることを示す。また,文中の太字の

用語は,2.(定義)及び JIS T 0601-1 で規定している用語を示す。

この規格は,ペースメーカの安全性に関するものである。この規格と JIS T 0601-1 及びその副通則との

関連は 1.3 で説明する。

基本的に,ペースメーカは心臓の不整脈を治療するものである。不整脈は心拍出量を減少させ,錯乱,

めまい,意識喪失,死亡に至るおそれもある。ペーシングの目的は,

患者の生理的要求に適切なように心

臓の調律と心拍出量を回復させることである。

心臓ペースメーカには, 植込み形ペースメーカ

体外式ペースメーカ

の 2 種類がある。

体外式

ペースメーカ は,開心術など他の医学的処置に関連した一時的ペーシングとともに,“植込み形ペースメ

ーカ

の植込みに先立ち,一時的に

患者のペーシングを行う目的で使用する。

ペースメーカは,様々な異なる方法,様々な状況において心臓の自発収縮を維持監視する。最も単純な

様式では,心臓の自発収縮とは無関係に心房や心室を刺激する。心房や心室の自発収縮を検出し必要に応

じて又は必要な場合に心房や心室を刺激するものもあり,複雑な様式では,自発心活動を検出して適宜心

房及び/又は心室を刺激するものもある。ペースメーカの中には初期設定のインターバル,振幅及びパル

ス幅に基づいて作動するものもあれば,各種パラメータの値を複数備えているものもある。

体外式ペースメーカ に関する規格では,これらの装置を選択適用するための助けとなる情報に注意

を払うように規定している。このような標準化の点から,臨床経験の中心的役割を認識することが望まし

く,これまでも認識してきた。一連の技術基準に適合するように

機器の試験を行い,特定の患者でどの程

度ペースメーカが成果を挙げられるか予測できる能力は限られている。


2

T 0601-2-31

:2005

この規格の作成に当たり情報源として使用した文献を

附属書 BB に一覧表として示した。

第 章  一般

1.

適用範囲及び目的  次の変更を加えて,  JIS T 0601-1 の 1.を適用する。

*1.1

適用範囲 

追加

この規格は,2.1.101 に定義する

内部電源で駆動する体外式ペースメーカ(以下 機器 という。)の個

別安全要求事項を規定する。

この規格は,2.1.104 に定義する

患者ケーブルにも適用する。

この規格は,直接又は間接を問わず

電源(商用)に接続可能な機器には適用しない。

この規格は,ペーシングリード,又は次に該当する心臓刺激用

機器には適用しない。

1)

他の機能を

機器の一部として備えている。

2)

胸郭を通して体外から刺激するか又は食道内から刺激する。

3)

高レートのバーストペーシング以外の抗頻脈治療を備えている。

4)

ペーシングシステムアナライザ機能を備えている。

デュアルチャンバ

機器の二つのチャネルのそれぞれは,この規格の要求事項に従う。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60601-2-31:1994

,Medical electrical equipment Part 2 - 31:Particular requirements for the safety of

external cardiac pacemakers with internal power source

(MOD)

1.2

目的

置換え

この規格の目的は,2.1.101 に定義する

体外式ペースメーカの安全に関する個別要求事項を制定すること

にある。

1.3

個別規格 

追加

この規格は,

JIS T 0601-1

:1999  医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項,

JIS T 0601-1-1

:1999  医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項−第 1 節:副通則−医用電気

システムの安全要求事項,

JIS T 0601-1-2

:2002  医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項−第 2 節:副通則−電磁両立

性−要求事項及び試験,

及び IEC 60601-1-4:1996, Medical electrical equipment−Part 1 : General requirements for safety−4. Collateral

standard : Programmable electrical medical systems

を修正補足するものである。

簡潔のため,この規格の中では,JIS T 0601-1-1JIS T 0601-1-2 及び IEC 60601-1-4 をそれぞれ 副通則

という。


3

T 0601-2-31

:2005

この規格

という表現は,JIS T 0601-1 及び

副通則

と合わせて適用したものを指す。

この規格の章,箇条などの番号は,JIS T 0601-1 と対応している。JIS T 0601-1 に対する変更は,次の表

現を用いた。

置換え は,JIS T 0601-1 の該当する要求事項をこの規格と置き換えることを示す。

追加 は,この規格の規定を JIS T 0601-1 の該当する要求事項に追加することを示す。

修正 は,JIS T 0601-1 の該当する要求事項をこの規格の規定のように修正することを示す。

JIS T 0601-1

に追加する細分した箇条又は

図の番号は,101 から始め,追加の附属書は AABB などで

表し,追加の細別は aa),bb)  などで表す。

*2.

定義  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 2.を適用する。

定義の追加  次に示す定義のほか,JIS T 0601-1-2 の 2.ISO 5841-1 の 3.,  及び IEC 61000-4-2 の 3.  で定義

した用語も適用する。

参考  現在,ISO 5841-1 及び IEC 61000-4-2 に対応した日本工業規格はない。

2.1.101

体外式ペースメーカ(EXTERNAL PACEMAKER)  非植込み形パルス発生器及び(使用する場合

は)

患者ケーブルを附属したペースメーカ。

2.1.102

最高トラッキングレート(MAXIMUM TRACKING RATE)  感知した心房活動に応答した最高心

室パルスレート。

2.1.103

非植込み形パルス発生器(NON-IMPLANTABLE PULSE GENERATOR)  内部電源を備えた医用

電気機器であり,体外での使用を目的とし,周期的電気パルスを発生させてペーシングリード(又は,ペ

ーシングリード及び

患者ケーブルの組み合せ)を介して心臓を刺激する機器。

2.1.104

患者ケーブル(PATINT CABLE)  非植込み形パルス発生器の端子に接続する部品であり,ペーシ

ングリードとの長さを延長することができるもの。

2.1.105

心室イベント後心房不応期[POST-VENTRICULAR ATRIAL REFRACTRY PERIODPVARP)] 

センシング又はペーシングの心室イベント後の期間で,その間のいかなる心房イベントがあっても,同期

する心室ペーシングはできない。

2.1.106

シングルチャンバ(SINGLE CHANBER)  心房又は心室のいずれかに適用する方式。

5.

分類  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 5.  を適用する。

*5.2

電撃に対する保護の程度による装着部の分類 

修正

B

形装着部及び BF 形装着部を削除。

6.

標識,表示及び文書  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 6.  を適用する。

6.1

機器又は機器の部分の外側の表示 

追加

*aa)

  シングルチャンバ機器の場合には,コネクタ端子に明りょうに正極(+)と負極(−)とを表示する。

*bb)

  デュアルチャンバ機器の場合には,表 101 に基づいてコネクタ端子に表示する。デュアルチャンバ

機器のチャネルの相違を色で識別させる場合は,心室チャネルは白,心房チャネルは白以外の目立

つ色でそれぞれ表示する。


4

T 0601-2-31

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 101  デュアルチャンバ機器のコネクタ端子の表示方法

記号

正端子

負端子

端子表示

心房チャネル

A

A

− Atrium(心房でもよい)

心室チャネル

V

V

− Ventricle(心室でもよい)

*cc)

  電池を入れる電池収納部の位置は,容易に識別可能とする。電池収納部には,(該当する場合)IEC

適合のバッテリ名称,電圧及び形式を 明りょうに見える ように 永久的に固定 して表示する。

電池収納部には,1 個又は複数の電池を入れる場合の向きを

明りょうに見える

ように

永久的

に固定

して表示する。

6.3

制御器及び計器の表示 

追加

*aa)

  定電流出力を使用するときには,ペーシング出力を選択する制御器又は関連する指示は,500  Ω±5  Ω

の抵抗負荷を通る電流をミリアンペア(mA)の単位で表示する。定電圧出力を使用する場合には,

ペーシング出力又は関連する指示は,500  Ω±5  Ωの抵抗負荷にかかる電圧をボルト(V)で表示する。

*bb)

  パルスレートを選択する制御器又は関連する指示は,1 分間当たりのパルス数を表示する。

*cc)

  ペーシングモードを選択する手段が設けてある場合は,選択したモードとともに,ISO 5841-1 の附

属書 に規定しているコードを用いてペーシングモードを機器に表示する。

6.8

附属文書

6.8.2

取扱説明書 

*a)

置換え  第 3 ダッシュの文章を次と置き換える。 

−  取扱説明書には,電磁障害又は他の障害発生源(例えば,病院内の通信伝送器,非常輸送車両,携

帯電話など)が原因で,パルス発生器の作動に変化を加える可能性,並びにパルス発生器に影響す

る治療用及び診断用

機器(例えば,体外式除細動器,ジアテルミー,TENS 装置,高周波手術器,

磁気共鳴画像診断装置など)に関連する警告を記載する。パルス発生器の作動が外部障害発生源に

影響を受けていることを認識する方法及びその障害を防止するために取らなければならない手順も

記述する。

*efgh)

置換え  電池を使用する機器 

取扱説明書に次を追加記載する。

−  電池の点検,交換の頻度及び交換手順の詳細に関する説明。

−  充電方法及び指定の充電式電池をこれ以上充電して使用すると安全性が損なわれるおそれがある状

態に達したことを判断する方法に関する説明。

−  一次電池を使用する

機器の場合には,機器を保管又は長期間使用しないときは電池を取り外すこと

に関する注意。

−  周囲温度 20  ℃で完全に充電した電池によって,

製造業者指定の条件で使用した場合に予想される作

動時間。

−  電池消耗指標が表示された後,製造業者指定の条件で使用した場合に予想される作動時間。


5

T 0601-2-31

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追加

aa)

補足取扱説明書 

取扱説明書に次の事項を追加記載する。

*1)

一般事項,使用可能な機能の説明及び使用可能な各ペーシングモードにおける心臓とパルス発生器

との相互作用の説明。

ペーシングモードの説明は,ISO 5841-1 の 3.1.4 参照。

*2)

コネクタの構成,コネクタの形状及び/又は寸法,並びに

非植込み形パルス発生器に対するペーシ

ングリード又は

患者ケーブルの接続手順。

*3)

特別な状態でないときは,負荷抵抗 500  Ω±5  Ω,周囲温度 20  ℃±2  ℃における次に示す(適用する

ときの公差を含めた)電気特性。

−  基本レート,エスケープレート,

最高トラッキングレート及び障害パルスレート(該当するとき)

−  パルス振幅

−  パルス幅

−  正極性及び負極性でのセンシング範囲(センシング機能を装備しているとき)

−  センシング増幅器のブランキングピリオド(センシング機能を装備しているとき)

参考  心房ペーシング後,心室内でセンシングを行わない時間,又は心室ペーシング後,心房内

でセンシングを行わない時間をブランキングピリオドという。

−  不応期(ペーシング及びセンシング)及び A-V インターバル(該当するとき)

−  感知される障害があるときの作動モード

−  1 分間当たりのパルス数で表すレートリミット(ランナウェイプロテクション)

*4)

電池消耗指標が作動したときの電気特性(適用している場合の公差を含め,負荷抵抗 500  Ω±5  Ω,

周囲温度 20  ℃±2  ℃で測定する)

。該当するときは,次を含む。

−  基本レート又は相当するパルス間隔

−  パルス振幅

−  パルス幅

−  感度(センシング機能を装備しているとき)

−  モード変更(適用可能なとき)

*5)

電源(商用)に接続する機器をペーシングリードシステムに接続しているときには,不注意で漏れ

電流が心臓に流れる危険性についての警告。

6)

適用しない。

*7)

ペーシングリードを

患者ケーブルに接続するときには,事前に必ず患者ケーブルを非植込み形パル

ス発生器に接続しておくことを促す警告。

*8)

留置リードを取り扱うときに,端子ピン又は露出金属に触れないことを指示する警告,及び導電性

のあるもの又は湿ったものに触れないことを指示する警告。

*9)

一次電池を使用する

機器のときには,現地で入手できるように使用する電池の識別を示す情報(該

当する場合。IEC 60086 に規定した適切な電池を例示する)

*10)

一次電池を使用するときには,製造業者指定の電池以外を使用した場合に考えられる危険性(例え

ば,電池電圧低下の注意表示が現れた後の電池の寿命が短い,新品の時点からの電池寿命の短縮,

機器の性能劣化及び,ペーシングの乱れ又は停止の可能性)に関する警告。

*11)

使用直前まで

機器を保管しておくときの環境条件。


6

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*12)

使用の有無に関係なく,

機器の機能不全又は事故が生じた後の保守管理の必要性と同様に,特に次

の点に関する定期的保守管理の必要性を

使用者に指示する説明。

−  再使用可能な

患者ケーブルの清掃及び消毒。

非植込み形パルス発生器の清掃及び消毒。

患者が動いたことで生じる可能性のある接続部の緩み,摩耗及び破損などのケーブル及び接続部

での不具合の有無の調査。

非植込み形パルス発生器と患者ケーブルについて,物理的損傷及び汚損,特に当該機器の電気絶

縁特性に有害な影響を及ぼす可能性のある損傷又は汚損の兆候の有無の調査。

−  制御器の作動を含めた機能の点検。特に落下などの理由で

機器に大きな衝撃を与えたとき。

−  該当するときの電池の充電。

−  該当するときの校正。

*13)

体外式パルス発生器,

患者ケーブル又は留置リードを取り扱う前に,例えば,ペーシングリードか

ら離れた部位で

患者に触れるなどして,必ず使用者と患者との間の静電位をなくする措置をとるこ

とを促す警告。

*14)

臨床適応時は,

患者の追加モニタリングを考慮する必要があることの注意。

*7.

電源入力  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 7.  を適用する。

適用しない。

第 章  環境条件

JIS T 0601-1

第 章を適用する。

第 章  電撃の危険に対する保護

次の変更を加えて,JIS T 0601-1 

第 章を適用する。

14.

分類に関係する要求事項  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 14.  を適用する。

*14.1

クラスⅠ機器  適用しない。

*14.2

クラスⅡ機器  適用しない。

*14.4

クラスⅠ機器及びクラスⅡ機器  適用しない。

*14.5

内部電源機器

置換え

機器が内部電源機器として認められるのは,内部電源に対する外部接続部がまったく設けられないか,

又は

内部電源(例えば,充電形電池)を機器の内部電源を含まない他の部分から物理的及び電気的に隔離

した後に限り,

内部電源に対する電気接続が可能となる場合に限る。

19.

連続漏れ電流及び患者測定電流  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 19.  を適用する。


7

T 0601-2-31

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19.1

一般的要求事項

*b)

追加

可能なときには,

漏れ電流試験の実施中は,非植込み形パルス発生器の出力を停止させる。出力が継続

したままである場合には,出力相当分は

漏れ電流として考慮しない。

19.3

許容値

*a)

追加

正常状態における患者測定電流の許容値は,0.001 mA とする。単一故障状態における患者測定電流の許

容値は,0.005 mA とする。

19.4

試験

*j)

患者測定電流の測定

4)

置換え

患者測定電流を測定するときには,機器は,JIS T 0601-1 の図 27 に示すように,入力抵抗 100 kΩの直

流測定用器具に接続する。

機器は,患者測定電流の測定を行う前に最低 5 分間測定用器具に接続しておく。

ペーシングパルスの直前に測定したときは,測定値は

正常状態では 100 mV,単一故障状態では 500 mV を

それぞれ超えてはならない。

第 章  機械的危険に対する保護

JIS T 0601-1

第 章を適用する。

第     不要又は過度の放射による危険に対する保護

次の変更を加えて,JIS T 0601-1 

第 章を適用する。

*36.

電磁両立性  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 36.  を要求事項としてもよい。

*36.202.1

静電気放電 

置換え

機器の構造は,繰り返し静電気放電を受け,安全性が損なわれる場合に備えて,十分な保護措置を確保

しなければならない。

次の試験によって,適合性を確認する。

機器は IEC 60801-2 の 7.  の規定に従って設置する。気中放電方法に関する IEC 60801-2 の 8.  に規定し

た手順に従い,

使用者による保守管理を含み,通常使用時に触れる可能性のある機器の部位及び面に,表

102

に規定した試験電圧を加える。

試験は,単一放電によって実施する。試験電圧は,レベル 1 から段階的に変化させ,各レベルで,各試

験部位に

表 102 に規定した単一放電の回数だけ加える。放電と放電の間隔は十分な時間をあけ,機器に不


8

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具合が発生していないかどうか確認する。製造業者の公表仕様に ESD(静電気放電)イミュニティの上限

が指定されていない限り,最終レベルを超えてはならない。

いずれのレベルでも,

機器(構成品)又はソフトウェアの損傷に起因する回復不可能な機能の恒久的低

下又は消失が生じてはならず,またデータの消失が認められてもならない。

表 102 に規定したいずれのレ

ベルでも,

装着部に不適切なエネルギー伝達が生じてはならない。

レベル 1 又は 2 では,

機器は通常性能を仕様限度範囲内に維持する。

レベル 3 又は 4 では,

操作者の介入を必要とするような一時的劣化,機能又は性能の低下は容認される。

機器に対する静電気放電の影響の評価に関する一般基準は,IEC 60801-2 の 9.  を参照。

 102  静電気放電要求事項

レベル  (

1

)

試験電圧 kV

単一放電回数

1 2 10

2 4 10

3 8 2

4 15 2

注(

1

)

気中放電のレベルは,

IEC 60801-2

表 1.b に規定されている。

第     可燃性麻酔剤の点火の危険に対する保護

JIS T 0601-1

第 章を適用する。

第     過度の温度及びその他の危害に対する保護

次の変更を加えて,JIS T 0601-1 

第 章を適用する。

44.

あふれ,こぼれ,漏れ,湿気,液体の浸入,清掃,滅菌,消毒及び適合性  次の変更を加えて,JIS T 

0601-1

の 44.  を適用する。

*44.2

あふれ  適用しない。 

*44.3

こぼれ  適用しない。

*44.4

漏れ  適用しない。

*44.6

液体の浸入

置換え

機器は,液体こぼれ(偶発的湿潤)が発生した場合に,安全性が損なわれないような構造とする。

次の試験によって適合性を確認する。

機器は,患者ケーブルを接続して通常使用での最も好ましくない位置に設置する。機器に高さ 30 cm か

ら 9 g/l の生理食塩液 400 ml をかける。400 ml 全部を 5 秒間未満で機器にかける。この後,

機器が 5 mm を

超える深さの生理食塩液に浸らないようにして,そのまま 30 秒間放置した後,直ちに

機器を生理食塩液か

ら取り出して

機器本体に付着した目に見える水分を取り除く。液体こぼれの試験の実施中及び実施後に,

機器は仕様の範囲内で作動しなければならない。


9

T 0601-2-31

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24

時間以上放置した後に,

機器は仕様の範囲内で作動しなければならない。機器を分解して点検したと

き,液体が電子部品収納部に浸入した兆候が認められてはならない。

49.

電源の遮断  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 49.  を適用する。

追加

*49.101

機器には,電池消耗表示器を装備し,電池の交換時期を明らかに表示する。

適合性は,調査及び機能試験によって確認する。

第     作動データの正確度及び危険な出力に対する保護

次の変更を加えて,JIS T 0601-1 

第 章を適用する。

50.

作動データの正確度  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 50.を適用する。

50.2

制御器及び計測器の正確さ 

追加

*aa)

表 103 に示す機器パラメータの測定値は,完全に充電した電池と非植込み形パルス発生器とを用いて

周囲温度 20  ℃±2  ℃で,毎分 60 及び 120 のパルスレート設定で測定した場合,製造業者の公表許容

範囲内に入っていなければならない。毎分 60 及び/又は 120 のパルスレート設定が

機器のパルスレー

ト設定値の範囲内にないとき,可能な最低又は最高の設定値で試験を実施する。

次の規定及び ISO 5841-1 

附属書 に規定されている適切な方法,又は表 103 に規定した精度と同

等以上の精度を証明することができる他の方法によって適合性を確認する。疑義が生じたときは,次

の事項及び ISO 5841-1 

附属書 に規定されている試験を適用する。


10

T 0601-2-31

:2005

 103  測定精度

測定

精度  %

パルス振幅

±5

パルス幅

±5

パルスレート

±0.5

感度(該当する場合)

±10

エスケープインターバル

±10

不応期(該当する場合)

±10

A-V

インターバル(該当する場合)

±5

最高トラッキングレート(該当する場合)

±0.5

最高トラッキングレートの測定は,次の試験によって行う。

完全に充電した電池及び

非植込み形パルス発生器を用いて,周囲温度 20  ℃±2  ℃で両室でのセンシン

グ及びペーシングによる A-V シーケンシャルモード(DDD)にて,装置を

図 101 に従って接続する。試験

機器は,ISO 5841-1 の附属書 B.1 に規定した。信号発生器を調整して,試験信号の振幅が ISO 5841-1 

B.3.2

から求められる約 2 epos 又は 2 eneg になるようにする。

信号発生器のトリガから試験信号の出力までの遅れを とする。信号発生器を調整して,が PVARP

よりわずかに長くなるようにする。ゆっくりと を長くしていき,延長した遅れがオシロスコープのチャ

ネル 2 で観測したとき,心室ペーシングパルスがちょうどトラッキングを開始するようにする。チャネル

2

の連続したペーシングパルスの間の間隔をミリ秒の単位で測定する。これを間隔 T とする。オシロスコ

ープを調整して

図 102 に示す表示が得られるようにする。

最高トラッキングレート(ppm)=60 000/T(ms)

参考 ppm は,パルスレートの単位で,1 分間当たりのパルス数を示し,min

-1

で示してもよい。

*bb)

電圧又は電流の形で表すパルス振幅は,電池を完全に充電した

非植込み形パルス発生器で周囲温度

20

℃±2  ℃,毎分の 70 パルスレートで負荷抵抗値を 200  Ωから 1 000  Ωまで変化させたとき,製造

業者の公表仕様に記載している許容差を超えてはならない。

200

Ω±2  Ω及び 1 000 Ω±10  Ωの負荷抵抗値で ISO 5841-1 の B.2 に規定された基本試験方法に

よって適合性を確認し,パルス振幅の変化と抵抗値との関係を求める。

51.

危険な出力に対する保護  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 51.  を適用する。

*51.1

安全限界からの意図的な超過 

置換え

機器が,レートリミット(51.104 参照)より高いパルスレートを設定できる機能を備えているときには,

その機能の使用時は,ランナウェイレートプロテクション措置を解除してもよい。ランナウェイプロテク

ション措置を解除する手段は,

使用者が連続的にその機構を作動させる必要がある。

調査及び機能試験によって適合性を確認する。

追加

51.101

電気的危険性に対する保護 

*a)

除細動器に対する保護  機器は,ISO 5841-1 の 6.1 に適合しなければならない。


11

T 0601-2-31

:2005

*b)

高周波手術器に対する保護  検討中

*c)

超短波治療器に対する保護  検討中

*51.102

制御器の不測の変化及びいたずらに対する保護  慎重に処理しないときには,設定値は変更でき

ないような措置を講じる。適合性は,調査によって確認する。

*51.103

電池電圧低下状態に対する保護  電池消耗表示器が作動したときには,6.8.2  aa4)  に規定した機

器パラメータの測定値は,非植込み形パルス発生器を負荷抵抗 500  Ω±5  Ω,周囲温度 20  ℃±2  ℃で測

定したときの,製造業者の公表許容範囲内に入っていなければならない。 

ISO 5841-1

附属書 に規定されている適切な方法,又は表 103 に示した精度と同等以上の正確さを証

明することができる他の方法によって適合性を確認する。疑義が生じたときには,ISO 5841-1 

附属書 B

に規定されている試験を適用する。

*51.104

レートリミット(ランナウェイプロテクション) 単一故障状態が発生したときは,パルスレート

を製造業者の指定値以下に制限する手段を備えなければならない。 

適合性は,

非植込み形パルス発生器の製造業者が制定し,製造業者のデータの調査によって確認する。

適合性は,調査及び機能試験によって確認する。

*51.105

障害対策  電気的障害が感知されたときには,非植込み形パルス発生器は,製造業者が指定する

ペーシングモード及びパルスレートで障害が解消するまで作動しなければならない。製造業者は,適合性

の確認に使用する試験方法を文書化しなければならない。 

*51.106

最高トラッキングレート  心房同期心室ペーシングを備えたデュアルチャンバモードには,感知

した心房活動に応答して心室のペーシングを行わせる制限を設定するための手段を備えなければならない。

機器は,心房活動が最高トラッキングレートを超えたことを感知したときに,製造業者が指定した方法で

応答しなければならない。 

適合性は,調査及び機能試験によって確認する。

第     異常作動及び故障状態:環境試験

JIS T 0601-1

第 章を適用する。

第 10     構造上の要求事項

次の変更を加えて,JIS T 0601-1 

第 10 章を適用する。

56.

部品及び組立一般  次の変更を加えて,JIS T 0601-1 の 56.  を適用する。

追加

*56.101

出力表示器  機器には,機器からペーシングパルスを出力していることを知らせる手段を備えな

ければならない。 

適合性は,調査及び機能試験によって確認する。


12

T 0601-2-31

:2005

*56.102

入力表示器  センシング機能を備えているときは,機器には,機器が心臓の電気的活動に付随す

る信号と類似の信号を検出していることを明らかにする手段,並びに選択したペーシングモード及び他の

作動特性に関して,製造業者の指定に従ってその信号に反応していることを明らかにする手段を備えなけ

ればならない。 

適合性は,調査及び機能試験によって確認する。

P3

P3

心房チャネル

心室チャネル

トリガ可能

信号発生器

トリガ入力

チャネル1      トリガ入力       チャネル2

オシロスコープ

500Ω±5Ω

500Ω±5Ω

JIS T 0601-1 

図 10〜図 27 の記号の説明を参照

 101  最高トラッキングレート測定回路[50.2 aa)参照]


13

T 0601-2-31

:2005

最大トラッキングインターバル

チャネル2

チャネル1

A−V間隔

試験信号

PVARP

心室ペーシング

パルス

心室イベント後

心房不応期

心室不応期

D>PVARP

最高トラッキングレート(ppm)=60 000/T(ms)

 102  最高トラッキングレート測定時の初期オシロスコープ表示[50.2 aa)参照]


14

T 0601-2-31

:2005

附属書 L(規定)引用規格:この規格で引用した規格

次に挙げる規格は,この規格に引用されることによって,この規定の一部を構成する。これらの引用規

格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格規定を構成するもの

であって,その後の改訂版・追補には適用しない。

次の規格及び JIS T 0601-1 

附属書 を適用する。

追加

JIS T 0601-1:1999

  医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項

備考  IEC 60601-1:1988  Medical electrical equipment−Part 1:General requirements for safety 及び

Amendment 1

(1991)がこの規格と対応している。

JIS T 0601-1-2:2000

  医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項−第 2 節:副通則−電磁両

立性−要求事項及び試験

備考  IEC 60601-1-2:1993  Medical electrical equipment−Part 1:General requirements for safety,2.

Collateral standard

:Electromagnetic compatibility−Requirements and tests が,この規格と対応し

ている。

IEC 60086-1:1993

  Primary batteries−Part 1:General

IEC 60086-2:1993

  Primary batteries−Part 2:Specification sheets

IEC 61000-4-2:1991

  Electromagnetic compatibility for industrial − process measurement and control

equipment

−Part 2:Electrostatic discharge requirements

ISO 5841-1:1989

  Cardiac pacemakers−Part 1:Implantable pacemakers


15

T 0601-2-31

:2005

附属書 AA(参考)概説

  この

附属書は,JIS T 0601-1 を検討,適用及び改訂する有用な背景としてこの規格を作成した理由を説

明するもので,規定の一部ではない。

ここで説明する理論的根拠は,この規格の主題に精通しているが,規格制定に参加していない人々を対

象にしている。このような人々に要求事項の理由がおのずと明らかであると考えられる場合には,理由は

示さない。主要な要求事項の理由を把握しておくことは,規格を適切に適用するために不可欠であると考

える。また,臨床関連の手順や技術の変化に伴い,従来からの問題点を把握しておくことによって,この

規格を変更することも可能になる。

ハザード分析

体外式ペースメーカは,他の医学的処置に関連した一時的ペーシングと同様に,症候性又は急性徐脈患

者の治療に使用する。患者の安全は,適用する医学的処置,機器の機能に対する臨床医の理解度,及び機

器の機能に左右される。この規格で規定する要求事項は,容認できるレベルの安全を確保できるものと考

える。

安全を確保する基準として,

体外式ペースメーカに起因する患者の安全に対するリスクの詳しい調査を

実施した。この分析の結果を

表 AA.1 にまとめて示す。この文書を見やすくするため,対応処置を記載し

たこの規格の参照条項を表に追加した。

臨床経験に基づく現時点における結論は,記載のハザードの中でペーシング不能が発生する可能性が最

も高いということである。


16

T 0601-2-31

:2005

 AA.1  体外式ペースメーカのハザード一覧

危険性

原因

対応処置

この規格の関連条項

ペーシング不能

電池電圧の低下

電池表示器

49.101 

接続試験

6.8.2 aa) 12) 

閾値の上昇

臨床手技

該当なし

臨床手技

該当なし

電池と消耗に関するパラメー
タの安定性

6.8.2 aa) 4)

及び 51.103

オーバーセンシング

入力表示器

56.102 

除細動器に対する保護

51.101 a) 

高周波手術器に対する保護

51.101 b) 

超短波治療器に対する保護

51.101 c) 

こぼれに対する保護

44.3 

静電放電

36. 

保守

6.8.2 aa) 12) 

故障

出力表示器

56.101 

保護措置

51.102 

調整不良

スイッチ類の表示

6.3 

接続不良

電極の位置ずれ

臨床手技

該当なし

故障

レートリミット(ランナウェ
イプロテクション)

51.104 a) 

不正操作

保護措置

51.102 

一時的高レート

保護措置

51.104 b) 

高レート

心房頻拍形不整脈

最高トラッキングレート

51.106 

臨床手技

該当なし

電池消耗時のパラメータの安
定性

6.8.2 aa) 4) 

及び 51.103

アンダーセンシング

入力表示器

56.102 

電池電圧の低下

電池表示器

49.101 

保護措置

51.102 

調整不良

スイッチ類の表示

6.3 

ノイズリバージョン

6.8.2 aa) 3) 

及び 51.105

ノイズ

警告

6.8.2 a) 

第 ダッシュ 

接続不良(リード又は電池)

接続試験

6.8.2 aa) 12) 

故障

ペーシング不能を参照

望ましくない刺激

マイクロホニック雑音

ノイズリバージョン

6.8.2 aa) 3) 

及び 51.105

漏れ電流 

警告

5.

14.  及び 19.

警告

6.8.2 a) 

第 ダッシュ

6.8.2 aa) 5)

 6.8.2 aa) 7)

及び 6.8.2 aa) 8)

ミクロ/マクロショック

入力電流

保護措置

56.3 aa) 

組織/電極の損傷

患者測定電流 

患者測定電流 19.3 


17

T 0601-2-31

:2005

各箇条の概説及び解説

1.1

適用範囲は,次の理由で制限した。

機器は,患者と共に移動することを想定しているため,電源は内部電源に限定する。電源(商用)

に接続して使用可能な

機器は,本質的に安全性の問題が増すと考えられる。

−  この規格では,

内部電源の充電目的であっても,直接的又は間接的であるかを問わず電源(商用)

に接続可能な

機器は対象外としている。これらの機器を対象に含めるには,該当機器に二つの分類

を設けて,追加の安全に関する要求事項を規定する必要がある。充電式電池は,充電作業時にペー

シングを停止させたとしても,現場では充電できないようにする。すなわち,充電に際しては,電

池は物理的及び電気的に

機器から分離する。

−  複数の機能の内の一つとしてペーシングを行う

機器は,機器の全体的機能に適切な独立した処理が

必要である。

−  経胸くう(腔)及び経食道ペーシング

機器は,出力エネルギーが高く,直接的な心臓ペーシングに

は不適当と思われる。

−  抗頻脈

機器は,機器機能に適切な独立した処理を必要とする臨床上の安全に関する問題点がある。

患者ケーブルは,適用範囲の対象に含めたが,手術時に患者に対してペーシングを行う際にパル

ス発生器が届くように延ばしたり,術後及び長期のペーシング期間の手段として一般的に使用され

るためである。

ペーシングリードは,適用範囲の対象外であり,各形式及び心臓までのアプローチ(経静脈,心

外膜)に適切な独立した処理を必要とするためである。

2.

植込み形ペースメーカ及び

体外式ペースメーカ両方に適用可能な用語について,世界各国での一般的

な使用を促進する目的で ISO 5841-1 の 3.  による定義を引用した。

ISO 5841-1

の 3.  の定義を補足するために,必要に応じて新たに定義を追加した。

これらの追加定義は,業界の一般的用法に基づいている。この定義は,できる限り植込み形

機器の用語

から引用した。

5.2

B

形装着部及び BF 形装着部は削除したが,心臓への直接使用には CF 形装着部だけが適切であるた

めである。

6.1

aabb)

体外式ペースメーカは,緊急時に必要になることが多いため,取扱説明書を参照することなく,ペーシ

ングリードに正しく接続を行うための情報が得られなければならない。出力端子に対する接続が不適切(例

えば,心房チャネルを心室リードに接続するなど)であると,不適切で安全を損なうような作動(高レー

ト刺激や不適切な感知など)をする可能性がある。極性と房室の両方を明りょうに表示する必要がある。

また,色を用いて違いを識別させるときは,

(白と青など)色知覚と無関係に識別可能な色を使用する。

cc)

一次電池の充電又は交換の目的で電池を取り外すために電池収納部を開閉することは,一般的な保守項

目である。

機器の機能低下が長時間に及んだり機器が損傷することなどを防止するため,電池の正しい形


18

T 0601-2-31

:2005

式及び収納部内での適切な方向が迅速に識別できるようにする。電池を正負逆に接続しても正しく作動す

機器であっても,使用者の混乱を避けるため,電池の向きを指定する。

6.3

aa) bb)

機器の安全な作動には,出力レベルとパルスレートの正確な設定が不可欠である。

cc)

パルス発生器の主な用途を明りょうに伝えるために 3 文字コードを採用した。これは,北米ペーシング

電気生理学協会(North American Society for Pacing and Electrophysiology)及び英国ペーシング電気生理学グ

ループ(British Pacing and Electrophysiology Group)とが開発したコードに適合したものである。世界各国

での一般的使用を促進するため,植込み形パルス発生器に関する ISO 5841-1 

附属書 に記載のものと同

じコードを使用する。

6.8.2

a)

電気的障害発生源が

機器の作動に影響を及ぼすことがある。過剰レベルの障害が存在すると,機器は次

のような状態に陥る可能性がある。

−  ペーシング不全

−  非同期ペーシングへのリバージョン,又は

−  障害を心臓の活動として誤って追従する。

e) f) g) h)

充電式電池は,無制限に充電することはできない。最終的には,電池の化学的組成と充電,放電のパタ

ーンによって異なるが,充電式電池は製造業者が指定する有効寿命に一致するだけの十分なエネルギーを

保持できなくなる。したがって,充電式電池の使用を指定する製造業者は,電池が指定有効寿命に適した

十分なエネルギーを保持できなくなる時期を,

使用者が判断できるような説明書を用意する。

適切に製造された一次電池は,指定の保存及び使用状態では液漏れを生じることはない。しかし,電池

はすべて,条件によっては液漏れを生じる傾向がある。電池が液漏れを生じることによって

機器が損傷す

る可能性がある。使用基準では,

機器を保管しておくか,又は長期間使用しないときは,電池を取り外し

ておくことを指示しておく。

有効寿命の想定は,完全充電の電池を基準にしている。一次電池は,電池製造業者や販売業者の指定に

従って新品で完全に充電したものとする。充電式電池は,適切に完全充電の状態にしておく。

電池電圧の低下状態が発生した後の

機器の作動時間を把握することは,電池電圧低下表示器が作動した

場合の電池の交換/充電の緊急性を確認するために重要である。

aa)

  1)

患者に使用する体外式ペースメーカの選択に当たり,パルス発生器の機能及び特性についての知識が必

要である。同様に,機能及び特性の選択についても知識が要求される。すなわち,これらは,一般的な測

定技術又は一般的な条件の基礎である。

  2)

非植込み形パルス発生器及び患者ケーブルは,リードコネクタピンの構成が異なるさまざまなリードと

接続する。コネクタアセンブリは,適切な電気的及び機械的接続を確保できるだけ十分な力でリードコネ

クタピンを固定する。

機器の設計限界を把握することによって,接続不良に起因する機器の損傷及びペー


19

T 0601-2-31

:2005

シング不能を防止しやすくなる。

  3)

電気特性は,植込み形パルス発生器に関する ISO 5841-1 の 4.4.1.2 に制定されている概要に従う。500  Ω

の試験負荷は,植込み形パルス発生器に関する ISO 5841-1 

附属書 B.1.1 に規定された値と同じである。

ISO 5841-1

では誤差±5  %の負荷抵抗器を規定しているにもかかわらず,試験負荷に誤差±1  %(±5  Ω)

の負荷抵抗器を選択したのは,誤差±1  %(±5  Ω)の負荷抵抗器が極めて安価で一般的に入手可能な場

合には,誤差±5  %の負荷抵抗器を選ぶ特別の理由はないと考えられるからである。

表 103 に規定のパル

ス振幅の測定正確度の要求事項が±5  %であれば,1  %の試験負荷も適切である。ISO 5841-1 

附属書 B

には, 高性能の計装設備がない場合でも,ペースメーカ機能の全体的評価が可能であること 以外に,許

容範囲が誤差±5  %でなければならない理由がまったく示されていない。

周囲温度 20  ℃±2  ℃は,

JIS T 0601-1

の 10.2.1 に規定されている範囲内の一般的な周囲操作温度である。

周囲温度 20  ℃±2  ℃の操作温度は,IEC 60086-1 の 8.3 の規定に従って実施する一次電池放電試験の温度

でもある。

4)

要求事項は,植込み形パルス発生器に関する ISO 5841-1 の 4.4.1.2 i)  から引用した。

5)

植込んだペーシングリード又は

患者ケーブルを接続したペーシングリードは,心筋層に至る直接的の低

抵抗電流経路になる。

電源(商用)に接続する機器をリードシステムに接続すると,交流電流の漏れに起

因する細動の危険が大幅に増大する。

患者の近くで使用する電源(商用)に接続する機器には特に注意し

て適切に接地する。

  7) 8)

非植え込み形パルス発生器の患者ケーブル及び留置リードの端子に電流を流し,不注意に発生する電気

インパルスから

患者を保護する必要がある。機器を適切に取り扱うことで不注意による衝撃の機会を低減

し,かつ,さまざまな種類のペーシングリード(例えば,テンポラリリード,パーマネントリード又はハ

ートワイヤ)を,

患者ケーブル又は直接非植込み形パルス発生器に接続するという臨床上必要な柔軟性が

確保されることになる。

9)

一次電池は,特に 9 V アルカリタイプにはさまざまな種類がある。製造業者の指定とは異なる化学特性

の電池を使用したときには,次のような結果を生じる可能性がある。すなわち,1)  電池の電圧低下が指示

されてからの電池寿命が短い。2)

非植込み形パルス発生器の性能が低下する。及び/又は,3)  電池の全体

的寿命が短縮する。IEC 60086-1 では,9 V 電池の承認された寸法を示しているが,寸法及び端子形状がさ

まざまに異なる多数の電池が市販されている。製造業者の指定以外の電池を使用した場合,ペーシングが

不規則になったり,停止する可能性がある。

10)

電池の電圧低下が表示された後の性能の予測,中でも作動時間の予測は,電池の消耗特性を把握してい

るかどうかにかかっている。物理的寸法の異なる電池は,接触不良又は間欠的接触を起こす可能性がある。

11)

使用直前の環境状態が悪いと,

機器の作動の高い信頼性が損なわれる可能性がある。

12)

機器が高信頼性で機能することは患者の安全に不可欠であり,規定した保守項目は重要と考えられる。


20

T 0601-2-31

:2005

13)

ペーシングの合併症としてはまれと思われるが,体外式パルス発生器又はそのパルス発生器に接続する

患者ケーブルの静電気放電によって,心臓の脱分極を起こすだけの微小ながら十分なエネルギーが患者に

伝わる可能性が理論的には存在する。このような状況が,心臓周期の受攻期に電気的に不安定な

患者に生

じた場合には,生命にかかわる不整脈が誘発される可能性がある。このような事象に触れた文献又は症例

報告書は知られていない。そこで注意しなければならないのは,一つの又は複数の非同期パルスが

患者に

伝達される可能性があり(例えば,ノイズリバージョン,センシングロス)

,そのすべてについて表示の中

で注意を促しておくことが望ましく,また,注意を促すことが一般的である。このような起こりえる事態

で突然不整脈に陥ったことはきわめてまれだが,医学文献は,重篤な結果の可能性についての疑問には言

及していない。したがって,

機器を扱う前に,立ち会う健康管理専門家又は患者に蓄積されている静電気

を放電させるように注意を促す警告を与えるべきである。

14)

患者に伝達されるパルスエネルギーは,体外式パルス発生器の設定値の結果であり,患者及びリードに

よる動的環境とパルス発生器の出力との相互作用である。一時的に

患者及びリードシステムから生じる負

荷抵抗値が数百オームの範囲にわたって急激に変動することがある。このような変動の多くは臨床上大き

な問題になることはないが,事前設定レベルのエネルギー出力からの

大幅な

逸脱が発生することがあ

る。事前設定レベルのエネルギー出力からの

大幅な

逸脱を構成する要因は,

患者によって多くが関係

しているので,事前設定で安全マージンを考慮されていなかったり,

機器でのモニター可能限界が選択さ

れたまますべての

患者に適応するとすれば,一部の患者は無防備状態にさらされることになる。出力回路

は,  出力で心臓が捕そく(捉)が得られたことを容易に判断することはできない。

7.

7. 

の要求事項は,この規格で対象とする

体外式ペースメーカには適用せず,電源(商用)に接続する

機器に適用する。この規格で対象とする機器では,充電式電池は完全に機器から切り離した後に充電しな

ければならない。

14.1

クラスⅠ機器の引用は削除したが,この規格で対象とする機器は,内部電源による電源供給に限る

ためである。

機器自体を電源(商用)に接続することはできない。

14.2  14.1

に関する解説参照。

14.4  14.1

に関する解説参照。

14.5

機器が内部電源機器として分類されるのは,内部電源に外部から接続できない場合,又は内部電源

(例えば,充電式電池)を

機器の他の部分から電気的に分離した後に限って電気的接続が可能になる場合

に限定する。物理的及び/又は電気的に

機器に接続したままで充電可能な充電式電池を備えた機器は,内

部電源機器とは認めない。この要求事項に適合しない機器は,内部電源をもつクラスⅠ機器又はクラスⅡ

機器に分類される。

19.1

b)

適用部品と他の部品との間の静電結合によって,一定量の

漏れ電流は避けられない。ペーシングパルス

発生時,

漏れ電流が多くなることがあるが,意図されたペーシングパルス電流よりはるかに少なく,患者

使用者の安全性を損なうことはない。


21

T 0601-2-31

:2005

a)

体内の電極間の直流成分が,組織と電極に損傷を与える可能性がある。ISO 5841-1 の 6.2.1 では,いずれ

の電流経路でも 0.1 µA を超える

患者測定電流が検出されてはならないと規定している。非植込み形パルス

発生器の使用期間は比較的短いため,患者測定電流は正常状態(0.001 mA)及び単一故障状態(0.005 mA)

のいずれの状態でも,これよりも高いレベルでも差しつかえない。

19.4

j)

4)

試験手順は,ISO 5841-1 の 6.2.2.1 から直接引用した。

非植え込み形パルス発生器は,面積(時間の経過に伴う振幅の積分)がペーシングパルスと等しく極性

が反対の

リチャージパルス を出力することがある。リチャージパルスの目的は,組織とリードを通る

電流成分をゼロにすることである。リチャージパルスは,ペーシングパルスに直ちに続くため,

患者測定

電流(直流オフセット)の測定をペーシングパルスの開始直前に行い,リチャージパルスが測定に含まれ

ないようにする。

36.

体外式ペースメーカは,湿度が管理された部屋,静電気処理カーペットなど,静電気放電の確率と程

度を低減する特別の予防措置を講じていない環境で使用される。このような状態では,

機器は,保護措置

を講じていない

機器に損傷を与えるかもしれない静電気放電を受ける可能性がある。レベル 4 を最大試験

レベルに選択した理由は,

操作者が事実上帯電する可能性のある静電圧値が 15 kV であるからである。IEC 

61000-4-2

図 A.1 参照。

参考  IEC 61000-4-2 の代わりに JIS C 61000-4-2 がある。

この試験の目的は,エネルギーがエンクロージャを通って回路に伝導しないように,絶縁抵抗が十分高

く,かつ,静電容量が十分低いため,不適切なエネルギーが

装着部に伝わらないことを証明するものであ

る。

気中放電方法を選択した理由は,

使用者がタイル又はカーペット敷きの床を歩きながら機器に近づいた

ときに,エアギャップを介して

機器に放電する状況があるためである。

マイクロプロセッサ及びソフトウェアを用いている場合は,特に

機器内のタイミングシーケンスに対す

る ESD の影響を調査するために多数の放電が必要である。IEC 61000-4-2 の 8.3.1 では,10 回以上の単一

放電を規定している。この回数は,

機器が複雑になるほど増す必要がある。電圧値が高い場合には,高い

電圧が発生する確率は,低い電圧値のそれより低いので,環境をシミュレーションするよりも試験のため

に誤作動が誘発される懸念から,放電回数は最低 2 回にまで減じた。また,高電圧が発生する確率は低い

ことから,レベル 3 及び 4 での

操作者の介入又はシステムのリセットを必要とする一時的な機能低下は認

めた。

ISO 5841-1

の対象となる機器の規格制定を目指して,

電磁両立性の別の分野で別途作業が進行中である。

この電磁両立性に関する規格では,医用

機器全般に対する要求事項よりも厳しい要求事項を制定するもの

と思われる。採択されたときには,該当する電磁両立性に関する要求事項をこの規格に追加する。

44.2

この要求事項は,この規格の適用範囲内の

機器には適用しない,タンクを備えた機器又は液体貯蔵

室を備えた

機器を対象としている。

44.3

この要求事項は,この規格の適用範囲内の

機器には適用しない,通常使用液体の使用を必要とする


22

T 0601-2-31

:2005

機器を対象にしている。

44.4

この要求事項は,この規格の適用範囲内の

機器には適用しない,単一故障状態で液体が漏えいする

可能性のある

機器を対象にしている。

44.6

機器は,作動中,不注意で機器にかかる可能性のある液体,例えば,食物や飲料,尿,経静脈液な

どに接近した場所で使用される可能性が高い。

機器は,医療専門室の外部に持ち出して使用される可能性

もある。したがって,こぼれ及び雨に対する保護もある程度必要であると考えた。

濃度 9 g/l の生理食塩液を,体液を代用する最悪条件の溶液として選択した。400 ml を選択したのは,大

形のコップ又はコーヒーカップに充満した場合を模擬するためである。30 秒経過後に

機器を拭うのは,液

体をこぼしたときの一般的な対応である。

機器は,こぼれの最中も以後も継続して正常に作動しなければ

ならない。

生理食塩液が電子部品収納部に浸入した場合は,好ましくない伝導経路や樹脂状結晶が回路内に生じる

可能性がある。溶液に接してから試験までの時間を 24 時間に設定したが,十分な時間を空けることで,生

理食塩液が電子部品収納部に浸入した場合に電子部品収納部内で拡散及び/又は樹脂状結晶を生成するか

らである。

そこで,液体浸入保護の保全性を二つの方法で評価する。すなわち,1)  こぼれによって

機器の機能が損

なわれる(伝導系路の短絡)ことがないことを,2)  電子部品収納部内を生理食塩液が浸透して拡散した後,

目視で,電子部品に液体及び樹脂状結晶,汚損などがまったく残っていないことを確認する。

49.101

電池消耗表示器に対する要求事項は,不測の電池消耗を避けるために不可欠である。

50.2

aa)

表 103 に示すパラメータの測定正確度は,植込み形ペースメーカに適切であると認められている ISO 

5841-1

附属書 から引用したデータに基づいている。附属書 の試験方法の目的は,高性能の計装設備

機器がない場合にも,非植込み形パルス発生器の全体的評価を可能にすることである。表 103 に示す確

度は,各種試験方法を ISO 5841-1 

附属書 に規定された方法と比較する場合の 最悪の条件

を示す。

主旨は,完全充電電池を 20  ℃で用いて ISO 5841-1 

附属書 に規定されているものと同様の試験に基

づいて適合性を測定することである。機器の試験に周囲温度 20  ℃±2  ℃の温度を選択した理由は,次の

とおりである。1)  医療目的で管理された空間の一般的な周囲温度である。2)  IEC 60086-1 の 8.3 に従って

規定された一次電池の放電特性を確認する温度である。さまざまなレート設定値におけるパラメータの安

定性を試験するため,毎分 60 及び 120 のパルスレートを一般的として選択した。

最高トラッキングレートの試験方法は,ISO 5841-1 の附属書 に規定された試験方法を採用するととも

に,そこに規定された試験

機器及び用語を使用した。

bb)

過去の経験から,一時的ペーシングでは心筋組織も含めたリードインピーダンスは,200〜1 000  Ωであ

ることが明らかになっており,500  Ωが一般的な値である。負荷の変化に伴う変動をパルスレート一定で

測定する。毎分 70 のパルスレートをすべての

機器で一般的に使用可能なレートとして選択した。

51.1

特別の状態で高ペーシングレートを使用する場合は,不測の高レート刺激及び不注意によって

機器

のランナウェイレートプロテクション機能を使用停止のまま放置することを防止するために,格別の注意

が払われなければならない。


23

T 0601-2-31

:2005

51.101

a)

体外式ペースメーカに接続した患者に除細動が必要になることがある。機器を取り外す時間がなく,か

つ,除細動に続いて機器を作動させる必要が生じる可能性もあるため,除細動パルスで

機器を損傷させな

いことが重要である。

試験方法と適合性測定は,植込み形ペースメーカの場合と同じである。

b) c)

電磁両立性と同じように,高周波手術器,超短波治療器に対する保護,及び現在の臨床上の安全に関す

る問題点を考慮することは,もとより望ましいが,これらを取り上げるとすればこの規格の発行を大幅に

遅らせることになる。

51.102

スイッチ類の調整不良は危険を招く結果になるため,適切な手順を講じて可能性を低減すること

が望ましい。

51.103  6.8.2 aa3) 

に示されたパラメータの公称許容範囲は,完全充電から電池電圧低下状態の検出まで,

電源の有効寿命全体に及ぶことが意図されている。

機器の作動が変わるか,又は段落 3)  に示した許容範

囲を維持できない場合には,新たな作動を段落 4)  のパラメータによって示し,かつ,項目 3)  に記載した

電気パラメータ特性に使用するものと同じ試験方法を用いて試験する。

51.104

この機能は,

単一故障状態が発生した場合に,不測の危険な高レート刺激の発生を防止するため

に必要である。

51.105

通常使用時の

機器は,強い連続的な電気的障害が存在する場所でも使用することがある。このよ

うな状態で最大限の安全性を確保するためには,

機器は,障害がなくなるまで製造業者指定の作動を維持

しなければならない。

51.106

心房同期心室ペーシングを備えたデュアルチャンバモードが

機器で利用できる場合には,患者の

血行動態の低下を防止するために,感知した心房活動に応答した心室のペーシングレートに制限を設ける

必要がある。この値は,

単一故障状態が発生した場合に極端な高ペーシングレートにならないようにする

ためのランナウェイリミットには左右されない。

56.101

出力表示器は,

機器の作動を早く非侵襲的に確認できるものである。ただし,実際の出力パルス

を監視している回路は,その出力で心臓の捕そく(捉)が得られたか容易に判別することができない。

器の機能と心臓の捕捉の適否を判断するには,心電図の専門的検査が必要である。

56.102

入力表示器は,

機器が心臓の活動電位を検出して,機器の選択されているペーシングモード及び

他の作動特性に関して製造業者が指定するように信号に反応したという指標を提供する。


24

T 0601-2-31

:2005

附属書 BB(参考)参考文献

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

この規格の作成に当たり次の規格及び文献を情報源として使用した。

EN 50061:Safety of implantable cardiac pacemakers, July 1988.

H. Weston Moses, Joel A. Schneider, Brian D. Miller, George J. Taylor, A Practical Guide to Cardiac Pacing,

Third Edition, Littel, Brown and Company, Boston, MA, 1991.

NFC 74-308:Medical electrical equipment

−Part 2:Particular requirements for safety of external cardiac

pacemakers, December 1988.


25

T 0601-2-31

:2005

附属書 1(規定)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 0601-2-31:2005

  医用電気機器−第 2-31 部:内部電源

形体外式心臓ペースメーカの安全に関する個別要求事項

IEC 60601-2-31:1994

  医用電気機器−第 2 部:内部電源形

体外式心臓ペースメーカの安全に関する個別要求事項及び

追補 1:1998

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の

規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との

技術的差異 の項目 ごとの
評価及びその内容 
表示箇所:本体及び附属書

表示方法:点線の下線

項目 
番号

内容

(Ⅱ)

国際 
規格 
番号

項目 
番号

内容

項目ごとの
評価

技術的差異の

内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術

的差異の理由及び今後の対策

6.1 bb)

表 101

Atrium

(心房でもよい)

Ventricle

(心室でもよい) 

6.1 bb)

表 101

Atrium

Ventricle

MOD/

選択

表記言語を選
択可能とした

海外製造品が大半を占めてい
ることから邦文での表示は実

状にそぐわない。

36.

JIS T 0601-1

の 36.を

適用してもよい

IEC 

60601-

2-31 

36

IEC 

60601-1

の 36 を適

用する

MOD/

選択

選択事項とし
た。

JIS T 0601-1 :1999

は,電磁両

立 性 IEC 60601-1-2 (JIS T 

0601-1-2:2000

)を要求していな

い。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体的評価:MOD 

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD/選択………  国際規格の規定内容と別の選択肢がある。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。

関連規格  植込み型心臓ペースメーカ基準  [厚生省医薬安全局長通知  医薬発第 1439 号(平成 11 年 12

月 28 日)

          ISO 5841-3:1992  Implants for surgery−Cardiac pacemakers−Part 3: Low-profile connectors (IS-1)

for implantable pacemakers.