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T 0403:2018  

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目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 用語及び定義  1 

3 試験回路 1 

3.1 試験回路の構成  1 

3.2 試験回路に用いる器材  2 

3.3 試験回路に設置する装置  3 

3.4 その他の装置及び器具  4 

3.5 試験回路の確認  4 

4 血液調製 4 

5 試料 4 

5.1 試験試料  4 

5.2 対照試料  4 

6 試験手順 4 

7 試験結果の表し方・試験報告書  5 

附属書A(参考)試験回路の情報  7 

参考文献  10 

 

 


 

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まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本医療機器テクノロジー協会

(MTJAPAN)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格に従うことは,次の者の有する特許権等の使用に該当するおそれがあるので,留意する。 

 

− 学校法人早稲田大学 

住所:東京都新宿区戸塚町1丁目104 

− 特許第 4165691 号 2008年8月8日 流体循環装置 

 

上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施

の許諾等をする意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対

しては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。 

この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ

る。 

この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。厚生労働大臣及び日本工業標

準調査会は,このような特許権等に関わる確認について,責任はもたない。 

なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権をいう。 

 

 


 

 

日本工業規格          JIS 

 

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左心補助人工心臓用脱血管のインビトロ(in vitro) 

血栓性試験方法 

Method for in vitro thrombogenicity testing for inflow cannula of left 

ventricular assist system 

 

適用範囲 

この規格は,左心補助人工心臓用脱血管の血栓形成性を[1],インビトロ(in vitro)で評価する試験方法につ

いて規定する。この規格は,使用環境を模擬した血液循環回路を用いて,血液との接触初期の左心補助人

工心臓用脱血管への血栓の付着と剝離とを評価するための試験方法を規定する[2]〜[4]。 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

左心補助人工心臓(left ventricular assist system) 

心臓を体内に温存したまま,血液ポンプ機能を補助又は代行する装置。血液ポンプと駆動装置とから成

る。血液ポンプによって左心室又は左心房から血液を受け取り,大動脈へ送り出す。 

2.2 

左心補助人工心臓用脱血管(inflow cannula of left ventricular assist system) 

左心補助人工心臓に送血するためのチューブ。使用時に片端は左心室に挿入され,他端は左心補助人工

心臓に接続される。 

2.3 

付着血栓(attachment thrombus) 

血液及び生理食塩液又はりん酸緩衝液循環後,試験試料壁に付着した血栓。 

2.4 

剝離血栓(detachment thrombus) 

血液循環後,試験試料壁に付着した血栓のうち,生理食塩液又はりん酸緩衝液の循環によって剝がれた

血栓。 

2.5 

最終製品(final products) 

左心補助人工心臓用脱血管として,出荷可能な製品。滅菌品については,滅菌後の製品を指す。ただし,

出荷後,使用時に加工・調製して使用するものについては,実際に使用する状態の製品を指す。 

 

試験回路 

3.1 

試験回路の構成 


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左心補助人工心臓用脱血管(試験試料)及び左心補助人工心臓,弾性管,流入口及び流出口近位に弁を

設置した模擬左心室をチューブで接続した試験回路に,模擬左心室拍動装置,流量計,圧力計及び抵抗器

を設置する。図1に試験回路及び試験回路に設置する装置の一例を示す。試験実施時に,恒温槽内に試験

回路を設置し,37±2 ℃で試験をする。 

 

 

図1−試験回路及び試験回路に設置する装置の一例 

 

3.2 

試験回路に用いる器材 

試験回路に用いる器材は,次による。試験試料を除く試験回路に血栓が生じないように,必要に応じて

次の器材の血液接触面を抗凝固処理する。 

a) 左心補助人工心臓 市販又は試験試料の取扱説明書等で規定される左心補助人工心臓を用いる。 

b) チューブ 目視で内くう(腔)を確認できる透明なチューブを使用する。 

c) 弾性管 試験回路の圧力を調整するために伸縮可能なチューブを設置する。大動脈の脈圧を模擬する

ための弾性管(流出側)と静脈脈圧を模擬するための弾性管(流入側)を設ける。 

注記 弾性シリコーン及び/又はセグメント化ポリウレタンチューブを使用することができる。 

d) 模擬左心室 試験試料使用時の状態を想定して,次のとおり模擬左心室の形状及び機能を設定する。 

1) 形状 試験試料の挿入部先端の外壁と模擬左心室内壁間との距離を2±1 mmになるよう設計する

(図2)。試験試料の挿入長は,試験試料の全長から7±1 mmを差し引いた長さとする。 

2) 機能 シリコーン等の弾性材料で作製し,拍動装置から発生する圧力に対応して,拍動するよう設

計する。 


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e) チャンバー 模擬左心室を収納する容器。模擬左心室の周囲を水で満たし,模擬左心室拍動装置によ

り外部から壁面に往復運動が加えられることにより模擬左心室が拍動する。 

 

 

図2−模擬左心室の試験試料挿入部の模式図 

 

注記1 試験試料外壁と心室又は心房内壁間との距離が短いほど,試験試料周囲の血液が滞留し

やすい。使用時に想定される最も短い距離として,2 mm[左心室心せん(尖)部に挿入

された場合]を設定している。これ以外の試験試料外壁と模擬左心室内壁間との距離を

設定する場合,設定した根拠を説明する。 

注記2 拡張型心筋症患者の左心室せん(尖)部の厚さが6〜8 mmであるため,この厚さを差し

引いた長さを模擬左心室への挿入長としている。 

注記3 模擬左心室の拍動は,使用状況を参考に設定する。例えば,70回/分で拍動させるのが

よい。 

f) 

弁 模擬左心室内への血液の逆流を防止するため,流出口及び流入口に弁を設ける。 

3.3 

試験回路に設置する装置 

試験回路には,次の装置を設置する。 

a) 模擬左心室拍動装置 模擬左心室に拍動を与える。 

例 水で満たしたチャンバーに模擬左心室を入れ,チャンバーに設けたダイアフラムを空気圧(陽

圧・陰圧)で変化させることによって,拍動を与えることができる。 

b) 流量計 超音波血流計,電磁流量計などを試験回路に設置する。 

c) 圧力計 

d) 抵抗器 血液循環時に試験回路全体の圧力を上昇させるため,チューブを変形させ,この状態を維持

できるものを用いる。 


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3.4 

その他の装置及び器具 

試験回路のほかに次の装置及び器具を準備する。 

a) 恒温槽 37±2 ℃の精度をもつもの。 

b) フィルタ ポアサイズ100 μmを用いる。 

3.5 

試験回路の確認 

試験実施前に試験に用いる回路について,生理食塩液又はりん酸緩衝液を用いて次を確認する。 

a) 試験回路の各接合部から漏れが生じないこと。 

b) 試験回路の容量。 

c) 模擬左心室を拍動させたとき,左心補助人工心臓のポンプ回転数,抵抗器を操作して,計画した平均

総血流量,最高内圧及び最低内圧の条件を設定できること。 

 

血液調製 

試験に使用する血液を次のとおり調製する。 

a) ヘパリンを添加した血液を使用し,活性化全血凝固時間(Activated clotting time)(ACT)を250〜270

秒に調整する。 

b) 3.5 b)の試験回路内容量以上の血液を採血する。 

注記 試験に必要な血液量を得るために,ウシ,ブタなど大型動物の血液を使用することが望まし

い。試験試料及び対照試料の試験回路に必要な血液量を同一個体から採取する。 

c) 採血開始から試験に使用するまで空気接触を避け,採血開始から4時間以内に試験に使用する。 

 

試料 

5.1 

試験試料 

最終製品(左心補助人工心臓用脱血管)を試験試料に用いる。最終製品を模擬した試料を試験試料とし

て用いる場合は,その同等性又は妥当性を説明する。 

5.2 

対照試料 

対照試料を設定する。同一個体から採取した血液を用いて,試験試料と同時に試験を行わなければなら

ない。 

注記1 一般的には,血栓形成リスクが低い既知の対照試料を設定し,この結果と比較することで,

試験試料使用時の血栓症のリスクを評価する。 

注記2 対照試料を用いた回路についても,3.5を確認する。試験回路は,試験試料(対照試料)を除

き同じ構成にするのが望ましい。 

 

試験手順 

次の手順で試験を実施する。 

a) 3.1の試験試料を含む試験回路を恒温槽(37±2 ℃)に設置する。 

b) 箇条4の血液で試験回路内を充塡する。 

注記1 試験回路内に空気(気泡)が残らないよう注意する。 

c) 模擬左心室及び左心補助人工心臓を稼働させて計画した平均総血流量,最高内圧及び最低内圧とし,

血液循環を開始する。 

注記2 試験に用いる一般的な平均総血流量,最高内圧及び最低内圧を次に示す。 


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平均総血流量 

最高内圧 

最低内圧 

4 L/min 

80〜90 mmHg(10.7 kPa〜12.0 kPa) 

60〜70 mmHg(8.0 kPa〜9.3 kPa) 

 

d) 4時間の血液循環を行い,左心補助人工心臓のポンプを停止する。 

e) 試験回路内の血液を取り除き,付着物を剝がさないように注意しながら,試験試料(対照試料)を新

しい回路に取り付ける。 

f) 

試験回路内を生理食塩液又はりん酸緩衝液で3時間循環させた後,フィルタを用いて回収する。フィ

ルタに残った血栓(剝離血栓)の有無を確認する。血栓が認められた場合には,血栓の性状を調べて

記録する。観察後,写真を撮影する。 

g) 付着物を剝がさないように注意しながら,試験試料を取り出し,目視によって,血栓の付着状態を観

察する。観察後,写真を撮影する。 

h) 必要に応じて,試験試料に付着した血栓(付着血栓)とフィルタに残った血栓(剝離血栓)とを回収

して,それぞれの量を測定する。 

i) 

試験前後の血液の血小板数を記録する。 

注記3 目視によって血栓の付着状態及び剝離した血栓を評価することは,使用時の血栓形成リス

ク,人体に与える影響などを評価する上で重要な情報となる。付着血栓量及び剝離血栓量

を定量的に評価することで,目視による定性的結果を補足し,対照材料の血栓形成程度の

違いを明確にすることができる。目視による観察で,付着及び剝離血栓が認められない場

合及び試験材料と対照材料とで付着血栓量又は剝離血栓量の違いが明らかな場合は,血栓

量を定量しなくてもよい。 

注記4 付着又は剝離血栓をドデシル硫酸ナトリウム水溶液で溶解してたんぱく質総量として

BCA法及びマイクロBCA(Micro BCA)法で定量することができる。 

 

試験結果の表し方・試験報告書 

7.1 

試験結果の表し方は,次による。 

a) 剝離血栓の写真 

b) 剝離血栓の観察結果(状態など) 

例 

状態 

線状,凝集塊など,外観の状況 

c) 剝離血栓の定量結果 

剝離した血栓をドデシル硫酸ナトリウム水溶液で溶解し,たんぱく質総量としてBCA法及びマイ

クロBCA(Micro BCA)法で測定した結果を示す。又は,定量計測可能であれば,天びん(秤)で計

量してもよい。 

d) 付着血栓の写真 

e) 付着血栓の観察結果(付着・浮遊,付着部位など) 

例 

付着・浮遊 

脱血管への血栓の付着の有無,付着部位から一部浮遊している血栓の有無 

付着部位 

脱血管壁上での付着部位,脱血管と左心室モデルとの境界での付着部位 

f) 

付着血栓の定量結果 

付着血栓量を測定した場合,それぞれの結果を示す。付着した血栓をドデシル硫酸ナトリウム水溶


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液で溶解し,たんぱく質総量としてBCA法及びマイクロBCA(Micro BCA)法で測定した結果を示

す。又は,定量計測可能であれば,天びん(秤)で計量してもよい。 

注記 試験試料及び対照試料の測定値の平均値を統計解析に基づき比較することによって,血栓の

飛散リスクの程度を評価してもよい。この場合は,試験回数を記録する。 

7.2 

次の試験条件については,試験結果に付記する。 

a) 試験を実施した機関の名称,住所,試験責任者の氏名,試験開始日及び試験終了日 

b) 試験試料及び対照試料を特定する要素(名称,製造業者名,製造番号,原材料名など) 

c) 試験回路の構成(回路図,各装置を特定する要素),試験回路の容量 

d) 模擬左心室内の試験試料の位置(試験試料外壁と模擬左心室内壁間との距離)及び試験試料挿入長 

e) 使用した血液(動物種,採血量,ACT,採血してから血液循環開始までの時間,試験前後の血小板数

など) 

f) 

血液循環条件(平均総血流量,最高内圧,最低内圧,補助人工心臓の回転数) 

g) 模擬左心室拍動条件(1分間当たりの拍動回数など) 

h) 血栓量の測定方法 

 


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附属書A 

(参考) 

試験回路の情報 

 

A.1 模擬左心室 

a) 模擬左心室内くう(腔)の材質及び形状 

− 模擬左心室駆動部の材質:シリコーン 

− 模擬左心室非駆動部の材質:ポリウレタン 

− 模擬左心室内くう(腔)の形状:図A.1参照。 

− 模擬左心室内部容量:157 mL 

 

単位 mm 

 

図A.1−模擬左心室内くう(腔)の形状図 

 

b) 模擬左心室の駆動部及び心せん(尖)部 重症心不全患者では,心せん(尖)部は心拍動時にほとん

ど動かないことを考慮し,実施例では心せん(尖)部が動きにくいモデルが作製された。心せん(尖)

部以外の部位はシリコーン1層,心せん(尖)部は異なる弾性率のシリコーンの2層で作製されてい

る。模擬左心室駆動部の心せん(尖)部以外の部位及び心せん(尖)部におけるヤング率及び厚さを

表A.1に示す。また,心臓収縮期の模擬左心室駆動部断面図を図A.2に示す。 

 


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表A.1−模擬左心室駆動部の心せん(尖)部以外の部位 

及び模擬心せん(尖)部におけるヤング率及び厚さ 

 

心せん(尖)部以外の部位 

心せん(尖)部 

内くう(腔)側 

外くう(腔)側 

ヤング率 

5.7×10−2 MPa 

5.7×10−2 MPa 

8.3×10−1 MPa 

厚さ 

0.3 mm 

0.3 mm 

1.2 mm 

 

 

図A.2−収縮期の模擬左心室駆動部断面図 

 

A.2 弾性管(流入側及び流出側) 

実施例で用いられた流入側・流出側の弾性管の材質,内径,厚さ,長さ及びヤング率を表A.2に示す。 

 

表A.2−この試験で用いた流入側・流出側の弾性管の材質,内径,厚さ,長さ及びヤング率 

 

流入側弾性管 

流出側弾性管 

材質 

弾性シリコーン 

セグメント化ポリウレタン 

内径 

30 mm 

25 mm 

厚さ 

2±0.2 mm 

150±10 μm 

長さ 

200 mm 

200 mm 

ヤング率 

5.7×10−2 MPa 

1.2×10 MPa 

 


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A.3 参考の試験回路長(mm)L: 1 400 

 

 

図A.3−参考の試験回路長 


10 

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参考文献 

 

[1] ISO 10993-4:2002,Biological evaluation of medical devices−Part 4: Selection of tests for interactions with 

blood及びAmendment 1:2006 

[2] 岩崎清隆,高橋東,松橋祐輝,平田麻由紀,永井美玲,山崎健二,梅津光生,新規In vitro血栓性評価

法による補助人工心臓の平滑及びメッシュ脱血管周囲に形成される血栓の飛散リスク評価,第26回バ

イオエンジニアリング講演会論文集,pp.349-350,仙台,2014年1月11日 

[3] A.Takahashi, K.Iwasaki, Y.Matsuhashi, M.Hirata, M.Nagai, K.Yamazaki, M.Umezu, Development of a novel 

in-vitro thrombogenicity test methodology to clarify the risk of thrombus detachment form inflow cannula of 

left ventricular assist devices, 7th World Congress of Biomechanics, Boston, July 7, 2014 

[4] 岩崎清隆,先進医療機器とレギュラトリ−サイエンス,日本機械学会誌,118(1155), pp.31-34, 2015年

2月