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日本工業規格

JIS

 S

8507

-1992

ピアノ

Piano

1.

適用範囲  この規格は,64 けん(鍵)以上のピアノ(以下,ピアノという。)について規定する。

備考  この規格の引用規格を,付表 に示す。

2.

形式  形式は,アップライト形(スピネット形,コンソール形などを含む。)とグランド形に分ける。

3.

各部の名称  ピアノの主要部の名称は,付図 及び付図 による。

4.

品質  ピアノの品質は,次の各項目に適合しなければならない。

(1)

外装は,反り,割れなどの欠点がなく,堅固に組み立てられたものであること。

(2)

外装は,表面の塗装は美しく,むらなく仕上げられていること。

(3)

外装は,8.1 によって試験し,外装に実用上支障となるような欠点がないこと。

(4)

チューニングピンは,調律が円滑にでき,音の高さの保持が良好であること。

(5)

けん(鍵)は,演奏しやすいように面取りを施し,表面は平滑で,各けん(鍵)相互のすきま及び高

さは均等で,横振れが少なく,運動は円滑敏感で,著しい摩擦抵抗がないものであること。

(6)

けん(鍵)の運動は,8.2 によって試験し,沈みの深さは 9∼11mm,下降荷重は 0.39∼0.74N 又は上昇

荷重は 0.098∼0.39N とする。

(7)

けん(鍵)とアクションは,正確に一致して取り付けられ,かつ連関運動が円滑敏感で,ハンマーの

打弦は正確であること。

(8)

ダンパーヘッドには,止音効果の良好なフェルト又はこれと同等以上の止音効果のあるものが装着さ

れ,連関運動が適切なものであること。

(9)

ペダルの作動は円滑で,止音及び強弱音が完全に演奏できるものであること。

(10)

音階の調律は,ピッチ 49A=440Hz の 12 平均律とし,各音階は

付図 の調律周波数基準の範囲内で,

均整がとれていること。ただし,注文者の指定又は,注文者に引き渡すまでの流通期間を考慮し,調

律周波数を,ピッチ 49A=445Hz までの範囲内において高くすることができる。

(11)

音域は,88 けん(鍵)の場合の 1A∼88C を基準とする。

(12)

音量は,全音域にわたって均整で,強弱音範囲が広く表現できるものであること。

(13)

音質は,全音域にわたって均整で,各音が美しく,伸びがあること。

5.

構造及び寸法  ピアノの構造及び寸法は,次の各項目に適合しなければならない。

(1)

外装は,次のとおりとする。

(a)

外装は,強度と耐久度を十分保持できる構造であること。


2

S 8507-1992

(b)

アップライト形の親板又はグランド形の側板は,支柱側面に確実に固定されていること。

(c)

けん(鍵)盤ふたは,開閉が円滑で着脱が可能であること。

(d)

アップライト形のやねは,自由に開閉ができ,上下前板は着脱が可能であること。

(e)

グランド形のやね前は,やね後とヒンジで接合するか,分離したものは着脱が可能な構造とする。

また,やね後は,原則として開き角度を 2 段に変換でき,かつ着脱が容易にできる構造であるこ

と。

(f)

脚部には,原則としてキャスターを装着してあること。

(2)

グランド形の脚及びペダルは,取外しができる構造であること。

(3)

支柱及び鉄骨は,弦の張力に耐え得る強度を保持し,鉄骨と支柱は,ねじ止めされていること。

(4)

響板,こま及びこまピンは,次のとおりとする。

(a)

響板は,弧状に形成されていて,周辺は強固に取り付けられていること。

(b)

響棒は,原則として響板の木理方向に交わって接着されていること。

(c)

こまは,響板面に確実に接着され,また,こまピンは,弦がこまに密着するように傾斜して打ち込

まれていること。

(5)

ピン板は,チューニングピンを確実に保持し,かつ,弦の張力に耐えるため,複数縦横の合わせ板を

使用し,鉄骨に密着してねじ止めされていること。

(6)

チューニングピンの長さは,64mm 以下とし,その直径は 6.75∼7.25mm,植込部には,30∼35mm の

長さのねじ加工を施し,頭部は四角形として,

100

10

100

14

のテーパを付けたものであること(

図 参照)。

図 1  チューニングピンの形状

(7)

けん(鍵)盤は,次のとおりとする。

(a)

けん(鍵)盤の総幅は,88 けん(鍵) (1A∼88C)  の場合 1 220∼1 230mm を基準とする。

(b)

白けん(鍵)フロントの長さは,48∼52mm とする。

(c)

黒けん(鍵)の頭部は,前部の高さ 12.0∼14.5mm,幅は上面 9.0∼10.5mm,底面 11.0∼12.5mm と

し,長さは原則として 95mm とする。

(8)

床面から白けん(鍵)面までの高さは,640∼750mm とする。

(9)

アクションは,次のとおりとする。

(a)

アクションは,JIS S 8508 に適合するものであること。

(b)

ハンマーの打弦距離は,40∼50mm とする。

(10)

ペダルは,

演奏上支障のない間隔をもち,

床面からペダルの先端上面までの高さは 45∼75mm とする。

6.

材料  ピアノに使用する材料は,次の各項目に適合するものを用いなければならない。

(1)

各部に使用する材料は,木材,金属,プラスチックなどで用途に適合した欠点のないものを使用する。

(2)

各部に使用する木材は,強度上及び外観上支障となるような欠陥のないものを選び,これを用途に応

じて,8.3 によって試験したとき,含水率 3∼14%の範囲に均等に人工乾燥を施したものであること。

なお,主要部品は,次の各項目に示すもの又はこれらと同等以上の材質であること。


3

S 8507-1992

(a)

けん(鍵)及び響板は,えぞ松又はスプルースとする。

(b)

こまピン保持部及びピン板は,かえで又はぶなとする。

(3)

外装表面の仕上げ塗料は,JIS K 5531 に適合するもの又はこれらと同等以上の品質のものとする。

(4)

鉄骨は,JIS G 5501 の FC 150 又はこれと同等以上のものとする。

(5)

チューニングピンは,JIS G 4105 の SCM 435,JIS G 3506 の SWRH37 又はこれらと同等以上の品質の

ものとする。

(6)

弦は,原則として

付表 に示すミュージックワイヤを,巻線は,JIS C 3102 に適合するもの又はこれ

と同等以上の品質のものとする。

(7)

白けん(鍵)面には,プラスチック又はこれと同等以上のものを装着し,黒けん(鍵)の頭部は,硬

質の木材又は成形プラスチックとする。

(8)

こまピン及びヒッチピンは,次のとおりとする。

(a)

こまピンは,JIS H 3260 の C 2 700

1

/

2

H

JIS G 4309 に適合するもの又は JIS G 3505 の SWRM10∼

22

を伸線したもので,弦の接触面にさび止め処理を施したものであること。

(b)

ヒッチピンは,原則として JIS G 3505 の SWRM6∼22 を伸線したものとし,弦の接触面にさび止め

処理を施したものであること。

(9)

アグラフは,原則として JIS H 3250 に適合するものとする。

(10)

接着剤は,JIS K 6503JIS K 6801JIS K 6803 若しくは JIS K 6804 に適合するもの又はこれらと同

等以上の品質のものとする。

7.

調律  ピアノの調律は,4.(10)を基準として,JIS Z 8702 の 5.(使用方法)によって調律する。この場

合,周波数基準器は,JIS Z 8702 に規定する 1 級周波数基準器又はこれと同等以上の基準器を用いる。

8.

試験方法

8.1

耐乾耐湿性  耐乾耐湿性の試験は,外装を温度 30±3℃,湿度 (40±5) %の恒温室内に連続 24 時間

放置し,更に,温度 30±3℃,湿度 (80±5) %の恒温室内に連続 24 時間放置し,これを 2 回繰り返し,実

用上支障となるような欠点の有無を調べる。

8.2

けん(鍵)運動  沈み深さの試験は,けん(鍵)を押してその先端部の沈み深さを測定する。

また,下降荷重又は上昇荷重の試験は,ダンパーを外した状態で,けん(鍵)の先端から 23mm の中心

位置におもりの重心がくるようにして,次のとおり行う。

(1)

下降荷重  測定前にけん(鍵)を一度沈めた後元に戻し,測定用のおもりを遂次載せて,けん(鍵)

が完全に沈みきるのに要する最小のおもりの重さを求める。この値から 1gf=9.806 65×10

3

N

の換算

率で SI 単位に換算し,JIS Z 8401 によって小数点以下 2 けたに丸めた値とする。

(2)

上昇荷重  ジャックが外れる寸前までけん(鍵)を沈め,測定用のおもりを遂次戴せて,けん(鍵)

が完全に上がりきるのに要する最大のおもりの重さを求める。この値から 1gf=9.806 65×10

3

N

の換

算率で SI 単位に換算し,JIS Z 8401 によって小数点以下 2 けたに丸めた値とする。

8.3

含水率  含水率の試験は,JIS Z 2102 による。

9.

検査方法  ピアノは,4.及び 5.の規定に適合するかどうかを検査する。この場合,検査は,合理的な

抜取方法によって行ってもよい。


4

S 8507-1992

10.

表示  ピアノには,次の事項を表示しなければならない。

(1)

製造業者名又はその略号

(2)

製造番号

付表 1  引用規格

JIS C 3102

  電気用軟銅線

JIS G 3505

  軟鋼線材

JIS G 3506

  硬鋼線材

JIS G 4105

  クロムモリブデン鋼鋼材

JIS G 4309

  ステンレス鋼線

JIS G 5501

  ねずみ鋳鉄品

JIS H 3250

  銅及び銅合金棒

JIS H 3260

  銅及び銅合金線

JIS K 5531

  ニトロセルロースラッカー

JIS K 6503

  にかわ及びゼラチン

JIS K 6801

  ユリア樹脂木材接着剤

JIS K 6803

  カゼイン木材接着剤

JIS K 6804

  酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤

JIS S 8508

  ピアノアクション

JIS Z 2102

  木材の平均年輪幅・含水率及び比重測定方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8702

  楽器用周波数基準


5

S 8507-1992

付表 2  ミュージックワイヤ

線番

直径 mm

引張強さ kN/mm

2

13 0.775

±0.010 2.40∼2.61

13

2

1

0.800

±0.010 2.39∼2.59

14 0.825

±0.010 2.38∼2.57

14

2

1

 0.850

±0.010 2.37∼2.55

15 0.875

±0.010 2.36∼2.54

15

2

1

 0.900

±0.010 2.35∼2.53

16 0.925

±0.010 2.34∼2.50

16

2

1

 0.950

±0.010 2.32∼2.48

17 0.975

±0.010 2.31∼2.47

17

2

1

 1.000

±0.010 2.29∼2.47

18 1.025

±0.013 2.28∼2.45

18

2

1

 1.050

±0.013 2.26∼2.41

19 1.075

±0.013 2.24∼2.39

19

2

1

 1.100

±0.013 2.22∼2.37

20 1.125

±0.013 2.20∼2.36

20

2

1

 1.150

±0.013 2.20∼2.36

21 1.175

±0.013 2.18∼2.35

21

2

1

 1.200

±0.015 2.18∼2.35

22 1.225

±0.015 2.16∼2.32

23 1.300

±0.015 2.11∼2.29

24 1.400

±0.015 2.06∼2.25

25 1.500

±0.015 1.96∼2.20

26 1.600

±0.015 1.86∼2.14


6

S 8507-1992

付図 1  主要部の名称(アップライト形)

内装  1  白けん(鍵)

2

  黒けん(鍵)

3

  アクション

4

  ブラケット

5

  アクションボルトナット

6

  響板

7

  こま

8

  響棒

9

  ピン板

 10

チューニングピン

 11

支柱

 12

鉄骨

 13

ヒッチピン

 14

アグラフ

外装 15  やね

 16

親板

 17

上前板

 18

けん(鍵)盤ふた

 19

奥やね

 20

棚板

 21

下前板

 22

ペダル

 23

脚部

 24

底板

 25

キャスター


7

S 8507-

199

2

付図 2  主要部の名称(グランド形)


8

S 8507-

199

2

付図 3  調律周波数基準


9

S 8507-1992

楽器専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

真  篠      将

兵庫教育大学

金  本  正  武

文部省

島  田  豊  彦

通商産業省生活産業局

地  崎      修

工業技術院

石  川  源四郎

全国楽器協会

稲  星  昭  寿

株式会社山野楽器

大  場  清  光

株式会社河合楽器製作所

梶      吉  宏

ヤマハ株式会社

後  藤      茂

東洋ピアノ製造株式会社

外  山      篁

トヤマ楽器製造株式会社

中  沢      東

株式会社鈴木楽器製作所

小  山  昌  治

東京都立小川高等学校

進  藤  真  郎

東京都大田区立入新井第一小学校

廣  田  幸  夫

東京都北区滝野川中学校

石  田  宗  雄

株式会社河合楽器製作所

江  崎  秀  行

ヤマハ株式会杜

小  野  政  雄

ヤマハ株式会社

野  崎  欣  也

ヤマハ株式会社

川  瀬  晴  久

ヤマハ株式会社

真  野  泰  治

株式会社トンボ楽器製作所

村  木  幸  雄

ヤマハ株式会社

(事務局)

工  藤  英  武

工業技術院標準部繊維化学規格課

平  塚  智  章

工業技術院標準部繊維化学規格課