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T 0601-1

:2012

附属書 A

参考)

指針及び根拠

注記  この附属書 では,対応国際規格 IEC 60601-1 の第 3 版の作成の背景,経過などについて述べ

ている部分が多々ある。それらは,この JIS の作成に関わる内容ではないので,そのような場

合には,

IEC 60601-1 の)第 1 版,第 2 版又は第 3 版と表現した。その他作成の背景,経過な

ど関係しない部分は,

“この規格”と表現した。参考までに,対応国際規格と JIS(以前の JIS

も含める。

)の関係を

表 A.0 に示す。

表 A.0−国際対応規格 IEC 60601-1 と JIS との関係

対応国際規格  IEC 60601-1

JIS 

第 1 版

IEC 60601-1:1977

JIS T 1001:1983

  医用電気機器の安全通則

JIS T 1002:1983

  医用電気機器の安全性試験方法通則

JIS T 1003:1983

  医用電気機器の電気的安全性試験方法

JIS T 1004:1983

  医用電気機器の機械的安全性試験方法

第 2 版

IEC 60601-1:1988

JIS T 1001:1992

  医用電気機器の安全通則

JIS T 1002:1992

  医用電気機器の安全性試験方法通則

IEC 60601-1:1988

Amendment 1:1991

Amendment 2:1995

JIS T 0601-1:1999

  医用電気機器−第 1 部:安全に関する

一般的要求事項

第 3 版

IEC 60601-1:2005

この規格

A.1

一般指針

ME

機器及び ME システムに対する要求事項は,ME 機器又は ME システムが,患者,操作者及びその

周辺と特殊な関連性をもつため,他の種類の電気機器に対する要求事項とは異なっている。次の事項が,

この関連性の重要な役割を果たしている。

a)

患者又は操作者は,電離及び非電離放射線のような,特定のハザードの存在を感知できない。

b)

患者は,病気,意識不明,麻酔状態,固定状態などによって,正常に反応することができない。

c)

低い皮膚抵抗を得るために,皮膚にせん(穿)刺されるか又は皮膚が処理されている場合に,

患者の

皮膚に備わっている電流に対する通常の防護機能が欠如している。

d)

生体機能の補助又は代行は,ME

機器又は ME システムの信頼性に依存する。

e)

患者に二つ以上の ME 機器が同時に接続される。

f)

大出力の ME

機器と低レベルの信号に感応する ME 機器とが,しばしば組み合わされて使用される。

g)

皮膚への接触又は体内へ挿入したプローブを経由する電気回路が人体に直接使用される。

h)

環境条件が厳しい状況。特に手術室で,湿気,水分若しくは火気の組合せ,又は空気,酸素若しくは

亜酸化窒素に起因する爆発の可能性(対応国際規格では,

ハザード”)がある。

ME

機器を他の電気機器と組み合わせて ME システムを構成する場合は,追加の要求事項が適用される。

それらは,箇条 16 で要求している。幾つかの場合は,この規格の他の部分を引用している。ある箇条又は

細分箇条が,特に ME

機器だけに適用することを意図している場合は,その箇条又は細分箇条の表題及び

内容にそのように記載している。そうでない場合,その箇条又は細分箇条は,ME

機器及び ME システム


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T 0601-1

:2012

の両方に適用する。

A.2

ME

機器及び ME システムの安全

ME

機器及び ME システムの基礎安全及び基本性能は,IEC 60513 [12]に記載しているように総合的な安

全状況の一部分である。それは,ME

機器の安全,ME 機器又は ME システムを接続する設備の安全,及

び使用方法の安全で構成されている。

ME

機器及び ME システムの基礎安全及び基本性能は,正常状態及び単一故障状態における正常な使用

及び合理的に予見できる誤使用に対して要求されている。生命維持の ME

機器では,機能の信頼性が安全

事項とみなされ,検査又は治療の中断は,

患者に対する危険状態であるとみなされている。

誤使用の防止に役立つ適切な構造,配置及び

附属文書は,安全事項とみなされている。

安全のための予防策は,正常な機能に対して望ましくない制限を加えることなく適切な保護を備えてい

る場合には,使用してもよい。

一般的に,ME

機器及び ME システムは,認定者又は有資格者の監督下で操作され,操作者は医学的な

適用方法及び法令によって要求される技能をもち,

かつ,

取扱説明書に従って取り扱うことになっている。

ME

機器の総合的な安全は,次に基づいている。

−  設計による本質的な安全。

−  ME

機器に組み込んだ防護の手段,又は追加の防護の手段,例えば,放射線,電磁波などの遮蔽若し

くは防護服の使用。

−  安全に関する情報,例えば,輸送,取付け又は位置決め,接続,稼動開始の前準備,操作,並びに使

用中の ME

機器に関わる操作者及び補助者の位置に対して取扱説明書に記載した制限。

A.3

第 版に対する指針

IEC 60601-1

の第 3 版では,その第 2 版の多くの箇条及び細分箇条を削除した。例えば“取り扱わない”

と示した項目である。しかし,その第 2 版で,

“一般要求事項ではない”と示した項目は,個別規格又は副

通則がそれらを引用するために残した。しかし,この規格では,個別規格又は副通則がない場合でも“一

般要求事項”を

リスクマネジメントを適用して対応できるようにするために,“一般要求事項ではない”と

いう表現を

リスクマネジメントプロセスの適用に置き換えた。

第 3 版を準備している間,基礎安全規格及び ISO/IEC ガイドをできるだけ考慮に入れた。これは,ME

機器及び ME システムが,患者,操作者及びその周辺と特殊な関連性をもつことに可能な限り一貫性をも

たすように考慮したためである。

第 3 版の様式は,ISO/IEC 業務指針の第 2 部の基本要求事項と整合させた。その第 2 版の章は,第 1 章

を除き全て主要な箇条に置き換えた。この変更の理由は,章は規格作成規則では認められないこと,及び

新しい番号付け方式によって将来変更する場合に,規格の他の部分の番号に影響を与えずに箇条及び細分

箇条を修正できることである。

引用規格は,第 2 版の

附属書 から箇条 に移した。参考規格は,参考文献に記載した。

用語は,その分類の数が増加した結果,どの分類に入れるか直感的に分かりにくくなってきたので,分

類によって体系づけることがますます困難になってきた。したがって,箇条 の用語及び定義は,分類を

設けずにアルファベット順に並べ替えた。

附属書 JA には,五十音順に並べた用語とその細分箇条番号を

対応付けた索引を掲載した。また,第 3 版では,新たに追加した要求事項に対応するために,新しく定義

した多くの用語を規定した。


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T 0601-1

:2012

4.2

に,

リスクマネジメントプロセスの一般要求事項を新たに規定した。

箇条 は,大幅に再構成して電気的な安全に対する要求事項を一つの箇条にまとめた。箇条 の要求事

項は,IEC 60950-1 の情報技術(IT)機器の安全に対する要求事項を検討し,ME

機器と特定の関係にある

患者,操作者及びその周囲を考慮して,該当する場合は,IEC 60950-1 の要求事項に整合させた。

機械的ハザードに関する保護の箇条 は,ME 機器が操作者又は患者に及ぼす可能性のある広範囲なハ

ザードを扱うために本質的な改正をした。ME 機器の機械的強度に対する要求事項は,押されたり,衝撃,

落下など手荒に取り扱われたりすることに起因するストレスを受けるので,15.3 に規定した。

この規格は,

“誤使用又はヒューマンエラー”に対しては,12.2 

ユーザビリティで扱っている。第 2

版の第 章の可燃性麻酔剤の発火に対する保護に対しては,

附属書 G(規定)に移した。

その附属書は,当初はそのような麻酔剤の使用はまれであるから附属書(参考)にすることを意図して

いた。しかし,複数の国の国内委員会からのコメントによると,一部の

製造業者は,そのような麻酔剤を

使用する ME

機器の提供を依然として望んでいるという。

10 分間以上患者に接触している装着部に対して,11.1.2.2 における表面温度制限を 41  ℃から 43  ℃に上

げた。ただし,

装着部の表面温度が 41  ℃を超える場合は,製造業者は,附属文書にその旨を記載するこ

とになっている。

プログラマブル電気医用システムに対する IEC 60601-1-4 [14]の要求事項は,第 2 版の 52.1 で言及され

ていたが,この規格では,新しく箇条 14 として組み入れた。

ME

システムに対する IEC 60601-1-1 [13]の要求事項は,この規格では,新しく箇条 16 として組み入れ

た。

A.4

各箇条及び細分箇条に対する根拠

この

附属書 は,この規格の特定の箇条及び細分箇条に対する根拠である。それらの番号は,この規格

の本文中の番号に一致している。

注記  この A.4 の箇条又は細分箇条番号に付した“†”印は,対応する要求事項に対する根拠であるこ

とを示し,かつ,要求事項の文章でないことを容易に識別できるようにしたものである。

1.1

  適用範囲

この規格の適用範囲は,ME

機器及び ME システムの定義に基づいて規定している。これは,他の種類

の電気機器に対する要求事項と比較して,この規格の適用範囲を明確に定義することである。

IEC 61010-1 [22]

の適用範囲に入る研究室用電気機器は,

製造業者がそのような研究室用電気機器を ME

システムに組み込む場合を除き,この規格では扱っていない。

この規格は,ISO 14708-1 [31]が IEC 60601-1 への適合性を要求する場合を除き,ISO 14708-1 で扱う能

動植込医療機器には適用しない。

この規格は,

ME

機器又は ME システムの定義に該当しない場合は,いかなる電気機器にも適用しない。

1.3

  副通則

IEC 60601

の副通則は,TC62IEC 技術委員会 62)が IEC 60601-1(通則)を拡張する手段として作成

したものである。副通則は,次の二つに分類される。

−  ME

機器のサブグループに共通する付加的な基礎安全及び基本性能に対する要求事項を扱う規格であ

る。例えば,SC62BIEC 分科会 62B)は,IEC 60601-1-3JIS T 0601-1-3(IDT)

]を作成した。これ

は医用診断用 X 線装置の電離放射線に対する防護の一般要求事項である。

患者,操作者及び他のスタ

ッフが被ばく(曝)する線量当量を合理的に達成可能な程度にまで低減するためである。


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−  この安全通則で完全には取り扱えない ME

機器又は ME システムの特性を扱う付加的な基礎安全又は

基本性能に対する要求事項を扱う規格である。SC62AIEC 分科会 62A)は,IEC 60601-1 の第 3 版

の発行時には,この分野の EMCIEC 60601-1-2

,ユーザビリティ(IEC 60601-1-6)及びアラームシ

ステム(IEC 60601-1-8)の三つの副通則を発行していた。

IEC 60601-1-2

JIS T 0601-1-3IEC 60601-1-6 及び IEC 60601-1-8 は,安全通則である IEC 60601-1 の第

3 版の発行時には存在していたが,IEC 60601-1 の第 2 版に関連して作成されたものであった。これらの副

通則は,この第 3 版に整合させるように順次改正されてきた。1.3 に記載したように,これらの副通則はそ

れらの発行日に規定となり,この規格と併せて適用することが必要である。

それらの副通則の改正版が発行されるまで,この規格の使用者は,既存の版が ME

機器又は ME システ

ムに当てはまるときは,できるだけ既存の版を適用することが望ましい。しかし,これらの副通則の幾つ

かの要求事項は,この規格と両立できない可能性があった。

IEC 60601-1

の第 2 版のために作成された副通則のうちの二つからの要求事項を,第 3 版の本文に組み

入れた。それらは,次のとおりである。

−  IEC 60601-1-1:2000,Medical electrical equipment−Part 1-1: General requirements for safety−Collateral

standard: Safety requirements for medical electrical systems(医用電気機器−第 1-1 部:安全に関する一般

要求事項−副通則:医用電気システムに対する安全要求事項)

−  IEC 60601-1-4:1996,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for safety−4. Collateral

standard: Programmable electrical medical systems 及び Amendment 1 (1999)(医用電気機器−第 1 部:安

全に関する一般要求事項−4.副通則:プログラマブル電気医用システム及びその追補 1:1999)

上記の二つの規格は,IEC 60601-1 の第 2 版に基づいた全ての個別規格をこの第 3 版に整合させるまで

有効であるが,この第 3 版に併せての適用はできない。

追加の副通則は,必要性が特定され次第,随時発行することができる。それらの副通則は,将来的にも

この IEC 60601-1 の第 3 版には記載されない可能性があるが,該当する場合は一般要求事項として考慮す

る必要がある。読者は,各国の規格機関が保有するその時点で有効な国際規格の登録簿を参照し,どのよ

うな適用可能な副通則が発行されているか調べることが望ましい。

1.4

  個別規格

個別規格は,次のいずれか又は全てを規定することができる。

−  修正しない状態でのこの規格の箇条又は細分箇条。

−  この規格の箇条又は細分箇条を適用しない(又はそれらの部分を適用しない。

−  この規格の箇条又は細分箇条(又はそれらの部分)を個別規格の箇条又は細分箇条で置き換える。

−  箇条又は細分箇条を追加する。

個別規格には,次のいずれか又は全てを含めることができる。

a)

基礎安全又は基本性能を強化するための要求事項。

b)

この規格の要求事項を緩和した要求事項(例えば,ME

機器の出力の理由でこの規格の要求事項を遵

守することができない場合。

c)

性能,信頼性,インタフェースなどに対する要求事項。

d)

作動データの精度。

e)

環境条件の拡大及び制限。


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T 0601-1

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2

  引用規格

箇条 は,

この規格の要求事項で引用され,

この規格に適用させるために不可欠な規格のリストである。

しかし,このリスト中の規格への適合が要求されるのは,それらがこの規格の要求事項の中で引用する範

囲に限られている。例えば,特定の箇条又は細分箇条,表又は図が引用されている場合には,この規格中

の要求事項に適合させるために,引用規格の箇条又は細分箇条,表又は図にある要求事項だけに適合すれ

ばよい。

発行年を付記していない引用規格は,規格の全て又はそれの大部分を引用する場合か,又はその将来,

変更されるその引用規格の全てを,この規格の目的のため使用できると認めた場合だけである。例えば,

外装に IP コードを割り当てるとき,製造業者にその規格の最新版を常に使用してもらうことを意図して,

IEC 60529

JIS C 0920(IDT)

]には発行年を付記して引用規格とした。

発行年を付記しない引用は,引用規格の修正版及び改正版を全て含むと解釈する。

発行年を付記した引用は,この規格の要求事項に適合させるために特定の版の要求事項を使用すること

が必要な場合である。発行年を付記した引用規格のその後の改正又は改正版は,この規格の修正によって

取り込む必要がある。例えば,IEC 60825-1JIS C 6802(IDT)

]の該当部分は,発光ダイオード(LED

に適用するが,TC76IEC 技術委員会 76)は IEC 60825-1 の第 3 版作成の初期段階にあり,LED に対す

る要求事項の削除を考慮していたので,IEC 60825-1 には発行年を付記して引用した。

他の引用規格の中の特定の箇条又は細分箇条,表及び図を引用する場合には,発行年は,原則として付

記した。

3

  用語及び定義

箇条 は,この規格中の要求事項についての理解が必要な用語の定義を含んでいる。IEC 60601-1 の第 2

版から継承した用語が多い。しかし,新しい要求事項又は修正された要求事項の作成に伴って多くの用語

を加えた。できるだけ,他の規格中の既存の定義をそのまま使用するか又は修正して用いた。

用語は,他の用語を定義する文中に使用された場合を除き,規格の本文中に二回以上使用した場合だけ

定義した。

定義した用語は,ゴシックの太字で表記した。これは,規格の本文中で見やすくするためである。太字

を使用しない場合,その単語は,一般的な用語の意味である。同一の単語を,定義した意味と一般的な意

味との両方で使用することはなるべく避けた。しかし,場合によっては,避けることができなかった。例

えば,7.9.2.8 の“始動

手順(Start-up PROCEDURE)”の“手順”は,ME 機器又は ME システムを始動さ

せるという“ある活動を実施するために規定した方法”を特に意味するために定義用語を使用した。また,

患者を定義する文中では,“医科又は歯科の診療(ここでは,procedure を診療と訳した。)の対象となって

いる生物(人又は動物)

”というように,一般的な意味で使用した。

3.8

  装着部

外装以外の部分で患者が接触する部分は,大きな危険状態を招く可能性があるので,装着部には,例え

ば,温度制限,

BBF 又は CF の分類に従った)

漏れ電流などの一層厳しい要求事項が課せられている。

注記  ME 機器の外装の幾つかの接触可能部分は,患者がそれらの部分に接触するか,又は操作者が

それらの部分と

患者とに同時に接触する可能性があるので,他の機器の外装の接触可能部分よ

りも厳しい試験が必要である。

どの要求事項を適用するか決めるために,

装着部と単に外装とみなす部分とを識別することが必要であ


171

T 0601-1

:2012

る。

例えば,代表的な例として,次がある。

−  赤外線療法ランプは,ランプを

患者に直接接触させる必要がないので装着部をもっていない。

−  X 線寝台では,

患者が横たわる天板だけが,装着部である。

−  同様に MRI 装置も,

患者を支持する寝台だけが装着部である。

しかし,意識のない

患者,麻酔状態の患者又は正常に反応できない患者に偶然に接触する可能性がある

部分は,常に

患者と接触する装着部と同じリスクを考慮する必要がある。一方,活動的な患者の手足が届

いて触れられる場合は,

患者よりも,むしろ操作者に大きなリスクが生じる可能性がある。

IEC 60601-1

の第 1 版及び第 2 版の

装着部の定義は,この問題を取り扱っていなかった。第 2 版の追補 2

では,

患者と接触させることができる部分を含めるために定義を拡大した。しかし,拡大した新しい定義

も,引き続き混乱を招いた。

第 3 版では,4.6 によって,

装着部以外のどの部分が装着部と同じ要求事項の対象になるかを特定するた

めに,

リスクマネジメントプロセスを要求している。これらには,ME システムの中の非 ME 機器の部分

を含むことがある。

個別規格では,特定の種類の ME

機器において,装着部を特定することが望ましい。

どの部分が

装着部か,及びどの部分が患者接続部であるか評価するために,次に示すプロセスの順に進

めることができる。

a)

ME

機器に装着部があるか決定する。ある場合は,装着部の範囲を特定する(電気的に関わらない部

分も含めて特定する。

b)

装着部がない場合は,患者接続部は,存在しない。

c)

装着部がある場合は,一つ以上の患者接続部がある可能性がある。装着部が接触可能導電性部分をも

たなくても,8.7.4.7 によって適用する金属はくを一つの

患者接続部とみなす。

d)

装着部の導電性部分が,患者と直接接触しないが分離されていないので,その部分を通して患者に電

流が流れる可能性がある場合は,その部分を単独の

患者接続部として扱うことになる。

注記  該当する分離の要求事項は,患者保護手段に対する要求事項である。

装着部は,一つ以上の機能を含むことができる。それぞれの機能は,一つ以上の患者接続部を含むこと

ができる。

患者接続部は,電流を流すように意図する一つの電極とすることができるか,又は例えば,血

管内の流体ライン又は

患者支持など,本来,電気的な接続が目的ではない可能性もある。

3.78

に対する根拠も参照。

図 A.1∼図 A.7 は,ME 機器及び ME システムにおいて患者漏れ電流及び患者測定電流に対する要求事

項を適用するために

装着部及び患者接続部をどのように特定するかの例を示した。

図 A.1 及び図 A.2 は,心電図モニタを示す。これには,心電図モニタ,心電図患者ケーブル,心電図患

者リード線及び心電図電極を含む。図 A.1 及び図 A.2 の詳細を次に示す。

装着部は,正常な使用時に患者と物理的に接触する必要のある部分で,電極及び患者リード線の部分

も含める。

リスクマネジメントを適用した結果,心電図患者ケーブルの他の部分は,患者に接触する可能性があ

るという理由によって,それを

装着部として扱わなければならないと特定される場合がある。


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T 0601-1

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患者接続部は,心電図電極の構成の一部であり,かつ,装着部の機能の一部である。

図 A.1−心電図モニタ中における ME 機器,装着部及び患者接続部の特定

図 A.2 は,要求される 形装着部の絶縁を示す。点線で囲まれた部分が患者回路である。

図 A.2 において要求される装着部の絶縁を,次に示す。

電源電圧に基づいた大地と点線で囲まれた部分との間の,一つの患者保護手段。

−  大地とこれらの部分に印加される電圧に基づいた点線で囲まれた部分との間の,

二つの

患者保護手段。

−  生きている部分[

電源(商用)を含む。]と点線で囲まれた部分との間の,二つの患者保護手段。

A

PPLIED PART

and parts

that have to be treated as

APPLIED PARTS

M

E EQUIPMENT

or

ECG

PATIENT

 cable

ECG

PATIENT

 lead

ECG electrodes

図 A.2ME 機器に絶縁を内蔵した 形装着部の絶縁の例

図 A.3 は,トランスデューサに絶縁を内蔵した 形装着部を示す。点線で囲まれた部分は,患者回路で

ME

機器

心電図

患者リード線

心電図

患者ケーブル

心電図電極

心電図電極の詳細図

装着部

患者接続部

心電図モニタ

装着部及び装着部

として扱う部分

ME

機器

心電図

患者リード線

心電図

患者ケーブル

心電図電極

心電図モニタ

装着部及び装着部

として扱う部分


173

T 0601-1

:2012

ある。点線の外側にある部分は,

リスクマネジメントプロセスで決定した装着部に関わる要求事項に従う

部分である。

A

PPLIED PART

and parts

that have to be treated as

APPLIED PARTS

M

E EQUIPMENT

P

ATIENT

Monitor

Pressure transducer

Invasive pressure
line with electrically

conducting fluid

Pressure
monitoring

PATIENT

CONNECTION

図 A.3−観血式血圧測定機能をもつ生体情報モニタにおける ME 機器,装着部及び患者接続部の特定

図 A.4 は,心電図及び観血式血圧測定機能を備えた生体情報モニタを示す。詳細を次に示す。

−  ME

機器に含まれるのは心電図モニタ,心電図患者ケーブル及びその電極,並びに血圧トランスデュ

ーサ及びその流体で満ちたラインである。

装着部に含まれるのは,心電図電極及び正常な使用時に患者と物理的に接触する必要のある心電図患

者ケーブルの部分,並びに流体で満たした観血血圧ラインである。

リスクマネジメントを適用した結果,患者ケーブルの他の部分又は血圧トランスデューサも,患者に

接触する可能性があるという理由によって,

装着部として扱わなければならない場合がある。

−  心電図

患者接続部は,心電図電極から成る。

−  血圧モニタ

患者接続部は,圧力ライン中の導電性流体からなる。患者漏れ電流及び患者測定電流の測

定については,導電性流体中に電極を置き,単一の

患者接続部として扱う。

−  圧力モニタ機能に関連する

患者接続部から,心電図機能に関連する患者接続部を電気的に分離してい

ない場合は,これらは,同じ

装着部の二つの機能として扱う。

−  圧力モニタ機能に関連する

患者接続部から心電図機能に関連する患者接続部を電気的に分離する場

合,これらは,別々の

装着部として扱う。

ME

機器

装着部及び装着部 
として扱う部分

生体情報 
モニタ

血圧トランスデューサ

導電性流体をもつ

観血血圧ライン

圧力モニタ 
患者接続部


174

T 0601-1

:2012

A

PPLIED PART

and parts

that have to be treated as

APPLIED PARTS

M

E EQUIPMENT

P

ATIENT

Monitor

ECG

PATIENT

 cable

P

RESSURE

 transducer

Invasive

PRESSURE

line with electrically
conducting fluid

P

RESSURE

monitoring

PATIENT

CONNECTION

ECG

PATIENT

 lead

ECG electrodes

図 A.4−観血式血圧測定機能をもつ多機能患者生体情報モニタにおける ME 機器,

装着部及び患者接続部の特定

図 A.5 は,X 線 ME システムを示す。詳細を次に示す。

−  ME

システムに含まれるのは X 線管装置,X 線寝台及び壁掛けスタンドであり,全て ME 機器の一部

である。ME

システムの他の部分,例えば,X 線発生装置及び操作卓は,図示されていない。

−  寝台の天板の上面及び壁掛けスタンドの正面は,

正常な使用で患者と物理的に接触する必要があるの

で,それらは

装着部に含まれる。

リスクマネジメントを適用した結果,X 線管装置の幾つかの部分,並びに寝台及び壁掛けスタンドの

他の幾つかの部品を,

患者に接触する可能性があるという理由によって,装着部として扱わなければ

ならないとされる場合がある。

患者接続部は,電気的に患者と接触する装着部の導電性部分から成る。

製造業者は,寝台及び壁掛けスタンドが同じ装着部の異なる機能であると指定してもよい。

−  又は,

製造業者は,寝台及び壁掛けスタンドが異なる装着部であると指定してもよい。

ME

機器

装着部及び装着部 
として扱う部分

心電図

患者リード線

        心電図患者ケーブル

心電図電極

 
生体情報モニタ

血圧トランスデューサ

導電性流体を

も つ 観 血 血 圧 ラ イ

血圧モニタ 
患者接続部


175

T 0601-1

:2012

図 A.5線 ME システムにおける装着部及び患者接続部の特定

図 A.6 は,経皮的電気神経刺激装置(TENS)を示す。これは患者にベルトを着用させ,かつ,患者の上

腕に付けた電極を接続するように意図するものである。詳細を次に示す。

−  ME

機器は,経皮的電気神経刺激装置,電極ケーブル及び電極を含む。

装着部は,正常な使用で物理的に患者と接触する必要のある電極及び電極リード線の部分を含む。

リスクマネジメントを適用した結果,その刺激器の容器及びそのベルト・クリップも,患者に接触す

る可能性があるという理由によって,

装着部として扱わなければならない場合がある。

患者接続部は,複数の電極からなり,それらの全ては,同じ機能をもつ装着部である。

M

E EQUI

PMEN

T

A

PPLIED PART

and parts

that have to be treated as

APPLIED PARTS

TENS

with belt clip

Skin electrodes

図 A.6−患者のベルトに取り付け,患者の上腕に装着した電極に接続した

経皮的電気神経刺激装置(TENS)における ME 機器,装着部及び患者接続部の特定

A

PPLIED PARTS

and parts

that have to be treated as

APPLIED PARTS

M

E SYSTEM

P

ATIENT

support

X-ray source

assembly

Wall stand

ME

システム

壁掛けスタンド

装着部及び装着部

として扱う部分

X

線管装置

患者支持器

皮膚電極

装着部及び装着部 
として扱う部分

ME

機器

ベルト付きの

TENS


176

T 0601-1

:2012

図 A.7 は,心電図処理 ME 機器又は ME システムであり,その詳細を次に示す。

−  ME

システムに含まれるのは,心電図モジュール,心電図患者ケーブル及び心電図電極,並びにパソ

コン及びその

附属品(図示していない。)である。

製造業者は,次の状況のうちの一つを選んで指定することができる。

−  心電図モジュール,心電図

患者ケーブル及び心電図電極は,ME 機器の一部である。パソコンは,

ME

機器ではない。これらは,一つの ME システムである。

−  心電図モジュール,心電図

患者ケーブル及び心電図電極は,ME 機器の一部である。パソコンは,

もう一つの ME

機器である。これらは,(二つの ME 機器を組み合わせた)一つの ME システムで

ある。

−  心電図モジュール,心電図

患者ケーブル及び心電図電極がパソコンと一緒になったものは,単一の

ME

機器であり,ME システムではない。

装着部に含まれるのは,心電図電極及び正常な使用で患者と物理的に接触する必要のある心電図患者

ケーブルの部分である。

リスクマネジメントを適用した結果,心電図患者ケーブルの他の部分は,患者に接触する可能性があ

るという理由によって,

装着部として扱わなければならないと特定される場合がある。

患者接続部は,複数の心電図電極から成り,それらの全ては,同じ機能をもつ装着部である。

ECG

PATIENT

 cable

ECG module

ersonal

mputer

A

PPLIED PART

and parts that

have to be

treated as

APPLIED PARTS

ECG

PATIENT

 lead

ECG electr

図 A.7−パーソナルコンピュータと組み合わせる心電図モジュールにおける ME 機器,

ME

システム,装着部及び患者接続部の特定

3.9

  基礎絶縁

この定義は,機能の目的のために専用に使用する絶縁を含んでいない。

3.10

  基礎安全

基礎安全は,操作によって偶発的に患者を傷つけない装置に関係がある。

基礎安全は,多くの場合,受動的な保護(放射線遮蔽又は電気的な接地のような)である。

基本性能は,一般に危険状態を発生させないで意図するように作動する ME 機器又は ME システムに関

係がある。

基本性能の不良は,性能(生命維持性能のような)の欠如又は不正確な性能(患者への不正確

な量の投与のような)のいずれかである。

パーソナル

コンピュータ

電図

患者リード線

心電図電極

装 着 部 及 び 装
着 部 と し て 扱
う部分

心電図患者ケーブル

心電図モジュール

M


177

T 0601-1

:2012

一般に,

基礎安全は製品の分類に関係しない特性(例えば,漏れ電流,耐電圧,温度)であり,基本性

能は製品の分類(例えば,除細動器の場合には,正確な電気ショックを与えることができる)に関係して

いる。

一般に上記で説明したように

基礎安全及び基本性能という用語は,相互に排他的であるとみなされるが,

その反面,

基礎安全及び基本性能の両方に同時に関係する幾つかのハザードがある。

3.17

  高信頼性部品

高信頼性の概念は,部品固有の特性だけに関係している。製品の安全の保証は,これらの特性に依存し

ている。

製造業者は,そのような高信頼性部品を附属文書で(例えば,保守点検で)指定することが望ま

しい。4.9 に対する根拠も参照。

3.18

  連続作動(運転)

連続作動(運転)又は非連続作動(運転)という用語は,ME 機器に対して使っているが,ME 機器の

部分においては,異なる

定格を定めてもよい。例えば,電気手術器の本体は連続作動(運転)定格(電源

を入れて連続的に作動させる。

)とする場合があるが,

(高周波出力は間欠的に出されるので)

装着部から

の高周波出力は非

連続作動(運転)定格としてもよい。

3.20

  耐除細動形装着部

耐除細動形装着部は,IEC 60601-2-4 [15]に適合する除細動器の放電だけに対して保護するものである。

しかし,それよりも高い電圧の除細動器は,

耐除細動形装着部を破損させる可能性がある。

3.21

  着脱電源コード

コードセットは,IEC 60320-1 で扱っている。

3.22

  心臓への直接使用

患者の心臓に直接接触する装着部を使用することと,その他の状況下で患者に接触することとは,区別

している。ワイヤ又はカテーテルが心臓に直接接触する小さい接触面積を通して微小電流(

患者の体内又

は体表面の他の接触点を通して流れる電流よりも小さい)が流れ,心室細動が生じることがある。

3.23

  二重絶縁

基礎絶縁及び補強絶縁は,要求された場合には,それらを別々に試験してもよい。多層絶縁を別々に試

験できない場合は,その絶縁システムを

強化絶縁であるとみなしている。

3.24

  デューティサイクル

“作動時間”及び“休止時間”という言葉は,作動及び作動停止の“繰返し”であり,

連続作動(運転)

と同様とみなすことができる。

3.26

  外装

ME

機器又は ME 機器の部分の外装は,あらゆる接触可能部分,ノブ,グリップ,ケーブル,コネクタ

及びその他同様のものを含める。これは,その他の分かれた部分間を外部で接続するあらゆる

接触可能部

分も含んでいる。

3.27

  基本性能

ME

機器の性能が適切でないと患者,操作者又は他の人に受容できないリスクが生じる可能性があるこ

とは,長い間認識されてきた。

患者,操作者又は他の人への危害を防ぐために適切に働かなければならな

い特性又は機能は全て重要であるが,しかし,ME

機器のあらゆる特性又は性能(対応国際規格では,機

能)が全て

基本性能であるとは限らない。適切に働かないと患者,操作者又は他の人に受容できないリス

クが生じる可能性がある場合は,この規格の目的上,そのような特性又は性能(対応国際規格では,機能)

基本性能とみなしている。


178

T 0601-1

:2012

この

リスクを考慮する場合は,次のような想定に基づいている。すなわち問題の性能が失われたり又は

低下したとき,

危害が生じる確率(場合によっては,100 %の可能性もある。)及びその危害の重大さを考

慮する必要がある。さらに,

リスクマネジメントプロセスを適用して,性能が失われる確率が十分に低い

ことによって

残留リスクが受容可能であることを確実にする。

基本性能に関わる問題が生じるのは,当該の特性又は機能が欠如する場合か,又はその特性が低下して

ME

機器又は ME システムがその意図する使用にもはや適さない場合かのいずれかである。

基本性能の例として,次がある。

−  生命維持機能の精度又はシリンジポンプによる薬剤の正確な投与。正確に投与されないと受容できな

リスクを患者に引き起こす可能性がある。

−  心電計又はモニタが除細動器の放電の影響から復帰する能力。復帰できないと医療スタッフが正しく

対応できず,受容できない

リスクが患者に生じる可能性がある。

−  集中治療室又は手術室のモニタシステムのアラームの正確な作動。アラームが不正確又は欠如してい

ると医療スタッフが正しく対応できず,受容できない

リスクが患者に生じる可能性がある。

−  治療を決定する上での依存度が高い ME

機器からの正しい診断情報出力。その情報出力が不正確であ

ると治療が不適切になり,受容できない

リスクが患者に生じる可能性がある。

基本性能を特定する場合は,性能(対応国際規格では,機能)の喪失に至る要因の発生確率は考慮に入

れない。これらの要因は,

リスクマネジメントプロセスで考慮に入れる。

IEC 60601

規格群の中の個別規格及び副通則が,特定の

基本性能を規定することを期待している。

3.33

  機能接続

定義した用語の

機能接続は,ME システムの定義を容易にするため使用した。機能接続は,ME システ

ムを構成する機器相互間の接続であり,これには動力供給も含めることもある。

“その他の方法”とは,例えば,機械的,光学的又は無線による接続を含むことを意味している。

3.35

  機能接地端子

ME

機器では,機能接地接続は,操作者が接近可能な機能接地端子によって行うことができる。その他

の方法として,この規格では,

クラス II の ME 機器の機能接地接続は,電源コード中の緑と黄との導線を

経由した接続方法も認めている。この場合,この導線を接続する部分は,

接触可能部分(8.6.9 を参照)で

あってはならないし,かつ,

接触可能部分から絶縁することが必要である。

3.38

  危害

危害の定義は,JIS T 14971 の定義に基づいて,動物を含めるように修正した。これは,IEC 60601-1 

第 2 版の適用範囲が動物の安全を含んでいるからである。

3.40

  危険状態

この用語が規格の中で使われているように,

ハザードに対して一連の事象又は他の状況(正常な使用を

含む。

)が作用することによって

危険状態が生じない限り,危害が発生することはない。リスクマネジメン

トプロセスの結果として,該当するリスクが受容できるかどうかを評価するが,そのためにはこの危険状

態から生じる危害の重大さ及び発生確率の両方を推定することが必要である(図 A.8 参照。ISO 14971:2007

図 E.1 を用いた。)。


179

T 0601-1

:2012

H

AZARD

H

AZARDOUS

SITUATION

H

ARM

S

EVERITY

 of

the

HARM

Exposure (P

1

)

P

2

Probability

of occurrence

of

HARM

R

ISK

P

1

 x P

2

Sequence of

 events

P

1

危険状態の発生する確率

P

2

危険状態から危害に至る確率

図 A.8−ハザード,一連の事象,危険状態及び危害の関係図

3.44

  意図する使用

ISO 14971:2000

(第 1 版)は,

意図する使用/意図する目的という合成用語を定義した。それは,欧州

医療機器指令では“意図する目的”を使用し,米国の規則は“意図する使用”を使っていて,ISO 14971:2000

の作成段階では,どの用語を使用するか合意に至らなかった。しかし,その二つの用語の定義は,本質的

には同じであった。ISO 14971:2000 を数年間適用した経験から,その合成用語は使いにくいということが

受け入れられ,英語で“purpous(目的)

”よりも短い方の単語の“use(使用)

”の用語を用いることが合

意された。ISO 14971:2007 では,

“意図する使用”を優先的に用いて,

“意図する目的”も使ってもよいこ

とになった。ISO 14971:2007 と相違することを避けるために,この規格では,英語では短い定義用語の

図する使用を採用した。定義自体は,ISO 14971:2000 とその 2007 年版(第 2 版)とも同じである。

3.49

  電源部

電源部の定義は,ある要求事項が適用される部分を識別するために必要である。IEC 60601-1 の第 1 版

及び第 2 版の定義は,別の定義された用語の“導電接続”に依存していた。この第 3 版の作成中に,

“導電

接続”を定義することが困難であることが分かり,その定義した用語がもはや必要でないようにするため

に,要求事項を修正した。その結果,

電源部の新しい定義が必要となり,電源部を他の部分から分離する

保護手段に着目して定義した。

3.50

  電源プラグ

電源プラグの定義は,ある要求事項に該当するプラグを識別するために必要である。“電源プラグ”とい

う用語を定義しないと,

電源電圧を給電する ME 機器内の他のコネクタも扱うことになってしまう。

一連


ハザード

(発生する

確率)

リスク

危険状態

危害

危害の重大さ

危害の

発生確率

P

1

P

2

P

1

×P

2


180

T 0601-1

:2012

3.56

  最高電源電圧

この規格の幾つかの要求事項及び試験は,外部に発生源のある意図しない電圧が

患者又は ME 機器の部

分に接続される可能性に関係している。そのような電圧の実際の大きさは,未知である。しかし,それは

ME

機器を使用する場所の電源(商用)の電圧と関係があると想定する。8.5.3 の根拠も参照。

IEC 60601-1

の第 3 版を作成する初期段階では,広範囲な用語遣いの反復を回避するために,定義され

た用語“基準電源電圧”を導入した。初期の原案に対する各国の国内委員会のコメントを見直した結果,

定義した用語の“基準電源電圧”と定義しない用語の“基準電圧”との間に混乱があった。後者は,耐電

圧,

沿面距離及び空間距離に対する要求事項に対して使用されていた。

要求事項を明確にするために,用語の“基準電源電圧”は

最高電源電圧に置き替えた。また,“基準電圧”

は,定義した用語の

動作電圧及びピーク動作電圧に置き替えた。

3.57

  最大許容動作圧力

最大許容動作圧力は,設計仕様,製造業者の定格,容器の現在の状態及び使用状況を考慮に入れて,有

資格者が決定している。

国によっては,数値が小さくなっている場合がある。

3.58

  操作者保護手段

8.5.1

の根拠を参照。

3.59

  患者保護手段

8.5.1

の根拠を参照。

3.60

  保護手段

IEC 60601-1

の第 3 版の作成における基本指針の一つは,特に,その第 2 版の箇条 17 及び箇条 20 を簡

素化することであった。

保護手段の概念を総括的にとらえて,保護接地接続,基礎絶縁,補強絶縁,イン

ピーダンスなども含めるものとした。さらに,それを拡張して,同じ能力をもつがいまだ構想がなく実用

化されていない他のものを含めた。この概念は,ME

機器は,二つの保護手段をもつことという一般要求

事項とともに,単一故障の考え方にもよく当てはまり,第 3 版に取り入れることに全員が合意した。これ

によって,一貫したアプローチで設計努力をすることが可能になり,規定の多すぎる細分箇条によって縛

られることがなくなった。

患者の保護と操作者の保護とを区別することを決定したので,この概念は一層良く当てはまった。

第 3 版の作成中,幾つかの国内委員会のコメントは,電撃以外の

ハザードに関する保護に適用するため

にこの概念を拡張できることを示唆した。しかし,そのような変更を正当化するには,十分な利点がない

と決定した。

3.63

  医用電気機器

ME

機器の IEC 60601-1 の第 2 版の定義では,同じ電源(商用)への複数の接続をすることを除外して

いるが,異なる

電源(商用)への異なる接続は除外していない。しかし,複数の異なった電源(商用)へ

の同時接続は,回避することが望ましい。電気的に安全な方法で複数の異なった

電源(商用)へ同時に接

続する機能を備えた機器を設計する場合があるが,この規格では,それによって発生する可能性がある

険状態を特定していない。

3.64

  医用電気システム

一般的には,

製造業者,責任部門及び操作者は,ME 機器及び他の ME 機器又は非医用機器をマルチタ

ップに接続することがある。そのような組合せを ME システムの定義に含めると,それらはこの規格の適

用範囲内になり,

基礎安全及び基本性能に対する適切な要求事項を規定することになってしまう。


181

T 0601-1

:2012

この規格の安全レベルの低下を防ぐために,

マルチタップをある条件に従って電源(商用)に接続する

ことを要求している。したがって,16.9.2.1 では,ME

機器に適用するマルチタップがこの規格の要求事項

に適合する構造であることを要求している。

3.66

  形式名称

形式名称は,ME 機器と販売用及び技術的な文書との関係,附属文書との関係,及び ME 機器の分離で

きる部分間との関係を明確にすることを意図している。

形式名称は,安全性情報又は現場での必要な行為

において,どの ME

機器又は附属品であるかを識別するためにも重要である。

3.67

  マルチタップ

用語及び定義は,JIS C 8282-1 に由来する。

IEC 60601-1-1 [13]

の第 2 版には,マルチタップ(multiple portable socket-outlet)及び補助電源ソケットの

用語があった。この規格では,これらの二つを統合した。

機器の一部を形成する単一の電源用のソケットも

マルチタップとみなしている。

マルチタップは,場合によっては必要であるが,長所及び短所があるので,バランスをとるためには調

査をする必要がある。

マルチタップは,次の理由によって必要な場合もある。

−  床に,は(這)わせる

電源コードの本数を最小限にする。

固定電源ソケットの個数が不十分であるにもかかわらず,適切な治療又は診断に必要な機器全ての使

用を可能にする。

−  一つのトロリーに機器を全て載せることによって移動性を改善する。

−  (

マルチタップに接続することによって,)保護接地線間の電位差を複数の固定電源ソケットに接続し

た場合の電位差以下に低減させる。

なお,

マルチタップの使用は,次の理由によって,できるだけ回避することが望ましい。

接地漏れ電流が合算されて,次のような結果になる可能性がある。

正常状態において過度の接地漏れ電流が流れる。

マルチタップの供給ケーブルの保護接地線が断線(単一故障状態)した場合に,過度の接触電流が

流れる。

電源(商用)の信頼性が,一つの固定電源ソケットの信頼性に依存する。

−  電源供給が完全に断たれる可能性があり,ME

システムの完全復旧に時間がかかる。

−  電気設備の

保護接地接続が一か所だけとなる。これは,ME システムの各部をそれぞれ接地した場合

よりも信頼性が低くなる。

−  保護接地抵抗が増加する。

最適な解決法は,例えば,十分な個数の

固定電源ソケットを適切な設置基準に従って設置することであ

る。

3.68

  ネットワーク・データ結合

ネットワーク・データ結合の用語は,特定の技術,例えば,有線方式の電子伝送に限定しないように定

義した。定義は,無線式の伝送,赤外線,光学的などとともに,あらゆる未来技術を考慮している。

3.73

  操作者

機器を取り扱う人を

操作者として定義した。機器とは,ME 機器であるか,又は ME システムの場合は

それを構成する機器の一つである。扱う人には,次の場合がある。


182

T 0601-1

:2012

患者に対し機器を使用する医療専門家

−  在宅医療環境で,

患者自身又は患者を介助する非専門家

−  疾病,負傷又は身体障害の影響を補償又は緩和するために機器を使用する者

−  機器の設置,組立,保守又は修理をする者

機器の設置,組立,保守又は修理をする者は,この規格の中では

サービス要員とも呼ばれている。

この規格の多くの要求事項は,その

意図する使用に従って機器を使う人と同じリスクにサービス要員が

さらされることを考慮している。しかし,

サービス要員は,多くの場合は,技術者又は技師であり相応の

能力(力量)をもち,技術説明も理解できると予想する。

サービス要員以外の操作者は,サービス要員と

異なる能力をもち,取扱説明書に従うと予想する。したがって,この規格は,場合によっては,

サービス

要員が自分の安全は自分の知識及びトレーニングを頼りにして守り,適切な予防措置を講じて,危険な部

分へ接近することを想定している。

サービス要員以外の操作者は,ME 機器又は ME システムを使用する

能力はもっているが,サービスの作業中に発生する

リスクを回避する能力は必ずしももっていない。

3.75

  高酸素濃度雰囲気

25 %の酸素濃度では,紙の燃焼率の増加は中程度(30 %)である(NFPA 99 [42]による。)。NFPA 99 

よれば,23.5 %が保護手段を要求する有酸素雰囲気であると定義している。しかし,この値は,200 kPa を

超える圧力の酸素容器内で許容されている。NASA は,スペースシャトル(NFPA 53 [41])中で濃度 25.9 %

を許容している。UL 2601-1 [44]は,いき値として 25 %を用いている。エポキシ材料の回路基板のサンプ

ルは,20.9 %及び 25.9 %では,不完全燃焼する(燃える長さはそれぞれ 3 cm 及び 8.3 cm)

。しかし,30 %

では,完全燃焼する。これは Rimanosky,E.M.ら,ASTM STP 1267 [36]のデータである。

炎レートと酸素量との関係を最初に考える場合,炎レートは,分圧から与えられるその場所の酸素量に

比例するとみなすことが合理的である。しかし,経験によると,これは程度の問題に過ぎない。

図 C-1.2.2 

(a)及び(b)(NFPA 53:1999 から)並びに図 A.3.3.14.4NFPA 99:2002 から)は,次のことを示している。す

なわち圧力が一定で酸素濃度を増したほうが,濃度が一定で圧力を増す場合よりも紙がよく燃える。

“完全

燃焼”から“不完全燃焼”への境界線では,酸素濃度は高圧では同じ数値(14 %)になり,絶対(及び部

分)圧力と無関係である。したがって,大事を取るために定義では二つの数値を与えている。濃度限度を

守ると,圧力が小さい場合は,危険は増加しない。分圧限度を守ると,圧力が高い場合(例えば,高圧酸

素室内)

,その状況は,安全である。

3.77

  患者測定電流

患者測定電流は,次のために必要な電流である。

−  ME

機器がその機能を遂行する。例えば,電気インピーダンスイメージング,インピーダンス変化に

よる呼吸のモニタリング。

−  ME

機器の正しい作動のモニタリングをする。例えば,患者との電極の接触インピーダンス。

−  ME

機器が機能する。

上記の他に,ME

機器が機能するために付随して流れてしまう電流である。例えば,生体信号増幅器の

バイアス電流がある。

患者測定電流は,生理作用は意図していないが,その他の機能がある場合も,全くない場合もある。

3.78

  患者接続部

患者接続部を接続した場合の危険状態の一つは,漏れ電流が患者接続部を経由して患者へ流れるという


183

T 0601-1

:2012

事実である。この規格では,

正常状態及び種々の故障状態において流れるこれらの電流の大きさに対し特

定の制限を加えている。

注記  種々の患者接続部の相互間で患者を流れる電流は,患者測定電流である。患者を通して大地へ

流れる

漏れ電流は,患者漏れ電流である。

患者接続部の定義は,装着部のどの部分とどの部分との間に患者測定電流が流れ,どの部分から患者漏

れ電流が接地された患者に流れるかを特定することを意図している。

ある場合には,

患者漏れ電流及び患者測定電流の測定を行い,装着部のどの部分が患者接続部であるか

を決める必要がある。

患者接続部は,必ずしも接触できるとは限らない。装着部の導電性部分が,“患者と電気的に接触する”

か又は“この規格で規定する適切な耐電圧試験若しくは

空間距離及び沿面距離の要求事項に適合しない絶

縁若しくは空隙だけで接触を防止している”場合は,

患者接続部である。3.8 の根拠も参照。

患者接続部として,次の例がある。

患者を支持する寝台の天板は,装着部である。シートが十分な絶縁を備えていない場合は,寝台の天

板の導電性部分は,

患者接続部として分類する。

−  輸液コントローラの輸液セット又は注射針は,

装着部である。輸液コントローラの導電性部分は,十

分な絶縁によって流体(潜在的に導電性)から分離されていない場合は,

患者接続部である。

装着部が絶縁材料の表面をもつ場合は,8.7.4.7 d)では,その表面を金属はく(箔)又は食塩水を使用し

て試験するように要求している。よって,その絶縁材料の表面は,

患者接続部とみなしている。

3.79

  患者環境

診察,モニタ又は治療が行われる領域の寸法をこの規格で定義することは難しい。

図 A.9 に示した患者

環境の寸法は,経験上,妥当とみなしている。


184

T 0601-1

:2012

注記  図の中の寸法は,周辺に何もないときの患者環境の最小の範囲を示している。

図 A.9−患者環境の例

3.81

  ピーク動作電圧

この定義は,IEC 60950-1:2001 の 1.2.9.7 を参照した。この用語を,定義した用語の

動作電圧とともに使

用すると,IEC 60950-1 から導入した

絶縁協調の要求事項が理解しやすくなる。IEC 60950-1 に既に精通し

ていれば,更に分かりやすい。3.56 の根拠も参照。

3.99

  強化絶縁

“絶縁システム”とは,絶縁が均一の一体のものでなければならないとは言っていない。絶縁システム

は,

補強絶縁又は基礎絶縁に分離して試験ができないような複数の層で構成されている場合がある。

3.110

  二次回路

この定義は,IEC 60950-1:2001 の 1.2.8.4 の中の同じ用語の定義に基づいて,

二次回路の過渡的な過電圧

電源(商用)の過渡的な過電圧よりも低く,そのため耐電圧の試験電圧及び空間距離も小さい値となる

回路であることに基づいている。

3.112

  分離装置

機器を組み合わせて ME

システムにする場合に,電力又は信号を伝送する接続部が必要になる。電力の

場合も信号の場合も,同様な分離の要求事項が必要となる。

3.115

  信号入出力部

信号入出力部が電気信号を授受する場合,又はその信号が非電気信号であるが別の機器と導電接続(例

えば,金属外被をもつ光ファイバーケーブルを通して)をする場合は,この規格の要求事項に適合するた

めに他の回路から適切に分離することが必要である。

信号入出力部が導電接続をもたない場合には,電気

的な

基礎安全に対する要求事項は,自動的に満たされていることになる。


185

T 0601-1

:2012

3.120

  電源(商用)

外部直流電源(例えば,救急車内の直流電源)は,

電源(商用)であるとみなしている。そのような電

源への接続を指定する機器は,

電源(商用)から給電される ME 機器に対する要求事項に全て適合する必

要がある。過去に,そのような電源に接続することを指定した一部の ME

機器は,外装と大地電位にある

と想定される電源の片側との間で直接接続されていた。その電源の片側の接続が中断された場合には,そ

のような ME

機器の外装は電源電位となり,したがって,接触電流で規定した限度を超えてしまう。IEC 

60601-1

の第 1 版及び第 2 版は,そのような接続を除外することを意図していたが,規格の使用者は必ず

しもこのことを理解していなかった。要求事項を明確にするためにこの根拠を付け加えた。

3.132

  形装着部

B

形装着部は,全ての形の装着部の内患者の保護の程度は最も低く,心臓への直接使用には適さない。

B

形装着部の患者接続部は,次のいずれかである。

保護接地されている。

−  大地に接続されているが,

保護接地されていない。

−  浮いているが,BF

形装着部に対して要求されている大地からの分離の程度ではない。

3.133

  BF 形装着部

BF

形装着部は,形装着部が備えている患者の保護の程度よりも高い保護の程度を備えている。これは,

患者接続部を ME 機器の接地した部分及び他の接触可能部分から分離にすることによって達成している。

その分離によって,外部電源からの意図しない電圧が

患者に接続され,患者接続部と大地との間に加えら

れた場合にも,

患者を通して流れる電流の大きさは制限されている。しかし,BF 形装着部は心臓への直

接使用には,適していない。

3.134

  CF 形装着部

CF

形装着部は,最も高い患者の保護の程度を備えている。これは,患者接続部を ME 機器の接地部分

及び他の

接触可能部分から強化した分離をすることによって達成している。その分離によって,患者を通

して流れる電流の大きさが可能な限り制限されている。

患者漏れ電流に対する限り,CF 形装着部は,心

臓への直接使用に適しているが,滅菌,生体適合性などの他の観点については適切であるとは限らない。

3.139

  動作電圧

この定義は,IEC 60950-1:2001 の 1.2.9.6 に基づいている。この用語を,定義した用語

ピーク動作電圧と

ともに使用すると,IEC 60950-1 から導入した

絶縁協調の要求事項が理解しやすくなる。IEC 60950-1 に既

に精通していれば,更に分かりやすくなる。3.56 の根拠も参照。

4.1

  ME 機器又は ME システムへの適用のための条件

リスクマネジメントを ME 機器及び ME システムに適用する条件には,合理的に予見可能な誤使用が含

まれている。

製造業者は,予見可能な誤使用をリスク分析の一部として特定することが必要である(JIS T 

14971:2003

の 4.2 参照)

。この特定には,

ユーザビリティエンジニアリング・プロセスの結果を含むことが

ある。

4.2

  ME 機器又は ME システムのためのリスクマネジメントプロセス

この規格では,次のような変更をした。最低限の

基礎安全及び基本性能に対する要求事項を規定すると

き,例えば,新技術の安全を評価するときに特定の適合又は不適合の基準を用いて試験室で試験する代わ

りに,設計

プロセスの妥当性評価をした方がよい場合がある。この原則を適用した結果,この規格への適

合性を実証することの一部として

リスクマネジメントプロセスを用いるという要求事項を導入した。


186

T 0601-1

:2012

製造業者は,ME 機器の設計及び構造がその意図する使用に適すること,並びにその使用に関連したリ

スクがリスク/効用分析に照らし合わせてその効用を超えることなく,受容可能であることを確実にする

責任がある。JIS T 14971 は,

製造業者が行う次の手順を規定している。ME 機器又は ME システム及びそ

附属品に関連するハザードを特定すること,それらのハザードに関連するリスクを推定し,評価するこ

と,それらの

リスクをコントロールすること,かつ,そのコントロールの有効性を監視することである。

この規格の箇条では,

検証可能な具体的な要求事項を規定しているが,

それらの要求事項に適合すれば,

関連する

リスクを受容可能なレベルにまで低減できると想定している。

ME

システムの製造業者は,システムのレベルについて,この決定をすることが望ましい。製造業者は,

システムの個々の機器が統合されて一つのシステムになったという事実に起因する

リスクを評価すること

が望ましい。この評価は,システムの個々の機器の相互間で交換される情報の側面を全て含んでいること

が望ましい。これらの機器が非 ME

機器であった場合でも,これらのシステムの個々の機器を ME システ

ムに統合したことに関連する潜在的なリスクを考慮する必要がある。医用機器でない機器を ME システム

に統合することに対する具体的な要求事項は,箇条 16 に規定してある。それは ME

システムに対する要

求事項であり,ME

機器ではない機器に関連するリスクをどのように扱うか規定してある。

製造業者は,JIS T 14971 に適合するために正式な品質システムを整備することが要求されていないとい

うことに注目することが望ましい。

この

リスクマネジメントプロセスを実施すると,その結果として一組の記録及び他の文書,すなわちリ

スクマネジメントファイルができあがる。リスクマネジメントプロセスに適合しているかどうかは,リス

クマネジメントファイルの調査によって確認される。

全ての場合について,

製造業者は,開発する装置についての専門家であり,その使用に関連するハザー

ドに関しても専門家である。

適合性の試験を

リスクマネジメントファイルの検査又は見直しによって行う場合,見直す必要があるの

は,

リスクマネジメントファイルの中で関連する部分だけである。例えば,製造業者の計算若しくは試験

結果又は

リスクの受容性(受容できるか否か)の決定である。

この規格では,受容できない

リスクという用語を使っている要求事項,及び危険状態という用語を使っ

ている要求事項がある。受容できない

リスクは,全て危険状態の結果であるが,危険状態が全ての場合に

おいて,受容できない

リスクを生じるとは限らない。

いずれの用語を使うかを決めるときに,次の考え方に基づいた。

−  受容できない

リスクという用語を使うのは,製造業者がリスクの受容性について判断しなければなら

ないか,又は判断してもよいときである。その判断は,適切な根拠,例えば経験,過去のデータなど

で裏付ける必要がある。

危険状態という用語を使うのは,ある要求事項を適用するかどうかを危害の可能性によって決めると

きである。この場合,

製造業者は,危険状態の有無を決定するだけで,その危険状態から生じるリス

クについて考慮することなく適合性の決定をすることができる。

ハザードという用語を使うのは,ハザードに必ずしもさらされていない(つまり,危険状態に至るか

どうか分からない。

)場合である。

4.3

  基本性能

IEC 60601-1

の第 3 版では,その第 1 版及び第 2 版で取り扱っていた“安全”の概念を広げて,

基礎安

全及び基本性能(例えば,生体情報モニタ機器の精度など)を含めた。この原則を適用したので,第 2 版


187

T 0601-1

:2012

の名称“医用電気機器の安全,第 1 部:安全に関する一般的要求事項”を,

“医用電気機器,第 1 部:基礎

安全及び基本性能に関する一般要求事項”に変更した。

基本性能の説明については,3.27 の根拠を参照。

4.4

  予測耐用期間

製造業者は,予測耐用期間をリスクマネジメントプロセスの一部として決定する必要がある。これは,

この規格の多くの要求事項,例えば,4.54.77.1.38.6.39.8.2 及び 11.6.6 への適合性を評価するため

の前提条件である。

製造業者は,附属文書の中で,ME 機器の耐用期間が終わりに近付くのはいつ頃であるのか責任部門が

評価できる情報を記載することが望ましい。そのような情報には,

製造業者が決定する予測耐用期間(例

えば,何年間,何回使用できるか。

)だけでなく予防保守の一部として行う試験,又は

責任部門による適切

な決定をするための判断基準も含めることが望ましい。そのような情報の必要性及びそれを提示する適切

な方法は,

リスクマネジメントプロセスの一部として扱うことが望ましい。

4.5

  ME 機器又は ME システムと同等な安全性

この細分箇条は,同等な安全を達成する代替手段を使用することを認めている。これは,

製造業者が,

より安全であるか又は例えば,コスト若しくは性能の点で他の利益をもたらす可能性がある革新的な解決

策を使用することを認めている点において,重要である。

リスクマネジメントファイルの中の文書には,代替手段を用いて達成した結果の残留リスクが,この規

格の要求事項を適用して達成した結果の

残留リスク以下であるか又は同等であることによって受容可能で

あると示すことが望ましい。

残留リスクがこの規格の要求事項を適用して達成した結果の残留リスクよりも大きい場合は,その ME

機器又は ME システムは,たとえ残留リスクが患者の臨床的な効果のような他の観点から完全に正当化さ

れたとしても,この規格に適合するとみなすことはできない。

4.6

  患者が接触する ME 機器又は ME システムの部分

意識がないか,麻酔状態であるか又は正常でない

患者が偶然に接触する部分は,常に患者と接触する装

着部と同じリスクを考慮する必要がある。これに反して,活動的な患者の手足が届いて触れることができ

る部分は,

患者よりも,むしろ操作者にリスクを負わせる場合がある。

IEC 60601-1

の第 1 版及び第 2 版の

装着部の定義は,この問題を取り扱っていなかった。第 2 版の追補 2

では,

患者と接触する可能性がある部分を含めるためにその定義を広げたが,引き続き混乱を招いた。

この規格は,

リスクマネジメントプロセスの実施を要求しているので,そのような部分が装着部に対す

る要求事項に従うのがよいかどうかを確立するために,その

プロセスを使用することは適切である。

患者に接触する部分に対して装着部の表示が必要であるという要求事項を除外したのは,第 3 版の原案

作成中に,

この問題に対する問いかけに回答した各国の国内委員会の大多数の意見を反映したからである。

それは,もし

装着部だけでなく接触することを意図していない部分にも装着部であるかのように表示する

と,

操作者が混乱するという意見があったからである。

4.7

  ME 機器の単一故障状態

ME

機器は,単一故障安全でなければならないという要求事項によって,ハザードに起因する危害の発

生確率を効果的に低い限度に抑えることができる。その低い確率が達成できれば,その

ハザードに起因す

リスクは,受容可能となる。特定のハザードについて重大さ又は発生確率を論議をする場合がよくある

が,正しくは,それは全ての場合において,その

ハザードから発生する危害の確率及び重大さを指してい

る。


188

T 0601-1

:2012

単一故障安全は,IEC 60513 [12]で記載している単一故障という考え方に由来する概念である。単一故障

安全は,ME 機器の特徴であって,その予測耐用期間中の基礎安全を保証するものである。重大さが大き

危害については,リスクマネジメントプロセスを適用すると,その大きすぎる重大さのために,単一故

障の概念において受容できる

リスクを達成することができなくなってしまう。

次のいずれかによって,二つの単一故障が同時に発生する確率は,無視できるほど小さいとみなす。

a)

単一故障が一つの保護装置(例えば,ヒューズ,

過電流開放器,落下・転倒防止装置など)の作動を

引き起こして

危険状態の発生を防止する。

b)

単一故障が,間違えようがなく,かつ,はっきりと識別できる信号(視覚,聴覚など)によって,

作者がそれに気付く。

c)

取扱説明書で指定した定期点検及び保守によって単一故障が発見され修復される。二番目の故障が,

次の定期検査及び保守周期の前に発生する確率には,限りがある。a)の場合と同様に,二重故障の確

率が無視できるほど小さいためには,各々の故障の確率は低くなければならない。これは,検査及び

保守の頻度を故障発生の予想する確率よりも高くすることを意味する。一つの

単一故障状態が検知さ

れ修復されるまでの期間が長いほど,二番目の故障が発生する確率は,それだけ高くなる。したがっ

て,

製造業者は,二番目の故障の発生についてのリスク分析の一部として検出期間を明確に考える必

要がある。

上記の a)∼c)の例として,次のようなものがある。

強化絶縁又は二重絶縁

基礎絶縁が破壊した場合のクラス の ME 機器

−  ディスプレイの異常な表示,過度の雑音又は摩擦を引き起こす予備懸垂ワイヤの欠陥

正常な使用で動かされる可とう保護接地線の劣化

4.9

  ME 機器における高信頼性部品の使用

高信頼性部品を決定する第一歩は,リスク分析をして,基礎安全又は基本性能を維持するために必要な

特性を見つけることである。これを実施した後に適切な部品を選択することができる。必要な特性は何か

を決定する作業の一部として,JISIEC などの部品規格を参照してもよい。

高信頼性部品に対する形式試験は,適切であるかどうかを決めるときに必要な作業の一部にすぎない。

特定の

高信頼性部品は,意図するように機能しなければならないし,又は危険状態となる可能性があるの

で,次の事項を適宜追加して考慮することが必要である。

−  製造

プロセスの一部としての,及び最終製品に組み込んだ後の連続的な監視

−  特性

−  ロット試験

−  校正

−  製造欠陥の管理

−  保守

−  機器の

予測耐用期間

−  関連する部品規格の使用

−  故障モード特性

−  環境条件

−  予想される機器の誤使用


189

T 0601-1

:2012

−  他の機器との相互作用

4.10

  電源

交流電圧は,任意の波形の瞬時値と同じ瞬間における理想的波形の瞬時値との差が理想的波形のピーク

値の±5 %を超えない場合は,実質的に正弦波とみなしている。

多相電圧系は,その逆相分の大きさも零相分の大きさも,ともに正相分の大きさの 2 %を超えない場合

は,対称であるとみなしている。

多相電源系は,

対称電圧系から供給されたとき電流系が対称になる場合は,

対称であるとみなしている。

すなわち,逆相電流成分の大きさも零相電流成分の大きさもともに正相電流成分の大きさの 5 %を超えな

いことである。

5

  ME 機器の試験に対する一般要求事項

ME

機器において,多くの絶縁物,部品(電気及び機械部品)並びに構造物に性能の劣化又は性能の欠

如が起きたとしても,

患者,操作者又は周囲には危害(対応国際規格では,ハザード)を与えることはな

いと思われる。

5.1

  形式試験

リスクマネジメントプロセスでは,ME 機器が安全であることを確実にするために必要なリスクコント

ロール手段を特定することが必要である。

この規格の中で他に規定している場合を除いて,試験を繰り返さないことが望ましい。それは,特に耐

電圧試験であり,

製造業者の施設又は試験所だけで実施している。

ME

機器の個々の製品の全てがこの規格に適合することを保証するために,製造業者又は据付業者は,

個々の製品が製造中又は据付中に完全には試験をしなくても,要求事項の全て適合するような手段を製造

中又は据付中に講じることが望ましい。

そのような手段としては,次の形式をとることができる。

a)

そのような品質が安全に関係する場合の製造方法(良品及び一定品質の保証)

b)

個々の製品に対する製造試験(出荷検査)

c)

試験結果が十分な信頼水準を正当化する場合は,抜取りによる製造試験の実施

製造試験は,

形式試験と同一である必要はないが,製造条件に応じて変更することもでき,更に基礎安

全及び基本性能にとって重要な絶縁の品質又は他の特性について,リスクを小さくすることができる。

製造試験は,最悪の状態を発生させる設定(例えば,

形式試験によって分かった最悪の状態)に限られ

ると思われる。

製造方法又は試験は,ME

機器の性質に基づいて,電源部,患者接続部,及びこれらの部分相互間の分

離の重要な絶縁又は分離に関係している。

推奨する試験項目としては,

漏れ電流及び耐電圧である。

該当する場合,保護接地の連続性は,重要な試験項目である。

5.2

  サンプルの数

形式試験のサンプルは,その使用を意図する責任部門のための機器を代表するものである(つまり,最

終製品を代表するものがサンプルである。

5.7

  湿度前処理

JIS C 0920

に従って,

定格が IPX8 の ME 機器の外装は,宣言した条件の下で,危険状態になるような


190

T 0601-1

:2012

量の水の浸入を防ぐ。

試験条件と同様に,水の受容可能な量及び箇所は,個別規格で定義することになっている。水の浸入を

許容しない場合(密封した

外装),湿度前処理の適用は不適当である。

湿度に敏感な部分は,通常,管理された環境で使用され安全に影響を及ぼさないので,その部分はこの

試験をする必要はない。例えば,コンピュータに基づくシステム内の高密度記憶媒体,ディスク及びテー

プ駆動などである。

ME

機器を加湿槽に入れた場合の結露を防止するために,ME 機器を入れるときの加湿槽の温度は,ME

機器の温度に等しいか又は若干低めにしておく必要がある。加湿槽外の室内の温度安定装置を不要にする

ため,処理中の加湿槽内の空気の温度は,20  ℃∼32  ℃の制限範囲内で加湿槽外の空気温度を使用し,か

つ,初期値を維持する。加湿槽内の温度が湿気の吸収度合いに影響することは認められるが,試験結果の

再現性が本質的には損なわれないこと及び費用低減効果が著しいことが分かっている。

5.9

  装着部及び接触可能部分の決定

患者支持機構及びウォータベッドのような特別な場合を除き,ME 機器との接触は,次のような場合を

想定している。

−  片手による場合:これは

漏れ電流測定のために 10 cm×20 cm(又は ME 機器全体がこれよりも小さい

場合は,それに合わせた小さい面積)の金属はくで模擬する。

−  1 本の指による場合:自然の状態で真っ直ぐか又は曲げた指で,それはストッパを備えたテストフィ

ンガで模擬する。

−  外側に引っ張ることによって指が入るような縁部又は隙間の場合:テストフックとテストフィンガと

の組合せによって模擬する。

5.9.2.1

  テストフィンガ

機器の外装の部分である開閉カバーは,調節,検査,置換又は修理の目的のために電気機器の部分へ接

近できるよう取り外せるものである。

工具を使わないで取り外せる部分は,取扱説明書に記載してなくて

も,

サービス要員だけでなく操作者は,誰もが交換できると考えている。サービス要員以外の操作者は,

サービス要員と異なり安全な作業についての訓練及び経験がない。したがって,安全の注意事項を追加し

て危険電圧との偶然の接触を防ぐ必要がある。この理由から,ランプ,ヒューズ,及びヒューズホルダの

ような部品で

工具なしで取り外せる部品は,開閉カバーの内部のどの部分が接触可能部分であるかを決め

る前に,それらを取り外しておくことになっている。

工具を使わないで取り外せるキャップの中にヒューズを保持するヒューズホルダの場合は,特に心配で

ある。キャップを取り外したときヒューズリンクが出てこないと,

操作者はヒューズ端を指でつまんでそ

れを取り外そうとする。新しいヒューズをヒューズホルダに挿入しようとする場合にも,新しいヒューズ

をキャップに保持しないで挿入する可能性がある。これらの両方の場合とも,合理的に予測可能な誤使用

である。どの部分が接近可能か評価するときこのことを考慮に入れることが望ましい。

ヒューズホルダについての詳細は,IEC 60127-6 [7]を参照。

6

  ME 機器及び ME システムの分類

ME

機器には,種々の分類方法がある。

6.2

  電撃に対する保護

“クラス III 機器”という用語は,一部の規格で安全特別低電圧(SELV)の電源系から給電される機器

を特定するために使用されている。この規格では,クラス III 機器という用語を正式には使用していない。


191

T 0601-1

:2012

クラス III 機器の

基礎安全は,設備及びその設備に接続される他のクラス III 機器に大きく依存している。

これらの要因は,

操作者が管理できる範囲外であり,ME 機器にとって受容できないと考えられる。さら

に,電圧を制限しただけでは,

患者の安全を保証するのには十分とはいえない。これらの理由から,この

規格では,クラス III の構造を認めていない。

6.3

  水の有害な浸入又は微粒子状物質の有害な侵入に対する保護

留意することが望ましいことは,この規格の要求事項に適合させれば,

製造業者は,ME 機器を IP2X

として分類できるということである。それは,IEC 60529JIS C 0920(IDT)

]の分類に対する要求事項が,

この規格の接近しやすさの要求事項と同じだからである(5.9 参照)

6.6

  作動モード

連続作動(運転)及び非連続作動(運転)は,事実上全ての機器の作動モードの範囲をカバーしている。

電源(商用)に電源用のプラグを差し込んだままの ME 機器が間欠的に作動する場合には,非連続作動(運

転)の定格とし,適切な入/切時間を附属文書で示し,かつ,ME 機器に表示することが望ましい(7.2.11

参照)

7.1.1

  標識,表示及び文書のユーザビリティ

ME

機器の設計を完璧にするために,その表示(マーキング)及び附属文書が,明確で一貫性があり潜

在的な誤使用を減らすことが望ましい。したがって,表示及び

附属文書は,他の操作者と ME 機器との間

のインタフェース要素と同じ程度に厳しく評価することが望ましい。

7.1.2

  表示の見やすさ

ME

機器の表示は,操作者が ME 機器を通常操作する場合に,正常な照度レベルの範囲で明瞭に見える

ことが望ましい。この試験で使用する照度レベルは,室内照明設計[51]で使用されている次の推奨照度レ

ベルに由来している。

−  時折り行う視覚作業の作業域に推奨されている 100 lx∼200 lx

−  細かな視覚作業又は見やすさが中程度の鉛筆の筆跡を読むのに推奨されている 500 lx∼1 000 lx

−  低コントラスト又は非常に小さい文字,例えば,硬い鉛筆でざら紙に書いた筆跡を読む場合に推奨さ

れている 1 000 lx∼2 000 lx

表示が,予想できる条件の下で

操作者にとって明瞭でない場合には,受容できないリスクが生じる可能

性がある。

最小解像角度(MAR)は,長く用いられているスネレンスケール(Snellen scale)を改良して開発され

た視覚測定法である。この値は,最小解像角度の対数として表している。Log MAR は,スネレンスケール

から計算できる,つまり正常視力の場合,log MAR= log(6/6)=0 である(日本では,小数視力 1.0 に相当す

る。

7.1.3

  表示の耐久性

こすり試験は,蒸留水,変性アルコール(メタノールを加えた非飲料用エタノール)及びイソプロパノ

ールを用いて実施する。

エタノール 96 %は,日本薬局方の中で試薬として,化学式 C

2

H

6

O(分子量 46.07)で定義されている。

イソプロパノールは,日本薬局方の中で試薬として,化学式 C

3

H

8

O(分子量 60.1)で定義されている。

7.2.2

  識別

この細分箇条は,誤認が受容できない

リスク(対応国際規格では,ハザード)を生じる場合に,取り外


192

T 0601-1

:2012

しができる部分に適用する。例えば,通常の消耗品は識別する必要があるが,化粧用のカバーには識別す

る必要がない。

形式名称は,通常,ある性能仕様を意味するが,これだけでは,使用した部品及び材料を含めて正確な

構成を示すことはできないこともある。正確な構成を示す必要がある場合には,

形式名称に製造番号を補

足すればよい。製造番号は,その他の目的で使用してもよい。

地域の法規,条例などによって,個々の識別を要求する場合は,生産シリーズの表示だけでは十分では

ない場合がある。

異なるバージョンが PEMS の上で使用できることは,ソフトウェアの特性である。ソフトウェアが使用

者インタフェースをもたないときなどは,可能ではない場合があるが,ソフトウェアの識別は多くの場合

は,使用者インタフェース上にあることが多い。ソフトウェアの識別は,特別の道具を必要とする場合が

ある。この理由から,この要求事項では,識別が利用できるのは指定された人々だけでよいとしている。

7.2.3

  附属文書の参照

取扱説明書に含まれている全ての警告について,ME

機器に表 D.2 の安全標識 10 を用いて表示する必要

はない。多過ぎる警告及び不必要な警告は,逆効果である。

製造業者が,特定のリスクに対するリスクコ

ントロールの手段として,ME 機器に表示をして,操作者に取扱説明書を読むように決定した場合に限っ

て,

表 D.2 の安全標識 10 を使用することが望ましい。

7.2.4

  附属品

責任部門及び操作者は,基礎安全又は基本性能を妨げないためにはどの附属品が使用できるかを知るた

めに,

附属品を識別できる必要がある。形式名称だけでは,異なる製造業者が同じ番号を使用する場合が

あるので不十分である。

附属品上に表示された名称は,ME 機器の製造業者の名称か又は別の名称の場合

もある。

7.2.10

  装着部

IEC 60601-1

の第 2 版によると,表示は,

装着部自体の上か又はその接続点の近傍に付けてもよいと定

めてある。いずれの位置も全ての場合において満足ではない。

患者接続部から絶縁されていない導体が,

ME

機器内部の絶縁隔壁が存在する場所まで伸びている場合は,BF 形装着部又は CF 形装着部の表示を装

着部自体の上に付けると,責任部門又は操作者は,絶縁が装着部自体に組み込まれていると誤解すること

がある。一方,使用される特定の

装着部によって分類が異なる場合には,接続点上に一か所に表示しただ

けでは不正確であり,また複数の表示をすると混乱を生じる。

耐除細動形装着部については,除細動器の放電の影響に対する保護が,患者ケーブルの中にある場合は,

操作者に対する警告が必要である。それは,間違ったケーブルを使用すると,目に見えない危険状態が生

じるからである。

危険状態とは,例えば,患者に加える除細動エネルギーの減少,ME 機器の損傷による

基本性能の喪失,又は操作者若しくは他の人への電撃である。

7.2.12

  ヒューズ

IEC 60127-1

に適合するヒューズの表示の例は,次のとおりである。

− T

315L,250V

− T

315mAL,250V

− F

1.25H,250V

− F

1.25AH,250V

動作速度は,IEC 60127-1 による文字又はカラーコードで表示する。その色は,次のとおりである。


193

T 0601-1

:2012

−  非常に速い動作:  FF,又は黒

−  速い動作:  F,又は赤

−  中程度の時間遅れ:  M,又は黄

−  時間遅れ:  T,又は青

−  長い時間遅れ:  TT,又は灰色

7.3.2

  高電圧部分

高電圧部分は,ME 機器が給電されている間に機器内部の作業をするサービス要員及び他の人に著しい

電撃の原因となる

ハザードが存在している。その部分は,外装の内部にあるので,ME 機器の外部にある

高電圧端子盤よりも危険性はかなり小さい。したがって,“危険電圧”を示す表 D.1 の図記号 24 を表示し

て,

サービス要員と他の人にこれらの危険な電圧が潜在的に存在することについて注意をさせてもよい。

製造業者は,表 D.2 の安全標識 3 を使用してもよい。ハザードにさらされている人が,最低限の訓練しか

受けていないか又は

高電圧の存在に気づかない場合には,安全標識が最も適切な選択であるかどうかは,

リスクマネジメントプロセスで決定することができる。

7.3.4

  ヒューズ,感熱遮断器及び過電流開放器

7.2.12

の根拠を参照する。

7.8

  表示光及び制御

表示光の色については,更に IEC 60073 [5]を参照する。

7.9.1

  一般

ME

機器又は ME システムは,製造業者が意図しない用途に無意識に使用されないことが重要である。

7.9.2.1

  一般

責任部門及び操作者は,しばしば種々の ME 機器を扱っている。最近の ME 機器は複雑なため,取扱説

明書は,ME

機器の重要な一部分となっている。取扱説明書の構成を共通にしておけば,操作者は,必要

な情報を早く容易に見つけることができる。しかし,この規格が対象とする ME

機器は,多様であるので

一種類の書式を全ての ME

機器に適用することはできない。したがって,製造業者が,取扱説明書を作成

する場合には,概要として 7.9.2.27.9.2.16 の順に記載することを奨励するが,強制するものではない。

表示及び

附属文書に使用する言語の問題は,IEC によって解決することはできない。標識及び附属文書

は,その国の言語で書かなければならないという要求事項さえ,全世界的な立場から支持することはでき

ない。

7.9.2.2

  警告及び安全上の注意

クラス の ME 機器で,作動が電源(商用)又は内部電源によると指定した場合,保護接地線又は外部

の保護接地系の安全レベルが疑わしいときは,取扱説明書で

内部電源を使用する旨を記載することが望ま

しい。

7.9.2.6

  設置

取扱説明書には,

製造業者,組立業者,設置業者又は輸入業者が ME 機器又は ME システムの基礎安全

の効果,信頼性及び性能に対して責任を負うのは,次の場合に限るという記載を含めることができる。

−  適切に訓練された要員が組立作業,増設,再調整,許された変更(例えば,アップグレード)又は修

理を行う。

−  設置する部屋の電気設備は,要求事項に適合する。

−  ME

機器又は ME システムは,取扱説明書に従って使用する。

7.9.2.7

  電源(商用)からの切離し


194

T 0601-1

:2012

プラグ及びソケットは,8.11.1 a)に適合するために

電源(商用)からの切離しに適切な手段を提供する

ものであるが,必要なとき容易に接近できない場合は,適切な手段とはいえない。

7.9.3.1

  一般

製造業者は,ME 機器の意図する使用に従って,危険状態を生じさせない許容可能な環境条件を指定す

ることが望ましい。次のような環境条件を考慮することが望ましい。

−  湿度の影響

−  温度の影響

−  気圧の影響

−  衝撃及び振動の影響

−  紫外線の影響

−  水冷式 ME

機器の場合,水の温度の影響

−  汚損の影響

精度及び精密度は,この規格の中では定義することはできない。これらの概念は,個別規格の中で扱う

必要がある。

次に示した値は,IEC 60601-1 の第 2 版の中で規定した使用環境条件の範囲で,この範囲内で ME

機器

は安全であることを要求していた。

a)

周囲温度範囲:10  ℃∼40  ℃

b)

相対湿度範囲:30 %∼75 %

c)

気圧範囲:70 kPa∼106 kPa

d)

水冷式 ME

機器の流入口における水温:25  ℃以下

これらの環境条件は,

周囲温度が時々+40  ℃に達する気候において空調がない建物内の条件に基づいて

いた。

IEC 60601-1

の第 2 版の中では,ME

機器は,製造業者が附属文書で指定した上記の使用条件下で作動さ

せた場合に,安全でなければならなかった。

この規格では,幾つかの要求事項及び試験のために特別の環境条件を規定している。規定していない場

合は,ME

機器は,製造業者によって附属文書で指定された使用環境条件下で安全,かつ,正確に作動す

る必要がある。

装着部が 41  ℃の限度値に近い温度で作動する必要がある場合には,40  ℃の環境条件を ME 機器に適用

するには常に問題があったという事実が注目を引いていた。

IEC 60601-1

の第 2 版では,ME

機器の輸送及び保管の環境条件について,製造業者による別段の指定が

ない限り,次の範囲を規定していた。

−  周囲温度範囲:  −40  ℃∼70  ℃

−  相対湿度範囲:  10 %∼100 %,結露状態を含む。

−  気圧の範囲:  50 kPa∼106 kPa

IEC 60601-1

の第 2 版の追補 2 は,上記のリストを,

製造業者は許容可能な輸送及び保管条件を記載す

ることという要求事項に取り替えた。しかし,他の情報がない場合は,上記のリストは,許容範囲を決定

するときに有用な出発点として役立つことができる。


195

T 0601-1

:2012

環境上のパラメータ,及び条件の範囲内の限られた数の厳しさについて電気製品が輸送,保管,設置及

び使用中に満たさなければならない情報は,IEC 60721 規格群[18]にある。

永久設置形の高出力の ME 機器の場合は,顧客の設置場所において,地域の条件によって機器への入力

電圧が最低正常電圧以下になるのを防ぐために電圧降下を制御する必要がある。制御は,

電源(商用)イ

ンピーダンスの要求仕様によって可能である。

7.9.3.4

  電源の切離し

サービス要員は,どのような方法で ME 機器を電源(商用)から切離しをするのかを知る必要がある。

特に,

電源部に 8.11 の要求事項に適合しないスイッチがある場合は,必ずしも明らかでない。

8

  ME 機器の電気的ハザードに関する保護

電撃からの保護の基本原則は,接触可能表面と,他の接触可能表面又は大地との間の電圧又は電流が十

分に低く,

正常状態及び単一故障状態を含む全ての該当する状況下で,危険状態を生じないことである。

保護を達成するための要求事項は,IEC の基本安全規格,IEC 60601-1 の第 2 版及び他の IEC の製品規

格の中で種々の方法を規定している。

基本原則を満たすためには,次が必要である。

a)

“生きている”部分(IEC 60601-1 の第 2 版に定義されている)又は“危険な状態で生きている”部

分(他の幾つかの規格,例えば IEC 61140 [23]及び IEC 61010-1 [22]に定義されている)は,接触可能

であってはならない[しかし何が“生きている”かを識別する問題については,b)以降を参照する。

b)

装着部を含む接触可能部分は,“生きている”又は“危険な状態で生きている”状態であってはならな

い。

注記  用語の“生きている”は,IEC 60601-1 の第 2 版では,次のように定義されていた。

“その部分に接続が行われたとき,接続した部分に対する許容される

漏れ電流(19.3 に規

定していた。

)を超える電流が,その部分から大地,又はその部分から同一

機器の他の接触可

能部分に,流れる可能性がある部分の状態。”

これらの a)及び b)の二つの要求事項は,原理的には同等である。しかし,幾つかの規格はそれらを両方

とも規定している。

これらの要求事項は,次のことを意味している。

c)

装着部を含む接触可能部分は,内部の“生きている”部分から分離しなければならない。一般には,

二つの別々の

保護手段が必要である。一つは正常状態での分離を備え,他の一つは単一故障状態での

基礎安全を維持する。

d)

漏れ電流(おそらく電圧及びエネルギーも)は,許容限度未満でなければならない。

ほとんどの規格は,保護を提供するこれらのことを対象にした明確な要求事項を含んでいる。例えば,

IEC 60601-1

の第 1 版及び第 2 版では,箇条 16 の a),箇条 19 の b)及び d)並びに箇条 17,箇条 18 及び箇

条 20 の c)で扱っていた。

第 2 版の箇条 16 の要求事項 a)は,典型的には,内部の“危険な状態で生きている”部分との接触を防

ぐため

外装又は隔壁を備える要求事項を規定していた。しかし,どの部分が接触可能であるか否かを決定

することは,二者択一で明確にすることが可能である。いずれにせよ,

外装又は隔壁の妥当性は,適切な

テストフィンガ又はプローブを用いて決定することができる。


196

T 0601-1

:2012

上記のアプローチを ME

機器に適用すると幾つかの困難が生じる。電圧及び電流の限度は,どのように

当該部分が

患者に接続されるかによって異なる。例えば,心臓に直接か,他の身体部位に直接か,又は操

作者を介して間接的に接続されるのかである。このような状況から,(接続される対象によって)どの部分

が“生きている”部分であるか,識別することが困難になった。

IEC 60601-1

の第 2 版において,

“生きている”ことの定義は,許容

漏れ電流を判断基準にしていた。し

たがって,この定義は,特定の

漏れ電流の限度が規定されない内部の部分に適用するのは困難があった。

ある一つの部分が,ある目的のために“生きている”

(第 2 版で定義)部分であり,同時に他の目的のた

めには“生きていない”部分の場合がある。例えば,200 μA の電流発生源である内部の部分は,

正常状態

において

患者接続部を含む全ての接触可能部分から分離されなければならない。

内部の電流源からの 200 μA の電流は,許容できないので,CF

形装着部の患者接続部からの分離は,単

一故障状態においても有効でなければならない。しかし,同じ部分が,単一故障状態では他の接触可能部

分及び患者接続部に接続されることがある。

したがって,そのような部分と CF

形装着部の患者接続部との間では二つの保護手段(例えば,二重絶

縁又は強化絶縁)が必要になる。しかし,そのような部分と他の接触可能部分との間では,一つの保護手

段(例えば,基礎絶縁だけ)であっても認められる。

さらに,接触可能な部分と,

“生きている”部分との間の必要な分離を規定する要求事項は,

“生きてい

ない”が“生きになる”可能性のある部分については判断が容易ではない。例えば,浮いている回路部分

は,同じ回路の別の部分に接続されると“生きになる”可能性がある。

例として,

図 A.10 で示した単純な状況について考えてみる。

ME EQUIPMENT

Metal

APPLIED PART

B

A

図 A.10−浮いた回路

装着部は,保護接地していない金属製外装をもっている。点 A で直接接続された場合,二次回路の反対

側は“生きになる”ので,IEC 60601-1 の第 1 版でさえ B 点において,

二重絶縁又は強化絶縁を要求した

だろう。

上記とは対照的に,第 1 版では,点 B で直接接続された場合は,点 A において

基礎絶縁だけを要求した

だろう。しかし,IEC 60601-1 の第 2 版では,点 A において

二重絶縁又は強化絶縁を要求する 20.2 の B-e

を追加することによって,この問題を処理した。

しかし,何らかの絶縁が点 A 及び点 B の両方にある場合には,その

二次回路のどの部分も第 2 版の定義

によれば“生きている”とはいえないので,その絶縁に対する要求事項を規定していなかった。したがっ

て,それは最小限の絶縁でよかった。IEC のドイツの国内委員会がこの問題を 1993 年に発見したが,不

ME

機器 

金属の ME

機器 


197

T 0601-1

:2012

運にも手遅れであり,第 2 版の追補 2(最終の追補)でもそれを扱うことはできなかった。この版で採用

した考え方は,この問題を解決することを意図している。

この規格のこの版で提案した方式は,次の全てを規定している。

1)

どの部分を

接触可能部分とみなすかを決める方法(検査によって,及び必要な場合は,適切なテスト

プローブ及びテストフィンガを使って決める。

2)

正常状態及び該当する単一故障状態における電圧,電流又はエネルギーの許容限度。これらの限度は,

患者への又は操作者への接続が可能であるかどうかの状況に依存している。

3)

正常状態として,動作電圧に対する要求事項に適合しない絶縁,空間距離,沿面距離又はインピーダ

ンスの短絡,及び

保護接地接続に対する要求事項に適合しない接地接続の開路。

4)

単一故障状態として,動作電圧に対する要求事項に適合している絶縁,空間距離,沿面距離又はイン

ピーダンスの短絡,該当する部品の短絡,及び

保護接地接続に対する要求事項に適合している接地接

続の開路。

この考え方を採用すれば,既存の IEC 規格が規定している特定の保護の手段に対して明らかな個別の要

求事項を含めるという必要性を回避することができる。おそらく,この第 3 版で規定している二つの

保護

手段に対する一般要求事項も回避することができるが,この規格の原案作成の作業グループは,このよう

な要求事項は,望ましいと考えた。

“生きている”という定義された用語を使用した第 2 版からの要求事項を継承する部分では,この用語

を使用しないように要求事項をいい換えた。

第 3 版では,一般に,次の組合せによって保護がされている。

−  電圧又はエネルギーの制限,又は保護接地(8.4 及び 8.6 を参照)

−  エネルギーをもつ回路に対する囲い又はガード(5.9 を参照)

−  適切な品質及び構造による絶縁(8.5 を参照)

耐電圧の要求事項は,ME

機器の様々な場所で使われる絶縁材料の品質を確認することを含んでいる。

8.1

  電撃に対する保護の基本規則

8.1 a)

8.8

に適合しない絶縁,8.9 に規定するよりも狭い間隔などは,

装着部を含む接触可能部分に現われる電

圧又は

漏れ電流に影響を及ぼす可能性があるので保護手段ではない。したがって,そのような部分は,そ

のままにしておくか又は短絡するかいずれか最も悪い結果になる方で,測定する必要がある。

一般に,信号接続が完全であることに対する要求事項はないので,機能接地接続の中断は,

正常状態と

みなしている。

8.1 b)

漏れ電流は,クラス の ME 機器中の基礎絶縁の破壊という単一故障状態では,一般に測定していない。

その理由は,

漏れ電流は,この場合ヒューズか又は過電流開放器が作動するまでの時間しか流れないか,

又は

漏れ電流が分離した電源の使用によって安全な値に制限されるかのいずれかであるからである。例外

的に,

基礎絶縁が短絡しているときの漏れ電流を測定するのは,ME 機器の内部の保護接地接続の有効性

が疑わしい場合である。

[本体の 8.6.4 b)参照]

短絡状態は,場合によっては,必ずしも最悪の場合とは限らない。例えば,過電圧保護素子(装置)は,


198

T 0601-1

:2012

絶縁の損傷を防ぐことを意図しているが,

開路状態になるとその安全機能を失ってしまう。

これによって,

絶縁が損傷する場合がある。この細分箇条の中でほとんどの場合において,開路状態は実施しなくても問

題ないが,一部の部品の場合には,開路状態は重大な故障モードとなることが知られている。ME

機器の

部品は,4.8 でも扱われている。

装着部を含む接地していない接触可能部分に加わる最高電源電圧の存在に関しては,8.5.2.2 及び 8.7.4.7 

d)

に対する根拠を参照する。

ME

機器が図 A.11 に示すような構成の場合,接続が断線すると過度の接触電流が生じる。したがって,

この状況は,調査することが望ましい

単一故障状態のうちの一つである。

First part

Second part

Broken

connection

TOUCH CURRENT

 = 12 mA

SUPPLY

MAINS

ME EQUIPMENT

MD

SECONDARY

CIRCUIT

e.g. 12 V

図 A.11−別々の外装をもつ ME 機器の部分間の電源導線の断線

8.3

  装着部の分類

8.3 a)

心臓への直接使用を意図する一つ以上の CF 形装着部をもっている ME 機器は,それ以外に一つ以上の

B

形装着部又は BF 形装着部をもち,これらが同時に使用されることがある(本体の 7.2.10 も参照)。

同様に ME

機器は,形装着部及び BF 形装着部の両方をもつことがある。

8.3 b)

患者電極をもつ種類の ME 機器のほとんどの個別規格は,装着部が BF 形装着部か又は CF 形装着部で

あることを要求している。個別規格がない同様の ME

機器に対して,その装着部に 形装着部を認めるよ

りも,この規格で 8.3 b)の要求事項を規定したほうがよい。実際に,B

形装着部の分類を主に使用してい

るのは,ME

機器のうち X 線寝台のような患者を支持する ME 機器であって,患者電極ではない。

8.3 d)

4.6

によって識別され,

装着部(表示を除いて)に対する要求事項に適合する必要があると識別された部

分は,通常は

装着部のように頻繁に患者と接触しない。したがって,大地からの電気的な分離を施す利点

は少ない。しかし,場合によっては,

リスクマネジメントプロセスによって,そのような部分が BF 形装

接触電流=12 mA

断線箇所

二次回路 
例えば,12 V

電源(商用)

第一の部分

第二の部分

ME

機器 


199

T 0601-1

:2012

着部又は CF 形装着部に対する要求事項に適合する必要があることが分かる。この要求事項は,この版の

原案作成中にこの問題についての問合せに回答した各国の国内委員会の大多数の意見を反映している。

8.4.1

  電流の供給を意図する患者接続部

この規格は,

患者に生理的効果を発生させるための意図する電流に対する限度を規定していないが,個

別規格では規定してもよい。

患者接続部間に流れる他の電流は,全て患者測定電流で規定した限度に従う。

8.4.2

  装着部を含む接触可能部分

8.4.2 b)

接触電流は,種々の経路,例えば,操作者を経由した偶然の接触によって患者に流れると想定した。接

触電流の限度は,8.4.2 a)で扱う患者接続部及び 8.4.2 c)で規定した条件に適合する部分を除き,全ての接触

可能部分に適用する。

8.4.2 c)

IEC 60601-1

の第 2 版では,

工具なしで取外し可能なカバーがある場合とカバーがない場合とで差をつ

けているが,この差をつける正当な理由はほとんどないか全くない。ME

システムの中で情報技術(IT)

機器が一般に使用され,IEC 60950-1 の中の電圧値は,IEC 60601-1 の第 2 版の中の値とあまり異ならない

との理由で,限度値を IEC 60950-1 に整合させた(いずれも直流 60 V で同じである。またピーク 42.4 V

は,実効値 25 V とは大きな相違はない。

本質的に,

操作者の保護は,今回 IEC 60950-1 に基づいているので,我々は,その規格から保護に対す

る要求事項を組み込む必要があった。

第 2 版では,

危険なエネルギーからの保護の要求事項がなかったが,

やけど,火事及び飛散物によって生じる

リスクが確かに存在していた。今回これの取扱いは IEC 60950-1

からの要求事項を採用して,その保護について明らかにして行く。限度値は IEC 60950-1 及びその前の規

格の中で長年確立されてきた。最大の利用可能な最大電力は,

接触可能部分との接触後の最初の 60 秒間に

240 VA を超えることが認められている(例えば,電源の電流制限回路は作動するのに時間がかかり,この

間に危険エネルギーレベルが超過することがある。

8.4.2 d)

5.9

に従って

接触可能部分であるとされた部分と同様に,ME 機器の内部の部分との電気的接触は次によ

って生じるとみなされる。

−  手に持った鉛筆又はペン。これは,差し込んだテストピンで模擬する。

−  ネックレスか又は同様なペンダント。これは上面カバーの開口につるした金属棒で模擬する。

操作者によるプリセット制御器の調整に使用するドライバ。これは挿入した金属棒で模擬する。

8.4.3

  プラグによって電源に接続することを意図する ME 機器

45 μC という限度は,IEC 60335-1 で規定されている限度と同じである。それは IEC 60479-1 [11]で規定

された限度に基づいている。  それは,IEC 60601-1 の第 2 版で規定した限度の 100 nF に(正確には同等で

ないが)ほぼ匹敵する。

基礎安全については,電源ラインと接地ピンとの間の限度を第 2 版のように厳格

に規定する理由はない。

8.4.4

  内部の容量性回路

限度値は,IEC 60601-1 の第 2 版で指定した 2 mJ から,8.4.3 で規定した値(45 μC)に変更された。そ

れは,

電源プラグのピンに触れる操作者又は患者にとって安全であるとともに,開閉カバーを開けて ME

機器の内部へ触れる者にとっても安全でなければならないからである。

8.5.1

  保護手段

二つの

保護手段は,幾つかの方法で実施することができる。その例を,次に示す。


200

T 0601-1

:2012

1)

患者接続部及び他の接触可能部分は,基礎絶縁だけで,大地(接地)電位と異なる部分から分離し,

更に,それらの部分は,

保護接地し,かつ,正常状態及び単一故障状態における漏れ電流が許容値を

超えない低い内部インピーダンスで接地する。

2)

患者接続部及び他の接触可能部分は,基礎絶縁及び保護接地した中間金属部分によって,大地(接地)

電位と異なる部分から分離する。この金属部分は,全体を覆う金属スクリーンでもよい。

3)

患者接続部及び他の接触可能部分は,二重絶縁又は強化絶縁によって大地(接地)電位と異なる部分

から分離する。

4)

患者接続部及び他の接触可能部分は,許容値を超える漏れ電流及び患者測定電流が流れることを部品

のインピーダンスによって阻止する。

絶縁経路に対する調査については,

附属書 に示してある。

IEC 60601-1

の第 2 版でも,

保護接地した中間回路の使用によって分離を実現する可能性を認めていた。

しかし,一つの回路全体を非常に低いインピーダンスで

保護接地端子に接続することは,一般には可能で

はない。さらに,一つの回路の一部分を接地する場合には,その回路の他の部分は大地電位とは異なって

いるので,

患者接続部及び他の接触可能部分から更に分離しなければならなかった。

基礎絶縁又は補強絶縁の一部又は全てを,空気で形成してもよい。

一般に,

二重絶縁は,強化絶縁よりも好ましい。

IEC 60601-1

の第 1 版では,部分間の分離が必要な多数の対の部分を指定していたが,そのリストは不

完全であった。例えば,そのリストは第 2 版で拡張されたが,第 3 版の

図 A.10 の中で例で示した状況に対

しては,まだ不完全なままであった。

この第 3 版の作成初期段階の作業グループにおける議論で,試験所が実際に分離が必要な ME

機器内部

の種々の回路及び種々の点を明確にしなければならなかった。したがって,この第 3 版では,この

手順を

明確に規定した。

第 2 版の絶縁試験,

沿面距離及び空間距離に対する要求事項が厳格すぎたということに対応して,操作

者保護手段及び患者保護手段の二つの手段を導入した。

多くの ME

システムが,IEC 60950-1 に適合する機器を組み込んでいる。また,多くの種類の ME 機器

も,IEC 60950-1 に適合する機器で使用するために設計した電源のような部品を組み込んでいる。これに

よって,何人かの専門家及び各国の国内委員会は,この規格の要求事項を可能な限り IEC 60950-1 に整合

するよう提案した。

しかし,IEC 60950-1 で規定した試験電圧並びに

沿面距離及び空間距離の最小値は,JIS C 60664-1 に基

づき,更に電源及び他の回路における可能な過電圧,特に種々のレベルの過電圧が出現する頻度に対する

想定にも基づいている。

この規格の対応する要求事項を改正した作業グループの専門家の見解によれば,JIS C 60664-1 又は IEC 

60950-1

の要求事項に適合したとしても,過渡的絶縁破壊が最大 1 年に 1 回の頻度で生じる可能性が残る

という。

破壊が生じた場合に,

操作者が該当する部分及び大地に同時に接触する確率は低い。したがって,残留

リスクは,IT 機器でも認められているのと同様に ME 機器に関しても受容可能である。しかし,患者が装

着部と大地の両方に同時に接触する確率の方は,著しく高い。したがって,作業グループは,患者の安全

が関係している場合は,より大きな安全のためのマージンを適用すると決定した。しかし,JIS C 60664-1


201

T 0601-1

:2012

からの値にどのくらい追加の余裕をとればよいかを決定するための信頼できる根拠はなかったので,

患者

保護手段については,IEC 60601-1 の第 2 版で規定したのと同じ値を引き継いだ。

今回の改正では,

操作者保護手段については,製造業者に三つの選択肢があることを認めている(図 A.12

を参照)

。第一の選択肢は,IEC 60950-1 の要求事項を適用し,適切な設置カテゴリ及び汚損度を特定する

ことである。第二の選択肢は,

製造業者は,設置カテゴリ及び汚損度に対して合理的な仮定に基づいてい

る IEC 60950-1 を基に作成したこの規格の表中の値を適用してもよい。第三の選択肢は,

操作者保護手段

患者保護手段と同様に扱うことである。

高周波妨害を低減する目的で,高周波交流に対して大地への低インピーダンス経路を確保するために Y

コンデンサが使われている。それらは,妨害波抑制の一部として

二重絶縁又は強化絶縁にまたがって使わ

れている。それらには,Y1,Y2,Y3 及び Y4 の四つのタイプがある。Y1 コンデンサは,三相電源用に設

計された

動作電圧が交流 500 V 未満で,交流の耐電圧が 4 000 V のもの。Y2 コンデンサは,単相電源用に

設計された

動作電圧が交流 300 V 未満で,交流の耐電圧が 2 500 V のもの。Y3 コンデンサは,Y2 コンデ

ンサに類似しているが,

動作電圧が交流 250 V 未満である。Y4 コンデンサは,低圧電源用に設計された動

作電圧が交流 150 V 未満で,交流の耐電圧が 1 000 V のものである。それらのコンデンサは,大地への漏

れ経路又は隔壁の橋渡しを形成するので,安全上重要である。したがって,それらのコンデンサは,

製造

業者の製造管理を行う認定試験所から JIS C 5101-14 によって認証及び監視される。

一つの Y1 コンデンサを用いて二つの MOOP

操作者保護手段)を提供することができるが,MOPP(患

者保護手段)では一つしか提供できない(患者は,操作者よりも高い保護レベルが必要)。一つの Y2 コン

デンサを用いて提供できるのは,一つの MOOP

操作者保護手段)だけである。


202

T 0601-1

:2012

MOP

保護手段

MOPP

患者保護手段

MOOP

操作者保護手段 

図 A.12−患者保護手段及び操作者保護手段の識別

8.5.2.1

  形装着部

F

形装着部の本質的な特徴は,それが他の部分から分離されるということである。この細分箇条は,分

離の程度を規定し定量化している。

複数の機能は,複数の

装着部(それらは,一つの患者保護手段によって相互に分離される必要がある。)

であっても又は一つの

装着部であっても,いずれでもよいとみなすことができる。そのいずれにするかは,

製造業者が,次のようにリスクを審査した後に決定をする。まず,外部の発生源から意図しない電圧が患

者に接続される。次に,ある機能の一つ以上の患者接続部が接地される。以上の結果,患者に接続された

他の機能の

患者接続部を経由して過度の漏れ電流が大地に流れる。この状況において,過度の漏れ電流が

発生することによって生じる

リスクを審査する。

F

形装着部の患者接続部と外装との間に接続する。)保護装置が実効値 500 V 以下で作動してはならな

いという限度は,既に IEC 60601-1 の第 1 版で規定されていた。その根拠は明らかではないが,その電圧

は,4.10 に規定されている最高

定格電圧に相当する。

8.5.2.2

  形装着部

この要求事項は,外部の発生源からの意図しない電圧が ME

機器のある部分に接続される可能性を扱っ

ている。

その部分と

患者接続部との間に適切な分離がないと,過度の患者漏れ電流が生じる可能性がある。

製造業者は,どの部分に
どの種類の MOP を用い
て保護するかを決める

それは

装着部か

4.6

に基づいて,

リスク

アセスメントを用いた
結果,

装着部の要求事項

に従う部分か

その MOP は,

MOPP

である

表 及び表 11 を適用する 
IEC 60601-1:1988 と同じ値)

その MOP は,

MOOP

である

製造業者が

選択する

表 及び表 13∼表 16 を適用する 
IEC 60950-1 を単純化したもの)

IEC 60950-1

絶縁協調の

要求事項を適用する

MOPP

の要求事

項を適用する

いいえ

いいえ

はい

はい


203

T 0601-1

:2012

IEC 60601-1

の第 2 版の 17 c)によると,この要求事項は,全ての

装着部に適用されていた。しかし,次

に示すように,全ての

装着部に適用されるわけではない。

−  F

形装着部については,8.5.2.1 で要求されている絶縁は,この状況を含んでいる[ただし,8.7.4.7 d)

の根拠に説明されているように,BF

形装着部については,追加試験が必要である。]。

−  ME

機器の該当する部分か又は 形装着部の患者接続部のいずれかが保護接地されている場合には,

受容できない

リスクは生じない(保護接地接続の故障と意図しない電圧とが現れることが一緒に発生

すれば,それは二重故障状態となる。

装着部が ME 機器の該当する部分に物理的に隣接している場合(例えば,歯科用のハンドピースの場

合)において,電圧発生源との接触の可能性が低いか又は

漏れ電流が許容できるほど低い場合には,

この要求事項は適用しない。

8.5.2.3

  患者リード線

次の二つの状況について保護している。

−  第一に,BF

形装着部及び CF 形装着部の場合に,ME 機器から外れたリード線を経由して患者が大地

(接地)への不慮の接続が行われる可能性はないと思われるが,B

形装着部の場合でさえ,大地(接

地)への不要な接続が生じれば,ME

機器の作動に悪影響を与える可能性がある。

−  第二に,全ての形の

装着部の場合には,ME 機器の部分又は許容漏れ電流を超える電流が流れる箇所

の近傍の導電性部分に,

患者が不慮に接続される可能性はないと思われる。

後者(第二の状況)の

危険状態の極端な事例として,コネクタを電源出力端子又は着脱電源コードのソ

ケットに差し込むことによって生じる

電源(商用)への直接接続がある。これが生じることを本質的に防

止することが必要である。

患者と電源コネクタとの組合わせにおいて,患者コネクタを電源ソケットに差し込んでしまうという不

慮の事故の可能性がある。

この可能性は,寸法に対する要求事項では合理的に排除できない。それは,寸法の要求事項によって排

除しようとすると,単極コネクタが大きくなりすぎるからである。そのような事態を安全にするのは,

者コネクタを,沿面距離が少なくとも 1.0 mm,かつ,耐電圧が少なくとも 1 500 V の絶縁で保護する要求

事項が必要である。後者(耐電圧)だけでは,十分でない。それは,1 500 V の保護は,薄いプラスチック

のはく(箔)で容易に達成できるが,はくは日常的な磨耗又はおそらく繰り返して電源ソケットに押し付

けられることに耐えられないからである。この理由から,絶縁は,耐久性があり,堅ろうであることが望

ましいことが分かる。

この要求事項の表現は,IEC 60601-1 の第 2 版から修正した。用語の定義から削除した“導電接続”と

いう用語の使用を回避するためである。この変更は,この第 3 版の作成中における各国の国内委員会コメ

ントを直接反映した結果である。

第 2 版の根拠によれば,テストフィンガを 10 N の力で当てる試験は,

“絶縁材料の強さを調査する”意

図があったという。これは,8.8.4.1 への明示的な相互参照によって補足した。

各国への質問に対して,ある国の国内委員会から,次のような回答があった。この試験は,

“ピンの保護

カバーの機械的試験”であり,特定の種類のコネクタ設計に特に適用することを意図している。この設計

では,接点は可動シースで囲まれ,正しく合うコネクタとは接触できるが,他の部品とは接触できない設

計であると述べた。

第 3 版の原案作成中に,この試験は,第 2 版でのように単極コネクタに限定することが必要か,又は多


204

T 0601-1

:2012

極コネクタにも同様に適用することが必要かという疑問が生じた。一部の多極コネクタは,単極コネクタ

と同様の形であり,

電源コネクタに同様に差し込むことができる。したがって,絶縁の妥当性について同

じ考察が当てはまる。一方,一般に使われている典型的な種類の多極コネクタは,

電源コネクタに差し込

むことができない。しかし,もしこの試験を実施すれば,不合格になってしまう。それは,10 N の力を加

えなくてもテストフィンガが容易にそれらの接点に触れることができるからである。

各国の国内委員会に更に照会したところ,一連の回答があった。幾つかの疑問点について妥当な合意が

得られた。しかし,この試験を全てのコネクタに対し行うか,又は単極コネクタに限定して行うかについ

ては,合意が得られなかった。

確かにこの試験は,電源ソケットに差し込める形及び大きさの多極コネクタに適用するのが望ましい。

しかし,それは,単極コネクタが電源ソケットに差し込める可能性と同じである。

一部の多極コネクタにこの試験を適用する別の理由は,平板を用いる試験では,許容

漏れ電流よりも大

きい電流が流出する近傍における導電性部分との接触の可能性について,

十分に評価できないことにある。

どのような種類のコネクタでも,ME

機器から外れたり落ちたりすると,接続を意図する相手のコネクタ

のそばの何かに接触する可能性がある。しかし,その接触する可能性は,コネクタの形及び状況によって

異なる。ほとんどの場合は,その可能性は低い。例えば,代表的な D 形状のコネクタでは,接地された物

体に接触する可能性が瞬間的なのに対し,ストレートピンは長時間接触することがある。しかし,長時間

金属物体と接触した場合に

危険状態になるのは,故障又は異常状態が併発し過度の電流が患者を通って流

れるときだけである。全ての場合の可能性は,コネクタが電源ソケットに接触される可能性よりもはるか

に小さい。この規格の要求事項は,その可能性に関連して体系化することが望ましい。規格は,

製造業者

にコネクタの合理的な選択の幅を与えながら同時に,

患者へのリスクを最小限にすることが望ましい。

この細分箇条の冒頭の“

患者リード線上の電気的接続用のコネクタ”という表現は,多接点コネクタ,

数個のコネクタ及び直列のコネクタを含むと解釈することが望ましい。

直径 100 mm という寸法は,それほど重要でない。平らな表面の大きさを示すだけである。これよりも

大きな導電性材料のシートならばどのようなものでも適切である。

8.5.3

  最高電源電圧

この規格の幾つかの要求事項及び試験は,外部の発生源からの意図しない電圧が

患者又は ME 機器のあ

る部分に接続される可能性に関係がある。そのような電圧の実際の大きさは未知である。しかし,IEC 

60601-1

の第 2 版によれば,それは最高

定格電源電圧であり,多相機器の場合は中性線に対する位相線の

電圧である。これらの値は,実際の意図しない外部電圧が ME

機器を使用する場所の電源(商用)電圧を

超えることはなく,また,ME

機器がその最高定格電源電圧よりも高い電圧の電源(商用)の場所で使用

されることもないと想定,合理的に最悪な場合を反映した。

内部電源 ME 機器の場合は,一般に,250 V

が ME

機器の使用場所で遭遇する最高の位相線と中性線との間の電圧であるから,今回も 250 V とした。

この第 3 版の初期の原案では,交流

電源(商用)だけに対応した表現になっていた。コメント期間にこ

の誤りが指摘された。このコメントを議論した結果,

電源(商用)が交流か直流かによって要求事項が異

なってはならないと確認した。しかし,別の不都合が生じた。ME

機器が特別低電圧(ELV)電源(例え

ば,救急車内の 12 V)への接続を指定され,それよりも高い

電源(商用)に接続されない場合,試験目的

に想定される外部電圧は,ELV だけである。しかし,そのような ME

機器も,よりも高い電圧の電源(商

用)が設置された場所で使用されることがある。したがって,この不都合をなくすために表現を改正した。

最高

定格電源電圧が 100 V 未満の ME 機器の場合は,この電源が利用可能な特別の場所で必然的に使用

され,その場所に他のどんな電源があるかは不明である。したがって,当該試験のために想定した外部電


205

T 0601-1

:2012

圧は,

内部電源 ME 機器の試験電圧と同じく 250 V である。

しかし,最高

定格電源電圧が約 115 V の ME 機器は,これよりも高い電源(商用)電圧の場所で使用さ

れる可能性は低い。したがって,この試験のために想定される外部電圧は,IEC 60601-1 の第 2 版と同様

に最高

定格電源電圧と等しい。

8.5.4

  動作電圧

表 で規定した耐電圧試験電圧は,連続的な動作電圧及び過渡的な過電圧に通常さらされる絶縁に対し

て適切である。

二重絶縁を構成する各々の保護手段の動作電圧は,いずれか一方の保護手段が故障した場合には,もう

一方の

保護手段が全体の電圧にさらされるので,二重絶縁全体がさらされる電圧である。

二つの絶縁部相互間の絶縁,又は絶縁部と接地部との間の絶縁については,

動作電圧は,両方の部分内

の任意の 2 点間の最高電圧の算術和に等しい。

耐除細動形装着部の場合は,除細動ピーク電圧に等しい動作電圧に基づいて推定した試験電圧は,正常

な使用時に電圧インパルスに時々さらされるだけの絶縁に対しては高すぎる。電圧インパルスは,通常 10

秒よりも短く,かつ,過電圧を考慮していない。

8.5.5

  耐除細動形装着部

8.5.5

で規定した特別な試験は,除細動パルスにさらされることに対する十分な保護を保証するとみなさ

れるので,個別の耐電圧試験は必要ない。

8.5.5.1

  除細動保護

除細動パドル(電極)の一方又は他方を,診療用途の効果がある場合は,大地(接地)又は少なくとも

大地(接地)とみなされる部分に接続してもよい。

患者に除細動器を使用する場合,高電圧は,ME 機器のある部分と他の部分との間,又はそのような部

分をまとめた部分と大地(接地)との間に印加される。

接触可能部分は,患者接続部から適切に分離する

か,又は何か他の方法で保護することが望ましい。

患者接続部の絶縁は,接地接続に依存する電圧制限器

によって保護することはできない。

耐除細動形装着部の表示は,除細動を行う患者に装着部を付けたままにしておくことができ,かつ,放

電後にも ME

機器に悪影響を与えることなく使用できることを示している。

試験では,次のことを保証している。

a)

保護接地していない ME 機器の接触可能部分,患者ケーブル,ケーブルコネクタなどは,除細動電圧

のフラッシュオーバに起因する危険なレベルの電荷又はエネルギーを与えない。

b)  ME

機器は,除細動電圧にさらされた後も機能(少なくとも基礎安全及び基本性能に対する機能)を

維持する。

要求事項及び試験

手順は,附属文書に記載してある“任意の必要な時間”を参照する。附属文書に復帰

時間を明示するという要求事項はないが,復帰時間の明示がない場合,ME

機器は,その基礎安全及び基

本性能が直ちに回復し発揮することが必要である。

試験は,除細動エネルギーの

基礎安全に対する影響だけでなく,明示した復帰時間後に ME 機器が基本

性能を発揮する能力も扱っているので,ME 機器を電源(商用)に接続し取扱説明書に従った方法で作動

させる。

正常な使用には,除細動される患者が ME 機器に接続され,同時に操作者及びその他の人が外装に接触

している状態が含まれる。この状態が,

保護接地接続の不良という単一故障状態と同時に起きる可能性は


206

T 0601-1

:2012

低く,無視できる。しかし,機能接地接続の中断は可能性が高く,これらの試験が要求される。

除細動器の放電中に

接触可能部分に触れた人が受ける電撃の重大さは,不快感を覚えるが危険ではない

値(100 μC の電荷に相当する値)に制限されている。

離れた ME

機器への信号線は,危険の可能性があるエネルギーを伝達する場合があるため,信号入出力

部も試験に含めた。

この規格の

図 及び図 10 の試験回路は,試験抵抗(R

1

)の両端に現われる電圧を統合して試験を単純化

するように設計されている。

図 及び図 10 の試験回路中のインダクタンス の値は,組み込まれた保護手段を適切に試験するため

に,通常の立上がり時間よりも短くなるよう選んである。

インパルス試験電圧の根拠

体表に当てた除細動パドル(又は除細動電極)を経由して,

患者の胸部に除細動電圧を印加する場合は,

そのパドルの近く及びパドル間の

患者の組織は,分圧システムになる。

その電圧の分布は,三次元電界分布の理論を用いておおよそ評価できるが,均一性が大きく異なるその

部分の組織の導電率によって修正する。

他の ME

機器の電極を,除細動器パドルに挟まれたほとんどの範囲内で患者に当てた場合は,その電極

がさらされる電圧はその位置によって異なるが,一般には負荷を加えた除細動電圧よりも低い。

残念なことに,問題の電極が除細動器パドルの直ぐ近傍を含めて,この範囲のどこの箇所にも当てるこ

とができるので,どれくらい低いかはいえない。適切な個別規格がない場合,その電極及び電極を接続す

る ME

機器は,最大の除細動電圧に耐えることを要求される。この電圧は,除細動器パドルの一方が患者

と接触不良になっている場合があるので,無負荷電圧である。

したがって,適切な個別規格がない場合は,この規格では,直流 5 kV を試験電圧として適用している。

4.5

を適用して,

製造業者は,代替手段を用いてこの規格が規定するリスクを扱うことができる。ただし,

代替手段を適用した後の

残留リスクが,この規格の要求事項を適用した後の残留リスク以下の場合だけで

ある。

製造業者は,ME 機器の意図する使用,及び装着部を患者に当てる位置によっては,より低い試験

電圧を決めることができる。ただし,選択した試験電圧が,5 kV を胸部に印加したとき

装着部に現れる最

大電圧であると実証できることが条件である。そのような部分は,

耐除細動形装着部として分類し表示す

ることができる。

8.6

  ME 機器の保護接地,機能接地及び等電位化

通常,

クラス の ME 機器の金属製の接触可能部分は,保護接地されている。しかし,それらを 8.5 

従って他の

保護手段によって分離してもよい。さらに,一部の金属製の接触可能部分は,保護接地接続で

もなく,機能的な目的でもなく偶然に接地されることがある。例えば,

保護接地されている他の部分と接

触しているが,それ自体は

保護接地する必要がない場合などである。

8.6.1

  要求事項の適用

操作者の安全だけに対する保護接地接続は,この規格の要求事項か又は IEC 60950-1 の要求事項かのい

ずれかに適合すればよい。ただし,後者の選択は,

操作者と患者の両方の安全に対する保護接地接続につ

いては,認められていない。

8.6.2

  保護接地端子

これらの要求事項は,ME

機器と電気設備の保護接地系との間の確実な接続を保証することを意図して

いる。


207

T 0601-1

:2012

8.6.3

  動く部分の保護接地

動く部分への接続は,滑り接触,可とう線による接続又は他の手段のいずれかによらず,通常の

固定し

た接続よりも,ME 機器の予測耐用期間中に劣化しやすい。したがって,それらの信頼性が実証されない

場合,

保護接地接続としては,認められない。

8.6.4 a)

保護接地接続が保護機能を果たすことができるのは,基礎絶縁の不良によって発生する故障電流を流す

ことができる場合だけである。

その電流は十分に大きいので,電気設備の保護装置(ヒューズ,サーキットブレーカ,漏電遮断器及び

同種のもの)を適切な短時間で作動させることができる。

したがって,

保護接地接続のインピーダンス及び電流を流す能力の両方を調査することが必要である。

試験電流に必要な最小時間は,細い配線又は接触不良に起因する接続部分の過熱を発見することを意図

している。そのような弱い部分は,抵抗測定だけでは発見できない場合がある。

保護接地接続は,材料の酸化などに起因してインピーダンスが高くなっていることがある。電圧を制限

をしていない電流源を使用すると,瞬間的な通電能力が不足して,そのような領域の検知を妨げる可能性

がある。そのため,制限した電圧を使用して,まず最初にインピーダンスを測定するのである。

この電圧が,規定の試験電流を合計インピーダンスを通じて流すのに十分な場合は,この一つの試験で

接続部が電流を流せる能力も実証できる。電圧が十分でない場合は,より高い電圧を使用するか又は接続

部の断面積を検査する評価のいずれかによる追加試験が必要になる。

8.6.4 b)

故障電流は,固有インピーダンス又は電源の特性を利用して比較的低い値に制限することができる。例

えば,

電力システムが接地されていないか又は高いインピーダンスを介して接地されている場合である

A.13

参照)

その場合,

保護接地接続の断面積は主として機械的な考察によって決定できる。


208

T 0601-1

:2012

F

PE

漏れ電流

MD

給電されている部分

短絡

記号の説明

Z

PE

保護接地接続のインピーダンス(Ω)[8.6.4 a)で規定した限度を超える。]

I

F

=  接地に対する絶縁の単一故障に起因して,

保護接地接続を流れると予想される最大の連続的な

故障電流(A)

MD

測定用器具(

図 12 参照)

注記  この図が示すのは,本体の外装,及び別の外装を備えた離れた部分をもつ ME 機器で,保護

接地接続のインピーダンスが 8.6.4 a)で規定した限度を超える状況の例である。しかし,この
状況は,単一の

外装しかもたない ME 機器にも存在することがある。

図 A.13−故障電流が制限されている場合の許容保護接地インピーダンス

8.6.7

  等電位化導線

ほとんどの国では,診療用に使う部屋に着脱可能な

等電位化導線を使用するための設備はない。したが

って,この規格は,

等電位化導線を ME 機器に接続する手段を備えることを要求していない。しかし ME

機器がそのような手段をもっている場合には,等電位化導線を使用する場所での使用のために,適切な要

求事項に適合する必要がある。

8.6.9

  クラス II の ME 機器

この要求事項は,

機能的な理由に限って,

クラス II の ME 機器に保護接地へ接続することを認めている。

設置での混乱を回避するために,緑と黄を要求している。このことによって,電撃に対する保護の程度

を低下させることはない。

8.7.2

  単一故障状態

二重絶縁の一方が短絡すると漏れ電流は,2 桁の位で増加する。場合によっては,試験の実施が困難に

なる。また,

単一故障状態の許容値が正常状態の 5 倍にもなるので,試験で有用な情報を得ることができ

ない。

8.7.3

  許容値,表 及び表 4

人又は動物の体にある程度の刺激を生じる可能性がある電流の値は,身体への接続方法及び適用する電

流の周波数及びその時間に従って,個体によって異なる。

心臓に直接流れる低周波電流は,明らかに心室細動の危険を増大させる。中周波又は高周波の電流につ

いては,電撃の

リスクは,低周波よりも低いか又は無視できるが,熱傷のリスクは残る。


209

T 0601-1

:2012

装着部に備える保護の程度及び質を反映している分類システムは,ME 機器との接触の程度及び性質に

よる電流に対する人又は動物の身体の感受性で決めている(分類は,B

形装着部,BF 形装着部及び CF 

装着部である。)。形装着部及び BF 形装着部は,一般に心臓を除き,患者の体外及び体内に接触する使

用に適している。CF

形装着部は,漏れ電流の観点から心臓への直接使用に適している。

この分類と併せて,許容

漏れ電流に対する要求事項を作成している。心室細動を引き起こす電流に対す

る人間の心臓の感受性に対する十分な科学的データがないことは,現在も問題である。

しかし,IEC 60601-1 の第 1 版が 1977 年に発行され,技術者に ME

機器の設計ができるデータを提供し

てきた。また,これらの要求事項は,それ以降長年にわたって設計者に過度の負担をかけることなく,非

常に低いレベルの

リスクを保証することを証明してきた。

漏れ電流に対する要求事項は,次の事項を考慮して作成した。

−  心室細動の可能性は,電気的なパラメータだけではなく,他の因子によっても影響される。

単一故障状態における許容漏れ電流の値は,統計的な考え方を考慮して,設計者に不必要な苦労を与

えないようにするために,安全な限りできるだけ高い値とすることが望ましい。

正常状態における値は,単一故障状態に対して十分に高い安全率を規定することによって,あらゆる

状況下における安全な条件を満たすことが必要である。

漏れ電流の測定は,与えられた状態と異なった解釈がされないようにし,かつ,責任部門による定期点

検にも使用できることを考慮して,簡単な測定器が使える方法で記載した。

周波数 1 kHz 以下の交流と直流との合成波形に対する

漏れ電流及び患者測定電流の許容値は,次を考慮

した。

d)

一般に,心室細動又はポンプ作用の不全の

リスクは,数秒間までは心臓を通って流れる電流の値又は

時間によって増加する。心臓のある部分は,その他の部分よりも敏感である。すなわち,心臓のある

部分に流れたとき心室細動を引き起こす電流は,心臓のその他の部分に流れたときに影響を与えない

場合がある。

e)

上記 d)の

リスクは,10 Hz∼200 Hz の範囲の周波数に対して最も高く,かつ,ほぼ等しい。そのリス

クは,直流では約 1/5 であり,1 kHz では約 2/3 と低くなる。1 kHz を超えるとそのリスクは,急激に

減少する[45]。

表 及び表 に示した値は,図 12 a)に示した測定用具で測定した電流に適用し,高い

周波数で感度が自動的に低下することを考慮している。50 Hz 及び 60 Hz の

電源(商用)周波数は,

その

リスクが最も大きくなる範囲である。

f)

原則として,安全通則における要求事項は,個別規格における要求事項よりも厳しくはないが,

表 3

及び

表 の許容値の幾つかは,次の二つを考慮して設定した。

−  大多数の ME

機器が適合できる。

−  許容値は,個別規格のないほとんどの ME

機器(現在も将来も)に適用できる。

接地漏れ電流

保護接地線を流れる接地漏れ電流は,それ自体としては,ハザードではない。患者及び操作者の保護は,

正常状態における患者漏れ電流及び接触電流及び関連する保護接地線の断線を含む単一故障状態において,

適切に低く規定することによって可能である。しかし,過度の

接地漏れ電流は,設備の接地系,及び不平

衡電流検出器によって作動するサーキットブレーカに,問題を引き起こすことがある。


210

T 0601-1

:2012

IEC 60364-7-710 [10]

も参照。

接触電流

限度は,次を考慮して規定した。

g)

ME

機器の接触電流は,CF 形装着部をもたない ME 機器であっても,心臓手術が行われる場所で使

用することもあるので,

装着部の分類(保護の程度による分類)に関係なく同じ値にした。

h)

接触電流は,患者接続部以外の部分から流れるが,それは不慮の接触によって種々の経路(操作者を

介する経路を含む。

)を通じて

患者に達することがある。

i)

胸部に流れる電流によって心臓に生じる電流密度は,1 アンペア当たり 50 μA/mm

2

である[46]。したが

って,胸部に 500  μA(

単一故障状態における最大許容値)流入した場合の心臓の電流密度は,0.025

μA/mm

2

となり,これは心配されるレベルに対して十分低い。

j)

接触電流が心臓を通って流れ心室細動又はポンプ作用の不全を引き起こす確率。

導体,又は液体を満たしたカテーテルの心内操作を不注意に行った場合は,

接触電流が心臓内に達

すると予想できる。そのような器具は,常に十分に注意し,かつ,常に乾いたゴム手袋を着用して取

り扱うことが望ましい。

次の

リスク分析は,払われる注意の程度に対する最悪の想定に基づいている。

心臓内に使用する器具と ME

機器の外装とが直接接触する確率は,非常に低く,おそらく 100 回の

医療操作につき 1 回とみなす。医療スタッフを介しての間接的な接触の確率はやや高く,10 回の医療

操作につき 1 回といわれる。

正常状態における最大許容漏れ電流は,100 μA であり,それ自体が心室

細動を誘発する確率は,0.05 である。間接的な接触の確率を 0.1 としたとき,全体の確率は,0.005 と

なる。この値は,望ましくない高い値と考えられる場合があるが,心臓内で使用する器具の正しい取

扱いによって,この確率を,機械的刺激だけによる確率 0.001 まで減少できるということを思い出す

必要がある。

接触電流が最大許容レベルの 500 μA(単一故障状態)まで高くなる確率は,保守管理の不十分な場

合は,0.1 であると考えられる。この電流が心室細動を引き起こす確率を 1 とする。前述のように,

装と不慮の直接接触をする確率は 0.01 と考えられるため,全体の確率は 0.001 となり,これは機械的

刺激だけの確率に等しい。最大許容レベル 500 μA(

単一故障状態)の接触電流が,医療スタッフを介

して心臓内の装置に流れ込む確率は,0.01(

単一故障状態になる確率 0.1,不慮の接触の確率 0.1)で

ある。この電流が心室細動を引き起こす確率は 1 であるため,全体の確率は同様に 0.01 である。この

確率もまた高いが,しかし,適切な医学的手技によって,機械的刺激だけの確率の 0.001 にまで下げ

ることができる。

k)

患者が接触電流を感知できる確率

握り電極を無傷の皮膚に用いた場合,500 μA を感知する確率は,男性が 0.01,女性が 0.014 であっ

た[45] [48]。粘膜,又は皮膚にせん(穿)刺した電極を通して電流を流す場合には,より高い感知性

がある[48]。確率分布は,正規分布であるので,若干の

患者が非常に小さい電流を感知する可能性が

ある。粘膜を通して流した 4 μA を感知した人が 1 人いたという報告がある[48]。

患者漏れ電流

CF

形装着部をもつ ME 機器の正常状態における患者漏れ電流の許容値は,10 μA である。これは,心臓

内部の小面積を通って流れたとき,心室細動又はポンプ作用の不全を引き起こす確率は,0.002 である。

電流が零であっても,機械的刺激が心室細動を発生する可能性のあることが認められている[50]。10 μA


211

T 0601-1

:2012

の限度は,容易に達成でき,心臓内の処置の間に心室細動を起こす

リスクが著しく増加することはない。

CF

形装着部をもつ ME 機器の単一故障状態における許容最大値 50μA は,診療時に心室細動を引き起こ

したり,心臓のポンプ作用に影響したりする確率が極めて低いと認められている電流値に基づいている。

心筋に接触しがちな直径 1.25 mm∼2 mm のカテーテルについては,50 μA で心室細動を引き起こす確率

は 0.01 に近い(

図 A.14 及びその説明を参照)。血管造影に使用する小断面積(0.22 mm

2

及び 0.93 mm

2

)の

カテーテルは,

心臓の敏感な部分に直接当てた場合,

心室細動又はポンプ作用の不全を引き起こす確率は,

より高い。

単一故障状態における患者漏れ電流によって心室細動を引き起こす全体の確率は,0.001(単一故障状態

が発生する確率 0.1,50 μA で心室細動を引き起こす確率 0.01)であり,これは機械刺激だけの場合の確率

に等しい。

単一故障状態において許容される電流 50 μA は,神経筋肉組織を刺激したり,直流の場合にはえ(壊)

死を生じるのに十分な電流密度になる可能性は小さい。

B

形装着部及び BF 形装着部をもつ ME 機器について,単一故障状態における最大許容患者漏れ電流を

500 μA としたのは,この電流が直接心臓に流れないため接触電流に対する根拠と同じ根拠を適用したから

である。

患者が接地接続されることは正常状態であるため,患者測定電流だけでなく患者漏れ電流も長時間流れ

ることができる。したがって,直流は,組織がえ(壊)死することを回避するために非常に低い値にする

ことが必要である。これは,

装着部の分類に関係なく必要である。

低インピーダンスの発生源から F

形装着部の患者接続部に電源電圧が現れるのは,同時にその患者に接

続される“この規格又は他の IEC 規格に適合する他の ME

機器の保護手段の二重故障に”起因するか,又

は“規格に適合しない機器の保護手段の単一故障”に起因する。したがって,この状態は,管理のよい医

療の場においては,極めて起こりにくい。

しかし,より低い電圧の出現,又は

電源電圧に相当する開放回路電圧をもつ発生源からの漏れ電流が発

生する可能性はある。

F

形装着部をもつ ME 機器の主要な安全上の特徴は,ME 機器への接続によって患者が接地されないと

いうことであるので,F

形装着部の大地からの電気的な分離は,最低限の品質を確保しなければならない。

これは,たとえ ME

機器が使用されている場所の電源周波数で,かつ,最高電源電圧に等しい電圧の対地

電圧がその

患者接続部に現れたと仮定しても,患者漏れ電流の限度を超えないという要求事項によって,

保証されている。

CF

形装着部については,患者漏れ電流を 50  μA に制限すれば,既に検討した単一故障状態よりも悪く

はない。

BF

形装着部については,これらの状態での最大患者漏れ電流は 5 mA である。たとえ,この値の電流が

胸部に流れたとしても,心臓における電流密度は僅かに 0.25  μA/mm

2

である。この電流は,

患者に十分感

知されるものであるが,この状態が発生する確率は極めて低い。有害な生理的影響が発生する確率も小さ

い。また,この試験に使用される

最高電源電圧は,最悪の場合を想定しているため,実際に発生するもの

よりも厳しい。

合計患者漏れ電流

この規格の

患者漏れ電流の値は,形装着部若しくは BF 形装着部の単一機能に対してか,又は CF 

装着部の単一患者接続部に対してである。複数の機能又は複数の装着部をもつ場合,合計患者漏れ電流が


212

T 0601-1

:2012

非常に大きくなることがある。この合計

患者漏れ電流は,個々の患者漏れ電流のベクトル和である。した

が っ て , 合 計

患 者 漏 れ 電 流 の 限 度 を 規 定 す る こ と が 必 要 で あ っ た 。 こ れ ら の 要 求 事 項 は , IEC 

60601-2-49:2001 [16]

を基にした。

この規格では,一人の

患者に接続する装着部の数を決めていない。一人の患者に接続される装着部の数

は,1∼5 の範囲であると推測される。

CF

形装着部の合計患者漏れ電流

CF

形装着部については,正常状態の患者漏れ電流は 10  μA である。複数の患者機能については,次を

考慮する必要がある。

l)

心臓に流れる電流は,

患者接続部全体に分布し,心臓組織の同じ小さな敏感な面積に集中しない。

m)

心臓の組織に直接接続する

患者接続部の数は,3 を超えない。したがって,心臓の一つの小面積に流

入する

漏れ電流は,50 μA 未満であり,近傍では 15 μA∼20 μA であり,電流の代数和である。電流は

ベクトル和よりも少ない。たとえ

患者接続部が全て一緒に非常に接近していたとしても,心室細動の

確率は,

患者漏れ電流の根拠によれば,0.003 の範囲にある。これは,心臓に直接接続された単一装着

部に許容される 0.002 の確率とあまり異ならない。

n)

身体の表面上の

装着部からの漏れ電流は,身体全体に分布して流れる。患者漏れ電流の根拠によれば,

胸部に 5 mA 流入した場合の心臓の電流密度は 0.025 μA/mm

2

となる。

したがって,50 μA は

正常状態において,合計患者漏れ電流として受容可能であると考えられる。

単一故障状態については,CF 形装着部の漏れ電流を 0.1 mA に増加させた。患者漏れ電流の根拠によっ

て,直接心臓に流入する電流による心室細動の確率は 0.07 である。

単一故障状態の確率は 0.1 とされてい

た。これは 10 年以上前のことであった。設計の改良,信頼性の向上した部品,より良い材料,及び JIS T 

14971

に従う

リスクマネジメントの使用,及びハザードに基づいたリスク分析のような関連するツールを

使用するようになったので,

単一故障状態の確率は,はるかに小さくなった。今では,少なくとも約 0.02

にまで小さくなった。心室細動の確率は 0.07×0.02,つまり 0.001 4 であり,これは単一の CF

形装着部に

許容する確率に近い。

BF

形装着部の合計患者漏れ電流

合計

患者漏れ電流は,正常状態に対しては 500 μA に,単一故障状態に対しては 1 000 μA に増加させた。

上記 n)で説明したように 5 000 μA に対する心臓における電流密度は,非常に小さい。したがって,

正常状

態でも単一故障状態でもいずれも懸念はない。

患者接続部へ外部電圧を印加することによって生じる合計患者漏れ電流

CF

形装着部については,限度を 100  μA に引き上げた。患者漏れ電流の根拠によれば次のようになる。

クラス の ME 機器の保護接地の故障確率は 0.1 である。一つの MOP(保護手段)の故障確率は 0.1 未満

である。これは 10 年前のことであった。上記で説明したように,これらの確率は,今日では,はるかに低

いに違いないし,0.02 よりも悪いとは考えられない。

電源電圧が患者に現れる確率は,0.02×0.02,つまり

0.000 4 である。これは,IEC 60601-1 の第 2 版で容認された確率 0.001 よりも低い。

患者測定電流


213

T 0601-1

:2012

患者測定電流の許容値は,患者漏れ電流の許容値と同様の考え方に基づいている。患者測定電流が ME

機器(例えば,インピーダンスプレチスモグラフ)が機能するのに必要かどうか,又はそれが機能すると

きに付帯的なものかどうかにかかわらず,許容値を適用する。直流については,長時間の使用による組織

の壊死を防ぐために,より低い値とした。

注記  データの解釈については,Starmer[53]及び Watson[54]の原著を参照。

図 A.14−心室細動の発生する確率


214

T 0601-1

:2012

図 A.14 の説明

Starmer [53]及び Watson [54]の著した論文に,心臓病をもつ人達の心臓に直接 50 Hz 及び 60 Hz の電流を

流して引き起こさせた心室細動に対するデータが記載されている。細動の確率は,電極直径及び電流の大

きさの関数として得られる。

直径 1.25 mm 及び 2 mm の電極並びに 0.3 mA までの電流について,その確率は正規分布として現れてい

る。したがって,

患者のリスクの評価に通常使用する電流値(図 A.14 に示された値)に対する確率は,外

挿法によった。この外挿法から次のことが分かる。

−  電流値がいくら小さくても,ある程度の確率で心室細動を引き起こす。

−  通常使用される値では,確率は低く,約 0.002∼0.01 までの範囲にある。

心室細動は,多くの因子(

患者の状態,心筋の一層敏感な部分に電流が流入する確率,電流又は電流密

度,生理的状態,電界などの関数として細動の起きる確率)によって支配されるため,複合した条件に対

する

リスクの可能性を決定するのに統計を使用することは妥当である。

漏れ電流の温熱作用

10 mA の電流は,典形的な患者接続部の 1 cm

2

程度の接触面積では熱さの感覚を生じない。しかし,電

流がこの数倍になると熱傷が生じる。熱傷の

リスクは,電流の大きさによって異なるが電流の周波数には

関係しない。したがって,電流は,

図 12 a)に示す器具から C

1

及び R

1

を取り外した,周波数の重み付けの

ない測定器具(1 kΩ の無誘導抵抗だけ)で測定する。

8.7.4.2

  測定用電源回路

漏れ電流測定の正確な結果を得るには,測定回路内に共通の基準点をもっていることが必要である。こ

の点は,回路の全ての部分に電気的な基準とならなければならない。さらに,測定した

漏れ電流は,特定

の電源構成に従って異なることがある。例えば,片側が大地電位をもつ電源へ接続するよう指定した ME

機器が,二つの対称な相をもつ電源(例えば,米国の 230 V 電源)に接続された場合には,測定された漏

れ電流は最悪の場合よりも低い。測定をした部屋に設置された電源(商用)が最悪の場合を表さないとき

は,特定の電源回路を整備しなければならない。これを行うには,絶縁変圧器を使用し,

二次回路の適切

な点を基準点に接続すればよい。

漏れ電流の測定は,絶縁変圧器なしでも正確で再現性のある結果が得ら

れる。しかし,これは,測定に使用した

電源(商用)の質に依存する。考慮する必要のある要因は,例え

ば,測定回路内における過渡現象,妨害信号,及び中性線と大地(接地)との間の電位差である。

図 F.1∼図 F.5 の電源(商用)の保護接地に接続していない大地(接地)の図記号は,この共通の基準点

を表す。そのような分離した基準点によって,測定を行う人に追加の保護を与えることができる。

出力電圧が調整可能な変圧器は,ME

機器に定格電源電圧の 110 %を供給するのに必要である。通常,

試験室にある

電源電圧を用いて試験し,測定した漏れ電流値に適切な係数を掛けることは可能であるが,

これは,特にスイッチング電源を含んでいる ME

機器では定格電源電圧の 110 %で試験した結果と,必ず

しも同じ結果にならない。

図 F.1∼図 F.4 のスイッチ S

1

又は S

1

+S

2

又は S

1

+S

2

+S

3

を用いずに,関連する導線の断線を他の方法を

用いて得てもよい。

図 F.1∼図 F.5 に示した出力電圧が調整可能な単相又は多相の絶縁変圧器の代わりに,固定出力電圧をも

つ絶縁変圧器と出力電圧が調整可能な単巻変圧器(オートトランス)との組合せを使用してもよい。

8.7.4.3

  測定用電源回路への接続


215

T 0601-1

:2012

ME

機器を接地した金属板上に又は金属製の囲いの中に置いて使用することがないとはいえないが,こ

のような配置を試験結果が再現できる方法で規定することは,むしろ困難である。したがって,8.7.4.3 d) 1)

の注記の助言は,当然であるといえる。

患者ケーブルが大地との間に大きな静電容量をもつことがあるのは,一般に重要であり,かつ,試験結

果に相当の影響を与える。したがって,再現性のある結果が得られる配置を規定した。

測定用電源回路の絶縁変圧器は,測定する人に追加の保護及び

漏れ電流の測定に更に高い精度を提供す

る。しかし,

漏れ電流を測定する場合は,絶縁変圧器を使用することが絶対必要とは言えない。場合によ

っては,例えば,電源入力が大きい ME

機器及び ME システムの場合には,絶縁変圧器が,用意できない

場合がある。

製造業者は,絶縁変圧器がない状況で漏れ電流を測定する場合には,次を考慮する必要があ

る。

定格電源電圧の 110 %における漏れ電流を外挿補間によって推定することは可能か。

−  複数の

保護接地接続をもつ ME 機器又は ME システムの保護接地と電源の中性線との間の電位差によ

って流れる電流の影響。

絶縁変圧器を使わないで測定すると,その

漏れ電流測定の読み値は,絶縁変圧器を使用した漏れ電流測

定よりも大きくなる可能性がある。

8.7.4.5

  接地漏れ電流の測定

測定用器具は,心臓を含む人体を通って流れる電流の生理的影響及び

患者接続部と患者との間の低イン

ピーダンス接触の可能性を考慮した測定方法を示す。IEC 60990 [20]は,一般に使用する幾つかの測定用器

具を規定しているが,いずれも

患者漏れ電流を測定するのには適切ではない。その目的のために,IEC 

60601-1

の第 2 版の測定用器具を引続き用いているので,全ての

漏れ電流測定に同じ測定用器具を使用す

ることは,非常に便利である。8.7.3 d)で規定した 10 mA の限度に関して,1 kHz を超える周波数をもつ電

流又は電流成分の測定は,別である。

8.7.4.6

  接触電流の測定

絶縁材料製の

外装に金属はく(箔)を付ける場合は,約 5 kPa(0.5 N/cm

2

)の圧力で金属はくを絶縁材

料に押し付けて密着する。

8.7.4.7

  患者漏れ電流の測定

8.7.4.7 b)

この試験は,外部電圧が存在するときに,

患者接続部と他の部分との間の分離が患者漏れ電流を許容値

以下に制限できていることを確認する。

装着部を ME 機器から切り離すことができる場合は,そのコネクタの接点が接地された金属物に触れる

ことがある。しかしこの状況を扱うのは,8.5.2.3 の試験であって,8.7.4.7 b)の試験ではない。8.7.4.7 b)は,

ME

機器と装着部が一体化したものに適用する。

20 cm×10 cm の金属はくは,人の手の大きさを表している。一部の ME 機器の場合は,接触面積は手の

大きさよりも大きい。この場合,金属はくの大きさを増加させることができる。

8.7.4.7 c)

IEC 60601-1

の第 2 版で規定した試験のうちの幾つかは,

信号入力部又は信号出力部(第 2 版では,別々

に定義していたが,第 3 版では合成用語の

信号入出力部として定義した。)への電源電圧が存在することに

関係があった。幾つかの除外事項があったが,どの除外事項も当てはまらず,この状態を

単一故障状態と

みなした。この第 3 版で想定したことは,

信号入出力部に接続することを認める他の機器が何であるのか


216

T 0601-1

:2012

附属文書で限定しない場合には,最高電源電圧の存在は,正常状態として扱うことが望ましい。

出力電圧が調整可能な絶縁変圧器 T

2

の代わりに,固定出力電圧をもつ絶縁変圧器と出力電圧が調整可能

な単巻変圧器(オートトランス)とを組み合わせたものを使用できる。

8.7.4.7 d)

外部電圧を接地していない金属の

接触可能部分に印加して行う試験は,8.5.2.2 の要求事項,つまりその

ような部分と,B

形装着部の接地していない患者接続部との間の絶縁に対する要求事項を反映している。

BF

形装着部については,この試験も 8.7.4.7 b)の試験も同様に適用する。両方とも患者接続部と他の部

分との間の絶縁を試験したとしても適用する。なぜなら

患者漏れ電流は,これらの二つの状況で同じでな

い場合があるので,異なる限度値を適用する。

出力電圧が調整可能な絶縁変圧器 T

2

の代わりに,固定出力電圧をもつ絶縁変圧器と出力電圧が調整可能

な単巻変圧器(オートトランス)とを組み合わせたものを使用できる。

注意が望ましいこととして,測定用器具及びその接続リード線の大地及び ME

機器本体に対する(静電)

容量をできるだけ低く保つことである。

8.7.3

の根拠で説明したように,

患者の最高電源電圧の存在は最悪の場合を表す。これは実際上発生する

よりも厳しい。また,この状況の BF

形装着部の許容患者漏れ電流は,5 mA である。したがって,電源電

圧を接地されていない接触可能部分に印加すると,最大 5 mA の患者漏れ電流が BF 形装着部の患者接続

部に流れる。同じ状況で,形装着部(一般により低いレベルの安全を提供する。)に許容する電流は,僅

か 500 μA であった。この変則を解決するために,8.7.4.7 d)の試験は,

最高電源電圧の 110 %を接地されて

いない

接触可能部分に印加して,BF 形装着部にも適用する。また,この条件では,許容患者漏れ電流は,

単一故障状態に対する一般的な 500 μA である。

CF

形装着部については,8.7.4.7 b)の試験で 50 μA という同じ許容値を適用するので,8.7.4.7 d)の試験を

行う必要はない。

8.7.4.7 h)

この要求事項は,

“ほとんどの ME

機器の場合,試験から有用な情報は得られないけれども広範な試験

を要求する”か又は“この

リスクを扱う特定の要求事項を定めずにおく”かという二つの折衷案である。

ほとんどの B

形装着部は,接地されている。したがって,8.7.4.7 g)(単一機能の全ての患者接続部を直

接一括して接続する。

)による測定は,8.7.4.7 h)(同一の形の全ての

装着部の全ての患者接続部を一括して

接続する。

)による測定と同じ結果になる。これが

患者漏れ電流の限度内である場合は,それは,確かに合

患者漏れ電流の限度内にある。しかし,直接接地していない 形装着部をもつことは可能であり,その

場合には測定値が異なることがある。

8.7.4.9

  複数の患者接続部をもつ ME 機器

この要求事項は,IEC 60601-1 の第 2 版の追補 2 で導入された。それは,例えば,生体信号を測定する

ME

機器で,同相信号による干渉を抑制するために一つの電極を駆動する増幅器をもつ ME 機器によって

患者に生じるリスクを扱っている。感知電極のうちの一つが患者から外れ,電源周波数で大きな電圧を拾

い上げた場合は,増幅器は不可能であるのに干渉を打ち消そうとして,大きな電流を

患者に流す可能性が

ある。

この要求事項は,

“ほとんどの ME

機器の場合,試験から有用な情報は得られないけれども広範な試験

を要求する”か又は“この

リスクを扱う特定の要求事項を定めずにおく”かという二つの折衷案である。

さらに,IEC 60601-2-49:2001 [16]では,その規格の適用範囲内の全ての ME

機器上で行うべき試験の包

括的なセットを導入した。これらの試験には,その規格中で“部分漏れ電流”と名付けられるものの測定


217

T 0601-1

:2012

を含んでいる。これは,一つの機能の

患者接続部と他の機能の患者接続部との間に流れる電流である。こ

れは一般規格のこの版では

患者測定電流の定義を改正して扱っている。

これらの試験をこの一般規格に組み入れることを考察した。しかし,そのような特定の試験は,個別規

格にまかせることが望ましいと決定した。

これらの試験は,

一つの機能の

患者接続部が使用中で患者に接続されていて,他の機能の患者接続部は,

使用中ではないが大地又は他の物体と接触する可能性がある状況に関係している。この状況は,多機能

者生体情報モニタ機器では起こる場合があるが,大多数の他の種類の ME 機器には起きそうにない。

図 A.15 は,IEC 60601-2-49:2001 [16]の図 KK.101 に基づくが,これは,BF 形装着部の一つの機能から

患者漏れ電流を測定する例である。この例では,BF 形装着部の他の機能の患者接続部及び二つの CF 

装着部が浮いている場合及び接地されている場合の測定である。

記号の説明については,

表 を参照。

測定の手順

測定は,全て S

14

を閉じて,次に S

14

を再び開いて行う。

図 A.15−複数の患者接続部をもつ ME 機器の患者接続部から大地への

患者漏れ電流の測定回路の例

8.8.1

  一般

強化絶縁に印加する電圧が,ME 機器のいずれの保護手段にも過大ストレスを与えないように注意する

ことが望ましい。同じ二点を結ぶ複数の経路がある場合,これらを別々に試験する必要なこともある。例

えば,一つの経路は,

電源部から発し,基礎絶縁をもつ患者接続部に至り,更に保護接地接続に,更に 8.5.2.1

患者接続絶縁に至る。他の一つの並列の経路は,強化絶縁をもっている。強化絶縁の試験をするために,

R

Function 1

T

YPE CF

APPLIED

PART

T

YPE CF

APPLIED

PART

P

1

MD

1

4

Function 2

4

4

S

14

P

1

T

YPE BF

APPLIED

PART

BF 形

装着部

CF 形装着部

CF 形装着部

機能

1

機能

2


218

T 0601-1

:2012

電源部又は患者接続部の個々の絶縁物に過大ストレスを与えないように ME 機器の部分を外すことが必要

な場合もある。

これを避けるためには,例えば,変圧器の場合は,分圧器を使用し,あるタップをコアに接続するか,

又はその他の適切な接続点に接続して,実際の絶縁全体に正しい分圧電圧を与えるか,又は正しく位相を

合わせた 2 個の試験変圧器を使用すればよい。

8.8.2

  固体絶縁を通した距離,又は薄いシート材料の使用

IEC 60601-1

の第 2 版では,固体絶縁の厚さに対する制限をしていなかった。ただし,変圧器について

は 57.9.4 e)で規定していた。箇条 20 の対象となる絶縁物は,全て十分に厚く耐電圧試験に合格する必要が

あると規定した。非常に薄いフイルムの絶縁材料は,その試験に合格する場合があるが,生産品目全てが

予測耐用期間中に信頼できる絶縁を提供するとは限らない。

幾つかの国内委員会がこの第 3 版の原案作成中にコメントし,それが欠落していたので IEC 60950-1 

基づいて該当する要求事項を導入するように提案した。WG14(試験)及び WG16(電気的ハザード)の

両方がこれらの提案を引き受けることになった。

これらの要求事項は,IEC 60950-1 に長年,何ら問題なく含まれてきた。それらの要求事項は,実際上

ME

機器にとって面倒なものではなく,IEC 60601-1 の第 2 版に従って設計された大多数の ME 機器であ

れば,要求事項に適合したであろう。

導入された要求事項を,IEC 60950-1 と技術的に同等になるように意図しているが,しかし明確にする

ため編集上の構成を,次のように変更した。

−  IEC 60950-1 は,絶縁を通した距離について 71 V 未満の電圧を例外として一般要求事項を規定してい

る。この規格では,これを変更して“この要求事項は,71 V を超えるに場合に適用する”ことを規定

した。

−  IEC 60950-1 は,薄いシート材料の適用に対する要求事項の場合は,他の細分箇条に規定するように,

絶縁を通す距離に対する要求事項に例外を規定しているが,その細分箇条を参照すると 71 V の限度を

明示してない。これを明確にして,薄いシート材料に対する要求事項を厚さに対する要求事項の代わ

りとして同じ導入文の下に記載した。

−  IEC 60950-1 は,ある条件を満たす場合は“薄いシート材料の絶縁を認める”と規定している。これ

らの条件を満たすために薄いシート材料中の絶縁が必要とする要求にこれを変更した。

−  IEC 60950-1 は,薄いシート材料の絶縁は“機器の

外装内で使用する”ことを要求している。しかし,

この規格で定義する

外装は,ケーブル,装着部などの表面を含め,全ての外表面を含んでいる。した

がって,要求事項をいい換えた。

この規格の中でこの細分箇条を除いた箇所では,

補強絶縁及び強化絶縁の用語は,ほとんどを保護手段

という用語に置き換えた。しかし,この細分箇条では,IEC 60950-1 と同様に,絶縁を通す距離及び薄い

シート材料の使用に対する要求事項を

補強絶縁及び強化絶縁に適用するが,基礎絶縁には適用しないとの

理由から置き換えなかった。つまり,

基礎絶縁が一つの保護手段として,他の保護手段である保護接地接

続と併用する場合の基礎絶縁には適用していない。二重絶縁を使用する場合は,そのうちの補強絶縁とみ

なせる構成部分に適用している。

8.8.3

  耐電圧

電圧を制限するために設計した部品は,試験する絶縁に規定の試験電圧を印加するために,取り外す必

要がある場合がある。


219

T 0601-1

:2012

この試験の目的は,作動温度に達した後,最悪の場合の条件下の固体絶縁を全て確認することである。

加熱素子については,最悪の場合の条件として,測定中も発熱体を通電したままにしておく。

規定した試験電圧は,固体絶縁だけに該当する。間隔(

沿面距離及び空間距離)は,8.9 によって評価す

る。JIS C 60664-1 は,インパルス電圧耐電圧試験を用いた

空間距離の電気的試験方法の詳細を規定してい

る。これらの試験は,IEC 60950-1 の耐電圧の要求事項は,MOOPs

操作者保護手段)には使用できるが,

MOPPs

患者保護手段)に対しては規定していない。JIS C 60664-1 では,“2U+1 000 V 形式の耐電圧試

験は,

空間距離の試験には適切ではない”と述べている。

耐電圧試験は,ME

機器を加湿槽内に置いたままで,湿度前処理の直後に実施するので,試験施設の要

員の保護のために適切な予防策が必要だろう。

表 において,操作者保護に対する値(試験電圧の値)は IEC 60950-1 から引用し,及び患者保護に対

する値(試験電圧の値)は IEC 60601-1 の第 2 版から引用した。この

表 の作成に当たって,次の三つの

ルールを用いた。

−  MOPP は,常に MOOP よりも高い値である。

−  電源回路は,

表 10 で規定した過渡的な過電圧に影響される。二次回路では,過渡的な過電圧レベルは,

電源回路より少なくとも一段低い。

−  試験電圧の値は,主に

電源(商用)にのる過渡電圧によって決定し,通常は動作電圧よりも数桁大き

い。

220 V∼240 V(実効値)の動作電圧における二つの MOPP(患者保護手段)の試験電圧 4 000 V は,一

つの MOPP の試験電圧(1 500 V)の 2 倍とするところであるが,IEC 60601-1 の第 2 版に整合させるため

に 4 000 V の試験電圧を継承した。ただし,個々の MOPP

患者保護手段)は 1 500 V(実効値)の最低要

求事項を適合することが必要である。

8.8.3 a)

試験電圧の供給は,変圧器,直流電源又は ME

機器の変圧器の使用によって行う。後者の場合では,過

熱を防止するために試験電圧は,ME

機器の定格周波数よりも高い周波数を使用してよい。

交流 1 000 V,又は直流 1 500 V 又はピーク値以上の

動作電圧に対する試験の手順及び時間は,個別規格

で規定してよい。

8.8.4.1

  機械的強度及び耐熱性

材料の燃焼性に対する試験は,JIS C 60695-11-10 に規定されている。

8.9

  沿面距離及び空間距離

電源(商用)から給電されることを意図する ME 機器の場合,空間距離及び耐電圧の要求事項は,電源

商用)から機器に入ると予測される過電圧過渡現象に基づいている。JIS C 60664-1 によれば,これらの

過渡現象の大きさは,通常の電源電圧及び電源構成によって決定される。これらの過渡現象は,JIS C 

60664-1

に従って過電圧カテゴリ I∼IV(設置カテゴリ I∼IV とも呼ぶ。

)と呼ばれる四つのグループに分

類される。この規格では過電圧カテゴリ II を想定している。

固体絶縁と

空間距離の設計は,発生する過電圧過渡現象が過電圧カテゴリ II の限度を超える場合には,

固体絶縁が

空間距離よりも高い電圧に耐える方法で協調する。

表 13∼表 15 の値は,電源部については過電圧カテゴリ II,二次回路については過電圧カテゴリ I で,こ

れらは IEC 60950-1 に相当している。ME

機器を電源(商用)が過電圧カテゴリ III 又は IV の場所で使用

することを意図する場合は,これらの値では不十分である。


220

T 0601-1

:2012

電源(商用)から得られる二次回路は,電源(商用)が過電圧カテゴリ II である場合は,通常,過電圧

カテゴリ I になる。過電圧カテゴリ I の種々の

電源(商用)電圧用の最大過渡現象を表 13 の欄の見出しに

示す。

F

形装着部の外装と患者接続部との間の絶縁については,特別のルールを適用する。

1)

電位差のない F

形装着部の場合には,患者に接続された他の機器が故障した場合は,患者接続部と外

装との間の絶縁は,電源電圧によるストレスだけを受ける。

この状態が生じるのは,希である。その上,通常この絶縁には,

電源部にみられる過渡的な過電圧

は加えられない。この観点から,ここに引用した場合における

装着部と外装との間に必要な絶縁は,

基礎絶縁に対する要求事項に適合することだけが必要とされている。

2)

電位差をもつ部分を内蔵する F

形装着部の場合には,患者接続部が,接地された患者(正常状態)を

介して大地に接続され,これによって他の部分と

外装との間の絶縁が装着部内の全電圧を受ける可能

性がある。

まれではあるが

正常状態においてこのような電圧が現われるため,関連する絶縁は,二重絶縁又は

強化絶縁に対する要求事項に適合する必要がある。このような状態が発生する確率は低いという観点

から,

表 11 に示した沿面距離及び空間距離は,適切であるとみなされる。

3)

適用する値は,上の 1)及び 2)に従って得られた値の最高値とする。

理論的な背景がないので,次のように決めた。1 000 V 以上の値は,IEC 61010-1:2001 [22]の

沿面距離の

表 から引用し,材料グループ IIIa-b,汚損度 3 を使用した。これは IEC 60601-1 の第 2 版の既存の値と関

連するか又は僅かながらより煩雑である。

空間距離については,IEC 61010-1 の表 の実効値 1 000 V 以下

の値のための沿面と空間との関係に基づいて値を評価した。これらから得た値を

表 A.1 に示す。

IEC 60601-1

の第 2 版の

表 16 をこの規格では二つの表(表 11 及び表 12)に分割した。IEC 60950-1 のよ

うな他の規格に由来する表と整合させるため,交流と直流電圧間との係数を 1.2 から約 1.4 に変更した。こ

の緩和は,他の規格でも多用されているので許容できる。これによって,交流電圧を直流電圧に整流する

回路において,

沿面距離及び空間距離が異なることがなくなる。

表 A.1IEC 61010-1:2001 の表 及び表 による空間距離及び沿面距離の値

動作電圧

直流

V

次の電圧以下

動作電圧

実効値

V

次の電圧以下

一つの

患者保護手段を

提供する間隔

二つの

患者保護手段を

提供する間隔

空間距離

mm

沿面距離

mm

空間距離

mm

沿面距離

mm

1 500

1 250

11.5

20

23.0

40

1 920

1 600

14.5

25

29.0

50

2 400

2 000

18.5

32

37.0

64

3 000

2 500

23.0

40

46.0

80

3 840

3 200

29.0

50

58.0

100

4 800

4 000

36.0

63

72.0

126

6 000

5 000

46.0

80

92.0

160

7 560

6 300

57.0

100

114.0

200

9 600

8 000

71.5

125

143.0

250

12 000

10 000

91.5

160

183.0

320

表 A.2 は動作電圧 1 000 V 以上の沿面距離を含み,IEC 60664-1JIS C 60664-1(IDT)]の表 F.4 を引用


221

T 0601-1

:2012

した。

8.9.1

  数値

沿面距離及び空間距離の値を使用する場合,そのピーク値,直流値及び実効値が使われていることに注

目する必要がある。表は,注意深く読むことが重要である。

MOOPs

操作者保護手段)の表は,JIS C 60664-1 から得られた次の基礎原理を表す IEC 60950-1 の値

を使用している。

−  “

沿面距離の決定の根拠は,その両端に長期的にかかる電圧の実効値である”。

−  “

空間距離は,必要なインパルス耐電圧に耐える寸法とする”。インパルス耐電圧は,“耐電圧の最高

ピーク値”である。

しかし,MOPPs

患者保護手段)の表は,IEC 60601-1 の第 2 版を基にした。そこでは,沿面距離及び

空間距離の両方とも実効値又は直流電圧に関係付けている。

表 A.2JIS C 60664-1 からのトラッキングによる故障を回避する沿面距離

単位  mm

動作電圧

V

実効値又は

直流

一つの

操作者保護手段のための間隔

汚損度 1

汚損度 2

汚損度 3

材料グループ

材料グループ

材料グループ

I,II,IIIa,IIIb I

II  IIIa 又は IIIb I  II IIIa 又は IIIb

1 250 
1 600 
2 000 
2 500 
3 200 
4 000 
5 000 
6 300 
8 000

10 000

適 切 な 表 か ら

空 間 距 離 を

使用する

6.3 
8.0

10.0 
12.5 
16.0 
20.0 
25.0 
32.0 
40.0 
50.0

9.0

11.0

14.0 
18.0 
22.0 
28.0 
36.0 
45.0 
56.0 
71.0

12.5 
16.0 
20.0 
25.0 
32.0 
40.0 
50.0 
63.0 
80.0

100.0

16.0
20.0
25.0
32.0
40.0
50.0
63.0
80.0

100.0
125.0

18.0 
22.0 
28.0 
36.0 
45.0 
56.0 
71.0 
90.0

110.0

140.0

20.0 
25.0 
32.0 
40.0 
50.0 
63.0 
80.0

100.0 
125.0 
160.0

8.9.1.6

  補間

補間が認められるのは,

沿面距離,及び動作電圧が実効値 2 kV 超えるか又は直流 2.8 kV 以上の空間距

離である。このアプローチは,一般に IEC 60950-1 及び IEC 61010-1 [22]と一致している。

8.9.1.15

  耐除細動形装着部の沿面距離及び空間距離

IEC 60664-1

JIS C 60664-1(IDT)

]の

表 F.2 から,4 mm の距離が,電圧 5 kV,時間 10 ms 未満の短時

間パルスに適切であることが分かる。これは,除細動器の使用によって典型的に発生する電圧である。

8.9.2

  適用

8.9.2 a)

ME

機器の意図する使用によっては,ヒューズ又は過電流開放器の作動が危険状態になることがある。

分岐サーキットブレーカ(壁に取り付けられた設備のブレーカ)が開路することは,認められない。8.9.2 a)

は,ME

機器の入力には,この細分箇条を適用する回路部分よりも手前に,過電流開放装置があるという

事実に基づいている。この過電流開放装置の手前では,間隔は,

電源部内の異極性部分に対する基本要求

事項に適合する必要がある。

8.9.3

  絶縁コンパウンドを満たした空間

沿面距離は,絶縁隔壁の二つの部分間の接合部を通して測定する。ただし,次のいずれかの接合部を除


222

T 0601-1

:2012

いている。

−  接合部を形成する二つの部分の重要な部分を熱シール剤又は他の類似の手段で接合してある。

−  接合部の必要箇所が接着剤で完全に満たされていて,

かつ,

接着剤で絶縁隔壁の表面を接着していて,

湿気を吸収しないようになっている。

IEC 60601-1

の第 2 版の

図 43∼図 45 の説明では“接合部を接着していない”となっていた。これらの図

に対する説明 7)では,57.9.4 f)第 2 ダッシュで,

“接着する”という表現になっていたが,

“調査によって確

認する”という以外の試験方法を規定していなかった。IEC 60601-1 の第 3 版の準備中に,ポッティング

の問題を扱うために IEC 60950-1 に基づいた関連する要求事項の導入が提案された。

導入した要求事項は,IEC 60950-1 の要求事項にほぼ基づいており,対象は容器ポッティング,カプセ

ル化,接着した接合部などである。IEC 60950-1 の構成に多少編集上の修正を施して明瞭にした。これら

の要求事項は,

沿面距離及び空間距離の要求事項の除外を認めている部分なので 8.9 に規定し,固体絶縁

に適用する追加要求事項ではないので 8.8 には規定しなかった。

8.9.4

  沿面距離及び空間距離の測定

沿面の経路方向にできる可能性のある幅が 1 mm 未満の狭い隙間は,じんあい(塵埃)及び水分が溜ま

りやすいため,できるだけなくすことが望ましい。

8.10.1

  部品の固定

多くの場合,部品及び配線を適切に固定できること(例えば,小さな部品をプリント回路基板にはんだ

付けする。

)は明白であり,

リスクマネジメントファイル中で特に正当化する必要はない。しかし,関連情

報が

リスクマネジメントファイルに含まれる場合は,これらの要求事項への適合性の評価を考慮に入れる

ことが望ましい。

8.10.2

  配線の固定

一般に配線の接続は,

単一故障状態を起こしやすいといわれている。例えば,保護手段である保護接地

接続の外れ又は橋絡のように,配線の緩み又は断線に対して危険状態が発生することを防ぐ手段が一つし

かない場合は,この要求事項に適合していないとみなしている。

単一故障状態でもこの規格に適合する接続の例としては,次のようなものがある。

−  導線とその導線の絶縁シースの両方をそれぞれを圧着する。

−  導線を機械的に固定し,更にはんだ付けをする。

−  導線を機械的に固定してその動きを規制する。例えば,結束,配線の圧接,束帯。

−  張力を軽減する機構を採用し,かつ,機械的に固定する。

8.10.4

  コード付き手持形制御器及びコード付き足踏み制御器

手持ちスイッチ及び足踏みスイッチは,実際に厳しい条件にさらされている。この要求事項で,そのよ

うなスイッチの

外装が完全に破損するという最悪の事態でも,8.4.2 c)に規定した限度内の電圧で,触れて

も安全な部分しか露出しないようにしてある。

8.10.5

  配線の機械的保護

リスクマネジメントファイルの中で,特に正当化する必要はない。しかし,関連情報がリスクマネジメ

ントファイルに含まれる場合は,これらの要求事項への適合性の評価を考慮に入れることが望ましい。

8.10.7

  内部配線の絶縁

導線は,適切な定格をもつジャケットコードで別々に回線(導線の引回し)することができる。異なる

種類の回路の導線は,共通コード,配線チャネル,コンジット又は接続器を通して回線し,接続器中の導


223

T 0601-1

:2012

線間を十分な定格をもつ導線絶縁及び 8.9 の要求事項に適合する十分な

空間距離及び沿面距離を設けるこ

とによって,適切な分離が実現できる。

8.11.1

  電源(商用)からの切離し

8.11.1 a)

サービス要員のような技能者は,多分に危険性のある内部の ME 機器の部品に接近するので,ME 機器

電源(商用)から切り離す手段を必要とする。

電源の切離しスイッチを備えている場合,それは,通常の使用のために機能を停止させるためか又は緊

急時に危険な出力を出力しないようにするためである。しかし,緊急停止スイッチの要求事項が規定され

ていないように,必ずしもこれらの目的のための切離し手段が必要であるとはいっていない。

8.11.1 c)

IEC 60601-1

の第 2 版では,

電源(商用)からの切り離しのために使用するスイッチの最小接点間隔に

対する要求事項は,IEC 328 で規定されたものであった。IEC 328 は,1990 年に,IEC 61058-1 に置き換わ

った。IEC 61058-1 の第 1 版は,

電源(商用)から完全に分離するための接点間隔として 3 mm を要求して

いた。過電圧カテゴリには言及していない。IEC 61058-1 の第 3 版は,JIS C 60664-1 に従って過電圧カテ

ゴリの概念を導入した。230 V の

電源(商用)で過電圧カテゴリ II の場合,IEC 61058-1:2002 の表 22 によ

ると許容される最小接点間隔は 1.5 mm である。この規格の要求事項は,一般に過電圧カテゴリ II(8.9.1.11

を参照)に関係があり,

電源(商用)からの切離しを意図する全てのスイッチについては,過電圧カテゴ

リ III での 230 V の

電源(商用)に対する要求事項の 3 mm とすることが賢明である。これは,IEC 60601-1

第 2 版の要求事項と一致するだけでなく,

JIS C 6065

及び IEC 60950-1 の要求事項にも整合する。

JIS C 6065

及び IEC 60950-1 は,ともに

電源(商用)からの切離しを意図するスイッチについては,最小接点間隔 3 mm

を要求している。

8.11.1 h)

このような保護装置(短絡によって過電流保護装置を作動させる手段)があると,ME

機器に組み込ん

だ過電流保護装置を作動させるか否かにかかわらず,設備のヒューズ又はサーキットブレーカを作動させ

てしまう可能性が高く,

それは生命維持 ME

機器も含む他の ME 機器への電力供給を止める可能性もある。

このような装置は,ME

機器の内部で望ましくない熱の影響を生ずる可能性もあり,いずれにせよ該当す

危険状態に対する防護として信頼できるものではない。

8.11.1 i)

電源から切離しできない部分には,例えば,部屋の照明回路又は電源スイッチの遠隔操作回路を含む場

合がある。そのような部分は,例えば保守の目的でカバーを開ける場合に,接近可能になることがある。

空間的に分離した配置とは,この規格が規定する以上の電圧が印加されている部分に

サービス要員が作

業中触れないように,サービス作業を行うために接近する必要のある部分を配置することである。この場

合,警告があれば

サービス要員に対する安全は確保できているとみなす。

8.11.2

  マルチタップ

この要求事項によって,他の機器が接続されて過度の

漏れ電流が生じる確率が低減する。

8.11.3.4

  電源接続器

電源コネクタに接続した電源コードは,非着脱電源コードに類似したストレスを受ける。過度の曲げに

対して適切に保護していない場合には,

危険状態が発生する可能性がある。

8.11.3.5

  コード止め

電源コードを張力及び磨耗に対して適切に保護していない場合は,保護手段として備えている絶縁の損


224

T 0601-1

:2012

傷の確率が高くなるとともに,

クラス の ME 機器では,保護接地線の破損又は外れの確率が高くなる。

8.11.3.6

  コードガード

電源コードを過度の曲げに対して適切に保護していない場合は,電力導線の破損によって火事が発生す

る確率が高くなるとともに,

クラス の ME 機器では,保護接地線の破損の確率も高くなる。

ここで規定している曲げ試験は,IEC 60950-1:2001 の 3.29 で規定している試験と同じである。IEC 

60601-1

第 2 版には,

“上記の寸法試験に合格しないガードは,IEC 60335-1 追補 6:1988 の 25.10 に規定し

ている試験に合格しなければならない。

”という規定があった。今回も,この選択肢を継承した。しかし,

現在は IEC 60335-1 の新しい版を引用している。さらに,全ての場合に一つの試験を行い,ME

機器が最

初の試験で不合格なら他の試験を行うという要求事項を変更し,ME

機器が適合するかどうかに対して相

違がないので,いずれの試験を最初に行ってもよいことに変更した。

8.11.4.1

  電源端子盤に対する一般要求事項

電源端子は,過熱防止のために抵抗が十分に低くなるように確実に接続し,接続不良の発生確率を最小

限にすることが望ましい。信頼性のある接続は,ねじ,ナット,はんだ付け,圧接,導線の圧着又は同等

の効果のある方法によって実現できる。

端子ブロック以外の部品端子を外部導線用の端子として使用を認めるのは,端子の配置が適切(接触可

能であり,更に表示が明瞭である)で,かつ,この規格に適合しているような特別な場合である。あるタ

イプの部品の配線端子は,設置時の配線目的の定格となっていることが多い。これらの部品には,ヒュー

ズホルダ,EMC フィルタ,サーキットブレーカ,コンタクタ,巻付け端子,モータ制御器及び位相検出器

がある。これらは,最初に接続する可能性のある部品の一つで,最初に配線接続するのに都合のよい位置

に配置されている。

8.11.4.2

  電源端子盤の配置

8.11.4.2 a)

外部コード又は

電源コードを接続する端子は,グループ化してまとめて配置するのが当然である。端子

をグループ化しないと不正確な接続の可能性が増すことがある。

8.11.4.4

  電源端子への接続

“導線の特別な処理”という用語は,

サービス要員による(すなわち現場での)より線のはんだ作業,

ラグ端子の使用,はと目の取付けなども含んでいる。ただし,導線を端子に取り付ける前の整形,又は端

末部を束ねるためのより線のより合わせは含んでいない。導線の処理を

製造業者が行い,可とうコードを

唯一の認められた交換部品として提供する場合,そのような部分は,この要求事項に適合するとみなす。

8.11.5

  電源ヒューズ及び過電流開放器

ME

機器にヒューズ又は過電流開放器を備えることによって,ME 機器が故障して設備の保護装置が作

動した場合に,生命維持 ME

機器を含む他の ME 機器への電力供給停止が発生する確率を減少させること

ができる。

保護接地接続へのヒューズの使用が不適切であることは,明らかである。

永久設置形 ME 機器の中性線にヒューズを使用しても何の役にも立たず,かつ,三相機器の場合には,

ライン線は接続されたままの状態でそのヒューズが作動すると,

絶縁に対する負荷が過大になる。

しかし,

中性極を含む全ての極を同時に遮断する

過電流開放器は,使用してもよい。

電源部内の異極性の全ての部分間に二重絶縁又は強化絶縁を施している場合には,要求事項を免除する

ことが,この第 3 版の作成過程で行われた各国の国内委員会への照会の回答で支持された。これに該当す

るのは,例えば,小さなプラグ・インの電源の中にヒューズ又は

過電流開放器を組み込むことが困難な場


225

T 0601-1

:2012

合である。

9

  ME 機器及び ME システムの機械的ハザードに関する保護

箇条 の要求事項は,ME

機器に起因する機械的性質のハザード(動く部分,粗い表面,鋭い縁又は角,

不安定性,突き出た部分,振動及び騒音,並びに

患者支持及び ME 機器の部分の懸垂支持)について規定

している。ME

機器の損傷又は劣化(機械的強度)を招くハザードに関する要求事項は,15.3 にまとめた。

ME

機器は,次のようなことに起因して損傷又は劣化した部分が原因となり安全でなくなる可能性があ

る。例えば,

“打撃,圧力,衝撃,振動などのような機械的ストレス”

“固形微粒子,ほこり,液体,湿気,

活性ガスなどの侵入”,“熱的及び力学的なストレス”,“腐食”,“動く部分又は懸垂質量の固定部分の緩

み”及び“放射”である。

機械的な過負荷,材料の疲労又は磨耗の影響は,次のいずれかの手段によって避けることができる。

−  過負荷の発生後直ちに,危険でない作動状態にさせるか,又はエネルギー供給を遮断する手段(例え

ば,ヒューズ,減圧弁)

危険状態を生じる可能性のある飛散物又は落下物(材料疲労,磨耗又は過負荷に起因する)に対して,

ガードするか又はこれらを捕捉する手段。

患者支持機構及び懸垂支持機構の破断に対する保護は,冗長設計によるか又は落下を停止する手段を備

えることによって得られる。

手で保持するか又はベッドに置くことを意図する ME

機器の部分は,落下に耐える十分な強度が必要で

ある。そのような部分は,移動時だけでなく車の中での使用においても,振動及び衝撃を受ける可能性が

ある。

9.2

  動く部分に関わるハザード

操作者,患者及び他の人々を機械的ハザードから保護する必要がある。これは多くの方法で達成できる。

例えば,次のいずれかの方法がある。

−  人々と

ハザードとの間に十分な距離をとる。

ハザードのある場所へのアクセスを制限する。

−  機械的か機械的でないかにかかわらず,人々と

ハザードとの間に障壁を設ける。

ハザードから発生するリスクを減らす。

危険状態を引き起こす動きに対し操作者が適切に制御できることを確実にする。

−  最初の制御系が故障したとき受容可能な

残留リスクになるようにバックアップ・システムを提供する。

ME

機器によっては,患者又は操作者だけではなく,訪問客,家族及び他の無資格者が近くにいること

があるので,この細分箇条においては,それらも含めた人々の

リスクも対象とすることが望ましい。

9.2.1

  一般

動く部分に対する要求事項は,医療機器でない機器及び機械類に適用する他の規格の要求事項に基づい

た。しかし,ME

機器は患者に接触するか,又は患者の直ぐ近くにあることを考慮してそれらの規格の要

求事項から修正した。

状況が多様であるので,

残留リスクを扱う警告を附属文書に記載するのか(必要な場合は,どこに表示

するか)をこの規格では規定することはできない。使い方及び

残留リスクのレベルによっては,製品上に

警告を表示することが重要な場合がある。しかし,

附属文書だけに警告を記載すればよい場合もある。

9.2.2.4

  ガード及び防護手段


226

T 0601-1

:2012

動く部分を保護する

外装又はガードに要求した保護の程度は,ME 機器全体の設計及び意図する使用に

よって決まる。露出した動く部分の許容度を判断する場合は,次の因子を考慮することが望ましい。すな

わち,露出の程度,動く部分の形,不慮の接触の確率,動く速さ,動く部分(例えば,歯車のかみ合う部

分,ベルトがプーリに巻かれる部分,動く箇所が閉じて挟み込み又は切断を起こす部分)に指,腕又は衣

類を引き込まれる確率などである。

これらの因子は,

正常な使用時及び調整の設定時の両方に,又はおそらく設置も含め附属品若しくは追

加部品の交換に関連すると考えられる。それは,

ガードが,設置時に取り付けられるかもしれず,また据

置形機器を構成する一つの機器の部品ではない場合もあるからである。

ガードに対しては,次を考慮すればよい。

工具を使わなければ取外しができない。

−  サービス作業及び交換のために取外しができる。

−  強度及び剛性。

−  完全性。

−  挟まれる可能性がある箇所のような新たな

ハザードの発生,及び清掃のようなサービスの増加によっ

てそのような箇所に接近する新たな作業の発生。

この細分箇条で扱う防護手段は,光バリアのような衝突検出システムを含むことを意図している。

防護手段は,連続的作動タイプの制御の代わりに使用できる。防護手段には,フィードバック制御を備

える必要がある。

9.2.2.5

  連続的な操作

フィードバックループ中に

操作者を含む動作制御システムは,連続的な操作(例えば,操作している間

だけ作動する,デッドマンスイッチなど)を採用する必要がある。動きの速さ及び

操作者にとって目に見

えるフィードバックのような要素も適切であることが必要である。

状況によっては,

操作者の訓練及び他の資格認定が適切な操作者の管理をするために必要である。その

ような場合は,作動させるために意図的な行為を必要とする“施錠管理”を利用することが望ましい。そ

のような施錠管理の例として,次がある。

−  “使用可能”にするキースイッチ。

−  “使用可能”にする指紋スイッチ。

−  パスワードカード。

その他の状況においては,意図しない操作が懸念される。この場合,制御器類は,次のような構造を使

用することがある。

−  動きが可能になる前に,

“使用可能”にする機能を備えた制御。

−  くぼんだ部分にある操作部による制御。これによって,手又は脚が偶然操作部に当たって作動するこ

とを防ぐことができる。

操作者が危険な動く部分に接近できる場合は,制御器の位置を工夫してトラッピングゾーンへの接近を

防ぐように設計してもよい。例えば,起動するのに両手が必要な制御システムがある。

連続的な操作機能を備えていない制御システムについては,

リスクを受容可能なレベルに緩和できるが,

9.2.2.1

の他の選択肢を用いて,そのシステムを評価することが必要である。


227

T 0601-1

:2012

この細分箇条は,電子動作制御システムを扱っている。手動で働かせる動作システムは,9.2.2.1 の他の

選択肢を参照する。

9.2.2.6

  動きの速度

一部の医療機器は,動く部分に起因する不可避の

危険状態が生じることがあるので,この要求事項を規

定した。つまり,9.2.2.29.2.2.5 の保護手段を講じることができず,

操作者に危険回避を委ねる場合には,

操作者が位置決めを制御できる適切な操作を可能とするように行き過ぎを考慮して動きの速度を制限する

ことが必要だからである。

9.2.3

  動く部分に関連した他のハザード

9.2.2.1

は,

トラッピングゾーンに起因する危険状態を扱っている。動きによって,衝撃,せん(穿)孔

などが生じることがある。

9.2.4

  緊急停止装置

緊急停止装置は,ME

機器の部分の動きを防止又は停止することによって不慮の損傷を防ぐための設計

である。ME

機器には,一つ以上の緊急停止装置がある場合がある。ME 機器は,更に給電を全て遮断す

る緊急遮断装置を備えることができる。緊急遮断装置は,緊急停止機能の提供を意図していない場合,こ

の細分箇条の要求事項の対象ではない。緊急停止装置は,緊急スイッチ機能の一部分にすぎない。

9.2.5

  患者の解放

この要求事項は,不要な動きを引き起こす停電の影響及びその場合の圧迫力の解除,又は危険な位置か

患者を解放する必要性を考慮している。

9.3

  表面,角及び縁に関わるハザード

鋭い縁に関連した

リスクは,鋭い縁の位置及び ME 機器の使い方によって異なる。この理由から,この

細分箇条への適合性は,調査によって確認することを要求している。疑わしい場合,UL 1439 [43]で規定し

た鋭い縁の試験方法を指針として使用してもよい。

この細分箇条は,

正常な使用時に接触できる表面に適用する。損傷が受容できないリスクを生じる場合

(例えば,流体システム)は,

サービス要員の保護又は他の内部システムに注意することが望ましい。

9.4

  不安定性に関わるハザード

正常な使用時に,多くのタイプの ME 機器は移動中(正常な使用時の部屋から部屋への移動)に様々な

状況にさらされる。この規格の要求事項は,直面すると思われる状況を想定しているが,

リスクマネジメ

ントプロセスによって,ME 機器が使用されることを意図する状況及び,それらの状況がどのように基礎

安全又は基本性能に強い影響を与えるかを評価することが望ましい。

これらの試験の実施中に安定が維持できなくなることで,

操作者,患者及び他の人に危害を与える場合

(例えば,押し潰す,落下する)

ME

機器がこの規格の該当する基礎安全に対する要求事項に適合しない

場合(例えば,危険電圧部の露出,

沿面距離又は空間距離の減少,又は耐火性外装に目に見えない割れ目

の発生)

,又は

基本性能が失われる場合,その不安定性は,受容できないリスクに至るとみなすことが望ま

しい。

9.4.2

  不安定性−不平衡状態(転倒)

表 A.3 及び図 A.16 は,安定性試験に対する要求事項の背景となる論理を示している。


228

T 0601-1

:2012

表 A.3−不安定性試験条件

移動に対する警告

試験平面の角度

10°傾斜

5°傾斜

移動に対する警告がない場合

全ての姿勢において合格する。

適用しない(10°傾斜した平面

の試験で代表する)

移動上の警告がある場合

移動姿勢において合格する。

移動姿勢以外の全ての姿勢にお

いて合格する。

あらゆる

正常な使用モード(移動を含む。)

10°で合格,又は警告表示して 5°で合格

移動専用モード 
10°で合格

図 A.16−不安定性試験条件

9.4.2.4

  キャスタ及び車輪

この細分箇条への適合は,明らかに受容できない

リスクを回避するだけでなく,基本性能として実質的

に最適な移動を保証することを要求している。ME

機器を移動形と指定するためには,部屋から部屋へ移

動できることが必要である。

9.5

  飛散物に関わるハザード

飛散物は,ME

機器の部品又は ME 機器のその破片で,例えば,損傷した CRT,機械的なばね,ガス圧

力シリンダ,回転フライホイール,爆発したリチウム電池などであり,衝突,膨張などによって飛び散る

ものである。

“飛散物”からの保護の程度は,

危害の発生確率及び危害の重大さによる。防護手段には,外装,隔壁,

電気的手段(例えば,リチウム電池の充電を防ぐ冗長手段)などがある。

9.6.1

  一般

過大な騒音は,疲労,会話及び音響信号の妨害,又は聴力障害さえ引き起こす。聴力障害を防止する限

度は,ISO 規格で規定している。

診療に使われる部屋は,

患者及び医療従事者の快適さのために,更に低い制限が要求されている。ME

機器の騒音の現実的な影響は,部屋の音響特性,部屋間の防音,及び ME 機器の部分間の相互作用によっ

て大きく左右される。

過大な振動は,

患者,操作者及び他の人々に対して不快感の原因となる。長期間振動にさらされると,


229

T 0601-1

:2012

脈管,神経又は骨格・関節への障害の原因となる。過大な振動は,ME

機器に損傷を与え又は校正値の変

化の原因となる。

この規格に含まれるほとんどの ME

機器の騒音及び振動は,患者,操作者及び他の人にとって無視でき

るレベルである。

リスクマネジメントプロセスによって,測定が必要な場合を明確にすることが望ましい。

9.6.2

  音響エネルギー

これらの値は,長期間の聴覚障害に対する可能性に基づいている。規制の目的で世界的に通常採用され

ている値は現在,5 dB(A)の補正値を伴う 90 dB(A)としていた。しかし,最近の研究結果では,24 時

間中の累積時間が 8 時間に対し,時間が 2 倍又は半分になった場合の 3 dB(A)の補正値を伴う 85 dB(A)

を提示している。[34]。

騒音が,衝撃音であるかどうかを判断する基準は,意図して提示していないが,判断はその場の状況を

参考にすることが望ましい。衝撃音の例としては,MRI 装置の傾斜磁場音又は結石破砕装置の衝撃音があ

る。

9.6.3

  手に伝わる振動

振動の限界値は,音響エネルギー(騒音)の限界値よりも更に明らかになっていない。ここで採用した

値は,物理作用(振動)にさらされる作業者の最低限の健康・安全要求事項に対する欧州議会委員会指令

[指令 89/391/EEC の第 16 条(1)が意味する 16 番目の個別指令]からである。それは JIS B 7761-3 に従

って 8 年間,日常的に振動にさらされた後で,皮膚の白化(神経障害の徴候)の約 10 %発症率に相当する。

全身振動に対する限界値の確立は,更に難しい。したがって,この規格は,そのような限界値を規定して

いない。背中の痛み及びその他の健康障害のような最終結果は,定量化することは容易でないし,振動基

準は,合意に至っていない。この問題についての関連情報は,ISO 5805 [28]及び ISO 8041 [29]のような規

格中で見つけることができる。

人が 24 時間中にいろいろなレベルの加速度にさらされた場合,許容累積ばく露時間は,次のように決定

できる。各レベルの加速度に対して,最初に 24 時間中の許容累積ばく露時間の

表 A.4 を考慮する。

表 A.4−加速度レベルにさらされる許容累積ばく露時間

24 時間中の許容

累積ばく露時間

加速度

m/s

2

1 7.07 
2 5.00 
3 4.08 
4 3.54 
5 3.16 
6 2.89 
7 2.67 
8 2.50 
9 2.36

12 2.04 
16 1.77 
24 1.44

許容累積ばく露時間の幾つかの例を,次に示す。

加速度 5 m/s

2

に 1 時間(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積時間の 1/2)さらされ,その後,加速

度 1.44 m/s

2

に 12 時間(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積ばく露時間の 1/2)さらされた。この場


230

T 0601-1

:2012

合,24 時間中の加速度に対する累積ばく露時間は,許容範囲内である。

(累積は,1/2+1/2=1 である。

加速度 4.08 m/s

2

に 1 時間(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積ばく露時間 3 時間の 1/3)にさら

され,

その後加速度 2.36 m/s

2

に 3 時間

(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積ばく露時間 9 時間の 1/3)

さらされ,その後加速度 1.44 m/s

2

に,8 時間(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積ばく露時間 24

時間の 1/3)さらされた。この場合,24 時間中の累積時間は許容範囲内である。

(累積は,1/3+1/3+1/3=

1 である。)。

加速度 5 m/s

2

に 1 時間

(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積ばく露時間 2 時間の 1/2)

にさらされ,

その後加速度 4.08 m/s

2

に 1 時間(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積ばく露時間 3 時間の 1/3)さ

らされ,その後加速度 2.04 m/s

2

に 2 時間(この加速度に対する 1 日当たりの許容累積時間 12 時間の 1/6)

さらされた。この場合,24 時間中の累積ばく露時間は許容範囲内である。

(累積は,1/2+1/3+1/6=1 であ

る。

要するに,各加速度に対して 1 日当たりの許容累積ばく露時間をその加速度に対する 1 日当たりの許容

累積ばく露時間によって与えられた加速度に対する実際の累積ばく露時間で除することによって分数値を

決める。この各々の加速度に対する分数の和が 1 を超えてはならないとしている。

9.7

  圧力容器及び空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分

この細分箇条の要求事項は,国の法律又は規格の最も厳しい組合せを表すものではない。

幾つかの国々では,このような法律又は規格を適用している。

考慮するシステムの種類は,空気圧システム,水圧システム,蒸気圧システム及びそれらの組合せを含

んでいる。これらのシステムは,圧力容器を含む場合及び含まない場合がある。

危険状態

a)

機械的な破裂又は破損(危害:押し潰し,突き通しなどの障害)

この

危険状態を扱っている IEC 60601-1 の第 2 版の箇条 45 の要求事項をそのままこの細分箇条に移

した。

要求事項を明確にして,全ての部分が

正常状態又は単一故障状態における圧力以上の最大許容動作

圧力をもつことを示した。一般に,最大許容動作圧力と破裂圧力との間には適切な安全率があるのが

望ましい。ここで,破裂圧力とは,ある部分が永久(塑性)変形又は漏出を起こす圧力である。耐圧

部品に対する業界規格は異なっているが,適切な安全率は,3 倍,4 倍及び時々5 倍(ISOASME

SAE

)である。適切な安全率は,最終用途及び

リスクに関連した要因によって異なるので,最大許容

動作圧力の定義で最小安全率を規定することは不適当であると考えられた。代わりにそのような部分

については,

製造業者の指定にまかせている。最大許容動作圧力の指定は公認された国際規格又は国

家規格に基づくと想定される。したがって,破裂圧力は,少なくとも

図 32 に示した増倍率(1 MPa

で 3 倍とし,30 MPa で 1.3 倍まで漸減する。30 MPa 以上では,1.3 倍で一定とする。

)に従う。

エネルギー限界(圧力×容積)及び最大圧力限界の両方を超過する圧力容器の場合,要求事項は,

最大許容動作圧力の指定及び図 32 に示した増倍率(1 MPa で 3 倍とし 30 MPa で 1.3 倍まで漸減する。

30 MPa 以上では 1.3 倍で一定とする。)に基づいて過剰水圧試験を行うことである。

b)

支持機能の機械的喪失[危害:破砕,せん(穿)孔創]

要求事項を明確にして,圧力システムの部品,例えば,水圧昇降システムの部品などその保全性が

支持機能喪失による

リスクの低減に依存する部品は,9.8 に規定した正常状態での(引張り強さの)安

全率に適合する必要がある。安全率は,典型的には磨耗しない部品は 4 倍,磨耗する部品(場合 B)


231

T 0601-1

:2012

は 8 倍とする。したがって,圧力を受ける部品で,その故障が機械的な破裂及び支持機能の喪失を生

じる部品については,

最大許容動作圧力は,次による。すなわち単一故障状態での圧力と 9.7 に規定

する各システム部品に対する

製造業者が指定する高い方の値,又は正常状態での圧力と 9.8 に規定す

安全率との高い方の値とする。

c)

有毒ガス又は液体の漏出(危害:化学的又は生物学的な細胞傷害)

この

危険状態を扱う IEC 60601-1 の第 2 版の箇条 45 の要求事項をそのままこの細分箇条に移した。

要求事項を明確にして,圧力システムの部品全てが,各システム部品に対する

単一故障状態圧力及

製造業者の指定に基づく最大許容動作圧力をもつ必要があることを示した。

d)

可燃性ガス又は液体の漏出(危害:火による熱傷又は財産の損害)

この

危険状態を扱う IEC 60601-1 の第 2 版の箇条 45 の要求事項をそのままこの細分箇条に移した。

要求事項を明確にして,圧力システムの部品全てが,各システム部品に対する

単一故障状態圧力及

製造業者の指定に基づく最大許容動作圧力をもつ必要があることを示した。

9.7.5

  圧力容器

圧力が 50 kPa 以下又は圧力と容積との積が 200 kPa・l 以下の場合,水圧試験は,必要ないとみなしてい

る。

図 32 に示した安全率は,圧力容器を試験するときに一般に適用する安全率よりも高い。しかし,水圧試

験は,圧力容器が製造欠陥又は重大な劣化がないことを検証するために通常使用し,設計の妥当性は他の

方法で決定している。これに対して,この規格の水圧試験は,他の方法で確定できない設計の妥当性を検

証することを意図している。

この規格では,この要求事項が国家規格など地域の規制に従属しているような印象を避けるため,国家

規格の引用を削除した。ME

機器は,場合によっては,規格及び地域の規制の両方,又は厳しいほうを満

足する必要があり,この規格と矛盾する地域の規制は存在しないと想定している。

水圧試験は,空気圧試験よりも試験要員にとって安全であるため,空気圧容器に対しても規定されてい

る。ガスによって試験圧力を得ると,ガスが圧縮されて試験される容器内に蓄積されるエネルギーは,水

圧試験法よりも大きくなる。両方の方法は,共に同じ試験圧力を得ることができ,それ自体が試験目的で

ある。

9.8

  支持機構に関わるハザード

“支持”という用語は“懸垂”を含み,また,負荷は,

患者,操作者及びその他の質量を含んでいる。

支持機構を大別すると次のようになる。

−  懸垂機構は,可とう部又は剛体部を含み,

患者及び操作者を含む質量を正常な使用時に懸垂するよう

設計されている。

−  可とう部は,ロープ,ケーブル,チェーン,ベルト,バンド及びばねを含んでいる。また,ねじジャ

ッキのナットは,磨耗で損傷するので,更に高い

安全率が必要であるとみなしている。

−  作動機構は,電気式・空気圧又は水圧(油圧)アクチュエータ,モータ,ギアボックス,軸,ベアリ

ング,プーリ,滑車,ベルトホイール及びガイドのような要素を含んでいる。

−  支持構造物は,一般に固定式又は動く剛体の装置であり,ME

機器,外部負荷及び必要な場合,患者

及び

操作者を支持する。

安全率は,設計に安全上の余裕を与えるため適用するものであり,作動条件,材料及び製造時の変動な

ど妥当な余裕を全て考慮した後に適用する。


232

T 0601-1

:2012

表 21 から A の場合又は B の場合のいずれを使用するか決めるとき,A の値を適用するためには材料強

度の確実性が必要である。さらに,A の値を適用するためには

総荷重の決定に信頼性が必要である。総荷

重は“静的な力”及び“動的な力”の各成分から構成される。静的な力は通常明らかである。しかし,動

的な力/荷重は,不確かなこともある。静的な力と同様に動的な力も既知である場合は,

安全率は A を用

いて決定する。動的な力が明らかでなく,静的な力だけ既知の場合は,

安全率は B を用いて決定する。

患者支持機構に加わる外力は,CPR[心肺そ(蘇)生法]などの適用によって生じる外力も含む。

破断時の伸び 5 %は,金属材料,特に鋼及び鋳鉄で得た過去の経験に基づいた。破断時の伸びが 5 %未

満の材料は,もろいとみなされ,故障すると破滅的になるので,高い

安全率が適切である。

非金属材料の場合

−  経験がなく故障モードが破滅的な場合,金属材料における 5 %未満の伸びを当てはめることは,適切

であるとみなしている。したがって,伸びが 5 %以上あっても,いっそう高い安全率が適切であると

扱っている。

−  経験及び試験によって根拠がある場合は,破断時の伸びが 5 %未満でも,いっそう高い

安全率を適用

しなくてもよい。

例えば,X 線,X 線 CT 又は MR システムの

患者用の寝台は,構造的な安定性の観点と同様に低い X 線

吸収(アルミニウム当量)

,MR 適合性(低い陽子信号)から最適化しなければならないため,しばしばプ

ラスチック材料を炭素繊維(布)又はガラス繊維(布)で積層若しくは強化して設計している。炭素繊維

(布)で強化したこれらのプラスチック材料は,破断時の伸びが 5 %未満になることがあるが,長年の知

識,習得したノウハウ及び市販後監視によって,

表 21 の伸び 5 %以上(伸び 5 %未満でなく)の安全率を

適用することで,

患者用の寝台の適切な構造的な安定性を達成できるという十分な根拠を提供することが

できる。

寿命末期か又は定期保守サイクルの末期において,ME

機器は,構造上の完全性を維持する必要がある。

寿命末期か又は定期保守サイクルの末期においては,もはや磨耗を考慮しなくてもよいので,

表 21 の番号

1 を適用してもよい。

懸垂及び作動機構は,磨耗及び疲労による劣化の影響を低減するため,高い

安全率をもつ必要がある。

床,天井などは,種々の

安全率をもっているので,それに支持構造物を固定する場合は,特に注意する

ことが望ましい。

隠れた欠陥は,ME

機器の製造,サービス業務又は正常作動の間に明らかにならない欠陥であるが,機

器の部分の故障を引き起こし

危険状態になることがある。例えば,ばねのような熱処理部品内の高い内部

応力,ケーブル(ワイヤーロープ)内の撚線の断線,及び鋳物内のす(気孔などの空洞)である。

図 A.17 は,表 21 を使用して適切な安全率を決定する例である。図 A.18 は,設計荷重及び試験荷重の決

定の例である。これらは,一例であって,どのような場合にも当てはまるわけではない。特定の設計をす

るとき,これらの

安全率及び設計/試験荷重は,使用材料,それらの磨耗特性,荷重条件などによって変

わることがある。

この細分箇条(9.8.2)が着目するのは,機器がその

予測耐用期間中に構造上の完全性を維持することを

確信するための指針(手引き)としての安全率である。ある場合には,規定した安全率以上の値が必要で

あり,他の場合には更に大きな安全率が適切と考えられる。

リスクマネジメントによって満足される適合

基準の方が安全率を使用した道筋よりも適切なことがある。新素材,又は応力を精密に監視のできる構造


233

T 0601-1

:2012

については,安全率は必要ではない場合がある。

その部分の故障モードが受容できない

リスクにならない場合,表 21 で規定した安全率は,当てはまらな

い。例えば,ベアリングのような専有の構成部品については,構成部品の

製造業者の荷重及び寿命データ

に依存し,

安全率を適用しないことが許される。

9.8.3

  患者又は操作者の支持又は懸垂支持機構の強度

この細分箇条は,人体質量,その一部を支持又は懸垂する ME

機器の支持部又は懸垂部,及びそのよう

な支持部又は懸垂部に使用する

附属品にかかる力を扱っている。成人患者又は操作者の 99 %は,135 kg と

した質量以下とした。特別な対象者(例えば,重い人又は小児)の場合は,それよりも大きいか又は小さ

い質量を適用することができる。

movement

D. Casting not impaired by wear, elongation < 5

%

No

MECHANICAL PROTECTIVE DEVICE

SF = 4 (case 2A), SF = 6 (case 2B)

C. M

ECHANICAL PROTECTIVE DEVICE

(e.g., safety catch)

SF = 2,5 (case 7A) or 4 (case 7B)

A. Cable with

MECHANICAL

PROTECTIVE DEVICE

(item C)

SF = 2,5 (case 5A) or
SF = 4 (case 5B)

F. Fixing, elongation > 5

%

SF = 2,5 (case 1A) or
SF = 4 (case 1B)

B. Pulley wheel shaft, elongation > 5

%

SF = 2,5 (case 1A) or SF = 4 (case 1B)

E. Jack screw nut, no

MECHANICAL PROTECTIVE DEVICE

SF = 5 (case 3A) or 8 (case 3B)

PATIENT

support

movement

図 A.17−表 21 を使用して安全率を決定する例

B.  滑車車輪軸で伸び>5 %の場合,
安全率=2.5(1 行目の A)又は 
安全率=4(1 行目の B)

D.  磨耗しない鋳物, 
伸び<5 %,

機械的保護装置なし,

安全率=4(2 行目の A)又は 
安全率=6(2 行目の B)

A.  機械的保護装置付きケーブ
ルの場合(C.参照)

安全率=2.5(5 行目の A)又は
安全率=4(5 行目の B)

動き

患者支持器

E.  ジャッキスクリューナット,機械的保護装置なし,
安全率=5(3 行目の A)又は 
安全率=8(3 行目の B)

F.  固定台で伸び>5 %の場合, 
安全率=2.5(1 行目の A)又は 
安全率=4(1 行目の B)

C.  機械的保護装置(落下防止装置), 
安全率=2.5(1 行目の A)又は 
安全率=4(1 行目の B)

動き


234

T 0601-1

:2012

movement

Weight, W

1

Weight, W

2

Support part (bolt) not impaired by wear, no

MECHANICAL

PROTECTIVE DEVICE

T

OTAL LOAD

 = W  + W

SF = 2,5 (case 1A), Design/Test Load = 2,5 x (W  + W  ); or
SF = 4 (case 1B), Design/Test Load = 4 x (W  + W  )

Support part (cable) impaired by wear, no

MECHANICAL

PROTECTIVE DEVICE

T

OTAL LOAD

 = 0,5 x W

SF = 5 (case 3A), Design/Test Load = 5 x 0,5 x W   or
SF = 8 (case 3B), Design/Test Load = 8

5 x W

Structure

1

1

1

2

2

2

1

1

1

注記  ここで示した総荷重は,静的な力だけから得たが,実際の総荷重を得るためには,動的な力も同

様に含める必要がある。

図 A.18−設計荷重及び試験荷重を決定する例

9.8.3.2

  人の荷重による静的な力

図 A.19 は,患者支持機構の表面の人体質量分布の例である。

単位  mm

図 A.19−人体質量分布の例

人体図形の分布質量は人体測定学のデータに基づいた平均分布である。対象者の多様性又は年齢の特定

カテゴリによって,分布は,ばらついている。静かに腰掛けている人の場合,加わる負荷は,大半が上体

の質量である。

ME

機器は,多様なので,この安全通則に提示したよりも精密な要求はしていない。動的試験よりもむ

しろ,分布面積又は最悪の位置を更に適切に規定することは,個別規格にまかせる。

踏台は,

患者の体重を短時間支持することを意図するので,表 21 の安全率の値に基づいた荷重ではなく

構造物

磨耗しない支持部(ボルト)

機械的保護装置なしで総荷重=W

1

W

2

の場合, 
安全率=2.5(1 行目の A),設計/試験荷重=2.5×(W

1

W

2

),又は

安全率=4(1 行目の B),設計/試験荷重=4×(W

1

W

2

)

動き

重さ W

2

磨耗する支持部(ケーブル),

機械的保護装置なしで総荷重=0.5×

W

1

の場合,

SF=5(ケース 3A),設計/試験荷重=5×0.5×W

1

,又は

SF=8(ケース 3B),設計/試験荷重=8×0.5×W

1

重さ W

1


235

T 0601-1

:2012

正常荷重の 2 倍で試験することにした。

外側の端から 60 mm 離れた所に 80 kg の質量を加える試験は,支持表面の端に腰掛けるか寄りかかった

患者の重心を模擬するためである。

9.8.3.3

  人の荷重による動的な力

一般的な動的試験は,人が腰掛けるか又は立ち上がる状態を想定して規定している。

この細分箇条の要求事項は,歯科用手術椅子,X 線寝台,その他同様の種類の ME

機器への適用を意図

している。ME

機器は,患者からの動的荷重を受けると予想できる全ての操作モード及び位置にすること

が望ましい。例えば,CT 又は MRI 

患者用の寝台が撮影領域にある場合は,患者に起因する動的荷重は

無視できるので,動的試験は適用しない。

ME

機器は,適切な安全率及び疲労計算の結果を考慮することによって,繰返しの力に耐えるように設

計することが望ましい。

安全率は,実際の試験をしないで,機器の信頼性があることを示すために存在す

る。

図 33 に示す人体の質量を模擬したおもり(錘)の底部は,発泡材で,かつ,患者の該当する人体部分の

接触を模擬することが望ましい。

9.8.4

  機械的保護装置を備えた機構

機械的保護装置の意図は,主要な支持手段が磨耗して故障した場合の危害を防ぐことである。主要な支

持手段の磨耗による故障が

単一故障状態と考えられるのは,その手段の安全率が表 21(第 5 行及び第 6 行)

に従っている場合である。この

単一故障状態の危害に対して保護するために,機械的保護装置はバックア

ップの役割をするが,それは

表 21,第 7 行の安全率をもつ必要がある。機械的保護装置に,非ぜい(脆)

性材料を用いるのは,適切な設計とみなしている。したがって,第 7 行は,伸びを示す欄が空欄である。

機械的保護装置を試験するために,磨耗を受ける主要な支持手段を破壊する必要がある。例えば,主要

な支持機構がケーブルである場合は,そのケーブルを切断する。

10

  不要又は過度の放射のハザードに関する保護

ME

機器からは,物理学的に知られているあらゆる種類の放射が生じている。不要な放射に対する要求

事項は,

基礎安全を達成するためのものである。ME 機器及びその環境に対する防護の手段が必要であり,

放射レベルの決定方法を標準化する必要がある。

箇条 10 で扱うのは,迷放射線(放射線機器からの散乱放射のような)及び本来の目的に付随して発生し

てしまう放射線

(CRT から放射される X 線のような)

である。

患者へ放射線の発生を意図する ME 機器で,

意図しない又は過度の放射出力に対する要求事項は,12.4.5 で規定している。

電離放射線に対する IEC 規格の要求事項は,一般に国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に適合してい

る。それらの要求事項の目的は,設計者及び

責任部門が直ぐに使用可能なデータを提供することである。

その勧告に従っているかどうかの評価は,最悪条件を当てはめると,適切な診断又は治療を妨げる状況

を招く場合があるので,ME

機器の操作方法及び操作時間,並びに操作者及び助手の位置について適切に

検討をすることによってだけ可能である。

最近の ICRP 刊行物は,

操作者に意図的な照射を制限する方法についても指示している。

10.1.1

  診断又は治療用の 線放射の発生を意図しない ME 機器

ビデオディスプレイユニット(VDU)を含む多くの ME

機器は,ビデオディスプレイユニットのような

コンポーネントからの不要な X 線放射が,懸念の種である。IEC 60950-1 

附属書 は,情報技術機器の

不要放射を測定する適正な

手順を規定している。その附属書の限度は,ICRP Publication 60 [39]に基づい


236

T 0601-1

:2012

ている。よって,この規格では,IEC 60950-1 を引用規格としていることも考慮して,IEC 60950-1 

附属

書 の要求事項を本文に組み入れた。

IEC 60950-1

を引用規格とした理由は,

沿面距離及び空間距離などを扱う代替手段としてである。この

規格の使用者は,IEC 60950-1 で規定している絶縁協調方法を使用したい場合以外は,IEC 60950-1 を参照

する必要はない。

10.4

  レーザ及び発光ダイオード(LED

この規格の発行時に,IEC/TC 76 は,IEC 60825-1JIS C 6802IDT

]は IEC 60601-1 の第 3 版の開発

の初期段階にあり,かつ,LED に対する要求事項を IEC 60825-1 から削除することを検討していたので,

IEC 60825-1

の発行年を付記して引用規格として使用した。

11.1

  ME 機器の過度の温度

絶縁の急激な劣化による過熱,

及び ME

機器に接触した場合若しくは操作で触れた場合の熱的な不快さ,

又は

患者が ME 機器の部分に触れた場合の熱による負傷を防止する目的で,ほとんど全ての種類の ME 

器において危険状態を防止するために,温度の限度を要求している。

ME

機器の部分は,体腔内に挿入されることがあり,通常は一時的なものであるが永久的な場合もある。

患者への接触については,特別な温度の限度を規定している。

11.1.1

  正常な使用時の最高温度

表 22 は,一般的に,この規格に対する ME 機器の適合性に影響を及ぼす可能性がある部分に対する限

度を扱っている(例えば,電気的な

基礎安全)。

製造業者が最悪な事例の条件を特定できる場合,ME 機器の部分を正常な使用で可能なあらゆる構成で

試験することは,意図していない。

“最悪な事例”には,ほとんど常に,最高許容周囲温度及び最大

デュー

ティサイクルでの ME 機器の作動を含んでいる。しかし,ME 機器の構成の他の特殊な側面(附属品の装

着など)は,ME

機器の設計を完全に理解した上で,製造業者が決定することが望ましい。

11.1.2

  装着部の温度

表 23 及び表 24 は,人と高温との接触に起因する危険状態を扱っている。人の接触温度は,臨床医の意

見,臨床文献[52]及び実験に基づいたものである。さらに,この値は,欧州規格 EN 563 [38]の値に一致し

ている。

装着部の最高表面温度は,上記の臨床的根拠に基づいて 41  ℃から 43  ℃に上げたが,小児の他に(熱的

に)高リスクのグループも,43  ℃に加熱された表面から

危害を被りやすいと指摘する臨床医もいた。

これらの

患者集団に対して使用する ME 機器の個別規格を作成し,(必要な場合は)これよりも低い接

触温度の要求事項を規定することが理想的である。そのような個別規格が存在しないこうした事例を取り

扱うため,作業グループは,温度が IEC 60601-1 の第 2 版の限度値 41  ℃を超える場合は,

責任部門に通

知すれば十分であると考えた。しかし,新たな限度 43  ℃は,最高温度としては絶対的なものとして扱っ

ている。

装着部の温度測定に使用する方法は,可能な場合,実際の人の皮膚又は擬似皮膚を用いて最悪な事例の

構成を模擬することが望ましい。最悪な事例の構成を決定するときには,適切な体温及び身体の部分又は

装着部自体が(毛布のようなもので)覆われているかどうかといった側面も考慮することが望ましい。こ

うした目的のために使用する擬似皮膚としては,シリコンゴムなどの物質がある。

11.1.2.2

  患者に熱を与えることを意図しない装着部

表 A.5 は,治療目的のため,又は治療行為の一部のために低い温度(冷却)にする ME 機器の指針とし


237

T 0601-1

:2012

て作成したものである。このような ME

機器は,一般的なものではないので,この規格では要求事項とし

て規定しなかった。

表 A.5−治療目的又は治療行為の一部のために低い温度(冷却)にする ME 機器の表面温度の指針

ME

機器及びその部分

最低温度

†)

アルミニウム

鋼鉄

t”時間触れる可能性の
ある ME

機器及びその部

分の外部表面

††)

t

<1 秒

−20

−20

1 秒≦t<10 秒

−10

−15

10 秒≦t<60 秒

−2

−7

†)

  患者,操作者及びその他の人が触れる可能性がある外部表面の許容最低温度は,様々

な材質に触れたときの指の凍傷のしきい(閾)値に基づいた(凍傷しきい値)

††)

  接触の発生確率及び接触時間を決定して,リスクマネジメントファイルに文書化する

ことが望ましい。

11.1.3

  測定

熱電対の適切な使用は,妥当な試験技法として他の規格でも推奨している。熱電対の固定方法及び取付

け場所で生じる可能性のある誤差を補正するために,温度の限度は,低めに規定している。

11.2

  火事の防止

ME

機器を使用しているほとんどの環境内において,一般的には,燃焼を生じる他の燃料源の方が,ME

機器自体が原因となるものよりもはるかに重大である。この規格で扱う火事の防止に対する要求事項は,

ME

機器が燃焼源になることを防止することに焦点を置いている。そのため,これらの要求事項は,高酸

素濃度環境を含むか又は高酸素濃度環境が存在する中で使用する ME 機器に焦点を置いている。これらの

要求事項は,いかなる潜在的な発火源も,

正常な使用及び単一故障状態の下では,高酸素濃度環境から確

実に隔離することを意図している。

ME

機器をそのような環境で使用しない場合には,作動温度に対する限度及び過負荷保護に対する要求

事項に確実に適合していることが望ましい。

重大な燃料源(正常な動作環境に比較して)となってしまう可能性がある ME

機器については,追加の

要求事項を個別規格で規定することが望ましい。個別規格が存在しない場合は,そのような事項は,4.2

で要求しているように

リスクマネジメントプロセスを適用するときに特に注意して対処することが望まし

い。

11.2.1

  ME 機器に要求される火事の防止に必要な強度及び剛性

電源コード及びその他の必要な内部接続コードを除き,少なくとも,危険状態を生じる全ての電気部品

を,燃焼が持続しない材料で囲うことが望ましい。

これは,上記の推奨事項に適合する内部の囲いを,他の材料でできた外側の囲いでカバーすることを排

除するということではない。

電気製品の火災の評価に対する指針は,IEC 60695-1-1 [17][JIS C 60695-1-1(IDT)

]を参照。

11.2.2

  高酸素濃度雰囲気で使用する ME 機器及び ME システム

可燃性混合物ではないとはいえ,

高酸素濃度環境の存在は,多くの材料の可燃性を増加させる。ME 

器における高酸素濃度環境での火事の報告は,まれである。しかし,そのような火事が病院環境内で発生

した場合,それらは悲惨な結果となる可能性がある。

高酸素濃度環境の中で作動することを意図する ME 機器は,可燃性物質の発火の確率又は発生を最小限


238

T 0601-1

:2012

に留めるように設計することが望ましい。

該当する場合には,個別規格は,対応する要求事項を規定することが望ましい。

11.2.2.1 a)

電子回路との比較において,綿は,最も低い発火温度及びエネルギーをもつ材料であるとみなし,更に

装置の内部にちり(塵)としてたまるものに相当すると想定した。

最高表面温度の限度は,100 %酸素の中での難燃性綿に対する最小の電熱器の発火温度に基づいたもの

で,これは,NFPA 53 [41]では 310  ℃とされている。したがって,300  ℃が

高酸素濃度環境内での ME 

器の許容温度の限度であると仮定した。

本文で規定した最悪の状態は,限度としての単純な数値で示せるようにした。

スパーク発生の値は,Kohl, H.-J.らの著書,ASTM STP 1395 [37]から引用した。

この細分箇条は,電力供給が制限されている場合だけ,

高酸素濃度環境内での電子回路の使用を認めて

いる。電源入力の抵抗性制限は,スパークを発生する可能性があるはんだ接合部の開放という

単一故障状

態に対して必要である。同じ理由は,容量及びインダクタンスにおけるエネルギーの制限にも適用できる。

たいていの場合,4)における 300  ℃の制限の方が,これらよりも制限の程度が厳しい。デカップリングコ

ンデンサ(EMI の抑制に使用するコンデンサでバイパス・コンデンサ)のような小さな部品,又は一つの

部品の故障が電源から最大の電力を引き出せる場合には,それらの電力を約 1 W に制限することが必要で

ある。

300  ℃の限度を超えないように電力を制限するために必要な値を求める手順は,次のとおりである。

単一故障状態で,電源から最大電力を引き出せる最も小さい部品を探す。

−  その熱抵抗を推定する。

−  電力限度を計算する=200  ℃/熱抵抗。

11.2.2.1 b) 2)

この細分箇条は,検出不能な酸素の漏れの状態を取り扱っている。

単一故障安全の定義に従って,その

ような漏れ(検出不能であるがゆえに)は,

正常状態とみなしている(4.7 参照)。同様に,検出不能な換

気だけの故障は,

正常状態と扱う必要がある。換気システムが,正常な使用で完全に閉鎖することはまず

ないというように設計してある場合は,そのような閉鎖を考慮しなくてもよい。考慮することが必要な最

大漏れ率を求める唯一の方法は,

責任部門が安全に検出できる最小漏れ率を求めることである。

11.2.2.1 b) 3)

危険状態の原因は,漏れが発生しそれを検出できないか,又は少し後に発火を開始する電気的故障が発

生する場合である。密封を検査するための時間間隔 t

c

は,次のようにして計算することができる。

−  11.2.2.1 a)に与えられた値を超える電気的故障の時間当たりの発生確率 p

e

を推定する。

−  酸素の漏れの時間当たりの発生確率 p

o

を推定する。

−  時間当たりの危険な故障の許容発生確率 を推定する。

−  t

c

r / (0.5×p

e

×p

o

)を計算する。

11.2.2.2

  高酸素濃度雰囲気から外部への排気口

発火源が酸素の排気口に近い欠陥のある電気コネクタであった場合,重大な酸素の火事が報告されてい

る。

11.3

  ME 機器の防火用外装に対する構造上の要求事項

防火用

外装に対する IEC 61010-1 [22]による要求事項は,主として(箇条 13 に規定した燃焼及びその結

果に関連する)

単一故障状態に関連する試験の代替法として含めた。外装及びその中に含む材料に対する

耐火性を要求することによって,そのような

外装があっても生じる火事の発生確率は,最小になるものと


239

T 0601-1

:2012

みなす。防火用

外装が ME 機器の唯一の構成である場合は,火事の伝ぱ(播)に対する信頼できる隔壁の

存在を保証するため,入念な分析を実施することが望ましい。

11.4

  可燃性麻酔剤が使われる環境での使用を意図する ME 機器及び ME システム

可燃性麻酔剤の使用は一般的ではない一方で,この版を作成中に一部の

製造業者は,自分たちの ME 

器を AP 類又は APG 類に定格付けすることを依然として望んでいることが判明した。(この話題に対する

希にしか使用しない章を削除することによって)この規格を使いやすくするとともに,一方で AP

類又は

APG

類定格の使用を今後も可能にするために,この題材を附属書に移動し,それに対するこの箇条の短い

参照文だけを規格の本文に残した。

ME

機器が AP 類又は APG 類のいずれに分類することが望ましいかの最終的な決定は,意図する使用に

基づいて

製造業者が決めることが望ましい。AP 類又は APG 類に関連する要求事項は,附属書 に規定し

ている(

附属書 も参照)。

11.5

  可燃性の薬品とともに使用することを意図する ME 機器及び ME システム

ME

機器を可燃性の薬品(一部の消毒剤など)とともに使用する場合は,又はそれらが一般的に使用さ

れ,かつ,ME

機器の製造業者が特殊な取扱いの指示若しくは予防措置を提供しなかった場合の領域での

事例を取り扱う必要があった。しかし,その反面,そのような薬品の多様性,それらの揮発性,及びその

他の多くの限定的な要素の観点から,特別な指示の提供は困難である。そのような場合の唯一の妥当な解

決法は,

製造業者が関連するリスクを評価し,それに言及することを確実にすることである。

空気を伴った可燃性の消毒又は清掃剤の混合物は,国内規制又は地域規制を受ける

空気・可燃性麻酔ガ

スとして扱っている。

11.6.2

  ME 機器におけるあふれ

この試験の目的は,液体が

保護手段に有害な影響を及ぼす部分を濡らすか,又は危険状態を生じる部分

を実際に部分を濡らすかどうかを評価するだけではない。同程度の量の液体があふれたときに,ME

機器

の同じ部分に到達するが全く同じ状態にならない場合は,

保護手段に有害な影響を及ぼすか,又は危険状

態を生じるかどうかも評価することが必要である。試験の結果は,ME 機器を使用した経験から実際的な

代表する状態であるかを保証するものであるかを評価することが望ましい。

11.6.3

  ME 機器及び ME システムへのこぼれ

液体の使用を必要とする ME

機器だけでなく,合理的に予見できる誤使用の一部として,液体の使用を

必要としていない多くの種類の ME

機器も,液体のこぼれにさらされている。そのような場合(液体を必

要とする ME

機器と同様),こぼれる量及びこぼれが発生する位置は,大きく異なっている。そのような

ME

機器においては,実際に試験をして ME 機器を正しく評価した場合だけが,この要求事項を適切に適

用したということができる。そのような評価をすることは

製造業者の責任であり,その結果は,試験実施

記録(一般には,

リスクマネジメントファイル)に記録されるだろう。この要求事項は,個別規格を作成

する人が適切に評価することが必要な部分である。

ME

機器の正常な使用に基づく試験としては,その上にこぼれそうな液体の十分な量を推定して実施す

ることが望ましい。

液体の使用を必要としない機器に対するこぼれは,この細分箇条では要求していない。

注記  対応国際規格の“液体の使用を必要としない機器に対するこぼれは,単一故障状態とみなす。”

という文章は,間違いであるので,上記のように修正した。

11.6.4

  漏れ

漏れは,

単一故障状態とみなす。


240

T 0601-1

:2012

11.6.5

  ME 機器及び ME システムへの水の浸入又は微粒子状物質の侵入

ME

機器では,微粒子状物質に対する保護について分類されることはほとんどなく,IEC 60529JIS C 

0920

(IDT)

]ではその可能性を取り扱っているが,これは有用な選択肢であるとみなしている。その IEC 

60529

の分類区分に従った試験の後,

外装内に水又は微粒子状物質が入っていても,それは正常状態であ

るとみなす。したがって,要求事項は,考えられる

単一故障状態(この場合は,保護接地接続の中断)と

の組合せにおいてそのような物質が入ることによる

危険状態の可能性を評価することが必要である。

11.6.8

  ME 機器とともに使用する物質との適合性

ME

機器,附属品及びそれらの部分は,それらが正常な使用で接触するように意図する物質とともに安

全に使用できるように設計することが望ましい。

該当する場合は,個別規格は,対応する要求事項を規定することが望ましい。

11.8

  ME 機器への電源供給又は電源(商用)の中断

電源の中断は,機能の喪失によって

危険状態を生じる可能性がある。この危険状態は,7.9.2.4 で扱って

いる。電源の復帰もまた,

危険状態を生じる可能性がある。例えば,動く部分の意図しない作動又は危険

な出力の復帰を含むこともある。これらの潜在的な

危険状態を生じる可能性があるハザード及び電源中断

の期間は,

リスクマネジメントプロセスの一部として考慮する必要がある。

IEC 61000-4-11 [21]

は,電気及び電子機器が,電圧ディップ,瞬断及び電圧変動を受ける場合,それら

の作動に対する一般的並びに再現可能な条件を規定している。瞬断の電圧レベル及び期間は,IEC 

60601-1-2:2000

表 210 及び表 211 で規定している。IEC 60601-1-2 は,これらの瞬断を正常状態として取

り扱っている。

患者の安全が電力の持続的な供給に依存している ME 機器については,個別規格に,電力故障のアラー

ム又は他の予防措置に対する要求事項を含めることが望ましい。

12

  制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護

IEC 60601-1

は,全ての個別規格に対する指針であり,したがって,この目的を果たすために一般的な

特性の幾つかの要求事項を包含している。この理由によって,箇条 12 には,幾つかの一般的に系統立てた

要求事項を含める必要があった。

標準化機構は,IEC 以外の標準化機構を含め,規格の単一の一貫したシステムを構築するため,この IEC

発行物のシステムを採用した。そのために,箇条 12 に指針を与えることが最も重要である。

箇条 12 では,

ユーザビリティの概念を導入した。この用語は,全ての誤りが ME 機器の操作者の側に

おける見落とし若しくは不注意の結果によるとは限らないので,

“使用者のミス”又は“人為的な誤り”と

いう一般的に使われている言葉よりも優先して選択した。頻繁に起きる誤使用は全て,

操作者を誤った決

定に導く不十分なヒューマンインタフェイス設計の直接的な結果によるものである。不十分な

ユーザビリ

ティに起因する誤使用に関わるミスは,懸念の要因を増加させている。IEC 60601-1-6 に規定したユーザビ

リティエンジニアリングプロセスは,合理的なユーザビリティを達成することを意図しており,これはま

た,誤使用を最小限に留め,使用に関連する

リスクを最小限に留めることも意図している。

12.4.1

  安全限界の意図的な超過

ME

機器の制御範囲内のある設定範囲での出力が,危険なものではないとみなす出力とかなり異なる場

合は,そのような設定を防止するか,又は選択した設定が安全限界を超えていることを

操作者に示す(例

えば,

制御器を設定するか又はインタロックを無効にするときに,

明らかに抵抗を感じさせる手段による。

ような手段を講じることが望ましい。


241

T 0601-1

:2012

該当する場合は,個別規格は,安全な出力レベルを規定することが望ましい。

12.4.3

  過大な出力値の不用意な選択

過大出力値を偶発的に選んでしまうことに対する保護は,その選択の可能性を最小にする適切な段階を

踏むことによって得ることができる。例えば,意図的な動作を達成するためのインタロックによって,又

は別々にした出力端子を備えることによって可能となる。その保護の手段を考慮して,ヒューマンファク

タに対する規格を考慮に入れた。

13

  危険状態及び故障状態

ME

機器又はその部分は,異常操作又は故障状態によって危険状態を生じる可能性があるので,調査が

必要である。この箇条 13 は,特有な故障状態を特定する一方で,4.7 では,調査が必要な他の故障を特定

するため

リスク分析を使用するように要求している。

13.1.1

  一般

分離の要求事項(

沿面距離及び空間距離)及び絶縁の要求事項は,箇条 に規定しているがその一方で,

これらの要求事項は,電気的な

ハザードに関連するリスクだけに適用すると考えないほうがよい。電流が

細動(電撃による)を起こす可能性に加えて,これらの電流は,電撃に直接的には関連しない傷害の根本

原因となることがある。

これらの他の

危険状態(不十分な若しくは欠陥のある絶縁,又は絶縁として用いている物理的な間隔を

横切る短絡に関連する。

)の例として,可燃性材料(箇条 11 で要求)の発火源となるスパーク,又は

基本

性能の喪失を起こす機能的な故障を含んでいる。これらの場合には,箇条 の絶縁の要求事項への適合は,

ME

機器の安全性を評価する場合,常に,絶縁又は間隔の欠陥から生じるリスクを十分に取り組んだ証拠

であるとみなすことが望ましい。

最後に,

沿面距離及び空間距離に対する要求事項は,流体又は粒子状物質(JIS C 0920 も参照)のよう

な汚損物質(

正常な使用又は製造プロセスからの)によって間隔が損なわれる(短絡する)重大な危険状

態(対応国際規格では,リスク)が存在しないので,回路基板レベルでは要求することを意図していない

ことに注目することが望ましい。ほとんどの場合において,

(例えば,

)回路基板トレースと部品リード線

との間の間隔は,短絡する可能性がないとみなしている。間隔が不足している(8.9 

沿面距離及び空間距

離に対する要求事項に適合していない。)かどうかに疑義が生じた場合は,製造業者のリスク分析によって

そのような間隔の全体にわたった短絡の可能性を評価することが望ましい。しかし,これは,そのような

短絡が受容できない

リスクを直接生じる場合に限っている。間隔の短絡又は絶縁の故障が,受容できない

リスクを生じる可能性がないことが明らかな場合には,そのような分析は,要求しないほうがよい。

13.1.2

  放出,外装の変形又は最高温度の超過

患者又は自然環境への意図しない危険な量のエネルギー又は物質の放出は,個別規格に取り入れること

が望ましい。

毒性又は発火性ガスの危険な量は,ガスの種類,濃度,放出の場所などによって異なる。

小規模の火事が生じる可能性がある

単一故障状態において,その火事が防火用外装の外に広がらない場

合,火事の封じ込めは,その影響を防火用

外装の内部区域に制限されているので,許容することができる。

酸素の濃度が増加しない場所(11.2.2 参照)で 15 W 未満の電力消費では,火事の

危険状態は,存在しな

い。回路が 15 W 以上を消費する場合は,そのような回路内の部品が,火事,溶融金属などを拡大させて

危険状態(例えば,周囲の物を発火させる)を生じることがないということを実証するのが望ましい。し

かし,IEC 61010-1 [22]にあるように,そのような部品が防火用

外装の中にある場合には,そのような拡大


242

T 0601-1

:2012

に対する十分な保護を備えているとみなしている。

装着部の最高温度を正常状態の値に制限することは,その温度の超過が危害を生じ,更に患者自身が装

着部を引き離すことができないということがよくあるので,適切であるとみなしている。

13.2.9

  モータ用コンデンサの切離し及び短絡

遠心形スイッチが機能するという効果を考慮にいれてもよい。一部のコンデンサ形モーターでは,起動

する場合もあり,起動しない場合もあり,様々な結果を生じるので,ロータをロックする条件が規定され

ている。コンデンサの誘電材料が,水素を含む危険なガスの蓄積を生じるようなストレスを受けないこと

を保証するため,コンデンサの電圧を確認する必要がある。

コンデンサの短絡又は開路は,

単一故障状態であり,ロータのロックもまた単一故障状態である(13.2.8

参照)

。これは,4.7 に規定されているように,一つの

単一故障状態が,避けられない次の単一故障状態を

引き起こす場合は,それらの二つの故障を一つの

単一故障状態であるとみなす。

13.2.10

  モータ駆動の ME 機器の追加試験及び表 26 の最下行

ME

機器のモータ巻線の温度の限度は,非連続作動(運転)の ME 機器において最高値と一時的に異な

る変動値に達することが試験所の経験で明らかになったので,最初の 1 時間経過後に保護装置が作動する

場合は,その巻線温度の算術平均を求めて決定する方法も規定した。したがって,低い温度限度を要求し

ている。

表 26 の値は,IEC 60950-1:2001 の要求事項に基づいている。

13.2.13.1

  一般的な過負荷試験条件

ボールプレッシャ試験は,使用時に経験した正確な状態を代表することを意図するものではない。その

試験は,絶縁の機械的性質の堅ろう性(十分な安全係数)を試験するため,上昇した温度で実施する。こ

の原則は,使用時に加わっている電圧をはるかに超える電圧に絶縁をさらす耐電圧試験のようなものでは

ない。

13.2.13.4

  非連続作動(運転)定格の ME 機器

ME

機器又はその部分の定格が,非連続作動(運転)であるが,(医療又はその他の緊急事態が発生した

場合に)

操作者が連続して作動できるような制御である場合には,ME 機器の連続作動(運転)は,合理

的に予見できる誤使用とみなしている。安全性が,指定された期間の後に ME

機器又はその部分のスイッ

チを切ることに依存している場合は,そうするために意図的な行動を必要としないことを保証するための

手段を取ることが望ましい。

14

  プログラマブル電気医用システム(PEMS

コンピュータは,ME

機器の中でますます使用されるようになり,しばしば安全上重要な役割を果たし

ている。コンピュータ技術の使用は,ME

機器における複雑さのレベルを増加させている。この複雑さと

は,試験の実際的な限度以内であっても系統的な故障が発生することを意味している。したがって,箇条

14

は,完成した ME

機器に対して従来のような試験及び測定をするだけではなく,開発するプロセスに対

する要求事項を含んでいる。完成した ME

機器の試験それ自体は,プログラマブル電気医用システムの安

全性に取り組むのに十分ではない。

これらの理由のため,

箇条 14 は,

規定要素を備える

プロセスを確立し,それに従うことを要求している。

その意図は,これらの規定した

プロセスの要素を確立することであるが,どのようにそれらを完成させる

か詳細に決定することを,箇条 14 の使用者に任せている。これは,ISO 9000 規格群[JIS Q 9000 規格群

(IDT)

]で採用しているアプローチに類似している。箇条 14 の使用者は,規定した行動を実施するため

に資格認定をすることを期待しているので,詳細は最小限に留めることにした。


243

T 0601-1

:2012

この

プロセスでは一部の要素の繰返しを期待する一方で,それを実行するため規定した要求事項は,含

めていない。

プロセス又はそれらの部分の繰返しの必要性は,それぞれの個別の装置に対して特有なもの

となるので,これらの要求事項を除外した。さらに,そのような繰返しの必要性は,設計

プロセスの間に

出現する,より詳細な理解から発生した。

この規格の使用者は,適合性を確認するための一部として,

リスクマネジメントプロセスの確立,維持

及び適用することを要求されている。したがって,箇条 14 では,その

プロセスの一部として考慮すること

が望ましいプログラマブルシステムに対して特有な特性を確立している。

箇条 14 の効果的な適用は,現在のタスクを前提として,次の事項へ適合するこを要求している。

−  安全性の考慮を強調した固有の ME

機器への適用

−  ME

機器の開発プロセス

−  安全性を保証できる方法

リスク分析及びリスクコントロールの手法

要求事項は,

基礎安全及び基本性能を保証するために不可欠な最小限なものに限定した。これは,この

分野の急速な進展と同様,ソフトウェアの保証及び

リスクアセスメント手法の分野における広範囲で発展

し続ける文献の確認によって実施した。

14.1

  一般

この規格は,JIS T 14971 に従った

リスクマネジメントプロセスの適用を要求する。これは,ソフトウェ

ア又は複雑なハードウェアの正確さを示すのが困難であることから,特に PEMS に関連している。したが

って,PEMS の設計は,

リスクマネジメントプロセス内で実施することが必要で,その中で,リスクコン

トロールの手段は,管理されたリスクに関連するものとなる。JIS T 14971 を適用することによって,PESS

危険状態に関与する可能性をもち,かつ,PESS 以外のソフトウェアではないリスクコントロールの手

段が,受容できるレベルまで

リスクを減少できなかった場合には,箇条 14 は,PEMS に対し追加のリス

クマネジメント及びライフサイクルプロセスを要求している。

適合性の

検証は,箇条 14 の要求事項だけでなく JIS T 14971 の要求事項も扱うため,製造業者の内部評

価を要求している。

箇条 14 の要求事項への適合性は,

多くの細分箇条が要求した

プロセスによって作成した文書を調査して

判定することが必要である。箇条 14 は,選択的ではなく,全体として適用することが望ましい。この文書

化は全て,

リスクマネジメントファイルに入れる必要がある。

評価の概念は,必要な場合は,審査のような検査以外の方法を認めるために適合声明を導入した。この

ように,

製造業者が ISO 13485 [30][JIS Q 13485(IDT)]に基づく品質マネジメントシステムを運用する

ための一般的な要求事項は存在しないが,品質マネジメントシステムのある程度の特徴は必要である。品

質マネジメントシステムが効果的であるために必要であると一般的にみなす一つの特徴とは,それが実際

に独自の

手順に従っていることを確認するため,組織内で実施する監査及び評価のプロセスである。これ

は,

規格又は法規制の要求事項への適合性を実証するために実施するいかなる外部の評価とは別物である。

したがって,この規格は,

製造業者が設計プロセスの一定の側面を記録するだけでなく,箇条 14 の要求事

項に従っていることを確認するための評価の実施も要求している。

14.2

  文書化

プロセスの要求事項への適合性が確定できると期待される方法は,各プロセス段階において要求される

文書が生成されたことを保証することによる。JIS T 14971 のほとんどの要求事項が,適切なソフトウェア


244

T 0601-1

:2012

のライフサイクルの欠くことのできない構成要素である一方で,箇条 14 は,その規格が要求しない多くの

追加

プロセスの段階を包含している。したがって,これらの追加プロセスの段階(箇条 14 の中の)が要求

する文書化は,

プロセスの段階が実施されたことを確定するために認証機関に対して必要となる。箇条 14

が PEMS に関連するこれらの

リスクを扱っているので,この文書化は,リスクマネジメントファイルに含

める必要がある。

箇条 14 への適合性は,

要求した文書が作成されたことを保証するために検査及び評価によって確定する

ことから,これらの文書の品質及び正確さは重要となる。PEMS の安全性の実証が文書化に依存する理由

から,効果的なシステムが文書化の保全性を確実にするために必要であり,異なる版の文書が存在する場

合には,各版の適用性を特定することが必要である。したがって,公式な文書管理システムの下で,文書

を作成,改定及び維持する必要がある。

製造業者は,評価プロセスの中で支援するため,この文書化が分

かりやすく包括的であることを保証することが望ましい。

14.3

  リスクマネジメント計画

JIS T 14971

は,

リスクマネジメント計画を作成し,リスクマネジメントファイルに文書化することを要

求している。

JIS T 14971

が要求している

リスクマネジメント計画の要素に加えて,妥当性確認は,PEMS の開発時に

必要なアクティビティとしてみなされるので,PEMS

妥当性確認計画が要求される。

14.4

  PEMS 開発ライフサイクル

文書化されたライフサイクルは,安全性の問題が製品開発の全般にわたって考慮していることを確実に

するのに役立つ。これは,全ての製品に対して重要であり,また,PEMS に対しても極めて重要である。

安全性は,PEMS を開発した後に PEMS に追加するということはできない。これに対する二つの理由は,

次のとおりである。

a)

PEMS

の開発中に使用する実際の

プロセス並びにこれらのプロセスの品質及び厳密さは,リスクアセ

スメントの結果として決定する。不適切なプロセスを使用したこと又は不十分な品質及び厳密さを適

用したことが後になって発見された場合,開発は,正しい

プロセスを使用して繰り返さなければなら

ないことになる。

b)  PEMS

開発ライフサイクルにおける遅い段階で行う変更は,割高になりがちである(時間及び費用の

両面で)

。これは,特にシステムの要求事項が不正確であるか又は誤っている場合である。システムア

ーキテクチャもまた,遅い段階の変更は,外部からの影響を受けやすくなる可能性が高い。しばしば,

アーキテクチャは,安全に関わるものの一部となる。遅い段階の変更は,構造的解決の保全性を維持

するために重要な再作業が必要となることがある。

枠組

製品開発に対するライフサイクルは,必要な安全アクティビティを適切な時期に及び体系的な方法で実

施することを許容する枠組を提供している。これは,不要な制約を負わせず,また,全ての必要な安全ア

クティビティを実施することを保証することが望ましい。

ライフサイクルは,

早期に決定する必要がある。

種々のライフサイクルのモデルを使うことができる。H.2 は,PEMS

開発ライフサイクルを更に詳細に説

明している。IEC 62304 [26]は,安全な医療機器用ソフトウェアの開発のためのソフトウェア開発ライフサ

イクルに挿入する

プロセスを規定している。

マイルストーン及びアクティビティ


245

T 0601-1

:2012

マイルストーン並びにそれぞれにインプット及びアウトプットをもつアクティビティに対する要求事項

は,次の事項に対する十分な考察を与えることを確実にするためである。

−  アクティビティ

−  アクティビティを開始する前に何をする必要があるか。

−  アクティビティは,何を提供する必要があるか。

そうすることによって,結果の

検証を実施することができる。

ライフサイクルにおけるアクティビティの順序は,これが

製造業者に対して最大の柔軟性を提供するこ

とから,マイルストーンに関して定義することが必要となる。マイルストーンの数又は性質に対する要求

事項を作成する必要はなく,また,全てのプロジェクトアクティビティがマイルストーンを同時に通過し

なければならないという意味ではない。この規格は,IEC 60601-1-4 [14]で使用していた“段階”という用

語を用いなかった。段階モデルにおける同時性及び重複度を表現するのが困難であるため,この用語を避

けたのである。

良いライフサイクルを,次に示す。

−  必要なアクティビティは,それらの性能に先がけて定義する。

−  開発アクティビティに使用する

プロセスは,リスクマネジメントの成果とすることができる。

−  アクティビティの順序は,アクティビティへの必要なインプットが,アクティビティの開始前に入手

できることを確実にするように定義する。

−  アクティビティが満足に完了したかどうかを決定するための基準を定義する。

−  責任を明確にする。

アクティビティは,インプット及びアウトプットについて定義するが,それは,これらのインプット及

びアウトプットが存在するかどうかを判断するのが簡単なためである。

製造業者には,マイルストーンに

どのようにして達成するか,及び要求される文書をどのようにして作成するかを決定する責任がある。

各アクティビティが満足に完了したかどうかを決定するために,各アクティビティの

検証のための基準

を定義することが必要となる。

検証は,インプットが,完全に,正しく,かつ,要求するプロセスに従っ

て,アウトプットに変換されたかどうかを調査する必要がある。

検証の形式,又は範囲に対する要求事項

は,作成しない。ただし,

リスクコントロール手段及び基本性能の検証は,例外である(14.10 参照)。

14.5

  問題解決

該当する場合,問題解決のための文書化したシステムは,この規格で要求している。

問題は,次のように発生する可能性がある。

−  製品とともに

プロセスの中で

プロセス間で

問題の例として,次がある。

−  相反する要求事項

−  不明瞭な要求事項

−  仕様の抜け

−  コードエラー


246

T 0601-1

:2012

−  PEMS の誤った操作

問題解決のためのシステムは,問題が発生した場合,

ハザードに関してその影響及びそれらの結果とし

て生じる

リスクが管理されていることを確実にするために必要である。問題解決のための場当たり的な方

法は,体系的なライフサイクルアプローチの使用によって得られるメリットを阻害することになる。問題

解決のためのシステムを記録する適切な場所は,PEMS

開発ライフサイクルの一部としてである。

14.6.1

  既知及び予見可能なハザードの特定

PEMS

は,新たな

ハザードを引き起こす要因をもっている。

14.6.2

  リスクコントロール

PEMS

の開発のために

製造業者が使用する手順及び手法の選択において,この細分箇条は,一つの選択

肢として

リスク低減させるためのリスクコントロール手段を要求している。手順及び手法を使用して開発

した

リスクコントロール手段は,品質が未知の手順及び手法を使用して開発した場合よりも,その意図す

る機能がよく遂行できるだろう。

14.7

  要求仕様

リスクコントロールの手段は,特定したハザードに関するリスクを管理するために使用する。これらの

手段を要求仕様に文書化する。要求では,その手段が何をどのように実行するかの両面を明確にすること

が望ましい。JIS T 14971 は,要求事項の仕様を要求していない。

検証可能な要求事項

要求事項は,検証可能とすることが望ましい。これは,

リスクコントロールの手段の機能及びそれをど

のように正しく実施するかの両方に対して適用する。不良率の定量的な

検証は,通常,ソフトウェアに対

しては現実的ではない。定性的アプローチの

検証は,適切なプロセスが使用されていたことを検証するこ

とによって行う。

特定可能な安全要求事項

リスクコントロール手段及び基本性能を識別するための要求事項は,基本性能又はリスクコントロール

手段を変更する必要がある場合は,

残留リスクに及ぼす影響が評価されることを確実にするために必要で

ある。

文書化

PEMS

の構造の例は,

附属書 に示している。リスクコントロールの手段の実施に対する要求事項は,

一つ以上の

リスクコントロールの手段を実施,又は部分的に実施する幾つかの PESS 及び PEMS に対して

指定することが望ましい。これは,一つの文書又は幾つかの文書の中に入れてもよい。

14.8

  アーキテクチャ

アーキテクチャの仕様は,JIS T 14971 では要求していない。これは,次の理由で追加された PEMS 

の要求事項である。

−  しばしば,選択されたアーキテクチャは,

リスクコントロール手段の一部となる。リスクコントロー

ル手段は,PEMS のような複雑なシステムに対して明確であることが必要となる。

−  アーキテクチャの仕様は,PEMS で要求しているような良好なソフトウェア開発

プロセスのなかの重

要な部分として認識されている。


247

T 0601-1

:2012

該当する場合,仕様の中に含めるためのアーキテクチャのリストがある。特殊な状況で,その構成の一

つ又は一つ以上が

ハザードに関連するリスクを管理するのに使用できるため,このリストが選択されてい

る。例えば,

高信頼性部品を使用することによって,その部品の故障から生じるいかなるリスクも効果的

に低減(対応国際規格では,除去)することができる。

14.8 e)

機能性の分割は,PEMS の安全性の妥当性確認をする必要性が大きい場合に有用となる。

ソフトウェア(ファームウェア及びアプリケーション層)は,重要,普通及び管理することが望ましい

区画に明瞭に分割されている。重要,普通及び管理すべき区画の指示書及びデータは,互いに干渉しない

で,また,ソフトウェアの区画の中で役割の分離がない場合は,ソフトウェアの重要な区画を考慮に入れ

た分析が確実に行われるために,全てのソフトウェアは,重要であるとして定義することが望ましい。

重要普通の符号から分離するための要求事項には,全体のシステムの

リスク評価,採用したリスクコン

トロールの方針,物理的資源の分析及び論理的特性(例えば,管理及びデータ結合)の分析を含んでいる。

一般に,分割は,設計及び実施において,安全関連の機能性を非安全関連の機能性から分離及び隔離する

ことが望ましい。この

プロセスは,重要な区画共有又は重要な区画に割当てられたデータが,安全重要符

号で指定された操作に影響しないことを保証するために必要な

検証を,最小限に留めるか又は少なくとも

低減することが可能である。

分割には,次の段階を含んでいる。

a)

重要,普通及び管理すべき区画の特定。特定の手段は,符号のモジュール方式,プログラム言語,符

号設計及びその他の仕様属性に依存している。

b)

重要な区画と普通の区画間のインタフェースの説明

1)

上記 a)で識別した重要及び普通の区画,モジュールなどへの全体にわたるデータ又は変数の特定。

2)

上記 a)で識別した,重要及び普通の区画,モジュールなどの相互間で使用したあらゆるパラメータ

の特定。

3)

上記 1)及び 2)で識別したデータ変数の流れの説明。

4)

安全な重要性能に影響を与える上記の識別したデータ変数について,データ破壊,上書き又はその

他の誤りを防止するために使用機構の説明。

c)

分割の保全性の妥当性確認。これは,機能試験及びひずみ試験技法によって確認できる。

14.8 g)

n)

アーキテクチャの仕様の中に考慮することが望ましいアイテムのリストが存在する。これらのアイテム

がアーキテクチャの選択に影響を与え得る可能性があるので,このリストを選択した。

14.9

  設計及び実装

選択技術的解決法には,定義することが必要になる。これは,しばしば PEMS をサブシステムに分解す

るのに適切である。

図 H.1 は,分解量の異なる PEMS/PESS の構造例をともに示す。PEMS を分解する理

由を,次に示す。

管理可能なサブシステムの複雑さの維持

システムを複雑にしないことが,理解を容易にさせることになり,結果として設計及びそれを維持する

ことが容易となる。結果として作成する設計は,正しく,容易に試験ができるであろう。コード標準は,

複雑さの限度を明確にすることが望ましい。


248

T 0601-1

:2012

アーキテクチャ

システムアーキテクチャは,システムを分離するために論理的に実施できるようにする。例えば,多様

なシステムを必要とする場合,それらは明確にサブシステムとして取り扱うことが望ましい。

モジュール方式

モジュール方式は,異なるシステムオプションの提供,既に確認済みのサブシステムの再利用及びシス

テムの機能性の拡張を容易にできる。

物理的なコンポーネント

物理的サブシステムをよく考えた分割は,ハードウェアの故障の診断及び修理に役立つ。

異なる技法

しばしば,ハードウェア及びソフトウェアの設計を何人かの異なる技術者で行うことがある。このよう

な場合,それぞれを分離したサブシステムとして指定することによって,それぞれを独立して実施するこ

とが可能になる。

全体のシステムは,それを構成するサブシステムのそれぞれが十分に特定できる場合にだけ機能する。

このことは,各サブシステムの設計仕様を要求事項として導くことになる。サブシステムのための設計仕

様には,一般的に詳細なインタフェースの仕様を含み,また,例えば,アルゴリズムのような実施の詳細

も含めることができる。

各サブシステムは,

設計仕様が正しいかどうかを確認するために試験することが望ましい。

このことは,

各サブシステムの試験仕様に対する要求事項を導くことになる。

設計及び試験の仕様は,実用的ないかなる形式においても文書化することができる。例えば,それらは,

分割された文書でもよく,又は大きな文書にまとめてもよい。各サブシステムのための設計仕様及び試験

仕様は,識別可能とすることが望ましい。

設計環境の要素の例は,H.4 a)に記載してある。そのような要素は,設計の品質及び正しさに影響する

こともある。一部の要素が,適切に確認されたツール及び手順として識別されることがある(14.6.2 参照)

設計環境を考慮した記述式データは,適切に確認ツール及び

手順を用いた検証を容易にする。

14.10

 検証

JIS T 14971

は,

リスクコントロール手段の検証を要求している。PEMS に対しては,追加の要求事項が

存在する。これらを次に示す。

基本性能を検証する。

検証計画

基本性能は,PEMS がその機能を管理するのに PESS を使用していることから,PEMS に対して重要で

ある。

基本性能は,しばしば正しく実施している PEMS の機能に依存することがある。

検証計画は,箇条 14 をどのように達成するかということを製造業者に任せている。このことは,PEMS

をどのように検証するかを箇条 14 の中で規定するよりも優れており,また,より柔軟なアプローチとなっ

ている。

製造業者は,検証の立案に対して責任があるために,十分に徹底評価してから,計画を実施する

のである。


249

T 0601-1

:2012

検証の完全性に影響し,かつ,計画する必要のあるアクティビティをリスト化することが要求されてい

る。

14.11

 PEMS 妥当性確認

PEMS

開発ライフサイクルモデルの最終段階は,PEMS 妥当性確認である。PEMS 妥当性確認は,製品

が正規の方法で製造されていることの保証を意図している。妥当性確認は,妥当性確認によってだけで発

見されるような予期しない相互作用が機能間で起こる可能性があるので,PEMS に対して重要である。

PEMS

妥当性確認には,大量のデータに対する試験,重い負荷又はストレス,人的要因,セキュリティ,

性能,構成の両立性,故障試験,文書化及び安全性を含めることができる。

利害関係の衝突を避け,かつ,設計者憶測が PEMS

妥当性確認の範囲を制限こと又は影響しないことが

望ましいので,独立性は必要である。独立性のレベルとして,例えば,次を含める。

−  独立した要員

−  独立した管理

−  独立した組織

14.12

 変更管理

一般的に PEMS の設計は,完全に新しいものではなく,ごく一部又は大部分でさえも過去の設計から引

用されている。それにもかかわらず,あたかも完全に新しいかのごとくに設計を取り扱うことができ,更

に,以前の文書類を引用することなく,

リスクマネジメントの報告書を作成し,また,この規格の要求事

項への適合性を実証することもできる。しかし,

リスクマネジメントの報告書に,以前の設計の文書類か

らのある情報を包含させる必要がない場合,新しい設計を取り入れた変更であっても,そのような全ての

情報が有効性を保っていることを確認する必要がある。

14.13

 ネットワーク・データ結合による PEMS の他の機器への接続

今日では,多くの病院が ME

機器をネットワークの環境の中で使用している。もともと,これらのネッ

トワークは,商業経済性及び技術分野を最適にするために設置したものであった。このため,高速な電子

データの交換を必要としている。今日では,これらのネットワークは,病院内,病院間,及び家庭からの

医療のアプリケーションでも使用されている。

当初,その使用は,試験所のデータの交換だけに限定していた。今では,ネットワークを通して転送す

る医療画像のような膨大なデータ量がある。さらに,利用者からリアルタイム技法(例えば,ネットワー

クを介した操作ロボットの制御)を求める要求も。

ネットワーク・データ結合に対する追加の指針は,附属書 に記載している。

15.1

  ME 機器の制御器及び表示器の配置

ME

機器の特殊な機能に関連する制御器,測定装置,表示灯などは,一緒にまとめて配置することが望

ましい。

15.2

  サービス性

そのような部分の交換は,特殊な

工具なしで容易にできることが望ましい。さらに,消耗した部分又は

予防的に交換する部分の取外し及び予備品組立てによって,

危険状態を生じないことが望ましい。これを

確実にするため,そのような活動を実施するための指示は,混乱することなく,容易に理解でき,かつ,

実施できることが必要である。

15.3.2

  押付け試験

内部の生きた部分からの保護の程度を維持するため,

外装は十分な剛性をもつ必要がある。この要求事


250

T 0601-1

:2012

項は,IEC 60950-1 の力の試験に整合している。力は ME

機器の重量ではなく,ME 機器を取り扱う人に

依存する。多くの場合,250 N の力の作用は,合理的に予見できるものとみなす。しかし,

リスクアセス

メントによって,IEC 60601-1 の第 2 版で要求している 625 mm

2

の部分に 45 N の力を加える試験でも,受

容できる

リスクのレベルを決定するための検証方法として妥当であると判断できる場合もある。例えば,

堅ろうさの必要性が,効果及び生体適合性に関連する必要性と均衡している超音波探触子及び類似の小さ

手持形装着部は,安全性及び有効性の実績を長年にわたり確立しているので,従来の検証試験を継続す

ることができる。

内部の部品は,その堅ろうさを 15.3.4 及び 15.3.5 の試験で検証するので,IEC 60950-1 の力の試験の対

象としない。

15.3.3

  衝撃試験

衝撃に対する

外装の耐性は,予見できる誤使用による受容できないリスクを防止するために必要である。

試験の衝撃のエネルギーは,傍らを通り過ぎる人が持っているもの又は清掃中のほうき若しくはモップの

柄が,偶然 ME

機器にぶつかることを想定している。試験装置を簡略化し,外装の衝撃に対する要求事項

を包含する IEC 60950-1 を含めた他の規格に整合させた。

製造業者が受容できないリスクを軽減するのにこの細分箇条の要求事項は必要ないと感じた場合は,4.5

によって適合する代替の要求事項の識別とともに,正当化の根拠を

リスクマネジメントファイルに文書化

する。例えば,

固定形 ME 機器は,外装の一つの側面を床,壁又は天井によって保護することができる。

この場合,

製造業者は ME 機器が移動されたり又は正しく据付けがされない確率を評価して文書化する。

製造業者は,リスクマネジメントプロセスをとおして,この保護されている外装の側面がどのような耐衝

撃性をもつ必要があるかを評価及び特定する。それは,この要求事項に適合しないことによって受容でき

ない

リスクが発生しないことを保証するためである。

15.3.4

  落下試験

手持形 ME 機器又は手で持つことができる部分に対する試験は,実際の適用における差異によって,携

帯形及び移動形 ME 機器の試験とは異なる。

密度が 600 kg/m

3

を超える木材は,最も一般的な堅い木から選択できる。カシ,ブナ,カバ,トネリコ

及びカエデがこれに該当する。似通った堅さをもっている密度が 600 kg/m

3

未満の堅い木(例えば,マホ

ガニ,ニレ,モミジバフウ,サクラ)及び軟らかい木は,密度が 600 kg/m

3

を超える木材と比較すると非

常に堅さが劣っている。

15.3.4.2

  携帯形 ME 機器

この試験は,15.3.5 の根拠にあるように,

正常な使用を想定したものである。この試験は,予見できる

誤使用を想定するものではない。現在,予見できる誤使用による自由落下を直接的に扱う試験はないが,

15.3.3

の鋼球落下による衝撃試験は,たとえ間接的であっても,予見できる誤使用を想定しているとみな

している。4.2 に規定したように,

リスクマネジメントプロセスが,更に過酷な試験が適切であると結論付

けている場合は,それを実施するのが望ましい。

15.3.5

  手荒な取扱い試験

しばしば,想定に反して,ME

機器は,不利な環境でも使用される。緊急時には,ME 機器は,トロリ

に載せて運搬又は移動され,扉の段差を越えてエレベータに入り,衝突及び振動にさらされる。そのよう

な状態は,一部の ME

機器においては,事実上正常な使用を代表することができる。障害物に遭遇するこ

とは,普通であり,極めて合理的に予見できる誤使用である。全ての障害物が明瞭に表示されているわけ

ではなく,

操作者は,障害物を認識した後で必ずしも適時に ME 機器を停止できるものでもない。


251

T 0601-1

:2012

15.3.5

の試験の要求事項は,安定性ではなく,手荒な取扱いに対する耐性の判定を意味している。

移動

形 ME 機器に対する安定性試験の要求事項は,9.4 に規定している。

“その正常な走行の方向において”の意味は,ME

機器が最大の正常な速度で走行ができるような方向

である。ほとんどの場合,これは,前進方向である。ベッドのような一部の ME

機器は,正常な速度で,

前進又は後退の方向に走行するものであり前又は後ろ方向に移動させることがよくあり,したがって,各

試験は,それぞれの方向を考慮するのが望ましい。

15.3.6

  成形ストレス(残留応力)の解放試験

多くの熱成形

プロセスでは,プラスチック内に応力が残ることがある。ポリマー鎖は,弱いファンデル

ワールス結合によって結びついているため,これらの残留応力は,粘性流(変形)を生じる。高温になる

と,ファンデルワールス結合の弱化及び粘性流の比率の増加を生じる。ポリエチレン及びポリプロピレン

のような低い溶融温度をもつ熱可塑性プラスチックは,ポリカーボネート及びポリエーテルアミドのよう

な高い溶融温度をもつポリマーよりも応力解放変形に対して,より影響を受けやすい。

適合性は,可能な場合は,ポリマーの物性の分析によって検証することが望ましい。この

検証は,ポリ

マーが

正常な使用時にさらされる最高温度とポリマーの製造業者が推奨する温度使用範囲を比較した文書

で構成することが望ましい。

15.3.7

  環境による影響

a)

ME

機器は,しばしば,製造業者によって公表された意図する使用範囲内にある環境条件の中で使用

又は保管される。そのような場合,

ハザードは,存在しないものとみなす。しかし,環境条件は,こ

れらの公表したものと異なることがあり,それでも ME

機器は,安全性を保つことが期待される。こ

のことを保証するため,

責任部門は,製造業者が指定する定期的な検査及び保守点検の実施が必要で

ある。これらの活動が,安全レベルのいかなる低下も防止し,及びそのような低下が始まる兆候を検

出することが期待できる。これを保証するため,予防保守のための指示は,混乱,又は安全に関係す

る兆候の見落すことがなく,容易に理解でき,かつ,実施できることが必要である。

b)

そのような部品の交換は,できれば特殊な

工具なしで容易に実施できることが望ましい。さらに,消

耗した部品又は予防的に交換する部品の取外し及びそのスペアパーツ交換は,

危険状態が存在しない

ことが望ましい。これを保証するため,そのような活動を実施するための指示は,混乱することなく,

容易に理解でき実施できることが必要である。

15.4.3

  電池

電池の消耗の結果として

危険状態が発生する可能性がある場合には,事前にこの条件を警告するための

手段を備えることが望ましい。

該当する場合は,個別規格は,対応する要求事項を規定することが望ましい。

15.4.4

  表示器

操作者及びサービス要員にとって,ME 機器の機能状態を判断できることは重要である。正常な使用に

おいて,

操作者が待機中にある ME 機器と完全に機能している ME 機器とを区別できる必要がある。一部

の ME

機器には,通常よりも長いウォームアップ(暖機)時間のものがある。他にも ME 機器は,待機モ

ード(スタンバイ)又は電池(バッテリ)充電モードをもつものもある。

ME

機器にとって,人が不在のまま誤った状態におかれることは,危険な状況となる。サービス要員が

危険状態を回避するために,ME 機器が通電中であることを識別できることが必要である。

15.4.7.3

  液体の浸入

足踏スイッチに対する以前の IPX8 定格の評価要求は,

IPX7 よりも上位の保護”にすぎない。


252

T 0601-1

:2012

この要求では,少なくとも IPX6 とし,該当する場合は,更に高い保護レベルを設定する。

通常液体が存在しない場所で,床上で使用する機器については,湿気の発生がきわめてまれであるとみ

なされるので,IPX1 の要求事項を含めた。

15.5

  ME 機器の電源変圧器及び 8.5 に従った分離を備えたその他の変圧器

単に“電源変圧器”とした元の表題に“8.5 に従った分離を備えた変圧器”を追加したのは,意図的であ

る。

操作者,患者などをハザードから分離するために使用する変圧器は,いつでも変圧器の試験を適用す

ることが望ましい。

15.5

の改正は,今までの試験の方法(IEC 60601-1 の第 2 版を含め)を大きく変更するものではない。

その試験方法及び要求事項を簡素化し,また,今回の要求事項では,PTC,帰還制御(スイッチング電源

装置)

,一次又は二次回路の過電流保護装置など,全ての異なる種類の保護装置を含めた。巻線の層間絶縁

の妥当性を確立するための 15.5.2 による周波数が 5 倍で,かつ,電圧が 5 倍の試験をしない変圧器でも,

(変圧器の短絡よりもむしろ)変圧器の巻線の短絡の保護素子までに間における巻線を端末で短絡をする

ことによって,絶縁の故障においても最高許容温度を超えないことを保証するようにした。

高い周波数

定格をもつ変圧器(スイッチング電源装置に使用されているようなもの)の試験を実施する

ときに直面する困難さから,周波数が 2 倍で,かつ,電圧が 2 倍の試験も同様にこれらの事例[15.5.2 b)]

として規定した。第 2 版では,500 V を超える電圧の場合にだけに,この試験を適用した。

15.5.1.1

  変圧器

全ての巻線を同時に過負荷試験すると,一つの巻線が過負荷になっただけでは作動しない温度保護装置

が作動する可能性があるので,出力巻線は,

“交互に試験する”ことが要求されている。一つの出力巻線だ

けが過負荷になることは,実際によくあることである。したがって,

“交互に試験する”という組合せ条件

は,最悪のシナリオを考慮したものである。

要求事項の意図するところは,最悪条件下(常に全負荷か又は無負荷のいずれかに近い)で試験するこ

とである。変圧器設計の評価又は数回のスポット試験の実施をとおしてこのような最悪な状況を,決定す

ることができる。一般に,最悪な状況を決定するために全ての可能な条件で試験する必要はない。

過負荷試験及び短絡試験を恒温槽内で実施することは非現実的であるので,

表 31 の限度(最高許容温度)

は,25  ℃の周囲温度で行うことにした。

15.5.2

  耐電圧

コアの磁気飽和によって非常に大きな電流が流れることを防止するために,試験電圧の上昇に比例して

周波数も上昇させることが必要である。

電源変圧器の一次巻線と他の巻線,スクリーン及びコアとの間の絶縁は,8.8.3 で規定したように,組み

立てられた ME

機器で実施した耐電圧試験によって既に調査されているとみなす。8.8.3 の耐電圧試験は,

繰り返す必要はない。

15.5.3

  8.5 で規定した分離に用いる変圧器の構造

IEC 61558-1:1997

の 5.12 で規定している要求事項は,IEC 60601-1 の第 2 版の要求事項にほとんど同じ

であり,しかも,それらに適合した変圧器は,容易に入手ができる。

さらに,IEC 60950-1 

附属書 では,巻線間の絶縁のための分離層(例えば,従来のボビンによる分

離)に代わって,変圧器内で三層絶縁巻線を使用した場合の要求事項を含んでいる。巻線間でこの分離方

法を用い,かつ,この規格の他の全ての要求事項に適合する変圧器は,一般的に十分なレベルの

基礎安全

を備えているとみなしている。


253

T 0601-1

:2012

16

  ME システム

ME

機器は,当初医療用に適用することを意図していなかった他の機器類と組み合わせて,一つ以上の

機器が

患者に接触するシステムを構成する使い方が増えてきた。箇条 16 は,ME システムに接触する可能

性がある

患者の安全を確実にするための要求事項を規定している。

ME

システムについての箇条 16 は,製造業者が少なくとも一つの ME 機器を含む電気機器を組み合わせ

て使用することを意図している。それらの機器は,独立した複数の機器であるか若しくは一つの

外装の中

に組み込んだ複数の機器であるか,又はそれらを組み合わせたものでもよい。

箇条 16 は,

ME

システムを組み合わせたり又は変更する医療施設の要員が利用することも意図している。

その理由は,その要員が,そのような作業を行うことは,

製造業者と同じ責任をもつことになるからであ

る。この場合は,ME

システムを箇条 16 の全ての要求事項に確実に適合させるために,電気機器の設計規

格を理解するための技術的専門知識が必要となる。

そのような ME

システムは,もともと医療用に限らず異なった特定の分野で使用するために製造された

機器を,互いに直接又は間接的に接続して構成するようになった。この規格に適合する ME

機器は,他の

非 ME

機器と接続することが可能である。後者の機器(非 ME 機器)は,それらの特定な使用分野で適用

する安全規格の要求事項に完全に適合している場合がある。しかし,それらは,必ずしも ME

機器の安全

の要求事項に適合するとは限らず,その結果,ME

システム全体の安全性に影響を及ぼす可能性がある。

この理由から

製造業者は,リスクマネジメントを ME システム全体に適用することが要求されている。そ

の他の

危険状態の一例として,非 ME 機器を含む ME システムが,おそらく偶発的ではあるが,高酸素濃

度環境の中で使われた場合の発火があげられる。

電気機器は,

患者の診断,治療又は生体情報の監視を意図する診療用に使う部屋の中か,又は医療を実

施しない診療用に使う部屋以外の部屋のいずれかにも配置することができる。診療用に使う部屋の中にお

いて,電気機器は,

患者環境として定義された領域の内側又は外側のいずれに配置してもよい。

医療においては,ME

機器の使い方として次の二つの状態がある。

a)

箇条 16 を適用しない場合

複数の ME

機器を同時に使用する場合で,例えば,一人の患者に複数の ME 機器が同時に接続され

ているが,それらの相互間では接続がされていない。このような ME

機器でも互いに影響し合ってい

る。例えば,手術室内の電気手術器(電気メス)は,

患者の生体情報モニタに影響を及ぼす可能性が

ある。

注記  各 ME 機器の取扱説明書の情報は,有用である。

b)

箇条 16 を適用する場合

ME

機器と ME 機器との組合せ又は ME 機器と非 ME 機器との組合せで構成する ME システムは,

患者の診断又は治療のようなある目的のために,それらは永久又は一時的に相互に接続されている。

例えば,診断用 X 線検査,ビデオカメラと組み合わせた内視鏡,

患者の生体情報モニタ,パーソナル

コンピュータと組み合わせた超音波機器,CT,MRI などの ME

システムがある。

このような ME

システムのさまざまな部分は,患者環境又はその外側ではあるが診療用に使う部屋

の内部に置いてある可能性があるし,また,ME

システムの一部は,例えば,電源装置又はデータ処

理機器が置いてある診療用でない部屋に配置されている場合がある。

16.1

  ME システムに対する一般要求事項

ME

機器の安全のための基本的な要求事項は,組合せ又はその後の変更の後に,ME システムが受容で

きない

リスクを生じさせないためにある。この規格の ME システムに対する要求事項に適合することは,


254

T 0601-1

:2012

相反する

客観的証拠がない限り,残留リスクは受容できると想定したことを意味している。

操作者又は責任部門は,組合せの変更が可能であると指定した ME システムの製造業者に対して,不合

理な負担を避けるために,機器の全ての可能な組合せについての情報提供を申し出ることができる。

リス

クマネジメントの手法は,各機器のどの組合せにおいて最大のリスクが生じるか,更に十分な安全のレベ

ルを提供するためにはどの手段を用いる必要があるかを決定するための最適な方法である。最終的には,

ME

システムを完全に組み立てた後に,適合性試験を実施することができる。

規格に適合しているという適切な文書は,

製造業者による適合宣言にも又は試験機関の証明書としても

使うことができる。

ME

システムは,その性質上,頻繁に組合せが変更される可能性があるが,箇条 16 は,ME システムに

おける個々の機器の組合せの変更の仕方について規定したものではない。

16.2

  ME システムの附属文書

心臓への直接使用を意図する ME システムに附属する文書は,次のようなデータを提供することが望ま

しい。

−  ゴム手袋の着用

−  絶縁材料製の止栓の使用

患者と ME システムの一部である機器との間の最短距離(患者環境)

−  例えば,カテーテルを使用するような,一般的な医療に適用する ME

機器の使用方法に対する説明

患者環境内で,心臓への直接的な接続を含め,体外及び体内に電極又は他の生体センサを患者に使用す

る場合,安全性の理由から,異なるレベルの

リスクに対して特別な注意を払うことが望ましい。

患者の心臓への接続が生じる可能性がある部分は,機器から離しておくことが望ましい。

液体の浸入及び機械的な損傷を避けるために,

マルチタップを床上に置いてはならないという警告が必

要である。

さらに,

マルチタップを含む ME システムを組み合せたり又はその変更する場合において,正常な使用

中及び輸送中における液体の浸入及び機械的な損傷を確実に防止するための手段を備えることが望ましい。

非 ME

機器に対応する安全規格では,許容環境条件を規定又は公表することを要求している場合がある。

したがって,ME

システム内のさまざまな機器に対する許容環境条件は,異なっている可能性がある。ME

システムの許容環境条件は,指定した限度内で作動させた場合に,危険状態が生じないように規定するこ

とが必要である。

16.3

  電源

この要求事項は,ME

システムのレベル応じて,IEC 60601-1 に従った安全性を確実にするためのもので

ある。

例えば,一つ以上の次の手段によって,ME

システムを組み合せた後も基礎安全を維持することが必要

である。

−  関連する分離回路などのような ME

機器内に組み込まれた手段

−  ME

機器の附属品として提供された分離装置(16.5 参照)

−  ME

システムの附属品として提供された分離装置

−  分離変圧器

−  追加の

保護接地線


255

T 0601-1

:2012

非 ME

機器は,5.5 f),7.9.2.14 及び 8.2.1 に従った指定の電源を ME 機器に供給することができる。

16.5

  分離装置

一部の ME

機器の基礎安全は,この目的に沿って指定した機器だけが信号入出力部に接続されるという

前提条件に依存しているが,それ以外では,

漏れ電流が信号線を通して流れる不要な電流によって増える

可能性がある。

ME

機器の信号入出力部に接続される機器が,診療用に使う部屋の外側の他の建造物の中の電源分岐回

路に接続されている場合には,

危険状態が生じる可能性がある。

分離装置は,患者又は操作者への危害(対応国際規格では,ハザード)を防止するものである。さらに,

分離装置を備えていると,ケーブルを通して流れる不要な電流によって機器が誤動作し,危険状態になる

ことを避けるのに役立つ。

分離装置の必要性は,ME システムの構成に依存している。

16.6

  漏れ電流

一部の非 ME

機器に対応する規格は,箇条 16 が要求している接触電流の限度よりも高い限度の場合が

あるが,これらの高い限度は,

患者環境の外でだけ受け入れることができる。非 ME 機器を患者環境で使

用する場合は,

接触電流を低減させることが不可欠である。漏れ電流の低減手段には,次を用いてもよい。

−  追加の

保護接地した部分

−  分離変圧器

−  追加の非導電性

外装

相互に接続したケーブル及びそれらのコネクタのケース(ハウジング)は,

外装の一部なので患者環境

でのその

漏れ電流の限度は 16.6.1 の接触電流で要求した値を適用することが必要である。

分離変圧器のない

マルチタップを使用している場合は,その保護接地が中断すると,個々の接地漏れ電

流の合計に等しい接触電流を生じる可能性がある。

16.6.3

  患者漏れ電流

ME

機器について,患者漏れ電流及び合計患者漏れ電流(複数の装着部を接続する ME 機器に適用する)

の許容値は,

表 及び表 48.7.3 参照)に規定している。ME システムは,患者環境では,ME 機器と同

等な安全レベルが必要である(16.1 参照)

。したがって,

装着部が ME システムの中の一つの ME 機器に

接続されているか否かにかかわらず,一つの ME

機器の患者漏れ電流及び合計患者漏れ電流と同じ許容値

を適用している。このことは,単一故障の概念は,ME

システムに適用することができないので,ME 

ステムが正常状態で作動していることが必要である。

責任部門又は操作者が,製造業者が指示した範囲を逸脱した機器の組合せ又は装着部の組合せを実施し

た場合は,

危険状態を導く可能性があるということを認識することが望ましい。機器の組合せが同じ患者

に対して医療目的のために使用されたとしても,

製造業者が意図していない上記のような組合せで使用さ

れることに対して,特にこの警告[16.2 c)第 9 ダッシュ]を守ることが必要である

16.7

  機械的ハザードに関する保護

電源の中断によって引き起こされる予期しない動き,圧迫力の解除,及び

危険状態が発生したときに患

者環境から患者を安全に退避させることに注意を払うことが望ましい。

16.9.2.1

  マルチタップ

IEC 60601-1

の第 2 版では,他の ME

機器又は ME 機器の分離した他の部分への給電を意図するタップ

を規定するのに,定義した用語“補助電源ソケット”を用いていた。システムの副通則,IEC 60601-1-1 [13]


256

T 0601-1

:2012

は,用語“マルチタップ(MPSO

”を定義していた。その二つの用語を一つの新しい用語,

マルチタッ

プ(MSO)”に統一した。第 2 版の 57.2 e)では,補助電源ソケットは,電源プラグが差し込めない設計と

することを要求していた。緊急用トロリについては,例外を認めていた。二つの定義を統一し,また ME

機器上のマルチタップについて 16.9.2.1 に適合するように 8.11.2 で第 2 版の要求事項を変更して,緊急事

態に必要であった迅速な交換と

漏れ電流との制限を両立させた。

ME

システムにおいて,製造業者が指定した電源接続の方法を変更することは,危険な行為であり,箇

条 16 の適用範囲を逸脱している。

附属文書で公表が要求されている 16.2 を参照する。

新たな機器を不用意に電源に接続することを妨ぐか又は防止しない限り,過大な

接触電流が発生するこ

とがある。

16.9.2.1 c)

第 ダッシュ

着脱電源コードを備えた ME 機器は,電源プラグの保護接地ピンと保護接地した部分との間のインピ

ーダンスは,200 m

Ω を超えることは許されない。同様にマルチタップにおいても,その電源プラグの保

護接地ピンと

マルチタップの保護接地した部分との間のインピーダンスは,200 m

Ω を超えないことが規

定されている。このことは(ME

機器をマルチタップに接続した場合),ME 機器の保護接地した全ての部

分と

マルチタップの電源プラグの保護接地ピンとの間のインピーダンスは,400 m

Ω を超えないことにな

る。

ME

機器は,保護接地接続のインピーダンスが絶縁の不良時に関連する回路によって通電能力が制限さ

れている場合は,200 m

Ω を超えることが許されている[8.6.4 b)参照]。その結果,このような ME 機器の

場合,

保護接地したあらゆる部分とマルチタップの電源プラグの保護接地ピンとの間のインピーダンスは,

400 m

Ω を超えてしまう。

16.9.2.1 d)

ME

システムの接触電流は,単一故障状態で 500

μA 以下にすることが必要である。分離変圧器は,その

接触電流を低減させるための手段として使用してもよい。したがって,基礎絶縁をもつ分離変圧器で十分

である。絶縁変圧器に要求されているような

二重絶縁又は強化絶縁は,必要ない。

変圧器装置に対する

クラス の要求事項は,それに接続した機器が保護接地接続される構造とすること

を規定している。

分離変圧器の絶縁監視は,不要である。

単一故障状態は,定期点検の間に検出することができればよく,

また,独立した二つの

単一故障状態の発生を心配する必要はない。

変圧器装置の構造は,

二次巻線が

保護接地した中点タップ付きであっても又はそのタップがない場合の,

いずれのタイプでもよい。

16.9.2.2

  ME システムの保護接地接続

全ての

保護接地線及び電源コードは,ばらばらでなく一緒に合わせて配線することが望ましい。

患者環境では,ME システムの異なる部分間の電位差を制限することが重要であり,また,保護接地シ

ステムに適切に接続することは,その電位差を制限するのに重要な役割を果たしている。したがって,ME

システムのいかなる部分の保護接地手段も中断を防止することが重要となってくる(次を参照)。

−  追加の保護接地は,

単一故障状態で接触電流が許容限度を超える場合に使用できる。

−  追加の保護接地は,この規格に適合する ME

機器に対しては不要である。しかし,非 ME 機器の場合

には,

接触電流が許容限度を超えることを防止できる。

電源プラグは,電源及び保護接地の両方を切り離すことができるので,電源プラグを引き抜くのに工

具の使用を必要としない。


257

T 0601-1

:2012

17

  ME 機器及び ME システムの電磁両立性

IEC 60601-1-2

は,この規格が扱う ME

機器及び ME システムに対して電磁環境の影響を最小限に留め

るための電磁イミュニティ試験のレベルを規定している。また,ME

機器及び ME システムによって意図

的又は意図的でない放射による他の機器への電磁妨害の影響を最小限に留めるための電磁エミッションの

限度も規定している。これはまた,ME

機器又は ME システムの製造業者に対して,責任部門が次の二つ

を実施するために不可欠な情報である識別,マーキング及び文書に対する要求事項についても規定してい

る。その一つは,ME

機器又は ME システムを使用する電磁環境が適切であるかを決定することであり,

もう一つは,使用する電磁環境を管理して ME

機器又は ME システムが基礎安全及び基本性能を維持し,

かつ,その他の機器に妨害を与えないようにすることである。

電磁エミッションの要求事項は,次を保護するために必要である。

−  安全任務(例えば,警察,消防及び救急車通信)

−  その他の ME

機器及び ME システム

非 ME 機器(例えば,コンピュータ)

−  通信(例えば,ラジオ又はテレビ,電話,無線航法)

さらに重要なことは,電磁イミュニティの要求事項は,ME

機器及び ME システムが,基礎安全を維持

し,かつ,

正常な使用中に電磁妨害にさらされる中で基本性能を連続して維持することを確実にするため

に必要である。

附属書 G

  可燃性麻酔剤の発火を引き起こすハザードに関する保護(11.4 の根拠も参照)

IEC 60601-1

の第 2 版の第 章は,規定の附属書に移した。これは,可燃性麻酔剤の使用はまれであり,

それらの使用は,短時間で完全に終わることが予想できるという事実の認定の下に実施した。しかし,医

療が頻繁に変更され,現在においても一部の

製造業者は,ME 機器をそのような適用に提供することを望

んでいることがあるということも認識されている。ほとんどの使用者に対して規格の読みやすさを改善す

る一方で,第 章に包含されている資料が,関連する AP

類及び APG 類定格のものとともに継続して入手

できることを確実にするため,その資料を

附属書 に移した。

G.1.3

  ME 機器に対する要求事項

可燃性麻酔剤を伴う最も重大な事故は,通常に使用する酸素と薬剤との混合物が,最も急激な燃焼を引

き起こす混合物であるときに発生する。この燃焼はしばしば“爆発最適条件”として説明されている状態

である。そのような薬剤の最悪例は,シクロプロパンであり,一方で,通常,使用する酸素又はエーテル

混合物はその点よりもはるかに低い。

G.5.3

  低エネルギー回路

図 G.1,図 G.2 及び図 G.3 のグラフは,発火試験を実施せずに,AP 類の ME 機器の指定された許容限度

値に対する要求事項を満たす回路の設計を支援するために与えたものである。

ガスの発火条件が高い電圧で変化することから,高い電圧のために外挿することは有効ではない。一般

的に高いインダクタンスの値が高い電圧を発生することから,

インダクタンスに対する限度値を導入した。

G.5.4

  内部過圧による外部への換気

医療目的の部屋の衛生状態がはっきりと妨害されないように,漏れによって ME

機器から流出する空気

又は不活性ガスの量が制限されていると想定する。


258

T 0601-1

:2012

G.5.4

及び G.5.5 の目的に沿って,用語“外装”は,3.26 で規定した

外装か又は明瞭な仕切り若しくはハ

ウジングかいずれかを代表することができる。

G.5.5

  呼吸を制限した外装

G.5.5 a)

この要求事項は,

正常な使用における平均的な条件がより緩和されているため,何時間かの作動期間の

中で,

正常な使用における発火を防止するのに十分なものであるとみなす。

G.6.2

  電源

この要求事項は,G.6.3 によって許容された電圧よりも高い電圧の導入を防止している。そのような電圧

は,接地線上に存在することができる。

G.6.3

  温度及び低エネルギー回路

図 G.4,図 G.5 及び図 G.6 のグラフは,発火試験を実施せずに,APG 類の ME 機器の指定された許容限

度値に対する要求事項に適合する回路の設計を支援するために与えたものである。